(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像システム、制御方法、プログラム、および、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20240603BHJP
G03B 5/08 20210101ALI20240603BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240603BHJP
G03B 37/00 20210101ALI20240603BHJP
【FI】
G03B17/56 A
G03B5/08
G03B15/00 P
G03B37/00 A
(21)【出願番号】P 2020091257
(22)【出願日】2020-05-26
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】早乙女 充
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-145885(JP,A)
【文献】特開2019-040064(JP,A)
【文献】特表2016-522652(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0177596(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 15/00
H04N 23/40 - 23/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内部上を移動可能な第一の撮像部と、
前記案内部上を移動可能な第二の撮像部と、
前記第一の撮像部および前記第二の撮像部を水平方向に駆動させ、パンニング角度を変更するパンニング機構と、
前記第一の撮像部のズームレンズおよび前記第二の撮像部のズームレンズのズーム位置を変更するズーム機構と、
前記案内部上において、前記第一の撮像部および前記第二の撮像部を水平方向に移動させることで、前記案内部上における位置であるシフト位置を変更するシフト機構と、
前記パンニング機構、前記ズーム機構、および前記シフト機構の駆動を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記第一の撮像部の撮影領域と重なる領域を、前記第二の撮像部により、前記第一の撮像部とは異なるズーム倍率で撮影する場合に、
前記第一の撮像部の前記シフト位置、前記第一の撮像部の前記パンニング角度、前記第二の撮像部の前記シフト位置、および前記第二の撮像部の前記案内部上における移動可能範囲に基づいて、前記第一の撮像部の前記シフト位置の変更の要否を決定し、
前記シフト位置の変更を行う場合に、前記第一の撮像部と前記第二の撮像部の前記ズーム倍率の比較結果に基づいて、前記第一の撮像部のズームレンズおよび前記第二の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第一の撮像部と前記第二の撮像部の前記ズーム倍率の前記比較結果に基づいて、前記第二の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置を維持するか、望遠側へ変更するかを決定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記案内部上における前記第一の撮像部
がパンニングされている方向側に、前記第二の撮像部を配置することができない場合に、
前記第一の撮像部および前記第二の撮像部をシフト駆動させて、前記第二の撮像部を前記シフト駆動前の前記第一の撮像部の前記シフト位置へ移動させ、
前記第一の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置が前記第二の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置よりも広角側であるときは、前記第二の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置を維持し、
前記第一の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置が前記第二の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置よりも望遠側であるときは、前記第二の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置を前記シフト駆動前の前記第一の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記案内部上を移動可能な第三の撮像部をさらに有し、
前記制御部は、前記第一の撮像部の前記パンニング角度が所定の範囲内である場合において、前記第二の撮像部と前記第三の撮像部の前記撮影領域の一部が重なるように制御し、前記第二の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置に応じて、前記第三の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置を決定することで、前記第二の撮像部と前記第三の撮像部とによって1つの画像を生成させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第一の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置および前記第二の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置の少なくとも一方を予め定められた設計値に変更することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
案内部上を移動可能な第一の撮像部と、
前記案内部上を移動可能な第二の撮像部と、
前記第一の撮像部および前記第二の撮像部を水平方向に駆動させ、パンニング角度を変更するパンニング機構と、
前記第一の撮像部のズームレンズのおよび前記第二の撮像部のズームレンズのズーム位置を変更するズーム機構と、
前記案内部上において、前記第一の撮像部および前記第二の撮像部をそれぞれ個別に水平方向に移動させることで、前記案内部上における位置であるシフト位置を変更するシフト機構と、
前記パンニング機構、前記ズーム機構、および前記シフト機構の駆動を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記第一の撮像部の撮影領域と重なる領域を、前記第二の撮像部により、前記第一の撮像部とは異なるズーム倍率で撮影する場合に、
前記第一の撮像部の前記シフト位置、前記第一の撮像部の前記パンニング角度、前記第二の撮像部の前記シフト位置、および前記第二の撮像部の前記案内部上における移動可能範囲に基づいて、前記第一の撮像部の前記シフト位置の変更の要否を決定し、
前記シフト位置の変更を行う場合に、前記制御部に予め入力された少なくとも2つ以上の前記ズーム倍率の比較結果、または、前記制御部に予め入力された少なくとも1つ以上の前記ズーム倍率と前記第一の撮像部の前記ズーム倍率との比較結果に基づいて、前記第一の撮像部のズームレンズおよび前記第二の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
前記案内部は、一部が欠けた円環状であって、前記第二の撮像部の前記移動可能範囲に制限があることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記シフト位置が変更されないように設定された第四の撮像部を有し、
前記第二の撮像部の前記移動可能範囲は、前記第一の撮像部と、前記第四の撮像部との間であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記制御部は、複数の撮像部から、前記第一の撮像部と、前記案内部上を移動可能とする前記第二の撮像部と、前記シフト位置が固定される前記第四の撮像部と、を予め設定可能であることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の撮像装置と、前記撮像装置とネットワークを介して通信可能な情報処理装置と、を含む撮像システムであって、
前記情報処理装置の表示部に、前記第一の撮像部の撮影領域と重なる領域を、前記第二の撮像部により、前記第一の撮像部とは異なる前記ズーム位置で撮影するモードの指定を入力するための画面を表示させる表示制御部を有することを特徴とする撮像システム。
【請求項11】
前記画面において、前記第一の撮像部の撮影領域の一部を前記第二の撮像部の撮影領域として選択可能であって、
前記表示制御部は、前記
第一の撮像部の撮影領域の一部を前記第二の撮像部の撮影領域として選
択された後から前記第二の撮像部が選択された領域の撮像を実際に開始するまでの間、前記第一の撮像部によって撮像された画像のうち、前記選択された領域に相当する部分を切り出して前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1
0に記載の撮像システム。
【請求項12】
案内部上を移動可能な第一の撮像部と、前記案内部上を移動可能な第二の撮像部と、前記第一の撮像部および前記第二の撮像部を水平方向に駆動させ、パンニング角度を変更するパンニング機構と、前記第一の撮像部のズームレンズおよび前記第二の撮像部のズームレンズのズーム位置を変更するズーム機構と、前記案内部上において、前記第一の撮像部および前記第二の撮像部をそれぞれ個別に水平方向に移動させることで、前記案内部上における位置であるシフト位置を変更するシフト機構と、を有する撮像装置の制御方法であって、
前記第一の撮像部の撮影領域と重なる領域を、前記第二の撮像部により、前記第一の撮像部とは異なるズーム倍率で撮影する場合に、
