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特許7497175脳動脈瘤のためのストラットフローダイバータ、及びストラットのもつれを防止するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】脳動脈瘤のためのストラットフローダイバータ、及びストラットのもつれを防止するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
A61B17/12
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020037520
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2020142078
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】16/294,027
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ウォルシュ
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06589265(US,B1)
【文献】特開2003-275218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0015111(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0184452(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
A61F 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動脈瘤を治療するための装置であって、
複数の角度付きステップを含む中央ノードと、
前記中央ノードから延在する複数のねじれストラットと、を含み、前記複数のねじれストラットのうちの各ねじれストラットが、
前記中央ノードに固着され、前記中央ノードから半径方向に延在する近位部分と、
遠位部分と、
前記近位部分と前記遠位部分との間に配置された長軸と、
内側表面と、
外側表面と、
前記近位部分と前記遠位部分との間に延在し、前記内側表面及び前記外側表面に隣接し、かつ、動脈瘤壁に係合する外側スパインと、を含み、
前記ねじれストラットの各々が、前記長軸に沿ってねじられ、
前記装置が、カテーテルを通して前記動脈瘤に送達されるための畳み込み構成を含み、
前記装置が、前記動脈瘤内に固定するための拡張構成を含
前記複数の角度付きステップのうちの各角度付きステップが前記複数のねじれストラットのうちの1つのねじれストラットに固着されている、装置。
【請求項2】
前記中央ノードが横軸を含み、前記近位部分が前記横軸に対してある角度で固着されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中央ノードが縦軸を含み、
前記畳み込み構成では、前記ねじれストラットが前記縦軸周りにねじれており、
前記拡張構成では、前記ねじれストラットが整列されている、請求項1に記載の装置
【請求項4】
前記畳み込み構成では、前記複数のねじれストラットのうちの少なくとも一部分の前記遠位部分の前記内側表面が、隣接するねじれストラットの前記遠位部分の前記外側表面と接触する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記中央ノードが円筒形であり、前記複数のねじれストラットのうちの各ねじれストラットの前記近位部分が、円筒形の前記中央ノードから半径方向に延在する、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記複数のねじれストラットが動脈瘤嚢内に延在するように拡張可能であり、前記複数のねじれストラットのうちの各ねじれストラットの前記外側スパインが動脈瘤壁と係合するように位置付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記中央ノードに固着され、前記中央ノードから半径方向に延在し、第1の血管壁に係合する近位安定化フレームを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記近位安定化フレームが、第1の血管枝において前記第1の血管壁と係合し、第2の血管枝において第2の血管壁と係合する、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記近位安定化フレームが、第1のフレームアーム及び第2のフレームアームを含み、前記第1のフレームアームが前記第1の血管壁に係合し、前記第2のフレームアームが前記第2の血管壁に係合する、請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、動脈瘤治療装置に関し、より具体的にはフローダイバータに関する。
【背景技術】
【0002】
頭蓋動脈瘤は複雑であり、重要な脳組織に近接していることに起因して、治療するのが困難であり得る。これまでの解決策としては、動脈の血圧及び血流から動脈瘤嚢の内部容積が除去又は排除される血管内治療が挙げられる。血管内又は他の外科的アプローチの現行の代替例としては、動脈瘤の嚢を塞栓材料で充填する、動脈瘤頸部から血液をそらせる、あるいはその両方で動脈瘤への血流を防止する装置をインプラントすることを含むことができる。動脈瘤嚢を充填するときに、塞栓材料が、血液を凝固させ、動脈瘤内に血栓塊を生成する。動脈瘤頸部を治療するときに、動脈瘤の入口への血流が阻害され、かつ/あるいはそらされて血管を流れ、動脈瘤内で静脈のうっ血を誘発し、動脈瘤内の血栓塊の自然な形成を促進する。
【0003】
現行の治療は、主にステント及び/又は塞栓コイルをインプラントすることを含む。ステントは、血管内で拡張されて動脈瘤の頸部にわたって延在することができ、それにより動脈瘤から離れて血管を通るように血流を効果的にそらす。しかし、ステントは、典型的には、分岐部に位置する動脈瘤に対して実行可能な治療装置ではない。これは、ステントが分岐部で脈管構造を通る血流を阻害し得るためである。塞栓コイルは、典型的には、動脈瘤に詰め込むため、場合によっては動脈瘤頸部を治療するための現行の治療に使用される。塞栓コイルはあいにく、典型的には、幅広い頸部の動脈瘤のための実行可能な治療装置ではない。これは、塞栓コイルが再開通し、動脈瘤頸部全体にわたって十分ではない到達範囲を提供し、かつ/あるいは隣接する血管内に延在し得るためである。ステントは塞栓コイルと関連して使用することができ、そのような戦略では、典型的には塞栓コイルが動脈瘤嚢に詰め込まれ、ステントは、コイルが動脈瘤を脱出することを阻止する。しかし、ステント又は塞栓コイルはいずれも、分岐部に位置する幅広い頸部の動脈瘤のための理想的な治療装置ではない。
