(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】導電材料、接続構造体及び接続構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 1/22 20060101AFI20240603BHJP
B23K 35/363 20060101ALI20240603BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20240603BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20240603BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20240603BHJP
B23K 35/26 20060101ALN20240603BHJP
C22C 12/00 20060101ALN20240603BHJP
【FI】
H01B1/22 D
H01B1/22 A
H01B1/22 B
B23K35/363 E
H05K1/14 H
H05K3/34 507C
H05K3/34 512C
H05K3/36 B
B23K35/26 310C
C22C12/00
(21)【出願番号】P 2018127587
(22)【出願日】2018-07-04
【審査請求日】2021-04-19
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2017132707
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保井 秀文
(72)【発明者】
【氏名】定永 周治郎
(72)【発明者】
【氏名】石澤 英亮
(72)【発明者】
【氏名】山中 雄太
【合議体】
【審判長】山澤 宏
【審判官】野崎 大進
【審判官】富澤 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-092296(JP,A)
【文献】特開2015-047614(JP,A)
【文献】特開2013-256584(JP,A)
【文献】特開2017-091951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/22
B23K 35/26 - 35/363
H05K 3/34 - 3/36
C22C 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダーと、はんだ粒子と、第1のフラックスと、第2のフラックスとを含み、
前記はんだ粒子の粒子径の変動係数(CV値)が、30%以下であり、
前記第1のフラックスが、有機リン化合物であり、
前記第1のフラックスの融点が、前記はんだ粒子の融点未満であり、
前記第2のフラックスの融点が、前記はんだ粒子の融点以上かつ前記はんだ粒子の融点+50℃以下である、導電材料(但し、導電材料100重量%中にはんだ粒子を70重量%以上で含む導電材料を除く)。
【請求項2】
前記第2のフラックスの融点が、前記はんだ粒子の融点+5℃以上かつ前記はんだ粒子の融点+30℃以下である、請求項1に記載の導電材料。
【請求項3】
前記バインダー100重量部に対して、前記第1のフラックスの含有量が、0.1重量部以上5重量部以下である、請求項1又は2に記載の導電材料。
【請求項4】
前記バインダー100重量部に対して、前記第2のフラックスの含有量が、2重量部以上20重量部以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項5】
前記第1のフラックスの含有量の、前記第2のフラックスの含有量に対する比が、重量基準で、0.01以上5以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項6】
前記第2のフラックスが、酸化合物と塩基化合物との塩であるか、又は、有機リン化合物である、請求項1~
5のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項7】
前記第1のフラックスの融点が、130℃以下である、請求項1~
6のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項8】
導電ペーストである、請求項1~
7のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項9】
第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、
第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、
前記第1の接続対象部材と、前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、
前記接続部の材料が、請求項1~
8のいずれか1項に記載の導電材料であり、
前記第1の電極と前記第2の電極とが、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続されている、接続構造体。
【請求項10】
前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている、請求項
9に記載の接続構造体。
【請求項11】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の導電材料を用いて、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材の表面上に、前記導電材料を配置する工程と、
前記導電材料の前記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材を、前記第1の電極と前記第2の電極とが対向するように配置する工程と、
前記はんだ粒子の融点以上に前記導電材料を加熱することで、前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部を、前記導電材料により形成し、かつ、前記第1の電極と前記第2の電極とを、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続する工程とを備える、接続構造体の製造方法。
【請求項12】
前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている接続構造体を得る、請求項
11に記載の接続構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ粒子を含む導電材料に関する。また、本発明は、上記導電材料を用いた接続構造体及び接続構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異方性導電ペースト及び異方性導電フィルム等の異方性導電材料が広く知られている。上記異方性導電材料では、バインダー樹脂中に導電性粒子が分散されている。
【0003】
上記異方性導電材料は、各種の接続構造体を得るために使用されている。上記異方性導電材料による接続としては、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、並びにフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等が挙げられる。
【0004】
上記異方性導電材料により、例えば、フレキシブルプリント基板の電極とガラスエポキシ基板の電極とを電気的に接続する際には、ガラスエポキシ基板上に、導電性粒子を含む異方性導電材料を配置する。次に、フレキシブルプリント基板を積層して、加熱及び加圧する。これにより、異方性導電材料を硬化させて、導電性粒子を介して電極間を電気的に接続して、接続構造体を得る。
【0005】
下記の特許文献1には、はんだと、接着剤用樹脂と、硬化剤と、第1の活性剤及び第2の活性剤とを含むはんだペーストが開示されている。上記はんだは、BiとSnとを含み、Biの含有量は15wt%~65wt%である。上記接着剤用樹脂は、エポキシ樹脂である。上記第1の活性剤は、ヒドロキシカルボン酸である。上記第2の活性剤は、脂肪族ジカルボン酸である。特許文献1の実施例では、上記第1の活性剤及び上記第2の活性剤の融点は、はんだの融点よりも低い。
【0006】
下記の特許文献2には、導電性粒子と、熱硬化性樹脂と、フラックス活性剤とを含む導電性接着剤組成物が開示されている。上記導電性粒子は、融点が220℃以下である金属を含む。上記フラックス活性剤の平均粒子径は、15μm以下である。特許文献2では、2種類のフラックスを用いることについては何ら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-115871号公報
【文献】WO2012/102077A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
導電性粒子又ははんだ粒子を含む導電材料では、導電性粒子又ははんだ粒子の電極(ライン)上への移動速度が遅く、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子又ははんだ粒子を効率的に配置できないという課題がある。近年、上記課題を解決するために種々の検討が行われている。上記課題を解決する方法として、導電性粒子又ははんだ粒子の凝集力を高める方法等が挙げられる。
【0009】
しかしながら、導電性粒子又ははんだ粒子の凝集力を適度に高めることは困難である。
導電接続時に導電性粒子又ははんだ粒子の凝集速度が速すぎると、電極上に導電性粒子又ははんだ粒子の巨大凝集物が発生することがある。導電性粒子又ははんだ粒子の巨大凝集物が発生すると、隣接する電極間にブリッジが形成され、隣接する電極間の絶縁信頼性が低くなることがある。
【0010】
また、電極上に導電性粒子又ははんだ粒子の巨大凝集物が発生すると、接続されるべき上下の電極間に配置される導電性粒子又ははんだ粒子の量が減少し、接続されるべき上下の電極間の導通信頼性が低くなることがある。従来の導電材料では、導電性粒子又ははんだ粒子の凝集力を調整することは困難である。
【0011】
本発明の目的は、電極上にはんだ粒子を効率的に配置することができ、隣接する電極間の絶縁信頼性を効果的に高めることができ、さらに、接続されるべき上下の電極間の導通信頼性を効果的に高めることができる導電材料を提供することである。また、本発明の目的は、上記導電材料を用いた接続構造体及び接続構造体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の広い局面によれば、バインダーと、はんだ粒子と、第1のフラックスと、第2のフラックスとを含み、前記第1のフラックスの融点が、前記はんだ粒子の融点未満であり、前記第2のフラックスの融点が、前記はんだ粒子の融点以上かつ前記はんだ粒子の融点+50℃以下である、導電材料が提供される。
【0013】
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、前記第2のフラックスの融点が、前記はんだ粒子の融点+5℃以上かつ前記はんだ粒子の融点+30℃以下である。
【0014】
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、前記バインダー100重量部に対して、前記第1のフラックスの含有量が、0.1重量部以上5重量部以下である。
【0015】