前記第一の撮像部の前記シフト位置、前記第一の撮像部の前記パンニング角度、前記第二の撮像部の前記シフト位置、および前記第二の撮像部の前記案内部上における移動可能範囲に基づいて、前記第一の撮像部の前記シフト位置の変更の要否を決定し、
前記シフト位置の変更を行う場合に、前記第一の撮像部と前記第二の撮像部の前記ズーム倍率の比較結果に基づいて、前記第一の撮像部および前記第二の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置を決定することを特徴とする制御方法。
【請求項13】
案内部上を移動可能な第一の撮像部と、前記案内部上を移動可能な第二の撮像部と、前記第一の撮像部および前記第二の撮像部を水平方向に駆動させ、パンニング角度を変更するパンニング機構と、前記第一の撮像部のズームレンズおよび前記第二の撮像部のズームレンズのズーム位置を変更するズーム機構と、前記案内部上において、前記第一の撮像部および前記第二の撮像部をそれぞれ個別に水平方向に移動させることで、前記案内部上における位置であるシフト位置を変更するシフト機構と、を有する撮像装置の制御方法であって、
前記第一の撮像部の撮影領域と重なる領域を、前記第二の撮像部により、前記第一の撮像部とは異なるズーム倍率で撮影する場合に、
前記第一の撮像部の前記シフト位置、前記第一の撮像部の前記パンニング角度、前記第二の撮像部の前記シフト位置、および前記第二の撮像部の前記案内部上における移動可能範囲に基づいて、前記第一の撮像部の前記シフト位置の変更の要否を決定し、
前記シフト位置の変更を行う場合に、予め入力された少なくとも2つ以上の前記ズーム倍率の比較結果、または、予め入力された少なくとも1つ以上の前記ズーム倍率と前記第一の撮像部の前記ズーム倍率との比較結果に基づいて、前記第一の撮像部のズームレンズおよび前記第二の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置を決定することを特徴とする制御方法。
【請求項14】
請求項1
2または1
3に記載の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項1
4に記載のプログラムを記憶した、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像システム、制御方法、プログラム、および、記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のカメラを有し、前記複数のカメラがそれぞれ個別に同一レール上を移動する撮像装置において、ズーム機能、カメラの本体をレール上で駆動させるシフト機能、カメラの水平方向にける向きを駆動させるパン機能がある。このパン機能を使用すると、同じ撮影方向を2つのカメラで、異なる条件で撮影することができる。一例として、同じ撮影方向をワイドとテレで同時に撮影することができる。特許文献1では、複数のカメラを有する撮像装置において、特定の被写体を追尾しているとき、被写体を追尾するためのカメラをテレに設定し、同じ撮影領域を、隣接したカメラで補うようにワイドで撮影する手段が開示されている。また、特許文献2では、カメラがレールに沿って移動する画像撮影システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-169488号公報
【文献】特開2004-248231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示された撮像装置では、カメラが固定されている。そのため、ユーザが見たい方向が撮影できない可能性がある。そこで、特許文献2のカメラがレールに沿って移動する機能を追加し、カメラがレールに沿って移動可能にしたケースを考える。このとき、2つのカメラで同一方向を撮影したときに、カメラの位置と方向によっては、所望の位置から画角がずれてしまう場合がありうる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、複数のカメラで重なる領域を撮影する場合において、基準となるカメラのシフト駆動による画角ずれを低減する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、案内部上を移動可能な第一の撮像部と、前記案内部上を移動可能な第二の撮像部と、前記第一の撮像部および前記第二の撮像部を水平方向に駆動させ、パンニング角度を変更するパンニング機構と、前記第一の撮像部のズームレンズおよび前記第二の撮像部のズームレンズのズーム位置を変更するズーム機構と、前記案内部上において、前記第一の撮像部および前記第二の撮像部を水平方向に移動させることで、前記案内部上における位置であるシフト位置を変更するシフト機構と、前記パンニング機構、前記ズーム機構、および前記シフト機構の駆動を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記第一の撮像部の撮影領域と重なる領域を、前記第二の撮像部により、前記第一の撮像部とは異なるズーム倍率で撮影する場合に、前記第一の撮像部の前記シフト位置、前記第一の撮像部の前記パンニング角度、前記第二の撮像部の前記シフト位置、および前記第二の撮像部の前記案内部上における移動可能範囲に基づいて、前記第一の撮像部の前記シフト位置の変更の要否を決定し、前記シフト位置の変更を行う場合に、前記第一の撮像部と前記第二の撮像部の前記ズーム倍率の比較結果に基づいて、前記第一の撮像部のズームレンズおよび前記第二の撮像部のズームレンズの前記ズーム位置を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のカメラで重なる領域を撮影する場合において、基準となるカメラのシフト駆動による画角ずれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の一例を示す模式図である。
【
図2】実施形態に係る撮像装置含む撮像システムのブロック図である。
【
図3】第1の実施例に係る撮像装置を示す模式図である。
【
図4】第1の実施例に係る目標とする配置を示す模式図である。
【
図5】第1のケースのシフト駆動を説明する模式図である。
【
図6】第1のケースのパン駆動を説明する模式図である。
【
図7】第2のケースの駆動を説明する模式図である。
【
図8】第2のケースの駆動を説明する模式図である。
【
図9】第2のケースのシフト駆動を説明する模式図である。
【
図10】第2のケースのパン駆動を説明する模式図である。
【
図11】第2のケースのテレ・ワイド撮影の状態を示す模式図である。
【
図12】第3のケースの駆動を説明する模式図である。
【
図13】第1の実施例に係る画角ずれを説明する模式図である。
【
図14】第3のケースのシフト駆動およびパン駆動を説明する模式図である。
【
図15】第3のケースのズーム位置の変更を説明する模式図である。
【
図17】第2の実施例に係る撮像装置を示す模式図である。
【
図18】第4のケースの目標とする配置を示す模式図である。
【
図19】第4のケースのシフト駆動を説明する模式図である。
【
図20】第4のケースのパン駆動を説明する模式図である。
【
図21】第5のケースの駆動を説明する模式図である。
【
図22】第5のケースのシフト駆動を説明する模式図である。
【
図23】第5のケースのパン駆動を説明する模式図である。
【
図24】第5のケースのテレ・ワイド撮影の状態を示す模式図である。
【
図25】第6のケースにおける駆動を説明する模式図である。
【
図26】第2の実施例に係る画角ずれを説明する模式図である。
【
図27】第6のケースのズーム位置の変更を説明する模式図である。
【
図29】第3の実施例に係るUI画面を示す模式図である。
【
図31】第4の実施例に係る駆動を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を用いて、本発明の実施形態について説明する。その際、図において同一の機能を有するものは同一の数字を付け、その繰り返しの説明は省略する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は、図示された構成に限定されるものではない。
【0010】
〔実施形態〕
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置101の一例を示す模式図である。撮像装置101(多眼カメラ、多眼機ともいう)は、少なくとも2つのカメラ102を含む。本図では、撮像装置101は、一例として、4つのカメラ102a~102dを備える。なお、以降単にカメラ102という場合、カメラ102a~102dのいずれか1つを指すものとし、カメラ102の構成要素についても同様である。撮像装置101において、カメラ102a~102dは、レール103(案内部)に沿ってそれぞれ個別に移動が可能である。本明細書において、このような移動をシフト駆動104と呼ぶ。ここでカメラ102がシフト駆動するレール103は、例えば、円環状である。よって、カメラ102a~102dは、円環状のレール103の中心107を中心軸として、レール103上を水平方向に(XY平面内で)移動する。シフト駆動104は、水平方向、換言すると、パンニング(単にパンということもある)方向への移動であるため、パン駆動と呼ばれることもある。なお、本明細書において、カメラ102のレール上における位置をシフト位置という。つまり、シフト駆動は、カメラ102のシフト位置を変更するための駆動である。
【0011】
カメラ102は、カメラ102が有する水平方向への回転軸108を中心軸として回転することも可能である。該回転によって、カメラ102をレール103上で移動させずに、回転軸108を中心軸として、カメラ102の撮影方向を水平方向、換言するとパンニング方向に変更することが可能である。本明細書において、このような回転駆動をパン駆動という。なお、このような回転駆動は、ツイスト駆動と呼ばれることもある。
