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特許7497149構造体、当該構造体を備えた遊星歯車装置および当該遊星歯車装置を備えたアクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】構造体、当該構造体を備えた遊星歯車装置および当該遊星歯車装置を備えたアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/022 20120101AFI20240603BHJP
   F16H 57/031 20120101ALI20240603BHJP
   F16H 1/46 20060101ALI20240603BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
F16H57/022
F16H57/031
F16H1/46
H02K7/116
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019217019
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021085506
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 拓也
(72)【発明者】
【氏名】河田 敏樹
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-228737(JP,A)
【文献】実開平02-009352(JP,U)
【文献】特開2016-142274(JP,A)
【文献】特開2015-055314(JP,A)
【文献】登録実用新案第3043550(JP,U)
【文献】特開2005-069470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/022
F16H 57/031
F16H 1/46
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯車機構を収容する構造体であって、
筒形状のハウジングと、
前記ハウジングの軸方向の一方側端部に配置されて前記ハウジングとともに歯車機構の収容空間を形成し、前記歯車機構を構成する内歯車を有する胴部と、前記胴部とは一体であり、前記胴部の軸方向の一方側端部を覆う蓋部と、を有する蓋体と、
を備え、
前記胴部は、前記ハウジングとの間に、前記ハウジングの周方向および径方向の少なくともいずれかに隙間をあけて配置されており、
前記胴部は、前記ハウジングに対し線接触することで、前記周方向の回転が制限されるように配置される、
構造体。
【請求項2】
前記胴部は、前記軸方向に延在する第1凸部が形成された外周面を有し、
前記ハウジングは、前記軸方向に延在する第2凸部が形成された内周面を有し、
前記胴部の外周面は、前記第1凸部と前記第2凸部とが互いに線接触するように、前記ハウジングの前記内周面の内側に配置される、
請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
歯車機構を収容する構造体であって、
筒形状のハウジングと、
前記ハウジングの軸方向の一方側端部に配置されて前記ハウジングとともに歯車機構の収容空間を形成し、前記歯車機構を構成する内歯車を有する胴部と、前記胴部とは一体であり、前記胴部の軸方向の一方側端部を覆う蓋部と、を有する蓋体と、
を備え、
前記胴部は、前記ハウジングとの間に、前記ハウジングの周方向および径方向の少なくともいずれかに隙間をあけて配置されており、
前記胴部は、前記ハウジングに対し前記軸方向で点接触または線接触するように配置される、
構造体。
【請求項4】
歯車機構を収容する構造体であって、
筒形状のハウジングと、
前記ハウジングの軸方向の一方側端部に配置されて前記ハウジングとともに歯車機構の収容空間を形成し、前記歯車機構を構成する内歯車を有する胴部と、前記胴部とは一体であり、前記胴部の軸方向の一方側端部を覆う蓋部と、を有する蓋体と、
を備え、
前記胴部は、前記ハウジングとの間に、前記ハウジングの周方向および径方向の少なくともいずれかに隙間をあけて配置されており、
前記胴部および前記ハウジングのうちの一方に配置され、前記軸方向に凹入する嵌合凹部と、
前記胴部および前記ハウジングのうちの他方において、前記嵌合凹部と対向配置され、前記軸方向に突出する嵌合凸部と、
を備え、
前記嵌合凹部と前記嵌合凸部とは、互いに前記周方向及び前記径方向の隙間をあけた状態で、互いに前記軸方向で点接触または線接触するように嵌合している、
構造体。
【請求項5】
歯車機構を収容する構造体であって、
筒形状のハウジングと、
前記ハウジングの軸方向の一方側端部に配置されて前記ハウジングとともに歯車機構の収容空間を形成し、前記歯車機構を構成する内歯車を有する胴部と、前記胴部とは一体であり、前記胴部の軸方向の一方側端部を覆う蓋部と、を有する蓋体と、
を備え、
