(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】避難用シェルター及び避難システム
(51)【国際特許分類】
E04H 9/14 20060101AFI20240603BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
E04H9/14 Z
E04H1/12 A
(21)【出願番号】P 2020092721
(22)【出願日】2020-05-27
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】原田 剛男
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 明彦
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3205709(JP,U)
【文献】特開昭53-118844(JP,A)
【文献】実公昭16-009971(JP,Y1)
【文献】特開平09-287303(JP,A)
【文献】実開昭60-037540(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/00-9/16
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂災害現場に設けられる避難用シェルターであって、
複数の組立鋼板が組み立てられて形成されるシェルター本体部を備え、
前記シェルター本体部は、
土砂が流下する平面方向である流下方向に略直交する流下直交方向に延伸され、前記流下直交方向の両端部に開口部を有
し、
前記シェルター本体部の下端部よりも上方の外面から延びる回転防止材が設けられること
を特徴とす
る避難用シェルター。
【請求項2】
前記シェルター本体部は、地面に埋設されて下方に向けて延びる滑動防止材が設けられ
ること
を特徴とする請求項
1記載の避難用シェルター。
【請求項3】
前記シェルター本体部は、前記流下方向に離間した一対の下端部を有し、一対の前記下
端部同士を連結する連結部材が設けられること
を特徴とする請求項1
又は2記載の避難用シェルター。
【請求項4】
土砂災害現場に設けられる避難システムであって、
土砂災害現場における被災箇所への経路となる経路部と、
前記経路部に設けられる、請求項1~
3の何れか1項記載の避難用シェルターと、を備えること
を特徴とする避難システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難用シェルター及び避難システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、豪雨や地震等により土砂崩れが発生する事例が数多く見受けられる。現状、被災場所に要救助者がいる場合には、救助者が崩れた土砂の上を歩き、被災場所に到達した後、土砂を手掘りして要救助者を救助することとなる。
【0003】
被災場所に到達するために、崩れた土砂をかき分けて通路を形成する方法も考えられる。しかしながら、この方法では、再度の地震等により土砂崩れが発生してしまうと、形成した通路に土砂が崩れ落ちてしまうおそれがある。このとき、通路上にいる救助者が逃げる場所がない。また、そもそも足場の環境も悪く、救助者が早々に退避することも容易でない。このため、この方法では、二次災害のリスクが高いという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-17042号公報
【文献】特開平7-252818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような二次災害を防止するために、救助者が退避できるシェルター等を構築することが考えらえる。しかしながら、シェルターを構築する場合には、谷側から山側に向かって構築されることから、救助者がシェルターに出入りするための出入口が谷側に1か所にしか設けることができない。このため、仮に再度土砂崩れが発生した場合には、この1か所の出入口に人が殺到してしまい、大変危険である。
【0006】
また、人命救助においては、72時間以内が一つの目安であることから、短時間で要救助者を救助する必要がある。しかしながら、土砂災害は1か所で発生するわけではなく、近隣地域で同時多発的に発生するため、各被災場所に短時間で重機を手配することは現実的には大変難しいという事情がある。したがって、運搬も含めて重機を使わずに、人力で構築することができるシェルターが求められていた。
【0007】