【0012】
撮像装置101は、複数のカメラ102によって略同一方向を異なる撮影条件で撮影することが可能である。ここで、撮影条件には、例えば、ズーム倍率が含まれる。具体的には、例えばカメラ102bをテレ側(望遠側)で、カメラ102cをワイド側(広角側)で、2つのカメラの撮影領域の少なくとも一部が重なる範囲を同時に撮影する。このとき、カメラ102bの光軸106bと、カメラ102cの光軸106cは、平行になる。以後、このように複数のカメラによって、少なくとも一部が重なる撮影領域を異なるズーム倍率で撮影することをテレ・ワイド撮影といい、このような撮影について述べる。撮像装置101は、テレ・ワイド撮影を行うテレ・ワイド撮影モードを有する。ユーザがクライアント装置20において、テレ・ワイド撮影モードを指定することにより、撮像装置101においてテレ・ワイド撮影モードが実行される。
【0013】
図2は、実施形態に係る撮像装置101含む撮像システム1のブロック図である。撮像システム1は、撮像装置101、および、クライアント装置20(情報処理装置)を含む。
【0014】
クライアント装置20は、CPUおよびメモリを含む制御部21を含む。CPUはメモリからロードしたコンピュータプログラムに従い、クライアント装置20の各構成要素を統括的に制御し、例えば、各種パラメータの設定を行う。クライアント装置20は、マウスやキーボード等の入力部22と、後述するユーザインターフェースを表示すディスプレイ等の表示部23を含みうる。制御部21は、ユーザインターフェース(UI)や、撮像装置101から受信した画像(映像)等を表示部23に表示させる。つまり、制御部21は、表示制御部としても機能する。クライアント装置20から、例えば、ユーザがテレ・ワイド撮影モードを指定することで、撮像装置101においてテレ・ワイド撮影モードが実行される。クライアント装置20は、ネットワーク30を介して撮像装置101と相互に通信可能に接続される。
【0015】
ネットワーク30は、ネットワーク上のローカルエリアネットワーク(LAN)であり、Ethernet(登録商標)等の通信規格を満足するルータ等から構成されうる。
【0016】
撮像装置101は、カメラ102a、カメラ102b、カメラ102c、カメラ102d、制御部110、通信部120を備えうる。本実施形態では、一例として、カメラ102a~102dは同じ構成のカメラであるため、カメラ102aの構成を説明し、カメラ102c~102dの構成については説明を省略する。カメラ102aは、撮像部1021a、PT駆動部1022a、Z駆動部1023a、シフト駆動部1024aおよび検出部1025aを備える。
【0017】
撮像部1021aは、レンズ及びCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary MOS)イメージセンサ等の固体撮像素子を含む。撮像部1021aでは、レンズから入射した光を固体撮像素子により電気信号へと変換している。電気信号に変換された映像信号は制御部110に送信される。
【0018】
PT駆動部1022aは、撮像部1021aをパン駆動およびチルト駆動させる。つまり、PT駆動部1022aは、パンニング機構およびチルト機構として機能する。ここで、チルト駆動とは、
図1のZ軸に対する角度を変更する駆動である。
【0019】
Z駆動部1023aは、撮像部1021aに含まれるズームレンズを光軸方向に移動させることでズーム位置を変更し、カメラ102aのズーム倍率を変更する。換言すると、Z駆動部1023aは、カメラ102aの撮影画角を変更する。つまり、Z駆動部1023aは、ズーム機構として機能する。
【0020】
シフト駆動部1024aは、カメラ102aをレール103に沿って移動させ、シフト駆動させる。つまり、シフト駆動部1024aは、シフト機構として機能する。撮像部1021a、PT駆動部1022a、Z駆動部1023a、およびシフト駆動部1024aは、制御部110から出力される制御信号に応じて、駆動する。
【0021】
検出部1025aは、カメラ102aのパンニング角度(パン角度)、チルト角度およびシフト位置を検出する。カメラ102aには、例えば、ロータリエンコーダ、フォトインタラプタ、および角速度センサ等が搭載されており、カメラ102aのパン角度、チルト角度およびシフト位置は検出部1025aにおいて検出される。検出されたカメラ102aのパン角度、チルト角度およびシフト位置は電気信号へと変換され、制御部110に伝達される。即ち、制御部110は、カメラ102aのパン角度、チルト角度およびシフト位置を把握することができる。
【0022】
制御部110は、例えば、CPUおよびメモリを含む。CPUはメモリからロードしたコンピュータプログラムに従い、撮像装置101の各構成要素を統括的に制御する。また、制御部110は、通信部120を介してクライアント装置20から受信した指示に応じて、撮像装置101の各構成要素を制御する。
【0023】
通信部120は、ネットワーク30を介してクライアント装置20と通信する。通信部120は、例えば、クライアント装置20に撮像部1021a~1021dが撮像した画像を配信する。また、通信部120は、例えば、クライアント装置20から撮像装置101を制御するコマンドを受信し、制御部110に送信する。該コマンドに応じて制御部110が撮像装置101の各構成要素の制御を行う。
【0024】
なお、本明細書において、シフト角は、反時計回り方向を正、時計回り方向を負とする。また、パン角は、カメラ102がシフト駆動するレール103の法線方向から反時計回り方向を正、時計回り方向を負とする。
【0025】
(第1の実施例)
以下、
図3から
図16を参照して、第1の実施例による、少なくとも2つのカメラ(ここではカメラ102aおよびカメラ102b)を備え、カメラがシフトするレール103の一部が欠けている撮像装置のケースについて述べる。
図3は、第1の実施例に係る撮像装置を示す模式図である。レール103の一部が欠けていることは、カメラのシフト駆動可能な範囲が制限されていることを意味している。テレ・ワイド撮影モードにおいて、2つのカメラの撮影画角に応じて、ズーム倍率の設定を維持もしくは変更する内容について説明する。
【0026】
まず、テレ・ワイド撮影モードが指定された場合、ユーザは基準とするカメラを、複数のカメラから選択する。テレ・ワイド撮影モードでは、基準として選択されたカメラの撮影方向を、複数のカメラによって異なるズーム倍率で撮影する。ここで、基準となるカメラを第一のカメラ、第一のカメラを補完するカメラを第二のカメラとする。本実施例では、第一のカメラ、即ち、基準となるカメラとしてカメラ102aが選択され、カメラ102aで撮影している方向を、カメラ102bで、カメラ102aとは異なる撮影条件で撮影する例について説明する。
【0027】
まず、カメラ102aとレール103が欠けている位置との間であって、カメラ102aのパン角方向側に他のカメラ(ここでは、カメラ102b)が位置しているか否かを取得する。そして、どのカメラをシフト駆動させるかを判断する。そして、カメラ102aおよびカメラ102bがカメラ102aの光軸の方向を向けるような位置になるように、カメラ102bをカメラ102aに隣接した位置にシフト駆動する。ここで、カメラ102aとカメラ102bとが隣接できるシフト角(隣接可能シフト角)は、カメラ102aおよびカメラ102bの大きさにより変わる。なお、ここで隣接可能シフト角とは、カメラ102aとカメラ102bとが衝突せずに隣接できるシフト位置にある場合の、中心107を基準とした、カメラ102aの位置と、カメラ102bの位置がなす角度である。カメラが比較的大きい場合には、カメラ102aとカメラ102bのレール103上における位置が近すぎる、即ち、シフト角が小さすぎるとカメラ102aとカメラ102bとが衝突してしまうため、隣接できるシフト角に制限がある。
【0028】
カメラ102bを、シフト駆動させた後、カメラ102aおよびカメラ102bの光軸が、テレ・ワイド撮影モードが指定されたときのカメラ102aの光軸と平行な方向を向くように、カメラ102aおよびカメラ102bを必要に応じてパン駆動する。テレ・ワイド撮影のためのシフト駆動によって生じる画角ずれの発生の有無で、カメラ102aおよびカメラ102bのズームレンズのズーム位置の変更を行うか否かを判断する。画角ずれの詳細については後述する。画角ずれが発生しない場合にはカメラ102aおよびカメラ102bのズームレンズのズーム位置を維持し、画角ずれが発生する場合にはカメラ102aおよびカメラ102bのズームレンズのズーム位置を変更する。
【0029】
以上を、3つの条件に分けて詳細に説明する。1つ目は、第一のカメラの位置とレールの欠けている位置との間であって、第一のカメラのパン角方向側に第二のカメラが位置している場合である。この場合を第1のケースという。2つ目は、第一のカメラの位置とレールの欠けている位置との間であって、第一のカメラのパン角方向側に第二のカメラが位置しておらず、かつ、第一のカメラのズームレンズのズーム位置が第二のカメラのズームレンズのズーム位置よりも広角側である場合である。この場合を、第2のケースという。3つ目は、第一のカメラの位置とレールの欠けている位置との間であって、第一のカメラのパン角方向側に第二のカメラが位置しておらず、かつ、第一のカメラのズームレンズのズーム位置が第二のカメラのズームレンズのズーム位置よりも望遠側である場合である。この場合を第3のケースという。これらの条件に分けて説明する。
【0030】
<第1のケース>
まず、テレ・ワイド撮影にあたり、第一のカメラのパン角、第一のカメラのシフト位置、第二のカメラのシフト位置、および、レール103が欠けている位置を取得する。レール103が欠けている位置を取得することで、第二のカメラのレール103上における移動可能範囲を取得することができる。第一のカメラのパン角、第一のカメラのシフト位置、第二のカメラのシフト位置、および第二のカメラのレール103上における移動可能範囲の関係から、第一のカメラのシフト位置変更の要否を判断する。
