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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】水素発生システム
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/38 20060101AFI20240603BHJP
   B01J 23/755 20060101ALI20240603BHJP
   B01J 21/18 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
C01B3/38
B01J23/755 M
B01J21/18 M
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020110155
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2021147303
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】16/821,618
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520232666
【氏名又は名称】バイオテク,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100158481
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,ロバート チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ニグ,ハーバート リー
(72)【発明者】
【氏名】キャプスタッフ,ミリセント
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナムーシー,ヴィスワナシュ
(72)【発明者】
【氏名】ボンチェフ,ランコ ピー.
【審査官】三村 潤一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-203804(JP,A)
【文献】特開平07-187603(JP,A)
【文献】特開2006-131493(JP,A)
【文献】特表2004-501759(JP,A)
【文献】特表2019-532904(JP,A)
【文献】特開2018-162184(JP,A)
【文献】米国特許第07645437(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0021324(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00 - 3/58
B01J 8/00 - 8/46
B01J 21/00 - 38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を生産するための方法であって、
第1の製品を生産するために、蒸気メタン改質装置(SMR)のバヨネット流路に沿って第1のガスを流すステップであって、前記バヨネット流路に沿って配設されているフォームを通して前記第1のガスを流すステップを含む、ステップと、
前記SMRの中で生産された前記第1の製品を、水性ガスシフト(WGS)反応器の反応チューブの中に画定されたWGS反応チャネルの入力へ提供するステップと、
第2の製品を生産するために、前記WGS反応チャネルを通して前記第1の製品を含む第2のガスを流すステップと
を含み、
前記第2のガスを流すステップは、
流れている前記第2のガスの温度を低減させるために、前記WGS反応チャネルの中に配設されている熱伝達材料を横切って前記第2のガスを流すステップと、
前記反応チャネルの中に配設されているWGS触媒を横切って前記第2のガスを流すステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記SMRの前記バヨネット流路に沿って前記第1のガスを流すステップは、環状スペースからSMRフローチャネルの中へ前記第1のガスを流すステップを含み、前記環状スペースは、外側チューブと前記外側チューブの中に配設されている内側チューブとの間に画定されており、前記SMRフローチャネルは、前記内側チューブの中に画定されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記SMRの前記バヨネット流路に沿って前記第1のガスを流すステップは、前記外側チューブの第2の端部における入口部から、前記環状スペースに沿って前記外側チューブの第1の端部に向けて、前記内側チューブの中に画定されている前記SMRフローチャネルに沿って、前記内側チューブの第2の端部における出口部へ、前記第1のガスを流すステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記内側チューブの中に画定されている前記フローチャネルに沿って流れる前記ガスからの熱によって、前記環状スペースに沿って流れる前記第1のガスを加熱するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記バヨネット流路に沿って配設されているフォームを通して前記第1のガスを流すステップは、触媒フォームを通して前記ガスを流すステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記WGS反応器のハウジングと前記WGS反応器の前記反応チューブとの間に画定されている冷却流体流路を通して冷却流体を流すステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
流れている前記第2のガスを前記WGS反応チャネルの中に配設されている前記熱伝達材料に接触させるステップは、流れている前記第2のガスから前記冷却流体へ熱を伝達するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
100℃から300℃の間の温度まで前記冷却流体を加熱するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記冷却流体流路から前記SMRの前記バヨネット流路の入力へ、加熱された冷却流体を提供するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記冷却流体流路から前記WGS反応チャネルの入力へ、加熱された冷却流体を提供するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の製品が前記WGS反応チャネルの前記入力に提供される流量に基づいて、前記冷却流体流路を通る前記冷却流体の流量を調節するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記WGS触媒が水素発生反応に触媒作用を及ぼす温度以上の温度において、前記WGS反応チャネルの前記入力に前記第1の製品を提供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
200℃から450℃の間の温度において、前記WGS反応チャネルの前記入力に前記第1の製品を提供するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記WGS触媒を横切って前記第2のガスを流すステップは、
前記WGS反応チャネルの中に配設されている第1のWGS触媒を横切って前記第2のガスを流すステップであって、前記第1のWGS触媒は、第1の温度範囲において水素発生反応に触媒作用を及ぼすように構成されている、ステップと、
前記反応チャネルの中に配設されている第2のWGS触媒を横切って前記第2のガスを流すステップであって、前記第2のWGS触媒は、前記第1の温度範囲よりも低い第2の温度範囲において、前記水素発生反応に触媒作用を及ぼすように構成されている、ステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のWGS触媒を横切って前記第2のガスを流した後に、前記熱伝達材料を横切って前記第2のガスを流すステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のガスを前記熱伝達材料に流すステップは、流れている前記第2のガスの前記温度を、前記WGS触媒が水素発生反応に触媒作用を及ぼすことができる温度まで低減させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
一酸化炭素および水素を生産するために、前記SMRの前記バヨネット流路に沿って前記第1のガスを流すステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の製品を前記WGS反応チャネルの前記入力に提供するステップは、前記WGS反応チャネルの前記入力に一酸化炭素を提供するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
二酸化炭素および水素を生産するために、前記WGS反応チャネルに沿って前記第2のガスを流すステップを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
水素発生反応は、メタンなどの炭化水素を水素ガスへと変換する。水素ガスは、たとえば、車両のための燃料として使用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
ここで、炭化水素からの水素ガス(H2)のエネルギー効率的な低排出生産のためのシステムを説明する。システムは、バヨネット流路(bayonet flow path)を有する蒸気メタン反応器(SMR)を含み、バヨネット流路の中において、流路に沿って流れる流入反応物流体が、流路に沿って流れる流出流体から回収された熱の伝達によって加熱される。バヨネット流路に沿って配設されている触媒フォームおよび熱伝達フォームは、SMRの中の水素発生反応に触媒作用を及ぼし、流入反応物流体への熱伝達を促進させる。SMRからの製品流体は、水性ガスシフト(WGS)反応器に提供される。流体は、WGS反応器の中の反応チャネルに沿って配設されている1つまたは複数のWGS触媒および1つまたは複数の熱伝達材料を横切って流れる。WGS触媒および熱伝達材料は、WGSの中の水素発生反応に触媒作用を及ぼし、発熱のWGS水素発生反応によって発生させられる熱の除去を促進させる。WGS水素発生反応からの熱によって加熱された冷却流体は、SMRの中への入力として提供され得る。SMRの中の流体ストリームの間の熱伝達の使用は、水素のエネルギー効率的な生産が実現されることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0003】
一般的な態様では、水素の生産のためのシステムは、蒸気メタン改質装置(SMR)を含み、蒸気メタン改質装置(SMR)は、外側チューブであって、外側チューブの第1の端部は閉じられている、外側チューブと、外側チューブの中に配設されている内側チューブであって、内側チューブの第1の端部は開いている、内側チューブとを含む。SMRフローチャネルが、内側チューブの中に画定されており、環状スペースが、外側チューブと内側チューブとの間に画定されている。フローチャネルは、環状スペースと流体連通している。SMRは、外側チューブと内側チューブとの間の環状スペースの中に配設されているフォームを含む。システムは、水性ガスシフト(WGS)反応器を含み、水性ガスシフト(WGS)は、反応チューブであって、WGS反応チャネルが、反応チューブの中に画定されており、WGS反応チャネルは、SMRフローチャネルと流体連通している、反応チューブと、WGS反応チャネルの中に配設されている熱伝達材料と、WGS反応チャネルの中に配設されているWGS触媒とを含む。
