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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】作業工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/02 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
B25F5/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020120254
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2021091080
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2019215843
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100187436
【弁理士】
【氏名又は名称】寺脇 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100155136
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100125955
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 有三子
(74)【代理人】
【識別番号】100167243
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 充
(72)【発明者】
【氏名】青木 陽之介
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-039180(JP,A)
【文献】特開2016-144862(JP,A)
【文献】特開2017-144539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F1/00-5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端工具を揺動駆動して被加工材に対して加工作業を行う作業工具であって、
前記作業工具の上下方向を規定する第1の軸周りに回転可能に支持され、下端部に取り外し可能に装着された前記先端工具を、揺動面上で揺動駆動するように構成されたスピンドルと、
前記第1の軸に平行な第2の軸周りに回転可能な出力シャフトを有するモータと、
前記スピンドルに連結され、前記出力シャフトの回転に伴って前記第1の軸を中心として揺動することで、前記スピンドルを前記第1の軸周りに往復回動させるように構成された揺動部材と、
前記スピンドルと、前記モータと、前記揺動部材とを収容するインナハウジングと、
前記第1の軸および前記第2の軸に直交し、前記作業工具の前後方向を規定する長軸を有する長尺状の中空体であって、前記インナハウジングを収容するアウタハウジングと、
前記インナハウジングと前記アウタハウジングとの間に介在する少なくとも1つの第1弾性部材と
前記スピンドルと同軸状に配置され、前記スピンドルの前記下端部と共に前記先端工具をクランプするように構成されたクランプシャフトと、
前記先端工具のクランプを解除するための操作部材であって、前記アウタハウジングに回動可能に支持された支持シャフトを有する操作部材と、
前記インナハウジングと前記支持シャフトとの間に介在する少なくとも1つの第2弾性部材とを備え、
前記少なくとも1つの第1弾性部材は、前記上下方向において、前記揺動部材の上端と前記揺動面の間に配置され、前記前後方向において、前記第1の軸と前記第2の軸の間に配置されており、
前記少なくとも1つの第2弾性部材は、円筒状に形成されて前記支持シャフトに外装され、前記インナハウジングに係合した状態で保持されていることを特徴とする作業工具。
【請求項2】
請求項1に記載の作業工具であって、
前記アウタハウジングは、前記上下方向に互いに連結された上側シェルと下側シェルとで形成されており、
前記支持シャフトの両端部は、前記上側シェルと前記下側シェルとに上下から挟み込まれた状態で、前記アウタハウジングに支持されていることを特徴とする作業工具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の作業工具であって、
前記少なくとも1つの第1弾性部材は、前記インナハウジングの下側に配置されていることを特徴とする作業工具。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1つに記載の作業工具であって、
前記少なくとも1つの第1弾性部材は、外周面と内周面とを有する筒状に形成されており、
前記インナハウジングおよび前記アウタハウジングの一方が前記外周面に当接し、前記インナハウジングおよび前記アウタハウジングの他方が前記内周面に当接していることを特徴とする作業工具。
【請求項5】
請求項1~の何れか1つに記載の作業工具であって、
前記少なくとも1つの第1弾性部材は、前記上下方向および前記前後方向に直交する左右方向に並設された複数の第1弾性部材を含むことを特徴とする作業工具。
【請求項6】
請求項1~の何れか1つに記載の作業工具であって、
前記少なくとも1つの第1弾性部材は、前記上下方向、前記前後方向、ならびに、前記上下方向および前記前後方向に直交する左右方向における前記インナハウジングと前記アウタハウジングとの相対移動を許容するように構成されていることを特徴とする作業工具。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1つに記載の作業工具であって、
前記少なくとも1つの第2弾性部材は、前記上下方向および前記前後方向に直交する左右方向において、前記第1の軸の左側および右側に夫々配置された複数の第2弾性部材を含み、
前記複数の第2弾性部材の各々は、円筒状に形成されて前記支持シャフトに外装されていることを特徴とする作業工具。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1つに記載の作業工具であって、
前記少なくとも1つの第2弾性部材は、前記上下方向、前記前後方向、ならびに、前記上下方向および前記前後方向に直交する左右方向における前記インナハウジングと前記支持シャフトとの相対移動を許容するように構成されていることを特徴とする作業工具。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1つの何れか1つに記載の作業工具であって、
前記操作部材は、前記支持シャフトの軸方向の両端部に夫々連結された一対のアームを有し、
前記一対のアームは、夫々、前記支持シャフトの前記両端部に直接嵌合された係合部を有することを特徴とする作業工具。
【請求項10】
請求項9に記載の作業工具であって、
前記一対のアームは、互いに連結されて単一の部材を構成し、且つ、弾性変形によって互いの間隔を変更可能に構成されており、
前記一対のアームの夫々の前記係合部が前記アウタハウジングに係合することで、前記一対のアームの弾性変形が規制されていることを特徴とする作業工具。
【請求項11】
請求項10に記載の作業工具であって、
前記係合部は、前記アウタハウジングの内側で、前記支持シャフトの径方向外側に配置された当接部であって、前記アウタハウジングに当接する第1当接面と、前記少なくとも1つの第2弾性部材に当接する第2当接面とを有する当接部を含み、
前記第1当接面と前記第2当接面とは、前記支持シャフトの軸方向に対向する位置に設けられていることを特徴とする作業工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端工具を揺動駆動して被加工材に対して加工作業を行う作業工具に関する。
【背景技術】
【0002】
モータの出力をスピンドルに伝達し、スピンドルの下端に装着された先端工具を揺動駆動することで、被加工材に加工作業を行う作業工具(いわゆる振動工具)が知られている。このような作業工具では、先端工具の揺動駆動に伴い、振動が発生する。そこで、例えば、特許文献1は、防振のために、モータおよび駆動機構を収容するインナハウジングと、使用者によって把持されるアウタハウジングと、インナハウジングとアウタハウジングの間に介在配置された弾性部材とを備えた作業工具を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016―144862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記作業工具によれば、インナハウジングからアウタハウジングへの振動伝達を抑制することができる。一方で、弾性部材の配置に関しては、更なる合理化の余地がある。
【0005】
本発明は、インナハウジングとアウタハウジングとを備えた作業工具における弾性部材の合理的な配置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、先端工具を揺動駆動して被加工材に対して加工作業を行う作業工具が提供される。この作業工具は、スピンドルと、モータと、揺動部材と、インナハウジングと、アウタハウジングと、少なくとも1つの弾性部材とを備える。
【0007】
スピンドルは、第1の軸周りに回転可能に支持されている。第1の軸は、作業工具の上下方向を規定する。スピンドルは、下端部に取り外し可能に装着された先端工具を、揺動面上で揺動駆動するように構成されている。モータは、第1の軸に平行な第2の軸周りに回転可能な出力シャフトを有する。揺動部材は、スピンドルに連結され、出力シャフトの回転に伴って第1の軸を中心として揺動することで、スピンドルを第1の軸周りに往復回動させるように構成されている。インナハウジングは、スピンドルと、モータと、揺動部材とを収容する。アウタハウジングは、第1の軸および第2の軸に直交する長軸を有する長尺状の中空体である。アウタハウジングの長軸は、作業工具の前後方向を規定する。アウタハウジングは、インナハウジングを収容する。少なくとも1つの第1弾性部材は、インナハウジングとアウタハウジングとの間に介在する。少なくとも1つの第1弾性部材は、上下方向において、揺動部材の上端と揺動面の間に配置され、前後方向において、第1の軸と第2の軸の間に配置されている。
【0008】