【0004】
いくつかのインプラント構造が、分岐部に位置する動脈瘤を治療するために調査されている(米国特許第10,004,510号)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、動脈瘤、特に分岐部に位置する幅広い頸部の動脈瘤を治療するための改善された又は代替的なインプラント構造が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に提示される実施形態は、動脈瘤を治療するための装置及びインプラント、並びにその製造及び/又は使用方法を含む。本明細書で説明されるインプラントは、フローダイバータとして使用することができ、概して、中央ノードから延在する複数のねじれストラットを含むことができる。ねじれストラットは、ストラットの長軸に沿ってねじられていることができる。インプラントは、中央ノードに固着され、中央ノードから半径方向に延在する近位部分を有することができる。ねじれストラットは、遠位部分を有することができる。長軸は、ねじれストラットの近位部分と遠位部分との間に配置され得る。ねじれストラットは、内側表面を有することができる。ねじれストラットは、外側表面を有することができる。ねじれストラットは、外側スパインを有することができる。インプラントは、カテーテルを通じて動脈瘤に送達されるための畳み込み構成を有することができる。インプラントは、動脈瘤内で固定するための拡張構成を有することができる。
【0007】
中央ノードは横軸を有することができ、ねじれストラットの近位部分は、横軸に対してある角度で固着され得る。
【0008】
中央ノードは、縦軸を含むことができる。ねじれストラットは、インプラントが畳み込み構成にあるときに、縦軸周りにねじられていることができる。これは、カテーテルへの及びカテーテルからのインプラントの送達を助けることができる。インプラントが拡張構成にあるときに、ねじれストラットを整列し、非インターリーブにすることができる。これは、動脈瘤内へのインプラントの拡張を助けることができる。
【0009】
ねじれストラットの遠位部分の内側表面は、隣接するねじれストラットの遠位部分の外側表面と接触することができる。これは、畳み込み構成へのインプラントの畳み込みを助けることができる。
【0010】
中央ノードは、複数の角度付きステップを有することができる。角度付きステップは、1つのねじれストラットに固着され得る。
【0011】
中央ノードは円筒形とすることができる。各ねじれストラットの近位部分は、円筒形の中央ノードから半径方向に延在することができる。
【0012】
ねじれストラットは、動脈瘤嚢内に延在するように拡張可能とすることができる。各ねじれストラットの外側スパインは、動脈瘤壁と係合するように位置付けされ得る。
【0013】
インプラントは、近位安定化フレームを有することができる。近位安定化フレームは中央ノードに固着され、中央ノードから半径方向に延在することができる。近位安定化フレームは、第1の血管壁に係合することができる。
【0014】
近位安定化フレームは、第1の血管枝における第1の血管壁と係合することができる。近位安定化フレームは、第2の血管枝における第2の血管壁と係合することができる。
【0015】
近位安定化フレームは、第1のフレームアーム及び第2のフレームアームを有することができる。第1のフレームアームは第1の血管壁に係合することができ、第2のフレームアームは第2の血管壁に係合することができる。動脈瘤が分岐部に位置するときに、第1のフレームアーム及び第2のフレームアームは、互いに反対側に延在することができ、第1の血管壁は、分岐部の第1の枝とすることができ、第2の血管壁は、分岐部の第2の枝とすることができる。
【0016】
動脈瘤を治療するための例示的な方法は、中央ノード及び複数のねじれストラットを有するフローダイバータを提供することを含むことができる。中央ノードは、縦軸を有することができる。ねじれストラットは、中央ノードに固着され、中央ノードから半径方向に延在する近位部分を有することができる。ねじれストラットは、遠位部分を有することができる。ねじれストラットは、近位部分と遠位部分との間に長軸を有することができる。ねじれストラットは、内側表面、外側表面及び外側スパインを有することができる。本方法は、ねじれストラットをそれらの長軸に沿ってねじることを含むことができる。本方法は、中央ノードの縦軸周りにねじれストラットをねじることを含むことができる。本方法は、フローダイバータを動脈瘤治療部位に送達することと、ねじれストラットの遠位部分を動脈瘤嚢内に挿入することと、動脈瘤嚢内から動脈瘤壁と係合するようにねじれストラットを拡張することと、を含むことができる。ねじれストラットを拡張することは、ねじれストラットを縦軸周りのそれらの位置からほどくことと、ねじれストラットの外側スパインで動脈瘤壁と係合することとを含むことができる。本方法は、フローダイバータで動脈瘤頸部をブロックして、動脈瘤から動脈瘤に隣接する血管への血流をそらすことを含むことができる。
【0017】
フローダイバータは、中央ノードに固着され、中央ノードから半径方向に延在する近位安定化フレームを有することができる。本方法は、近位安定化フレームを拡張して血管壁と係合させることを含むことができる。
【0018】
近位安定化フレームは、第1のフレームアーム及び第2のフレームアームを含むことができる。近位安定化フレームを拡張するステップは、第1の血管枝における動脈瘤頸部の近くの第1の血管壁に第1のフレームアームを係合することを含むことができる。近位安定化フレームを拡張するステップは、第2の血管枝における動脈瘤頸部の近くの第2の血管壁に第2のフレームアームを係合することを含むことができる。
【0019】
フローダイバータをカテーテル内に装填するための例示的な方法は、中央ノード及び複数のねじれストラットを有するフローダイバータを提供することを含むことができる。中央ノードは、縦軸を有することができる。ねじれストラットは、近位部分を有することができる。ねじれストラットは、遠位部分を有することができる。ねじれストラットは、近位部分と遠位部分との間に長軸を有することができる。ねじれストラットは、内側表面、外側表面及び外側スパインを有することができる。本方法は、ねじれストラットの各々をそれらの長軸に沿ってねじることと、ねじれストラットの遠位部分から隣接するねじれストラットまでの第1の所定距離を設定することと、フローダイバータの近位部分をカテーテル内に位置付けることと、フローダイバータの近位部分をカテーテルに挿入することと、ねじれストラットの遠位部分を、隣接するねじれストラットからの第1の所定距離から隣接するねじれストラットからの第2の所定距離まで移動させることと、を含むことができる。第2の所定距離は、第1の所定距離よりも小さくすることができる。本方法は、複数のねじれストラットをインターリーブすることを含むことができる。複数のねじれストラットをインターリーブするステップは、中央ノードの縦軸周りにねじれストラットをねじることと、ねじれストラットの遠位部分の内側表面を隣接するねじれストラットの外側表面上に位置付けることとを含むことができる。
