(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】受電装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20240603BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240603BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240603BHJP
H02J 50/05 20160101ALN20240603BHJP
H02J 50/12 20160101ALN20240603BHJP
H02J 50/20 20160101ALN20240603BHJP
H02J 50/60 20160101ALN20240603BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J7/00 301D
H02J7/02 V
H02J50/05
H02J50/12
H02J50/20
H02J50/60
(21)【出願番号】P 2020022904
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2019091383
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】立和 航
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-523070(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0254691(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/80
H02J 7/00
H02J 7/02
H02J 50/05
H02J 50/12
H02J 50/20
H02J 50/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電装置から無線で受電する受電装置であって、
送電装置の機器認証を行う認証手段と、
前記機器認証が失敗した送電装置に対しては第1の電力を要求し、前記機器認証が成功した送電装置に対しては前記第1の電力よりも大きい第2の電力を要求するよう制御する制御手段と、
前記機器認証を受ける機能を有していない送電装置に対する前記第2の電力の要求を許可する
か否かの設定を行う設定手段と、
を有することを特徴とする受電装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記設定手段による設定に基づいて、前記機器認証を受ける機能を有しない送電装置に対して前記第1の電力を要求するか、前記第2の電力を要求するかを決定することを特徴とする請求項1記載の受電装置。
【請求項3】
送電装置が前記機器認証を受ける機能を有しているか否かを判定する判定手段
を有し、
前記判定手段により送電装置が前記機器認証を受ける機能を有していないと判定された場合、前記制御手段は、前記設定手段による設定に基づいて、当該送電装置に対して前記第1の電力を要求するか、前記第2の電力を要求するかを決定することを特徴とする請求項2記載の受電装置。
【請求項4】
前記判定手段により送電装置が前記機器認証を受ける機能を有していると判定された場合、前記制御手段は、前記認証手段による認証の結果に基づいて、当該送電装置に対して前記第1の電力を要求するか、前記第2の電力を要求するかを決定することを特徴とする請求項3記載の受電装置。
【請求項5】
送電装置が前記機器認証を受ける機能を有しているか否かを判定するための情報を取得する取得手段を有し、
前記判定手段は、前記取得手段により取得した情報に基づいて、前記判定を行うことを特徴とする請求項3または4記載の受電装置。
【請求項6】
前記取得手段により取得する情報は、無線電力伝送に関する規格のバージョンを示す情報を含むことを特徴とする請求項5記載の受電装置。
【請求項7】
前記判定手段により送電装置が機器認証を受ける機能を有していないと判定された場合に、当該送電装置に対する前記第2の電力の要求を許可するかをユーザに問い合わせる画面を表示する表示手段を有し、
前記設定手段は、前記画面を介したユーザの指示に従って、当該送電装置に対する前記第2の電力の要求を許可する
か否かの設定を行うことを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の受電装置。
【請求項8】
前記表示手段により表示される前記画面には、当該送電装置を識別するための情報が表示されることを特徴とする請求項7記載の受電装置。
【請求項9】
前記機器認証を受ける機能を有していない送電装置と前記機器認証のための通信を行い、前記機器認証が失敗した場合に、前記制御手段は、前記設定手段による設定に基づいて、当該送電装置に対して前記第1の電力を要求するか、前記第2の電力を要求するかを決定することを特徴とする請求項2記載の受電装置。
【請求項10】
前記設定手段は、前記機器認証を受ける機能を有していない送電装置に対する前記第2の電力の要求を許可する
か否かをユーザの指示に基づき予め設定可能であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の受電装置。
【請求項11】
前記設定手段は、前記第2の電力の要求を許可する送電装置の識別情報を予め設定可能であることを特徴とする請求項10記載の受電装置。
【請求項12】
前記設定手段は、コード情報の読み取り、ユーザによる手動での入力、近距離無線通信での読み取り、の少なくともいずれかの方法により取得した識別情報を、前記第2の電力の要求を許可する送電装置の識別情報として設定することを特徴とする請求項11記載の受電装置。
【請求項13】
前記認証手段は、電子証明書を用いたチャレンジ・レスポンス型の通信を行うことにより、送電装置の機器認証を行うことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の受電装置。
【請求項14】
受電装置の制御方法であって、
前記受電装置が行う認証が失敗した送電装置に対しては第1の電力を要求し、前記認証が成功した送電装置に対しては前記第1の電力よりも大きい第2の電力を要求するよう制御する制御工程と、
前記認証を受ける機能を有していない送電装置に対する前記第2の電力
の要求を許可する
か否かの設定を行う設定工程と
、
を有することを特徴とする受電装置の制御方法。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1から1
3のいずれか1項に記載の受電装置として動作させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受電装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線充電システム等の無線電力伝送システムの技術開発が広く行われている。特許文献1には、無線充電の標準化団体Wireless Power Consortium(WPC)が策定する規格(以下、「WPC規格」と呼ぶ)に準拠した送電装置及び受電装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、無線充電の送電装置と受電装置との間で機器認証が行われ、機器認証が成功した場合に送電装置から受電装置へ電力伝送を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-007116号公報
【文献】特開2010-104097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
機器認証の結果に基づいて電力伝送を行う方法として、例えば送電装置の機器認証に成功した場合は機器認証に失敗した場合よりも大きな電力での電力伝送を許容することが考えられる。このとき、送電装置が機器認証を受ける機能を有していない場合は、送電装置の機器認証を行えないため、大きな電力での電力伝送ができず、ユーザの利便性が損なわれる可能性がある。
【0006】
本発明は、機器認証を受ける機能を有していない送電装置からも機器認証が成功した送電装置から受電する場合と同様の大きな電力での受電を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、送電装置から無線で受電する受電装置であって、送電装置の機器認証を行う認証手段と、前記機器認証が失敗した送電装置に対しては第1の電力を要求し、前記機器認証が成功した送電装置に対しては前記第1の電力よりも大きい第2の電力を要求するよう制御する制御手段と、前記機器認証を受ける機能を有していない送電装置に対する前記第2の電力の要求を許可するか否かの設定を行う設定手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、機器認証が失敗した送電装置からは第1の電力以下の電力で受電し、前記機器認証が成功した送電装置からは前記第1の電力よりも大きい第2の電力での受電を許容するよう制御する受電装置の制御方法であって、前記機器認証を行わなくとも前記第2の電力での受電を許可する設定を行う設定工程と、前記設定工程における設定に基づいて、前記機器認証のための通信を行う機能を有していない送電装置からの前記第2の電力での受電を許可するよう制御する制御工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機器認証を受ける機能を有していない送電装置からも機器認証が成功した送電装置から受電する場合と同様の大きな電力で受電することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】第1の実施形態に係る受電装置の構成例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る送電装置の構成例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る別の送電装置の構成例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る受電装置の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態に係る送電装置の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【