本態様の作業工具では、モータの出力シャフトおよびスピンドルには、回転駆動に伴って振動が生じる。これに対し、インナハウジングとアウタハウジングとの間に介在する少なくとも1つの弾性部材が、前後方向において、スピンドルの第1の軸および出力シャフトの第2の軸の間に配置されることで、アウタハウジングへの振動伝達を効果的に抑制することができる。また、少なくとも1つの弾性部材は、上下方向において揺動部材の上端と揺動面の間に配置されており、揺動面に比較的近い位置にある。このため、先端工具の揺動駆動時に、アウタハウジング内でインナハウジングがふらつくのを抑制することができる。このように、本態様によれば、少なくとも1つの弾性部材の合理的な配置が実現される。
【0009】
本発明の一態様において、少なくとも1つの第1弾性部材は、インナハウジングの下側に配置されていてもよい。本態様によれば、揺動面により近い位置に少なくとも1つの弾性部材を配置することができる。
【0010】
本発明の一態様において、少なくとも1つの第1弾性部材は、外周面と内周面とを有する筒状に形成されていてもよい。そして、インナハウジングおよびアウタハウジングの一方が外周面に当接し、インナハウジングおよびアウタハウジングの他方が内周面に当接していてもよい。本態様によれば、簡易な構成の第1弾性部材によって、インナハウジングとアウタハウジングとを多方向に相対移動可能に弾性連結することができる。
【0011】
本発明の一態様において、少なくとも1つの第1弾性部材は、上下方向および前後方向に直交する左右方向に並設された複数の第1弾性部材を含んでもよい。本態様によれば、1つの第1弾性部材が設けられる場合に比べて耐久性の高い弾性連結構造が実現される。
【0012】
本発明の一態様において、少なくとも1つの第1弾性部材は、上下方向、前後方向、ならびに、上下方向および前後方向に直交する左右方向におけるインナハウジングとアウタハウジングとの相対移動を許容するように構成されていてもよい。本態様によれば、3方向の振動に対応可能な振動工具が実現される。
【0013】
本発明の一態様において、作業工具は、クランプシャフトと、操作部材と、少なくとも1つの第2弾性部材とを更に備えてもよい。クランプシャフトは、スピンドルと同軸状に配置され、スピンドルの下端部と共に先端工具をクランプするように構成されてもよい。操作部材は、先端工具のクランプを解除するための操作部材であって、アウタハウジングに回動可能に支持された支持シャフトを有してもよい。少なくとも1つの第2弾性部材は、インナハウジングと支持シャフトとの間に介在してもよい。そして、少なくとも1つの第2弾性部材は、支持シャフトの周りに配置されていてもよい。本態様によれば、少なくとも1つの第1弾性部材に加え、少なくとも1つの第2弾性部材によっても、アウタハウジングへの振動伝達を効果的に抑制することができる。
【0014】
本発明の一態様において、少なくとも1つの第2弾性部材は、上下方向および前後方向に直交する左右方向において、第1の軸の左側および右側に夫々配置された複数の第2弾性部材を含んでもよい。そして、複数の第2弾性部材の各々は、円筒状に形成されて支持シャフトに外装されていてもよい。本態様によれば、組み付けが容易な構成で、支持シャフトをバランスよく保持することができる。
【0015】
本発明の一態様において、少なくとも1つの第2弾性部材は、上下方向、前後方向、ならびに、上下方向および前後方向に直交する左右方向におけるインナハウジングと支持シャフトとの相対移動を許容するように構成されていてもよい。本態様によれば、防振性能を更に高めることができる。
【0016】
本発明の一態様において、操作部材は、支持シャフトの軸方向の両端部に夫々連結された一対のアームを有してもよい。そして、一対のアームは、夫々、支持シャフトの両端部に直接嵌合された係合部を有してもよい。本態様によれば、部品数を抑えつつ、容易に組み立てが可能な操作部材を実現することができる。
【0017】
本発明の一態様において、一対のアームは、互いに連結されて単一の部材を構成し、且つ、弾性変形によって互いの間隔を変更可能に構成されていてもよい。そして、一対のアームの夫々の係合部がアウタハウジングに係合することで、一対のアームの弾性変形が規制されていてもよい。本態様によれば、組み立て作業者は、一対のアームを互いから離れる方向に弾性変形させることで、係合部を容易に支持シャフトの両端部に係合させることができる。また、係合部とアウタハウジングとの係合により、一対のアームが支持シャフトが外れるのを効果的に防止することができる。
【0018】
本発明の一態様において、係合部は、アウタハウジングの内側で、支持シャフトの径方向外側に配置された当接部を含んでもよい。当接部は、アウタハウジングに当接する第1当接面と、少なくとも1つの第2弾性部材に当接する第2当接面とを有してもよい。第1当接面と第2当接面とは、支持シャフトの軸方向において互いに対向する位置に設けられてもよい。本態様によれば、当接部を介して、アウタハウジングと少なくとも1つの第2弾性部材とを効率よく連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】レバーが前方位置に配置された状態の振動工具の斜視図である。
図2】振動工具の断面図である。
図3図2のIII―III線における断面図である(但し、先端工具は図示略)。
図4】インナハウジングの上方からの斜視図である。
図5】インナハウジングの下方からの斜視図である。
図6図2の部分拡大図である。
図7図6の部分拡大図である。
図8図7のVIII-VIII線における断面図である。
図9】レバーが上方位置に配置されたときの図7に対応する断面図である。
図10】レバーが上方位置に配置されたときの図8に対応する断面図である。
図11】下側シェルが取り外された状態の振動工具の底面図である。
図12図6のXII-XII線における断面図である。
図13】上側シェルが取り外された状態の振動工具の斜視図である。
図14】上側シェルが取り外された状態の振動工具の平面図である。
図15】変形例のレバーおよび回動シャフトの分解斜視図である。
図16図8に対応する断面図であって、変形例のレバーおよび回動シャフトの配置を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、実施形態に係る振動工具1について説明する。なお、振動工具1は、先端工具91を揺動駆動して、被加工材(図示せず)に対して加工作業を行う電動式の作業工具の一例である。
【0021】
まず、振動工具1の概略構成について説明する。図1および図2に示すように、振動工具1は、長尺状のハウジング(工具本体ともいう)10を備えている。ハウジング10の長軸方向における一端部には、長尺状のスピンドル5と、駆動源としてのモータ41とが収容されている。スピンドル5は、その長軸がハウジング10の長軸に交差するように(詳細には、概ね直交するように)配置されている。スピンドル5の軸方向における一端部は、ハウジング10から突出し、外部へ露出している。この一端部は、先端工具91を着脱可能な工具装着部51を構成する。また、ハウジング10の長軸方向における他端部には、モータ41への給電用のバッテリ93を着脱可能である。振動工具1は、モータ41の動力によってスピンドル5を駆動軸A1周りに所定の角度範囲内で往復回動することで、先端工具91を揺動面P上で揺動させるように構成されている。
【0022】
なお、以下の説明では、便宜上、振動工具1の方向に関し、駆動軸A1の延在方向を上下方向と定義する。上下方向において、スピンドル5の工具装着部51側を下側、反対側を上側と定義する。また、駆動軸A1に直交し、且つ、ハウジング10の長軸方向に対応する方向を前後方向と定義する。前後方向において、スピンドル5が収容されているハウジング10の一端部側を前側、バッテリ93が装着される他端部側を後側と定義する。また、上下方向および前後方向に直交する方向を、左右方向と定義する。
【0023】
以下、振動工具1の詳細構成について説明する。
【0024】
まず、ハウジング10について説明する。図1図3に示すように、本実施形態のハウジング10は、いわゆる防振ハウジングとして構成されており、振動工具1の外郭を形成する長尺状のアウタハウジング2と、アウタハウジング2に収容された長尺状のインナハウジング3とを含む。
【0025】
本実施形態では、アウタハウジング2は、互いに別体として形成された上側シェル27と、下側シェル28と、スイッチホルダ20とが連結されることで形成されている。上側シェル27、下側シェル28およびスイッチホルダ20は、各々、合成樹脂で一体成形された部材である。詳細な図示は省略するが、アウタハウジング2は、スイッチホルダ20が間に配置された状態で上側シェル27と下側シェル28とが上下方向に重ねられ、複数個所においてこれらがネジで連結されることで、形成されている。
【0026】
また、前後方向に関して、アウタハウジング2は、前端部21と、後端部23と、前端部21と後端部23を接続する中央部22とを含む。
【0027】
前端部21は、概ね矩形箱状に形成されており、内部には、インナハウジング3の前端部30が配置されている。前端部21の上前端部には、レバー77が回動可能に支持されている。レバー77は、後述のロック機構7(図7参照)による先端工具91の固定(ロック)とその解除のための操作部材である。また、前端部21の上壁部には、開口が設けられており、この開口を介して、スライド式の操作部294が外部操作可能に露出している。操作部294は、モータ41の起動用のスイッチ29をオン状態とオフ状態との間で切り替えるための操作部材である。
【0028】
後端部23は、後方へ向けて広がる(断面積が大きくなる)筒状に形成されている。後端部23の内部には、インナハウジング3の弾性連結部37および後端部38が配置されている。
【0029】
中央部22は、筒状に形成されており、直線状に前後方向に延在する。中央部22は、使用者による把持が可能な把持部を構成する。このため、中央部22は、使用者が把持しやすいように、前端部21および後端部23よりも細く形成されている。
【0030】
図2図6に示すように、本実施形態では、インナハウジング3は、互いに別体として形成された金属ハウジング301と樹脂ハウジング302とが連結されることで形成されている。なお、金属ハウジング301は金属製の単一部材であるのに対し、樹脂ハウジング302は、合成樹脂製の左側シェル303と右側シェル304とが連結されることで形成されている。インナハウジング3は、金属ハウジング301の後端部(後述の連結部321)が左側シェル303と右側シェル304に左右方向から挟まれた状態で、複数箇所において、これらがネジで連結されることで形成されている。
【0031】
また、前後方向に関しては、インナハウジング3は、前端部30と、延在部36と、弾性連結部37と、後端部38とを含む。
