(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】部品実装機および部品実装方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2020076065
(22)【出願日】2020-04-22
【審査請求日】2022-09-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】新井 涼司
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-260042(JP,A)
【文献】国際公開第2015/173887(WO,A1)
【文献】特開2011-129599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を収容するキャリアテープと、前記キャリアテープを覆うカバーテープとを有する部品供給テープに収容された部品を基板に実装することで部品実装基板を生産する部品実装機において、
複数のテープ回収部と、
前記複数のテープ回収部にそれぞれ対応する複数のフィーダ着脱範囲を有し、前記フィーダ着脱範囲に複数のテープフィーダを着脱可能に装着できるフィーダ装着部と、
前記フィーダ着脱範囲に装着する前記テープフィーダを決定する制御部と、
前記制御部の決定に応じて前記フィーダ着脱範囲に装着された前記テープフィーダが前記部品供給テープを搬送することで供給する部品を前記キャリアテープから取り出して基板に実装する実装ヘッドと
、
作業者に報知を実行する報知部と
を備え、
前記フィーダ装着部には、第1種テープフィーダを前記テープフィーダとして装着可能であり、
前記第1種テープフィーダは、前記カバーテープが取り外された前記キャリアテープを、前記部品供給テープの搬送に伴って廃棄テープとして排出し、
前記テープ回収部は、対応する前記フィーダ着脱範囲に装着された前記第1種テープフィーダから排出された前記廃棄テープを回収し、
前記制御部は、同一品種の部品実装基板の生産中は、一のフィーダ着脱範囲に装着された前記テープフィーダから、同一の材質の前記廃棄テープが排出され、異なる材質の前記廃棄テープが混在して排出されないように、当該一のフィーダ着脱範囲に装着する前記テープフィーダを決定し、
前記制御部は、生産する部品実装基板の品種が変更されるか否かを監視し、前記生産する部品実装基板の品種が変更される場合は、当該品種の変更に伴って、前記一のフィーダ着脱範囲に装着された前記テープフィーダから排出される前記廃棄テープの材質に変更が生じるか否かを判断し、前記一のフィーダ着脱範囲に装着された前記テープフィーダから排出される前記廃棄テープの材質に変更が生じると判断した場合には、異なる材質の前記廃棄テープが前記テープ回収部に混在するのを防止するための混在防止処理
として、前記報知部に報知を実行させる処理を実行する部品実装機。
【請求項2】
複数の部品を収容するキャリアテープと、前記キャリアテープを覆うカバーテープとを有する部品供給テープに収容された部品を基板に実装することで部品実装基板を生産する部品実装機において、
複数のテープ回収部と、
前記複数のテープ回収部にそれぞれ対応する複数のフィーダ着脱範囲を有し、前記フィーダ着脱範囲に複数のテープフィーダを着脱可能に装着できるフィーダ装着部と、
前記フィーダ着脱範囲に装着する前記テープフィーダを決定する制御部と、
前記制御部の決定に応じて前記フィーダ着脱範囲に装着された前記テープフィーダが前記部品供給テープを搬送することで供給する部品を前記キャリアテープから取り出して基板に実装する実装ヘッドと
を備え、
前記フィーダ装着部には、第1種テープフィーダを前記テープフィーダとして装着可能であり、
前記第1種テープフィーダは、前記カバーテープが取り外された前記キャリアテープを、前記部品供給テープの搬送に伴って廃棄テープとして排出し、
前記テープ回収部は、対応する前記フィーダ着脱範囲に装着された前記第1種テープフィーダから排出された前記廃棄テープを回収し、
前記制御部は、同一品種の部品実装基板の生産中は、一のフィーダ着脱範囲に装着された前記テープフィーダから、同一の材質の前記廃棄テープが排出され、異なる材質の前記廃棄テープが混在して排出されないように、当該一のフィーダ着脱範囲に装着する前記テープフィーダを決定し、
前記制御部は、生産する部品実装基板の品種が変更されるか否かを監視し、前記生産する部品実装基板の品種が変更される場合は、当該品種の変更に伴って、前記一のフィーダ着脱範囲に装着された前記テープフィーダから排出される前記廃棄テープの材質に変更が生じるか否かを判断し、前記一のフィーダ着脱範囲に装着された前記テープフィーダから排出される前記廃棄テープの材質に変更が生じると判断した場合には、異なる材質の前記廃棄テープが前記テープ回収部に混在するのを防止するための混在防止処理
として、前記一のフィーダ着脱範囲に対して、前記廃棄テープが除去された前記テープ回収部をセットするメンテナンスをロボットに実行させる処理を実行する部品実装機。
【請求項3】
複数の部品を収容するキャリアテープと、前記キャリアテープを覆うカバーテープとを有する部品供給テープに収容された部品を基板に実装することで部品実装基板を生産する部品実装機において、
複数のテープ回収部と、
前記複数のテープ回収部にそれぞれ対応する複数のフィーダ着脱範囲を有し、前記フィーダ着脱範囲に複数のテープフィーダを着脱可能に装着できるフィーダ装着部と、
前記フィーダ着脱範囲に装着する前記テープフィーダを決定する制御部と、
前記制御部の決定に応じて前記フィーダ着脱範囲に装着された前記テープフィーダが前記部品供給テープを搬送することで供給する部品を前記キャリアテープから取り出して基板に実装する実装ヘッドと
を備え、
前記フィーダ装着部には、第1種テープフィーダを前記テープフィーダとして装着可能であり、
前記第1種テープフィーダは、前記カバーテープが取り外された前記キャリアテープを、前記部品供給テープの搬送に伴って廃棄テープとして排出し、
前記テープ回収部は、対応する前記フィーダ着脱範囲に装着された前記第1種テープフィーダから排出された前記廃棄テープを回収し、
前記制御部は、同一品種の部品実装基板の生産中は、一のフィーダ着脱範囲に装着された前記テープフィーダから、同一の材質の前記廃棄テープが排出され、異なる材質の前記廃棄テープが混在して排出されないように、当該一のフィーダ着脱範囲に装着する前記テープフィーダを決定し、
前記制御部は、生産する部品実装基板の品種の変更に伴って、前記一のフィーダ着脱範囲に装着された前記テープフィーダから排出される前記廃棄テープの材質に変更が生じる場合には、異なる材質の前記廃棄テープが前記テープ回収部に混在するのを防止するための混在防止処理を実行し、
生産する部品実装基板の品種が第1品種から第2品種に変更するのに伴って、前記一のフィーダ着脱範囲の前記第1種テープフィーダから排出される前記廃棄テープの材質が第1材質から第2材質に変更する場合において、
前記制御部は、前記第1品種の部品実装基板の生産前に、前記第1材質の前記廃棄テープを排出する前記第1種テープフィーダと、前記第2材質の前記廃棄テープを排出する前記第1種テープフィーダとのそれぞれを、前記一のフィーダ着脱範囲に装着すると決定し、
前記第1品種の部品実装基板の生産中は、前記第1材質の前記廃棄テープを排出する前記第1種テープフィーダが前記部品供給テープを搬送して部品を供給する一方、前記第2材質の前記廃棄テープを排出する前記第1種テープフィーダは前記部品供給テープを搬送せず、
前記第2品種の部品実装基板の生産中は、前記第2材質の前記廃棄テープを排出する前記第1種テープフィーダが前記部品供給テープを搬送して部品を供給する部品実装機。
【請求項4】
