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特許7497135画像形成装置、該画像形成装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】画像形成装置、該画像形成装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240603BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B41J29/38 202
G06F3/12 303
G06F3/12 355
G06F3/12 356
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018003774
(22)【出願日】2018-01-12
(65)【公開番号】P2019123106
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-12-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】金田 健
【合議体】
【審判長】藤本 義仁
【審判官】殿川 雅也
【審判官】門 良成
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-118475(JP,A)
【文献】特開2010-108470(JP,A)
【文献】特開2004-234510(JP,A)
【文献】特開2005-43981(JP,A)
【文献】特開2017-84027(JP,A)
【文献】特開2016-91044(JP,A)
【文献】特開2006-110861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設定値を含む印刷設定とユーザ識別情報を情報処理装置から受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記印刷設定が1つの印刷データに対して設定することができない2以上の設定値の組である禁則条件に該当する設定値の組を含むか否か、および、受信した前記印刷設定が受信した前記ユーザ識別情報と対応づけて記憶された所定の設定項目において利用制限されている第1の設定値を含むか否か、を判定する判定手段と、
前記受信手段が受信した前記印刷設定が前記第1の設定値を含むと前記判定手段により判定されたことに基づき、前記所定の設定項目にいて利用が制限されていない第2の設定値を前記情報処理装置に送信する送信手段と、を有し、
ユーザが前記情報処理装置において前記第2の設定値を含む印刷設定で印刷を行う指示をした場合、前記受信手段は、前記送信手段により送信された前記第2の設定値を含む印刷設定を前記情報処理装置から受信し、
前記判定手段は前記第2の設定値を含む印刷設定について、前記第2の設定値と前記第2の設定値を含む印刷設定のうちの設定値の組が前記禁則条件に該当する前記設定値の組と一致するか否かを判定し、
前記送信手段は、前記禁則条件に該当する前記設定値の組と一致すると前記判定手段が判定したとき、前記禁則条件に該当した旨のエラーを前記情報処理装置に送信することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記送信手段は、受信した前記印刷設定が受信した前記ユーザ識別情報と対応づけて記憶された前記第1の設定値を含むと前記判定手段が判定した場合、前記印刷設定で印刷を行うことができないエラーを前記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記受信手段は、前記印刷設定と前記印刷設定の検証要求を前記情報処理装置から受信することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記送信手段は、前記検証要求に対する応答として前記判定手段による判定の結果を送信することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記送信手段は、受信した前記印刷設定に前記第1の設定値を含まないと前記判定手段が判定し、受信した前記印刷設定に1つの印刷データに対して設定することができない2以上の設定値の組である禁則条件に該当する設定値の組が含まれると前記判定手段が判定した場合、前記禁則条件に該当した旨のエラーを前記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記送信手段は、受信した前記印刷設定に前記第1の設定値を含まないと前記判定手段が判定し、受信した前記印刷設定に1つの印刷データに対して設定することができない2以上の設定値の組である禁則条件に該当する設定値の組が含まれると前記判定手段が判定した場合、前記禁則条件に該当した旨のエラー前記禁則条件に該当すると判定された2以上の設定値と、を前記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記送信手段は、受信した前記印刷設定が前記1つの印刷データに対して設定することができない2以上の設定値の組である禁則条件に該当する設定値の組を含まず、かつ、受信した前記ユーザ識別情報に対応づけて記憶された前記第1の設定値も含まないと前記判定手段が判定した場合、受信した前記印刷設定で印刷を実行することができること示す判定の結果を前記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記受信手段は、受信した前記印刷設定で印刷を実行することができることを示す判定の結果を受信した前記情報処理装置から印刷データを受信することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
受信したユーザ識別情報と対応づけて記憶された前記第1の設定値は、印刷のカラーモードに関する設定、両面印刷に関する設定、ページ集約設定のいずれかの設定項目の設定値であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
複数の設定値を含む印刷設定とユーザ識別情報を情報処理装置から受信する第1の受信工程と、
前記第1の受信工程において受信した前記印刷設定が1つの印刷データに対して設定することができない2以上の設定値の組である禁則条件に該当する設定値の組を含むか否か、および、受信した前記印刷設定が受信した前記ユーザ識別情報と対応づけて記憶された所定の設定項目において利用制限されている第1の設定値を含むか否か、を判定する第1の判定工程と、
