(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】二次電池電極用組成物
(51)【国際特許分類】
H01M 4/62 20060101AFI20240603BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20240603BHJP
H01M 4/86 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/139
H01M4/86 H
(21)【出願番号】P 2019555512
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(86)【国際出願番号】 JP2019037038
(87)【国際公開番号】W WO2020066917
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2018185639
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】浅羽 祐太郎
【審査官】鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-088487(JP,A)
【文献】特開2013-178962(JP,A)
【文献】特開2012-195289(JP,A)
【文献】特開2015-072901(JP,A)
【文献】特開2016-190943(JP,A)
【文献】国際公開第00/056815(WO,A1)
【文献】国際公開第00/056780(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/62
H01M 4/139
H01M 4/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質、バインダー及び水系溶媒を含有する二次電池電極用組成物であって、
前記バインダーは、ポリビニルアセタール樹脂を含有し、
前記ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が68~97モル%、重合度が220~5500であり、アルキレンオキサイド基を有する構成単位を含み、アルキレンオキサイド基を有する構成単位の含有量が0.01~14モル%であ
り、
前記水系溶媒の含有量は、20重量%以上である
ことを特徴とする二次電池電極用組成物。
【請求項2】
ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度が1.0~20モル%であることを特徴とする請求項1記載の二次電池電極用組成物。
【請求項3】
ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基量が0.1~20モル%であることを特徴とする請求項1又は2記載の二次電池電極用組成物。
【請求項4】
ポリビニルアセタール樹脂を活物質100重量部に対して、0.01~20重量部含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の二次電池電極用組成物。
【請求項5】
更に、ポリフッ化ビニリデン樹脂を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の二次電池電極用組成物。
【請求項6】
請求項
2記載の二次電池電極用組成物を用いてなることを特徴とする二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活物質の分散性、接着性に優れるとともに、水分による電池の劣化、故障を防ぐことができ、高容量の二次電池を作製することが可能な二次電池電極用組成物、及び、該二次電池電極用組成物を用いた二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型ビデオカメラや携帯型パソコン等の携帯型電子機器の普及に伴い、移動用電源としての二次電池の需要が急増している。また、このような二次電池に対する小型化、軽量化、高エネルギー密度化の要求は非常に高い。
このように、繰り返し充放電が可能な二次電池としては、従来、鉛電池、ニッケル-カドミウム電池等の水溶系電池が主流であるが、これらの水溶系電池は、充放電特性は優れているが、電池重量やエネルギー密度の点では、携帯型電子機器の移動用電源として充分満足できる特性を有しているとはいえない。
【0003】
そこで、二次電池として、リチウム又はリチウム合金を負極電極に用いたリチウム二次電池の研究開発が盛んに行われている。このリチウム二次電池は、高エネルギー密度を有し、自己放電も少なく、軽量であるという優れた特徴を有している。
リチウム二次電池の電極は、通常、活物質とバインダーを溶媒と共に混練し、活物質を分散させてスラリーとした後、このスラリーをドクターブレード法等によって集電体上に塗布し乾燥して薄膜化することにより形成されている。
【0004】
現在、特に、リチウム二次電池の電極用のバインダーとして最も広範に用いられているのが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)に代表されるフッ素系樹脂である。
