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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20240603BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240603BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G15/16 103
G03G15/00 303
G03G21/00 376
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020031081
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021135374
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 暎
(72)【発明者】
【氏名】黒須 利幸
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-158615(JP,A)
【文献】特開2014-021382(JP,A)
【文献】特開2014-134718(JP,A)
【文献】特開2015-215594(JP,A)
【文献】特開平04-081875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、
前記ベルトを張架する複数の張架ローラであって、内ローラと、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流において前記内ローラに隣接して配置された上流ローラと、を含む複数の張架ローラと、
前記内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して、前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外部材と、
前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流かつ前記上流ローラよりも下流で前記ベルトの内周面に接触可能であり、前記ベルトを内周面側から外周面側に押圧可能な押圧部材と、
前記押圧部材の前記ベルトに対する押圧量を変更可能な押圧機構と、
前記押圧機構を制御する制御部と、
環境の水分量と相関する信号を出力する環境検知手段と、
を有し、
前記制御部は、前記環境検知手段の出力値に基づいて前記押圧量を変更するように前記押圧機構を制御可能であり、
前記制御部は、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が第1の水分量の場合に、前記押圧量を第1の押圧量とし、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が前記第1の水分量よりも大きい第2の水分量の場合に、前記押圧量を前記第1の押圧量よりも小さい第2の押圧量とするように、前記押圧機構を制御可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
トナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、
前記ベルトを張架する複数の張架ローラであって、内ローラと、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流において前記内ローラに隣接して配置された上流ローラと、を含む複数の張架ローラと、
前記内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して、前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外部材と、
前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流かつ前記上流ローラよりも下流で前記ベルトの内周面に接触可能であり、前記ベルトを内周面側から外周面側に押圧可能な押圧部材と、
前記押圧部材の前記ベルトに対する押圧量を変更可能な押圧機構と、
前記押圧機構を制御する制御部と、
環境の水分量と相関する信号を出力する環境検知手段と、
を有し、
前記制御部は、前記環境検知手段の出力値に基づいて前記押圧量を変更するように前記押圧機構を制御可能であり、
前記制御部は、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が所定の範囲よりも小さい場合に、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が前記所定の範囲内の場合よりも、前記押圧量を大きくするように、前記押圧機構を制御可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
トナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、
前記ベルトを張架する複数の張架ローラであって、内ローラと、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流において前記内ローラに隣接して配置された上流ローラと、を含む複数の張架ローラと、
前記内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して、前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外部材と、
前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流かつ前記上流ローラよりも下流で前記ベルトの内周面に接触可能であり、前記ベルトを内周面側から外周面側に押圧可能な押圧部材と、
前記押圧部材の前記ベルトに対する押圧量を変更可能な押圧機構と、
前記押圧機構を制御する制御部と、
環境の水分量と相関する信号を出力する環境検知手段と、
を有し、
前記制御部は、前記環境検知手段の出力値に基づいて前記押圧量を変更するように前記押圧機構を制御可能であり、
前記制御部は、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が所定の範囲よりも大きい場合に、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が前記所定の範囲内の場合よりも、前記押圧量を小さくするように、前記押圧機構を制御可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
トナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、
前記ベルトを張架する複数の張架ローラであって、内ローラと、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流において前記内ローラに隣接して配置された上流ローラと、を含む複数の張架ローラと、
前記内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して、前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外部材と、
前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流かつ前記上流ローラよりも下流で前記ベルトの内周面に接触可能であり、前記ベルトを内周面側から外周面側に押圧可能な押圧部材と、
前記押圧部材の前記ベルトに対する押圧量を変更可能な押圧機構と、
前記押圧機構を制御する制御部と、
環境の水分量と相関する信号を出力する環境検知手段と、
記録材に関する情報を入力する入力部と、
を有し、
前記制御部は、前記環境検知手段の出力値に基づいて前記押圧量を変更するように前記押圧機構を制御可能であり、
前記制御部は、前記入力部により入力された記録材に関する情報に基づいて、所定の記録材に前記転写を行う場合に、前記環境検知手段の出力値に基づいて前記押圧量を変更する制御を行い、
前記所定の記録材は、剛度が所定の剛度以上の記録材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
トナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、
前記ベルトを張架する複数の張架ローラであって、内ローラと、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流において前記内ローラに隣接して配置された上流ローラと、を含む複数の張架ローラと、
前記内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して、前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外部材と、
前記内ローラ又は前記外部材の少なくとも一方の位置を変更して、前記内ローラの周方向に関する前記内ローラと前記外部材との相対位置を変更する位置変更機構と、
前記位置変更機構を制御する制御部と、
環境の水分量と相関する信号を出力する環境検知手段と、
を有し、
前記制御部は、前記環境検知手段の出力値に基づいて前記相対位置を変更するように前記位置変更機構を制御可能であり、
前記制御部は、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が第1の水分量の場合に、前記相対位置を第1の相対位置とし、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が前記第1の水分量よりも大きい第2の水分量の場合に、前記相対位置を前記第1の相対位置よりも前記内ローラが前記外部材に対して前記ベルトの回転方向の上流側に位置する第2の相対位置とするように、前記位置変更機構を制御可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
トナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、
前記ベルトを張架する複数の張架ローラであって、内ローラと、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流において前記内ローラに隣接して配置された上流ローラと、を含む複数の張架ローラと、
前記内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して、前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外部材と、
前記内ローラ又は前記外部材の少なくとも一方の位置を変更して、前記内ローラの周方向に関する前記内ローラと前記外部材との相対位置を変更する位置変更機構と、
前記位置変更機構を制御する制御部と、
環境の水分量と相関する信号を出力する環境検知手段と、
を有し、
前記制御部は、前記環境検知手段の出力値に基づいて前記相対位置を変更するように前記位置変更機構を制御可能であり、
前記制御部は、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が所定の範囲よりも小さい場合に、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が前記所定の範囲内の場合の前記相対位置よりも、前記内ローラが前記外部材に対して前記ベルトの回転方向の下流側に位置する前記相対位置とするように、前記位置変更機構を制御可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
トナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、
前記ベルトを張架する複数の張架ローラであって、内ローラと、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流において前記内ローラに隣接して配置された上流ローラと、を含む複数の張架ローラと、
前記内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して、前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外部材と、
前記内ローラ又は前記外部材の少なくとも一方の位置を変更して、前記内ローラの周方向に関する前記内ローラと前記外部材との相対位置を変更する位置変更機構と、
前記位置変更機構を制御する制御部と、
環境の水分量と相関する信号を出力する環境検知手段と、
を有し、
前記制御部は、前記環境検知手段の出力値に基づいて前記相対位置を変更するように前記位置変更機構を制御可能であり、
