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特許7497105情報処理システム、プログラム及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】情報処理システム、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240603BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024012603
(22)【出願日】2024-01-31
【審査請求日】2024-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2023129406
(32)【優先日】2023-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521511313
【氏名又は名称】株式会社one building
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】金田 真聡
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-094150(JP,A)
【文献】特開2009-048244(JP,A)
【文献】特許第6804019(JP,B1)
【文献】特開2002-115886(JP,A)
【文献】特開2005-241161(JP,A)
【文献】特開2015-148417(JP,A)
【文献】特開2011-209349(JP,A)
【文献】特開2002-041601(JP,A)
【文献】特開2000-311157(JP,A)
【文献】特開2019-061440(JP,A)
【文献】特開2017-134478(JP,A)
【文献】特開2021-165947(JP,A)
【文献】エネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版) モデル建物法 入力マニュアル Ver.3.4(2023年4月),[online],日本,国土交通省 国土技術政策総合研究所 国立研究開発法人 建築研究所,2023年04月30日,pp.13-17,[2024年3月1日検索],インターネット <URL:https://www.kenken.go.jp/becc/documents/building/Manual/modelv3_manual_20230403.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、
1以上の制御部を備え、
前記1以上の制御部は、
建築物の建築情報の入力を受け付け、
前記建築情報は、前記建築物の建築の情報であり、
前記建築情報と、基準情報とに基づいて、設備関連情報を出力し、
前記基準情報は、熱負荷を算出するための係数と、換気機器、照明機器、給湯機器、昇降機及び効率化設備のうち少なくとも1つの機器を選定するための係数とを含み、
前記設備関連情報は、前記建築物の熱負荷の情報として熱負荷情報及び前記建築物に設置される機器の選定に関する情報とを含み、
前記設備関連情報に基づいて設備情報を生成し、
前記設備情報は、前記建築物の設備の情報であり、
受け付けた前記建築情報と、生成した前記設備情報とに基づいて省エネ情報を出力し、
前記省エネ情報は、省エネルギーに関する情報である、
情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記省エネ情報は、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律に定める適合又は届出を行うための情報を含む、
情報処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記1以上の制御部は、
構造体負荷情報と、照明負荷情報と、機器発熱情報と、特殊機器発熱情報と、人体発熱情報と外気負荷情報とに基づいて前記熱負荷情報を取得し、
前記構造体負荷情報は、室にある構造体の構成材料を通しての熱貫流量の情報であり、
前記照明負荷情報は、前記室にある照明から発せられる発熱量の情報であり、
前記機器発熱情報は、前記室にある機器から発せられる発熱量の情報であり、
前記特殊機器発熱情報は、前記室にある特殊機器から発せられる発熱量の情報であり、
前記人体発熱情報は、前記室にいる人体から発せられる発熱量の情報であり、
前記外気負荷情報は、前記室内と温度差のある外気を導入することで発生する熱負荷の情報である、
情報処理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて
前記設備関連情報は、空調機器情報を含み、
前記空調機器情報は、前記建築物に設置可能な空調機器の情報である、
情報処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理システムにおいて、
前記1以上の制御部は、
前記空調機器情報に基づいて、前記熱負荷による熱量に対応可能な空調機器を選定する、
情報処理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記1以上の制御部は、
建築物の設計に関するソフトウェアにより出力された、前記建築物の前記建築情報についてのアップロードを受け付ける、
情報処理システム。
【請求項7】
情報処理システムであって、
1以上の制御部を備え、
前記1以上の制御部は、
建築物の建築情報の入力を受け付け、
前記建築情報は、前記建築物の建築の情報であり、
前記建築情報と、基準情報とに基づいて、設備関連情報を出力し、
前記基準情報は、熱負荷を算出するための係数を含み、
前記設備関連情報は、前記建築物の熱負荷の情報として熱負荷情報及び前記建築物に設置される機器の選定に関する情報を含み、
前記建築情報と前記設備関連情報とに基づいて標準入力法又はモデル建物法の形式に合わせた設備情報を出力し、
前記設備情報は、建物の設備の情報である、
情報処理システム。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理システムにおいて、
