IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

特許7497196表示装置およびその制御方法、プログラムならびに記憶媒体
<>
  • 特許-表示装置およびその制御方法、プログラムならびに記憶媒体 図1
  • 特許-表示装置およびその制御方法、プログラムならびに記憶媒体 図2
  • 特許-表示装置およびその制御方法、プログラムならびに記憶媒体 図3
  • 特許-表示装置およびその制御方法、プログラムならびに記憶媒体 図4
  • 特許-表示装置およびその制御方法、プログラムならびに記憶媒体 図5
  • 特許-表示装置およびその制御方法、プログラムならびに記憶媒体 図6
  • 特許-表示装置およびその制御方法、プログラムならびに記憶媒体 図7
  • 特許-表示装置およびその制御方法、プログラムならびに記憶媒体 図8
  • 特許-表示装置およびその制御方法、プログラムならびに記憶媒体 図9
  • 特許-表示装置およびその制御方法、プログラムならびに記憶媒体 図10
  • 特許-表示装置およびその制御方法、プログラムならびに記憶媒体 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】表示装置およびその制御方法、プログラムならびに記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/63 20230101AFI20240603BHJP
   H04N 23/611 20230101ALI20240603BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20240603BHJP
   G03B 17/18 20210101ALN20240603BHJP
【FI】
H04N23/63
H04N23/611
G03B7/091
G03B17/18
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020071197
(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公開番号】P2021168449
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細田 翔平
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-038818(JP,A)
【文献】国際公開第2017/130698(WO,A1)
【文献】特開2012-023723(JP,A)
【文献】特開2011-160275(JP,A)
【文献】特開2018-205648(JP,A)
【文献】特開2002-135589(JP,A)
【文献】特開2017-139613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/63
H04N 23/611
G03B 7/091
G03B 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファインダーに設けられた第1の表示部と、
ファインダー外に設けられた第2の表示部と、
前記ファインダーに対する接眼状態を検知する接眼検知手段と、
前記接眼検知手段による検知結果に応じて、前記第1の表示部と前記第2の表示部のいずれに表示先を切り替える切り替え手段と、
前記第1の表示部におけるユーザの視線位置を検出する視線検出手段と、
前記第1の表示部または前記第2の表示部に出力する映像信号の階調特性を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、表示先が前記第1の表示部の場合には第1の階調特性の映像信号を前記第1の表示部に出力し、
表示先が前記第2の表示部の場合には、ユーザの注視位置を含む領域の階調に応じて前記第1の階調特性を変換した第2の階調特性の映像信号または前記第2の階調特性とは異なる第3の階調特性の映像信号を前記第2の表示部に出力することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、表示先が前記第2の表示部の場合であって、前記注視位置を含む領域の階調が所定値未満の場合は前記第2の表示部に前記第2の階調特性の映像信号を出力し、
前記注視位置を含む領域の階調が所定値以上の場合は前記第2の表示部に前記第3の階調特性の映像信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1の表示部は、前記第2の表示部よりも表示可能な階調範囲が広い、覗き込み型の電子ビューファインダーであり、
前記第2の表示部は、ファインダー外から視認可能な電子ビューファインダーであることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1の階調特性はHDR(High Dynamic Range)の階調変換特性であり、
前記第2の階調特性は前記第3の階調特性よりも低階調側の階調特性を優先して擬似的にHDRの表示を行うための特性であり、
前記第3の階調特性は前記第2の階調特性よりも高階調側の階調特性を優先して擬似的にHDRの表示を行うための特性であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
撮影直後の画像表示時に、前記第1の表示部における注視領域情報に基づいて前記第2の表示部の階調特性が変換される第1の設定と、
撮影モードまたは再生モード時に、前記第1の表示部における注視領域情報に基づいて前記第2の表示部の階調特性が変換される第2の設定と、
動作モードに関わらず、前記第1の表示部における注視領域情報に基づいて前記第2の表示部の階調特性が変換される第3の設定と、
前記第1の表示部における注視領域情報に基づく前記第2の表示部の階調特性の変換を行わない第4の設定のいずれかが、ユーザにより選択可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記視線検出手段により検出された視線位置に基づいて、注視位置に対応する領域の判定を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記視線検出手段により検出された視線位置の情報に基づき、所定時間内における注視時間が最も長かった領域を注視領域と判定することを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記視線検出手段により検出された視線位置の情報に基づき、前記接眼検知手段が離眼を検知する直前の視線位置を注視領域と判定することを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示装置は、被写体に自動で焦点を合わせるAF制御を行う撮像装置に接続されており、
前記制御手段は、AF位置を注視領域と判定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