図7】第1の実施形態に係る別の送電装置の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【
図8】無線充電システムで実行される処理の流れの例を示す図である。
【
図9】別の無線充電システムで実行される処理の流れの例を示す図である。
【
図10】(A)はI&Cフェーズの通信シーケンスを示す図であり、(B)はNegotiationフェーズの通信シーケンスを示す図であり、(C)は機器認証のための通信シーケンスを示す図である。
【
図11】第1の実施形態に係る受電装置のユーザインタフェースの例を示す図である。
【
図12】第2の実施形態に係る受電装置の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【
図13】第2の実施形態に係る受電装置のユーザインタフェースの例を示す図である。
【
図14】第3の実施形態に係る受電装置の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【
図15】第3の実施形態に係る受電装置のユーザインタフェースの例を示す図である。
【
図16】第4の実施形態に係る無線充電システムの構成を示す図である。
【
図17】第4の実施形態に係る無線充電システムの別の構成を示す図である。
【
図18】第5の実施形態に係る受電装置の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【
図19】第5の実施形態に係る受電装置で行う表示の例を示す図である。
【
図20】第6の実施形態に係る送電装置の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【
図21】第6の実施形態に係る送電装置で行う表示の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は本発明の技術的思想を説明するための一例にすぎず、本発明を実施形態で説明される構成や方法に限定することは意図されていない。
【0012】
<第1の実施形態>
(システムの構成)
図1に、本実施形態に係る無線充電システム(無線電力伝送システム)の構成例を示す。本システムは、受電装置101と送電装置102を含んで構成される。以下では、受電装置をRXと呼び、送電装置をTXと呼ぶ場合がある。TX102は、充電台103に載置されたRX101に対して無線で送電する電子機器である。RX101は、TX102から無線により送られる電力を受けて、内蔵バッテリを充電する電子機器である。以下では、RX101が充電台103に載置された場合を例にして説明を行う。ただし、TX102がRX101に送電するうえで、RX101はTX102の送電可能範囲の中に存在していれば、充電台103の上に載置されなくてもよい。
【0013】
RX101は、TX102から、最大15ワットまたは最大5ワットで受電する。最大15ワットで受電する場合は、最大5ワットで受電する場合よりも短時間で充電を完了することが出来る。本実施形態の説明においては、最大15ワットで受電することを「急速充電」と呼ぶ場合がある。なお、RX101とTX102は無線充電以外のアプリケーションを実行する機能を有しうる。RX101の一例はスマートフォンであり、TX102の一例はそのスマートフォンを充電するためのアクセサリ機器である。RX101及びTX102は、ハードディスク装置やメモリ装置などの記憶装置であってもよいし、パーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置であってもよい。また、RX101及びTX102は、例えば、撮像装置(カメラやビデオカメラ等)やスキャナ等の画像入力装置であってもよいし、プリンタやコピー機、プロジェクタ等の画像出力装置であってもよい。また、TX102がスマートフォンであってもよい。この場合、RX101は、別のスマートフォンでもよいし、無線イヤホンであってもよい。また、RX101は自動車等の車両であってもよいし、TX102は自動車のコンソール等に設置される充電器であってもよい。
【0014】
また、本実施形態では、1つのRX101及びTX102が示されているが、複数のRX101が、1つのTX102又はそれぞれ別個のTX102から送電される構成においても適用することができる。
【0015】
本システムでは、WPC規格に基づいて、無線充電のための電磁誘導方式を用いた無線電力伝送が行われる。すなわち、RX101とTX102は、RX101の受電コイルとTX102の送電コイルとの間で、WPC規格に基づく無線充電のための無線電力伝送を行う。なお、本システムに適用される無線電力伝送方式は、WPC規格で規定された方式に限られず、他の電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電界共鳴方式、マイクロ波方式、レーザー等を利用した方式であってもよい。また、本実施形態では、無線電力伝送が無線充電に用いられるものとするが、無線充電以外の用途で無線電力伝送が行われてもよい。
【0016】
WPC規格では、RX101がTX102から受電する際に保証される電力の大きさが、Guaranteed Power(以下、「GP」と呼ぶ)と呼ばれる値によって規定される。GPは、例えばRX101とTX102の位置関係が変動して受電コイルと送電コイルとの間の送電効率が低下したとしても、RX101の負荷(例えば、充電用の回路等)への出力が保証される電力値を示す。例えばGPが5ワットの場合、受電コイルと送電コイルの位置関係が変動して送電効率が低下したとしても、TX102は、RX101内の負荷へ5ワットを出力することができるように制御して送電を行う。なお、GPはTX102から受電可能な電力の上限値であり、RX101は決定されたGP以下の電力でTX102から受電することができる。本実施形態に係るRX101とTX102は、WPC規格に基づく送受電制御のための通信と、機器認証のための通信とを行う。まず、WPC規格に基づく送受電制御のための通信について説明する。WPC規格では、電力伝送が実行されるPower Transferフェーズと実際の電力伝送が行われる前のフェーズとを含んだ、複数のフェーズが規定され、各フェーズにおいて必要な送受電制御のための通信が行われる。電力伝送前のフェーズは、Selectionフェーズ、Pingフェーズ、Identification and Configurationフェーズ、Negotiationフェーズ、Calibrationフェーズを含む。なお、以下では、Identification and ConfigurationフェーズをI&Cフェーズと呼ぶ。
【0017】
Selectionフェーズでは、TX102が、Analog Pingを間欠的に送信し、物体が充電台103に載置されたこと(例えば充電台103にRX101や導体片等が載置されたこと)を検出する。TX102は、Analog Pingを送電した時の送電コイルの電圧値と電流値の少なくともいずれか一方を検出し、電圧値がある閾値を下回る場合又は電流値がある閾値を超える場合に物体が存在すると判断し、Pingフェーズに遷移する。
【0018】
Pingフェーズでは、TX102が、Analog Pingより大きい電力でDigital Pingを送信する。Digital Pingの電力の大きさは、充電台103の上に載置されたRX101の制御部が起動するのに十分な電力である。RX101は、受電電圧の大きさをTX102へ通知する。このように、TX102は、そのDigital Pingを受信したRX101からの応答を受信することにより、Selectionフェーズにおいて検出された物体がRX101であることを認識する。TX102は、受電電圧値の通知を受けると、I&Cフェーズに遷移する。
【0019】
I&Cフェーズでは、TX102は、RX101を識別し、RX101から機器構成情報(能力情報)を取得する。そのため、RX101は、ID Packet及びConfiguration PacketをTX102に送信する。ID PacketにはRX101の識別情報が含まれ、Configuration Packetには、RX101の機器構成情報(能力情報)が含まれる。ID Packet及びConfiguration Packetを受信したTX102は、アクノリッジ(ACK)で応答する。そして、I&Cフェーズが終了する。
【0020】
Negotiationフェーズでは、RX101が要求するGPの値やTX102の送電能力等に基づいてGPの値が決定される。
【0021】
Calibrationフェーズでは、WPC規格に基づいて、RX101が受電電力値をTX102へ通知し、TX102が、効率よく送電するための調整を行う。
【0022】
Power Transferフェーズでは、送電の開始、継続、及びエラーや満充電による送電停止等のための制御を行う。
【0023】
TX102とRX101は、これらの送受電制御のための通信を、WPC規格に基づいて無線電力伝送と同じアンテナ(コイル)を用いて送電電力に信号を重畳する通信により行う。なお、TX102とRX101との間で、送電電力に信号を重畳する通信が可能な範囲は、TX102の送電可能範囲とほぼ同様である。
【0024】
本実施形態に係るRX101は、GPを決定することに先立って、TX102との間で電子証明書を用いたチャレンジ・レスポンス型の通信を行い、TX102を機器認証する。すなわち、機器認証のための通信を行う。そして、機器認証の結果に基づいて、上記NegotiationフェーズにおいてTX102に要求するGPを決定する。
【0025】
