(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】シート排出装置、シート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 43/00 20060101AFI20240603BHJP
B65H 31/18 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B65H43/00
B65H31/18
(21)【出願番号】P 2020134814
(22)【出願日】2020-08-07
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 仁
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-222486(JP,A)
【文献】特開2009-286515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 43/00
B65H 31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを排出する排出手段と、
前記排出手段によって排出されたシートが積載される積載部と、
前記積載部を昇降させる昇降手段と、
光を発する第1発光部と、前記第1発光部から受け取った光を検出する第1受光部とを有し、前記積載部に積載されたシートの上面の位置に応じて出力信号が変化する透過型センサと、
光を発する第2発光部と、前記第2発光部から発せられた後にシートによって反射された光を検出する第2受光部とを有し、前記積載部に積載されたシートの上面の位置に応じて出力信号が変化する反射型センサと、
前記透過型センサによるシートの検出が可能か判断する第1判断手段と、前記透過型センサによるシートの検出が必要か判断する第2判断手段とを含み、前記昇降手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記第1判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が可能と判断した場合、前記透過型センサ及び前記反射型センサの出力信号に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行し、
前記第1判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が可能ではないと判断し、かつ、前記第2判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が必要ではないと判断した場合、前記反射型センサの出力信号に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行し、
前記第1判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が可能ではないと判断し、かつ、前記第2判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が必要と判断した場合、前記排出手段によるシートの排出を停止させる、
ことを特徴とするシート排出装置。
【請求項2】
シートを排出する排出手段と、
前記排出手段によって排出されたシートが積載される積載部と、
前記積載部を昇降させる昇降手段と、
光を発する第1発光部と、前記第1発光部から受け取った光を検出する第1受光部とを有し、前記積載部に積載されたシートの上面の位置に応じて出力信号が変化する透過型センサと、
光を発する第2発光部と、前記第2発光部から発せられた後にシートによって反射された光を検出する第2受光部とを有し、前記積載部に積載されたシートの上面の位置に応じて出力信号が変化する反射型センサと、
前記透過型センサによるシートの検出が可能か判断する第1判断手段と、前記透過型センサによるシートの検出が必要か判断する第2判断手段とを含み、前記昇降手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記第1判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が可能と判断した場合、前記透過型センサ及び前記反射型センサの出力信号に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行し、
前記第1判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が可能ではないと判断し、かつ、前記第2判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が必要ではないと判断した場合、前記反射型センサの出力信号に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行し、
前記第1判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が可能ではないと判断し、かつ、前記第2判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が必要と判断した場合、前記排出手段によって排出されるシートに関連する情報に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行する、
ことを特徴とするシート排出装置。
【請求項3】
前記排出手段によって排出されるシートに関連する情報は、排出されるシートの枚数及びシート1枚当たりの厚さを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート排出装置。
【請求項4】
前記排出手段によって排出されるシートに関連する情報は、シートの坪量、シートの流れ目、片面印刷か両面印刷かの情報、シートのサイズ、シートに施された処理の種類、シートが置かれていた環境の温度、及び、シートが置かれていた環境の湿度の少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のシート排出装置。