ファインダーに設けられた第1の表示部と、
ファインダー外に設けられた第2の表示部と、
前記ファインダーに対する接眼状態を検知する接眼検知手段と、
前記第1の表示部におけるユーザの視線位置を検出する視線検出手段と、を有する表示装置の制御方法であって、
前記接眼検知手段による検知結果に応じて、前記第1の表示部と前記第2の表示部のいずれに表示先を切り替えるステップと、
前記第1の表示部または前記第2の表示部に出力する映像信号の階調特性を制御するステップと、を有し、
前記制御するステップでは、表示先が前記第1の表示部の場合には第1の階調特性の映像信号を前記第1の表示部に出力し、
表示先が前記第2の表示部の場合には、注視位置を含む領域の階調に応じて第2の階調特性の映像信号または前記第2の階調特性とは異なる第3の階調特性の映像信号を前記第2の表示部に出力することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
コンピュータに、請求項10に記載された制御方法を実行させるためのプログラム。
【請求項12】
コンピュータに、請求項10に記載された制御方法を実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータによる読み取りが可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示可能な階調が異なる複数の表示部の表示制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの撮像装置で撮影したHDR(High Dynamic Range)画像を忠実に再現しながらカメラ本体で表示するにはHDRに適応した表示装置が必要である。しかしながら、カメラ本体に付属された表示装置がHDR非適応の場合には 、HDR画像を忠実に再現することが難しい。
【0003】
特許文献1には、撮影画像の階調を確認するために表示装置に対して適切なダイナミックレンジを設定し、忠実な再現は難しいまでもHDRを擬似的に再現する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-148397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、カメラが表示可能なダイナミックレンジが異なる複数の表示装置を持つ場合に、一方の表示部がHDR適応、もう一方がHDR非適応であると、ユーザが画面を切り替えて画像を見たときに、各画面に表示される画像の輝度やコントラストの違いに基づく画像の見えの相違からユーザに違和感を与えてしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、表示可能な階調範囲が異なる複数の表示部を切り替えて画像を見たときに、画像の見えの相違からユーザに与える違和感を軽減できる技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の表示装置は、ファインダーに設けられた第1の表示部と、ファインダー外に設けられた第2の表示部と、前記ファインダーに対する接眼状態を検知する接眼検知手段と、前記接眼検知手段による検知結果に応じて、前記第1の表示部と前記第2の表示部のいずれに表示先を切り替える切り替え手段と、前記第1の表示部におけるユーザの視線位置を検出する視線検出手段と、前記第1の表示部または前記第2の表示部に出力する映像信号の階調特性を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、表示先が前記第1の表示部の場合には第1の階調特性の映像信号を前記第1の表示部に出力し、表示先が前記第2の表示部の場合には、ユーザの注視位置を含む領域の階調に応じて前記第1の階調特性を変換した第2の階調特性の映像信号または前記第2の階調特性とは異なる第3の階調特性の映像信号を前記第2の表示部に出力する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表示可能な階調範囲が異なる複数の表示部を切り替えて画像を見たときに、画像の見えの相違からユーザに与える違和感を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態のデジタルカメラの外観図。
図2】本実施形態のデジタルカメラの構成を示すブロック図。
図3】実施形態1の表示制御処理を示すフローチャート。
図4】実施形態1の表示制御処理の説明図。
図5】実施形態1の表示制御処理における階調変換特性を例示する図。
図6図3のステップS304における注視領域判定処理を示すフローチャート。
図7図6の注視領域判定処理の説明図。
図8】実施形態2の注視領域判定処理の説明図。
図9】実施形態2の注視領域判定処理を示すフローチャート。
図10】実施形態3のHDRアシスト表示設定画面を例示する図。
図11】実施形態3の再生モード時の表示制御処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
[実施形態1]
以下に、本発明の表示装置を、静止画や動画を撮影可能なデジタル一眼レフカメラに適用した実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
<装置構成>図1及び図2を参照して、本実施形態のデジタルカメラ100の構成および機能について説明する。
【0013】
図1(a)は、レンズユニット200を取り外した状態のデジタルカメラ100の前面斜視図、図1(b)はデジタルカメラ100の背面斜視図である。
【0014】
図1において、背面表示部101は、画像や各種情報を表示するファインダー外表示部であり、カメラ本体の背面に設けられたLCDなどの表示デバイスである。また、背面表示部101は、静止画撮影後の静止画再生や記録中の動画表示、及びライブビュー表示機能を併せ持っている。背面表示部101には、タッチパネル270aが設けられている。タッチパネル270aは、背面表示部101の表示面(タッチパネル270aのタッチ操作面)対する接触(タッチ操作)を検出可能なタッチ操作部材である。
【0015】
ファインダー外表示部243は、カメラ上面に設けられた表示部であり、シャッター速度や絞りをはじめとするカメラの様々な設定値が表示される。シャッターボタン102は撮影指示を行うための操作部である。モード切替スイッチ103は各種モードを切り替えるための回転ダイヤル式の操作部である。端子カバー104は外部機器とデジタルカメラ100をUSBなどのケーブルを介して接続するためのコネクタ(不図示)を保護するカバー部材である。メイン電子ダイヤル105は図2で後述する操作部270に含まれる回転操作部材であり、このメイン電子ダイヤル105を回すことで、シャッター速度や絞りなどの設定値が変更できる。
【0016】
