IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像形成装置 図1
  • 特許-画像形成装置 図2
  • 特許-画像形成装置 図3
  • 特許-画像形成装置 図4
  • 特許-画像形成装置 図5
  • 特許-画像形成装置 図6
  • 特許-画像形成装置 図7
  • 特許-画像形成装置 図8
  • 特許-画像形成装置 図9
  • 特許-画像形成装置 図10
  • 特許-画像形成装置 図11
  • 特許-画像形成装置 図12
  • 特許-画像形成装置 図13
  • 特許-画像形成装置 図14
  • 特許-画像形成装置 図15
  • 特許-画像形成装置 図16
  • 特許-画像形成装置 図17
  • 特許-画像形成装置 図18
  • 特許-画像形成装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/08 20060101AFI20240603BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
G03G21/08
G03G21/18 103
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020029865
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021135341
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝間田 剛
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-088970(JP,U)
【文献】特開2008-304784(JP,A)
【文献】特開2002-278395(JP,A)
【文献】特開2006-276529(JP,A)
【文献】特開2015-194527(JP,A)
【文献】特開昭62-127786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/08
G03G 21/18
G03G 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
回転する感光体と、前記感光体の回転軸線方向に沿って配置され、前記回転軸線方向における一端部から入射された光を前記感光体の表面に導く導光体を有する導光体ユニットとを有し、前記回転軸線方向に沿って移動させることで前記装置本体に対して着脱自在な感光体ユニットと、
前記装置本体に設けられ、前回転軸線方向における前記導光体の一端部に設けられた光入射面に光を照射する光源と、
前記光源を保持する保持部材と、
前記導光体ユニットのうち、前記回転軸線方向において、前記導光体ユニットの一端側挿入され貫通する貫通孔を有する封止部材と、
前記回転軸線方向において、前記光源を前記導光体ユニットに向けて付勢する付勢部材と、
を備え、
前記感光体ユニットが前記装置本体に装着された場合に、前記導光体ユニットと前記保持部材とは当接し、かつ、前記光源と前記光入射面との間に間隙が形成され、
前記封止部材は、弾性体であり、前記貫通孔の内周面が前記貫通孔を貫通した前記導光体ユニットの外周面と弾性的に当接し、前記回転軸線方向において、前記導光体ユニットの前記回転軸線方向における他端側と前記光源との間を封止するように形成されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記保持部材は、前記回転軸線方向において前記導光体ユニットに向かって突出する突出部を有し、
前記感光体ユニットが前記装置本体に装着された場合に、前記突出部が前記導光体ユニットに当接する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回転軸線方向に沿って見たとき、前記導光体ユニットの一部が貫通していない状態の前記貫通孔の面積は前記導光体ユニットにおける前記貫通孔を貫通する部分の断面積よりも小さい、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記回転軸線方向に沿って見たとき、前記感光体ユニットにおける前記貫通孔を貫通する部分の断面形状を前記封止部材に投影した場合に、前記導光体ユニットが前記貫通孔を貫通していない状態の前記貫通孔は前記断面形状の範囲内にある、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記封止部材は、前記貫通孔から前記封止部材の外周面まで連続するスリットを有する、
ことを特徴とする、請求項1ないし4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記感光体ユニットは、前記感光体を収容する感光体容器を有し、
前記導光体ユニットの一部は、前記感光体容器から外部に突出した部分であり、
前記封止部材は、前記導光体ユニットの一部の外周面と弾性的に当接することで、前記感光体容器と前記光源との間を封止する、