前記第1の受信工程において受信した前記印刷設定が前記第1の設定値を含むと前記第1の判定工程において判定されたことに基づき、前記所定の設定項目にいて利用が制限されていない第2の設定値を前記情報処理装置に送信する第1の送信工程と、
ユーザが前記情報処理装置において前記第2の設定値を含む印刷設定で印刷を行う指示をした場合、前記第1の送信工程において送信された前記第2の設定値を含む印刷設定を前記情報処理装置から受信する第2の受信工程と、
前記第2の設定値を含む印刷設定について、前記第2の設定値と前記第2の設定値を含む印刷設定のうちの設定値の組が前記禁則条件に該当する前記設定値の組と一致するか否かを判定する第2の判定工程と、
前記禁則条件に該当する前記設定値の組と一致すると前記第2の判定工程において判定されたとき、前記禁則条件に該当した旨のエラーを前記情報処理装置に送信する第2の送信工程と、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の各手段をコンピュータが実現するためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョブを処理する画像形成装置、該画像形成装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続され、ネットワークを介して情報処理装置から印刷データを受信して印刷を行う印刷装置がある。また情報処理装置において、個々の印刷装置を使用するために設計されたプリンタドライバ(又はプリントアプリケーション)を使用して、印刷装置に送信する印刷データを生成することが従来から知られている。
【0003】
また近年、情報処理装置において、個々の印刷装置を使用するために設計されたプリンタドライバ(又はプリントアプリケーション)を介さずに印刷データを生成することが知られている。例えば、情報処理装置のオペレーティングシステム(OS)の機能として提供される汎用のプリントサービスやクラウド上のプリントサーバなどが提供する汎用のプリントサービスによって印刷データを生成して印刷装置に送信することも行われている。例えば、印刷装置に印刷データを送信して印刷を実行させるためのネットワークプロトコル(IPP:Internet Printing Protocol)が実装されている。このプロトコルに従って印刷装置と情報処理装置とが通信を行うことで印刷処理を実現している。
【0004】
IPPなどの規格に準拠して汎用のプリントサービスを提供するプリントサーバや情報処理装置は、様々な種類の印刷装置に対応することが望まれる。そのため、印刷装置ごとに異なる機能や仕様および、禁則条件を内部に保持できず、印刷装置から取得するか印刷装置に問い合わせる必要がある。非特許文献1にはIPP印刷において、validate jobオペレーションを発行すると、(ジョブを投入することなく)ジョブの属性の非サポート属性が返却される手段が記述されている。非特許文献2には、非特許文献1のvalidate jobを用いる際に、推奨設定をジョブ投入対象からジョブ投入元へ返却する手段が記載されている。具体的には、job-preferred-attributes-supportedなる情報を、validate job命令の返却値として受け取ることが記載されている。具体例として、“preferred-attributes”として、 コンフリクトが解消され、使用されうる代替の設定値を返却することが非特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】RFC2911 Section 3.2.3 Validate-Job Operation[平成30年1月9日検索](https://tools.ietf.org/html/rfc2911)
【文献】PWG 5100.13 Job and Printer Extensions 1.3 Constraints and“preferred-attributes” [平成30年1月9日検索](https://ftp.pwg.org/pub/pwg/candidates/cs-ippjobprinterext3v10-20120727-5100.13.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的な印刷装置と対応するプリンタドライバは用紙種類の選択、画質設定、フィニッシング処理の選択など、複数の設定項目を提供するが、機能毎の設定によっては複数機能を同時に利用できないケースがある。これらは通常、「禁則条件」と呼ばれており、ユーザに指定できない組み合わせをフィードバックする。更に印刷装置はユーザ毎に利用可能な機能を制限する「ユーザ毎の機能制限」を設ける場合がある。しかしながら、設定値の検証において、機能制限または禁則条件に該当する場合、禁則条件や機能制限に関わる通知はできても、適切な推奨設定値や代替設定値を提案することは、ユーザ観点、または/および、実装観点から困難であった。さらに、画像形成装置を用いるサービスの実装における複雑さが増していた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述の課題の少なくともひとつを鑑みてなされたものであり、複数の設定値を含む印刷設定とユーザ識別情報を情報処理装置から受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記印刷設定が1つの印刷データに対して設定することができない2以上の設定値の組である禁則条件に該当する設定値の組を含むか否か、および、受信した前記印刷設定が受信した前記ユーザ識別情報と対応づけて記憶された所定の設定項目において利用制限されている第1の設定値を含むか否か、を判定する判定手段と、前記受信手段が受信した前記印刷設定が前記第1の設定値を含むと前記判定手段により判定されたことに基づき、前記所定の設定項目にいて利用が制限されていない第2の設定値を前記情報処理装置に送信する送信手段と、を有し、ユーザが前記情報処理装置において前記第2の設定値を含む印刷設定で印刷を行う指示をした場合、前記受信手段は、前記送信手段により送信された前記第2の設定値を含む印刷設定を前記情報処理装置から受信し、前記判定手段は前記第2の設定値を含む印刷設定について、前記第2の設定値と前記第2の設定値を含む印刷設定のうちの設定値の組が前記禁則条件に該当する前記設定値の組と一致するか否かを判定し、前記送信手段は、前記禁則条件に該当する前記設定値の組と一致すると前記判定手段が判定したとき、前記禁則条件に該当した旨のエラーを前記情報処理装置に送信することを特徴とする。
【0008】
また、本実施形態の別の側面は、ジョブの設定値を通信装置から受信する受信手段と
