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特許7497104Bi-In-Sn三元ナノ合金材料及びその液相超音波製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】Bi-In-Sn三元ナノ合金材料及びその液相超音波製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/08 20060101AFI20240603BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20240603BHJP
   B22F 1/054 20220101ALI20240603BHJP
   C22C 1/04 20230101ALI20240603BHJP
   C22C 28/00 20060101ALI20240603BHJP
   C22C 30/00 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B22F9/08 Z
B22F1/00 R
B22F1/054
C22C1/04 E
C22C28/00 B
C22C30/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024005906
(22)【出願日】2024-01-18
【審査請求日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】202310135349.5
(32)【優先日】2023-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519113491
【氏名又は名称】福州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】于岩
(72)【発明者】
【氏名】危洋
(72)【発明者】
【氏名】鍾升紅
(72)【発明者】
【氏名】耿徳路
(72)【発明者】
【氏名】解文軍
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-022996(JP,A)
【文献】特開2020-090703(JP,A)
【文献】特開2017-150005(JP,A)
【文献】特開2021-048392(JP,A)
【文献】特開2016-043330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00-9/30
H01L 21/71-21/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Bi-In-Sn三元ナノ合金材料の製造方法であって、
1)ビスマス、インジウム及びスズを混合した後に加熱し、保温し、加熱及び保温中に撹拌して金属を混合させ、降温して、バルク状のBi-In-Sn三元合金を得るステップと、
2)Bi-In-Sn三元合金を有機溶媒に入れ、昇温して合金を液体に溶解させ、液相超音波破砕を行い、Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を得るステップと、
3)Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を遠心分離、洗浄及び乾燥して、Bi-In-Sn三元ナノ合金材料を得るステップとを含むことを特徴とするBi-In-Sn三元ナノ合金材料の製造方法。
【請求項2】
ステップ1)において、前記ビスマス、インジウム及びスズの質量比は、10~40:40~60:10~40であることを特徴とする請求項1に記載のBi-In-Sn三元ナノ合金材料の製造方法。
【請求項3】
ステップ1)において、前記加熱は、400~600℃まで昇温し、前記保温は、3~5h保温することであることを特徴とする請求項1に記載のBi-In-Sn三元ナノ合金材料の製造方法。
【請求項4】
ステップ2)において、前記有機溶媒は、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1-ドデカン、1-ドデカンチオール及び1-ドデカノールのうちのいずれか一種又は複数種を含むことを特徴とする請求項に記載のBi-In-Sn三元ナノ合金材料の製造方法。
【請求項5】
ステップ2)において、Bi-In-Sn三元合金と有機溶媒の質量体積比は、0.5~2g:20~150mlであることを特徴とする請求項1に記載のBi-In-Sn三元ナノ合金材料の製造方法。
【請求項6】
ステップ2)において、前記昇温は65~150℃に昇温することを特徴とする請求項に記載のBi-In-Sn三元ナノ合金材料の製造方法。
【請求項7】
ステップ2)において、前記液相超音波破砕の超音波出力は300~700Wであり、超音波のパルス時間は、超音波5~10s、停止5~10sであり、超音波の総時間は1~4hであることを特徴とする請求項1に記載のBi-In-Sn三元ナノ合金材料の製造方法。
【請求項8】