【0032】
前端部30は、スピンドル5と、モータ41と、伝達機構45とを収容する部分である。前端部30は、第1収容部31と、第2収容部32と、連結部321と、第3収容部33と、カバー部35とを含む。なお、金属ハウジング301は、前端部30のうち、カバー部35以外の部分(つまり、第1収容部31と、第2収容部32と、連結部321と、第3収容部33)によって構成される。樹脂ハウジング302は、カバー部35と、後述する延在部36、弾性連結部37、および後端部38とによって構成される。
【0033】
第1収容部31は、スピンドル5を収容する部分であって、上下方向に延在する円筒状に形成されている。第1収容部31の上端の開口は、第1収容部31にピンで固定されたカバー311によって覆われている。第2収容部32は、モータ41を収容する部分であって、第1収容部31よりも大径の円筒状に形成されている。第2収容部32は、第1収容部31の後側に配置されている。また、第2収容部32は、第1収容部31よりも上下方向に短く、第2収容部32の下端は、第1収容部31の下端よりも上方にある。連結部321は、第2収容部32の後端に接続し、後方に突出する板状部である。連結部321は、左側シェル303と右側シェル304の間に配置され、ネジで固定される部分である。第3収容部33は、伝達機構45を収容する部分であって、第1収容部31の後側、且つ、第2収容部32の下側に配置されている。第3収容部33は、第1収容部31および第2収容部32と連通している。カバー部35は、第2収容部32の上端の開口を覆う部分である。
【0034】
延在部36は、前端部30の後端部(詳細には、第2収容部32)に連結され、後方に延在する筒状の部分である。延在部36の前後方向の長さは、中央部(把持部)22の前後方向の長さと同程度に設定されており、延在部36の概ね全体が中央部22に収容されている。延在部36の後端は開放端である。つまり、延在部36の後端は、開口を規定する。
【0035】
弾性連結部37は、延在部36の後端から後方に延在し、延在部36と後端部38とを相対移動可能に連結する部分である。弾性連結部37は、延在部36と後端部38とを前後方向に連結する複数の弾性リブ371を含む。本実施形態では、4本の弾性リブ371が、前後方向に延在するインナハウジング3の長軸周りに、互いに離間して配置されている。弾性リブ371は、インナハウジング3の他の部分に比べ、弾性変形しやすい形状に形成され、且つ、弾性係数の低い材料で形成されている。これにより、加工作業時に前端部30で発生する振動が、後端部38へ伝達されることを抑制している。
【0036】
後端部38は、概ね矩形箱状に形成されている。なお、上述のように、後端部38は、アウタハウジング2の後端部23の内部に配置されるが、後端部23と、後端部38の外周面との間には、隙間が形成されている。
【0037】
以上のように構成されたアウタハウジング2とインナハウジング3とは、相対移動可能に弾性連結されている。アウタハウジング2とインナハウジング3の弾性連結構造については、後で詳述する。
【0038】
以下、インナハウジング3の内部構造について、前端部30、後端部38、弾性連結部37、延在部36の順に説明する。
【0039】
まず、前端部30の内部構造について説明する。図6に示すように、前端部30には、スピンドル5と、モータ41と、伝達機構45と、クランプ機構60と、押下げ機構67とが収容されている。
【0040】
まず、スピンドル5について説明する。図7に示すように、スピンドル5は、略円筒状の長尺部材である。本実施形態では、スピンドル5は、第1収容部31の下部に保持された2つの軸受501、502によって、駆動軸A1周りに回転可能に支持されている。上述のように、スピンドル5の下端部は、先端工具91を着脱可能な工具装着部51として構成されている。
【0041】
本実施形態では、工具装着部51は、駆動軸A1に対して径方向外側に突出するフランジ状に構成されており、駆動軸A1に交差する方向に傾斜した傾斜面513を有する。より詳細には、工具装着部51の下端部には、上方に凹む凹部511が形成されている。傾斜面513は、凹部511を規定する面の一部であって、下方に向かうにつれて駆動軸A1から離れる方向(径方向外側)に傾斜する傾斜面として構成されている。一方で、本実施形態の振動工具1に装着可能な先端工具91(ブレード、スクレーパ、研削パッド、研磨パッド等)は何れも、凹部511に嵌合可能な凸部911を有する。そして、凸部911を規定する上面の一部は、傾斜面513に整合する傾斜面913として構成されている。本実施形態では、先端工具91は、傾斜面913が傾斜面513に当接した状態で、工具装着部51と、後述のクランプシャフト61のクランプヘッド615とによってクランプされ、スピンドル5に対して固定される。スピンドル5に対する先端工具91の固定については後で詳述する。なお、凹部511の中央部には、円形の断面を有し、凹部511から更に上方へ凹む凹部515が設けられている。
【0042】
モータ41について説明する。図6に示すように、モータ41は、ブラシレス直流モータであって、ステータと、ステータ内に配置されたロータと、ロータと一体的に回転する出力シャフト415とを備える。モータ41は、出力シャフト415の回転軸A2が駆動軸A1と平行に(つまり上下方向に)延在するように、第2収容部32に収容されている。出力シャフト415は、ロータから下方に突出している。
【0043】
伝達機構45について説明する。伝達機構45は、出力シャフト415の回転運動をスピンドル5に伝達し、スピンドル5を駆動軸A1周りの所定の角度範囲内で往復回動させるように構成されている。図6に示すように、伝達機構45は、偏心部454を有する偏心シャフト451と、駆動軸受456と、揺動アーム458とを備える。
【0044】
偏心シャフト451は、モータ41の出力シャフト415に同軸状に連結されたシャフトである。偏心シャフト451は、出力シャフト415の外周に固定されており、第3収容部33の下端部まで延在している。偏心シャフト451は、第2収容部32の下端部および第3収容部33の下端部に夫々保持された2つの軸受452、453によって、回転可能に支持されている。偏心シャフト451は、回転軸A2に対して偏心した偏心部454を有する。偏心部454には、駆動軸受456の内輪が取り付けられている。揺動アーム458は、駆動軸受456とスピンドル5とを接続する部材である。揺動アーム458は、第1収容部31および第3収容部33に亘って延在している。周知の構成であるため、詳細な図示は省略するが、揺動アーム458の一端部は、環状に形成されており、軸受501、502の間でスピンドル5の外周に固定されている。揺動アーム458の他端部は、二股状に形成されており、左右から駆動軸受456の外輪の外周面に当接するように配置されている。
【0045】
モータ41が駆動されると、出力シャフト415と一体的に偏心シャフト451が回転する。偏心シャフト451の回転に伴い、偏心部454の中心が回転軸A2周りを移動するため、駆動軸受456も回転軸A2周りを移動する。これにより、揺動アーム458は、スピンドル5の駆動軸A1を中心として所定の角度範囲内で揺動される。スピンドル5は、揺動アーム458の揺動運動に伴って、駆動軸A1周りに所定の角度範囲内で往復回動する。その結果、スピンドル5に固定された先端工具91が揺動面P上で駆動軸A1周りに揺動駆動され、加工作業が遂行可能となる。
【0046】
また、偏心シャフト451の上端部には、ファン43が固定されている。本実施形態のファン43は、遠心ファンであって、モータ41の駆動に伴って回転軸A2周りに回転し、上側から回転軸A2方向に空気を吸い込み、径方向外側に送出するように構成されている。これにより、ハウジング10内に、モータ41を冷却するための空気の流れが生成される。なお、ハウジング10内の空気の流路については、後で詳述する。
【0047】
以下、クランプ機構60について説明する。クランプ機構60は、先端工具91を、スピンドル5と一体的に回転可能に工具装着部51に固定するように構成された機構である。図7および図8に示すように、本実施形態では、クランプ機構60は、クランプシャフト61と、クランプバネ65と、ロック機構7とを備えている。
【0048】
クランプシャフト61は、略円柱状の長尺部材であって、スピンドル5と同軸状に、スピンドル5に取り外し可能に挿通されている。クランプシャフト61は、駆動軸A1に沿って延在する丸棒状のシャフト部611と、シャフト部611の下端部に接続するフランジ状のクランプヘッド615とを有する。また、シャフト部611の上端部には、溝部612が設けられている。溝部612は、クランプシャフト61の全周に亘って掘られた溝が、上下方向に複数形成されている部分である。
【0049】
クランプバネ65は、クランプシャフト61をスピンドル5に対して上方に付勢し、先端工具91をクランプするためのクランプ力をクランプシャフト61に付与する付勢部材である。なお、本実施形態では、クランプバネ65は、後述のロック機構7(詳細には、ホルダ73およびクランプ部材71)を介してクランプシャフト61を上方に付勢するように構成されている。より詳細には、クランプバネ65は、圧縮コイルバネであって、スピンドル5の上側に配置されたバネ受け部材57と、後述のホルダ73との間に、圧縮された状態で配置されている。なお、バネ受け部材57は、スピンドル5と一体的に回転する。
【0050】
ロック機構7は、クランプシャフト61を、先端工具91をクランプ可能なクランプ位置(図7および図8に示す位置)で保持(ロック)するように構成された機構である。ロック機構7は、第1収容部31内において、スピンドル5の上方に配置されている。本実施形態では、ロック機構7は、一対のクランプ部材71と、ホルダ73と、弾性リング718と、カラー75とを含む。
【0051】
一対のクランプ部材71は、駆動軸A1を挟んで対向するように配置されている。クランプ部材71の径方向内側の面は、シャフト部611の外周面に対応する湾曲面として形成されている。また、この湾曲面には、突条部717が設けられている。突条部717は、周方向に延在する突条が上下方向に複数形成されている部分である。突条部717は、クランプシャフト61の溝部612に係合可能に構成されている。また、クランプ部材71の上端部および下端部は、中央部よりも径方向外側に突出している。言い換えると、クランプ部材71の上下方向における中央部の外周部には、周方向に延在する溝が設けられている。
【0052】
ホルダ73は、一対のクランプ部材71を、駆動軸A1に対して径方向に移動可能に保持するように構成されている。本実施形態では、ホルダ73は、全体としては、クランプシャフト61のシャフト部611よりも大径の円柱状部材として形成されている。ホルダ73は、挿入孔731と、一対の保持凹部733とを有する。
