(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】接着部材
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20240603BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240603BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B32B27/00 M
C09J7/38
C09J201/00
(21)【出願番号】P 2020079119
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鹿谷 俊之
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-008290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C09J 7/38
C09J 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反対方向に向く第1面と第2面とを有し、前記第2面を所定の色に着色された、第1樹脂の面状部材と、
互いに反対方向に向く第1接着面と第2接着面とを有し、前記第1接着面を前記面状部材の前記第1面に貼り付けられる第1両面接着テープと、
互いに反対方向に向く第3接着面と第4接着面とを有し、前記第3接着面を前記面状部材の前記第2面に貼り付けられる透明の第2両面接着テープと、
を備え
、
前記第1両面接着テープは、前記第2接着面を前記第1樹脂と異なる第2樹脂の取付面を有する部品の前記取付面に貼り付けられ、
前記第1両面接着テープの前記第2樹脂に対する接着力は、前記第2両面接着テープの前記第2樹脂に対する接着力よりも高い、
接着部材。
【請求項2】
前記第1樹脂はPET樹脂であり、前記第2樹脂はABS樹脂である、
請求項
1に記載の接着部材。
【請求項3】
前記第2両面接着テープは、前記第4接着面をガラスに貼り付けられる、
請求項1
又は2に記載の接着部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドライブレコーダ等のカメラ等の装置は、フロントガラスやリアガラス等に、両面接着テープで貼り付けて固定される。車両のフロントガラス等は直射日光が当たる非常に厳しい環境であるため、両面接着テープには当該環境に耐えうる接着強度を有することが求められる。また、フロントガラス等に固定されるカメラ等の装置は、車両の外側からの見栄えのよさも求められる。見栄えは、例えば、カメラ等の装置の色と周囲の装置等の色との調和の度合いによる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、カメラ等の装置の取付面の樹脂(例えば、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂)及びガラス面に対して所望の接着力を有し、車両のフロントガラスのよ
うな非常に厳しい環境に耐え得る両面接着テープは、特定の物に限定され、その色を自由に選ぶことが難しい。そのため、フロントガラスに貼り付けられる両面接着テープの色により、フロントガラス等に固定されるカメラ等の装置の、車両の外側から見た際の見栄えがよくないことがある。
【0005】
本発明は、所望の接着強度を有し見栄えを向上する接着部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
即ち、第1の態様は、
互いに反対方向に向く第1面と第2面とを有し、前記第2面を所定の色に着色された、第1樹脂の面状部材と、
互いに反対方向に向く第1接着面と第2接着面とを有し、前記第1接着面を前記面状部材の前記第1面に貼り付けられる第1両面接着テープと、
互いに反対方向に向く第3接着面と第4接着面とを有し、前記第3接着面を前記面状部材の前記第2面に貼り付けられる透明の第2両面接着テープと、
を備える接着部材とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所望の接着強度を有し見栄えを向上する接着部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、接着部材100の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、装置40、接着部材100、ガラス50の断面の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、発明の構成は、開示の実施形態の具体的構成に限定されない。発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0010】
〔実施形態〕
(構成例)
図1は、接着部材100の構成例を示す図である。接着部材100は、装置40を、透明の面状のガラスに接着するために使用される部材である。ガラスは、例えば、乗用車等の車両のフロントガラスである。接着部材100は、第1両面接着テープ10、面状部材20、第2両面接着テープ30を含む。第1両面接着テープ10は、面状部材20の一方の面に接着される。第2両面接着テープ30は、面状部材20の他方の面に接着される。また、第1両面接着テープ10は、装置40の取付面に接着され、第2両面接着テープ30は、ガラスに接着される。ガラスの代わりに透明の樹脂等の透明部材が使用されてもよい。装置40は、部品の一例である。
【0011】
図2は、装置40、接着部材100、ガラス50の断面の構成例を示す図である。
図2のように、接着部材100は、ガラス及び装置40に接着される。第1両面接着テープ10は、第1接着面11、第1基材12、第2接着面13を有する。第2両面接着テープ30は、第3接着面31、第2基材32、第4接着面33を有する。