ステップ3)において、前記遠心分離の速度は8000~15000rpmであり、遠心分離の時間は5~10minであり、前記洗浄段階は、エタノール洗浄と5000~8000rpmでの5~10minの遠心分離という2つの操作ユニットを含み、洗浄段階を3~5回繰り返し、前記乾燥の環境は、真空度が-30~-20KPaの真空であり、乾燥の温度は60~80℃であり、乾燥の時間は12~24hであることを特徴とする請求項に記載のBi-In-Sn三元ナノ合金材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ材料合成の技術分野に属し、特に、Bi-In-Sn三元ナノ合金材料及びその液相超音波製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
後周期遷移族金属及び融点が330℃未満の多元合金は、科学界においてますます注目されている。それらの特別な熱的、電気的及び化学的特性により、これらの材料は一般に液体金属(LM)と呼ばれる。液体金属ナノ粒子材料の研究は、触媒作用、エネルギー貯蔵、薬物送達、防火材料などの分野における応用価値により、広く注目されている。液体金属ナノ粒子は、良好な熱伝導性、導電性、生体適合性、生分解性、触媒性能などの特性を有するため、電極触媒作用において良好な電極触媒として、薬物送達において生体適合性担体として非常に良好な応用見通しを有する。
【0003】
現在、液体金属ナノ粒子の研究は初期段階にあり、既存の製造方法は主に熱分解法、物理蒸着法などがある。熱分解法は、高価な金属前駆体を下から上へ分解することで液体金属ナノ粒子の合成を実現し、コストが高く、消耗が大きい。物理蒸着法も下から上へ熱蒸発によって液体金属の物理蒸気を固体基板に蒸着させるものであるが、ナノ粒子が転移しにくく、エネルギー消費が高すぎるなどの欠陥が存在している。したがって、新しい方法による液体金属ナノ粒子の製造は、革新的な意義と大きな開発可能性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、Bi-In-Sn三元ナノ合金材料及びその液相超音波製造方法を提供することであり、コストが高く、効率が低く、エネルギー消費が大きく、製造プロセスが複雑すぎるなど、既存の製造プロセスに存在している問題を効果的に解決することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記発明の目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を提供する。
【0006】
Bi-In-Sn三元ナノ合金材料の製造方法であって、
1)ビスマス、インジウム及びスズを混合した後に熱処理を行い、バルク状のBi-In-Sn三元合金を得るステップと、
2)Bi-In-Sn三元合金を有機溶媒に入れ、体系を昇温して合金を液体に溶解させ、液相超音波破砕を行い、Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を得るステップと、
3)Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を遠心分離、洗浄及び乾燥して、Bi-In-Sn三元ナノ合金材料を得るステップとを含む。
【0007】
好ましくは、ステップ1)において、前記ビスマス、インジウム及びスズの質量比は、10~40:40~60:10~40である。
【0008】
好ましくは、ステップ1)において、前記熱処理は、400~600℃まで昇温し、3~5h保温することである。
【0009】
好ましくは、ステップ2)において、前記有機溶媒は、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1-ドデカン、1-ドデカンチオール及び1-ドデカノールのうちのいずれか一種又は複数種を含む。
【0010】
好ましくは、ステップ2)において、Bi-In-Sn三元合金と有機溶媒の質量体積比は、0.5~2g:20~150mlである。
【0011】
好ましくは、ステップ2)において、体系を65~150℃に昇温する。
【0012】
好ましくは、前記液相超音波破砕の超音波出力は300~700Wであり、超音波のパルス時間は、超音波5~10s、停止5~10sであり、超音波の総時間は1~4hである。
【0013】
好ましくは、ステップ3)において、前記遠心分離の速度は8000~15000rpmであり、遠心分離の時間は5~10minであり、前記洗浄段階は、エタノール洗浄と5000~8000rpmでの5~10minの遠心分離という2つの操作ユニットを含み、洗浄段階を3~5回繰り返し、前記乾燥の環境は、真空度が-20~-30KPaの真空であり、乾燥の温度は60~80℃であり、乾燥の時間は12~24hである。
【0014】
本発明の別の目的は、前記製造方法で製造されたBi-In-Sn三元ナノ合金材料を提供することである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、従来技術に比べて、以下の有益な効果を有する。
本発明において、金属単体であるビスマス、インジウム、スズ及び有機溶媒を原料とし、熱処理プロセスによってバルク状のBi-In-Sn三元合金を合成し、その後、バルク状の三元合金を有機溶媒に加え、加熱して合金を液体に溶解させ、超音波破砕処理を行い、Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を得、その後、遠心分離、洗浄及び乾燥という後処理ステップを行い、Bi-In-Sn三元ナノ合金材料を製造する。この方法を利用して多種の低融点多元ナノ合金材料を製造することができ、多元ナノ合金材料の製造において、過程が簡単であり、コストが低く、収率が高く、過程が温和であり、大規模に合成されることが期待され、得られた多元ナノ合金材料の粒度が制御可能であり、安定性がよく、多元ナノ合金と高エントロピー合金の製造に拡張することができ、応用見通しが広い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例3で製造されたバルク状三元合金及びBi-In-Sn三元ナノ合金のX線回折(XRD)図(Bulk alloy:バルク状合金、Nanoalloys:ナノ合金)である。