【0020】
フローダイバータは、中央ノードに固着され、中央ノードから半径方向に延在する近位安定化フレームを有することができる。この方法は、近位安定化フレームを畳み込んでカテーテル内に収めることを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の上記及び更なる態様は、添付の図面と併せて以下の説明を参照して更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することが重視されている。図は、限定としてではなく単なる例示として、本発明の装置の1つ又は2つ以上の実装形態を描写している。
図1】本発明による例示の動脈瘤治療装置の図である。
図2A】本発明による例示の中央ノードの図である。
図2B】本発明による、角度付きステップを及び半径方向に延在するねじれストラットを有する例示の中央ノードの図である。
図2C】本発明による、半径方向に延在するねじれストラットを備えた例示の円筒形の中央ノードの図である。
図2D】本発明による、ねじれストラットのねじれを示す中央ノードの平面図である。
図3A】本発明による、インプラントされた例示の動脈瘤治療装置の切欠図である。
図3B】本発明による、図3Aに示されるような近位端から見た図3Aのインプラントされた例示の動脈瘤治療装置の断面図である。
図4】本発明による、畳み込み構成の例示の動脈瘤治療装置の図である。
図5A】本発明による、カテーテル内に装填された畳み込み構成の例示の動脈瘤治療装置の図である。
図5B】本発明による、カテーテルから部分的に排出された例示の動脈瘤治療装置の図である。
図5C】本発明による、カテーテルから完全に排出された例示の動脈瘤治療装置の図である。
図6】本発明による、近位安定化フレームを備えた例示の動脈瘤治療装置の分解図である。
図7】本発明による、近位安定化フレームを備えた例示の動脈瘤治療装置の図である。
図8】本発明による、カテーテル内に装填された畳み込み構成の近位安定化フレームを有する例示の動脈瘤治療装置の図である。
図9A】本発明による、動脈瘤治療部位に送達される、近位安定化フレームを有する例示の動脈瘤治療装置の切欠図である。
図9B】本発明による、カテーテルから排出された後の、近位安定化フレームを有する例示の動脈瘤治療装置の切欠図である。
図9C】本発明による、完全展開構成にあり、血管壁に係合する近位安定化フレームを有する例示の動脈瘤治療装置の切欠図である。
図9D】本発明による、図9Cに示されるような近位端から見た図9A図9Bのインプラントされた例示の動脈瘤治療装置の断面図である。
図10】本発明による動脈瘤を治療するための方法を示すフロー図である。
図11】本発明による動脈瘤を治療するための方法を示すフロー図である。
図12】本発明による動脈瘤を治療するための方法を示すフロー図である。
図13】本発明による動脈瘤を治療するための方法を示すフロー図である。
図14】本発明による、例示的な動脈瘤治療装置をカテーテル内に装填するための方法を示すフロー図である。
図15】本発明による、例示的な動脈瘤治療装置をカテーテル内に装填するための方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
フローダイバータは、動脈瘤から離れるように血流を指向する血管内装置である。大部分のフローダイバータは、側壁動脈瘤を治療する。しかし、多くの動脈瘤は分岐部で発生する。本明細書で開示される例示的な動脈瘤治療装置は、分岐部にインプラント可能であり、脈管構造への侵入を最小限に抑えて定位置に固定することができるフローダイバータを含むことができる。しかし、本明細書で説明される動脈瘤治療装置は、分岐部にインプラントされることに限定されないと理解され得る。本明細書で説明される装置は、側壁動脈瘤を含む任意の動脈瘤内で使用することができる。
【0023】
本明細書の例示的な装置は、概して、中央ノードから延在する複数のストラットを有することができる。各ストラットは、その長軸に沿ってわずかなねじれを備えて形成され得る。このわずかなねじれは、カテーテル内及びカテーテルからの装置の滑らかな後退及び展開を容易にすることができる。例えば、各ストラットの長軸に沿ったわずかなねじれは、複数のねじれたストラットの各々がインターリーブすることを可能にし、したがって、ストラットの縁部同士の衝突を回避する。複数のストラットを備えた装置では、ストラットのインターリーブは、装置のカテーテルへの均一な詰め込みを提供することができる。カテーテル内のインターリーブされたストラットの均一な詰め込みはまた、いったんカテーテルから排出された装置の最終形状の歪みを防止することができ、したがって、展開された装置の治療有効性を改善するのに役立つ。適切な最終形状を維持することは、動脈瘤嚢内に存在し、動脈瘤の内壁と係合するように設計されるため、フローダイバータ装置の機能にとって重要である。
【0024】
本明細書の例示的な装置は、近位安定化フレームを有することができる。近位安定化フレームは、中央ノードから延在する1つ又は2つ以上のフレームアームを含むことができる。1つ又は2つ以上のフレームアームは、動脈瘤頸部近くの1つ又は2つ以上の血管壁と係合することができる。血管壁と係合することにより、動脈瘤嚢内での装置の回転を安定させることができる。本明細書の任意の例示的な装置では、装置は、ニチノール又は他の形状記憶材料から作製され、レーザー切断及び形状設定されたシートに形成され得る。例えば、装置のストラット、フレーム、ノード、及び/又は任意の他の態様若しくは特徴は、ニチノール又はカテーテルから展開され、動脈瘤嚢内で所望の拡張構成に拡張することができる任意の他の形状記憶材料から作製され得る。
【0025】
図を参照すると、図1図9Dに示されるように、例示的な動脈瘤治療装置は、ストラットを備えたフローダイバータ100を含むことができる。ストラットを備えたフローダイバータ100は、中央ノード120から延在する複数のねじれストラット140を有することができる。各ねじれストラット140は、近位部分142及び遠位部分144を有することができる。ねじれストラット140の近位部分144は、中央ノード120に取り付けられ得る。近位部分144と遠位部分142との間にはストラットねじれ141が配置されている。ストラットねじれ141は、ねじれストラット140の長軸145に沿ったねじれである。以下により詳細に説明するように、このストラットねじれ141は、ねじれストラット140が畳み込み構成に畳み込まれているときに、インターリーブすることを可能にする。ねじれストラットは、ストラット内側表面146及びストラット外側表面147を有することができる。これらの表面146、147は、ねじれストラット140が隣接するねじれストラット140によりかかるための領域を提供する。ねじれストラット140は、ストラットを備えたフローダイバータ100が動脈瘤10内に拡張されるときに、動脈瘤壁に係合する外側スパイン148を有することができる。