前記胴部は、前記ハウジングとの間に、前記ハウジングの周方向および径方向の少なくともいずれかに隙間をあけて配置されており、
前記胴部および前記ハウジングのうちの一方に配置され、前記径方向に凹入する嵌合凹部と、
前記胴部および前記ハウジングのうちの他方において、前記嵌合凹部と対向配置され、前記径方向に突出する嵌合凸部と、
を備え、
前記嵌合凹部と前記嵌合凸部とは、互いに前記周方向及び前記径方向の隙間をあけた状態で、互いに前記軸方向で点接触または線接触するように嵌合している、
構造体。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の構造体と、
前記収容空間に収容された遊星歯車機構と、
を備える、
遊星歯車装置。
【請求項7】
請求項に記載の遊星歯車装置と、
前記遊星歯車装置に接続され前記遊星歯車装置を駆動するモータと、
を備える、
アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体、当該構造体を備えた遊星歯車装置および当該遊星歯車装置を備えたアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
遊星歯車装置は、自動車、ロボットなどの様々な技術に用いられている。遊星歯車装置は複数の歯車が組み合わされて構成されているため、作動時に騒音及び振動が発生する。このような遊星歯車装置の作動時の騒音及び振動の発生を抑制するための技術が提案されている。
【0003】
このような技術を提案するものとして、特許文献1は、内歯車とハウジングとを分離した構造とし、両者の間に隙間を設けた遊星歯車装置を開示している。内歯車とハウジングとを分離した構造とすることで、内歯車からハウジングに振動が伝達しにくくなり、振動に起因する騒音が発生しにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公平6-74835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の遊星歯車装置では、内歯車の外周面とハウジングの内周面とが、互いに嵌まり合う形状に形成されている。そのため、遊星歯車装置の作動中に内歯車が移動すると、内歯車の外周面とハウジングの内周面とはある程度の広がりをもった範囲で接触することになる。これにより、内歯車とハウジングとが接触している状態では、内歯車まで伝わった遊星歯車機構の振動がハウジングに伝達しやすくなり、それに伴う遊星歯車装置の騒音も発生しやすいという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、歯車機構からの振動の伝達及び遊星歯車装置から発生する騒音を抑制することができる構造体、当該構造体を備えた遊星歯車装置、当該遊星歯車装置を備えたアクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明における構造体は、
歯車機構を収容する構造体であって、
筒形状のハウジングと、
前記ハウジングの軸方向の一方側端部に配置されて前記ハウジングとともに歯車機構の収容空間を形成し、前記歯車機構を構成する内歯車を有する胴部と、前記胴部とは一体であり、前記胴部の軸方向の一方側端部を覆う蓋部と、を有する蓋体と、
を備え、
前記胴部は、前記ハウジングとの間に、前記ハウジングの周方向および径方向の少なくともいずれかに隙間をあけて配置されており、
前記胴部は、前記ハウジングに対し線接触することで、前記周方向の回転が制限されるように配置される。
本発明における他の構造体は、
歯車機構を収容する構造体であって、
筒形状のハウジングと、
前記ハウジングの軸方向の一方側端部に配置されて前記ハウジングとともに歯車機構の収容空間を形成し、前記歯車機構を構成する内歯車を有する胴部と、前記胴部とは一体であり、前記胴部の軸方向の一方側端部を覆う蓋部と、を有する蓋体と、
を備え、
前記胴部は、前記ハウジングとの間に、前記ハウジングの周方向および径方向の少なくともいずれかに隙間をあけて配置されており、
前記胴部は、前記ハウジングに対し前記軸方向で点接触または線接触するように配置される。
本発明における他の構造体は、
歯車機構を収容する構造体であって、
筒形状のハウジングと、
前記ハウジングの軸方向の一方側端部に配置されて前記ハウジングとともに歯車機構の収容空間を形成し、前記歯車機構を構成する内歯車を有する胴部と、前記胴部とは一体であり、前記胴部の軸方向の一方側端部を覆う蓋部と、を有する蓋体と、
を備え、
前記胴部は、前記ハウジングとの間に、前記ハウジングの周方向および径方向の少なくともいずれかに隙間をあけて配置されており、
前記胴部および前記ハウジングのうちの一方に配置され、前記軸方向に凹入する嵌合凹部と、
前記胴部および前記ハウジングのうちの他方において、前記嵌合凹部と対向配置され、前記軸方向に突出する嵌合凸部と、
を備え、
前記嵌合凹部と前記嵌合凸部とは、互いに前記周方向及び前記径方向の隙間をあけた状態で、互いに前記軸方向で点接触または線接触するように嵌合している。
本発明における他の構造体は、
車機構を収容する構造体であって、