RX101は、この機器認証の結果が成功であったTX102に対して、GPを15ワットとするように要求し、機器認証の結果が失敗であったTX102に対してはGPを5ワットとするように要求する。なお、GPは15ワットと5ワット以外の組み合わせに限られず、機器認証の結果が成功であったTX102とのGPが、機器認証の結果が失敗であった場合のGPより大きい値であれば、どのような値の組み合わせでもよい。すなわち、RX101は、機器認証の結果が成功であったTX102との間においてのみ、大きなGPでの送受電が行われるように要求する。このように、機器認証の結果に基づいて、GPを決定することにより、WPC規格等で定められた所定の試験に合格し、安全性が保証されたTX102からのみ大きなGPでの受電を許容することができる。
【0026】
ここで、TX102がこの機器認証を受ける機能を有しない場合、RX101は、別途ユーザが設定する情報に基づいて、GPを15ワットとするか5ワットとするかを決定する。この処理については後述する。
【0027】
なお、本実施形態では、RX101とTX102は、機器認証のための通信を、送受電制御のための通信と同様に、無線電力伝送と同じアンテナを用いる通信方式で行うものとして説明する。ただし、送受電制御のための通信と機器認証のための通信は他の通信方式によって行われてもよい。例えば、IEEE802.11規格シリーズの無線LAN(例えばWi-Fi(登録商標))、Bluetooth(登録商標)、ZigBee、NFC(Near Field Communication)等によって行われてもよい。
【0028】
(装置構成)
続いて、本実施形態に係る受電装置101(RX101)及び送電装置102(TX102)の構成について説明する。なお、以下で説明する構成は一例に過ぎず、説明される構成の一部(場合によっては全部が)他の同様の機能を果たす他の構成と置き換えられ又は省略されてもよく、さらなる構成が説明される構成に追加されてもよい。さらに、以下の説明で示される1つのブロックが複数のブロックに分割されてもよいし、複数のブロックが1つのブロックに統合されてもよい。
【0029】
図2は、本実施形態に係るRX101の構成例を示す図である。RX101は、制御部201、バッテリ202、受電部203、検出部204、受電コイル205、通信部206、認証部207、通知部208、操作部209、メモリ210、タイマ211、充電部212、及び設定部213を有する。
【0030】
制御部201は、例えばメモリ210に記憶されている制御プログラムを実行することにより、RX101の全体を制御する。すなわち、制御部201は、
図2で示す各機能部を制御する。また、制御部201は、RX101における機器認証のための通信を含む受電制御に関する制御を行う。さらに、制御部201は、無線電力伝送以外のアプリケーションを実行するための制御を行ってもよい。制御部201は、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の1つ以上のプロセッサを含んで構成される。なお、制御部201は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理に専用のハードウェアで構成されてもよい。また、制御部201は、所定の処理を実行するようにコンパイルされたFPGA(Field Programmable Gate Array)等のアレイ回路を含んで構成されてもよい。制御部201は、各種処理を実行中に記憶しておくべき情報をメモリ210に記憶させる。また、制御部201は、タイマ211を用いて時間を計測しうる。
【0031】
バッテリ202は、RX101全体に対して、制御部201によるRX101の制御や、受電と通信に必要な電力を供給する。また、バッテリ202は、受電コイル205を介して受信された電力を蓄電する。
【0032】
受電コイル205において、TX102の送電コイル305から放射された電磁波により誘導起電力が発生し、受電部203は、受電コイル205において発生した電力を取得する。受電部203は、受電コイル205において電磁誘導により生じた交流電力を取得する。そして、受電部203は、交流電力を直流又は所定周波数の交流電力に変換して、バッテリ202を充電するための処理を行う充電部212に電力を出力する。すなわち、受電部203は、RX101における負荷に対して電力を供給する。上述のGPは、受電部203から出力されることが保証される電力である。
【0033】
検出部204は、WPC規格に基づいて、RX101が充電台103に載置されていることを検出する。検出部204は、例えば、受電部203が受電コイル205を介してWPC規格のDigital Pingを受電した時の受電コイル205の電圧値と電流値のうち少なくともいずれか一方を検出する。検出部204は、例えば、電圧値が所定の電圧閾値を下回る場合又は電流値が所定の電流閾値を超える場合に、RX101が充電台103に載置されていると判定することができる。
【0034】
通信部206は、TX102との間で、上述のようなWPC規格に基づく制御通信を行う。通信部206は、受電コイル205から入力された電磁波を復調してTX102から送信された情報を取得し、その電磁波を負荷変調することによってTX102へ送信すべき情報を電磁波に重畳することにより、TX102との間で通信を行う。すなわち、通信部206で行う通信は、TX102の送電コイルから送信される電磁波に重畳されて行われる。
【0035】
認証部207は、通信部206を用いて、TX102と機器認証のための通信を行い、TX102を機器認証する。本実施形態において、機器認証は、上述した電子証明書に関する情報を用いた認証をいう。また、認証部207は、TX102から機器認証を受ける機能を備えていてもよい。
【0036】
通知部208は、視覚的、聴覚的、触覚的等の任意の手法で、ユーザに対して情報を通知する。通知部208は、例えば、RX101の充電状態や、
図1のようなTX102及びRX101を含む無線電力伝送システムの電力伝送に関する状態を、ユーザに通知する。通知部208は、例えば、液晶ディスプレイやLED、スピーカ、振動発生回路、その他の通知デバイスを含んで構成される。
【0037】
操作部209は、ユーザからのRX101に対する操作を受け付ける受付機能を有する。操作部209は、例えば、ボタンやキーボード、マイク等の音声入力デバイス、加速度センサやジャイロセンサ等の動き検出デバイス、又はその他の入力デバイスを含んで構成される。なお、タッチパネルのように、通知部208と操作部209とが一体化されたデバイスが用いられてもよい。
【0038】
メモリ210は、上述のように、識別情報や機器構成情報などの各種情報や制御プログラムなどを記憶する。なお、メモリ210は、制御部201と異なる機能部によって得られた情報を記憶してもよい。タイマ211は、例えば起動された時刻からの経過時間を測定するカウントアップタイマや、設定された時間からカウントダウンするカウントダウンタイマ等によって、計時を行う。
【0039】
充電部211は、受電部203から供給される電力により、バッテリ202に充電する。また、充電部211は、制御部201の制御に基づいて、バッテリ202への充電を開始、または停止し、さらにバッテリ202への充電に使用する電力を、バッテリ202の充電状態に基づいて調整する。充電部211で使用する電力が変化すると、それに応じて受電部203から供給される電力、すなわちRX101における受電電力も変化する。ここで、充電部211は、RX101における負荷である。
【0040】
設定部213は、認証部207においてTX102が機器認証を受けることができない場合の処理をユーザに設定させ、その内容を記憶する制御を行う。取得部214は、通信部206を用いて、TX102が機器認証を受ける機能を有するかの情報をTX102から取得する。
【0041】
図3は本実施形態に係るTX102の構成例を示す図である。TX102は、一例において、制御部301、電源部302、送電部303、検出部304、送電コイル305、通信部306、認証部307、通知部308、操作部309、メモリ310、及び、タイマ311を有する。
【0042】
制御部301は、例えばメモリ310に記憶されている制御プログラムを実行することにより、TX102の全体を制御する。すなわち、制御部301は、
図3で示す各機能部を制御する。また、制御部301は、TX102における機器認証のための通信を含む送電制御に関する制御を行う。さらに、制御部301は、無線電力伝送以外のアプリケーションを実行するための制御を行ってもよい。制御部301は、例えばCPUやMPU等の1つ以上のプロセッサを含んで構成される。なお、制御部301は、特定用途向け集積回路(ASIC)等の特定の処理に専用のハードウェアや、所定の処理を実行するようにコンパイルされたFPGA等のアレイ回路を含んで構成されてもよい。制御部301は、各種処理を実行中に記憶しておくべき情報をメモリ310に記憶させる。また、制御部301は、タイマ311を用いて時間を計測しうる。
【0043】
電源部302は、TX102全体に対して、制御部301によるTX102の制御や、送電と通信に必要な電力を供給する。電源部302は、例えば、商用電源またはバッテリである。バッテリには、商用電源から供給される電力が蓄電される。
【0044】
送電部303は、電源部302から入力される直流又は交流電力を、無線電力伝送に用いる周波数帯の交流周波数電力に変換し、その交流周波数電力を送電コイル305へ入力することによって、RX101に受電させるための電磁波を発生させる。なお、送電部303によって生成される交流電力の周波数は、例えば数百kHz(例えば、110kHz~205kHz)程度である。送電部303は、制御部301の指示に基づいて、RX101に送電を行うための電磁波を送電コイル305から出力させるように、交流周波数電力を送電コイル305へ入力する。また、送電部303は、送電コイル305に入力する電圧(送電電圧)又は電流(送電電流)、又はその両方を調節することにより、出力させる電磁波の強度を制御する。送電電圧又は送電電流を大きくすると電磁波の強度が強くなり、送電電圧又は送電電流を小さくすると電磁波の強度が弱くなる。また、送電部303は、制御部301の指示に基づいて、送電コイル305からの送電が開始又は停止されるように、交流周波数電力の出力制御を行う。
【0045】