ことを特徴とする、請求項1ないしの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記保持部材は第1の保持部材であって、
前記装置本体に設けられ、前記封止部材を保持する第2の保持部材を備え、
前記第2の保持部材は、前記光源と前記封止部材との間に配置され、前記導光体ユニットが通過可能な通過部が形成された保持板部を有し、
前記通過部は、前記通過部を通過した前記導光体ユニットの外周面と隙間を有するように形成されている、
ことを特徴とする、請求項1ないしの何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複数の機能を有する複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、感光体としての感光ドラムを有するドラムカートリッジやプロセスカートリッジを装置本体に対して着脱可能とした構成が従来から知られている。また、感光ドラムの表面に光を照射して感光ドラム上の電荷を除電する光除電装置を備えた構成も従来から知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、装置本体に設けられた光源の光を感光ドラムの表面に導く導光体を備え、装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジを有する構成について記載されている。また、特許文献1には、光源の周囲を弾性部材からなる遮光部材により覆って、光源の光が外部に漏れることを抑制する構成が記載されている。このような特許文献1に記載の構成の場合、プロセスカートリッジを装着した際に、導光体の端部が遮光部材に当接して、遮光部材を伸縮させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-278395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、光源に飛散トナーが付着した場合、光源の光が付着したトナーにより遮られ、導光体に入射する光の光量が減少し、感光ドラムの除電効果が低下してしまう虞がある。特許文献1に記載の構成の場合、光源を遮光部材により覆っているため、光源に飛散トナーが付着しにくい。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の構成の場合、遮光部材がプロセスカートリッジ(感光体ユニット)の装着時に導光体の端部と接触することで導光体の入射面の一部を塞ぐように変形する虞がある。この場合、導光体に入射される光量が減り、感光ドラムの除電効果が低くなってしまう虞がある。
【0007】
本発明は、感光体ユニットを装置本体に装着する構成で、光源へのトナー付着を抑制すると共に、導光体に入射される光量が低下することを抑制できる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、装置本体と、回転する感光体と、前記感光体の回転軸線方向に沿って配置され、前記回転軸線方向における一端部から入射された光を前記感光体の表面に導く導光体を有する導光体ユニットとを有し、前記回転軸線方向に沿って移動させることで前記装置本体に対して着脱自在な感光体ユニットと、前記装置本体に設けられ、前記回転軸線方向における前記導光体の一端部に設けられた光入射面に光を照射する光源と、前記光源を保持する保持部材と、前記導光体ユニットのうち、前記回転軸線方向において、前記導光体ユニットの一端側挿入され貫通する貫通孔を有する封止部材と、前記回転軸線方向において、前記光源を前記導光体ユニットに向けて付勢する付勢部材と、を備え、前記感光体ユニットが前記装置本体に装着された場合に、前記導光体ユニットと前記保持部材とは当接し、かつ、前記光源と前記光入射面との間に間隙が形成され、前記封止部材は、弾性体であり、前記貫通孔の内周面が前記貫通孔を貫通した前記導光体ユニットの外周面と弾性的に当接し、前記回転軸線方向において、前記導光体ユニットの前記回転軸線方向における他端側と前記光源との間を封止するように形成されていることを特徴とする画像形成装置である
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、感光体ユニットを装置本体に装着する構成で、光源へのトナー付着を抑制すると共に、導光体に入射される光量が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成断面図。
図2】第1の実施形態に係るドラムカートリッジの斜視図。
図3】第1の実施形態に係るドラムカートリッジの概略構成断面図。
図4】第1の実施形態に係るドラムカートリッジの一部を拡大して示す斜視図。
図5】第1の実施形態に係るドラムカートリッジの一部を導光体の入射面側から見た斜視図。
図6】第1の実施形態に係る導光体の入射面側の端面を示す図。
図7】第1の実施形態に係る光源ユニットを示す斜視図。