前記設備情報は、標準入力法の形式に合わせる場合、室仕様の情報、空調ゾーンの情報、外壁構成の情報、窓仕様の情報、外皮の情報、熱源の情報、二次ポンプの情報、空調機の情報、熱源水温度の情報、全熱交換器の情報、換気室の情報、換気送風機の情報及び換気空調機の情報を含み、
前記設備情報は、モデル建物法の形式に合わせる場合、空調熱源の情報、空調外気処理の情報、空調ポンプの情報、空調送風機及び換気の情報を含む、
情報処理システム。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理システムにおいて、
前記1以上の制御部は、
前記設備情報をスプレッドシートとして出力する、
情報処理システム。
【請求項10】
プログラムであって、
コンピュータを、請求項1~9の何れか1つに記載の情報処理システムとして機能させるためのプログラム。
【請求項11】
情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
請求項1~9の何れか1つに記載の情報処理システムが実行する各処理を備える、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムは、制御部を備える。制御部は、1以上のバージョンの建築情報と、1以上のバージョンの設備情報とを記憶させる。ここで建築情報は、建築物の建築に関する情報であり、設備情報は、建築物の設備に関する情報である。何れかのバージョンの建築情報と、何れかのバージョンの設備情報とに基づいて、建築物のエネルギーに関する省エネ情報を出力する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7198546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年において設計の初期から、建築物の省エネ情報を、又は省エネ情報を出力するための設備関連情報を、より効率的に検討し出力することができる技術が求められている。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、設計の初期から、建築物の省エネ情報を、又は省エネ情報を出力するための設備関連情報を、より効率的に検討し出力することが可能な技術を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムは、1以上の制御部を備える。1以上の制御部は、ユーザから建築物の建築情報の入力を受け付ける。建築情報は、建築物の建築の情報である。建築情報と、基準情報とに基づいて、設備関連情報を出力する。基準情報は、熱負荷を算出するための係数を含む。設備関連情報は、建築物に設置される機器の選定に関する情報を含む。
【0007】
本開示によれば、設計の初期から、建築物の省エネ情報を、又は省エネ情報を出力するための設備関連情報を、より効率的に検討し出力することが可能な技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】情報処理システム1のシステム構成の一例を示す図である。
図2】サーバ装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】建築クライアント装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】設備クライアント装置4のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係るシーケンス図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント装置でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.情報処理システム1のシステム構成
まず、図1を参照しながら本実施形態の情報処理システム1のシステム構成について説明する。
【0014】
図1は、情報処理システム1のシステム構成の一例を示す図である。図1が示すように、情報処理システム1は、サーバ装置2、建築クライアント装置3と、設備クライアント装置4と、ネットワークNとを含む。サーバ装置2は、ネットワークNを介して、建築クライアント装置3又は設備クライアント装置4と通信可能に構成される。これにより、サーバ装置2、建築クライアント装置3及び設備クライアント装置4は、それぞれ相互に様々な情報を送信又は受信することができる。なお、サーバ装置2、建築クライアント装置3及び設備クライアント装置4は、情報処理装置の一例であり、本実施形態に限定されるものではない。建築クライアント装置3及び設備クライアント装置4は、PC(Personal Computer)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等の何れであってもよい。なお、サーバ装置2、建築クライアント装置3及び設備クライアント装置4は、それぞれ1以上ある。ここで、情報処理システム1に例示されるシステムとは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。したがって、サーバ装置2単体、建築クライアント装置3単体又は設備クライアント装置4単体であっても情報処理システム1に例示されるシステムに含まれる。
【0015】
2.ハードウェア構成
次に、図2図4を参照しながら本実施形態のサーバ装置2、建築クライアント装置3及び設備クライアント装置4のハードウェア構成について説明する。
【0016】
2.1.サーバ装置2のハードウェア構成
図2は、サーバ装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示されるように、サーバ装置2は、制御部21と、記憶部22と、通信部23とを備え、これらの構成要素がサーバ装置2の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。サーバ装置2は、実施形態に係る処理を実行する。
【0017】