筒形状のハウジングと、
前記ハウジングの軸方向の一方側端部に配置されて前記ハウジングとともに歯車機構の収容空間を形成し、前記歯車機構を構成する内歯車を有する胴部と、前記胴部とは一体であり、前記胴部の軸方向の一方側端部を覆う蓋部と、を有する蓋体と、
を備え、
前記胴部は、前記ハウジングとの間に、前記ハウジングの周方向および径方向の少なくともいずれかに隙間をあけて配置されており、
前記胴部および前記ハウジングのうちの一方に配置され、前記径方向に凹入する嵌合凹部と、
前記胴部および前記ハウジングのうちの他方において、前記嵌合凹部と対向配置され、前記径方向に突出する嵌合凸部と、
を備え、
前記嵌合凹部と前記嵌合凸部とは、互いに前記周方向及び前記径方向の隙間をあけた状態で、互いに前記軸方向で点接触または線接触するように嵌合している。
【0008】
本発明における遊星歯車装置は、
構造体と、
前記収容空間に収容された遊星歯車機構と、
を備える。
【0009】
本発明におけるアクチュエータは、
前記遊星歯車装置と、
前記遊星歯車装置に接続され前記遊星歯車装置を駆動するモータと、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、歯車機構からの振動の伝達及び遊星歯車装置から発生する騒音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施の形態に係る構造体の軸方向に沿った断面を示す断面図である。
図2図2は、本実施の形態に係るアクチュエータの軸方向に沿った断面を示す断面図である。
図3図3は蓋体の軸方向に沿った断面を示す断面図である。
図4図4図3のA矢視図である。
図5図5はハウジングの軸方向に沿った断面を示す断面図である。
図6図6図5のB矢視図である。
図7図7は構造体の軸方向と直交する方向の断面の一部を示す図である。
図8図8は、構造体の軸方向に沿った断面を示す断面図である。
図9図9は、図8のC矢視図である。
図10図10は、蓋体の軸方向に沿った断面を示す断面図である。
図11図11は、図10のD矢視図である。
図12図12は、ハウジングの軸方向に沿った断面を示す断面図である。
図13図13は、図12のE矢視図である。
図14図14は、構造体の軸方向と直交する方向の断面の一部を示す図である。
図15図15は、図14のF矢視図である。
図16図16は、蓋体の軸方向に沿った断面を示す断面図である。
図17図17は、図16のG矢視図である。
図18図18は、ハウジングの軸方向に沿った断面を示す断面図である。
図19図19は、図18のH矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は一例であり、本発明はこの実施の形態により限定されるものではない。
【0013】
図1から図7を参照して、本実施の形態に係る構造体1、遊星歯車装置2およびアクチュエータ3等の一例について説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る構造体1の軸方向に沿った断面を簡略的に示す断面図である。図2は、本実施の形態に係るアクチュエータ3の軸方向に沿った断面を示す断面図である。図3は蓋体10の軸方向に沿った断面を示す断面図である。図4図3のA矢視図である。図1には、X軸およびY軸が描かれている。以下の説明では、図1において左右方向をX方向または軸方向といい、左方向を「+X方向」、右方向を「-X方向」という。また、図1においてX軸に対して直交する方向をY方向または径方向といい、径方向外側を「+Y方向」、径方向内側を「-Y方向」という。また、図1においてX軸回りの方向を周方向という。
【0015】
<構造体1>
図1および図2に示すように、構造体1は、遊星歯車装置2に組み込まれている。アクチュエータ3は、遊星歯車装置2およびモータ5を備えている。
【0016】
図1に示すように、構造体1は、蓋体10とハウジング20とを備えている。蓋体10は、ハウジング20の-X方向に配置される。図3および図4に示すように、蓋体10は、例えば合成樹脂製で射出成形により形成される。蓋体10は、概略円筒形状をなし、蓋体10の中心部には、左端から右方向(-X方向)に延びる穴10aが設けられている。換言すると、蓋体10は、円板状の蓋部10bと、蓋部10bから左方向(+Y方向)に延びる円筒状の胴部10cとを備える概略有底円筒形状をなす。蓋部10bの中心部には左右方向(X方向)に貫通する貫通穴10dが配置されている。蓋部10bは、胴部10cと一体であり、胴部10cの右方向端部を覆う。胴部10cは、ハウジング20の右端部に配置されたハウジング20とともに第1遊星歯車機構30(後述する)の収容空間を形成し、第1遊星歯車機構30を構成する内歯車12を有する。
【0017】
図3および図4に示すように、蓋体10は、左方向を向く円形状の面11aと、面11aよりも左側に位置し、左方向を向く円環状の面11bと、面11aと面11bとを繋ぐ内周面11cと、内周面11cに形成された内歯車12を有している。穴10aは、面11aと内周面11cとにより画定される。