【0004】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ、または、以下の特徴のうちの2つ以上の任意の組み合わせを含むことが可能である。
【0005】
SMRフローチャネルの出口部は、WGS反応チャネルの入口部と流体連通している。
【0006】
WGS反応器は、ハウジングを含み、WGS反応器の反応チューブは、ハウジングの中に配設されており、冷却流体チャネルは、ハウジングとWGS反応器の反応チューブとの間に画定されている。冷却流体チャネルの出口部は、SMRの環状スペースの入口部と流体連通している。WGS反応チャネルの入口部および冷却流体チャネルの出口部は、WGS反応器の第1の端部に配設されている。WGS反応器は、冷却流体チャネルを通る冷却流体の流量を制御するように構成されているフローコントローラーを含む。
【0007】
SMRのフォームは、SMR触媒を含む。SMR触媒は、SMRのフォームの上に配設されている。SMR触媒は、水素および一酸化炭素が生産されるSMR水素発生反応に触媒作用を及ぼすように構成されている。SMRは、外側チューブと内側チューブとの間の環状スペースの中に配設されている外側熱交換フォームを含み、外側熱交換フォームと外側チューブの第2の端部との間の距離は、フォームアセンブリと外側チューブの第2の端部との間の距離よりも小さくなっている。
【0008】
SMRは、SMRフローチャネルの中に配設されている内側熱交換フォームを含む。
【0009】
SMRを通るバヨネット流路が、外側チューブの第2の端部における入口部から、外側チューブと内側チューブとの間の環状スペースに沿って、外側チューブの第1の端部に向けて、SMRフローチャネルに沿って、内側チューブの第2の端部における出口部へ画定されている。
【0010】
WGS触媒は、WGS触媒材料を含むフォームを含む。WGS触媒材料は、フォーム基材を含み、WGS触媒材料は、フォーム基材の上に配設されている。
【0011】
WGS触媒は、第1のWGS触媒であって、第1のWGS触媒は、WGS反応チャネルの中に配設されており、第1の温度範囲において水素発生反応に触媒作用を及ぼすように構成されている、第1のWGS触媒と、第2のWGS触媒であって、第2のWGS触媒は、WGS反応チャネルの中に配設されており、第1の温度範囲よりも低い第2の温度範囲において、水素発生反応に触媒作用を及ぼすように構成されている、第2のWGS触媒とを含む。熱伝達材料は、第1のWGS触媒と第2のWGS触媒との間のWGS反応チャネルの中に配設されている。
【0012】
WGS反応チャネルの中に配設されている熱伝達材料は、フォームを含む。
【0013】
システムは、炉を含み、SMRの一部分は、炉の中に配設されている。SMRの外側チューブの第1の端部は、炉の中に配設されている。システムは、SMRの外側チューブの外側表面の上に配設されている外部熱伝達材料を含む。
【0014】
以前の態様と組み合わせ可能な一般的な態様では、水素を生産するための方法は、第1の製品を生産するために、蒸気メタン改質装置(SMR)のバヨネット流路に沿って第1のガスを流すステップであって、それは、バヨネット流路に沿って配設されているフォームを通して第1のガスを流すステップを含む、ステップと、SMRの中で生産された第1の製品を、WGS反応器の反応チューブの中に画定された水性ガスシフト(WGS)反応チャネルの入力へ提供するステップと、第2の製品を生産するために、WGS反応チャネルを通して第1の製品を含む第2のガスを流すステップとを含む。第2のガスを流すステップは、流れている第2のガスの温度を低減させるために、WGS反応チャネルの中に配設されている熱伝達材料を横切って第2のガスを流すステップと、反応チャネルの中に配設されているWGS触媒を横切って第2のガスを流すステップとを含む。
【0015】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ、または、以下の特徴のうちの2つ以上の任意の組み合わせを含むことが可能である。
【0016】
SMRのバヨネット流路に沿って第1のガスを流すステップは、環状スペースからSMRフローチャネルの中へ第1のガスを流すステップを含み、環状スペースは、外側チューブと外側チューブの中に配設されている内側チューブとの間に画定されており、SMRフローチャネルは、内側チューブの中に画定されている。SMRのバヨネット流路に沿って第1のガスを流すステップは、外側チューブの第2の端部における入口部から、環状スペースに沿って外側チューブの第1の端部に向けて、内側チューブの中に画定されているSMRフローチャネルに沿って、内側チューブの第2の端部における出口部へ、第1のガスを流すステップを含む。方法は、内側チューブの中に画定されているフローチャネルに沿って流れるガスからの熱によって、環状スペースに沿って流れる第1のガスを加熱するステップを含む。
【0017】
バヨネット流路に沿って配設されているフォームを通して第1のガスを流すステップは、触媒フォームを通してガスを流すステップを含む。
【0018】
方法は、WGS反応器のハウジングとWGS反応器の反応チューブとの間に画定されている冷却流体流路を通して冷却流体を流すステップを含む。流れている第2のガスをWGS反応チャネルの中に配設されている熱伝達材料に接触させるステップは、流れている第2のガスから冷却流体へ熱を伝達するステップを含む。方法は、100℃から300℃の間の温度まで冷却流体を加熱するステップを含む。方法は、冷却流体流路からSMRのバヨネット流路の入力へ、加熱された冷却流体を提供するステップを含む。方法は、冷却流体流路からWGS反応チャネルの入力へ、加熱された冷却流体を提供するステップを含む。方法は、第1の製品がWGS反応チャネルの入力に提供される流量に基づいて、冷却流体流路を通る冷却流体の流量を調節するステップを含む。
【0019】
方法は、WGS触媒構造体が水素発生反応に触媒作用を及ぼす温度以上の温度において、WGS反応チャネルの入力に第1の製品を提供するステップを含む。方法は、200℃から450℃の間の温度において、WGS反応チャネルの入力に第1の製品を提供するステップを含む。
【0020】
WGS触媒を横切って第2のガスを流すステップは、WGS反応チャネルの中に配設されている第1のWGS触媒を横切って第2のガスを流すステップであって、第1のWGS触媒は、第1の温度範囲において水素発生反応に触媒作用を及ぼすように構成されている、ステップと、反応チャネルの中に配設されている第2のWGS触媒を横切って第2のガスを流すステップであって、第2のWGS触媒は、第1の温度範囲よりも低い第2の温度範囲において、水素発生反応に触媒作用を及ぼすように構成されている、ステップとを含む。方法は、第1のWGS触媒を横切って第2のガスを流した後に、熱伝達材料を横切って第2のガスを流すステップを含む。
【0021】
第2のガスを熱伝達材料に流すステップは、流れている第2のガスの温度を、WGS触媒が水素発生反応に触媒作用を及ぼすことができる温度まで低減させるステップを含む。
【0022】
方法は、一酸化炭素および水素を生産するために、SMRのバヨネット流路に沿って第1のガスを流すステップを含む。第1の製品をWGS反応チャネルの入力に提供するステップは、WGS反応チャネルの入力に一酸化炭素を提供するステップを含む。
【0023】
方法は、二酸化炭素および水素を生産するために、WGS反応チャネルに沿って第2のガスを流すステップを含む。
【0024】
以前の態様のいずれかと組み合わせ可能である、一般的な態様では、蒸気メタン改質装置(SMR)システムは、外側チューブであって、外側チューブの第1の端部は閉じられている、外側チューブと、外側チューブの中に配設されている内側チューブであって、内側チューブの第1の端部は開いている、内側チューブとを含む。フローチャネルが、内側チューブの中に画定されており、環状スペースが、外側チューブと内側チューブとの間に画定されており、フローチャネルは、環状スペースと流体連通している。SMRシステムは、外側チューブと内側チューブとの間の環状スペースの中に配設されている触媒フォームであって、触媒フォームは、触媒を含む、触媒フォームを含む。
【0025】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ、または、以下の特徴のうちの2つ以上の任意の組み合わせを含むことが可能である。
【0026】
触媒フォームは、フォーム基材を含み、触媒は、フォーム基材の上に配設されている。
【0027】
SMRシステムは、外側チューブと内側チューブとの間の環状スペースの中に配設されている外側熱交換フォームを含む。外側熱交換フォームと外側チューブの第2の端部との間の距離は、触媒フォームと外側チューブの第2の端部との間の距離よりも小さくなっている。外側熱交換フォームは、環状の形状を有している。
【0028】
触媒フォームは、環状の形状を有している。
【0029】
SMRシステムは、フローチャネルの中に配設されている内側熱交換フォームを含む。
【0030】
触媒フォームは、内側チューブに接触している。
【0031】
触媒フォームの厚さは、環状スペースの幅に等しくなっている。
【0032】
触媒フォームは、10ポア・パー・インチ(ppi)から30ppiの間の多孔性を有している。
【0033】
内側チューブに沿った触媒フォームの長さは、10インチから5フィートの間にある。
【0034】
外側チューブの外部から加熱されるセクションの中の触媒フォームの長さは、外側チューブの長さの10%から30%の間にある。
【0035】
触媒フォームは、金属フォームを含む。触媒フォームは、ニッケルを含む。
【0036】
触媒フォームは、炭化ケイ素を含む。
【0037】
SMRシステムを通るバヨネット流路が、外側チューブの第2の端部における入口部から、外側チューブと内側チューブとの間の環状スペースに沿って、外側チューブの第1の端部に向けて、フローチャネルに沿って、内側チューブの第2の端部における出口部へ画定されている。
【0038】
フローチャネルの断面積と環状スペースの断面積との間の比は、1から5の間にある。
【0039】
内側チューブは、外側チューブと同軸になっている。
【0040】
外側チューブと内側チューブとの間の環状スペースの幅は、0.2インチから4インチの間にある。
【0041】
外側チューブの長さは、8フィートから30フィートの間にある。
【0042】
SMRシステムは、フローチャネルの中に配設されている細長いバッフルを含む。
【0043】
SMRシステムは、外側チューブの第1の端部の外側表面の上に配設されている熱伝達材料を含む。熱伝達材料は、外側チューブの第1の端部の外側表面の上に配設されているフィンを含む。熱伝達材料は、外側チューブの第1の端部の外側表面の上に配設されているバッフルを含む。熱伝達材料は、外側チューブの第1の端部の外側表面の上に配設されているフォームを含む。
【0044】
以前の態様のいずれかと組み合わせ可能な一般的な態様では、蒸気メタン改質装置(SMR)システムの中で水素を生産するための方法は、SMRシステムのバヨネット流路に沿ってガスを流すステップを含む。バヨネット流路は、外側チューブと外側チューブの中に配設されている内側チューブとの間に画定されている環状スペースであって、外側チューブの第1の端部は閉じられており、内側チューブの第1の端部は開いている、環状スペースと、内側チューブの中に画定されているフローチャネルであって、フローチャネルは、環状スペースに流体連通している、フローチャネルとによって画定されている。バヨネット流路に沿ってガスを流すステップは、外側チューブと内側チューブとの間の環状スペースの中に配設されている触媒フォームを通してガスを流すステップを含む。
【0045】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ、または、以下の特徴のうちの2つ以上の任意の組み合わせを含むことが可能である。
【0046】
