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  • 特許-作業者の体調監視システム 図1
  • 特許-作業者の体調監視システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】作業者の体調監視システム
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/30 20060101AFI20240603BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
A42B3/30
A61B5/00 102A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020008380
(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公開番号】P2021116480
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】520284665
【氏名又は名称】オルイー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085257
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 有
(72)【発明者】
【氏名】杉山 博一
(72)【発明者】
【氏名】小林 博幸
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-15563(JP,A)
【文献】特表2018-511770(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057015(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B3/00-7/00
A41D13/00-13/12
A61B5/00-5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真夏の屋外などの良好でない作業環境で用いるヘルメットに装着したリーダライタと、前記ヘルメットの外周面に取り付けたソーラパネルと、前記ヘルメットに搭載されるとともに前記ソーラパネルから給電される小型バッテリと、この小型バッテリから給電される前記リーダライタとRFIDを構成する作業者のリストバンドに取り付けられた生体情報を検出するセンサタグと、このセンサタグが検出する作業者の生体情報を無線で前記リーダライタを介して受信する監視手段を備えたことを特徴とする体調監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真夏の屋外や屋内であっても作業環境が良好でない場所で働く作業者の体調を監視する作業者の体調監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場など、真夏の屋外で作業しなければならない作業者の体調を監視・管理することは、望ましい作業環境を維持する上で重要である。作業者の体調を監視・管理するためには、作業者の体温や心拍数などの生体情報を的確に把握する必要がある。
【0003】
特許文献1には、作業者が装着するヘルメットに取り付けた各種センサから、作業場での現場作業者の個人の生体データ、作業環境データ、作業者の画像データ、ヘルメットや作業者の動きに関する体動データを少なくとも一つ計測し、現場作業時のデータと、過去に計測蓄積したデータから割り出される異常閾値とを比較することで、作業者の異常状態を検出するという技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-197866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された技術では、作業者が被るヘルメットに各種センサやバッテリなどの多数の構成部品を取り付けるため、重量が増して作業者にとって装着感がよくないという問題があった。また、ヘルメットにセンサを取り付けているため、作業者の体温や心拍数を正確に測定することが難しい場合があるという問題があった。更に、バッテリをヘルメットに装着するため、バッテリの交換または充電作業が必要になり保守が煩雑になるという問題があった。
【0006】
本発明は、従来の技術が有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリを必要とせずに、作業者の生体情報を検出することができるセンサタグを備えた作業者の体調監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく本発明は、ヘルメットに装着したリーダライタと、このリーダライタとRFID(radio frequency identifier)を構成するとともに作業者の生体情報を検出するセンサタグと、このセンサタグが検出する作業者の生体情報を無線で前記リーダライタを介して受信する監視手段を備えている。
【0008】
前記センサタグは、前記リーダライタから送られる電波で電力を得ることができる。また、前記センサタグは、作業者の体温を検出する温度センサと作業者の心拍数を検出する心拍センサを備えることができる。更に、前記センサタグは、作業者の手首に装着するリストバンドに取り付けることができる。
【0009】
