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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】表示装置及び偏光軸回転素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20240603BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240603BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20240603BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20240603BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALN20240603BHJP
   G02B 5/30 20060101ALN20240603BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1335 510
G02B27/01
B60K35/23
G02F1/13357
G02B5/30
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020110538
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007516
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松島 寿治
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-289374(JP,A)
【文献】特開2018-072598(JP,A)
【文献】特開平09-138308(JP,A)
【文献】特開平09-033914(JP,A)
【文献】国際公開第2020/017544(WO,A1)
【文献】特開2007-192989(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0047583(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13,1/1335-1/13357
G02B 27/01
B60K 35/23
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルと観察者との間に位置する偏光軸回転素子と、
前記表示パネルと前記偏光軸回転素子との間に位置する偏光板と、を備え、
前記偏光軸回転素子は、第1領域と、前記第1領域とは異なる第2領域と、を有し、
前記第1領域を透過した第1偏光成分の第1偏光軸の方位は、前記第2領域を透過した第2偏光成分の第2偏光軸の方位とは異なり、
前記偏光軸回転素子は、第1絶縁基材と、前記第1絶縁基材に配置された第1配向膜と、を備える第1基板と、第2絶縁基材と、前記第2絶縁基材に配置された第2配向膜と、を備える第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に位置する液晶層と、を備え、
前記第1配向膜において、前記第1領域の配向処理方向と前記第2領域の配向処理方向は平行であり、
前記第2配向膜において、前記第1領域の配向処理方向と前記第2領域の配向処理方向は異なり、
前記第2配向膜の配向処理方向は、前記偏光板の透過軸に対して、-10度~10度である、表示装置。
【請求項2】
前記第1領域において、前記第1配向膜の配向処理方向と前記第2配向膜の配向処理方向は、平行であり、
前記第2領域において、前記第1配向膜の配向処理方向と前記第2配向膜の配向処理方向は異なっている、請求項に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1配向膜の前記第1領域及び前記第2領域の配向処理方向は、前記偏光板の透過軸と平行或いは直交である、請求項又はに記載の表示装置。
【請求項4】
前記偏光軸回転素子は、前記第1領域に対して前記第2領域とは反対側に第3領域を有し、
前記第1配向膜において、前記第1領域の配向処理方向、前記第2領域の配向処理方向、及び、前記第3領域の配向処理方向は、互いに平行であり、
前記第2配向膜において、前記第2領域の配向処理方向は前記第1領域の配向処理方向に対して時計周りに第1角度で傾斜し、前記第3領域の配向処理方向は前記第1領域の配向処理方向に対して時計回りに第2角度で傾斜している、請求項乃至の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルと観察者との間に位置する偏光軸回転素子と、
前記表示パネルと前記偏光軸回転素子との間に位置する偏光板と、を備え、
前記偏光軸回転素子は、第1領域と、前記第1領域とは異なる第2領域と、を有し、