【請求項5】
シートを排出する排出手段と、
前記排出手段によって排出されたシートが積載される積載部と、
前記積載部を昇降させる昇降手段と、
光を発する第1発光部と、前記第1発光部から受け取った光を検出する第1受光部とを有し、前記積載部に積載されたシートの上面の位置に応じて出力信号が変化する透過型センサと、
光を発する第2発光部と、前記第2発光部から発せられた後にシートによって反射された光を検出する第2受光部とを有し、前記積載部に積載されたシートの上面の位置に応じて出力信号が変化する反射型センサと、
前記昇降手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記第1発光部が光を発していない状態における前記第1受光部の受光量が第1の量である場合、前記透過型センサ及び前記反射型センサの出力信号に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行し、
前記第1発光部が光を発していない状態における前記第1受光部の受光量が前記第1の量より多い第2の量であり、かつ、前記排出手段によって排出されるシートの坪量及びシートが置かれていた環境の湿度が所定の条件を満たさない場合、前記反射型センサの出力信号に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行し、
前記第1発光部が光を発していない状態における前記第1受光部の受光量が前記第2の量であり、かつ、前記排出手段によって排出されるシートの坪量及びシートが置かれていた環境の湿度が前記所定の条件を満たす場合、前記排出手段によるシートの排出を停止させる、
ことを特徴とするシート排出装置。
【請求項6】
シートを排出する排出手段と、
前記排出手段によって排出されたシートが積載される積載部と、
前記積載部を昇降させる昇降手段と、
光を発する第1発光部と、前記第1発光部から受け取った光を検出する第1受光部とを有し、前記積載部に積載されたシートの上面の位置に応じて出力信号が変化する透過型センサと、
光を発する第2発光部と、前記第2発光部から発せられた後にシートによって反射された光を検出する第2受光部とを有し、前記積載部に積載されたシートの上面の位置に応じて出力信号が変化する反射型センサと、
前記昇降手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記第1発光部が光を発していない状態における前記第1受光部の受光量が第1の量である場合、前記透過型センサ及び前記反射型センサの出力信号に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行し、
前記第1発光部が光を発していない状態における前記第1受光部の受光量が前記第1の量より多い第2の量であり、かつ、前記排出手段によって排出されるシートの坪量及びシートが置かれていた環境の湿度が所定の条件を満たさない場合、前記反射型センサの出力信号に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行し、
前記第1発光部が光を発していない状態における前記第1受光部の受光量が前記第2の量であり、かつ、前記排出手段によって排出されるシートの坪量及びシートが置かれていた環境の湿度が前記所定の条件を満たす場合、前記排出手段によるシートの排出に応じて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行する、
ことを特徴とするシート排出装置。
【請求項7】
上方から見た場合に、前記第1発光部から照射される光の光軸方向と、前記第2発光部から照射される光の光軸方向とが交差している、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項8】
前記透過型センサは、前記排出手段のシート排出方向に対して垂直なシート幅方向に前記第1発光部及び前記第1受光部が互いに対向し、前記第1発光部から前記シート幅方向に向けて照射される光を前記第1受光部が検出するように構成され、
前記反射型センサは、前記第2発光部及び前記第2受光部が前記積載部に対して前記シート排出方向の上流側に設けられ、前記第2発光部から前記シート排出方向の下流側に向けて照射され、シートによって前記シート排出方向の上流側に向かって反射された光を前記第2受光部が検出するように構成されている、
ことを特徴とする請求項7に記載のシート排出装置。
【請求項9】
シートに処理を施す処理手段と、
前記処理手段によって処理を施されたシートを排出する請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシート排出装置と、
を備える、
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項10】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって画像を形成されたシートを排出する請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシート排出装置と、
を備える、
ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを排出するシート排出装置、シートに処理を施すシート処理装置、及び、シートに画像を形成する画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成システムは、画像を記録した後に必要に応じて綴じ処理等の処理を施したシートを排出するシート排出装置を備えている。このようなシート排出装置として、排出されたシートが積載されるトレイを昇降させて、トレイ上に積載されたシートの上面が一定の高さになるようにしたものが知られている。特許文献1には、トレイ上方の左右に発光部及び受光部を配置して、発光部及び受光部を結ぶ光軸をシートが遮ることでシートの上面の位置を検出する透過型センサが記載されている。
【0003】
