(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】治療支援装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240603BHJP
【FI】
G16H20/00
(21)【出願番号】P 2019219395
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【氏名又は名称】服部 映美
(72)【発明者】
【氏名】竹村 征樹
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-058020(JP,A)
【文献】特開2019-095960(JP,A)
【文献】特表2011-520987(JP,A)
【文献】特開2013-246459(JP,A)
【文献】特開2002-351977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物依存症、あるいは生活習慣病の治療対象者が提供した行動情報であって、前記治療対象者の行動を示す行動情報を取得する行動情報取得部と、
治療支援者が提供した観察情報であって、前記治療対象者の行動を示す観察情報を取得する観察情報取得部と、
前記行動情報と、前記観察情報との解離
度合いを示す解離情報を生成する解離情報生成部と、
前記治療対象者の行動に関する複数の推奨情報の中から、少なくとも前記解離情報に応じた推奨情報を、前記治療対象者に提示する推奨情報として決定する対象者推奨情報決定部と
を備える治療支援装置。
【請求項2】
前記治療支援者の行動に関する複数の推奨情報の中から、少なくとも前記解離情報に応じた推奨情報を、前記治療支援者に提示する推奨情報として決定する支援者推奨情報決定部
を備える請求項1に記載の治療支援装置。
【請求項3】
前記解離情報を少なくとも用いて、前記治療対象者に対する治療の方針を決定する治療方針決定部
を備える請求項1または請求項2に記載の治療支援装置。
【請求項4】
前記解離情報を少なくとも用いて、前記治療対象者または前記治療支援者からの問合せに対する回答を決定する回答決定部
を備える請求項1から請求項3のいずれかに記載の治療支援装置。
【請求項5】
コンピュータを、
薬物依存症、あるいは生活習慣病の治療対象者が提供した行動情報であって、前記治療対象者の行動を示す行動情報を取得する行動情報取得部、
治療支援者が提供した観察情報であって、前記治療対象者の行動を示す観察情報を取得する観察情報取得部、
前記行動情報と、前記観察情報との解離
度合いを示す解離情報を生成する解離情報生成部、
前記治療対象者の行動に関する複数の推奨情報の中から、少なくとも前記解離情報に応じた推奨情報を、前記治療対象者に提示する推奨情報として決定する対象者推奨情報決定部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療支援装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
依存症などの患者や医師が、病状を把握するために、病状が現れたか否かを患者が申告する手法がある。このとき、申告患者の申告に誤りの疑いがある日数を、患者の生理現象を検出するセンサの検出結果や、患者の保護者、医師、看護師などの第三者による判断結果などにより判定することができる。多くの場合、病状が現れないことを目標としているが、疑いのある日全てについて、患者に申告結果の正否の確認を促すと、患者の闘病意欲を削いでしまうことがある。特許文献1には、患者の闘病意欲を削いでしまうことを抑えるために、疑いがある日数と、目標を達成できなかった失敗率とに基づいて、疑いがある日のうち、申告の正否を患者に促す日数を決める方法が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法においては、治療対象者の申告に誤りがあることを治療に能動的に利用できていないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、治療対象者の申告に誤りがあることを能動的に利用して、より効果的な治療を行えるようにする治療支援装置、およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様は、治療対象者が提供した行動情報であって、前記治療対象者の行動を示す行動情報を取得する行動情報取得部と、治療支援者が提供した観察情報であって、前記治療対象者の行動を示す観察情報を取得する観察情報取得部と、前記行動情報と、前記観察情報との解離を示す解離情報を生成する解離情報生成部と、前記治療対象者の行動に関する複数の推奨情報の中から、少なくとも前記解離情報に応じた推奨情報を、前記治療対象者に提示する推奨情報として決定する対象者推奨情報決定部とを備える治療支援装置である。
【0007】