図8】第1の実施形態に係るドラムカートリッジの導光体が光源と対向している状態を示す斜視図。
図9】第1の実施形態に係るドラムカートリッジの導光体が光源と対向している状態を示す側面図。
図10】第1の実施形態に係る光源ユニットに封止部材を装着した状態を示す斜視図。
図11】第1の実施形態に係る封止部材の正面図。
図12】第1の実施形態に係る保持部材の正面図。
図13】第1の実施形態に係るドラムカートリッジの導光体が封止部材及び保持部材を貫通して光源と対向している状態を示す斜視図。
図14】第1の実施形態に係るドラムカートリッジの導光体が封止部材及び保持部材を貫通して光源と対向している状態を示す断面図。
図15】第2の実施形態に係る光源ユニットの斜視図。
図16】第2の実施形態に係る支持部材の斜視図。
図17】第2の実施形態に係るドラムカートリッジの導光体が光源と対向している状態を示す斜視図。
図18】第2の実施形態に係るドラムカートリッジの導光体が光源と対向している状態を示す側面図。
図19】第2の実施形態に係る光源ユニットに封止部材を装着した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1ないし図14を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
【0012】
[画像形成装置]
本実施形態の画像形成装置1は、それぞれ像担持体としての感光ドラム12を有する4つの画像形成部100を備えた電子写真方式のタンデム型のフルカラープリンタである。画像形成装置1は、装置本体1Aに接続された原稿読取装置110又は装置本体1Aに対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータなどのホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)を記録材に形成する。記録材としては、用紙、プラスチックフィルム、布などのシート材が挙げられる。以下、記録材をシートとして説明する。また、4つの画像形成部100は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する。なお、画像形成装置1が備える4つの画像形成部100は、現像色が異なることを除いて実質的に同一の構成を有する。
【0013】
画像形成部100は、感光体としての感光ドラム12を有するドラムカートリッジ(感光体ユニット)10と、現像器20とを有する。感光ドラム12は、円筒型の感光体であり、図1の時計方向に回転する。感光ドラム12は、帯電装置としての帯電ローラ13によって表面を一様に帯電された後、伝送された画像情報の信号に基づいて駆動される露光装置としてのレーザスキャナ22によって、表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、現像器20によってトナー像として顕在化される。各画像形成部100の感光ドラム12上のトナー像は、一次転写ローラ31により所定の加圧力及び静電的負荷バイアスを付与されることで、中間転写体としての中間転写ベルト30に順次転写される。転写後、感光ドラム12上に残った僅かな残トナーは、クリーニングブレード14によって除去回収され、再び、次の画像形成に備える。また、現像器20には、トナーカートリッジ21からトナーが補給される。
【0014】
一方、シートPは、給送カセット40から1枚ずつ給送され、レジストローラ対50に搬送される。シートPは、先端をレジストローラ対50のニップ部に倣わせてループを形成されることで、斜行が修正される。その後、レジストローラ対50は、中間転写ベルト30上のトナー像と同期を取って、シートPを中間転写ベルト30と二次転写外ローラ33との間に搬送する。中間転写ベルト30上のカラーのトナー像は、中間転写ベルト30を介して対向配置された駆動ローラ32及び二次転写外ローラ33のニップ部において、所定の加圧力と静電的負荷バイアスが付与されることで、シートPに転写される。転写後、中間転写ベルト30上に残った僅かな残トナーは、クリーニングブレード34によって除去回収され、再び、次の画像形成に備える。シートP上に転写されたトナー像は、定着器60によって、加熱加圧されることで定着され、排出ローラ対70により排出トレイ80上に排出される。
【0015】
[ドラムカートリッジ]
次に、図2ないし図6を用いてドラムカートリッジ10の構成について説明する。図2及び図3に示すように、感光体ユニットとしてのドラムカートリッジ10は、感光ドラム12、帯電ローラ13、クリーニングブレード14、クリーニングローラ15を有し、これらをドラム容器11で一体的に保持することで構成される。感光体容器としてのドラム容器11は、感光ドラム12、帯電ローラ13、クリーニングブレード14、クリーニングローラ15を収容する。
【0016】
