(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
F15B 21/041 20190101AFI20240603BHJP
C10M 105/32 20060101ALI20240603BHJP
C10M 105/36 20060101ALI20240603BHJP
C10M 133/16 20060101ALI20240603BHJP
B01J 20/18 20060101ALI20240603BHJP
C10N 40/08 20060101ALN20240603BHJP
【FI】
F15B21/041
C10M105/32
C10M105/36
C10M133/16
B01J20/18 B
C10N40:08
(21)【出願番号】P 2020032743
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2022-08-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嘉本 大五郎
(72)【発明者】
【氏名】太田 亮
(72)【発明者】
【氏名】南 亘
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 茂行
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-199195(JP,A)
【文献】特開2011-162655(JP,A)
【文献】実開昭57-165802(JP,U)
【文献】国際公開第2010/064347(WO,A1)
【文献】特開2006-096849(JP,A)
【文献】特開2015-114244(JP,A)
【文献】特開2014-214414(JP,A)
【文献】特開2004-028247(JP,A)
【文献】特開平05-239490(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0192153(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 20/00-21/12
C10M 105/32
C10M 133/16
B01J 20/18
C10N 40:08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧作動油と、前記油圧作動油を加圧する油圧ポンプを有する油圧システムと、前記油圧作動油により駆動するアクチュエータとを備える作業機械であって、
前記油圧作動油が、エステル油を含有する基油を含み、
前記油圧システムが、前記油圧作動油の水分を吸着する吸着材料を含む水分吸着機構をさらに有し、
前記水分吸着機構が、前記吸着材料を不織布の袋又は
底面及び側面に孔を多数あけた
筒型の金属製容器に入れたものであり、
前記油圧システムがオイルタンクをさらに有し、前記水分吸着機構が
、前記オイルタンク内における前記オイルタンクの底面よりも前記油圧作動油の油面に近い位置に、前記吸着材料における前記オイルタンクの前記底面側の部分が配置されるように、前記オイルタンク内における前記オイルタンクの
前記底面から離れた前記油圧作動油の
前記油面近傍に設置されて
おり、
前記水分吸着機構が、前記吸着材料として合成ゼオライトを含み、前記合成ゼオライトが、3A型合成ゼオライト、4A型合成ゼオライト、5A型合成ゼオライト、及び13X型合成ゼオライトからなる群から選択される1種以上である、
ことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
前記油圧作動油の基油が、前記エステル油としてジエステル油を含有することを特徴とする
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記油圧作動油が、ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドを添加剤として含むことを特徴とする
請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記油圧作動油の水分量が350質量ppm以下であることを特徴とする
請求項1~3のいずれか一項に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧作動油と、油圧作動油を加圧する油圧ポンプを有する油圧システムと、油圧作動油により駆動するアクチュエータとを備える作業機械に関し、より詳しくは油圧作動油として生分解性油圧作動油を備える作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルやホイールローダー等の作業機械では、作業を行う際の動力源として油圧を使用しており、圧力の伝達には油圧作動油が用いられる。油圧作動油は、エンジンやモーター等を動力とする油圧ポンプで加圧された後、油圧バルブで圧力及び流量を調整し、作業を行う部分であるアクチュエータに送られ、動作のための動力を伝達する。動力伝達を終えた油圧作動油はオイルクーラーで冷却され、オイルフィルタで不純物をろ過した後、オイルタンクへと戻される。