(2)また、本発明の他の態様は、上述の治療支援装置であって、前記治療支援者の行動に関する複数の推奨情報の中から、少なくとも前記解離情報に応じた推奨情報を、前記治療支援者に提示する推奨情報として決定する支援者推奨情報決定部とを備える。
【0008】
(3)また、本発明の他の態様は、上述の治療支援装置であって、前記解離情報を少なくとも用いて、前記治療対象者に対する治療の方針を決定する治療方針決定部を備える。
【0009】
(4)また、本発明の他の態様は、上述の治療支援装置であって、前記解離情報を少なくとも用いて、前記治療対象者または前記治療支援者からの問合せに対する回答を決定する回答決定部を備える。
【0010】
(5)また、本発明の他の態様は、コンピュータを、治療対象者が提供した行動情報であって、前記治療対象者の行動を示す行動情報を取得する行動情報取得部、治療支援者が提供した観察情報であって、前記治療対象者の行動を示す観察情報を取得する観察情報取得部、前記行動情報と、前記観察情報との解離を示す解離情報を生成する解離情報生成部、前記治療対象者の行動に関する複数の推奨情報の中から、少なくとも前記解離情報に応じた推奨情報を、前記治療対象者に提示する推奨情報として決定する対象者推奨情報決定部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、治療対象者の申告に誤りがあることを能動的に利用して、より効果的な治療を行えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の一実施形態による治療支援装置100の構成を示す概略ブロック図である。
【
図2】同実施形態による解離情報テーブルの例を示す表である。
【
図3】同実施形態による対象者推奨情報テーブルの例を示す表である。
【
図4】同実施形態による支援者推奨情報テーブルの例を示す表である。
【
図5】同実施形態による治療方針情報テーブルの例を示す表である。
【
図6】同実施形態による回答情報テーブルの例を示す表である。
【
図7】同実施形態によるシステム構成の例を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態による治療支援装置100の機能構成を示す概略ブロック図である。治療支援装置100は、例えば、薬物依存症(例えば、ニコチン依存症など)、生活習慣病などの治療を支援するために、治療対象者と治療支援者各々に対して推奨する行動を示す推奨情報を提供する装置である。また、治療支援装置100は、治療方針示す治療方針情報、治療対象者または治療支援者からの問合せに対する回答も提供する。なお、治療支援者は、例えば、治療対象者の保護者、家族、医師、看護師など、治療対象者の行動を把握することができ、治療を支援する者である。
【0014】
治療支援装置100は、行動情報取得部101、観察情報取得部102、解離情報生成部103、情報蓄積部104、対象者推奨情報決定部105、支援者推奨情報決定部106、治療方針決定部107、問合せ取得部108、回答決定部109を備える。行動情報取得部101は、治療対象者が提供した行動情報であって、治療対象者の行動を示す行動情報を取得する。例えば、行動情報取得部101は、治療対象者に対して質問を提示し、治療対象者が入力した該質問への回答を、行動情報として取得する。行動情報取得部101は、取得した行動情報を、解離情報テーブルに記憶させる。
【0015】
観察情報取得部102は、治療支援者が提供した観察情報であって、治療対象者の行動を示す観察情報を取得する。例えば、観察情報取得部102は、治療支援者に対して質問を提示し、治療支援者が入力した該質問への回答を、観察情報として取得する。例えば、観察情報取得部102が提示する質問を、行動情報取得部101が提示する質問と同じにするなどして、観察情報取得部102が取得する観察情報の項目を、行動情報取得部101が取得する行動情報の項目と同一になるようにしてもよい。あるいは、観察情報取得部102が提示する質問を、行動情報取得部101が提示する質問の一部と同じにするなどして、観察情報取得部102が取得する観察情報の項目を、行動情報取得部101が取得する行動情報の項目の一部とになるようにしてもよい。観察情報取得部102は、取得した観察情報を、解離情報テーブルに記憶させる。
【0016】
解離情報生成部103は、行動情報と、観察情報との解離を示す解離情報を生成する。解離情報は、行動情報と観察情報との全体の解離度合いを示す情報であってもよいし、行動情報の一部の項目の解離情報との解離度合いを示す情報であってもよいし、行動情報の特定の項目の解離情報との解離度合いを示す情報であってもよい。解離情報の生成方法の詳細については、後述する。
【0017】