しかしながら、フッ素系樹脂をバインダーとして用いた場合、可撓性を有する薄膜を作製可能な一方で、集電体と活物質の結着性が劣るため、電池製造工程時に活物質の一部又は全部が集電体から剥離、脱落する恐れがあった。また、電池の充放電が行われる際、活物質内ではリチウムイオンの挿入、放出が繰り返され、それに伴い、集電体から活物質の剥離、脱落の問題が起こり得るという問題もあった。
【0005】
このような問題を解決するため、PVDF以外のバインダーを使用することも試みられている。しかしながら、従来の樹脂を用いた場合、電極に電圧を負荷した際に、樹脂の分解や劣化が生じてしまうという問題が新たに生じていた。このような樹脂の劣化が生じた場合は、充放電容量が低下したり、電極の剥離が発生したりするという問題が生じていた。
【0006】
これに対して、特許文献1には、酸性官能基含有モノマー及びアミド基含有モノマーの共重合体からなる非水二次電池用バインダーが記載されている。
しかしながら、このようなバインダーを使用する場合、活物質の分散性が低くなり、電極用組成物の粘度が高くなることから、ペースト濾過に時間を要し工程時間が長くなるとともに、塗工時に塗工むらが発生しやすいものとなっていた。また、電極中の活物質密度が低下することから、得られる電池の容量が不充分なものとなっていた。
更に、このような樹脂を用いた場合、電極の柔軟性が低いものとなり、ひび割れや、集電体からの剥がれが発生するため、電池耐久性の低下を招くという問題があった。
【0007】
特許文献2には、所定量の芳香族ビニル単位、ニトリル基単位、親水性基単位及び直鎖アルキレン単位を含有する二次電池正極用バインダーの組成物が開示されている。
しかしながら、このような組成物を用いた場合でも、活物質の分散性が低くなり、電極用組成物の粘度が高くなることから、ペースト濾過に時間を要し工程時間が長くなるとともに、塗工時に塗工むらが発生しやすいものとなっていた。また、含水率が高い状態で電極用組成物を調製すると、水分の影響で電池内部から酸性ガスが発生し、電池の膨張や発火、爆発を誘発する恐れがある。
【0008】
一方で、従来より使用されている二次電池正極用組成物では、溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)等の有機系溶剤が使用されている。しかしながら、これらの有機系溶剤は環境に悪影響を及ぼすことが危惧されていた。また、溶剤を除去する際の加熱工程がコストの上昇を招いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第5708872号公報
【文献】特開2013-179040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、活物質の分散性、接着性に優れるとともに、水分による電池の劣化、故障を防ぐことができ、高容量の二次電池を作製することが可能な二次電池電極用組成物、及び、該二次電池電極用組成物を用いた二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、活物質、バインダー及び水系溶媒を含有する二次電池電極用組成物であって、前記バインダーは、ポリビニルアセタール樹脂を含有し、前記ポリビニルアセタール樹脂は、アルキレンオキサイド基を有する構成単位を含み、アルキレンオキサイド基を有する構成単位の含有量が0.01~14モル%、水酸基量が68~97モル%、重合度が220~5500である二次電池電極用組成物である。
以下に本発明を詳述する。
【0012】
本発明者は、鋭意検討の結果、二次電池電極形成用のバインダーとして、所定の構造を有するポリビニルアセタール樹脂を用いることで、活物質の分散性、接着性に優れることを見出した。また、水分による電池の劣化、故障を防ぐことができ、バインダーの添加量が少ない場合でも高容量の二次電池を作製できることを見出した。
また、このような二次電池電極用組成物は、優れた柔軟性を実現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
本発明の二次電池電極用組成物は、活物質を含有する。
本発明の二次電池電極用組成物は、正極、負極のいずれの電極に使用してもよく、また、正極および負極の両方に使用してもよい。従って、活物質としては、正極活物質、負極活物質がある。
【0014】
上記正極活物質としては、例えば、リチウムニッケル酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウムマンガン酸化物等のリチウム含有複合金属酸化物が挙げられる。具体的には例えば、LiNiO2、LiCoO2、LiMn2O4等が挙げられる。
なお、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
上記負極活物質としては、例えば、従来から二次電池の負極活物質として用いられている材料を用いることができ、例えば、球状天然黒鉛、天然グラファイト、人造グラファイト、アモルファス炭素、カーボンブラック、または、これらの成分に異種元素を添加したもの等が挙げられる。
【0016】
本発明の二次電池電極用組成物は、導電付与剤(導電助剤)を含有することが好ましい。
上記導電付与剤としては、例えば、黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。特に、正極用の導電付与剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラックが好ましく、負極用の導電付与剤としては、アセチレンブラック、鱗片状黒鉛が好ましい。