【0003】
上記のように動力伝達に使用される油圧作動油は、原油を精製して得られる基油と複数の添加剤とから構成されている。基油は、鉱物油と合成油とに大別され、作業機械用油圧作動油の大半は鉱物油を使用しているが、生分解性が必要とされる場合等では、合成油が用いられる。また、添加剤としては、清浄分散剤、酸化防止剤、耐加重添加剤、さび止め剤、腐食防止剤、金属不活性化剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、乳化剤、抗乳化剤、かび防止剤、及び固体潤滑剤等が機能向上を目的として使用される。しかしながら、添加剤に含まれる金属成分は、油圧作動油の劣化時に発生するスラッジの原因となるため必要最小限の添加にとどめられる。
【0004】
近年、環境保護の観点から、油圧作動油が漏洩した場合でも、自然界に存在する微生物によって分解され、環境への影響が小さい生分解性油圧作動油が用いられるようになってきている。生分解性油圧作動油は、合成油であるエステル油や動植物油を含有する基油を含み、これらの基油に複数種の添加剤を混合して作製される。エステル油には、モノエステル油、ジエステル油、ポリオールエステル油、及びリン酸エステル油等の種類があり、動植物油にはパーム油、ナタネ油、及びヒマシ油等があるが、生分解性油圧作動油にはジエステル油が多く用いられる。油圧作動油は、作業機械中で高い圧力や高温の環境で使用されることから、酸化や加水分解により劣化する。特にエステル油は、油中に溶解する水分が数百から数千ppmと鉱物油と比べて高く、溶解した水分による加水分解が起こりやすく劣化が早く進む。油圧作動油の劣化により酸価が高くなると、油圧配管の腐食や劣化で発生したスラッジにより配管が目詰まりする等の作業機械の不具合が発生する。
【0005】
エステル油を含有する基油を含む油圧作動油が用いられた作業機械等の油圧機械としては、例えば、特許文献1には、(A)炭化水素油、合成エステル油及び油脂から選ばれる少なくとも1種の基油、(B)一般式R1-N=C=N-R2(R1及びR2は炭素数4~26のアルキル基等を示す。)で示されるカルボジイミド化合物及び/又はエポキシ化合物を組成物全量基準で0.01~2質量%、及び(C)硫黄含有リン酸エステル油、酸性リン酸エステル油、酸性リン酸エステル油アミン塩及び亜リン酸エステル油から選ばれる少なくとも1種類の摩耗防止剤を組成物全量基準で0.001~5質量%、を含有する難燃性油圧作動油組成物が用いられた油圧機械が開示されている。この油圧機械において、油圧作動油は、災発生の危険性が高く、高温かつ高圧下で使用される用途に最適で、さらに高圧ポンプへの適用可能な、耐摩耗性、耐焼き付き性、スラッジ抑制性能に優れ、特に加水分解しにくく長期間使用可能なものとなっている。また、特許文献2には、低温流動性に優れ、粘度指数の高いジカルボン酸ジエステル油を含有する油圧作動油が用いられることが、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2010/064347号
【文献】特開2006-96849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、特許文献1及び2等に開示されたエステル油を含有する基油を含む油圧作動油が用いられた作業機械でも、加水分解により油圧作動油の劣化が進行することを十分に抑制することができなかった。このため、機械に不具合が発生することを抑制するためには油圧作動油の交換を短い期間で実施する必要があり、油圧作動油の交換までの運転可能時間を長くすることが難しかった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、エステル油を含有する基油を含む油圧作動油を使用した場合でも、油圧作動油の劣化を抑制することで、運転可能時間を長くすることができる作業機械を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の作業機械は、油圧作動油と、上記油圧作動油を加圧する油圧ポンプを有する油圧システムと、上記油圧作動油により駆動するアクチュエータとを備える作業機械であって、上記油圧作動油が、エステル油を含有する基油を含み、上記油圧システムが、上記油圧作動油の水分を吸着する吸着材料を含む水分吸着機構をさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、油圧作動油の劣化を抑制することで、運転可能時間を長くすることができる。
【0011】
以上に説明した内容以外の本発明の課題、構成、及び効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態の作業機械を示す概略断面図である。
【
図2】第1実施形態の作業機械におけるオイルタンクを示す概略斜視図である。
【
図3】第2実施形態の作業機械における油圧システムを示す概略図である。
【