【0053】
挿入孔731は、ホルダ73の下面から駆動軸A1に沿って上方に延びるとともに、上端が閉じられた断面円形の凹部である。挿入孔731は、クランプシャフト61のシャフト部611よりも若干大きい径を有する。挿入孔731には、シャフト部611の上端部を挿入可能である。
【0054】
一対の保持凹部733は、ホルダ73の上下方向の中央部に設けられ、駆動軸A1に対して対称状に、ホルダ73の外周面から径方向内側に(駆動軸A1に向けて)延びている。各保持凹部733は、径方向内側の端で、挿入孔731に連通している。保持凹部733は、クランプ部材71に整合する形状を有する。一対のクランプ部材71は、一対の保持凹部733内に、径方向に移動可能に配置されている。
【0055】
より詳細には、一対のクランプ部材71は、駆動軸A1により近い係合位置(図7に示す位置)と、駆動軸A1からより遠い(係合位置よりも径方向外側にある)解除位置(図9に示す位置)との間で径方向に移動可能である。係合位置に配置されているときには、一対のクランプ部材71の突条部717は、クランプシャフト61の溝部612に係合可能である。また、係合位置に配置されているときには、クランプ部材71の外周面は、ホルダ73の外周面と概ね同じ位置に配置され、保持凹部733から径方向外側には突出しない。解除位置に配置されているときには、突条部717と溝部612とは係合不能である。また、解除位置に配置されているときには、クランプ部材71の外周面は、保持凹部733から径方向外側に僅かに突出する。
【0056】
また、ホルダ73の下端部は、径方向外側に突出するフランジ状のバネ受け部735を有する。バネ受け部735の下面は、クランプバネ65の上端部に当接している。また、詳細は後述するが、ホルダ73の下端中央部(挿入孔731の周囲の環状の部分)の下面は、クランプ解除時に、押下げスリーブ671に当接する当接部737として機能する。
【0057】
弾性リング718は、一対のクランプ部材71の外周部に設けられた溝に装着され、一対のクランプ部材71を径方向内側の係合位置に向けて付勢している。なお、本実施形態の弾性リング718は、ゴム製の環状部材である。
【0058】
カラー75は、円筒状の部材であって、ホルダ73およびクランプ部材71を、駆動軸A1に沿って(つまり、上下方向に)カラー75に対して相対移動可能に保持する。ホルダ73は、カラー75の内部に配置されており、カラー75の内周面に沿って上下方向に摺動可能である。カラー75は、インナハウジング3に対して上下方向に移動不能、且つ、駆動軸A1周りに回転可能に支持されている。より詳細には、カラー75は、カラー75の径方向外側で第1収容部31の上端部内に固定された軸受751によって、回転可能に支持されている。なお、カラー75を、スピンドル5内部ではなく、スピンドル5の上方で第1収容部31に配置することで、カラー75の組み付けが容易となる。
【0059】
本実施形態では、カラー75は、上下方向におけるクランプ部材71との相対的な位置関係に応じて、クランプ部材71の係合位置から解除位置への移動を禁止または許容するように構成されている。言い換えると、クランプ部材71は、係合位置から移動不能な位置(以下、ロック位置という)と、係合位置から解除位置へ、径方向に移動可能な位置(以下、アンロック位置という)との間で、カラー75に対して上下方向に移動可能である。
【0060】
より詳細には、カラー75は、ホルダ73の径と概ね等しい内径を有するが、カラー75の上下方向における中央部には、内周面から径方向外側に凹む環状の溝753が設けられている。このため、図7に示すように、クランプ部材71の外周面(詳細には、上端部と下端部の外周面)が、カラー75の内周面(溝753以外の部分)に当接する位置では、クランプ部材71は、係合位置から径方向外側に移動することができない。つまり、このとき、クランプ部材71はロック位置にある。一方、図9に示すように、上端部が溝753に対向し、カラー75の下端部がクランプ部材71の外周部の溝に対向する位置では、クランプ部材71は、係合位置から径方向外側に移動可能となる。つまり、このとき、クランプ部材71はアンロック位置にある。上述のように、本実施形態では、クランプ部材71は、ホルダ73によって保持されているため、カラー75に対して上下方向および径方向に安定して移動可能である。
【0061】
なお、上下方向におけるクランプ部材71とカラー75との相対的な位置関係は、レバー77の操作に応じて変化するが、この点については後で詳述する。
【0062】
以下、押下げ機構67について説明する。押下げ機構67は、クランプ機構60の動作(詳細には、ホルダ73の下方への移動)に連動して、先端工具91をスピンドル5に対して下方に押し下げるように構成されている。図7および図8に示すように、本実施形態では、押下げ機構67は、スピンドル5に対して上下方向に移動可能に配置された押下げスリーブ671と、押下げスリーブ671をスピンドル5に対して上方に付勢する付勢バネ675とを含む。
【0063】
押下げスリーブ671は、スピンドル5と同軸状に、スピンドル5に挿通されている。また、押下げスリーブ671は、クランプシャフト61を挿通可能に構成されている。つまり、押下げスリーブ671は、径方向において、スピンドル5とクランプシャフト61との間に配置されている。
【0064】
より詳細には、押下げスリーブ671は、長尺の円筒部材であって、スピンドル5の内径と概ね等しい外径と、シャフト部611の径と概ね等しい内径とを有する。押下げスリーブ671は、スピンドル5よりも長尺であって、押下げスリーブ671の上側部分は、スピンドル5から上方に突出している。クランプシャフト61は、押下げスリーブ671よりも長尺であって、押下げスリーブ671に挿通されると、クランプヘッド615および溝部612は、夫々、押下げスリーブ671の下端および上端から突出する。押下げスリーブ671の下端部は、他の部分よりも大径の大径部673であって、スピンドル5の下端部の凹部515に嵌合可能に構成されている。なお、大径部673の下端面674は、環状の平面である。
【0065】
付勢バネ675には、クランプバネ65よりも小径の圧縮コイルバネが採用されている。付勢バネ675は、クランプバネ65の内側に配置されており、付勢バネ675の下端部は、バネ受け部材57に当接している。つまり、バネ受け部材57は、クランプバネ65および付勢バネ675に共通のバネ受け部として利用されている。これにより、部品数の増加を抑えつつ、クランプバネ65および付勢バネ675のコンパクトな配置が実現されている。
【0066】
また、付勢バネ675の上端部は、バネ受け部材57の上側に配置されたバネ受け部材676に当接している。バネ受け部材676は、バネ受け部材57に対して上下方向に移動可能に押下げスリーブ671に外装されている。バネ受け部材676の上端部は、押下げスリーブ671の外周に設けられた突起に下側から当接している。このような構成により、付勢バネ675は、バネ受け部材676を介して押下げスリーブ671を上方へ付勢している。
【0067】
押下げスリーブ671は、付勢バネ675の付勢力により、常時には、大径部673のショルダ部(段差部)がスピンドル5の凹部515のショルダ部(段差部)に当接する最上方位置で保持されている。なお、押下げスリーブ671が最上方位置に配置されているときには、押下げスリーブ671の下端(下端面674)は、工具装着部51とクランプヘッド615にクランプされた先端工具91(詳細には、凸部911の上面)よりも上方に配置される。また、押下げスリーブ671の上端は、ホルダ73の下面(当接部737)よりも下方に配置される。
【0068】
以上のように構成されたクランプ機構60および押下げ機構67は、使用者によるレバー77の回動操作に連動して動作するように構成されている。より詳細には、クランプ部材71およびホルダ73と、カラー75との上下方向における相対的な位置関係は、レバー77の回動操作に連動して変化する。更に、ホルダ73の移動に連動して、押下げスリーブ671も移動する。以下に、レバー77の回動操作と、クランプ機構60および押下げ機構67の動作について説明する。
【0069】
まず、レバー77について説明する。図1および図8に示すように、レバー77は、略U字状に形成されており、レバー77の両端部は、アウタハウジング2の前端部21の上部に回動可能に支持されている。レバー77は、図1および図7に示すように、レバー77の中央部が前端部21の前面に当接する位置(以下、前方位置という)と、図9および図10に示すように、中央部が前端部21の上方に配置される位置(以下、上方位置という)との間で回動可能である。レバー77は、左右方向に延在する回動軸A3周りに回動可能な回動シャフト78に連結されている。回動シャフト78は、ロック機構7(ホルダ73)の上方で左右方向に延在し、インナハウジング3の前端部30のカバー311を左右方向に貫通する貫通孔に挿通されている。回動シャフト78の両端部は、レバー77の両端部に連結され、アウタハウジング2に回動可能に支持されている。回動シャフト78は、レバー77の回動操作に伴って、レバー77と一体的に回動する。回動シャフト78の中央部(駆動軸A1上)には、回動軸A3に対して偏心した偏心部(カム部)781が設けられている。
【0070】
レバー77が前方位置に配置されている場合、図7および図8に示すように、偏心部781のうち径がより小さい部分(短径部)が、ホルダ73から離間して上方に配置される。よって、回動シャフト78がクランプバネ65の付勢力を受けることはない。一対のクランプ部材71は、カラー75に対してロック位置に配置され、係合位置でクランプシャフト61を挟持しつつ、クランプバネ65によってホルダ73と共に上方へ付勢され、クランプシャフト61を最上方位置で保持する。クランプヘッド615は、クランプバネ65の付勢力によって先端工具91を下側から工具装着部51に押付け、スピンドル5に対して固定する。つまり、クランプヘッド615は、工具装着部51と共に先端工具91をクランプする。このことから、クランプシャフト61の最上方位置を、クランプ位置ともいう。
【0071】
一方、レバー77が前方位置から上方に回動され、上方位置に配置されると、その過程で、図9および図10に示すように、偏心部781のうち径がより大きい部分(長径部)が上方からホルダ73の上端部に接触し、クランプバネ65を更に圧縮しつつ、スピンドル5およびカラー75に対し、ホルダ73を下方へ移動させる。これにより、クランプバネ65によってクランプヘッド615に付与されるクランプ力(スピンドル5に対して先端工具91を上方に押し付ける力)が解除される。このことから、レバー77を前方位置から上方位置に回動させる操作を、クランプ解除操作ともいう。