検出部304は、WPC規格に基づいて、充電台103に物体が載置されているかを検出する。検出部304は、具体的には、充電台103のInterface Surfaceに物体が載置されたか否かを検出する。検出部304は、例えば、送電部303が、送電コイル305を介してWPC規格のAnalog Pingを送電した時の送電コイル305の電圧値と電流値の少なくとも一方を検出する。なお、検出部304は、インピーダンスの変化を検出してもよい。そして、検出部304は、電圧が所定電圧値を下回る場合又は電流値が所定電流値を超える場合に、充電台103に物体が載置されていると判定しうる。なお、この物体が受電装置であるかその他の異物であるかは、続いて通信部306によって通信で送信されるDigital Pingに対して所定の応答の有無により判定される。すなわち、TX102が所定の応答を受信した場合には、その物体が受電装置であると判定され、そうでなければ、その物体が受電装置ではない物体であると判定される。
【0046】
通信部306は、RX101との間で、上述のようなWPC規格に基づく制御通信を行う。通信部306は、送電コイル305から出力される電磁波を変調し、RX101へ情報を伝送して、通信を行う。また、通信部306は、送電コイル305から出力されてRX101において変調された電磁波を復調してRX101が送信した情報を取得する。すなわち、通信部306で行う通信は、送電コイル305から送信される電磁波に重畳されて行われる。
【0047】
認証部307は、通信部306を用いて、RX101と機器認証のための通信を行い、RX101から機器認証を受ける。また、認証部307は、RX101を機器認証する機能を備えていてもよい。本実施形態において、機器認証は、上述した電子証明書に関する情報を用いた認証をいう。
【0048】
通知部308は、視覚的、聴覚的、触覚的等の任意の手法で、ユーザに対して情報を通知する。通知部308は、例えば、TX102の充電状態や、
図1のようなTX102とRX101とを含む無線電力伝送システムの電力伝送に関する状態を示す情報を、ユーザに通知する。通知部308は、例えば、液晶ディスプレイやLED、スピーカ、振動発生回路、その他の通知デバイスを含んで構成される。
【0049】
操作部309は、ユーザからのTX102に対する操作を受け付ける受付機能を有する。操作部309は、例えば、ボタンやキーボード、マイク等の音声入力デバイス、加速度センサやジャイロセンサ等の動き検出デバイス、又はその他の入力デバイスを含んで構成される。なお、タッチパネルのように、通知部308と操作部309とが一体化されたデバイスが用いられてもよい。
【0050】
メモリ310は、各種情報や制御プログラムなどを記憶する。なお、メモリ310は、制御部301と異なる機能部によって得られた情報を記憶してもよい。タイマ311は、例えば起動された時刻からの経過時間を測定するカウントアップタイマや、設定された時間からカウントダウンするカウントダウンタイマ等によって、計時を行う。
【0051】
図4は、本実施形態に係る別のTX402の構成例を示す図である。このTX402は、認証部を持たない点が、
図3で示すTX102と異なる点である。このTX402は機器認証のための通信を行う機能を有しておらず、機器認証を行う機能を有していない。すなわち、TX402は、RX101から機器認証を受ける機能も、RX101を機器認証する機能も有していない。なお、ここでは、TX402が機器認証機能自体を有していないものとして説明するが、機器認証を受ける機能を有していなければよい。例えば、機器認証のための通信を行う機能自体は有しており、RX101を機器認証することは可能であるが、RX101から機器認証を受けることはできない、という形態であっても構わない。その他の構成については
図3で説明したTX102と同じである。
【0052】
(処理の流れ)
続いて、RX101及びTX102が実行する処理の流れの例について説明する。
【0053】
[受電装置における処理]
図5は、RX101が実行する処理の流れの例を示すフローチャートである。本処理は、例えばRX101の制御部201がメモリ210から読み出したプログラムを実行することによって実現されうる。本処理には、認証部207、設定部213、取得部214における処理も含まれる。なお、以下に説明する本処理の手順の少なくとも一部がハードウェアによって実現されてもよい。この場合のハードウェアは、例えば、所定のコンパイラを用いて、各処理ステップを実現するためのプログラムからFPGA等のゲートアレイ回路を用いた専用回路を自動的に生成することによって実現されうる。また、本処理は、RX101の電源がオンとされたことに応じて、バッテリ202若しくはTX102からの給電によりRX101が起動したことに応じて、又はRX101のユーザが無線充電アプリケーションの開始指示を入力したことに応じて、実行されうる。また、他の契機によって本処理が開始されてもよい。
【0054】
RX101は、送受電に関する処理の開始後、WPC規格のSelectionフェーズとPingフェーズとして規定される処理を実行し、自装置がTX102に載置されるのを待つ(S501)。そして、RX101は、例えば、TX102からのDigital Pingを検出することによって、TX102の充電台103に載置されたことを検出する。そして、RX101は、Digital Pingを検出すると、Signal Strength Packet(受電電圧値)をTX102に送信する。
【0055】
RX101は、自装置がTX102の充電台103に載置されたことを検出すると、WPC規格のI&Cフェーズとして規定される処理を実行して、TX102へ識別情報と機器構成情報(能力情報)を送信する(S502)。
【0056】
図10(A)に、I&Cフェーズの通信の流れを示す。I&Cフェーズでは、RX101は、Identification Packet(ID Packet)をTX102へ送信する(F1001)。ID Packetには、RX101の識別情報であるManufacturer CodeとBasic Device IDのほかに、RX101の能力情報として、対応しているWPC規格のバージョンを特定可能な情報要素が格納される。
【0057】
RX101は、さらに、Configuration PacketをTX102へ送信する(F1002)。Configuration Packetには、RX101の能力情報として、以下の情報が含まれる。すなわち、RX101が負荷に供給できる最大電力を特定する値であるMaximum Power Valueや、WPC規格のNegotiation機能を有するか否かを示す情報である。
【0058】
TX102は、これらのパケットを受信すると、ACKを送信し(F1003)、I&Cフェーズが終了する。なお、RX101は、WPC規格のI&Cフェーズの通信以外の方法で、RX101の識別情報と機器構成情報(能力情報)をTX102に通知してもよい。また、RX101の識別情報は、WPC規格のWireless Power IDであってもよいし、RX101の個体を識別可能な任意の他の識別情報であってもよい。能力情報として、上記以外の情報を含んでいてもよい。
【0059】
続いて、
図5に戻り、RX101はNegotiationフェーズの通信により、自装置が載置されたTX102の識別情報と能力情報を取得する(S503)。RX101は、取得した能力情報に基づいて、TX102が機器認証を受ける機能を有するかを判定する(S504)。
【0060】
図10(B)に、Negotiationフェーズの通信を示す。RX101は、General Request Packetを送信する(F1011)。WPC規格において、General Request Packetは、対向装置(この場合、TX101)に対して様々な種類の情報を要求するためのパケットであり、要求する情報の種別を指定することが出来る。RX101は、TX102に対して、要求する情報の種別としてPower Tranmitter Identificationを指定する。そして、RX101は、TX102からPower Tranmitter Identification Packetを取得する(F1012)。このパケットには、TX102が対応しているWPC規格のバージョンであるMajor VersionとMinor Version、TX102の識別情報であるManufacturer Codeが含まれる。RX101は、TX102が対応しているWPC規格のバージョンが所定値以上なら、TX102は機器認証を受ける機能を有すると判定する。バージョンの比較条件は、所定値以上ではなく、所定値と一致することとしてもよい。ここで、所定値とは、RX101自身が対応するWPC規格のバージョンとしてもよい。またRX101は、TX102から取得する他の情報に基づいて、TX102が機器認証を受ける機能を有するかを判定してもよい。例えば、RX101は、TX102からPower Transmitter Capability PacketやProprietary PacketによりTX102の能力情報を取得する。そして、その内容に基づいてTX102が機器認証を受ける機能を有するかを判定してもよい。また識別情報であるManufacturer Codeが所定の値と一致するかに基づいて、機器認証を受ける機能を有するかを判定してもよい。また、RX101は、Negotiationフェーズの通信以外の方法により、TX102の識別情報と能力情報を取得し、この能力情報に基づいて、TX102が機器認証を受ける機能を有するかを判定してもよい。
【0061】
図5に戻り、RX101は、TX102が機器認証を受ける機能を有すると判定した場合(S504でYES)について説明する。この場合、RX101は、認証部207を用いて機器認証のための通信を実行する(S505)。
【0062】
ここで、RX101とTX102との間で行われる機器認証のための通信の内容を、
図10(C)を用いて説明する。なお、本実施形態の機器認証は、電子証明書を用いたチャレンジ・レスポンス型の機器認証とし、RX101がTX102を認証するものとする。なお、TX102がRX101を認証するようにしても良いし、双方が相手を認証するようにしてもよい。
【0063】