前記制御部は、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が所定の範囲よりも大きい場合に、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が前記所定の範囲内の場合の前記相対位置よりも、前記内ローラが前記外部材に対して前記ベルトの回転方向の上流側に位置する前記相対位置とするように、前記位置変更機構を制御可能であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式などを用いた画像形成装置には、トナー像を担持する像担持体としての無端状のベルト(以下、単に「ベルト」ともいう。)を有するものがある。このようなベルトとしては、例えば、第1の像担持体としての感光体などから1次転写されたトナー像を紙などのシート状の記録材に2次転写するために搬送する、第2の像担持体としての中間転写ベルトがある。以下、主に、中間転写ベルトを有する中間転写方式を採用した画像形成装置を例に説明する。
【0003】
中間転写方式の画像形成装置では、画像形成部において感光体などに形成されたトナー像が、1次転写部において中間転写ベルトに1次転写される。また、中間転写ベルトに1次転写されたトナー像は、2次転写部で記録材に2次転写される。中間転写ベルトの内周面側に設けられた内部材(2次転写内部材)と、中間転写ベルトの外周面側に設けられた外部材(2次転写外部材)とによって、中間転写ベルトと外部材との接触部である、2次転写部としての2次転写ニップが形成される。内部材としては、中間転写ベルトを張架する複数の張架ローラのうちの1つである内ローラが用いられる。外部材としては、中間転写ベルトを挟んで内ローラと対向する位置に配置された外ローラが用いられることが多い。そして、例えば、外ローラにトナーの帯電極性とは逆極性の2次転写電圧が印加されることで、2次転写ニップにおいて中間転写ベルト上のトナー像が記録材上に2次転写される。
【0004】
近年、電子写真方式の画像形成装置の印刷市場への参入が進んでいる。それに伴い、従来は安定した転写を行うことがむずかしかった高剛度の厚紙を記録材として使用することが要求されている。
【0005】
一般的に、2次転写ニップにおける記録材の搬送速度よりも、記録材の搬送方向に関して2次転写ニップよりも上流に配置されたレジストローラによる記録材の搬送速度の方が若干早く設定される。これにより、ある程度までの剛度の記録材であれば、レジストローラと2次転写ニップとの間で記録材のループが形成され、中間転写ベルトの外周面(トナー像担持面)と記録材とを密着させることができる。ここで、中間転写ベルトの移動方向に関する中間転写ベルトの外周面と記録材とが接触する距離を密着距離とする。このとき、密着距離が外ローラの放電領域よりも短いと、中間転写ベルトの外周面と記録材との間に隙間がある状態で放電が起きてしまう。その結果、トナーが記録材上の本来の位置に転写されず、一部のトナーが本来の位置の周囲に飛び散った状態に転写される「飛び散り」と呼ばれる画像不良が発生してしまう。高剛度の厚紙などの剛度の高い記録材が用いられる場合、記録材のこしの強さにレジストローラによる搬送力が負けてしまうため、レジストローラと2次転写ニップとの間で記録材のループを形成しにくく、十分な密着距離をとることができないことがある。
【0006】
この課題に対して、中間転写ベルトの内周面(トナー像担持面とは反対側の面)側に、中間転写ベルトを内周面側から押圧して外ローラ側に張り出させる押圧部材を設けた構成が提案されている(特許文献1)。
【0007】
また、記録材の種類(剛度)によって上記密着距離が変わることから、記録材の種類に応じて押圧部材の押圧量を変える構成も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2002-82543号公報
【文献】特開2015-215594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されるように、押圧部材で中間転写ベルトを押圧する場合、押圧部材による中間転写ベルトの張り出し量が大きくなると、中間転写ベルトと記録材との当接圧が大きくなり、記録材と中間転写ベルトとが強く擦れるようになることがある。記録材と中間転写ベルトとが強く擦れると、中間転写ベルトに担持された未定着のトナー像が乱れ、そのトナー像が転写された後の記録材上に「画像擦れ」と呼ばれる画像不良が発生することがある。
【0010】
そこで、特許文献2に記載されるように、記録材の種類に応じて押圧部材の押圧量を変えることで、記録材の種類に応じた最適な密着距離と当接圧とを得ることが考えられる。しかしながら、密着距離を形成しにくい高剛度の厚紙などの剛度の高い記録材の方が、中間転写ベルトと記録材との当接圧が大きくなる傾向がある。そのため、記録材の種類に応じて押圧部材の押圧量を変化させても、「飛び散り」の抑制と「画像擦れ」の抑制とを両立することが困難であることがある。
【0011】
したがって、本発明の目的は、高剛度の厚紙などの剛度の高い記録材を用いる場合においても、「飛び散り」と「画像擦れ」とを抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明の一態様によると、トナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、前記ベルトを張架する複数の張架ローラであって、内ローラと、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流において前記内ローラに隣接して配置された上流ローラと、を含む複数の張架ローラと、前記内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して、前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外部材と、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流かつ前記上流ローラよりも下流で前記ベルトの内周面に接触可能であり、前記ベルトを内周面側から外周面側に押圧可能な押圧部材と、前記押圧部材の前記ベルトに対する押圧量を変更可能な押圧機構と、前記押圧機構を制御する制御部と、環境の水分量と相関する信号を出力する環境検知手段と、を有し、前記制御部は、前記環境検知手段の出力値に基づいて前記押圧量を変更するように前記押圧機構を制御可能であり、前記制御部は、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が第1の水分量の場合に、前記押圧量を第1の押圧量とし、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が前記第1の水分量よりも大きい第2の水分量の場合に、前記押圧量を前記第1の押圧量よりも小さい第2の押圧量とするように、前記押圧機構を制御可能であることを特徴とする画像形成装置が提供される
本発明の他の態様によると、トナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、前記ベルトを張架する複数の張架ローラであって、内ローラと、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流において前記内ローラに隣接して配置された上流ローラと、を含む複数の張架ローラと、前記内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して、前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外部材と、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流かつ前記上流ローラよりも下流で前記ベルトの内周面に接触可能であり、前記ベルトを内周面側から外周面側に押圧可能な押圧部材と、前記押圧部材の前記ベルトに対する押圧量を変更可能な押圧機構と、前記押圧機構を制御する制御部と、環境の水分量と相関する信号を出力する環境検知手段と、を有し、前記制御部は、前記環境検知手段の出力値に基づいて前記押圧量を変更するように前記押圧機構を制御可能であり、前記制御部は、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が所定の範囲よりも小さい場合に、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が前記所定の範囲内の場合よりも、前記押圧量を大きくするように、前記押圧機構を制御可能であることを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明の他の態様によると、トナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、前記ベルトを張架する複数の張架ローラであって、内ローラと、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流において前記内ローラに隣接して配置された上流ローラと、を含む複数の張架ローラと、前記内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して、前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外部材と、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流かつ前記上流ローラよりも下流で前記ベルトの内周面に接触可能であり、前記ベルトを内周面側から外周面側に押圧可能な押圧部材と、前記押圧部材の前記ベルトに対する押圧量を変更可能な押圧機構と、前記押圧機構を制御する制御部と、環境の水分量と相関する信号を出力する環境検知手段と、を有し、前記制御部は、前記環境検知手段の出力値に基づいて前記押圧量を変更するように前記押圧機構を制御可能であり、前記制御部は、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が所定の範囲よりも大きい場合に、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が前記所定の範囲内の場合よりも、前記押圧量を小さくするように、前記押圧機構を制御可能であることを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明の他の態様によると、トナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、前記ベルトを張架する複数の張架ローラであって、内ローラと、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流において前記内ローラに隣接して配置された上流ローラと、を含む複数の張架ローラと、前記内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して、前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外部材と、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流かつ前記上流ローラよりも下流で前記ベルトの内周面に接触可能であり、前記ベルトを内周面側から外周面側に押圧可能な押圧部材と、前記押圧部材の前記ベルトに対する押圧量を変更可能な押圧機構と、前記押圧機構を制御する制御部と、環境の水分量と相関する信号を出力する環境検知手段と、記録材に関する情報を入力する入力部と、を有し、前記制御部は、前記環境検知手段の出力値に基づいて前記押圧量を変更するように前記押圧機構を制御可能であり、前記制御部は、前記入力部により入力された記録材に関する情報に基づいて、所定の記録材に前記転写を行う場合に、前記環境検知手段の出力値に基づいて前記押圧量を変更する制御を行い、前記所定の記録材は、剛度が所定の剛度以上の記録材であることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0013】