【0026】
図1は、拡張構成にある例示のストラットを備えたフローダイバータ100の上面斜視図である。いくつかの例では、この拡張構成は、インプラントされたストラットを備えたフローダイバータ100の例示である。図に見られるように、ストラットを備えたフローダイバータ100は、中央ノード120からすべて半径方向に延在する複数のねじれストラット140を有することができる。ストラットを備えたフローダイバータ100は、図に示すように12個のねじれストラット140を有することができる。しかし、任意の数のねじれストラット140が、装置内に実装され得る。当業者に理解されるように、動脈瘤内の詰め込み密度は、動脈瘤内の装置の耐久性、及び/又は動脈瘤を塞栓する能力などの様々な属性を達成するために変更されてもよい。したがって、ストラットを備えたフローダイバータ100の所望の属性を達成するために、ねじれストラット140の数を変更することができる。
【0027】
ストラットを備えたフローダイバータ100は、各ねじれストラット140の近位部分144と遠位部分142との間に配置されたストラットねじれ141を有することができる。ストラットねじれ141は、ストラットを備えたフローダイバータ100が畳み込まれてカテーテル内に収まっているときに、ねじれストラット141の各々がインターリーブするのを助けることができる。ストラットねじれ141は、各ねじれストラット140の長軸145に沿って近位部分144と遠位部分142との間に位置することができる。図1に示すように、各ねじれストラット140は、近位部分144から遠位部分142まで長軸145に沿って幅を増加させることができる。ねじれストラット140は、図に示すように、近位部分144と遠位部分142との間のポイントで最大幅を有することができる。いくつかの例では、ねじれストラット140は、近位部分144において最大幅を有することができる。他の例では、ねじれストラット140は、近位部分144から遠位部分142まで均一な幅を有することができる。ストラットを備えたフローダイバータ100は、装置が完全に拡張及びインプラントされたときに動脈瘤の壁に係合する外部スパイン148を有することができる。したがって、外側スパイン148は、動脈瘤の壁を穿孔又は断裂しないように、鈍的、平滑、又は同様の非外傷性とすることができる。
【0028】
図2Aは、例示の中央ノード120の斜視図である。いくつかの実施例では、中央ノード120は、図に示すように複数の角度付きステップ122を含むことができる。本明細書で説明する任意の実施例では、中央ノード120が図示のようにカニューレ状とすることができ、あるいは中央ノード120が固体とすることができる。図2Bは、図2Aに示されるものと同様の例示の中央ノード120を示す。いくつかの実施例では、各角度付きステップ122は、1つのねじれストラット140の近位部分144に固着することができ、各ねじれストラット140は、角度付きステップ122の角度で開始して、中央ノード120から半径方向に延在することができる。
【0029】
図2Cは、例示の中央ノード120の斜視図である。いくつかの実施例では、中央ノード120は円筒形とすることができ、各ねじれストラット140は、中央ノードから半径方向に延在している。本明細書で説明する任意の例では、中央ノード120は、ノード横軸124を有することができる。ねじれストラット140の近位部分144は、ノード横軸124に対してある角度で中央ノード120に固着され得る。図に関連して本開示を読むと明らかとなるように、このストラット角度126は、複数のねじれストラット140が、ノード縦軸128周りに螺旋状に一緒にねじれるのを容易にするのに役立つことができる。縦軸128周りのこの螺旋状のねじれは、ねじれストラット140が、インターリーブしてカテーテル内で詰め込まれるように畳み込み構成となるのを助ける。近位部分144とノード横軸124との接続の間のストラット角度126は、縦軸128周りにねじれストラット140の螺旋状のねじれを容易にする任意の角度とすることができる。ステップ角度126は、0度~90度の任意の角度とすることができる。しかし、いくつかの実施例では、近位部分144の取り付けとノード横軸124との間のストラット角度126の代わりに、ねじれストラット140は、0度又は90度でノード横軸124まで延在し、急激にねじれて、縦軸128周りの螺旋状のねじれに必要なねじれを生成することができる。図2A及び図2Bに示す例示的な中央ノード120では、ストラット角度126は、角度付きステップ122の角度によって画定することができる。
【0030】
図2Dは、ねじれストラット140の螺旋状ねじれを示す例示のストラットを備えたフローダイバータ100の平面図である。上述のように、ストラット角度126(図2Cに示す)及び各ねじれストラット140の長軸に沿ったストラットねじれ141の両方が、ストラットを備えたフローダイバータ100が畳み込み構成に畳み込まれるときのねじれストラット140のまとまったインターリーブを容易にする。図2Dは、装置をカテーテルに詰め込むのを助けるインターリーブの図である。いくつかの実施例では、ねじれストラット140の遠位部分142の内側表面は、隣接するねじれストラット140の遠位部分142の外側表面147に接触することができる。各ねじれストラット140のこのインターリーブは、それぞれ隣接するねじれストラット140がまとまってきちんと詰め込まれ、1つの外側表面147が隣接する内側表面146によりかかっているセクションを生成することができる。
【0031】
図3Aは、本発明による、例示のストラットを備えたフローダイバータ100の切欠図である。インプラントされるときに、中央ノード120は、動脈瘤頸部16の中央付近に位置付けられ得る。ねじれストラット140は、中央ノード120から動脈瘤嚢12へと遠位に延在することができる。ねじれストラット140は動脈瘤壁14と係合することができ、それにより動脈瘤10内に装置を固定する。図3Bは、図3Aに示されるような近位端から見た図3Aのインプラントされた例示の動脈瘤治療装置の切欠図である。図は、動脈瘤頸部16の中央付近に位置付けられた中央ノードを示す。いくつかの例では、ねじれストラット140が動脈瘤嚢12内へと遠位に延在すると(図3Bには現在の図に遠位にあるように図示せず)、ねじれストラット140と動脈瘤壁14との間の接触が動脈瘤嚢12内での装置の回転を防止する。しかし、ストラットを備えたフローダイバータ100の球形形状は、中央ノード120が動脈瘤頸部16内の任意の特定の位置に位置付けられることを必要としない。この詰め込み密度は、装置が動脈瘤内で回転するときであっても同じままとすることができる。
【0032】