透過型センサの受光部は、太陽光等の外乱光の影響を受ける場合があることが知られている。トレイの昇降に関する誤動作を防ぐために外乱光がある場合は常にシートの排出を停止することにすると、装置を使用できない時間帯が生じる場合がある。特許文献2には、発光部及び受光部の配置を逆にした2つの透過型センサを配置して、外乱光に影響を受けていないいずれか一方のセンサを用いてトレイの昇降制御を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-335236号公報
【文献】特開2009-286515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2の構成では、発光部及び受光部の配置が異なるのみで実質的に同じ機能のセンサを2つ用いており、外乱光への対処を目的としてコスト増加を容認する構成となっていた。
【0006】
本発明は、従来の技術をさらに発展させたものであり、その目的は、例えば簡易な構成で外乱光の影響を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るシート排出装置は、シートを排出する排出手段と、前記排出手段によって排出されたシートが積載される積載部と、前記積載部を昇降させる昇降手段と、光を発する第1発光部と、前記第1発光部から受け取った光を検出する第1受光部とを有し、前記積載部に積載されたシートの上面の位置に応じて出力信号が変化する透過型センサと、光を発する第2発光部と、前記第2発光部から発せられた後にシートによって反射された光を検出する第2受光部とを有し、前記積載部に積載されたシートの上面の位置に応じて出力信号が変化する反射型センサと、前記透過型センサによるシートの検出が可能か判断する第1判断手段と、前記透過型センサによるシートの検出が必要か判断する第2判断手段とを含み、前記昇降手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が可能と判断した場合、前記透過型センサ及び前記反射型センサの出力信号に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行し、前記第1判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が可能ではないと判断し、かつ、前記第2判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が必要ではないと判断した場合、前記反射型センサの出力信号に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行し、前記第1判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が可能ではないと判断し、かつ、前記第2判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が必要と判断した場合、前記排出手段によるシートの排出を停止させる、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の他の一態様に係るシート排出装置は、シートを排出する排出手段と、前記排出手段によって排出されたシートが積載される積載部と、前記積載部を昇降させる昇降手段と、光を発する第1発光部と、前記第1発光部から受け取った光を検出する第1受光部とを有し、前記積載部に積載されたシートの上面の位置に応じて出力信号が変化する透過型センサと、光を発する第2発光部と、前記第2発光部から発せられた後にシートによって反射された光を検出する第2受光部とを有し、前記積載部に積載されたシートの上面の位置に応じて出力信号が変化する反射型センサと、前記透過型センサによるシートの検出が可能か判断する第1判断手段と、前記透過型センサによるシートの検出が必要か判断する第2判断手段とを含み、前記昇降手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が可能と判断した場合、前記透過型センサ及び前記反射型センサの出力信号に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行し、前記第1判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が可能ではないと判断し、かつ、前記第2判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が必要ではないと判断した場合、前記反射型センサの出力信号に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行し、前記第1判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が可能ではないと判断し、かつ、前記第2判断手段により前記透過型センサによるシートの検出が必要と判断した場合、前記排出手段によって排出されるシートに関連する情報に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明のさらに他の一態様に係るシート排出装置は、シートを排出する排出手段と、前記排出手段によって排出されたシートが積載される積載部と、前記積載部を昇降させる昇降手段と、光を発する第1発光部と、前記第1発光部から受け取った光を検出する第1受光部とを有し、前記積載部に積載されたシートの上面の位置に応じて出力信号が変化する透過型センサと、光を発する第2発光部と、前記第2発光部から発せられた後にシートによって反射された光を検出する第2受光部とを有し、前記積載部に積載されたシートの上面の位置に応じて出力信号が変化する反射型センサと、前記昇降手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1発光部が光を発していない状態における前記第1受光部の受光量が第1の量である場合、前記透過型センサ及び前記反射型センサの出力信号に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行し、前記第1発光部が光を発していない状態における前記第1受光部の受光量が前記第1の量より多い第2の量であり、かつ、前記排出手段によって排出されるシートの坪量及びシートが置かれていた環境の湿度が所定の条件を満たさない場合、前記反射型センサの出力信号に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行し、前記第1発光部が光を発していない状態における前記第1受光部の受光量が前記第2の量であり、かつ、前記排出手段によって排出されるシートの坪量及びシートが置かれていた環境の湿度が前記所定の条件を満たす場合、前記排出手段によるシートの排出を停止させる、ことを特徴とする。