また、前記リーダライタは、ヘルメットの外周面に取り付けたソーラパネルとヘルメットに搭載した小型バッテリにより電力を得ることができる。
【0010】
前記監視手段は、各作業者の体温、心拍数を一括表示すると共に、体調がすぐれない作業者を特定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る作業者の体調監視システムによれば、センサタグはリーダライタから送られる電波で電力を得ることができるので、バッテリが不要になり軽量化が図られる。そのため、センサタグは所望な箇所に取り付けることが可能になり、生体情報に限らず環境情報などを検出することができる。
【0012】
また、温度センサと心拍センサを備えたセンサタグを作業者の手首に装着するリストバンドに取り付ければ、作業者の体温や心拍数を正確に測定することができる。また、リーダライタは、ヘルメットの外周面に取り付けたソーラパネルとヘルメットに搭載した小型バッテリで電力を得るので、ヘルメットの軽量化が図られ、装着感も向上させることができる。
【0013】
更に、監視手段では各作業者の体温、心拍数を一括表示すると共に、体調がすぐれない作業者を特定するので、体調不良の可能性が高い作業者の発見と対応を速やかに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る作業者の体調監視システムの説明図
図2】本発明に係る作業者の体調監視システムのブロック構成図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。本発明に係る作業者の体調監視システムは、図1及び図2に示すように、ヘルメット1に装着したリーダライタ2と、リーダライタ2とRFID(radio frequency identifier)を構成するとともに作業者Mの生体情報を検出するセンサタグ3と、センサタグ3が検出する作業者Mの生体情報を無線でリーダライタ2を介して受信する監視手段4を備える。
【0016】
リーダライタ2は、薄膜でフレキシブルな基板にアンテナ5などの必要な構成部品を実装して薄板状に形成され、ヘルメット1の前方内面に装着される。リーダライタ2は、アンテナ5を通じて無線でセンサタグ3と通信(情報の書き込み・読み込み)を行う。更に、リーダライタ2は、監視手段4と無線で通信し、センサタグ3が検出した情報を監視手段4に送る。リーダライタ2は、ヘルメット1の外周面1aに取り付けたソーラ(太陽電池)パネル6とヘルメット1に搭載した小型バッテリ7により電力を得る。
【0017】
センサタグ3は、薄膜でフレキシブルな基板に作業者Mの体温を検出する温度センサ8、作業者Mの心拍数を検出する心拍センサ9やアンテナ10などの必要な構成部品を実装して薄板状に形成される。そして、センサタグ3は、作業者Mが手首に装着するリストバンド11の内面で、作業者Mの体温・心拍数を検出し易い箇所に取り付けられる。センサタグ3は、リーダライタ2から送られる電波で電力を得て、リーダライタ2に検出した情報を送る。
【0018】
監視手段4は、表示部12と入力部13などを備えたPC(personal computer)14、アンテナ15などで構成される。監視手段4は、無線でリーダライタ2から送信されてくるセンサタグ3が検出した各作業者Mの体温や心拍数をアンテナ15で受信して一括表示したり、体調不良の可能性が高い作業者Mを特定して表示したりする。
【0019】
以上のように構成された本発明に係る作業者の体調監視システムの作用について説明する。先ず、作業者Mがヘルメット1を被り、ヘルメット1と対応するリストバンド11を作業者Mが手首に装着する。すると、温度センサ8及び心拍センサ9は作業者Mの手首の皮膚と接触状態になる。
【0020】
そして、ヘルメット1に装着したリーダライタ2と作業者Mの手首に装着したリストバンド11に取り付けたセンサタグ3とでRFIDが構成される。すると、リーダライタ2のアンテナ5とセンサタグ3のアンテナ10との間で、所定の周波数帯(例えば、UHF帯の920MHz)によって近距離の無線通信による情報(体温、心拍数)のやりとりが可能になる。
【0021】
監視手段4では、リーダライタ2から所定の時間間隔で送信されてくるセンサタグ3に実装した温度センサ8や心拍センサ9が検出した各作業者Mの体温や心拍数をアンテナ15で受信して一括表示したり、体調不良の可能性が高い作業者Mを特定したりする。それにより、管理責任者は作業者Mに対する必要な措置を迅速に行うことができる。
【0022】
また、バッテリが不要なセンサタグ3は、所望な箇所に取り付けることが可能になる。更に、センサタグ3には、生体情報に限らず作業環境情報(例えば、環境温度や湿度など)を検出するセンサを実装することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明によれば、センサタグはリーダライタから送られる電波で電力を得ることができるので、バッテリが不要になり軽量化が図られる。そのため、センサタグは所望な箇所に取り付けることが可能になり、生体情報に限らず環境情報などを検出することができる作業者の体調監視システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0024】
1…ヘルメット、1a…外周面、2…リーダライタ、3…センサタグ、4…監視手段、5,10,15…アンテナ、6…ソーラ(太陽電池)パネル、7…小型バッテリ、8…温度センサ、9…心拍センサ、11…リストバンド、12…表示部、13…入力部、14…PC、M…作業者。
図1
図2