図4は、畳み込み構成にある、例示のストラットを備えたフローダイバータ100の側面図である。上述したように、ストラットを備えたフローダイバータ100は、ねじれストラット140が縦軸128周りにねじられている(図2Cに示すように)畳み込み構成を有することができる。縦軸周りのこのねじれにより、ねじれストラット140が畳み込み構成に畳み込まれているときに、螺旋のようにぐるぐる巻くことを可能にする。これにより、ストラットがインターリーブされたストラット160のセットとしてインターリーブすることを可能にする。このインターリーブは、装置が畳み込まれてカテーテル内に収まっているときに、それぞれの個々のねじれストラット140間の縁間衝突を回避する。図4のインターリーブされたストラット160のこの図は、ストラットを整列し、非インターリーブにする図1図3Bに見られる拡張構成と対比される。インターリーブされたストラット160はまた、カテーテル内及びカテーテルからの滑らかな後退及び展開を促進する。
【0033】
図5Aは、カテーテル600内に装填された畳み込み構成の例示のストラットを備えたフローダイバータ100の断面図である。ストラットを備えた例示のフローダイバータ100は、カテーテル600を通じて治療部位に送達されるように寸法決めされている。この図は、畳み込み構成におけるインターリーブされたストラット160のセットの利益を示し、それぞれのねじれストラット140はきちんとまとめて詰め込まれ、1つの外側表面(図5Aには示さず)が隣接する内側表面(図5Aには示さず)によりかかっている。インターリーブされたストラット160は、カテーテル600内で均一な詰め込みを生成し、装置の最終形状の歪みを防止するのを助ける。例えば、限定するものではないが、インターリーブは、ねじれストラット140がそれらの湾曲形状及び螺旋形状を維持するのに役立ち、装置がカテーテル600内に後退し、カテーテル600から展開されるときに、湾曲を残すことができ、ねじれストラット140が動脈瘤の内壁14と適切に係合することができる。
【0034】
畳み込まれたストラットを備えたフローダイバータ100の周囲径は、第1に、治療に使用されるカテーテル600の内径に応じ、第2に、完全に拡張されたストラットを備えたフローダイバータ100の所望の最終周囲径に応じることができる。畳み込まれた周囲径150は、カテーテル600内に置かれているときの畳み込まれた装置の外径を指す。球形形状のフローダイバータで理解され得るように、畳み込まれた周囲径150は、畳み込まれた装置の「最も広い」ポイントで取得された直径とすることができ、装置100の畳み込まれた性質により赤道又は他の場所におけるものであってもよい。拡張された装置(図5Cに見られるように)の拡張された周囲径152は、不均一な形状の球体の赤道又は「最も広い」ポイントで再度測定され得る。これらの寸法は、装置100が動脈瘤10内に置かれているときと関連することができる。理解されるように、畳み込まれたストラットを備えたフローダイバータ100の畳み込まれた周囲径150は、(図3A図3Bに示すように)動脈瘤頸部16の直径よりも小さくあるべきである。また、拡張されたストラットを備えたフローダイバータ100の拡張された周囲径152は、動脈瘤壁14の第1の側から第1の側とほぼ直径方向に反対の第2の側への動脈瘤10の直径と実質的に等しくあるべきであり、これは、実質的に等しい拡張された周囲径152は、(i)動脈瘤10内の装置の過度な回転を防止することができ、(ii)動脈瘤壁14への過剰な圧力を防止することができるためである。したがって、例示の動脈瘤頸部16が1mm~20mmの範囲である場合、畳み込まれたストラットを備えたフローダイバータ100の畳み込まれた周囲径150は、1mm~20mmとすることができると考えられる。理解されるように、動脈瘤頸部16の更なる直径が可能性としてあり、したがって、畳み込まれたストラットを備えたフローダイバータ100の畳み込まれた周囲径150の更なる範囲が、本発明において可能性としてある。また、例示の動脈瘤10が、1mm~30mmの範囲で壁14から壁14までの直径を有する場合、拡張されたストラットを備えたフローダイバータ100の拡張された周囲径152は、1mm~30mmとすることができると考えられる。理解されるように、壁14から壁14までの動脈瘤10の更なる直径が可能性としてあり、拡張されたストラットを備えたフローダイバータ100の拡張された周囲径152の更なる範囲が、本発明において可能性としてある。
【0035】
図5Bは、カテーテル600から部分的に排出された例示のストラットを備えたフローダイバータ100の断面図である。図に示すように、装置がカテーテル600から排出されているときに、ねじれストラット140は、縦軸128(図2Cに示す)周りのそれらの螺旋状のねじれからほどけるため、互いに分離する。装置がほどけるため、一連の部分的にインターリーブされたストラット162が動脈瘤10内に配置され得る。図5Cは、カテーテル600から完全に排出された例示のストラットを備えたフローダイバータ100の斜視図である。この図は、ねじれストラット140がそれらの完全拡張構成に拡張した装置を示し、インターリーブされていない、すなわち完全に分離したストラット164を備えた装置を提供する。
【0036】
図6は、近位安定化フレーム180を備えた例示のストラットを備えたフローダイバータ100の斜視分解図である。ストラットを備えたフローダイバータ100は、中央ノード120に固着された近位安定化フレーム180を有することができる。本明細書でより詳細に示すように、近位安定化フレーム180は、中央ノード120から半径方向に延在し、動脈瘤嚢の外側の1つ又は2つ以上の血管壁と係合することができる。近位安定化フレーム180は、1つ又は2つ以上のフレームアーム182を有することができる。例示的な図は、4つのフレームアーム182を示すが、近位安定化フレームは、装置がインプラントされる部位に応じて、1つ、2つ、3つ、4つ又はそれ以上のフレームアーム182を有することができる。フレームアームは、中央ノード120から半径方向に延在して、血管壁と係合することができる。フレームアーム182は、所定の形状、又は静止形状を有することができる。所定の形状は、リーフ、マークイス、バー、又管内に延在し、管壁と係合することが可能な任意の他の形状とすることができる。近位安定化フレーム180のフレームアーム182は、記憶形状材料、例えば、限定するものではないが、ニチノールから作製されることができ、所定の形状は、装置をカテーテル内に装填する前に、近位安定化フレーム180を熱設定することによって作製されることができる。近位安定化フレーム180のフレームアーム182は、血管壁に接触する表面に沿って滑らかであるか、そうでなければ非外傷性であるとすることができる。いくつかの実施例では、フレームアーム182は、管壁との接触を助ける更なる特徴、例えば、限定するものではないが、グリッパ、粗面、又は拡幅表面を有することができる。
【0037】