バヨネット流路に沿ってガスを流すステップは、外側チューブと内側チューブとの間の環状スペースの中に配設されている外側熱交換フォームを通してガスを流すステップを含む。
【0047】
方法は、触媒フォームを通してガスを流す前に、外側熱交換フォームを通してガスを流すステップを含む。
【0048】
バヨネット流路に沿ってガスを流すステップは、フローチャネルの中に配設されている内側熱交換フォームを通してガスを流すステップを含む。
【0049】
バヨネット流路に沿ってガスを流すステップは、環状スペースからフローチャネルの中へガスを流すステップを含む。方法は、外側チューブの第1の端部における環状スペースから、内側チューブの第1の端部におけるフローチャネルの中へ、ガスを流すステップを含む。
【0050】
方法は、内側チューブの中に画定されているフローチャネルの中を流れるガスからの熱によって、環状スペースの中を流れるガスを加熱するステップを含む。
【0051】
方法は、外側チューブの第1の端部における環状スペースの中のガスを加熱するステップを含む。
【0052】
方法は、バヨネット流路の少なくとも一部分に沿って乱流でガスを流すステップを含む。
【0053】
方法は、バヨネット流路に沿って流れるガスから水素を生産するステップを含む。
【0054】
以前の態様のいずれかと組み合わせ可能な態様では、水性ガスシフト(WGS)反応器システムは、ハウジングと、ハウジングの中に配設されている反応チューブであって、反応チャネルが、反応チューブの中に画定されており、冷却流体チャネルが、ハウジングと反応チューブとの間に画定されている、反応チューブと、反応チャネルの中に配設されている触媒であって、触媒は、水素発生反応に触媒作用を及ぼすように構成されている、触媒と、反応チャネルの中に配設されている熱伝達材料とを含む。
【0055】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ、または、以下の特徴のうちの2つ以上の任意の組み合わせを含むことが可能である。
【0056】
触媒は、第1の触媒であって、第1の触媒は、反応チャネルの中に配設されており、第1の温度範囲において水素発生反応に触媒作用を及ぼすように構成されている、第1の触媒と、第2の触媒であって、第2の触媒は、反応チャネルの中に配設されており、第1の温度範囲よりも低い第2の温度範囲において、水素発生反応に触媒作用を及ぼすように構成されている、第2の触媒とを含む。熱伝達材料は、第1の触媒と第2の触媒との間の反応チャネルの中に配設されている。第1の触媒は、200℃から450℃の間の温度において、水素発生反応に触媒作用を及ぼすように構成されている。第2の触媒は、180℃から350℃の間の温度において、水素発生反応に触媒作用を及ぼすように構成されている。
【0057】
熱伝達材料と反応チャネルの入口部との間の距離は、触媒構造体および反応チャネルの入口部との間の距離よりも小さくなっている。触媒は、200℃から450℃の間の温度において、水素発生反応に触媒作用を及ぼすように構成されている触媒を含む。
【0058】
触媒は、触媒材料を含むフォームを含む。触媒フォームは、フォーム基材を含み、触媒材料は、フォーム基材の上に配設されている。フォームは、5ポア・パー・インチ(ppi)から30ppiの間の多孔性を有している。
【0059】
触媒は、触媒ペレットを含む。
【0060】
熱伝達材料は、フォームを含む。フォームは、5ppiから30ppiの間の多孔性を有している。
【0061】
熱伝達材料は、フィンを含む。
【0062】
WGS反応器システムは、冷却流体チャネルの中に配設されている冷却チャネル熱伝達材料を含む。冷却チャネル熱伝達材料は、フォームを含む。
【0063】
ハウジングは、円筒形状のハウジングを含み、反応チューブは、円筒形状のハウジングと同軸になっている。
【0064】
WGS反応器システムは、反応チューブの中に配設されている内側チューブを含み、反応チャネルは、反応チューブと内側チューブとの間の環状スペースによって画定されており、内側冷却流体チャネルが、内側チューブの中に画定されている。
【0065】
WGS反応器システムは、ハウジングの中に配設されている複数の反応チューブを含む。
【0066】
反応チャネルの入口部および冷却流体チャネルの出口部は、WGS反応器の第1の端部に配設されている。
【0067】
反応チャネルの入口部は、冷却流体チャネルの出口部と流体連通している。
【0068】
冷却流体チャネルの出口部は、蒸気メタン改質装置(SMR)の入口部と流体連通しているように構成されている。
【0069】
WGS反応器システムは、冷却流体チャネルを通る冷却流体の流量を制御するように構成されているフローコントローラーを含む。
【0070】
一般的な態様では、水性ガスシフト(WGS)反応器の中で水素を生産するための方法は、WGS反応器のハウジングとハウジングの中に配設されている反応チューブとの間に画定されている冷却流体チャネルを通して、冷却流体を流すステップと、反応チューブの中に画定されている反応チャネルを通して、一酸化炭素および蒸気を含むガスを流すステップとを含む。反応チャネルを通してガスを流すステップは、流れているガスから冷却流体チャネルの中の冷却流体へ熱を伝達するために、反応チャネルの中に配設されている熱伝達材料を横切ってガスを流すステップと、反応チャネルの中に配設されている触媒を横切ってガスを流すステップであって、触媒は、水素発生反応に触媒作用を及ぼすように構成されている、ステップとを含む。
【0071】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ、または、以下の特徴のうちの2つ以上の任意の組み合わせを含むことが可能である。
【0072】
熱伝達材料を横切ってガスを流すステップは、流れているガスの温度を、触媒構造体が水素発生反応に触媒作用を及ぼす温度まで低減させるステップを含む。方法は、流れているガスの温度を200℃から450℃の間に低減させるステップを含む。
【0073】
触媒を横切ってガスを流すステップは、反応チャネルの中に配設されている第1の触媒を横切ってガスを流すステップであって、第1の触媒は、第1の温度範囲において水素発生反応に触媒作用を及ぼすように構成されている、ステップと、反応チャネルの中に配設されている第2の触媒を横切ってガスを流すステップであって、第2の触媒は、第1の温度範囲よりも低い第2の温度範囲において、水素発生反応に触媒作用を及ぼすように構成されている、ステップとを含む。方法は、第1の温度範囲の中の温度において、ガスを反応チャネルの中へ受け入れるステップを含む。方法は、200℃から450℃の間の温度において、ガスを反応チャネルの中へ受け入れるステップを含む。方法は、第1の触媒を横切ってガスを流した後に、熱伝達材料を横切ってガスを流すステップを含む。熱伝達材料を横切ってガスを流すステップは、流れているガスの温度を第2の温度範囲の中まで低減させるステップを含む。方法は、流れているガスの温度を180℃から350℃の間に低減させるステップを含む。
【0074】
方法は、反応チューブの中に配設されている内側チューブの中に画定されている内側冷却流体チャネルを通して、冷却流体を流すステップを含む。
【0075】
反応チャネルを通してガスを流すステップは、WGS反応器の第1の端部からWGS反応器の第2の端部へガスを流すステップを含み、冷却流体チャネルを通して冷却流体を流すステップは、WGS反応器の第2の端部からWGS反応器の第1の端部へ冷却流体を流すステップを含む。
【0076】
方法は、反応チャネルを通るガスの流量に基づいて、冷却流体チャネルを通る冷却流体の流量を調節するステップを含む。
【0077】
方法は、100℃から300℃の間の温度において冷却流体チャネルから冷却流体を出力するステップを含む。
【0078】
方法は、冷却流体チャネルから反応チャネルの入力へ蒸気を提供するステップを含む。
【0079】
方法は、冷却流体チャネルから蒸気メタン改質装置の入力へ蒸気を提供するステップを含む。
【0080】
ここで説明されているアプローチは、以下の利点のうちの1つまたは複数を有することが可能である。流体ストリームをターゲット温度まで加熱および冷却するために、取り戻される熱を使用することは、水素発生プロセスがエネルギー効率的な低排出プロセスになることを可能にする。システムは、モジュール式のものであることが可能であり、たとえば、ターゲットスループットがシステム構成または動作の変化によって実現されることを可能にする。システムは、大規模なエネルギー効率的な水素発生拡大縮小可能であり得る。
【0081】
1つまたは複数の実装形態の詳細が、添付の図面および下記の説明に記載されている。他の特徴および利点は、説明および図面から、ならびに、特許請求の範囲から明らかになることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1】水素発生システムのダイアグラムである。
図2A】蒸気メタン改質装置(SMR)の断面図である。
図2B】ラインA-A’に沿った図2AのSMRの断面図である。
図2C】ラインB-B’に沿った図2AのSMRの断面図である。
図3】水性ガスシフト(WGS)反応器のダイアグラムである。
図4】WGS反応器のダイアグラムである。
図5】WGS反応器のダイアグラムである。
図6】水素発生システムのダイアグラムである。
図7】プロセスフローチャートである。
図8】SMRの内側チューブと外側チューブとの間の温度差のプロットである。
図9A】フォームがある場合のSMRの中の熱伝達のシミュレーションである。
図9B】フォームがない場合のSMRの中の熱伝達のシミュレーションである。
【発明を実施するための形態】
【0083】
ここで、炭化水素からの水素ガス(H2)のエネルギー効率的な低排出生産のためのシステムを説明する。システムは、バヨネット流路を有する蒸気メタン反応器(SMR)を含み、バヨネット流路の中において、流路に沿って流れる流入反応物流体が、流路に沿って流れる流出流体から回収された熱の伝達によって加熱される。バヨネット流路に沿って配設されている触媒フォームおよび熱伝達フォームは、SMRの中の水素発生反応に触媒作用を及ぼし、流入反応物流体への熱伝達を促進させる。SMRからの製品流体は、水性ガスシフト(WGS)反応器に提供される。流体は、WGS反応器の中の反応チャネルに沿って配設されている1つまたは複数のWGS触媒および1つまたは複数の熱伝達材料を横切って流れる。WGS触媒および熱伝達材料は、WGSの中の水素発生反応に触媒作用を及ぼし、発熱のWGS水素発生反応によって発生させられる熱の除去を促進させる。WGS水素発生反応からの熱によって加熱された冷却流体は、SMRの中への入力として提供され得る。SMRの中の流体ストリームの間の熱伝達の使用は、水素のエネルギー効率的な生産が実現されることを可能にする。
【0084】
ここで説明されている水素発生システムは、モジュール式のものであり、小さい設置面積を有する。システムは、重大なダウンタイムなしに、アップグレードまたはターンダウンされ得る。システムのエレメント、たとえば、チューブ、マニホールド、フランジ、および触媒などは、容易に分解または交換され得、低いダウンタイムを伴ってメンテナンスまたは動作的な調節を可能にする。
【0085】
図1を参照すると、水素発生システム100の概略ダイアグラム(動作的な構成で示されている)は、蒸気メタン反応器(SMR)200および水性ガスシフト(WGS)反応器300を含み、反応器(SMR)200および水性ガスシフト(WGS)反応器300は、天然ガス、バイオガス、メタン、メタノール、または他の適切な炭化水素などの炭化水素から水素ガス(H2)を一緒に発生させる。炭化水素および水蒸気(蒸気)を含む流体102が、SMRの中へ入力され、触媒フォームの存在下において反応させられる。SMR200を通って流れる流体から取り戻される熱、および、外部から印加される熱は、SMR200を通って流れる反応物の温度を、SMR水素発生反応が起こる温度まで上昇させる。SMRを通って流れる流体からの残留熱を使用して反応物を加熱することは、外部熱源に対する加熱負荷を低減させ、それによって、エネルギー効率的な動作を可能にする。SMRの中で発生させられる製品ガス104は、水素ガスおよび一酸化炭素を含む。
