(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】治療剤送達のための血小板組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/55 20170101AFI20240603BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240603BHJP
A61K 35/19 20150101ALI20240603BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240603BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240603BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
A61K47/55
A61K39/395 N
A61K35/19
A61P35/00
A61P35/04
A61K45/06
(21)【出願番号】P 2023061666
(22)【出願日】2023-04-05
(62)【分割の表示】P 2019513929の分割
【原出願日】2017-09-13
【審査請求日】2023-05-02
(32)【優先日】2016-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517366013
【氏名又は名称】ノース カロライナ ステート ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】NORTH CAROLINA STATE UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135943
【氏名又は名称】三橋 規樹
(72)【発明者】
【氏名】グ,チェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チャオ
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-525810(JP,A)
【文献】国際公開第2006/121168(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/073446(WO,A1)
【文献】特開平08-109142(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0141482(US,A1)
【文献】Pharm. Res., 2013, Vol.30, pp.2785-2794
【文献】Federation Proceedings, 1986, Vol.45, No.6, p.1832
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/44
A61K 45/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 35/00-35/768
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
治療剤と、を含み、
前記治療剤が、前記化学的リンカー部分を介して前記血小板細胞に共有結合しており、
前記治療剤が抗PDL1抗体、抗PD1抗体、抗CTLA4抗体、抗CD47抗体、またはこれらの組み合わせから選択される、
PDL1陽性腫瘍を処置するため、原発腫瘍切除後の患者においてがんを処置するため
、がん切除後にがんの再発を抑制するため、および/または、腫瘍切除後の残存微小腫瘍および/または循環腫瘍細胞を処置するための組成物。
【請求項2】
腫瘍切除後に患者に投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化学的リンカー部分が、マレイミドリンカー、PEGリンカー、PAS化、及びHES化から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記血小板細胞がヒト血小板細胞である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記血小板細胞が自己由来の血小板細胞である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記がんが固形腫瘍である、請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記がんが黒色腫
または乳癌である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
追加の治療剤と組み合わせて投与される、請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記追加の治療剤が抗腫瘍剤である、請求項
8に記載の組成物。
【請求項10】
前記血小板細胞の活性化を介して創傷または外科的切除部位を標的とする、請求項1~
9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記血小板細胞の活性化時に、創傷または切除部位で血小板由来マイクロ粒子としてさらに放出される、請求項
10に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、2016年9月13日に出願
された米国特許仮出願第62/393,839号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、治療剤の標的化送達のための組成物及び方法を提供する。本開示はさらに、
治療剤(例えば、免疫療法剤)を負荷した血小板を使用してがんの転移または再発を治療
または予防する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
手術は、ほとんどの固形腫瘍に対する処置の主な選択肢である。外科的技術の継続的な
改善にもかかわらず、腫瘍切除後の残存微小腫瘍及び/または循環腫瘍細胞(CTC)は
、依然として課題である。加えて、手術が、がん転移の促進を誘発し得ることもまた示唆
されている。多くの患者は、術後に再発性疾患を発症し、これは重大な罹病率と死亡率に
つながるおそれがある。したがって、術後のがんの再発を防ぐための効果的な戦略構築に
多大な関心が寄せられている。それらの中で、がん免疫療法は、近年非常に注目を集めて
いる。免疫療法剤は腫瘍を直接攻撃するのではなく、身体の免疫系を高めてがん細胞を殺
す。免疫チェックポイント遮断は、患者のサブセットにおいて長続きする抗腫瘍反応及び
長期間の寛解を誘発した。特に、チェックポイント阻害剤は、リンパ球上のプログラム細
胞死タンパク質1(PD1)ならびに抗原提示細胞(APC)及び腫瘍細胞上のプログラ
ム細胞死1リガンド1(PDL1)の相互作用を遮断し、様々な種類のがんの処置におい
て目を見張る結果を示した。さらに、最初のPD-L1阻害剤であるアテゾリズマブは、
最近FDAから迅速承認を受けた。著しい進歩にもかかわらず、チェックポイント遮断療
法の現在の方法は、多くの患者において治療効果が制限される。臨床試験で観察された最
大の制限は、自己免疫疾患などの副作用の重篤度であり得る。免疫チェックポイント遮断
療法で処置した場合、グレード3/4の有害事象が時々発生している。その一方で、大多
数の患者は、これらの薬剤に反応しなかった。がん免疫療法の客観的奏効率(ORR)は
、依然として改善が必要である。がん免疫療法をどのように強化するかは、がん免疫学及
び免疫療法の分野における中心的テーマの1つとなっている。本明細書に開示される組成
物及び方法は、これらのニーズ及び他のニーズに対処する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、疾患、例えばがんの治療及び予防のための血小板組成物及び方法を提供する
。本明細書に開示される組成物及び方法では、治療剤(例えば、免疫療法剤)が血小板細
胞に共有結合している。本発明者らは、血小板細胞の表面にコンジュゲートした免疫療法
剤(例えば、抗PDL1)が、原発腫瘍切除後のがんの再発を減少させる(及び/または
転移を減少させる)ことを見出した。
【0005】
一態様では、
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
治療剤と、
を含み、
治療剤が前記化学的リンカー部分を介して前記血小板細胞に共有結合している、組成物
が、本明細書で提供される。
【0006】
別の態様では、
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
治療剤と、
を含む治療上有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含み、
治療剤が前記化学的リンカー部分を介して前記血小板細胞に共有結合している、がんの
転移または再発を予防する方法が、本明細書にて開示される。
【0007】
さらなる態様では、
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
治療剤と、
を含む組成物を対象に投与することを含み、
治療剤が前記化学的リンカー部分を介して前記血小板細胞に共有結合しており、
前記組成物が、前記血小板細胞の活性化を介して創傷または外科的切除部位を標的とす
る、治療剤の標的化送達のための方法が、本明細書にて開示される。
【0008】
追加の態様では、
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
治療剤と、
を含む治療上有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含み、
治療剤が前記化学的リンカー部分を介して前記血小板細胞に共有結合している、治療剤
の標的化送達のための方法が、本明細書で提供される。
【0009】
本願明細書に組み込まれて本願明細書の一部を構成する添付図面は、以下に記載される
いくつかの態様を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】A~F。抗PDL1(P-aPDL1)による血小板のin situ活性化は、治療薬の放出を促進する。(a)血小板による原発腫瘍切除部位への抗PDL1抗体(aPDL1)の送達の模式図である。(b)活性化前(i)及び活性化後(ii及びiii)のP-aPDL1のTEM画像である。赤い矢印は、血小板から放出されたPMPを示す。大量の生成されたPMP粒子が、電子顕微鏡で観察された。スケールバー:0.5μm。(c)異なる時点での非活性化血小板及び活性化血小板から放出されたaPDL1の割合(%)である。(d~e)異なる時点での非活性化血小板及び活性化血小板から放出されたTNF-α(f)及びIL-1β(g)の量である。(f)トランスウェルシステム(孔径、1μm)中で、非活性化P-aPDL1(左)及び活性化P-aPDL1(右)と同時インキュベートしたB16がん細胞の共焦点免疫蛍光画像である。P-aPDL1及びB16がん細胞を、それぞれ上部区画及び下部区画で培養した。赤色はaPDL1シグナルを表し、青色蛍光と緑色蛍光は、それぞれDAPIとAlexa fluor 488コンジュゲートコムギ胚芽凝集素による核と原形質膜を表す。スケールバー:20μm。エラーバーは、3反復試料の標準偏差(SD)に基づく。
【
図2】A~J。P-aPDL1療法による手術床の再発性黒色腫腫瘍のin vivo減少。(a)注射後の異なる時点で採取した血液中のaPDL1レベルを測定することによる、マウスにおけるP-aPDL1、遊離aPDL1、及び血小板+aPDL1混合物の血液循環曲線である。エラーバーは、3反復試料の標準偏差(SD)に基づく(n=3)。(b)P-aPDL1または等価用量の遊離aPDL1を静脈内注射後のマウスの注射の2時間後の蛍光画像(aPDL1-Cy5.5)である。(c)P-aPDL1または遊離aPDL1の静脈内注射から2時間後の残存腫瘍を有する創傷のex vivo画像である。(
図2d)(c)に示されるマウスの異なる創傷における平均aPDL1-Cy5.5蛍光シグナル強度である。エラーバーは、3反復試料の標本平均の標準誤差(s.e.m.)に基づく。(e)(b)に示されるマウスから撮影した残存腫瘍切片の共焦点画像である。画像中、青と赤は、それぞれDAPIとCy5.5による核とaPDL1のシグナルを表す。スケールバー:20μm。(f)不完全手術腫瘍モデルの処置のためのP-aPDL1療法の模式図である。(g)原発腫瘍の除去後の異なる群のB16F10腫瘍のin vivo生物発光画像である。処置群あたり3匹の代表的なマウスを示す。(h)明記された種々の処置後の異なる群のマウスの定量化された腫瘍シグナルである。(i~j)処置マウス及び対照マウスの腫瘍増殖曲線(i)及び生存曲線(j)である。生存調査のために処置群あたり8匹のマウスを示す。エラーバーは、標本平均の標準誤差(s.e.m.)に基づく。P値:
*はP<0.05。
【
図3】A~H。P-aPDL1は、強固なT細胞媒介性の抗腫瘍免疫応答を引き起こした。(a)残存腫瘍の免疫蛍光は、CD4+T細胞及びCD8+T細胞の浸潤を示す。スケールバー:50μm。(b)腫瘍重量、及び(c)腫瘍1グラムあたりのCD3+細胞の絶対数である。エラーバーは、標本平均の標準誤差(s.e.m.)に基づく(n=4)。(d)全CD3+細胞のCD4+T細胞及びCD8+T細胞の割合(%)、ならびに明記されたように処置されたマウスの残存腫瘍における代表的なドットプロットである。4つの象限全てにおいてより高い細胞集団は、腫瘍部位において、はるかに多くのCD3+腫瘍浸潤リンパ球を示した。(e)全CD3+細胞のCD4+Foxp3+T細胞の割合(%)、及び明記されたように処置されたマウスの残存腫瘍における代表的なドットプロットである。(f)種々の処置時の腫瘍1グラムあたりのCD8+細胞の絶対数である。(g~h)種々の処置時の残存腫瘍における腫瘍浸潤CD8+T細胞及びエフェクティブCD4+T細胞(effective CD4+ T cells)の制御性T細胞に対する比である。エラーバーは、標本平均の標準誤差(s.e.m.)に基づく(n=4)。統計的有意性は、Tukeyの事後検定を使用して一元配置分散分析によって算出した。P値:
*はP<0.05、
**はP<0.01、
***はP<0.005。
【
図4】A~F。P-aPDL1療法は、局所的な再発性黒色腫腫瘍及び転移性疾患の増殖に影響を及ぼした。(a)マウスの不完全な手術及び転移性腫瘍モデルの処置のためのP-aPDL1療法の模式図である。(b)異なる時点での原発腫瘍の除去後の異なる群のB16F10転移のin vivo生物発光画像である。処置群あたり3匹の代表的なマウスが示される。(c)代表的な肺写真、及び(d)明記された異なる処置後のマウスから収集されたH&E染色された肺切片である。黒い矢印は、肺の転移性腫瘍を示す。スケールバー:500μm。(e)異なる処置をしたマウスの肺転移小結節の定量化である。結果は、平均±SEM(n=3)として表す。(f)処置マウス及び対照マウスの生存曲線である。生存調査のための処置群あたり8匹のマウスを示す。P値:
*はP<0.05。
【
図5】A~E。術後4T1再発癌を処置するP-aPDL1。(a)異なる時点での原発腫瘍の除去後の異なる群の4T1転移のin vivo生物発光画像である。(b)手術の2週間後の代表的なマウスの写真である。黒い矢印は、手術床(surgical bed)の再発腫瘍を示す。(c)明記された異なる処置後のマウスから収集された代表的な肺写真である。赤い矢印は、肺の腫瘍小結節を示す。(d)異なる処置をしたマウスの肺転移小結節の定量化である。結果は、平均±SEM(n=3)として表す。(e)処置マウス及び対照マウスの生存曲線である。生存調査のための各処置群あたり8匹のマウスを示す。P値:
*はP<0.05。
【
図6】aPDL1結合血小板の共焦点免疫蛍光画像である。FITCコンジュゲート二次抗体を用いて、血小板上のaPDL1画像を検出した。スケールバー:20μm。
【
図7】aPDL1結合血小板のフローサイトメトリーアッセイである。血小板を、異なる実験設定下でaPDL1と共にインキュベートし、ヤギ抗ラットIgG(H+L)二次抗体、FITCを使用してフローサイトメトリーにより分析した。血小板表面へのaPDL1の結合の成功は、スルフィドリル(sulfydryl)及びマレイミドの結合を介して確認された。
【
図8】A~C。aPDL1結合血小板のコンジュゲーション及び安定性。(a)様々な量のaPDL1をコンジュゲーションのために血小板に添加した。血小板へのaPDL1コンジュゲーションの効率(添加したaPDL1/コンジュゲートしたaPDL1)は、血小板あたり0.2pgのaPDL1を添加した場合に約75%であった。(b)aPDL1修飾後の血小板の安定性。0時間及び24時間における血小板数分析に基づいてP-aPDL1の数を測定した。(c)経時的な血小板上aPDL1の安定性。エラーバーは、3反復試料の標準偏差(SD)に基づく(n=6)。
【
図9】未処置の血小板及びaPDL1コンジュゲート血小板上の表面タンパク質発現である(活性化後にCD62P及びCD40Lを調べた)。
【
図10】A~B。活性化後のP-aPDL1の透過電子顕微鏡(TEM)像である。(a)活性化血小板から出る血小板微粒子(PMP)である。(b)P-aPDL1活性化後、多数のPMPがTEMで見られる。サイズバー:aでは100nm、bでは2μm。
【
図11】活性化後のP-aPDL1の免疫蛍光画像である。血小板にカルセインを負荷し、緑色蛍光により可視化した。aPDL1をCy3ヤギ抗ラットIgG二次抗体で標識し、赤色蛍光によって可視化した。白い矢印は、血小板から放出されたPMPを示す。
【
図12】A~B。トランスウェルシステム中で、P-aPDL1と同時インキュベートしたB16がん細胞の共焦点免疫蛍光画像である。(a)トランスウェルシステムの模式図である。P-aPDL1及びB16がん細胞を、それぞれ上部区画及び下部区画で培養した。(b)トランスウェルシステム(孔径、1μm)中で、非活性化P-aPDL1及び活性化P-aPDL1と同時インキュベートしたB16がん細胞の共焦点免疫蛍光画像である。赤(Cy3)蛍光はaPDL1シグナルを表し、青(DAPI)と緑(Alexa Fluor(登録商標)488)蛍光は、それぞれ核と細胞膜からのシグナルを表す。スケールバー:20μm。
【
図13】A~C。マウスにおけるaPDL1結合血小板の体内分布である。(a)遊離Cy5.5-aPDL1及びP-aPDL1-Cy5.5の蛍光スペクトルである。血小板にaPDL1をコンジュゲートした後、Cy5.5の強度は、顕著な影響が見られなかった。(b)P-aPDL1及び遊離aPDL1の静脈内注射から2時間後のマウスの異なる臓器におけるex vivo Cy5.5-aPDL1蛍光画像である。L:肝臓、Lu:肺、Sp:脾臓、H:心臓、K:腎臓。(c)(b)に示されるマウスの異なる臓器における平均Cy5.5蛍光シグナル強度である。各処置群あたり3匹のマウスを示す。結果は、平均±SDとして表した。統計的有意性は、t検定によって算出した。P値:
***はP<0.005。
【
図14】A~B。残存腫瘍切片の共焦点画像である。(a)残存腫瘍切片の共焦点画像である。画像中、青と赤は、DAPIとCy5.5による核とaPDL1のシグナルを表す。(b)(a)のP-aPDL1中の残存腫瘍切片の高倍率画像である。白い矢印は、血小板から放出されたPMP及びaPDL1を示す。
【
図15】マウス尾部切断出血モデルにおける止血効果である。統計的有意性は、t検定によって算出した。n.s.は有意差無し。エラーバーは、3反復試料の標準偏差(SD)に基づく(n=10)。
【
図16】A~D。処置後のマウスのサイトカインレベルである。明記された処置後のマウスの、(a)局所的サイトカインレベルと(b)全身性サイトカインレベルである。PD-L1分析の、(c)代表的なフローサイトメトリー分析画像と(d)免疫蛍光画像である(上部、血小板なし;下部、血小板あり)。(マクロファージは、CD11b+ GFP-にゲートをかけ、腫瘍細胞はGFP+、CD45-にゲートをかけ、B細胞はCD20+ GFP-にゲートをかけ、DCはCD11c+ GFP-にゲートをかけた)。エラーバーは、3反復試料のs.e.mに基づく。統計的有意性は、Tukeyの事後検定を使用して一元配置分散分析によって算出した。P値:
*はP<0.05、n.s.は有意差無し。
【
図17】残存腫瘍の免疫蛍光は、CD4+T細胞及びCD8+T細胞の浸潤を示す。スケールバー:50μm。
【
図18】明記された異なる処置をした、Ki67を発現するCD8+、CD4+Foxp3、及びCD4+Foxp3+T細胞の割合(%)。統計的有意性は、Tukeyの事後検定を使用して一元配置分散分析によって算出した。P値:
*はP<0.05、
*
*はP<0.01、
***はP<0.005。
【
図19】A~C。原発腫瘍除去後のPMP-aPDL1及び高用量のaPDL1の抗腫瘍効率である。(a)原発腫瘍の除去後の異なる群のB16F10腫瘍のin vivo生物発光画像である。(b)明記された種々の処置後の異なる群のマウスの腫瘍増殖曲線である。(c)明記された種々の処置後60日でのマウスの生存曲線である。各処置群あたり5匹のマウスを示す。
【
図20】肺組織の蛍光画像である。青と緑の蛍光は、それぞれDAPIによる核とGFPがん細胞を表す。スケールバー:100μm。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、疾患、例えばがんの治療及び予防のための血小板組成物及び方法を提供する
。本明細書に開示される組成物及び方法では、治療剤(例えば、免疫療法剤)が血小板細
胞に共有結合している。本発明者らは、血小板細胞の表面にコンジュゲートした免疫療法
剤(例えば、抗PDL1)が、原発腫瘍切除後のがんの再発を減少させる(及び/または
転移を減少させる)ことを見出した。
【0012】
ここで、本発明の実施形態を詳細に参照し、その例を図面及び実施例に例示する。しか
しながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施
形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0013】
別途定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本
開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明
細書中で使用される「含む(comprising)」という用語及びその変形形態は、
「含む(including)」という用語及びその変形形態と同義に使用され、オープ
ンで非限定的な用語である。本明細書では「含む(comprising)」及び「含む
(including)」という用語を使用して種々の実施形態を説明しているが、「含
む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに「から本
質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる
(consisting of)」という用語がより具体的な実施形態を提供するために
使用することができ、また開示される。
【0014】
用語
本明細書及び本特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「th
e」は、文脈上、別段の明確な指示がない限り、複数形の言及を含む。例えば、「細胞(
a cell)」という用語は、その混合物を含む複数の細胞を含む。
【0015】
本明細書中で使用される場合、「~してもよい(may)」、「任意に(option
ally)」、及び「~であってもよい(may optionally)」という用語
は、互換的に使用され、その状態が生じる場合だけでなく、その状態が生じない場合も含
まれることを意味する。したがって、例えば、ある製剤に「賦形剤を含んでもよい」とい
う記載は、該製剤に賦形剤が含まれる場合だけでなく、該製剤に賦形剤が含まれない場合
も含まれることを意味する。
【0016】
本明細書中で使用される場合、「有益な薬剤」及び「活性剤」という用語は、本明細書
で互換的に使用され、有益な生物学的効果を有する化学化合物または組成物を指す。有益
な生物学的効果には、治療効果(すなわち、障害または他の望ましくない生理状態の治療
)と予防効果(すなわち、障害または他の望ましくない生理状態(例えば、がん)の予防
)の両方が含まれる。この用語にはまた、本明細書において具体的に言及される有益な薬
剤の薬学的に許容可能な、薬理学的に活性な誘導体が包含され、限定されないが、塩、エ
ステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝物、異性体、断片、類似体などが含まれる。「
有益な薬剤」または「活性剤」という用語が使用される場合、または特定の薬剤が具体的
に明確にされる場合、この用語には、その薬剤それ自体だけでなく、薬学的に許容可能な
、薬理学的に活性な塩、エステル、アミド、プロドラッグ、コンジュゲート、活性代謝物
、異性体、断片、類似体などが含まれると理解されたい。
【0017】
本明細書中で使用される場合、対象を「処置すること」または対象の「処置」という用
語には、疾患または障害、または疾患もしくは障害の症状を予防する、治す、癒やす、軽
減する、緩和する、変化させる、治療する、回復させる、改善する、安定化させる、また
はそれに影響を及ぼす目的での対象への薬物の投与が含まれる。「処置する」及び「処置
」という用語はまた、症状の重症度及び/または頻度の低減、症状及び/または根本原因
の除去、症状及び/またはその根本原因の発生の予防、ならびに損傷の改善または治療を
指すことができる。
【0018】
本明細書中で使用される場合、対象における障害または望ましくない生理学的事象を「
予防する」という用語は、具体的には、症状及び/またはその根本原因の発生の予防を指
し、その対象は、その障害または事象に対して高まった感受性を示す場合もあれば示さな
い場合もある。
【0019】
治療剤の「有効量」という用語は、無毒であるが、有益な薬剤が所望の効果をもたらす
のに十分な量を意味する。「有効」である有益な薬剤の量は、対象の年齢及び全般状態、
個々の有益な薬剤(複数可)などに依存して、対象ごとに変動するものである。したがっ
て、正確な「有効量」を特定することは、必ずしも可能ではない。しかしながら、どの対
象の症例にも適切な「有効」量は、通常の実験を使用して、当業者により決定され得る。
さらに、本明細書中で使用される場合、そして特段明記されない限り、有益なものの「有
効量」はまた、治療上有効な量と予防上有効な量の両方を包含する量を指すことができる
。
【0020】
治療効果を達成するのに必要な薬物の「有効量」は、対象の年齢、性別、及び体重のよ
うな要素によって変動し得る。投与レジメンは、最適な治療応答をもたらすように調整す
ることができる。例えば、いくつかに分割した用量を毎日投与してもよく、治療状況の緊
急性により示されるように、その用量を比例的に減らしてもよい。
【0021】
本明細書中で使用される場合、治療剤の「治療的有効量」は、所望の治療結果を達成す
るのに有効である量を指し、治療剤の「予防的有効量」は、望まれない生理状態を予防す
るのに有効である量を指す。所与の治療剤の治療的有効量及び予防的有効量は、典型的に
は、処置される障害または疾患の種類及び重症度、ならびに対象の年齢、性別、及び体重
のような要素に関連して変動するものである。
【0022】
「治療的有効量」という用語はまた、所望の治療効果を促進するのに有効な、治療剤の
量または治療剤の送達速度(例えば、経時的な量)を指すことができる。所望の正確な治
療効果は、処置される状態、対象の忍容性、投与される薬物及び/または薬物製剤(例え
ば、治療剤(薬物)の効力、製剤中の薬物濃度など)、ならびに当業者によって認識され
る種々の他の要素にしたがって、変動するものである。
【0023】
本明細書中で使用される場合、「薬学的に許容可能な」成分という用語は、生物学的に
もそれ以外でも望ましくないものではない成分を指すことができる。すなわち、その成分
は、著しく望ましくない生物学的効果を引き起こすことも、それが含まれる製剤の他の成
分のいずれとも有害な様式で相互作用することもなく、本発明の医薬製剤に組み込まれ得
、本明細書に記載のように対象へ投与され得る。賦形剤へ言及するのに「薬学的に許容可
能な」という用語が使用される場合は、その成分が毒性学的試験及び製造試験の要求され
る基準に合致していること、または米国食品医薬品局によって作成された「不活性成分ガ
イド(Inactive Ingredient Guide)」にそれが含まれること
が通常含意される。
【0024】
さらに、本明細書中で使用される場合、「薬理学的に活性な」誘導体または類似体にあ
るような「薬理学的に活性な」(または、単に「活性な」)という用語は、元の化合物と
同じ種類かつ、ほぼ同等程度の薬理活性を有する誘導体または類似体(例えば、塩、エス
テル、アミド、コンジュゲート、代謝産物、異性体、断片など)を指すことができる。
【0025】
本明細書中で使用される場合、「混合物」という用語には、該混合物の成分が完全に混
和する溶液、ならびに該混合物の成分が完全には混和しない懸濁液及びエマルションを含
むことができる。
【0026】
本明細書中で使用される場合、「対象」という用語は、限定されないが、ヒト、家畜類
、イヌ、ネコ、及び他の哺乳動物が含まれる哺乳動物のような生物を指すことができる。
治療剤の投与は、対象の処置に有効な用量及び期間で実施可能である。いくつかの実施形
態では、前記対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、本発明のシステムの薬物動
態プロファイルは、雄の対象と雌の対象で同様である。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「併用投与」、「組み合わせ投与」、「同時投与」また
は「同時に投与される」という表現は、化合物が同じ時点で、または互いに直後に投与さ
れることを意味する。後者の場合、2種の化合物は、観察される結果が、それらの化合物
が同じ時点で投与される場合に達成される結果と区別がつかないほど十分に近い時点で投
与される。
【0028】
本明細書中で使用される場合、「抗体」という用語は、4本のポリペプチド鎖(ジスル
フィド結合によって相互接続された2本の重(H)鎖及び2本の軽(L)鎖)で構成され
た免疫グロブリン分子を指す。本明細書中で使用される場合、「抗体」という用語は、限
定されないが、当技術分野において公知の組換え技術によって生成される組換え抗体が含
まれる。「抗体」は、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー、ヒヒ、アカゲザル、
もしくはカニクイザル由来などのヒト)、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ウサギま
たはモルモット由来)、ヤギ、ウシもしくはウマの種などの哺乳動物種由来のものを含む
任意の起源のもの;またはニワトリ抗体のような鳥種、またはサメ抗体のような魚種由来
の任意の起源のものであり得る。「抗体」には、ヒトアイソタイプIgA1、IgA2、
IgD、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgG4、IgE及びIgM、
ならびにこれらの修飾変異体を含む任意のアイソタイプの抗体が含まれる。本明細書の抗
体は、目的の「抗原」に対する。好ましくは、抗原は、生物学的に重要なポリペプチドで
あり、疾患または障害に罹患している哺乳動物への抗体の投与は、その哺乳動物に治療効
果をもたらすことができる。しかしながら、非ポリペプチド抗原に対する抗体もまた、検
討される。
【0029】
本明細書中で使用される場合、「抗体断片」という用語は、1つ以上のドメイン、また
は1つ以上のアミノ酸を欠く天然に存在する抗体を指す。典型的には、抗体断片は、その
ような天然に存在する抗体の全抗原結合領域またはその可変領域を含む。抗体断片の例に
は、Fc部分を欠く任意の抗体が含まれる。抗体断片の例にはさらに、Fab、Fab’
、F(ab’)2、Fv及びscFv断片;ダイアボディ;トリアボディ;テトラボディ
;ミニボディ;本質的に1、2または3つの免疫グロブリンドメイン(複数可)からなる
抗体、例えばDomain antibodies(商標);一本鎖抗体;上記のいずれ
かの二重特異性、三重特異性、四重特異性または多重特異性変異体が含まれる。
【0030】
組成物
一態様では、
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
治療剤と、を含み、
治療剤が前記化学的リンカー部分を介して前記血小板細胞に共有結合している、組成物
が、本明細書で提供される。
【0031】
一実施形態では、治療剤は、免疫療法剤である。一実施形態では、免疫療法剤は、抗P
DL1抗体、抗PD1抗体、抗CTLA4抗体、抗CD47抗体、またはこれらの組み合
わせから選択される。一実施形態では、免疫療法剤は、抗PDL1抗体である。
【0032】
一実施形態では、化学的リンカー部分は、マレイミドリンカー、PEGリンカー、PA
S化、及びHES化から選択される。一実施形態では、化学的リンカー部分は、マレイミ
ドリンカーである。
【0033】
一実施形態では、血小板細胞は、ヒト血小板細胞である。一実施形態では、血小板細胞
は、自己由来の血小板細胞である。
【0034】
一実施形態では、
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
免疫療法剤と、を含み、
免疫療法剤が、化学的リンカー部分を介して血小板細胞に共有結合している、組成物が
、本明細書で提供される。
【0035】
一実施形態では、
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
抗PDL1抗体と、を含み、
抗PDL1抗体が、化学的リンカー部分を介して血小板細胞に共有結合している、組成
物が、本明細書で提供される。
【0036】
一実施形態では、
血小板細胞と、
マレイミドリンカーと、
免疫療法剤と、を含み、
免疫療法剤が、該化学的リンカー部分を介して血小板細胞に共有結合している、組成物
が、本明細書で提供される。
【0037】
一実施形態では、
血小板細胞と、
マレイミドリンカーと、
抗PDL1抗体と、を含み、
抗PDL1抗体が、該化学的リンカー部分を介して血小板細胞に共有結合している、組
成物が、本明細書で提供される。
【0038】
治療上有効量の1つ以上の開示された血小板組成物及び薬学的に許容可能な担体を含む
医薬組成物が開示される。本明細書にて提供される組成物の投与に適した医薬担体には、
個々の投与方法に適していると当業者に公知の任意のそのような担体が含まれる。加えて
、前記組成物は、医薬組成物中の唯一の薬学的活性成分として処方されてもよく、または
他の活性成分と組み合わされてもよい。
【0039】
活性化合物(例えば、血小板細胞にコンジュゲートされた免疫療法剤)及びある種の賦
形剤を含む本明細書に記載される組成物は、種々の用途において有用であり得る。
【0040】
「賦形剤」には、所望の個々の剤形に適するように、あらゆる溶媒、希釈剤または他の
液体媒体、分散助剤または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤
、固体結合剤、滑沢剤などが含まれる。製剤及び/または製造における一般的な考慮事項
は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Science
s,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publ
ishing Co.,Easton,Pa.,1980)、及びRemington:
The Science and Practice of Pharmacy,21
st Edition(Lippincott Williams & Wilkins
,2005)に見出すことができる。薬学的に許容可能な賦形剤はまた、1つ以上の充填
剤、結合剤、滑沢剤、流動化剤、崩壊剤などを含み得る。
【0041】
例示的な賦形剤には、限定されないが、任意の非毒性の、不活性固体、半固体、または
液体の、任意の種類の充填剤、希釈剤、カプセル化材料または製剤補助剤が含まれる。賦
形剤として機能し得る材料のいくつかの例としては、限定されないが、ラクトース、グル
コース、及びスクロースなどの糖類;コーンスターチ及びジャガイモデンプンなどのデン
プン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及びセルロースアセ
テートなどのセルロース及びその誘導体;トラガント末;モルト;ゼラチン;タルク;カ
カオバター及び坐剤ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油などの油;ベニバナ油
;ゴマ油;オリーブ油;コーン油及び大豆油;プロピレングリコールなどのグリコール;
エチルオレエート及びエチルラウレートなどのエステル;寒天;Tween 80などの
界面活性剤;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発
熱物質非含有水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;ならびにリン酸緩衝液、
ならびにナトリウムラウリルスルフェート及びマグネシウムステアレートなどの他の非毒
性適合性滑沢剤、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤及び芳香剤
、防腐剤及び酸化防止剤が含まれ、これらはまた、配合者の判断にしたがって前記組成物
中に存在することができる。当業者によって認識され得るように、賦形剤は、組成物が何
に有用であるかに基づいて選択され得る。例えば、医薬組成物と共に、賦形剤の選択は、
投与経路、送達される薬剤、薬剤の送達のタイムコースなどに左右され得、ヒト及び/ま
たは動物に、経口的に、直腸内に、非経口的に、大槽内に、膣内に、鼻腔内に、腹腔内に
、局所的に(散剤、クリーム剤、軟膏剤、または点剤(drop)による)、口腔内に、ま
たは経口スプレーもしくは鼻腔内スプレーとして投与され得る。特定の実施形態では、前
記組成物は、腫瘍の切除部位またはその近くに注射される。
【0042】
例示的な希釈剤には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二
カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、
スクロース、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール
、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉糖など、及びこれ
らの組み合わせが含まれる。
【0043】
例示的な顆粒剤及び/または分散剤には、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、タピ
オカスターチ、ナトリウムデンプングリコレート、粘土、アルギン酸、グアーガム、柑橘
類パルプ、寒天、ベントナイト、セルロース及び木質生成物、天然スポンジ、陽イオン交
換樹脂、炭酸カルシウム、シリケート、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニル-ピロリドン
)(クロスポビドン)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(ナトリウムデンプングリ
コレート)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム
(クロスカルメロース)、メチルセルロース、アルファ化デンプン(デンプン1500)