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、前記バインダー100重量部に対して、前記第2のフラックスの含有量が、2重量部以上20重量部以下である。
【0016】
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、前記第1のフラックスの含有量の、前記第2のフラックスの含有量に対する比が、重量基準で、0.01以上5以下である。
【0017】
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、前記第1のフラックスが、酸化合物と塩基化合物との塩であるか、又は、有機リン化合物である。
【0018】
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、前記第2のフラックスが、酸化合物と塩基化合物との塩であるか、又は、有機リン化合物である。
【0019】
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、前記第1のフラックスの融点が、130℃以下である。
【0020】
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、前記導電材料が、導電ペーストである。
【0021】
本発明の広い局面によれば、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、前記第1の接続対象部材と、前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、前記接続部の材料が、上述した導電材料であり、前記第1の電極と前記第2の電極とが、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続されている、接続構造体が提供される。
【0022】
本発明に係る接続構造体のある特定の局面では、前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている。
【0023】
本発明の広い局面によれば、上述した導電材料を用いて、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材の表面上に、前記導電材料を配置する工程と、前記導電材料の前記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材を、前記第1の電極と前記第2の電極とが対向するように配置する工程と、前記はんだ粒子の融点以上に前記導電材料を加熱することで、前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部を、前記導電材料により形成し、かつ、前記第1の電極と前記第2の電極とを、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続する工程とを備える、接続構造体の製造方法が提供される。
【0024】
本発明に係る接続構造体の製造方法のある特定の局面では、前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている接続構造体を得る。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る導電材料は、バインダーと、はんだ粒子と、第1のフラックスと、第2のフラックスとを含む。本発明に係る導電材料では、上記第1のフラックスの融点が、上記はんだ粒子の融点未満である。本発明に係る導電材料では、上記第2のフラックスの融点が、上記はんだ粒子の融点以上かつ上記はんだ粒子の融点+50℃以下である。本発明に係る導電材料は、上記の構成を備えているので、電極上にはんだ粒子を効率的に配置することができ、隣接する電極間の絶縁信頼性を効果的に高めることができ、さらに、接続されるべき上下の電極間の導通信頼性を効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて得られる接続構造体を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2(a)~(c)は、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて、接続構造体を製造する方法の一例の各工程を説明するための断面図である。
【
図3】
図3は、接続構造体の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0028】
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、バインダーと、はんだ粒子と、第1のフラックスと、第2のフラックスとを含む。本発明に係る導電材料では、上記第1のフラックスの融点は、上記はんだ粒子の融点未満である。本発明に係る導電材料では、上記第2のフラックスの融点は、上記はんだ粒子の融点以上かつ上記はんだ粒子の融点+50℃以下である。
【0029】
本発明では、上記の構成が備えられているので、電極上にはんだ粒子を効率的に配置することができ、隣接する電極間の絶縁信頼性を効果的に高めることができ、さらに、接続されるべき上下の電極間の導通信頼性を効果的に高めることができる。
【0030】
電極上にはんだ粒子を効率的に配置するために、はんだ粒子の凝集力を高めることが検
討されている。はんだ粒子の凝集力を適度に高めることで、電極上にはんだ粒子を効率的に配置することができる。しかしながら、はんだ粒子の凝集力を適度に高めることは困難である。はんだ粒子の凝集力が高すぎると、はんだ粒子の凝集速度が速すぎて、はんだ粒子の巨大凝集物が発生することがある。
【0031】
本発明では、融点の比較的低い第1のフラックスと、融点の比較的高い第2のフラックスとを併用しているので、電極上へのはんだ粒子の凝集性を良好に維持しつつ、はんだ粒子の凝集力を適度に調整することができる。はんだ粒子の凝集力を適度に調整することによって、はんだ粒子の巨大凝集物の発生を効果的に抑制することができ、隣接する電極間のブリッジの形成を効果的に抑制することができる。結果として、隣接する電極間の絶縁信頼性を効果的に高めることができる。ブリッジとは、はんだ粒子の巨大凝集物が隣接する電極まで拡がることにより形成された導通経路を意味する。なお、上下の電極間を接続する場合に、上記隣接する電極間は、例えば、接続されてはならない横方向に隣接する電極間である。
【0032】
また、はんだ粒子の凝集力を適度に調整することによって、はんだ粒子の巨大凝集物の発生を効果的に抑制することができ、接続されるべき上下の電極間に配置されるはんだ粒子の量を十分に確保することができる。結果として、接続されるべき上下の電極間の導通信頼性を効果的に高めることができる。
【0033】
本発明では、上記のような効果を得るために、上記導電材料が特定の融点を有する2種のフラックスを含むことは大きく寄与する。
【0034】
また、本発明では、上記の構成が備えられているので、電極間を電気的に接続した場合に、複数のはんだ粒子が、上下の対向した電極間に集まりやすく、複数のはんだ粒子を電極(ライン)上に効率的に配置することができる。また、複数のはんだ粒子の一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだ粒子の量をかなり少なくすることができる。従って、電極間の導通信頼性を高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続を防ぐことができ、絶縁信頼性を高めることができる。
【0035】
さらに、本発明では、電極間の位置ずれを防ぐことができる。本発明では、導電材料を上面に配置した第1の接続対象部材に、第2の接続対象部材を重ね合わせる際に、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極とのアライメントがずれた状態でも、そのずれを補正して電極同士を接続させることができる(セルフアライメント効果)。
【0036】
電極上にはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記導電材料は、25℃で液状であることが好ましく、導電ペーストであることが好ましい。
【0037】
電極上にはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記導電材料の25℃での粘度(η25)は、好ましくは20Pa・s以上、より好ましくは30Pa・s以上であり、好ましくは400Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下である。上記粘度(η25)は、配合成分の種類及び配合量により適宜調整することができる。
【0038】
上記粘度(η25)は、例えば、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)等を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定することができる。
【0039】
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。上記導電ペーストは異方性導電ペーストであることが好ましく、上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。電極上にはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記
導電材料は、導電ペーストであることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
【0040】
以下、導電材料に含まれる各成分を説明する。なお、本明細書中において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味する。
【0041】
(はんだ粒子)
上記はんだ粒子は、中心部分及び外表面のいずれもがはんだにより形成されている。上記はんだ粒子は、中心部分及び外表面のいずれもがはんだである粒子である。上記はんだ粒子の代わりに、はんだ以外の材料から形成された基材粒子と該基材粒子の表面上に配置されたはんだ部とを備える導電性粒子を用いた場合には、電極上に導電性粒子が集まり難くなる。また、上記導電性粒子では、導電性粒子同士のはんだ接合性が低いために、電極上に移動した導電性粒子が電極外に移動しやすくなる傾向があり、電極間の位置ずれの抑制効果も低くなる傾向がある。
【0042】
上記はんだは、融点が450℃以下である金属(低融点金属)であることが好ましい。上記はんだ粒子は、融点が450℃以下である金属粒子(低融点金属粒子)であることが好ましい。上記低融点金属粒子は、低融点金属を含む粒子である。該低融点金属とは、融点が450℃以下の金属を示す。低融点金属の融点は好ましくは300℃以下、より好ましくは160℃以下である。上記はんだ粒子は、融点が150℃未満の低融点はんだであることが好ましい。
【0043】
上記はんだ粒子の融点は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。示差走査熱量測定(DSC)装置としては、SII社製「EXSTAR DSC7020」等が挙げられる。
【0044】