このようなドラムカートリッジ10は、装置本体1A(図1)に対して着脱自在として、メンテナンス等で交換可能な構成となっている。本実施形態の場合、ドラムカートリッジ10は、装置本体1Aに対して図1の紙面表裏方向に挿抜可能となっている。即ち、ドラムカートリッジ10は、感光ドラム12の回転軸線方向に沿って、装置本体1A内への挿入、及び、装置本体1Aからの抜き出しが可能となっている。
【0017】
ドラム容器11には、図示しない軸受を介して、感光ドラム12が回転可能に保持されており、感光ドラム12には装置本体1Aから駆動を受け取って回転するための図示しないカップリングが設けられている。図4に示すように、帯電ローラ13及びクリーニングローラ15は、軸受131により回転可能に支持されており、加圧ばね132により感光ドラム12に加圧されている。感光ドラム12が装置本体1Aから駆動を受けて回転すると、帯電ローラ13は感光ドラム12との摩擦力によって回転し、更に帯電ローラ13が回転するとクリーニングローラ15は帯電ローラ13との摩擦力によって回転する。これにより、帯電ローラ13の表面がクリーニングローラ15により清掃される。
【0018】
また、図3に示すように、ドラム容器11にはクリーニングブレード14が固定されている。また、クリーニングブレード14の近傍には、クリーニングブレード14で回収したトナーを搬送してドラムカートリッジ10から装置本体1Aへと排出するための搬送コイル17が設けられている。搬送コイル17は、ドラム容器11により形成される搬送路内に配置されている。搬送コイル17の片端には、搬送コイルを回転させるための図示しない搬送駆動ギアが設けられており、搬送駆動ギアは図示しない駆動列により感光ドラム12と駆動連結されている。
【0019】
更に、ドラム容器11には光除電装置200(図13)としての機能を持つ導光体ユニット16が固定されている。光除電装置200は、次述する導光体ユニット16、後述する光源ユニット201及び封止部材240を有する。本実施形態の光除電装置200は、感光ドラム12から中間転写ベルト30にトナー像を転写した後の感光ドラム12の表面に光を照射し、感光ドラム12上の残留電荷を除去するものである。
【0020】
感光ドラム12の表面に残留電荷が存在したまま次の画像形成を行うと、画像上に残像として残る場合があるが、このように光除電装置200により残留電荷を除去することで、このような残像により画像不良を抑制できる。このために本実施形態では、図3に示すように、導光体ユニット16を、感光ドラム12の回転方向(矢印方向)に関してクリーニングブレード14の上流で、一次転写ローラ31(図1)の下流に配置している。
【0021】
[導光体ユニット]
本実施形態の導光体ユニット16は、図5及び図6に示すように、アクリル樹脂等の透光性材料からなる棒状の導光体161、導光体161の周面のうち感光ドラム12に対向する部分以外を覆う保護部材162により構成される。このような導光体ユニット16は、ドラムカートリッジ10に設けられている。より具体的に説明する。
【0022】
導光体ユニット16は、感光ドラム12の回転方向に交差する長手方向(回転軸線方向)に沿って配置されている。本実施形態では、導光体ユニット16は、感光ドラム12と隣接する位置に、感光ドラム12の回転軸線方向と略平行に、且つ、感光ドラム12の長手方向全域に対向するように配置されている。
【0023】
また、導光体ユニット16の長手方向一端部側の一部は、ドラム容器11から外部に突出している。本実施形態の場合、長手方向一端部は、ドラムカートリッジ10の挿抜方向奥側(画像形成装置1の背面側)の端部である。なお、画像形成装置1の前面は、ユーザなどの操作者が画像形成装置1を操作する側であり、図1の紙面手前側である。一方、画像形成装置1の背面は、全面と反対側であり、図1の紙面奥側である。
【0024】
導光体ユニット16の長手方向一端部側で、ドラム容器11から突出した部分は、この部分を長手方向一端側から見た場合に、図6に示すような形状を有する。即ち、保護部材162は、導光体161の中心よりも上側を外径が半径R1の半円筒状の半円部162aとし、下側をこの半円部162aと連続する略矩形状の矩形部162bとしている。矩形部162bの図6の左右方向の寸法もR1としている。更に、保護部材162の下側には、略T字状の下側部164が固定されている。
【0025】
導光体ユニット16を構成する導光体161は、略円柱形状で、例えば、光の透過性が高く絶縁材料であるポリカーボネートや、アクリルなどから形成されている。導光体161は、プリズム加工を行い、入射面161aから入った光を有効に感光ドラム12の表面に導くように形成されている。即ち、導光体161の長手方向一端部の端面を入射面161aとし、入射面161aから入射した光を感光ドラム12側に反射させるようにしている。
【0026】
このために、図3に示すように、導光体161を覆う保護部材162のうち、感光ドラム12と対向する部分に開口部163を形成している。これにより、入射面161aから導光体161に入射した光は、この開口部163を通じて感光ドラム12の表面に導かれる。
【0027】