、微結晶性デンプン、水不溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、マグ
ネシウムアルミニウムシリケート(Veegum)、ナトリウムラウリルスルフェート、
四級アンモニウム化合物など、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0044】
例示的な界面活性剤及び/または乳化剤には、天然乳化剤(例えば、アカシア、寒天、
アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドラックス(chondrux
)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレ
ステロール、ワックス、及びレシチン)、コロイド状粘土(例えば、ベントナイト[アル
ミニウムシリケート]及びVeegum[マグネシウムアルミニウムシリケート])、長
鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコ
ール、オレイルアルコール、トリアセチンモノステアレート、エチレングリコールジステ
アレート、グリセリルモノステアレート、及びプロピレングリコールモノステアレート、
ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル
酸、アクリル酸ポリマー、及びカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース
誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシ
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソル
ビタンモノラウレート[Tween 20]、ポリオキシエチレンソルビタン[Twee
n 60]、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート[Tween 80]、ソル
ビタンモノパルミテート[Span 40]、ソルビタンモノステアレート[Span
60]、ソルビタントリステアレート[Span 65]、グリセリルモノオレエート、
ソルビタンモノオレエート[Span 80])、ポリオキシエチレンエステル(例えば
、ポリオキシエチレンモノステアレート[Myrj 45]、ポリオキシエチレン硬化ヒ
マシ油、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリオキシメチレンステアレート、及びSoluto
l)、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、C
remophor)、ポリオキシエチレンエーテル、(例えば、ポリオキシエチレンラウ
リルエーテル[Brij 30])、ポリ(ビニル-ピロリドン)、ジエチレングリコー
ルモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、ナトリウムオレエート、カリウム
オレエート、エチルオレエート、オレイン酸、エチルラウレート、ナトリウムラウリルス
ルフェート、プルロニックF68、ポロキサマー188、臭化セトリモニウム、塩化セチ
ルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドクサートナトリウムなど、及び/またはこれ
らの組み合わせが含まれる。
【0045】
例示的な結合剤には、デンプン(例えば、コーンスターチ及びデンプンペースト)、ゼ
ラチン、糖類(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜
、ラクトース、ラクチトール、マンニトールなど)、天然及び合成ゴム(例えば、アカシ
ア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモスの抽出物、パンワールガム(panwar
gum)、ガティガム、イサポール皮(isapol husk)の粘液、カルボキシ
メチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース
、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セル
ロース、セルロースアセテート、ポリ(ビニル-ピロリドン)、マグネシウムアルミニウ
ムシリケート(Veegum)、及びカラマツアラボガラクタン)アルギネート、ポリエ
チレンオキシド、ポリエチレングリコール、無機カルシウム塩類、ケイ酸、ポリメタクリ
レート類、ワックス、水、アルコールなど、及び/またはこれらの組み合わせが含まれる
。
【0046】
例示的な防腐剤には、酸化防止剤、キレート剤、抗菌防腐剤、抗真菌防腐剤、アルコー
ル防腐剤、酸性防腐剤、及びその他の防腐剤が含まれる。
【0047】
例示的な酸化防止剤には、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、アコルビルパル
ミテート(acorbyl palmitate)、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブ
チル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、ピロ亜硫酸カリウム、プロピオン酸
、プロピルガレート、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸
ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムが含まれる。
【0048】
例示的なキレート剤には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)ならびにその塩及び水
和物(例えば、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エ
デト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸二カリウムなど)、クエン酸ならびにその塩及
び水和物(例えば、クエン酸一水和物)、フマル酸ならびにその塩及び水和物、リンゴ酸
ならびにその塩及び水和物、リン酸ならびにその塩及び水和物、ならびに酒石酸ならびに
その塩及び水和物が含まれる。例示的な抗菌防腐剤には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベ
ンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウ
ム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、ク
レゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フ
ェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、フェニル水銀ニトレート、プロピレン
グリコール、及びチメロサールが含まれる。
【0049】
例示的な抗真菌防腐剤には、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロ
ピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、カリウムベンゾエート、カリウムソルベ
ート、ナトリウムベンゾエート、ナトリウムプロピオネート、及びソルビン酸が含まれる
。
【0050】
例示的なアルコール防腐剤には、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、
フェノール系化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾエート、及
びフェニルエチルアルコールが含まれる。
【0051】
例示的な酸性防腐剤には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロテン、ク
エン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、及びフィチン酸が含まれる
。
【0052】
他の防腐剤には、トコフェロール、トコフェロールアセテート、デテロキシムメシレー
ト(deteroxime mesylate)、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニ
ソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxy
toluened)(BHT)、エチレンジアミン、ナトリウムラウリルスルフェート(
SLS)、ナトリウムラウリルエーテルスルフェート(SLES)、亜硫酸水素ナトリウ
ム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、Glydant
Plus、Phenonip、メチルパラベン、Germall 115、Germab
en II、Neolone、Kathon、及びEuxylが含まれる。特定の実施形
態では、防腐剤は、抗酸化剤である。他の実施形態では、防腐剤は、キレート剤である。
【0053】
例示的な緩衝剤には、シトレート緩衝液、アセテート緩衝液、ホスフェート緩衝液、塩
化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸
カルシウム、カルシウムグルセプテート、グルコン酸カルシウム、D-グルコン酸、カル
シウムグリセロホスフェート、乳酸カルシウム、プロパン酸、カルシウムレブリネート、
ペンタン酸、二塩基性リン酸カルシウム、リン酸、三塩基性リン酸カルシウム、水酸化リ
ン酸カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、
二塩基性リン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリ
ウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、二塩
基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタ
ミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱物質非含有水、等張
食塩水、リンゲル液、エチルアルコールなど、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0054】
例示的な滑沢剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリ
ン酸、シリカ、タルク、モルト、グリセリルベハネート(glyceryl behan
ate)、硬化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム
、塩化ナトリウム、ロイシン、マグネシウムラウリルスルフェート、ナトリウムラウリル
スルフェートなど、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0055】
例示的な天然油には、アーモンド、杏仁、アボカド、ババス、ベルガモット、ブラック
カラントシード、ルリヂサ、ケード、カモミール、キャノーラ、キャラウェイ、カルナウ
バ、ヒマ、シナモン、カカオバター、ココナッツ、タラ肝、コーヒー、トウモロコシ、綿
実、エミュ、ユーカリ、月見草、魚、亜麻仁、ゲラニオール、ウリ(gourd)、ブド
ウ種子、ヘーゼルナッツ、ヒソップ、イソプロピルミリステート、ホホバ、ククイナッツ
、ラバンディン、ラベンダー、レモン、litsea cubeba、マカダミアナッツ
、マロウ、マンゴー種子、メドウフォーム種子、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ
、オレンジラフィー、パーム、パーム核、モモ核、ピーナッツ、ポピーシード、カボチャ
種子、菜種、米ぬか、ローズマリー、ベニバナ、サンダルウッド、サスカナ(sasqu
ana)、セイボリー、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、大豆、ヒマ
ワリ、ティーツリー、シスル、ツバキ、ベチバー、クルミ、及び小麦胚芽の油が含まれる
。例示的な合成油には、これらに限定されないが、ブチルステアレート、カプリル酸トリ
グリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、ジエチルセバケート、ジメチ
コン360、イソプロピルミリステート、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコ
ール、シリコーンオイル、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0056】
加えて、組成物は、ポリマーをさらに含んでよい。本明細書で検討される例示的なポリ
マーには、これらに限定されないが、セルロース系ポリマー及びコポリマー、例えばメチ
ルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセ
ルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルヒドロ
キシエチルセルロース(MHEC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)
、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びその種々の塩(例えば、ナトリウム塩を含
む)、ヒドロキシエチルカルボキシメチルセルロース(HECMC)及びその種々の塩、
カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)及びその種々の塩などのセ
ルロースエーテル、他の多糖類及び多糖類誘導体(デンプン、デキストラン、デキストラ
ン誘導体、キトサン、ならびにアルギン酸及びその種々の塩など)、カラギーナン、種々
のガム(キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、カラヤガム、ガティガム、コンニ
ャク、及びトラガカントガムを含む)、グリコサミノグリカン及びプロテオグリカン(ヒ
アルロン酸及びその塩など)、タンパク質(ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、及びフ
ィブリン)、他のポリマー(例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-
コ-グリコリド)及びポリ(ε-カプロラクトン-コ-グリコリド)などのポリヒドロキ
シ酸)、カルボキシビニルポリマー及びこれらの塩(例えばカルボマー)、ポリビニルピ
ロリドン(PVP)、ポリアクリル酸及びその塩、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸
/アクリルアミドコポリマー、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシド、ポリプ
ロピレンオキシド、ポリ(エチレンオキシド-プロピレンオキシド)、及びプルロニック
ポリマー、ポリオキシエチレン(ポリエチレングリコール)、ポリ無水物、ポリビニルア
ルコール、ポリエチレンアミン及びポリピリジン、PEG化脂質(例えば、PEG-ステ
アレート、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N
-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000]、1,2-ジステアロイル-sn
-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)
-2000]、及び1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールア
ミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-5000])などのポリエチレング
リコール(PEG)ポリマー、これらのコポリマー及び塩が含まれる。
【0057】
加えて、組成物は、乳化剤をさらに含んでよい。例示的な乳化剤には、これらに限定さ
れないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリビニル
アルコール、ポリ-N-ビニルピロリドン及びそれらのコポリマー、ポロキサマー非イオ
ン性界面活性剤、中性水溶性多糖類(例えば、デキストラン、Ficoll、セルロース
)、非カチオン性ポリ(メタ)アクリレート、非カチオン性ポリアクリレート、例えばポ
リ(メタ)アクリル酸、ならびにこれらのエステルアミド及びヒドロキシアルキルアミド
、天然乳化剤(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカ
ント、コンドラックス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、
ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス、及びレシチン)、コロ
イド状粘土(例えば、ベントナイト[アルミニウムシリケート]及びVeegum[マグ
ネシウムアルミニウムシリケート])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例え
ば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、トリアセチンモノ
ステアレート、エチレングリコールジステアレート、グリセリルモノステアレート、及び
プロピレングリコールモノステアレート、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば
、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、及びカルボキシビニ
ルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース
ナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エ
ステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート[Tween 20]、
ポリオキシエチレンソルビタン[Tween 60]、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノオレエート[Tween 80]、ソルビタンモノパルミテート[Span 40]、
ソルビタンモノステアレート[Span 60]、ソルビタントリステアレート[Spa
n 65]、グリセリルモノオレエート、ソルビタンモノオレエート[Span 80]
)、ポリオキシエチレンエステル(例えば、ポリオキシエチレンモノステアレート[My
rj 45]、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリオキシ
メチレンステアレート、及びSolutol)、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレ
ングリコール脂肪酸エステル(例えば、Cremophor)、ポリオキシエチレンエー
テル、(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[Brij 30])、ポリ(ビ
ニル-ピロリドン)、ジエチレングリコールモノラウレート、トリエタノールアミンオレ
エート、ナトリウムオレエート、カリウムオレエート、エチルオレエート、オレイン酸、