前記第1領域を透過した第1偏光成分の第1偏光軸の方位は、前記第2領域を透過した第2偏光成分の第2偏光軸の方位とは異なり、
前記偏光軸回転素子は、透過する偏光成分に1/2波長の位相差を付与し、第1絶縁基材と、前記第1絶縁基材の内面に配置され水平配向性を有する第1配向膜と、を備える第1基板と、第2絶縁基材と、前記第2絶縁基材の内面に配置され水平配向性を有する第2配向膜と、を備える第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に位置する液晶層と、を備え、
前記第1配向膜において、前記第1領域の配向処理方向と前記第2領域の配向処理方向は異なり、
前記第2配向膜において、前記第1領域の配向処理方向と前記第2領域の配向処理方向は異なり、
前記偏光軸回転素子は、前記第1領域に対して前記第2領域とは反対側に第3領域を有し、
前記第1配向膜において、前記第2領域の配向処理方向は前記第1領域の配向処理方向に対して反時計周りに第3角度で傾斜し、前記第3領域の配向処理方向は前記第1領域の配向処理方向に対して時計回りに第4角度で傾斜し、
前記第2配向膜において、前記第2領域の配向処理方向は前記第1領域の配向処理方向に対して反時計周りに第3角度で傾斜し、前記第3領域の配向処理方向は前記第1領域の配向処理方向に対して時計回りに第4角度で傾斜している、表示装置。
【請求項6】
前記第1領域において、前記第1配向膜の配向処理方向と前記第2配向膜の配向処理方向は、平行であり、
前記第2領域において、前記第1配向膜の配向処理方向と前記第2配向膜の配向処理方向は、平行である、請求項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1領域の前記第2配向膜の配向処理方向は、前記第1偏光軸と平行であり、
前記第2領域の前記第2配向膜の配向処理方向は、前記第2偏光軸の方位と前記第1偏光軸の方位との中間の方位に位置している、請求項5及び6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1配向膜の配向処理方向及び前記第2配向膜の配向処理方向は、前記偏光板の透過軸に対して、-5度~5度である、請求項乃至の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
第1絶縁基材と、前記第1絶縁基材の内面に配置され水平配向性を有する第1配向膜と、を備える第1基板と、
第2絶縁基材と、前記第2絶縁基材の内面に配置され水平配向性を有する第2配向膜と、を備える第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に位置する液晶層と、を備え、
第1領域と、前記第1領域とは異なる第2領域と、を有し、
前記第1領域を透過した第1偏光成分の第1偏光軸の方位は、前記第2領域を透過した第2偏光成分の第2偏光軸の方位とは異なり、
前記第1配向膜において、前記第1領域の配向処理方向と前記第2領域の配向処理方向は平行であり、
前記第2配向膜において、前記第1領域の配向処理方向と前記第2領域の配向処理方向は異なり、
前記第2配向膜の配向処理方向は、前記第1配向膜の配向処理方向に対して、-10度~10度である、偏光軸回転素子。
【請求項10】
前記第1領域において、前記第1配向膜の配向処理方向と前記第2配向膜の配向処理方向は、平行であり、
前記第2領域において、前記第1配向膜の配向処理方向と前記第2配向膜の配向処理方向は異なっている、請求項に記載の偏光軸回転素子。
【請求項11】
前記第1領域に対して前記第2領域とは反対側に第3領域を有し、
前記第1配向膜において、前記第1領域の配向処理方向、前記第2領域の配向処理方向、及び、前記第3領域の配向処理方向は、互いに平行であり、
前記第2配向膜において、前記第2領域の配向処理方向は前記第1領域の配向軸処理方向に対して時計周りに第1角度で傾斜し、前記第3領域の配向処理方向は前記第1領域の配向処理方向に対して時計回りに第2角度で傾斜している、請求項又は10に記載の偏光軸回転素子。
【請求項12】
第1絶縁基材と、前記第1絶縁基材の内面に配置され水平配向性を有する第1配向膜と、を備える第1基板と、
第2絶縁基材と、前記第2絶縁基材の内面に配置され水平配向性を有する第2配向膜と、を備える第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に位置する液晶層と、を備え、
第1領域と、前記第1領域とは異なる第2領域と、を有し、
前記第1領域を透過した第1偏光成分の第1偏光軸の方位は、前記第2領域を透過した第2偏光成分の第2偏光軸の方位とは異なり、
前記第1配向膜において、前記第1領域の配向処理方向と前記第2領域の配向処理方向は異なり、
前記第2配向膜において、前記第1領域の配向処理方向と前記第2領域の配向処理方向は異なり、
透過する偏光成分に1/2波長の位相差を付与し、
前記第1領域に対して前記第2領域とは反対側に第3領域を有し、