【0086】
製品ガス104(たとえば、水素および一酸化炭素)の少なくとも一部分は、蒸気とともに、WGS反応器300の中へ入力される流体として提供される。エネルギー効率的な動作のために、製品ガス104は、WGS反応器300の中への入力に関して適当な温度でSMRから出力され、それによって、WGS反応器300の中へ入力される流体のアクティブ加熱または冷却が回避されることを可能にする。WGS反応器300の中へ入力される流体は、WGS反応器300の反応チャネルに沿って流れ、触媒フォームなどのWGS触媒の存在下において反応し、水素および二酸化炭素を生産する。フォームなどの熱交換材料が、反応チャネルの中に配設されており、発熱のWGS水素発生反応によって発生させられる余剰熱を、WGS反応器300を通って流れる冷却流体108に伝達する。熱交換材料によって促進される熱伝達による反応チャネルの中の流体の冷却は、WGS反応器300の中のアクティブ冷却が回避されることを可能にし、エネルギー効率的な動作を可能にする。WGSの中で発生させられる製品ガス110は、水素ガスおよび二酸化炭素を含む。蒸気の形態の加熱された冷却流体106は、SMR200の中へ入力される流体102の一部として提供され得る。いくつかの例では、追加的な蒸気は、たとえば、システムスタートアップのために、外部水供給源から提供される。
【0087】
図2A図2Cを参照すると、SMR200は、2つの同心円状のチューブ、すなわち、外側チューブ202および内側チューブ204を含み、内側チューブ204は、外側チューブ202の中に同軸に配設されている。SMR200の第1の端部206における外側チューブ202の第1の端部は閉じられており、内側チューブ204の第1の端部は開いている。環状スペース210が、外側チューブ202と内側チューブ204との間に画定されている。フローチャネル212が、内側チューブ204の中に画定されており、環状スペース210と流体連通している。細長いバッフル213が、内側チューブ204の長さの少なくとも一部分に沿って配設されている。
【0088】
SMR200を通って流れる流体(たとえば、ガス)は、入口部214から、SMR200の第2の端部216における環状スペース210の中へ、SMRの第1の端部206における外側チューブ202の第1の端部に向けて環状スペース210に沿って、フローチャネル212の中へ、SMRの第2の端部216における内側チューブ204の第2の端部に向けてフローチャネル212に沿って、そして、内側チューブ204の第2の端部における出口部220へ、SMR200を通るバヨネット流路(図2Aの中の矢印によって示されている)を辿る。反応物(たとえば、炭化水素および水)が、入口部214においてバヨネット流路の中へ入力される。水素発生反応は、SMR触媒の存在下において、外側チューブの第1の端部206に向けて起こり、出口部220を介してSMR200から出力される製品(たとえば、水素ガスおよび一酸化炭素)を発生させる。SMR200の中で起こる例示的な水素発生反応は、以下のように表される。
CH+HO→3H+CO
【0089】
水素発生反応は、600℃から1000℃の間などの反応温度の上方で起こる吸熱反応である。外部熱源222は、SMR200の第1の端部206において環状スペース210に沿って流れる流体を少なくとも反応温度まで加熱する。外部熱源222は、燃焼(たとえば、ガス焚き炉)、ソーラーエネルギー、または別の適当なエネルギー供給源によって駆動され得る。
【0090】
SMR200の第1の端部206における環状スペース210の中の流体は、外部熱源222によって加熱される。加熱された流体は、SMR200の第1の端部206における環状スペース210からフローチャネル212の中へ流れ、高い温度でフローチャネルに進入する。SMRのバヨネット流路において、外側チューブ202および内側チューブ204(ひいては、環状スペース210およびフローチャネル212)が同心円状になっており、SMRのバヨネット流路は、フローチャネル212に沿って流れる高温流体からの熱が、環状スペース210に沿って流れるより低い温度の流体に伝達されて戻され得るという構成を提供する。内側チューブ204は、この熱伝達を促進させるように設計されており、たとえば、内側チューブ204は、高い熱伝導率を有する材料、たとえば、金属または炭化ケイ素などから形成され得、薄い壁を有することが可能である。環状スペース210に沿って流れる流体の温度を上昇させるために、取り戻された熱を使用することは、外部熱源222に対する負荷を少なくし、水素発生反応のエネルギー効率を改善する。加えて、外部熱源222が燃焼炉であるときには、炉にかかる低減された負荷は、外部熱源222の炭化水素消費を低減させ、それによって、水素発生反応に関連付けられる排出を低減させる。
【0091】
具体的に図2Aおよび図2Bを参照すると、触媒フォーム230は、外側チューブ202と内側チューブ204との間の環状スペース210の中に配設されている。触媒フォーム230は、水素発生反応(たとえば、炭化水素および水からの水素および一酸化炭素の発生)に触媒作用を及ぼすSMR触媒を含む。水素発生反応は、触媒フォーム230がその中に配設されているバヨネット流路の部分の中で主に起こり、それは、反応温度以上の温度になっている。たとえば、水素発生反応は、外部熱源222によって加熱されるバヨネット流路の部分の中で起こり、たとえば、SMR200の第1の端部206に向かう環状スペース210の加熱される部分221の中で、および、SMR200の第1の端部206における端部スペース223の中で起こる。また、水素発生反応は、加熱される部分221の外側の領域の中で起こることが可能であり、たとえば、フローチャネル212に沿って流れる流体からの熱伝達によって反応温度以上に加熱された領域の中で起こることが可能である(さらに下記に議論されている)。
【0092】
いくつかの例では、SMR触媒は、フォーム基材の上にコーティングされ、触媒フォーム230を形成する。いくつかの例では、SMR触媒は、フォーム基材の中へ一体化されるかまたは含浸させられ、触媒フォーム230を形成している。触媒フォーム230は、多孔性の構造体であり、1つまたは複数の流体流路が、多孔性の構造体を通って、触媒フォーム230の上流側232から下流側234へ画定されている。SMR200を通るバヨネット流路に沿った流体フローとして、触媒フォーム230の流体流路を通る流体フロー、および、触媒フォーム230の中の触媒は、流れる流体の中の水素発生反応に触媒作用を及ぼす。触媒フォーム230の多孔性は、触媒フォーム230と流れる流体との間の接触のために高い表面積を提供しており、それは、水素発生反応の効率的な触媒作用を促進させる。
【0093】
触媒フォーム230は、熱伝導性材料を含み、触媒フォーム230が、外部熱源222からの、内側チューブ202の中のフローチャネル212に沿って流れる流体からの、または、その両方からの、触媒フォーム230を通って流れる流体への熱伝達を促進させるようになっている。触媒フォーム230と外側チューブ202との間の物理的な接触は、外部熱源222から触媒フォームを通って流れる流体への熱の伝達を可能にする。触媒フォーム230と内側チューブ204との間の物理的な接触は、フローチャネル212に沿って流れる流体から、触媒フォームを通って流れる流体への熱の伝達を可能にする。触媒フォーム230の高い表面積は、熱伝達を促進させる。また、触媒フォーム230の多孔性は、環状スペース210の少なくとも一部分の中に乱流の流体フローをもたらすことが可能であり、さらに、環状スペース210に沿って流れる流体の熱伝達を促進させ、水素発生プロセスのエネルギー効率を強化する。
【0094】
触媒フォーム230は、環状の形状を有している。図2Aおよび図2Bに示されているように、触媒フォーム230のアニュラスの厚さt(簡単に、触媒フォーム230の厚さと称される)は、内側チューブ204の外側壁と外側チューブ202の内側壁との間の半径方向の距離(環状スペース210の幅と称される)に等しく、触媒フォーム230が外側チューブ202および内側チューブ204の両方と物理的な接触をした状態になるようになっている。触媒フォーム230と外側および内側チューブ202、204との間の接触は、外部熱源222から、および、内側チューブ202の中のフローチャネル212に沿って流れる流体から、触媒フォーム230を通って流れる流体への熱伝達を可能にする。いくつかの例では、触媒フォーム230の厚さtは、環状スペース210の幅よりも小さくなっており、触媒フォーム230は、チューブのうちの1つだけと、たとえば、外側チューブ204だけ、または、内側チューブ204だけと物理的な接触をした状態になっている。
【0095】
触媒フォーム230の多孔性(たとえば、ポア・パー・インチ)および触媒フォーム230の長さ(触媒フォーム230の上流側232から下流側234へ外側チューブ202の軸線に沿った触媒フォームの長さを表す)は、触媒フォーム230の表面積に影響を与え、したがって、触媒作用および熱伝達の効率に影響を与える。多孔性および長さの増加は、両方とも、流れる流体と触媒フォーム230との間の接触の機会を増加させ、それによって、触媒作用および熱伝達の両方の効率を強化する。また、触媒フォーム230の長さは、流体が触媒フォーム230を通って流れるときに触媒フォーム230を横切って起こる流体圧力の降下に影響を与える。多孔性および長さの増加は、両方とも、触媒フォーム230を横切る圧力降下の増加を引き起こし、それは、バヨネット流路に沿った流体フローを遅くすることが可能であり、SMR200のスループットを低減させる。触媒フォーム230の多孔性および長さは、触媒フォーム230を横切る低い圧力降下を伴って、効率的な触媒作用および熱伝達を実現するように選択され得る。たとえば、触媒フォーム230は、10ポア・パー・インチ(ppi)から30ppiの間の多孔性を有することが可能である。いくつかの例では、触媒フォーム230は、外側チューブ202の加熱される部分221の中に完全に入っており(図2Aの例のように)、たとえば、触媒フォーム230の長さlは、外側チューブ202の加熱される部分221の長さの10%から30%の間にあり、たとえば、長さが10インチから5フィートの間にある。いくつかの例では、触媒フォーム230は、外側チューブ202の加熱される部分221を越えて延在し、最大で外側チューブの長さ全体に延在することが可能である。いくつかの例では、触媒フォーム230の多孔性および長さは、1ポンド毎平方インチ(psi)未満の流体圧力降下が触媒フォーム230を横切って起こるように選択され得る。
【0096】
触媒フォーム230は、触媒フォーム230を通って流れる流体への熱伝達、たとえば、フローチャネル212に沿って流れる流体からの熱伝達、外部熱源222からの熱伝達、または、その両方を促進させるのに十分な熱伝導率を有する材料(たとえば、フォーム基材)を含む。触媒フォーム230の材料は、SMR200が動作させられる温度範囲において、SMR200のバヨネット流路に沿って流れる流体(たとえば、水素発生反応の反応物および製品)に対して非反応性である。触媒フォーム230の材料は、外側チューブ202、内側チューブ204、またはその両方の材料と熱的に相性が良く、たとえば、それらの同様の熱膨張係数を有することが可能であり、たとえば、チューブ202、204からの触媒フォーム230の剥離を回避する。たとえば、フォームは、金属フォーム、たとえば、ニッケルもしくはステンレス鋼フォームなど、または炭化ケイ素フォーム、または、別の適切な材料であることが可能である。
【0097】