制御部21は、サーバ装置2に関連する全体動作の処理及び制御を行う。制御部21は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部21が、記憶部22に記憶された所定のプログラムを読み出し、プログラムに基づき処理を実行することによって、サーバ装置2に係る種々の機能、例えば、後述する図5に示される処理が実現される。なお、制御部21は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部21を有するように実施してもよい。また、それらの組合せであってもよい。
【0018】
記憶部22は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部21によって実行されるサーバ装置2に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部22は、制御部21によって実行されるサーバ装置2に係る種々のプログラム、変数及び制御部21がプログラムに基づき処理を実行する際に用いるデータ等を記憶している。記憶部22は、記憶媒体の一例である。
【0019】
通信部23は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、LTE/3G/4G/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、サーバ装置2は、通信部23を介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0020】
2.2.建築クライアント装置3のハードウェア構成
図3は、建築クライアント装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示されるように、建築クライアント装置3は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、入力部34と、出力部35と、を有し、これらの構成要素が建築クライアント装置3の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。建築クライアント装置3は、実施形態に係る処理を実行する。建築クライアント装置3の制御部31、記憶部32及び通信部33については、サーバ装置2の制御部21、記憶部22及び通信部23を参照されたい。
【0021】
建築クライアント装置3は、建築設計者としてのユーザにより使用される。建築設計者は、建築物の建築に関する建築情報を設定する。建築設計者は、意匠設計者とも称される。
【0022】
入力部34は、建築クライアント装置3の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。例えば、入力部34は、出力部35と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することが可能である。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部34がユーザによってなされた操作に基づく入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バスを介して制御部31に転送され、制御部31が必要に応じて所定の制御又は演算を実行しうる。
【0023】
出力部35は、建築クライアント装置3の表示部として機能することが可能である。出力部35は、例えば、建築クライアント装置3の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。出力部35は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、建築クライアント装置3の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0024】
2.3.設備クライアント装置4のハードウェア構成
図4は、設備クライアント装置4のハードウェア構成の一例を示す図である。図4に示されるように、設備クライアント装置4は、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、入力部44と、出力部45と、を有し、これらの構成要素が設備クライアント装置4の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。設備クライアント装置4は、実施形態に係る処理を実行する。設備クライアント装置4の制御部41、記憶部42、通信部43、入力部44及び出力部45については、前述のサーバ装置2の制御部21、記憶部22及び通信部23並びに建築クライアント装置3の入力部34及び出力部35を参照されたい。
【0025】
設備クライアント装置4は、設備設計者としてのユーザにより使用される。設備設計者は、建築物の設備に関する建築情報を設定する。
【0026】
3.情報処理システム1の動作の流れ
本実施形態の情報処理システム1で実行される好ましい情報処理の一例を説明する。
【0027】
本明細書において、ネットワークN、通信部23、通信部33又は通信部43を介して送受信された種々の情報は、記憶部22、記憶部32又は記憶部42に記憶されるものとする。なお、使用された通信部を有する装置内の記憶部にて記憶されるものとする。例えば、通信部23が使用された場合、送受信された情報は、記憶部22に記憶されるものとする。
【0028】
本明細書において、ネットワークN、通信部23、通信部33、通信部43、入力部34及び入力部44に関連する情報処理を省略して記載することがある。例えば、制御部31が建築設計者による入力部34への操作を介して所定の入力を受け付けることを、単に制御部31が建築設計者から所定の入力を受け付けると記載することがある。制御部41が設備設計者による入力部44への操作を介して所定の入力を受け付けることを、単に制御部41が設備設計者から所定の入力を受け付けると記載することがある。また、制御部21が通信部23とネットワークNと通信部33とを介して、建築クライアント装置3との間で情報を送受信することを、単に制御部21が建築クライアント装置3に情報を送信する、又は単に制御部21が建築クライアント装置3から情報を受け付けると省略して記載することがある。サーバ装置2と設備クライアント装置4との間の情報処理についても同様に省略して記載することがある。