情報蓄積部104は、解離情報テーブル、対象者推奨情報テーブル、支援者推奨情報テーブル、治療方針情報テーブル、回答情報テーブルを記憶する。解離情報テーブルは、行動情報と、観察情報と、解離情報とを格納したテーブルである。対象者推奨情報テーブルは、行動情報と、解離情報との組合せに対応付けて、対象者推奨情報を格納したテーブルである。支援者推奨情報テーブルは、行動情報と、解離情報との組合せに対応付けて、支援者推奨情報を格納したテーブルである。治療方針情報テーブルは、行動情報と、解離情報との組合せに対応付けて、治療方針情報を格納したテーブルである。回答情報テーブルは、問合せと、解離情報との組合せに対応付けて、回答情報を格納したテーブルである。
【0018】
対象者推奨情報決定部105は、予めテーブルに格納された治療対象者の行動に関する複数の推奨情報の中から、少なくとも解離情報に応じた推奨情報を、治療対象者に提示する推奨情報(対象者推奨情報)として決定する。対象者推奨情報決定部105は、決定した対象者推奨情報を、治療対象者に提示する。本実施形態では、対象者推奨情報決定部105は、行動情報取得部101が取得した行動情報と、解離情報生成部103が生成した解離情報との組合せに対応付けられた対象者推奨情報を、対象者推奨情報テーブルから取得する。なお、対象者推奨情報テーブルを、観察情報と、解離情報との組合せに対応付けて、対象者推奨情報を格納したテーブルとし、対象者推奨情報決定部105が、観察情報と、解離情報との組合せに対応付けられた対象者推奨情報を取得するようにしてもよい。
【0019】
支援者推奨情報決定部106は、予めテーブルに格納された治療支援者の行動に関する複数の推奨情報の中から、少なくとも解離情報に応じた推奨情報を、治療支援者に提示する推奨情報(支援者推奨情報)として決定する。支援者推奨情報決定部106は、決定した支援者推奨情報を、治療支援者に提示する。本実施形態では、支援者推奨情報決定部106は、行動情報取得部101が取得した行動情報と、解離情報生成部103が生成した解離情報との組合せに対応付けられた支援者推奨情報を、支援者推奨情報テーブルから取得する。なお、支援者推奨情報テーブルを、観察情報と、解離情報との組合せに対応付けて、支援者推奨情報を格納したテーブルとし、支援者推奨情報決定部106が、観察情報と、解離情報との組合せに対応付けられた支援者推奨情報を取得するようにしてもよい。
【0020】
治療方針決定部107は、生成された解離情報を少なくとも用いて、治療対象者に対する治療の方針(治療方針情報)を決定する。治療方針決定部107は、決定した治療方針情報を、治療担当者に提示する。本実施形態では、治療方針決定部107は、予めテーブルに格納された治療方針情報の中から、行動情報取得部101が取得した行動情報と、解離情報生成部103が生成した解離情報との組合せに対応付けられた治療方針情報を、治療対象者に対する治療の方針として治療方針情報テーブルから取得する。なお、治療方針情報テーブルを、観察情報と、解離情報との組合せに対応付けて、治療方針情報を格納したテーブルとし、治療方針決定部107が、観察情報と、解離情報との組合せに対応付けられた治療方針情報を取得するようにしてもよい。
【0021】
問合せ取得部108は、治療対象者または治療支援者からの問合せを取得する。回答決定部109は、解離情報を少なくとも用いて、治療対象者または治療支援者からの問合せに対する回答(回答情報)を決定する。回答決定部109は、決定した回答情報を、治療対象者または治療支援者に提示する。本実施形態では、回答決定部109は、予めテーブルに格納された回答情報の中から、問合せ取得部108が取得した問合せと、解離情報生成部103が生成した解離情報との組合せに対応付けられた回答情報を、回答情報テーブルから取得する。なお、治療対象者からの問合せに対する回答の回答情報テーブルと、治療支援者からの問合せに対する回答の回答情報テーブルとを分け、同じ問合せであっても、治療対象者からの問合せであるか、治療支援者からの問合せであるかによって、回答が異なるようにしてもよい。
また、回答決定部109は、問合せ取得部108が取得した問合せと、行動情報取得部101が取得した行動情報と、解離情報生成部103が生成した解離情報との組合せに対応付けられた回答情報を、回答情報テーブルから取得するようにしてもよい。この場合、回答情報テーブルには、問合せと、行動情報と、解離情報との組合せに対応付けて、回答情報を格納している。また、回答決定部109は、問合せ取得部108が取得した問合せと、観察情報取得部102が取得した観察情報と、解離情報生成部103が生成した解離情報との組合せに対応付けられた回答情報を、回答情報テーブルから取得するようにしてもよい。この場合、回答情報テーブルには、問合せと、観察情報と、解離情報との組合せに対応付けて、回答情報を格納している。
【0022】