【0072】
クランプ解除操作に連動して、ホルダ73に保持されたクランプ部材71は、カラー75に対して下方へ移動し、アンロック位置に配置される。つまり、ロック機構7によるクランプシャフト61のロックが解除される。上述のように、クランプ部材71は、外周部の溝に装着された弾性リング718によって係合位置へ向けて付勢されている。このため、弾性リング718の付勢力に抗して、クランプ部材71を係合位置から径方向外側へ移動させる外力が作用しない限り、クランプシャフト61はクランプ部材71によってその位置で暫定的に保持され、スピンドル5から外れることはない。使用者がクランプシャフト61を下方へ引っ張ると、クランプ部材71は一旦解除位置へ移動するため、使用者は、スピンドル5からクランプシャフト61を引き抜き、先端工具91を交換することができる。
【0073】
また、クランプ解除操作に連動して、ホルダ73がスピンドル5に対して下方へ移動すると、この過程で、ホルダ73の当接部737が、最上方位置に配置された押下げスリーブ671の上端に上方から当接し、付勢バネ675の付勢力に抗して、押下げスリーブ671を押し下げる。つまり、ホルダ73は、クランプ部材71を保持する機能に加え、押下げスリーブ671を押し下げる機能を有する。先端工具91は、傾斜面913と傾斜面513とが当接し、クランプヘッド615によって下方から工具装着部51に押し付けられた状態(図7参照)で揺動駆動されると、工具装着部51に固着してしまう場合がある。このような場合には、押下げスリーブ671の大径部673が、下降過程で先端工具91に上方から当接し、先端工具91を下方に押し下げることで、先端工具91の固着状態を解消することができる。なお、本実施形態では、押下げスリーブ671の下端面674が、シャフト部611の周囲で先端工具91に面接触し、先端工具91をバランスよく押し下げるため、先端工具91の固着をより確実に解消することができる。
【0074】
クランプシャフト61をスピンドル5に取り付け、先端工具91をクランプするときの動作は、基本的には、取り外し時の動作の逆である。レバー77が上方位置に配置され、クランプ部材71がカラー75に対してアンロック位置に配置された状態で、使用者は、先端工具91に挿通された状態のクランプシャフト61を、スピンドル5(押下げスリーブ671)に挿入し、上端部がホルダ73に当接する位置まで上方へ移動させる。この過程で、クランプ部材71が一旦解除位置へ移動し、弾性リング718の付勢力で係合位置へ復帰する。突条部717が溝部612に係合し、クランプシャフト61はクランプ部材71によって暫定的に保持される。
【0075】
使用者が、レバー77を上方位置から前方位置へ回動操作すると、偏心部781を介して回動シャフト78が受けていたクランプバネ65の付勢力が解除される。これにより、クランプバネ65によって、ホルダ73およびクランプ部材71が上方へ付勢され、カラー75に対して上方へ移動する。クランプ部材71がカラー75に対してロック位置まで移動すると、クランプシャフト61もクランプ位置へ復帰する。
【0076】
以下、後端部38の内部構造について説明する。図2図4に示すように、本実施形態では、後端部38の後側部分は、バッテリ装着部381として構成され、後端部38の前側部分は、コントローラ収容部382として構成されている。バッテリ装着部381は、バッテリ93をスライド係合可能な係合構造と、バッテリ93と電気的に接続する端子等を有する。なお、バッテリ装着部381とその構造自体は周知であるため、詳細な説明は省略する。コントローラ収容部382には、制御回路を含むコントローラ383が収容されている。コントローラ383は、スイッチ29がオン状態とされると、モータ41を駆動するように構成されている。
【0077】
弾性連結部37の内部構造について説明する。図2図4に示すように、弾性連結部37の内部空間(弾性リブ371に周方向を囲まれた空間領域)には、スイッチホルダ20が配置されている。スイッチホルダ20は、スイッチ29を保持するように構成された部材である。なお、スイッチホルダ20は、弾性連結部37の内部空間内に配置されるものの、上側シェル27および下側シェル28にネジで固定され、アウタハウジング2の一部とされている。
【0078】
延在部36の内部構造について説明する。図2図4に示すように、本実施形態では、スピンドル5、モータ41および伝達機構45が前端部30に配置され、バッテリ装着部381が後端部38に設けられていることから、延在部36に配置される部品を最小限とすることができる。そこで、延在部36には、コントローラ383とモータ41の基板等を接続する電線や接続端子が配置されるが(図示略)、その他の部品は特に配置されていない。このため、延在部36は、アウタハウジング2の中央部(把持部)25を把持しやすい細さとすべく、前端部30、弾性連結部37、および後端部38に比べて細く形成されている。
【0079】
以下、アウタハウジング2とインナハウジング3との弾性連結構造について説明する。本実施形態では、アウタハウジング2とインナハウジング3とは、複数箇所で弾性的に連結されている。具体的には、前端部21と前端部30との間、アウタハウジング2に支持された回動シャフト78と前端部30との間、および、スイッチホルダ20と後端部38との間に、夫々、弾性部材が介在している。
【0080】
まず、前端部21と前端部30との弾性連結構造について説明する。
【0081】
図5図6図11図12に示すように、前端部30の下壁部には、断面円形の凹部335が2つ設けられている。より詳細には、凹部335は、伝達機構45の揺動アーム458を収容する第3収容部33の下壁部に、下面から上方に凹む凹部として形成されている。2つの凹部335は、左右方向に並設されている。また、前後方向においては、2つの凹部335は、スピンドル5の駆動軸A1およびモータ41の出力シャフト415の回転軸A2の間(より詳細には、軸受502と軸受453の間)に配置されている。一方、図12に示すように、前端部21の下壁部には、円柱状の突起215が2つ設けられている。突起215は、夫々、インナハウジング3の凹部335の中央部に対向するように、前端部21の下壁部から上方に突出している。
【0082】
各凹部335には、弾性部材11が嵌め込まれている。弾性部材11は、円筒状に形成されている。突起215は、弾性部材11の内部に嵌め込まれ、全周に亘って弾性部材11に覆われている。弾性部材11の高さは、凹部335の深さおよび突起215の高さよりも大きく設定されており、上下方向において、インナハウジング3とアウタハウジング2の間には、隙間が設けられている。このように、円筒状の弾性部材11は、その外周面と上端面がインナハウジング3に接触し、内周面と下端面とがアウタハウジング2に接触する状態で、インナハウジング3とアウタハウジング2の間に介在する。なお、本実施形態では、弾性部材11は、超微細発泡構造を有するウレタン系樹脂で形成されている。
【0083】
回動シャフト78と前端部30との弾性連結構造について説明する。
【0084】
図8に示すように、回動シャフト78の左端部および右端部は、夫々、前端部21の左上端部および右上端部に回動可能に支持されている。回動シャフト78は、前端部21の上端部内で、前端部30のカバー311を左右方向に貫通している。カバー311の左壁部および右壁部には、夫々、内側(左右方向の中心側)に向けて凹む断面円形の凹部313が設けられている。一方、回動シャフト78には、円筒状の弾性部材13が2つ嵌め込まれている。2つの弾性部材13は、前端部21の左壁部および右壁部の内側に配置されている。各弾性部材13の内側部分は、カバー311の凹部313に嵌め込まれており、外側において、ワッシャを介してアウタハウジング2に押圧されている。このように、円筒状の弾性部材13は、その外周面と内側の端面がインナハウジング3に接触し、内周面がアウタハウジング2に連結された回動シャフト78に接触し、更に、外側の端面がワッシャを介してアウタハウジング2に接触する状態で、インナハウジング3とアウタハウジング2の間に介在する。弾性部材13は、弾性部材11と同じく、超微細発泡構造を有するウレタン系樹脂で形成されている。
【0085】
スイッチホルダ20と後端部38との弾性連結構造について説明する。
【0086】
図3に示すように、スイッチホルダ20は、概ね矩形箱状に構成されている。スイッチホルダ20の左壁部および右壁部には、夫々、内側(左右方向の中心側)に向けて凹む凹部203が設けられている。凹部203には、弾性部材15が嵌め込まれている。弾性部材15は、弾性部材11と同じく、超微細発泡構造を有するウレタン系樹脂で形成されている。弾性部材15は、左右方向に弾性部材15を貫通する貫通孔を有する。一方、インナハウジング3の後端部38(コントローラ収容部382)の左壁部および右壁部からは、前方へ向けて、一対のアーム部385が突出している。各アーム部385の先端部には、内側(左右方向の中心側)に向けて突出する突起386が設けられている。アーム部385の先端は、弾性部材15の外面に接触し、突起386は、弾性部材15の貫通孔に嵌め込まれ、全周に亘って弾性部材15に覆われている。なお、突起386の先端は、凹部203の底からは離間している。
【0087】
以上に説明した構成によって、インナハウジング3とアウタハウジング2とは、弾性部材11、13、15を介して、上下方向、前後方向、左右方向を含む全方向に相対移動可能とされている。つまり、インナハウジング3とアウタハウジング2とは、いかなる方向の振動にも対応可能に弾性連結されている。
【0088】
前端部30は、モータ41、スピンドル5、および伝達機構45を収容するため、先端工具91の揺動駆動時には、インナハウジング3のうち前端部30に最も大きな振動が生じうる。より詳細には、出力シャフト415およびスピンドル5には、回転駆動に伴って振動が生じる。これに対し、本実施形態では、インナハウジング3とアウタハウジング2との間に介在する弾性部材11は、前後方向において、スピンドル5の駆動軸A1および出力シャフト415の回転軸A2の間に配置されている。このような配置により、弾性部材11は、スピンドル5に起因する振動と出力シャフト415に起因する振動の両方に対応し、アウタハウジング2への振動伝達を効果的に抑制することができる。また、弾性部材11は、上下方向において、伝達機構45の揺動アーム458を収容する第3収容部33の下側に配置されており、揺動面Pに比較的近い位置にある。このため、先端工具91の揺動駆動時に、アウタハウジング2内でインナハウジング3がふらつくのを抑制することができる。