また、上記はんだ粒子は錫を含むことが好ましい。上記はんだ粒子に含まれる金属100重量%中、錫の含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記はんだ粒子における錫の含有量が、上記下限以上であると、はんだ部と電極との接続信頼性がより一層高くなる。
【0045】
なお、上記錫の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(堀場製作所社製「ICP-AES」)、又は蛍光X線分析装置(島津製作所社製「EDX-800HS」)等を用いて測定することができる。
【0046】
上記はんだ粒子を用いることで、はんだが溶融して電極に接合し、はんだ部が電極間を導通させる。例えば、はんだ部と電極とが点接触ではなく面接触しやすいため、接続抵抗が低くなる。また、上記はんだ粒子の使用により、はんだ部と電極との接合強度が高くなる結果、はんだ部と電極との剥離がより一層生じ難くなり、導通信頼性及び接続信頼性がより一層高くなる。
【0047】
上記はんだ粒子を構成する低融点金属は特に限定されない。該低融点金属は、錫、又は錫を含む合金であることが好ましい。該合金は、錫-銀合金、錫-銅合金、錫-銀-銅合金、錫-ビスマス合金、錫-亜鉛合金、錫-インジウム合金等が挙げられる。電極に対する濡れ性に優れることから、上記低融点金属は、錫、錫-銀合金、錫-銀-銅合金、錫-ビスマス合金、錫-インジウム合金であることが好ましい。錫-ビスマス合金、錫-インジウム合金であることがより好ましい。
【0048】
上記はんだ粒子は、JIS Z3001:溶接用語に基づき、液相線が450℃以下で
ある溶加材であることが好ましい。上記はんだ粒子の組成としては、例えば亜鉛、金、銀、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウム等を含む金属組成が挙げられる。低融点で鉛フリーである錫-インジウム系(117℃共晶)、又は錫-ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、上記はんだ粒子は、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むか、又は錫とビスマスとを含むことが好ましい。
【0049】
はんだ部と電極との接合強度をより一層高めるために、上記はんだ粒子は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、パラジウム等の金属を含んでいてもよい。また、はんだ部と電極との接合強度をさらに一層高める観点からは、上記はんだ粒子は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。はんだ部と電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、はんだ粒子100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
【0050】
上記はんだ粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは40μm以下、より一層好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記はんだ粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ粒子を電極上により一層効率的に配置することができる。上記はんだ粒子の粒子径は、5μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
【0051】
上記はんだ粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることがより好ましい。はんだ粒子の粒子径は、例えば、任意のはんだ粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各はんだ粒子の粒子径の平均値を算出することにより求められる。
【0052】
上記はんだ粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。上記はんだ粒子の粒子径の変動係数が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだをより一層効率的に配置することができる。但し、上記はんだ粒子の粒子径のCV値は、5%未満であってもよい。
【0053】
上記変動係数(CV値)は、以下のようにして測定できる。
【0054】
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:はんだ粒子の粒子径の標準偏差
Dn:はんだ粒子の粒子径の平均値
【0055】
上記はんだ粒子の形状は特に限定されない。上記はんだ粒子の形状は、球状であってもよく、扁平状等の球形状以外の形状であってもよい。
【0056】
上記導電材料100重量%中、上記はんだ粒子の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上、最も好ましくは30重量%以上であり、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下である。上記はんだ粒子の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができ、電極間にはんだを多く配置することが容易であり、導通信頼性がより一層高くなる。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記はんだ粒子の含有量は多
い方が好ましい。
【0057】
(バインダー)
上記バインダーは特に限定されない。上記バインダーとして、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダーは、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)を含んでいてもよく、硬化性成分を含んでいてもよい。上記バインダーは、硬化性成分を含むことが好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物と光重合開始剤とを含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含むことが好ましい。
【0058】
上記バインダーとしては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0059】
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性化合物は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル-スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0060】
隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記バインダーは、熱硬化性化合物を含むことが好ましい。
【0061】
上記熱硬化性化合物は、加熱により硬化可能な化合物である。上記熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記熱硬化性化合物は、エポキシ化合物又はエピスルフィド化合物であることが好ましく、エポキシ化合物であることがより好ましい。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0062】
上記エポキシ化合物は、少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物である。上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アントラセン型エポキシ化合物、アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ化合物、ナフチレンエーテル型エポキシ化合物、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ化合物等が挙げられる。上記エポキシ化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0063】
上記エポキシ化合物は、常温(23℃)で液状又は固体であり、上記エポキシ化合物が常温で固体である場合には、上記エポキシ化合物の溶融温度は、上記はんだ粒子の融点以下であることが好ましい。
【0064】
隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記バインダーは、エポキシ化合物を含むことが好ましい。
【0065】
上記導電材料100重量%中、上記バインダーの含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上であり、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。上記バインダーの含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。
【0066】
(硬化剤)
上記バインダーは、硬化剤を含むことが好ましい。上記硬化剤は特に限定されない。上記硬化剤は、光硬化性化合物及び熱硬化性化合物等の硬化性化合物を硬化させる。上記硬化剤は、熱硬化剤であってもよく、光重合開始剤であってもよい。上記硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0067】
隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記硬化剤は、熱硬化剤であることが好ましい。
【0068】
上記熱硬化剤は、熱硬化性化合物を熱硬化させる。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、フェノール硬化剤、チオール硬化剤、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、熱カチオン硬化剤及び熱ラジカル発生剤等が挙げられる。隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記熱硬化剤は、酸無水物硬化剤であることが好ましい。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0069】
上記イミダゾール硬化剤は、特に限定されない。上記イミダゾール硬化剤としては、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン及び2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
【0070】
上記チオール硬化剤は、特に限定されない。上記チオール硬化剤としては、トリメチロールプロパントリス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ-3-メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
【0071】
上記アミン硬化剤は、特に限定されない。上記アミン硬化剤としては、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
【0072】