【0017】
本発明の二次電池電極用組成物は、ポリビニルアセタール樹脂を含有する。本発明では、バインダー(結着剤)としてポリビニルアセタール樹脂を用いることで、ポリビニルアセタール樹脂の水酸基と活物質の酸素原子間に引力的相互作用が働き、活物質をポリビニルアセタール樹脂が取り囲む構造をとる。また、同一分子内の別の水酸基が導電付与剤とも引力的相互作用を及ぼし、活物質、導電付与剤間距離をある一定範囲にとどめることが出来る。このように活物質と導電付与剤を程よい距離に特徴的な構造をとることで、活物質の分散性が大幅に改善される。また、PVDF等の樹脂を用いる場合と比較して、集電体との接着性を向上させることができる。
【0018】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、アルキレンオキサイド基を有する構成単位を含む。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、このような構成単位を有することで、優れた電解液への耐性、接着性、またイオン伝導性を有することができ、バインダーの添加量を減らした場合でも高容量の二次電池を製造できるという利点がある。
【0019】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、アルキレンオキサイド基を有する構成単位を含む。
上記アルキレンオキサイド基を有する構成単位としては、下記式(1)で表される構成単位であることが好ましい。
下記式(1)で表される構成単位を有することで、アルキレンオキサイド基に存在する酸素原子が、リチウムイオンと配位し固体中でも伝導パスを有するのに対して、対イオンは輸送しないため、イオン輸率を高めることができるという利点がある。
【0020】
【化1】
式(1)中、R
1は、炭素数が2~6であるアルキレンオキサイド基を有する基を表す。
【0021】
上記炭素数が2~6であるアルキレンオキサイド基としては、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基、ペンチレンオキサイド基、ヘキシレンオキサイド基、ならびにこれらの2以上を組み合わせた基が好ましく、なかでも、エチレンオキサイド基が好ましい。
上記式(1)で表される構成単位としては、例えば、ポリエチレングリコール等の複数のエチレンオキサイド基を構成単位内に有するもの、またエチレングリコール単位を単独で構成単位内に有するもの、また非連続的に複数個のエチレングリコール単位やポリエチレングリコール単位に有するもの等が挙げられる。
上記式(1)で表される構成単位は、下記式(2)で表されるアルキレンオキサイド基(エチレンオキサイド基)を有する構成単位であることが好ましい。
【0022】
【化2】
式(2)中、R
2及びR
3は、C及びOからなる群より選択される少なくとも1種を有する連結基又は単結合を表し、nは整数を表す。
【0023】
上記R2は、C及びOからなる群より選択される少なくとも1種を有する連結基又は単結合である。上記R2は炭素数が1~10のアルキレン基、もしくはカルボニル基が好ましい。上記R2の炭素数が上記範囲内であることで、アルキレンオキサイド構成単位が主鎖から大きく離れることがなく、水酸基とアルキレンオキサイド単位の酸素原子が相互作用を及ぼすため、効果的にアルキレンオキサイドが拡がることが出来る。
上記R2としては、例えば、メチレン基、エチレン基、カルボニル基、エーテル基等が挙げられる。また、上記R2は単結合であってもよい。
上記R3は、C及びOからなる群より選択される少なくとも1種を有する連結基又は単結合である。上記R3は炭素数が1~10のエチレン基、もしくはカルボニル基が好ましい。上記R3としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、カルボニル基、エーテル基等が挙げられる。また、上記R3は単結合であってもよい。
更に、アルキレンオキサイドの繰り返し数である整数nは特に限定されないが、2~50が好ましく、5~20がより好ましい。アルキレンオキサイドの繰り返し数が上記範囲内であることで、リチウムイオンのみを効率的に輸送することが可能となる。
【0024】
上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアルキレンオキサイド基を有する構成単位の含有量の下限は0.01モル%、上限は14モル%である。上記含有量を0.01モル%以上とすることで、リチウムイオン輸率を高めることができ、上記含有量を14モル%以下とすることで、電解液耐性や耐電圧性を維持することができる。上記含有量の好ましい下限は0.05モル%、好ましい上限は12モル%である。より好ましい上限は10モル%である。
【0025】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、下記式(4)で表される水酸基を有する構成単位を有する。
上記ポリビニルアセタール樹脂における下記式(4)で表される水酸基を有する構成単位の含有量(水酸基量)の下限は68モル%、好ましい上限は97モル%である。上記水酸基量を68モル%以上とすることで、電解液への耐性が向上し、電解液中に樹脂が溶出することを防止でき、97モル%以下とすることで、樹脂の柔軟性が向上し、集電体への接着力が充分なものとなる。