【0018】
蓋体10は、また、面11bよりも右側に位置し、左方向を向く円環状の面11dと、面11dよりも右側に位置し、右方向を向く円形状の面11eと、面11bと面11dとを繋ぐ外周面11fと、面11dと面11eとを繋ぐ外周面11gとを有している。外周面11fは、外周面11gよりも小径である。
【0019】
外周面11fは、複数の凸部13(本発明の「第1凸部」に対応する)を有している。凸部13は、軸方向(X方向)に沿って一方側から他方側に向かって延在する。例えば、凸部13は、周方向に等間隔に6箇所配置されている。凸部13は、X軸と直交する断面で三角形の山形形状を有し、その形状および大きさは、X軸方向に一定である。山形形状は、外周面11fの一般面11hよりも径方向外側(+Y方向)に突出し、三角形の頂点を含む頂部13aと、頂点から一般面11hに向かって傾斜する傾斜部13b(図7を参照)とを有する。
【0020】
面11bは、複数の突出部14を有している。突出部14は、凸部13に対応するように配置されている。例えば、突出部14は、周方向に等間隔に6箇所配置されている。突出部14は、半球形状を有し、その球面が左方向(+X方向)に突出している。
【0021】
図2に示すように、外周面11gは複数のフィンガー部11jを有している。フィンガー部11jは、外周面11gに等間隔に例えば3箇所配置されている。ハウジング20の外周面21j(後述する)には軸方向でフィンガー部11jに対向して突起部21q(後述する)が配置されている。フィンガー部11jは、ハウジング20の外周面21jの突起部21q(後述する)の径方向外側を通って左方向(+X方向)に延在している。これにより、蓋体10の径方向の移動が制限される。フィンガー部11jの先端部はフック部11kを有している。フック部11kは、径方向内側(-Y方向)に折曲され、突起部21qに係止する。これにより、蓋体10の軸方向(X方向)の移動が制限される。
【0022】
図5は、ハウジング20の軸方向に沿った断面を示す断面図である。図6図5のB矢視図である。図5および図6に示すように、ハウジング20は、例えば合成樹脂製で射出成形により形成される。ハウジング20の中心部には、左右方向(X方向)に貫通する穴20aが設けられている。換言すると、ハウジング20は、円筒部20bを備える。
【0023】
ハウジング20は、右方向を向く円環状の面21aと、面21aよりも左側に位置し、右方向を向く円環状の面21bと、面21bよりも左側に位置し、右方向を向く円環状の面21cと、面21cよりも左側に位置し、左方向を向く円環状の面21dと、面21dよりも右側に位置し、左方向を向く円環状の面21eと、面21aと面21bとを繋ぐ内周面21fと、面21bと面21cとを繋ぐ内周面21gと、面21cと面21dとを繋ぐ内周面21hと、面21dと面21eとを繋ぐ外周面21iと、面2eと面21aとを繋ぐ外周面21jと、内周面21gに形成された内歯車22を有している。
【0024】
図1および図5に示すように、穴20aは、面21a、21cと内周面21f,21g,21hとにより画定される。穴20aは、面21bと内周面21fとにより画定される空間201と、面21cと内周面21gとにより画定される空間202と、内周面21hにより画定される空間203とを有する。
【0025】
図5および図6に示すように、内周面21fは、複数の凸部23(本発明の「第2凸部」に対応する)を有している。内周面21f(本発明の「ハウジングの内周面」に対応する)は、凸部13を有する外周面11f(本発明の「胴部の外周面」に対応する)の径方向外側に配置される。凸部23は、軸方向(X方向)に沿って一方から他方側に向かって延在する。凸部23は、図6に示すように、内周面21fに対をなして配置されている。例えば、対の凸部23は、内周面21fに等間隔に6箇所配置されている。
【0026】
図7は、構造体1の軸方向と直交する方向の断面の一部を示す図である。例えば、図7に示すように、各凸部23の断面形状は、内周面21fの一般面21kから徐々に立ち上がる立ち上がり部23aと、丸みを帯びた頂部23bと、立ち上がり部23aと頂部23bとを膨らみながら接続する接続部23cとを有している。なお、凸部23の断面の形状および大きさは軸方向(X方向)に一定である。頂部23bは、一般面21kよりも径方向内側(-Y方向)に突出する。X軸から頂部23bまでの距離は、X軸から頂部13aまでの距離よりも短い。
【0027】
蓋体10とハウジング20とが組み付けられる場合、内歯車12とハウジング20との間には、径方向(Y方向)および周方向の隙間をあけて配置される。具体的には、図7に示すように、凸部13と凸部23との間に周方向の隙間SL1があけられるように、かつ、凸部13と内周面21fの一般面21kとの間に径方向の隙間SL2があけられるように、対の凸部23間に凸部13が差し込まれる。内歯車12が周方向に所定の角度回転した場合、凸部13は凸部23に対し線接触する。これにより、内歯車12は周方向の回転が制限される。ここでは、内歯車12は、傾斜部13bが頂部23bに線接触することで、周方向の回転が制限される。ここで、「線接触」とは、接触部分が線形状をなしている接触状態のことをいい、例えば、接触点が線形状をなすように散在している接触状態を含む。また、「線形状」の方向には、X軸方向に沿って延在するものに限らず、X軸に対して傾斜する方向に沿って延在するものも含まれる。