【0089】
また、本実施形態では、2つの弾性部材11が左右方向に並設されることで、1つの弾性部材11が設けられる場合に比べて耐久性の高い弾性連結構造が実現されている。
【0090】
更に、本実施形態では、前端部30は、弾性部材11に加え、回動シャフト78に外装された弾性部材13を介してアウタハウジング2と弾性的に連結されている。また、前端部30に加え、後端部38も、弾性部材15を介してアウタハウジング2の一部としてのスイッチホルダ20に弾性的に連結されている。よって、アウタハウジング2への振動伝達が更に効果的に抑制される。
【0091】
また、上述のように弾性部材13を配置することで、アウタハウジング2の組み付け前に、弾性部材13を介し、インナハウジング3(カバー311)によって回動シャフト78を安定して保持することが可能となる。その後、アウタハウジング2の上側シェル27と下側シェル28とで回動シャフト78の両端部を上下から挟み込み、上側シェル27と下側シェル28とをネジで連結することで、回動シャフト78がアウタハウジング2に保持される。このように、弾性部材13は、組み付けの容易化にも寄与している。また、2つの弾性部材13が、回動シャフト78の左端部と右端部に配置されるため、回動シャフト78をバランスよく保持することができる。更に、円筒状の弾性部材13を回動シャフト78に嵌め込むだけでよく、組み付けも容易である。
【0092】
ところで、上述のように、モータ41の起動用のスイッチ29は、スイッチホルダ20を介してアウタハウジング2の後端部23に保持されている。そこで、アウタハウジング2には、スイッチ29の作動部291に連結され、スイッチ29をオン状態とオフ状態との間で切り替える切替部材293も保持されている。以下に、切替部材293およびその保持構造について説明する。
【0093】
図2および図4に示すように、切替部材293は、前後方向に直線状に延在する長尺部材である。切替部材293の前端部には、操作部294が一体的に形成されている。切替部材293の後端部は、スイッチ29の作動部291に連結されている。切替部材293は、使用者による操作部294の前後方向のスライド操作に応じて前後方向に移動することで、作動部291をオン位置とオフ位置との間で移動させる(つまり、スイッチ29をオン状態とオフ状態との間で切り替える)ように構成されている。本実施形態では、切替部材293は、アウタハウジング2に支持された保持部材26によって、アウタハウジング2に対して前後方向に移動可能に保持されている。
【0094】
図2図4図13および図14に示すように、保持部材26は、アウタハウジング2のうち、下側シェル28およびスイッチホルダ20に支持され、切替部材293を前後方向に摺動可能に保持するように構成されている。本実施形態では、保持部材26は、スライドガイド部261と、支持脚263とを含む。
【0095】
スライドガイド部261は、前後方向に延在する長尺状に形成され、切替部材293に概ね対応する形状を有する。スライドガイド部261の上面には凹部が形成されている。切替部材293は、この凹部内に前後方向に摺動可能に配置されている。支持脚263は、スライドガイド部261の前端部の左側部および右側部から、夫々、複数ずつ突出している。図13に示すように、各支持脚263は、湾曲状に下方に延びている。一方、下側シェル28のうち、前端部21を構成する部分の左右の側部には、夫々、複数の突起283が設けられている。突起283は、下側シェル28の上端よりも上方に突出している。突起283は、支持脚263に対応する位置に設けられ、支持脚263の下端部を受ける。また、保持部材26の後端部262は、インナハウジング3の後端部38に弾性連結されたスイッチホルダ20に載置され、係止されている。
【0096】
図14に示すように、各支持脚263には、平面視半円状の凹部が設けられている。下側シェル28の内側には、各支持脚263の凹部に対向する4箇所に、円筒部285が設けられている。なお、円筒部285の上端は、下側シェル28の上端よりも下方に位置する。一方、図3および図11に示すように、上側シェル27の対応する4箇所には、内周に雌ネジが形成された円筒部271が設けられている。円筒部271は、上側シェル27の下端よりも下方に突出している。振動工具1の組立工程においては、下側シェル28に、インナハウジング3と保持部材26とが収容された後、上側シェル27が下側シェル28に連結される。このとき、上側シェル27の円筒部271が、支持脚263の凹部に嵌め込まれ、更に、下側シェル28の円筒部285に嵌め込まれることで、保持部材26は、アウタハウジング2に対して適切に位置決めされる。その後、円筒部285の下側からネジが挿入され、円筒部271に螺合されることで、下側シェル28と上側シェル27とが固定される。
【0097】
詳細な図示は省略するが、上側シェル27が下側シェル28に連結されると、各支持脚263は、上側シェル27の内面に沿って、インナハウジング3からは離間した状態でアウタハウジング2内に配置される。また、図12に示すように、スライドガイド部261は、上側シェル27の上壁部の下面に沿って、インナハウジング3からは離間した状態でアウタハウジング2内に配置される。
【0098】
更に、図13および図14に示すように、本実施形態では、保持部材26は、切替部材293に加え、先端工具91による作業領域を照らすための照明装置260を保持する。このため、保持部材26は、スライドガイド部261から前方へ突出する照明装置保持部265を有する。照明装置保持部265は、延在部266と、一対のアーム部268とを含む。延在部266は、スライドガイド部261の前端部の左右方向の中心から、回動シャフト78の前方まで前方へ直線状に延びる部分である。一対のアーム部268は、延在部266の前端から二股状に下方へ延び、照明装置260を保持する部分である。なお、保持部材26は、コントローラ383から照明装置260へ電力を供給するための電線269をガイドするように構成されている。電線269は、保持部材26の上面に、後端部262から照明装置保持部265に亘って延在するように構成された溝内に保持されている。
【0099】
また、図8に示すように、延在部266の下面には、前後方向に延在する断面矩形状の溝267が形成されている。溝267は、回動シャフト78の偏心部781の長径部に嵌合可能に構成されている。レバー77が前方位置に配置されているときには、回動シャフト78の偏心部781の長径部が上方に突出し、溝267に嵌合する。このように、照明装置保持部265は、先端工具91がクランプされているときには、回動シャフト78によって支持され、インナハウジング3からは離間した状態でアウタハウジング2内に配置される。また、振動工具1の組立工程において、作業者は、インナハウジング3をアウタハウジング2に収容する前に、後端部38および照明装置保持部265を、夫々、スイッチホルダ20および回動シャフト78に載置し、安定的に保持させることができる。これにより、インナハウジング3および保持部材26を、アウタハウジング2に収容する作業が容易となる。
【0100】
以下、ハウジング10内における空気の流路について説明する。
【0101】
上述のように、本実施形態では、ハウジング10は、インナハウジング3とアウタハウジング2とを含む2層構造のハウジングである。よって、モータ41を冷却するための空気は、外部からアウタハウジング2へ流入し、更にインナハウジング3へ流入して、モータ41を冷却した後、インナハウジング3から流出し、更にアウタハウジング2から外部へ流出する。
【0102】
本実施形態では、図2および図3に示すように、アウタハウジング2の後端部23の後端(開放端)と、インナハウジングの後端部38の外周面とで規定される環状の開口(隙間)が、アウタハウジング2)内へ外気を流入させるための吸気口801として機能する。一方、図2図4および図5に示すように、インナハウジング3には、複数の異なる位置に、吸気口803、804、805が設けられている。吸気口803は、後端部38(詳細には、コントローラ収容部382)の左壁部および右壁部に形成された複数の貫通孔である。吸気口804は、筒状の延在部36の後端に規定される開口である。また、吸気口805は、延在部36の上壁部および下壁部に形成された貫通孔であって、前後方向に直線状に延在している。
【0103】
図4および図5に示すように、モータ41を冷却した後の空気をインナハウジング3から排出するための排気口807は、前端部30に設けられている。より詳細には、排気口807は、第2収容部32の周壁部に形成された複数の貫通孔であって、ファン43の径方向外側に設けられている。また、図6に示すように、アウタハウジング2から空気を排出するための排気口809は、前端部21の下壁部(より詳細には、モータ41の下側の領域)に形成された複数の貫通孔である。なお、詳細な図示は省略するが、排気口809は、左右方向に並設されている。また、前端部21の下壁部には、スピンドル5の下端部を外部へ露出させるための開口が設けられており、スピンドル5の周囲には隙間が存在する。よって、インナハウジング3から排出された空気は、この隙間からもアウタハウジング2の外部へ流出可能である。
【0104】
また、図2図3および図5に示すように、本実施形態では、インナハウジング3の排気口807と、吸気口803、804、805との間には、インナハウジング3とアウタハウジング2との間の空間(隙間)を区画する隔壁81が設けられている。つまり、隔壁81は、インナハウジング3とアウタハウジング2との間の空間を、排気口807側の空間と、吸気口803、804、805側の空間とに区画している。隔壁81は、テーパ筒状に形成されており、前方に向かって拡径するように、より小径の端部が延在部36の前端部に接合されている。隔壁81の前端縁は、アウタハウジング2の内周面および保持部材26のスライドガイド部261に接触している。なお、本実施形態では、隔壁81は、弾性変形可能なエラストマで形成されており、樹脂ハウジング302(左側シェル303および右側シェル304)と一体成形されている。
【0105】
ファン43の回転によって生成され、ハウジング10内を流れる空気の流路は、次の通りである。まず、吸気口801からアウタハウジング2に流入した空気の一部は、吸気口803から後端部38内に流入してコントローラ383を冷却し、後端部38の前方の隙間から前方へ流れる。吸気口801から流入した空気の別の一部は、後端部23と後端部38の間の隙間を通って前方へ流れる。更に、空気は、弾性リブ371およびスイッチホルダ20の周囲を通過し、その一部は吸気口804から筒状の延在部36内に流入し、別の一部は中央部22と延在部36の間の隙間を抜けて、吸気口805から延在部36内に流入する。本実施形態では、筒状の延在部36に吸気口804、805が設けられることで、流入した空気は、延在部36内を、前端部30に向かって効率的に流れる。