本発明の他の態様によると、トナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、前記ベルトを張架する複数の張架ローラであって、内ローラと、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流において前記内ローラに隣接して配置された上流ローラと、を含む複数の張架ローラと、前記内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して、前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外部材と、前記内ローラ又は前記外部材の少なくとも一方の位置を変更して、前記内ローラの周方向に関する前記内ローラと前記外部材との相対位置を変更する位置変更機構と、前記位置変更機構を制御する制御部と、環境の水分量と相関する信号を出力する環境検知手段と、を有し、前記制御部は、前記環境検知手段の出力値に基づいて前記相対位置を変更するように前記位置変更機構を制御可能であり、前記制御部は、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が第1の水分量の場合に、前記相対位置を第1の相対位置とし、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が前記第1の水分量よりも大きい第2の水分量の場合に、前記相対位置を前記第1の相対位置よりも前記内ローラが前記外部材に対して前記ベルトの回転方向の上流側に位置する第2の相対位置とするように、前記位置変更機構を制御可能であることを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明の他の態様によると、トナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、前記ベルトを張架する複数の張架ローラであって、内ローラと、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流において前記内ローラに隣接して配置された上流ローラと、を含む複数の張架ローラと、前記内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して、前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外部材と、前記内ローラ又は前記外部材の少なくとも一方の位置を変更して、前記内ローラの周方向に関する前記内ローラと前記外部材との相対位置を変更する位置変更機構と、前記位置変更機構を制御する制御部と、環境の水分量と相関する信号を出力する環境検知手段と、を有し、前記制御部は、前記環境検知手段の出力値に基づいて前記相対位置を変更するように前記位置変更機構を制御可能であり、前記制御部は、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が所定の範囲よりも小さい場合に、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が前記所定の範囲内の場合の前記相対位置よりも、前記内ローラが前記外部材に対して前記ベルトの回転方向の下流側に位置する前記相対位置とするように、前記位置変更機構を制御可能であることを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明の他の態様によると、トナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、前記ベルトを張架する複数の張架ローラであって、内ローラと、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流において前記内ローラに隣接して配置された上流ローラと、を含む複数の張架ローラと、前記内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して、前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外部材と、前記内ローラ又は前記外部材の少なくとも一方の位置を変更して、前記内ローラの周方向に関する前記内ローラと前記外部材との相対位置を変更する位置変更機構と、前記位置変更機構を制御する制御部と、環境の水分量と相関する信号を出力する環境検知手段と、を有し、前記制御部は、前記環境検知手段の出力値に基づいて前記相対位置を変更するように前記位置変更機構を制御可能であり、前記制御部は、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が所定の範囲よりも大きい場合に、前記環境検知手段の出力値が示す環境の水分量が前記所定の範囲内の場合の前記相対位置よりも、前記内ローラが前記外部材に対して前記ベルトの回転方向の上流側に位置する前記相対位置とするように、前記位置変更機構を制御可能であることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高剛度の厚紙などの剛度の高い記録材を用いる場合においても、「飛び散り」と「画像擦れ」とを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】画像形成装置の概略断面図である。
図2】環境の絶対水分量の違いによる高剛度の厚紙に対して良好な画像を形成可能な押圧量、内ローラの位置の範囲の違いを説明するためのグラフ図である。
図3】押圧機構を示す概略側面図である。
図4】押圧機構の動作を説明するための概略側面図である。
図5】実施例1の画像形成装置の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。
図6】実施例1の制御のフローチャート図である。
図7】オフセット機構を示す概略側面図である。
図8】オフセット機構の動作を説明するための概略側面図である。
図9】実施例2の画像形成装置の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。
図10】実施例2の制御のフローチャート図である。
図11】オフセット量を説明するための概略断面図である。
図12】押圧量(侵入量)を説明するための概略断面図である。
図13】密着距離と当接圧を説明するための模式的な断面図である。
図14】内ローラの位置の変更による作用を説明するための模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0017】
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、中間転写方式を採用したタンデム型の複合機(複写機、プリンタ、ファクシミリ装置の機能を有する。)である。画像形成装置100は、例えば、外部装置から送信された画像信号に応じて、電子写真方式を用いて紙などのシート状の記録材(転写材、シート材、記録媒体、メディア)Pにフルカラー画像を形成することができる。
【0018】
画像形成装置100は、複数の画像形成部(ステーション)として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する4つの画像形成部10Y、10M、10C、10Kを有する。これらの画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、後述する中間転写ベルト7の略水平に配置される画像転写面の移動方向に沿って直列状に配置されている。各画像形成部10Y、10M、10C、10Kにおける同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して総括的に説明することがある。本実施例では、画像形成部10は、後述する感光ドラム1(1Y、1M、1C、1K)、帯電器2(2Y、2M、2C、2K)、露光装置3(3Y、3M、3C、3K)、現像器4(4Y、4M、4C、4K)、1次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)、クリーニング装置6(6Y、6M、6C、6K)などを有して構成される。
【0019】
トナー像を担持する第1の像担持体としての、回転可能なドラム型(円筒形)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム1は、駆動源としてのドラム駆動モータ111(図5)から駆動力が伝達されて、図中矢印R1方向(反時計回り)に回転駆動される。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段としての帯電器2によって所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電処理時に、帯電器2には、帯電電源(図示せず)により所定の帯電電圧が印加される。帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光手段(静電像形成手段)としての露光装置3によって画像信号に応じて走査露光され、感光ドラム1上に静電像(静電潜像)が形成される。本実施例では、露光装置3は、画像信号(画像情報)に応じて変調されたレーザ光を感光ドラム1上に照射するレーザスキャナー装置で構成されている。感光ドラム1上に形成された静電像は、現像手段としての現像器4によって現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像(現像剤像)が形成される。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する(反転現像)。現像器4は、現像剤を担持して感光ドラム1との対向部である現像位置に搬送する、回転可能な現像剤担持体である現像ローラを有している。現像ローラは、例えば感光ドラム1の駆動系から駆動力が伝達されることによって回転駆動される。また、現像時に、現像ローラには、現像電源(図示せず)により所定の現像電圧が印加される。
【0020】
4つの感光ドラム1Y、1M、1C、1Kと対向するように、トナー像を担持する第2の像担持体としての、無端状のベルトで構成された回転可能な中間転写体である中間転写ベルト7が配置されている。中間転写ベルト7は、複数の張架ローラ(支持ローラ)としての駆動ローラ22、上流補助ローラ23a、下流補助ローラ23b、テンションローラ25、2次転写前ローラ24、及び内ローラ21に掛け回されて、所定のテンション(張力)で張架されている。駆動ローラ22は、中間転写ベルト7に駆動力を伝達する。テンションローラ25は、中間転写ベルト7に所定のテンションを付与し、中間転写ベルト7のテンションを一定に制御する。2次転写前ローラ24は、中間転写ベルト7の回転方向(移動方向、走行方向)に関して2次転写ニップN2(後述)の上流近傍の中間転写ベルト7の面を形成する。内ローラ(2次転写対向ローラ、内部材)21は、外ローラ9(後述)の対向部材(対向電極)として機能する。上流補助ローラ23a、下流補助ローラ23bは、略水平に配置される画像転写面を形成する。駆動源としてのベルト駆動モータ112(図5)から駆動力が伝達されることによって、駆動ローラ22が回転駆動されることで、図中矢印R2方向(時計回り)に回転(周回移動)する。本実施例では、中間転写ベルト7は、周速度が150~470mm/secとなるように回転駆動される。複数の張架ローラのうち駆動ローラ22以外の張架ローラは、中間転写ベルト7の回転に伴って従動して回転する。中間転写ベルト7の内周面側には、各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに対応して、1次転写手段としてのローラ状の1次転写部材である1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kが配置されている。1次転写ローラ5は、中間転写ベルト7を感光ドラム1に向けて押圧して、感光ドラム1と中間転写ベルト7との接触部である1次転写部としての1次転写ニップN1を形成する。また、中間転写ベルト7の内周面側において、中間転写ベルト7の回転方向に関して内ローラ21よりも上流かつ2次転写前ローラ24よりも下流には、押圧部材26が設けられている。押圧部材26は、中間転写ベルト7の内周面に接触して、中間転写ベルト7を内周面側から外周面側へ押圧することができる。これにより、押圧部材26は、内ローラ21と2次転写前ローラ24との間に形成される中間転写ベルト7の張り面T(図3)を、中間転写ベルト7の内周面側から外周面側へ張り出させることができる。押圧部材26、及びこの押圧部材26の位置を変更する押圧機構16については後述して更に説明する。
【0021】
上述のように感光ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写ニップN1において、1次転写ローラ5の作用によって、回転している中間転写ベルト7上に1次転写される。1次転写時に、1次転写ローラ5には、1次転写電源(図示せず)により、トナーの正規の帯電極性(現像時のトナーの帯電極性)とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である1次転写電圧が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム1上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、中間転写ベルト7上の同一画像形成領域に重ね合わされるようにして順次1次転写される。本実施例では、1次転写ニップN1が、中間転写ベルト7にトナー像を形成する画像形成位置である。そして、中間転写ベルト7は、画像形成位置で担持されたトナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトの一例である。