エチルラウレート、ナトリウムラウリルスルフェート、プルロニックF68、ポロキサマ
ー188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドク
サートナトリウムなど、及び/またはこれらの組み合わせが含まれる。ある特定の実施形
態では、乳化剤は、コレステロールである。
【0058】
液体組成物には、エマルション剤、マイクロエマルション剤、液剤、懸濁剤、シロップ
剤、及びエリキシル剤が含まれる。活性化合物(例えば、血小板細胞にコンジュゲートし
た免疫療法剤)(血小板細胞にコンジュゲートした免疫療法剤)に加えて、液体組成物は
、当技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可
溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボ
ネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレング
リコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に綿実、落花生
、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマ、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフ
ルフリルアルコール、ポリエチレングリコール類及びソルビタンの脂肪酸エステル、なら
びにこれらの混合物などを含有してもよい。不活性希釈剤の他に、経口組成物には、湿潤
剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、香味剤及び芳香剤のような補助剤もまた含むことができ
る。
【0059】
注射用組成物、例えば、注射用水性または油性懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤及
び懸濁剤を使用して公知の技術にしたがって製剤化してもよい。無菌注射製剤はまた、非
毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の注射液、懸濁液、またはエマルション
、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液であり得る。使用され得る医薬組成物または
化粧品組成物のための許容可能な媒体及び溶媒は、水、リンゲル液、米国薬局方等張食塩
液である。加えて、無菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として従来から使用されて
いる。合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激の不揮発性油が使用可
能である。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が、注射剤の調製に使用される。ある特定の
実施形態では、粒子が、1%(w/v)のカルボキシメチルセルロースナトリウム及び0
.1%(v/v)のTween 80を含むキャリア流体中に懸濁される。注射用組成物
は、例えば、細菌保持フィルターを通して濾過することによって、または使用前に滅菌水
または他の無菌注射媒体に溶解もしくは分散させることができる滅菌固体組成物の形態で
滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、組成物または治療剤(例えば、本明細書に開示の組成物と組
み合わせて与えられる追加の治療剤)は、固形組成物で投与することができる。固体組成
物には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、及び顆粒剤が含まれる。そのような固体組成物
では、粒子は、少なくとも1つの賦形剤及び/またはa)デンプン、ラクトース、スクロ
ース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸などの充填剤または増量剤、b)例えばカ
ルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロ
ース、及びアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カル
シウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカスターチ、アルギン酸、ある特定のシリケー
ト、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)四級アン
モニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えばセチルアルコール及びグリセロールモノス
テアレートなどの湿潤剤、h)カオリン及びベントナイト粘土などの吸収剤、ならびにi
)タルク、カルシウムステアレート、マグネシウムステアレート、固体ポリエチレングリ
コール、ナトリウムラウリルスルフェート、及びこれらの混合物などの滑沢剤と共に混合
される。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、剤形はまた、緩衝剤を含んでもよい。ラクト
ースまたは乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、
類似の種類の固体組成物を、軟充填ゼラチンカプセル剤及び硬充填ゼラチンカプセル剤の
充填剤として用いてもよい。
【0061】
錠剤、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤は、腸溶性コーティング及び医薬品製剤分野におい
て周知の他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて調製することができる
。これらは任意に乳白剤を含んでもよく、これらが活性成分(複数可)のみを、優先的に
は腸管のある特定の部分に、任意には遅延した様式で放出する組成物のものであることが
できる。使用可能な包埋組成物の例には、高分子物質及びワックスが含まれる。
【0062】
ラクトースまたは乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使
用して、類似の種類の固体組成物を、軟充填ゼラチンカプセル剤及び硬充填ゼラチンカプ
セル剤の充填剤として用いてもよい。
【0063】
局所投与または経皮投与用の組成物には、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローショ
ン剤、ゲル剤、散剤、液剤、スプレー剤、吸入剤、またはパッチが含まれる。活性化合物
(例えば、血小板細胞にコンジュゲートした免疫療法剤)は、必要に応じて、賦形剤、及
び任意の必要な防腐剤または緩衝剤と混合される。
【0064】
軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、及びゲル剤は、活性化合物(例えば、血小板細胞に
コンジュゲートした免疫療法剤)に加えて、動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラ
フィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコ
ーン類、ベントナイト、ケイ酸、タルク、及び酸化亜鉛、またはこれらの混合物などの賦
形剤を含有してもよい。
【0065】
散剤及びスプレー剤は、活性化合物/組成物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、
水酸化アルミニウム、カルシウムシリケート、及びポリアミド粉末、またはこれらの物質
の混合物などの賦形剤を含有することができる。スプレー剤はさらに、クロロフルオロ炭
化水素のような慣用の噴射剤を含有することができる。
【0066】
経皮パッチは、身体への化合物の制御送達を提供するというさらなる利点を有する。こ
のような剤形は、適切な媒体にナノ粒子を溶解または分散させることによって作製するこ
とができる。吸収促進剤もまた、皮膚全体にわたって化合物の流動を高めるために使用す
ることができる。速度制御膜を設ける、またはポリマーマトリックスもしくはゲルに粒子
を分散させるかのいずれかによって、速度を制御することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、治療剤はナノ粒子にカプセル化することができる。一実施形
態では、
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
治療剤と、を含み、
治療剤が、ナノ粒子内にカプセル化される組成物が、本明細書で提供される。
【0068】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、化学的リンカー部分を介して共有結合する。い
くつかの実施形態では、化学的リンカー部分は任意であり、ナノ粒子は血小板細胞に共有
結合していない。
【0069】
ナノ粒子は、1以上のポリマーから作製することができる。いくつかの例では、ポリマ
ーには、ポリカルボン酸またはその塩、カルボン酸無水物(例えば、無水マレイン酸)と
他のモノマー(例えば、メチル(メタ)アクリレート、アクリル酸など)、親水性ビニル
ポリマー(ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PV
P)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(ビニルピロリドン-コ-ビニルアセテー
ト)など)、ポリメタクリレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエ
チレンヒマシ油、ポリカプロラクタム、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸-グリ
コール酸)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、セルロース誘導体(ヒドロ
キシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)が含まれる。一例では、ポ
リマーは50:50のPLGAコポリマーである。他の例では、ポリマーには、キトサン
、コラーゲン、アルギネート、ゼラチン、ヒアルロン酸、及びこれらの無毒の金属塩など
の天然ポリマーが含まれる。いくつかの実施形態では、ポリマーはハイドロゲル、例えば
アルギン酸ハイドロゲルである。親水性ポリマー及び他の媒体は、単独でまたは組み合わ
せて使用することができ、部分的結晶化、イオン結合、架橋などによって増強された構造
的完全性を媒体に付与することができる。
【0070】
薬物または治療剤を粒子にカプセル化する方法は、当技術分野において公知である。一
般的なカプセル化技術には、これらに限定されないが、噴霧乾燥、界面重合、ホットメル
トカプセル化、相分離カプセル化(自発的エマルションマイクロカプセル化、溶媒蒸発マ
イクロカプセル化、及び溶媒除去マイクロカプセル化)、コアセルベーション、低温マイ
クロスフェア形成、及び転相ナノカプセル化(PIN)が含まれる。これらの方法の概要
を以下に述べる。
【0071】
ある特定の実施形態では、本明細書で論じられている組成物に組み込まれるナノ粒子は
、多層ナノ粒子である。本明細書に開示される組成物において有用な多層ナノ粒子は、例
えば、「連続転相ナノカプセル化」(sPIN)を使用して調製することができる。
【0072】
1.噴霧乾燥
噴霧乾燥技術を使用して、マイクロスフェア/ナノスフェアを形成するための方法は、
Mathiowitzらの米国特許第6,620,617号に記載されている。この方法
では、ポリマーを塩化メチレンのような有機溶媒または水中に溶解する。粒子に組み込ま
れる既知量の1以上の活性剤を、ポリマー溶液中に懸濁する(不溶性活性剤の場合)か、
または共溶解する(可溶性活性剤の場合)。圧縮ガスの流れにより駆動するマイクロ化ノ
ズルを通じて溶液または分散液を注入し、得られたエアロゾルを加熱された空気のサイク
ロンに懸濁し、溶媒をマイクロ液滴から蒸発させて、粒子を形成する。この方法を使用し
て、0.1~10ミクロンの範囲のマイクロスフェア/ナノスフェアを得ることができる
。
【0073】
2.界面重合
界面重合もまた、1以上の活性剤をカプセル化するために使用することができる。この
方法を使用して、モノマー及び活性剤(複数可)を溶媒に溶解する。第2のモノマーを、
第1の溶媒と不混和性の第2の溶媒(典型的には水性)に溶解する。エマルションは、第
2の溶液中での撹拌により第1の溶液を懸濁することによって形成される。エマルション
が安定化したら、開始剤を水相に添加し、エマルションの各液滴の界面で界面重合を引き
起こす。
【0074】
3.ホットメルトマイクロカプセル化
マイクロスフェアは、Mathiowitz et al.,Reactive Po
lymers,6:275(1987)に記載されているホットメルトマイクロカプセル
化法を使用して、ポリエステル及びポリ無水物などのポリマーから形成することができる
。この方法では、3~75,000ダルトンの間の分子量を有するポリマーの使用が好ま
しい。この方法では、ポリマーは最初に溶融され、次に、50ミクロン未満に篩分けされ
た組み込まれる1以上の活性剤の固体粒子と混合される。混合物を(シリコンオイルのよ
うな)非混和性溶媒に懸濁し、そして連続的に撹拌しながら、ポリマーの融点より5℃高
く加熱する。エマルションが安定化したら、ポリマー粒子が固化するまで冷却する。得ら
れたマイクロスフェアを石油エーテルでデカントすることにより洗浄して、流動性のある
粉末を得る。
【0075】
4.相分離マイクロカプセル化
相分離マイクロカプセル化技術では、ポリマー溶液を、任意に、カプセル化する1以上
の活性剤の存在下で撹拌する。撹拌により材料を均一に懸濁し続けながら、ポリマーに対
する非溶媒を前記溶液へとゆっくり添加し、ポリマーの溶解度を低下させる。溶媒及び非
溶媒中のポリマーの溶解度に応じて、ポリマーは沈殿するか、またはポリマー濃厚相とポ
リマー希薄相とに分離する。適切な条件下で、ポリマー濃厚相中のポリマーは、連続相と
の界面に移動し、活性剤(複数可)を、外側ポリマーシェルを有する液滴中にカプセル化
する。
【0076】
in.自発的エマルションマイクロカプセル化
自発的乳化は、温度の変化、溶媒の蒸発、または化学架橋剤を添加することによって、
上で形成された乳化液体ポリマー液滴を固化させることを含む。カプセル化材料(enc
apsulant)の物理的及び化学的性質、ならびに発生しようとする粒子に任意に組
み込まれる1以上の活性剤の性質が、カプセル化の適切な方法を決定づける。疎水性、分
子量、化学的安定性、及び熱安定性などの要素がカプセル化に影響する。
【0077】
ii.溶媒蒸発マイクロカプセル化
溶媒蒸発技術を使用してマイクロスフェアを形成する方法は、E.Mathiowit
z et al.,J.Scanning Microscopy,4:329(199
0);L.R.Beck et al.,Fertil.Steril.,31:545
(1979)、L.R.Beck et al Am J Obstet Gyneco
l 135(3)(1979)、S.Benita et al.,J.Pharm.S
ci.,73:1721(1984)、及びMorishita et al.の米国特
許第3,960,757号に記載されている。ポリマーを塩化メチレンのような揮発性有
機溶媒に溶解する。組み込まれる1以上の活性剤を、任意に溶液に添加し、該混合物をポ
リ(ビニルアルコール)のような界面活性剤を含有する水溶液中に懸濁する。得られたエ
マルションを大部分の有機溶媒が蒸発するまで撹拌し、固体のマイクロスフェア/ナノス
フェアを残す。この方法は、ポリエステル及びポリスチレンのような比較的安定なポリマ
ーに有用である。しかしながら、ポリ無水物のような不安定なポリマーは、水が存在する
ために製造プロセス中に劣化するおそれがある。これらのポリマーについては、完全に無
水の有機溶媒中で実施される以下の方法のいくつかがより有用である。
【0078】
iii.溶媒除去マイクロカプセル化
溶媒除去マイクロカプセル化技術は、主にポリ無水物のために設計されており、例えば
、Brown University Research FoundationのWO
93/21906に記載されている。この方法では、塩化メチレンのような揮発性有機溶
媒中の選択したポリマーの溶液に、組み込まれる物質を分散または溶解する。この混合物
を、シリコンオイルのような有機油中に撹拌することによって懸濁し、エマルションを形
成する。この手順によって、1~300ミクロンの間の範囲のマイクロスフェアを得るこ
とができる。マイクロスフェアに組み込むことができる物質には、医薬品、殺虫剤、栄養
素、造影剤、及び金属化合物が含まれる。
【0079】
5.コアセルベーション
コアセルベーション技術を使用する種々の物質のカプセル化手順は、当技術分野、例え
ば、GB-B-929 406、GB-B-929 40 1、ならびに米国特許第3,
266,987号、第4,794,000号,及び第4,460,563号において公知
である。コアセルベーションは、高分子溶液を2つの不混和性液相に分離することを含む
。1つの相は、濃厚なコアセルベート相であり、これは高濃度のポリマーカプセル化材料
(及び任意には1以上の活性剤)を含有し、一方、第2の相は低濃度のポリマーを含有す
る。濃厚なコアセルベート相内では、ポリマーカプセル化材料は、ナノスケールまたはマ
イクロスケールの液滴を形成する。コアセルベーションは、温度変化、非溶媒の添加もし
くはマイクロ塩の添加(単純コアセルベーション)、または別のポリマーの添加によりイ
ンターポリマー複合体が形成され得ること(複合コアセルベーション)により誘発するこ
とができる。
【0080】
6.マイクロスフェアの低温キャスティング
制御放出マイクロスフェアの極低温キャスティングの方法が、Gombotzらの米国
特許第5,019,400号に記載されている。この方法では、ポリマーを、任意には1
以上の溶解または分散した活性剤と共に溶媒に溶解する。次いで、混合物を、ポリマー液
滴を凍結させるポリマー-物質溶液の凝固点未満の温度で、液体非溶媒を含有する容器に
噴霧する。該液滴、及び該ポリマーに対する非溶媒が温められると、液滴中の溶媒が解凍
され、非溶媒中に抽出され、その結果、マイクロスフェアが固化する。
【0081】
7.転相ナノカプセル化(PIN)
ナノ粒子はまた、転相ナノカプセル化(PIN)法を使用して形成することができる。
この方法では、ポリマーを「良」溶媒に溶解し、薬物のような組み込まれる物質の微粒子
をポリマー溶液に混合または溶解し、そして該混合物をポリマーに対する強力な非溶媒へ
と注ぎ入れると、ポリマーマイクロスフェアを好ましい条件下で自発的に生成し、該ポリ
マーは、粒子で被覆されるか、または粒子がポリマー中に分散される。例えば、Math
iowitzらの米国特許第6,143,211号を参照のこと。この方法は、例えば、
約100ナノメートル~約10ミクロンを含む広範囲のサイズのナノ粒子及びマイクロ粒
子の単分散集団を製造するために使用することができる。
【0082】
有利には、エマルションを沈殿前に形成する必要はない。このプロセスは、熱可塑性ポ
リマーからマイクロスフェアを形成するために使用することができる。
【0083】
8.逐次転相ナノカプセル化(sPIN)
多層ナノ粒子はまた、本明細書で「連続転相ナノカプセル化」(sPIN)と呼ばれる
プロセスによって形成することもできる。sPINは、単分散のナノ粒子集団を形成する
のに特に適しており、単分散のナノ粒子集団を実現するための追加の分離ステップを必要
としない。
【0084】
sPINでは、コアポリマーが、第1の溶媒に溶解される。活性剤は、コアポリマー溶
媒に溶解または分散される。コアポリマー、コアポリマー溶媒、及びカプセル化される薬