生産する部品実装基板の品種が第1品種から第2品種に変更するのに伴って、前記一のフィーダ着脱範囲の前記第1種テープフィーダから排出される前記廃棄テープの材質が第1材質から第2材質に変更する場合において、
前記制御部は、前記第1品種の部品実装基板の生産前に、前記第1材質の前記廃棄テープを排出する前記第1種テープフィーダを前記一のフィーダ着脱範囲に装着すると決定し、前記第1品種の部品実装基板の生産後であって前記第2品種の部品実装基板の生産前に、前記第2材質の前記廃棄テープを排出する前記第1種テープフィーダを前記一のフィーダ着脱範囲に装着すると決定する請求項1
または2に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記フィーダ装着部には、第2種テープフィーダを前記テープフィーダとして装着可能であり、
前記第2種テープフィーダは、前記キャリアテープおよび前記カバーテープのそれぞれを、前記部品供給テープの搬送に伴って前記廃棄テープとして排出し、
前記テープ回収部は、対応する前記フィーダ着脱範囲に装着された前記第2種テープフィーダから排出された前記廃棄テープを回収する請求項1ないし
4のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記制御部は、同一品種の部品実装基板の生産中に、前記一のフィーダ着脱範囲に装着される前記第1種テープフィーダが排出する前記キャリアテープと前記第2種テープフィーダが排出する前記キャリアテープおよび前記カバーテープの材質が同一である場合には、前記一のフィーダ着脱範囲に装着された前記第1種テープフィーダおよび前記第2種テープフィーダそれぞれからの前記廃棄テープの排出を許可しつつ、当該一のフィーダ着脱範囲に装着する前記テープフィーダを決定する請求項
5に記載の部品実装機。
【請求項7】
前記制御部は、同一品種の部品実装基板の生産中に、前記一のフィーダ着脱範囲に装着された前記第1種テープフィーダおよび前記第2種テープフィーダそれぞれからの前記廃棄テープが混在して排出されないように、当該一のフィーダ着脱範囲に装着する前記テープフィーダを決定する請求項
5に記載の部品実装機。
【請求項8】
前記制御部は、生産する部品実装基板の品種の変更に伴って、前記一のフィーダ着脱範囲に装着されて前記廃棄テープを排出する前記テープフィーダが、第1種テープフィーダと第2種テープフィーダとの間で変更される場合には、異なる種類の前記テープフィーダから排出された前記廃棄テープが前記テープ回収部に混在するのを防止するための処理を実行する請求項
7に記載の部品実装機。
【請求項9】
前記複数のテープ回収部のうち、2個以上のテープ回収部は、単一のテープ回収箱を仕切り部材で仕切って構成される請求項1ないし
8のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項10】
複数の部品を収容するキャリアテープと、前記キャリアテープを覆うカバーテープとを有する部品供給テープに収容された部品を基板に実装することで部品実装基板を生産する部品実装方法において、
複数のテープ回収部にそれぞれ対応する複数のフィーダ着脱範囲を有し、前記フィーダ着脱範囲に複数のテープフィーダを着脱可能に装着できるフィーダ装着部の前記フィーダ着脱範囲に装着する前記テープフィーダを決定する工程と、
前記フィーダ着脱範囲に装着された前記テープフィーダが前記部品供給テープを搬送することで供給する部品を前記キャリアテープから取り出して基板に実装する工程と、
作業者に報知を行う工程と
を備え、
前記フィーダ装着部には、第1種テープフィーダを前記テープフィーダとして装着可能であり、
前記第1種テープフィーダは、前記カバーテープが取り外された前記キャリアテープを、前記部品供給テープの搬送に伴って廃棄テープとして排出し、
前記テープ回収部は、対応する前記フィーダ着脱範囲に装着された前記第1種テープフィーダから排出された前記廃棄テープを回収し、
同一品種の部品実装基板の生産中は、一のフィーダ着脱範囲に装着された前記テープフィーダから、同一の材質の前記廃棄テープが排出され、異なる材質の前記廃棄テープが混在して排出されないように、当該一のフィーダ着脱範囲に装着する前記テープフィーダが決定され、
生産する部品実装基板の品種が変更されるか否かが監視され、前記生産する部品実装基板の品種が変更される場合は、当該品種の変更に伴って、前記一のフィーダ着脱範囲に装着された前記テープフィーダから排出される前記廃棄テープの材質に変更が生じるか否かが判断され、前記一のフィーダ着脱範囲に装着された前記テープフィーダから排出される前記廃棄テープの材質に変更が生じると判断された場合には、異なる材質の前記廃棄テープが前記テープ回収部に混在するのを防止するための混在防止処理
として、作業者に報知を実行する報知部に報知を実行させる処理が実行される部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の部品を収容するキャリアテープと、キャリアテープを覆うカバーテープとを有する部品供給テープに収容された部品を基板に実装することで部品実装基板を生産する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に示される部品実装機では、基板に実装される部品を供給するためにテープフィーダが用いられる。このテープフィーダは、複数の部品を収容する部品供給テープを搬送しつつ、キャリアテープからカバーテープを剥ぎ取って露出させた部品を供給する。また、テープフィーダの先端からは、カバーテープが剥ぎ取られたキャリアテープが排出され、テープ回収ボックスに回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-260042号公報
【文献】特開2011-129599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、キャリアテープの材質としては、紙および樹脂といった種々の材質が存在する。そのため、テープフィーダから廃棄テープとして排出されるキャリアテープをテープ回収部に回収するにあたって、異なる材質の廃棄テープがテープ回収部に混在してしまい、廃棄テープのリサイクルや処分が煩雑になる場合があった。そこで、特許文献2では、廃棄テープの材質毎にフィーダ着脱範囲を分割して、各フィーダ着脱範囲に対応する材質の廃棄テープを排出するテープフィーダを装着することで、材質に応じて廃棄テープを分別できるようにしている。これによって、異なる材質の廃棄テープがテープ回収部に混在するのを防止できる。
【0005】
ただし、部品実装基板の生産品種が変更されるのに伴って、フィーダ着脱範囲に装着されるテープフィーダにより供給する部品を変更する場合がある。このような場合に対しては、生産品種の変更後に使用する部品を供給するテープフィーダを、生産品種の変更に伴ってフィーダ着脱範囲に新たに装着する、あるいは当該テープフィーダを予めフィーダ着脱範囲に装着しておき、生産品種の変更後に当該テープフィーダの使用を開始することで対応できる。ただし、いずれで対応するにしても、生産品種の変更の前後で、フィーダ着脱範囲に装着されるテープフィーダから排出される廃棄テープの材質に変更が生じうる。