図2Aを参照すると、熱伝導性材料から形成された外側熱交換フォーム250が、外側チューブ202と内側チューブ204の間の環状スペース210の中に配設されている。外側熱交換フォーム250と外側チューブ202の第2の端部216における入口部214との間の距離は、触媒フォーム230と入口部214との間の距離よりも小さくなっており、環状スペース210に沿って流れる流体が、触媒フォーム230を通って流れる前に、外側熱交換フォーム250を通って流れるようになっている。外側熱交換フォーム250は、内側チューブ204と物理的な接触をした状態になっており、フローチャネル212に沿って流れる流体フローから、外側熱交換フォーム250を通って流れる流体への熱伝達を促進させる。
【0098】
また、図2Cを参照すると、熱伝導性材料から形成された内側熱交換フォーム252が、内側チューブ204の中に画定されたフローチャネル212の中に配設されている。内側熱交換フォーム252は、内側チューブ204と物理的な接触をした状態になっており、内側熱交換フォーム252を通って流れる流体から、環状スペース210に沿って流れる流体への熱伝達を促進させる。外側および内側熱交換フォーム250、252の多孔性は、フォーム250、252とそれぞれのフォームを通って流れる流体との間の接触のために、高い表面積を提供し、それは、効率的な熱伝達を促進させる。また、外側および内側熱交換フォーム250、252の多孔性は、それぞれ環状スペース210またはフローチャネル212の少なくとも一部分の中に乱流の流体フローをもたらすことが可能であり、それは、熱伝達をさらに促進させる。いくつかの例では、触媒フォームは、たとえば、内側熱交換フォーム252に加えて、または、内側熱交換フォーム252の代わりに、フローチャネル212の中に配設され得る。
【0099】
外側および内側熱交換フォーム250、252によって可能にされる熱伝達は、環状スペース210の中の流体が、フローチャネル212に沿って流れるより高い温度の流体から回収される余剰熱を使用して、流体が触媒フォーム230に到達する前に事前加熱されることを可能にする。環状スペース210に沿って流れる流体を事前加熱するために、取り戻された熱を使用することは、環状スペース210に沿って流れる流体を反応温度まで加熱するために外部熱源222によって提供される熱の量を低減させることが可能であり、それによって、SMR200の効率を強化する。
【0100】
外側熱交換フォーム250は、環状の形状を有している。外側熱交換フォーム250のアニュラスの厚さ(外側熱交換フォーム250の厚さと称される)は、環状スペース210の幅に等しくなっており、外側熱交換フォーム250が、外側チューブ202および内側チューブ204の両方と物理的な接触をした状態になるようになっている。いくつかの例では、外側熱交換フォーム250の厚さは、環状スペース210の幅よりも小さくなっており、外側熱交換フォーム250は、チューブのうちの1つだけと、たとえば、内側チューブ204だけと物理的な接触をした状態になっている。
【0101】
また、内側熱交換フォーム252は、環状の形状を有している。内側熱交換フォーム252のアニュラスの厚さtは、内側チューブ204と細長いバッフル213との間の半径方向の距離に等しくなっており、内側熱交換フォーム252が内側チューブ204と物理的な接触をした状態になるようになっている。いくつかの例では、内側熱交換フォーム252の厚さtは、半径方向の距離よりも小さくなっており、内側熱交換フォーム252は、内側チューブ204と物理的な接触をしているが、細長いバッフル213とは物理的な接触をしていない。いくつかの例では、細長いバッフル213が存在しておらず、内側熱交換フォーム252は、環状または円筒形状になっており、フローチャネル212の半径に等しいかまたはそれよりも小さい厚さを有している。
【0102】
外側熱交換フォーム250および内側熱交換フォーム252のそれぞれの多孔性および長さは、それぞれの熱交換フォーム250、252を横切る低い圧力降下を伴う効率的な熱伝達を実現するように選択され得る。たとえば、熱交換フォーム250、252のそれぞれは、10ポア・パー・インチ(ppi)から30ppiの間の多孔性を有することが可能である。外側熱交換フォーム250の長さは、たとえば、4インチ程度に小さいことが可能であり、入口部212と触媒フォーム230の上流側232との間の距離と同じ程度の長さになっていることが可能である。内側熱交換フォーム252の長さは、たとえば、4インチ程度に小さいことが可能であり、内側チューブ204の第1の端部208と内側チューブ204の第2の端部218における出口部220との間の距離と同じ程度の長さになっていることが可能である。いくつかの例では、外側および内側熱交換フォーム250、252の多孔性および長さは、1ポンド毎平方インチ(psi)未満の圧力降下が外側および内側熱交換フォーム250、252のそれぞれを横切って起こるように選択され得る。いくつかの例では、外側熱交換フォーム250、内側熱交換フォーム252、またはその両方が、存在していない。
【0103】
外側および内側熱交換フォーム250、252は、環状スペース210に沿って流れる流体への熱伝達を促進させるのに十分な熱伝導率を有する材料から形成されている。熱交換フォーム250、252の材料は、SMR200が動作させられる温度範囲において、SMR200のバヨネット流路に沿って流れる流体(たとえば、水素発生反応の反応物および製品)に対して非反応性である。外側および内側熱交換フォーム250、252の材料は、内側チューブ204と熱的に相性が良く、たとえば、内側チューブ204と同様の熱膨張係数を有することが可能であり、たとえば、剥離を回避する。たとえば、熱交換フォーム250、252は、金属フォーム、たとえば、ニッケルもしくはステンレス鋼フォームなど、または、炭化ケイ素フォーム、または別の適切な材料であることが可能である。
【0104】
バヨネット流路に沿った触媒フォーム230および外側および内側熱交換フォーム250、252の存在は、SMR200を通る高いスループットおよびSMR200のエネルギー効率的な動作の両方を可能にする。たとえば、フローチャネル212に沿って流れるより高い温度の流体から取り戻される熱によって、環状スペース210に沿って流れる流体を加熱することは、外部熱源222からの熱のより少ない入力によって反応温度が到達されることを可能にし、エネルギー効率的なSMR動作を提供する。加えて、取り戻される熱によって環状スペース210に沿って流れる流体を加熱することによって、環状スペース210は、相対的に幅広くされ得、たとえば、0.2インチから4インチの間などにされ得、それは、相対的に高い体積ガスフローを収容することが可能である。
【0105】
図2Aを参照すると、熱伝達材料258が、外側チューブ202の第1の端部206の外側表面の上に配設され、外部熱源222からSMR200のバヨネット流路に沿って流れる流体への熱伝達を促進させる。図2Aの例では、熱伝達材料258は、フィンである。いくつかの例では、熱伝達材料258は、バッフル、フォーム、または、熱伝達を促進させるのに適切な別の構造体であることが可能である。熱伝達材料258は、外部熱源222から環状スペース210に沿って流れる流体への熱伝達の効率を強化し、バヨネット流路の中の流体を加熱するために使用される外部熱源222によって生産される熱の量を増加させることによって、SMRのエネルギー効率的な動作に貢献する。
【0106】
触媒フォーム230および内側および外側熱交換フォーム250、252の場所、長さ、および特性(たとえば、多孔性、熱伝導率)は、バヨネット流路に沿った1つまたは複数のポイントにおいて所望の温度を実現するように選択され得る。たとえば、フォーム場所、長さ、および特性は、高い効率の水素発生反応を促進させるために、触媒フォーム230においてターゲット温度を実現するように選択され得る。いくつかの例では、SMRから出力される流体は、WGS反応器に提供され、さらなる水素発生反応の中の反応物として作用し、フォーム場所および長さは、フローチャネル212の出口部220から出力される流体のターゲット温度(たとえば、WGS反応器の中への入力に関するターゲット温度など)を実現するように選択され得る。WGS反応器の中への入力に関するターゲット温度においてSMR200から流体を出力することによって、WGS反応器入力を事前加熱するための外部熱源の使用は、低減されるかまたは排除され得、システムの全体的な効率を強化する。
【0107】
触媒フォーム230および外側および内側熱伝達フォーム250、252は、SMR200から除去され得、たとえば、異なる特質(たとえば、異なる多孔性、長さ、熱伝導率、または他の特質)のフォームと交換され得る。たとえば、フォームのうちの1つまたは複数を交換することは、SMR200からの出力流体のターゲットスループットまたはターゲット温度などの所望の性能が実現されることを助けることが可能である。
【0108】
いくつかの例では、外側チューブ202の長さは、たとえば、モジュール式の水素発生システムに関して、8フィートから30フィートの間にある。いくつかの例では、外側チューブ202は、たとえば、工業プラント規模の水素発生システムに関して、より長くなることが可能である。環状スペースの幅は、0.2インチから4インチの間にあることが可能である。フローチャネル212の断面積と環状スペース210の断面積との間の比(図2Bを参照)は、1よりも大きくなっており、たとえば、1から5の間にあり、水素発生反応から結果として生じるガスのモルの増加を収容する。
【0109】
いくつかの例では、触媒フォーム230、外側熱伝達フォーム250、内側熱伝達フォーム252、または、それらのうちの任意の2つ以上の組み合わせは、不均一な構造体であり、たとえば、不均一な多孔性またはマルチマテリアル組成を有している。たとえば、フォームを横切る流体圧力降下があまり重要でない場所では、フォームは、より小さい細孔を伴って構成され、熱伝達を強化することが可能である。フォームは、マルチマテリアルフォームであることが可能であり、たとえば、熱伝達効率のためのアルミニウムまたは銅の内側シェルとの化学的適合性のために、ニッケルの外側シェルを有するフォームであることが可能である。いくつかの例では、外側熱伝達フォーム250、内側熱伝達フォーム252、または、その両方は、中実の円筒形状のチューブによって交換され得る。
【0110】
SMRの中の熱伝達(たとえば、フローチャネルに沿って流れる流体から、環状スペース210に沿って流れる流体への熱伝達)は、流れる流体の圧力に関係付けられる。流体圧力の増加は、一般的に、熱伝達の増加を結果として生じさせる。高い圧力で動作するSMRのための内側および外側チューブ202、204の壁は、より低い圧力で動作するSMRのための内側および外側チューブ202、204の壁よりも厚くなっている。増加した壁厚さは、熱伝達を低減させる可能性がある。SMRコンポーネント(たとえば、内側および外側チューブのための壁厚さ)および動作パラメーター(たとえば、流体圧力)は、そのような相反する要因のバランスをとるように設計され得る。
【0111】
図2A図2Cの例では、SMR200は、外側チューブ202および内側チューブ204を含む単一のセットのチューブを含む。いくつかの例では、SMRは、複数のセットのチューブを含み、それぞれのセットは、外側チューブおよび内側チューブを有している。複数のセットのチューブは、スループットの増加のために並列に動作させられ得、複数のセットのチューブのための十分な熱を発生させるようにサイズ決めされた単一の外部熱源222によって加熱され得る。
【0112】
SMR200の中の水素発生反応の製品(余剰蒸気とともに、水素ガスおよび一酸化炭素を含む)は、出口部220を介してSMR200から出力される。SMR出力は、水性ガスシフト(WGS)反応器への入力として提供され、水性ガスシフト(WGS)反応器では、一酸化炭素および水(たとえば、蒸気)が、WGS触媒の存在下で反応させられ、水素ガスおよび二酸化炭素を発生させる。
【0113】