図4】実施例1及び比較例1における稼働時間に対する全酸価(劣化度)の変化を示すグラフである。
【
図5】エステル系油圧作動油A及びエステル系油圧作動油B並びに鉱物油系油圧作動油における試験時間に対する全酸価の変化を示すグラフである。
【
図6】3A型合成ゼオライトとともに入れたエステル系油圧作動油C及び13X型合成ゼオライトとともに入れたエステル系油圧作動油Dにおける経過時間に対する水分量の変化を示すグラフである。
【
図7】エステル系油圧作動油E及びエステル系油圧作動油Fにおける試験時間に対する全酸価の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る実施形態の作業機械は、油圧作動油と、上記油圧作動油を加圧する油圧ポンプを有する油圧システムと、上記油圧作動油により駆動するアクチュエータとを備える作業機械であって、上記油圧作動油が、エステル油を含有する基油を含み、上記油圧システムが、上記油圧作動油の水分を吸着する吸着材料を含む水分吸着機構をさらに有することを特徴とする。
以下、本発明に係る実施形態の作業機械として、第1実施形態及び第2実施形態の作業機械を説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の作業機械を示す概略断面図である。
図2は、第1実施形態の作業機械におけるオイルタンクを示す概略斜視図である。
【0015】
図1に示すように、第1実施形態の作業機械1は、走行体1aとその上に設置された旋回体1bとを備えている。作業機械1は、油圧作動油2と、油圧作動油2を用いる油圧システム4と、油圧作動油2により駆動するブームシリンダ6A、アームシリンダ6B、及びバケットシリンダ6Cを含むアクチュエータ6とを備えている。
【0016】
油圧作動油2は、ジエステル油を含有する基油を含んでいる。作業機械1には、主にブーム8A、アーム8B、及びバケット8Cを含むフロント(作業装置)8が取り付けられている。作業機械1は、ブームシリンダ6A、アームシリンダ6B、及びバケットシリンダ6Cを含むアクチュエータ6の動作により、それぞれブーム8A、アーム8B、及びバケット8Cを駆動する。
【0017】
油圧システム4は、旋回体1b内に配置された、エンジン(動力源)9、油圧作動油2を加圧する油圧ポンプ10、油圧作動油2を貯めるオイルタンク11、オイルフィルタ12、オイルクーラー13、及び油圧バルブ14、並びに作動油ライン24を有している。さらに、油圧システム4は、
図2に示すように、オイルタンク11内に設置された水分吸着機構15を有している。水分吸着機構15は、底面及び側面に孔を多数あけた金属製容器16と、金属製容器16内に吸着材料17として入れられた合成ゼオライトとを含む。吸着材料17は、オイルタンク11の底面から離れた油圧作動油2の油面2S近傍に配置されている。
【0018】
オイルタンク11は、
図2に示すように、吸込みポート18と、戻りポート19と、側面に設けられたオイルゲージ20と、底面に設けられたドレインポート21と、上面に設けられたエアブリーザ22とを有している。オイルフィルタ12は、油圧作動油をろ過するフィルタエレメントを有している。フィルタエレメントは、セルロース製ろ紙を折り曲げることで襞を作り円筒形にしたものをエレメントケース及びエレメント蓋で固定したものである。
【0019】
第1実施形態の作業機械1では、オイルタンク11に貯められた油圧作動油2は、吸込みポート18から吸い出された後に、油圧ポンプ10で加圧されて作業機械1の各所に送られる。油圧作動油2は、作業機械1において、アクチュエータ6を動作させることで動力を伝達した後に、オイルクーラー13で冷却され、戻りポート19からオイルタンク11に戻る。この際、油圧作動油2は、戻りポート19からオイルフィルタ12のエレメントケース内に流れ込み、オイルフィルタ12のフィルタエレメントでろ過されることでスラッジ等が除去された後に、オイルタンク11に戻る。オイルタンク11内の油圧作動油2の水分は、オイルタンク11内に設置された水分吸着機構15の金属製容器16内に入れられた吸着材料17(合成ゼオライト)により吸着される。
【0020】
従って、第1実施形態の作業機械1では、オイルタンク11内に設置された水分吸着機構15に含まれる吸着材料17(合成ゼオライト)により、オイルタンク11内の油圧作動油2の水分を吸着することができる。これにより、水分及び熱による油圧作動油2の加水分解を抑制し、油圧作動油2の劣化を抑制することで、作業機械1の運転可能時間を長くすることができる。
【0021】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態の作業機械における油圧システムを示す概略図である。
【0022】
第2実施形態の作業機械は、第1実施形態と同様に、走行体とその上に設置された旋回体とを備えている。作業機械は、第1実施形態と同様に、油圧作動油と、油圧作動油を用いる油圧システムと、油圧作動油により駆動するブームシリンダ、アームシリンダ、及びバケットシリンダを含むアクチュエータとを備えている。