なお、本実施形態の場合、導光体161の長手方向一端側の端面である入射面161aは、図14に示すように、導光体ユニット16の端面である保護部材162の端面よりも長手方向他端側に位置している。言い換えれば、入射面161aよりもその周囲に存在する保護部材162を長手方向一端側に突出させている。これにより、ドラムカートリッジ10の装着動作時などに入射面161aが他の部材と接触しにくくしている。但し、保護部材162の端面と入射面161aとを略同一平面上に位置させるようにしても良い。
【0028】
また、導光体161は、プリズム加工を行っていないものでも良いし、導光体ユニット16が保護部材162を含まず、導光体161のみで構成されても構わない。また、後述する光源を導光体161の長手方向両端に設け、両端の入射面から入射された光を感光ドラム12に向けて照射するようにしても良い。
【0029】
[光源ユニット]
光源ユニット201は、装置本体1Aに配設され、ドラムカートリッジ10の導光体ユニット16に光を供給する。図7に示すように、光源ユニット201は、光源としてのLED(Light Emitting Diode)210および光源保持部材220から構成される。図8及び図9に示すように、LED210は、装置本体1A(図1)にドラムカートリッジ10が装着された状態で、導光体ユニット16の長手方向一端部と対向する。そして、LED210から発せられた光が導光体ユニット16の導光体161の入射面161a(図5)に入射するようにしている。
【0030】
本実施形態では、導光体161の長手方向一端側にのみ光源ユニット201を設けているが、両端にLED210が設置されても構わない。また、光源はLED以外の発光源でも良いし、LED210の形状も図7に示した形状に限定するものではなく、例えば砲弾型のヘッド形状であっても構わない。
【0031】
上述したように、ドラムカートリッジ10は、回転軸線方向に沿って装置本体1Aに対して挿抜される。図9に示すように、ドラムカートリッジ10が装置本体1Aに装着された状態において、ドラムカートリッジ10の挿入方向下流側の端部となる導光体ユニット16の長手方向一端部の入射面161aとLED210とは、距離Aだけ離して配置される。これにより、ドラムカートリッジ10の挿抜によりLED210と導光体ユニット16とが接触して、LED210が破損することを抑制できる。
【0032】
ここで、ドラムカートリッジ10においてトナーが飛散し、飛散したトナーがLED210に付着する虞がある。近年、更なる画像形成装置の処理速度の高速化が望まれている。装置の画像形成速度が増加すれば、感光ドラムの回転速度も増加する。高速回転する感光ドラムに対して低速回転時と同等の光除電効果を出すためには、より多くの光を感光ドラムへ照射することが求められる。そのために、光源の発光量を大きくした場合、光源の発光点近傍の温度は光源の発熱により局所的に高くなる。そこにトナーのような浮遊物が近づくと、光源表面の熱によりトナーが融けて光源表面に固着する虞がある。光源の表面にトナーが融着すると、融着したトナーにより光が遮られ、導光体に入る光量が減少し感光ドラムの除電を十分に行えず、画質の低下を招いてしまう。そこで、本実施形態では、次のように、LED210とドラムカートリッジ10のドラム容器11との間を封止部材240により封止するようにしている。
【0033】
[封止部材]
次に、図10ないし図14を用いて、本実施形態の封止部材240による封止構成について説明する。図10に示すように、本実施形態では、光源ユニット201に弾性体からなる封止部材240を設けている。即ち、封止部材240は、保持部材としての封止部材保持部材230に保持され、封止部材保持部材230が光源保持部材220に、例えば、接着などにより固定されている。
【0034】
封止部材240は、LED210の前面側(光を照射する側)に配置されている。このため、LED210は、次述する貫通孔241を除いて、光源保持部材220、封止部材保持部材230及び封止部材240により周囲をほぼ覆われる構成となっている。
【0035】
封止部材240は、スポンジなどの多孔質の樹脂、エラストマーなどの弾性体により形成されている。また、封止部材240のLED210と長手方向に対向する位置には、図10及び図11に示すように、貫通孔241が形成されている。貫通孔241は、自由状態では、半径R2の略円形状を有する。また、封止部材240は、貫通孔241から封止部材240の外周面まで連続するスリット242を有する。スリット242は、貫通孔241から下方に延び、封止部材240の下面に連続している。
【0036】
封止部材保持部材230は、図12図14に示すように、導光体ユニット16の貫通部161bが通過可能な通過部231を有する。即ち、封止部材保持部材230は、LED210と封止部材240との間に配置された保持板部232を有する。そして、保持板部232のLED210と長手方向に対向する位置に、保持板部232を貫通した孔である通過部231を形成している。
【0037】