ところで、地下構造物を構築するためにも用いられるライナープレートや、排水路を構築するために用いられるコルゲート鋼板が知られている(例えば特許文献1、2)。しかしながら、このようなライナープレート等は、避難用シェルターとして用いられていないのが現状である。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、人力で構築することが可能であり、2次災害を防止することが可能となる避難用シェルター及び避難システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る避難用シェルターは、土砂災害現場に設けられる避難用シェルターであって、複数の組立鋼板が組み立てられて形成されるシェルター本体部を備え、前記シェルター本体部は、土砂が流下する平面方向である流下方向に略直交する流下直交方向に延伸され、前記流下直交方向の両端部に開口部を有し、前記シェルター本体部の下端部よりも上方の外面から延びる回転防止材が設けられることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る避難用シェルターは、第1発明において、前記シェルター本体部は、地面に埋設されて下方に向けて延びる滑動防止材が設けられることを特徴とする。
【0012】
第3発明に係る避難用シェルターは、第1発明又は第2発明において、前記シェルター本体部は、前記流下方向に離間した一対の下端部を有し、一対の前記下端部同士を連結する連結部材が設けられることを特徴とする。
【0013】
第4発明に係る避難システムは、土砂災害現場に設けられる避難システムであって、土砂災害現場における被災箇所への経路となる経路部と、前記経路部に設けられる、第1発明~第3発明の何れか1つの避難用シェルターと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、人力で構築することが可能であり、二次災害を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1実施形態における避難システム及び避難用シェルターの一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態における避難用シェルターの一例を示す正面模式図である。
【
図4】
図4(a)は、実施形態におけるシェルター本体部を拡大して示す模式図であり、
図4(b)は、
図4(a)のA-A線断面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態における避難用シェルターの一例を示す正面模式図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態における避難用シェルターの一例を示す正面模式図である。
【
図7】
図7は、第4実施形態における避難用シェルターの一例を示す正面模式図である。
【
図8】
図8は、第5実施形態における避難用シェルターの一例を示す正面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した避難用シェルター及び避難システムを実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、第1実施形態における避難システム100及び避難用シェルター1の一例を示す模式図である。
図2は、第1実施形態における避難用シェルター1の一例を示す正面模式図である。
図3は、
図2のA-A線断面図である。以下、上下方向Zとし、上下方向Zに交差して土砂の流下する平面方向を流下方向Xとし、上下方向Zと流下方向Xに略直交する方向を流下直交方向Yとする。
【0018】
(第1実施形態)
避難システム100は、地震や降雨等により、山や丘等が崩れて土砂が流下した土砂災害現場に設けられる。避難システム100は、例えば土砂災害現場における被災箇所Pにいる要救助者を救助者が救助する際に用いられる。
【0019】
避難システム100は、経路部8と、複数の避難用シェルター1とを備える。
【0020】
経路部8は、土砂災害現場における被災家屋等の被災箇所Pへの経路である。経路部8は、要救助者等が移動する際や物資等を運搬する際に用いられる経路である。経路部8は、例えば流下してきた土砂等が堆積してぬかるんだ地面Gに設けられる。経路部8は、地面Gに鉄板等の足場部材81が被災箇所Pに向けて並べて設けられる。これにより、要救助者等が移動等する際にぬかるんだ地面Gに足を取られにくくなり、要救助者等の移動等を円滑に行うことができる。経路部8は、救助の起点となる場所から被災箇所Pに至るまでの経路が最短距離となるように、土砂の流下する流下方向Xに略直交する方向(流下直交方向Y)に延伸されるものとなる。すなわち、流下直交方向Yは、経路部8の延伸方向となる。
【0021】