上記水酸基量の好ましい下限は75モル%であり、好ましい上限は90モル%である。
【0026】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、下記式(5)で表されるアセタール基を有する構成単位を有する。
上記ポリビニルアセタール樹脂における下記式(5)で表されるアセタール基を有する構成単位の含有量(アセタール化度)は1.0~20モル%であることが好ましい。上記アセタール化度を1.0モル%以上とすることで、水系溶媒への溶解性が向上し、組成物として好適に使用することができる。上記アセタール化度を20モル%以下とすることで、電解液に対する耐性が充分なものとなり、電極を電解液中に浸漬した際、樹脂成分が電解液中に溶出することを防止できる。より好ましくは2.0~15モル%である。
なお、本明細書において、アセタール化度とは、ポリビニルアルコールの水酸基数のうち、ブチルアルデヒドでアセタール化された水酸基数の割合のことをいう。上記アセタール化度の計算方法としては、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基が2個の水酸基からアセタール化されて形成されていることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用してアセタール化度のモル%を算出する。
【0027】
下記式(5)で表されるアセタール基を有する構成単位は、アルデヒドを用いてアセタール化することで得られる。
上記アルデヒドの炭素数(アルデヒド基を除く炭素数)の好ましい下限は1、好ましい上限は11である。炭素数を上記範囲内とすることで、樹脂の疎水性が低くなるため、精製効率が向上しNaイオンの含有量を減らすことができる。
上記アルデヒドとしては、具体的には例えば、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アクロレイン等のビニル基を有するアルデヒド(ビニルアルデヒド)等が挙げられる。なかでも、アルキルアルデヒドが好ましい。
また、下記式(5)で表されるアセタール基は、ブチラール基、ベンズアセタール基、アセトアセタール基、プロピオンアセタール基及びビニルアセタール基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、ブチラール基、アセトアセタール基、プロピオンアセタール基及びビニルアセタール基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0028】
下記式(5)中、R6は、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基であるが、水素原子又は炭素数1~20のアルキル基であることが好ましく、特に、炭素数1のアルキル基、炭素数3のアルキル基であることが好ましい。
上記R6が、炭素数1のアルキル基、炭素数3のアルキル基であるポリビニルアセタール樹脂は、アセトアルデヒド及びブチルアルデヒドでアセタール化することで得られる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、アセトアルデヒドでアセタール化された部分とブチルアルデヒドでアセタール化された部分との割合(モル比)が0/100~50/50であることが好ましい。これにより、ポリビニルアセタール樹脂が柔軟になり、集電体への接着力が良好になる。より好ましくは、アセトアルデヒドでアセタール化された部分とブチルアルデヒドでアセタール化された部分の割合が0/100~20/80である。
【0029】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、下記式(6)で表されるアセチル基を有する構成単位を有することが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂における下記式(6)で表されるアセチル基を有する構成単位の含有量(アセチル基量)の好ましい下限は0.1モル%、好ましい上限は20モル%である。上記アセチル基量を0.1モル%以上とすることで、樹脂の柔軟性が向上し、集電体への接着力を充分なものとすることができ、上記アセチル基量を20モル%以下とすることで、電解液への耐性が向上し、電解液へ溶出して短絡することを防止することができる。上記アセチル基量のより好ましい下限は0.3モル%、より好ましい上限は15モル%である。
【0030】
【0031】
上記ポリビニルアセタール樹脂において、水酸基を有する構成単位の含有量に対する、アルキレンオキサイド基を有する構成単位の含有量の比率(アルキレンオキサイド基を有する構成単位の含有量/水酸基を有する構成単位の含有量)は、0.0001~1.2であることが好ましい。上記範囲内とすることで、接着性や吸湿性などの特性を維持しつつ、イオン輸率を高めることができる。より好ましくは、0.0005~0.8である。
また、上記ポリビニルアセタール樹脂において、水酸基を有する構成単位の含有量と、アルキレンオキサイド基を有する構成単位の含有量との合計量(水酸基を有する構成単位の含有量+アルキレンオキサイド基を有する構成単位の含有量)は、68~99モル%であることが好ましい。上記範囲内とすることで、接着性や吸湿性などの特性を維持しつつ、イオン輸率を高めることができる。より好ましくは、70~98モル%である。更に好ましい下限は75モル%、特に好ましい下限は80モル%、より特に好ましい下限は85.1モル%、更に好ましい上限は97モル%、特に好ましい上限は95モル%である。