【0022】
中間転写ベルト7の外周面側において、内ローラ21と対向する位置には、2次転写手段としてのローラ状の2次転写部材(転写回転体)である外ローラ(2次転写ローラ、外部材)9が配置されている。外ローラ9は、中間転写ベルト7を介して内ローラ21に向けて押圧され、中間転写ベルト7と外ローラ9との接触部である2次転写部としての2次転写ニップN2を形成する。上述のように中間転写ベルト7上に形成されたトナー像は、2次転写ニップN2において、外ローラ9の作用によって、中間転写ベルト7と外ローラ9とに挟持されて搬送されている記録材P上に2次転写される。本実施例では、2次転写時に、外ローラ9には、2次転写電源(高圧印加手段)18により、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の定電圧制御された直流電圧である2次転写電圧が印加される。本実施例では、例えば、+1~+7KVの2次転写電圧が印加され、+40~+120μAの2次転写電流が流されることで、中間転写ベルト7上のトナー像が記録材P上に2次転写される。本実施例では、内ローラ21は、電気的に接地(グランドに接続)されている。なお、内ローラ21を2次転写部材として用いてこれにトナーの正規の帯電極性と同極性の2次転写電圧を印加し、外ローラ9を対向電極として用いてこれを電気的に接地してもよい。
【0023】
記録材Pは、中間転写ベルト7上のトナー像とタイミングが合わされて2次転写ニップN2へと搬送されてくる。つまり、記録材収納部としての記録材カセット11に格納された記録材Pは、給送手段としての給送部材である給送ローラなどによって、搬送手段としての搬送部材であるレジストローラ(レジストローラ対)8まで搬送され、一旦停止させられる。そして、この記録材Pは、2次転写ニップN2において中間転写ベルト7上のトナー像と記録材P上の所望の画像形成領域とが一致するようにレジストローラ8が回転駆動されることで、2次転写ニップN2に送り込まれる。
【0024】
記録材Pの搬送方向に関して、レジストローラ8よりも下流かつ2次転写ニップN2よりも上流には、2次転写ニップN2に記録材Pを案内する搬送ガイド14が設けられている。搬送ガイド14は、記録材Pのオモテ面(搬送ガイド14を通過した直後にトナー像が転写される面)に接触可能な第1のガイド部材14aと、記録材Pのウラ面(オモテ面とは反対側の面)に接触可能な第2のガイド部材14bと、を有して構成される。第1のガイド部材14aと第2のガイド部材14bとは対向して配置され、これら両部材の間を記録材Pが通過する。第1のガイド部材14aは、記録材Pの中間転写ベルト7に近づく方向への移動を規制する。第2のガイド部材14bは、記録材Pの中間転写ベルト7から遠ざかる方向への移動を規制する。
【0025】
トナー像が転写された記録材Pは、定着前搬送装置41により、定着手段としての定着装置40へと搬送される。定着前搬送装置41は、記録材Pの搬送方向と略直交する方向に関する中央部に、同方向の幅が100~110mm、厚みが1~3mmの、EPDMなどのゴム材料で形成されたベルト体を回動可能に有している。定着前搬送装置41は、このベルト体上に記録材Pを載せて搬送する。このベルト体には、直径3~7mmの穴があいており、内周面側から空気を吸引することで記録材Pの担持力が高められ、記録材Pの搬送性が安定させられている。定着装置40は、未定着のトナー像を担持した記録材Pを加熱及び加圧することによって、トナー像を記録材Pの表面に定着(溶融、固着)させる。その後、トナー像が定着された記録材Pは、排出手段としての排出部材である排出ローラなどによって、画像形成装置100の装置本体110の外部(機外)に設けられた排出トレイ15へと排出(出力)される。
【0026】
一方、1次転写後に感光ドラム1上に残留したトナー(1次転写残トナー)は、クリーニング手段としてのクリーニング装置6によって感光ドラム1上から除去されて回収される。また、2次転写後に中間転写ベルト7上に残留したトナー(2次転写残トナー)や記録材Pから付着した紙粉などの付着物は、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置12によって中間転写ベルト7上から除去されて回収される。本実施例では、ベルトクリーニング装置12は、中間転写ベルト7上の2次転写残トナーなどの付着物を静電的に回収してクリーニングする。
【0027】
なお、本実施例では、複数の張架ローラに張架された中間転写ベルト7、各1次転写ローラ5、ベルトクリーニング装置12、これらを支持するフレームなどを有して、ベルト搬送装置としての中間転写ベルトユニット20が構成されている。中間転写ベルトユニット20は、メンテナンス又は交換のために装置本体110に対して着脱可能とされている。
【0028】
ここで、中間転写ベルト7としては、単層又は多層構造の樹脂系材料で構成されたもの、弾性材料で構成された弾性層を備えた多層構造のものなどを使用することができる。また、中間転写ベルト7としては、例えば、厚さが40μm以上、ヤング率が1.0GPa以上、表面抵抗率が1.0×10~5.0×1013Ω/□であるものを好ましく用いることができる。
【0029】
また、本実施例では、1次転写ローラ5は、金属製の芯金(芯材)の外周に、イオン導電系発泡ゴムで形成された弾性層が設けられて構成されている。また、本実施例では、1次転写ローラ5は、外径が15~20mmであり、電気抵抗値が23℃、50%RH環境で2kVの電圧を印加して測定した場合に1×10~1×10Ωである。
【0030】
また、本実施例では、外ローラ9は、金属製の芯金(芯材)の外周に、イオン導電系発泡ゴムの弾性層が設けられて構成されている。また、本実施例では、外ローラ9は、外径が例えば20~25mmであり、電気抵抗値が23℃、50%RH環境で2kVの電圧を印加して測定した場合に1×10~1×10Ωである。また、本実施例では、外ローラ9は、その回転軸線方向の両端部が軸受9a(図3)によって回転可能に支持されている。軸受9aは、内ローラ21に向かう方向及びその反対方向にスライド移動可能とされており、付勢手段としての付勢部材(弾性部材)である圧縮ばねで構成された押圧ばね9b(図3)によって内ローラ21に向かって押圧される。これにより、外ローラ9は、中間転写ベルト7を挟んで内ローラ21に対して所定の圧力で当接し、2次転写ニップN2を形成する。
【0031】
また、本実施例では、内ローラ21は、金属製の芯金(芯材)外周に、電子導電性のゴムの弾性層が設けられて構成されている。また、本実施例では、内ローラ21は、外径が例えば10~22mm(一例として16mm)であり、電気抵抗値が23℃、50%RH環境で50Vの電圧を印加して測定した場合に1×10~1×10Ωである。なお、2次転写前ローラ24は、例えば、内ローラ21と同様の構成とすることができる。
【0032】
また、本実施例では、内ローラ21を含む中間転写ベルト7の張架ローラ、外ローラ9のそれぞれの回転軸線方向は互いに略平行である。
【0033】
また、本実施例では、画像形成装置100の装置本体110の内部には、装置本体110の内部の環境を検知するための環境センサ(温湿度センサ)13が設けられている。本実施例では、環境センサ13は、装置本体110の内部の雰囲気、特に、2次転写ニップN2の近傍を含む作像部の雰囲気の絶対水分量(絶対湿度)を測定することができるように構成されている。この環境センサ13は、画像形成装置100の環境(印刷環境)に関する情報として、少なくとも画像形成装置100の内部又は外部の雰囲気の水分量に関する情報を取得するのに用いることができる、環境検知手段の一例である。なお、本実施例では、環境センサ13は、雰囲気の温度及び湿度を検知し、検知した温度及び湿度に基づいて雰囲気の絶対水分量を求め、求めた絶対水分量に関する情報(信号)を制御部200(図5)に入力する。別法として、環境センサ13が雰囲気の温度及び湿度を検知して、その検知結果に関する情報(信号)を制御部200に入力し、制御部200がその温度及び湿度に関する情報に基づいて雰囲気の絶対水分量を求めるようにしてもよい。
【0034】
2.「飛び散り」、「画像擦れ」
図13は、記録材Pと中間転写ベルト7との密着距離と、記録材Pの中間転写ベルト7に対する当接圧と、を説明するための模式的な断面図(内ローラ21の回転軸線方向と略直交する断面)である。
【0035】
本実施例では、2次転写ニップN2における記録材Pの搬送速度よりも、記録材Pの搬送方向に関して2次転写ニップN2よりも上流に配置されたレジストローラ8による記録材Pの搬送速度の方が若干早く設定されている。これにより、レジストローラ8と2次転写ニップN2との間で記録材Pのループが形成され、中間転写ベルト7の外周面(トナー像担持面)と記録材Pとを密着させやすくなっている。
【0036】
図13に示すように、2次転写ニップN2の入口近傍(中間転写ベルト7の回転方向に関して内ローラ21の上流近傍)における、中間転写ベルト7の移動方向に関する中間転写ベルト7の外周面と記録材Pとが接触する距離を密着距離とする。より詳細には、この密着距離は、中間転写ベルト7の移動方向に関する、内ローラ21と中間転写ベルト7との接触開始位置と、記録材Pと中間転写ベルト7との接触開始位置と、の間の距離である。このとき、前述のように、密着距離が外ローラ9の放電領域よりも短いと、中間転写ベルト7の外周面と記録材Pとの間に隙間がある状態で放電が起きてしまう。その結果、トナーが記録材P上の本来の位置に転写せず、一部のトナーが本来の位置の周囲に飛び散った状態に転写される「飛び散り」と呼ばれる画像不良が発生してしまう。高剛度の厚紙などの剛度の高い記録材Pが用いられる場合、記録材Pのこしの強さにレジストローラ8による搬送力が負けてしまうことがある。そのため、レジストローラ8と2次転写ニップN2との間で記録材Pのループを形成しにくく、十分な密着距離をとることができないことがある。
【0037】
この課題に対して、図13に示すように、2次転写ニップN2の上流側近傍の中間転写ベルト7の内周面(トナー像担持面とは反対側の面)側に、中間転写ベルト7を内周面側から押圧して外ローラ9側に張り出させる押圧部材26を設けることが有効である。
【0038】
しかしながら、押圧部材26で中間転写ベルト7を押圧する場合、押圧部材26による中間転写ベルト7の張り出し量が大きくなると、中間転写ベルト7と記録材Pとの当接圧が大きくなり、記録材Pと中間転写ベルト7とが強く擦れるようになることがある。前述のように、記録材Pと中間転写ベルト7とが強く擦れると、中間転写ベルト7に担持された未定着のトナー像が乱れ、そのトナー像が転写された後の記録材P上に「画像擦れ」と呼ばれる画像不良が発生することがある。
【0039】
ここで、記録材Pの種類(剛度)によって上記密着距離が変わることから、記録材Pの種類に応じて押圧部材26の押圧量を変えて、記録材Pの種類に応じた最適な密着距離と当接圧とを得ることが考えられる。しかしながら、密着距離を形成しにくい高剛度の厚紙などの剛度の高い記録材の方が、中間転写ベルト7と記録材Pとの当接圧が大きくなる傾向がある。そのため、記録材Pの種類に応じて押圧部材26の押圧量を変化させても、「飛び散り」の抑制と「画像擦れ」の抑制とを両立することが困難であることがある。
【0040】
高剛度の厚紙などの剛度の高い記録材Pを用いる場合に、「飛び散り」の抑制と「画像擦れ」の抑制とを両立させることが困難な理由は、次のように考えられる。つまり、「飛び散り」と「画像擦れ」とのそれぞれに対して不利となる環境変動要因が異なる点が大きく影響している。「飛び散り」は、2次転写ニップN2での放電現象により起きるため、絶対湿度の低い低湿環境において不利となる。これに対し、「画像擦れ」は、中間転写ベルト7と記録材Pとの摺擦によって起きるため、トナーが帯電しにくく、中間転写ベルト7への静電的な付着力が小さい、絶対湿度の高い高湿環境において不利となる。
【0041】
そこで、本実施例では、制御部200(図5)は、環境センサ13の出力値(絶対水分量の検知結果)に基づいて、押圧機構16(図3)を制御して押圧部材26の中間転写ベルト7に対する押圧量を変更(調整)する。概略、低湿環境においては、押圧部材26の押圧量を増やし、中間転写ベルト7と記録材Pとの密着距離を大きくする。これにより、「飛び散り」の発生を抑制することが可能となる。また、概略、高湿環境においては、押圧部材26の押圧量を減らし、2次転写ニップN2の上流における中間転写ベルト7と記録材Pとの当接圧を小さくする。これにより、「画像擦れ」の発生を抑制することが可能となる。以下、更に詳しく説明する。
【0042】
3.押圧量、オフセット量