避難用シェルター1は、土砂災害現場に設けられ、経路部8に所定の間隔を空けて複数設けられる。避難用シェルター1は、シェルター本体部2を有する。
【0022】
シェルター本体部2は、人が避難することができるように内部に空間が形成されるものである。シェルター本体部2は、流下直交方向Yに延伸され、流下直交方向Yの両端部にそれぞれ開口部29を有する。人は、開口部29からシェルター本体部2の内部へと出入りすることができる。
【0023】
シェルター本体部2は、流下直交方向Yにおける一方の開口部29から他方の開口部29までの長さは、例えば9m程度であってもよいし、1.5m程度であってもよい。シェルター本体部2の流下直交方向Yにおける長さは、組立鋼板20を流下直交方向Yに順次組み立てていくことで、適宜設定することができる。
【0024】
シェルター本体部2は、複数の組立鋼板20が組み立てられて、流下直交方向Yから見た外形が馬蹄形状に形成される。開口部29は、シェルター本体部2の外径に応じた形状とされる。シェルター本体部2の外径が馬蹄形状のとき、開口部29も馬蹄形状に形成されることとなる。シェルター本体部2は、内部に空間が形成されるように、少なくとも流下直交方向Yの両側方と上方とが囲われるように複数の組立鋼板20が組み立てられていればよい。シェルター本体部2は、流下直交方向Yから見た外形が例えば半円形状、コの字状等に形成されてもよい。
【0025】
組立鋼板20は、ボルト等の接合部材により隣り合う他の組立鋼板20と組み立て可能であり、例えばライナープレートが用いられる。組立鋼板20は、コルゲート鋼板、プランクシート、平板等が用いられてもよい。
【0026】
シェルター本体部2は、流下方向Xに離間した一対の下端部2aを有する。シェルター本体部2は、一対の下端部2aにそれぞれ底部シュー22が設けられる。底部シュー22は、例えばH形鋼が用いられ、流下直交方向Yに延びる。シェルター本体部2は、底部シュー22が流下方向Xに離間して一対となって設けられる。シェルター本体部2は、底部シュー22が地面Gに載置され、底部シュー22の上側に複数の組立鋼板20が組み立てられる。底部シュー22は、例えばボルト等の接合手段により組立鋼板20に接合される。
【0027】
シェルター本体部2は、流下方向に離間した一対の下端部2a同士を連結する連結部材24が設けられる。連結部材24は、例えばH形鋼等が用いられる。連結部材24は、シェルター本体部2の下端部2aに設けられた一対の底部シュー22、22同士を連結する。連結部材24は、例えばボルト等の接合手段により底部シュー22に接合される。
【0028】
図4(a)は、実施形態におけるシェルター本体部2を拡大して示す模式図であり、
図4(b)は、
図4(a)のA-A線断面図である。シェルター本体部2は、流下直交方向Yで隣接する組立鋼板20、20が同一形状であり、複数の組立鋼板20が格子状に組み立てられて形成される。なお、シェルター本体部2は、複数の組立鋼板20が千鳥状に組み立てられて形成されてもよい。
【0029】
シェルター本体部2は、流下直交方向Yで隣接する組立鋼板20、20の間に、補強リング26が設けられる。補強リング26は、例えばH形鋼が用いられる。補強リング26は、シェルター本体部2の外形に沿うように形成される。補強リング26は、組立鋼板20とボルト等の所定の接合部材により接合される。シェルター本体部2は、補強リング26が流下直交方向Yに例えば2m程度の所定の間隔を空けて複数設けられる。なお、シェルター本体部2は、補強リング26が省略されてもよい。
【0030】
次に、避難用シェルター1の作用効果について説明する。被災箇所Pにいる要救助者を救助者が救助する際に、救助者は、経路部8を経路として被災箇所Pまで移動することとなる。本実施形態によれば、シェルター本体部2は、流下直交方向Yに延伸され、流下直交方向Yの両端部に開口部29を有する。これにより、救助中に土砂が流下したとき、経路部8にいる救助者等の人は、開口部29からシェルター本体部2の内部に避難することができる。そして、シェルター本体部2が流下直交方向Yに延びて形成されることから、シェルター本体部2は流下した土砂に十分に抵抗することができる。このため、シェルター本体部2の内部にいる人の安全を確保して、二次災害を防止することが可能となる。
【0031】
また、従来のように開口部が土砂の流入する方向に向けて開口されていた場合には、土砂が開口部からシェルター内部に進入してしまう。対して、本実施形態によれば、シェルター本体部2の流下直交方向Yの両端部に、それぞれ開口部29が形成される。これにより、土砂が流下してきたとしても、開口部29が土砂に埋もれるのを抑制することができる。このため、開口部29が開口された状態を維持でき、シェルター本体部2の内部に人が閉じ込められるのを抑制することができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、開口部29が2か所に形成されることから、それぞれの開口部29からシェルター本体部2の内部に避難することができる。このため、開口部29に人が殺到するのを回避でき、安全性を向上させることが可能となる。