【0032】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、アルキレンオキサイド基以外のイオン性官能基を有していてもよい。上記イオン性官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、及び、それらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の官能基が好ましい。なかでも、カルボキシル基、スルホン酸基、それらの塩がより好ましく、スルホン酸基、その塩であることが特に好ましい。ポリビニルアセタール樹脂がイオン性官能基を有することにより、全固体電池用組成物中において、活物質および導電助剤の分散性を特に優れたものとすることができる。
なお、上記塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0033】
上記ポリビニルアセタール樹脂の重合度の下限は220、上限は5500である。上記重合度を220以上とすることで、工業的な入手が容易となる。上記重合度を5500以下とすることで、溶液粘度を低下させて、活物質を充分に分散させることが可能となる。上記重合度のより好ましい下限は250、より好ましい上限は5000である。
【0034】
本発明の二次電池電極用組成物中の上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は0.2重量%、好ましい上限は5重量%である。上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量を0.2重量%以上とすることで、集電体への接着力を向上させることができ、5重量%以下とすることで、二次電池の放電容量を向上させることができる。より好ましくは、0.5~3重量%である。
【0035】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化してなるものである。
特に、上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する方法としては、上記アルキレンオキサイド基を有する構成単位を予め有するポリビニルアルコールを用意し、その後アセタール化する方法等が挙げられる。また、上記アルキレンオキサイド基を有する構成単位を有しないポリビニルアルコールをアセタール化した後、上記アルキレンオキサイド基を有する構成単位となる部分を付加する方法等が挙げられる。
【0036】
上記アルキレンオキサイド基を有する構成単位を有するポリビニルアルコールを作製する方法としては、例えば、アルキレンオキサイド基含有単量体と、酢酸ビニル等のビニルエステルとを共重合した後、得られた共重合体のアルコール溶液に酸またはアルカリを添加してケン化する方法等が挙げられる。
また、上記アルキレンオキサイド基を有する構成単位を有するポリビニルアルコールは、ケン化度が80.0~99.9モル%であることが好ましい。上記範囲内とすることで、得られる電極の柔軟性と、電解液への耐性を両立することが可能となる。上記ケン化度のより好ましい下限は85.0モル%、更に好ましい下限が88.0モル%、より好ましい上限は99.8モル%、更に好ましい上限は98.0モル%、特に好ましい上限は95.0モル%である。
【0037】
上記アルキレンオキサイド基を有する構成単位を有するポリビニルアルコールを作製する方法としては、例えば、オキシアルキレン基を含有するヒドロキシアルキルビニルエーテルと酢酸ビニルとを共重合した後、得られた共重合体のアルコール溶液に酸またはアルカリを添加してケン化する方法等が挙げられる。また、上記ヒドロキシアルキルビニルエーテルのほか、ジアルキレングリコールビニルエーテル、トリアルキレングリコールモノビニルエーテル等のポリ(アルキレングリコール)ビニルエーテルを使用してもよい。
また、上記式(2)で表される構成単位のR2に相当する部分を付加する方法としては、例えば、上記アルキルビニルエーテルの種類を変更する方法等が挙げられる。
【0038】
上記アルキレンオキサイド基を有する構成単位を有しないポリビニルアルコールは、例えば、ビニルエステルとアルキレンの共重合体をケン化することにより得ることができる。上記ビニルエステルとしては、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられる。なかでも、経済性の観点から酢酸ビニルが好適である。
【0039】
上記ポリビニルアルコールは、本発明の効果を損なわない範囲で、アルキレン性不飽和単量体を共重合したものであってもよい。上記アルキレン性不飽和単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸、アクリロニトリルメタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル-(3-アクリルアミド-3-ジメチルプロピル)-アンモニウムクロリド、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、及びそのナトリウム塩が挙げられる。上記不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等が挙げられる。