前記受信手段が受信した設定値が、前記ジョブ発行元の印刷権限の禁則に該当する設定値を含み、前記ジョブ発行元の印刷権限の禁則に該当する設定値の代替となりうる代替設定値が、ジョブの設定値に関する所定の禁則条件に該当する場合、前記代替設定値のさらに代替となりうる設定は通知せず、前記所定の禁則条件に関する情報を通知する通知手段を有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの側面によれば、画像形成装置を用いるサービスの実装における複雑さを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の印刷システムの構成の一例を示す図である。
図2】印刷装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】印刷装置のソフトウェア構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4】携帯端末103から印刷装置へのシーケンスの一例を示す図である。
図5】携帯端末103と印刷装置で交換するIPP印刷設定の検証要求・応答の一例を示す図である。
図6】禁則、および機能制限に基づく印刷設定の検証処理に関する印刷装置の処理を説明するフローチャートの一例を示す図である。
図7】印刷装置の機能をユーザ毎に制限する認証サーバ上のユーザ管理テーブルの一例を示す図である。
図8】印刷装置が持つ強制機能の推奨設定管理テーブルの一例を示す図である。
図9】携帯端末の印刷設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。図1は、本発明の実施例である印刷システムの構成の一例を示す図である。LAN(Local Area Network)100上には、印刷装置101、AP(アクセスポイント)102が互いに通信可能に接続されている。印刷装置101に印刷ジョブを送信する情報処理装置の一例として、タブレットやスマートフォンなどの携帯端末103,104を例に説明する。
【0012】
以降、携帯端末103を代表させて説明する。携帯端末103は、AP102を介してLAN100上の印刷装置101と互いに通信できる。また印刷設定の管理サーバ105は印刷装置101が印刷ジョブを処理する際、携帯端末103および104の各ユーザが設定可能な印刷機能に関する情報を管理する。印刷装置101は携帯端末103からの印刷ジョブ依頼を受けるとユーザ毎に認証サーバ105に印刷可否を問い合わせ、その結果に基づき印刷処理を行う。印刷装置101は画像形成装置の一例である。印刷ジョブはジョブの一例である。ユーザは、ジョブ発行元の一例である。ジョブ発行元は、部門IDに対応する部門であってもよい。ジョブ発行元はジョブ作成者と称することもある。
【0013】
本実施例では、印刷システムの一例として上記の構成例で説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも1つ以上の情報処理装置と印刷装置とがネットワークを介して通信可能に接続されていればよい。またネットワークは無線であっても有線であっても良い。印刷設定の管理サーバについても印刷装置101と分離する必要はなく、印刷装置内部にユーザDBを保持する形態であってもよい。まず印刷装置101について説明する。この印刷装置101はシート(記録媒体)に画像を印刷する印刷機能を有する。印刷装置101は、ネットワークを介して受信した印刷データに基づく印刷処理を実行できる。
【0014】
図2は、本実施例に係る印刷装置101のハードウェア構成の一例を示す図である。印刷装置101はシートに画像を印刷する印刷機能を有する。本実施例では印刷装置を例に説明するが、印刷装置にスキャナやFAX機能を含むMFP(Multi Function Peripheral)等の印刷装置であってもよい。
【0015】
CPU(Central Processing Unit)211を含む制御部210は、MFP101全体の動作を制御する。CPU211は、ROM(Read Only Memory)212又はストレージ214に記憶されたプログラムをRAM213に展開し、それを実行して印刷制御や読取制御などの各種制御を行う。ROM212は、CPU211で実行可能な制御プログラムやブートプログラム等を格納する。RAM(Random Access Memory)213は、CPU211の主記憶メモリであり、ワークエリア又は各種制御プログラムを展開するための一時記憶領域として用いられる。ストレージ214は、印刷データ、画像データ、各種プログラム、及び各種設定情報を記憶する。本実施例ではストレージ214としてHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置を想定しているが、SSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリを用いても良い。
【0016】
尚、実施形態1に係る印刷装置101では、1つのCPU211が1つのメモリ(RAM213)を用いて後述するフローチャートに示す各処理を実行するものとするが、他の様態であっても構わない。例えば複数のCPU、RAM、ROM、及びストレージを協働させて、後述するフローチャートに示す各処理を実行しても良い。またASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェア回路を用いて一部の処理を実行するようにしてもよい。
【0017】
操作部インタフェース(I/F)215は、操作部216と制御部210とを接続する。操作部216には、タッチパネル機能を有する表示部や各種ハードキーなどが備えられ、情報を表示する表示部や、ユーザの指示を受け付ける受付部として機能する。印刷部I/F219は、印刷部(プリンタエンジン)220と制御部210とを接続する。携帯端末103から受信した印刷ジョブを解析して生成された画像データは、印刷部I/F219を介して制御部210から印刷部220に転送される。印刷部220は制御部210を介して制御コマンド及び印刷すべき印刷ジョブを受信し、その印刷ジョブに基づいて給紙カセット(不図示)から給送されたシートに画像を印刷する。尚、印刷部220の印刷方式は、電子写真方式であってもよいし、インクジェット方式であってもよい。また熱転写方式などその他の印刷方式を適用することもできる。また制御部210は、通信部I/F223を介してLAN100に接続される。通信部I/F223は、LAN100上の携帯端末103に画像データや情報を送信したり、LAN100上の携帯端末103から印刷ジョブや情報を受信する。
【0018】