図2は、本実施形態による解離情報テーブルの例を示す表である。解離情報テーブルには、「行動情報」と、「観察情報」と、「差異」と、「係数」と、「解離」と、解離情報として「解離度」が格納されている。「行動情報」は、行動情報取得部101が取得した行動情報である。「観察情報」は、観察情報取得部102が取得した観察情報である。「差異」は、「行動情報」の各項目と、「観察情報」の対応する項目との差異を、解離情報生成部103が数値化したものである。例えば、行動情報および観察情報の各項目の取り得る内容各々に、予め数値を割り振っておき、解離情報生成部103は、行動情報の内容に対応する数値と、観察情報の内容に対応する数値の差を取ることで、「差異」を算出する。
【0023】
図2の「ニコチンガム」の例では、行動情報および観察情報の内容である服用回数と同じ数値が割り振られており、解離情報生成部103は、行動情報の「10回服用」に割り振られた「10」を、観察情報の「15回服用」に割り振られた「15」から引き、その結果である「+5」を差異として、解離情報テーブルに格納している。
図2の「落ち着き」の例では、行動情報および観察情報の内容である「ある」には数値「0」が割り振られており、解離情報生成部103は、行動情報の「ある」に割り振られた「0」を、観察情報の「ある」に割り振られた「0」から引き、その結果である「0」を差異として、解離情報テーブルに格納している。
【0024】
「係数」は、「差異」に乗算する係数であって、「行動情報」の項目毎に予め決められた係数である。「解離」は、「差異」に「係数」を乗算した結果の値である。
図2の「ニコチンガム」の例では、解離情報生成部103は、差異である「15」に、その係数である「1.0」を乗じて、その結果である「5.0」を解離として、解離情報テーブルに格納している。
図2の「落ち着き」の例では、解離情報生成部103は、差異である「0」に、その係数である「1.0」を乗じて、その結果である「0.0」を解離として、解離情報テーブルに格納している。
【0025】
「解離度」は、行動情報あるいは観察情報の予め決められた項目の組(例えば、
図2では、解離度Aは、「ニコチンガム」と「喫煙」の組、解離度Bは、「落ち着き」と「食欲」と「寝つき」の組)に対応する解離の合計である。なお、行動情報あるいは観察情報の予め決められた項目の組は、全項目であってもよいし、
図2のように全項目をいくつかに分割して出来る組であってもよいし、全項目の一部を抽出した組であってもよい。
図2の例では、解離度Aを構成する項目は、ニコチンへの依存度が高いか否かにより変わる項目であり、解離度Bを構成する項目は、ニコチン依存症からの離脱時に現れる症状の項目である。このように、申告内容により把握できることに基づいて組を構成してもよい。すなわち、申告内容により把握できることが同じ項目を集めて、組を構成してもよい。なお、
図2では、各項目は、いずれか一つの組にのみ属しているが、複数の組に属するようにしてもよい。
【0026】
図2の「解離度A」の例では、解離情報生成部103は、「ニコチンガム」の解離である「5.0」と、「喫煙」の解離である「4.5」の合計を算出し、算出した合計である「9.5」を解離度として解離情報テーブルに格納している。
図2の「解離度B」の例では、解離情報生成部103は、「落ち着き」の解離である「0.0」と、「食欲」の解離である「-1.2」と、寝つきの解離である「-0.4」の合計を算出し、算出した合計である「-1.6」を解離度として解離情報テーブルに格納している。
【0027】
図3は、本実施形態による対象者推奨情報テーブルの例を示す表である。対象者推奨情報テーブルは、「行動情報」と、解離情報である「解離度A」、「解離度B」との組に対応付けて、対象者推奨情報を格納している。「行動情報」と、「解離度A」、「解離度B」との組は、各情報の取り得る内容の全ての組み合わせが格納されている。ただし、項目によっては、取り得る内容のうちの、範囲で示してもよい。
【0028】
図3の例では、対象者推奨情報テーブルは、「行動情報」の項目「ニコチンガム」の内容「0回服用」と、項目「喫煙」の内容「0本」と、項目「落ち着き」の内容「ない」と、項目「食欲」の内容「ある」と、項目「寝つき」の項目「悪い」と、「解離度A」の範囲「0~2.0」と、解離度Bの範囲「-0.5~0.5」との組に対応付けて、対象者推奨情報「離脱症状がきついときは、無理せずにニコチンガムを服用しましょう。」を格納している。また、対象者推奨情報テーブルは、「行動情報」の項目「ニコチンガム」の内容「0回服用」と、項目「喫煙」の内容「0本」と、項目「落ち着き」の内容「ない」と、項目「食欲」の内容「ある」と、項目「寝つき」の項目「悪い」と、「解離度A」の範囲「2.1~」と、解離度Bの範囲「-0.5~0.5」との組に対応付けて、対象者推奨情報「いまの調子で続けましょう。」を格納している。
【0029】