図2】本発明の実施例3で製造されたBi-In-Sn三元ナノ合金の走査型電子顕微鏡(SEM)図である。
図3】本発明の実施例3で製造されたBi-In-Sn三元ナノ合金のエネルギースペクトル(EDS)図である。
図4】本発明の実施例3で製造されたBi-In-Sn三元ナノ合金のエネルギースペクトルにおける元素の割合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、Bi-In-Sn三元ナノ合金材料の製造方法であって、
1)ビスマス、インジウム及びスズを混合した後に熱処理を行い、バルク状のBi-In-Sn三元合金を得るステップと、
2)Bi-In-Sn三元合金を有機溶媒に入れ、体系を昇温して合金を液体に溶解させ、液相超音波破砕を行い、Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を得るステップと、
3)Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を遠心分離、洗浄及び乾燥して、Bi-In-Sn三元ナノ合金材料を得るステップとを含む、三元Bi-In-Snナノ合金材料の製造方法を提供する。
【0018】
本発明では、ステップ1)において、前記ビスマス、インジウム及びスズの質量比は、好ましくは10~40:40~60:10~40であり、さらに好ましくは15~35:45~55:15~35であり、より好ましくは20~30:45~50:20~30である。
【0019】
本発明では、ステップ1)において、前記熱処理は、好ましくは400~600℃、さらに好ましくは450~550℃、より好ましくは480~500℃まで昇温し、保温時間は、好ましくは3~5hであり、さらに好ましくは3.5~4.5hであり、より好ましくは4.0~4.5hであり、前記熱処理は、撹拌条件下で行うことが好ましく、前記熱処理及び保温が終了した後、自然冷却により室温まで降温し、バルク状のBi-In-Sn三元合金を得ることが好ましい。
【0020】
本発明では、ステップ2)において、前記有機溶媒は、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1-ドデカン、1-ドデカンチオール及び1-ドデカノールのうちのいずれか一種又は複数種を含む。
【0021】
本発明では、ステップ2)において、Bi-In-Sn三元合金と有機溶媒の質量体積比は、好ましくは0.5~2g:20~150mlであり、さらに好ましくは0.8~1.5g:30~120mlであり、より好ましくは1~1.2g:50~100mlである。
【0022】
本発明では、ステップ2)において、体系を65~150℃に昇温することが好ましく、75~130℃に昇温することがさらに好ましく、90~120℃に昇温することがより好ましい。
【0023】
本発明では、ステップ2)において、前記液相超音波破砕の超音波出力は、好ましくは300~700Wであり、さらに好ましくは400~600Wであり、より好ましくは450~500Wであり、超音波のパルス時間は、好ましくは超音波5~10s、停止5~10sであり、さらに好ましくは超音波6~9s、停止6~9sであり、より好ましくは超音波7~8s、停止7~8sであり、超音波の総時間は、好ましくは1~4hであり、さらに好ましくは1.5~3hであり、より好ましくは2~2.5hである。
【0024】
本発明では、ステップ3)において、前記遠心分離の速度は、好ましくは8000~15000rpmであり、さらに好ましくは8000~12000rpmであり、より好ましくは9000~10000rpmであり、遠心分離の時間は、好ましくは5~10minであり、さらに好ましくは7~10minであり、より好ましくは9~10minであり、
【0025】
本発明では、ステップ3)において、前記洗浄段階は、エタノール洗浄と遠心分離という2つの操作ユニットを含み、遠心分離の操作ユニットにおいて、遠心分離の速度は、好ましくは8000~15000rpmであり、さらに好ましくは8000~12000rpmであり、より好ましくは9000~10000rpmであり、遠心分離の時間は、好ましくは5~10minであり、さらに好ましくは7~10minであり、より好ましくは9~10minであり、洗浄段階は、好ましくは3~5回繰り返し、さらに好ましくは4回繰り返す。
【0026】
本発明では、ステップ3)において、前記乾燥環境は、好ましくは真空環境であり、真空度は、好ましくは-20~-30KPaであり、さらに好ましくは-22~-28KPaであり、より好ましくは-24~-27KPaであり、乾燥の温度は、好ましくは60~80℃であり、さらに好ましくは65~75℃であり、より好ましくは68~72℃であり、乾燥の時間は、好ましくは12~24hであり、さらに好ましくは14~20hであり、より好ましくは16~18hである。