【0012】
装置40は、ドライブレコーダのカメラ等である。装置40は、他の装置であってもよい。ドライブレコーダのカメラ等の装置40は、例えば、車両のフロントガラス、リアガラス等の内側に貼り付けられて、接着部材100によって、固定される。車両に取り付けられるカメラ等の装置40の筐体の素材には、直射日光に長時間当たる等の非常に厳しい環境に耐え得ることが求められる。ABS樹脂は、耐薬品性、耐衝撃性、剛性、耐熱性、耐寒性に優れるとされる。また、ABS樹脂は、加工性にも優れるとされる。そこで、装置40の筐体の素材には、ABS樹脂を使用することが好ましい。装置40の筐体の素材は、ABS樹脂に限定されるものではなく、耐薬品性等を有する他の素材が使用されてもよい。装置40の接着テープが取り付けられる面を取付面という。
【0013】
第1両面接着テープ10は、互いに反対方向に向く第1接着面11と第2接着面13とを有する。第1両面接着テープ10は、第1接着面11と第2接着面13とに挟まれる第1基材12を有する。第1接着面11は、装置40に接着される。第2接着面13は、面状部材20に接着される。第1両面接着テープ10は、直射日光に長時間当たる等の非常に厳しい環境に耐え得る接着テープである。
【0014】
第1両面接着テープ10の第1接着面11及び第2接着面13は、例えば、アクリル系の粘着剤である。基材12は、例えば、粘弾性基材である。第1両面接着テープ10として、第2両面接着テープ30と比べて、ABS樹脂に対して、高い接着力(90度方向剥離力)を有するものが使用される。第1両面接着テープ10として、不透明の接着テープを使用しうる。例えば、第1両面接着テープ10として、3M(商標)VHB(商標)アクリスフォーム構造用接合テープVHX-1512-10が使用され得る。当該テープのABS樹脂に対する90度方向剥離力は、16N/cmである。90度方向剥離力は、特殊処理したアルミニウム箔(130μm)を介して、10kgスチールローラー2往復にて圧着し、室温72時間養生後、測定する試験方法により求められる。なお、引張速度は、300mm/分である。
【0015】
面状部材20は、互いに反対方向を向く第1面及び第2面を有する面状の部材である。面状部材20の第1面は、第1両面接着テープ10の第2接着面13に接着される。面状
部材20の第2面は、第2両面接着テープ10の第3接着面31に接着される。
【0016】
面状部材20には、装置40の筐体の素材(ABS樹脂)よりも接着テープに接着しやすい素材が使用される。面状部材20の素材として、例えば、PET(PolyEthylene Terephthalate)樹脂が使用される。面状部材20の素材として、他の樹脂、金属、木材等が使用されてもよい。また、面状部材20の第2面は、ガラス側(第2両面接着テープ側)からの見栄え等を考慮して、任意に着色され得る。
【0017】
第2両面接着テープ30は、互いに反対方向に向く第3接着面31と第4接着面33とを有する。第2両面接着テープ30は、第3接着面31と第4接着面33とに挟まれる第2基材32を有する。第3接着面31は、面状部材20に接着される。第4接着面33は、ガラス50に接着される。第2両面接着テープ30の第3接着面31及び第4接着面33は、例えば、アクリル系の粘着剤である。第2両面接着テープ30は、透明の両面接着テープである。すなわち、第2両面接着テープ30の第3接着面31の粘着剤、第2基材32、第4接着面33の粘着剤は、それぞれ透明である。例えば、第1両面接着テープ10として、VHBアクリルフォーム構造用接合テープ(透明)Y-4905Jを使用しうる。当該テープのABS樹脂に対する90度方向剥離力は、15N/cmである。第1両面接着テープ10のABS樹脂に対する接着力は、第2両面接着テープ30のABS樹脂に対する接着力よりも高い。
【0018】
第1両面接着テープ10、面状部材20、第2両面接着テープ30の形状を四角形としているが、四角形に限定されるものではなく、任意の形状を取りうる。
図1、
図2では、第1両面接着テープ10、面状部材20、第2両面接着テープ30を同じ大きさとしているが、面状部材20が、第1両面接着テープ10、第2両面接着テープ30よりも大きくてもよい。また、第1両面接着テープ10、面状部材20、第2両面接着テープ30の各中央部分に、各面を貫通する開口部を設けてもよい。開口部を設けることで、各接着面に気泡を入りにくくすることができる。
【0019】
(実施形態の作用、効果)
接着部材100によれば、ABS樹脂を有する装置40に接着する第1両面接着テープ10として、不透明の接着テープを使用しても、ガラス側から見た見栄えに影響を与えない。よって、テープの透明性を考慮せずに、第1両面接着テープ10として使用する接着テープを選択することができる。
【0020】
第2両面接着テープ30が透明の両面接着テープであるため、ガラスに貼り付けられた装置40をガラス側から見たときに、ガラス、第2両面接着テープ30を介して、面状部材20が見える。面状部材20に着色される色を変更することで、装置40をガラス側からみたときの見栄えを調整することができる。第2両面接着テープ30は、装置40の筐体(ABS樹脂)に直接接着されない。そのため、第2両面接着テープ30は、装置40の筐体に対して強い接着力を有する接着テープでなくてもよい。
【0021】
(その他)
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、各構成の組み合わせなど、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0022】
100 接着部材
10 第1両面接着テープ
11 第1接着面
12 第1基材
13 第2接着面
20 面状部材
30 第2両面接着テープ
31 第3接着面
32 第2基材
33 第4接着面
40 装置
50 ガラス