その結果、生産品種の変更前後でテープ回収部に回収された廃棄テープの材質が異なり、異なる材質の廃棄テープがテープ回収部で混在するおそれがあった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、部品実装基板の生産品種の変更に伴って、異なる材質の廃棄テープが混在してテープ回収部に回収されるのを防止可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る部品実装機は、複数の部品を収容するキャリアテープと、キャリアテープを覆うカバーテープとを有する部品供給テープに収容された部品を基板に実装することで部品実装基板を生産する部品実装機において、複数のテープ回収部と、複数のテープ回収部にそれぞれ対応する複数のフィーダ着脱範囲を有し、フィーダ着脱範囲に複数のテープフィーダを着脱可能に装着できるフィーダ装着部と、フィーダ着脱範囲に装着するテープフィーダを決定する制御部と、制御部の決定に応じてフィーダ着脱範囲に装着されたテープフィーダが部品供給テープを搬送することで供給する部品をキャリアテープから取り出して基板に実装する実装ヘッドとを備え、フィーダ装着部には、第1種テープフィーダをテープフィーダとして装着可能であり、第1種テープフィーダは、カバーテープが取り外されたキャリアテープを、部品供給テープの搬送に伴って廃棄テープとして排出し、テープ回収部は、対応するフィーダ着脱範囲に装着された第1種テープフィーダから排出された廃棄テープを回収し、制御部は、同一品種の部品実装基板の生産中は、一のフィーダ着脱範囲に装着されたテープフィーダから、同一の材質の廃棄テープが排出され、異なる材質の廃棄テープが混在して排出されないように、当該一のフィーダ着脱範囲に装着するテープフィーダを決定し、制御部は、生産する部品実装基板の品種の変更に伴って、一のフィーダ着脱範囲に装着されたテープフィーダから排出される廃棄テープの材質に変更が生じる場合には、異なる材質の廃棄テープがテープ回収部に混在するのを防止するための混在防止処理を実行する。
【0008】
本発明に係る部品実装方法は、複数の部品を収容するキャリアテープと、キャリアテープを覆うカバーテープとを有する部品供給テープに収容された部品を基板に実装することで部品実装基板を生産する部品実装方法において、複数のテープ回収部にそれぞれ対応する複数のフィーダ着脱範囲を有し、フィーダ着脱範囲に複数のテープフィーダを着脱可能に装着できるフィーダ装着部のフィーダ着脱範囲に装着するテープフィーダを決定する工程と、フィーダ着脱範囲に装着されたテープフィーダが部品供給テープを搬送することで供給する部品をキャリアテープから取り出して基板に実装する工程と、作業者に報知を行う工程とを備え、フィーダ装着部には、第1種テープフィーダをテープフィーダとして装着可能であり、第1種テープフィーダは、カバーテープが取り外されたキャリアテープを、部品供給テープの搬送に伴って廃棄テープとして排出し、テープ回収部は、対応するフィーダ着脱範囲に装着された第1種テープフィーダから排出された廃棄テープを回収し、同一品種の部品実装基板の生産中は、一のフィーダ着脱範囲に装着されたテープフィーダから、同一の材質の廃棄テープが排出され、異なる材質の廃棄テープが混在して排出されないように、当該一のフィーダ着脱範囲に装着するテープフィーダが決定され、生産する部品実装基板の品種の変更に伴って、一のフィーダ着脱範囲に装着されたテープフィーダから排出される廃棄テープの材質に変更が生じる場合には、異なる材質の廃棄テープがテープ回収部に混在するのを防止するための混在防止処理を実行する。
【0009】
このように構成された本発明(部品実装機、部品実装方法)では、複数のテープ回収部にそれぞれ対応して複数のフィーダ着脱範囲が設けられ、各フィーダ着脱範囲には複数のテープフィーダを着脱可能に装着できる。特に、フィーダ着脱範囲には、第1種テープフィーダが装着可能であり、この第1種テープフィーダはカバーテープが取り外されたキャリアテープを、部品供給テープの搬送に伴って廃棄テープとして排出し、テープ回収部は、対応するフィーダ着脱範囲に装着された第1種テープフィーダから排出された廃棄テープを回収する。そして、同一品種の部品実装基板の生産中は、一のフィーダ着脱範囲に装着されたテープフィーダから、同一の材質の廃棄テープが排出され、異なる材質の廃棄テープが混在して排出されないように、当該一のフィーダ着脱範囲に装着するテープフィーダが決定される。一方、生産する部品実装基板の品種の変更に伴って、一のフィーダ着脱範囲に装着されたテープフィーダから排出される廃棄テープの材質に変更が生じる場合には、異なる材質の廃棄テープがテープ回収部に混在するのを防止するための混在防止処理が実行される。これによって、部品実装基板の生産品種の変更に伴って、異なる材質の廃棄テープが混在してテープ回収部に回収されるのを防止することが可能となっている。
【0010】
また、作業者に報知を実行する報知部をさらに備え、制御部は、報知部に報知を実行させる処理を、混在防止処理として実行するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、作業者は、報知部による報知を確認することで、廃棄テープが除去されたテープ回収部をセットすることができ、異なる材質の廃棄テープが混在してテープ回収部に回収されるのを防止することができる。
【0011】
また、制御部は、一のフィーダ着脱範囲に対して、廃棄テープが除去されたテープ回収部をセットするメンテナンスをロボットに実行させる処理を、混在防止処理として実行するように、部品実装機を構成してもよい。これによって、異なる材質の廃棄テープが混在してテープ回収部に回収されるのを防止することができる。
【0012】
また、生産する部品実装基板の品種が第1品種から第2品種に変更するのに伴って、一のフィーダ着脱範囲の第1種テープフィーダから排出される廃棄テープの材質が第1材質から第2材質に変更する場合において、制御部は、第1品種の部品実装基板の生産前に、第1材質の廃棄テープを排出する第1種テープフィーダと、第2材質の廃棄テープを排出する第1種テープフィーダとのそれぞれを、一のフィーダ着脱範囲に装着すると決定し、第1品種の部品実装基板の生産中は、第1材質の廃棄テープを排出する第1種テープフィーダが部品供給テープを搬送して部品を供給する一方、第2材質の廃棄テープを排出する第1テープフィーダは部品供給テープを搬送せず、第2品種の部品実装基板の生産中は、第2材質の廃棄テープを排出する第1種テープフィーダが部品供給テープを搬送して部品を供給するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、フィーダ着脱範囲に予め装着されていたテープフィーダによる部品の供給が、部品実装基板の品種の変更に応じて開始されるのに伴って、当該テープフィーダから排出される第2材質の廃棄テープが、部品実装基板の品種の変更前にテープ回収部に回収された第1材質の廃棄テープに混在するのを防止できる。
【0013】
また、生産する部品実装基板の品種が第1品種から第2品種に変更するのに伴って、一のフィーダ着脱範囲の第1種テープフィーダから排出される廃棄テープの材質が第1材質から第2材質に変更する場合において、制御部は、第1品種の部品実装基板の生産前に、第1材質の廃棄テープを排出する第1種テープフィーダを一のフィーダ着脱範囲に装着すると決定し、第1品種の部品実装基板の生産後であって第2品種の部品実装基板の生産前に、第2材質の廃棄テープを排出する第1種テープフィーダを一のフィーダ着脱範囲に装着すると決定するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、部品実装基板の品種の変更に伴って新たにフィーダ着脱範囲に装着されたテープフィーダから排出される第2材質の廃棄テープが、部品実装基板の品種の変更前にテープ回収部に回収された第1材質の廃棄テープに混在するのを防止できる。
【0014】
また、フィーダ装着部には、第2種テープフィーダをテープフィーダとして装着可能であり、第2種テープフィーダは、キャリアテープおよびカバーテープのそれぞれを、部品供給テープの搬送に伴って廃棄テープとして排出し、テープ回収部は、対応するフィーダ着脱範囲に装着された第2種テープフィーダから排出された廃棄テープを回収するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、一のフィーダ着脱範囲に装着された第1種テープフィーダおよび第2種テープフィーダのそれぞれから排出される廃棄テープの材質が異なる場合には、これらが混在してテープ回収部に回収されるのを防止できる。