図7は、取り付けられた近位安定化フレーム180を備えた例示のストラットを備えたフローダイバータ100の斜視図である。本図は、完全拡張構成の装置を示す。例えば、ねじれストラット140は互いに分離され、近位安定化フレーム180のアーム182は、それらの所定の拡張位置に拡張される。
【0038】
図8は、畳み込み構成にあり、カテーテル600内に装填された、近位安定化フレーム180を備えた例示のストラットを備えたフローダイバータ100の断面図である。例示のストラットを備えたフローダイバータ100は、カテーテル600を通じて治療部位に送達されるように寸法決めされている。図は、図5Aに示される実施形態と同様であるが、この例は、近位安定化フレーム180を有する装置を示す。近位安定化フレーム180を装填位置に畳み込むことができ、畳み込むことは、近位安定化フレームアーム182を下方に折り曲げ又は曲げて、カテーテル600内に収めることを含む。この折り曲げ又は曲げは、ねじれストラット140から離れるか、あるいはねじれストラット140に向かうかのいずれかとすることができる。装置のより遠位部分(中央ノード120の遠位のねじれストラット140)が治療部位に挿入されると、フレームアーム182は、血管壁周りに位置付けられるように辿ることができる。
【0039】
図9Aは、動脈瘤治療部位に送達される近位安定化フレーム180を有する例示のストラットを備えたフローダイバータ100を示す。上述したように、ストラットを備えたフローダイバータ100のより遠位部分が最初に動脈瘤頸部16を通じて動脈瘤100内に送達され得る。図9Bは、カテーテル600から完全に排出された後の、近位安定化フレーム180を有する例示のストラットを備えたフローダイバータ100の切欠図である。図に見られるように、装置のより遠位部分は、図3Aで説明したインプラント構成と同様の方法で動脈瘤10の動脈瘤壁14と係合することができる。近位安定化フレーム180を備えた装置では、フレーム180がカテーテル600を出ると、近位安定化フレーム180のフレームアーム182は、カテーテル600内でそれらの装填された折り曲げられた状態から、それらの拡張された所定位置へと延在することができる。
【0040】
図9Cは、近位安定化フレーム180備えた例示のストラットを備えたフローダイバータ100の切欠図であり、完全展開構成では、フレームアーム182は管壁22a、22bに係合する。図9Cの説明は、本明細書で説明される発明が、分岐部でどのように利用することができるかを示す。例えば、幹血管21は、第1の血管枝20aと第2の血管枝20bとの間の分岐部で交わる。この例において動脈瘤10がこの分岐部に見られる。しかし、上述のように、本明細書で説明される本発明は、分岐部にインプラントされることに限定されない。装置がインプラントされると、カテーテル600は、更なる治療のために必要に応じて除去又は再度位置付けされ得る。また、装置100を必要に応じてカテーテル600内に後退させることもできる。後退させるときは、近位安定化フレーム180がねじれストラット140に向かって上方に畳み込まれることができ、ねじれストラット140は、本明細書で説明するように、縦軸周りに螺旋状にねじれ、インターリーブすることができる。
【0041】
図9Cの例示のストラットを備えたフローダイバータ100は、中央ノード120から延在する複数のフレームアームを示す。近位安定化フレーム180のフレームアーム184a、184b(図6図7のフレームアーム182として示される)は、中央ノード120から半径方向に延在して、第1の血管枝20aにおける第1の血管壁22a及び第2の血管枝20bにおける第2の血管壁22bと係合することができる。分岐した管20a、20bは、典型的には、図9Cに示すように、幹血管21から互いに反対側に延在する。したがって、この例では、各フレームアーム184a、184bが、互いに反対側に位置付けられる血管枝20a、20bの壁22a、22bと係合するために、互いの反対側に位置付けられることが有利であり得る。血管枝が反対ではない他の解剖学的形状が存在し、フレームアームは、互いに反対側ではない血管枝とより良好に係合するために、別の設計(図示せず)において互いにある角度で位置付けられ得ると想到される。
【0042】
図9Dは、図9Cに示すように近位端から見た図9A図9Bのストラットを備えたフローダイバータ100を示す。図示のように、装置は、中央ノード120から延在する4つのフレームアーム182を有することができる。図示のように、フレームアーム182は、2つのフレームアーム182が枝管20a、20b内に延在し、他の2つのフレームアーム182が枝管20a、20bに直交して延在するように整列され得る。示された方法で位置付けられると、枝管20a、20b内に延在するフレームアーム182は、埋め込まれたときに実質的に真っ直ぐとなることができ、フレームアーム182は、インプラントされたときに脈管構造の解剖学的構造の湾曲に追従して湾曲することができる。また、フレームアーム182は、枝管20a、20bに完全に係合するのに必要な追加の長さ、あるいは幹管21の直径に対してより短い長さであってもよいことを考慮して異なる寸法にすることができる。異なる寸法のフレームアーム182は、異なる放射線不透過性マーカーを有して、患者の特定の配置のためのそれぞれの寸法を決定することができる。
【0043】
装置は、枝管20a、20bに関して様々な回転整列で配向された4つのフレームアーム182を有することができ、ストラットを備えたフローダイバータ100を効果的に安定にするために、任意のフレームアーム182が枝管20a、20bと整列する必要はないと想到される。例えば、各フレームアーム182は、枝管20a、20bに関して約45度に配向されることができ、各フレームアーム182とも枝管20a、20bのうちの1つの中に延在し、それぞれの枝管20a、20bの周の曲率に従うように湾曲するようにする。フレームアーム182は、枝管20a、20bに対して任意の回転配向でインプラントされたときに、ストラットを備えたフローダイバータ100を安定化するのに有効であり得ると想到される。複数又は無限の回転整列の選択肢を有することにより、ストラットを備えたフローダイバータ100をインプラント中により容易に位置付けることができる。
【0044】
図示していないが、図1図5Cに示される例示的な装置が、図6図9Dに示される原理及びステップによりインプラントされ得ると理解されるべきである。また、ストラットを備えたフローダイバータ100は、様々な実施例からの要素を混合及びマッチングすることによって構築され、使用され得ることを理解されたい。図1図9Dに見られる特徴又は形状の任意の組み合わせが、当業者によって理解されるであろう。
【0045】
図10図13は、動脈瘤を治療するための方法を示すフロー図である。これらの方法のステップは、本明細書で説明される例示的な手段のいずれかによって、あるいは当業者に既知である任意の手段によって実施することができる。
【0046】