【0031】
図4は、第1の実施例における第1のケースの目標とする配置を示す模式図である。第1のケースでは、
図4の紙面に向かって左側に示す配置から、
図4の紙面に向かって右側に示すような配置となるように各構成要素を制御する。テレ・ワイド撮影を行うにあたり、
図3では、レール103に沿ったカメラ102aのパン角方向206に、カメラ102bが位置している。つまり、ここでは、カメラ102bがパン駆動の基準方向(パン基準方向207)を基準として、カメラ102aが向いている方向(ここでは反時計回りの方向)に位置している。そして、カメラ102bは、カメラ102aとレールの欠けている位置205との間に位置している。このような場合、ズームレンズのズーム位置に関わらず、カメラ102bをカメラ102aと隣接する位置にシフト駆動させても、カメラ102bがカメラ102aの画角に映り込むことはない。また、カメラ102aがカメラ102bの画角に映り込む等の影響を及ぼすこともない。よって、この場合、カメラ102aをシフトさせる必要がないという判断をする。
【0032】
具体的に
図3を用いて説明する。制御部110は、まず、カメラ102aのパン角Φ1の正負の値に応じて、Θ1とΘ2の大小関係から、カメラ102bが、カメラ102aパン角方向側であって、カメラ102aの位置203とレールの欠けている位置205との間に位置するか否かを判断する。ここで、Θ1は、中心107を基準とした、テレ・ワイド撮影モードの指定時におけるカメラ102aの位置203と、テレ・ワイド撮影モードの指定時におけるカメラ102bの位置204とがなす正方向の角度である。また、Θ2は、中心107を基準とした、テレ・ワイド撮影モードの指定時におけるカメラ102aの位置203と、レールの欠けている位置205とがなす正方向の角度である。パン角Φ1が正である場合、Θ1<Θ2であれば、カメラ102bが、カメラ102aパン角方向側であって、カメラ102aの位置203とレールの欠けている位置205との間に位置する。一方、パン角Φ1が負である場合、Θ1>Θ2であれば、カメラ102bが、カメラ102aパン角方向側であって、カメラ102aの位置203とレールの欠けている位置205との間に位置する。
【0033】
図3の例では、パン角Φ1が正であり、Θ1<Θ2となっている。このため、制御部110は、カメラ102bが、カメラ102aパン角方向側であって、カメラ102aの位置203とレールの欠けている位置205との間に位置すると判断する。
【0034】
この場合、カメラ102bをカメラ102aと隣接した位置へシフト駆動させる。
図5は、第1のケースのシフト駆動を説明する模式図である。制御部110は、
図5の紙面に向かって左側に示す配置から、
図5の紙面に向かって右側に示す配置となるようにカメラ102bをシフト駆動させる。そして、カメラ102bをカメラ102aの光軸の向きに応じてパン駆動させる。このとき、カメラ102bの光軸と、カメラ102aの光軸とが平行になることが好ましい。
図6は、第1のケースのパン駆動を説明する模式図である。具体的には、
図6に示すようにパン駆動を行う。カメラ102bのシフト駆動完了後、カメラ102bはカメラ102aに隣接可能なシフト角Θ3の位置ある。ここで、Θ3は、隣接可能シフト角であり、カメラの大きさによって変化するが、小さい程好ましい。シフト駆動後のカメラ102bの光軸をカメラ102aの光軸301と平行にするため、カメラ102bをΦ2の角度分パン駆動させる。ここで、Φ2=Φ1-Θ3である。この結果、
図4の紙面に向かって右側に示す目標とする配置が実現できる。
【0035】
<第2のケース>
次に、第2のケースについて説明する。まず、第1のケースと同様に、テレ・ワイド撮影にあたり、第一のカメラのパン角、第一のカメラのシフト位置、第二のカメラのシフト位置、レール103が欠けている位置を取得する。そして、第一のカメラのパン角、第一のカメラのシフト位置、第二のカメラのシフト位置、および第二のカメラのレール103上における移動可能範囲の関係から、第一のカメラのシフト位置変更の要否を判断する。
図7は、第2のケースの駆動を説明する模式図である。第2のケースでは、第一のカメラであるカメラ102aの位置とレールの欠けている位置との間であって、第一のカメラのパン角方向側に第二のカメラ(ここでは、カメラ102b)が位置していない。このため、カメラ102bをカメラ102aと隣接する位置にシフト駆動させ、カメラ102bの光軸がカメラ102aの光軸と平行になるようにパン駆動させると、カメラ102bの画角にカメラ102aが映り込んでしまう。このため、カメラ102aをシフト駆動させる必要がある。よって、制御部110は、カメラ102aをシフト駆動する必要があると判断する。
【0036】
そして、カメラ102aとカメラ102bのズーム倍率を比較する。カメラ102aの撮影画角601がカメラ102bの撮影画角602より広いあるいは同じ場合は、カメラ102aおよびカメラ102bのズームレンズのズーム位置を変更しない。換言すると、カメラ102aのズームレンズのズーム位置がカメラ102bのズームレンズのズーム位置よりも広角側あるいは同じ場合は、カメラ102aおよびカメラ102bのズーム位置を変更しない。即ち、
図7の紙面に向かって左側に示す配置から、
図7の紙面に向かって右側に示すような配置となるように各構成要素を制御する。つまり、カメラ102aをシフト駆動させ、さらに、カメラ102bがシフト駆動前のカメラ102aの撮影方向を撮影できるように、カメラ102bをシフト駆動、パン駆動をさせる。なお、カメラ102aをシフト駆動させたことにより、カメラ102aの撮影範囲がずれるが、カメラ102aは広角側で撮影を行っているため画角ずれは軽微である。このため、カメラ102aおよびカメラ102bのズームレンズのズーム位置をそれぞれ維持する。
【0037】
具体的に
図8を用いて説明する。
図8は、第2のケースの駆動を説明する模式図である。
図8では、レール103に沿ったカメラ102aのパン角方向206(ここでは反時計回りの方向)に、カメラ102bが位置していない。このような場合、制御部110は、カメラ102aをシフト駆動させる必要があるという判断をする。
【0038】
具体的には、カメラ102aのパン角Φ1の正負の値に応じて、Θ1とΘ2の大小関係から、カメラ102bが、カメラ102aパン角方向側であって、カメラ102aの位置203とレールの欠けている位置205との間に位置するか否かを判断する。ここでは、パン角Φ1が正であり、Θ2<Θ1であるため、カメラ102bが、カメラ102aパン角方向側であって、カメラ102aの位置203とレールの欠けている位置205との間に位置していないと判断する。
【0039】
よって、カメラ102aを正方向にシフト駆動させる。このとき、カメラ102aは、カメラ102bが位置203へシフト駆動した場合にカメラ102bと隣接できるシフト角Θ3の位置までシフト駆動する。その後、カメラ102bは、カメラ102aのシフト駆動前の位置203にシフト駆動する。シフト駆動の結果、
図9のような配置となる。
図9は、第2のケースのシフト駆動を説明する模式図である。
【0040】
その後、カメラ102aおよびカメラ102bを、シフト駆動前のカメラ102aの光軸302の向きに応じてパン駆動させる。このとき、シフト駆動後のカメラ102aの光軸の向き、およびシフト駆動後のカメラ102bの光軸の向きが、シフト駆動前のカメラ102aの光軸302と平行になるようにパン駆動されることが好ましい。
図10は、第2のケースのパン駆動を説明する模式図である。制御部110は、
図10に示すようにパン駆動を行う。具体的には、カメラ102aおよびカメラ102bのシフト駆動完了後、カメラ102aをΦ2の角度分パン駆動させる。そして、テレ・ワイド撮影モードの指定時におけるカメラ102aのパン角度Φ1に応じて、カメラ102bをパン駆動させる。好ましくは、テレ・ワイド撮影モードの指定時におけるカメラ102aのパン角度Φ1と同じ角度パン駆動させる。この結果、カメラは
図10の紙面に向かって右側のような配置となる。
【0041】
そして、制御部110は、カメラ102aの撮影画角601とカメラ102bの撮影画角602とを比較する。換言すると、制御部110は、カメラ102aのズームレンズのズーム位置とカメラ102bのズームレンズのズーム位置を比較する。これは、つまりカメラ102aとカメラ102bのズーム倍率を比較するともいえる。比較した結果、撮影画角601が撮影画角602よりも広い、即ち、カメラ102aのズームレンズのズーム位置が、カメラ102bのズームレンズのズーム位置よりも広角側である、と判断した場合、カメラ102bおよびカメラ102bの撮影画角の変更は行わない。つまり、ズームレンズのズーム位置の変更は行わない。よって
図11のような配置となる。
図11は、第2のケースのテレ・ワイド撮影の状態を示す模式図である
【0042】
<第3のケース>
次に、第3のケースについて説明する。まず、第1および第2のケースと同様に、テレ・ワイド撮影にあたり、第一のカメラのパン角、第一のカメラのシフト位置、第二のカメラのシフト位置、および、レール103が欠けている位置を取得する。そして、第一のカメラのパン角、第一のカメラのシフト位置、第二のカメラのシフト位置、および第二のカメラのレール103上における移動可能範囲の関係から、第一のカメラのシフト位置変更の要否を判断する。
図12は、第3のケースの駆動を説明する模式図である。第3のケースでは、
図12の紙面に向かって左側に示す配置から、
図12の紙面に向かって右側に示すような配置となるように各構成要素を制御する。第3のケースでは、第一のカメラであるカメラ102aの位置とレールの欠けている位置との間であって、第一のカメラのパン角方向側に第二のカメラ(ここでは、カメラ102b)が位置していない。このため、第2のケースと同様にカメラ102bをカメラ102aと隣接する位置にシフト駆動させる必要がある。よって、制御部110は、カメラ102aをシフト駆動する必要があると判断する。