このように、対象者推奨情報を、解離情報に対応付けておくことで、対象者推奨情報決定部105は、解離情報に対応する対象者推奨情報を決定することができる。そして、解離情報に対応する対象者推奨情報が決定されるので、行動情報あるいは観察情報が同じであっても、例えば、薬物への依存度合いに関する解離情報が、依存度合いがより低い方に解離している(行動情報よりも観察情報の方が依存度が高い)ことを示すほど、あるいは、離脱症状に関する解離情報が、より重い方に解離している(行動情報よりも観察情報の方が離脱症状が軽い)ことを示すほど、より厳しく行動を促すようにするなど、解離に応じて、対象者推奨情報を決定することができる。
【0030】
図4は、本実施形態による支援者推奨情報テーブルの例を示す表である。支援者推奨情報テーブルは、「行動情報」と、解離情報である「解離度A」、「解離度B」との組に対応付けて、支援者推奨情報を格納している。「行動情報」と、「解離度A」、「解離度B」との組は、各情報の取り得る内容の全ての組み合わせが格納されている。ただし、項目によっては、取り得る内容のうちの、範囲で示してもよい。
【0031】
図4の例では、支援者推奨情報テーブルは、「行動情報」の項目「ニコチンガム」の内容「0回服用」と、項目「喫煙」の内容「0本」と、項目「落ち着き」の内容「ない」と、項目「食欲」の内容「ある」と、項目「寝つき」の項目「悪い」と、「解離度A」の範囲「0~2.0」と、解離度Bの範囲「-0.5~0.5」との組に対応付けて、支援者推奨情報「辛そうにしているときは、ニコチンガムの服用を勧めましょう。」を格納している。また、支援者推奨情報テーブルは、「行動情報」の項目「ニコチンガム」の内容「0回服用」と、項目「喫煙」の内容「0本」と、項目「落ち着き」の内容「ない」と、項目「食欲」の内容「ある」と、項目「寝つき」の項目「悪い」と、「解離度A」の範囲「2.1~」と、解離度Bの範囲「-0.5~0.5」との組に対応付けて、支援者推奨情報「いまの調子で続けましょう。」を格納している。
【0032】
このように、支援者推奨情報を、解離情報に対応付けておくことで、支援者推奨情報決定部106は、解離情報に対応する支援者推奨情報を決定することができる。そして、解離情報に対応する支援者推奨情報が決定されるので、行動情報あるいは観察情報が同じであっても、例えば、薬物への依存度合いに関する解離情報が、依存度合いがより低い方に解離している(行動情報よりも観察情報の方が依存度が高い)ことを示すほど、あるいは、離脱症状に関する解離情報が、より重い方に解離している(行動情報よりも観察情報の方が離脱症状が軽い)ことを示すほど、より柔らかく治療対象者に接するように促すようにするなど、解離に応じて、支援者推奨情報を決定することができる。このように、本実施形態によれば、治療対象者の支援者の支援を、解離情報を用いてより効果的に行うことができる。
【0033】
図5は、本実施形態による治療方針情報テーブルの例を示す表である。治療方針情報テーブルは、「行動情報」と、解離情報である「解離度A」、「解離度B」との組に対応付けて、治療方針情報を格納している。「行動情報」と、「解離度A」、「解離度B」との組は、各情報の取り得る内容の全ての組み合わせが格納されている。ただし、項目によっては、取り得る内容のうちの、範囲で示してもよい。
【0034】
図5の例では、治療方針情報テーブルは、「行動情報」の項目「ニコチンガム」の内容「0回服用」と、項目「喫煙」の内容「0本」と、項目「落ち着き」の内容「ない」と、項目「食欲」の内容「ある」と、項目「寝つき」の項目「悪い」と、「解離度A」の範囲「0~2.0」と、解離度Bの範囲「-0.5~0.5」との組に対応付けて、治療方針情報「離脱症状を抑える。」を格納している。また、治療方針情報テーブルは、「行動情報」の項目「ニコチンガム」の内容「0回服用」と、項目「喫煙」の内容「0本」と、項目「落ち着き」の内容「ない」と、項目「食欲」の内容「ある」と、項目「寝つき」の項目「悪い」と、「解離度A」の範囲「2.1~」と、解離度Bの範囲「-0.5~0.5」との組に対応付けて、治療方針情報「現在の治療を継続する。」を格納している。
【0035】
このように、治療方針情報を、解離情報に対応付けておくことで、治療方針決定部107は、解離情報に対応する治療方針を決定することができる。そして、解離情報に対応する治療方針が決定されるので、行動情報あるいは観察情報が同じであっても、例えば、薬物への依存度合いに関する解離情報が、依存度合いがより低い方に解離している(行動情報よりも観察情報の方が依存度が高い)ことを示すほど、あるいは、離脱症状に関する解離情報が、より重い方に解離している(行動情報よりも観察情報の方が離脱症状が軽い)ことを示すほど、より自覚症状が軽くなるような治療にするなど、解離に応じて、治療方針を決定することができる。
【0036】
図6は、本実施形態による回答情報テーブルの例を示す表である。回答情報テーブルは、「問合せ」と、解離情報である「解離度A」、「解離度B」との組に対応付けて、回答情報を格納している。「問合せ」と、「解離度A」、「解離度B」との組は、各情報の取り得る内容の全ての組み合わせが格納されている。ただし、項目によっては、取り得る内容のうちの、範囲で示してもよい。