SMR200からの出力は、WGS反応器の中への入力に関して十分な温度になっている。WGS反応器は、1つまたは複数のWGS触媒を含み、そのそれぞれは、それぞれの温度範囲の中で動作し、SMR出力は、WGS触媒の温度範囲以上の温度にあり、SMR出力の外部アクティブ加熱が、WGS反応器の中への入力の前に起こらないようになっている。SMR出力の温度は、フローチャネル212に沿って流れる流体とSMRの環状スペース210に沿って流れる流体との間の熱伝達に影響を与えるパラメーターの調節、たとえば、外側熱伝達フォーム250、内側熱伝達フォーム252の特質、外側および内側チューブ202、204の直径および材料、バヨネット流路に沿った流体の流量、または他の要因の調整によって制御可能である。
【0114】
図3を参照すると、例示的なWGS反応器300は、ハウジング302と、ハウジング302の中に配設されている反応チューブ304とを含む。反応チャネル306が、反応チューブ304の中に画定されている。たとえば、ハウジング302および反応チューブ304は、両方とも、円筒形状のチューブであることが可能であり、反応チューブ304は、円筒形状のハウジング302と同軸になった状態になっている。図3の例では、反応チャネル306は、反応チューブ304と反応チューブ304の中に配設されている内側チューブ308との間に画定された環状スペースである。いくつかの例では、反応チャネル306は、円筒形状になっており、内側チューブは、反応チューブ304の中に配設されていない。
【0115】
反応物流体(たとえば、SMRから出力される流体など)は、WGS反応器300の第1の端部310において、反応チャネル306の入口部305の中へ進入し、反応チャネル306に沿って流れる。水素発生反応は、反応チャネル306の中に配設されているWGS触媒の存在下において、反応チャネル306に沿って起こる。水素発生反応は、製品(たとえば、水素ガスおよび二酸化炭素)を発生させ、製品は、WGS反応器の第2の端部312において、出口部307を介して反応チャネル306から出力される。たとえば、WGS反応器300の第1の端部310における反応チャネル306の入口部305は、SMR200の出口部220(図2Aを参照)と流体連通しており、SMRからの流体出力は、WGS300の反応チャネル306の中へ提供される。WGS水素発生反応の例は、以下のように表される。
CO+HO→H+CO
【0116】
WGS300の中の水素発生反応は、発熱反応である。WGS300の中の水素発生反応によって発生させられる熱は、WGSのハウジング302と反応チューブ304との間に画定された冷却流体チャネル314に沿って流れる水などの冷却流体によって除去される。また、冷却流体は、内側チューブ308の中に画定される内側冷却流体チャネル316を通って流れることが可能である。冷却流体は、WGS反応器300の第2の端部312において、それぞれ冷却流体チャネル314および内側冷却流体チャネル316の入口部の中へ進入し、WGS反応器の第1の端部310において、それぞれ冷却流体チャネル314および内側冷却流体チャネル316の出口部から退出する。反応チャネル308の中の流体のフローの方向は、WGS反応器300の第1の端部310から第2の端部312になっている。冷却フローの方向は、WGS反応器300の第2の端部312から第1の端部310へ、反対側になっている。冷却流体が冷却流体チャネル314および内側冷却流体チャネル316に沿って流れるときに、冷却流体は、反応チャネル308に沿って流れる流体からの熱によって加熱される。いくつかの例では、冷却流体は、入口部において液体水であり、出口部において冷却流体が蒸気、または、液体水および蒸気の混合物となるように加熱される。
【0117】
WGS触媒および熱伝達材料は、WGS反応器300の反応チャネル306の中に配設されている。WGS触媒および熱伝達材料の構成は、たとえば、ターゲットスループットもしくは水素発生効率を実現するために、ターゲット温度範囲の中での動作を実現するために、または、別の目標を実現するために調節され得る。たとえば、反応チャネル306に沿ったWGS触媒および熱伝達材料の位置が調節され得る。WGS触媒および熱伝達材料の構造および範囲が調節され得る。図3の例では、WGS反応器300は、2つのWGS触媒330、332の間に配設されている熱伝達材料334を伴う2触媒システムとして構成されている。図4の例では、WGS反応器300は、熱伝達材料434および単一のWGS触媒430を伴う、1触媒システムとして構成されている。WGS触媒および熱伝達材料の他の構成も可能である。
【0118】
図3に示されているWGS反応器300の2触媒構成では、第1のWGS触媒330および第2のWGS触媒332が、反応チャネル306の中に配設されている。第1のWGS触媒330は、第1の温度範囲の中で、たとえば、200℃から450℃の間において、WGS水素発生反応に触媒作用を及ぼす。第1のWGS触媒330は、たとえば、310℃から450℃の間の温度においてWGS水素発生反応に触媒作用を及ぼす高温WGS触媒であることが可能である。第1のWGS触媒330は、たとえば、200℃から350℃の間の温度においてWGS水素発生反応に触媒作用を及ぼす中温WGS触媒であることが可能である。反応物は、第1の温度範囲の中の所定の温度において、反応チャネル306の中へ入力され、第1のWGS触媒330が、第1のWGS触媒330を横切って流れるガスの中の水素発生反応に触媒作用を及ぼすことが可能であるようになっている。
【0119】
第2のWGS触媒332は、反応チャネル306に沿ってより遠くに配設されており、第1のWGS触媒330と反応チャネル306の入口部305との間の距離が、第2のWGS触媒332と反応チャネル306の入口部305との間の距離よりも小さくなるようになっている。反応チャネル306に沿って流れるガスは、第2のWGS触媒332を横切って流れる前に、第1のWGS触媒330を流れる。第2のWGS触媒332は、第1の温度範囲よりも低い第2の温度範囲の中で、WGS水素発生反応に触媒作用を及ぼす。たとえば、第2のWGS触媒332は、たとえば、180℃から350℃の間の温度範囲において、WGS水素発生反応に触媒作用を及ぼす。第1のWGS触媒330が高温WGS触媒であるときには、第2のWGS触媒332は、中温WGS触媒であることが可能である。または、第2のWGS触媒332は、たとえば、180℃から250℃の間の温度においてWGS水素発生反応に触媒作用を及ぼす低温WGS触媒であることが可能である。第1のWGS触媒330が中温WGS触媒であるときには、第2の触媒332は、低温WGS触媒であることが可能である。
【0120】
熱伝達材料334は、第1のWGS触媒330と第2のWGS触媒332との間の反応チャネル306の中に配設されており、熱伝達材料334と反応チャネル306の入口部305との間の距離が、第2のWGS触媒332と反応チャネル306の入口部305との間の距離よりも小さくなった状態になっている。反応チャネル306に沿って流れる流体は、最初に、第1のWGS触媒330を横切って流れ、次いで、熱伝達材料334を横切って流れ、次いで、第2のWGS触媒332を横切って流れる。熱伝達材料334は、反応チューブ304、内側チューブ308、または、その両方と物理的な接触をした状態になっている。熱伝達材料334は、反応チャネル306に沿って流れる流体から、冷却流体チャネル314、内側冷却流体チャネル316、または、その両方に沿って流れる冷却流体への熱(たとえば、第1の触媒330において起こる発熱の水素発生反応によって発生させられる熱)の現場での伝達を促進させる。この熱伝達は、反応チャネルに沿って流れるガスの温度を、第2のWGS触媒332が水素発生反応に触媒作用を及ぼすことができる温度範囲まで低減させる。
【0121】
いくつかの例では、入力側熱伝達材料(図示せず)が、反応チャネル306の中に配設されており、反応チャネル306の中へ受け入れられた流体が、第1の触媒330を横切って流れる前に入力側熱伝達材料を横切って流れるようになっている。この入力側熱伝達材料は、第1のWGS触媒330が水素発生反応に触媒作用を及ぼすことができる温度範囲まで、流体の温度を低減させる。たとえば、SMR200(図2)からの流体が、第1のWGS触媒330にとって高過ぎる温度において、WGS300の中への入力として提供されるときには、入力側熱伝達材料が、入力流体の温度を第1のWGS触媒330の温度範囲まで低減させる。いくつかの例では、出力側熱伝達材料(図示せず)が、反応チャネル306の中に配設されており、流体が、第2の触媒332を横切って流れた後に出力側熱伝達材料を横切って流れるようになっている。この出力側熱伝達材料は、WGS水素発生反応の完了の後に冷却流体の中への熱の回収を促進させ、WGS反応器のエネルギー効率を強化する。
【0122】
熱伝達材料336、338は、冷却流体チャネル314および内側冷却流体チャネル316の中にそれぞれ配設されている。冷却流体チャネル314および内側冷却流体チャネル316に沿って流れる冷却流体は、それぞれ、熱伝達材料336、338を横切って流れる。熱伝達材料336は、反応チューブ304と物理的な接触をした状態になっており、反応チャネル306に沿って流れる流体から、冷却流体チャネル314に沿って流れる冷却流体への熱の伝達を促進させる。熱伝達材料338は、内側チューブ308と物理的な接触をした状態になっており、反応チャネル306に沿って流れる流体から、内側冷却流体チャネル316に沿って流れる冷却流体への熱の伝達を促進させる。
【0123】
冷却フローが冷却流体チャネル314、316に沿って流れるときに、冷却流体は、反応チャネルに沿って流れる流体からの熱伝達によって加熱される。いくつかの例では、加熱された冷却流体は、SMR200への入力として提供されるか、または、WGS300の反応チャネル306への入力として戻される。たとえば、加熱された冷却流体は、SMRの中へ入力に関して適当な温度および流量で生産された飽和水または2相水(液体/蒸気)であることが可能である。
【0124】
図3に示されているWGS反応器300の構成では、熱伝達材料336、338は、熱伝達材料334と整合させられている。いくつかの例では、熱伝達材料336、338は、熱伝達材料334と整合させられていない。熱伝達材料336、338は、それぞれ、冷却流体チャネル314および内側冷却流体チャネル316の長さのいくらかまたはすべてに沿って延在することが可能である。いくつかの例では、熱伝達材料336、338のうちの1つだけが存在しており、または、熱伝達材料336、338のいずれも存在していない。
【0125】
WGS反応器300の中の触媒配置は、他の触媒に影響を与えることなく、単一触媒の活性化および還元を可能にする。一般的に、WGS反応器300の中の触媒は、わずかに上昇した温度において触媒を横切って還元ガスをゆっくりと流すことによって活性化させられ、金属的な活性形態に触媒を還元するようになっている。いくつかの例では、WGS触媒は、WGSとSMRとの接続の前に外部から活性化させられる。
【0126】
図4を参照すると、WGS反応器300は、単一触媒システムとして構成されており、単一触媒システムでは、単一のWGS触媒430がWGS反応器300の反応チャネル306の中に配設されている。WGS触媒430は、たとえば、200℃から450℃の間の温度において、WGS水素発生反応に触媒作用を及ぼす。WGS触媒430は、高温WGS触媒または中温WGS触媒であることが可能である。
【0127】
熱伝達材料434が、反応チャネル306の中に配設されており、熱伝達材料434と反応チャネル306の入口部305との間の距離が、WGS触媒430と反応チャネル306の入口部305との間の距離よりも小さくなるようになっている。反応チャネル306に沿って流れる流体は、最初に、熱伝達材料434を横切って流れ、次いで、WGS触媒430を横切って流れる。熱伝達材料434は、反応チューブ304、内側チューブ308、またはその両方と物理的な接触した状態になっており、反応チャネル306の中へ受け入れられる流体から、冷却流体チャネル314、内側冷却流体チャネル316、またはその両方に沿って流れる冷却流体への熱の伝達を促進させる。この熱伝達は、WGS触媒430がWGS水素発生反応に触媒作用を及ぼすことができる温度範囲内まで、流体の温度を低減させる。たとえば、SMR200(図2)から出力される一酸化炭素が、WGS触媒430にとって高過ぎる温度において、WGS300の中への入力として提供されるときには、熱伝達材料434は、入力流体の温度を触媒430の温度範囲まで低減させる。