【0010】
本発明のさらに他の一態様に係るシート排出装置は、シートを排出する排出手段と、前記排出手段によって排出されたシートが積載される積載部と、前記積載部を昇降させる昇降手段と、光を発する第1発光部と、前記第1発光部から受け取った光を検出する第1受光部とを有し、前記積載部に積載されたシートの上面の位置に応じて出力信号が変化する透過型センサと、光を発する第2発光部と、前記第2発光部から発せられた後にシートによって反射された光を検出する第2受光部とを有し、前記積載部に積載されたシートの上面の位置に応じて出力信号が変化する反射型センサと、前記昇降手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1発光部が光を発していない状態における前記第1受光部の受光量が第1の量である場合、前記透過型センサ及び前記反射型センサの出力信号に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行し、前記第1発光部が光を発していない状態における前記第1受光部の受光量が前記第1の量より多い第2の量であり、かつ、前記排出手段によって排出されるシートの坪量及びシートが置かれていた環境の湿度が所定の条件を満たさない場合、前記反射型センサの出力信号に基づいて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行し、前記第1発光部が光を発していない状態における前記第1受光部の受光量が前記第2の量であり、かつ、前記排出手段によって排出されるシートの坪量及びシートが置かれていた環境の湿度が前記所定の条件を満たす場合、前記排出手段によるシートの排出に応じて前記昇降手段による前記積載部の昇降を実行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構成で、外乱光の影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る画像形成システムの概略図。
【
図2】第1実施形態に係るシート排出部の概略図(a、b)。
【
図3】第1実施形態に係る透過型上面センサ及び反射型上面センサについて説明するための図(a~d)。
【
図4】第1実施形態に係る画像形成システムのハードウェア構成を表す図。
【
図5】第1実施形態に係る画像形成システムの機能ブロック図。
【
図6】第1実施形態に係る排出トレイの昇降制御に関するフローチャート。
【
図7】第2実施形態に係る画像形成システムの機能ブロック図。
【
図8】第2実施形態に係る排出トレイの昇降制御に関するフローチャート。
【
図9】変形例に係る排出トレイの昇降制御に関するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
<第1実施形態>
図1に示すように、第1実施形態に係る画像形成システム1Sは、画像形成装置1、画像読取装置2、原稿送り装置3及びシート処理装置4によって構成される。画像形成システム1Sは、記録材であるシートに画像を形成し、必要に応じてシート処理装置4によってシートに処理を施して出力する。以下、各装置の簡単な動作を説明した後、シート処理装置4について詳細な説明を行う。
【0015】
原稿送り装置3は、原稿トレイ18に載置された原稿を画像読取部16,19に搬送する。画像読取部16,19はそれぞれ原稿面から画像情報を読み取るイメージセンサであり、一度の原稿搬送で原稿の両面の読み取りが行われる。画像情報を読み取られた原稿は原稿排出部20に排出される。また、画像読取装置2は駆動装置17により画像読取部16を往復移動させることで、原稿台ガラスにセットされた静止原稿(ブックレット原稿などの原稿送り装置3が使用できない原稿を含む)から画像情報を読み取ることができる。
【0016】
画像形成装置1は、直接転写方式の画像形成部1Bを備えた電子写真装置である。画像形成部1Bは、感光ドラム9を備えたカートリッジ8と、カートリッジ8の上方に配置されたレーザスキャナユニット15と、を備えている。画像形成動作を行う場合、回転する感光ドラム9の表面が帯電させられ、レーザスキャナユニット15が画像情報に基づいて感光ドラム9を露光することでドラム表面に静電潜像を書き込む。感光ドラム9に担持された静電潜像は帯電したトナー粒子によってトナー像に現像され、感光ドラム9と転写ローラ10とが対向する転写部にトナー像が搬送される。画像形成装置1のコントローラは、画像読取部16,19によって読み取られた画像情報又は外部のコンピュータからネットワークを介して受信した画像情報に基づいて画像形成部1Bによる画像形成動作を実施する。
【0017】
画像形成装置1は、記録材としてのシートを1枚ずつ所定の間隔で給送する給送装置6を複数備えている。給送装置6から給送されたシートはレジストレーションローラ7にて斜行を補正された後に転写部に搬送され、転写部において、感光ドラム9に担持されたトナー像を転写される。シート搬送方向における転写部の下流には定着ユニット11が配置されている。定着ユニット11は、シートを挟持して搬送する回転体対と、トナー像を加熱するためのハロゲンランプ等の発熱体とを有し、シート上のトナー像を加熱及び加圧することで画像の定着処理を行う。
【0018】