【0033】
また、本実施形態によれば、シェルター本体部2は、複数の組立鋼板20が組み立てられて形成される。組立鋼板20は、ボルト等の接合部材を用いて接合可能である。このため、運搬も含めて重機を使わずに、人力で構築することができる。
【0034】
さらに、本実施形態によれば、シェルター本体部2の下端部2aが地面Gよりも上側に配置される。これにより、地面Gを掘削等することなく、シェルター本体部2を地面Gに設置することができる。このため、容易に施工することが可能となる。
【0035】
さらに、本実施形態によれば、複数の組立鋼板20が格子状に組み立てられる。これにより、流下直交方向Yに隣接する組立鋼板20をすべて同一形状のものを用いることができる。このため、複数の組立鋼板20が千鳥状に組み立てられる場合よりも、容易に施工することが可能となる。
【0036】
さらに、本実施形態によれば、シェルター本体部2の下端部2a同士を連結する連結部材24が設けられる。これにより、土砂が流下方向Xから流下してきたとき、シェルター本体部2の変形を抑制することができる。このため、シェルター本体部2の内部にいる人の安全を更に確保して、二次災害を防止することが可能となる。
【0037】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態における避難用シェルター1の一例を示す正面模式図である。第2実施形態における避難用シェルター1は、シェルター本体部2に更に回転防止材3と、滑動防止材4とが設けられる点で、第1実施形態と相違する。
【0038】
シェルター本体部2は、外面から流下方向Xに延びる回転防止材3が設けられる。回転防止材3は、例えば、平板、鉄筋、アングル材等の所定の部材が用いられる。回転防止材3は、シェルター本体部2の外面に、上下方向Zに複数段に設けられてもよい。回転防止材3は、シェルター本体部2のそれぞれの外側面(
図5中における紙面右側の外側面と、紙面左側の外側面)から流下方向Xに延びて形成される。なお、図示は省略するが、し、回転防止材3は、シェルター本体部2の外面に、1段に設けられてもよい
【0039】
最下段に設けられる回転防止材3を回転防止材31とし、回転防止材31よりも上方に設けられる回転防止材32としたとき、回転防止材31の流下方向Xにおける長さは、回転防止材32の流下方向Xにおける長さよりも長くなってもよい。回転防止材31は、地面Gに載置されて設けられる。
【0040】
シェルター本体部2は、地面Gに埋設されて下方に向けて延びる滑動防止材4が設けられる。滑動防止材4は、例えば、鉄筋、アングル材等の所定の部材が用いられる。滑動防止材4は、シェルター本体部2の下端部2aから下方に向けて延びて複数設けられてもよい。
図5の例では、滑動防止材4は、連結部材24から下方に向けて延びて複数設けられる。なお、図示は省略するが、滑動防止材4は、底部シュー22から下方に向けて延びて複数設けられてもよい。
【0041】
本実施形態によれば、シェルター本体部2は、外面から延びる回転防止材3が設けられる。これにより、土砂が流下してきたとき、シェルター本体部2が回転するのを防止することができる。このため、シェルター本体部2の内部にいる人の安全を更に確保して、二次災害を防止することが可能となる。
【0042】
さらに、本実施形態によれば、回転防止材3が上下方向Zに複数段に設けられ、回転防止材31の流下方向Xにおける長さは、回転防止材32の流下方向Xにおける長さよりも長くなる。これにより、土砂が流下してきたとき、シェルター本体部2が回転するのを防止する効果を更に向上させることができる。このため、シェルター本体部2の内部にいる人の安全を一層確保して、二次災害を防止することが可能となる。
【0043】
さらに、本実施形態によれば、シェルター本体部2は、地面Gに埋設されて下方に向けて延びる滑動防止材4が設けられる。これにより、土砂が流下してきたとき、シェルター本体部2が地面Gに対して滑動するのを防止することができる。このため、シェルター本体部2の内部にいる人の安全を更に確保して、二次災害を防止することが可能となる。
【0044】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態における避難用シェルター1の一例を示す正面模式図である。第3実施形態における避難用シェルター1は、シェルター本体部2の周囲に保護部材6が設けられる点で、第1実施形態、第2実施形態と相違する。