また、上記アルキレン性不飽和単量体としては、例えば、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロアルキレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物の存在下で、酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体とアルキレンを共重合し、それをケン化することによって得られる末端変性ポリビニルアルコールも用いることができる。
【0040】
上記ポリビニルアルコールは、上記ビニルエステルとα-オレフィンとを共重合した共重合体をケン化したものであってもよい。また、更に上記エチレン性不飽和単量体を共重合させ、アルキレン性不飽和単量体に由来する成分を含有するポリビニルアルコールとしてもよい。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物の存在下で、酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体とα-オレフィンを共重合し、それをケン化することによって得られる末端ポリビニルアルコールも用いることができる。上記α-オレフィンとしては特に限定されず、例えば、メチレン、アルキレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンチレン、へキシレン、シクロヘキシレン、シクロヘキシルアルキレン、シクロヘキシルプロピレン等が挙げられる。
【0041】
本発明の二次電池電極用組成物は、上記ポリビニルアセタール樹脂に加えて、更に、ポリフッ化ビニリデン樹脂を含有していてもよい。
上記ポリフッ化ビニリデン樹脂を併用することで、電解液への耐性が更に向上し、放電容量を向上させることが出来る。
【0042】
上記ポリフッ化ビニリデン樹脂を含有する場合、上記ポリビニルアセタール樹脂とポリフッ化ビニリデン樹脂との重量比は、0.5:9.5~7:3であることが好ましい。
このような範囲内とすることで、ポリフッ化ビニリデンに著しく不足している集電体への接着力を有しながら、電解液への耐性を付与することが出来る。
より好ましい上記ポリビニルアセタール樹脂とポリフッ化ビニリデン樹脂との重量比は1:9~4:6である。
【0043】
本発明の二次電池電極用組成物におけるポリビニルアセタール樹脂の含有量は、活物質100重量部に対して好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限は20重量部である。上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量を0.01重量部以上とすることで、集電体への接着力を向上させることができ、20重量部以下とすることで、二次電池の放電容量を向上させることが可能となる。
また、本発明の二次電池電極用組成物におけるポリビニルアセタール樹脂の含有量は、導電助剤100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限は200重量部である。
更に、本発明の二次電池電極用組成物中のバインダー全体の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は1重量%、好ましい上限は30重量%である。上記バインダーの含有量を1重量%以上とすることで、集電体への接着力を向上させることができ、30重量%以下とすることで、二次電池の放電容量を向上させることが可能となる。
【0044】
本発明の二次電池電極用組成物は、水系溶媒を含有する。
上記水系溶媒としては、例えば、水単独のほか、水と水溶性溶剤との混合溶媒等が挙げられる。上記水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)などのケトン系溶媒等が挙げられる。
上記水系溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
本発明の二次電池電極用組成物中の水系溶媒の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は20重量%、好ましい上限は50重量%である。上記水系溶媒の含有量を20重量%以上とすることで、粘度を低下させて、ペーストの塗工を容易にすることができ、50重量%以下とすることで、溶媒乾燥時にムラが生じることを防止できる。より好ましい下限は25重量%、より好ましい上限は40重量%である。
【0046】
本発明の二次電池電極用組成物には、上述した活物質、ポリビニルアセタール樹脂、水系溶媒以外にも、必要に応じて、難燃助剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤のような添加剤を添加してもよい。
【0047】
本発明の二次電池電極用組成物を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、上記活物質、ポリビニルアセタール樹脂、水系溶媒及び必要に応じて添加する各種添加剤をプラネタリーミキサー、ディスパー、ボールミル、ブレンダーミル、3本ロール等の各種混合機を用いて混合する方法が挙げられる。
【0048】