ここで、押圧部材26の中間転写ベルト7に対する押圧量について更に説明する。押圧部材26の中間転写ベルト7に対する押圧量は、次のような押圧部材26の中間転写ベルト7に対する侵入量で表すことができる。この侵入量は、概略、押圧部材26が、内ローラ21又は外ローラ9と、2次転写前ローラ24と、で張架されて形成される中間転写ベルト7の張り面(張架面)Tに対して、中間転写ベルト7を外側に張り出させる量である。2次転写前ローラ24は、複数の張架ローラのうち内ローラ21よりも中間転写ベルト7の回転方向に関して上流で内ローラ21に隣接して配置された上流ローラの一例である。この侵入量の定義は、より詳細には、内ローラ21の周方向における内ローラ21と外ローラ9との相対位置を示すオフセット量によって変わる。
【0043】
まず、オフセット量について説明する。図11は、内ローラ21と外ローラ9との相対位置を示すオフセット量Xの定義を説明するための2次転写ニップN2の近傍の模式的な断面図(内ローラ21の回転軸線方向と略直交する断面)である。図11に示す断面において、中間転写ベルト7が掛け回される側の内ローラ21と2次転写前ローラ24との共通の接線を基準線L1とする。基準線L1は、押圧部材26によって中間転写ベルト7が外周面側に張り出されていない場合の中間転写ベルト7の張り面Tに対応する。また、同断面において、内ローラ21の回転中心を通り基準線L1と略直交する直線を内ローラ中心線L2とする。また、同断面において、外ローラ9の回転中心を通り基準線L1と略直交する直線を外ローラ中心線L3とする。このとき、内ローラ中心線L2と外ローラ中心線L3との間の距離(垂直距離)をオフセット量X(ただし、外ローラ中心線L3が内ローラ中心線L2よりも中間転写ベルト7の回転方向の上流側にあるとき正の値)と定義する。オフセット量Xは、負の値、0、正の値をとることができる。オフセット量Xを大きくすることで、中間転写ベルト7の回転方向に関する2次転写ニップN2の幅が中間転写ベルト7の回転方向の上流側に広がる。つまり、内ローラ21と中間転写ベルト7との接触領域の中間転写ベルト7の回転方向の上流側の端部よりも、外ローラ9と中間転写ベルト7との接触領域の中間転写ベルト7の回転方向の上流側の端部の方がより上流側に位置するようになる。このように、内ローラ21又は外ローラ9の少なくとも一方の位置を変更し、内ローラ21の周方向に関して、内ローラ21と外ローラ9との相対位置を変更させて、2次転写ニップ(転写部)N2の位置を変更することができる。
【0044】
次に、侵入量について説明する。図12(a)、(b)は、中間転写ベルト7に対する押圧部材26の侵入量Yの定義を説明するための2次転写ニップN2の近傍の模式的な断面図(内ローラ21の回転軸線方向と略直交する断面)である。なお、侵入量Yの定義は、オフセット量Xが正の場合と、0又は負の場合と、で異なる。一般に、押圧部材26によって押圧されない状態での中間転写ベルト7の張り面Tが内ローラ21と2次転写前ローラ24とで形成されるか、又は外ローラ9と2次転写前ローラ24とで形成されるかがオフセット量Xによって変わるからである。図12(a)はオフセット量Xが0又は負の値(特に負の値)である場合を示し、図12(b)はオフセット量Xが正の値である場合を示している。
【0045】
まず、オフセット量Xが0又は負の値である場合について説明する。図12(a)に示す断面において、中間転写ベルト7が掛け回される側の内ローラ21と2次転写前ローラ24との共通の接線を基準線L1とする。また、同断面において、基準線L1と略平行な、押圧部材26が中間転写ベルト7と接触する領域において中間転写ベルト7の外周面に接触する中間転写ベルト7の接線を押圧部接線L4とする。このとき、オフセット量Xが0又は負の値の場合、基準線L1と押圧部接線L4との間の距離(垂直距離)を、中間転写ベルト7に対する押圧部材26の侵入量Y(ただし、押圧部接線L4が基準線L1よりも中間転写ベルト7の外周面側にあるとき正の値)と定義する。この侵入量Yは、0、正の値をとることができる。
【0046】
次に、オフセット量Xが正の値である場合について説明する。図12(b)に示す断面において、中間転写ベルト7が掛け回される側の外ローラ9と2次転写前ローラ24との共通の接線を基準線L1’とする。また、同断面において、基準線L1’と略平行な、押圧部材26が中間転写ベルト7と接触する領域において中間転写ベルト7の外周面に接触する中間転写ベルト7の接線を押圧部接線L4’とする。このとき、オフセット量Xが正の値の場合、基準線L1’と押圧部接線L4’との間の距離(垂直距離)を、中間転写ベルト7に対する押圧部材26の侵入量Y(ただし、押圧部接線L4’が基準線L1’よりも中間転写ベルト7の外周面側にあるとき正の値)と定義する。この侵入量Yは、0、正の値をとることができる。
【0047】
ここでは、上述のような侵入量Yのことを、単に押圧部材26の押圧量ともいう。
【0048】
4.押圧量の変更
図2は、本実施例の構成における、環境の絶対水分量ごとの、高剛度の厚紙(ガーレー剛度64mN以上)に良好な画像を形成可能な押圧部材26の押圧量、内ローラ21の位置の範囲(ここでは単に「OK範囲」ともいう。)を示すグラフ図である。上記高剛度の厚紙(ガーレー剛度64mN以上)は、剛度の高い記録材Pの一例である。図2において、縦軸は押圧部材26の押圧量(侵入量Y)、横軸は内ローラ21の位置を示す。なお、内ローラ21の位置は、+方向が基準の位置に対して中間転写ベルト7の移動方向下流側、-方向が中間転ベルト7の移動方向上流側に位置することを表す。内ローラ21の基準の位置は、例えば、上述のオフセット量Xを所定のオフセット量Xとするための位置として予め設定される。その所定のオフセット量Xが0mmの場合には、上記内ローラ21の位置の値はオフセット量Xの値と一致する。
【0049】
図2において、OK範囲の上限を超えると、「画像擦れ」の画像不良が発生し、OK範囲の下限を下回ると、「飛び散り」の画像不良が発生する。絶対水分量3g/m以下の低湿環境下でのOK範囲と、絶対水分量13g/m以上の高湿環境下でのOK範囲とは、上下にシフトしている。押圧部材26の押圧量及び内ローラ21の位置はともに部品公差を持っている。そのため、その公差を考慮して押圧部材26の押圧量及び内ローラ21の位置をOK範囲に設定するためには、各環境下での中心を狙うことが望まれる。
【0050】
内ローラ21の位置を基準の位置に固定して、押圧部材26の押圧量を変更する場合について考える。定常環境(絶対水分量が3g/mより大きく、13g/mよりも小さい範囲の環境)下では、押圧量1.9mmとすることで、OK範囲の中心に設定することができる。これに対して、絶対水分量3g/m以下の低湿環境下では、押圧量2.1mmとすることで、OK範囲の中心に設定することが可能となる。また、絶対水分量13g/m以上の高湿環境下では、押圧量1.7mmとすることで、OK範囲の中心に設定することが可能となる。
【0051】
また、押圧部材26の押圧量を1.9mmに固定して、内ローラ21の位置を変更する場合について考える。定常環境(絶対水分量が3g/mより大きく、13g/mよりも小さい範囲の環境)下では、内ローラ21の位置は基準の位置とするものとする。絶対水分量3g/m以下の低湿環境下では、内ローラ21の位置を基準の位置に対して中間転写ベルト7の移動方向下流側に0.3mm移動させることで、OK範囲の中心に設定することが可能となる。また、絶対水分量13g/m以上の高湿環境下では、内ローラ21の位置を基準の位置に対して中間転写ベルト7の移動方向上流側に0.3mm移動させることで、OK範囲の中心に設定することが可能となる。
【0052】
なお、本実施例の構成では、ガーレー剛度が64mNよりも小さい記録材Pに関しては、図2のOK範囲をより広くとることができるため、押圧部材26の押圧量や、内ローラ21の位置を移動させる必要がない。つまり、この場合は、環境センサ13の出力値(絶対水分量の検知結果)に基づいて押圧部材26の押圧量や内ローラ21の位置を変更しなくても、「飛び散り」の抑制と「画像擦れ」の抑制とを両立することができる。
【0053】
また、上述のように、押圧部材26の押圧量と内ローラ21の位置とは、そのいずれを変更しても、「飛び散り」の抑制と「画像擦れ」の抑制との両立を図ることが可能である。ただし、内ローラ21の位置精度は2次転写ニップN2における記録材Pの搬送性にも影響するため、押圧部材26の押圧量を変更する方が望ましい。
【0054】
本実施例では、記録材Pとして高剛度の厚紙(ガーレー剛度64mN以上)を用い、内ローラ21の位置を基準の位置(一例として、オフセット量Xが-1.3mmとなる位置)に固定して、押圧部材26の押圧量を変更する場合について説明する。
【0055】
5.押圧部材、押圧機構
次に、本実施例における押圧部材26、及びこの押圧部材26の位置を変更する押圧機構16について説明する。図3は、本実施例における2次転写ニップN2の近傍を内ローラ21の回転軸線方向の一端部側(図1の紙面手前側)から該回転軸線方向と略平行に見た要部の概略側面図である。図3には、内ローラ21の回転軸線方向の一端部の構成を示しているが、他端部の構成も同様(内ローラ21の回転軸線方向の中央に対して略対称)である。
【0056】
本実施例では、画像形成装置100は、シート状の押圧部材(バックアップシート)26を有する。押圧部材26は、2次転写ニップN2の入口近傍において、中間転写ベルト7の内周面を押圧して中間転写ベルト7を外周面側に張り出させることができる。押圧部材26は、中間転写ベルト7の回転方向に関して、内ローラ21よりも上流、かつ、2次転写前ローラ24よりも下流で中間転写ベルト7の内周面に接触可能なように配置されている。特に、本実施例では、押圧部材26は、記録材Pの搬送方向に関して、内ローラ21よりも上流、かつ、搬送ガイド14(第1のガイド部材14a)の下流側の先端よりも下流の位置に対応する中間転写ベルト7の内周面に接触可能なように配置されている。
【0057】
押圧部材26は、樹脂材料を用いて形成することができる。押圧部材26を形成する樹脂材料としては、例えば、PET樹脂などのポリエステル樹脂などを好適に用いることができる。本実施例では、押圧部材26は、中間転写ベルト7の幅方向(表面の移動方向と略直交する方向)と略平行に配置される長手方向と、該長手方向と略直交する短手方向と、にそれぞれ所定の長さを有し、所定の厚さを有する板状の部材で構成されている。押圧部材26の長手方向の長さは、中間転写ベルト7の幅方向の長さと同等である。そして、押圧部材26は、その短手方向の一端部(中間転写ベルト7の回転方向の下流側の端部)である自由端部が、中間転写ベルト7の略全幅にわたり、中間転写ベルト7の内周面に接触可能であり、中間転写ベルト7を押圧可能である。また、一例として、押圧部材26の厚さは0.4mm~0.6mm程度である。
【0058】
なお、例えば、押圧部材26としてPET樹脂シートを用いる場合、電気抵抗が低すぎるPET樹脂シートを用いると、外ローラ9への2次転写電圧の印加に伴い押圧部材26に電流が流れて、転写不良を生じさせる可能性がある。反対に電気抵抗が高すぎるPET樹脂シートを用いると、押圧部材26と中間転写ベルト7との摩擦によって静電気(摩擦帯電)が生じ、押圧部材26に中間転写ベルト7が吸着して、中間転写ベルト7の回転を妨げる可能性がある。そのため、押圧部材26としては、中抵抗の電気抵抗(例えば、体積抵抗率が1×10~1×10Ω・cm)に調整されたPET樹脂シートを用いることが好ましい。
【0059】
そして、本実施例では、画像形成装置100は、押圧部材26の位置を変更して、押圧部材26の中間転写ベルト7に対する押圧量を変更する押圧機構16を有する。押圧部材26は、支持部材としての押圧部材ホルダ28によって支持されている。押圧部材26は、その短手方向の一端部(中間転写ベルト7の回転方向の上流側の端部)である固定端部が長手方向の略全幅にわたって押圧部材ホルダ28に固定されている。押圧部材ホルダ28は、押圧部材回動軸28aを中心に回動可能なように、中間転写ベルトユニット20のフレームなどに支持されている。このように、押圧部材ホルダ28を押圧部材回動軸28aの周りに回動させ、押圧部材26を押圧部材回動軸28aの周りに回動させることで、押圧部材26の位置を変更することができる。これにより、押圧部材26の中間転写ベルト7に対する押圧量を変更することができる。押圧部材ホルダ28は、作動部材としての押圧カム27の作用により回動するように構成されている。押圧カム27は、押圧カム回動軸27aを中心に回動可能なように、中間転写ベルトユニット20のフレームなどに支持されている。押圧カム27は、駆動源としての押圧カム駆動モータ211からの駆動を受けて押圧カム回動軸27を中心に回動する。また、押圧カム27は、押圧部材ホルダ28に設けられたカムフォロワ28bと接触している。押圧部材ホルダ28は、カムフォロワ28bが押圧カム27と係合する方向に回動するように、中間転写ベルト7のテンションによって常に付勢されるように構成されていてよい。あるいは、カムフォロワ28bが押圧カム27と係合する方向に回動するように、付勢手段としての付勢部材(弾性部材)である引張りばねなどで構成された回動ばねによって押圧部材ホルダ28が付勢される構成とされていてもよい。また、本実施例では、画像形成装置100には、押圧カム27の回動方向の位置、特に、本実施例では回動方向におけるホームポジション(HP)を検知するための位置検知手段として、押圧カム位置センサ(カムHPセンサ)212が設けられている。押圧カム位置センサ212は、例えば、押圧カム27又は押圧カム27と同軸上に設けられた指示部としてのフラグ、検知部としてのフォトインタラプタなどを有して構成することができる。このように、本実施例では、押圧部材ホルダ28、押圧カム27、押圧カム駆動モータ211、押圧カム位置センサ212などを有して押圧機構16が構成されている。