画像処理部224は、LAN100を介して受信した印刷ジョブを展開して印刷に用いる画像データを生成するRIP(Raster Image Processor)の機能を備えている。また画像処理部224は、印刷ジョブを展開して得られた画像データの解像度変換や補正処理を行うこともできる。尚、本実施例では、画像処理部224がハードウェア回路(ASIC又はFPGAなど)で実現されることを想定しているが、これに限定されるものではない。例えば、MFP101が画像処理用途向けのプロセッサを更に備え、そのプロセッサが画像処理プログラムを実行することにより、画像処理や、印刷データへの展開処理を実現してもよい。この場合、このプロセッサとCPU211とが協働して後述するフローチャートを実現するものとする。更には、画像処理を行うためのプログラムをCPU211が実行し、画像処理や印刷データの展開処理を行うように構成することもできる。また、これらのいずれかの組み合わせにより画像処理を行うようにしてもよい。
【0019】
シート処理部I/F221は、制御部210とシート処理部222とを接続する。シート処理部222は、制御部210から制御コマンドを受信し、その制御コマンドに従って印刷部220により印刷されたシートに後処理を施す。
【0020】
図3は、本実施形態1に係るMFP101のソフトウェア構成を説明する機能ブロック図である。尚、この図3に示す各機能ブロックは、本実施例では、CPU211がRAM213に展開したプログラムを実行することにより達成されるものとする。
【0021】
IPPプリントサービス制御部315は、エンジン制御部314から取得するプリンタの構成情報を携帯端末103に通知する。構成情報には、利用可能な用紙サイズや用紙種類、カラーやモノクロの印刷モード、片面/両面、N-up等の印刷面付けにかかわる設定など、通常の印刷設定画面に表示する詳細仕様を含む。
【0022】
携帯端末103は印刷装置101から受信した構成情報に基づき印刷画面を生成する。ユーザは構成情報に基づいて作成された印刷画面内で印刷設定を行い、印刷ボタンを押下する。印刷ボタンを押下すると携帯端末103はジョブの設定情報を生成し、印刷装置101に対してユーザ設定の検証を依頼する(後述するValidate-Jobリクエスト)。
【0023】
IPPプリントサービス制御部315はこの検証依頼を受けて、印刷設定情報をモバイルジョブ設定保存・検証部303に渡す。モバイルジョブ設定保存・検証部(303)は、印刷権限検証部304を通じて、ユーザ毎の印刷機能の制限情報をサーバ装置105から取得する。そして、各ユーザが設定したジョブ属性と、利用を許可されている印刷機能、プリンタの能力から決まる禁則条件を踏まえて、検証の結果、印刷可能な場合はIPPプリントサービス制御部315を経由して、携帯端末103に「印刷可」を通知する。もし、ユーザが利用許可のない印刷機能を設定している場合は、利用を禁止された機能を使わないよう推奨設定を通知する。また印刷装置101の能力として組み合わせ不可能な印刷設定が行われている場合、印刷設定の見直しをユーザに要求する。これらの処理の詳細は後述する図6の禁則条件の確認、推奨設定の通知に関するフローチャートで説明する。
【0024】
携帯端末103のIPPクライアント制御部は、印刷装置101から検証の結果、「印刷可」の通知を受けた場合のみ印刷ジョブを生成して印刷装置101へ送信する。検証結果が「印刷不可」の場合、印刷装置101から「推奨設定」のみ、あるいは「推奨設定」と「禁則通知」の両方を受信する。携帯端末103のIPPクライアントは印刷装置101から「推奨設定」を通知された場合は「推奨設定」に含まれる印刷設定項目を「推奨値」で上書きし、ユーザに確認画面を出す。携帯端末103のIPPクライアントはユーザが更新された設定値を承認した場合のみ、新しい印刷設定で印刷データを送信する。
【0025】
携帯端末103のIPPクライアントは、印刷装置101から禁則条件に該当する旨のエラー通知を受けた場合、ユーザに禁則条件に該当すること、該当する設定項目の変更を促す。ユーザが印刷設定を変更し改めて印刷ボタンを押下すると、携帯端末103のIPPクライアント制御部は印刷設定の再検証を印刷装置101に依頼する。
【0026】
IPPプリントサービス制御部315は、携帯端末103からIPP印刷ジョブを受信すると、印刷ジョブ生成部302に受信データを渡す。また、印刷ジョブ設定情報をモバイルジョブ設定保存・検証部303に渡す。
【0027】
UI制御部301は、処理中の印刷ジョブの状態に関する情報をジョブ制御部307から取得し、印刷ジョブの処理状況をUI画面に表示する。
【0028】
印刷ジョブ生成部302は、携帯端末103からの印刷ジョブをIPPプリントサービス制御部315経由で受信し、描画データをデータ受信制御部305に書き込むと共に、ジョブ制御部307に新規ジョブとして登録し、印刷処理の開始を要求する。更に印刷ジョブに適用する印刷設定情報をモバイルジョブ設定更新部303経由でジョブ属性保存部308に渡す。
【0029】
データ受信制御部305は、印刷ジョブ生成部302が受信した印刷ジョブの受信バッファ領域であり、印刷ジョブ毎にストレージ214に一時保存する。ジョブ制御部307が、PDL解析部306に印刷ジョブのPDL解析処理を指示すると、PDL解析部306が、その印刷ジョブをデータ受信制御部305に要求する。これによりデータ受信制御部305は、その印刷ジョブのデータをPDL解析部306に渡す。
【0030】
ジョブ制御部307は、PDL解析部306に印刷ジョブの解析指示を行う。ページ制御部309はPDL解析部306が生成するページデータに関して、画像データをページ保存部310に、ページ属性情報をページ属性保存部311に保存する。
【0031】
ジョブ属性保存部308は印刷ジョブの属性情報を保存する。この属性情報は「部数」、「Nup(集約印刷)」、「印刷面(片面/両面)設定」、「カラー/モノクロモード」、「フィニッシング設定」などIPPのジョブ属性、ドキュメント属性として設定されるものである。
【0032】
ページ制御部309は、PDL解析部306のページ解析処理、RIP制御部313のRIP処理、印刷制御部312の印刷制御処理を制御する。印刷制御部312は、ページ保存部310からRIP済みの画像データを取得し、CMYKに色分解してエンジン制御部314に転送する。エンジン制御部314は、印刷制御部312からのページ単位でCMYK別の画像データを受け取り、印刷部220を制御して各ページの印刷処理を行う。
【0033】
図4は、本実施例の印刷システムにおいて、携帯端末103から印刷装置101に印刷する際の印刷設定の検証、検証結果に伴う再設定等の処理全体を説明するシーケンス図である。
【0034】