剤は、連続相を有する混合物を形成し、該コアポリマー溶媒は連続相である。シェルポリ
マーは、コアポリマーに対して非溶媒であるシェルポリマー溶媒に溶解する。コアポリマ
ー及びシェルポリマーの溶液を共に混合する。その結果、シェルポリマー溶媒の存在によ
りコアポリマーの曇点での溶解度が低下し、これによりコアポリマーが優先的に相分離し
、任意には薬剤がカプセル化する。コアポリマー及びシェルポリマーに対する非溶媒が、
この不安定な混合物に添加されると、転相が完了した際にシェルポリマーがコアポリマー
を包み込み、二層ナノ粒子が形成される。
【0085】
sPINは、二層ナノ粒子などの多層粒子の調製のための1ステップ手順を提供し、こ
れは、ほぼ瞬間的であり、溶媒の乳化を必要としない。多層粒子を形成するための方法は
、Choらの米国特許出願公開第2012-0009267号に開示されている。この開
示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
粒子は、デンドリマー粒子であり得る。デンドリマーは、シェルまたは分岐分子の層を
中心コアに連続的に付加することによって成長する三次元ポリマーである。デンドリマー
は、制御可能な構造、分散した分子量ではなく単一の分子量、及び多数の制御可能な表面
官能基、及び特定のサイズに達すると球状構造を採用する傾向を有するため、直鎖状ポリ
マーに優る幾つかの利点を有する。デンドリマーは、高度分岐モノマーを共に反応させて
単分散、樹木状及び/または世代構造のポリマー構造を作製することによって調製される
。個々のデンドリマーは、各官能部位に結合した樹状楔状部を有する中心コア分子からな
る。デンドリマー表面層は、調製中に使用されるアセンブリモノマーに応じて、デンドリ
マー表面層上に配置された種々の官能基を有することができる。一般に、デンドリマー官
能基は、個々のデンドリマー型の特性を決定づける。これらの設計の結果として、デンド
リマーコアは広い空間をとり、そしてコア、シェル、及び特に表面層の化学的性質を改変
することによって、これらの物理的性質が微調整され得る。調整可能な性質には、溶解度
、毒性、免疫原性、及び生体結合能が含まれる。
【0087】
ポリアミドアミン、ポリプロピレンイミン、ポリアリールエーテル及びポリエチレンイ
ミンは、バイオ医薬品用途について研究されているデンドリマーの例である。ポリアミド
アミンデンドリマーは、エチレンジアミンコア及びアミドアミン繰り返し分岐構造をベー
スとしている。これらは、種々の明確に定義された分子量で合成することができる。これ
らのサイズ及び表面官能基(一級アミン)は、モノマー単位の制御された繰り返し付加の
数によって定義され、異なる半世代またはフル世代を生じさせる。これらは水溶性であり
、唯一の種類の単分散したデンドリマーであると報告されている。さらに、これらは分子
表面に限定される高い電荷密度を示す。
【0088】
デンドリマーは、デンドリマー内の空洞に薬物を捕捉することによって、または薬物分
子を表面に共有結合させることによって、治療用化合物の担体として使用されてきた。こ
れは、Svenson,S.,Eur J Pharm Biopharm(2009)
71:445-462及びCheng,Y.,J.Pharm.Sci.(2007)
97:123-143にて概説されている。デンドリマー空洞内の捕捉は小分子に限定
され、そして共有結合アプローチは、これまで小薬物がデンドリマー表面から加水分解的
または酵素的に切断される系に限定されている。
【0089】
方法
一態様では、
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
治療剤と、
を含む治療上有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含み、
治療剤が、化学的リンカー部分を介して血小板細胞に共有結合している、がんの転移ま
たは再発を予防する方法が、本明細書にて開示される。
【0090】
一実施形態では、治療剤は、免疫療法剤である。一実施形態では、免疫療法剤は、抗P
DL1抗体、抗PD1抗体、抗CTLA4抗体、抗CD47抗体、またはこれらの組み合
わせから選択される。一実施形態では、免疫療法剤は、抗PDL1抗体である。
【0091】
一実施形態では、化学的リンカー部分は、マレイミドリンカー、PEGリンカー、PA
S化、及びHES化から選択される。一実施形態では、化学的リンカー部分は、マレイミ
ドリンカーである。
【0092】
一実施形態では、血小板細胞は、ヒト血小板細胞である。一実施形態では、血小板細胞
は、自己由来の血小板細胞である。
【0093】
一実施形態では、がんは、固形腫瘍である。一実施形態では、がんは、黒色腫である。
一実施形態では、がんは、乳癌である。一実施形態では、組成物は、追加の治療剤と組み
合わせて投与される。一実施形態では、追加の治療剤は、抗腫瘍剤である。
【0094】
一態様では、
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
治療剤と、
を含む治療上有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含み、
治療剤が、化学的リンカー部分を介して血小板細胞に共有結合している、がんを治療ま
たは予防する方法が、本明細書にて開示される。
【0095】
さらなる態様では、
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
治療剤と、
を含む組成物を対象に投与することを含み、治療剤が、化学的リンカー部分を介して血
小板細胞に共有結合しており、
組成物が、血小板細胞の活性化を介して創傷または外科的切除部位を標的とする、治療
剤の標的化送達のための方法方法が、本明細書にて開示される。
【0096】
一実施形態では、該方法は、血小板細胞の活性化時に、創傷または切除部位で血小板由
来マイクロ粒子中でさらに放出される治療剤を提供する。
【0097】
一実施形態では、治療剤は、免疫療法剤である。一実施形態では、免疫療法剤は、抗P
DL1抗体、抗PD1抗体、抗CTLA4抗体、抗CD47抗体、またはこれらの組み合
わせから選択される。一実施形態では、免疫療法剤は、抗PDL1抗体である。
【0098】
一実施形態では、化学的リンカー部分は、マレイミドリンカー、PEGリンカー、PA
S化、及びHES化から選択される。一実施形態では、化学的リンカー部分は、マレイミ
ドリンカーである。
【0099】
一実施形態では、血小板細胞は、ヒト血小板細胞である。一実施形態では、血小板細胞
は、自己由来の血小板細胞である。
【0100】
がん及び固形腫瘍
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の血小板組成物及び方法は、がんの転移また
は再発を治療または予防するのに有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載
の血小板組成物及び方法は、切除された固形腫瘍の再発の予防に有用である。いくつかの
実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、切除された固形腫瘍の転移の予防に
有用である。別の実施形態では、予防されるがんの再発は、黒色腫である。別の実施形態
では、予防されるがんの再発は、乳癌である。さらなる実施形態では、予防されるがんの
再発は、前立腺癌である。
【0101】
一態様では、本明細書に記載の方法は、固形腫瘍の再発または転移を予防するために使
用され、例えば、固形腫瘍は、とりわけ、黒色腫、肺癌(肺腺癌、基底細胞癌、扁平上皮
癌、大細胞癌、細気管支肺胞癌、気管支原性癌、非小細胞癌、小細胞癌、中皮腫を含む)
;乳癌(乳管癌、小葉癌、炎症性乳癌、明細胞癌、粘液癌、漿膜腔乳癌を含む);大腸癌
(結腸癌、直腸癌、大腸腺癌);肛門癌;膵臓癌(膵臓腺癌、膵島細胞癌、神経内分泌腫
瘍を含む);前立腺癌;前立腺腺癌;卵巣癌(漿液性腫瘍、類内膜腫瘍及び粘液性嚢胞腺
癌を含む卵巣上皮癌または表層上皮性・間質性腫瘍、性索間質性腫瘍);肝臓及び胆管癌
(肝細胞癌、胆管癌、血管腫を含む);食道癌(食道腺癌及び扁平上皮癌を含む);口腔
及び中咽頭扁平上皮癌;唾液腺腺様嚢胞癌;膀胱癌;膀胱癌腫;子宮の癌(子宮内膜腺癌
、眼性、子宮体部漿液性腺癌、子宮明細胞癌、子宮肉腫、平滑筋肉腫、ミュラー管混合腫
瘍を含む);神経膠腫、膠芽腫、髄芽腫、及び脳の他の腫瘍;腎臓癌(腎細胞癌、明細胞
癌、ウィルムス腫瘍を含む);頭頸部の癌(扁平上皮癌を含む);胃の癌(胃癌、胃腺癌
、消化管間質腫瘍);精巣癌;胚細胞腫瘍;神経内分泌腫瘍;子宮頸癌;消化管、乳房、
及び他の器官のカルチノイド;印環細胞癌;肉腫、線維肉腫、血管腫、血管腫症、血管周
皮腫、偽血管腫様間質過形成、筋線維芽細胞腫、線維腫症、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、
脂肪腫、血管脂肪腫、顆粒細胞腫、神経線維腫、神経鞘腫、血管肉腫、脂肪肉腫、横紋筋
肉腫、骨肉腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、皮膚、黒色腫を含む、頸部、網膜芽細胞腫、頭頸
部癌、膵臓、脳、甲状腺、精巣、腎臓、膀胱、軟部組織、副腎、尿道、陰茎癌、粘膜肉腫
、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、悪性線維性組織球腫、リンパ管肉腫、中皮腫、扁平上皮癌
を含む間葉系腫瘍;類表皮癌、悪性皮膚付属器腫瘍、腺癌、肝癌、肝細胞癌、腎細胞癌、
腎腺癌(hypernephroma)、胆管癌、移行上皮癌、絨毛癌、精上皮腫、胚細
胞癌、退形成性神経膠腫;多形膠芽腫、神経芽腫、髄芽腫、悪性髄膜腫、悪性神経鞘腫、
神経線維肉腫、副甲状腺癌、甲状腺髄様癌、気管支カルチノイド、褐色細胞腫、膵島細胞
癌、悪性カルチノイド、悪性傍神経節腫、黒色腫、メルケル細胞新生物、葉状嚢胞肉腫、
唾液癌(salivary cancers)、胸腺癌、ならびに膣癌である。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の血小板組成物及び方法は、がんの治療また
は予防に有用である。いくつかの場合では、がんは循環がん細胞(循環腫瘍細胞)である
。いくつかの場合では、がんは転移がん細胞である。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の血小板組成物は、in vivoで循環腫
瘍細胞(CTC)を除去または減少させることができる。いくつかの実施形態では、本明
細書に記載の血小板組成物は、腫瘍の転移を著しく抑制することができる。いくつかの実
施形態では、本明細書に記載の血小板組成物は、がんの再発を著しく抑制することができ
る(例えば、固形腫瘍切除後に)。
【0104】
血小板
血小板は、巨核球から放出される無核細胞断片であり、止血におけるそれらの機能につ
いて最もよく知られている。循環血小板の平均寿命は8~9日であり、これは静脈内注射
された治療薬の薬物動態を大きく改善し得る。さらに、輸血された血小板は、残存腫瘍が
手術後に残る可能性がある外科的創傷部位へと遊走し得る。他方では、血小板が、原発腫
瘍から血管系に流れ込み、そして転移をもたらした循環腫瘍細胞(CTC)を認識及び相
互作用する能力を有するという証拠が示されている。これらの固有の創傷及びCTC向性
特性に加えて、血小板はまた、多くの炎症状態を惹起及び改善する免疫「細胞」と考える
ことができる。
【0105】
いくつかの場合では、血小板組成物は自己由来、すなわち対象から得られた血小板から
産生される。いくつかの場合では、血小板組成物は異種由来、すなわち処置される対象以
外の供給源から得られた血小板から産生される。
【0106】
いくつかの実施形態では、全血小板細胞を、治療剤にコンジュゲートすることができる
。いくつかの実施形態では、治療剤を血小板由来のマイクロ粒子で送達することができる
。血小板由来マイクロ粒子(PMPS)は、血小板活性化時に原形質膜から誘導され、活
性化血小板は、接着分子及びケモカインを運ぶPMPを放出し、PMP沈着部位での単球
捕捉を促進する。これらのPMPは、血小板の活性化(例えばトロンビンによる)後に、
血小板から放出される。
【0107】
治療剤
一実施形態では、リンカーを介して血小板にコンジュゲートする治療剤は、ペプチド、
ポリペプチド、タンパク質、抗体、抗体断片、核酸または治療薬物(例えば、小分子)か
らなる群から選択することができる。
【0108】
一実施形態では、治療剤は、免疫療法剤である。一実施形態では、治療剤は、抗体また
は抗体断片である。いくつかの実施形態では、治療剤は、抗腫瘍剤である。いくつかの実
施形態では、血小板組成物は、血管疾患を処置するための治療剤の送達をターゲットとす
ることができる。
【0109】
免疫療法剤
一実施形態では、免疫療法剤は、抗PDL1抗体、抗PD1抗体、抗CTLA4抗体、
抗CD47抗体、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0110】
一実施形態では、免疫療法剤は、抗PDL1抗体である。一実施形態では、抗PDL1
抗体は、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、またはアベルマブから選択される。一実施形
態では、抗PDL1抗体は、アテゾリズマブ(MPDL3280A)(Roche)であ
る。一実施形態では、抗PDL1抗体は、デュルバルマブ(MEDI4736)である。
一実施形態では、抗PDL1抗体は、アベルマブ(MS0010718C)である。
【0111】
一実施形態では、免疫療法剤は、プログラム死タンパク質1(PD-1)阻害剤または
プログラム死タンパク質リガンド1または2阻害剤である。PD-1阻害剤は、当技術分
野において公知であり、例えば、ニボルマブ(BMS)、ペンブロリズマブ(Merck
)、ピジリズマブ(CureTech/Teva)、AMP-244(Amplimmu
ne/GSK)、BMS-936559(BMS)、及びMEDI4736(Roche
/Genentech)が含まれる。
【0112】
一実施形態では、免疫療法剤は、抗PD1抗体である。一実施形態では、抗PD1抗体
は、ニボルマブである。一実施形態では、抗PD1抗体は、ペンブロリズマブである。
【0113】
一実施形態では、免疫療法剤は、抗CTLA4抗体である。一実施形態では、抗CTL
A4抗体は、イピリムマブである。
【0114】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、追加の治療剤と組み合わせて投与される。い
くつかの実施形態では、免疫療法剤は、抗腫瘍剤と組み合わせて投与される。
【0115】
抗腫瘍剤
いくつかの実施形態では、治療剤は、抗腫瘍剤である。例えば、抗腫瘍剤は、アビラテ
ロンアセテート、Abitrexate(メトトレキサート)、Abraxane(パク
リタキセル・アルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ABVD、ABVE、ABVE-PC、
AC、AC-T、Adcetris(ブレンツキシマブベドチン)、ADE、アドトラス
ツズマブエムタンシン、Adriamycin(ドキソルビシン塩酸塩)、Adruci
l(フルオロウラシル)、アファチニブジマレエート、Afinitor(エベロリムス
)、Akynzeo(ネツピタント・パロノセトロン塩酸塩)、Aldara(イミキモ
ド)、アルデスロイキン、アレムツズマブ、Alimta(ペメトレキセド二ナトリウム
)、Aloxi(パロノセトロン塩酸塩)、Ambochlorin(クロラムブシル)
、Amboclorin(クロラムブシル)、アミノレブリン酸、アナストロゾール、ア
プレピタント、Aredia(パミドロン酸二ナトリウム)、Arimidex(アナス
トロゾール)、Aromasin(エキセメスタン)、Arranon(ネララビン)、
三酸化ヒ素、Arzerra(オファツムマブ)、アスパラギナーゼエルウィニアクリサ
ンチミー、Avastin(ベバシズマブ)、アキシチニブ、アザシチジン、BEACO
PP、Becenum(カルムスチン)、Beleodaq(ベリノスタット)、ベリノ
スタット、ベンダムスチン塩酸塩、BEP、ベバシズマブ、ベキサロテン、Bexxar
(トシツモマブ・ヨウ素 I 131 トシツモマブ)、ビカルタミド、BiCNU(カ
ルムスチン),ブレオマイシン、ブリナツモマブ、Blincyto(ブリナツモマブ)
、ボルテゾミブ、Bosulif(ボスチニブ)、ボスチニブ、ブレンツキシマブベドチ
ン、ブスルファン、Busulfex(ブスルファン)、カバジタキセル、カボザンチニ
ブ―S―マレート、CAF、Campath(アレムツズマブ)、Camptosar(
イリノテカン塩酸塩)、カペシタビン、CAPOX、カルボプラチン、カルボプラチン-
TAXOL、カルフィルゾミブ、Carmubris(カルムスチン)、カルムスチン、
カルムスチン・インプラント、Casodex(ビカルタミド)、CeeNU(ロムスチ
ン)、セリチニブ、Cerubidine(ダウノルビシン塩酸塩)、Cervarix
(組換えHPV2価ワクチン)、セツキシマブ、クロラムブシル、クロラムブシル-プレ
ドニゾン、CHOP、シスプラチン、Clafen(シクロホスファミド)、クロファラ
ビン、Clofarex(クロファラビン)、Clolar(クロファラビン)、CMF
、Cometriq(カボザンチニブ-S―マレート)、COPP、COPP-ABV、
Cosmegen(ダクチノマイシン)、クリゾチニブ、CVP、シクロホスファミド、
Cyfos(イホスファミド)、Cyramza(ラムシルマブ)、シタラビン、シタラ
ビン、リポソーマル、Cytosar-U(シタラビン)、Cytoxan(シクロホス
ファミド)、ダブラフェニブ、ダカルバジン、Dacogen(デシタビン)、ダクチノ
マイシン、ダサチニブ、ダウノルビシン塩酸塩、デシタビン、デガレリクス、デニロイキ
ンディフティトックス、デノスマブ、DepoCyt(リポソーマルシタラビン)、De
poFoam(リポソーマルシタラビン)、デキスラゾキサン塩酸塩、ジヌツキシマブ、
ドセタキセル、Doxil(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、ドキソルビシン塩酸塩
、ドキソルビシン塩酸塩リポソーム、Dox-SL(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)
、DTIC-Dome(ダカルバジン)、Efudex(フルオロウラシル)、Elit
ek(ラスブリカーゼ)、Ellence(エピルビシン塩酸塩)、Eloxatin(
オキサリプラチン)、エルトロンボパグオラミン、Emend(アプレピタント)、エン
ザルタミド、エピルビシン塩酸塩、EPOCH、Erbitux(セツキシマブ)、エリ
ブリンメシレート、Erivedge(ビスモデギブ)、エルロチニブ塩酸塩、Erwi
naze(アスパラギナーゼエルウィニアクリサンチミー)、Etopophos(エト
ポシドホスフェート)、エトポシド、エトポシドホスフェート、Evacet(ドキソル
ビシン塩酸塩リポソーム)、エベロリムス、Evista(ラロキシフェン塩酸塩)、エ
キセメスタン、Fareston(トレミフェン)、Farydak(パノビノスタット
)、Faslodex(フルベストラント)、FEC、Femara(レトロゾール)、
フィルグラスチム、Fludara(フルダラビンホスフェート)、フルダラビンホスフ
ェート、Fluoroplex(フルオロウラシル)、フルオロウラシル、Folex(
メトトレキサート)、Folex PFS(メトトレキサート)、FOLFIRI、FO
LFIRI-ベバシズマブ、FOLFIRI-セツキシマブ、FOLFIRINOX、F
OLFOX、Folotyn(プララトレキセート)、FU-LV、フルベストラント、
Gardasil(組換えHPV4価ワクチン)、Gardasil 9(組換えHPV
9価ワクチン)、Gazyva(オビヌツズマブ)、ゲフィチニブ、ゲムシタビン塩酸塩