【0028】
蓋体10とハウジング20とが組み付けられる場合、内歯車12は、ハウジング20に対し軸方向(X方向)で点接触または線接触するように配置される。具体的には、図1に示すように、突出部14が面21bに点接触するように配置される。
【0029】
<遊星歯車装置2>
遊星歯車装置2は、モータ5の回転を減速する減速機の一例として、図2に示すように、第1遊星歯車機構30と第2遊星歯車機構40との2段の遊星歯車機構を備える。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、遊星歯車機構の段数を任意に設定することが可能である。例えば、遊星歯車機構を3段にして減速比を上げるようにしてもよく、減速歯車機構を1段にしてもよい。
【0030】
本実施の形態では、構造体1を、高速で回転する1段目の減速機構である第1遊星歯車機構30に適用し、低速で回転する2段目の減速機構である第2遊星歯車機構40には適用しない。しかしながら、本発明は、これに限らず、構造体1と同様な構成を、2段目の減速機構である第2遊星歯車機構40に適用してもよい。
【0031】
モータ5の回転軸6は、貫通穴10dを通って穴10aに挿入される。図2に示すように、第1遊星歯車機構30は、内歯車12の他に、太陽歯車31、キャリア32および遊星歯車33を有している。なお、内歯車12は、内歯車12の軸に対し斜めに切られた螺旋状の歯を有する、例えば、はすば歯車である。
【0032】
太陽歯車31は、モータ5の回転軸6に固定される。太陽歯車31は、回転軸6と一体に回転する。太陽歯車31は、例えば、太陽歯車31の軸に対し斜めに切られた螺旋状の歯を有する、例えば、はすば歯車である。太陽歯車31は、キャリア32の穴32a(後述する)に挿通される。
【0033】
キャリア32は、例えば合成樹脂製で射出成形により形成される。キャリア32は、穴10a(図1を参照)および空間201(図1を参照)に収容される。キャリア32は、概略円筒形状をなし、キャリア32の中心部には、右端から左方向(+X方向)に延びる穴32aが設けられている。換言すると、キャリア32は、円板部32bと、円板部32bから左方向に延びる円筒部32cとを備える概略有底円筒形状をなす。円筒部32cは、右方向を向く円環状の面32dと、面32dよりも左側に位置し、右方向を向く円形状の面32eと、面32eよりも左側に位置し、左方向を向く円形状の面32fと、面32dと面32eとを繋ぐ内周面32gと、面32dと面32fとを繋ぐ外周面32hとを有している。円筒部32cには、周方向に等間隔に3つの収容部32iが配置されている。円板部32bの中心部には、左方向に延在する軸状部32jが固定されている。
【0034】
遊星歯車33は、収容部32iに収容される。遊星歯車33は、円筒部32cにより、X軸と平行な軸周りに回転可能に支持される。遊星歯車33の歯部は、太陽歯車31と噛み合うように内周面32gから径方向内側(-Y方向)に突出し、かつ、内歯車12に噛み合うように外周面32hから径方向外側(+Y方向)に突出する。遊星歯車33は、遊星歯車33の軸に対し斜めに切られた螺旋状の歯を有する、例えば、はすば歯車である。
【0035】
図2に示すように、第2遊星歯車機構40は、内歯車22の他に、太陽歯車41、キャリア42および遊星歯車43を有している。なお、内歯車22は、内歯車22の軸に対し斜めに切られた螺旋状の歯を有する、例えば、はすば歯車である。
【0036】
太陽歯車41は、軸状部32jに固定される。太陽歯車41は、キャリア32と一体に回転する。太陽歯車41は、例えば、太陽歯車41の軸に対し斜めに切られた螺旋状の歯を有する、例えば、はすば歯車である。太陽歯車41は、キャリア42の穴42a(後述する)に挿通される。
【0037】
キャリア42は、例えば合成樹脂製で射出成形により形成される。キャリア42は、空間202(図1を参照)および空間203(図1を参照)に収容される。キャリア42は、概略円筒形状をなし、キャリア42の中心部には、左右方向(X方向)に貫通する穴42aが設けられている。換言すると、キャリア42は、円筒部42cを有する。円筒部42cは、右方向を向く円環状の面42dと、面42dよりも左側に位置し、右方向を向く円環状の面42eと、面42eよりも左側に位置し、左方向を向く円環状の面42fと、面42fよりも左側に位置し、左方向を向く円環状の面42gと、面42gよりも右側に位置し、左方向を向く円環状の面42hと、面42dと面42eとを繋ぐ内周面42iと、面42eと面42fとを繋ぐ内周面42jと、面42fと面42gとを繋ぐ内周面42kと、面42gと面42hとを繋ぐ外周面42mと、面42dと面42hとを繋ぐ外周面42nとを有している。円筒部42cには、周方向に等間隔に3つの収容部42pが配置されている。
【0038】