上記酸無水物硬化剤は、特に限定されない。上記酸無水物硬化剤は、エポキシ化合物等の熱硬化性化合物の硬化剤として用いられる酸無水物であれば広く用いることができる。上記酸無水物硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、フタル酸誘導体の無水物、無水マレイン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無水グルタル酸、無水コハク酸、グリセリンビス無水トリメリット酸モノアセテート、及びエチレングリコールビス無水トリメリット酸等の2官能の酸無水物硬化剤、無水トリメリット酸等の3官能の酸無水物硬化剤、並びに、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、及びポリアゼライン酸無水物等の4官能以上の酸無水物硬化剤等が挙げられる。
【0073】
隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記硬化剤は、酸無水物硬化剤であることが好ましい。
【0074】
硬化物の熱劣化をより一層効果的に抑制する観点からは、上記酸無水物硬化剤は、環状酸無水物硬化剤であることが好ましい。環状酸無水物硬化剤としては、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、及びトリアクリルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0075】
上記熱カチオン硬化剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ-p-トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
【0076】
上記熱ラジカル発生剤は、特に限定されない。上記熱ラジカル発生剤は、アゾ化合物及び有機過酸化物等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、ジ-tert-ブチルペルオキシド及びメチルエチルケトンペルオキシド等が挙げられる。
【0077】
隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記硬化剤は25℃で固体であることが好ましい。
【0078】
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記硬化剤の融点は、上記はんだ粒子の融点よりも低いことが好ましい。
【0079】
上記硬化剤の含有量は特に限定されない。上記導電材料100重量%中、上記硬化剤の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。上記硬化剤の含有量が上記下限以上であると、上記硬化性化合物を十分に硬化させることが容易である。上記硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
【0080】
(第1のフラックス)
上記第1のフラックスは、融点が上記の特定の範囲を満足していれば、特に限定されな
い。上記第1のフラックスとして、はんだ接合等に一般的に用いられているフラックスを使用できる。上記第1のフラックスとしては、例えば、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、アミン化合物、有機酸及び松脂等が挙げられる。上記第1のフラックスは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0081】
本発明に係る導電材料では、上記第1のフラックスの融点は、上記はんだ粒子の融点未満である。電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点、隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記第1のフラックスの融点は、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。また、上記第1のフラックスの融点が上記上限以下であると、横方向に隣接する電極間におけるはんだ残りがより一層少なくなる。
【0082】
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点、隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記第1のフラックスの融点は、好ましくは上記はんだ粒子の融点-10℃以下、より好ましくは上記はんだ粒子の融点-20℃以下である。また、上記第1のフラックスの融点が上記上限以下であると、横方向に隣接する電極間におけるはんだ残りがより一層少なくなる。
【0083】
上記第1のフラックスは、25℃で液状であってもよい。上記第1のフラックスの融点は、25℃以上であってもよく、50℃以上であってもよく、100℃以上であってもよい。
【0084】
上記第1のフラックスの融点は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。
【0085】
また、上記第1のフラックスの沸点は200℃以下であることが好ましい。
【0086】
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点、隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記第1のフラックスは、酸化合物と塩基化合物との塩であることが好ましく、有機リン化合物であることがより好ましい。
【0087】
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記有機リン化合物は、有機ホスホニウム塩、有機リン酸、有機リン酸エステル、有機ホスホン酸、有機ホスホン酸エステル、有機ホスフィン酸、又は有機ホスフィン酸エステルであることが好ましい。電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記有機リン化合物は、有機ホスホニウム塩であることがより好ましい。
【0088】
上記有機ホスホニウム塩としては、ホスホニウムイオンとその対イオンとで構成されている有機ホスホニウム塩が挙げられる。上記有機ホスホニウム塩の市販品としては、日本化学工業社製「ヒシコーリン」シリーズ等が挙げられる。上記有機ホスホニウム塩は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0089】
上記有機リン酸、上記有機リン酸エステル、上記有機ホスホン酸、上記有機ホスホン酸エステル、上記有機ホスフィン酸、及び上記有機ホスフィン酸エステルとしては特に限定されず、従来公知の化合物や市販品を用いることができる。これらは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0090】
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記有機リン化合物の融点は、上記はんだ粒子の融点未満であることが好ましい。電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記有機リン化合物は、25℃で液状であることが好ましい。
【0091】
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記有機リン化合物の融点は、上記硬化剤の融点よりも低いことが好ましい。
【0092】
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点、隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記有機リン化合物は、メチルトリブチルホスホニウム、ジメチルホスフェート、又はテトラブチルホスホニウムブロマイドであることが好ましい。
【0093】
上記硬化剤100重量部に対して、上記有機リン化合物の含有量は、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは0.8重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは8重量部以下である。上記有機リン化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができる。
【0094】
上記酸化合物は、金属の表面を洗浄する効果を有することが好ましく、上記塩基化合物は、上記酸化合物を中和する作用を有することが好ましい。上記第1のフラックスは、上記酸化合物と上記塩基化合物との中和反応物であることが好ましい。
【0095】
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記第1のフラックスの融点は、上記硬化剤の反応開始温度よりも、低いことが好ましく、5℃以上低いことがより好ましく、10℃以上低いことがさらに好ましい。
【0096】
上記酸化合物は、カルボキシル基を有する有機化合物であることが好ましい。上記酸化合物としては、脂肪族系カルボン酸であるマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、クエン酸、リンゴ酸、環状脂肪族カルボン酸であるシクロヘキシルカルボン酸、1,4-シクロヘキシルジカルボン酸、芳香族カルボン酸であるイソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びエチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点、隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記酸化合物は、グルタル酸、シクロヘキシルカルボン酸、又はアジピン酸であることが好ましい。
【0097】
上記塩基化合物は、アミノ基を有する有機化合物であることが好ましい。上記塩基化合物としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ベンズヒドリルアミン、2-メチルベンジルアミン、3-メチルベンジルアミン、4-tert-ブチルベンジルアミン、N-メチルベンジルアミン、N-エチルベンジルアミン、N-フェニルベンジルアミン、N-tert-ブチルベンジルアミン、N-イソプロピルベンジルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、1,3-ジフェニルグアニジン、イミダゾール化合物、及びトリアゾール化合物が挙げられる。電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点、隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記塩基化合物は、ベンジルアミンであることが好ましい。
【0098】
本発明の効果を効果的に高める観点からは、上記塩基化合物は、一級アミノ基を有す
ることが好ましい。一級アミノ基を有する塩基化合物の使用により、横方向に隣接する電極間におけるはんだ残りがより一層少なくなり、絶縁信頼性も効果的に高くなる。上記塩基化合物は、二級アミノ基を有していてもよく、二級アミノ基を有していなくてもよい。上記塩基化合物は、三級アミノ基を有していてもよく、三級アミノ基を有していなくてもよい。
【0099】