S4001にてユーザの携帯端末103の印刷アプリケーションにおいて印刷画面を開く指示を携帯端末103,104内のアプリケーションが受け付ける。この時、同一ネットワーク100上の印刷装置101に対してプリンタ検索の検索要求が送信され、応答したプリンタが携帯端末103のディスプレイのプリンタ上にリストアップされる。
【0035】
情報処理装置の一例が、携帯端末103,104である。
【0036】
これを受けて、S4002において、ユーザによる特定の1台のプリンタの選択指示を携帯端末103が受け付ける。プリンタ選択の指示に応じて印刷画面が開く。ユーザのプリンタ選択後、携帯端末103内のプログラムであるIPPクライアントは、ユーザが選択した印刷装置101に対して印刷装置の属性情報を要求(Get-Printer-Attribute-Request)を発行する。S4003では印刷装置101が携帯端末103に対して印刷装置の能力情報(Get-Printer-Attribute-Response)を応答する。この時、S4003で通知する能力情報にはプリンタから禁則条件に該当し印刷設定に対して推奨設定通知の通知が可能かを判断するためのpreferred-attribute-supported情報を含む。
【0037】
携帯端末103は、S4003で通知された印刷能力情報に基づき、印刷装置101の印刷設定画面を生成する。S4004ではユーザがこの印刷画面で印刷設定を行い、印刷ボタンを押下する。携帯端末103はS4005にて、印刷ジョブの生成と送信の前に、印刷画面から印刷設定のみ(印刷データは含まない)を生成し、印刷装置101に印刷設定の検証を依頼する(Validate-Job-Request)。この検証処理はユーザが印刷設定画面で1項目変更する度に実施してもよいし、一連の設定変更を終えて印刷ボタンを押下したタイミングでまとめて実施してもよい。S4006にて印刷装置101は検証を依頼してきた携帯端末103のユーザ情報をユーザ権限管理サーバ105に照会する。照会とは、問い合わせのリクエストを送ることである。管理サーバはS4007にて印刷装置101に該当ユーザの設定が必要な設定項目(仕様上の必須設定項目)とその設定値を通知する。S4008にて印刷装置101はユーザの利用可能な印刷機能、印刷設定とプリンタの禁則情報から、S4005で依頼された印刷設定が実行可能かを検証する。
【0038】
S4008での検証結果、ユーザの設定値が印刷可能な場合のシーケンスをS4101~S4102に示す。S4101で印刷装置101は携帯端末103へ、S4008の検証依頼に対し、「印刷可」であることを通知する。S4101の通知を受けてS4102で携帯端末103は印刷装置101に印刷データを送信する。この場合、S4004以降の印刷処理において、ユーザ操作は発生しない。これは図4のケース1、後述する図6のフローチャートではS602,S610,S608の処理フローに該当する。
【0039】
S4008での検証結果、ユーザの設定値が印刷装置101の禁則条件に該当しており、禁則対象の設定項目の通知とユーザによる対象項目の再設定が必要な場合のシーケンスをS4201~S4206に示す。
【0040】
S4201では印刷装置101から禁則条件により印刷できないこと、禁則条件に該当する設定項目とその設定値が携帯端末103へ通知される。S4202では携帯端末103が応答結果を踏まえて禁則条件に該当する属性の情報を抽出する。そして、S4203でユーザに禁則情報を通知(9401,9402)する。ユーザに通知とは、例えば、携帯端末103が有するディスプレイ上に表示したり、メールやWebサービスで遠隔でネットワークを介して通知したりすることである。S4204でユーザは携帯端末103における表示情報に基づいて、印刷装置101の禁則条件を回避するための印刷設定変更を行う。携帯端末103は、その印刷設定変更を受け付ける。そしてS4205にてユーザにより印刷ボタン(9103)の押下を携帯端末103が受け付ける。これを受けて携帯端末103はS4206で改めて印刷装置101に印刷設定の検証要求を出す。これは図4のケース2、後述する図6のフローチャートにおけるS602,S610,611の処理フローに相当する。
【0041】
S4008での検証結果、ユーザの設定値がユーザ毎の機能制限に該当する場合は制限事項を踏まえた推奨設定の通知とユーザによる承認のシーケンスをS4301~S4305に示す。S4301では印刷装置101から禁則条件により印刷できないこと、禁則条件に該当する設定項目とその設定値、さらに変更するべき属性とその属性値が推奨設定として通知される(S606)。ユーザに対する通知の意義は、S4203と同様である。以下、「ユーザに対する情報処理装置の通知」については、特に述べない限り同様とする。
【0042】
これを踏まえ、携帯端末103はS4302にて、禁則条件に該当し、印刷装置101から通知された推奨設定値に沿って設定項目を変更した印刷画面を生成する(9601,9602,9603)。ユーザはこの画面を確認して禁則条件に該当した設定項目の変更が必要であることを確認する(S4303)。ユーザは変更された印刷画面(9600)を確認し、再度、印刷ボタン(9103)を押すことにより推奨設定を承認する(S4304)。これにより、ユーザは、後の設定を優先する。若しくは、設定をやり直す。例えば、ユーザは、先の設定を優先して後の設定をあきらめる。携帯端末103は推奨設定の承認を受けて改めて印刷装置101に印刷設定の検証要求を出す。これは図4のケース3、後述する図6のフローチャートにおいてはS601,S602,S603,S605,S606,S607の処理フローに該当する。
【0043】
図5に印刷設定検証(Validate-Job)のメッセージサンプルを示す。
【0044】
設定検証要求メッセージ5100は携帯端末103が印刷装置101へ印刷設定の検証を依頼するメッセージ例(S4005)である。携帯端末103が印刷装置101へ検証結果を通知する(S4101,S4201、S4301)。5200,5300,5400,5500は、それぞれの通知におけるレスポンスの一例である。
【0045】
検証要求5100の例ではユーザは用紙タイプにOHPシート、かつ片面の印刷設定(5101)に関する検証要求を行っている。通常、印刷可の場合は5200に示す「印刷可」(5201)が印刷装置101から携帯端末103に通知される。これを受けて印刷装置101は印刷ジョブを発行する(図4のケース1)。
【0046】