穴42aは、面42eと内周面42iとにより画定される空間421と、内周面42jにより画定される空間422と、面42fと内周面42kとにより画定される空間423とを有している。空間421は、太陽歯車41が嵌合した状態で収容される嵌合穴である。空間422は、軸状部32jが相対回転可能に嵌合する嵌合穴である。空間423は、出力歯車(不図示)を保持するための嵌合穴である。
【0039】
遊星歯車43は、収容部42pに収容される。遊星歯車43は、円筒部42cにより、X軸と平行な軸周りに回転可能に支持される。遊星歯車43の歯部は、太陽歯車41と噛み合うように内周面42iから径方向内側(-Y方向)に突出し、かつ、内歯車22と噛み合うように外周面42mから径方向外側(+Y方向)に突出する。遊星歯車43は、遊星歯車43の軸に対し斜めに切られた螺旋状の歯を有する、例えば、はすば歯車である。
【0040】
次に、アクチュエータ3の動作の一例について説明する。
先ず、図2に示すモータ5が作動すると、回転軸6が回転する。以下、回転軸6が図7において時計回りの方向CW1に回転した場合について説明する。回転軸6が時計回りの方向CW1に回転すると、回転軸6の回転に応じて、太陽歯車31が時計回りの方向CW1に回転する。太陽歯車31が時計回りの方向CW1に回転するに応じて、太陽歯車31と噛み合った3つの遊星歯車33がそれぞれ反時計回りの方向CW2に回転する。また、遊星歯車33が内歯車12に噛み合っていることから、反時計回りの方向CW2に回転することによって、第1遊星歯車機構30の中心軸回りを時計回りの方向CW1に回転(公転)する。遊星歯車33の回転(公転)に応じて、キャリア32は、その中心軸(軸状部32j)を中心に時計回りの方向CW1に回転する。
【0041】
このようにキャリア32が時計回りの方向CW1に回転すると、キャリア32に固定された太陽歯車41が時計回りの方向CW1に回転する。太陽歯車41が時計回りの方向CW1に回転するに応じて、太陽歯車41と噛み合った3つの遊星歯車43がそれぞれ反時計回りの方向CW2に回転する。また、遊星歯車43が内歯車22に噛み合っていることから、反時計回りの方向CW2に回転することによって、第2遊星歯車機構40の中心軸回りを時計回りの方向CW1に回転(公転)する。遊星歯車43の回転(公転)に応じて、キャリア42は、その中心軸を中心に時計回りの方向CW1に回転する。そして、キャリア42の回転は、キャリア42に保持された出力歯車(不図示)に伝達される。
【0042】
なお、上記では、回転軸6が時計回りの方向CW1に回転した場合について説明したが、回転軸6を反時計回りの方向CW2に回転させた場合には、各歯車の回転方向が反対になるだけで同様にアクチュエータ3の動作を説明することができる。
【0043】
アクチュエータ3が動作していない場合、内歯車12とハウジング20との間には、図7に示す周方向の隙間SL1および径方向の隙間SL2が形成されている。アクチュエータ3が動作すると、内歯車12は、周方向の隙間SL1だけ周方向の移動が許容され、径方向の隙間SL2の分だけ径方向の移動が許容される。例えば、内歯車12が図7に示す状態から時計回りの方向CW1に回転した場合、内歯車12の凸部13のそれぞれがハウジング20の凸部23に線接触する。これにより、内歯車12は、これ以上時計回りの方向CW1に回転することができない。凸部23は対で形成されているため、内歯車12が反時計回りの方向CW2に回転した場合でも、同様に線接触し、内歯車12の反時計回りの方向CW2の回転が制限される。
【0044】
また、内歯車12が図7に示す状態から径方向(ここでは、上方向)に移動した場合、内歯車12の凸部13は、ハウジング20の内周面21fに線接触する。これにより、内歯車12はずこれ以上上方向に移動することができないで、上方向の移動が制限される。なお、内歯車12の径方向の移動の制限は、内歯車12が上方向へ移動する場合に限定されない。例えば、内歯車12の周方向に6つの凸部13と対の凸部23とが等間隔に配置されているため、内歯車12の上下方向、左右方向、および、斜め方向のように様々な方向の移動の制限が可能となる。
【0045】
上記実施の形態に係る構造体1は、円筒形状のハウジング20と、ハウジング20の軸方向の一方側端部に配置され、第1遊星歯車機構30を構成する内歯車12を有する蓋体10と、を備え、内歯車12は、ハウジング20との間に、少なくともハウジング20の径方向および周方向の隙間をあけて配置されている。
【0046】
この構成により、アクチュエータ3の作動中に内歯車12が移動した場合、内歯車12の凸部13とハウジング20の凸部23とが線接触することで、内歯車12の周方向の移動を制限することができる。図7に示す凸部13と凸部23とにおいては、凸部13と凸部23とは、きわめて限られた範囲(ここでは、傾斜部13bと頂部23bとが互いに接する範囲)で接触する。凸部13と凸部23との断面の形状および大きさは、軸方向(X方向)に一定である。そのため、凸部13と凸部23との接触は、軸方向に沿った線接触となる。
【0047】