RX101は、TX102に対してチャレンジテキストを送信するイニシエータとして動作し、TX102はRX101から受信したチャレンジテキストを暗号化してRX101に送信するレスポンダとして動作する。まず、イニシエータであるRX101は、GET_DIGESTSメッセージを、レスポンダであるTX102に送信する(F1021)。GET_DIGESTSは、その受信機器(TX102)が有する電子証明書に関する情報を要求するメッセージである。TX102は、GET_DIGESTSに応答して、DIGESTSをRX101へ送信する(F1022)。DIGESTSとは、その送信機器(TX102)が所有する電子証明書に関する情報である。
【0064】
続いて、RX101は、電子証明書に関する詳細な情報を要求するGET_CETTIFICATEメッセージを、TX102へ送信する(F1023)。TX102は、RX101からのGET_CERTIFICATEに応答して、CERTIFICATEをRX101へ送信する(F1024)。そして、RX101は、チャレンジテキストを含むCHALLENGEメッセージをTX102へ送信し(F1025)、TX102は、RX101から受信したチャレンジテキストを暗号化したRESPONSEを、RX101へ送信する(F1026)。RX101は、TX102から受信したRESPONSEの正当性が確認された場合、RESULT(Success)をTX102へ送信し(F1027)、機器認証を終了する。RESULT(Success)は、RESPONSEの正当性が確認でき、機器認証が成功したことを意味する。なお、機器認証が失敗した場合には、RESULT(Success)に代えて、RESULT(Fail)が送信され、機器認証のための通信を終了する。
【0065】
なお、イニシエータ(RX101)は、通信の途中で応答を受信しなかった場合は、その応答を得るためのメッセージを再送すること等によってリトライしてもよいし、機器認証に失敗したものとしてもよい。または、相手装置が機器認証を受ける機能を有しないと判定し、
図5のS504でNOの場合と同じ処理を行ってもよい。
【0066】
図5に戻り、機器認証のための通信を行った後、RX101は、機器認証の結果を判定し(S506)、その結果に基づいてTX102と交渉を実行する(S507、S512)。機器認証が成功である場合(S506でYES)は、GPが15ワットとなるように交渉を行う(S507)。一方、そうでない場合(S506でNO)は、GPが5ワットとなるように交渉を行う(S512)。なお、交渉は通信部206による通信で行われる。
【0067】
この交渉は、
図10(B)に示すWPC規格のNegotiationフェーズの通信のSpecific Request Packet(F1013)と、それに対するACK(F1014)で行われる。RX101は、TX102に対してSpecific Request Packetを送信することで、要求するGPの値を通知する(F1013)。すなわち、機器認証が成功である場合はGP=15ワットと通知し、そうでなければGP=5ワットと通知する。TX102は、自装置の送電能力に基づいて、要求を受け入れるか否かを判定し、受け入れる場合はACK(肯定応答)を、受け入れない場合はNACK(否定応答)を、RX101へ送信する(F1014)。なお、
図10(B)においては、TX102がACKを送信する例を示している。
【0068】
ここで、TX102は、RX101から要求されたGPの大きさが、自装置の送電能力によって送電可能な大きさである場合にはRX101の要求を受け入れる。このとき、GPの値は、RX101によって要求された値と同じとして決定される。一方、TX102は、RX101から要求されたGPの大きさが、自装置の送電能力では達成できない大きさである場合には、RX101の要求を受け入れない。この場合、例えば、WPC規格で予め規定された所定の値が、GPの値として決定されうる。なお、他の所定の値をGPの値として決定してもよい。これらの所定の値は、一例において、事前にRX101のメモリ210及びTX102のメモリ310内に記憶される。
【0069】
なお、TX102は、自装置が複数のRX101に同時送電が可能であって、すでに別のRX101に送電中である場合に、自装置の送電能力に代えて、自装置の現在の送電余力に基づいてGPの値を決定してもよい。
【0070】
また、S507やS512において交渉を行ってGPが決定されるようにしたがこれに限られない。つまり、WPC規格のNegotiationフェーズの通信に限らず、TX102とRX101との間の機器認証の結果に基づいてGPを決定する他の手順が実行されてもよい。例えば、機器認証が成功しなかった場合には、GPを予め定められた所定の値、例えば5ワットとするようにしてもよい。また、RX101は、TX102がNegotiationフェーズに対応していないことを示す情報を(例えばS502において)取得した場合に、交渉は行わず、GPの値を(例えばWPC規格で予め規定された)所定の値、例えば5ワットとしてもよい。一例としては、S502において、RX101から、Configuration PacketのNeg Bit=1として送信し、TX102からACKが返らない場合は、TX102がNegotiationフェーズに対応していないと判断してもよい。交渉を行わない場合は、後述するS508のキャリブレーションも省略してもよい。すなわち、交渉を行わない場合は、S502の後の処理を省略し、S508またはS509に進んでもよい。
【0071】
RX101は、GPの決定後、そのGPに基づいてキャリブレーションを行う(S508)。キャリブレーションとは、TX102がRX101へ送電した電力について、TX102が、TX102の内部で測定した値とRX101の内部で測定した受電電力の値との相関について調整を行う処理である。TX102は、WPC規格のCalibrationフェーズの処理によりこの処理を行う。GPの値が所定の値より小さい場合は、WPC規格のCalibrationフェーズの処理を省略してもよい。
【0072】
その後、RX101は、受電を行う(S509)。受電は、WPC規格のPower Transferフェーズの処理により行われる。なお、この受電は、満充電まで行われてもよいし、任意のタイミングで終了してもよい。S509及びS510のキャリブレーションと受電は、公知の技術を流用できるため、ここでの詳細な説明は省略する。なお、キャリブレーションと受電は、WPC規格以外の方法で行われてもよい。
【0073】
RX101は、Power Transferフェーズにおいて、満充電に達するとWPC規格のEnd Power Transfer PacketをTX102に送信する。これによりTX102からの送電が停止され、無線充電のための一連の処理が終了となる。この後、RX101は、自動的に電源が切れるようにして、次回、電源ONでS501に戻るようにしてもよいし、バッテリ残量が所定以下まで減ったことを契機とする等、他の開始の契機を待った上でS501に戻るようにしてもよい。
【0074】
次に、RX101が、TX402の場合、つまりTXが機器認証を受ける機能を有しないと判定した場合(S504でNO)について説明する。この場合、RX101は、急速充電を許可(許容)するかをユーザに問い合わせ、ユーザによる操作に従って設定を行う(S510)。この設定は通知部208、操作部209により行う。
【0075】
例えば、RX101がスマートフォンである場合、通知部208は液晶画面であり、
図11の画面1100をポップアップ表示することでユーザに設定を促す通知を行う。また、操作部209は液晶画面と一体となっているタッチパネルであり、画面1100上の「はい」または「いいえ」のどちらがタッチされたかを検出することにより、ユーザの設定を取得する。「はい」が選択された場合は、急速充電を許可する設定とし、「いいえ」が選択された場合は、急速充電を許可しない設定とする。また、タイマ211を用いて、画面1100を表示してから所定時間以内に「はい」または「いいえ」のいずれも選択されなかった場合は、「いいえ」が選択されたものとして処理してもよい。
【0076】
なお、通知を行う際に、RX101が低消費電力動作状態であって画面がOFF状態である場合には、低消費電力状態を終了し、通知部208の画面をON状態とした上で通知してもよい。これによりユーザが通知を見落とす可能性を軽減することが出来る。また、画面1100に示すように、S503で取得したTX102(充電器)の識別情報を表示してもよい。TX102の識別情報としてManufacturer Codeを利用する場合、Manufacturerを示す文字列に変換して表示してもよい。これによりユーザは、TX102の製造者を知ることができるため、急速充電の許可、不許可の判断がしやすくなる。さらに、TX102の識別情報はTX102の製品名やシリアル番号、およびTX102と一体となっている家具や車両の識別情報であってもよいし、これら識別情報の組み合わせであってもよい。
【0077】
画面1100は、TX102を認証することができたかを示す表示を含んでいてもよいし、ユーザが急速充電を許可する場合のリスクや安全性への配慮を示す表示を含んでいてもよい。これによりユーザは、より詳細な情報に基づいて急速充電を許可するか否かを設定することができる。
【0078】
以上の説明は一例であり、表示するメッセージの内容を限定するものではない。また、音声など他の方法を用いてもよい。さらに、S510で行われた設定をTX102(充電器)の識別情報と紐付けてメモリ210に記憶し、次回同一の識別情報を持つTX102についてはポップアップ表示やユーザ入力を省略し、記憶内容を参照するように構成してもよい。これにより、同一のTX102を用いて繰り返し充電するような場合に、ユーザの操作の手間を軽減することが出来る。
【0079】
S510で行われた設定により急速充電が許可されている場合(S511でYES)、RX101はGP=15ワットとなるように交渉、キャリブレーション、及び受電を行う(S507、S508、S509)。急速充電が許可されていない場合(S511でNO)、RX101はGP=5ワットとなるように交渉、キャリブレーション、及び受電を行う(S512、S508、S509)。
【0080】
以上、RX101における処理をまとめると、RX101は、TX102に載置されると、TX102が機器認証を受ける機能を有するかを判定する。そして、当該機能を有すると判定した場合、RX101は機器認証を行った上でその結果に基づいて受電する。一方で当該機能を有しないと判定した場合は機器認証に代えてユーザによる設定に基づいて受電する。