【0023】
油圧作動油は、ジエステル油を含有する基油を含んでいる。作業機械には、第1実施形態と同様に、主にブーム、アーム、及びバケットを含むフロントが取り付けられている。作業機械は、第1実施形態と同様に、ブームシリンダ、アームシリンダ、及びバケットシリンダの動作により、それぞれブーム、アーム、及びバケットを駆動する。
【0024】
図3に示すように、第2実施形態の作業機械の油圧システム4は、旋回体(図示せず)内に配置された、エンジン9、油圧作動油2を加圧する油圧ポンプ10、油圧作動油2を貯めるオイルタンク11、オイルフィルタ12、オイルクーラー13、及び油圧バルブ14、並びに作動油ライン24、及びリリーフバルブ25を有している。さらに、油圧システム4は、オイルフィルタ12の後段に設置された水分吸着機構15を有している。水分吸着機構15は、一方の端面及び他方の端面に油圧作動油の吸入ポート16a及び排出ポート16bを設けた円筒型の金属製容器16と、金属製容器16内に吸着材料17として入れられた合成ゼオライトとを含む。
【0025】
オイルタンク11は、第1実施形態と同様に、吸込みポートと、戻りポートと、側面に設けられたオイルゲージと、底面に設けられたドレインポートと、上面に設けられたエアブリーザとを有している。オイルフィルタ12は、第1実施形態と同様に、油圧作動油をろ過するフィルタエレメントを有している。フィルタエレメントは、セルロース製ろ紙を折り曲げることで襞を作り円筒形にしたものをエレメントケース及びエレメント蓋で固定したものである。
【0026】
第2実施形態の作業機械では、オイルタンク11に貯められた油圧作動油2は、吸込みポートから吸い出された後に、油圧ポンプ10で加圧されて作業機械1の各所に送られる。油圧作動油2は、作業機械1において、アクチュエータ6を動作させることで動力を伝達した後に、オイルクーラー13で冷却される。続いて、油圧作動油2は、オイルフィルタ12のエレメントケース内に流れ込み、オイルフィルタ12のフィルタエレメントでろ過されることでスラッジ等が除去される。その後、油圧作動油2は水分吸着機構15の金属製容器16に吸入ポート16aから流れ込み金属製容器16から排出ポート16bを介して排出される。その後、油圧作動油2は、戻りポートからオイルタンク11に戻る。油圧作動油2が水分吸着機構15の金属製容器16に流れ込み金属製容器16から排出されるまでの間に、油圧作動油2の水分は金属製容器16内に入れられた吸着材料17(合成ゼオライト)により吸着される。
【0027】
従って、第2実施形態の作業機械では、油圧システム4においてオイルフィルタ12の後段に設置された水分吸着機構15に含まれる吸着材料17(合成ゼオライト)により、水分吸着機構15に流れ込む油圧作動油2の水分を吸着することができる。これにより、水分及び熱による油圧作動油2の加水分解を抑制し、油圧作動油2の劣化を抑制することで、作業機械の運転可能時間を長くすることができる。
【0028】
続いて、本発明の作業機械の構成について、詳細に説明する。
【0029】
1.油圧作動油
油圧作動油は、油圧ポンプで加圧され、圧力により動力をアクチュエータに伝達するものである。また、油圧ポンプやアクチュエータ内の摺動箇所において潤滑油としての機能も持つ。
【0030】
油圧作動油は、エステル油を含有する基油を含む。一般的に油圧作動油に含まれる基油には、原油を精製することで得られる鉱物油又は原油等を原料として合成される合成油等が用いられているが、自然環境で微生物等により分解される生分解性が求められる場合にはエステル油や植物油等が使用され、耐熱性等の観点からこれらの中でもエステル油が一般的に用いられている。エステル油は、油中に溶解する水分が数百から数千ppmと鉱物油と比べて高く、溶解した水分による加水分解が起こりやすく劣化が早く進む。本発明では、後述する水分吸着機構により油圧作動油の水分を吸着することで、油圧作動油の基油に含有されるエステル油の劣化を抑制できる。
【0031】
エステル油としては、特に限定されないが、例えば、モノエステル油、ジエステル油、ポリオールエステル油、リン酸エステル油等が挙げられる。中でもジエステル油等が好ましい。コストや粘度特性等の観点から有利であり、使用頻度が高いからである。
【0032】
油圧作動油は、エステル油を含有する基油を含むものであれば特に限定されないが、添加剤を含むものが好ましい。基油だけでは不足する様々な機能を補われるからである。
【0033】
添加剤としては、例えば、清浄分散剤、酸化防止剤、耐荷重添加剤、さび止め剤、腐食防止剤、金属不活性化剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、乳化剤、消泡剤、抗乳化剤、かび防止剤、固体潤滑、及び加水分解抑制剤等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
【0034】