例えば、ユーザが用紙種類にOHPシート、かつ両面の設定で設定検証を行った場合、次のようになる。携帯端末103は設定検証指示を受け付ける。そして、印刷装置101の禁則条件に該当し、印刷処理を進められないため、禁則制限に該当することをユーザに通知する。メッセージ5300はユーザ設定がプリンタの禁則制限に該当することを通知する。5301の(client-error-conflicting-attributes)は次を示す。携帯端末103の印刷設定に禁則条件に該当する設定組み合わせがあること、5302にて具体的に禁則に該当するのが「両面印刷」と「用紙種類:OHP」であることを携帯端末103がユーザに対して通知する(図4のケース2)。
【0047】
5400はユーザ毎に利用可能な機能が管理サーバ105の管理情報により制限される状態で、制限対象機能を含むジョブ設定の検証依頼を受けた場合に印刷装置101が携帯端末103に返すエラー通知の例である。ステータスコードは5401に示す通り、禁則エラーを示す。ただし、5300と違い、ユーザ毎の機能制限に伴う禁則対象属性がサポート外の属性として5402に記載され、ユーザ毎の機能制限内の推奨設定値が5403に記載される。携帯端末103は5402の情報に基づき、変更が必要な属性を5403の推奨値に置き換えて表示し、ユーザに承認を求める(図4のケース3)。
【0048】
最後にユーザ毎の機能制限に関する印刷設定検証における例外パターンを説明する。これは設定検証処理において、ユーザの印刷設定がユーザ毎の機能制限から外れるため、ユーザ毎の強制設定項目を適用した推奨設定値(5502)を生成する。しかし、強制適用して生成した推奨値が印刷装置101の禁則条件に該当する場合、強制適用値を戻して元の設定(5503)で印刷を行う。図6における、S605、S609,S610,S608の動作フローが該当する。
【0049】
図6では携帯端末103からの印刷設定検証要求(S4005)に対応し、印刷装置101のモバイルジョブ設定保存・検証部303、および印刷権限検証部304が行う印刷設定の検証処理について、フローチャートを用いて詳細に説明する。
【0050】
S601の前段の処理では、ユーザからの入力を携帯端末103が受け付ける。そして、印刷設定画面の設定項目を確認し、印刷ボタン(9103)の押下を携帯端末103が受け付ける。携帯端末103は、印刷ボタン(9103)の押下に応答して、印刷装置101に対してValidate Job Requestを送信する。Validate Job Requestには、印刷設定画面で設定された設定項目が含まれる。印刷装置101は、S601で、印刷設定を受信する。なお、携帯端末103において表示される印刷設定画面(9300)は印刷装置101からの能力情報の通知(GetPrinterAttributeResponse)等に基づいて生成される。
【0051】
前述のように、図6は、Validate Job Requestを印刷装置101が受信したことに応じて処理が開始する。S601では、印刷装置101は、Validate Job Requestに含まれる印刷設定項目を確認する。具体的には、印刷設定項目(9300-9500)は、ネットワーク経由で印刷装置101のモバイルジョブ設定保存・検証部303に設定検証要求(ValidateJob)という形で渡される。この印刷設定項目が、確認・識別される。
【0052】
なお、設定検証要求時にIPP認証を行うことにより、印刷装置101は検証要求を発行する携帯端末103のユーザを把握する。そして印刷権限検証部(304)に対し、当該ユーザに適用される印刷機能制限の設定有無の問い合わせを行う(S602)。当該ユーザに対する機能制限の設定が無いと印刷装置101が判断した場合はS610に進み、機能制限の設定があると印刷装置101が判断した場合はS603に進む。
【0053】
S603では設定保存・検証部303が印刷権限検証部304から取得した情報に基づき、検証要求のあった印刷設定が当該ユーザに対する機能制限の範囲内か判断する。設定保存・検証部303が機能制限の範囲内の印刷設定と判断すれば、S605に進み、制限機能の範囲を超えると判断した場合はS604に進む。
【0054】
S604では強制的に制限機能の対象項目の設定を制限内に収まるよう、設定値を変更する。具体的には、片面印刷が禁止されているユーザは両面印刷に、カラー印刷が禁止されているユーザはモノクロ印刷に、2in1以上の縮小印刷が義務付けられているユーザには2in1を設定する。そして、S606へ進む。
【0055】
S606では、設定保存・検証部303が携帯端末103のIPPクライアントに次を通知する。つまり、IPPプリントサービス制御部315を通してS604で推奨値に置換した印刷属性(先の例では両面設定の値)が推奨設定値として通知される。推奨設定値とは、ここではpreferred-attributeである。図5のメッセージサンプルにおいては、5401のエラー通知コード、5402の禁則対象属性、5403の禁則対象属性に対する推奨設定値が該当する。
【0056】
S607では、印刷装置101は、ユーザによる携帯端末103からのキャンセル通知またはユーザにより承認された印刷設定を受信するかを待つ。S607で印刷装置101が携帯端末103からキャンセル通知を受信した場合は、S612でジョブのキャンセル処理をして終了する。S607で印刷設定を受信した場合は、S605へ進む。
【0057】
なお、S605では、S604で設定項目を置換した結果、ユーザに対して設定値を制限している属性とその他の属性間で新たに印刷装置の禁則仕様に該当しないか検証する。新しい設定値の組み合わせが禁則仕様に該当しない場合はS608へ進む。禁則仕様に該当する場合はS609へ進む。
【0058】
例えば、両面印刷を義務付けられたユーザの場合、S604にて一時的に両面印刷が有効化されるが、他の印刷設定項目と競合が発生することがある。用紙サイズが機種にはよるが、印刷機の都合で印刷できない両面印刷できないB5等のサイズであったり、両面印刷できない用紙種別が指定される場合である。このような設定値がユーザにより承認され、S607で受信されると、S605でチェックされNOとなる。このようなケースではS609に進み、設定保存・検証部303は強制印刷設定の設定項目について禁則条件を回避可能な値に変更する。例えば両面から片面印刷に戻す、などを行う。その後、S610に進む。
【0059】
なお、S606において、印刷装置101から推奨設定値(preferred-attribute)を含む通知を受けた携帯端末103内のIPPクライアントは、次の処理を行う。
【0060】
印刷装置101から受けた推奨設定値(preferred-attribute)を印刷設定画面の設定項目(9500)を更新箇所が分かる形でユーザに携帯端末103のディスプレイにおいて再表示(9600)する。これにより、ユーザに変更箇所の承認を携帯端末103が求める。ユーザは変更を承認する場合、改めて印刷設定画面の印刷ボタン(9103)を押下する(S605へ進む)。