【0081】
[
図3の送電装置における処理]
続いて、TX102が実行する処理の流れの例について、
図6を用いて説明する。本処理は、例えばTX102の制御部301がメモリ310から読み出したプログラムを実行することによって、実現されうる。なお、以下の手順の少なくとも一部がハードウェアによって実現されてもよい。この場合のハードウェアは、例えば、所定のコンパイラを用いて、各処理ステップを実現するためのプログラムからFPGA等のゲートアレイ回路を用いた専用回路を自動的に生成することによって実現されうる。また、本処理は、TX102の電源がオンとされたことに応じて、TX102のユーザが無線充電アプリケーションの開始指示を入力したことに応じて、又は、TX102が商用電源に接続され電力供給を受けていることに応じて、実行されうる。また、他の契機によって本処理が開始されてもよい。
【0082】
送受電に関する処理において、TX102は、まず、WPC規格のSelectionフェーズとPingフェーズとして規定されている処理を実行し、RX101の載置を待ち受ける(S601)。具体的には、TX102は、WPC規格のAnalog Pingを繰り返し、間欠的に送信し、充電台103に載置される物体の有無を検出する。そして、TX102は、充電台103に物体が載置されたことを検出した場合、Digital Pingを送信する。そして、そのDigital Pingに対する所定の応答(Signal Strength Packet)があった場合に、検出された物体がRX101であり、RX101が充電台103に載置されたと判定する。
【0083】
TX102は、RX101の載置を検出すると、通信部306により、前述のI&Cフェーズの通信を実行し、そのRX101から識別情報と機器構成情報(能力情報)を取得する(S602)。続いてTX102は、認証部307を用いて、
図10(C)で説明したRX101と機器認証のための通信を行う(S604)。その後、TX102は、通信部306を介して、RX101と
図10(B)の交渉を行い、GPを決定する(S605)。TX102は、GPを決定した後に、そのGPに基づいてキャリブレーションを行う(S606)。そして、TX102は、RX101に対して送電を行う(S607)。
【0084】
また、TX102は、WPC規格のEnd Power Transfer PacketをRX101から受信した場合は、WPC規格に従って、どの処理フェーズにおいてもその処理を終了し、S601のSelectionフェーズに戻る。なお、満充電となった場合にもRX101からEnd Power Transfer Packetが送信されるため、S601のSelectionフェーズに戻る。
【0085】
[
図4の送電装置における処理]
図7は、
図4のTX402が実行する処理の流れの例を示すフローチャートである。
図3のTX102が実行する処理のフローチャート(
図6)と異なる点について説明する。また、
図7において、
図6における各処理と同じ処理については、同じ符号を付ける。S601~S603までは、
図3のTX102と同じ処理を実行する。
【0086】
次に、
図4のTX402は、機器認証を受ける機能を有しないため、機器認証のための通信を行わずにRX101との交渉を行い、GPを決定する(S605)。その後の処理は、
図6で説明した処理と同じである。
【0087】
[システムの動作]
図5、
図6を用いて説明したRX101と
図3のTX102の動作シーケンスについて、
図8を用いて説明する。上述した通り、TX102は認証部307を有しており、機器認証を受ける機能を有する。
図8では、上から下の方向に、時間が流れるものとする。初期状態として、RX101はTX102に載置されていないものとする。
【0088】
まず、TX102はAnalog Pingによって物体が載置されるのを待つ(S601、F801)。RX101が載置されると(F802)、Analog Pingに変化が生じ(F803)、TX102は物体の載置を検知する(F804)。続くDigital PingによりRX101は自装置がTX102に載置されたことを検知する(F805、F806)。またTX102はDigital Pingの応答により載置された物体がRX101であることを検知する。続いて、I&Cフェーズの通信により、RX101から、識別情報と機器構成情報(能力情報)が通知される(F807、F808、S502、S602)。続いて、NegotiationフェーズのGeneral Request PacketとPower Transmitter Packetの通信が行われる。この通信により、TX102から、識別情報と、TX102が機器認証を受ける機能を有するかを判定可能な情報が通知される(F809、F810、S503、S603)。
【0089】
ここでは、TX102は機器認証を受ける機能を有するため、機器認証が行われる(F811、S504、S505、S604)。RX101は、機器認証の結果に基づいてTX102に要求するGPを決定し(F812、S506)、RX101とTX102の間の交渉によりGPが決定される(F813、S507またはS512、S605)。ここでは、機器認証が成功し、GPとして15ワットが決定されたものとする。続いて、決定されたGPに基づいてキャリブレーション(F814、S508、S606)、及び送受電が行われる(F815、S509、S607)。RX101が満充電になると、RX101からEnd Power Transfer Packetが送信され、一連の処理が終了する(F816)。
【0090】
以上に説明した動作によれば、RX101は、機器認証を受ける機能を有するTX102に載置された場合において、機器認証が成功した場合には高い電力での受電を行うことができる。
【0091】
続いて、
図5、
図7を用いて説明したRX101と
図4のTX402の動作シーケンスについて、
図9を用いて説明する。上述した通り、TX402は認証部を持たず、機器認証を受ける機能を有しない。以下、
図8との差異を中心に説明する。
【0092】
図9において、F801~F810までのSelectionフェーズ、I&Cフェーズ、及びTX402が機器認証を受ける機能を有するかを判定可能な情報を通知するところまでは、
図8と同じである。TX402は機器認証を受ける機能を有しないため、S504の判定はNOとなり、急速充電を許可するか否かをユーザに問い合わせるための画面1100が表示される(F901、S511)。そして、当該画面を介したユーザの設定に基づいて、TX102に要求するGPが決定される(F902、S511、S507またはS512、S605)。以下の動作は
図8と同じとなる。
【0093】
以上に説明した動作によれば、RX101は、機器認証を受ける機能を有しないTX402に載置された場合において、機器認証を行うことに代えて、ユーザによる設定に基づいて、高い電力での受電を行うことができる。
【0094】
以上のように、本実施形態に係る受電装置は、機器認証を受ける機能を有する送電装置とは機器認証の結果に基づいて受電電力を決定し、決定した電力に基づいて受電する。すなわち、機器認証が成功したときには、機器認証が失敗した場合と比較して高い電力での受電を許容することができる。よって、例えば、不正な機器等から高い電力での受電を行うことによる受電装置の不具合等の発生を抑制することができる。一方、受電装置は、機器認証を受ける機能を有していない送電装置から受電する場合は、ユーザによる設定に基づいて受電電力を決定し、決定した電力に基づいて受電する。これにより、例えばWPC規格のバージョン違い等により機器認証を受ける機能を有しない送電装置であっても、高い電力での受電を行っても問題ないとユーザが判断した場合には、機器認証を行うことなく、高い電力での受信を行うことが可能となる。
【0095】
<第2の実施形態>
本実施形態では、受電装置において、機器認証を受ける機能を有しない送電装置に載置された場合の設定を事前に行い、その設定内容に基づいて受電電力を決定する例について説明する。本実施形態におけるRX101は、TXに載置される前に、機器認証を受ける機能を有しないTXからの急速充電を許可するかを設定可能であり、ユーザにより設定された内容を記憶する。
【0096】
このときの設定方法の一例を、
図13を用いて説明する。1300はスマートフォンのホーム画面の表示例である。画面上部の領域1301がユーザによってスワイプ操作されると、1310に示す設定メニューを開く。1310において、無線LANやBluetooth等、他の機能の設定と並ぶ形でWPC規格の動作に関する設定ボタン1311が表示されている。設定ボタン1311がタップされると1320に示す、急速充電を許可するか否かを設定するための画面が表示される。ユーザはチェックボックス1321をチェックすることにより、急速充電を許可するかの設定を行うことが出来る。
【0097】
図12は、本実施形態におけるRX101の処理の流れを示すフローチャートである。以下に、第1の実施形態との差異を説明する。S501~S504の処理、およびS504でTXが機器認証を行う機能を有する場合の処理は
図5と同一である。ここで、TXが機器認証を行う機能を有しないと判定した場合は(S504でNO)、予め記憶した設定を参照して、急速充電を許可するかを決定する(S1201、S511)。以後の処理は
図5と同じである。
【0098】
以上のように、本実施形態の受電装置は、機器認証を行う機能を有しない送電装置に載置された場合の設定を事前に行い、記憶することが出来る。すなわち、ユーザは急速充電を許可するかの設定を毎回行わずに済むため、機器認証を行う機能を有しない送電装置を用いて繰り返し充電するような場合に、ユーザの操作の手間を軽減することが出来る。また、
図13の1310のように充電に関する設定メニューを他の機能の設定メニューと同一の画面に表示することで、設定方法がわかりやすくなり、ユーザの使い勝手が向上する。なお、急速充電を許可するか否かの設定は、受電装置の最初の電源ON時に実行できるようにしてもよいし、その後、ユーザが任意のタイミングで実行できるようにしてもよい。例えばデフォルトの設定として、急速充電を不許可としておき、S1201の時点でユーザの設定が行われていない場合には、デフォルトの設定に従って、GPを5ワットとするようにしてもよい。これにより、ユーザの操作の手間をさらに軽減することが出来る。