画像形成されたシートを画像形成装置1の外部に排出する場合、定着ユニット11を通過したシートは水平搬送部14を介してシート処理装置4に搬送される。両面印刷において第1面の画像形成が終了したシートの場合、定着ユニット11を通過したシートは反転ローラ12に受け渡され、反転ローラ12によってスイッチバック搬送され、再搬送部13を介して再びレジストレーションローラ7に搬送される。そして、シートは、再び転写部及び定着ユニット11を通過することで第2面に画像を形成された後、水平搬送部14を介してシート処理装置4に搬送される。
【0019】
上記の画像形成部1Bはシートに画像を形成する画像形成手段の一例であり、感光体に形成したトナー像を中間転写体を介してシートに転写する中間転写方式の電子写真ユニットを用いてもよい。また、インクジェット方式やオフセット印刷方式の印刷ユニットを画像形成手段として用いてもよい。
【0020】
[シート処理装置]
シート処理装置4には、シートを搬送する搬送路として受入パス91、内排出パス92、第1排出パス93及び第2排出パス94が設けられており、シートを排出する排出先として上段及び下段の排出トレイ25,37が設けられている。下段の排出トレイ37は、上下方向V(重力方向)において上段の排出トレイ25の下方に配置されている。第1搬送路としての受入パス91は、画像形成装置1からシートを受け取って案内する搬送路である。第2搬送路としての内排出パス92は、受入パス91の下方に配置され、受入パス91からシートを受け取り、綴じ処理部4Aへ向けてシートを案内する搬送路である。第1排出パス93は、シートを上段の排出トレイ25に排出する搬送路であり、第3搬送路としての第2排出パス94は、中間積載部39から束排出ローラ36に向けて延び、シートを束排出ローラ36に案内する搬送路である。
【0021】
画像形成装置1の水平搬送部14から排出されるシートは、受入パス91に配置された搬送部としての入口ローラ21によって受け取られ、受入パス91を通って反転前ローラ22へ向けて搬送される。受入パス91には、入口ローラ21と反転前ローラ22との間の検知位置でのシートの有無に基づいて出力値(例えば電圧値や出力信号)を変化させる入口センサ27が設けられている。反転前ローラ22は、入口ローラ21から受け取ったシートを第1排出パス93へ向けて搬送する。
【0022】
なお、入口ローラ21によるシートの搬送速度を水平搬送部14よりも大きく設定し、入口ローラ21がシートを受け取った後にシートの搬送速度を加速してもよい。この場合、水平搬送部14の搬送ローラとこれを駆動するモータとの間にワンウェイクラッチを設置し、入口ローラ21によってシートが引っ張られたとしても搬送ローラが空転するように構成すると好適である。
【0023】
シートの排出先が第1積載部としての上段の排出トレイ25の場合、受入パス91及び内排出パス92の分岐部に設けられた案内部材23によって、シートは第1排出パス93に案内される。第1排出パス93には、第1排出部としての反転ローラ24が設けられており、反転ローラ24は反転前ローラ22から受け取ったシートを上段の排出トレイ25に排出する。
【0024】
シートの排出先が第2積載部としての下段の排出トレイ37の場合、反転部としての反転ローラ24は反転前ローラ22から受け取ったシートを反転させるスイッチバック搬送を行って、シートを内排出パス92に搬送する。具体的には、案内部材23がC2方向に回動した状態でシートは第1排出パス93に案内される。そして、シートの後端が反転センサ41を通過すると、反転ローラ24が逆転すると共に案内部材23がC1方向に回動する。これにより、シートは内排出パス92に搬送される。すなわち、内排出パス92は、受入パス91とは反対方向にシートを案内する。反転センサ41は、シートの排出先を上段の排出トレイ25から下段の排出トレイ37に切り換えるために用いる排出先切換センサとして機能する。
【0025】
内排出パス92に配置された回転体対としての内排出ローラ26、中間搬送ローラ28及び蹴り出しローラ29は、反転ローラ24から受け取ったシートを順に受け渡しながら綴じ処理部4Aへ向けて搬送する。中間積載前センサ38は、中間搬送ローラ28と蹴り出しローラ29との間でシートを検出する。入口センサ27、中間積載前センサ38及び反転センサ41としては、例えば光を用いて検知位置におけるシートの有無を検出する光学センサや、シートに押圧されるフラグを用いたフラグセンサが用いられる。
【0026】
処理部としての綴じ処理部4Aは、束押さえフラグ30と、第3積載部としての中間積載部39と、ステイプラ57と、束排出ガイド34と、駆動ベルト35と、を有し、シートに整合処理を施す。中間積載部39は、中間上ガイド31及び中間下ガイド32から構成され、複数枚のシートがシート束として積載される。ローラ対からなる蹴り出しローラ29によって中間積載部39に向けて排出されたシート束は、束押さえフラグ30によって中間下ガイド32に押し付けられる。
【0027】
そして、中間積載部39に排出されたシート束は、中間下ガイド32に沿って下方に案内され、半月ローラ33によって中間積載部39のシート搬送方向における下流端部に設けられる縦整合板に突き当てられる。また、縦整合板によってシート搬送方向に整合されたシート束は、不図示の横整合板によってシート搬送方向に直交する幅方向に整合される。なお、半月ローラ33は、中間積載部39に整合されたシート束に対しては、シート束上をスリップするような搬送圧に設定されている。
【0028】
このような整合処理が行われた後、シート束は、処理手段としてのステイプラ57により綴じ処理を施される。そして、綴じられたシート束は、駆動ベルト35に固定された束排出ガイド34によって押し出され、第2排出パス94を介して束排出ローラ36に受け渡される。シート束は、第2排出部としての束排出ローラ36によって機外へ排出されて下段の排出トレイ37に積載される。なお、ステイプラ57は処理手段の一例であり、シート束を2つ折り(中折り)にして中央部を綴じる中綴じ処理を行う処理ユニット等、シートに他の処理を施す処理手段を用いてもよい。また、シートに施す処理には、所定枚数のシート毎にシート束の整合位置をずらして排出する処理(所謂ジョグ排出)も含まれる。
【0029】