【0045】
シェルター本体部2は、側方と上方とを囲うように保護部材6が設けられる。保護部材6は、複数の土嚢61が複数積み重ねられて形成される。保護部材6は、土嚢61として大型土嚢62が用いられてもよいし、小型土嚢63が用いられてもよい。保護部材6は、大型土嚢62と小型土嚢63とが併用されてもよい。シェルター本体部2の両側方近傍に、大型土嚢62が設けられ、大型土嚢62の周囲にさらに小型土嚢63が複数積み重ねられてもよい。
【0046】
本実施形態によれば、シェルター本体部2の周囲に複数の土嚢61が積み重ねて形成された保護部材6が設けられる。これにより、土砂が流下してきたとき、シェルター本体部2を保護部材6により保護することができ、シェルター本体部2が回転したり、地面Gに対して滑動するのを防止することができる。このため、シェルター本体部2の内部にいる人の安全を更に確保して、二次災害を防止することが可能となる。
【0047】
(第4実施形態)
図7は、第4実施形態における避難用シェルター1の一例を示す正面模式図である。第4実施形態における避難用シェルター1は、シェルター本体部2の下端部2aが掘削された地面G’に設けられる点で、第3実施形態と相違する。
【0048】
シェルター本体部2は、下端部2aが地面Gよりも下方に配置され、下端部2aが掘削された地面G’に設けられる。シェルター本体部2は、上下方向Zの中間部程度まで地面Gに埋設されて配置され、半地下構造となっている。
【0049】
本実施形態によれば、シェルター本体部2の下端部2aが掘削された地面G’に設けられる。これにより、シェルター本体部2の下方部分が予め地面Gに埋設されていることから、土砂が流下してきたとき、流下してきた土砂から受けるシェルター本体部2に作用する力を低減させることができる。このため、シェルター本体部2の回転と、地面Gに対して滑動と、を防止することができる。したがって、シェルター本体部2の内部にいる人の安全を更に確保して、二次災害を防止することが可能となる。
【0050】
なお、図示は省略するが、シェルター本体部2は、外面から流下方向Xに延びる回転防止材3が設けられてもよい。このとき、回転防止材3は、地面Gに埋設されることとなる。これにより、シェルター本体部2の回転を更に効果的に防止することができる。
【0051】
(第5実施形態)
図8は、第5実施形態における避難用シェルター1の一例を示す正面模式図である。第5実施形態における避難用シェルター1は、シェルター本体部2の下端部2aが掘削された地面G’に設けられる点で、第3実施形態と相違する。
【0052】
シェルター本体部2は、下端部2aが地面Gよりも下方に配置され、下端部2aが掘削された地面G’に設けられる。シェルター本体部2は、上下方向Zの上端部2b程度まで地面Gに埋設されて配置され、地下構造となっている。シェルター本体部2は、上端部2bまですべて地面Gに埋設されていてもよい。
【0053】
本実施形態によれば、シェルター本体部2の下端部2aが掘削された地面G’に設けられ、シェルター本体部2の上端部2b近傍まで地面Gに埋設される。これにより、シェルター本体部2の上端部2b近傍までが予め地面Gに埋設されていることから、土砂が流下してきたとき、流下してきた土砂からシェルター本体部2に作用する力を大きく低減させることができる。このため、シェルター本体部2の回転と、地面Gに対して滑動と、を更に効果的に防止することができる。したがって、シェルター本体部2の内部にいる人の安全を一層確保して、二次災害を防止することが可能となる。
【0054】
以上、この発明の実施形態のいくつかを説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、これらの実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。さらに、この発明は、上記いくつかの実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記いくつかの実施形態のそれぞれは、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
100 :避難システム
1 :避難用シェルター
2 :シェルター本体部
2a :下端部
2b :上端部
20 :組立鋼板
22 :底部シュー
24 :連結部材
26 :補強リング
29 :開口部
3 :回転防止材
31 :回転防止材
32 :回転防止材
4 :滑動防止材
6 :保護部材
61 :土嚢
62 :大型土嚢
63 :小型土嚢
8 :経路部
81 :足場部材
G :地面
G’ :地面
P :被災箇所
X :流下方向
Y :流下直交方向
Z :上下方向