また、内歯車12の凸部13とハウジング20の内周面21fとが線接触することで、内歯車12の径方向の移動を制限することができる。図7に示す凸部13と内周面21fとにおいては、凸部13と内周面21fとはきわめて限られた範囲で接触する。内周面21fの断面の形状および大きさは、凸部13と同様に、軸方向で一定である。そのため、凸部13と内周面21fとの接触は、軸方向に沿った線接触となる。
【0048】
以上のように、凸部13と対の凸部23の間に差し込むことで、蓋体10とハウジング20とが組み付けられる構造体1においては、内歯車12が周方向に回転した場合、また、内歯車12が径方向に移動した場合、内歯車12とハウジング20とが線接触するため、接触面積が小さくなる。これにより、内歯車12の振動がハウジング20に伝達しにくくなる。その結果、第1遊星歯車機構30から伝達されて発生するハウジング20の振動を抑制することが可能となる。そのため、第1遊星歯車機構30に起因する振動に伴う遊星歯車装置2から発生する騒音を抑制することが可能となる。
【0049】
また、構造体1においては、図1図3および図4に示すように、内歯車12の突出部14がハウジング20の面21bに対し軸方向で点接触するように配置される。内歯車12がハウジング20に対して周方向または径方向に移動した場合、突出部14と面21bが点接触するため、接触面積が小さくなる。これにより、内歯車12の振動がハウジング20に伝達しにくくなる。その結果、ハウジング20の振動を抑制することが可能となり、また、遊星歯車装置2から発生する騒音を抑制することが可能となる。
【0050】
<変形例>
次に、変形例1について図8から図13を参照して説明する。図8は、構造体1の軸方向に沿った断面を示す断面図である。図9は、図8のC矢視図であって、嵌合凸部113と嵌合凹部123との嵌合状態を示す拡大図である。図10は蓋体の軸方向に沿った断面を示す断面図である。図11は、図10のD矢視図である。図12はハウジングの軸方向に沿った断面を示す断面図である。図13は、図12のE矢視図である。なお、変形例1の説明においては、上記実施の形態と異なる構成を主に説明し、同じ構成については同一番号を付してその説明を省略する。
【0051】
上記実施の形態においては、内歯車12とハウジング20とを分離して、第1遊星歯車機構30からの振動の伝達及び遊星歯車装置2から発生する騒音を抑制するため、内歯車12とハウジング20との間に周方向および径方向の隙間を設ける。具体的には、図7に示すように、隙間SL1は、凸部13と凸部23との間の周方向の隙間である。隙間SL2は、凸部13と内周面21fとの間の径方向の隙間である。
【0052】
これに対して、変形例1では、図9に示すように、隙間SL1は、嵌合凸部113と嵌合凹部123との間の周方向の隙間である。また、隙間SL2は、嵌合凸部113と嵌合凹部123との間の径方向の隙間である。
【0053】
嵌合凸部113は、例えば、蓋体10の面11bに周方向に等間隔に4つ配置されている。嵌合凸部113は、左方向(+X方向)に突出している。嵌合凸部113のX軸と直交する断面は、円形形状を有している。嵌合凸部113の左端部は、半球面形状を有している。
【0054】
嵌合凹部123は、嵌合凸部113とX方向で対応するように配置されている。例えば、嵌合凹部123は、ハウジング20の面21aに周方向に等間隔に4つ配置されている。嵌合凹部123は、左方向(+X方向)に凹入している。嵌合凹部123のX軸と直交する断面は、円形形状を有している。嵌合凹部123の左端部は、X軸と直交する平面を有する底面である。
【0055】
嵌合凹部123の径は、嵌合凸部113の径よりも大きい。周方向の隙間SL1および径方向の隙間SL2の大きさは、嵌合凹部123の径と嵌合凸部113の径との差の半分に相当する。
【0056】
構造体1において、嵌合凸部113と嵌合凹部123とはX方向で互いに嵌合する。嵌合凸部113と嵌合凹部123とは互いに径方向及び周方向の隙間をあけた状態で嵌合している。これにより、内歯車12とハウジング20とを分離して、第1遊星歯車機構30からの振動の伝達及び遊星歯車装置2から発生する騒音を抑制することができる。
【0057】
また、変形例1では、嵌合凸部113の左端部と嵌合凹部123の底面とは、互いに軸方向(X方向)で点接触する。嵌合凸部113の左端部と嵌合凹部123の底面とが点接触するため、接触面積が小さくなる。この点からも、内歯車12の振動がハウジング20に伝達しにくくなるため、第1遊星歯車機構30からの振動の伝達及び遊星歯車装置2から発生する騒音を抑制することが可能となる。
【0058】
次に、変形例2について図14から図19を参照して説明する。図14は、構造体1の軸方向と直交する方向の断面の一部を示す図である。図15は、図14のF矢視図である。図16は、蓋体の軸方向に沿った断面を示す断面図である。図17は、図16のG矢視図である。図18は、ハウジングの軸方向に沿った断面を示す断面図である。図19は、図18のH矢視図である。なお、変形例2においては、上記実施の形態および上記変形例1と異なる構成を主に説明し、同じ構成については同一番号を付してその説明を省略する。