図10に概説する方法700を参照すると、ステップ710では、フローダイバータを提供することができる。フローダイバータは、中央ノードと、中央ノードから延在する複数のねじれストラットとを有することができる。ステップ720では、フローダイバータを動脈瘤の治療部位に送達することができる。本明細書で説明されるように、フローダイバータは、カテーテルを介して動脈瘤の治療部位に送達され得る。フローダイバータは、畳み込み構成でカテーテルに装填され得る。畳み込み構成は、ねじれストラットをそれらの長軸に沿ってねじることと、縦軸に沿ってねじれストラットをねじり、それにより螺旋状のインターリーブされたストラットのセットを作成することを含む。ステップ730では、フローダイバータの遠位部分を動脈瘤の動脈瘤嚢に挿入することができる。ステップ740では、フローダイバータのねじれストラットが動脈瘤嚢内から動脈瘤壁と係合するように、それらの畳み込み構成から拡張され得る。ねじれストラットの拡張は、ねじれストラットを縦軸線周りのそれらの位置からねじりをとること、又はそれらの螺旋状の形状をほどくことを含む。ステップ750では、拡張されたねじれストラットがねじれストラットの外側スパインにおいて動脈瘤壁と係合する。ステップ760では、インプラントされた装置が動脈瘤から動脈瘤に隣接する血管へ血流をそらすことができる。
【0047】
図10に示す方法700は、図11に概説するステップのうちの1つ又は2つ以上を更に含むことができる。図11に概説する方法800を参照すると、ステップ810では、近位安定化フレームを備えたフローダイバータを提供することができる。フローダイバータは、中央ノードに取り付けられ、中央ノードから半径方向に延在する近位安定化フレームを有することができる。ステップ812では、近位安定化フレームが、本明細書に記載されるように、1つ又は2つ以上の血管壁に係合するために装填位置から拡張され得る。
【0048】
図10及び図11に示すような方法700及び方法800は、図12に概説するステップのうちの1つ又は2つ以上を更に含むことができる。図12に概説する方法814を参照すると、ステップ884では、近位安定化フレームを備えたフローダイバータが第1のフレームアーム及び第2のフレームアームを有することができる。第1のフレームアームは、第1の血管枝において動脈瘤頸部の近くの第1の血管壁と係合するように、装填位置から拡張され得る。ステップ886では、第2のフレームアームは、第2の血管枝において動脈瘤頸部の近くの第2の血管壁と係合するように、装填位置から拡張され得る。
【0049】
図10に示す方法700は、図13に概説するステップのうちの1つ又は2つ以上を更に含むことができる。図13に概説する方法890を参照すると、ステップ892では、フローダイバータを幹血管の反対側の分岐血管間に位置する動脈瘤内にインプラントすることができる。ステップ894では、インプラントされたフローダイバータは、幹血管から分岐血管へ血流をそらすことができる。ステップ896では、インプラントされたフローダイバータは、動脈瘤内に静脈のスタシスを誘導することができる。
【0050】
図14図15は、例示のストラットを備えたフローダイバータ100をカテーテル600内に装填するための方法を示すフロー図である。これらの方法のステップは、本明細書で説明される例示的な手段のいずれかによって、あるいは当業者に既知である任意の手段によって実施することができる。
【0051】
図14に概説する方法900を参照すると、ステップ910では、中央ノードと、中央ノードから延在する複数のねじれストラットとを有するフローダイバータを提供することができる。フローダイバータは、拡張構成にあることができ、ねじれストラットは互いに分離され、インターリーブされていない。この拡張構成では、各ねじれストラットの遠位部分は、隣接するねじれストラットの遠位部分から第1の所定距離を有するように設定され得る。この第1の所定距離は、装置の所望の拡張形状に基づいて決定及び設定され得る。ステップ920では、中央ノードの近くの近位部分は、カテーテル内に位置付けられ得る。ステップ930では、フローダイバータをカテーテルに挿入することができる。ステップ940では、ねじれストラットを畳み込み構成に畳み込んで、カテーテル内に収めることができる。この畳み込みは、各ねじれストラットの遠位部分を、隣接するねじれストラットからの第1の所定距離から、隣接するねじれストラットからの第2の所定距離まで移動させることを含むことができ、第2の所定距離は第1の所定距離よりも小さい。ステップ950では、畳み込みは、ねじれストラットをインターリーブすることを含む。ねじれストラットのこのインターリーブは、本明細書で説明するように、ねじれストラットを縦軸周りにねじること、言い換えると、ストラットを螺旋としてぐるぐる巻くことを含むことができる。インターリーブはまた、各ねじれストラットの遠位部分の内側表面を隣接するねじれストラットの外側表面上に位置付けることを含み、それにより、カテーテルに挿入されているときに装置を畳み込むことができる。
【0052】
図14に示す方法900は、図15に概説するステップのうちの1つ又は2つ以上を更に含むことができる。図15に概説する方法960を参照すると、ステップ970では、近位安定化フレームを備えたフローダイバータを提供することができる。近位安定化フレームは、中央ノードに固着され、中央ノードから半径方向に延在することができる。ステップ972では、近位安定化フレームは、畳み込まれてカテーテル内に収まることができる。本明細書で説明したように、近位安定化フレームの畳み込みは、フレームを、ねじれストラットから離れるか、あるいはねじれストラットに向かって折り曲げ又は曲げることを含むことができる。更に、本明細書で説明したように、近位安定化フレームは、1つ又は2つ以上のフレームアームを含むことができる。
【0053】
本明細書に含まれる記述は、本発明の実施形態の例であり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。本明細書で説明するように、本発明は、構造要素の代替的な幾何学的形状を使用すること、様々な例示的実施形態からの形状及び構造要素を組み合わせること、代替材料などを使用する、こと等を含めて装置の多くの変形及び修正を企図する。また、装置は側壁動脈瘤を治療するために使用することができるが、実施例は、分岐部に位置する動脈瘤又は幅広の頸部動脈瘤の治療についての装置の用途に制限することは意図していない。これらの修正形態は、本発明が関係する技術分野の当業者には明らかであり、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。これらの修正形態は、本発明が関係する技術分野の当業者には明らかであり、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0054】
〔実施の態様〕
(1) 脳動脈瘤を治療するための装置であって、
中央ノードと、