下段の排出トレイ37は、シート処理装置4の筐体に対して上下方向V(略鉛直方向)に移動可能である。シート処理装置4は、後述するように、下段の排出トレイ37に積載されたシートの有無を検出するセンサ及び積載されたシートの上面の位置(上下方向Vにおける最上位シートの高さ)を検出するセンサ等を備えている。排出トレイ37は、これらのセンサの出力信号に基づいて、排出トレイ37上のシートの積載量が増えるにつれてA2方向に下降するように制御される。また、排出トレイ37上からシートが取り除かれると、排出トレイ37は初期位置へ向かってA1方向に上昇するように制御される。昇降可能な下段の排出トレイ37を含むシート排出部100を下で説明する。
【0030】
なお、本実施形態の構成例において、上段の排出トレイ25はシート処理装置4の筐体に固定された固定部材である。しかしながら、上段の排出トレイ25も下段の排出トレイ37と同様に昇降可能な構成としてもよい。その場合、以下で説明するシート排出部100と同様の構成を上段の排出トレイ25に適用可能である。
【0031】
[シート排出部]
図2(a、b)に本実施例に係るシート排出装置としてのシート排出部100の構成を示す。
図2(a)は、シート排出部100の概略構成を示す断面図である。
図2(b)は、シート排出部100の概略構成を示す斜視図である。以下、シート処理装置4の外部に向かってシートが排出される方向を「シート排出方向D」とし、シート排出方向D及び上下方向Vに対して垂直な方向(束排出ローラ36の回転軸線方向)を「シート幅方向W」とする。
【0032】
シート排出部100は、排出手段としての束排出ローラ36と、積載部としての排出トレイ37と、を含む。束排出ローラ36は、綴じ処理部4Aにおいて処理されたシート束を挟持してシート排出方向Dに搬送することでシート処理装置4の筐体外に排出するローラ対である。排出トレイ37は、シート処理装置4の筐体に対して昇降する昇降トレイである。
【0033】
また、シート排出部には、シート有無センサ50、上限センサ53、下限センサ54、透過型上面センサ51及び反射型上面センサ52が設けられている。以下、各センサの概要を説明する。
【0034】
シート有無センサ50は、排出トレイ37上に少なくとも1枚のシートが積載されているか否かを検出するためのセンサである。シート有無センサ50は、シート幅方向Wにおける排出トレイ37の中央部において排出トレイ37の上面(シート積載面)から上方に突出するフラグ部材50aと、フラグ部材50aによって遮光されるフォトインタラプタとを含む。排出トレイ37にシートが積載されると、フラグ部材50aがシートに押圧されて揺動し、フォトインタラプタが透過状態から遮光状態に切り換わる。排出トレイ37上に1枚もシートが積載されていない場合、フラグ部材50aは排出トレイ37の上方に突出してフォトインタラプタは透過状態となる。これにより、排出トレイ37のシートの有無に応じた信号が出力される。
【0035】
上限センサ53は、排出トレイ37が上下方向Vに関する昇降範囲の上限位置に有ることを検出するセンサである。下限センサ54は、排出トレイ37が上下方向Vに関する昇降範囲の下限位置に有ることを検出するセンサである。上限センサ53及び下限センサ54としては、排出トレイ37に設けられた遮光部によって遮光されるフォトインタラプタを用いることができる。排出トレイ37が上限位置又は下限位置に移動すると、遮光部がフォトインタラプタが透過状態から遮光状態に切り換わる。排出トレイ37が上限位置と下限位置の間の位置に有るとき、フォトインタラプタは透過状態となる。これにより、上限センサ53は排出トレイ37が上限位置に有るか否かに応じた信号を出力し、下限センサ54は排出トレイ37が下限位置に有るか否かに応じた信号を出力する。
【0036】
透過型上面センサ51は、上下方向Vにおいて束排出ローラ36より下方に設けられている。透過型上面センサ51は、発光部51a(第1発光部)と、受光部51b(第1受光部)からなる光電センサ(透過型センサ)であり、排出トレイ37の上方で発光部51a及び受光部51bが互いに対向している。受光部51bは、発光部51aが照射する光の光軸L51上に配置されている。光軸L51の方向は、好ましくはシート幅方向Wと平行である。
【0037】
光軸L51上にシートが無い場合、発光部51aから発せられた光が受光部51bに届くことで受光部51bが受光量に応じた出力信号(例えば電圧値)を出力する。光軸L51上にシートが有る場合、発光部51aから発せられた光がシートにより遮られて受光部51bの受光量が減少することで、受光部51bの出力信号が変動する。これにより、透過型上面センサ51は排出トレイ37上に積載されたシートの上面の位置に応じた出力信号(検知信号)を出力する。
【0038】
反射型上面センサ52は、上下方向Vにおいて束排出ローラ36より下方に設けられている。反射型上面センサ52は、基板上に配置された発光部52a(第2発光部)及び受光部52b(第2受光部)からなる光電センサ(反射型センサ)であり、シート排出方向Dにおいて排出トレイ37の上流側に設けられている。発光部52aが照射する光の光軸L52の方向は、透過型上面センサ51の光軸L51と交差する方向である。より好ましくは、光軸L52の方向は、シート排出方向Dに沿った方向(シート排出方向Dの下流に向かう方向)である。受光部52bは、シート排出方向Dの下流側から入射する光を検出可能である。
【0039】
光軸L52上にシートが有る場合、発光部52aから発せられた後にシートによって反射された光が受光部51bに入射することで、受光部52bが受光量に応じた出力信号(例えば電圧値)を出力する。光軸L52上にシートが無い場合、発光部52aから発せられた光はシートに反射されず、光軸L52上にシートが有る場合に比べて受光部52bの受光量が減少することで、受光部51bの出力信号が変動する。これにより、反射型上面センサ52は排出トレイ37上に積載されたシートの上面の位置に応じた出力信号(検知信号)を出力する。
【0040】
透過型上面センサ51及び反射型上面センサ52の発光部51a,52aは例えばLEDからなり、受光部51b,52bは例えばフォトトランジスタからなる。また、本実施例において透過型上面センサ51及び反射型上面センサ52がシートの検知に用いる「光」は、赤外線であってもよい。
【0041】