【0037】
図6の例では、回答情報テーブルは、「問合せ」の内容「眠れない」と、「解離度A」の範囲「0~2.0」と、解離度Bの範囲「-0.5~0.5」との組に対応付けて、回答情報「ニコチンガムを有効に使いましょう。」を格納している。また、回答情報テーブルは、「問合せ」の内容「眠れない」と、「解離度A」の範囲「2.1~」と、解離度Bの範囲「-0.5~0.5」との組に対応付けて、回答情報「寝る前にニコチンガムを服用しましょう。」を格納している。
【0038】
このように、回答情報を、解離情報に対応付けておくことで、回答決定部109は、解離情報に対応する回答情報を決定することができる。そして、解離情報に対応する回答情報が決定されるので、行動情報あるいは観察情報が同じであっても、例えば、薬物への依存度合いに関する解離情報が、依存度合いがより低い方に解離している(行動情報よりも観察情報の方が依存度が高い)ことを示すほど、あるいは、離脱症状に関する解離情報が、より重い方に解離している(行動情報よりも観察情報の方が離脱症状が軽い)ことを示すほど、治療対象者にとって、より厳しい回答にするなど、解離に応じて、回答情報を決定することができる。
【0039】
図6は、本実施形態による治療支援装置100のハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。治療支援装置100は、ネットワーク204により、相互に通信可能に接続された対象者端末201、支援者端末202、サーバ203、治療者端末205を備える。対象者端末201は、治療対象者P1が操作し、治療対象者P1に情報を提示する。支援端末202は、治療支援者P2が操作し、治療支援者P2に情報を提示する。治療者端末205は、治療担当者P3が操作し、治療担当者P3に情報を提示する。
【0040】
対象者端末201と、観察者端末202と、サーバ203と、治療者端末205の各々は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC(パーソナルコンピュータ)、デスクトップPC、クラウドコンピューティング用のサーバコンピュータなどのコンピュータのいずれであってもよい。また、例えば、対象者端末201と、観察者端末202とを、一台のタブレット端末が兼ねるというように、
図6の複数ブロックを合わせたハードウェアにより実現してもよい。反対に、サーバ203を、複数のサーバコンピュータにより実現するというように、いずれかのブロックを、複数のハードウェアにより実現してもよい。
【0041】
図1における行動情報取得部101、観察情報取得部102、解離情報生成部103、情報蓄積部104、対象者推奨情報決定部105、支援者推奨情報決定部106、治療方針決定部107、問合せ取得部108、回答決定部109の各々は、
図6の対象者端末201、観察者端末202、サーバ203、治療者端末205のいずれに実装されていてもよい。
【0042】
また、
図1における行動情報取得部101、観察情報取得部102、解離情報生成部103、情報蓄積部104、対象者推奨情報決定部105、支援者推奨情報決定部106、治療方針決定部107、問合せ取得部108、回答決定部109各々の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部を実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0043】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、DVD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0044】
また、上述した
図1における治療支援装置100の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず、専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。ハイブリッド、モノリシックのいずれでも良い。一部は、ハードウェアにより、一部はソフトウェアにより機能を実現させても良い。
また、半導体技術の進歩により、LSIに代替する集積回路化等の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0045】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0046】
100…治療支援装置
101…行動情報取得部
102…観察情報取得部
103…解離情報生成部
104…情報蓄積部
105…対象者推奨情報決定部
106…支援者推奨情報決定部
107…治療方針決定部
108…問合せ取得部
109…回答決定部
201…対象者端末
202…支援者端末
203…サーバ
204…ネットワーク
205…治療者端末