【0061】
もしくは、S606の通知を受けた携帯端末103のIPPクライアントが印刷装置101から受けた推奨設定値(preferred-attribute)を後の有効な設定として自動的に印刷設定画面してもよい。そのうえで、先に設定されていた設定項目をクリアまたは無効化し、当該箇所が分かる形でユーザに再表示してもよい。当該表示は、なんらかユーザのアイコン操作に基づきわかる形にしてもよい。
【0062】
S610では、印刷装置101の設定保存・検証部303がIPP印刷ジョブの設定値に印刷装置101の禁則制限項目が含まれていないか検証を行う。印刷装置101の能力に基づく禁則対象の設定を含まない場合、S608へ進む。禁則対象となる設定を含む場合はS611へ進む。印刷装置101の禁則ルールの一部を図8に示す。
【0063】
S608において、設定保存・検証部303の検証を終えた設定がジョブ属性保存部(308)に保存されており、印刷装置101はこの設定に従って先に述べたPDL解析処理・RIP処理、RIP画像の印字処理を行う。
【0064】
S611では設定保存・検証部303がIPPプリントサービス制御部(315)を通じ、携帯端末103に検証結果として、禁則条件に基づく検証エラー(5301)、および禁則条件に該当した属性の設定値を携帯端末103へ通知する(5302)。
【0065】
なお、この通知を受けた携帯端末103側のIPPクライアントは、ユーザに対して(5302)で通知された属性が禁則条件に該当すること、設定値の見直しが必要であることをユーザに通知する(9403)。ユーザは指示に従って印刷設定を変更し、再度印刷ボタン(9103)を押下することになる。そして、処理はS611に再び戻る。
【0066】
なお、S611では、禁則とならない推奨設定を求めて、ユーザにその推奨設定を後の設定として自動的に設定した画面を表示してもよい。もしくは、禁則とならない推奨設定を後設定としてユーザに提示し、ユーザの承認を条件として設定実行をしてもよい。後設定のユーザによる承認が否認されれば、処理を終了するようにしてもよい。ただし、この処理は必須ではない。
【0067】
図7について説明する。図7は本実施例における、ユーザ権限管理サーバ105が保持する管理テーブルと具体的なデータ例である。表の行がユーザ毎の設定、列がユーザ毎に利用可能な印刷装置の機能を示している。
【0068】
S603で、印刷ジョブのユーザを印刷装置101が特定する。そして、当該ユーザについて管理サーバ105へ通知する。管理サーバ105は印刷装置101からS4006にて各ユーザの強制設定項目の照会を受ける。管理サーバは該当するユーザを検索し、強制設定項目のON/OFFを印刷装置101に通知する(S4007)。本実施例では佐藤さん、鈴木さん、ゲストユーザ、管理者の4名の利用可能な印刷機能が登録されている。ユーザ権限管理サーバ105に対応する印刷装置101では特定のユーザは両面印刷、モノクロ印刷、Nup印刷の機能の仕様が義務付けられている。例えば、佐藤さんとゲストユーザは両面印刷とモノクロ印刷、2in1印刷機能の利用を義務付けられており、片面出力やカラー印刷、1in1の印刷設定を利用できない(もし設定した場合は印刷を開始できない)。鈴木さんは強制モノクロ印刷がFalseであることから、カラー印刷を利用可能であるが、片面印刷と1in1印刷は利用できない。管理者のみが両面印刷・カラー印刷・1in1印刷を利用可能となっている。管理セーバからの図7の情報を受けて、印刷装置101は、設定されている内容がユーザの権限に関する禁則条件に該当するかどうかを判定してもよい。
【0069】
もし、佐藤さんのジョブに片面設定がされていたら、片面設定は、両面設定に置換されることになる(S604)。
【0070】
図8について説明する。
【0071】
本実施例では、印刷装置101は強制的に適用する印刷機能として「両面印刷」、「モノクロ印刷」、「2in1印刷」を提供している。表8100、8200には、強制的に両面印刷を適用できない属性の組み合わせ(8110/8210)、適用可能な組み合わせ(8120/8220)、それぞれの代替設定を示す。強制属性を適用可能な場合の代替設定(8121/8221)を推奨設定(preferred-attributes)として扱う。
【0072】
図8は、S606で参照される。例えば、もし、佐藤さんのジョブに片面設定がされていたら、片面設定は、両面設定に置換されることになる(S604)。
【0073】
そして、S606では、図8により、両面設定と、佐藤さんのジョブの他の設定値との禁則有無が判定される。佐藤さんのジョブにOHPが設定されていれば、代替設定値として、両面OFFを決定する。または、後からシステムにより設定指示された両面設定を優先することとして、OHPをOFFを代替設定とする考え方もある。
【0074】
表8300は強制的にモノクロ印刷を適用できない属性の組み合わせを示す(該当欄が無いことから特に制約が無いことを示している)。この場合、常に強制属性を提供可能であることからBW指定が適用可能な代替設定(8311)を推奨設定(preferred-attributes)として扱う。
【0075】
表8400は強制的に2in1印刷を適用できない属性の組み合わせを示す。強制的に2up印刷を適用できない属性の組み合わせ(8410)とその代替設定(8420)、および適用可能な組み合わせ(8420)とその代替設定(8421)を示す。2upを強制適用可能な場合の代替設定(8421)を推奨設定(preferred-attributes)として扱う。
【0076】
図9に本実施例におけるIPPクライアントの印刷画面を示す。図9100が基本印刷画面、図9200が同一ネットワーク上のプリンタ選択画面である。
【0077】
ユーザはアプリケーションから印刷画面(9100)を呼び出し、9101のプリンタ選択ボタンを押して、画面9200を開き、9201からプリンタを選択する。このときプリンタの能力情報を取得し、プリンタのオプション情報を取得する。これにより選択したプリンタのオプション設定9300が表示可能になる。図9300では設定可能な項目例として用紙サイズ(9301)、用紙種類(9302)、カラーモード(9303)、両面印刷(9304)、Nup(9305)がある。
【0078】
図9400はユーザが設定した設定項目同士が禁則設定に該当する場合のユーザ通知画面の例である。例えば、用紙種類9302にて「OHP」、両面設定9304にて「両面」を指定したとする。ここで、一連の設定後にユーザが印刷ボタン(9103)を押下すると、印刷装置側設定検証(Validate-Job処理)が行われる。その結果、禁則属性として用紙タイプと両面設定が禁則属性であることが、9401,9402のアイコン、および9403のメッセージとして携帯端末103のディスプレイ上に表示される。