【0060】
押圧カム27が押圧カム駆動モータ211によって駆動されて時計回りに回動することによって、押圧部材回動軸28aを中心に反時計回りに押圧部材ホルダ28が回動する。これにより、押圧部材26の押圧量を大きくすることができる。また、押圧カム27が押圧カム駆動モータ211により駆動され反時計回りに回動することによって、押圧部材回動軸28aを中心に時計回りに押圧部材ホルダ28が回動する。これにより、押圧部材26の押圧量を小さくすることができる。
【0061】
ここで、これに限定されるものではないが、「飛び散り」、「画像擦れ」の抑制の観点などから、押圧部材26の中間転写ベルト7に対する押圧量(侵入量Y)の初期設定値(所定の押圧力)は、1.0~3.0mm程度が好適である。また、押圧部材26は、内ローラ21にできる限り近接させることが望ましいが、内ローラ21と接触しないように配置することが望まれる。押圧部材26は、内ローラ21と中間転写ベルト7とが接触する位置から中間転写ベルト7の回転方向の上流側へ例えば2mm程度以上離した位置で、中間転写ベルト7の内周面と押圧部材26の先端とが接触するように配置することができる。また、押圧部材26は、内ローラ21と中間転写ベルト7とが接触する位置から中間転写ベルト7の回転方向の上流側へ40mm以下程度離した位置で、中間転写ベルト7の内周面と押圧部材26の先端とが接触するように配置されるのが好適である。典型的には、押圧部材26は、内ローラ21と中間転写ベルト7とが接触する領域から中間転写ベルト7の回転方向の上流側へ25mm以内の中間転写ベルト7の内周面に接触可能なように配置される。
【0062】
図4は、各環境下での押圧部材26の位置及び押圧機構16の動作を説明するための、図3と同様の方向から見た押圧部材26の近傍の拡大側面図である。なお、図4は、記録材Pとして高剛度の厚紙(ガーレー剛度64mN以上)を用いる場合の押圧部材26の位置を示している。
【0063】
図4(a)は、定常環境(絶対水分量が3g/mより大きく、13g/mよりも小さい範囲の環境)下での押圧部材26の近傍を示す。本実施例では、前述のように、定常環境下における押圧部材26の押圧量は1.9mmに設定されている。
【0064】
図4(b)は、絶対水分量3g/m以下の低湿環境下での押圧部材26の近傍を示す。低湿環境下では、「飛び散り」を抑制するために、押圧部材26の押圧量を定常環境よりも増やす必要がある。図4(b)に示すように、図4(a)の状態から押圧カム27を時計周りに回転させることで、押圧部材26の押圧量を増やすことができる。本実施例では、前述のように、低湿環境下における押圧部材26の押圧量は2.1mmに設定されている。これにより、低湿環境下での「飛び散り」を抑制することが可能となる。
【0065】
また、図4(c)は、絶対水分量13g/m以上の高湿環境下での押圧部材26の近傍を示す。高湿環境下では、「画像擦れ」を抑制するために、押圧部材26の押圧量を定常環境よりも減らす必要がある。図4(c)に示すように、図4(a)の状態から押圧カム27を反時計回りに回転させることで、押圧部材26の押圧量を減らすことができる。本実施例では、前述のように、高湿環境下における押圧部材26の押圧量は1.7mmに設定されている。これにより、高湿環境下での「画像擦れ」を抑制することが可能となる。
【0066】
6.制御態様
図5は、本実施例の画像形成装置100の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。制御手段としての制御部200は、演算処理を行う中心的素子である演算制御手段としてのCPU、記憶手段としてのROM、RAMなどのメモリ(記憶媒体)、インターフェース部(入出力回路)などを有して構成される。書き換え可能なメモリであるRAMには、制御部200に入力された情報、検知された情報、演算結果などが格納され、ROMには制御プログラム、予め求められたデータテーブルなどが格納されている。CPUとメモリとは互いにデータの転送や読込みが可能となっている。インターフェース部は、制御部200とこれに接続された機器との間の信号の入出力(通信)を制御する。
【0067】
制御部200には、画像形成装置100の各部(画像形成部10、中間転写ベルト7及び記録材Pの搬送に関する部材の駆動装置、各種電源など)が接続されている。本実施例との関係では、制御部200は、機能ブロックとして、演算部201、駆動制御部210、記憶部220を有する。演算部201、駆動制御部210は、上記CPUが所定のプログラムに従って動作することで実現される。記憶部220は上記メモリによって実現される。駆動制御部210には、例えば、ドラム駆動モータ111、ベルト駆動モータ112、押圧カム駆動モータ211などの、画像形成装置100の各部の駆動手段が接続されている。駆動制御部210は、演算部201からの指令によって各部を動作させる。記憶部220には、環境センサ13から取得した絶対水分量情報221、押圧カム27のホームポジション(HP)を検知する押圧カム位置センサ212から取得した押圧カム位置情報222が記憶される。また、記憶部220には、絶対水分量情報221に応じて最適画像を得るために押圧カム27を所定の位置に回転駆動するための押圧量変換テーブル223などが記憶されている。
【0068】
また、制御部200には、画像形成装置100に設けられた操作部(操作パネル)101が接続されている。操作部101は、制御部200の制御によって情報を表示する表示手段、及びユーザやサービス担当者などの操作者による操作によって制御部200に情報を入力する入力手段を有する。操作部101は、表示手段及び入力手段の機能を有するタッチパネルを有して構成されていてよい。また、制御部200には、画像形成装置100に設けられるか又は画像形成装置100に接続された画像読取装置(図示せず)や、画像形成装置100に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部装置(図示せず)が接続されていてよい。
【0069】
制御部200は、ジョブの情報に基づいて画像形成装置100の各部を制御して画像形成動作を行なわせる。ジョブの情報は、操作部101や外部装置から入力される開始指示(開始信号)、記録材Pの種類などの画像形成条件に関する情報(指令信号)を含む。また、ジョブの情報は、画像読取装置、外部装置あるいは操作部101から入力される画像情報(画像信号)を含む。なお、記録材Pの種類に関する情報(単に「記録材に関する情報」ともいう。)とは、普通紙、上質紙、光沢紙、コート紙、エンボス紙、厚紙、薄紙などの一般的な特徴に基づく属性(いわゆる、紙種カテゴリー)、坪量、厚さ、サイズ、剛度などの数値や数値範囲、あるいは銘柄(メーカー、品番などを含む。)などの、記録材を区別可能な任意の情報を包含するものである。また、本実施例では、制御部200は、押圧機構16の押圧カム駆動モータ211を制御することにより、押圧部材26の位置を変更する動作を制御する。
【0070】
画像形成装置100は、1つの開始指示により開始される、単一又は複数の記録材Pに画像を形成して出力する一連の動作であるジョブ(プリントジョブ、印刷ジョブ)を実行する。ジョブは、一般に、画像形成工程(画像形成動作、プリント動作、印刷動作)、前回転工程、複数の記録材Pに画像を形成する場合の紙間工程、及び後回転工程を有する。画像形成工程は、実際に記録材Pに形成して出力する画像の静電像の形成、トナー像の形成、トナー像の1次転写、2次転写を行う期間であり、画像形成時(画像形成期間)とはこの期間のことをいう。より詳細には、これら静電像の形成、トナー像の形成、トナー像の1次転写、2次転写の各工程を行う位置で、画像形成時のタイミングは異なる。前回転工程は、開始指示が入力されてから実際に画像を形成し始めるまでの、画像形成工程の前の準備動作を行う期間である。紙間工程は、複数の記録材Pに対する画像形成を連続して行う際(連続画像形成)の記録材Pと記録材Pとの間に対応する期間である。後回転工程は、画像形成工程の後の整理動作(準備動作)を行う期間である。非画像形成時(非画像形成期間)とは、画像形成時以外の期間であって、上記前回転工程、紙間工程、後回転工程、更には画像形成装置100の電源投入時又はスリープ状態からの復帰時の準備動作である前多回転工程などが含まれる。なお、スリープ状態(休止状態)とは、例えば制御部200(又はその一部)以外の画像形成装置100の各部への電力の供給が停止され、スタンバイ状態よりも電力消費量が少なくされた状態である。
【0071】
7.制御手順
次に、本実施例におけるジョブの制御手順について説明する。図6は、本実施例におけるジョブの制御手順の概略を示すフローチャート図である。ここでは、操作者が装置本体110の操作部101から画像形成装置100に1つのジョブを実行させる場合を例として説明する。また、ここでは、記録材Pとして高剛度の厚紙(ガーレー剛度64mN以上)が用いられるものとする。なお、図6には、押圧部材26の位置を変更する動作に注目した制御手順の概略が示されており、ジョブを実行して画像を出力するために通常必要となる他の多くの動作は省略されている。
【0072】
まず、制御部200は、ジョブの情報が入力されると、画像形成動作を開始する前に、環境センサ13によって検知された環境の絶対水分量情報221を取得する(S101)。次に、制御部200は、押圧カム位置センサ212によって検知される押圧カム位置情報222に基づいて、押圧カム駆動モータ211に指令を送り、押圧カム27をHP位置まで回転駆動する(S102)。また、制御部200は、押圧カム27のHPからの回動量などに基づいて予め設定された押圧量変換テーブル223に基づいて、押圧カム駆動モータ211に指令を送り、絶対水分量に応じて最適画像を得るために押圧カム27を所定の位置まで回転駆動する。これにより、制御部200は、押圧部材26を所定の位置まで移動させる(S103)。前述のように、本実施例では、定常環境(絶対水分量が3g/mより大きく、13g/mよりも小さい範囲の環境)の場合、押圧部材26の押圧量は1.9mmとされる。また、絶対水分量3g/m以下の低湿環境の場合、押圧部材26の押圧量は2.1mmとされる。また、絶対水分量13g/m以上の高湿環境の場合、押圧部材26の押圧量は1.7mmとされる。その後、制御部200は、画像形成装置100の各部に指令を送り、画像形成動作を行わせる(S104)。S104において、制御部200は、ドラム駆動モータ111、ベルト駆動モータ112などの画像形成装置100の各部に指令を送り画像形成準備動作(前回転工程)を開始させる。そして、所定の画像形成準備動作が終了ししだい、露光装置3、記録材Pの搬送に関する部材の駆動装置などの画像形成装置100の各部に指令を送り、画像形成動作を開始させる。
【0073】
このように、本実施例では、画像形成装置100は、押圧部材26の中間転写ベルト7に対する押圧量を変更可能な押圧機構16と、押圧機構16を制御する制御部200と、環境の水分量と相関する信号を出力する環境センサ13と、を有する。そして、本実施例では、制御部200は、環境センサ13の出力値に基づいて押圧部材26の押圧量を変更するように押圧機構16を制御可能である。制御部200は、環境センサ13の出力値が示す環境の水分量が第1の水分量の場合に、押圧部材26の押圧量を第1の押圧量とし、環境センサ13の出力値が示す環境の水分量が第1の水分量よりも大きい第2の水分量の場合に、押圧部材26の押圧量を第1の押圧量よりも小さい第2の押圧量とするように、押圧機構16を制御可能である。特に、本実施例では、制御部200は、環境センサ13の出力値が示す環境の水分量が所定の範囲よりも小さい場合に、環境センサ13の出力値が示す環境の水分量が該所定の範囲内の場合よりも、押圧部材26の押圧量を大きくするように、押圧機構16を制御可能である。また、本実施例では、制御部200は、環境センサ13の出力値が示す環境の水分量が所定の範囲よりも大きい場合に、環境センサ13の出力値が示す環境の水分量が該所定の範囲内の場合よりも、押圧部材26の押圧量を小さくするように、押圧機構16を制御可能である。ここで、本実施例では、押圧部材26の押圧量は、環境の絶対水分量に応じて段階的に3つに変更したが、環境の絶対水分量に応じて段階的又は連続的に2つ又は4つ以上に変更してもよい。また、押圧部材26の押圧量は、2次転写ニップN2を記録材Pが通過している際(2次転写中)に、環境の絶対水分量に応じた押圧部材26の押圧量となっていればよい。