上記第1のフラックスは、導電材料中に分散されていてもよく、はんだ粒子の表面上に付着していてもよい。フラックス効果をより一層効果的に高める観点からは、上記第1のフラックスは、はんだ粒子の表面上に付着していることが好ましい。
【0100】
導電材料の保存安定性をより一層効果的に高める観点からは、上記第1のフラックスは、25℃で固体であることが好ましく、25℃の導電材料中で、上記第1のフラックスが固体で分散していることが好ましい。
【0101】
上記バインダー100重量部に対して、上記第1のフラックスの含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.25重量部以上、さらに好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、さらに好ましくは3重量部以下である。上記第1のフラックスの含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ及び電極の表面に形成された酸化被膜をより一層効果的に除去でき、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができる。また、上記第1のフラックスの含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。また、上記第1のフラックスの含有量が上記下限以上であると、横方向に隣接する電極間におけるはんだ残りがより一層少なくなる。また、上記第1のフラックスの含有量が0.25重量部以上であると、絶縁信頼性がかなり効果的に高くなる。さらに、上記第1のフラックスの含有量が3重量部以下であると、絶縁信頼性がかなり効果的に高くなる。
【0102】
(第2のフラックス)
上記第2のフラックスは、融点が上記の特定の範囲を満足していれば、特に限定されない。上記第2のフラックスとしては、上述した第1のフラックスに用いられる種々の化合物等が挙げられる。上記第2のフラックスは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0103】
本発明に係る導電材料では、上記第2のフラックスの融点は、上記はんだ粒子の融点以上かつ上記はんだ粒子の融点+50℃以下である。上記第2のフラックスの融点は、上記はんだ粒子の融点+5℃以上であることが好ましい。上記第2のフラックスの融点が、上記の好ましい範囲であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができ、隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。
【0104】
本発明の効果を効果的に高める観点からは、上記第2のフラックスの融点は、好ましくは140℃以上、より好ましくは145℃以上である。本発明の効果を効果的に高める観点からは、上記第2のフラックスの融点は、上記はんだ粒子の融点+30℃以下であることが好ましく、上記はんだ粒子の融点+20℃以下であることがより好ましい。上記第2のフラックスの融点が、上記の好ましい範囲であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができ、隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。本発明の効果をかなり効果的に高める観点からは、上記第2のフラックスの融点は、上記はんだ粒子の融点+10℃以下であることが好ましく、上記はんだ粒子の融
点+8℃以下であることがより好ましい。
【0105】
上記第2のフラックスの融点は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。
【0106】
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点、隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記第2のフラックスは、有機リン化合物であることが好ましく、酸化合物と塩基化合物との塩であることがより好ましい。
【0107】
上記有機リン化合物としては、上述した第1のフラックスに用いられる有機リン化合物が挙げられる。上記有機リン化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記有機リン化合物は、有機ホスホニウム塩であることがより好ましい。
【0108】
上記有機ホスホニウム塩としては、ホスホニウムイオンとその対イオンとで構成されている有機ホスホニウム塩が挙げられる。上記有機ホスホニウム塩の市販品としては、日本化学工業社製「ヒシコーリン」シリーズ等が挙げられる。上記有機ホスホニウム塩は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0109】
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記有機リン化合物の融点は、上記はんだ粒子の融点以上であることが好ましく、上記はんだ粒子の融点+5℃以上であることがより好ましい。電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記有機リン化合物の融点は、上記はんだ粒子の融点+50℃以下であることが好ましく、上記はんだ粒子の融点+30℃以下であることがより好ましい。
【0110】
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点、隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記有機リン化合物は、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレートであることが好ましい。
【0111】
上記硬化剤100重量部に対して、上記有機リン化合物の含有量は、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは0.8重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは8重量部以下である。上記有機リン化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができる。
【0112】
上記酸化合物は、金属の表面を洗浄する効果を有することが好ましく、上記塩基化合物は、上記酸化合物を中和する作用を有することが好ましい。上記第2のフラックスは、上記酸化合物と上記塩基化合物との中和反応物であることが好ましい。
【0113】
上記酸化合物は、カルボキシル基を有する有機化合物であることが好ましい。上記酸化合物としては、脂肪族系カルボン酸であるマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、クエン酸、リンゴ酸、環状脂肪族カルボン酸であるシクロヘキシルカルボン酸、1,4-シクロヘキシルジカルボン酸、芳香族カルボン酸であるイソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びエチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点、隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記酸化合物は、アジピン酸、グルタル酸、又はシクロヘキシルカルボン酸であることが好ましい。
【0114】
上記塩基化合物は、アミノ基を有する有機化合物であることが好ましい。上記塩基化合物としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ベンズヒドリルアミン、2-メチルベンジルアミン、3-メチルベンジルアミン、4-tert-ブチルベンジルアミン、N-メチルベンジルアミン、N-エチルベンジルアミン、N-フェニルベンジルアミン、N-tert-ブチルベンジルアミン、N-イソプロピルベンジルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、1,3-ジフェニルグアニジン、イミダゾール化合物、及びトリアゾール化合物が挙げられる。電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点、隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記塩基化合物は、ベンジルアミン、1,3-ジフェニルグアニジン、又はシクロヘキシルアミンであることが好ましい。
【0115】
上記第2のフラックスは、導電材料中に分散されていてもよく、はんだ粒子の表面上に付着していてもよい。フラックス効果をより一層効果的に高める観点からは、上記第2のフラックスは、はんだ粒子の表面上に付着していることが好ましい。
【0116】
導電材料の保存安定性をより一層効果的に高める観点からは、上記第2のフラックスは、25℃で固体であることが好ましく、25℃の導電材料中で、上記第2のフラックスが固体で分散していることが好ましい。
【0117】
上記第1のフラックスの含有量の、上記第2のフラックスの含有量に対する比は、重量基準で、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.1以上である。上記第1のフラックスの含有量の、上記第2のフラックスの含有量に対する比は、重量基準で、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、より一層好ましくは2以下、さらに好ましくは1.5以下、さらに一層好ましくは0.6以下である。上記比(上記第1のフラックスの含有量の、上記第2のフラックスの含有量に対する比)が、上記の好ましい範囲であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができ、隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。
【0118】
上記バインダー100重量部に対して、上記第2のフラックスの含有量は、好ましくは2重量部以上、より好ましくは3重量部以上、さらに好ましくは5重量部以上であり、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。上記第2のフラックスの含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ及び電極の表面に形成された酸化被膜をより一層効果的に除去でき、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができる。また、上記第2のフラックスの含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、隣接する電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、接続されるべき上下の電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。また、上記第2のフラックスの含有量が上記下限以上であると、横方向に隣接する電極間におけるはんだ残りがより一層少なくなる。また、上記第2のフラックスの含有量が3重量部以上であると、導通信頼性がかなり効果的に高くなる。また、上記第2のフラックスの含有量が10重量部以下であると、絶縁信頼性がかなり効果的に高くなる。
【0119】
(フィラー)