、ゲムシタビン-シスプラチン、ゲムシタビン-オキサリプラチン、ゲムツズマブオゾガ
マイシン、Gemzar(ゲムシタビン塩酸塩)、Gilotrif(アファチニブジマ
レエート)、Gleevec(イマチニブメシレート)、Gliadel(カルムスチン
・インプラント)、Gliadel wafer(カルムスチン・インプラント)、グル
カルピダーゼ、ゴセレリンアセテート、Halaven(エリブリンメシレート)、He
rceptin(トラスツズマブ)、HPV2価ワクチン、組換え,HPV9価ワクチン
、組換え,HPV4価ワクチン、組換え,Hycamtin(トポテカン塩酸塩)、Hy
per-CVAD、Ibrance(パルボシクリブ)、イブリツモマブチウキセタン、
イブルチニブ、ICE、Iclusig(ポナチニブ塩酸塩)、Idamycin(イダ
ルビシン塩酸塩)、イダルビシン塩酸塩、イデラリシブ、Ifex(イホスファミド)、
イホスファミド、Ifosfamidum(イホスファミド)、イマチニブメシレート、
Imbruvica(イブルチニブ)、イミキモド、Inlyta(アキシチニブ)、イ
ンターフェロンアルファ-2b、組換え,Intron A(組換えインターフェロンア
ルファ-2b)、ヨウ素 I 131 トシツモマブ・トシツモマブ、イピリムマブ、I
ressa(ゲフィチニブ)、イリノテカン塩酸塩、Istodax(ロミデプシン)、
イクサベピロン、Ixempra(イクサベピロン)、Jakafi(ルキソリチニブホ
スフェート)、Jevtana(カバジタキセル)、Kadcyla(アドトラスツズマ
ブエムタンシン)、Keoxifene(ラロキシフェン塩酸塩)、Kepivance
(パリフェルミン)、Keytruda(ペンブロリズマブ)、Kyprolis(カル
フィルゾミブ)、ランレオチドアセテート、ラパチニブジトシレート、レナリドミド、レ
ンバチニブメシレート、Lenvima(レンバチニブメシレート)、レトロゾール、ロ
イコボリンカルシウム、Leukeran(クロラムブシル)、ロイプロリドアセテート
、Levulan(アミノレブリン酸)、Linfolizin(クロラムブシル)、L
ipoDox(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、リポソーマルシタラビン、ロムスチ
ン、Lupron(ロイプロリドアセテート)、Lupron Depot(ロイプロリ
ドアセテート)、Lupron Depot-Ped(ロイプロリドアセテート)、Lu
pron Depot-3 Month(ロイプロリドアセテート)、Lupron D
epot-4 Month(ロイプロリドアセテート)、Lynparza(オラパリブ
)、Marqibo(ビンクリスチンスルフェートリポソーム)、Matulane(プ
ロカルバジン塩酸塩)、メクロレタミン塩酸塩、Megace(メゲストロールアセテー
ト)、メゲストロールアセテート、Mekinist(トラメチニブ)、メルカプトプリ
ン、メスナ、Mesnex(メスナ)、Methazolastone(テモゾロミド)
、メトトレキサート、Methotrexate LPF(メトトレキサート)、Mex
ate(メトトレキサート)、Mexate-AQ(メトトレキサート)、マイトマイシ
ンC、ミトキサントロン塩酸塩、Mitozytrex(マイトマイシンC)、MOPP
、Mozobil(プレリキサホル)、Mustargen(メクロレタミン塩酸塩)、
Mutamycin(マイトマイシンC)、Myleran(ブスルファン)、Mylo
sar(アザシチジン)、Mylotarg(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Nano
particle Paclitaxel(パクリタキセル・アルブミン安定化ナノ粒子
製剤)、Navelbine(ビノレルビンタルタレート)、ネララビン、Neosar
(シクロホスファミド)、ネツピタント・パロノセトロン塩酸塩、Neupogen(フ
ィルグラスチム)、Nexavar(ソラフェニブトシレート)、ニロチニブ、ニボルマ
ブ、Nolvadex(タモキシフェンシトレート)、Nplate(ロミプロスチム)
、オビヌツズマブ、Odomzo(ソニデジブ)、OEPA、オファツムマブ、OFF、
オラパリブ、オマセタキシンメペスクシナート、Oncaspar(ペグアスパラガーゼ
)、オンダンセトロン塩酸塩、Ontak(デニロイキン・ディフティトックス)、Op
divo(ニボルマブ)、OPPA、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセ
ル・アルブミン安定化ナノ粒子製剤、PAD、パルボシクリブ、パリフェルミン、パロノ
セトロン塩酸塩、パロノセトロン塩酸塩・ネツピタント、パミドロン酸二ナトリウム、パ
ニツムマブ、パノビノスタット、Paraplat(カルボプラチン)、Parapla
tin(カルボプラチン)、パゾパニブ塩酸塩、ペグアスパラガーゼ、ペグインターフェ
ロンアルファ-2b、PEG-Intron(ペグインターフェロンアルファ-2b)、
ペンブロリズマブ、ペメトレキセド二ナトリウム、Perjeta(ペルツズマブ)、ペ
ルツズマブ、Platinol(シスプラチン)、Platinol-AQ(シスプラチ
ン)、プレリキサホル、ポマリドミド、Pomalyst(ポマリドミド)、ポナチニブ
塩酸塩、プララトレキセート、プレドニゾン、プロカルバジン塩酸塩、Proleuki
n(アルデスロイキン)、Prolia(デノスマブ)、Promacta(エルトロン
ボパグオラミン)、Provenge(シプロイセル-T)、Purinethol(メ
ルカプトプリン)、Purixan(メルカプトプリン)、塩化ラジウム223、ラロキ
シフェン塩酸塩、ラムシルマブ、ラスブリカーゼ、R-CHOP、R-CVP、組換えヒ
トパピローマウイルス(HPV)2価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV
)9価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)4価ワクチン、組換えインタ
ーフェロンアルファ-2b、レゴラフェニブ、R-EPOCH、Revlimid(レナ
リドミド)、Rheumatrex(メトトレキサート)、Rituxan(リツキシマ
ブ)、リツキシマブ、ロミデプシン、ロミプロスチム、Rubidomycin(ダウノ
ルビジン塩酸塩)、ルキソリチニブホスフェート、Sclerosol Intrapl
eural Aerosol(タルク)、シルツキシマブ、シプロイセル-T、Soma
tuline Depot(ランレオチドアセテート)、ソニデジブ、ソラフェニブトシ
レート、Sprycel(ダサチニブ)、STANFORD V、Sterile Ta
lc Powder(タルク)、Steritalc(タルク)、Stivarga(レ
ゴラフェニブ)、スニチニブマレート、Sutent(スニチニブマレート)、Syla
tron(ペグインターフェロンアルファ-2b)、Sylvant(シルツキシマブ)
、Synovir(サリドマイド)、Synribo(オマセタキシンメペスクシナート
)
、TAC、Tafinlar(ダブラフェニブ)、タルク、タモキシフェンシトレート、
Tarabine PFS(シタラビン)、Tarceva(エルロチニブ塩酸塩)、T
argretin(ベキサロテン)、Tasigna(ニロチニブ)、Taxol(パク
リタキセル)、Taxotere(ドセタキセル)、Temodar(テモゾロミド)、
テモゾロミド、テムシロリムス、サリドマイド、Thalomid(サリドマイド)、チ
オテパ、Toposar(エトポシド)、トポテカン塩酸塩、トレミフェン、Toris
el(テムシロリムス)、トシツモマブ・ヨウ素 I 131 トシツモマブ、Tote
ct(デクスラゾキサン塩酸塩)、TPF、トラメチニブ、トラスツズマブ、Trean
da(ベンダムスチン塩酸塩)、Trisenox(三酸化二ヒ素)、Tykerb(ラ
パチニブジトシレート)、Unituxin(ジヌツキシマブ)、バンデタニブ、VAM
P、Vectibix(パニツムマブ)、VeIP、Velban(ビンブラスチンスル
フェート)、Velcade(ボルテゾミブ)、Velsar(ビンブラスチンスルフェ
ート)、ベムラフェニブ、VePesid(エトポシド)、Viadur(ロイプロリド
アセテート)、Vidaza(アザシチジン)、ビンブラスチンスルフェート、Vinc
asar PFS(ビンクリスチンスルフェート)、ビンクリスチンスルフェート、ビン
クリスチンスルフェートリポソーム、ビノレルビンタルタレート、VIP、ビスモデギブ
、Voraxaze(グルカルピダーゼ)、ボリノスタット、Votrient(パゾパ
ニブ塩酸塩)、Wellcovorin(ロイコボリンカルシウム)、Xalkori(
クリゾチニブ)、Xeloda(カペシタビン)、XELIRI、XELOX、Xgev
a(デノスマブ)、Xofigo(塩化ラジウム223)、Xtandi(エンザルタミ
ド)、Yervoy(イピリムマブ)、Zaltrap(Ziv-アフリベルセプト)、
Zelboraf(ベムラフェニブ)、Zevalin(イブリツモマブチウキセタン)
、Zinecard(デクスラゾキサン塩酸塩)、Ziv-アフリベルセプト、Zofr
an(オンダンセトロン塩酸塩)、Zoladex(ゴセレリンアセテート)、ゾレドロ
ン酸、Zolinza(ボリノスタット)、Zometa(ゾレドロン酸)、Zydel
ig(イデラリシブ)、Zykadia(セリチニブ)、及びZytiga(アビラテロ
ンアセテート)からなる群から選択することができる。
【0116】
血管疾患の処置方法
血小板はまた、損傷した血管を封止し、出血を止める栓を形成することによって、止血
及び血栓症などのいくつかの生理学的及び病理学的プロセスにおいて重要な役割を果たす
ため、このプラットフォームは、関連する血管疾患の処置のために使用することもできる
。
【0117】
本明細書に開示される血小板組成物を対象に投与することを含む、対象における血管疾
患の処置方法が、本明細書にて開示される。これらの実施形態では、血小板は、血管疾患
、例えば凝固障害または冠動脈再狭窄を処置するための薬物を送達する。例えば、薬物は
ヘパリンまたはドキソルビシンであり得る。
【0118】
一態様では、
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
治療剤と、
を含む治療上有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含み、
治療剤が、化学的リンカー部分を介して血小板細胞に共有結合している、、血管疾患を
治療または予防する方法が、本明細書に提供される。
【0119】
一実施形態では、化学的リンカー部分は、マレイミドリンカー、PEGリンカー、PA
S化、及びHES化から選択される。一実施形態では、化学的リンカー部分は、マレイミ
ドリンカーである。
【0120】
一実施形態では、血小板細胞は、ヒト血小板細胞である。一実施形態では、血小板細胞
は、自己由来の血小板細胞である。
【0121】
一実施形態では、血管疾患は、組織損傷、炎症、または心血管疾患である。一実施形態
では、組成物は、追加の治療剤と組み合わせて投与される。
【0122】
いくつかの実施形態では、血小板組成物は、血管疾患、例えば凝固障害または冠動脈再
狭窄を治療または予防するための治療剤の送達をターゲットとすることができる。
【0123】
例えば、いくつかの場合、治療剤は、Adcirca(タダラフィル)、Adempa
s(リオシグアト)、Agrylin(アナグレリド HCL)、Angiomax(ビ
バリルジン)、Atacand(カンデサルタンシレキセチル)、Atryn(再構成用
アンチトロンビン組換え凍結乾燥粉末)、Azor(アムロジピンベシレート;オルメサ
ルタンメドキソミル)、Baycol(セリバスタチンナトリウム)、BiDil(イソ
ソルビドジニトレート/ヒドララジン塩酸塩)、Brilinta(チカグレロル)、C
aduet(アムロジピン/アトルバスタチン)、カプトプリル、Cardizem(R
)(注射用ジルチアゼムHC1) Monvial(R)、CellCept、Clev
iprex(クレビジピン)、Corlanor(イバブラジン)、Corlopam、
Corvert Injection(イブチリドフマレート注射液)、Covera-
HS(ベラパミル)、Crestor(ロスバスタチンカルシウム)、ジルチアゼムHC
L、Diovan(バルサルタン)、ドキソルビシン、DynaCirc CR、Eda
rbi(アジルサルタンメドキソミル)、Edarbyclor(アジルサルタンメドキ
ソミル・クロルタリドン)、Efient(プラスグレル)、Eliquis(アピキサ
バン)、Entresto(サクビトリル・バルサルタン)、Epanova(オメガ-
3-カルボン酸)、フェノフィブラート、ヘパリン、Innohep(チンザパリンナト
リウム)注射液、Integrilin、Juxtapid(ロミタピド)、Kengr
eal(カングレロル)、Kynamro(ミポメルセンナトリウム)、Lescol(
フルバスタチンナトリウム)、Lescol(フルバスタチンナトリウム)カプセル、R
x、Letairis(アンブリセンタン)、Levitra(バルデナフィル)、Le
xxel(エナラプリルマレエート-フェロジピンER)、Lipitor(アトルバス
タチンカルシウム)、Liptruzet(エゼチミブ・アトルバスタチン)、Liva
lo(ピタバスタチン)、Mavik(トランドラプリル)、Micardis(テルミ
サルタン)、Micardis HCT(テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド)、M
icrozide(ヒドロクロロチアジド)、Multaq(ドロネダロン)、Natr
ecor(ネシリチド)、Niaspan、Normiflo、Nymalize(ニモ
ジピン)、Opsumit(マシテンタン)、ペントキシフィリン、Pindolol、
Plavix(クロピドグレルバイサルフェート)、Plavix(クロピドグレルバイ
サルフェート)、Posicor、Pradaxa(ダビガトランエテキシラートメシレ
ート)、Pravachol(プラバスタチンナトリウム)、Pravachol(プラ
バスタチンナトリウム)、Prestalia(ペリンドプリルアルギニン・アムロジピ
ンベシレート)、PrinivilまたはZestril(リシノプリル)、ProAm
atine(ミドドリン)、Ranexa(ラノラジン)、Remodulin(トレプ
ロスチニル)、ReoPro、REPRONEX(注射液用メノトロピン、USP)、R
etavase(レテプラーゼ)、Rythmol、Savaysa(エドキサバン)、
Soliris(エクリズマブ)、Teczem(エナラプリルマレエート/ジルチアゼ
ムマレート)、Tekamlo(アリスキレン+アムロジピン)、Tekturna(ア
リスキレン)、Teveten(エプロサルタンメシレート+ヒドロクロロチアジド)、
Teveten(エプロサルタンメシレート)、Tiazac(ジルチアゼム塩酸塩)、
Tiazac(ジルチアゼム塩酸塩)、Tiazac(ジルチアゼム塩酸塩)、Topr
ol-XL(メトプロロールサクシネート)、Tribenzor(オルメサルタンメド
キソミル+アムロジピン+ヒドロクロロチアジド)、Tricor(フェノフィブラート
)、Trilipix(フェノフィブリン酸)、Tyvaso(トレプロスチニル)、V
arithena(ポリドカノール注射泡剤)、Vascepa(イコサペントエチル)
、Visipaque(イオジキサノール)、Xarelto(リバーロキサバン)、X
arelto(リバーロキサバン)、Zocor、Zontivity(ボラパキサル)
からなる群から選択することができる。
【0124】
リンカー
共有結合アプローチを、化学的リンカーを介して血小板を修飾するために用いることが
できる。化学的リンカーを使用する利点の1つは、遺伝的変化の必要性が回避されること
である。このような二官能性化学的リンカーは、治療剤を血小板細胞に連結することがで
きる。二官能性リンカー基の例には、これらに限定されないが、糖、アミノ酸、アミノア
ルコール、カルボキシアルコール、アミノチオールなどのような部分が含まれる。
【0125】
いくつかの実施形態では、化学的リンカー部分は、マレイミドリンカー、PEGリンカ
ー、PAS化、及びHES化から選択される。一実施形態では、化学的リンカー部分は、
マレイミドリンカーである。
【実施例】
【0126】
以下の実施例は、開示された主題による組成物、方法、及び結果を例示するために以下に
記載される。これらの実施例は、本明細書に開示された主題の全態様を含むことを意図す
るものではなく、むしろ代表的な方法及び結果を例示することを意図している。これらの
実施例は、当業者に明らかである本発明の均等物及び変形形態を除外することは意図され
ない。
【0127】
実施例1.術後がん免疫療法のためのチェックポイント阻害剤による血小板のin s
itu活性化
手術は、ほとんどの固形腫瘍に対する処置の主な選択肢である。外科的技術の継続的な
改善にもかかわらず、腫瘍切除後の残存微小腫瘍及び/またはCTCは、依然として課題
である1-3。加えて、手術が、がん転移の促進を誘発し得ることもまた示唆されている
4,5。多くの患者は、術後に再発性疾患を発症し、これは重大な罹病率と死亡率につな
がるおそれがある。したがって、術後のがんの再発を防ぐための効果的な戦略構築に多大
な関心が寄せられている。それらの中で、がん免疫療法は、近年非常に注目を集めている
6。免疫療法剤は腫瘍を直接攻撃するのではなく、身体の免疫系を高めてがん細胞を殺す
7。免疫チェックポイント遮断は、患者のサブセットにおいて長続きする抗腫瘍反応及び
長期間の寛解を誘発した8-10。特に、チェックポイント阻害剤は、リンパ球上のプロ
グラム細胞死タンパク質1(PD1)ならびに抗原提示細胞(APC)及び腫瘍細胞上の
プログラム細胞死1リガンド1(PDL1)の相互作用を遮断し、様々な種類のがんの処
置において刺激的な結果を示した11-14。さらに、最初のPD-L1阻害剤であるア
テゾリズマブが、最近、米国食品医薬品局(FDA)から迅速承認を受けた15。著しい
進歩にもかかわらず、チェックポイント遮断療法の現在の方法は、多くの患者において治
療効果が制限される。臨床試験で観察された最大の制限は、自己免疫疾患などの副作用の
重篤度であり得る16-18。免疫チェックポイント遮断療法で治療した場合、グレード
3/4の有害事象が時々発生している15,19。その一方で、大多数の患者は、これら
の薬剤に反応しなかった8,10,15。抗PD療法の客観的奏効率には、依然として改
善が必要である。抗PD療法をどのように強化するかは、がん免疫学及び免疫療法の分野
における中心的テーマの1つとなっている6,11。
【0128】
抗PD療法の損なわれた処置有効性を説明し得る1つのメカニズムは、静脈内注入され
た際の正常組織に対するオフターゲット抗体である16,18,20,21。このような
状況では、今後のがん免疫療法は、免疫系の全身的活性化よりもむしろ腫瘍部位に特に注
目することが望ましい20。さらに、制限された有効性はまた、不十分な腫瘍リンパ球浸
潤及びT細胞炎症性腫瘍の微小環境(抗PD療法による臨床的効果に正に関連するPDL
1のより高度な発現を含む)に起因し得る22-25。
【0129】
細胞ベースシステムは、赤血球、バクテリアゴースト、ならびに遺伝子操作された幹細
胞及び免疫細胞を含む、生物学的薬物担体として最近登場した。26,27それらの中で
、血小板は、巨核球から放出される無核細胞断片であり、止血におけるそれらの機能につ
いて最もよく知られている28-31。循環血小板の平均寿命は8~9日であり27,3
2、これは静脈内注射された治療薬の薬物動態を大きく改善し得る。さらに、輸血された
血小板は、残存腫瘍が術後に残る可能性がある外科的創傷部位へと遊走し得る33。他方
では、血小板が、原発腫瘍から血管系に流れ込み、そして転移をもたらしたCTCを認識