【0043】
しかし、第3のケースでは、カメラ102aの撮影画角1101が、カメラ102bの撮影画角1102よりも狭い。換言すると、カメラ102aのズームレンズのズーム位置は、カメラ102bのズームレンズのズーム位置よりも望遠側である。この場合、第2のケースのように、カメラ102aおよびカメラ102bをシフト駆動およびパン駆動させても
図13に示すように、画角がずれてしまう。
図13は、第1の実施例に係る画角ずれを説明する模式図である。カメラ102aの撮影画角が狭いと、カメラ102aがシフト駆動することで、カメラ102aの撮影画角は、シフト駆動前の撮影画角1101からシフト駆動後の撮影画角1202にまでずれてしまう。このような、カメラ102aのシフト駆動による画角のずれ1203は、撮影画角が狭い程、即ち、ズームレンズのズーム位置が望遠側である程、より顕著に生じる。そのためカメラ102aの撮影画角とカメラ102bの撮影画角を比較し、カメラ102aの撮影画角が、カメラ102bの撮影画角よりも狭いと判断された場合、ズームレンズのズーム位置の設定を変更する。
【0044】
第3のケースでは、
図8に示す第2のケースと同様にレール103に沿ったカメラ102aのパン角方向206(ここでは反時計回りの方向)に、カメラ102bが位置していない。このような場合、制御部110は、カメラ102aをシフト駆動させる必要があるという判断をする。
【0045】
具体的には、カメラ102aのパン角Φ1の正負の値に応じて、Θ1とΘ2の大小関係から、カメラ102bが、カメラ102aパン角方向側であって、カメラ102aの位置203とレールの欠けている位置205との間に位置するか否かを判断する。ここでは、パン角Φ1が正であり、Θ2<Θ1であるため、カメラ102bが、カメラ102aパン角方向側であって、カメラ102aの位置203とレールの欠けている位置205との間に位置していないと判断する。そして、第2のケースと同様にカメラ102aおよびカメラ102bをシフト駆動およびパン駆動させる。
図14は、第3のケースのシフト駆動およびパン駆動を説明する模式図である。シフト駆動およびパン駆動が完了すると、
図14の紙面向かって右側のような配置となる。
【0046】
次に、制御部110は、カメラ102bの撮影画角とカメラ102bの撮影画角を比較する。比較した結果、カメラ102bの撮影画角が、カメラ102aの撮影画角よりも広いと判断した場合、
図15に示すようにカメラ102bとカメラ102bのズーム位置の変更を行う。
図15は、第3のケースのズーム位置の変更を説明する模式図である。つまり、制御部110は、カメラ102aの撮影画角をカメラ102bの撮影画角へ引き継がせ、カメラ102bの撮影画角をカメラ102aの撮影画角へ引き継がせる。
【0047】
このような制御によりカメラ102bのズームレンズのズーム位置変更後の撮影画角1102はシフト駆動前のカメラ102aの撮影画角1101と略一致、好ましくは一致する。これにより、シフト駆動による画角のずれが低減でき、同一方向を2つのカメラによりテレ・ワイドで撮影が可能になる。
【0048】
本実施例ではシフト駆動、パン駆動、ズーム駆動の制御を説明のために分けて説明しているが、いずれの動作も同時に行ってもよい。さらに、カメラ102のシフト駆動にあたっては、AE(自動露出)、AF(オートフォーカス)、AWB(オートホワイトバランス)など他撮影条件を引き継いでもよい。また、ここでは、第一のカメラと第二のカメラのズームレンズのズーム位置を入れ替える例について記載した。しかし、例えば、第一のカメラのズームレンズのズーム位置および第二のカメラのズームレンズのズーム位置の少なくとも一方を予め定められた設計値に変更しても良い。具体的には、例えば、制御部110は、第一のカメラのズームレンズのズーム位置を広角端に、第二のカメラのズームレンズのズーム位置を望遠端に変更する。
【0049】
<フローチャート>
図16に第1の実施例のフローチャートを示す。このフローチャートで示す各動作(ステップ)は、制御部110の各構成要素の制御によって実行されうる。まず、S1501で、制御部110は、ユーザによって、テレ・ワイド撮影モードが指定されたかを判断する。テレ・ワイド撮影モードが指定されていなければ(No)、テレ・ワイド撮影を行わない。一方、テレ・ワイド撮影モードが指定された場合(Yes)、S1502へ進む。S1502では、制御部110は、ユーザによって選択された第一のカメラ(基準となるカメラ)をシフト駆動させずに第一のカメラと略同一の方向を撮影可能なカメラがあるか否かを検出部1025が検出した情報に基づいて判断する。このとき、制御部110は、ユーザの予め指定した駆動可能なカメラ、換言すると、第二のカメラの候補とするカメラを参照して、第一のカメラをシフト駆動させる必要のないカメラがあるかを判断しても良い。第一のカメラをシフト駆動させる必要のないカメラがある場合(Yes)には、S1503に進み、第二のカメラを、第一のカメラの撮影方向に応じた方向、好ましくは、第一のカメラの撮影方向と同一の方向を撮影できる位置へシフト駆動させる。そして、S1504で、第一のカメラの光軸の向きに応じて、第二のカメラをパン駆動させる。このとき、第一のカメラの光軸と平行な方向へ、第二のカメラの向きをパン駆動させることが好ましい。
【0050】
一方、S1502で、第一のカメラをシフト駆動させる必要のないカメラがない場合(No)には、S1505へ進む。S1505において、制御部110は、第一のカメラの撮影画角と第二のカメラの撮影画角を比較する。S1505での比較の結果、第二のカメラの撮影画角が第一のカメラの撮影画角より狭い場合(No)には、シフト駆動による画角ずれは比較的軽微であるといえる。言い換えると、第二のカメラのズームレンズのズーム位置が第一のカメラのズームレンズのズーム位置よりも望遠側である場合には、シフト駆動による画角ずれは比較的軽微であるといえる。このため、第一のカメラおよび第二のカメラのズームレンズのズーム位置の変更は行わない。一方、S1105での比較の結果、第一のカメラの撮影画角が第二のカメラの撮影画角より狭い場合は、シフト駆動による画角ずれが比較的大きい。即ち、第一のカメラのズームレンズのズーム位置が第二のカメラのズームレンズのズーム位置よりも望遠側である場合には、シフト駆動による画角ずれが比較的大きい。このため、第一のカメラおよび第二のカメラのズームレンズのズーム位置の変更を行う。具体的には、S1506に進み、第一のカメラのズームレンズのズーム位置を広角側にし、またS1507で第二のカメラのズームレンズのズーム位置を望遠側にする。その後、S1508へ進み、第二のカメラが第一のカメラの位置にシフトできるような位置、即ち、第二のカメラと反対方向に、第一のカメラをシフト駆動させる。S1509で、シフト駆動前の第一のカメラの位置へ、第二のカメラをシフト駆動させる。このとき、第一のカメラの光軸は、シフト駆動により、シフト駆動前の第一のカメラの光軸からずれており、第一のカメラの撮像方向は所望の方向からずれている。よってS1510では、シフト駆動前の第一のカメラの光軸の向き(撮像方向)に応じて第一のカメラをパン駆動させる。このとき、第一のカメラの光軸の向きが、シフト駆動前の第一のカメラの光軸と平行になるようパン駆動させることが好ましい。S1511では、シフト駆動前の第一のカメラの光軸の向きに応じて、第二のカメラをパン駆動させる。このとき、第二のカメラの光軸が、シフト駆動前の第一のカメラの光軸と一致するようパン駆動させることが好ましい。
【0051】
この実施例により、第二のカメラのシフト駆動範囲に制限があるような撮像装置で、テレ・ワイド撮影を行う場合でも、所望の撮影画角からのずれを軽減することができる。
【0052】
なお、上述のフローは一例であるため、カメラ同士が衝突する等、カメラの駆動に支障のない範囲で工程を入れ替えても良い。
【0053】
(第2の実施例)
以下、
図17から
図25を参照して、第2の実施例による、少なくとも3つのカメラ(ここでは、カメラ102a、カメラ102bおよびカメラ102c)を備える撮像装置のケースについて述べる。なお、特に言及のない事項については上述の実施例に従う。
図17は、第2の実施例に係る撮像装置を示す模式図である。テレ・ワイド撮影モードにおいて、3つのカメラのうち、2つのカメラのズームレンズのズーム位置に応じて、ズーム位置の設定を維持もしくは変更する内容について説明する。
【0054】
ユーザが第一のカメラの方向を2つのカメラで撮影したい状況を考える。このとき、任意のカメラが自動で動くことは不都合であるため、ユーザは、クライアント装置20からシフト駆動可能なカメラと、シフト位置を固定するカメラを事前に選択する。該選択により、シフト駆動可能なカメラと、シフト位置を固定するカメラを予め設定可能となる。ここで、シフト駆動可能なカメラとは、ユーザによって、シフト位置を変更することを許可されているカメラである。また、シフト位置を固定するカメラとは、ユーザによって、シフト位置が変更されないように設定されたカメラであり、以降、単に固定されたカメラとも言う。そのため、ユーザによってシフト位置が固定されたカメラによって、シフト駆動可能なカメラのレール103上における移動可能範囲が制限されている。つまり、ユーザによってシフト位置が固定されたカメラは、第1の実施例のレール103の欠けている位置に相当する。
【0055】
ここでも、基準となるカメラを第一のカメラ、第一のカメラを補完するカメラを第二のカメラとする。まず、第一のカメラの位置とシフト位置が固定されたカメラとの間であって、第一のカメラのパン角方向側に他のカメラが位置しているか否かを取得する。そして、どのカメラをシフト駆動させるか、即ち、どのカメラを第二のカメラとして選択するかを判断する。そして、第一のカメラおよび第二のカメラが第一のカメラの光軸の方向を向けるような位置になるように、第二のカメラを第一のカメラに隣接した位置にシフト駆動する。ここで、第一のカメラと第二のカメラとが隣接できるシフト角は、第一のカメラおよび第二のカメラの大きさにより変わる。