電源スイッチ106はデジタルカメラ100の電源のオン/オフを切り替える操作部材である。サブ電子ダイヤル107も図2で後述する操作部270に含まれる回転操作部材であり、選択枠の移動や画像送りなどが行える。十字キー108も図2で後述する操作部270に含まれる移動指示部材であり、上、下、左、右の4方向に押し込み可能な押しボタンを有する4方向操作ボタンである。十字キー108の押下した方向に押した部分に応じた操作が可能である。SETボタン109も図2で後述する操作部270に含まれる押しボタンであり、主に選択項目の決定などに用いられる。
【0017】
録画ボタン110も図2で後述する操作部270に含まれ、動画撮影(記録)の開始、停止の指示に用いられる。AEロックボタン112も図2で後述する操作部270に含まれ、撮影待機状態で押下することにより、露出状態を固定することができる。拡大/縮小ボタン111も図2で後述する操作部270に含まれ、撮影モードのライブビュー表示において拡大モードのオン、オフを行うための操作ボタンである。拡大モードをオンとしてからメイン電子ダイヤル105を操作することにより、ライブビュー画像の拡大、縮小を行える。再生モードにおいては再生画像を拡大し、拡大率を増加させるための拡大ボタンとして機能する。
【0018】
再生ボタン113も図2で後述する操作部270に含まれ、撮影モードと再生モードとを切り替える操作ボタンである。撮影モード中に再生ボタン113を押下することで再生モードに移行し、記録媒体250に記録された画像のうち最新の画像を背面表示部101またはファインダー内表示部229に表示させることができる。メニューボタン114も図2で後述する操作部270に含まれ、押下することにより各種の設定可能なメニュー画面が背面表示部101またはファインダー内表示部229に表示される。ユーザは、背面表示部101またはファインダー内表示部229に表示されたメニュー画面と、十字キー108やSETボタン109を用いて直感的に各種設定を行うことができる。
【0019】
グリップ部116は、ユーザがデジタルカメラ100を構えた際に右手で握りやすい形状を有する。グリップ部116を右手の小指、薬指、中指で握ってデジタルカメラ100を保持した状態で、右手の人差指で操作可能な位置にシャッターボタン102、メイン電子ダイヤル105が配置されている。また、同じ状態で、右手の親指で操作可能な位置に、サブ電子ダイヤル107が配置されている。蓋117はデジタルカメラ100に対して記録媒体250を着脱するためにスロットを開閉する部材である。
【0020】
通信端子210はデジタルカメラ100がレンズユニット200と通信を行うための電気的接点である。接眼部216は、覗き込み型の接眼ファインダーである。ユーザは、接眼部216を介してファインダー内表示部229である電子ビューファインダー(EVF)に表示された映像を視認可能であり、図2で後述するレンズユニット200を通じて取り込んだ被写体像の焦点や構図の確認を行うことができる。
【0021】
接眼検知部217は、接眼部216の近傍に配置され、接眼部216への何らかの物体の接近を検知することができる。接眼検知部217は、例えば赤外線近接センサが用いられる。
【0022】
次に、図2を参照して、本実施形態のデジタルカメラ100およびレンズユニット200の内部構成について説明する。図2において、図1と共通する構成には同じ符号を付して示している。
【0023】
図2において、レンズユニット200は撮影レンズ207を搭載し、デジタルカメラ100に対して着脱可能である。撮影レンズ207は通常、複数枚のレンズから構成されるが、ここでは簡略化して1枚のレンズのみで示している。通信端子206はレンズユニット200がデジタルカメラ100と通信を行うための電気的接点である。通信端子210はデジタルカメラ100がレンズユニット200と通信を行うための電気的接点である。レンズユニット200は、通信端子206を介してシステム制御部201と通信し、内蔵されたレンズ制御部204が絞り駆動回路202を制御して絞り205を駆動し、AF駆動回路203を制御して撮影レンズ207の位置を変位させることで焦点を合わせる。
【0024】
フォーカルプレーンシャッター221は、システム制御部201の指示に応じて撮像部222での露光時間を自由に制御できる。撮像部222は被写体像を電気信号に変換するCCDやCMOS等の撮像素子で構成されたイメージセンサである。A/D変換器223は、撮像部222から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0025】
画像処理部224は、A/D変換器223からのデータ、又は、メモリ制御部215からのデータに対して所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。また、画像処理部224では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理が行われ、システム制御部201は演算結果に基づいて露光制御、測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。画像処理部224では更に、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0026】
メモリ制御部215は、A/D変換器223、画像処理部224、メモリ232の間のデータの授受を制御する。A/D変換器223から出力されるデジタルデータは、画像処理部224およびメモリ制御部215を介して、あるいは、メモリ制御部215を介してメモリ232に直接書き込まれる。メモリ232は、撮像部222およびA/D変換器223から得られる画像データや、背面表示部101またはファインダー内表示部229に表示するための画像表示用のデータを格納する。メモリ232は、所定枚数の静止画や所定時間の動画および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。また、メモリ232は画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。
【0027】
D/A変換器219は、メモリ232に格納されている画像表示用のデータをアナログ信号に変換して背面表示部101またはファインダー内表示部229に供給する。メモリ232に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器219を介して背面表示部101やファインダー内表示部229により表示される。背面表示部101やファインダー内表示部229は、表示デバイスにD/A変換器219からのアナログ信号に応じた表示を行う。このように、メモリ232に格納されたデジタル信号をアナログ信号に変換し、背面表示部101またはファインダー内表示部229に逐次転送して表示することで、ライブビュー(LV)表示(スルー画像表示)を行うEVFとして機能する。
【0028】
ファインダー外表示部243には、ファインダー外表示部駆動回路44を介して、撮影時のシャッター速度や絞りなどの様々な情報が表示される。
【0029】