前記第1配向膜において、前記第2領域の配向処理方向は前記第1領域の配向処理方向に対して反時計周りに第3角度で傾斜し、前記第3領域の配向処理方向は前記第1領域の配向処理方向に対して時計回りに第4角度で傾斜し、
前記第2配向膜において、前記第2領域の配向処理方向は前記第1領域の配向処理方向に対して反時計周りに第3角度で傾斜し、前記第3領域の配向処理方向は前記第1領域の配向処理方向に対して時計回りに第4角度で傾斜している、偏光軸回転素子。
【請求項13】
前記第1領域において、前記第1配向膜の配向処理方向と前記第2配向膜の配向処理方向は、平行であり、
前記第2領域において、前記第1配向膜の配向処理方向と前記第2配向膜の配向処理方向は、平行である、請求項12に記載の偏光軸回転素子。
【請求項14】
前記第1配向膜の配向処理方向及び前記第2配向膜の配向処理方向のうち、最大傾斜角と最小傾斜角との間の差は10度以下である、請求項12及び13に記載の偏光軸回転素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及び偏光軸回転素子に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display:HUD)装置は、車両のダッシュボード内等に設けられ、表示パネルから出射される表示光がウィンドシールドに投影されることで、ウィンドシールド前方に所定の表示画像が虚像表示される。これにより、観察者である運転者は、運転中に視線をほとんど動かさずに、車速や走行距離等の情報を視認することができる。
【0003】
例えば、道路標識のぎらつきやダッシュボードに配置された物のウィンドシールドへの映り込み等を軽減するために、運転者が偏光サングラスをかけている場合がある。偏光サングラスは、表示光にP波成分とS波成分との双方が含まれている場合、表示光のS波成分をカットするため、このS波成分がなくなることに起因して、運転者によって視認される表示光の輝度が低下する。そのため、運転者は、HUD装置が投影する表示画像の視認が困難となる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-30522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、観察者が偏光サングラスをかけている場合でも、表示画像を良好に視認することができる表示装置及び偏光軸回転素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルと観察者との間に位置する偏光軸回転素子と、前記表示パネルと前記偏光軸回転素子との間に位置する偏光板と、を備え、前記偏光軸回転素子は、第1領域と、前記第1領域とは異なる第2領域と、を有し、前記第1領域を透過した第1偏光成分の第1偏光軸の方位は、前記第2領域を透過した第2偏光成分の第2偏光軸の方位とは異なる、表示装置が提供される。
【0007】
本実施形態によれば、第1領域と、前記第1領域とは異なる第2領域と、を有し、前記第1領域を透過した第1偏光成分の第1偏光軸の方位は、前記第2領域を透過した第2偏光成分の第2偏光軸の方位とは異なる、偏光軸回転素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態の表示装置の一構成例を示す図である。
図2図2は、図1に示した偏光軸回転素子の一構成例を示す断面図である。
図3図3は、図2に示した偏光軸回転素子の第1配向膜の配向処理方向、及び、第2配向膜の配向処理方向を示す図である。
図4図4は、偏光板と偏光軸回転素子との関係を説明するための図である。
図5図5は、偏光軸回転素子を用いた表示装置の一構成例を示す図である。
図6図6は、偏光軸回転素子に入射する直線偏光の偏光軸、及び、偏光軸回転素子を透過した直線偏光の偏光軸を示す図である。
図7図7は、図1に示した偏光軸回転素子の他の構成例を示す断面図である。
図8図8は、図7に示した偏光軸回転素子の第1配向膜の配向処理方向、及び、第2配向膜の配向処理方向を示す図である。
図9図9は、偏光板と偏光軸回転素子との関係を説明するための図である。
図10図10は、偏光軸回転素子に入射する直線偏光の偏光軸、及び、偏光軸回転素子を透過した直線偏光の偏光軸を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
図1は、本実施形態の表示装置DSPの一構成例を示す図である。
図示した表示装置DSPは、車両等のウィンドシールドを投映用のスクリーンSCRとして利用するヘッドアップディスプレイである。なお、スクリーンSCRは、ウィンドシールドそのものに限定されるものではなく、他のコンバイナが利用されても良い。以下の説明では、表示装置DSPが表示する表示画像を視認する観察者200から見て、上方向を「上」、下方向を「下」、前方向を「前」として、表示装置DSPを構成する各部を説明する。
【0011】
表示装置DSPは、画像を表示する表示パネルPNLと、偏光板PLと、偏光軸回転素子100と、光学系OPと、投影部PJと、を備えている。