本発明の二次電池電極用組成物は、例えば、導電性基体上に塗布し、乾燥する工程を経ることで、電極が形成される。
本発明の二次電池電極用組成物を用いてなる二次電池もまた本発明の一つである。
上記二次電池としては、例えば、ニッカド電池、ニッケル水素電池、リチウム二次電池、全固体電池、燃料電池等が挙げられる。なかでも、リチウム二次電池が好ましい。
本発明の二次電池電極用組成物を導電性基体上に塗布する際の塗布方法としては、例えば、押出しコーター、リバースローラー、ドクターブレード、アプリケーターなどをはじめ、各種の塗布方法を採用することができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、活物質の分散性、接着性に優れるとともに、吸湿による電池の劣化、故障を防ぐことができ、高容量の二次電池を作製することが可能な二次電池電極用組成物、及び、該二次電池電極用組成物を用いた二次電池を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0051】
(ポリビニルアセタール樹脂A1の合成)
下記式(2)で表されるアルキレンオキサイド基(エチレンオキサイド基)を有する構成単位を有するアルキレンオキサイド基含有ポリビニルアルコールA350重量部を純水3000重量部に加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。なお、アルキレンオキサイド基含有ポリビニルアルコールAは、重合度250、ケン化度87.8モル%、下記式(2)で表されるアルキレンオキサイド基を有する構成単位の含有量[アルキレンオキサイド基含有量]0.1モル%、式(2)中のn=10、R2=単結合、R3=単結合である。
この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸230重量部を添加した後、液温を5℃に下げてn-ブチルアルデヒド7.7重量部を添加しこの温度を保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を30℃、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール樹脂A1の白色粉末を得た。
【0052】
【0053】
得られたポリビニルアセタール樹脂A1をDMSO-d6(ジメチルスルホキサシド)に溶解し、13C-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセタール化度、アセチル基量、アルキレンオキサイド基を有する構成単位の含有量[アルキレンオキサイド基含有量]を測定した。結果は、水酸基量は85モル%、アセタール化度(ブチラール化度)は2.7モル%、アセチル基量は12.2モル%、アルキレンオキサイド基含有量は0.1モル%であった。
【0054】
(ポリビニルアセタール樹脂A2~A33の合成)
表1に示すポリビニルアルコール(種類)、n-ブチルアルデヒド(添加量)とした以外は、ポリビニルアセタール樹脂A1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂A2~A33を合成した。
【0055】
(ポリビニルアセタール樹脂B1の合成)
下記式(3)で表されるアルキレンオキサイド基(プロピレンオキサイド基)を有する構成単位を有するアルキレンオキサイド基含有ポリビニルアルコールB350重量部を純水3000重量部に加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。
なお、アルキレンオキサイド基含有ポリビニルアルコールBは、重合度1000、ケン化度99.5モル%、アルキレンオキサイド基を有する構成単位の含有量[アルキレンオキサイド基含有量]0.1モル%、式(3)中のn=10、R4=単結合、R5=単結合である。
この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸230重量部を添加した後、液温を5℃に下げてn-ブチルアルデヒド9.4重量部を添加しこの温度を保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を30℃、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール樹脂B1の白色粉末を得た。
【0056】
【化5】
式(3)中、R
4及びR
5は、C及びOからなる群より選択される少なくとも1種を有する連結基又は単結合を表し、nは整数を表す。なお、R
4及びR
5としては、R
2及びR
3と同様のものを使用することができる。
【0057】
得られたポリビニルアセタール樹脂B1をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、13C-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセタール化度、アセチル基量、アルキレンオキサイド基含有量を測定した。結果は、水酸基量は95モル%、アセタール化度(ブチラール化度)は4.4モル%、アセチル基量は0.5モル%、アルキレンオキサイド基含有量は0.1モル%であった。
【0058】
(ポリビニルアセタール樹脂B2~B3の合成)