清浄分散剤としては、例えば、有機酸金属化合物、中性・過塩基性金属、過塩基性金属スルホネート、過塩基性金属フェネート、過塩基性金属スルホネート、コハク酸イミド、コハク酸エステル、及びベンジルアミン等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ジチオリン酸亜鉛、有機硫黄化合物、ヒンダードフェノール、及び芳香族アミン等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。耐荷重添加剤としては、例えば、長鎖脂肪酸、脂肪酸エステル、高級アルコール、アルキルアミン、リン酸エステル、ジチオリン酸亜鉛、有機硫黄、リン化合物、及び有機ハロゲン化合物等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
【0035】
さび止め剤としては、例えば、カルボン酸、スルホネート、リン酸塩、アルコール、及びエステル等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。腐食防止剤としては、例えば、含窒素化合物及びジチオリン酸亜鉛等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。金属不活性化剤としては、例えば、含窒素化合物等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
【0036】
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート、オレフィンコポリマー、スチレンオレフィンコポリマー、及びポリイソブチレン等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。流動点降下剤としては、例えば、ポリメタクリレート、アルキル化芳香族化合物、フマレート・酢酸ビニル共重合物、及びエチレン・酢酸ビニル共重合物等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。乳化剤としては、例えば、エチレンオキサイド付加物、エステル、カルボン酸塩、硫酸エステル、スルホン酸塩、リン酸エステル、アミン誘導体、及び4級アンモニウム塩等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
【0037】
消泡剤としては、例えば、ポリメチルシロキサンやシリケート、有機フッ素化合物、金属石けん、脂肪酸エステル、リン酸エステル、高級アルコール、及びポリアルキレングリコール等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。抗乳化剤としては、例えば、エチレンオキサイド付加物やエチレンオキサイド・プロピレンオキサイドブロックポリマー、及び4級アンモニウム塩等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。かび防止剤としては、フェノール化合物、ホルムアルデヒデ供与体化合物、及びサリチリアニリド化合物等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
【0038】
固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒化ホウ素、四フッ化エチレンポリマー、フッ化グラファイト、及びフラーレン等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。加水分解抑制剤としては、例えば、ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド等のイミド系化合物が挙げられる。
【0039】
油圧作動油としては、添加剤として加水分解抑制剤を含むものが好ましく、中でもイミド系化合物等を含むものが好ましく、特にビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド等を含むものが好ましい。加水分解を抑制することで油圧作動油の劣化を抑制できるので、運転可能時間を顕著に長くすることができるからである。
【0040】
油圧作動油の水分量としては、例えば、350質量ppm以下が好ましい。加水分解により油圧作動油の劣化が進行することを抑制できるからである。
【0041】
2.水分吸着機構
水分吸着機構は、上記油圧作動油の水分を吸着する吸着材料を含むものである。
吸着材料としては、油圧作動油の水分を吸着するものであれば特に限定されないが、例えば、合成ゼオライト及びイオン交換樹脂等が挙げられる。吸着材料としては、中でも合成ゼオライト等が好ましい。油圧作動油の水分を吸着する性能が高いからである。
【0042】
合成ゼオライトは、シリコン及びアルミニウムの酸化物を主成分とし、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、又はバリウム等の金属酸化物を含有する化合物であり、微細な細孔を有し、微細な細孔で水分等を吸着することができる。合成ゼオライトの細孔径は、シリコン及びアルミニウムの比、並びに含有する金属酸化物の種類及び量により変化する。