【0015】
また、制御部は、同一品種の部品実装基板の生産中に、一のフィーダ着脱範囲に装着される第1種テープフィーダが排出するキャリアテープと第2種テープフィーダが排出するキャリアテープおよびカバーテープの材質が同一である場合には、一のフィーダ着脱範囲に装着された第1種テープフィーダおよび第2種テープフィーダそれぞれからの廃棄テープの排出を許可しつつ、当該一のフィーダ着脱範囲に装着するテープフィーダを決定するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、第1種テープフィーダおよび第2種テープフィーダのそれぞれから排出された同一の材質の廃棄テープ(キャリアテープ、カバーテープ)をまとめてテープ回収部に回収することができる。
【0016】
また、制御部は、同一品種の部品実装基板の生産中に、一のフィーダ着脱範囲に装着された第1種テープフィーダおよび第2種テープフィーダそれぞれからの廃棄テープが混在して排出されないように、当該一のフィーダ着脱範囲に装着するテープフィーダを決定するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、異なる種類のテープフィーダから排出された廃棄テープが混在してテープ回収部に回収されるのを防止できる。
【0017】
また、制御部は、生産する部品実装基板の品種の変更に伴って、一のフィーダ着脱範囲に装着されて廃棄テープを排出するテープフィーダが、第1種テープフィーダと第2種テープフィーダとの間で変更される場合には、異なる種類のテープフィーダから排出された廃棄テープがテープ回収部に混在するのを防止するための処理を実行するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、異なる種類のテープフィーダから排出された廃棄テープが混在してテープ回収部に回収されるのを防止できる。
【0018】
また、複数のテープ回収部のうち、2個以上のテープ回収部は、単一のテープ回収箱を仕切り部材で仕切って構成されるように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、異なる材質の廃棄テープの回収を単一のテープ回収箱により実行できる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、部品実装基板の生産品種の変更に伴って、異なる材質の廃棄テープが混在してテープ回収部に回収されるのを防止することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る部品実装機の外観構成を示す斜視図。
【
図3】
図1の部品実装機の内部構成を模式的に示す平面図。
【
図4】
図1の部品実装機で部品供給に用いられる部品供給テープを模式的に示す斜視図。
【
図5】部品供給台車に装着するテープフィーダの管理方法の一例を示す図。
【
図6A】
図5のテープフィーダの管理方法に従って2つの品種の部品実装基板を順番に生産する第1態様を模式的に示す平面図。
【
図6B】
図5のテープフィーダの管理方法に従って2つの品種の部品実装基板を順番に生産する第1態様を模式的に示す平面図。
【
図7】廃棄テープ管理の一例を示すフローチャート。
【
図8A】
図5のテープフィーダの管理方法に従って2つの品種の部品実装基板を順番に生産する第2態様を模式的に示す平面図。
【
図8B】
図5のテープフィーダの管理方法に従って2つの品種の部品実装基板を順番に生産する第2態様を模式的に示す平面図。
【
図9A】
図5のテープフィーダの管理方法に従って2つの品種の部品実装基板を順番に生産する第3態様を模式的に示す平面図。
【
図9B】
図5のテープフィーダの管理方法に従って2つの品種の部品実装基板を順番に生産する第3態様を模式的に示す平面図。
【
図10A】
図5のテープフィーダの管理方法に従って2つの品種の部品実装基板を順番に生産する第4態様を模式的に示す平面図。
【
図10B】
図5のテープフィーダの管理方法に従って2つの品種の部品実装基板を順番に生産する第4態様を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明に係る部品実装機の外観構成を示す斜視図であり、
図2は
図1の部品実装機の内部構成を示す斜視図であり、
図3は
図1の部品実装機の内部構成を模式的に示す平面図であり、
図4は
図1の部品実装機で部品供給に用いられる部品供給テープを模式的に示す斜視図である。本明細書では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示す。
【0022】
部品実装機1は、基台11と、基台11と、基台11の上に配置された一対のコンベア12とを備える。コンベア12は、X方向に平行に延設されている。この部品実装機1は、コンベア12によりX方向(基板搬送方向)の上流側から作業位置(
図1の基板Bの位置)に搬入した基板Bに対して部品E(
図4)を実装し、部品Eの実装を完了した基板Bをコンベア12により作業位置からX方向の下流側へ搬出する。こうして、部品Eを基板Bに実装した部品実装基板が生産される。
【0023】
部品実装機1では、Y方向に延びる一対のY軸レール21と、Y方向に延びるY軸ボールネジ22と、Y軸ボールネジ22を回転駆動するY軸モーターMyとが設けられ、X軸レール23が各Y軸レール21にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ22のナットに固定されている。X軸レール23には、X方向に延びるX軸ボールネジ24と、X軸ボールネジ24を回転駆動するX軸モーターMxとが取り付けられており、ヘッドユニット3がX軸レール23にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ24のナットに固定されている。したがって、Y軸モーターMyによりY軸ボールネジ22を回転させてヘッドユニット3をY方向に移動させ、あるいはX軸モーターMxによりX軸ボールネジ24を回転させてヘッドユニット3をX方向に移動させることができる。
【0024】
一対のコンベア12、12のY方向の両側それぞれでは、2つの部品供給部25がX方向に並んでいる。各部品供給部25では、複数のテープフィーダ4がX方向に並んでおり、各テープフィーダ4に対しては、集積回路、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の部品(チップ電子部品)を所定間隔おきに収容した部品供給テープTsが巻き付けられたリールRが配置されている。こうして、複数のテープフィーダ4に対応して複数のリールRが設けられ、各テープフィーダ4は対応するリールRから引き出した部品供給テープTsに収容された部品Eを供給する。つまり、各テープフィーダ4のコンベア12側の端(先端)には部品供給位置40が設けられており、各テープフィーダ4は、部品供給テープTsを一対のコンベア12側に間欠的に搬送する。これによって、部品供給テープTs内の部品Eが1個ずつ部品供給位置40に供給される。
【0025】
ヘッドユニット3は、X方向に並ぶ複数(6本)の実装ヘッド31を有する。各実装ヘッド31はZ方向(鉛直方向)に延びた長尺形状を有し、その下端に係脱可能に取り付けられたノズルによって部品Eを吸着・保持することができる。つまり、実装ヘッド31はノズルを部品供給位置40に上方から対向させつつ下降して、部品供給位置40に供給された部品Eにノズルを接触させる。続いて、実装ヘッド31はノズルに負圧を発生させて部品Eをノズルに吸着・保持しつつ上昇することで、部品供給位置40から部品Eを取り出す。そして、実装ヘッド31は基板Bの上方へ移動して、ノズルに保持した部品Eを基板Bに実装する。