表1に示すポリビニルアルコール(種類)、n-ブチルアルデヒド(添加量)とした以外は、ポリビニルアセタール樹脂B1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂B2~B3を合成した。
【0059】
(ポリビニルアセタール樹脂C1の合成)
未変性ポリビニルアルコールC(重合度250、ケン化度85.1モル%)350重量部を純水3000重量部に加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸230重量部を添加した後、液温を5℃に下げてn-ブチルアルデヒド12.1重量部を添加しこの温度を保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を30℃、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール樹脂C1の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂C1の水酸基量、アセタール化度、アセチル基量を表1に示す。
【0060】
【0061】
(実施例1)
(二次電池電極用組成物の調製)
得られたポリビニルアセタール樹脂A1を含有する樹脂溶液20重量部(ポリビニルアセタール樹脂:2.5重量部)に、活物質としてコバルト酸リチウム(日本化学工業社製、セルシードC-5H)50重量部、導電付与剤としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)を5重量部、純水26重量部を加えた。その後、シンキー社製泡取練太郎にて混合し、二次電池電極用組成物を得た。
【0062】
(実施例2~28、比較例1~10)
表2に示すポリビニルアセタール樹脂(樹脂種、添加量)とした以外は、実施例1と同様にして、二次電池電極用組成物を得た。
【0063】
<評価>
実施例及び比較例で得られた二次電池電極用組成物について以下の評価を行った。結果を表2に示した。
【0064】
(1)接着性(剥離力)
実施例、比較例で得られた二次電池電極用組成物については、アルミ箔に対する接着性を評価した。
アルミ箔(厚み20μm)の上に、乾燥後の膜厚が20μmとなるように二次電池電極用組成物を塗工、乾燥し、アルミ箔上に電極がシート状に形成された試験片を得た。
このサンプルを縦1cm、横2cmに切り出し、AUTOGRAPH(島津製作所社製、「AGS-J」)を用い、試験片を固定しながら電極シートを引き上げ、アルミ箔から完全に電極シートが剥離するまでに要する剥離力(N)を計測した後、以下の基準で判定した。
○:剥離力が8.0N以上
△:剥離力が8.0N未満、5.0N以上
×:剥離力が5.0N未満
【0065】
(2)分散性(表面粗さ)
上記「(1)接着性」で得られた試験片について、JIS B 0601(1994)に基づいて表面粗さRaを測定し、電極の表面粗さを以下の基準で評価した。なお、一般的には、活物質の分散性が高いほど、表面粗さは小さくなるとされている。
○:Raが5μm以下
△:Raが5μmを超える、9μm以下
×:Raが9μmを超える
【0066】
(3)耐電解液耐性(溶媒溶解性)
(電極シートの作製)
離型処理されたポリアルキレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の膜厚が20μmとなるように実施例及び比較例で得られた二次電池電極用組成物を塗工、乾燥して電極シートを作製した。
その電極シートを2cm角に切り出し、電極シート試験片を作製した。
【0067】
(溶出評価)
得られた試験片の重量を正確に計量し、シートに含まれる成分重量比から試験片に含まれる樹脂の重量を算出した。その後、試験片を袋状のメッシュに入れ、メッシュ袋と試験片の合計重量を正確に計測した。
次いで、試験片の入っているメッシュ袋を電解液溶剤であるジエチルカーボネート:アルキレンカーボネート=1:1混合溶剤に浸し、60℃にて5Hr放置した。放置後メッシュ袋を取り出し、150℃、8時間の条件で乾燥させ、完全に溶剤を乾燥させた。
乾燥機から取り出した後、室温にて1時間放置し、重量を計測した。試験前後の重量変化から樹脂の溶出量を算出し、その溶出量とあらかじめ算出しておいた樹脂の重量の比から樹脂の溶出率を算出し、以下の基準で評価した。
○:溶出率が1%以下
△:溶出率が1%超、2%以下
×:溶出率が2%を超える
【0068】
(4)耐食性
作製した樹脂水溶液に、Al製のテストピースを浸漬させ7日間静置したのち、重量を測定した。浸漬前に対する浸漬後の重量から重量変化率([浸漬後重量-浸漬前重量]×100/[浸漬前重量])を算出した。一般的に、耐食性に優れるほど、Al表面への酸化被膜形成が抑制され重量変化率が小さくなる。
○:重量変化率が1%以下
△:重量変化率が1%超、2%未満
×:重量変化率が2%超
【0069】
(5)柔軟性
作製した電極シートを20φのローラーで巻き取り、開放した。解放時に塗膜表面に発生したひび割れを目視にて評価した。一般的に柔軟性の高いシート程、ひび割れが起きない。
○:ひび割れなし
×:ひび割れあり
【0070】
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明によれば、活物質の分散性、接着性に優れるとともに、水分による電池の劣化、故障を防ぐことができ、高容量の二次電池を作製することが可能な二次電池電極用組成物、及び、該二次電池電極用組成物を用いた二次電池を提供できる。