不揮発性メモリ256は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばフラッシュROMなどが用いられる。不揮発性メモリ256には、システム制御部201の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、後述するフローチャートを実行するためのプログラムのことである。
【0030】
システム制御部201は、少なくとも1つのプロセッサまたは回路からなる演算処理装置であり、デジタルカメラ100全体を統括して制御する。システム制御部201は、不揮発性メモリ256に格納されたプログラムを実行することで、後述するフローチャートの各処理を実現する。システムメモリ252には、例えばRAMが用いられ、システム制御部201の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ256から読み出したプログラムなどが展開を展開するワークメモリとしても使用される。また、システム制御部201は、メモリ232、D/A変換器219、背面表示部101、ファインダー内表示部229などを制御することにより表示制御も行う。システムタイマー253は各種制御に用いる時間や、内蔵時計の時間を計測する計時部である。
【0031】
また、システム制御部201は、背面表示部101およびファインダー内表示部229に出力する画像信号の階調特性を制御する出力信号変換部201aを有する。本実施形態では、背面表示部101は、第2の階調特性(階調範囲)の画像信号を表示可能であるが、第2の階調特性よりもダイナミックレンジが広い第1の階調特性の画像信号の表示には適応していない表示デバイスである。また、ファインダー内表示部229は、第1の階調特性と第2の階調特性の画像信号を表示可能な表示デバイスである。
【0032】
第1の階調特性は、ファインダー内表示部229に出力する画像信号の階調特性をHDR(High Dynamic Range)に制御するためのEOTF特性である。第2の階調特性は、背面表示部101に出力する画像信号の階調特性をSDR(Standard Dynamic Range)に制御するためのEOTF(Electro-Optical Transfer Function)特性である。出力信号変換部201aは、背面表示部101またはファインダー内表示部229に出力する画像信号の階調特性を、第1の階調特性または第2の階調特性に切り替える。
【0033】
SDRは、従来の表示装置が表示可能なダイナミックレンジに対応する階調特性であって、例えば、ITU-R BT.709という規格で定められている。これに対して、従来の表示装置よりも表示可能なダイナミックレンジが広いHDR(High Dynamic Range)は、Rec.ITU-R BT.2100という規格で定められている。
【0034】
本実施形態のデジタルカメラ100は、ユーザがメニュー画面などを操作することによって、背面表示部101にSDR画像を表示するSDRモードまたはファインダー内表示部229にHDR画像を表示するHDRモードに設定できる。システム制御部201は、いずれのモードに設定されているかに応じて、出力信号変換部201aが後述する映像信号の階調変換を行う。
【0035】
また、システム制御部201は、ファインダー内表示部229に対するユーザ(撮影者)の注視位置を含む領域(注視領域)を判定する注視領域判定部201bを有する。注視領域処理の詳細は後述する。
【0036】
また、本実施形態のデジタルカメラ100は、ファインダー内表示部229における注視領域の階調に応じて背面表示部101に出力する映像信号の階調を変換して擬似的にHDRアシスト表示を行うモードが設定可能である。HDRアシスト表示の詳細は後述する。
【0037】
モード切替スイッチ103、第1シャッタースイッチ211、第2シャッタースイッチ212、操作部270はシステム制御部201に各種の指示を入力するための操作手段である。モード切替スイッチ103は、システム制御部201の動作モードを、静止画撮影モード、動画撮影モード、再生モードのいずれかに切り替える。静止画撮影モードには、例えば、オート撮影モード、オートシーン判別モード、マニュアルモード、絞り優先モード(Avモード)、シャッター速度優先モード(Tvモード)、プログラムAEモード(Pモード)が含まれる。また、静止画撮影モードには、例えば、撮影シーン別の撮影設定となる各種シーンモード、カスタムモードなどが含まれる。
【0038】
ユーザは、モード切替スイッチ103を操作することにより、これらの撮影モードのいずれかに直接切り替えるか、モード切替スイッチ103で動作モードの一覧画面に一旦切り替えた後に、一覧表示された複数の撮影モードのいずれかを選択し、他の操作部材を用いて切り替えるようにしてもよい。同様に、動画記録モードや再生モードにも複数のモードが含まれていてもよい。
【0039】
第1シャッタースイッチ211は、デジタルカメラ100に設けられたシャッターボタン102の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でオンとなり第1シャッタースイッチ信号SW1を発生する。第1シャッタースイッチ信号SW1により、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の撮影準備動作を開始する。
【0040】
第2シャッタースイッチ212は、シャッターボタン102の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)でオンとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2を発生する。システム制御部201は、第2シャッタースイッチ信号SW2により、撮像部222からの信号読み出しから撮像された画像を画像ファイルとして記録媒体250に書き込むまでの一連の撮影処理の動作を開始する。
【0041】
操作部270は、ユーザからの各種操作を受け付けて、システム制御部201へ通知する各種スイッチ、ボタンなどの操作部材からなり、少なくとも以下の操作部材が含まれる。シャッターボタン102、モード切替スイッチ103、メイン電子ダイヤル105、電源スイッチ106、サブ電子ダイヤル107、十字キー108、SETボタン109、録画ボタン110、AEロックボタン112、拡大/縮小ボタン111、再生ボタン113、メニューボタン114。
【0042】
電源制御部280は、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。また、電源制御部280は、その検出結果およびシステム制御部201の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体250を含む各部へ供給する。
【0043】