ドラムカートリッジ10を装置本体1Aに挿入する際には、導光体ユニット16のドラム容器11よりも挿入方向下流側に突出した一部である貫通部161bが、封止部材240の貫通孔241、及び、封止部材保持部材230の通過部231を通過する。そして、図13及び図14に示すように、ドラム容器11と光源ユニット201との間を封止部材240により封止した状態で、導光体ユニット16の導光体161の入射面161aを、LED210と対向させる。以下、具体的に説明する。
【0038】
封止部材240の貫通孔241は、ドラムカートリッジ10を装置本体1Aに挿入する際に、導光体ユニット16の貫通部161bが貫通する。貫通部161bは、導光体ユニット16のうち、感光ドラム12の長手方向一端部よりもLED210側(光源側)の導光体ユニット16の一部である。本実施形態では、導光体ユニット16のうち、ドラム容器11の長手方向一端部からLED210側に突出した部分の一部を貫通部161bとしている。
【0039】
貫通部161bの外形形状は、図6に示した形状となる。即ち、貫通部161bは、半円部162a、矩形部162b、更には下側部164を有する。LED210の中心、貫通孔241の中心、貫通部161bの半円部162aの中心は、長手方向から見た場合に略一致する。半円部162aの中心は、導光体161の中心と一致している。このため、ドラムカートリッジ10を装置本体1Aに装着した状態で、図14に示すように、導光体161の中心がLED210の中心と略一致した状態で、導光体161の入射面161aがLED210と対向する。
【0040】
このような貫通孔241は、導光体ユニット16の貫通部161bの断面形状より小さくしている。即ち、導光体ユニット16の一部である貫通部161bの断面形状を封止部材240に長手方向に投影した場合に、貫通部161bが貫通していない状態(自由状態)の貫通孔241が貫通部161bの断面形状の範囲内にある。且つ、貫通孔241の面積は貫通部161bの断面積よりも小さい。
【0041】
具体的には、図11に示す、自由状態での貫通孔241の半径R2を、図6で示した導光体ユニット16の半円部162aの半径R1よりも小さくしている。即ち、図14に示すように、R1>R2となっている。なお、図14に示す封止部材240の貫通孔241は、自由状態を示している。本実施形態では、R1=2.5mm、R2=2.0mmとした。
【0042】
このように構成することで、貫通孔241に導光体ユニット16の貫通部161bが貫通すると、弾性体である封止部材240が貫通部161bの外形に倣うように変形する。この結果、貫通孔241の内周面が貫通孔241を貫通した貫通部161bの外周面と弾性的に当接する。そして、封止部材240により、LED210と、ドラムカートリッジ10の貫通部161bよりも長手方向他端側、即ち、挿入方向上流側との間を封止することができる。本実施形態では、感光ドラム12が内部に配置されるドラム容器11とLED210との間を封止部材240により封止するようにしている。
【0043】
特に本実施形態の場合、導光体ユニット16の一部である貫通部161bが封止部材240の貫通孔241を貫通している。このため、ドラムカートリッジ10を装置本体1Aに装着する際に、封止部材240の一部が変形して、導光体161の入射面161aの一部を遮ることを抑制できる。また、貫通孔241の内周面を貫通孔241の外周面に弾性的に当接させることで、封止性を高めることができる。このため、ドラムカートリッジ10を装置本体1Aに装着する構成で、LED210へのトナー付着を抑制すると共に、導光体161に入射される光量が低下することを抑制できる。
【0044】
また、封止部材240が弾性体であると共に、スリット242を有することで、貫通部161bが貫通孔241を貫通する際に、封止部材240が弾性変形し、更にスリット242が開く。このため、貫通部161bを貫通孔241に通過させる際の封止部材240の変形による反力は微小となり、ドラムカートリッジ10の交換作業性を損なうことを抑制できる。
【0045】
封止部材保持部材230の通過部231は、長手方向一端側から見た場合に、図12に示すような形状を有する。即ち、通過部231は、外径が半径R3の半円筒状の半円部231aと、この半円部231aと連続する略矩形状の矩形部231bと、矩形部231bの下側から下方に開口した切り欠き部231cとから形成された孔である。矩形部231bの図12の左右方向の寸法は、R3と略同じとしている。半円部231aの中心は、貫通孔241の中心と一致し、切り欠き231は、スリット242と対応した位置に形成されている。
【0046】
本実施形態の場合、通過部231を貫通部161bの断面形状より大きくしている。即ち、導光体ユニット16の一部である貫通部161bの断面形状を封止部材保持部材230に長手方向に投影した場合に、貫通部161bの断面形状が通過部231の範囲内にあり、且つ、通過部231の面積は貫通部161bの断面積よりも大きい。具体的には、通過部231の半円部231aの半径R3を、図6で示した導光体ユニット16の半円部162aの半径R1よりも大きくしている。即ち、図14に示すように、R3>R1となっている。本実施形態では、R3=4mmとした。