【0059】
変形例1においては、嵌合凸部113は左方向(+X方向)に突出している。また、嵌合凹部123は、左方向(+X方向)に凹入している。嵌合凸部113と嵌合凹部123とはX方向で互いに嵌合する。
【0060】
これに対して、変形例2では、例えば、嵌合凸部213は、蓋体10の外周面11fに周方向に等間隔に6箇所配置されている。嵌合凸部213は径方向外側(+Y方向)に突出している。嵌合凸部213の周方向の長さはX軸から離間する距離に応じて長くなる。
【0061】
嵌合凹部223は、嵌合凸部213と径方向(Y方向)で対応するように配置されている。例えば、嵌合凹部223は、ハウジング20の内周面21fに周方向に等間隔に6箇所配置されている。嵌合凹部223は、径方向外側(+Y方向)に凹入している。嵌合凹部223の周方向の長さはX軸からの離間する距離に応じて長くなる。本実施の形態では、嵌合凸部213と嵌合凹部223との組み合わせは、複数箇所(ここでは、6箇所)に配置される。
【0062】
嵌合凸部213と嵌合凹部223とは径方向(Y方向)および周方向で互いに隙間をあけた状態で嵌合する。複数箇所に配置された組み合わせは、胴部10cの周方向の移動をそれぞれ制限する。図15に、嵌合凸部213と嵌合凹部223との間の周方向の隙間SL1を示す。一方で、複数箇所に配置された組み合わせは、胴部10cの径方向の移動の制限を補完し合う。例えば、胴部10cが図15に示す径方向外側(+Y方向)に動作した場合、胴部10cの動作する方向線上から外れた位置に配置される組み合わせが、胴部10cの径方向の移動の制限に寄与する。図15に、胴部10cの径方向の移動の制限に寄与する径方向の隙間SL2を示す。以上により、変形例2においても、内歯車12とハウジング20とを分離して、第1遊星歯車機構30からの振動の伝達及び遊星歯車装置2から発生する騒音を抑制することができる。
【0063】
また、嵌合凹部223および嵌合凸部213の形状は、上記に限定されない。例えば、嵌合凹部223と嵌合凸部213の接触面のいずれかが曲面であってもよい。具体的には、例えば、嵌合凹部の嵌合凸部と接触する面が、周方向に凸の曲面であってもよい。また、嵌合凸部の嵌合凹部と接触する面が、周方向に凸の曲面であってもよい。このように、嵌合凹部223と嵌合凸部213の接触面のいずれかが曲面であることで、振動を伝える接触面積を減らすことができるため、第1遊星歯車機構30からの振動の伝達及び遊星歯車装置2から発生する騒音を抑制することができる。
【0064】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。特に、上記実施の形態で説明した各部の形状や個数はあくまで例示であり、適宜変更して実施することができる。
【0065】
上記実施の形態における構造体1においては、胴部10cの凸部13およびハウジング20の凸部23により、胴部10cの周方向および径方向の移動を制限したが、本発明はこれに限らず、胴部10cの周方向および径方向の少なくともいずれかの移動を制限すればよい。例えば、胴部10cのフィンガー部11jおよびハウジング20の突起部21qにより、凸部13,23によることなく、胴部10cの径方向の移動を制限してもよい。
【0066】
また、上記実施の形態における構造体1においては、凸部13が対の凸部23に差し込まれるものとしたが、本発明はこれに限らず、本発明はこれに限らず、対の凸部13に凸部23が差し込まれるものでもよい。
【0067】
また、上記実施の形態においては、内歯車12の突出部14がハウジング20の面21bに点接触する場合を示したが、本発明はこれに限らず、突出部14が面21bに線接触する場合でもよい。
【0068】
上記変形例1においては、嵌合凸部113が嵌合凹部123に点接触する場合を示したが、本発明はこれに限らず、嵌合凸部113が嵌合凹部123に線接触する場合でもよい。
【0069】
本発明は、遊星歯車機構からの振動の伝達及び遊星歯車装置から発生する騒音を抑制することが要求される遊星歯車装置を備えたアクチュエータに好適に利用される。
【符号の説明】
【0070】
1 構造体
2 遊星歯車装置
3 アクチュエータ
10 蓋体
10a 穴
10b 蓋部
10c 胴部
10d 貫通穴
11a,11b,11d,11e 面
11c 内周面
11f,11g 外周面
11h 一般面
12 内歯車
13 凸部
13a 頂部
13b 傾斜部
14 突出部
20 ハウジング
20a 穴
20b 円筒部
21a,21b,21c,21d,21e 面
21f,21g,21h 内周面
21i,21j 外周面
21k 一般面
22 内歯車
23 凸部
23a 立ち上がり部
23b 頂部
23c 接続部
30 第1遊星歯車機構
31 太陽歯車
32 キャリア
33 遊星歯車
40 第2遊星歯車機構
41 太陽歯車
42 キャリア
43 遊星歯車
113,213 嵌合凸部
201,202,203 空間
123,223 嵌合凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19