前記中央ノードから延在する複数のねじれストラットと、を含み、前記複数のねじれストラットのうちの各ねじれストラットが、
前記中央ノードに固着され、前記中央ノードから半径方向に延在する近位部分と、
遠位部分と、
前記近位部分と前記遠位部分との間に配置された長軸と、
内側表面と、
外側表面と、
外側スパインと、を含み、
前記ねじれストラットの各々が、前記長軸に沿ってねじられ、
前記装置が、カテーテルを通して前記動脈瘤に送達されるための畳み込み構成を含み、
前記装置が、前記動脈瘤内に固定するための拡張構成を含む、装置。
(2) 前記中央ノードが横軸を含み、前記近位部分が前記横軸に対してある角度で固着されている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記中央ノードが縦軸を含み、
前記畳み込み構成では、前記ねじれストラットが前記縦軸周りにねじれており、
前記拡張構成では、前記ねじれストラットが整列され、インターリーブされていない、実施態様1に記載のデバイス。
(4) 前記複数のねじれストラットのうちの少なくとも一部分の前記遠位部分の前記内側表面が、隣接するねじれストラットの前記遠位部分の前記外側表面と接触する、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記中央ノードが、複数の角度付きステップを含み、前記複数の角度付きステップのうちの各角度付きステップが前記複数のねじれストラットのうちの1つのねじれストラットに固着されている、実施態様2に記載の装置。
【0055】
(6) 前記中央ノードが円筒形であり、前記複数のねじれストラットのうちの各ねじれストラットの前記近位部分が、円筒形の前記中央ノードから半径方向に延在する、実施態様2に記載の装置。
(7) 前記複数のねじれストラットが動脈瘤嚢内に延在するように拡張可能であり、前記複数のねじれストラットのうちの各ねじれストラットの前記外側スパインが動脈瘤壁と係合するように位置付けられている、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記中央ノードに固着され、前記中央ノードから半径方向に延在し、第1の血管壁に係合する近位安定化フレームを更に含む、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記近位安定化フレームが、第1の血管枝において前記第1の血管壁と係合し、第2の血管枝において第2の血管壁と係合する、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記近位安定化フレームが、第1のフレームアーム及び第2のフレームアームを含み、前記第1のフレームアームが前記第1の血管壁に係合し、前記第2のフレームアームが前記第2の血管壁に係合する、実施態様9に記載の装置。
【0056】
(11) 動脈瘤を治療するための方法であって、
フローダイバータを提供するステップであって、前記フローダイバータが、
縦軸を含む中央ノードと、
前記中央ノードから延在する複数のねじれストラットと、を含み、前記複数のねじれストラットのうちの各ねじれストラットが、
前記中央ノードに固着され、前記中央ノードから半径方向に延在する近位部分と、
遠位部分と、
前記近位部分と前記遠位部分との間に配置された長軸と、
内側表面と、
外側表面と、
外側スパインと、を含む、提供するステップと、
前記長軸に沿って前記ねじれストラットの各々をねじるステップと、
前記縦軸周りに前記ねじれストラットの各々をねじるステップと、
前記フローダイバータを動脈瘤の治療部位に送達するステップと、
前記複数のねじれストラットの前記遠位部分を動脈瘤の動脈瘤嚢内に挿入するステップと、
前記動脈瘤嚢内から動脈瘤壁と係合するように前記複数のねじれストラットを拡張するステップであって、
前記ねじれストラットを前記縦軸周りのそれらの位置からほどくことと、
前記複数のねじれストラットの前記外側スパインを前記動脈瘤壁に係合させることと、を含む、拡張するステップと、
前記フローダイバータで動脈瘤頸部をブロックして、前記動脈瘤から前記動脈瘤に隣接する血管へ血流をそらすステップと、を含む、方法。
(12) 前記フローダイバータが、
前記中央ノードに固着され、前記中央ノードから半径方向に延在する近位安定化フレームを更に含み、
前記方法は、前記近位安定化フレームを拡張して血管壁に係合させるステップを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記近位安定化フレームが、第1のフレームアーム及び第2のフレームアームを含み、
前記近位安定化フレームを拡張して血管壁に係合させる前記ステップが、
前記第1のフレームアームを、第1の血管枝における前記動脈瘤頸部に近い第1の血管壁に係合させることと、
前記第2のフレームアームを、第2の血管枝における前記動脈瘤頸部に近い第2の血管壁に係合させることと、を含む、実施態様12に記載の方法。
(14) フローダイバータをカテーテル内に装填するための方法であって、
フローダイバータを提供するステップであって、前記フローダイバータが、
縦軸を含む中央ノードと、
前記中央ノードから延在する複数のねじれストラットと、を含み、前記複数のねじれストラットのうちの各ねじれストラットが、
近位部分と、
遠位部分と、
前記近位部分と前記遠位部分との間に配置された長軸と、
内側表面と、
外側表面と、
外側スパインと、を含む、提供するステップと、
前記長軸に沿って前記ねじれストラットの各々をねじるステップと、
前記複数のねじれストラットのうちの各ねじれストラットの前記遠位部分から隣接するねじれストラットまでの第1の所定距離を設定するステップと、
前記フローダイバータの前記近位部分をカテーテル内に位置付けるステップと、
前記フローダイバータの前記近位部分を前記カテーテルに挿入するステップと、
前記複数のねじれストラットのうちの各ねじれストラットの前記遠位部分を、前記隣接するねじれストラットからの前記第1の所定距離から前記隣接するねじれストラットからの第2の所定距離まで移動させるステップであって、前記第2の所定距離は前記第1の所定距離よりも小さい、移動させるステップと、
前記複数のねじれストラットをインターリーブするステップと、を含み、前記複数のねじれストラットをインターリーブするステップは、
前記縦軸周りに前記ねじれストラットをねじることと、
前記複数のねじれストラットのうちの各ねじれストラットの前記遠位部分の前記内側表面を、隣接するねじれストラットの前記外側表面上に位置付けることと、を含む、方法。
(15) 前記フローダイバータが、
前記中央ノードに固着され、前記中央ノードから半径方向に延在する近位安定化フレームを更に含み、
前記方法は、前記近位安定化フレームを畳み込んで前記カテーテル内に収めるステップを更に含む、実施態様14に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13
図14
図15