【0027】
本発明の別の目的は、前記製造方法で製造されたBi-In-Snナノ三元合金材料を提供することである。
【0028】
本発明は、液相超音波法を用いてBi-In-Sn三元ナノ粒子を製造し、3種類の金属単体でバルク状合金を直接合成し、コストを大幅に低下させ、加熱の温度が低く、エネルギー消費が低く、有機溶媒に分散する液体金属ナノ粒子は遠心分離によって容易に分離されることができ、製造方法全体が簡単かつ安全で、消費が低く、コストが低く、効率が高い。
【0029】
以下、実施例を参照しながら本発明が提供する技術的解決手段を詳細に説明するが、それらは本発明の保護範囲を限定するものと理解すべきではない。
【0030】
実施例1
本発明は、三元ナノ合金材料の液相超音波製造方法を提供し、以下のステップを含む。
1)まず、Bi、In、Snを24.8:57.2:18の質量比で坩堝に入れ、その後、それをマッフル炉に入れて500℃に加熱し、3h保温し、加熱及び保温中に撹拌して金属を十分に混合させ、室温まで自然冷却してバルク状のBi-In-Sn三元合金を得た。
2)次に、バルク状のBi-In-Sn合金(融点が約77.5℃)1.5gを120mlのDMSO溶液に入れ、80℃に昇温して合金を液体に溶解させ、合金が液体にあるとき、液相超音波破砕を行い、超音波の総出力が600Wであり、パルス時間が動作10s、停止10sであり、超音波の総時間が1hであり、Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を得た。
3)Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を遠心分離、洗浄、乾燥して、Bi-In-Sn三元ナノ合金粉末を得た。ここで、遠心分離の速度は10000rpmであり、遠心分離の時間は10minであり、洗浄段階は、エタノール洗浄と8000rpmでの10minの遠心分離という2つの操作ユニットを含み、洗浄段階を5回繰り返し、乾燥環境は、真空度が-20KPaの真空であり、乾燥温度は60℃であり、乾燥時間は12hであった。
【0031】
実施例2
本発明は、三元ナノ合金材料の液相超音波製造方法を提供し、以下のステップを含む。
1)まず、Bi、In、Snを35:48.6:16.4の質量比で坩堝に入れ、その後、それをマッフル炉に入れて400℃に加熱し、4h保温し、加熱及び保温中に撹拌して金属を十分に混合させ、室温まで自然冷却してバルク状の三元Bi-In-Sn合金を得た。
2)次に、バルク状のBi-In-Sn合金(融点が約80℃)2gを120mlのジエチレングリコール溶液に入れ、100℃に昇温して合金を液体に溶解させ、合金が液体にあるとき、液相超音波破砕を行い、超音波の総出力が450Wであり、パルス時間が動作8s、停止8sであり、超音波の総時間が2hであり、Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を得た。
3)Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を遠心分離、洗浄、乾燥して、Bi-In-Sn三元ナノ合金粉末を得た。ここで、遠心分離の速度は11000rpmであり、遠心分離の時間は8minであり、洗浄段階は、エタノール洗浄と6000rpmでの5minの遠心分離という2つの操作ユニットを含み、洗浄段階を3回繰り返し、乾燥環境は、真空度が-30KPaの真空であり、乾燥温度は60℃であり、乾燥時間は12hであった。
【0032】
実施例3
本発明は、三元ナノ合金材料の液相超音波製造方法を提供し、以下のステップを含む。
1)まず、Bi、In、Snを32.5:51:16.5の質量比で坩堝に入れ、その後、それをマッフル炉に入れて500℃に加熱し、5h保温し、加熱及び保温中に撹拌して金属を十分に混合させ、室温まで自然冷却してバルク状のBi-In-Sn三元合金を得た。
2)次に、バルク状のBi-In-Sn合金(融点が約62.5℃)1gを100mlのエチレングリコール溶液に入れ、65℃に昇温して合金を液体に溶解させ、合金が液体にあるとき、液相超音波破砕を行い、超音波の総出力が500Wであり、パルス時間が動作10s、停止10sであり、超音波の総時間が3hであり、Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を得た。
3)Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を遠心分離、洗浄、乾燥して、Bi-In-Sn三元ナノ合金粉末を得た。ここで、遠心分離の速度は10000rpmであり、遠心分離の時間は10minであり、洗浄段階は、エタノール洗浄と8000rpmでの5minの遠心分離という2つの操作ユニットを含み、洗浄段階を5回繰り返し、乾燥環境は、真空度が-20KPaの真空であり、乾燥温度は80℃であり、乾燥時間は24hであった。
図1は、本実施例で製造されたバルク状合金及びBi-In-Sn三元ナノ合金のX線回折(XRD)図である。図1から分かるように、得られたバルク状合金及びナノ合金は類似したピーク位置を示し、Bi-In相及びIn-Sn相を含む3種類の異なる金属間化合物が三元合金系に現れ、エチレングリコール溶液中の液体合金が超音波破砕後に3種類の金属間相を保持し、ナノ合金サンプル中にも一部のInが生成されることを示している。これは、Inが主元素として60%近くを占めており、Bi及びSnの酸化物に比べて、Inの生成ギブス自由エネルギーが低いためであり、Inの生成がよく説明されている。