【0012】
表示パネルPNLは、例えば、車速、走行距離等の表示情報を報知するための表示画像を表す表示光を出射する。表示パネルPNLには、例えば、液晶表示パネル、有機エレクトロルミネッセンス表示パネル、マイクロLEDを用いた表示パネル等を適用することができる。
【0013】
偏光板PLは、表示パネルPNLの上方に設けられ、表示パネルPNLの上面に貼付されている。偏光板PLは、表示パネルPNLと偏光軸回転素子100との間に位置している。偏光板PLは、表示パネルPNLから出射された光のうち、偏光板PLの透過軸に沿った振動方向の光のみを表示光として透過する。例えば、表示パネルPNLが液晶表示パネルである場合、表示パネルPNLの下方にも偏光板が位置し、上方の偏光板PL及び下方の偏光板のそれぞれの透過軸は、互いに直交する向きに設定されている。
【0014】
偏光軸回転素子100は、直線偏光の偏光軸を回転させるものである。このような偏光軸回転素子100は、単一の光学フィルムであってもよいし、多層の光学フィルムであってもよい。また、偏光軸回転素子100は、偏光軸を回転させる機能を発現できるものであればよく、光学フィルムに限らず、ツイストネマティック液晶素子などの旋光能を有する素子であってもよい。偏光軸回転素子100は、表示光Lの経路上において、直線偏光を出射する表示パネルPNL(偏光板PL)と観察者200との間に位置している。偏光軸回転素子100は、表示パネルPNLと観察者200との間の何処に位置していても良く、光学系OP内に貼付されていても良いし、スクリーンSCRに貼付されていても良い。
【0015】
光学系OPは、表示パネルPNLから出射された光(表示光)を投影部PJに案内する1つ以上のミラーを備えている。投影部PJは、光学系OPによって案内された光をスクリーンSCRに投影する。このような投影部PJには、例えば凹面鏡が適用可能である。
【0016】
スクリーンSCRは、湾曲した曲面SFに入射する表示光Lを観察者200の方向に反射させる。従って、曲面SFは、表示パネルPNLから出射された表示光Lを観察者200に向けて反射させる反射面となる。また、スクリーンSCRは、前方からの光を透過させる。これにより、観察者200は、スクリーンSCRの前方に虚像201を視認することができる。従って、表示装置DSPは、表示画像と前方に実際に存在する外景の双方を観察者200に視認させることができる。
【0017】
[第1実施形態]
図2は、図1に示した偏光軸回転素子100の一構成例を示す断面図である。
ここに示す第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で互いに交差していてもよい。第1方向X及び第2方向Yは、例えば偏光軸回転素子100に含まれる基板に平行な方向に相当し、また、第3方向Zは、偏光軸回転素子100の厚さ方向に相当する。
【0018】
偏光軸回転素子100は、第1基板SUB1と、第1基板SUB1と対向する第2基板SUB2と、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に位置する液晶層LCと、を備えている。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、シールSEによって互いに接着されている。表示光Lは、第1基板SUB1側から第2基板SUB2側へ進行する。
【0019】
第1基板SUB1は、第1絶縁基材10と、第1絶縁基材10の内面IS1に配置された第1配向膜AL1と、を備えている。第2基板SUB2は、第2絶縁基材20と、第2絶縁基材20の内面IS2に配置された第2配向膜AL2と、を備えている。第1絶縁基材10及び第2絶縁基材20は、例えば透明なガラスや樹脂などによって形成されている。第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、水平配向性を有する。つまり、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、X-Y平面に略平行な配向規制力を有する水平配向膜である。液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間において、シールSEによって封止されている。第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、液晶層LCに接している。
【0020】
偏光軸回転素子100は、第1領域AR1と、第1領域AR1とは異なる第2領域AR2と、第1領域AR1及び第2領域AR2とは異なる第3領域AR3と、を有している。第3領域AR3は、第1領域AR1に対して第2領域AR2とは反対側に位置している。
液晶層LCは、液晶分子LMを含んでいる。液晶分子LMは、第1領域AR1においては、ツイスト配向しておらず、第2領域AR2及び第3領域AR3においてはツイスト配向している。液晶層LCは、直線偏光である偏光成分の偏光軸を回転させる旋光能を有している。