本発明に係る導電材料は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーは、有機フィラーであってもよく、無機フィラーであってもよい。上記導電材料がフィラーを含むことにより、基板の全電極上に対して、はんだ粒子を均一に凝集させることができる。
【0120】
上記導電材料は、上記フィラーを含まないか、又は上記フィラーを5重量%以下で含むことが好ましい。上記熱硬化性化合物を用いている場合には、フィラーの含有量が少ないほど、電極上にはんだ粒子が移動しやすくなる。
【0121】
上記導電材料100重量%中、上記フィラーの含有量は、好ましくは0重量%(未含有)以上であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。上記フィラーの含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ粒子が電極上により一層効率的に配置される。
【0122】
(他の成分)
上記導電材料は、必要に応じて、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、チキソ剤、レベリング剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0123】
(接続構造体及び接続構造体の製造方法)
本発明に係る接続構造体は、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と、上記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備える。本発明に係る接続構造体では、上記接続部の材料が、上述した導電材料である。本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記接続部中のはんだ部により電気的に接続されている。
【0124】
本発明に係る接続構造体の製造方法は、上述した導電材料を用いて、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材の表面上に、上記導電材料を配置する工程を備える。本発明に係る接続構造体の製造方法は、上記導電材料の上記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材を、上記第1の電極と上記第2の電極とが対向するように配置する工程を備える。本発明に係る接続構造体の製造方法は、上記はんだ粒子の融点以上に上記導電材料を加熱することで、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部を、上記導電材料により形成し、かつ、上記第1の電極と上記第2の電極とを、上記接続部中のはんだ部により電気的に接続する工程を備える。
【0125】
本発明に係る接続構造体及び接続構造体の製造方法では、特定の導電材料を用いているので、はんだ粒子が第1の電極と第2の電極との間に集まりやすく、はんだ粒子を電極(ライン)上に効率的に配置することができる。また、はんだ粒子の一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだ粒子の量をかなり少なくすることができる。従って、第1の電極と第2の電極との間の導通信頼性を高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続を防ぐことができ、絶縁信頼性を高めることができる。
【0126】
また、電極上にはんだを効率的に配置し、かつ電極が形成されていない領域に配置されるはんだの量をかなり少なくするためには、上記導電材料は、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いることが好ましい。
【0127】
電極間でのはんだ部の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。電極の表面上のはんだ濡れ面積(電極の露出した面積100%中のはんだが接している面積)は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上であり、好ましくは100%以下である。
【0128】
本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記接続部を形成する工程において、加圧を行わず、上記導電材料には、上記第2の接続
対象部材の重量が加わることが好ましい。本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記接続部を形成する工程において、上記導電材料には、上記第2の接続対象部材の重量の力を超える加圧圧力は加わらないことが好ましい。これらの場合には、複数のはんだ部において、はんだ量の均一性をより一層高めることができる。さらに、はんだ部の厚みをより一層効果的に厚くすることができ、複数のはんだ粒子が電極間に多く集まりやすくなり、複数のはんだ粒子を電極(ライン)上により一層効率的に配置することができる。また、複数のはんだ粒子の一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだ粒子におけるはんだの量をより一層少なくすることができる。従って、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続をより一層防ぐことができ、絶縁信頼性をより一層高めることができる。
【0129】
また、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いれば、導電ペーストの塗布量によって、接続部及びはんだ部の厚みを調整することが容易になる。一方で、導電フィルムでは、接続部の厚みを変更したり、調整したりするためには、異なる厚みの導電フィルムを用意したり、所定の厚みの導電フィルムを用意したりしなければならないという問題がある。また、導電フィルムでは、導電ペーストと比べて、はんだの溶融温度で、導電フィルムの溶融粘度を十分に下げることができず、はんだ粒子の凝集が阻害されやすい傾向がある。
【0130】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0131】
図1は、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて得られる接続構造体を模式的に示す断面図である。
【0132】
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材3と、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4とを備える。接続部4は、上述した導電材料により形成されている。本実施形態では、上記導電材料は、バインダーと、はんだ粒子と、第1のフラックスと、第2のフラックスとを含む。本実施形態では、導電材料として、導電ペーストが用いられている。
【0133】
接続部4は、複数のはんだ粒子が集まり互いに接合したはんだ部4Aと、熱硬化性化合物が熱硬化された硬化物部4Bとを有する。
【0134】
第1の接続対象部材2は表面(上面)に、複数の第1の電極2aを有する。第2の接続対象部材3は表面(下面)に、複数の第2の電極3aを有する。第1の電極2aと第2の電極3aとが、はんだ部4Aにより電気的に接続されている。従って、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とが、はんだ部4Aにより電気的に接続されている。なお、接続部4において、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)では、はんだ粒子は存在しない。はんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)では、はんだ部4Aと離れたはんだ粒子は存在しない。なお、少量であれば、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)に、はんだ粒子が存在していてもよい。
【0135】
図1に示すように、接続構造体1では、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に、複数のはんだ粒子が集まり、複数のはんだ粒子が溶融した後、はんだ粒子の溶融物が電極の表面を濡れ拡がった後に固化して、はんだ部4Aが形成されている。このため、はんだ部4Aと第1の電極2a、並びにはんだ部4Aと第2の電極3aとの接続面積が大きくなる。すなわち、はんだ粒子を用いることにより、導電性の外表面がニッケル、金又は銅等の
金属である導電性粒子を用いた場合と比較して、はんだ部4Aと第1の電極2a、並びにはんだ部4Aと第2の電極3aとの接触面積が大きくなる。このことによっても、接続構造体1における導通信頼性及び接続信頼性が高くなる。なお、導電材料にフラックスが含まれる場合に、フラックスは、一般に、加熱により次第に失活する。
【0136】
なお、
図1に示す接続構造体1では、はんだ部4Aの全てが、第1,第2の電極2a,3a間の対向している領域に位置している。
図3に示す変形例の接続構造体1Xは、接続部4Xのみが、
図1に示す接続構造体1と異なる。接続部4Xは、はんだ部4XAと硬化物部4XBとを有する。接続構造体1Xのように、はんだ部4XAの多くが、第1,第2の電極2a,3aの対向している領域に位置しており、はんだ部4XAの一部が第1,第2の電極2a,3aの対向している領域から側方にはみ出していてもよい。第1,第2の電極2a,3aの対向している領域から側方にはみ出しているはんだ部4XAは、はんだ部4XAの一部であり、はんだ部4XAから離れたはんだ粒子ではない。なお、本実施形態では、はんだ部から離れたはんだ粒子の量を少なくすることができるが、はんだ部から離れたはんだ粒子が硬化物部中に存在していてもよい。
【0137】
はんだ粒子の使用量を少なくすれば、接続構造体1を得ることが容易になる。はんだ粒子の使用量を多くすれば、接続構造体1Xを得ることが容易になる。
【0138】
接続構造体1,1Xでは、第1の電極2aと接続部4,4Xと第2の電極3aとの積層方向に第1の電極2aと第2の電極3aとの対向し合う部分をみたときに、第1の電極2aと第2の電極3aとの対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、接続部4,4X中のはんだ部4A,4XAが配置されていることが好ましい。接続部4,4X中のはんだ部4A,4XAが、上記の好ましい態様を満足することで、導通信頼性をより一層高めることができる。
【0139】
上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることが好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の60%以上に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることがより好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の70%以上に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることがさらに好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の80%以上に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることが特に好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の90%以上に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることが最も好ましい。上記接続部中のはんだ部が、上記の好ましい態様を満足することで、導通信頼性をより一層高めることができる。