電源部230は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Liイオン電池等の二次電池、ACアダプタ等からなる。記録媒体I/F218は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体250とのインターフェースである。記録媒体250は、撮影された画像を記録するためのメモリカード等の記録媒体であり、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される。
【0044】
通信部254は、無線アンテナや有線ケーブルによって外部機器と通信可能に接続し、画像や音声の送受信を行う。通信部254は無線LAN(Local Area Network)やインターネットにも接続可能である。通信部254は撮像部222で撮像された画像データ(ライブビュー画像を含む)や、記録媒体250に記録されている画像ファイルを外部機器に送信でき、また、外部機器から画像データやその他の各種情報を受信できる。なお、通信部254は、無線LANに限らず、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) Low Energy、WirelessUSBなどの無線通信モジュール、あるいは、USBケーブルやHDMI(登録商標)、IEEE1394などの有線接続手段を用いてもよい。
【0045】
姿勢検知部255は重力方向に対するデジタルカメラ100の姿勢を検知する。姿勢検知部255で検知された姿勢に基づいて、撮像部222で撮影された画像が、デジタルカメラ100を横に構えて撮影された画像であるか、縦に構えて撮影された画像なのかを判別可能である。システム制御部201は、姿勢検知部255で検知された姿勢に応じた向き情報を撮像部222で撮像された画像の画像ファイルに付加したり、画像を回転して記録したりすることが可能である。姿勢検知部255としては、加速度センサやジャイロセンサなどを用いることができる。姿勢検知部255は、加速度センサやジャイロセンサを用いることで、デジタルカメラ100の動き(パン、チルト、持ち上げ、静止など)を検知することも可能である。
【0046】
音声入力部257は、デジタルカメラ100に内蔵されたマイクまたは音声入力端子に接続された外部マイクなどにより集音された音声信号をシステム制御部201に出力し、システム制御部201は、入力された音声信号を必要に応じて選択し、デジタル信号に変換し、レベルの適正化処理、特定周波数の低減処理など行い音声データを生成する。
【0047】
また、背面表示部101には、表示画面に対するタッチ操作を検出可能なタッチセンサを有するタッチパネル270aが設けられている。タッチパネル270aは、背面表示部101の表示画面に重ね合わせて平面的に構成され、接触された位置に応じた座標情報が出力されるようにした入力デバイスである。システム制御部201は、タッチパネル270aに対する以下の操作を検出できる。タッチパネル270aを指やペンで触れたこと(タッチダウン)。タッチパネル270aを指やペンで触れている状態であること(タッチオン)。タッチパネル270aを指やペンで触れたまま移動していること(ムーブ)。タッチパネル270aに触れていた指やペンを離したこと(タッチアップ)。タッチパネル270aに何も触れていない状態(タッチオフ)。タッチパネル270aに指やペンでタッチダウンとタッチアップを連続して行うことをタップと称する。これらの操作や、タッチパネルに指やペンが触れている位置座標は、システム制御部201に通知され、システム制御部201は通知された情報に基づいてタッチパネルにどのような操作が行われたかを判定する。ムーブについてはタッチパネル270aで移動する指やペンの移動方向についても、位置座標の変化に基づいて、タッチパネル270aの垂直成分・水平成分ごとに判定できる。またタッチパネル270aをタッチダウンから所定の距離以上のムーブを経てタッチアップをしたとき、ドラッグを経てドロップが行われたこととする(ドラッグアンドドロップ)。タッチパネル270aは、抵抗膜方式や静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式、光センサ方式等、様々な方式のタッチパネルのうちいずれの方式のものを用いてもよい。
【0048】
なお、本実施形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されない。すなわち、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、ディスプレイを備えるプリンタ装置、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤ、ゲーム機、電子ブックリーダなど、表示部を備え、外部機器にデータを転送可能な装置であれば、本発明は適用可能である。
【0049】
接眼検知部217は接眼部216に対する目(物体)の接近(接眼)および離反(離眼)を検知する(接近検知)。システム制御部201は、接眼検知部217で検知された状態に応じて、背面表示部101とファインダー内表示部229の表示(表示状態)/非表示(非表示状態)を切り替える。システム制御部201は、少なくとも撮影モード、かつ、表示先の切替が自動である場合において、非接眼中は表示先を背面表示部101とし、ファインダー内表示部229は非表示とする。また、接眼中は表示先をファインダー内表示部229とし、背面表示部101は非表示とする。なお、表示先の切り替えは、接眼検知結果に限定されず、例えば操作部270に表示先切替機能を割り当てることで切り替えが可能な構成であってもよい。
【0050】
物体が接近した場合は、接眼検知部217の投光部(図示せず)から照射された赤外光が反射して赤外線近接センサの受光部(図示せず)に入射される。赤外線近接センサで受光される赤外光の入射光量によって、接眼部216への何らかの物体の接近の検出と、物体が接眼部216からどの程度の距離まで近づいているか(接眼距離)を判別することができる。接眼部216への物体の接近を検知するとシステム制御部201がファインダー内表示部229の表示を開始させることが可能となる。これにより、ユーザが接眼部216を覗いたときにファインダー内表示部229を極力遅延なく表示可能となる。
【0051】
また、接眼検知部217は、非接眼状態(非接近状態)から、接眼部216に対して所定距離以内に近づく物体を検出した場合に接眼を検出したと判定し、システム制御部201に接眼検知通知を送信する。また、接眼状態(接近状態)から、接近を検知していた物体が所定距離以上離れた場合に離眼を検出したと判定し、システム制御部201に離眼検知通知を送信する。接眼を検出する閾値と、離眼を検出する閾値は例えばヒステリシスを設けるなどして異なっていてもよい。また、接眼を検出した後は、離眼を検出するまでは接眼状態であるものとする。離眼を検出した後は、接眼を検出するまでは非接眼状態であるものとする。これにより、システム制御部201は、接眼検知部217が検出した接眼状態もしくは離眼状態に応じて背面表示部101とファインダー内表示部229の表示制御を行う。
【0052】