排出トレイ37は、昇降手段としての昇降モータ55(
図4)に駆動されることで上下方向Vに沿った方向に昇降する。このとき、後述するように昇降制御部80(
図5)が上記各センサ(50~54)の出力信号に基づいて昇降モータ55を制御することで、排出トレイ37の昇降制御が実施される。
【0042】
なお、昇降モータ55の駆動力により排出トレイ37を駆動させる具体的な機構としては、例えば次のものが挙げられる。排出トレイ37のシート積載面は、シート処理装置4の筐体に支持されるステーに支持されており、このステーは、筐体に固定されて上下方向Vに延びるレールに沿って上下にスライド可能である。また、ステーは、昇降モータ55に接続された駆動プーリと他のプーリとによって上下方向Vに張架されているベルトに対して連結されている。昇降モータ55が正転又は逆転すると、駆動プーリを介してベルトが回転することで、昇降モータ55の回転量に応じて排出トレイ37が上昇又は下降する。
【0043】
図3(a~d)を用いて透過型上面センサ51及び反射型上面センサ52の機能をさらに説明する。
図3(a)は、シート排出方向Dの下流側からシート排出部100を見た模式図である。
図3(b)は、
図3(a)の状態のシート排出部100をシート幅方向Wに見た模式図である。透過型上面センサ51の光軸L51は、排出トレイ37に対してシートSが積載されていく方向(矢印Y1、排出トレイ37のシート積載面の法線方向)において、反射型上面センサ52の光軸L52より僅かに下方に配置されている。本実施例では、設計上、透過型上面センサ51の光軸L51は反射型上面センサ52の光軸L52に対して3mm下方に位置する。よって、下記の湾曲(カール)やもたれが発生せずにシートSが略平らに積載されている場合、透過型上面センサ51が先にシートSを検出する。
【0044】
図3(c)は、
図3(a)と同じ視点からシート排出部100を見た図であり、排出トレイ37に積載されたシートSに矢印Y2で示すカールが生じている状態を表している。排出トレイ37の位置は
図3(a)と同じであるものとする。ここでいうカールとは、シート幅方向WにおけるシートSの中央部に比べていずれかの端部が上方に持ち上がった状態(又は、両端部に比べて中央部が持ち上がった状態)を指す。シートSにカールが生じた状態では、カールしたシートSの端部が光軸L51を遮った時点で、透過型上面センサ51の受光部51bの信号レベルが変化する。
【0045】
図3(d)は、
図3(b)と同じ視点からシート排出部100を見た図であり、排出トレイ37に積載されたシートSがシート処理装置4の壁面4aにもたれている状態を示す。排出トレイ37の位置は
図3(b)と同じであるものとする。壁面4aは、シート排出方向Dの下流に向かって上方に傾斜している排出トレイ37の傾斜により、排出トレイ37に積載されるシートSの後端(シート排出方向Dの上流端)が突き当たることで、シート排出方向Dに関するシートSの整合基準となる。シートSのもたれとは、新たに排出されたシートSの後端が、排出トレイ37のシート積載面又は既に積載されているシートの上面に着地する前に壁面4aに接触し、壁面4aに後端が保持された状態を指す。シートSのもたれが生じると、もたれたシートSが光軸L52を遮った時点で、反射型上面センサ52の受光部52bの信号レベルが変化する。
【0046】
このように、透過型上面センサ51と反射型上面センサ52は、シートSの上面の位置を検知する機能が共通である一方で、排出トレイ37に積載されたシートSの形状や姿勢に対して異なった検知特性を有している。異なる検知特性のセンサを組み合わせることで、排出トレイ37の昇降制御をより的確に行うことができる。例えば、仮に透過型上面センサ51のみでシートSの上面位置を検知する場合、透過型上面センサ51の出力信号が光軸L51上にシートが無いことを表しているにも関わらず、実際にはもたれたシートが束排出ローラ36のニップ部を覆っている可能性がある。この場合、もたれたシートによって新たなシートの排出が妨げられ、シートの排出不良や排出トレイ37からの脱落が生じる可能性がある。同様に、反射型上面センサ52のみでシートSの上面位置を検知する場合も、カールしたシートによって新たなシートの排出が妨げられ、シートの排出不良や排出トレイ37からの脱落が生じる可能性がある。これに対し、透過型上面センサ51と反射型上面センサ52を併用してシートSの上面位置を監視しながら排出トレイ37の昇降制御を行うことで、上記の不都合が生じる可能性を低減できる。
【0047】
[ハードウェア構成]
図4は、本実施形態に係る画像形成システム1Sのハードウェア構成を示すブロック図である。画像形成システム1Sは、
図4に示すように、シート処理装置4の主制御部101と、コントローラ119と、画像形成装置制御部301とを有している。コントローラ119は、画像形成装置1とシート処理装置4とを統括する。画像形成装置制御部301は、画像形成装置1を制御する。主制御部101は、シート処理装置4を制御する。
【0048】
コントローラ119は、画像形成装置制御部301及び主制御部101にそれぞれ送信信号線302,304を介して接続されており、画像形成装置制御部301及び主制御部101へ命令やデータをシリアル通信で送信する。画像形成装置制御部301は、コントローラ119に送信信号線303を介して接続されており、コントローラ119にデータをシリアル通信で送信する。シート処理装置4の主制御部101は、コントローラ119に送信信号線305を介して接続されており、コントローラ119にデータをシリアル通信で送信する。画像形成動作を行うに際し、コントローラ119は画像形成装置制御部301及び主制御部101に対し、命令を送信すると共に、画像形成装置制御部301及び主制御部101からのデータを受信する。このように、複数の装置が接続され動作する場合に、コントローラ119が各装置の制御や状態を一元管理し、各装置間の動作の整合性を保っている。
【0049】