及び相互作用する能力を有するという新たな証拠が示されている34-36。血小板を利
用して、aPDL1は、治療薬のオフターゲット効果を低減しながら、術後のがん細胞を
標的とすることができる。これらの固有の創傷及びCTC向性特性に加えて、血小板はま
た、多くの炎症状態を惹起及び改善する免疫「細胞」と考えられる37-39。血小板由
来ケモカインは、T細胞及び他の免疫細胞を動員して目覚めさせる。可溶性CD40L(
sCD40L)の主な供給源として、血小板は、T細胞免疫を高めることができ、樹状細
胞(DC)の成熟、及び免疫グロブリンGの産生のためのB細胞アイソタイプスイッチン
グを誘導するために必要である40。PDL1及びPDL2が炎症に応答して上方制御さ
れ、これによりPDL1陽性腫瘍がもたらされ、その腫瘍は抗PD療法に対してより感受
性が高く、潜在的にORRを改善することもまた報告されている41-42。
【0130】
この実施例では、術後の腫瘍の再発を防ぐために抗PDL1(aPDL1)を血小板の
表面に負荷した(
図1a)。驚くべきことに、本発明者らは、非活性化血小板へのaPD
L1の結合が非常に安定であると同時に、aPDL1の放出が血小板の活性化時に著しく
促進され得ることを見出した。したがって、aPDL1放出は、活性化血小板の原形質膜
から生成される血小板由来マイクロ粒子(PMP)に起因し得る
43。このような構造的
変化は、aPDL1がAPC及び腫瘍細胞に結合するのを促進することができる。原発腫
瘍の切除後、B16黒色腫及び4T1乳癌腫瘍保持マウスへのaPDL1コンジュゲート
血小板(P-aPD1)の静脈内注射により、aPDL1が残存微小腫瘍を有する手術床
及び血中のCTCに向かって輸送及び蓄積するのを、血小板が助けることができることが
示された。T細胞炎症性腫瘍微小環境はまた、腫瘍部位でのPDL1発現の増加と共に、
活性化時の血小板によっても生じた。その間、aPDL1は、免疫細胞及び腫瘍細胞上の
PDL1を遮断するために、血小板活性化後に放出され得る。これらの結果は、血小板が
、標的化放出及び制御放出様式で治療剤(例えば、aPDL1)を送達するための担体と
して機能することができ、術後のがんの再発を予防することができることを示す。
【0131】
aPDL1で装飾された操作された血小板
共有結合アプローチを用いて、二官能性マレイミドリンカーを介してaPDL1により
血小板を扱いやすいように修飾し、遺伝子改変の必要性を回避する
44。血小板へのaP
DL1の結合を、免疫蛍光法によって調べた(
図6)。加えて、マレイミド不含aPDL
1は、血小板に対してわずかな非特異的結合を示した(
図7)。酵素結合免疫吸着法(E
LISA)は、血小板が、血小板あたり最大約0.3pgまでaPDL1と容易に結合で
きることを示した(
図8a)。血小板あたり0.1pg及び0.2pgのaPDL1を結
合しても、これらの生存力に有意な影響を及ぼさないこともまた見出された(
図8b)。
このような共有結合は非常に安定であり、2日以内に有意な放出を示さなかった(
図8c
)。さらに、細胞接着及び遊走を調節する血小板のいくつかの表面タンパク質を調べた(
図9)。まとめると、aPDL1とのコンジュゲーションは、これらの血小板細胞に著し
い損傷を生じなかった。
【0132】
血小板の活性化は治療薬の放出を促進する
血小板の活性化は、接着が起こった後に生じる
45。血小板は、免疫機能を持つ多くの
分子を含む約60の顆粒を含有する
38。活性化すると、これらの顆粒は、それらの内包
物質を細胞外環境に放出する。これらの内容物の多くは免疫分子としての役割を果たす。
例えば、これらは他の免疫細胞を動員して活性化し、T細胞の遊走を誘導し、単球のDC
への分化を増加させることができる。加えて、PMPは、血小板活性化時に原形質膜から
誘導され
43、活性化血小板は、接着分子及びケモカインを運ぶPMPを放出し、PMP
沈着部位での単球捕捉を促進する
46。aPDL1修飾血小板(P-aPDL1)が刺激
時に活性化され得るかどうかを調査するために、トロンビンを使用してin vitro
でP-aPDL1を活性化した。活性化前後のP-aPDL1の透過型電子顕微鏡(TE
M)画像の観察から、大量の生成されたPMPが電子顕微鏡下で検出された(
図1b、図
10)。血小板の樹状かつ広がった形態変化もまた観察された。さらに興味深いことに、
活性化血小板からのaPDL1の顕著な放出が、ELISAアッセイによってモニターさ
れた(
図1c)。顕著なaPDL1放出は、血小板活性化時の原形質膜からの解離したP
MPに起因するとした。この仮説を試験するために、活性化P-aPDL1の免疫蛍光イ
メージングを実施した。血小板をカルセインで染色し、aPDL1を蛍光二次抗体で染色
した(
図11)。血小板の活性化後、aPDL1がPMP上に存在することが検出された
。
【0133】
注目すべきことに、いくつかの炎症誘発性サイトカインもまた、活性化時にaPDL1
と共に放出された(
図1d~e)。PMP生成による血小板からのaPDL1の放出をさ
らに調べるために、トランスウェル培養システムを導入した。aPDL1コンジュゲート
血小板をトランスウェル培養システムの上部区画で培養し、一方、B16がん細胞を下部
区画で増殖させた(
図12)。インサート膜の微小孔は1μmの直径を有し、PMPが膜
を自由に横切ることを可能にした。免疫染色の12時間前に、B16がん細胞を非活性化
血小板及び活性化血小板と同時インキュベートした。
図1f及び
図12に示されるように
、血小板が活性化されると、aPDL1は、がん細胞の膜に結合することが見出された。
非活性化血小板とインキュベートされたがん細胞に関しては、下部区画のがん細胞でほと
んどシグナルが検出されなかった。まとめると、当該データは、aPDL1が、活性化血
小板から放出され、がん細胞に結合し得ることを示す。
【0134】
再発腫瘍に対するin vivo P-aPDL1療法
血小板表面へのaPDL1の結合は、それらのin vivo挙動を変える可能性を有
する。したがって、全身投与後のP-aPDL1のin vivo薬物動態を健康なマウ
スで評価した。aPDL1、P-aPDL1、及び同時注射の非コンジュゲート血小板+
a-PDL1を、同等のaPDL1用量でマウスに静脈内注射した。血液からのaPDL
1のELISA分析は、遊離aPDL1(5.2時間)及び混合物(5.5時間)と比較
して、血小板に結合したaPDL1については非常に長期間の血液循環半減期(34.8
時間)が達成されたことを示した(
図2a)。臨床における治療用抗体と比較して比較的
短い血液循環時間は、ラット抗マウスIgGのより高い免疫原性及び非特異的結合に起因
する。手術により原発腫瘍を不完全に切除した後、それらの創傷向性能を試験した。aP
DL1をCy5.5によって標識し、次いで血小板にコンジュゲートした。ex viv
o蛍光イメージングのために主要な臓器を収集して、P-aPDL1または遊離aPDL
1の注射の2時間後にin vivo蛍光イメージングを実施した(
図13)。血小板に
コンジュゲートした場合、aPDL1は、残存腫瘍を有する外科的創傷付近に豊富に存在
していたが、遊離aPDL1の創傷部位では顕著な蛍光シグナルが検出されなかった(図
2b)。主要な臓器、及び残存微小腫瘍を有する創傷のex vivoイメージングによ
り、P-aPDL1の創傷向性能がさらに確認された(
図2c、
図13)。圧倒的なaP
DL1蛍光シグナルが、遊離aPDL1を注射したマウスの肝臓で検出されたのに対し、
P-aPDL1は、同じaPDL1用量で、遊離aPDL1を注射したマウスからのシグ
ナルよりも著しく低いaPDL1シグナルを肝臓で示した。このことは、P-aPDL1
の血液循環時間がより長いことを示す。その一方で、顕著な強いaPDL1シグナルが、
残存微小腫瘍を有する外科的創傷付近で検出されたのに対し、遊離aPDL1に関連する
試料では顕著な蛍光シグナルが検出されなかった。蛍光シグナルの定量化により、静脈内
注射の2時間後、P-aPDL1の創傷での蓄積が、遊離aPDL1のものと比較して、
9.4倍超効果的であることが示された(
図2d)。微小腫瘍切片の共焦点画像により、
血小板上にコンジュゲートされた場合に、aPDL1の腫瘍取り込みが顕著に増加するこ
とがさらに確認された(
図2e、
図14a)。さらに、血小板から放出されたaPDL1
は、蛍光イメージングによってin vivoで明らかに観察された(
図14b)。修飾
血小板の止血効果もまた調べた。輸血後のマウス尾部出血時間により、P-aPDL1処
置マウスは、未処置の血小板の輸血で処置したマウスと比較して、出血時間に統計学的に
有意な差がないことが示された(
図15)。
【0135】
in vivoで炎症誘発性環境を調査するために、手術部位におけるサイトカインレ
ベルを評価した。原発腫瘍を外科的に除去した後、マウスに血小板を静脈内注射した。2
時間後、創傷組織を集め、培地で24時間培養した。次いで、創傷組織の培地をサイトカ
インの活性について試験した。IL-1β、IL-6、TNF-α、及びsCD40Lの
レベルは、全て、未処置の対照マウス及び創傷を有するマウスのものと比較して、明らか
な上昇を示すことが見出された(
図16a)。血清のサイトカインもまた試験した。興味
深いことに、血小板は、血清中のこれらの炎症誘発性サイトカインの分泌を誘導しなかっ
た(
図16b)。これらの結果は、全身性炎症よりもむしろ局所的炎症環境が、血小板注
射により誘発され得ることを示している。局所的炎症誘発性環境は、腫瘍部位で静止前駆
リンパ球を活性化リンパ球に変換することによって、aPDL1免疫療法に寄与する
47
。加えて、腫瘍部位におけるPDL1発現もまた調査した。血小板誘導性炎症負荷は、腫
瘍浸潤免疫細胞及び腫瘍細胞のPDL1発現を上方制御し得ることが見出された(
図16
c~d)。腫瘍内のPDL1陽性細胞の増加は、抗PDL1免疫療法をさらに増強し、O
RRを向上させることができる。
41,42
【0136】
術後に残った残存微小腫瘍を処置するために、B16F10マウス黒色腫不完全腫瘍切
除モデルを使用して、術後性の局所再発を模倣した(
図2f)。外科的に大部分の腫瘍を
切除した後(約99%)、マウスに、単回用量のPBS、血小板、aPDL1またはP-
aPDL1(aPDL1=1mg/kg)を静脈内注射した。腫瘍増殖をB16F10細
胞の生物発光シグナルによってモニターした。P-aPDL1を投与されたマウスが、最
小の再発性腫瘍の体積を示したことが示された。8匹のマウスのうち6匹が、検出可能な
腫瘍なく、強い反応を示した。一方で、遊離aPD1処置マウスは、腫瘍増殖のわずかな
遅延を示したが、手術床での腫瘍の再発は妨げなかった。血小板のみで処置したマウスに
おける腫瘍の再発の予防は、PBS対照のものと同様の効果を示した(
図2g~h)。マ
ウスにおける腫瘍のサイズもまた、それらの生存と相関していた。マウスの約75%が、
P-aPDL1による処置後60日生存した。対照的に、全ての対照群で、いずれのマウ
スも60日後に生存しなかった(
図2i)。
【0137】
P-aPDL1療法によって引き起こされるT細胞媒介性免疫応答
加えて、再発腫瘍からの腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を採取し、16日目に免疫蛍光法
及びフローサイトメトリーによって分析した。免疫蛍光染色は、対照群の残存腫瘍が、T
細胞浸潤を制限していることを明らかにした。対照的に、P-aPDL1処置マウスの残
存腫瘍は、CD8+及びCD4+T細胞の両方によって著しく浸潤されていた(
図3a、
図17)。腫瘍重量は、10日目のP-aPDL1処置マウスにおいて有意に低く(
図3
b)、これはまた、残存腫瘍におけるCD3+細胞の絶対数の増加に対応した(
図3c)
。より顕著なことには、CD8+T細胞の絶対数/腫瘍グラムは、PBS対照と比較して
P-aPDL1処置マウスにおいてほぼ10倍増加し、遊離aPDL1処置マウスに対し
て3倍増加した(
図3d~f)。加えて、腫瘍浸潤CD4+FoxP3+T細胞を調べた
(
図3e)。Tエフェクター細胞対制御性T(Treg)細胞の腫瘍内比率は、P-aP
DL1療法後のマウスにおいて有意に高まった(
図3f-h)。加えて、細胞周期関連タ
ンパク質Ki67の発現によって測定されるように、P-aPDL1マウスの腫瘍内での
CD8+及びCD4+エフェクターT細胞の高増殖が観察された。エフェクターT細胞と
は対照的に、P-aPDL1療法を用いた腫瘍浸潤Treg細胞による増殖の有意な増加
はなかった(
図18)。総合すれば、これらの観察結果は、P-aPDL1が、aPDL
1を腫瘍微小環境に効果的に送達し、強固かつT細胞媒介性の抗腫瘍免疫応答を引き起こ
すことができることを示している。
【0138】
転移性疾患に対するP-aPDL1療法
CTCの処置に対するP-aPDL1の効力をさらに示すために、P-aPDL1が、
まず、術後にマウスにB16F10細胞を静脈内注射することによって、実験的転移腫瘍
モデルで試験され、これはCTCが原発腫瘍から血液循環へ逃げるのを模倣した(
図4a
、
図19)
48。手術直後に、マウスに、単回用量のPBS、血小板、aPDL1(aP
DL1=1mg/kgまたは2mg/kg)またはP-aPDL1(aPDL1=1mg
/kg)を静脈内注射した。マウスにおけるB16F10細胞の生物発光シグナル(
図4
b、
図19)によれば、遊離aPDL1処置により転移癌を予防することができたが、手
術部位での局所的な腫瘍の再発は、2mg/kgの高用量であっても予防できなかったこ
とが示された。これは、おそらく、aPDL1の蓄積が術後のそれらの残存微小腫瘍に対
して不十分なためである(
図13)。対照的に、肺全体の写真とそれらのヘマトキシリン
及びエオシン(H&E)染色イメージング(
図4c~d)ならびに肺組織の蛍光イメージ
ング(
図20)によって確認されるように、手術床での腫瘍の再発及び肺転移が、P-a
PDL1治療後に著しく減少した。肺における転移部位の平均数は、P-aPDL1で処
置した場合に劇的に減少した(
図4e)。さらに、処置マウスの生存期間は、対照群と比
較して有意に増加した(
図4f)。遊離aPDL1と比較したP-aPDL1のより良好
な抗癌効果は、がん細胞周辺の抗体の局所濃度の増加に部分的に起因していた(
図13)
。その一方で、血小板活性化はまた、抗癌効果の機能的要素でもあった。活性化により、
コンジュゲートされたaPDL1を放出することができただけでなく、他の多くの免疫細
胞を動員してTMEに浸潤させるのにも役立つことができたためである。PDL1遮断に
より、これらの免疫細胞が強力な抗癌免疫反応を誘導し得る。
【0139】
P-aPDL1のin situ活性化が、抗癌効果に寄与したかどうかをさらに確認
するために、PMPを収集し、aPDL1で修飾した(
図19)。これらのマイクロ粒子
を直接注射すると、そのままの血小板と比較して抗癌効果が制限され、遊離aPDL1よ
りもさらに優れていないことが明らかに示された(
図4)。このことは、循環への導入後
にPMPが迅速に除去される可能性があることを確認した従来の研究によって説明され得
る
49,50。これらの結果は、腫瘍部位におけるP-aPDL1のin situ活性
化が、P-aPDL1の抗癌効果を増強するための必須の構成要素であることを実証した
。
【0140】
術後の4T1再発癌に対するP-aPDL1
別の種類の癌の術後の再発防止におけるP-aPDL1の効力を評価するために、トリ
プルネガティブ乳癌(TNBC)4T1癌腫瘍モデルで試験を実施した。この実験では、
BABL/cマウスに4T1腫瘍細胞を皮下(s.c.)注射した。皮下に腫瘍を接種し
た14日後、原発腫瘍を手術で切除し、残存微小腫瘍を約1%残した。aPDL1と結合
した治療用血小板を手術直後にマウスに静脈内注射した。このモデルでは、1コースのP
-aPDL1療法が、術後の残存腫瘍の増殖に影響を与えるのに十分意味があった(
図5
a-b)。加えて、遊離aPDL1処置マウスに中央値16個の小結節ならびに血小板処
置マウス及び未処置のマウスにおいて約30個の小結節が見られたのとは対照的に、P-
aPDL1処置マウスの肺では、ほんのわずかな小結節しか見られなかったため、肺転移
に対する治療の効果もまた印象的であった(
図5c~d)。術後にP-aPDL1療法を
受けたマウスは、対照群とは対照的に実質的な延命効果が得られた。マウスの75%が、
腫瘍接種後60日生存した(
図5e)。
【0141】
要約すると、この例は、aPDL1の送達促進のために血小板のin situ活性化
を利用し、術後の残存腫瘍細胞を実質的に一掃し、癌の再発を予防することができる。P
-aPDL1療法は、外科的処置の有効性を最大化することができ、原発腫瘍切除後の癌
の再発及び転移のリスクを減少させることができる。aPDL1送達のための血小板の使
用を超えて、この送達方法はまた、標的化送達及び治療剤の生体応答性放出のためにバイ
オ微粒子を応用する他の治療剤及び治療にも適用される51。
【0142】
方法及び材料
細胞株
マウス黒色腫細胞株B16F10及びマウス乳癌細胞株4T1を、American
Type Culture Collectionから購入した。B16F10-luc
-GFP及び4T1-luc-GFP細胞は、Chapel HillのThe Uni
versity of North CarolinaのDr.Leaf Huangか
ら贈与された。B16F10細胞は、10%ウシ胎児血清(Invitrogen,Ca
rlsbad,CA)、100U/mLのペニシリン(Invitrogen)、及び1
00U/mLのストレプトマイシン(Invitrogen)を添加したダルベッコ改変
イーグル培地(Gibco,Invitrogen)中で維持した。4T1細胞は、10
%ウシ胎児血清(Invitrogen,Carlsbad,CA)、100U/mLの
ペニシリン(Invitrogen)、及び100U/mLのストレプトマイシン(In
vitrogen)を添加したRPMI-1640培地(Gibco,Invitrog
en)中で維持した。マスターセルバンク及びワーキングセルバンクを、受領後すぐに作
製した。第3継代及び第4継代が、腫瘍実験に使用された。細胞は、マイコプラズマの可
能性について3ヶ月毎に試験された。受領後、細胞の再認証は実施しなかった。
【0143】
マウス
C57BL/6マウス及びBALB/cマウスを、Jackson Lab(USA)
から購入した。全ての実験を通じて、同齢の(6~10週)雌動物を使用した。全てのマ
ウス研究は、Chapel Hillのthe University of Nort
h Carolina及びNorth Carolina State Univers
ityの所内動物実験委員会(Institutional Animal Care
and Use Committee)によって承認された動物プロトコルの範疇で実施
した。実験群のサイズは、統計的検出力、実現可能性、及び倫理的側面のバランスをとる
ように定義された後、動物福祉に関する規制当局によって承認された。全てのマウスは、
Chapel Hillのthe University of North Caro
lina及びNorth Carolina State Universityの動物
実験に関する連邦及び州の方針にしたがって飼育された。
【0144】
抗体
in vivoで使用する抗PDL1抗体(aPDL1)を、Biolegend I
ncから購入した(Cat.#124329,Clone: 10F.9G2)。染色抗
体には、製造元の指示にしたがって、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析のために、C
D3(Thermo Fisher Scientific,Cat.#A18644)
、CD4(Thermo Fisher Scientific,Cat.#A1866
7)、CD8(Thermo Fisher Scientific,Cat.#A18
609)、PD1(Biolegend,Cat.#135227)、CD11c(Bi
olegend,Cat.#117309)、PDL1(Biolegend,Cat.