【0074】
なお、図6では記録材Pとして高剛度の厚紙が用いられる場合を例としているため図示は省略しているが、制御部200は記録材Pの剛度と関連する記録材Pの種類に関する情報に基づいて制御を切り替えることができる。つまり、制御部200は、ジョブの情報を受け付けると、ジョブの情報に含まれる、画像形成動作に用いられる記録材Pの種類に関する情報を取得する。なお、制御部200は、操作者の操作により操作部101(又は外部装置)から直接的に入力(複数の選択肢から選択することも含む。)された記録材Pの種類に関する情報を取得することができる。また、制御部200は、操作者の操作により操作部101(又は外部装置)から入力された、当該ジョブで記録材Pを送出する記録材カセット11の情報に基づいて、記録材Pの種類に関する情報を取得することもできる。この場合、制御部200は、例えば複数設けられているカセット11のそれぞれと関係付けられて記憶部220に記憶されている記録材Pの種類に関する情報から、記録材Pの種類に関する情報を取得することができる。そして、制御部200は、記録材Pに関する情報を入力する入力部としての操作部101などにより入力された記録材Pに関する情報に基づいて、所定の記録材Pをジョブに用いる(すなわち、所定の記録材Pに転写を行う)場合に、環境センサ13の出力値に基づいて押圧部材26の押圧量を変更する制御を行うことができる。ここで、本実施例では、上記所定の記録材Pは、剛度が所定の剛度以上の記録材Pである。一方、上記所定の記録材P以外の記録材P(例えば、剛度が所定の剛度未満の記録材P)をジョブに用いる場合には、環境センサ13の出力値に基づいて押圧部材26の押圧量を変更する制御を行わなくてよい。本実施例では、この場合の押圧部材26の押圧量は任意であるが、例えば、記録材Pの種類によらずに一定としたり、記録材Pの種類に応じて変更したりすることができる。特に、記録材Pとして低剛度の薄紙などの剛度の低い記録材Pを用いる場合には、「飛び散り」は発生しにくいので、「画像擦れ」の抑制の観点などから押圧部材26の押圧量は0mm(押圧部材26を中間転写ベルト7から離間させてもよい。)としてもよい。
【0075】
以上のように、本実施例によれば、高剛度の厚紙などの剛度の高い記録材Pを用いる場合においても、「飛び散り」の抑制と「画像擦れ」の抑制とを両立し、良好な画像を得ることが可能となる。
【0076】
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素には、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0077】
1.本実施例の概要
図2を参照して実施例1で説明したように、内ローラ21の位置(オフセット量X)を変更することによっても、環境に応じて「飛び散り」の抑制と「画像擦れ」の抑制との両立を図ることができる。図14を参照してこの点について更に説明する。図14は、2次転写ニップN2の近傍での記録材Pの挙動を説明するための模式的な断面図(内ローラ21の回転軸線方向と略直交する断面)である。
【0078】
図14に示す断面において、内ローラ21と2次転写前ローラ24とで張架されて形成される中間転写ベルト7の張り面(張架面)を示す線を張架線Tとする。また、同断面において、内ローラ21の回転中心と外ローラ9の回転中心とを通る直線をニップ中心線Lcとする。また、同断面において、ニップ中心線Lcと略直交する線をニップ線Lnとする。なお、図14では、押圧部材26の図示は省略されている。このとき、記録材Pは、2次転写ニップN2で内ローラ21と外ローラ9との間に挟持された状態では、ほぼニップ線Lnに沿って姿勢を保とうとする傾向がある。そのため、概して、張架線Tに沿う方向に関して内ローラ21よりも外ローラ9の方が中間転写ベルト7の回転方向の上流側に配置されるほど(オフセット量Xが大きいほど)、ニップ線Lnは張架線Tに食い込むような形となる(図14中の一点鎖線)。その結果、中間転写ベルト7と記録材Pとの密着距離を大きくすることができる。逆に、オフセット量Xが小さいほど、中間転写ベルト7と記録材Pとの当接圧を小さくすることができる(図14中の破線)。
【0079】
したがって、実施例1において押圧部材26の押圧量を変更したのに代えて、内ローラ21の位置(オフセット量X)を変更することで、環境に応じて「飛び散り」の抑制と「画像擦れ」の抑制との両立を図ることができる。
【0080】
そこで、本実施例では、制御部200(図9)は、環境センサ13の出力値(絶対水分量の検知結果)に基づいて、オフセット機構17(図7)を制御して、内ローラ21の位置(オフセット量X)を変更(調整)する。概略、低湿環境においては、内ローラ21の位置を中間転写ベルト7の移動方向下流側に移動させる(オフセット量Xを相対的に大きくする。)。そして、2次転写ニップN2での記録材Pの搬送方向を変化させて、2次転写ニップN2の上流における中間転写ベルト7と記録材Pとの密着距離を大きくする。これにより、「飛び散り」の発生を抑制することが可能となる。また、概略、高湿環境においては、内ローラ21の位置を中間転写ベルト7の移動方向上流側に移動させる(オフセット量Xを相対的に小さくする。)。そして、2次転写ニップN2での記録材Pの搬送方向を変化させて、2次転写ニップN2の上流における中間転写ベルト7と記録材Pとの当接圧を小さくする。これにより、「画像擦れ」の発生を抑制することが可能となる。
【0081】
2.オフセット機構
図7を参照して、本実施例におけるオフセット機構17について説明する。図7は、オフセット機構17を説明するための、2次転写ニップN2の近傍を内ローラ21の回転軸線方向の一端部側(図1の紙面手前側)から該回転軸線方向と略平行に見た要部の概略側面図である。
【0082】
本実施例では、画像形成装置100は、外ローラ9の周方向に関する内ローラ21の相対位置を変更してオフセット量Xを変更する、位置変更機構としてのオフセット機構17を有する。図7には、内ローラ21の回転軸線方向の一端部の構成を示しているが、他端部の構成も同様(内ローラ21の回転軸線方向の中央に対して略対称)である。
【0083】
内ローラ21の回転軸線方向の両端部は、支持部材としての内ローラホルダ30によって回転可能に支持されている。内ローラホルダ30は、内ローラ回動軸30aを中心に回動可能なように、中間転写ベルトユニット20のフレームなどに支持されている。このように、内ローラホルダ30を内ローラ回動軸30aの周りに回動させ、内ローラ21を内ローラ回動軸30aの周りに回動させることで、外ローラ9に対する内ローラ21の相対位置を変更してオフセット量Xを変更することができるようになっている。内ローラホルダ30は、作動部材としてのオフセットカム29の作用により回動するように構成されている。オフセットカム29は、オフセットカム回動軸29aを中心に回動可能なように、中間転写ベルトユニット20のフレームなどに支持されている。オフセットカム29は、駆動源としてのオフセットカム駆動モータ213からの駆動を受けてオフセットカム回動軸29aを中心に回動する。また、オフセットカム29は、内ローラホルダ30に設けられたカムフォロワ30bと接触している。また、内ローラホルダ30は、カムフォロワ30bがオフセットカム29と係合する方向に回動するように、付勢手段としての付勢部材(弾性部材)である引張りばねなどで構成された回動ばねによって付勢されていてよい。なお、中間転写ベルト7のテンション、あるいは外ローラ9による押圧によって、カムフォロワ30bがオフセットカム29と係合する方向に内ローラホルダ30を回動させる十分なモーメントが得られる場合がある。この場合には、上記回動ばねは設けられていなくてよい。また、本実施例では、画像形成装置100には、オフセットカム29の回動方向の位置、特に、回動方向におけるホームポジション(HP)を検知するための位置検知手段として、オフセットカム位置センサ(カムHPセンサ)214が設けられている。オフセットカム位置センサ214は、例えば、オフセットカム29又はオフセットカム29と同軸上に設けられた指示部としてのフラグ、検知部としてのフォトインタラプタなどを有して構成することができる。このように、本実施例では、内ローラホルダ30、オフセットカム29、オフセットカム駆動モータ213、オフセットカム位置センサ214などを有してオフセット機構17が構成されている。
【0084】
オフセットカム29がオフセットカム駆動モータ213によって駆動されて時計回りに回動することによって、内ローラ回動軸30aを中心に時計回りに内ローラホルダ30が回動する。これにより、内ローラ21を中間転写ベルト7の移動方向下流側に移動させてオフセット量Xを大きくすることができる。また、オフセットカム29がオフセットカム駆動モータ213によって駆動されて反時計回りに回動することによって、内ローラ回動軸30aを中心に反時計回りに内ローラホルダ30が回動する。これにより、内ローラ21を中間転写ベルト7の移動方向上流側に移動させてオフセット量Xを小さくすることができる。
【0085】
なお、ここでは、実施例1と同様、記録材Pとして高剛度の厚紙(ガーレー剛度64mN以上)を用いる場合について説明する。また、本実施例では、押圧部材26の位置は所定の位置に固定されている。一例として、本実施例では、押圧部材26の位置は、押圧量が1.9mmとなる位置に固定されている。また、本実施例では、内ローラ21の基準の位置は、オフセット量Xが-1.3mmとなる位置とされている。そして、内ローラ21の位置は、この基準の位置に対して変更される。
【0086】
ここで、これに限定されるものではないが、オフセット量Xは、-3mm~+3mm程度が好適である。特に、記録材Pとして高剛度の厚紙などの剛度の高い記録材Pを用いる場合には、記録材Pの搬送方向の後端が搬送ガイド14を抜けた時に記録材Pの搬送方向の後端部が中間転写ベルト7に衝突することによるショックが大きくなることがある。そのため、これによる画像不良を抑制するなどのために、オフセット量Xは0mm以下であることが好ましい。一方、記録材Pとして低剛度の薄紙などの剛度の低い記録材Pを用いる場合には、記録材Pの中間転写ベルト7からの分離性の観点などから、押圧部材26の押圧量は0mmより大きくすることが好ましい。
【0087】
図8は、各環境下での内ローラ21の位置及びオフセット機構17の動作を説明するための、図7と同様の方向から見た内ローラ21の近傍の拡大側面図である。なお、図8は、記録材Pとして高剛度の厚紙(ガーレー剛度64mN以上)を用いる場合の押圧部材26の位置を示している。
【0088】
図8(a)は、定常環境(絶対水分量が3g/mより大きく、13g/mよりも小さい範囲の環境)下での内ローラ21の近傍を示す。本実施例では、この図8(a)に示す内ローラ21の位置を基準の位置とする。なお、上述のように、本実施例では、このときのオフセット量Xは-1.3mmである。
【0089】
図8(b)は、絶対水分量3g/m以下の低湿環境下での内ローラ21の近傍を示す。低湿環境下では、「飛び散り」を抑制するために、内ローラ21の位置を基準の位置に対して中間転写ベルト7の移動方向下流側に移動させる必要がある。図8(b)に示すように、図8(a)の状態からオフセットカム29を時計周りに回転させることで、内ローラ21の位置を基準の位置(図8(b)中の二点鎖線)に対して中間転写ベルト7の移動方向下流側に0.3mm移動させる。これにより、2次転写ニップN2での記録材Pの搬送方向を変化させて、密着距離を大きくすることができ、低湿環境下での「飛び散り」を抑制することが可能となる。
【0090】
また、図8(c)は、絶対水分量13g/m以上の低湿環境下での内ローラ21の近傍を示す。高湿環境下では、「画像擦れ」を抑制するために、内ローラ21の位置を基準の位置に対して中間転写ベルト7の移動方向上流側に移動させる必要がある。図8(c)に示すように、図8(a)の状態からオフセットカム29を反時計周りに回転させることで、内ローラ21の位置を基準の位置(図8(c)中の二点鎖線)に対して中間転写ベルト7の移動方向上流側に0.3mm移動させる。これにより、2次転写ニップN2での記録材Pの搬送方向を変化させて、当接圧を小さくすることができ、高湿環境下での「画像擦れ」を抑制することが可能となる。
【0091】
3.制御態様
図9は、本実施例の画像形成装置100の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。本実施例の画像形成装置100の制御態様は、図5に示す実施例1の画像形成装置100のものと同様であるが、本実施例では制御部200には、オフセットカム駆動モータ213、オフセットカム位置センサ214が接続されている。そして、本実施例では、駆動制御部210は、演算部201からの指令によってオフセットカム駆動モータ213を動作させることができる。また、本実施例では、記憶部220には、オフセットカム29のホームポジション(HP)を検知するオフセットカム位置センサ214から取得したオフセットカム位置情報224が記憶される。また、本実施例では、記憶部220には、絶対水分量に応じて最適画像を得るためにオフセットカム29を所定の位置に回転駆動するための内ローラ位置変換テーブル225が記憶されている。また、本実施例では、制御部200は、オフセット機構17のオフセットカム駆動モータ213を制御することにより、内ローラ21の位置を変更する動作を制御する。