【0047】
このように構成することで、通過部231は、通過部231を通過した導光体ユニット16の外周面、即ち、貫通部161bの外周面との間に隙間を有する。この結果、ドラムカートリッジ10の装置本体1Aへの着脱の際に、導光体ユニット16の貫通部161bが封止部材保持部材230を干渉することを抑制でき、ドラムカートリッジ10の着脱動作を円滑に行える。
【0048】
なお、本実施形態の場合、封止部材保持部材230の通過部231と、導光体ユニット16の貫通部161bとの隙間は、概ね1.5mmとなるようにしている。一方、通過部231の内周面と、封止部材240の貫通孔241の内周面との寸法差(厚み)は、概ね2mmとなるようにしている。したがって、導光体ユニット16の貫通部161bが貫通孔241及び通過部231を貫通した状態では、封止部材240は概ね0.5mm弾性変形して貫通部161bの外周面に当接する。このため、封止部材240による封止性をより高めることができる。
【0049】
以上のような本実施形態の構成とすることで、ドラムカートリッジ10の交換作業性を損なわずに、LED210の封止性を高めることができる。その結果、LED210の発光部へのトナーの侵入を低減させ、LED210表面へのトナー融着を抑制することができる。
【0050】
なお、本実施形態では、通過部231の形状や導光体ユニット16の断面形状を上述のような形状としたが、これらの形状を円や楕円、複数の円弧形状の組み合わせ、或いは、多角形状としても良い。この際、封止部材240の貫通孔241の形状は、これらの形状に合わせた形状としても良いし、これらの形状に関らず円形状としても良い。要は、封止部材240の貫通孔241の内周面が導光体ユニット16の貫通部161bの外周面のほぼ全周に亙って弾性的に当接するような形状であれば良い。
【0051】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図15ないし図19を用いて説明する。上述の第1の実施形態では、LED210を固定としたが、本実施形態では、LED210を移動可能に支持する構成としている。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、同一の構成ついては同一の符号を付して説明を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0052】
本実施形態の光除電装置200Aは、図19に示すように、導光体ユニット16(図17及び図18参照)、光源ユニット201A及び封止部材240を有する。なお、図19では、導光体ユニット16を省略している。光源ユニット201Aは、装置本体1A(図1参照)に設けられ、図15に示すように、光源としてのLED210と、LED210を支持する支持部材250と、光源保持部材260と、付勢手段としてのバネ270とを有する。
【0053】
支持部材250は、図16に示すように、支持板部251と、突出部252と、ガイド部253とを有する。支持板部251は、略鉛直方向に配置された板状部分であり、片面にLED210を支持する。突出部252は、支持板部251の下端部からLED210よりも前面側(光を照射する側)に突出するように形成されている。当接部としての突出部252は、後述するように、ドラムカートリッジ10を装着した際に、先端面252aを導光体ユニット16の長手方向一端部と当接させる。そして、導光体ユニット16の長手方向一端部とLED210との間に所定の隙間を形成する。ガイド部253は、鉛直方向及び長手方向にそれぞれ直交する幅方向に関して、支持板部251の両側にそれぞれ長手方向と略平行に設けられた突条である。
【0054】
光源保持部材260は、装置本体1Aに設けられ、支持部材250を長手方向に移動可能に保持する。即ち、本実施形態の場合も、ドラムカートリッジ10は、装置本体1Aに対して長手方向に着脱可能であり、支持部材250に支持されるLED210は、このドラムカートリッジ10の着脱方向(図15の挿抜方向X)と同方向に移動可能となっている。このような光源保持部材260は、図15及び図17に示すように、LED210を支持した支持部材250を収容する収容部261と、支持部材250のガイド部253と係合可能で、ガイド部253を長手方向に案内する係合案内部262とを有する。
【0055】
本実施形態の場合、係合案内部262は、収容部261を構成する側板に長手方向に沿って切り欠かれた切り欠きである。そして、切り欠き内に突条であるガイド部253が挿入されることで、ガイド部253と係合案内部262とが係合される。係合案内部262は、ガイド部253と同様に、支持部材250の幅方向両側に形成されており、両側のガイド部253と係合することで、支持部材250を長手方向(挿抜方向X)に移動可能に支持する。この状態で支持部材250は、下端部が光源保持部材260の底板から浮いた状態となる。本実施形態では、このような構成を浮動構成と呼ぶ。
【0056】