【0128】
熱伝達材料436、438は、冷却流体チャネル314および内側冷却流体チャネル316の中にそれぞれ配設されており、反応チャネル306に沿って流れる流体から、冷却流体チャネル314および内側冷却流体チャネル316に沿って流れる冷却流体への熱伝達を促進させる。図4に示されているWGS反応器300の構成では、熱伝達材料436、438は、熱伝達材料434と整合させられている。いくつかの例では、熱伝達材料436、438は、熱伝達材料434と整合させられていない。熱伝達材料436、438は、それぞれ、冷却流体チャネル314および内側冷却流体チャネル316の長さのいくらかまたはすべてに沿って延在することが可能である。いくつかの例では、熱伝達材料436、438のうちの1つだけが存在しており、または、熱伝達材料436、438のいずれも存在していない。
【0129】
図3および図4のWGS触媒330、332、430は、ペレット、ビーズ、サドル、リング、または、触媒材料から形成された他の構造体であることが可能である。WGS触媒330、332、430は、触媒フォーム、フォイル、フィン、または、たとえば、触媒材料が基材の上に配設されているかもしくは基材の中に一体化された状態の、基材および触媒材料を含む他の構造体であることが可能である。触媒フォームは、多孔性の構造体であり、1つまたは複数の流路が、多孔性の構造体を通って画定されている。触媒フォームの多孔性は、高い表面積を実現するように選択され得、効率的な触媒作用、および、触媒フォームを横切る低い圧力降下を可能にし、反応チャネル306に沿った効率的な流体フローを可能にする。たとえば、触媒フォームは、5ppiから30ppiの間の多孔性を有することが可能である。触媒フォームの材料は、WGS300が動作させられる温度範囲において、反応チャネル306に沿って流れる流体(たとえば、WGS水素発生反応の反応物および製品)に対して非反応性である。たとえば、触媒フォームは、金属フォーム、たとえば、銅もしくはアルミニウムなど、または炭化ケイ素フィルム、または別の適切な材料であることが可能である。図3の2触媒構成では、第1および第2のWGS触媒330、332は、両方とも同じ構造を有することが可能であり、または、第1および第2のWGS触媒330、332のそれぞれが、別個の構造を有することが可能である。
【0130】
熱伝達材料334、336、338、434は、反応チャネル306に沿って流れる流体から、冷却流体チャネル314もしくは内側冷却流体チャネル316またはその両方に沿って流れる冷却流体への熱伝達を可能にするのに十分な熱伝導率を有する材料である。反応チャネル306の中に配設されている熱伝達材料334、434は、WGS300が動作させられる温度範囲において、反応チャネル306に沿って流れる流体(たとえば、WGS水素発生反応の反応物および製品)に対して非反応性である。たとえば、熱伝達材料334、434は、金属、たとえば、銅もしくはアルミニウムなど、または炭化ケイ素、または別の適切な材料であることが可能である。
【0131】
熱伝達材料334、336、338、434は、フォーム、フィン、フォイル、リング、サドル、ビーズ、もしくはペレット、または、熱伝達ができる他の構造であることが可能である。フォームの例では、フォームの多孔性および長さは、高い表面積を実現するように選択され得、効率的な熱伝達、および、フォームを横切る低い圧力降下を可能にし、反応チャネル306に沿った効率的な流体フローを可能にする。たとえば、熱伝達材料334、336、338、434は、5ppiから30ppiの間の多孔性を有するフォームであることが可能である。
【0132】
図3および図4を参照すると、冷却流体チャネル314、316に沿った冷却流体の流量は、フローコントローラー340によって制御される。流量は、反応チャネル306の中へ入力される流体の温度、冷却流体チャネル314、316の中へ入力される冷却流体の温度に基づいて、選択されるかまたは調節され得る。流量は、反応チャネル306から出力される流体のターゲット出力温度、冷却流体のターゲット出力温度、または、その両方に基づいて、選択されるかまたは調節され得る。流量は、触媒構成、触媒のタイプ(たとえば、高温WGS触媒、中温WGS触媒、もしくは低温WGS触媒)、または、その両方に基づいて、選択されるかまたは調節され得る。流量は、実際のまたは所望のスループットに基づいて、選択されるかまたは調節され得る。
【0133】
WGS反応器300の反応チャネル306の中の流体の冷却は、WGS水素発生反応が高いエネルギー効率で実施されることを可能にする。反応チャネル306の中の流体から冷却流体への熱の伝達は、反応チャネル306の中の流体を冷却し、たとえば、発熱の水素発生反応の間に発生させられる熱を除去し、流体の温度をWGS触媒に関して適当な温度範囲まで低減させ、流体のエネルギー集約型のアクティブ冷却を伴わない。そのうえ、WGS反応器の中の熱伝達は、等温条件が実現されることを可能にし、WGS水素発生反応の変換効率を改善する。
【0134】
図5を参照すると、WGS反応器500は、ハウジング502の中に配設されている複数の反応チューブ504a~504cを含む。反応チャネル506a~506cが、それぞれの反応チューブ504a~504c(集合的に反応チューブ504と称される)の中に画定されている。反応物ガスが、WGS反応器500の第1の端部510において、反応チャネル506a~506c(集合的に反応チャネル506と称される)の中へ流れ、製品ガスが、WGS反応器500の第2の端部512において、反応チャネル506を退出する。
【0135】
冷却流体チャネル514が、ハウジング502と反応チューブ504との間のスペースの中に画定されている。冷却流体は、WGS反応器の第2の端部512において冷却流体チャネル514の中へ進入し、WGS反応器500の第1の端部510において、冷却流体チャネルから退出する。
【0136】
図5の例では、WGS反応器500は、単一触媒システムであり、高温WGS触媒または中温WGS触媒などの単一触媒522が、それぞれの反応チャネル506の中に配設されている。熱伝達材料524が、それぞれの反応チャネル506の中に配設されており、反応チャネル508の中のガスから冷却流体チャネル514の中の冷却流体への熱伝達を促進させる。いくつかの例では、複数の反応チューブを含むWGS反応器500は、2触媒システムとして構成され得る。
【0137】
図6を参照すると、SMR200およびWGS300は、炭化水素からの水素ガス(H2)の生産のためのシステム600の中へ一体化されている。外部熱源としての燃焼炉602が、SMR200の第1の端部を加熱する。また、システム600は、WGS500によって実装され得、SMRが複数のセットの外側および内側チューブ、またはその両方を含む状態になっている。
【0138】
SMR200の中の水素発生反応は、SMR触媒を含む触媒フォームの存在下において、炭化水素および水蒸気(蒸気)を含む反応物から、水素ガス(H2)および一酸化炭素(CO)を生産する。水素ガスおよび一酸化炭素は、SMRの内側チューブの中に画定されたフローチャネルから、余剰蒸気とともに、SMR製品ライン604の上に出力される。SMR200からの流体(たとえば、水素ガス、一酸化炭素、および蒸気)は、WGS300の反応チャネルへの入力として提供される。SMR200の出口部は、SMR製品ライン604を介してWGS300の入口部と流体連通している。いくつかの例では、追加的な蒸気が、たとえば、水ストレージ614(下記に議論されている)から、または、WGS300からの冷却流体出力ライン620(下記に議論されている)から、WGS300の反応チャネルの中へ提供され、一酸化炭素に対する蒸気のターゲット比を実現する。
【0139】
上記に議論されているように、SMR200の出口部に向けてフローチャネルに沿って流れる流体は、SMRの環状スペースに沿って流れる流入流体との熱伝達によって冷却される。したがって、SMRの出口部における流体の温度は、環状スペースの中の流体との熱伝達の程度によって、少なくとも部分的に制御可能である。熱伝達、ひいては、出口部流体温度は、SMR200の構成(たとえば、触媒フォームおよび熱交換フォームの位置、長さ、多孔性、または他の特質)によって、ならびに、SMRの動作(たとえば、SMR200のバヨネット流路に沿った流体の流量)によって影響を与えられる。SMR200の構成、動作、またはその両方は、熱伝達を実現するために調節され得、SMR200から出力される流体が、WGS300の反応チャネルの中への入力にとって適当な温度になるようになっている。たとえば、WGS300が反応チャネルの入力に向けて高温WGS触媒または中温WGS触媒を伴って構成されているときには、SMR200は、WGS触媒が活性である範囲の中の温度で一酸化炭素および蒸気がWSG300の反応チャネルに到着するように構成され得る。SMRから出力される流体に関するターゲット温度を実現するために、SMR200の中の熱伝達を利用することによって、外部アクティブ冷却デバイスは、SMR200とWGS300との間で使用されず、外部アクティブ加熱デバイス(たとえば、炉602)の役割が低減され得、したがって、システムレベルの水素発生プロセスの高いエネルギー効率に貢献する。
【0140】
WGS300の中の水素発生反応は、水素ガスおよび二酸化炭素(CO2)を生産し、水素ガスおよび二酸化炭素(CO2)は、WGS300の反応チャネルからWGS製品ライン608の上に余剰蒸気とともに出力される。余剰蒸気は、蒸気液体セパレーター(VLS)610の中のWGS製品ライン608の上の流体から除去される。残りの水素ガスおよび二酸化炭素は、分離のために下流611に送られ、二酸化炭素は、(たとえば、下記に議論されている煙道スタックを介して)廃棄され、水素ガスは、たとえば、燃料としての使用のために、水素ストレージに除去される。分離された蒸気は、蒸気ライン612に沿って水ストレージ614へ流れ、水ストレージ614は、外部水供給源616から提供される水も貯蔵する。蒸気ライン612の上の分離された蒸気、外部水供給源616からの水、または、その両方は、水ストレージ614の中への貯蔵の前に処理され得る。
【0141】
水ストレージ614からの水は、WGS300の中へ入力される冷却流体として、冷却流体ライン618に沿って提供される。WGS300から出力される加熱された冷却流体(それは、液体水および蒸気の混合物である)は、冷却流体出力ライン620に沿って流れる。加熱された冷却流体は、最終的に、SMR200の中への入力反応物として提供されることとなる。WGS300から出力される加熱された冷却流体の温度は、WGS300の構成(たとえば、WGS触媒および熱伝達材料のタイプ、位置、または他の特質)によって、ならびに、WGS300の動作(たとえば、反応チャネルに沿った流体の流量、ならびに、冷却流体の流量)によって影響を与えられる。WGS300の構成、動作、またはその両方は、加熱された冷却流体がターゲット温度(たとえば、SMR200の中への入力にとって十分な温度など)において出力されるように調節され得る。WGS300反応チャネルの中の流体から回収された熱を使用して冷却流体をターゲット温度まで加熱することによって、SMR入力流体を加熱するための外部アクティブ加熱エレメントは使用されない。加えて、外部アクティブ冷却は、発熱のWGS水素発生反応から熱を除去するために使用されない。SMR入力流体を加熱するために回収された熱の使用、および、発熱のWGS水素発生反応の冷却は、高いシステムレベルのエネルギー効率に貢献する。
【0142】