【0056】
第二のカメラを、シフト駆動させた後、第一のカメラおよび第二のカメラの光軸が、テレ・ワイド撮影モードが指定されたときの第一のカメラの光軸と平行な方向を向くように、第一のカメラおよび第二のカメラを必要に応じてパン駆動する。テレ・ワイド撮影のためのシフト駆動によって生じる画角ずれの発生の有無で、第一のカメラおよび第二のカメラのズームレンズのズーム位置の変更を行うか否かを判断する。画角ずれが発生しない場合にはズーム位置を維持し、画角ずれが発生する場合にはズーム位置の設定を変更する。
【0057】
以上を、3つの条件に分けて説明する。1つ目は、第一のカメラの位置とシフト位置が固定されたカメラの位置との間であって、第一のカメラのパン角方向側に第二のカメラが位置している場合である。この場合を第4のケースという。2つ目は、第一のカメラの位置とシフト位置が固定されたカメラの位置との間であって、第一のカメラのパン角方向側に第二のカメラが位置しておらず、かつ、第一のカメラのズームレンズのズーム位置が第二のカメラのズームレンズのズーム位置よりも広角側である場合である。この場合を第5のケースという。3つ目は、第一のカメラの位置とシフト位置が固定されたカメラの位置との間であって、第一のカメラのパン角方向側に第二のカメラが位置しておらず、かつ、第一のカメラのズームレンズのズーム位置が第二のカメラのズームレンズのズーム位置よりも望遠側である場合である。この場合を第6のケースという。これらの条件に分けて説明する。
【0058】
<第4のケース>
まず、テレ・ワイド撮影にあたり、第一のカメラのパン角、第一のカメラのシフト位置、第二のカメラのシフト位置、および、ユーザによってシフト位置が固定されたカメラのシフト位置を取得する。固定されたカメラのシフト位置を取得することで、第二のカメラのレール103上における移動可能範囲を取得することができる。第一のカメラのパン角、第一のカメラのシフト位置、第二のカメラのシフト位置、および第二のカメラのレール103上における移動可能範囲の関係から、第一のカメラのシフト位置変更の要否を判断する。そして、第一のカメラをシフト駆動させる必要のない駆動可能なカメラがあると判断する場合は、第一のカメラをシフトさせず、第二のカメラをシフト駆動およびパン駆動させ、テレ・ワイド撮影を行う。
図18は、第4のケースの目標とする配置を示す模式図である。紙面に向かって左側は、テレ・ワイド撮影モードが指定された時のカメラの配置を示している。この配置から、
図18の紙面に向かって右側に示すような配置となるように各構成要素を制御する。
【0059】
具体的に
図17を用いて説明する。第4のケースでは、一例として、駆動可能なカメラとしてカメラ102cが選択され、シフト位置が固定されたカメラとしてカメラ102bが選択されているものとする。ここで、カメラ102aのパン角Φ1が正であり、Θ4<Θ5となっている。ここで、Θ4は、中心107を基準とした、テレ・ワイド撮影モードの指定時における基準となるカメラ102aの位置1604と、テレ・ワイド撮影モードの指定時における駆動可能なカメラ102cの位置1606とがなす正方向の角度である。また、Θ5は、中心107を基準とした、テレ・ワイド撮影モードの指定時におけるカメラ102aの位置1604と、固定されたカメラ102bの位置1605とがなす正方向の角度である。基準となるカメラ102aのパン角Φ1が正である場合、Θ4<Θ5であれば、駆動可能なカメラが、基準となるカメラのパン角方向1607側であって、固定されたカメラの位置との間に位置する。一方、基準となるカメラ102aのパン角Φ1が負である場合、Θ4>Θ5であれば、駆動可能なカメラが、基準となるカメラのパン角方向1607側であって、固定されたカメラの位置との間に位置する。このため、制御部110は、駆動可能なカメラ102cが、基準となるカメラ102aパン角方向1607側であって、カメラ102aの位置1604と固定されたカメラ102bの位置1605との間に位置すると判断する。
【0060】
この場合、制御部110は、カメラ102aをシフト駆動させる必要がないという判断をする。よって、カメラ102cをカメラ102aと隣接した位置へシフト駆動させる。
図19は、第4のケースのシフト駆動を説明する模式図である。制御部110は、
図19の紙面に向かって左側に示す配置から、
図19の紙面に向かって右側に示す配置となるようにカメラ102cをシフト駆動させる。つまり、カメラ102cは、カメラ102aの位置1604から隣接可能シフト角Θ3の位置へシフト駆動する。そして、カメラ102cをカメラ102aの光軸の向きに応じてパン駆動させる。このとき、カメラ102cの光軸の向きと、カメラ102aの光軸の向きとが平行になることが好ましい。
図20は、第4のケースのパン駆動を説明する模式図である。
図20に示すようにパン駆動が行われる。具体的には、カメラ102cのシフト駆動完了後、カメラ102cはカメラ102aに隣接可能なシフト角Θ3の位置ある。シフト駆動後のカメラ102cの光軸の向きをカメラ102aの光軸301と平行にするため、カメラ102cをΦ3の角度分パン駆動させる。ここで、Φ3=Φ1-Θ3である。この結果、
図18の紙面に向かって右側に示す目標とする配置が実現できる。
【0061】
<第5のケース>
次に、第5のケースについて説明する。まず、第4のケースと同様に、テレ・ワイド撮影にあたり、第一のカメラのパン角、第一のカメラのシフト位置、第二のカメラのシフト位置、および、ユーザによってシフト位置が固定されたカメラのシフト位置を取得する。そして、第一のカメラのパン角、第一のカメラのシフト位置、第二のカメラのシフト位置、および第二のカメラのレール103上における移動可能範囲の関係から、第一のカメラのシフト位置変更の要否を判断する。
図21は、第5のケースの駆動を説明する模式図である。第5のケースでは、一例として、駆動可能なカメラとしてカメラ102bが選択され、シフト位置が固定されたカメラとしてカメラ102cが選択されているものとする。つまり、第一のカメラであるカメラ102aの位置と固定されたカメラ102c位置との間であって、第一のカメラのパン角方向側に駆動可能なカメラ(ここでは、カメラ102b)が位置していない。このため、制御部110は、カメラ102aをシフト駆動する必要があると判断する。
【0062】
そして、制御部110は、駆動可能なカメラ102bを第二のカメラとして指定し、カメラ102aとカメラ102bのズームレンズのズーム位置を比較する。カメラ102aの撮影画角2001がカメラ102bの撮影画角2002より広いあるいは同じ場合は、カメラ102aおよびカメラ102bのズームレンズのズーム位置を変更しない。換言すると、カメラ102aのズームレンズのズーム位置がカメラ102bのズームレンズのズーム位置よりも広角側あるいは同じ場合は、カメラ102aおよびカメラ102bのズームレンズのズーム位置を変更しない。即ち、
図21の紙面に向かって左側に示す配置から、
図21の紙面に向かって右側に示すような配置となるように各構成要素を制御する。具体的には、カメラ102aをシフト駆動させ、さらに、カメラ102bがシフト駆動前のカメラ102aの撮影方向を撮影できるように、カメラ102bをシフト駆動、パン駆動をさせる。なお、カメラ102aをシフト駆動させたことにより、カメラ102aの撮影範囲がずれるが、カメラ102aは広角側で撮影を行っているため画角ずれは軽微である。このため、カメラ102aおよびカメラ102bのズームレンズのズーム位置をそれぞれ維持する。
【0063】
具体的に
図17を用いて説明する。第5のケースでは、レール103に沿ったカメラ102aのパン角方向1607(ここでは反時計回りの方向)に、駆動可能なカメラ102bが位置していない。このような場合、制御部110はカメラ102aをシフト駆動させる必要があるという判断をする。
【0064】
具体的には、カメラ102aのパン角Φ1の正負の値に応じて、Θ4とΘ5の大小関係から、駆動可能なカメラ102bが、カメラ102aパン角方向側であって、カメラ102aの位置1604と固定されたカメラ102cの位置1606との間に位置するか否かを判断する。ここで、ここで、Θ4は、中心107を基準とした、テレ・ワイド撮影モードの指定時における基準となるカメラ102aの位置1604と、固定されたカメラ102cの位置1606とがなす正方向の角度である。また、Θ5は、中心107を基準とした、テレ・ワイド撮影モードの指定時におけるカメラ102aの位置1604と、テレ・ワイド撮影モードの指定時におけるカメラ102bの位置1605とがなす正方向の角度である。ここでは、パン角Φ1が正であり、Θ5>Θ4である。このため、制御部110は、駆動可能なカメラ102bが、カメラ102aパン角方向側であって、カメラ102aの位置1604と固定されたカメラ102cの位置1606との間に位置していないと判断する。
【0065】
よって、カメラ102aを正方向にシフト駆動させる。このとき、カメラ102aは、カメラ102bが位置1604へシフト駆動した場合にカメラ102bと隣接できるシフト角Θ3の位置までシフト駆動する。その後、カメラ102bは、カメラ102aのシフト駆動前の位置1604にシフト駆動する。シフト駆動の結果、
図22のような配置となる。
図22は、第5のケースのシフト駆動を説明する模式図である。
【0066】
その後、カメラ102aおよびカメラ102bを、シフト駆動前のカメラ102aの光軸302の向きに応じてパン駆動させる。このとき、シフト駆動後のカメラ102aの光軸、およびシフト駆動後のカメラ102bの光軸の向きが、シフト駆動前のカメラ102aの光軸302と平行になるようにパン駆動されることが好ましい。具体的には、
図23に示すようにパン駆動を行う。