【0021】
図3は、図2に示した偏光軸回転素子100の第1配向膜AL1の配向処理方向AD1、及び、第2配向膜AL2の配向処理方向AD2を示す図である。図3においては、説明のために、第1基板SUB1及び第2基板SUB2を並列させて図示している。
第1配向膜AL1の配向処理方向AD1は、第2方向Yと平行である。第2配向膜AL2の配向処理方向AD2は、位置によって異なっている。例えば、図示した例では、配向処理方向AD2は、第1領域AR1より左側に行くに連れて半時計周りに段々と傾いていき、第1領域AR1より右側に行くに連れて時計周りに段々と傾いていく。
【0022】
第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2に施される配向処理は、ラビング処理であってもよいし、光配向処理であってもよい。光配向処理を用いる場合、スリットを有するマスクを介して第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2を露光する。図示したように様々な方位に配向処理方向AD2を有する第2配向膜AL2を形成するためには、第2配向膜AL2をスリットに対して回転させながら複数回露光する。なお、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、マスクラビングによって配向処理が施されても良い。
【0023】
図4は、偏光板PLと偏光軸回転素子100との関係を説明するための図である。ここでは、X-Y平面内において、第1方向X(X軸)を示す矢印の先端の方位を基準方位とし、基準方位に対して反時計回りの角度を正の角度とする。
【0024】
偏光板PLは、透過軸Tを有している。なお、図示を省略するが、偏光板PLの吸収軸は、透過軸Tにほぼ直交している。透過軸Tは、X軸に対して90°の方位に位置している。なお、ここでの90°の方位とは90°-270°に亘る方位に相当する。
【0025】
第1配向膜AL1において、第1領域AR1の配向処理方向AD11、第2領域AR2の配向処理方向AD12、及び、第3領域AR3の配向処理方向AD13は、互いに平行である。配向処理方向AD11、AD12、AD13は、透過軸Tとほぼ平行である。つまり、配向処理方向AD11、AD12、AD13は、X軸に対して90°の方位に位置している。なお、配向処理方向AD11、AD12、AD13は、透過軸Tと直交していても良い。
【0026】
第2配向膜AL2において、第1領域AR1の配向処理方向AD21、第2領域AR2の配向処理方向AD22、及び、第3領域AR3の配向処理方向AD23は、互いに異なっている。配向処理方向AD21は、透過軸Tとほぼ平行である。つまり、配向処理方向AD21は、X軸に対して90°の方位に位置している。第2配向膜AL2において、第2領域AR2の配向処理方向AD22は、第1領域AR1の配向処理方向AD21に対して半時計周りに第1角度θ1で傾斜している。つまり、配向処理方向AD22は、X軸に対して90°+θ1の方位に位置している。第2配向膜AL2において、第3領域AR3の配向処理方向AD23は、第1領域AR1の配向処理方向AD21に対して時計回りに第2角度θ2で傾斜している。つまり、配向処理方向AD23は、X軸に対して90°-θ2の方位に位置している。
【0027】
また、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2で比較すると、第1領域AR1において、第1配向膜AL1の配向処理方向AD11と第2配向膜AL2の配向処理方向AD21は、ほぼ平行である。第2領域AR2において、第1配向膜AL1の配向処理方向AD12と第2配向膜AL2の配向処理方向AD22は、異なっている。配向処理方向AD22は、配向処理方向AD12に対して半時計周りに第1角度θ1で傾斜している。第3領域AR3において、第1配向膜AL1の配向処理方向AD13と第2配向膜AL2の配向処理方向AD23は、異なっている。配向処理方向AD23は、配向処理方向AD13に対して時計周りに第2角度θ2で傾斜している。例えば、第1角度θ1の大きさ及び第2角度θ2の大きさは、互いに等しい。
【0028】
第1領域AR1において、第1基板SUB1に近接する側の液晶分子LMAは、その長軸が配向処理方向AD11に沿うように配向している。あるいは、液晶分子LMA1は、透過軸Tに沿った方位に配向している。つまり、液晶分子LMA1は、X軸に対して90°の方位に配向している。第2基板SUB2に近接する側の液晶分子LMB1は、その長軸が配向処理方向AD21に沿うように配向している。あるいは、液晶分子LMB1は、透過軸Tに沿った方位に配向している。つまり、液晶分子LMB1は、X軸に対して90°の方位に配向している。
【0029】