WGS300から出力される加熱された冷却流体は、冷却流体出力ライン620に沿ってアキュムレーター622へ流れる。また、アキュムレーター622は、水ストレージ614から水ライン624に沿って追加的な水を受け入れる。アキュムレーター622からアキュムレーター出力ライン626の上に出力される蒸気および水は、燃焼炉602からの煙道ガス636からの熱によって、熱交換器634の中で加熱される。炭化水素ライン630を介して提供される炭化水素は、煙道ガス636からの熱によって、熱交換器635の中で加熱される。加熱された蒸気632および炭化水素633は、それぞれ、ミキサー628の中で混合され、SMR入力ライン638の上に出力され、SMR入力ライン638は、加熱された蒸気および炭化水素をSMR200の外側チューブの入口部に給送する。蒸気および炭化水素の混合物をSMRの中への入力にとって十分な温度まで加熱するために、煙道ガス636から回収された熱を使用することは、高いシステムレベルのエネルギー効率に貢献する。この構成では、WGS冷却流体フローチャネルの出口部は、SMR200の入口部と流体連通した状態になっており、加熱されたWGS冷却流体がSMR200の中へ入力される流体のコンポーネントとして最終的に提供されるようになっている。煙道ガス636は、熱交換器634を通過した後に、煙道ガススタック640に廃棄される。
【0143】
図7を参照すると、SMRおよびWGS反応器を含む水素発生システムの動作において、反応物を含む流体(たとえば、ガス)が、SMRへの入力として提供される(700)。具体的には、流体は、SMRの第2の端部において、SMRの環状スペースの入口部の中へ提供され、環状スペースは、SMRの外側チューブと内側チューブとの間に画定された状態になっている。入口部に提供される流体は、炭化水素、たとえば、メタン、天然ガス、バイオガス、メタノール、または他の炭化水素を含む。入口部に提供される流体は、蒸気も含む。
【0144】
流体は、SMRのバヨネット流路に沿って流れる。具体的には、流体は、SMRの第2の端部から第1の端部へ環状スペースに沿って流れる(702)。環状スペースに沿って、流体は、外側熱交換フォームを通って流れ(704)、それは、SMRの内側チューブの中に画定されるフローチャネルに沿って流れる高温流体から、環状スペースに沿って流れるより低温の流体への熱伝達を促進させる。また、外側熱交換フォームは、環状スペースに沿って流れる流体の中に乱流を誘発することが可能であり、熱伝達効率を強化する。
【0145】
環状スペースに沿って流れる流体は、SMRの第1の端部に向けて、燃焼炉などの外部熱源によって加熱される(706)。SMRの加熱された領域において、流体が、触媒フォームを通って流れ(708)、触媒フォームは、SMR水素発生に触媒作用を及ぼし、炭化水素および蒸気反応物から水素ガスおよび一酸化炭素を生産する(710)。触媒フォームは、それを通って流れるガスへの熱伝達、たとえば、SMRの内側チューブの中のフローチャネルに沿って流れるより高温の製品流体からの熱伝達、および、外部熱源からの熱伝達を促進させる。
【0146】
流体(今では、より高い温度になっており、水素および一酸化炭素を含む)は、SMRの第1の端部において、環状スペースからフローチャネルの中へ流れる(712)。フローチャネルの中の流体は、環状スペースの中の流体のフローの方向とは反対側に、SMRの第1の端部からSMRの第2の端部に向けて流れる。フローチャネルの中の流体は、内側熱交換フォームを通って流れ(714)、それは、フローチャネルに沿って流れる高温流体から、環状スペースに沿って流れるより低温の流体への熱伝達を促進させる。また、内側熱交換フォームは、フローチャネルに沿って流れる流体の中に乱流を誘発することが可能であり、熱伝達効率を強化する。また、内側チューブの中の細長いバッフルの存在は、熱伝達効率を強化する。
【0147】
フローチャネルに沿って流れる流体がSMR出口部に到達したときに、流体(水素ガス、一酸化炭素、および蒸気を含む)は、SMRの第2の端部においてSMRから出力される(716)。SMR出力流体は、WGS反応器の反応チャネルの中への入力として提供される(720)。環状スペースに沿って流れる流体とSMRの中のフローチャネルに沿って流れる流体との間の熱伝達は、一酸化炭素がWGS反応器の中への入力にとって十分な温度(たとえば、WGS触媒がWGS水素発生反応に触媒作用を及ぼすことができる温度範囲以上の温度など)になることを結果として生じさせることが可能である。たとえば、SMRから出力され、WGS反応器の反応チャネルの中への入力として提供される流体は、200℃から少なくとも450℃の間の温度になっている。
【0148】
一酸化炭素および蒸気を含む流体は、WGS反応器の反応チャネルに沿って流れ(722)、1つまたは複数のWGS触媒および1つまたは複数の熱伝達材料を横切って流れる。水などの冷却流体は、1つまたは複数の冷却流体チャネルに沿って流れる(724)。反応チャネルに沿った流体フローの方向は、冷却流体チャネルに沿った流体フローの方向とは反対側になっている。冷却流体の流量は、たとえば、反応チャネルに沿った流体フローの流量(たとえば、それは、SMRのスループットに基づいている)に基づいて、冷却流体に関するターゲット出力温度に基づいて、または、WGSの構成もしくは動作に基づいて調節され得る(726)。
【0149】
図7の例では、WGS反応器は、たとえば、図3に示されているように、2触媒システムとして構成されている。反応チャネルの中の流体は、第1のWGS触媒、たとえば、高温WGS触媒または中温WGS触媒を横切って流れる(728)。第1のWGS触媒は、第1の温度範囲で、たとえば、200℃から450℃の間において、WGS水素発生反応に触媒作用を及ぼし(730)、水素ガスおよび二酸化炭素を生産する。反応チャネルの中の流体は、次いで、反応チャネルの中に配設されている熱伝達材料を横切って流れる(732)。熱伝達材料は、流体の温度を第2の温度範囲まで低減させ、第2の温度範囲において、第2のWGS触媒は、冷却流体チャネルの中を流れる冷却流体への熱伝達によって動作する。熱伝達は、冷却流体の温度を、たとえば、100℃から300℃の間に上昇させる。反応チャネルの中の流体(今では、第2の温度範囲の中にある)は、第2のWGS触媒、たとえば、中温WGS触媒または低温WGS触媒を横切って流れる(734)。第2のWGS触媒は、第1の温度範囲よりも低い第2の温度範囲において、たとえば、180℃から250℃の間において、WGS水素発生反応に触媒作用を及ぼし(736)、水素ガスおよび二酸化炭素を生産する。
【0150】
水素ガス、二酸化炭素、および余剰蒸気を含む、流体は、WGS反応器の反応チャネルから出力される(738)。余剰蒸気が分離され(740)、分離された蒸気は、WGS反応器からの冷却流体(たとえば、蒸気および液体水の混合物)とともに、たとえば、WGS反応チャネルの中への入力として、または、SMRの中への入力として使用されるためにリサイクルされる(742)。
【0151】
実施例
【0152】
SMRの中の熱伝達のシミュレーションおよび実験が、外部熱源からSMRの環状スペースに沿って流れる流体へ熱を伝達する際の触媒フォームの役割を評価するために実施された。
【0153】
図8を参照すると、異なる多孔性のフォームが、SMRの環状スペースの中に配設された。それぞれのフォームタイプに関して、SMRは、400℃まで加熱され、外側チューブと内側チューブとの間の温度差が、熱電対によって測定された。3つのフォーム(10ppi、20ppi、および30ppi)のそれぞれに関する温度差、および、空の環状スペース(フォームがない)に関する温度差が、図8に示されている。より低い温度差は、熱伝達に起因する温度平衡を示している。外側チューブと内側チューブとの間の測定された温度差は、フォームが存在しているときよりも、フォームが使用されていないときに、約50℃大きくなっており、それは、フォームなしの場合には熱伝導が不足していること、およびフォームありの場合には効果的な熱伝導を示している。
【0154】
図9Aおよび図9Bを参照すると、SMR150の熱伝達特質が、外部熱源からSMRの中への熱伝達に対するフォームの効果を実証するためにシミュレートされた。SMR150は、外側チューブ152および内側チューブ154を有しており、環状スペース160が外側チューブ152と内側チューブ154との間に画定された状態になっており、フローチャネル162が内側チューブ152の中に画定された状態になっている。図9Aおよび図9Bは、SMRの半分だけの断面を示している。軸線X-X’は、フローチャネル162の中心に沿った軸線である。外部熱源172は、SMRの加熱される部分171に熱を供給する。図9Aでは、フォーム180が、環状スペース160の中に配設されている。図9Bでは、フォームは、環状スペースの中に存在していない(図9B)。入口部流体流量、入口部流体温度、環状の幅、およびチューブ寸法を含む、他のパラメーターは同じであった。熱源172は、875℃に維持される外側チューブ152のセクションとしてシミュレートされた。図9Aおよび図9Bから見られ得るように、フォーム180が環状スペース130の中に存在する状態で(図9A)、環状スペース160の中の流体は、760℃を上回る温度に到達し、一方、フォームのないSMRでは(図9B)、環状スペース160の中の流体は、単に450℃の温度に到達した。また、環状スペースの中に存在するフォーム180は、たとえば、熱伝達によって、および、環状スペース160からフローチャネル162の中への加熱された流体のフローによって、内側チューブ152の中のフローチャネル162の中の流体の温度の増加を結果として生じさせた。これらの結果は、SMRの環状スペースの中に配設されているフォームによって提供される効果的な熱伝達を実証している。
【0155】
本主題の特定の実施形態が説明されてきた。他の実施形態も、以下の特許請求の範囲の中ある。
【符号の説明】
【0156】
102 流体
104 製品ガス
106 冷却流体
108 冷却流体
110 製品ガス
150 SMR
152 外側チューブ
154 内側チューブ
160 環状スペース
162 フローチャネル
171 加熱される部分
172 外部熱源
180 フォーム
200 蒸気メタン反応器(SMR)
202 外側チューブ
204 内側チューブ
206 第1の端部
210 環状スペース
212 フローチャネル
213 細長いバッフル
214 入口部
216 第2の端部
218 第2の端部
222 外部熱源
223 端部スペース
221 加熱される部分
230 触媒フォーム
232 上流側
234 下流側
250 外側熱交換フォーム
252 内側熱交換フォーム
258 熱伝達材料
300 水性ガスシフト(WGS)反応器
302 ハウジング
304 反応チューブ
305 入口部
306 反応チャネル
307 出口部
308 内側チューブ
310 第1の端部
312 第2の端部
314 冷却流体チャネル
316 内側冷却流体チャネル
330 第1のWGS触媒
332 第2の触媒
334 熱伝達材料
336 熱伝達材料
338 熱伝達材料
430 WGS触媒
434 熱伝達材料
436 熱伝達材料
438 熱伝達材料
500 WGS反応器
502 ハウジング
504、504a~504c 反応チューブ
506、506a~506c 反応チャネル
510 第1の端部
512 第2の端部
514 冷却流体チャネル
522 単一触媒
524 熱伝達材料
600 システム
602 燃焼炉
604 SMR製品ライン
608 WGS製品ライン
610 蒸気液体セパレーター(VLS)
612 蒸気ライン
614 水ストレージ
616 外部水供給源
618 冷却流体ライン
620 冷却流体出力ライン
624 水ライン
626 アキュムレーター出力ライン
628 ミキサー
630 炭化水素ライン
632 蒸気
633 炭化水素
634 熱交換器
635 熱交換器
636 煙道ガス
638 SMR入力ライン
640 煙道ガススタック
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B