【0026】
図4に示すように、部品供給テープTsは、キャリアテープTcとカバーテープTvとを有する。キャリアテープTcは、一列に並ぶ複数のポケットTcpを有し、各ポケットTcpに部品Eが収容されている。カバーテープTvは、キャリアテープTcに貼り付けられて、ポケットTcpの開口を閉塞する。テープフィーダ4は、キャリアテープTcに係合するスプロケットを有し、このスプロケットを回転させることで部品供給テープTsを部品供給位置40に向けて搬送する。また、テープフィーダ4は、テープ回収リール4rを有し、キャリアテープTcから剥ぎ取ったカバーテープTvをテープ回収リール4rに巻き取りつつ、カバーテープTvの剥ぎ取りによって露出した部品Eを部品供給位置40に供給する。そして、実装ヘッド31が部品供給位置40に供給された部品EをキャリアテープTcのポケットTcpから取り出す。こうして、部品Eが取り出されたキャリアテープTcは、テープフィーダ4による部品供給テープTsの搬送に伴って、テープフィーダ4の先端から排出される。
【0027】
図1に示すように、各部品供給部25には、部品供給台車5が着脱可能に取り付けられている。部品供給台車5には、複数のテープフィーダ4および複数のリールRのそれぞれが着脱可能に装着され、部品供給台車5が部品供給部25に取り付けられることで、部品供給部25に複数のテープフィーダ4および複数のリールRが配置される。また、部品供給台車5は、当該部品供給台車5に装着された複数のテープフィーダ4に対して設けられた単一のテープ回収箱6を保持し、これらのテープフィーダ4から排出されたキャリアテープTcをテープカッタで切断してから、テープ回収箱6に回収する。
【0028】
また、部品実装機1は、基台11内に制御部91を備える(
図2)。制御部91は、例えばプロセッサで構成され、基板Bを部品Eに実装するための部品実装機1の動作を制御する。つまり、制御部91は、ヘッドユニット3を駆動するX軸モーターMxおよびY軸モーターMyや実装ヘッド31の動作を制御したり、テープフィーダ4によるキャリアテープTcの搬送を制御したりする。また、後述するように、制御部91は、テープフィーダ4が搬送するキャリアテープTcの材質に応じて、テープフィーダ4を装着する部品供給台車5を決定する演算を実行する。
【0029】
さらに、部品実装機1は、ディスプレイといった出力機器92と、キーボードおよびマウスといった入力機器93と、警告灯94とを備える(
図1)。そして、制御部91は、出力機器92のディスプレイにおける表示を制御したり、出力機器93に対する作業者の入力操作に応じた演算を実行したり、部品実装機1で発生したエラーに応じて警告灯94を点灯させたりする。なお、出力機器92および入力機器93は別体で構成する必要はなく、タッチパネルディスプレイによって一体的に構成してもよい。
【0030】
ところで、部品供給テープTsのキャリアテープTcの材質は、紙と樹脂の2種類に大別される。この際、テープ回収箱6に回収されるキャリアテープTcをリサイクルするには、異なる材質のキャリアテープTcがテープ回収箱6で混在しないように、キャリアテープTc(廃棄テープ)を回収することが求められる。そこで、制御部91は、次のようにして、部品供給台車5に装着するテープフィーダ4を管理する。
【0031】
図5は部品供給台車に装着するテープフィーダの管理方法の一例を示す図であり、
図6Aおよび
図6Bは
図5のテープフィーダの管理方法に従って2つの品種の部品実装基板を順番に生産する第1態様を模式的に示す平面図である。これらの図では、第1品種の部品実装基板を生産してから、第1品種と異なる第2品種の部品実装基板を生産する場合に対応し、特に
図6Aは第1品種の部品実装基板の生産時を示し、
図6Bは第2品種の部品実装基板の生産時を示す。
【0032】
図6Aおよび
図6Bに示すように、部品実装機1が具備する4台の部品供給台車5(フィーダ装着部)のそれぞれはフィーダ着脱範囲A(1)~A(4)を有し、フィーダ着脱範囲A(1)~A(4)のそれぞれには、X方向に並ぶ複数のテープフィーダ4が着脱可能に装着される。なお、フィーダ着脱範囲A(1)~A(4)を特に区別しない場合には、フィーダ着脱範囲Aと適宜称することとする。各部品供給台車5はテープ回収箱6を保持しており、フィーダ着脱範囲A(1)~A(4)に対応してテープ回収箱6が設けられる。こうして、複数のフィーダ着脱範囲A(1)~A(4)にそれぞれ対応して複数のテープ回収箱6が設けられ、フィーダ着脱範囲A(1)~A(4)に装着されたテープフィーダ4が排出するキャリアテープTcは、フィーダ着脱範囲A(1)~A(4)に対応するテープ回収箱6に回収される。
【0033】
制御部91は、部品実装基板の開始前に、4個のフィーダ着脱範囲A(1)~A(4)のそれぞれについて、テープフィーダ4から排出されるキャリアテープTcの材質を設定する。
図5の例では、第1品種の部品実装基板の生産中は、フィーダ着脱範囲A(1)、A(2)、A(3)およびA(4)のそれぞれに、「紙」、「紙」、「樹脂」および「樹脂」が設定され、第2品種の部品実装基板の生産中は、フィーダ着脱範囲A(1)、A(2)、A(3)およびA(4)のそれぞれに、「紙」、「樹脂」、「紙」および「樹脂」が設定されている。
【0034】
かかる材質の設定により、第1品種の部品実装基板の生産中は、フィーダ着脱範囲A(1)、A(2)に装着されたテープフィーダ4からは紙のキャリアテープTcが排出される一方、樹脂のキャリアテープTcは排出されず、フィーダ着脱範囲A(3)、A(4)に装着されたテープフィーダ4からは樹脂のキャリアテープTcが排出される一方、紙のキャリアテープTcは排出されない。また、第2品種の部品実装基板の生産中は、フィーダ着脱範囲A(1)、A(3)に装着されたテープフィーダ4からは紙のキャリアテープTcが排出される一方、樹脂のキャリアテープTcは排出されず、フィーダ着脱範囲A(2)、A(4)に装着されたテープフィーダ4からは樹脂のキャリアテープTcが排出される一方、紙のキャリアテープTcは排出されない。
【0035】
そこで、制御部91は、第1品種の部品実装基板の生産開始前に、
図6Aに示すように、各部品供給台車5にテープフィーダ4を装着する段取りを行うよう、出力機器92のディスプレイによって作業者に指示する。これによって、フィーダ着脱範囲A(1)には、紙のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4のみが装着され、フィーダ着脱範囲A(2)、A(3)には、紙のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4と、樹脂のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4とが装着され、フィーダ着脱範囲A(4)には、樹脂のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4のみが装着される。
【0036】
こうして段取りが完了すると、第1品種の部品実装基板の生産と、第2品種の部品実装基板の生産とが順番に実行される。これによって、第1品種の部品実装基板の生産中は、
図6Aのうち、斜線ハッチングが付されたテープフィーダ4が部品供給テープTsを搬送して部品Eを供給し、斜線ハッチングが付されていないテープフィーダ4は部品供給テープTsを搬送しない。つまり、フィーダ着脱範囲A(2)に装着された、紙のキャリアテープTcを排出するキャリアテープTcは搬送を実行し、樹脂のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4は搬送を停止し、フィーダ着脱範囲A(3)に装着された、樹脂のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4は搬送を実行し、紙のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4は搬送を停止する。