第2領域AR2において、第1基板SUB1に近接する側の液晶分子LMA2は、その長軸が配向処理方向AD12に沿うように配向している。あるいは、液晶分子LMA2は、透過軸Tに沿った方位に配向している。つまり、液晶分子LMA2は、X軸に対して90°の方位に配向している。第2基板SUB2に近接する側の液晶分子LMB2は、その長軸が配向処理方向AD22に沿うように配向している。つまり、液晶分子LMB2は、X軸に対して90°+θ1の方位に配向している。第2領域AR2において、第3方向Zに沿って並んだ液晶分子LMは、反時計回りにツイスト配向している。
【0030】
第3領域AR3において、第1基板SUB1に近接する側の液晶分子LMA3は、その長軸が配向処理方向AD13に沿うように配向している。あるいは、液晶分子LMA3は、透過軸Tに沿った方位に配向している。つまり、液晶分子LMA3は、X軸に対して90°の方位に配向している。第2基板SUB2に近接する側の液晶分子LMB3は、その長軸が配向処理方向AD23に沿うように配向している。つまり、液晶分子LMB3は、X軸に対して90°-θ2の方位に配向している。第3領域AR3において、第3方向Zに沿って並んだ液晶分子LMは、時計回りにツイスト配向している。すなわち、第3領域AR3の液晶分子LMは、第2領域AR2の液晶分子LMとは異なる方向にツイスト配向している。
【0031】
第2配向膜AL2の配向処理方向AD2は、偏光板PLの透過軸Tに対して、-10度~10度である。第1配向膜AL1の配向処理方向AD1は透過軸Tと平行であるため、
配向処理方向AD2は、配向処理方向AD1に対して、-10度~10度ということもできる。例えば、第2配向膜AL2において配向処理方向AD22は、透過軸Tに対して最も反時計回りに傾斜した配向処理方向であるとする。つまり、90°+θ1が最大傾斜角であるとする。その場合、第1角度θ1は、10°以下である。また、例えば、第2配向膜AL2において配向処理方向AD23は、透過軸Tに対して最も時計回りに傾斜した配向処理方向であるとする。つまり、90°-θ2が最小傾斜角であるとする。その場合、第2角度θ2は、10°以下である。つまり、最大傾斜角90°+θ1と最小傾斜角90°-θ2との間の差θ1+θ2は20度以下である。
【0032】
図5は、偏光軸回転素子100を用いた表示装置DSPの一構成例を示す図である。
表示パネルPNLから出射された表示光Lは、スクリーンSCRで反射されて観察者200に到達する。例えば、スクリーンSCRが湾曲している場合、スクリーンSCRで表示光Lが反射された際に、直線偏光の偏光軸が回転する場合がある。その他にも、表示パネルPNLから出射された表示光Lが観察者200に到達するまでに直線偏光の偏光軸が回転する場合がある。これにより、観察者200が偏光サングラスを装着した状態で表示画像を観察すると、視認される輝度の低下を生じたり、表示位置による明るさの違いを生じたりする恐れがある。ここで、偏光サングラスの吸収軸と平行な偏光成分をS波成分とし、偏光サングラスの透過軸TAと平行な偏光成分をP波成分とする。
【0033】
本実施形態によれば、直線偏光を回転させる偏光軸回転素子100が表示パネルPNLと観察者200との間に位置している。そのため、偏光板PLを透過した偏光成分の偏光軸は、偏光軸回転素子100によって、所望の方向に回転される。つまり、偏光板PLを透過した直線偏光が、スクリーンSCRでの反射などによって回転されるのを考慮し、偏光軸回転素子100によって予め回転させておくことで、観察者200の眼に到達する前に表示光LをP波成分の直線偏光に戻すことができる。そのため、観察者200が光のS波成分をカットする偏光サングラスをかけている場合にも、偏光サングラスの透過軸TAと平行なP波成分の光は、観察者200に到達するため、観察者200に到達する光の輝度の低下を抑えることができ、表示画像を良好に視認させることができる。また、観察者200が偏光サングラスかけている場合にも、スクリーンSCRの表示位置によらず明るさを均一に視認させることが出来る。
【0034】
図6は、偏光軸回転素子100に入射する直線偏光LINの偏光軸、及び、偏光軸回転素子100を透過した直線偏光LOUTの偏光軸を示す図である。
偏光軸回転素子100に入射する直線偏光LINの偏光軸は、第2方向Yと平行である。第1配向膜AL1の配向処理方向AD1は、直線偏光LINの偏光軸と平行である。
【0035】
偏光軸回転素子100を透過した直線偏光LOUTの偏光軸は、第2配向膜AL2の配向処理方向AD2と等しくなる。第1領域AR1を透過した第1偏光成分の第1偏光軸PA1の方位、第2領域AR2を透過した第2偏光成分の第2偏光軸PA2の方位、第3領域AR3を透過した第3偏光成分の第3偏光軸PA3の方位は、互いに異なっている。第1偏光軸PA1は、配向処理方向AD21と平行である。第1偏光軸PA1は、X軸に対して90°の方位に位置している。第2偏光軸PA2は、配向処理方向AD22と平行である。第2偏光軸PA2は、X軸に対して90°+θ1の方位に位置している。第3偏光軸PA3は、配向処理方向AD23と平行である。第3偏光軸PA3は、X軸に対して90°-θ2の方位に位置している。このように、第1実施形態によれば、直線偏光LOUTの偏光軸の方位を分布させることができる。