図2は、本実施例で製造されたBi-In-Sn三元ナノ合金の走査型電子顕微鏡図である。図2から分かるように、得られたナノ合金は球状粒子であり、粒度が均一で制御可能であり、粒径が数十ナノメートルから200ナノメートルの間にある。
図3は、本実施例で製造されたBi-In-Sn三元ナノ合金のエネルギースペクトル(EDS)図である。図3から、本発明で製造されたBi-In-Sn三元ナノ合金は、元素分布が均一であり、明らかな偏析現象が発生していないことが分かる。
図4は、本実施例で製造されたBi-In-Sn三元ナノ合金のエネルギースペクトルにおける元素の割合を示す図である。計算から分かるように、超音波をかける前に入れたバルク状合金中の金属の重量比が原子数比として換算するとBi:In:Sn=21:60.2:18.8であった。図4から、Bi-In-Sn三元ナノ合金のエネルギースペクトルにおける元素比は、Bi:In:Sn=21.3:60.53:18.17であり、超音波をかける前に加えたバルク状合金の元素比に非常に近いことが分かり、これは、本発明で合成されたナノ合金材料の元素分布が均一であることをさらに示している。
【0033】
実施例4
本発明は、三元ナノ合金材料の液相超音波製造方法を提供し、以下のステップを含む。
1)まず、Bi、In、Snを20:60:20の質量比で坩堝に入れ、その後、それをマッフル炉に入れて400℃に加熱し、5h保温し、加熱及び保温中に撹拌して金属を十分に混合させ、室温まで自然冷却してバルク状のBi-In-Sn三元合金を得た。
2)次に、バルク状のBi-In-Sn合金(融点が約90℃)1gを100mlのトリエチレングリコール溶液に入れ、100℃に昇温して合金を液体に溶解させ、合金が液体にあるとき、液相超音波破砕を行い、超音波の総出力が600Wであり、パルス時間が動作6s、停止6sであり、超音波の総時間が5hであり、Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を得た。
3)Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を遠心分離、洗浄、乾燥して、Bi-In-Sn三元ナノ合金粉末を得た。ここで、遠心分離の速度は15000rpmであり、遠心分離の時間は5minであり、洗浄段階は、エタノール洗浄と8000rpmでの10minの遠心分離という2つの操作ユニットを含み、洗浄段階を4回繰り返し、乾燥環境は、真空度が-25KPaの真空であり、乾燥温度は80℃であり、乾燥時間は24hであった。
【0034】
実施例5
本発明は、三元ナノ合金材料の液相超音波製造方法を提供し、以下のステップを含む。
1)まず、Bi、In、Snを40:40:20の質量比で坩堝に入れ、その後、それをマッフル炉に入れて450℃に加熱し、4h保温し、加熱及び保温中に撹拌して金属を十分に混合させ、室温まで自然冷却してバルク状のBi-In-Sn三元合金を得た。
2)次に、バルク状のBi-In-Sn合金(融点が約130℃)1.5gを150mlの1-ドデカノール溶液に入れ、140℃に昇温して合金を液体に溶解させ、合金が液体にあるとき、液相超音波破砕を行い、超音波の総出力が650Wであり、パルス時間が動作8s、停止8sであり、超音波の総時間が4hであり、Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を得た。
3)Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を遠心分離、洗浄、乾燥して、Bi-In-Sn三元ナノ合金粉末を得た。ここで、遠心分離の速度は13000rpmであり、遠心分離の時間は10minであり、洗浄段階は、エタノール洗浄と10000rpmでの5minの遠心分離という2つの操作ユニットを含み、洗浄段階を5回繰り返し、乾燥環境は、真空度が-20KPaの真空であり、乾燥温度は60℃であり、乾燥時間は24hであった。
【0035】
以上は、本発明の好ましい実施形態にすぎず、当業者であれば、本発明の原理から逸脱することなく、若干の改良及び修飾を行うことができ、これらの改良及び修飾は保護範囲ともみなされるべきである。
【要約】
【課題】本発明の製造方法は、操作が簡単で、条件が温和で、コストが低く、収率が高く、製造されたナノ合金材料の粒度が制御可能で、安定性がよく、触媒作用、半導体、生物医学、防火などの分野に大きな応用可能性を有する。
【解決手段】本発明は、Bi-In-Sn三元ナノ合金材料及びその液相超音波製造方法を開示し、ナノ材料合成の技術分野に属する。前記製造方法は、1)ビスマス、インジウム及びスズを混合した後に熱処理を行い、バルク状のBi-In-Sn三元合金を得るステップと、2)Bi-In-Sn三元合金を有機溶媒に入れ、体系を昇温して合金を液体に溶解させ、液相超音波破砕を行い、Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を得るステップと、3)Bi-In-Sn三元ナノ粒子分散液を遠心分離、洗浄及び乾燥して、Bi-In-Sn三元ナノ合金材料を得るステップとを含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4