【0106】
前端部30に流入した空気は、主に、モータ41の上側に配置された基板の中央部の貫通孔を通ってモータ41内に流入し、ステータとロータの間を下方に向かって流れつつモータ41を冷却する。その後、ファン43によって径方向外側に送出された空気は、第2収容部32の排気口807からインナハウジング3の外部に流出し、更に、アウタハウジング2の排気口809からハウジング10の外部に流出する。
【0107】
上述のように、排気口807と、吸気口803、804、805との間には、隔壁81が配置されている。このため、モータ41の冷却により暖められ、排気口807から排出された空気が、アウタハウジング2内を通って再び吸気口803、804、805からインナハウジング3に流入することが抑制される。これにより、モータ41の冷却効率の低下を抑制することができる。
【0108】
特に、隔壁81は、エラストマによって、テーパ筒状に形成されている。このため、隔壁81は、隔壁81の前側の空間と後側の空間との間に生じる圧力差で変形し、その周縁部がアウタハウジング2の内周面およびスライドガイド部261に押し付けられ、密着する。これにより、排気口807から排出された空気が吸気口803、804、805側の空間に流れることをより確実に阻害することができる。また、隔壁81は、弾性変形可能であるため、インナハウジング3とアウタハウジング2とが互いに相対移動した場合に隙間が生じる可能性を低減することができる。
【0109】
なお、従来の作業工具には、出力シャフトの回転軸(ファンの回転軸)が、スピンドルの駆動軸と交差し、且つ、インナハウジングの長軸と平行に延在するように配置されたモータを備えるタイプがある。このタイプでは、吸気口から流入し、インナハウジング内を長軸方向に流れた空気は、方向を変えずにそのままファンを通過して、排気口から流出する。このような流路では、排気口から流出した空気が吸気口へ向かって流れにくい。
【0110】
一方、本実施形態の振動工具1では、モータ41は、出力シャフト415の回転軸A2(つまり、ファン43の回転軸A2)が、スピンドル5の駆動軸A1と平行、且つ、インナハウジング3の長軸の延在方向と交差するように配置されている。このような配置により、スピンドル5とモータ41とを近接配置し、振動工具1のコンパクト化を実現することができる。一方で、インナハウジング3内の空気の流れ方向は、モータ41の近傍で変化することになる。具体的には、吸気口803、804、805から流入した空気は、延在部36内をインナハウジング3の長軸に沿って前方へ流れ、前端部30(より詳細には第2収容部32)の上部で方向を変えて、モータ41内を下方へ流れ、排気口807から流出する。このような構成では、上述のタイプよりも、排気口807から流出した空気が吸気口803、804、805の方へ流れやすいため、隔壁81を設ける効果が顕著であるといえる。
【0111】
ところで、本実施形態では、インナハウジング3は、金属ハウジング301と樹脂ハウジング302とが連結されることで形成されている。よって、金属ハウジング301と樹脂ハウジング302との連結部分(境界)に、隙間が生じる場合がある。そこで、振動工具1には、金属ハウジング301と樹脂ハウジング302との間に生じる隙間を塞ぐための塞ぎ部材83が設けられている。
【0112】
本実施形態では、延在部36の前端は第2収容部32に当接しているものの、これらの間には、若干の隙間が生じやすい。このため、塞ぎ部材83は、第2収容部32と延在部36との間の隙間を塞ぐように構成されている。一方、カバー部35は、ネジによって第2収容部32の上端部に密着するように固定されている。また、樹脂ハウジング302の左側シェル303と右側シェル304も、ネジによって互いに密着するように固定されている。よって、本実施形態では、これらの境界を塞ぐ塞ぎ部材は設けられていないが、同様に、塞ぎ部材が設けられてもよい。
【0113】
なお、本実施形態では、塞ぎ部材83は、隔壁81と同じエラストマで製であって、延在部36の前端に沿って、樹脂ハウジング302(左側シェル303および右側シェル304)と一体成形されている。よって、金属ハウジング301と樹脂ハウジング302とが連結されると、塞ぎ部材83が第2収容部32の外周面に密着し、隙間を塞ぐ。これにより、モータ41の冷却により暖められ、排気口807から流出した空気が、第2収容部32と延在部36との間の隙間から、再びインナハウジング3に流入するのを抑制することができる。これにより、モータ41の冷却効率の低下を抑制することができる。特に、第2収容部32と延在部36との間の隙間から空気が流入すると、ファン43によって、モータ41の上方からモータ41内へ吸い込まれることになるため、この隙間を塞ぐことは効果的である。
【0114】
また、上述のように、本実施形態では、隔壁81および塞ぎ部材83は、インナハウジング3(樹脂ハウジング302)と一体成形されているため、これらがインナハウジング3またはアウタハウジング2と別個の部材である場合に比べ、組み付けが容易となる。また、アウタハウジング2の内部には、スイッチ29の切替部材293および保持部材26が保持されているため、隔壁81をインナハウジング3に設けることで、インナハウジング3とアウタハウジング2との組み付けが容易となる。
【0115】
以下、図15および図16を参照して、上記実施形態のレバー77および回動シャフト78(図1および図8参照)の変形例に係るレバー770および回動シャフト780について説明する。なお、以下の説明では、上記実施形態と共通する構成については、上記実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0116】
図15および図16に示すように、レバー770は、レバー77(図1参照)と同様、略U字状に形成されている。レバー770は、合成樹脂で一体成型された単一の部材であって、一対のアーム771と、把持部779とを含む。
【0117】
一対のアーム771の夫々の一端部は、アウタハウジング2の前端部21の左上端部および右上端部に係合している。左右一対のアーム771は、夫々、前端部21の左側面および右側面に沿うように湾曲しつつ延び、左右方向の中央部で互いに連結されている。一対のアーム771は可撓性を有し、互いの間隔が変化する方向(左右方向)に弾性変形する(撓む)ことができる。
【0118】
各アーム771のうち、アウタハウジング2に係合する端部(以下、係合部772という)は、円板部773と、円筒部774と、内側フランジ776とを含む。円板部773は、アウタハウジング2(詳細には、前端部21の左右の側壁)の外側に配置される円形の板状部である。円筒部774は、円板部773によって一端が閉塞された有底円筒状の部分である。一対の円筒部774は、円板部773から互いに向かって突出している。円筒部774は、上側シェル27と下側シェル28とによって挟み込まれ、回動軸A3に沿って、左右方向に延在する。円筒部774の内部には、複数の突起775が形成されている。突起775は、周方向に等間隔で設けられ、夫々、円筒部774の開口端から円板部773へ向けて左右方向に延びている。内側フランジ776は、円筒部774の開口側の端部から径方向外側に突出する円環状の部分である。内側フランジ776は、アウタハウジング2(詳細には、前端部21の左右の側壁)の内側に配置される。
【0119】
把持部779は、一対のアーム771の連結部分から突出する板状部である。使用者は、把持部779を把持し、レバー770を回動させることができる。
【0120】
回動シャフト780は、回動シャフト78(図8参照)と同様、インナハウジング3を貫通して、左右方向に延在している。回動シャフト780の中央部には、偏心部(カム部)781が設けられている。
【0121】
回動シャフト780の左端部および右端部は、夫々、左右のアーム771の係合部772に嵌合されている。より詳細には、回動シャフト780の両端部の外周には、複数の係合溝783が形成されている。係合溝783は、回動軸A3周りの周方向に等間隔で設けられ、夫々、回動シャフト780の端から中央部に向けて左右方向に延びている。係合溝783は、係合部772の突起775と整合する形状を有する。回動シャフト780の両端部は、係合溝783と突起775とが係合した状態で、一対のアーム771の係合部772に嵌め込まれている。このような構成により、回動シャフト780は、レバー770と一体的に回動可能に、レバー770を介してアウタハウジング2に支持されている。
【0122】
以上のような構成により、作業者は、レバー770および回動シャフト780を、次の手順で容易にハウジング10に組み付けることができる。
【0123】
作業者はまず、回動シャフト780を、インナハウジング3の前端部30のカバー311を左右方向に貫通する貫通孔に挿通し、その後、回動シャフト780の両端部に、夫々、弾性部材13を嵌め込む。作業者が、弾性部材13の内側部分をカバー311の凹部313に嵌め込むと、回動シャフト78は、弾性部材13を介してインナハウジング3によって安定して保持される。更に、作業者は、左右一対のアーム771を互いから離れる方向に弾性変形させて係合部772の間隔を広げ、係合溝783と突起775とが係合するように、回動シャフト780の両端部に嵌め込む。一対のアーム771は、復元力により、互いに近づく方向に戻る。このようにして、回動シャフト780とレバー770とが、一体的に回転可能に連結される。
【0124】
作業者は、アウタハウジング2の上側シェル27と下側シェル28とで左右の円筒部774を上下から挟み込み、上側シェル27と下側シェル28とをネジで連結する。レバー770および回動シャフト780が、回動軸A3周りに回動可能にアウタハウジング2に支持され、組み付けが完了する。
【0125】
組み付けが完了すると、各係合部772の円板部773と内側フランジ776とが、アウタハウジング2の側壁を挟み込むように、側壁の外側と内側に夫々配置される。よって、アウタハウジング2によって、係合部772の左右方向の移動が規制され、一対のアーム771の弾性変形が規制される。特に、アウタハウジング2の内側に配置される内側フランジ776は、係合部772のアウタハウジング2の外側方向への移動を規制することで、レバー770が回動シャフト780から外れるのを効果的に防止することができる。