#124311)、CD20(Biolegend,Cat.#150411)、CD1
1b(Biolegend,Cat.#101211)、CD9(Biolegend,
Cat.#124805),CD41(Biolegend,Cat.#133905)
、CD61(Biolegend,Cat.#104307)、CD62P(Biole
gend,Cat.#148305)、CD40L(Biolegend,Cat.#1
06505)、細胞内Ki67(Biolegend,Cat.#652405)、及び
細胞内Foxp3(eBioscience,Cat.#.71-5775-40)が含
まれた。染色細胞をCalibur FACS装置(BD)で分析し、FlowJoソフ
トウェア(バージョン10)を使用して分析した。ヤギ抗ラットIgG(H+L)二次抗
体(Thermo Fisher Scientific,Cat.#A18866)、
ウサギ抗ラットIgG(H+L)二次抗体(Thermo Fisher Scient
ific,Cat.#A18920)、ヤギ抗ラットIgG(minimal x-re
activity)抗体(Biolegend,Cat.#405408)を免疫染色に
使用した。
【0145】
aPDL-1コンジュゲート血小板の調製
記載のように、マウス血小板を単離した。52手短に言えば、全血をC57BL/6(
またはBALB/c)マウスから採取(眼窩静脈叢または伏在静脈からの非ターミナル採
血、20匹のマウスを採血に使用)し、1.0mLのクエン酸-リン酸-デキストロース
(16mM クエン酸、90mM ナトリウムシトレート、16mM NaH2PO4、
142mM デキストロース、pH7.4)を含有するプラスチックシリンジに入れ、中
断することなく、室温において20分間100gで回転させた。多血小板血漿(PRP)
をトランスファーピペット(ワイドオリフィス)を使用して別のチューブに移し、PGE
1を各チューブに1μMの最終濃度まで添加した。(注意:PRPの色が赤みがかってい
る場合は、これらの試料を廃棄すること)。10分間800gで回転(中断なし)させる
ことにより、血小板をPRPから単離した。血漿を廃棄し、血小板をタイロード緩衝液(
134mM NaCl、12mM NaHCO3、2.9mM KCl、0.34mM
Na2HPO4、1mM MgCl2、10mM HEPES、pH7.4)、またはP
GE1を含むPBS(1μMの最終濃度)に慎重にゆっくりと再懸濁させた(注意:チュ
ーブの壁に沿ってゆっくりと緩衝液を流し、撹拌量を最小限に抑えること)。各in v
ivo注射には500~600μlの全血が必要であった。
【0146】
次いで、血小板の表面を、3ステップでaPDL-1によって官能化した。最初に、1
00μLの血小板(1×108)を、PGE1(1μM)を含む400μLのPBS(p
H=8)に再懸濁し、室温(RT)で30分間、トラウト試薬(0.1mg/ml)(2
-イミノチオラン、Pierce)とともにインキュベートした。30分反応させた後、
余分なトラウト試薬を10分間800gで遠心分離により除去し、タイロード緩衝液(P
GE1(1μM)を含む)で3回洗浄した(不要な血小板活性化を避けるために再懸濁せ
ず)。その間、aPDL-1をPBS(pH=7.4)中のスルホスクシンイミジル-4
-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(Sulfo-S
MCC、Pierce)と、1:1.2のモル比で、4℃で2時間混合した。遠心濾過装
置(分子量カットオフ(MWCO)=10kDa)を使用して、余分なSulfo-SM
CCを除去して、SMCC活性化抗体を精製した。最後に、血小板及び抗体をタイロード
緩衝液(PGE1(1μM)を含む)中で混合した。室温で2時間反応させた後、余分な
抗体を遠心分離(800gで10分間)によって除去した。沈殿画分を保持し、タイロー
ド緩衝液(PGE1(1μM)を含む)で2回洗浄した。血小板数分析に基づくと、結合
後の血小板の回収は80%より高かった。得られたaPDL1-血小板は、使用するまで
タイロード緩衝液(PGE1(1μM)を含む)に室温で保存した。非コンジュゲート血
小板は、コンジュゲート血小板から分離しなかった。血小板へのaPDL1の最終コンジ
ュゲート量をELISA(Rat IgG total ELISA kit,eBio
science,Cat.No.88-50490-22)によって測定した。新たに単
離した血小板を6時間以内に使用した。血小板活性化マーカーCD62Pを血小板活性化
を評価するために使用した。全ての血小板操作は、室温で実施した。コンジュゲーション
効率について調査するために、様々な量のaPDL1をコンジュゲーションのために血小
板に添加した。上清中で遠心分離することにより(800gで10分間)、非コンジュゲ
ートaPDL1を除去した。次いで、沈殿したP-aPDL1をタイロード緩衝液(PG
E1(1μM)を含む)によって、2回遠心分離(800gで10分間)して洗浄した。
その後、P-aPDL1を100μlの脱イオン水に溶解し、細胞溶解のために超音波で
処置してaPDL1を放出させた。血小板へのaPDL1のコンジュゲート量をELIS
A分析によって測定した。血小板へのaPDL1コンジュゲーションの効率(添加したa
PDL1/コンジュゲートしたaPDL1)は、血小板あたり0.2pgのaPDL1を
添加した場合に約75%であった。aPDL1修飾後の血小板の安定性を試験するために
、0時間及び24時間における血小板数分析に基づいてP-aPDL1の数を測定した。
経時的な血小板に対するaPDL1の安定性について調査するために、P-aPDL1を
タイロード緩衝液(PGE1(1μM)を含む)に室温で保存した。50μlのP-aP
DL1を異なる時点で抽出した。上清中の放出されたaPDL1を遠心分離(800gで
10分間)によって除去した。P-aPDL1を100μlの脱イオン水に溶解し、溶解
のために超音波で処置してaPDL1を放出させた。血小板へのaPDL1のコンジュゲ
ート量をELISA分析によって測定した。血小板を活性化するために、0.5Uトロン
ビン/mLを血小板懸濁液に添加した。血小板活性化の前にPGE1を除去した。血小板
を37℃で30分間、活性化した。
【0147】
PMPは、既に記載されているように血小板から調製した。53実験前に、血小板濃縮
物をトロンビン(2U/mL)によって30分間活性化し、10分間800gで遠心分離
し、PMPの豊富な上清を収集した。抗マウスaIIbb3抗体及び抗マウスCD62P
(Pセレクチン)抗体を使用したフローサイトメトリー分析により、上清を調べた。次に
、PMPを上述のようにaPDL1と結合させた。結合効率及び安定性をELISAによ
って調べた。
【0148】
透過型電子顕微鏡法(TEM)
その後の調製ステップによる血小板の形状変化を回避するために、血小板を10%の緩
衝ホルムアルデヒド溶液と混合することにより血小板の前固定を実施した。前固定の直後
に、試料を室温において10分間800gで遠心分離した。上清の廃棄後、血小板を4℃
で90分間、カコジル酸緩衝液、pH7.2中の2.5%グルタルアルデヒドで固定した
(活性化血小板については、上清もTEMイメージングのために収集した)。固定後、血
小板を4℃において10分間800gで遠心分離することにより2回洗浄した。次いで、
血小板を2%の酢酸ウラニル及びクエン酸鉛で5分間、順次染色し、次いで銅グリッドに
移した。54血小板のTEM画像を、80kVでJEOL 2000FX TEM装置に
よって得た。
【0149】
血小板からの抗PDL1及びサイトカインの放出
P-aPDL1を活性化するために、0.5Uのトロンビン/mLをP-aPDL1(
500μLのタイロード緩衝液中に約1×108の血小板、n=3)懸濁液に37℃で3
0分間添加した。50μlのP-aPDL1を異なる時点で抽出した。上清中の血小板か
ら放出されたaPDL1及びサイトカインを、10分間800gで遠心分離することによ
り収集した。非活性化P-aPDL1を対照とした。上清溶液中の放出されたaPDL1
及びサイトカインの量をELISAアッセイによって測定した。(eBioscienc
e,Cat.No.88-50490-22(rat IgG)、88-7013-22
(IL1β)、88-7064-22(IL6)、88-7324-22(TNF-α)
、BMS6010(sCD40L))。吸光度は、Infinite(登録商標)200
PROプレートリーダーで読み取った。
【0150】
in vivo薬物動態
3匹のマウスに、遊離aPDL1、P-aPDL1または非コンジュゲート血小板+a
-PDL1混合物(各マウスにつき、200μLのPBS中のaPDL1、2mg/kg
、血小板、2×108)を静脈内注射した。抗凝固チューブを使用して、異なる時点で尾
から10μLの血液を抽出した。各試料を100μlの水(Sigma,Cat.No.
W4502)に溶解し、細胞溶解のために超音波で処置してコンジュゲートaPDL1を
放出させた。aPDL1をRat IgG total ELISA kit(eBio
science,Cat.No.88-50490-22)によって測定した。in v
ivo体内分布調査のために、約1%の残存組織を残して原発腫瘍を除去した後、マウス
にCy5.5標識した遊離aPDL1またはP-aPDL1を静脈内注射した。in v
ivo蛍光画像をIVISシステム(付属のCy5.5用の励起/発光フィルターを用い
て、露光時間、1秒)により記録した。ex vivoイメージングのために、処置マウ
スを注射の2時間後に屠殺した。主要臓器及び組織を収集し、IVISイメージングシス
テム(付属のCy5.5用の励起/発光フィルターを用いて、露光時間、1秒)(Per
kin Elmer Ltd)で撮像した。
【0151】
in vivo腫瘍モデル
癌の再発に対する効果を測定するために、7日後、1×106の、B16F10(また
は4T1)またはルシフェラーゼタグ付きB16F10(または4T1)腫瘍細胞のいず
れかを、マウスの右側腹部に移植した(腫瘍は約300mm3に達する)。手術床内の残
存微小腫瘍を模倣するために、約1%の残存組織を残して腫瘍を切除した3。簡単に記せ
ば、動物を、チャンバー導入によるイソフルラン(維持1~3%、導入最大5%)麻酔で
麻酔し、ノーズコーンを介して維持した。腫瘍領域を留め、無菌的に準備した。滅菌器具
を使用して、腫瘍の約99%を切除した。創傷をAutoclip Wound Cli
p Systemによって閉じた。実験的転移モデルのために、200μLのPBS中の
1×105のルシフェラーゼタグ付きB16F10(または4T1)腫瘍細胞を、原発腫
瘍の切除後、尾静脈を介してマウスに静脈内注入した。マウスの体重を量り、異なる群に
ランダムに分けた(n=8)。手術後、マウスに異なる薬物製剤をその直後に静脈内注射
した(マウスあたり200μLのPBS中にaPDL1=1mg/kg、1~2×108
の血小板)(ここで使用した新たに調製した血小板は、健康なマウスの同じ系統から収集
した)。腫瘍負荷をがん細胞の生物発光シグナルによってモニターした。イメージングの
前に、マウスを留め、除毛クリームを使用して剃毛した。IVIS Lumina im
aging system(Caliper,USA)を使用して画像を撮影した。腫瘍
はまた、デジタルノギスでも測定された。腫瘍体積(mm3)は、(長径×短径2)/2
として計算された。転移負荷を生物発光により評価した。肺の重さを量り、微小転移を数
えた。動物は、健康障害の徴候を示した場合、または腫瘍の体積が2cm3を超えた場合
、安楽死させた。
【0152】
図5cの転移性肺腫瘍については、標準的なプロトコルにしたがって、インディアイン
クを使用して肺転移をよりよく可視化した。
55マウスを屠殺し、気管内インク(85m
lのH
2O、15mlのインク、2滴のアンモニア水)注射及びFekete溶液(5m
lの70%エタノール、0.5mlのホルマリン、及び0.25mlの氷酢酸)での固定
後、腫瘍負荷を非盲検で定量した。2~6時間後、腫瘍病変は漂白されたが、正常な肺組
織は染色されたままだった。
【0153】
加えて、腫瘍を処置後にマウスから切り出し、免疫蛍光染色のために最適切断培地(O
.C.T.)中で急速凍結した。蛍光標識二次抗体を使用して、aPDL1及び血小板ま
たはPMPを検出した。H&E染色のために、肺腫瘍を有する動物を分析のために屠殺し
た。肺組織切片を、標準的なプロトコルにしたがってH&Eで染色した。全てのH&E染
色切片をLeica顕微鏡(Leica DM5500 B)で調べた。
【0154】
サイトカイン検出
IL-1β、IL-6、TNF-α、及びsCD40Lの局所レベル及び血漿レベルを
ELISA(eBioscience)によって測定した。創傷における異なるサイトカ
インの濃度を測定するため、血小板注射の6時間後、創傷組織を収集し、37℃で12時
間培養した。分析のために、100μLの培地を除去し、-80℃で凍結した。血漿中の
サイトカインレベルを測定するため、血小板注射の6時間後、分析のために、種々の処置
後にマウスから血漿試料を単離し、希釈した。IL-1β、IL-6、TNF-α、及び
sCD40Lの濃度をELISA(Thermo Scientific)によって測定
した。全ての測定を3回実施した。
【0155】
共焦点顕微鏡
腫瘍をマウスから切り出し、O.C.Tで急速凍結した。クリオトームを使用して、い
くつかのマイクロメートル切片を切断し、スライド上に載せた。切片を氷冷アセトン中で
10分間固定した後、PBSで再水和した。BSA(3%)でブロッキング後、切片を一
次抗体によって4℃で一晩染色した。蛍光標識二次抗体の添加後、スライドを、共焦点顕
微鏡(Zeiss LSM 710)を使用して分析した。
【0156】
in vivo生物発光と撮像
生物発光画像を、IVIS Spectrum Imaging System(Pe
rkin Elmer Ltd)によって収集した。DPBS(15mg/mL)中のd
-ルシフェリン(Thermo Scientific(商標)Pierce(商標),
Cat#PI88291)を、動物に腹腔内注射(10μL/g体重)した10分後に、
Living Imageソフトウェア(Perkin Elmer Ltd)を使用し
てデータを取得した。生物発光撮像のための露光時間は5分であった。(読み取り時間を
最適化するため、IVIS Imaging Systemを使用して1分間の露光時間
で生物発光強度を30分間得た。)関心領域(ROI)は、平均放射輝度(カラーバーで
表される光子 秒-1cm-2sr-1)として定量化された(IVIS Living
Image 4.2)。
【0157】
尾部出血アッセイ
尾部出血時間を、末端マウス尾部の先端から3mmを取り除き、直ちに尾部を37℃の
PBSに浸すことによって測定した。出血の完全な停止を出血時間のエンドポイントとし
て定義した。
【0158】
統計分析
全ての結果は、明記されるように平均値±s.d.、平均値±s.e.m.として表す
。特に明記しない限り、生物学的反復実験を全ての実験で使用した。一元配置分散分析(
ANOVA)を3つ以上の群を比較した場合に実施し、有意(P≦0.05)と判定され
た場合、Tukeyの事後検定を使用して多重比較を実施した。延命効果はログランク検
定により測定した。全ての統計分析は、GraphPad Prism(5.0)によっ
て実施した。*P≦0.05、**P≦0.01、***P≦0.001。動物実験また
は他の実験のための試料サイズを予め決定するための統計学的手法は使用しなかった。
【0159】
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【0160】
別途定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本
開示された発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有
する。本明細書で引用した刊行物、及びそれらが引用されている資料は、参照により明確
に組み込まれる。
【0161】
当業者であれば、本発明の好ましい実施形態に対して多数の変更及び修正を行うことが
でき、本発明の趣旨から逸脱することなく、そのような変更及び修正を行うことができる
ことを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び
範囲内に含まれるような全てのそのような同等の均等物を網羅することが意図される。
また、本発明は以下を提供する。
[1]
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
治療剤と、を含み、
前記治療剤が、前記化学的リンカー部分を介して前記血小板細胞に共有結合している、
組成物。
[2]
前記治療剤が免疫療法剤である、[1]に記載の組成物。
[3]
前記免疫療法剤が、抗PDL1抗体、抗PD1抗体、抗CTLA4抗体、抗CD47抗
体、またはこれらの組み合わせから選択される、[2]に記載の組成物。
[4]
前記免疫療法剤が抗PDL1抗体である、[3]に記載の組成物。
[5]
前記化学的リンカー部分が、マレイミドリンカー、PEGリンカー、PAS化、及びH
ES化から選択される、[1]~[4]のいずれか一項に記載の組成物。
[6]
前記化学的リンカー部分がマレイミドリンカーである、[5]に記載の組成物。
[7]
前記血小板細胞がヒト血小板細胞である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の組成
物。
[8]
前記血小板細胞が自己由来の血小板細胞である、[1]~[6]のいずれか一項に記載
の組成物。
[9]
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
治療剤と、
を含む治療上有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含み、
前記治療剤が、前記化学的リンカー部分を介して前記血小板細胞に共有結合している、
がんの転移または再発を予防する方法。
[10]
前記治療剤が免疫療法剤である、[9]に記載の方法。
[11]
前記免疫療法剤が、抗PDL1抗体、抗PD1抗体、抗CTLA4抗体、抗CD47抗
体、またはこれらの組み合わせから選択される、[10]に記載の方法。
[12]
前記免疫療法剤が抗PDL1抗体である、[11]に記載の方法。
[13]
前記化学的リンカー部分が、マレイミドリンカー、PEGリンカー、PAS化、及びH
ES化から選択される、[9]~[12]のいずれか一項に記載の方法。
[14]
前記化学的リンカー部分がマレイミドリンカーである、[13]に記載の方法。
[15]
前記血小板細胞がヒト血小板細胞である、[9]~[14]のいずれか一項に記載の方
法。
[16]
前記血小板細胞が自己由来のヒト血小板細胞である、[9]~[14]のいずれか一項
に記載の方法。
[17]
前記がんが固形腫瘍である、[9]~[16]のいずれか一項に記載の方法。
[18]
前記がんが黒色腫である、[9]~[16]のいずれか一項に記載の方法。
[19]
前記がんが乳癌である、[9]~[16]のいずれか一項に記載の方法。
[20]
前記組成物が、追加の治療剤と組み合わせて投与される、[9]~[19]のいずれか
一項に記載の方法。
[21]
前記追加の治療剤が抗腫瘍剤である、[20]に記載の方法。
[22]
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
治療剤と、
を含む組成物を対象に投与することを含み、
前記治療剤が、前記化学的リンカー部分を介して前記血小板細胞に共有結合しており、
前記組成物が、前記血小板細胞の活性化を介して創傷または外科的切除部位を標的とす
る、治療剤の標的化送達のための方法。
[23]
前記組成物が、前記血小板細胞の活性化時に、創傷または切除部位で血小板由来マイク
ロ粒子中でさらに放出される、[22]に記載の方法。
[24]
前記治療剤が免疫療法剤である、[22]に記載の方法。
[25]
前記免疫療法剤が、抗PDL1抗体、抗PD1抗体、抗CTLA4抗体、抗CD47抗
体、またはこれらの組み合わせから選択される、[24]に記載の方法。
[26]
前記免疫療法剤が抗PDL1抗体である、[25]に記載の方法。
[27]
前記化学的リンカー部分が、マレイミドリンカー、PEGリンカー、PAS化、及びH
ES化から選択される、[22]~[26]のいずれか一項に記載の方法。
[28]
前記化学的リンカー部分がマレイミドリンカーである、[27]に記載の方法。
[29]
前記血小板細胞がヒト血小板細胞である、[22]~[28]のいずれか一項に記載の
方法。
[30]
前記血小板細胞が自己由来の血小板細胞である、[22]~[28]のいずれか一項に
記載の方法。
[31]
血小板細胞と、
化学的リンカー部分と、
治療剤と、
を含む治療上有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含み、
前記治療剤が、前記化学的リンカー部分を介して前記血小板細胞に共有結合している、
血管疾患を治療または予防する方法。
[32]
前記治療剤が免疫療法剤である、[31]に記載の方法。
[33]
前記免疫療法剤が、抗PDL1抗体、抗PD1抗体、抗CTLA4抗体、抗CD47抗
体、またはこれらの組み合わせから選択される、[32]に記載の方法。
[34]
前記免疫療法剤が抗PDL1抗体である、[33]に記載の方法。
[35]
前記化学的リンカー部分が、マレイミドリンカー、PEGリンカー、PAS化、及びH
ES化から選択される、[31]~[34]のいずれか一項に記載の方法。
[36]
前記化学的リンカー部分がマレイミドリンカーである、[35]に記載の方法。
[37]
前記血小板細胞がヒト血小板細胞である、[31]~[36]のいずれか一項に記載の
方法。
[38]
前記血小板細胞が自己由来の血小板細胞である、[31]~[36]のいずれか一項に
記載の方法。
[39]
前記血管疾患が、組織損傷、炎症、または心血管疾患である、[31]~[38]のい
ずれか一項に記載の方法。
[40]
前記組成物が、追加の治療剤と組み合わせて投与される、[31]~[39]のいずれ
か一項に記載の方法。