なお、接眼検知部217は赤外線近接センサに限らず、接眼とみなせる目や物体の接近を検知できるものであれば他のセンサ(イメージセンサなど)を用いてもよい。
【0053】
視線検出部260は、次のダイクロイックミラー262、結像レンズ263、視線検出センサ264、視線検出回路265、赤外発光素子266を含み、ユーザの視線の有無だけでなく視線の位置や動きを検出する。
【0054】
赤外発光素子266は、ファインダー画面内におけるユーザの視線位置を検出するための赤外光を発光するダイオードであり、ユーザの眼球(目)261に赤外光を接眼部216の中央付近に向けて照射する。赤外発光素子266から照射された赤外光は眼球(目)261で反射し、反射した赤外光はダイクロイックミラー262に到達する。ダイクロイックミラー262は赤外光だけを反射して可視光を透過させる機能を有し、光路を変更された反射赤外光は、結像レンズ263を介して視線検出センサ264の撮像面に結像する。
【0055】
結像レンズ263は視線検出光学系を構成する光学部材である。視線検出センサ264は、CCDやCMOSなどからなるイメージセンサを含む。視線検出センサ264は、入射された反射赤外光を電気信号に光電変換して視線検出回路265へ出力する。視線検出回路265は、視線検出センサ264の出力信号に基づき、ユーザの眼球(目)261の動きや瞳孔の位置からユーザの視線位置を検出し、検出した情報をシステム制御部201に出力する。視線検出センサ264は、人の目の瞳孔の検知が可能であるため、他の物体が接眼部216に接近または接触していても、人の視線が入力されていることを検知しない。これにより接眼部216は視線操作部としての機能を有するが、視線検出部は別の構成であってもよい。なお、視線検出部260による視線入力機能の有効/無効は、例えば、メニュー画面を介してユーザが設定可能である。
【0056】
注視判定部267は所定の閾値を有し、視線検出回路265から受け取った検出情報に基づき、ユーザの視線がある領域に固定されている時間が所定の閾値を越えた場合に、その領域を注視していると判定する。なお、所定の閾値は任意に変更可能である。
【0057】
<表示制御処理>次に、図3から図5を参照して、実施形態1の表示制御処理について説明する。
【0058】
図3は、実施形態1の表示制御処理を示すフローチャートである。図3の処理は、デジタルカメラ100の電源がオンされ、システム制御部201が、不揮発性メモリ256に格納されたプログラムをシステムメモリ252に展開して実行し、各部を制御することにより実現される。また、図3の処理は、デジタルカメラ100の電源がオンされ、撮影モードが選択され、背面表示部101またはファインダー内表示部229にライブビューが表示されると開始される。
【0059】
ステップS301では、システム制御部201は、接眼検知部217が接眼部216に対する接眼を検知したか否かを判定する。接眼検知部217が接眼を検知したと判定した場合はステップS302に進み、接眼を検知していないと判定した場合はステップS303に進む。
【0060】
ステップS302では、システム制御部201は、表示先をファインダー内表示部229に切り替え、ライブビューを表示する。
【0061】
ステップS303では、システム制御部201は、表示先を背面表示部101に切り替え、ライブビューを表示する。
【0062】
ステップS304では、システム制御部201は、注視領域判定部201bがファインダー内表示部229におけるユーザの注視領域を判定する。
【0063】
ステップS305では、システム制御部201は、接眼検知部217が接眼部216に対する離眼を検知したか否かを判定する。接眼検知部217が離眼を検知したと判定した場合はステップS306に進み、離眼を検知していないと判定した場合はステップS304に戻り、離眼を検知するまでファインダー内表示部229へのライブビューの表示および注視領域の判定を継続する。
【0064】
ステップS306では、システム制御部201は、注視領域判定部201bがファインダー内表示部229においてユーザが離眼する前に注視していた領域の階調情報を取得する。そして、システム制御部201は、注視領域内の平均階調が所定値未満であると判定した場合はステップS307に進み、注視領域内の平均階調が所定値以上であると判定した場合はステップS308に進む。
【0065】
ステップS307では、システム制御部201は、表示先をファインダー内表示部229から背面表示部101に切り替え、出力信号変換部201aが背面表示部101に対して低階調優先の階調変換特性を適用した映像信号を出力すると共に、ファインダー内表示部229を消灯する。
【0066】
ステップS308では、システム制御部201は、表示先をファインダー内表示部229から背面表示部101に切り替え、出力信号変換部201aが背面表示部101に対して高階調優先の階調変換特性を適用した映像信号を出力すると共に、ファインダー内表示部229を消灯する。
【0067】
ここで、図4を参照して、実施形態1の表示制御処理について説明する。本実施形態では夜景シーンを撮影することを想定している。
【0068】
図4(a1)における400はHDRモードにおけるファインダー内表示部229の表示画面を例示している。図4(a2)における410は低階調優先モードにおける背面表示部101の表示画面を例示している。
【0069】
図4(a1)、(b1)における401a、401bは注視領域判定部201bが判定したユーザ注視領域を表す枠を例示している。
【0070】
図4(a1)、(b1)の402はファインダー内表示部229に表示されている画像の明るさ情報を表すヒストグラムを例示している。
【0071】
図4(a1)、(b1)の403はヒストグラム402のうち、ユーザ注視領域の明るさに対応する位置を表す枠を例示している。なお、本実施形態では説明の便宜上、枠403でユーザ注視領域の明るさに対応する位置を示しているが、必ずしも表示しなくてもよい。
【0072】
図4(a1)では、ユーザはファインダー内表示部229に表示されている画像のうち低階調領域(建物と夜空の境目付近)を注視している。この場合、ファインダー内表示部229から背面表示部101に表示先が切り替えられた場合、図4(a2)に示すように、出力信号変換部201aが背面表示部101に対して低階調優先の階調変換特性(後述する図5の第2の階調変換特性504)を適用した映像信号を出力する。
【0073】
図4(b1)では、ユーザはファインダー内表示部229に表示されている画像のうち高階調領域(観覧車のゴンドラ)を注視している。この場合、ファインダー内表示部229から背面表示部101に表示先が切り替えられた場合、図4(b2)に示すように、出力信号変換部201aが背面表示部101に対して高階調優先の階調変換特性(後述する図5の第3の階調変換特性505)を適用した映像信号を出力する。
【0074】
図5は、実施形態1の表示制御処理における階調変換特性を例示しており、横軸はシステム制御部201の出力信号変換部201aからファインダー内表示部229または背面表示部101に出力される映像信号の階調(入力階調)を示し、縦軸はファインダー内表示部229または背面表示部101の表示輝度を示している。