【0043】
合成ゼオライトとしては、例えば、3A型合成ゼオライト(細孔径:約0.3nm)、4A型合成ゼオライト(細孔径:約0.4nm)、5A型合成ゼオライト(細孔径:約0.5nm)、及び13X型合成ゼオライト(細孔径:約1.0nm)からなる群から選択される1種以上が挙げられるが、3A型合成ゼオライト、4A型合成ゼオライト、及び5A型合成ゼオライトからなる群から選択される1種以上が好ましい。細孔径が大きくなると水以外の物質を吸着する恐れがあるが、これらの1種以上であれば細孔径が小さいためその恐れが少ないからである。
【0044】
合成ゼオライトの形状としては、特に限定されないが、例えば、ビーズ状、ペレット状、及び粉状等が挙げられる。
【0045】
水分吸着機構は、吸着材料により油圧作動油の水分を吸着できるものであれば特に限定されないが、吸着材料をセルロースや化学繊維から作製された不織布等の袋や孔を多数あけた金属製容器等に入れたものでもよい。合成ゼオライト等の吸着材料の粉や破砕紛が油圧作動油に混入し、油圧ポンプ等の摺動面を傷つけること等を防止できるからである。
【0046】
水分吸着機構の設置位置は、油圧システム内で油圧作動油の水分を吸着できる位置であれば特に限定されないが、例えば、オイルタンク内の位置及びオイルフィルタの後段の位置等が挙げられる。これらの設置場所の中でも、オイルタンク内の位置等が好ましい。水分吸着機構が油圧作動油と接する時間が長くなるからである。さらに、オイルタンクの内部の位置の中でも、特に油圧作動油の油面近傍等のようなタンク底面からできる限り離れた位置が好ましい。オイルタンク内で油圧作動油中に溶解しきれない水分はタンク底面に溜まるので、タンク底面からできる限り離れた配置することで底面に溜まる水分との接触を防止することにより、水分吸着機構をより効果的に作用させることができるからである。
【0047】
3.作業機械
作業機械は、油圧作動油と、上記油圧作動油を加圧する油圧ポンプを有する油圧システムと、上記油圧作動油により駆動するアクチュエータとを備え、上記油圧システムが、上記油圧作動油の水分を吸着する吸着材料を含む水分吸着機構をさらに有し、アクチュエータの動作により作業装置を駆動することができる構造を備える。
【0048】
油圧ポンプは、作業装置を駆動するため油圧作動油に圧力を加える機構であり、エンジンや電動モーターを動力源として用いる。油圧ポンプとしては、特に限定されないが、例えば、ピストンポンプ、ギヤポンプ、ベーンポンプ、スクリューポンプ、斜板式アキシャルピストンポンプ、斜軸式アキシャルピストンポンプ、及びラジアルピストンポンプ等が挙げられる。本発明ではいずれかの油圧ポンプを用いることができる。
【0049】
アクチュエータは、油圧により駆動する機械装置である。アクチュエータとしては、特に限定されないが、例えば、油圧シリンダ及び油圧モーター等が挙げられる。また、油圧を制御する装置としては、特に限定されないが、例えば、油圧制御弁、流量制御弁、及び方向制御弁等が挙げられる。これらを組み合わせることで油圧バルブを構成することができる。
【0050】
オイルタンクとしては、作業機械の大きさに合わせた大きさのものを使用することができる。オイルタンクとしては、特に限定されないが、オイルゲージやエアブリーザ取り付けたものを使用してもよい。オイルクーラーとしては、特に限定されないが、例えば、空冷式及び水冷式等が挙げられる。オイルクーラーとしては、銅やアルミ等の金属で構成したチューブやフィンで熱交換を行い、オイルを冷却するものを使用してもよい。
【0051】
オイルフィルタは、油圧作動油から不純物をろ過し、清浄性を確保するための機構である。オイルフィルタとしては、油圧作動油の量や油圧の大きさにより、適したオイルフィルタを選択して使用することができる。フィルタの材質としては、特に限定されず一般的なものを使用することができるが、例えば、セルロース等の有機物が挙げられる。オイルフィルタとしては、特に限定されないが、例えば、セルロース製ろ紙を折り曲げることで多数の襞を付けた円筒形のや板状のもの等が挙げられる。ろ紙の密度や粗さの選定によりろ過性能を変えることができる。
【実施例】
【0052】
以下、本発明に係る実施形態の作業機械について、実施例及び比較例並びに参考例を挙げてさらに具体的に説明する。
【0053】
[実施例1]
実施例1の作業機械は、第1実施形態の作業機械の一例である。実施例1の作業機械1では、下記表1に示すように、油圧作動油2は、基油としてジエステル油を含み、添加剤として清浄分散剤や酸化防止剤等を含んでいる。また、オイルタンク11は、容量が約200Lのものである。さらに、油圧システム4は、オイルタンク11内に設置された水分吸着機構15を有している。また、水分吸着機構15は、底面及び側面に直径3mm程度の孔を多数あけた金属製容器16と、金属製容器16内に入れられた吸着材料17とを含み、吸着材料17は約3.0kgの3A型合成ゼオライト(細孔径:0.3nm)である。また、吸着材料17は、オイルタンク11の底面から離れた油圧作動油2の油面2S近傍に配置されている。