【0099】
なお、上記説明では、急速充電を許可するか否かの設定内容は、機器認証を受ける機能を有しない送電装置に対してのみ適用する例について説明したが、機器認証を受ける機能を有する送電装置に対しても適用するようにしてもよい。その場合、急速充電を許可しない設定が記憶されている期間は、認証結果に関わらず、RX101はGP=5ワットを要求するようにしてもよい。これにより、例えば充電時間の短縮よりも、急速充電による副作用、例えばバッテリの劣化等を抑えることを優先したい場合に、全ての充電器において急速充電を抑制することが出来る。
【0100】
また、上記説明では、S504で送電装置が機器認証を受ける機能を有していると判定された場合には、S505で機器認証のための通信を行うものとして説明したが、当該通信を省略し、急速充電を行うか否かの事前設定に基づいて動作するようにしてもよい。その場合、S504~S506の処理は省略し、S503の処理の後にS1201の処理を行うようにすればよい。これにより、急速充電を許可する設定となっている場合は、機器認証を受ける機能を有する送電装置から受電する際にも機器認証のための通信を省略して最大15ワットでの受電を行うことができる。よって、機器認証のために要する時間を削減でき、充電にかかる時間を更に短縮することができる。
【0101】
<第3の実施形態>
本実施形態では、受電装置において、機器認証を受ける機能を有しない送電装置に載置された場合の設定を、送電装置毎に行い、その設定内容に基づいて受電電力を決定する例について説明する。本実施形態におけるRX101は、TXに載置される前に、急速充電を許可するTXを設定可能であり、ユーザにより設定された内容を記憶する。
【0102】
このときの設定方法の一例を、
図15を用いて説明する。なお、TXの充電台103には、TXの識別情報を含むQRコード(登録商標)が貼られているものとする。1300、1310は第2の実施形態で説明した
図13と同じである。設定メニュー1310において設定ボタン1311がタップされると、1520に示す設定画面が表示される。設定画面1520において、急速充電を許可する充電器を登録するためのボタン1521がタップされると、充電器の登録方法を選択させるための画面1530を表示し、ユーザに登録方法を選択させる。
【0103】
ボタン1531がタップされると、画面1540が表示され、枠1541にTXのQRコードをスマートフォンのカメラで読み取るように通知する。QRコードの読み取りが完了したら1550の画面が表示され、「はい」が選択されたら読み取ったQRコードに含まれるTXの識別情報をメモリ210に記憶する。なお、ここではQRコードを用いてTXの識別情報を読み取る例について説明したが、QRコード以外の二次元コードや、一次元のバーコードなど、他のコード情報を用いるようにしても構わない。
【0104】
なお、TXの識別情報を含む文字列が充電台103に貼られている場合には、画面1530のボタン1532をタップすることで、ユーザが手動で識別情報を入力する画面(不図示)に遷移する。そして、当該画面を介してユーザにより入力されたTXの識別情報がメモリ210に記憶される。また、TXの充電台103にNFCタグが貼られている場合は、ボタン1533をタップすることでNFCでの読み取りを指示するための画面に遷移する。そして、当該指示に基づくユーザの操作によりNFCで読み取られたTXの識別情報がメモリ210に記憶される。なお、NFCではなく、Bluetooth(登録商標)などの他の近距離無線通信を用いてTXの識別情報を読み取るようにしても構わない。
【0105】
なお、設定画面1520は、1560に示すホーム画面から所定のアプリケーションのアイコン1561がタップされ、該アプリケーションが起動された場合に表示されるようにしてもよい。また、設定画面1520において、登録した充電器を削除するためのボタン1522がタップされた場合、登録済みの充電器の一覧が表示され、ユーザの指示に従って、選択された充電器を、急速充電を許可する対象から除外することができる。
【0106】
図14は、本実施形態におけるRX101の処理の流れを示すフローチャートである。以下に、第1及び第2の実施形態との差異を説明する。
【0107】
S501~S504の処理、およびS504でTXが機器認証を行う機能を有する場合の処理は
図5と同一である。ここで、TXが機器認証を受ける機能を有しないと判定した場合は(S504でNO)、予め記憶した設定を参照して、急速充電を許可するかを決定する(S1401、S1402)。すなわちRX101は、急速充電を許可する相手として予め記憶したTXの識別情報と、S503で取得したTXの識別情報が一致する場合には、現在自装置が載置されているTXについては急速充電が許可されているものと判断する。以後の処理は
図5と同じである。
【0108】
以上のように、本実施形態の受電装置は、機器認証を受ける機能を有しない送電装置に載置された場合の設定を、送電装置毎に行い、記憶することができる。これにより、ユーザは急速充電を許可するかの設定を毎回行わずに済むため、機器認証を受ける機能を有しない同一の送電装置を用いて繰り返し充電するような場合に、ユーザの操作の手間を軽減することが出来る。例えば、外出先で充電する場合には機器認証を受ける機能を有している送電装置以外からは急速充電を行わず、自宅で常用している送電装置で充電する場合には、このTXが機器認証を受ける機能を有しない場合でも、急速充電を行う、等の運用が可能となる。
【0109】
<第4の実施形態>
本実施形態では、第3の実施形態の応用例として、TXが自動車などの車両と一体に構成された場合について、簡単な操作で急速充電を許可するかの設定を行う形態を説明する。
【0110】
図16は、本実施形態におけるシステム構成を表す図である。RX1601は、TX1602から無線により送られる電力を受けて、内蔵バッテリを充電する電子機器であり、例えばスマートフォンである。RX1601は、通信部206とは異なる無線通信方式で通信する機能を備え、これを用いて車両1600の車両制御部1603と通信を行う。無線通信方式の例は、IEEE802.11規格シリーズの無線LAN(例えばWi-Fi(登録商標))、Bluetooth(登録商標)、ZigBee、NFC等である。
【0111】
TX1602は、車両1600と一体となって設置されている送電装置である。車両1600の座席付近に設置され、その上に置かれたスマートフォン等に対して無線電力伝送にて充電を行うことができる。TX1602は機器認証を受ける機能を有しないが15ワットの急速充電を行う機能を持つものとする。
【0112】
車両制御部1603は、上記無線通信により、スマートフォンであるRX1601とペアリングを行った上で、車両1600のドアの開錠などのコマンドを受信し、そのコマンドに基づく制御を行う。ペアリングはユーザによる確認操作を経て行われる。RX1601と車両制御部1603は、ペアリングによって相互に識別情報を交換し記憶することで、ユーザにより相互に通信が許可されたデバイスとして認識する。ペアリングの方式の一例はBluetooth(登録商標)によるペアリングである。他の方式でペアリングを行ってもよい。
【0113】
ここで、車両制御部1603は、TX1602の識別情報を保持し、ペアリングの際に、上記無線通信によりRX1601に通知する。車両制御部1603は、車両1600の車体番号等他の情報とともにTX1602の識別情報をメモリに保持してもよいし、TX1602から有線通信で取得するようにしてもよい。
【0114】
RX1601は、車両制御部1603とのペアリングをユーザに実行させることで、TXの識別情報を取得し、急速充電を許可するTXとして記憶することができる。その他の処理は第3の実施形態と同様である。
【0115】
以上のように、車両と一体であるTX1602について、簡単な操作で急速充電を行うかの設定を行うことが出来る。すなわち、ユーザはドアの開錠などの他の制御を行うためのペアリング操作を行うと、TX1602の識別情報の設定も行われるため、TX1602の識別情報の設定のための操作を個別に行う必要がなくなり、操作の手間を軽減することが出来る。
【0116】
また、TX1602が機器認証を受ける機能を有しない場合でも、ユーザはRX1601を急速充電することができる。すなわち、TX1602と一体となっている車両1600を買い換えたり、機器認証を受ける機能を有する別のTXを車両1600に設置したりしなくても、ユーザは車両1600に乗車した際にRX1601を急速充電することができる。
【0117】
次に、車両と一体であるTXについて、簡単な操作で急速充電を行うかの設定を行う別の形態を説明する。
【0118】
図17は、このときのシステム構成を表す図である。RX1701と車両制御部1703は、ネットワーク上のサーバ1700を経由して通信を行う。サーバ1700に接続するため、例えば3GPPにより規格化されているLTE(Long Term Evolution)を用いて基地局からネットワークに接続してもよいし、他の通信方式を用いても良い。
【0119】
車両制御部1703は、車両1600に関する情報を、サーバ1700に通知する。車両1600に関する情報には、TX1702の識別情報が含まれる。
【0120】
その他に車両1600のドアの開錠状態や現在位置、走行距離などの情報を含んでも良い。
【0121】
RX1701は、サーバ1700にログインすることにより、車両1600に関する情報を取得し、その中に含まれるTX1702の識別情報を取得する。そして、RX1701は、取得した識別情報を、急速充電を許可するTXの識別情報として記憶することができる。なお、サーバ1700にログインしている状態では、車両1600のドアの開錠などの制御を行うことができる。
【0122】
以上のように、車両と一体であるTX1702について、簡単な操作で急速充電を行うかの設定を行うことが出来る。すなわち、ユーザはドアの開錠などの他の制御を行うためのログイン操作を行うと、TX1702の識別情報の設定も行われるため、TX1702の識別情報の設定のための操作を個別に行う必要がなくなり、操作の手間を軽減することが出来る。