【0029】
次に図5を示しながら、基本情報と建築情報とに基づいて省エネ情報を出力するまでの情報処理を説明する。図5は、本実施形態に係るシーケンス図の一例を示す図である。省エネ情報を算出する手法としては、例えば、標準入力法、モデル建物法等が知られている。本実施形態では標準入力法を使用する方法を例に説明する。
【0030】
[基本情報と建築情報の入力]
処理S1では、建築クライアント装置3の制御部31は、建築設計者からある建築物の基本情報と建築情報の入力を受け付ける。
処理S2では、制御部31は、建築クライアント装置3の通信部33及びネットワークNを介して、基本情報と建築情報とをサーバ装置2に送信する。サーバ装置2の制御部21は、基本情報と建築情報とを建築クライアント装置3から受け付ける。
処理S3では、制御部21は、基本情報と建築情報とがアップロードされた旨を建築クライアント装置3に送信する。制御部31は、基本情報と建築情報とがアップロードされた旨をサーバ装置2から受け付ける。制御部31は、基本情報と建築情報とがアップロードされた旨を建築クライアント装置3の出力部35に表示させる。
処理S4では、制御部21は、基本情報と建築情報とがアップロードされた旨を設備クライアント装置4に送信する。設備クライアント装置4の制御部41は、基本情報と建築情報とがアップロードされた旨をサーバ装置2から受け付ける。制御部41は、基本情報と建築情報とがアップロードされた旨を設備クライアント装置4の出力部45に表示させる。
処理S4により、設備設計者は、建築設計者が基本情報と建築情報とをアップロードしたことを認識することができる。
【0031】
「基本情報」とは、建築物の基本的な事項に関する情報である。基本情報は、建築物の場所、建築物の大きさ、建築物の広さ等の基本的な事項に関する情報を含む。より具体的には例えば、基本情報は、都道府県の情報(東京都等)と、市区町村の情報(千代田区等)と、省エネ基準地域区分の情報(市町村毎に割り当てられた1~8までの番号)と、構造の情報(木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造))と、階数の情報(地上2階、地下1階等)と、敷地面積の情報(10,000m)と、建築面積の情報(8,000m)と、延べ面積の情報(24,000m)と、年間日射地域区分の情報(A1、A2、A3、A4、A5)と、「他人から供給された熱」の一次エネルギー換算値(冷熱)の情報(1.36等)と、「他人から供給された熱」の一次エネルギー換算値(温熱)の情報(1.36等)と、建築基準法施行規則別記入様式に定める用途の情報(記号として「08470」、用途の区分として「事務所」等)と、モデル建物法で適用する建物モデルの種類の情報(建物用途として「事務所等」、室用途として「事務室」等)とのうち少なくとも1以上の任意の情報を含み得る。基本情報として必要な情報は、標準入力法かモデル建物法かに応じて変化する。
【0032】
「建築情報」とは、建築物の建築に関する情報である。建築情報として必要な情報は、基本情報と同様に省エネ情報を算出する手法に応じて変化する。建築情報は、標準入力法の場合、室使用の情報(シート1の情報、例えば、階、室名、建物用途、室用途、室面積、階高、天井高、空調計算対象室、換気計算対象室、照明計算対象室、給湯計算対象室、建物の名称)、空調ゾーンの情報(シート2-1の情報、例えば、階、室名、建物用途、室用途、室面積、階高、天井高、空調ゾーン名、室負荷処理、外気負荷処理)、外壁構成の情報(シート2-2の情報、例えば、外壁名称、壁の種類、熱貫流率、建材番号、建材名称、熱伝導率、厚み、日射吸収率)、窓仕様の情報(シート2-3の情報、例えば、開口部名称、熱貫流率、日射熱取得率、建具の種類、ガラスの種類)、外皮の情報(シート2-4の情報、例えば、階、空調ゾーン名、方位、日除け効果係数、外壁名称、外皮面積、開口部名称、窓面積、ブラインドの有無)、非空調外皮(シート8の情報、例えば、非空調ゾーン使用、外皮構成)等を含んでもよい。建築情報は、モデル建物法の場合、開口部仕様の情報(様式B1の情報、例えば、建具の幅、建具の高さ、窓面積、建具の種類、ガラスの種類、熱貫流率、日射熱取得率)、断熱仕様の情報(様式B2の情報、例えば、部位種別、断熱材種類、熱伝導率、厚み、熱貫流率)、外皮仕様の情報(様式B3の情報、例えば、外皮の方位、外皮の幅、外皮の高さ、外皮面積、断熱仕様名称、建具使用名称、建具等個数、ブラインドの有無、日除け効果係数)、室名称の情報(様式D及び様式E)、室用途の情報(様式D及び様式E)及び床面積の情報(様式D及び様式E)等を含んでもよい。
【0033】
なお、建築設計者は、BIM(Building Information Modeling)、CAD(Computer Aided Design)等の建築物の設計に関するソフトウェアによって入力された情報を、基本情報及び建築情報として出力して使用して処理S1及び処理S2に係る情報処理を実行させてもよい。
【0034】
[熱負荷情報及び設備選定情報の出力]
処理S5では、設備クライアント装置4の制御部41は、設備設計者から熱負荷情報の出力の指示の入力を受け付ける。
処理S6では、制御部41は、熱負荷情報の出力の指示をサーバ装置2に送信する。サーバ装置2の制御部21は、熱負荷情報の出力の指示を設備クライアント装置4から受け付ける。
処理S7では、制御部21は、熱負荷情報の出力の指示を受け付けたことに応じて、基本情報と、建築情報と、記憶部22内に格納されている基準情報とに基づいて、熱負荷情報を出力する。
処理S8では、制御部21は、出力した熱負荷情報を設備クライアント装置4に送信する。制御部41は、熱負荷情報をサーバ装置2から受け付ける。制御部41は、熱負荷情報を設備クライアント装置4の出力部45に表示させる。