バネ270は、LED210を支持した支持部材250をドラムカートリッジ10の装着方向と逆方向、即ち、長手方向他端側に付勢する。即ち、バネ270は、図15及び図18に示すように、光源保持部材260に固定の固定部263と支持部材250との間に弾性的に圧縮された状態で配置され、支持部材250を長手方向他端側に付勢する。
【0057】
このように本実施形態の場合、LED210が、ドラムカートリッジ10の挿抜方向Xに移動可能な支持部材250に支持され、バネ270によりドラムカートリッジ10の装置本体1Aへの挿入方向と逆側へ付勢される構成となっている。ここで、本実施形態の場合も、図6に示したように、導光体ユニット16は下側部164を有する。下側部164は、ドラムカートリッジ10を装着する際に突出部252と対向する位置に設けられている。そして、図18に示すように、ドラムカートリッジ10を装置本体1Aに装着した際には、下側部164の突き当て面164aが支持部材250の突出部252の先端面252aに突き当たるようにしている。
【0058】
このため、ドラムカートリッジ10の装着時に、導光体ユニット16の突き当て面164aがLED210を支持した支持部材250の突出部252の先端面252aに突き当たった後は、導光体ユニット16とLED210とが一体に移動する。また、この際、導光体ユニット16の長手方向一端部とLED210との間に所定の隙間(距離B)を有するように、先端面252aと突き当て面164aが当接する。このため、ドラムカートリッジ10の装着位置のばらつきや、導光体ユニット16の寸法ばらつきなどに関らず、導光体ユニット16の入射面161aとLED210との距離(隙間)のばらつきを低減できる。
【0059】
上述の第1の実施形態の場合、LED210が固定であったため、ドラムカートリッジ10の装着位置のばらつきなどを考慮して、入射面161aとLED210との距離Aを設定することが望まれる。これに対して本実施形態の場合、LED210が長手方向に移動可能であるため、ドラムカートリッジ10の装着位置が多少ずれてもLED210がこれに追従して移動する。このため、入射面161aとLED210との距離Bを、第1の実施形態の距離Aよりも小さくすることができる。
【0060】
このように本実施形態の場合には、導光体ユニット16の入射面161aとLED210との距離Bのばらつきを低減できると共に、距離Bを小さくできる。このため、LED210から導光体ユニット16への入光量を安定させると共に、入光量の損失を低減できる。この結果、導光体ユニット16から感光ドラム12の照射される除電光量のばらつきを低減でき、安定した除電効果を得ることができると共に、光除電装置の高効率化を図ることができる。
【0061】
このような本実施形態の場合も、図19に示すように、第1の実施形態と同様の封止部材240により、感光ドラム12が内部に配置されるドラム容器11とLED210との間を封止するようにしている。したがって、第1の実施形態と同様に、ドラムカートリッジ10の交換作業性を損なわずに、LED210の封止性を高めることができるともに、除電光量のばらつきの低減及び光除電装置の高効率化を図ることできる。
【0062】
なお、本実施形態で述べたLEDの浮動構成は一例であり、浮動構成に関するガイド形状や付勢手段等を限定するものではない。
【0063】
<他の実施形態>
上述の各実施形態の場合、光除電装置として、感光ドラムの回転方向に関して一次転写ローラの下流で、クリーニングブレードの上流の範囲の感光ドラムの表面に光を照射して、感光ドラム上の残留電荷を除去する構成について説明した。但し、本発明は、光除電装置が、感光ドラムから中間転写ベルトにトナー像を転写する前に、感光ドラムの表面に光を照射する構成であっても良い。この場合、導光体は、感光ドラムの回転方向に関して、現像器の下流で、一次転写ローラの上流に配置される。
【0064】
上述の各実施形態の場合、感光体ユニットがドラムカートリッジである場合について説明した。但し、感光体ユニットは、ドラムカートリッジと現像器とを一体として、装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジであっても良い。
【符号の説明】
【0065】
1・・・画像形成装置/1A・・・装置本体/10・・・ドラムカートリッジ(感光体ユニット)/11・・・ドラム容器(感光体容器)/12・・・感光ドラム(感光体)/16・・・導光体ユニット/161・・・導光体/161a・・・入射面/161b・・・貫通部(導光体ユニットの一部)/162・・・保護部材/200、200A・・・光除電装置/201、201A・・・光源ユニット/210・・・LED(光源)/220・・・光源保持部材/230・・・封止部材保持部材(保持部材)/231・・・通過部/232・・・保持板部/240・・・封止部材/241・・・貫通孔/242・・・スリット/250・・・支持部材/252・・・突出部(当接部)/260・・・光源保持部材/270・・・バネ(付勢手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19