【0092】
4.制御手順
次に、本実施例におけるジョブの制御手順について説明する。図10は、本実施例におけるジョブの制御手順の概略を示すフローチャート図である。ここでは、操作者が装置本体110の操作部101から画像形成装置100に1つのジョブを実行させる場合を例として説明する。また、ここでは、記録材Pとして高剛度の厚紙(ガーレー剛度64mN以上)が用いられるものとする。なお、図10には、内ローラ21の位置を変更する動作に注目した制御手順の概略が示されており、ジョブを実行して画像を出力するために通常必要となる他の多くの動作は省略されている。
【0093】
まず、制御部200は、ジョブの情報が入力されると、画像形成動作を開始する前に、環境センサ13によって検知された環境の絶対水分量情報221を取得する(S201)。次に、制御部200は、オフセットカム位置センサ214により検知されるオフセットカム位置情報224に基づいて、オフセットカム駆動モータ213に指令を送り、オフセットカム29をHP位置まで回転駆動する(S202)。また、制御部200は、オフセットカム29のHPからの回動量などに基づいて予め設定された内ローラ位置変換テーブル225に基づいて、オフセットカム駆動モータ213に指令を送る。そして、絶対水分量に応じて最適画像を得るためにオフセットカム29を所定の位置まで回転駆動する。これにより、制御部200は、内ローラ21を所定の位置まで移動させる(S203)。前述のように、本実施例では、定常環境(絶対水分量が3g/mより大きく、13g/mよりも小さい範囲の環境)の場合、内ローラ21の位置は基準の位置とされる。また、絶対水分量3g/m以下の低湿環境の場合、内ローラ21の位置は基準の位置に対して中間転写ベルト7の移動方向下流側に0.3mm移動させた位置とされる。また、絶対水分量13g/m以上の高湿環境の場合、内ローラ21の位置は基準の位置に対して中間転写ベルト7の移動方向上流側に0.3mm移動させた位置とされる。その後、制御部200は、画像形成装置100の各部に指令を送り、画像形成動作を行わせる(S204)。S204における動作は実施例1と同様である。
【0094】
このように、本実施例では、画像形成装置100は、内ローラ21の周方向に関する内ローラ21と外ローラ9との相対位置を変更するオフセット機構17と、オフセット機構17を制御する制御部200と、環境の水分量と相関する信号を出力する環境センサ13と、を有する。そして、本実施例では、制御部200は、環境センサ13の出力値に基づいて上記相対位置を変更するようにオフセット機構17を制御可能である。制御部200は、環境センサ13の出力値が示す環境の水分量が第1の水分量の場合に、上記相対位置を第1の相対位置とし、環境センサ13の出力値が示す環境の水分量が第1の水分量よりも大きい第2の水分量の場合に、上記相対位置を第1の相対位置よりも内ローラ21が外ローラ9に対して中間転写ベルト7の回転方向の上流側に位置する第2の相対位置とするように、オフセット機構17を制御可能である。特に、本実施例では、制御部200は、環境センサ13の出力値が示す環境の水分量が所定の範囲よりも小さい場合に、環境センサ13の出力値が示す環境の水分量が該所定の範囲内の場合の上記相対位置よりも、内ローラ21が外ローラ9に対して中間転写ベルト7の回転方向の下流側に位置する上記相対位置とするように、オフセット機構17を制御可能である。また、本実施例では、制御部200は、環境センサ13の出力値が示す環境の水分量が所定の範囲よりも大きい場合に、環境センサ13の出力値が示す環境の水分量が該所定の範囲内の場合の上記相対位置よりも、内ローラ21が外ローラ9に対して中間転写ベルト7の回転方向の上流側に位置する上記相対位置とするように、オフセット機構17を制御可能である。ここで、本実施例では、内ローラ21の位置(オフセット量X)は、環境の絶対水分量に応じて段階的に3つに変更したが、環境の絶対水分量に応じて段階的又は連続的に2つ又は4つ以上に変更してもよい。また、内ローラ21の位置(オフセット量X)は、2次転写ニップN2を記録材Pが通過している際(2次転写中)に、環境の絶対水分量に応じた内ローラ21の位置(オフセット量X)となっていればよい。
【0095】
なお、図10では記録材Pとして高剛度の厚紙が用いられる場合を例としているため図示は省略しているが、制御部200は記録材Pの剛度と関連する記録材Pの種類に関する情報に基づいて制御を切り替えることができる。つまり、制御部200は、ジョブの情報を受け付けると、ジョブの情報に含まれる、画像形成動作に用いられる記録材Pの種類に関する情報を取得する。そして、制御部200は、記録材Pに関する情報を入力する入力部としての操作部101などにより入力された記録材Pに関する情報に基づいて、所定の記録材Pをジョブに用いる(すなわち、所定の記録材Pに転写を行う)場合に、環境センサ13の出力値に基づいて上記相対位置を変更する制御を行うことができる。ここで、本実施例では、上記所定の記録材Pは、剛度が所定の剛度以上の記録材Pである。一方、上記所定の記録材P以外の記録材P(例えば、剛度が所定の剛度未満の記録材P)をジョブに用いる場合には、環境センサ13の出力値に基づいて上記相対位置を変更する制御を行わなくてよい。本実施例では、この場合の上記相対位置は任意であるが、例えば、記録材Pの種類によらずに一定としたり、記録材Pの種類に応じて変更したりすることができる。特に、記録材Pとして低剛度の薄紙などの剛度の低い記録材Pを用いる場合には、記録材Pの中間転写ベルト7からの分離性の観点などから、押圧部材26のオフセット量Xは0mmより大きくすることができる。
【0096】
また、本実施例では、画像形成装置100は、内ローラ21の位置を変更することでオフセット距離Xを変更する構成とされていたが、外ローラ9の位置を変更することでオフセット量Xを変更する構成とされていてもよい。また、内ローラ21又は外ローラ9のいずれかを移動させる構成に限らず、内ローラ21と外ローラ9との両方を移動させてオフセット量Xを変更するようにしてもよい。
【0097】
以上のように、本実施例のように内ローラ21の位置(オフセット量X)を変更することによっても、実施例1と同様の効果を得ることができる。ただし、前述のように、内ローラ21の位置精度が2次転写ニップN2における記録材Pの搬送性に与える影響を考慮すると、実施例1のように押圧部材26の押圧量を変更する方が望ましい。
【0098】
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
【0099】
上述の実施例では、内部材としての内ローラと共に2次転写ニップを形成する外部材として、中間転写ベルトの外周面に直接当接する外ローラが用いられていた。これに対して、外部材として外ローラ及び該外ローラと他のローラとに張架された2次転写ベルトが用いられる構成とされていてもよい。つまり、画像形成装置は、外部材として、張架ローラと、外ローラと、これらのローラ間に張架された2次転写ベルトと、を有していてよい。そして、外ローラが2次転写ベルトを介して中間転写ベルトの外周面に当接するようにすることができる。つまり、中間転写ベルトの内周面に接触する内ローラと、2次転写ベルトの内周面に接触する外ローラとで、中間転写ベルト及び2次転写ベルトを挟持することによって2次転写ニップを形成するようにすることができる。この場合、中間転写ベルトと2次転写ベルトとの接触部が2次転写部としての2次転写ニップである。なお、この場合も、オフセット量Xは、前述と同様に、内ローラと外ローラとの相対位置によって定義される。また、侵入量Yも、内ローラと2次転写前ローラとで形成される基準線L1及び押圧部接線L4、あるいは外ローラと2次転写前ローラとで形成される基準線L1’及び押圧部接線L4’を用いて前述と同様に定義される。
【0100】
また、記録材の剛度と関連する記録材の種類に関する情報は、記録材の剛度自体の情報に限定されるものではない。紙種カテゴリー(例えば、普通紙、コート紙などの表面性に基づく紙種カテゴリーなど)あるいは銘柄(メーカー、品番などを含む。)が同じである場合、記録材の坪量と記録材の厚さとは略比例関係にあることが多い(厚さが大きいほど坪量が大きい。)。また、紙種カテゴリーあるいは銘柄が同じである場合、記録材の剛度と、記録材の坪量あるいは厚さと、は略比例関係にあることが多い(坪量あるいは厚さが大きいほど剛度が大きい。)。したがって、例えば、紙種カテゴリーごと、銘柄ごと、あるいは紙種カテゴリーと銘柄との組み合わせごとに、記録材の坪量、厚さ、あるいは剛度に基づいて、環境に応じた押圧量などの変更を行うか否かといった複数の制御を設定することができる。そして、制御部は、操作部や外部装置から入力された、紙種カテゴリー、銘柄などの情報と、記録材の坪量、厚さ、剛度などの情報と、に基づいて制御を切り替えることができる。また、記録材の種類に関する情報として、例えば、記録材の坪量、厚さ、あるいは剛度といった定量的な情報を用いることに限定されるものではない。記録材の種類に関する情報として、例えば、紙種カテゴリー、銘柄、あるいは紙種カテゴリーと銘柄との組み合わせといった定性的な情報のみを用いることもできる。例えば、紙種カテゴリー、銘柄、あるいは紙種カテゴリーと銘柄との組み合わせに応じて、環境に応じた押圧量などの変更を行うか否かといった複数の制御を設定しておくことができる。そして、制御部が操作部や外部装置などから入力された紙種カテゴリー、銘柄などの情報に応じて制御を切り替えることができる。この場合も、それぞれの記録材の剛度の違いに基づいて、複数の制御を設定しておくことになる。なお、記録材の剛度は、ガーレー剛度(MD/縦目)[mN]で代表することができ、市販のガーレー剛度試験機で測定することができる。例えば、坪量の閾値52g/m未満の記録材としての、「薄紙」の一例のガーレー剛度(MD)は0.3mN程度であることがある。また、坪量の閾値52g/m以上の記録材としての、「普通紙」(坪量80g/m程度)の一例のガーレー剛度(MD)は2mN程度、「厚紙」(坪量200g/m程度)の一例のガーレー剛度(MD)は20mN以上であることがある。
【0101】
また、制御部は、記録材の種類に関する情報は、操作者の操作による操作部や外部装置からの入力に基づいて取得することに限定されず、記録材の種類に関する情報を検知する検知手段の検知結果の入力に基づいて取得してもよい。例えば、記録材の坪量と相関する指標値を検知する坪量検知手段として坪量センサを用いることができる。坪量センサとしては、例えば、超音波の減衰を利用した坪量センサが知られている。また、紙種カテゴリーの検知に利用できる記録材の表面の平滑性と相関する指標値を検知する平滑性検知手段としての表面性センサを用いることができる。表面性センサとしては、記録材に光を照射し、正反射光、乱反射光の強さを光量センサで読み取る正乱反射光センサが知られている。
【0102】
また、押圧機構、オフセット機構として、カムにより可動部を作動させるアクチュエータを用いたが、これに限定されるものではない。押圧機構、オフセット機構は、それぞれ上述のものに準じた動作を実現できるものであればよく、例えば、ソレノイドを用いて可動部を作動させるアクチュエータを用いてもよい。
【0103】
また、ベルト状の像担持体が中間転写ベルトである場合について説明したが、画像形成位置で担持されたトナー像を搬送する無端状のベルトで構成された像担持体であれば、本発明を適用することができる。このようなベルト状の像担持体としては、上述の中間転写ベルトの他、感光体ベルトや静電記録誘電体ベルトが例示できる。
【0104】
また、本発明は、上述の実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。したがって、ベルト状の像担持体を用いる画像形成装置であれば、タンデム型/1ドラム型、帯電方式、静電像形成方式、現像方式、転写方式、定着方式の区別無く実施できる。上述の実施例では、トナー像の形成/転写に係る主要部を中心に説明したが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機など、種々の用途で実施できる。
【符号の説明】
【0105】
7 中間転写ベルト
9 外ローラ
13 環境センサ
16 押圧機構
17 オフセット機構
21 内ローラ
26 押圧部材
100 画像形成装置
200 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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