【0079】
次にユーザの印刷設定が、通常の印刷装置の設定としては禁則条件に該当していないが、各ユーザの利用許可された範囲内になっていない場合について説明する。図9の500では「ユーザ:佐藤」がA4・普通紙を片面(9501)で印刷設定している。しかし図7の権限テーブルによれば、「ユーザ:佐藤」は両面印刷が義務づけられている。このため、印刷ボタン9103を押下すると設定の検証(Validate-Job処理)が行われ、その結果、推奨設定として両面印刷をONに変更、という通知が印刷装置101から携帯端末103に対して行われる。この処理は、図6のS601からS606に対応する。これを受けて携帯端末103のIPPクライアントは9601の画面に警告表示を、先に設定されていた9602の両面設定をOFFからONに変更、9603に案内メッセージの表示を行う。若しくは、先に設定されていた9602の両面設定をOFFからONに変更する前に、9602の両面設定をOFFからONに変更の可否を問い合わせるメッセージを表示してもよい。その後、S607の処理にうつる。
【0080】
これまで述べてきたように、本実施形によれば、印刷設定が印刷装置の仕様に基づく禁則条件に該当する場合は禁則条件に該当する属性とその値のみを表示し、特定の属性値を変更した推奨の代替設定値を示すことはしない。一方、印刷設定がユーザ毎に設定された制限機能・設定値を含む場合は、制限に抵触する設定項目の設定値とそれに代わる代替設定としての推奨値を示す。これにより、印刷装置の実装負担を抑えつつ、ユーザが印刷設定の禁則理由とそれに代わる推奨設定を必要とし、印刷装置が確実にユーザの必要とする推奨設定値を提案できるケースのみ、推奨設定値を提供できる。
【0081】
なお、IPP印刷では印刷ジョブの転送前にホスト端末から印刷設定のみを事前に確認する「ValidateJob」という手段が提供されている。印刷装置101は検証の結果、「禁則条件」や「ユーザ毎の機能制限」に該当する場合は
(1)検証の結果、「印刷不可」の場合は、その理由として
(2)どの設定値が原因なのか、
(3)どのように変更すればよいか、を通知すればよい。
例えば、OHP用紙に対して両面印刷が設定された場合、
・サイズ:A4サイズ、
・用紙種別:OHP、
・両面印刷:ON
【0082】
その禁則条件の解決方法としては、用紙サイズを両面印刷可能な用紙に変更してもよいし、両面印刷を無効にし、片面で印刷してもよい。禁則条件に該当することの検出は容易であるが、禁則を回避する代替案は複数考えられるため、適切な推奨設定はユーザ毎に異なる。本例では、一部のユーザはOHPを普通紙に変更し両面印刷を継続する代替設定を好むことがある。別のユーザはOHPを維持し両面印刷を片面印刷に切り替える代替設定を好むばあいもある。あるいは、所望の設定で印刷できないのであればキャンセルをユーザにより望まれる可能性がある。このように、一意に推奨設定・代替設定の正解は定義できない。このような場合はあえて禁則条件の提示に留めることも一案である。
【0083】
一方、「ユーザ毎の機能制限」に関しては、IPPクライアントの印刷画面で選択可能であり、印刷装置101の能力としても指定可能であるにもかかわらず、印刷時(印刷設定の検証時)に設定検証エラーとなることが想定される。これはユーザにとってエラー原因が分かりにくい。このため、「ユーザ毎の機能制限」に伴うエラーについては印刷設定の事前検証(Validate-Job)の結果通知において、印刷装置101がユーザに対してエラー原因とその代替設定を示すことが望ましい。
【0084】
本実施形態では印刷装置本体の「禁則条件」に該当し、印刷できないケースでは正解を一意に定めることが難しいため、「禁則条件」の提示に留め「代替設定の提案」を行わない。しかし、「ユーザ毎の機能制限」により印刷できない場合は、制限機能の設定値を印刷装置からの推奨値(ユーザが許可されている設定値)に変更すれば、確実に印刷できることから、ユーザに「機能制限」対象の設定と適切な設定値をフィードバックする。推奨設定の提案範囲を「ユーザ毎の機能制限」に絞ることにより、ユーザに対する「代替設定値の提案」に関する精度を高めつつ、印刷装置101の推奨設定の提示に関する実装負担を軽減できる効果がある。
【0085】
本実施形態によれば、モバイル端末などからIPPなどの汎用印刷サービスを介して印刷する場合でも、印刷装置101はホスト端末のユーザに対して製品実装の複雑度を抑制できる。さらに、通常の禁則条件に対するエラー表示とユーザ毎の機能制限に対するエラー表示、および推奨設定を通知できるようになる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態では下記を開示した。印刷装置101は、印刷ジョブの設定値を携帯端末103から受信する通信部I/F223を有する。また、通信部I/F223が受信した印刷設定が、禁則条件に該当し、ジョブ発行元の印刷権限に基づく禁則条件に該当しない場合、次を通信部I/F223は行う。すなわち、携帯端末103に対して禁則対象となった設定値の組み合わせを通知し、禁則条件に該当しない代替設定については通信部I/F223は通知しない。このような通信部I/F223を印刷装置101は持つ。
【0087】
さらに、印刷装置101は、ジョブの設定値を通信装置から受信する通信部I/F223を有してもよい。さらに、通信部I/F223が受信した設定値が、前記ジョブ発行元の印刷権限の禁則に該当する設定値を含み場合は次ようにしてもよい。ジョブ発行元の印刷権限の禁則に該当する設定値の代替となりうる代替設定値が、ジョブの設定値に関する所定の禁則条件に該当する場合、前記代替設定値のさらに代替となりうる設定は通信部I/F223が通知しないようにする。さらに、前記所定の禁則条件に関する情報を通信部I/F223が通知する。これまで説明してきた推奨設定値は、代替設定値の一例である。
【0088】
印刷ジョブの設定値が前記ジョブ発行元の印刷権限に基づく禁則条件に該当する場合、権限の禁則に該当する設定値を禁則対象として通信部I/F223通知する。さらに、権限の禁則に該当しない設定値を代替設定値として通信部I/F223は通知してもよい。
【0089】
ジョブ発行元の印刷権限に基づく禁則条件は、両面印刷関する設定およびカラー印刷に関する設定およびNup印刷に関する属性の中の少なくともひとつに関する設定条件を含みうる。これら3つの設定のすべてを設定条件で含んでもよいし、2つを含んでもよい。また、これらの3つの設定のひとつと設定条件として含んでもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9