【0037】
また、第2品種の部品実装基板の生産中は、
図6Bのうち、斜線ハッチングが付されたテープフィーダ4が部品供給テープTsを搬送して部品Eを供給し、斜線ハッチングが付されていないテープフィーダ4は部品供給テープTsを搬送しない。つまり、フィーダ着脱範囲A(2)に装着された、樹脂のキャリアテープTcを排出するキャリアテープTcは搬送を実行し、紙のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4は搬送を停止し、フィーダ着脱範囲A(3)に装着された、紙のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4は搬送を実行し、樹脂のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4は搬送を停止する。
【0038】
なお、生産する部品実装基板の品種が第1品種から第2品種に変更されるにあたって、フィーダ着脱範囲A(2)に装着されたテープフィーダ4から排出されるキャリアテープTcの材質が紙から樹脂に変更される。また、フィーダ着脱範囲A(3)に装着されたテープフィーダ4から排出されるキャリアテープTcの材質が樹脂から紙に変更される。そこで、制御部91は、部品実装基板の品種の変更に応じて、次の廃棄テープ管理を実行する。
【0039】
図7は廃棄テープ管理の一例を示すフローチャートである。ステップS101では、生産する部品実装基板の品種が変更されるか否かが監視される。そして、品種が変更される場合(ステップS101で「YES」の場合)には、部品実装機1の複数のフィーダ着脱範囲A(1)~A(4)のうち、それに装着されるテープフィーダ4から排出されるキャリアテープTcの材質に変更が生じるフィーダ着脱範囲Aが存在するか否かが判断される(ステップS102)。
【0040】
ここの例では、フィーダ着脱範囲A(2)、A(3)において、それぞれに装着されたテープフィーダ4から排出されるキャリアテープTcの材質に変更が生じる(ステップS102で「YES」)。そこで、制御部91は、材質の異なるキャリアテープTcがテープ回収箱6に混在するのを防止する作業を作業者に促す報知を出力機器92のディスプレイに実行させる(混在防止処理)。例えば、第1品種の部品実装基板の生産終了後であって、第2品種の部品実装基板の生産開始前に、フィーダ着脱範囲A(2)、A(3)に対応するテープ回収箱6内のキャリアテープTcを除去するように作業者に報知する。
【0041】
以上に説明した実施形態では、複数のテープ回収箱6(テープ回収部)にそれぞれ対応して複数のフィーダ着脱範囲A(1)~A(4)が設けられ、各フィーダ着脱範囲A(1)~A(4)には複数のテープフィーダ4を着脱可能に装着できる。特に、フィーダ着脱範囲A(1)~A(4)に装着されるテープフィーダ4(第1種テープフィーダ)は、カバーテープTvが取り外されたキャリアテープTc(廃棄テープ)を、部品供給テープTsの搬送に伴って排出し、テープ回収箱6は、対応するフィーダ着脱範囲A(1)~A(4)に装着されたテープフィーダ4から排出されたキャリアテープTcを回収する。そして、同一品種の部品実装基板の生産中は、一のフィーダ着脱範囲Aに装着されたテープフィーダ4から、同一の材質のキャリアテープTcが排出され、異なる材質のキャリアテープTcが混在して排出されないように、当該一のフィーダ着脱範囲Aに装着するテープフィーダ4が決定される(
図6A、
図6B)。一方、生産する部品実装基板の品種の変更に伴って、一のフィーダ着脱範囲Aに装着されたテープフィーダ4から排出されるキャリアテープTcの材質に変更が生じる場合には、異なる材質のキャリアテープTcがテープ回収箱6に混在するのを防止するための混在防止処理が実行される(ステップS103)。これによって、部品実装基板の生産品種の変更に伴って、異なる材質のキャリアテープTcが混在してテープ回収箱6に回収されるのを防止することが可能となっている。
【0042】
また、作業者に報知を実行する出力機器92(報知部)が具備されており、制御部91は、出力機器92に報知を実行させる処理を、混在防止処理として実行する(ステップS103)。かかる構成では、作業者は、出力機器92による報知を確認することで、キャリアテープTcが除去されたテープ回収箱6を部品供給台車5にセットすることができ、異なる材質のキャリアテープTcが混在してテープ回収箱6に回収されるのを防止することができる。
【0043】
ちなみに、上記の実施形態では、部品実装基板の生産のための段取りを、第1品種および第2品種に対して共通化する共通段取りが実行されている。そのため、フィーダ着脱範囲A(2)に対しては、紙(第1材質)のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4と、樹脂(第2材質)のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4とのそれぞれを、第1品種の部品実装基板の生産開始前に装着すると、制御部91により決定される。同様に、フィーダ着脱範囲A(3)に対しては、樹脂(第1材質)のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4と、紙(第2材質)のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4とのそれぞれを、第1品種の部品実装基板の生産開始前に装着すると、制御部91により決定される。したがって、生産する部品実装基板の品種が第1品種から第2品種に変更されると、フィーダ着脱範囲A(2)、A(3)においては、テープフィーダ4から排出されるキャリアテープTcの材質に変更が生じる。これに対して、制御部91は、上記の廃棄テープ管理(
図7)を実行する。そのため、フィーダ着脱範囲A(2)に予め装着されていたテープフィーダ4による部品Eの供給が、部品実装基板の品種の変更に応じて開始されるのに伴って、当該テープフィーダ4から排出される樹脂(第2材質)のキャリアテープTcが、部品実装基板の品種の変更前にテープ回収箱6に回収された紙(第1材質)のキャリアテープTcに混在するのを防止できる。
【0044】
図8Aおよび
図8Bは
図5のテープフィーダの管理方法に従って2つの品種の部品実装基板を順番に生産する第2態様を模式的に示す平面図である。特に
図8Aは第1品種の部品実装基板の生産時を示し、
図8Bは第2品種の部品実装基板の生産時を示す。第1態様と第2態様とが異なるのは共通段取りを実行するか否かであるため、ここでは、第1態様との差異点を中心に説明することとし、共通点については相当符号を付して適宜説明を省略する。なお、第2態様においても、第1態様と共通する構成を具備することで相応の効果が奏される点は言うまでもない。かかる点は、以下に示す各変形例について同様である。
【0045】
第2態様では、第1品種の部品実装基板の生産開始前において、フィーダ着脱範囲A(1)、A(2)には、紙のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4のみが装着され、フィーダ着脱範囲A(3)、A(4)には、樹脂のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4のみが装着される(