図23は、第5のケースのパン駆動を説明する模式図である。カメラ102aおよびカメラ102bのシフト駆動完了後、カメラ102aをΦ2の角度分パン駆動させる。そして、テレ・ワイド撮影モードの指定時におけるカメラ102aのパン角度Φ1に応じて、カメラ102bをパン駆動させる。好ましくは、テレ・ワイド撮影モードの指定時におけるカメラ102aのパン角度Φ1と同じ角度パン駆動させる。この結果、カメラは
図23の紙面に向かって右側のような配置となる。
【0067】
そして、制御部110は、カメラ102aの撮影画角2001とカメラ102bの撮影画角2002とを比較する。換言すると、制御部110は、カメラ102aのズームレンズのズーム位置とカメラ102bのズームレンズのズーム位置を比較する。比較した結果、撮影画角2001が撮影画角2002よりも広いと判断した場合、カメラ102aおよびカメラ102bの撮影画角の変更、即ち、ズーム位置の変更は行わない。換言すると、カメラ102aのズームレンズのズーム位置がカメラ102bのズームレンズのズーム位置よりも広角側である、と判断した場合、カメラ102aおよびカメラ102bのズームレンズのズーム位置の変更は行わない。よって
図24のような配置となる。
図24は、第5のケースのテレ・ワイド撮影の状態を示す模式図である。
【0068】
<第6のケース>
次に、第6のケースについて説明する。まず、第4および第5のケースと同様に、テレ・ワイド撮影にあたり、第一のカメラのパン角、第一のカメラのシフト位置、第二のカメラのシフト位置、および、ユーザによってシフト位置が固定されたカメラのシフト位置を取得する。そして、第一のカメラのパン角、第一のカメラのシフト位置、第二のカメラのシフト位置、および第二のカメラのレール103上における移動可能範囲の関係から、第一のカメラのシフト位置変更の要否を判断する。
図25は、第6のケースにおける駆動を説明する模式図である。第6のケースでは、
図25の紙面に向かって左側に示す配置から、
図25の紙面に向かって右側に示すような配置となるように各構成要素を制御する。第6のケースでは、一例として、駆動可能なカメラとしてカメラ102bが選択され、シフト位置が固定されたカメラとしてカメラ102cが選択されているものとする。つまり、第5のケースと同様に第一のカメラであるカメラ102aの位置と固定されたカメラ102c位置との間であって、第一のカメラのパン角方向側に駆動可能なカメラ(ここでは、カメラ102b)が位置していない。このため、第5のケースと同様にカメラ102bをカメラ102aと隣接する位置にシフト駆動させる必要がある。よって、制御部110は、カメラ102aをシフト駆動する必要があると判断する。
【0069】
しかし、第6のケースでは、カメラ102aの撮影画角2401が、カメラ102bの撮影画角2402よりも狭い。換言すると、カメラ102aのズームレンズのズーム位置は、カメラ102bのズームレンズのズーム位置よりも望遠側である。この場合、第5のケースのように、カメラ102aおよびカメラ102bをシフト駆動およびパン駆動させても
図26に示すように、画角ずれ2503が発生してしまう。
図26は、第2の実施例に係る画角ずれを説明する模式図である。前述の通り、画角ずれ2503は、第一のカメラの撮影画角が狭い程、即ち、ズーム位置が望遠側である程、より顕著に生じる。そのためカメラ102aの撮影画角とカメラ102bの撮影画角を比較し、カメラ102aの撮影画角が、カメラ102bの撮影画角よりも狭いと判断された場合、ズーム位置の設定を変更する。
【0070】
具体的に
図17を用いて説明する。第6のケースでは、レール103に沿ったカメラ102aのパン角方向1607(ここでは反時計回りの方向)に、駆動可能なカメラ102bが位置していない。このような場合、カメラ102aをシフト駆動させる必要があるという判断をする。
【0071】
具体的には、カメラ102aのパン角Φ1の正負の値に応じて、Θ4とΘ5の大小関係から、カメラ102bが、カメラ102aパン角方向側であって、カメラ102aの位置1604と固定されたカメラ102cの位置1606との間に位置するか否かを判断する。ここでは、パン角Φ1が正であり、Θ5>Θ4であるため、カメラ102bが、カメラ102aパン角方向側であって、カメラ102aの位置1604と固定されたカメラ102cの位置1606との間に位置していないと判断する。そして、第5のケースと同様にカメラ102aおよびカメラ102bをシフト駆動およびパン駆動させ、
図23のような配置とする。
【0072】
次に、制御部110は、カメラ102bの撮影画角とカメラ102bの撮影画角を比較する。比較した結果、カメラ102bの撮影画角が、カメラ102aの撮影画角よりも広いと判断した場合、
図27に示すようにカメラ102bとカメラ102bのズームレンズのズーム位置の変更を行う。
図27は、第6のケースのズーム位置の変更を説明する模式図である。つまり、制御部110は、カメラ102aの撮影画角をカメラ102bの撮影画角へ引き継がせ、カメラ102bの撮影画角をカメラ102aの撮影画角へ引き継がせる。
【0073】
このような制御によりカメラ102bのズームレンズのズーム位置変更後の撮影画角2402は、シフト駆動前のカメラ102aの撮影画角2401と略一致、好ましくは一致する。これにより、シフト駆動による画角のずれが低減でき、同一方向を2つのカメラによりテレ・ワイドで撮影が可能になる。
【0074】
<フローチャート>
図28は、第2の実施例のフローチャートである。第1の実施例の
図16に示すフローチャートと同様のステップについて説明を省略する。このフローチャートで示す各動作(ステップ)は、制御部110の各構成要素の制御によって実行されうる。まず、S2701で、制御部110は、ユーザによって、テレ・ワイド撮影モードが指定されたかを判断する。テレ・ワイド撮影モードが指定されていなければ、テレ・ワイド撮影を行わない。一方、テレ・ワイド撮影モードが指定された場合(Yes)、S2702へ進む。S2702で、制御部110は、ユーザのあらかじめ選択した駆動可能なカメラの情報を取得する。ここで、駆動可能なカメラの情報は、いずれのカメラを第二のカメラとして選択可能か、即ち、第二のカメラの候補となるカメラを示す情報である。次に、S2703において、制御部110は、ユーザによって選択された第一のカメラ(基準となるカメラ)をシフト駆動させずに第一のカメラと略同一の方向を撮影可能な駆動可能なカメラがあるか否かを、検出部1025が検出した情報に基づいて判断する。このとき、制御部110は、S2701で取得した第二のカメラの候補とするカメラを参照して、第一のカメラをシフト駆動させる必要のないカメラがあるかを判断する。第一のカメラをシフト駆動させる必要のないカメラがある場合(Yes)には、S2704に進む。そして、制御部110は第一のカメラをシフト駆動させる必要なく、第一のカメラの撮影方向と略同一方向を撮影可能なカメラを第二のカメラとして指定する。そして、S2705~S2706を行う。S2705~S2706は、
図16のS1503~S1504に相当するため、説明を省略する。一方、S2703で第一のカメラをシフト駆動させる必要のないカメラがないと判断した場合(No)には、S2707へ進む。そして、制御部110は、第一のカメラとのシフト角の間隔が閾値以下となるカメラを、第二のカメラとして指定する。なお、ここで、制御部110は、第一のカメラとのシフト角の間隔が最も小さいカメラを第二のカメラとして指定することが好ましい。そして、S2708へ進む。S2708~S2714は、
図16のS1505~S1511に相当するため、説明を省略する。
【0075】
なお、S2707において、第一のカメラとのシフト角の間隔に関わらず、第一のカメラのズームレンズのズーム位置との比較結果に応じて第二のカメラを指定しても良い。具体的には、ズームレンズのズーム位置が、第一のカメラのズームレンズのズーム位置よりも望遠側となっているカメラを第二のカメラとして指定する。これにより、後工程のS2709~S2710を省略することが可能となる。また、カメラ同士が衝突する等、カメラの駆動に支障のない範囲で工程を入れ替えても良い。
【0076】
この実施例により、シフト位置が固定されたカメラがあることにより、カメラのシフト駆動範囲に制限があるような撮像装置で、テレ・ワイド撮影を行う場合でも、所望の撮影画角からのずれを軽減することができる。
【0077】
(第3の実施例)
以下、
図29、30を参照して、第3の実施例による、少なくとも3つのカメラ(ここでは、カメラ102a、カメラ102bおよびカメラ102c)を備える撮像装置のケースについて述べる。なお、特に言及のない事項については上述の実施例に従う。本実施例では、テレ・ワイド撮影モードで、ユーザがあらかじめズーム位置を指定する内容について説明する。この場合には、ユーザの指定したズーム位置になるようにカメラのズームレンズのズーム位置を変更する。
【0078】
第3の実施例においては、テレ・ワイド撮影モードで、あらかじめカメラのズームレンズのズーム位置がユーザによって指定される。そして、制御部110は、指定されたズーム位置にカメラのズームレンズのズーム位置を変更する。ユーザがテレ・ワイド撮影モードにおいて駆動のみを選択する場合、即ち、ズーム位置を指定しない場合には、第2の実施例と同様の動作を行う。一方でユーザがテレ・ワイド撮影モードにおいて駆動およびズーム位置の指定をする場合、第2の実施例と同様にカメラを駆動させた後に、第一のカメラおよび第二のカメラのズームレンズのズーム位置を指定された値に変更する。ズーム位置の指定は、ユーザがあらかじめ指定して設定するなどして値を決める等、事前に設定されているものとする。
【0079】