【0036】
なお、偏光軸回転素子100は、光学フィルムであっても良い。このような光学フィルムは、所定の配向状態の液晶ポリマなどで作成可能である。また、偏光軸回転素子100は、液晶層LCに電圧を印加するように制御される電極を備えていてもよい。
【0037】
[第2実施形態]
図7は、図1に示した偏光軸回転素子100の他の構成例を示す断面図である。図7に示す構成は、図2に示した構成と比較して液晶層LCにおける液晶分子LMの配向状態が異なっている。
第1領域AR1において第3方向Zに沿って並んだ液晶分子LMは、長軸が同一方向に向いている。第2領域AR2において第3方向Zに沿って並んだ液晶分子LMは、長軸が同一方向に向いている。第3領域AR3において第3方向Zに沿って並んだ液晶分子LMは、長軸が同一方向に向いている。第2実施形態の偏光軸回転素子100は、透過する偏光成分に1/2波長の位相差を付与するように構成されている。このとき、液晶分子LMの複屈折率Δn、液晶層LCの厚さd、偏光軸回転素子100に入射する光の波長λとすると、Δn・d=λ/2の関係を満たしている。
【0038】
図8は、図7に示した偏光軸回転素子100の第1配向膜AL1の配向処理方向AD1、及び、第2配向膜AL2の配向処理方向AD2を示す図である。
配向処理方向AD1は、配向処理方向AD2と平行である。配向処理方向AD1は、位置によって異なっている。同様に、配向処理方向AD2は、位置によって異なっている。例えば、図示した例では、配向処理方向AD1は、第1領域AR1より左側に行くに連れて半時計周りに段々と傾いていき、第1領域AR1より右側に行くに連れて時計周りに段々と傾いていく。同様に、配向処理方向AD2は、第1領域AR1より左側に行くに連れて半時計周りに段々と傾いていき、第1領域AR1より右側に行くに連れて時計周りに段々と傾いていく。
【0039】
図9は、偏光板PLと偏光軸回転素子100との関係を説明するための図である。
第1配向膜AL1において、第1領域AR1の配向処理方向AD11、第2領域AR2の配向処理方向AD12、及び、第3領域AR3の配向処理方向AD13は、互いに異なっている。配向処理方向AD11は、透過軸Tとほぼ平行である。つまり、配向処理方向AD11は、X軸に対して90°の方位に位置している。第1配向膜AL1において、第2領域AR2の配向処理方向AD12は、第1領域AR1の配向処理方向AD11に対して半時計周りに第3角度θ3で傾斜している。つまり、配向処理方向AD12は、X軸に対して90°+θ3の方位に位置している。第1配向膜AL1において、第3領域AR3の配向処理方向AD13は、第1領域AR1の配向処理方向AD11に対して時計回りに第4角度θ4で傾斜している。つまり、配向処理方向AD13は、X軸に対して90°-θ4の方位に位置している。
【0040】
第2配向膜AL2において、第1領域AR1の配向処理方向AD21、第2領域AR2の配向処理方向AD22、及び、第3領域AR3の配向処理方向AD23は、互いに異なっている。配向処理方向AD21は、透過軸Tとほぼ平行である。つまり、配向処理方向AD21は、X軸に対して90°の方位に位置している。第2配向膜AL2において、第2領域AR2の配向処理方向AD22は、第1領域AR1の配向処理方向AD21に対して半時計周りに第3角度θ3で傾斜している。つまり、配向処理方向AD22は、X軸に対して90°+θ3の方位に位置している。第2配向膜AL2において、第3領域AR3の配向処理方向AD23は、第1領域AR1の配向処理方向AD21に対して時計回りに第4角度θ4で傾斜している。つまり、配向処理方向AD23は、X軸に対して90°-θ4の方位に位置している。例えば、第3角度θ3の大きさ及び第4角度θ4の大きさは、互いに等しい。
【0041】
第1領域AR1において、第1配向膜AL1の配向処理方向AD11と第2配向膜AL2の配向処理方向AD21は、ほぼ平行である。第2領域AR2において、第1配向膜AL1の配向処理方向AD12と第2配向膜AL2の配向処理方向AD22は、ほぼ平行である。第3領域AR3において、第1配向膜AL1の配向処理方向AD13と第2配向膜AL2の配向処理方向AD23は、ほぼ平行である。
【0042】
第1領域AR1において、第1基板SUB1に近接する側の液晶分子LMA1は、その長軸が配向処理方向AD11に沿うように配向している。あるいは、液晶分子LMA1は、透過軸Tに沿った方位に配向している。つまり、液晶分子LMA1は、X軸に対して90°の方位に配向している。第2基板SUB2に近接する側の液晶分子LMB1は、その長軸が配向処理方向AD21に沿うように配向している。つまり、液晶分子LMB1は、X軸に対して90°の方位に配向している。第1領域AR1において、第3方向Zに沿って並んだ液晶分子LMは、長軸が配向処理方向AD11及びAD21に平行になるように並んでいる。
【0043】