図8A)。そして、生産する部品実装基板の品種が第1品種から第2品種に変更されるに伴って、フィーダ着脱範囲A(2)、A(3)に装着されるテープフィーダ4が変更される。具体的には、第1品種の部品実装基板の生産中にフィーダ着脱範囲A(2)に装着されていた紙のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4のうち一部のテープフィーダ4が、樹脂のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4に変更される。同様に、第1品種の部品実装基板の生産中にフィーダ着脱範囲A(3)に装着されていた、樹脂のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4のうち一部のテープフィーダ4が、紙のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4に変更される。こうして、テープフィーダ4が変更されてから、第2品種の部品実装基板が生産される。
【0046】
したがって、生産する部品実装基板の品種が第1品種から第2品種に変更されると、フィーダ着脱範囲A(2)、A(3)においては、テープフィーダ4から排出されるキャリアテープTcの材質に変更が生じる。これに対して、制御部91は、上記の廃棄テープ管理(
図7)を実行する。そのため、部品実装基板の品種の変更に伴って新たにフィーダ着脱範囲A(2)に装着されたテープフィーダ4から排出される樹脂(第2材質)のキャリアテープTcが、部品実装基板の品種の変更前にテープ回収箱6に回収された紙(第1材質)のキャリアテープTcに混在するのを防止できる。同様に、部品実装基板の品種の変更に伴って新たにフィーダ着脱範囲A(3)に装着されたテープフィーダ4から排出される紙(第2材質)のキャリアテープTcが、部品実装基板の品種の変更前にテープ回収箱6に回収された樹脂(第1材質)のキャリアテープTcに混在するのを防止できる。
【0047】
ところで、フィーダ着脱範囲A(1)~A(4)に対しては、上述のようにカバーテープTvをキャリアテープTcから剥ぎ取るテープフィーダ4の他に、特開2015-053320号に記載の方法で部品Eを露出させるテープフィーダ4x(
図9A、
図9B)を用いることができる。かかるテープフィーダ4xは、カバーテープTvを切り裂いて捲ることで部品Eを露出させ、部品供給テープTsの搬送に伴ってキャリアテープTcおよびカバーテープTvの両方を排出する。
【0048】
図9Aおよび
図9Bは
図5のテープフィーダの管理方法に従って2つの品種の部品実装基板を順番に生産する第3態様を模式的に示す平面図である。
図9Aおよび
図9では2種類のテープフィーダが用いられ、特に
図9Aは第1品種の部品実装基板の生産時を示し、
図9Bは第2品種の部品実装基板の生産時を示す。
【0049】
この第3態様においても、
図5に示したように、部品実装基板の開始前に、4個のフィーダ着脱範囲A(1)~A(4)のそれぞれに対して、テープフィーダ4から排出されるキャリアテープTcの材質が設定される。なお、テープフィーダ4xによって搬送される部品供給テープTsとしては、紙のキャリアテープTcと樹脂のカバーテープTvとの組み合わせで構成される部品供給テープTsと、樹脂のキャリアテープTcと樹脂のカバーテープTvとの組み合わせで構成される部品供給テープTsとが存在する。
【0050】
こうして着脱範囲A(1)~A(4)に対して設定された材質に応じて、着脱範囲A(1)~A(4)に対して装着するテープフィーダ4、4xが決定される。この際、テープフィーダ4から排出される樹脂のキャリアテープTcと、テープフィーダ4xから排出される樹脂のキャリアテープTcおよび樹脂のカバーテープTvとの混在は許容される。一方、テープフィーダ4から排出される紙あるいは樹脂のキャリアテープTcと、テープフィーダ4xから排出される紙のキャリアテープTcおよび樹脂のカバーテープTvとの混在は禁止される。
【0051】
その結果、
図9Aおよび
図9Bに示すように、フィーダ着脱範囲A(2)には、第1品種の部品実装基板の生産用に、紙のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4が装着されるとともに、第2品種の部品実装基板の生産用に、紙のキャリアテープTcおよび樹脂のカバーテープTvを排出するテープフィーダ4xが装着される。また、フィーダ着脱範囲A(3)には、第1品種の部品実装基板の生産用に、樹脂のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4と、それぞれ樹脂のキャリアテープTcおよびカバーテープTvを排出するテープフィーダ4xとが装着され、第2品種の部品実装基板の生産用に、紙のキャリアテープTcを排出するテープフィーダ4が装着される。
【0052】
つまり、制御部91は、第1品種の部品実装基板の生産開始前に、
図9Aに示すように、各部品供給台車5にテープフィーダ4を装着する段取りを行うよう、出力機器92のディスプレイによって作業者に指示する。こうして段取りが完了すると、第1品種の部品実装基板の生産と、第2品種の部品実装基板の生産とが順番に実行される。これによって、第1品種の部品実装基板の生産中は、
図9Aのうち、斜線ハッチングが付されたテープフィーダ4が部品供給テープTsを搬送して部品Eを供給し、斜線ハッチングが付されていないテープフィーダ4は部品供給テープTsを搬送しない。また、第2品種の部品実装基板の生産中は、
図9Bのうち、斜線ハッチングが付されたテープフィーダ4が部品供給テープTsを搬送して部品Eを供給し、斜線ハッチングが付されていないテープフィーダ4は部品供給テープTsを搬送しない。
【0053】
なお、生産する部品実装基板の品種が第1品種から第2品種に変更されるにあたって、フィーダ着脱範囲A(2)に装着されたテープフィーダ4から排出されるキャリアテープTcの材質に変更が生じる。また、フィーダ着脱範囲A(3)に装着されたテープフィーダ4から排出されるキャリアテープTcの材質に変更が生じる。そこで、制御部91は、
図7の廃棄テープ管理を実行する。
【0054】
かかる第3態様では、フィーダ着脱範囲A(1)~A(4)には、テープフィーダ4xを装着可能であり、テープフィーダ4xは、キャリアテープTc(廃棄テープ)およびカバーテープTv(廃棄テープ)を、部品供給テープTsの搬送に伴って排出する。そして、テープ回収箱6は、対応するフィーダ着脱範囲A(1)~A(4)に装着されたテープフィーダ4xから排出されたキャリアテープTcおよびカバーテープTvを回収する。これに対して、上記と同様に
図7の廃棄テープ管理が実行されるため、一のフィーダ着脱範囲Aに装着されたテープフィーダ4(第1種テープフィーダ)およびテープフィーダ4x(第2種テープフィーダ)のそれぞれから排出されるキャリアテープTcおよびカバーテープTvの材質が異なる場合には、これらが混在してテープ回収箱6に回収されるのを防止できる(ステップS103)。
【0055】
また、制御部91は、同一品種の部品実装基板の生産中に、一のフィーダ着脱範囲Aに装着されるテープフィーダ4が排出するキャリアテープTcとテープフィーダ4xが排出するキャリアテープTcおよびカバーテープTvの材質が同一である場合には、一のフィーダ着脱範囲Aに装着されたテープフィーダ4およびテープフィーダ4xそれぞれからのキャリアテープTcおよびカバーテープTvの排出を許可しつつ、当該一のフィーダ着脱範囲Aに装着するテープフィーダ4、4xを決定する(
図9A、
図9B)。かかる構成では、テープフィーダ4およびテープフィーダ4xのそれぞれから排出された同一の材質のキャリアテープTcおよびカバーテープTvをまとめてテープ回収箱6に回収することができる。
【0056】