また、処理S7では、サーバ装置2の制御部21は、熱負荷情報に基づいて、熱負荷が示す熱量に対応可能な空調機器を設備選定情報として選定してもよい。その場合、制御部21は、熱負荷情報と共に又は熱負荷情報の代わりに、選定された当該設備選定情報を設備クライアント装置4に送信してもよい。
【0035】
「基準情報」とは、設備関連情報を出力するための係数を含む。本実施形態では、基準情報は、空調機器において、熱負荷情報を算出するための係数を含む。例えば、基準情報には、後述する原単位[W/m]、一台当り発熱量[W/台]、一人当り発熱量[W/人]、温度差(地域により求まる)、内外温度差、内外絶対湿度差、顕熱交換効率、潜熱交換効率、余裕係数、間欠運転係数、送風機負荷係数、予め定められた値等が含まれる。基準情報のこれらの値は、予め定められていてもよいし、建築設計者、設備設計者又はその他のユーザが自由に変更可能な値であってもよいし、ZEB設計ガイドラインの値が使用されてもよい。
【0036】
「設備関連情報」とは、建築物に設置する設備の選定に関する情報を含む概念である。より具体的には、設備関連情報は、条件情報と、設備選定情報とを含む。
「条件情報」とは、基準情報と組み合わせることで算出される設備に要求される条件としての情報を含む概念であり、本実施形態では、例えば、熱負荷情報である。
「設備選定情報」とは、条件情報に基づいて当該建築物に適応可能な1以上の設備を参照可能な情報を含む概念である。本実施形態では、例えば、設備選定情報は、空調機器情報である。
【0037】
「空調機器情報」とは、建築物に設置可能な空調機器の情報である。より具体的には例えば、空調機器情報は、当該建築物の熱負荷の条件を満たす空調機器と、当該空調機器の熱負荷の値と、が一覧可能な情報である。
「空調機器」とは、対象とする空間の空気の温度・湿度・流量・清浄度等を調節して供給するための機器であり、熱源装置、熱搬送設備、空気調和設備等である。
【0038】
「熱負荷情報」とは、建築物の熱負荷の情報である。熱負荷情報は、空調機器により空調する部屋に出入りする熱量、又は/及びその部屋内で発生する熱量の情報を含む概念である。熱負荷情報には、潜熱(LH)、顕熱(SH)、顕熱比(SHF)及び全熱(TH)が、熱負荷の値として含まれる。また、熱負荷情報は、構造体負荷情報と、照明負荷情報と、機器発熱情報と、特殊機器発熱情報と、人体発熱情報と外気負荷情報に基づいて取得される。なお、以下では室面積、外皮面積、窓面積及び熱貫流率のデータは、建築情報に含まれる室面積がそのまま適用されてもよい。また、以下では器具の台数、人数及び外気量のデータには、建築情報(室面積、室用途等のデータ)に基づいて出力されるデータ(例えば、事務所等の事務室であれば、10m当り1人、10m当り1台等)が使用されてもよい。
【0039】
「構造体負荷情報」は、冷房又は暖房しようとする室にある壁、床、天井等の構造体の構成材料を通しての熱貫流量(熱が入ってくる量)の情報である。
構造体負荷情報には、冷房負荷の顕熱(SH)、暖房負荷の顕熱(SH)、冷房負荷の潜熱(LH)及び暖房負荷の潜熱(LH)が含まれ、例えば、それぞれ次のように求められる。
構造体負荷情報の冷房負荷の顕熱(SH)には、次の2つのうち最大のものが使用される。
・各時間帯(9時、12時、14時及び16時)それぞれについて、外皮面積又は窓面積に熱貫流率と温度差とを乗じた値により求まる4つの時間帯の熱負荷のうち最大の値
・単位面積当たりの負荷(原単位[W/m])に室面積を乗じた値
構造体負荷情報の暖房負荷の顕熱(SH)には、次の2つのうち最大のものが使用される。
・各時間帯(9時、12時、14時及び16時)それぞれについて、外皮面積又は窓面積に熱貫流率と温度差とを乗じた値により求まる4つの時間帯の熱負荷のうち最大の値
・単位面積当たりの負荷(原単位[W/m])に室面積を乗じた値
構造体負荷情報の冷房負荷の潜熱(LH)には、次の2つのうち最大のものが使用される。
・予め定められた値
・単位面積当たりの負荷(原単位[W/m])に室面積を乗じた値
構造体負荷情報の暖房負荷の潜熱(LH)には、次の2つのうち最大のものが使用される。
・予め定められた値
・単位面積当たりの負荷(原単位[W/m])に室面積を乗じた値
【0040】
「照明負荷情報」は、冷房しようとする室にある照明装置から発せられる発熱量の情報である。照明負荷情報の発熱量には、顕熱(SH)が適用される。照明負荷情報には、次の2つの値のうち大きい値が使用される。
・単位面積当たりの負荷(原単位[W/m])に室面積を乗じた値
・器具一台当り発熱量(一台当り発熱量[W/台])に器具の台数を乗じた値
【0041】
「機器発熱情報」は、冷房しようとする室にある機器から発せられる発熱量の情報である。ここでの機器は、コンピュータ、パソコン、プリンター、電子機器類等の建築物に種類によらずに使用され得る機器である。機器発熱情報の発熱量には、顕熱(SH)が適用される。機器発熱情報は次の2つの値のうち大きい値が使用される。
・単位面積当たりの負荷(原単位[W/m])に室面積を乗じた値
【0042】
「特殊機器発熱情報」は、冷房しようとする室にある特殊機器から発せられる発熱量の情報である。ここでの特殊機器は、建築物が病院の場合、病院に設置される機器等、建築物の種類に依存する機器である。特殊機器発熱情報の発熱量には、顕熱(SH)が適用される。特殊機器発熱情報には、予め定められた値が使用される。
【0043】
「人体発熱情報」は、冷房しようとする室にいる人体から発せられる発熱量の情報である。
人体発熱情報の顕熱(SH)には、単位人当たりの発熱量(一人当り発熱量[W/人])に人数を乗じた値が使用される。
人体発熱情報の潜熱(LS)には、単位人当たりの発熱量(一人当り発熱量[W/人])に人数を乗じた値が使用される。
【0044】
「外気負荷情報」は、冷房又は暖房しようとする室内と温度差のある外気を導入することで発生する熱負荷の情報である。
外気負荷情報の顕熱(SH)は、係数(0.33)に外気量[m3/h]と内外温度差[℃]と(1-顕熱交換効率)
外気負荷情報の潜熱(LS)は、係数(833)と外気量[m3/h]と内外絶対湿度差[kg/kg(DA)]×(1-潜熱交換効率)
【0045】