第2領域AR2において、第1基板SUB1に近接する側の液晶分子LMA2は、その長軸が配向処理方向AD12に沿うように配向している。つまり、液晶分子LMA2は、X軸に対して90°+θ3の方位に配向している。第2基板SUB2に近接する側の液晶分子LMB2は、その長軸が配向処理方向AD22に沿うように配向している。つまり、液晶分子LMB2は、X軸に対して90°+θ3の方位に配向している。第2領域AR2において、第3方向Zに沿って並んだ液晶分子LMは、長軸が配向処理方向AD12及びAD22に平行になるように並んでいる。
【0044】
第3領域AR3において、第1基板SUB1に近接する側の液晶分子LMA3は、その長軸が配向処理方向AD13に沿うように配向している。つまり、液晶分子LMA3は、X軸に対して90°-θ4の方位に配向している。第2基板SUB2に近接する側の液晶分子LMB3は、その長軸が配向処理方向AD23に沿うように配向している。つまり、液晶分子LMB3は、X軸に対して90°-θ4の方位に配向している。第3領域AR3において、第3方向Zに沿って並んだ液晶分子LMは、長軸が配向処理方向AD13及びAD23に平行になるように並んでいる。
【0045】
第1配向膜AL1の配向処理方向AD1は、偏光板PLの透過軸Tに対して、-5度~5度である。例えば、第1配向膜AL1において配向処理方向AD12は、透過軸Tに対して最も反時計回りに傾斜した配向処理方向であるとする。つまり、90°+θ3が最大傾斜角であるとする。その場合、第3角度θ3は、5°以下である。また、例えば、第1配向膜AL1において配向処理方向AD13は、透過軸Tに対して最も時計回りに傾斜した配向処理方向であるとする。つまり、90°-θ4が最小傾斜角であるとする。その場合、第4角度θ4は、5°以下である。つまり、最大傾斜角90°+θ3と最小傾斜角90°-θ4との間の差θ3+θ4は10度以下である。配向処理方向AD1及びAD2は、互いに平行であるため、第2配向膜AL2についても同様である。つまり、第2配向膜AL2の配向処理方向AD2は、偏光板PLの透過軸Tに対して、-5度~5度である。
【0046】
図10は、偏光軸回転素子100に入射する直線偏光LINの偏光軸、及び、偏光軸回転素子100を透過した直線偏光LOUTの偏光軸を示す図である。
偏光軸回転素子100に入射する直線偏光LINの偏光軸は、第2方向Yと平行である。第1領域AR1を透過した第1偏光成分の第1偏光軸PA1の方位、第2領域AR2を透過した第2偏光成分の第2偏光軸PA2の方位、第3領域AR3を透過した第3偏光成分の第3偏光軸PA3の方位は、互いに異なっている。第1偏光軸PA1は、配向処理方向AD21と平行である。第1偏光軸PA1は、X軸に対して90°の方位に位置している。
【0047】
第2偏光軸PA2は、配向処理方向AD22に対して半時計周りに第3角度θ3で傾斜している。つまり、第2偏光軸PA2は、X軸に対して90°+2・θ3の方位に位置している。換言すると、第2領域AR2において、配向処理方向AD22は、第2偏光軸PA2の方位と第1偏光軸PA1の方位との中間の方位に位置している。
【0048】
第3偏光軸PA3は、配向処理方向AD23に対して時計周りに第4角度θ4で傾斜している。つまり、第3偏光軸PA3は、X軸に対して90°-2・θ4の方位に位置している。換言すると、第3領域AR3において、配向処理方向AD23は、第3偏光軸PA3の方位と第1偏光軸PA1の方位との中間の方位に位置している。このように、第2実施形態によれば、直線偏光LOUTの偏光軸の方位を分布させることができる。
【0049】
偏光軸回転素子100の進相軸F(配向処理方向AD1及びAD2)は、X-Y平面において、直線偏光LINの方位と直線偏光LOUTの方位との中間の方位に位置している。第2実施形態の偏光軸回転素子100は、上記の通り、1/2波長板に相当するため、入射光の偏光軸が進相軸に対してθ°の方位に位置している場合、偏光軸を2*θ°回転させる機能を有している。
【0050】
なお、例えば、進相軸Fの方位が上記の偏光軸回転素子100と一致するように1/2波長板を短冊状に並べることで、第2実施形態に示した偏光軸回転素子100と同様の機能を有する偏光軸回転素子を得ることができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、観察者が偏光サングラスをかけている場合でも、表示画像を良好に視認することができる表示装置及び偏光軸回転素子を得ることができる。
【0052】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
DSP…表示装置、PNL…表示パネル、200…観察者、100…偏光軸回転素子、
PL…偏光板、AR1…第1領域、AR2…第2領域、AR3…第3領域、
PA1…第1偏光軸、PA2…第2偏光軸、PA3…第3偏光軸、
SUB1…第1基板、SUB2…第2基板、LC…液晶層、
10…第1絶縁基材、20…第2絶縁基材、AL1…第1配向膜、AL2…第2配向膜、
AD…配向処理方向、T…透過軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10