以上に説明したように本実施形態では、部品実装機1が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、実装ヘッド31が本発明の「実装ヘッド」の一例に相当し、テープフィーダ4が本発明の「テープフィーダ」および「第1種テープフィーダ」の一例に相当し、テープフィーダ4xが本発明の「テープフィーダ」および「第2種テープフィーダ」の一例に相当し、複数の部品供給台車5が協働して本発明の「フィーダ装着部」の一例に相当し、テープ回収箱6が本発明の「テープ回収部」の一例に相当し、制御部91が本発明の「制御部」の一例に相当し、出力機器92が本発明の「報知部」の一例に相当し、フィーダ着脱範囲A(1)~A(4)のそれぞれが本発明の「フィーダ着脱範囲」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、部品Eが本発明の「部品」の一例に相当し、キャリアテープTcが本発明の「キャリアテープ」および「廃棄テープ」の一例に相当し、部品供給テープTsが本発明の「部品供給テープ」の一例に相当し、カバーテープTvが本発明の「カバーテープ」および「廃棄テープ」の一例に相当し、ステップS103が本発明の「混在防止処理」の一例に相当する。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えばステップS103で実行する処理の内容を変更してもよい。具体的には、制御部91は、AGV(Automated guided vehicle)等のロボットに対して通信によって指令を出力することで、フィーダ着脱範囲A(2)、A(3)に対して、キャリアテープTc(およびカバーテープTv)が除去されたテープ回収箱6をセットするメンテナンスを当該ロボットに実行させてもよい(混在防止処理)。これによって、異なる材質のキャリアテープTc(カバーテープTv)が混在してテープ回収箱6に回収されるのを防止することができる。
【0058】
あるいは、例えば
図10Aおよび
図10Bのように構成してもよい。
図10Aおよび
図10Bは
図5のテープフィーダの管理方法に従って2つの品種の部品実装基板を順番に生産する第4態様を模式的に示す平面図である。
図10Aおよび
図10では2種類のテープフィーダが用いられ、特に
図10Aは第1品種の部品実装基板の生産時を示し、
図10Bは第2品種の部品実装基板の生産時を示す。
【0059】
第4態様では、テープフィーダ4xが排出するキャリアテープTcおよびカバーテープTvの材質に依らず、制御部91は、テープフィーダ4が排出するキャリアテープTcと、テープフィーダ4xが排出するキャリアテープTcおよびカバーテープTvとがテープ回収箱6で混在するのを禁止する。
【0060】
したがって、第1品種の部品実装基板を生産中は、フィーダ着脱範囲A(2)に装着されるテープフィーダ4、4xのうち、テープフィーダ4は部品供給テープTsの搬送を実行する一方、テープフィーダ4xは部品供給テープTsの搬送を停止する。同様に、フィーダ着脱範囲A(4)に装着されるテープフィーダ4、4xのうち、テープフィーダ4は部品供給テープTsの搬送を実行する一方、テープフィーダ4xは部品供給テープTsの搬送を停止する。
【0061】
また、第2品種の部品実装基板を生産中は、フィーダ着脱範囲A(2)に装着されるテープフィーダ4、4xのうち、テープフィーダ4は部品供給テープTsの搬送を停止する一方、テープフィーダ4xは部品供給テープTsの搬送を実行する。同様に、フィーダ着脱範囲A(4)に装着されるテープフィーダ4、4xのうち、テープフィーダ4は部品供給テープTsの搬送を停止する一方、テープフィーダ4xは部品供給テープTsの搬送を実行する。
【0062】
また、制御部91は、生産する部品実装基板の品種の変更に伴って、部品供給テープTsの搬送を実行するテープフィーダがテープフィーダ4とテープフィーダ4xとの間で変更されるフィーダ着脱範囲Aが存在するかを確認する。そして、該当のフィーダ着脱範囲Aが存在する場合には、制御部91は、異なる種類のテープフィーダ4、4xから排出されたキャリアテープTc(カバーテープTv)がテープ回収箱6に混在するのを防止するための処理を実行する。具体的には、ステップS103と同様に、作業者への報知や、ロボットへ通信によって、かかる処理を実行する。第4態様の例では、フィーダ着脱範囲A(2)、A(4)において、部品実装基板の品種の変更に伴って部品供給テープTsの搬送を実行するテープフィーダの種類が変更されるため、フィーダ着脱範囲A(2)、A(4)に対して、キャリアテープTc(およびカバーテープTv)が除去されたテープ回収箱6をセットするように、作業者あるいはロボットに求める。
【0063】
かかる第4態様では、制御部91は、同一品種の部品実装基板の生産中に、一のフィーダ着脱範囲Aに装着されたテープフィーダ4およびテープフィーダ4xそれぞれからのキャリアテープTc(あるいはカバーテープTv)が混在して排出されないように、当該一のフィーダ着脱範囲Aに装着するテープフィーダ4、4xを決定する(
図10A、
図10B)。かかる構成では、異なる種類のテープフィーダ4、4xから排出されたキャリアテープTc(あるいはカバーテープTv)が混在してテープ回収箱6に回収されるのを防止できる。
【0064】
また、制御部91は、生産する部品実装基板の品種の変更に伴って、一のフィーダ着脱範囲Aに装着されてキャリアテープTcを排出するテープフィーダが、テープフィーダ4とテープフィーダ4xとの間で変更される場合には、異なる種類のテープフィーダ4、4xから排出されたキャリアテープTc(あるいはカバーテープTv)がテープ回収箱6に混在するのを防止するための処理を実行する。かかる構成では、異なる種類のテープフィーダ4、4xから排出されたキャリアテープTc(あるいはカバーテープTv)が混在してテープ回収箱6に回収されるのを防止できる。
【0065】
また、テープ回収箱6の構成を変更することもできる。
図11はテープ回収箱の変形例を示す図である。テープ回収箱6は、ハウジング61を有し、ハウジング61の内側がテープ収容空間62となる。このテープ収容空間62は、上方に開口しており、テープフィーダ4から排出されたキャリアテープTc(あるいはカバーテープTv)は、テープ収容空間62に収容される。
【0066】
さらに、この変形例では、テープ収容空間62が仕切り板63によって仕切られて、2個の分割収容空間64に分割されている。かかる構成では、2個の分割収容空間64に対応して、1台の部品供給台車5に2個のフィーダ着脱範囲Aを設けることができる。また、仕切り板63の1枚に限られず、2枚以上でもよく、仕切り板63の個数を増やすことで、1台の部品供給台車5に設けるフィーダ着脱範囲Aの個数を増やすことができる。
【0067】
このように、
図11の変形例によれば、2個以上の分割収容空間64(テープ回収部)は、単一のテープ回収箱6を仕切り板63で仕切って構成される。かかる構成では、異なる材質のキャリアテープTc(あるいはカバーテープTv)の回収を単一のテープ回収箱6により実行できる。
【0068】
また、
図9A、
図9B、
図10Aおよび
図10Bに示すように、テープフィーダ4xを用いた第1品種および第2品種の部品実装基板の生産では、共通段取りを実行していた。しかしながら、テープフィーダ4xを用いる場合においても、共通段取りによらず、生産する部品実装基板の品種が変更される度に段取りを行ってもよい。
【0069】
なお、異なる材質として区別する材質の種類は2種類に限られず、3種類でもよく、具体的な材質も紙および樹脂に限られない。
【0070】
また、作業者への報知を実行する構成は、出力機器92のディスプレイに限られず、例えば警告灯94でも構わない。
【符号の説明】
【0071】
1…部品実装機
31…実装ヘッド
4…テープフィーダ(第1種テープフィーダ)
4x…テープフィーダ(第2種テープフィーダ)
5…部品供給台車(フィーダ装着部)
6…テープ回収箱(テープ回収部)
91…制御部
92…出力機器
A(1)~A(4)…フィーダ着脱範囲
B…基板
E…部品
Tc…キャリアテープ(廃棄テープ)
Ts…部品供給テープ
Tv…カバーテープ(廃棄テープ)
S103…混在防止処理