【0140】
上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の60%以上が配置されていることが好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と
上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の70%以上が配置されていることがより好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の90%以上が配置されていることがさらに好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の95%以上が配置されていることが特に好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の99%以上が配置されていることが最も好ましい。上記接続部中のはんだ部が、上記の好ましい態様を満足することで、導通信頼性をより一層高めることができる。
【0141】
次に、
図2では、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて、接続構造体1を製造する方法の一例を説明する。
【0142】
先ず、第1の電極2aを表面(上面)に有する第1の接続対象部材2を用意する。次に、
図2(a)に示すように、第1の接続対象部材2の表面上に、熱硬化性成分11Bと、複数のはんだ粒子11Aとを含む導電材料11を配置する(第1の工程)。用いた導電材料11は、熱硬化性成分11Bとして、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含む。
【0143】
第1の接続対象部材2の第1の電極2aが設けられた表面上に、導電材料11を配置する。導電材料11の配置の後に、はんだ粒子11Aは、第1の電極2a(ライン)上と、第1の電極2aが形成されていない領域(スペース)上との双方に配置されている。
【0144】
導電材料11の配置方法としては、特に限定されないが、ディスペンサーによる塗布、スクリーン印刷、及びインクジェット装置による吐出等が挙げられる。
【0145】
また、第2の電極3aを表面(下面)に有する第2の接続対象部材3を用意する。次に、
図2(b)に示すように、第1の接続対象部材2の表面上の導電材料11において、導電材料11の第1の接続対象部材2側とは反対側の表面上に、第2の接続対象部材3を配置する(第2の工程)。導電材料11の表面上に、第2の電極3a側から、第2の接続対象部材3を配置する。このとき、第1の電極2aと第2の電極3aとを対向させる。
【0146】
次に、はんだ粒子11Aの融点以上に導電材料11を加熱する(第3の工程)。好ましくは、熱硬化性成分11B(熱硬化性化合物)の硬化温度以上に導電材料11を加熱する。この加熱時には、電極が形成されていない領域に存在していたはんだ粒子11Aは、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まる(自己凝集効果)。導電フィルムではなく、導電ペーストを用いた場合には、はんだ粒子11Aが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間により一層効果的に集まる。また、はんだ粒子11Aは溶融し、互いに接合する。また、熱硬化性成分11Bは熱硬化する。この結果、
図2(c)に示すように、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4が、導電材料11により形成される。導電材料11により接続部4が形成され、複数のはんだ粒子11Aが接合することによってはんだ部4Aが形成され、熱硬化性成分11Bが熱硬化することによって硬化物部4Bが形成される。はんだ粒子11Aが十分に移動すれば、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に位置していないはんだ粒子11Aの移動が開始してから、第1の電極2aと第2の電極3aとの間にはんだ粒子11Aの移動が完了するまでに、温度を一定に保持しなくてもよい。
【0147】
本実施形態では、上記第2の工程及び上記第3の工程において、加圧を行わない方が好ましい。この場合には、導電材料11には、第2の接続対象部材3の重量が加わる。このため、接続部4の形成時に、はんだ粒子11Aが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間により一層効果的に集まる。なお、上記第2の工程及び上記第3の工程の内の少なくとも一方において、加圧を行えば、はんだ粒子11Aが第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まろうとする作用が阻害される傾向が高くなる。
【0148】
また、本実施形態では、加圧を行っていないため、第1の電極2aと第2の電極3aとのアライメントがずれた状態で、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とが重ね合わされた場合でも、そのずれを補正して、第1の電極2aと第2の電極3aとを接続させることができる(セルフアライメント効果)。これは、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に自己凝集している溶融したはんだが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間のはんだと導電材料のその他の成分とが接する面積が最小となる方がエネルギー的に安定になるため、その最小の面積となる接続構造であるアライメントのあった接続構造にする力が働くためである。この際、導電材料が硬化していないこと、及び、その温度、時間にて、導電材料のはんだ粒子以外の成分の粘度が十分低いことが望ましい。
【0149】
はんだ粒子の融点での導電材料の粘度は、好ましくは50Pa・s以下、より好ましくは10Pa・s以下、さらに好ましくは1Pa・s以下であり、好ましくは0.1Pa・s以上、より好ましくは0.2Pa・s以上である。上記粘度が、上記上限以下であれば、はんだ粒子を効率的に凝集させることができる。上記粘度が、上記下限以上であれば、接続部でのボイドを抑制し、接続部以外への導電材料のはみだしを抑制することができる。
【0150】
上記はんだ粒子の融点での導電材料の粘度は、STRESSTECH(EOLOGICA社製)等を用いて、歪制御1rad、周波数1Hz、昇温速度20℃/分、測定温度範囲25℃~200℃(但し、はんだ粒子の融点が200℃を超える場合には温度上限をはんだ粒子の融点とする)の条件で測定可能である。測定結果から、はんだ粒子の融点(℃)での粘度が評価される。
【0151】
このようにして、
図1に示す接続構造体1が得られる。なお、上記第2の工程と上記第3の工程とは連続して行われてもよい。また、上記第2の工程を行った後に、得られる第1の接続対象部材2と導電材料11と第2の接続対象部材3との積層体を、加熱部に移動させて、上記第3の工程を行ってもよい。上記加熱を行うために、加熱部材上に上記積層体を配置してもよく、加熱された空間内に上記積層体を配置してもよい。
【0152】
上記第3の工程における上記加熱温度は、好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上であり、好ましくは450℃以下、より好ましくは250℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。
【0153】
上記第3の工程における加熱方法としては、はんだ粒子の融点以上及び熱硬化性化合物の硬化温度以上に、接続構造体全体を、リフロー炉を用いて又はオーブンを用いて加熱する方法や、接続構造体の接続部のみを局所的に加熱する方法が挙げられる。
【0154】
局所的に加熱する方法に用いる器具としては、ホットプレート、熱風を付与するヒートガン、はんだゴテ、及び赤外線ヒーター等が挙げられる。
【0155】
また、ホットプレートにて局所的に加熱する際、接続部直下は、熱伝導性の高い金属にて、その他の加熱することが好ましくない個所は、フッ素樹脂等の熱伝導性の低い材質にて、ホットプレート上面を形成することが好ましい。
【0156】
上記第1,第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1,第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板等の電子部品等が挙げられる。上記第1,第2の接続対象部材は、電子部品であることが好ましい。
【0157】
上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材の内の少なくとも一方が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。上記第2の接続対象部材が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル及びリジッドフレキシブル基板は、柔軟性が高く、比較的軽量であるという性質を有する。このような接続対象部材の接続に導電フィルムを用いた場合には、はんだ粒子が電極上に集まりにくい傾向がある。これに対して、導電ペーストを用いることで、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いたとしても、はんだ粒子を電極上に効率的に集めることで、電極間の導通信頼性を十分に高めることができる。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いる場合に、半導体チップ等の他の接続対象部材を用いた場合と比べて、加圧を行わないことによる電極間の導通信頼性の向上効果がより一層効果的に得られる。
【0158】
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極、及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0159】
本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極及び上記第2の電極は、エリアアレイ又はペリフェラルにて配置されていることが好ましい。上記第1の電極及び上記第2の電極が、エリアアレイ又はペリフェラルにて配置されている場合において、本発明の効果がより一層効果的に発揮される。上記エリアアレイとは、接続対象部材の電極が配置されている面にて、格子状に電極が配置されている構造のことである。上記ペリフェラルとは、接続対象部材の外周部に電極が配置されている構造のことである。電極が櫛型に並んでいる構造の場合は、櫛に垂直な方向に沿ってはんだ粒子が凝集すればよいのに対して、上記エリアアレイ又はペリフェラル構造では電極が配置されている面において、全面にて均一にはんだ粒子が凝集する必要がある。そのため、従来の方法では、はんだ量が不均一になりやすいのに対して、本発明の方法では、本発明の効果がより一層効果的に発揮される。