冷房負荷の顕熱(SH)は、構造体負荷情報の冷房負荷の顕熱(SH)と、照明負荷情報の顕熱(SH)と、機器発熱情報の顕熱(SH)と、特殊機器発熱情報の顕熱(SH)と、人体発熱情報の顕熱(SH)と、外気負荷情報の顕熱(SH)とを足したものに余裕係数と送風機負荷係数とを乗じた値である。
冷房負荷の潜熱(LS)は、構造体負荷情報の冷房負荷の潜熱(LS)と、人体発熱情報の潜熱(LS)と、外気負荷情報の潜熱(LH)とを足した値である。
冷房負荷の顕熱比(SHF)は、冷房負荷の顕熱(SH)を冷房負荷の全熱(TH)で割った値である。
冷房負荷の全熱(TH)は、冷房負荷の顕熱(SH)と冷房負荷の潜熱(LH)とを足した値である。
【0046】
暖房負荷の顕熱(SH)は、構造体負荷情報の暖房負荷の顕熱(SH)と外気負荷情報の暖房負荷の顕熱(SH)とを足したものに余裕係数と間欠運転係数とを乗じた値である。
暖房負荷の潜熱(LH)は、構造体負荷情報の暖房負荷の潜熱(LH)と外気負荷情報の暖房負荷(LH)とを足した値である。
暖房負荷の全熱(TH)は、暖房負荷の顕熱(SH)と暖房負荷の潜熱(LH)とを足した値である。
【0047】
[設備情報の出力]
処理S9では、設備クライアント装置4の制御部41は、設備設計者から空調機器の選定に関する指示を受け付ける。このとき、空調機器の選定に関する指示は、設備設計者が空調機器情報を参照しながら選定した空調機器の情報を含む指示であってもよいし、サーバ装置2が熱負荷情報に基づいて空調機器情報から空調機器を自動で選定する指示であってよい。
処理S10では、制御部41は、空調機器の選定に関する指示をサーバ装置2に送信する。サーバ装置2の制御部21は、空調機器の選定に関する指示を設備クライアント装置4から受け付ける。
処理S11では、制御部21は、空調機器の選定に関する指示に基づいて、空調機器を選定する。制御部21は、選定された空調機器の情報を設備情報の形式に変換して出力する。すなわち、制御部21は、設備関連情報(熱負荷情報及び空調機器情報)に基づいて、設備情報を生成する。このとき、制御部21は、設備情報を標準入力法の形式に合わせたスプレッドシートに反映させて出力してもよい。また、他の観点によると、制御部21は、建築情報から設備情報を生成している。
処理S12では、制御部21は、設備情報を設備クライアント装置4に送信する。制御部41は、設備情報をサーバ装置2から受け付ける。制御部41は、設備情報を設備クライアント装置4の出力部45に表示させる。
これにより、設備情報の少なくとも一部が入力されたこととなり、種々の情報の算出することが可能となる。なお、省エネ情報を出力するに当たって、空調機器の選定を少なくとも見積もることができるため、省エネ情報がどのような値となるか予め予見しやすくなる。
【0048】
また、処理S11において、サーバ装置2が自動で空調機器を選定する場合の情報処理について説明する。サーバ装置2の制御部21は、冷房負荷及び暖房負荷のそれぞれの顕熱(SH)と、潜熱(LH)と、全熱(TH)と、顕熱比(SHF)とのうち少なくとも1つに基づいて、当該熱負荷に対応可能な冷房能力を有する空調機器と、当該熱負荷に対応可能な暖房能力を有する空調機器と、当該空調機器の台数と、を選定する。制御部21は、室内機としての空調機器と、室外機としての空調機器とを選定する。
【0049】
また、処理S11において、制御部21は、設備情報をモデル建物法の形式に合わせたスプレッドシートに反映させて出力してもよい。
【0050】
「設備情報」とは、建築物の設備の情報である。設備情報として必要な情報は、基本情報及び建築情報と同様に省エネ情報を算出する手法に応じて変化する。設備情報は、標準入力法の場合、室仕様(シート1)の情報、空調ゾーンの情報(シート2-1)、外壁構成の情報(シート2-2)、窓仕様の情報(シート2-3)、外皮の情報(シート2-4)、熱源の情報(シート2-5)、二次ポンプの情報(シート2-6)、空調機の情報(シート2-7)、熱源水温度の情報(シート2-8)、全熱交換器の情報(シート2-9)、換気室の情報(シート3-1)、換気送風機の情報(シート3-2)、換気空調機の情報(シート3-3)等を含んでもよい。なお、設備情報は、モデル建物法の場合、空調熱源の情報(様式C1)、空調外気処理の情報(様式C2)、空調ポンプの情報(様式C3)、空調送風機の情報(様式C4)、換気の情報(様式D)等を含んでもよい。
【0051】
[省エネ情報の出力]
処理S13では、設備クライアント装置4の制御部41は、設備設計者から省エネ情報の出力の指示を受け付ける。
処理S14では、制御部41は、省エネ情報の出力の指示をサーバ装置2に送信する。サーバ装置2の制御部21は、省エネ情報の出力の指示を設備クライアント装置4から受け付ける。
処理S15では、制御部41は、省エネ情報の出力の指示と、基本情報と、建築情報と、設備情報とに基づいて、後述する任意の手法を適応することで省エネ情報を出力する。なお、実施形態では、空調機器の情報のみが設備情報として一部の当該設備情報に基づいて省エネ情報が出力される。
処理S16では、制御部21は、省エネ情報を設備クライアント装置4に送信する。制御部41は、省エネ情報をサーバ装置2から受け付ける。制御部41は、設備情報を設備クライアント装置4の出力部45に表示させる。
処理S17では、制御部21は、基本情報と建築情報とがアップロードされた旨を建築クライアント装置3に送信する。建築クライアント装置3の制御部31は、基本情報と建築情報とがアップロードされた旨をサーバ装置2から受け付ける。制御部31は、基本情報と建築情報とがアップロードされた旨を建築クライアント装置3の出力部35に表示させる。
【0052】
「省エネ情報」とは、省エネルギーに関する情報である。省エネ情報は、例えば、一次エネルギー消費量、エネルギー消費係数、年間熱負荷係数を含んでもよい。一次エネルギー消費量、エネルギー消費係数及び年間熱負荷係数は、それぞれ建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律に定める適合又は届出を行うための情報である。また、省エネ情報は、その建築物の推定光熱費及び推定CO排出量に関する情報を含んでもよい。更に、省エネ情報は、BPI、BEI、BEI/AC、BEI/Vを含んでもよい。更に、省エネ情報は、二次エネルギー消費量を含んでもよい。