【0054】
[実施例2]
実施例2の作業機械は、第2実施形態の作業機械の一例である。実施例2の作業機械1では、下記表1に示すように、油圧作動油2は、実施例1の作業機械と同一のものが用いられている。また、オイルタンク11は、容量が約200Lのものである。さらに、油圧システム4は、オイルフィルタ12の後段に設置された水分吸着機構15を有している。また、水分吸着機構15は、一方の端面及び他方の端面に油圧作動油の吸入ポート16a及び排出ポート16bを設けた円筒型の金属製容器16と、金属製容器16内に入れられた吸着材料17とを含み、吸着材料17は約3.0kgの4A型合成ゼオライト(細孔径:0.4nm)である。
【0055】
[実施例3]
実施例3の作業機械1は、下記表1に示すように、吸着材料17が約3.0kgの5A型合成ゼオライト(細孔径:0.5nm)である点において、実施例1の作業機械と異なっている。
【0056】
[実施例4]
実施例4の作業機械1は、下記表1に示すように、吸着材料17がオイルタンク11の底面に配置されている点において、実施例1の作業機械と異なっている。
【0057】
[実施例5]
実施例5の作業機械1は、下記表1に示すように、吸着材料17が約3.0kgの13X型合成ゼオライト(細孔径:1.0nm)である点において、実施例1の作業機械と異なっている。
【0058】
[実施例6]
実施例6の作業機械1は、下記表1に示すように、油圧作動油2が、加水分解抑制剤(添加剤)として、1.0質量%のビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドをさらに含んでいる点において、実施例1の作業機械と異なっている。
【0059】
[比較例1]
比較例1の作業機械1は、下記表1に示すように、水分吸着機構15を有していない点において、実施例1の作業機械と異なっている。
【0060】
[比較例2]
比較例2の作業機械1は、下記表1に示すように、水分吸着機構15を有していない点、油圧作動油が基油として鉱物油を含んでいる点、並びに油圧作動油が添加剤として清浄分散剤、酸化防止剤、耐荷重添加剤、粘度指数向上剤、消泡剤、及び抗乳化剤を含んでいる点において、実施例1の作業機械と異なっている。
【0061】
[評価]
実施例1~6並びに比較例1及び2の作業機械を実際に稼働し、稼働時間毎に油圧作動油の劣化度を示す全酸価[mgKOH/g]を指示薬滴定法(JIS K 2501)により測定した。また、各実施例及び各比較例の作業機械について、全酸価が閾値(2.0mgKOH/g)を超えるまでは作業機械の運転が可能であることを前提とし、全酸価が閾値となる時の稼働時間を運転可能時間として求めた。比較例1の運転可能時間を基準として規格化した実施例1~6並びに比較例1及び2の運転可能時間を下記表1に示す。
図4は、実施例1及び比較例1における稼働時間に対する全酸価(劣化度)の変化を示すグラフである。
図4では、全酸価の閾値及び運転可能時間を合わせて示し、稼働時間及び運転可能時間を比較例1の運転可能時間を基準として規格化して示した。
【0062】
実施例1~6並びに比較例1及び2の作業機械を実際に稼働した場合において、作業機械稼働中の油圧作動油の水分量を測定した。具体的には、作業機械の稼働を開始してから5時間経過後における油圧作動油の水分量[質量ppm]をカールフィッシャー式電量滴定法(JIS K 2275)により測定した。測定結果を下記表1に示す。さらに、実施例1~6並びに比較例1及び2の作業機械に用いられた油圧作動油の生分解性を測定した。測定結果を下記表1に示す。
【0063】
【0064】
上記表1及び
図4に示すように、実施例1~3及び実施例5の作業機械の運転可能時間は、水分吸着機構を有していない比較例1の作業機械と比べて約2倍となった。また、上記表1に示すように、実施例1~3並びに実施例5の作業機械稼働中の油圧作動油の水分量は、いずれも130質量ppm以下となった。この結果から、作業機械のオイルタンク内又はオイルフィルタの後段に水分吸着機構を設置することにより、油圧作動油の水分量を低減することができるために、生分解性を有するジエステル油等の水分を多く含有する基油を含む油圧作動油を使用した場合でも、油圧作動油の劣化の進行を抑制し、作業機械の運転可能時間を長くすることができると考えられる。
【0065】
上記表1に示すように、実施例4の作業機械の運転可能時間は、水分吸着機構を有していない比較例1の作業機械と比べて約1.5倍となったが、実施例1の運転可能時間と比べて短くなった。これは、実施例4の作業機械では、吸着材料がオイルタンクの底面に配置されているために、吸着材料は油圧作動油から分離しオイルタンクの底面に溜まった水分を吸着することになり、油圧作動油中に溶解した水分をあまり吸着できなくなる結果、油圧作動油が加水分解したためであると考えられる。さらに、実施例4の作業機械稼働中の油圧作動油の水分量は、350質量ppmとなり、実施例1と比べて高い値となった。これは、同様の理由のためと考えられる。
【0066】