図29は、第3の実施例に係るUI画面を示す模式図である。ズーム位置の指定を行う例として、本図に示すようなUI2800を考える。UI2800は、例えば、クライアント装置20の表示部23に表示される。UI2800には、ユーザがテレ・ワイド撮影モードを選択するための表示2801がある。ユーザが、例えば、入力部22を用いて、表示2801からテレ・ワイド撮影モードを選択することで、テレ・ワイド撮影モードを指定することができる。テレ・ワイド撮影モードが指定されると、撮像装置101がテレ・ワイド撮影モードへと移行する。そして、モード動作設定部2802において、ユーザはカメラの駆動のみあるいは駆動およびズーム位置の設定を行うかを選択する。また、UI2800において、基準となるカメラ(第一のカメラ)の表示2803を変更することで、基準となるカメラを指定することができる。さらに、UI2800において、基準となるカメラを補完するカメラ(第二のカメラ)の表示2804から任意のカメラを選択することで、駆動させるカメラ、即ち、第二のカメラの候補とするカメラを予め設定することができる。
【0080】
例えば、第一のカメラと第二のカメラの撮影画角が近い(例えば撮像画角30°と35°)場合、テレ・ワイドで同時に撮影できない可能性がある。具体的には、例えば、第一のカメラ、第二のカメラが共にテレ側、あるいはワイド側である場合である。しかし、本実施例によれば、ズーム位置をユーザ指定のズーム位置に変更するので、テレ・ワイド撮影モード前の、カメラのズームレンズのズーム位置に依存せず、テレ・ワイド撮影が行える。
【0081】
なお、広角側で撮影をおこなっている第一のカメラの映像の一部を、例えば、入力部22を用いてユーザが選択することで、望遠側の撮影を行っている第二のカメラの撮影方向を決定できるようにしても良い。具体的には、各カメラの撮影映像として表示されている映像2805から第一のカメラの撮影映像、即ち、第一のカメラの撮影領域を示す画面の一部をユーザが選択する。これにより、選択された撮影領域が第二のカメラの撮影領域として選択され、第二のカメラが選択された撮影領域するように駆動する。なお、ここで、撮影領域は、パン・チルト・シフト方向を含む撮影方向と、撮影方向におけるズーム倍率を含む概念である。第二のカメラの撮影領域の選択が入力されてから、第二のカメラが実際に選択された撮影領域の撮影を開始するまでにはタイムラグがある。このため、クライアント装置20の制御部21は、第二のカメラの撮影領域の選択が入力された後から第二のカメラが選択された撮影領域を実際に撮影開始するまでの間、第一のカメラの撮影映像の一部を切り出して表示部23に表示させることが好ましい。具体的には、制御部21は、第一のカメラの撮影映像のうち、第二のカメラの撮影領域として選択された領域に相当する部分を切り出して表示部23に表示させる。このような構成とすることで、第二のカメラの撮影領域が選択された後、第二のカメラ駆動が完了する前であっても選択された撮影領域の映像を表示させることが可能となる。
【0082】
<フローチャート>
図30は、第3の実施例のフローチャートである。第2の実施例の
図16および
図28に示すフローチャートと同様のステップについて説明を省略する。このフローチャートで示す各動作(ステップ)は、制御部110の各構成要素の制御によって実行されうる。S2901~S2907は、
図28のS2701~S2707に相当するため、説明を省略する。また、S2908~S2911は、
図28のS2711~S2714に相当するため、説明を省略する。
【0083】
S2912において、制御部110は、テレ・ワイド撮影モードにおいて、駆動とズーム位置が指定されているかを判断する。駆動とズーム位置を指定していない、即ち、駆動のみが指定されている場合(No)には、ズーム位置の変更は行わない。一方で、駆動とズーム位置の指定もされている場合(Yes)には、S2913へ進み、第一のカメラのズームレンズのズーム位置をワイド側に、第二のカメラのズームレンズのズーム位置をテレ側に設定する。
【0084】
本実施例によれば、テレ・ワイド撮影モード前のカメラのズームレンズのズーム位置に依存せず、テレ・ワイド撮影を行うことができる。
【0085】
(第4の実施例)
以下、
図31、32を参照して、第4の実施例による、少なくとも3つのカメラ(ここでは、カメラ102a、カメラ102bおよびカメラ102c)を備える撮像装置で第一のカメラと同一方向を3つのカメラで撮影するケースについて述べる。なお、特に言及のない事項については上述の実施例に従う。本実施例では、第一のカメラのパン角が所定の範囲内であるとき、第二のカメラと第三のカメラで一つの映像、例えば、パノラマ映像を作成するように動作させる。
【0086】
図31は、第4の実施例に係る駆動を説明する模式図である。第4の実施例では、
図31の紙面に向かって左側に示す配置から、
図31の紙面に向かって右側に示すような配置となるように各構成要素を制御する。第4の実施例においては、第二のカメラと第三のカメラで第一のカメラと略同一の方向を撮影できることが条件となる。このため、制御部110は、第二のカメラと第三のカメラが第一のカメラの光軸の向きと平行な方向へパン駆動可能かの判断を行う。即ち、制御部110は、第一のカメラのパン角が所定の範囲内であるか否かの判断を行う。パン駆動により第一のカメラの光軸と平行な方向へ駆動可能、即ち、第一のカメラのパン角が所定の範囲内であると判断した場合、第4の実施例のモード(合成撮影モードという)の選択が可能となる。合成撮影モードでは、第一のカメラと略同一の方向を第二のカメラと第三のカメラで撮影し、第二のカメラと第三のカメラによって一つの映像、例えば、パノラマ映像を生成する。
【0087】
図31の例では、第一のカメラはカメラ102a、第二のカメラはカメラ102b、第三のカメラはカメラ102cであるものとする。合成撮影モードの選択がされると、制御部110は、第一のカメラに隣接する位置に第二のカメラおよび第三のカメラをシフト駆動させる。そして、第二のカメラ(ここではカメラ102b)および第三のカメラ(ここではカメラ102c)の光軸の向きが、第一のカメラ(ここではカメラ102a)の光軸(こここでは光軸301)と平行になるように、パン駆動を行う。そして、制御部110は、第二のカメラおよび第三のカメラでパノラマ映像ができる最大のズーム倍率、かつ、第二のカメラと第三のカメラのズーム倍率が略同一、好ましくは同一になるようズーム倍率を制御する。また、このとき制御部110は、第二のカメラの撮影画角と第三のカメラの撮影画角の一部が重なるように、第二のカメラと第三のカメラを配置する。第二のカメラの撮影画角と第三のカメラの撮影画角の一部を重ねることで、第二のカメラと第三のカメラで一つのパノラマ映像が生成される。なお、パノラマ映像作成のために重ねる撮影画角は、例えば、30%程度である。
【0088】
一方、パン駆動により第一のカメラの光軸と平行な方向へ駆動不可能、即ち、第一のカメラのパン角が所定の範囲を超えていると判断した場合、1つのカメラで第一のカメラを補完する。即ち、第2の実施例と同様の動作を行う。
【0089】
具体的に、
図31を用いて、合成撮影モードを指定した場合を説明する。まず、制御部110は、カメラ102aのパン角が最大パン角-カメラが隣接できるシフト角より小さいか否かを判断する。カメラ102aのパン角が0°、最大パン角が80°、カメラが隣接できるシフト角が60°(カメラの大きさで決まる)である場合、制御部110は、合成撮影モードが動作可能と判断する。そして、カメラ102aに隣接できるシフト角60°の位置にカメラ102bおよびカメラ102cをそれぞれシフト駆動させる。そして、カメラ102aの光軸301と平行になるよう、カメラ102bは60°パン駆動、カメラ102cは-60°パン駆動させる。ズーム位置の制御として、制御部110は、カメラ102bとカメラ102cでパノラマ映像ができる最大のズーム倍率となるようズームレンズのズーム位置を制御する。即ち、カメラ102bの撮影画角3002とカメラ102cの撮影画角3003が重なるようなズーム位置に制御する。このとき、カメラ102bとカメラ102cのズームレンズのズーム位置は同じであることが好ましい。
【0090】
<フローチャート>
図32は、第4の実施例のフローチャートである。上述の実施例のフローチャートと同様のステップについて説明を省略する。このフローチャートで示す各動作(ステップ)は、制御部110の各構成要素の制御によって実行されうる。
【0091】
まず、S3101で、制御部110は、テレ・ワイド撮影モードが指定されたかを判断する。テレ・ワイド撮影モードが指定されていなければ(No)、テレ・ワイド撮影を行わない。一方、テレ・ワイド撮影モードが指定されている場合(Yes)、S3102へ進む。S3102において、制御部110は、第二のカメラと第三のカメラが第一のカメラの光軸と平行な方向へパン駆動可能か否かの判断を行う。即ち、制御部110は、第一のカメラのパン角が所定の範囲内であるか否かの判断を行う。パン駆動可能だと判断した場合(Yes)、S3103へ進み、第一のカメラに隣接した位置へ第二のカメラと第三のカメラをシフト駆動させる。そして、S3104で第一のカメラの光軸と平行な方向へ第二のカメラと第三のカメラがパン駆動させ、S3105で第二のカメラと第三のカメラでパノラマ映像ができるようにズーム倍率を制御する。一方、S3102で第一のカメラの光軸と平行な方向へ、第二のカメラと第三のカメラをパン駆動できないと判断した場合(No)、S3106へ進む。S3106~S3108は、
図28のS2704~S270に相当するため、説明を省略する。
【0092】
本実施例よれば、基準とするカメラを補完するための、例えば、パノラマ映像を生成することが可能となる。
【0093】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0094】
また、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。さらに、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 撮像システム
20 クライアント装置
21 制御部
30 ネットワーク
101 撮像装置
102 カメラ
103 レール
110 制御部
1021 撮像部
1022 PT駆動部
1023 Z駆動部
1024 シフト駆動部
1025 検出部