【0053】
「一次エネルギー消費量」とは、建築物の利用に伴う直接的なエネルギー消費量である。
「エネルギー消費係数」とは、1whのエネルギーで何kcalの熱が得られるかを表示した、エネルギーの利用効率を示す係数である。エネルギー消費係数は、例えば、1次エネルギー消費量に関する係数である。
「年間熱負荷係数」とは、建築物の外壁、開口部窓等を通じての熱の損失量又は外皮基準の防止に関する係数である。
「推定光熱費」とは、その建築物が排出すると推定される光熱費を示す情報である。推定光熱費の単位は、例えば円/年である。
「推定CO排出量」とは、その建築物が排出すると推定されるCOの排出量を示す情報である。推定CO排出量の単位は、例えばt-CO/年である。
「BPI」とは、PAL*(パルスター)の削減率を示す情報である。
「BEI」とは、一次エネルギー消費量基準を示す情報である。
「BEI/AC」とは、空調のBEIを示す情報である。
「BEI/V」とは、換気のBEIを示す情報である。
「二次エネルギー消費量」とは、一次エネルギーを転換又は加工して得られる電力の消費量を示す情報である。
【0054】
一次エネルギー消費量、エネルギー消費係数及び年間熱負荷係数は、任意の手法により計算される。任意の手法は、国立研究開発法人建築研究所が提供する「モデル建物法入力支援ツール」に、基本情報と、建築情報と、設備情報とを入力することにより計算される手法であってもよい。任意の手法は、国立研究開発法人建築研究所が提供する「建築物のエネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)」に、基本情報と、建築情報と、設備情報とを入力することにより計算される手法であってもよい。任意の手法は、例えば、ルールベースによる手法であってもよいし、機械学習による手法でもよい。
【0055】
また、推定CO排出量及び推定光熱費も、任意の手法により計算される。例えば、任意の手法は、建築物のエネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)に基本情報と建築情報と設備情報とを入力することにより計算結果を出力し、この計算結果とCO換算係数及び光熱費単価とをモデル建物法入力支援ツールに適用することで、推定CO排出量及び推定光熱費が出力される。
【0056】
「CO換算係数」とは、ある一定数の電気を供給するためにどのくらいのCOを排出しているかを示す係数である。
「光熱費単価」とは、ある一定数の電気を供給するためにどのくらいの光熱費が発生しているかを示す係数である。
CO換算係数及び光熱費単価は、ユーザから入力を受け付けることにより取得されてもよいし、自動で取得されてもよい。
【0057】
以上、本開示によれば、設計の初期から建築物の省エネ情報を、より効率的に検討し、出力することが可能な技術を提供することが可能となる。
【0058】
[その他]
実施形態では空調機器の例について説明したが、換気機器、照明機器、給湯機器、昇降機、効率化設備、非空調外皮についても適用してもよい。その場合、設備関連情報、基準情報、設備選定情報及び設備情報は、それぞれ以下の情報を更に含んでもよい。
照明機器の条件情報は、室面積、天井高、室の外周長さ、作業面の高さ、室指数、照明負荷、照明指数等を含んでもよい。給湯機器の条件情報は、給湯能力、消費能力、消費電力等を含んでもよい。昇降機の条件情報は、積載量、速度、VVF制御、回生有無、ギアレス有無等を含んでもよい。
設備関連情報としての設備選定情報は、換気機器の情報、照明機器の情報、給湯機器の情報、昇降機の情報、効率化設備の情報、非空調外皮の情報を更に含む。例えば、照明機器の情報は、当該建築物の室指数等の条件を満たす換気機器と、当該照明機器の室指数等の値と、が一覧可能な情報である。
基準情報は、換気機器の情報、照明機器の情報、給湯機器の情報、昇降機の情報、効率化設備の情報、非空調外皮の情報を算出するための係数を更に含んでもよい。
設備情報は、標準入力法の場合、照明の情報(シート4)、給湯室の情報(シート5-1)、給湯機器の情報(シート5-2)、昇降機の情報(シート6)、太陽光発電の情報(シート7-1)、コージェネレーション設備の情報(シート7-3)、非空調外皮の情報(シート8)、モデル建物の情報(シート9)等を更に含んでもよい。設備情報は、モデル建物法の場合、空調送風機の情報(様式C4)、換気の情報(様式D)、照明の情報(様式E)、給湯の情報(様式F)、昇降機の情報(様式G)、太陽光発電の情報(様式H)、コージェネレーション設備の情報(様式I)等を更に含んでもよい。
また、省エネ情報は、BEI/L、BEI/HW、BEI/EVを含んでもよい。「BEI/L」は、照明のBEIを示す情報である。「BEI/HW」は、給湯のBEIを示す情報である。「BEI/HW」は、昇降機のBEIを示す情報である。
【0059】
なお、モデル建物法によって熱負荷情報を出力する場合、情報処理システム1は、室面積の代わりに全面積を使用して、建物全体の室内機及び室外機の台数を出力してもよい。
【0060】
基本情報、建築情報及び設備情報のそれぞれは、任意の形式で取得されうる。基本情報、建築情報及び設備情報のそれぞれは、ウェブブラウザを介して入力又は出力される情報であってもよい。また、基本情報、建築情報及び設備情報がファイル形式の情報である場合、当該ファイル形式は、tsv形式、txt形式、xlsx形式、xlsm形式、json形式、csv形式、ifc形式、pdf形式等であってもよい。基本情報、建築情報及び設備情報がファイル形式の情報である場合、基本情報、建築情報及び設備情報のそれぞれは、一体のファイルとなっていてもよいし、別々のファイルとなっていてもよい。
【0061】
前述の実施形態に係る情報処理システム1に関して、コンピュータを、情報処理システム1の制御部31として機能させるプログラムであってもよい。また、情報処理システム1が実行する情報処理方法であってもよい。
【0062】