【0123】
また、TX1702が機器認証を受ける機能を有しない場合でも、ユーザはRX1701を急速充電することができる。すなわち、TX1702と一体となっている車両1600を買い換えたり、機器認証を受ける機能を有する別のTXを車両1600に設置したりしなくても、ユーザは車両1600に乗車した際にRX1601を急速充電することができる。
【0124】
<第5の実施形態>
本実施形態では、TX102を機器認証できず、急速充電を行わない場合に、急速充電を行わないこと、および急速充電を行わない理由を表示する形態を説明する。
【0125】
図18は、本実施形態におけるRX101の処理の流れを示す図である。
図18において、S501~S504は第1の実施形態と同様であり説明を省略する。S504において、TXが機器認証を受ける機能を有しないと判断した場合、RX101は、GP=5ワットとなるようにTXと交渉する(S512)。本実施形態において、GP=5ワットは急速充電に相当する電力ではない。続いて、通知部208を用いて急速充電を行わないこと、およびその理由を表示する(S1802)。
【0126】
S1802において通知部208で行う表示の例を、
図19の画面1900、1910、1920、および1930に示す。画面1900は、急速充電ではなく、通常の速度で充電を行うという受電動作に関する表示1902と、通常の速度で充電を行う理由を示す表示1901とを、含む。つまり、この理由は、急速充電に相当する電力ではなく、それよりも小さい電力である通常の充電に相当する電力を要求する理由である。画面1900では、理由として、TXを機器認証することが出来ないためであり、その旨が表示される。なお、理由は、表示1901のように原因を示す形式で表示してもよいし、画面1910の表示1911に示すように、目的を示す形式で表示してもよい。つまり、画面1910では、安全性を向上させる目的を示す表示1911を含む。また、通知部208は、画面1920の表示1922のように、充電速度をコントロールすることを示す表示を含んでもよいし、画面1930の表示1933のように急速充電を行うための対処方法を示す表示を含んでいてもよい。つまり、表示1933は、急速充電に相当する電力を要求するためにユーザが行うことができる対処方法を示している。
【0127】
図18に戻り、S1802の後の処理S508~S509は第1の実施形態と同じであり、説明を省略する。なお、TXが機器認証を受ける機能を有するが、機器認証の通信を行った結果、認証に失敗した場合にも(S504でYES、S505、S506でNO)、急速充電を行わず(S512)、S1802の表示を行ってもよい。その場合、機器認証の結果を表示するようにしてもよい。
【0128】
また、RX101は、TXの機器認証を行うことができ、急速充電を行う場合に(S501~S507)、急速充電を行うこと、さらに、その理由を表示する(S1801)。急速充電を行う場合の表示の例を、
図19の画面1940に示す。画面1940は、急速充電を行うという受電動作に関する表示1941と、その理由がTXの機器認証を行うことができたためであるという表示1942を含む。なお、急速充電を行う場合にS1801の処理を省略し、急速充電を行わない場合にのみS1802の処理を行うようにしてもよい。また、急速充電を行う場合は、急速充電を行うという受電動作に関する表示1941を表示し、その理由を示す表示は省略してもよい。以上の説明は一例であり、表示するメッセージの内容を限定するものではない。また、通知部208は、表示形式ではなく、音声で通知するなど他の方法を用いてもよい。
【0129】
以上の処理により、RX101は、TXを機器認証できず、急速充電を行わない場合に、急速充電を行わないこと、およびその理由を表示することができる。これにより、機器認証を受ける機能を有しない送電装置で充電する際に急速充電とならないことが、故障であるとユーザに誤解されることを抑止することができる。
【0130】
<第6の実施形態>
本実施形態では、機器認証を受ける機能を有しないTXにおいて、機器認証を実施する機能を持つRX101に対しては急速充電ができない場合があることを表示する形態を説明する。
図20は、本実施形態におけるTXの処理の流れを示す図である。
図20において、
図7と同様にRX101の載置を待つ処理とRX101の識別情報と能力情報を取得する処理を行う(S601、S602)。続いて、TXは、取得したRX101の能力情報に基づいて、RX101が機器認証のための通信を行う機能を有するかを判断する(S2001)。この判断は、例えばS602でWPC規格のI&Cフェーズの通信を行って取得したID Packetに含まれるバージョン番号を用いて行われる。なお、他の情報で判断してもよい。RX101が機器認証を行う機能を有しないと判断した場合、S603に進み、これ以降の処理は第1の実施形態の
図7と同じであるため、説明を省略する。RX101が機器認証を行う機能を有しないと判断できない場合、機器認証を行うRX101に対しては急速充電できない場合があることを、通知部308を介して通知する(S2002)。
【0131】
図21に、S2002において通知部308で行う表示の例を画面2100に示す。画面2100において、機器認証を実施するRXに対しては急速充電ができない場合があることをユーザに伝えるメッセージを表示する。S2002の後はS603に進み、これ以降の処理は第1の実施形態の
図7と同じであり、説明を省略する。
【0132】
以上の処理により、機器認証を受ける機能を有しないTXは、機器認証を実施する機能を持つ受電装置に対しては急速充電ができない場合があることを表示することができる。これにより、機器認証を受ける機能を有しないTXで充電する際に急速充電とならないことが、故障であるとユーザに誤解されることを抑止することができる。
【0133】
なお、S2001で判断する処理を省略し、S601の後、常にS2002で表示する処理を行うように構成してもよい。
【0134】
<その他の実施形態>
以上のように、上記各実施形態における受電装置は、機器認証に失敗した送電装置からは第1の電力以下の電力で受電し、機器認証に成功した送電装置からは、第1の電力よりも大きい第2電力での受電を許容するよう制御する。すなわち、機器認証に成功した送電装置からは、機器認証に失敗した送電装置よりも高い最大電力で受電することで急速充電を行うことができる。そして、ユーザからの指示に基づいて急速充電を許容する設定がなされた場合には、機器認証を行わなくても第2の電力で受電することができる。よって、機器認証を受ける機能を有していない送電装置からも、機器認証に成功した送電装置から受電する場合と同等の高い電力での受電を行うことが可能となる。
【0135】
なお、上記説明では、S504で送電装置が機器認証を受ける機能を有するか否かを判定し、当該機能を有していると判定された場合のみ機器認証のための通信を行うものとして説明した。しかしながら、送電装置が機器認証を受ける機能を有するか否かにかかわらず機器認証のための通信を開始するようにしてもよい。この場合、送電装置が機器認証を受ける機能を有していなければ、認証処理は失敗に終わることになる。そこで、認証処理が失敗した際に、第1の実施形態のように急速充電を許可するか否かの設定をユーザに行わせ、ユーザの指示に従って、送電装置から受ける電力の上限値を決定するようにしてもよい。また、第2~第4の実施形態のように、認証が失敗した場合の設定を事前に行っておき、認証処理が失敗した際には、設定された内容に従って動作するようにしてもよい。このようにすることにより、送電装置が機器認証を受ける機能を有しているか否かの判定を省略することができるので、受電装置側の処理負荷を軽減することができる。
【0136】
すなわち、上記各実施形態の受電装置は、機器認証に失敗した送電装置に対しては第1の電力を要求し、機器認証に成功した送電装置に対しては、第1の電力よりも大きい第2電力を要求することができる。よって、機器認証に成功した送電装置に対しては、機器認証に失敗した送電装置よりも大きい電力の送電を要求することで、急速充電を行うことができる。そして、ユーザからの指示に基づいて急速充電を許容する設定がなされた場合には、送電装置が機器認証を受ける機能を有していないことにより機器認証が成功しない場合であっても、第2の電力での送電を要求することができる。よって、機器認証を受ける機能を有していない送電装置に対しても、機器認証に成功した送電装置に対して要求する場合と同等の高い電力での送電を要求することが可能となる。
【0137】
なお、上記各実施形態の受電装置は、認証が成功した送電装置に対してはGPを15ワットとするよう要求し、認証が失敗した送電装置に対してはGPを5ワットとして要求する例について説明したが、認証が失敗した場合には受電を行わないようにしてもよい。その場合、送電装置が機器認証を受ける機能を有しないと判定された際に、当該送電装置から受電するか否かをユーザに問い合わせ、ユーザによる指示に従って、受電するか否かを決定するようにしてもよい。また、機器認証を受ける機能を有していない送電装置からの受電を行うか否かを予めユーザに設定させ、その設定に従って受電装置が動作するようにすればよい。これにより、不正な機器等からの受電による受電装置の不具合等の発生を抑制することができる。
【0138】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0139】
なお、
図5~7、
図12、
図14、
図18、
図20のフローチャ-トで示される処理の少なくとも一部がハードウェアにより実現されてもよい。ハードウェアにより実現する場合、例えば、所定のコンパイラを用いることで、各処理を実現するためのプログラムからFPGA(Field Programmable Gate Array)上に自動的に専用回路を生成すればよい。また、FPGAと同様にして、Gate Array回路を形成し、ハードウェアとして実現するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0140】
101 受電装置
102 送電装置
207 認証部
213 設定部
214 取得部