【0126】
また、内側フランジ776は、円板部773に対向する外側面777と、円板部773とは反対側の内側面778とを有する。外側面777と内側面778とは、左右方向に対向する位置に、互いに略平行に設けられ、夫々、アウタハウジング2の側壁の内面と、円筒状の弾性部材13の一端面とに当接している。このような配置により、レバー770の抜け止め用の内側フランジ776を介して、アウタハウジング2と弾性部材13とが効率よく連結される。
【0127】
上記実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。但し、実施形態の各構成要素は単なる一例であって、本発明の各構成要素を限定するものではない。振動工具1は、「作業工具」の一例である。スピンドル5は、「スピンドル」の一例である。駆動軸A1は、「第1の軸」の一例である。工具装着部51は、「スピンドルの下端部」の一例である。揺動面Pは、「揺動面」の一例である。モータ41および出力シャフト415は、夫々、「モータ」および「出力シャフト」の一例である。回転軸A2は、「第2の軸」の一例である。揺動アーム458は、「揺動部材」の一例である。インナハウジング3は、「インナハウジング」の一例である。アウタハウジング2は、「アウタハウジング」の一例である。弾性部材11は、「第1弾性部材」の一例である。クランプシャフト61は、「クランプシャフト」の一例である。
【0128】
レバー77および回動シャフト78は、全体として、「操作部材」の一例である。レバー770および回動シャフト780は、全体として、「操作部材」の別の一例である。回動シャフト78、780の各々は、「支持シャフト」の一例である。弾性部材13は、「第2弾性部材」の一例である。一対のアーム771は、「一対のアーム」の一例である。係合部772は、「係合部」の一例である。内側フランジ776は、「当接部」の一例である。外側面777および内側面778は、夫々、「第1当接面」および「第2当接面」の一例である。
【0129】
上記実施形態は単なる例示であり、本発明に係る作業工具は、例示された振動工具1の構成に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。なお、これらの変更は、これらのうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態に示す振動工具1、あるいは各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
【0130】
例えば、インナハウジング3とアウタハウジング2との間に介在する弾性部材11、13、15の材質、形状、数、配置等は、適宜変更されうる。以下に、採用可能な変形例を例示する。
【0131】
例えば、弾性部材11、13、15の各々は、上記実施形態の例とは異なる材料(例えば、ゴム、別の種類の合成樹脂の発泡体)で形成されていてもよい。
【0132】
また、例えば、弾性部材11は、1つのみ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。弾性部材11の配置は、上下方向において、揺動アーム458の上端と揺動面Pの間、且つ、前後方向において、駆動軸A1と回転軸A2の間である限り、変更されてもよい。例えば、左右一対の弾性部材11が、第3収容部33の左側面および右側面の夫々から下面に亘って、第3収容部33と前端部21の間に配置されてもよい。この場合、弾性部材11は、前または後からみてL字状に配置されると、左右方向および上下方向の振動に良好に対応することができる。あるいは、弾性部材11は、弾性部材15のように構成され、配置されてもよい。円筒状の弾性部材13に代えて、複数の弾性部材が回動シャフト78の周囲に配置されてもよい。弾性部材13は、1つのみ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよいし、あるいは省略されてもよい。弾性部材15についても同様の変更、あるいは省略が可能である。
【0133】
また、インナハウジング3およびアウタハウジング2の構成部材や連結態様も、適宜変更が可能である。例えば、インナハウジング3の金属ハウジング301および樹脂ハウジング302は、夫々、異なる形状を有していてもよい。樹脂ハウジング302は、上側シェルと下側シェルが連結されることで形成されてもよいし、アウタハウジング2は、左側シェルと右側シェルが連結されることで形成されてもよい。ハウジング10内の空気の流路は、上記実施形態の例とは異なってもよい。インナハウジング3は、スピンドル等を収容する前端部30(金属ハウジング301)のみで形成されてもよい。また、前端部30と後端部38とが、延在部36のみによって連結されてもよいし、複数の弾性リブ371に代えて、延在部36よりも低い弾性係数を有する単一の弾性体によって連結されていてもよい。
【0134】
クランプ機構60の構成(例えば、クランプシャフト61、クランプバネ65の形状、配置、支持構造、ロック機構7の構成部材、形状、配置、支持構造等)は、適宜変更されうる。例えば、クランプ部材71に代えて、ボールを用いてクランプシャフト61をクランプ位置で保持するように構成された機構が採用されてもよい。クランプ機構60の変更に応じて、あるいは、クランプ機構60の変更にかかわらず、レバー77、770や回動シャフト78、780の構成も変更されうる。また、クランプ機構60は省略され、クランプシャフト61は、ネジによってスピンドル5に固定されてもよい。
【0135】
押下げ機構67の構成(例えば、押下げスリーブ671の形状、配置、支持構造、付勢バネ675の種類等)は、適宜変更されうる。また、押下げ機構67は、省略されてもよい。
【0136】
スピンドル5、モータ41、および伝達機構45の構成(例えば、形状、支持構造等)は、上記実施形態の例に限られるものではなく、適宜、変更されてよい。例えば、上述の実施形態では、工具装着部51は、凸部911を有する先端工具91に対応する凹部351を有する。そして、先端工具91は、その傾斜面913が工具装着部51の傾斜面513に当接した状態で、工具装着部51に固定される。しかしながら、工具装着部51は、平面状の下面を有し、平面状の上面を有する先端工具を固定可能な構成とされてもよい。また、モータ41は、交流モータであってもよい。モータ41は、出力シャフト415の回転軸A2が駆動軸A1と直交するように、ハウジング10の把持部(中央部22)内に収容されていてもよい。
【0137】
更に、本発明および上記実施形態とその変形例の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様は、独立して、あるいは、実施形態に示す振動工具1、上記変形例、または各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
[態様1]
前記アウタハウジングは、使用者による把持が可能に構成された把持部を含む。
中央部22は、本態様の「把持部」の一例である。
[態様2]
前記スピンドルと、前記モータと、前記伝達機構とは、前記アウタハウジングの前端部内に配置されている。
[態様3]
前記インナハウジングは、前記前後方向に延在し、
前記スピンドルと、前記モータと、前記伝達機構とは、前記インナハウジングの前端部内に配置されている。
[態様4]
前記インナハウジングの前記前端部は、前記スピンドルを収容する第1収容部と、前記第1収容部の後側に配置され、前記モータを収容する第2収容部と、前記第1収容部の後側、且つ、前記第2収容部の下側に配置された第3収容部とを含み、
前記少なくとも1つの第1弾性部材は、前記第3収容部と前記アウタハウジングの前端部との間に介在する。
第1収容部31、第2収容部32、第3収容部33は、夫々、本態様における「第1収容部」、「第2収容部」、「第3収容部」に対応する。
[態様5]
作業工具は、前記インナハウジングの後端部と前記アウタハウジングとの間に介在する少なくとも1つの第3弾性部材を更に備える。
弾性部材15は、本態様の「第3弾性部材」の一例である。
【符号の説明】
【0138】
1:振動工具、10:ハウジング、11:弾性部材、13:弾性部材、15:弾性部材、2:アウタハウジング、20:スイッチホルダ、203:凹部、21:前端部、215:突起、22:中央部、23:後端部、26:保持部材、260:照明装置、261:スライドガイド部、262:後端部、263:支持脚、265:照明装置保持部、266:延在部、267:溝、268:アーム部、269:電線、27:上側シェル、271:円筒部、28:下側シェル、283:突起、285:円筒部、29:スイッチ、291:作動部、293:切替部材、294:操作部、3:インナハウジング、30:前端部、301:金属ハウジング、302:樹脂ハウジング、303:左側シェル、304:右側シェル、31:第1収容部、311:カバー、313:凹部、32:第2収容部、321:連結部、33:第3収容部、335:凹部、35:カバー部、351:凹部、36:延在部、37:弾性連結部、371:弾性リブ、38:後端部、381:バッテリ装着部、382:コントローラ収容部、383:コントローラ、385:アーム部、386:突起、41:モータ、415:出力シャフト、43:ファン、45:伝達機構、451:偏心シャフト、452:軸受、453:軸受、454:偏心部、456:駆動軸受、458:揺動アーム、5:スピンドル、501:軸受、502:軸受、51:工具装着部、511:凹部、513:傾斜面、515:凹部、57:バネ受け部材、60:クランプ機構、61:クランプシャフト、611:シャフト部、612:溝部、615:クランプヘッド、65:クランプバネ、67:押下げ機構、671:押下げスリーブ、673:大径部、674:下端面、675:付勢バネ、676:バネ受け部材、7:ロック機構、71:クランプ部材、717:突条部、718:弾性リング、73:ホルダ、731:挿入孔、733:保持凹部、735:バネ受け部、737:当接部、75:カラー、751:軸受、753:溝、77、770:レバー、771:アーム、772:係合部、773:円板部、774:円筒部、775:突起、776:内側フランジ、777:外側面、778、内側面、779:把持部、78、780:回動シャフト、781:偏心部、783:係合溝、801:吸気口、803、804、805:吸気口、807:排気口、809:排気口、81:隔壁、83:塞ぎ部材、91:先端工具、911:凸部、913:傾斜面、93:バッテリ、A1:駆動軸、A2:回転軸、A3:回動軸、P:揺動面
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