サーバ装置2は、オンプレミス形態であってもよく、クラウド形態であってもよい。クラウド形態のサーバ装置2としては、例えば、SaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという形態で、上記の機能や処理を提供してもよい。
【0063】
上記実施形態では、サーバ装置2が種々の記憶・制御を行ったが、サーバ装置2に代えて、複数の外部装置が用いられてもよい。すなわち、種々の情報やプログラムは、ブロックチェーン技術等を用いて複数の外部装置に分散して記憶されてもよい。
【0064】
更に、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0065】
(1)情報処理システムであって、1以上の制御部を備え、前記1以上の制御部は、ユーザから建築物の建築情報の入力を受け付け、前記建築情報は、前記建築物の建築の情報であり、前記建築情報と、基準情報とに基づいて、設備関連情報を出力し、前記基準情報は、熱負荷を算出するための係数を含み、前記設備関連情報は、前記建築物に設置される機器の選定に関する情報を含む、情報処理システム。
【0066】
このような構成によれば、設計の初期から、建築物の省エネ情報を出力するための設備関連情報を、より効率的に検討し出力することが可能な技術を提供することができる。
【0067】
(2)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、前記設備関連情報は、前記建築物の熱負荷の情報として熱負荷情報を含む、情報処理システム。
【0068】
このような構成によれば、建築情報と基準情報とに基づいて、熱負荷情報を出力することができ、空調機器の選定がしやすくなる。
【0069】
(3)上記(2)に記載の情報処理システムにおいて、前記1以上の制御部は、構造体負荷情報と、照明負荷情報と、機器発熱情報と、特殊機器発熱情報と、人体発熱情報と外気負荷情報とに基づいて前記熱負荷情報を取得し、前記構造体負荷情報は、室にある構造体の構成材料を通しての熱貫流量の情報であり、前記照明負荷情報は、前記室にある照明から発せられる発熱量の情報であり、前記機器発熱情報は、前記室にある機器から発せられる発熱量の情報であり、前記特殊機器発熱情報は、前記室にある特殊機器から発せられる発熱量の情報であり、前記人体発熱情報は、前記室にいる人体から発せられる発熱量の情報であり、前記外気負荷情報は、前記室内と温度差のある外気を導入することで発生する熱負荷の情報である、情報処理システム。
【0070】
このような構成によれば、構造体負荷情報と、照明負荷情報と、機器発熱情報と、特殊機器発熱情報と、人体発熱情報と、外気負荷情報とに基づいて熱負荷情報を取得することができ、空調機器の選定がしやすくなる。
【0071】
(4)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、前記設備関連情報は、空調機器情報を含み、前記空調機器情報は、前記建築物に設置可能な空調機器の情報である、情報処理システム。
【0072】
このような構成によれば、空調機器情報を出力することがき、空調機器が選定しやすくなる。
【0073】
(5)上記(4)に記載の情報処理システムにおいて、前記1以上の制御部は、前記空調機器情報に基づいて、前記熱負荷による熱量に対応可能な空調機器を選定する、情報処理システム。
【0074】
このような構成によれば、空調機器情報に基づいて、空調機器を選定することができる。
【0075】
(6)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、前記1以上の制御部は、前記設備関連情報に基づいて、設備情報を生成し、前記設備情報は、前記建築物の設備の情報である、情報処理システム。
【0076】
このような構成によれば、建築情報と、基準情報とに基づいて、設備情報を生成することができる。
【0077】
(7)上記(6)に記載の情報処理システムにおいて、前記1以上の制御部は、前記設備情報をスプレッドシートとして出力する、情報処理システム。
【0078】
このような構成によれば、建築情報と、基準情報とに基づいて、スプレッドシートの状態で設備情報を出力することができる。
【0079】
(8)プログラムであって、コンピュータを、上記(1)~(7)の何れか1つに記載の情報処理システムとして機能させるためのプログラム。
【0080】
このような構成によれば、設計の初期から、省エネ情報を出力するための設備関連情報を、より効率的に検討し出力することが可能な技術を提供することができる。
【0081】
(9)情報処理システムが実行する情報処理方法であって、上記(1)~(7)の何れか1つに記載の情報処理システムが実行する各処理を備える、情報処理方法。
【0082】
このような構成によれば、設計の初期から、省エネ情報を出力するための設備関連情報を、より効率的に検討し出力することが可能な技術を提供することができる。
もちろん、この限りではない。
【0083】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0084】
1 :情報処理システム
2 :サーバ装置
21 :制御部
22 :記憶部
23 :通信部
3 :建築クライアント装置
31 :制御部
32 :記憶部
33 :通信部
34 :入力部
35 :出力部
4 :設備クライアント装置
41 :制御部
42 :記憶部
43 :通信部
44 :入力部
45 :出力部
N :ネットワーク
【要約】
【課題】設計の初期から、建築物の省エネ情報を、又は省エネ情報を出力するための設備関連情報を、より効率的に検討し出力することが可能な技術を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムは、1以上の制御部を備える。1以上の制御部は、ユーザから建築物の建築情報の入力を受け付ける。建築情報は、建築物の建築の情報である。建築情報と、基準情報とに基づいて、設備関連情報を出力する。基準情報は、熱負荷を算出するための係数を含む。設備関連情報は、建築物に設置される機器の選定に関する情報を含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5