【0075】
501はHDRモードにおけるファインダー内表示部229で表示可能な最大輝度を例示している。502はHDR非適応の背面表示部101で表示可能な最大輝度を例示している。
【0076】
503は第1の階調変換特性を例示している。第1の階調変換特性503はHDRモード用の特性であり、ファインダー内表示部229に適用される。
【0077】
504は第2の階調変換特性を例示している。第2の階調特変換性504はHDR非適応のモード用の特性であって、第3の階調変換特性505よりも低階調側が優先された階調特性であり、背面表示部101に適用される。
【0078】
505は第3の階調変換特性を示している。第3の階調変換特性505はHDR非適応のモード用の特性であり、第2の階調変換特性504よりも高階調側が優先された階調特性であり、背面表示部101に適用される。なお、第3の階調変換特性505は、第2の階調変換特性504よりも高階調側の階調特性に限らず、第2の階調変換特性504よりも低階調側の階調特性であってもよい。つまり、第3の階調変換特性505は、第2の階調変換特性504とは異なる階調特性であれば、どのような階調特性であってもよい。
【0079】
なお、図5の階調変換特性はリニアであってもよい。
【0080】
実施形態1によれば、表示先がファインダー内表示部229から背面表示部101に切り替えられる場合に、ファインダー内表示部229におけるユーザ注視領域の階調に応じて背面表示部101に出力される映像信号の階調が変換される。詳しくは、ファインダー内表示部229におけるユーザ注視領域が低階調領域の場合には背面表示部101に対して低階調優先の階調特性に変換された映像信号が出力される。また、ファインダー内表示部229におけるユーザ注視領域が高階調領域の場合には背面表示部101に対して高階調優先の階調特性に変換された映像信号が出力される。これにより、HDR適応のファインダー内表示部229からHDR非適応の背面表示部101に表示先を切り替えた場合にユーザが受ける見えの差による違和感を軽減することができる。
【0081】
<注視領域判定処理>次に、図6および図7を参照して、図3のステップS304における注視領域判定処理について説明する。
【0082】
図6は、図3のステップS304における注視領域判定処理を示すフローである。
【0083】
図6(a)は、ユーザの視線位置に基づいて注視領域を判定する処理を示している。
【0084】
ステップS650では、システム制御部201は、視線検出部260がファインダー内表示部229におけるユーザの視線位置の情報を取得する。
【0085】
ステップS651では、システム制御部201は、ユーザの視線位置が移動したか否かを判定し、移動したと判定した場合はステップS50に戻り、再度視線位置情報を取得し、移動していないと判定した場合はステップS652に進む。
【0086】
ステップS652では、システム制御部201は、ステップS650で取得した視線位置の情報に基づき、ユーザの注視領域を判定し、判定結果である注視領域情報をシステムメモリ252に記憶する。また、ユーザ操作により撮影処理が指示された場合は、注視領域情報は撮影された画像ファイルにメタデータとして埋め込まれる。
【0087】
図6(b)は、撮影時のAF制御におけるAF枠の位置(AF位置)によって注視領域を判定する処理を示している。
【0088】
ステップS660では、システム制御部201は、注視領域判定部201bがライブビューにおける現在のAF位置の情報を取得する。
【0089】
ステップS651では、システム制御部201は、AF位置が移動したか否かを判定し、移動したと判定した場合はステップS650に戻り、再度AF位置情報を取得し、移動していないと判定した場合はステップS652に進む。なお、AF位置はユーザが操作部270に含まれるタッチパネル270aなどを操作することで画面上に表示されているAF枠を任意の被写体に変更することが可能である。
【0090】
ステップS652では、システム制御部201は、ステップS660で取得したAF位置情報に基づき、ユーザの注視領域を判定し、判定結果である注視領域情報をシステムメモリ252に記憶する。また、ユーザ操作により撮影処理が指示された場合は、注視領域情報は撮影された画像ファイルにメタデータとして埋め込まれる。
【0091】
図7(a)は、ユーザの視線位置によって注視領域を判定する方法を説明する図である。
【0092】
701はファインダー内表示部229においてユーザの視線位置を示すポインタであり、710は注視領域判定部201bが判定した注視領域を表す枠である。
【0093】
視線検出部260がファインダー内表示部229におけるユーザの視線位置を検出し、検出された視線位置情報は、システム制御部201の注視領域判定部201bへ出力される。注視領域判定部201bは受け取った視線位置情報に基づいて注視領域を判定する。
【0094】
図7(b)は、撮影時のAF位置に基づいて注視領域を判定する方法を説明する図である。
【0095】
702はAF位置を表し、710は注視領域判定部201bが判定した注視領域を表す枠である。
【0096】
撮影モードであれば、AF位置(AF枠)が移動するのに合わせてリアルタイムに注視領域が移動する。再生モードであれば、再生画像に埋め込まれたAF位置情報に基づいて注視領域が判定される。
【0097】
このように、ユーザの視線位置もしくはAF位置によってファインダー内表示部229におけるユーザの注視領域を判定することができる。
【0098】
[実施形態2]次に、図8および図9を参照して、実施形態2について説明する。
【0099】
実施形態2では、ファインダー内表示部229におけるユーザの視線位置の移動軌跡に基づいて注視領域を判定する。
【0100】
図8は、ユーザの視線位置の移動軌跡情報に基づく注視領域判定処理の説明図である。
【0101】
800はファインダー内表示部229の表示画面を例示している。
【0102】
801a~801iはユーザの視線位置の移動を所定時間間隔でプロットした軌跡を例示し、802は離眼直前のユーザの視線位置を示している。
【0103】
810a、810bは注視領域判定部201bが判定した注視領域を表す枠である。
【0104】
ユーザの視線位置の移動軌跡情報から注視領域を判定する方法は以下の2つの方法がある。
【0105】
第1の方法は、図8(a)のように、注視領域判定部201bが離眼直前にユーザの視線が入力されていた領域810aを注視領域と判定する。この場合、注視領域判定方法は図6(a)のフローチャートに従う。
【0106】
第2の方法では、図8(b)のように、注視領域判定部201bが第1の所定時間内でユーザの注視時間が長かった領域810bを注視領域と判定する。この場合は、注視領域判定方法は図9に示すフローチャートに従う。
【0107】
図9は、第2の方法による注視領域判定処理であって、図3のステップS304における注視領域判定処理を示すフローチャートである。
【0108】