上記表1に示すように、実施例6の作業機械の運転可能時間は、水分吸着機構を有していない比較例1の作業機械と比べて約4倍となった。この結果から、油圧作動油2が、加水分解抑制剤(添加剤)としてビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドを含むことにより、加水分解を抑制することで油圧作動油の劣化を抑制できるので、運転可能時間を顕著に長くすることができると考えられる。
【0067】
これに対し、比較例1の作業機械の運転可能時間は1.0となり、比較例1の作業機械稼働中の油圧作動油の水分量は1060質量ppmとなった。この結果から、作業機械の油圧システムに水分吸着機構を設置しない場合、油圧作動油の水分量を低減できないために、加水分解により油圧作動油の劣化が進行し、作業機械の運転可能時間が短くなると考えられる。
【0068】
比較例2の作業機械の運転可能時間は4.0となり、比較例2の作業機械稼働中の油圧作動油の水分量は60質量ppmとなった。さらに、比較例2の作業機械に用いられた油圧作動油は生分解性が低かった。この結果から、油圧作動油として鉱物油を用いた場合、油圧作動油の水分量が小さくなり、油圧作動油の劣化の進行が遅くなる結果、作業機械の運転可能時間は長くなると考えられる。しかしながら、油圧作動油は生分解性が低いため漏洩時の環境への影響が大きくなると考えられる。
【0069】
[参考例1]
エステル系油圧作動油A(水分量:1100質量ppm)及びエステル系油圧作動油B(水分量:300質量ppm)並びに鉱物油系油圧作動油(水分量:100質量ppm以下)について、ISOT試験(Indian Stirring Oxidation Stability Test(内燃機関潤滑酸化安定度試験))を150℃の試験条件で行い、試験時間毎に油圧作動油の劣化度を示す全酸価[mgKOH/g]を測定した。
図5は、エステル系油圧作動油A及びエステル系油圧作動油B並びに鉱物油系油圧作動油における試験時間に対する全酸価の変化を示すグラフである。
【0070】
図5に示すように、エステル系油圧作動油A及びエステル系油圧作動油Bの両方の全酸価は、試験時間が経過する従って顕著に増加した。これに対し、鉱物油系油圧作動油の全酸価は、試験時間が経過してもほとんど変化がなかった。これは、エステル系油圧作動油A及びエステル系油圧作動油Bの水分量が鉱物油系油圧作動油より多いためと考えられる。
【0071】
[参考例2]
容器にエステル系油圧作動油C(初期水分量:1062質量ppm)及び3A型合成ゼオライト(細孔径:0.3nm)を入れ、一定時間毎に油圧作動油の水分量[質量ppm]を測定した。同様に、容器にエステル系油圧作動油D(初期水分量:927質量ppm)及び13X型合成ゼオライト(細孔径:1.0nm)を入れ、一定時間毎に油圧作動油の水分量[質量ppm]を測定した。
図6は、3A型合成ゼオライトとともに入れたエステル系油圧作動油C及び13X型合成ゼオライトとともに入れたエステル系油圧作動油Dにおける経過時間に対する水分量の変化を示すグラフである。
【0072】
図6に示すように、3A型合成ゼオライトとともに入れたエステル系油圧作動油C及び13X型合成ゼオライトとともに入れたエステル系油圧作動油Dの両方の水分量は、時間が経過するに従って低減した。これは、どちらのエステル系油圧作動油の水分も合成ゼオライトにより時間が経過するに従って除去されていったためと考えられる。
【0073】
[参考例3]
エステル系油圧作動油E(水分量:1000質量ppm)及びエステル系油圧作動油F(水分量:100質量ppm)について、ISOT試験を150℃の試験条件で行い、試験時間毎に油圧作動油の劣化度を示す全酸価[mgKOH/g]を測定した。なお、エステル系油圧作動油Fの水分量は合成ゼオライトを用いて予め100質量ppmに低減されている。
図7は、エステル系油圧作動油E及びエステル系油圧作動油Fにおける試験時間に対する全酸価の変化を示すグラフである。
【0074】
図7に示すように、エステル系油圧作動油E及びエステル系油圧作動油Fの両方の全酸価は、試験時間が経過する従って増加した。また、エステル系油圧作動油Eの全酸価の単位時間当たりの増加幅は、エステル系油圧作動油Fより大きくなった。これは、エステル系油圧作動油Fの水分量がエステル系油圧作動油Eより低いためと考えられる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0076】
1 作業機械
1a 走行体
1b 旋回体
2 油圧作動油
2S 油面
4 油圧システム
6 アクチュエータ
6A ブームシリンダ
6B アームシリンダ
6C バケットシリンダ
8 フロント(作業装置)
8A ブーム
8B アーム
8C バケット
9 エンジン(動力源)
10 油圧ポンプ
11 オイルタンク
12 オイルフィルタ
13 オイルクーラー
14 油圧バルブ
15 水分吸着機構
16 金属製容器
17 吸着材料
18 吸込みポート
19 戻りポート
20 オイルゲージ
21 ドレインポート
22 エアブリーザ
24 作動油ライン
25 リリーフバルブ