【0160】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0161】
バインダー(熱硬化性化合物):
(1)熱硬化性化合物1:ビスフェノールF型エポキシ化合物、新日鉄住金化学社製「YDF-8170C」
(2)熱硬化性化合物2:ビスフェノールA型エポキシ化合物、新日鉄住金化学社製「YD-8125」
(3)熱硬化性化合物3:脂肪族エポキシ化合物、共栄社化学社製「エポライト1600」
(4)熱硬化性化合物4:イソシアヌル骨格含有エポキシ化合物、日産化学社製「TEPIC-SP」
【0162】
バインダー(熱硬化剤):
(1)熱硬化剤1:酸無水物硬化剤、新日本理化社製「リカシッドMH」
(2)熱硬化剤2:酸無水物硬化剤、新日本理化社製「リカシッドTH」
【0163】
フラックス:
(1)フラックス1:有機ホスホニウム塩、日本化学工業社製「PX-4MP」、25℃で液状
(2)フラックス2:有機ホスホニウム塩、日本化学工業社製「PX-4B」、融点:110℃
【0164】
(3)フラックス3:「グルタル酸ベンジルアミン塩」、融点:108℃
フラックス3の作製方法:
ガラスビンに、反応溶媒である水24gと、グルタル酸(和光純薬工業社製)13.212gとを入れ、室温で均一になるまで溶解させた。その後、ベンジルアミン(和光純薬工業社製)10.715gを入れて、約5分間撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を5~10℃の冷蔵庫に入れて、一晩放置した。析出した結晶をろ過により分取し、水で洗浄し、真空乾燥し、フラックス3を得た。
【0165】
(4)フラックス4:「シクロヘキシルカルボン酸シクロヘキシルアミン塩」、融点:128℃
フラックス4の作製方法:
ガラスビンに、反応溶媒である水24gと、シクロヘキシルカルボン酸(和光純薬工業社製)12.817gとを入れ、室温で均一になるまで溶解させた。その後、シクロヘキシルアミン(和光純薬工業社製)10.715gを入れて、約5分間撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を5~10℃の冷蔵庫に入れて、一晩放置した。析出した結晶をろ過により分取し、水で洗浄し、真空乾燥し、フラックス4を得た。
【0166】
(5)フラックス5:「アジピン酸シクロヘキシルアミン塩」、融点:130℃
フラックス5の作製方法:
ガラスビンに、反応溶媒である水24gと、アジピン酸(和光純薬工業社製)14.614gとを入れ、室温で均一になるまで溶解させた。その後、シクロヘキシルアミン(和光純薬工業社製)9.918gを入れて、約5分間撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を5~10℃の冷蔵庫に入れて、一晩放置した。析出した結晶をろ過により分取し、水で洗浄し、真空乾燥し、フラックス5を得た。
【0167】
(6)フラックス6:「アジピン酸ベンジルアミン塩」、融点:145℃
フラックス6の作製方法:
ガラスビンに、反応溶媒である水24gと、アジピン酸(和光純薬工業社製)14.614gとを入れ、室温で均一になるまで溶解させた。その後、ベンジルアミン(和光純薬工業社製)10.715gを入れて、約5分間撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を5~10℃の冷蔵庫に入れて、一晩放置した。析出した結晶をろ過により分取し、水で洗
浄し、真空乾燥し、フラックス6を得た。
【0168】
(7)フラックス7:「アジピン酸1,3-ジフェニルグアニジン塩」、融点:147℃
フラックス7の作製方法:
ガラスビンに、反応溶媒である水24gと、アジピン酸(和光純薬工業社製)14.614gとを入れ、室温で均一になるまで溶解させた。その後、1,3-ジフェニルグアニジン(和光純薬工業社製)21.126gを入れて、約5分間撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を5~10℃の冷蔵庫に入れて、一晩放置した。析出した結晶をろ過により分取し、水で洗浄し、真空乾燥し、フラックス7を得た。
【0169】
はんだ粒子:
はんだ粒子1:SnBiはんだ粒子、三井金属鉱業社製「Sn42Bi58」、平均粒子径:30μm、融点:138℃
はんだ粒子2:SnAgCuはんだ粒子、三井金属鉱業社製「SnAg3Cu0.5」、平均粒子径:30μm、融点:217℃
【0170】
(実施例1~18及び比較例1~4)
(1)導電材料(異方性導電ペースト)の作製
下記の表1,2に示す成分を下記の表1,2に示す配合量で配合して、導電材料(異方性導電ペースト)を得た。
【0171】
(2)接続構造体の作製
第2の接続対象部材として、半導体チップ本体(サイズ5×5mm、厚み0.4mm)の表面に、400μmピッチで250μmの銅電極が、エリアアレイにて配置されており、最表面にパッシベーション膜(ポリイミド、厚み5μm、電極部の開口径200μm)が形成されている半導体チップを準備した。銅電極の数は、半導体チップ1個当たり、10個×10個の合計100個である。
【0172】
第1の接続対象部材として、ガラスエポキシ基板本体(サイズ20×20mm、厚み1.2mm、材質FR-4)の表面に、第2の接続対象部材の電極に対して、同じパターンとなるように、銅電極が配置されており、銅電極が配置されていない領域にソルダーレジスト膜が形成されているガラスエポキシ基板を準備した。銅電極の表面とソルダーレジスト膜の表面との段差は、15μmであり、ソルダーレジスト膜は銅電極よりも突出している。
【0173】
上記ガラスエポキシ基板の上面に、作製直後の導電材料(異方性導電ペースト)を厚さ100μmとなるように塗工し、導電材料(異方性導電ペースト)層を形成した。次に、導電材料(異方性導電ペースト)層の上面に半導体チップを電極同士が対向するように積層した。導電材料(異方性導電ペースト)層には、上記半導体チップの重量は加わる。その状態から、導電材料(異方性導電ペースト)層の温度が、昇温開始から5秒後に139℃(はんだの融点)となるように加熱した。さらに、昇温開始から15秒後に、導電材料(異方性導電ペースト)層の温度が160℃となるように加熱し、導電材料(異方性導電ペースト)層を硬化させ、接続構造体を得た。加熱時には、加圧を行わなかった。
【0174】
(評価)
(1)はんだ粒子の融点未満の融点を有するフラックスと、はんだ粒子の融点以上かつはんだ粒子の融点+50℃以下の融点を有するフラックスとの配合の有無
導電材料(異方性導電ペースト)に含まれるフラックス及びはんだ粒子の融点を、示差走査熱量測定(DSC)により算出した。示差走査熱量測定(DSC)装置としては、S
II社製「EXSTAR DSC7020」を用いた。
【0175】
得られたフラックスの融点及びはんだ粒子の融点の測定結果から、導電材料中に、はんだ粒子の融点未満の融点を有するラックスと、はんだ粒子の融点以上かつはんだ粒子の融点+50℃以下の融点を有するフラックスとが含まれているか否かを確認した。はんだ粒子の融点未満の融点を有するフラックスの配合の有無を以下の基準で判定した。また、はんだ粒子の融点以上かつはんだ粒子の融点+50℃以下の融点を有するフラックスの配合の有無を以下の基準で判定した。
【0176】
[はんだ粒子の融点未満の融点を有するフラックスの配合の有無の判定基準]
○:導電材料中に、はんだ粒子の融点未満の融点を有するフラックスが含まれている
×:導電材料中に、はんだ粒子の融点未満の融点を有するフラックスが含まれていない
【0177】
[はんだ粒子の融点以上はんだ粒子の融点+50℃以下の融点を有するフラックスの配合の有無の判定基準]
○:導電材料中に、はんだ粒子の融点以上はんだ粒子の融点+50℃以下の融点を有するフラックスが含まれている
×:導電材料中に、はんだ粒子の融点以上はんだ粒子の融点+50℃以下の融点を有するフラックスが含まれていない
【0178】
(2)電極間のブリッジ
得られた接続構造体において、走査型電子顕微鏡により接続部を観察することで、隣接する電極間にブリッジが形成されているか否かを確認した。電極間のブリッジを以下の基準で判定した。
【0179】
[電極間のブリッジの判定基準]
○:電極間のブリッジが形成されていない
×:電極間のブリッジが形成されている
【0180】
(3)はんだ残り
得られた接続構造体において、第1の接続対象部材と接続部と第2の接続対象部材との積層方向に第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との対向し合う部分をみたときに、隣接する電極間における第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との対向し合う部分の面積100%中の、接続部中のはんだ粒子が配置されている面積の割合Xを評価した。はんだ残りを以下の基準で判定した。
【0181】
[はんだ残りの判定基準]
○○:割合Xが5%未満
○:割合Xが5%以上10%未満
△:割合Xが10%以上30%未満
×:割合Xが30%以上
【0182】
(4)電極上のはんだの配置精度
得られた接続構造体において、第1の電極と接続部と第2の電極との積層方向に第1の電極と第2の電極との対向し合う部分をみたときに、第1の電極と第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の、接続部中のはんだ部が配置されている面積の割合Yを評価した。電極上のはんだの配置精度を以下の基準で判定した。
【0183】
[電極上のはんだの配置精度の判定基準]
○○:割合Yが70%以上
○:割合Yが60%以上70%未満
△:割合Yが50%以上60%未満
×:割合Yが50%未満
【0184】
(5)上下の電極間の導通信頼性
得られた接続構造体(n=15個)において、上下の電極間の1接続箇所当たりの接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通信頼性を以下の基準で判定した。
【0185】
[導通信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が50mΩ以下
○:接続抵抗の平均値が50mΩを超え70mΩ以下
△:接続抵抗の平均値が70mΩを超え100mΩ以下
×:接続抵抗の平均値が100mΩを超える、又は接続不良が生じている
【0186】
(6)隣接する電極間の絶縁信頼性
得られた接続構造体(n=15個)において、85℃及び湿度85%の雰囲気中に100時間放置後、隣接する電極間に、5Vを印加し、抵抗値を25箇所で測定した。絶縁信頼性を以下の基準で判定した。
【0187】
[絶縁信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が107Ω以上
○:接続抵抗の平均値が106Ω以上107Ω未満
△:接続抵抗の平均値が105Ω以上106Ω未満
×:接続抵抗の平均値が105Ω未満
【0188】
結果を下記の表1,2に示す。
【0189】
【0190】
【0191】
フレキシブルプリント基板、樹脂フィルム、フレキシブルフラットケーブル及びリジッドフレキシブル基板を用いた場合でも、同様の傾向が見られた。
【符号の説明】
【0192】
1,1X…接続構造体
2…第1の接続対象部材
2a…第1の電極
3…第2の接続対象部材
3a…第2の電極
4,4X…接続部
4A,4XA…はんだ部
4B,4XB…硬化物部
11…導電材料
11A…はんだ粒子
11B…熱硬化性成分