ステップS950では、視線検出部260がファインダー内表示部229におけるユーザの視線位置情報を取得する。
【0109】
ステップS951では、システム制御部201は、注視領域判定部201bが第2の所定時間が経過したか否かを判定し、第2の所定時間が経過した場合はステップS952に進み、第2の所定時間が経過していない場合はステップS950に戻り、視線位置情報の取得を繰り返す。なお、第2の所定時間は第1の所定時間よりも短いものとする。
【0110】
ステップS952では、システム制御部201は、ステップS950で取得した視線位置情報を移動軌跡情報としてシステムメモリ252に記憶し、ステップS953に進む。
【0111】
ステップS953では、システム制御部201は、ステップS952で取得した視線位置の移動軌跡情報に基づいてユーザの注視領域を判定する。注視領域判定部201bは、第1の所定時間内において移動軌跡情報が最も多く記録された領域を注視領域と判定し、注視領域情報をシステムメモリ252に記憶する。また、ユーザ操作により撮影処理が指示された場合は、注視領域情報は撮影された画像ファイルにメタデータとして埋め込まれる。
【0112】
実施形態としては、第1の方法のみを実施する場合と第2の方法のみを実施する場合と第1および第2の方法をユーザが設定で切り替えて実施する場合がある。
【0113】
なお、実施形態2において、視線位置情報に基づいた注視領域判定方法以外の処理は実施形態1と同じである。
【0114】
実施形態2によれば、ユーザの注視領域を視線位置の移動軌跡によって判定することができ、実施形態1と同様に、HDR適応のファインダー内表示部229からHDR非適応の背面表示部101に表示先を切り替えた場合にユーザが受ける見えの差による違和感を軽減することができる。
【0115】
[実施形態3]次に、図10および図11を参照して、実施形態3について説明する。
【0116】
実施形態3では、実施形態1、2のHDRアシスト表示を行うか否かをカメラの動作モードなどに応じてユーザが任意に設定できる。図10は実施形態3のHDRアシスト表示の設定画面を例示している。
【0117】
1000は背面表示部101のHDRアシスト表示の設定画面であり、1001~1004は設定画面1000で選択可能な項目一覧である。
【0118】
項目801は、撮影直後の画像表示時(クイックレビュー表示時)においてのみファインダー内表示部229における注視領域の階調に応じて背面表示部101の映像信号の階調を変換するHDRアシスト表示を行う設定である。
【0119】
項目802は、撮影モード時および再生モード時においてのみファインダー内表示部229における注視領域の階調に応じて背面表示部101の映像信号の階調を変換するHDRアシスト表示を行う設定である。よって、例えばメニュー画面の表示中は、ファインダー内表示部229に応じた背面表示部101のHDRアシスト表示は行わない。
【0120】
項目803は、カメラの動作モードなどに関わらず、常にファインダー内表示部229における注視領域の階調に応じて背面表示部101の映像信号の階調を変換するHDRアシスト表示を行う設定である。
【0121】
項目803は、カメラの動作モードなどに関わらず、常にファインダー内表示部229における注視領域の階調に応じて背面表示部101の映像信号の階調を変換するHDRアシスト表示は行わない設定である。
【0122】
なお、再生モード時においてファインダー内表示部229に応じた背面表示部101のHDRアシスト表示を行う場合の制御処理を、図11を参照して説明する。
【0123】
図11は、実施形態3の再生モード時の表示制御処理を示している。
【0124】
ステップS1101では、システム制御部201は、接眼検知部217が接眼部216に対する接眼を検知したか否かを判定する。接眼検知部217が接眼を検知したと判定した場合はステップS1102に進み、接眼を検知していないと判定した場合はステップS1104に進む。
【0125】
ステップS1102では、システム制御部201は、表示先をファインダー内表示部229に切り替え、ライブビューを表示する。
【0126】
ステップS1103では、システム制御部201は、接眼検知部217が接眼部216に対する離眼を検知したか否かを判定する。接眼検知部217が離眼を検知したと判定した場合はステップS1104に進み、離眼を検知していないと判定した場合は、離眼を検知するまでファインダー内表示部229へのライブビューの表示を継続する。
【0127】
ステップS1104では、システム制御部201は、注視領域判定部201bが再生画像に埋め込まれている注視領域情報を取得し、ステップS1105に進む。
【0128】
ステップS1105では、システム制御部201は、ステップS114で取得した注視領域内の平均階調が所定値未満であると判定した場合はステップS1106に進み、注視領域内の平均階調が所定値以上であると判定した場合はステップS1107に進む。
【0129】
ステップS1106では、システム制御部201は、出力信号変換部201aが背面表示部101に対して低階調優先の階調変換特性を適用した映像信号を出力すると共に、ファインダー内表示部229を消灯する。
【0130】
ステップS1107では、システム制御部201は、出力信号変換部201aが背面表示部101に対して高階調優先の階調変換特性を適用した映像信号を出力すると共に、ファインダー内表示部229を消灯する。
【0131】
なお、実施形態3において、ファインダー内表示部229における注視領域の階調に応じて背面表示部101の映像信号の階調を変換する処理は実施形態1と同じである。
【0132】
実施形態3によれば、ファインダー内表示部229における注視領域の階調に応じて背面表示部101に出力する映像信号の階調特性を変換するHDRアシスト表示を行うか否かをカメラの動作モードなどに応じてユーザが任意に設定できる。
【0133】
また、再生モード時においても、HDR適応のファインダー内表示部229からHDR非適応の背面表示部101に表示先を切り替えた場合にユーザが受ける見えの差による違和感を軽減することができる。
【0134】
[他の実施形態]
上述した各実施形態において、注視領域内の階調判定は、平均階調を使用する場合に限定されず、注視領域内の最大階調や最小階調を使用して判定する構成であってもよい。また、注視領域内に占める面積が多い階調を注視領域内の階調と判定してもよい。
【0135】
また、本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0136】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0137】
100…デジタルカメラ、101…背面表示部、201…システム制御部、201a…出力信号変換部、201b…注視領域判定部、216…接眼部、217…接眼検知部、229…ファインダー内表示部、260…視線検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11