本実施形態における制御手段であるシート処理装置4の主制御部101は、CPU306と、RAM307と、ROM308と、通信部315と、I/Oポート310と、を有している。CPU306は、シート処理装置4の各種動作を制御する中央演算装置である。RAM307は、シート処理装置4の動作に必要となる制御データを一時的に記憶する揮発性メモリである。ROM308は、シート処理装置4の制御プログラムや動作に必要となる制御テーブルを記憶する不揮発性メモリである。通信部315は、コントローラ119との交信処理を行う。
【0050】
これらCPU306、RAM307、ROM308、通信部315は、バス309を介してI/Oポート310に接続されており、I/Oポート310はシート処理装置4の各種構成要素と接続されている。つまり、主制御部101はI/Oポート310を介してシート処理装置4の各種アクチュエータを動作させるための制御信号を出力すると共に、シート処理装置4の各種センサから検知信号を入力されている。
【0051】
より具体的には、主制御部101は、昇降モータ駆動回路65を介して、昇降モータ55に接続されている。本実施例では、昇降モータ55は、ステッピングモータを用いている。昇降モータ55は、不図示のギヤなどの動力伝達機構を介して、排出トレイ37の昇降機構と接続され、昇降モータ55が第1方向に回転することで排出トレイ37が上昇し、第1方向とは反対の第2方向に回転することで排出トレイ37が下降する。昇降モータ55の1ステップの回転動作に応じて、排出トレイ37が所定の距離(例えば0.01mm)上昇又は下降する。
【0052】
また、主制御部101は、発光回路61a及び受光回路61bを介して透過型上面センサ51の発光部51a及び受光部51bと接続され、発光回路62a及び受光回路62bを介して反射型上面センサ52の発光部52a及び受光部52bと接続されている。透過型上面センサ51の受光部51b及び反射型上面センサ52の受光部52bは、光を受光していない場合、受光回路61b,62bを介して主制御部101にLowレベルの信号を入力し、光を受光している場合、Highレベルの信号を入力する。さらに、I主制御部101は、入力回路63,64,65を介して、上限センサ53、下限センサ54、シート有無センサ50と接続され、各センサが出力した信号を入力されている。
【0053】
[機能構成]
図5は、画像形成システム1Sの機能構成を示すブロック図である。主制御部101は、モータ制御部75、フォトセンサ制御部71、フォトインタラプタ検出部70、昇降制御部80、通信制御部79により構成される。
【0054】
モータ制御部75は、昇降制御部80からの指示により、昇降モータ55を第1方向へ回転させ、第2方向へ回転させ、又は停止させる制御を行う。ステッピングモータである昇降モータ55の駆動ステップ数の指示がある場合、指定ステップ数分だけ指定方向への回転を実行させる制御を行う。フォトセンサ制御部71は、透過型上面センサ51の発光部51a及び反射型上面センサ52の発光部52aに対して点灯と消灯を繰り返す制御を行う。また、フォトセンサ制御部71は、発光部51a,52aの点灯状態における受光部51b,52bの信号レベルの取得と、発光部51a,52aの消灯状態における受光部51b,52bの信号レベルの取得を行う。本実施形態の構成例では、50ミリ秒の周期で発光部51a,52bに点灯と消灯を繰り返させる。
【0055】
フォトインタラプタ検出部70は、上限センサ53、下限センサ54、シート有無センサ50として用いる各フォトインタラプタから取得した信号に基づき、排出トレイ37の位置及び排出トレイ37上のシートの有無を検出する。具体的には、フォトインタラプタ検出部70は、上限センサ53が遮光状態であることに基づいて排出トレイ37が上限位置に有ることを検出し、下限センサ54が遮光状態であることに基づいて排出トレイ37が下限位置に有ることを検出する。また、フォトインタラプタ検出部70は、シート有無センサ50のフォトインタラプタが遮光状態であることに基づいて排出トレイ37上にシートが有ることを検出する。
【0056】
通信制御部79は、前述したコントローラ119との通信制御を行う。コントローラ119との通信により、昇降制御部80は、排出トレイ37に排出される予定のシートに関連する情報を取得する。例えば、シートの種類、シートの坪量、シートの流れ目(紙の繊維の方向)、シートの印刷面(片面印刷か両面印刷か)、シートのサイズ、シートの枚数、シートに施される処理の種別、シートの設置環境の温度及び湿度等である。
【0057】
昇降制御部80は、透過型上面センサ51の出力信号に基づいてシートの有無を判断する第1シート有無判断部81と、反射型上面センサ52の出力信号に基づいてシートの有無を判断する第2シート有無判断部82と、を有する。昇降制御部80は、さらに透過型上面センサ51によるシート検出の可否を判断する検出可否判断部83と、透過型上面センサ51によるシート検出の要否を判断する検出要否判断部84と、を有する。昇降制御部80は、フォトセンサ制御部71、フォトインタラプタ検出部70及び通信制御部79から取得した情報に基づき、モータ制御部75に昇降モータ55の駆動を指示し、排出トレイ37の昇降制御を行う。
【0058】
第1シート有無判断部81は、フォトセンサ制御部71から取得した情報に基づき、透過型上面センサ51の光軸L51上におけるシートの有無を判断する。具体的には、透過型上面センサ51の発光部51aの点灯時の受光部51bの信号レベルを用いて、表1に示す関係に基づいてシートの有無を判断する。なお、表中の「Low」は、受光部51bの受光量が所定の基準より少ない状態(第1の量)に対応する信号レベルを表し、「High」は、受光部51bの受光量が所定の基準より多い状態(第2の量)に対応する信号レベルを表す。
【0059】
【0060】
第2シート有無判断部82は、フォトセンサ制御部71から取得した情報に基づき、反射型上面センサ52の光軸L52上におけるシートの有無を判断する。具体的には、反射型上面センサ52の発光部52aの点灯時及び消灯時の受光部52bの信号レベルを用いて、表2に示す関係に基づいてシートの有無を判断する。なお、表中の「Low」は、受光部52bの受光量が所定の基準より少ない状態に対応する信号レベルを表し、「High」は、受光部52bの受光量が所定の基準より多い状態に対応する信号レベルを表す。
【0061】
【0062】
本実施形態に係る第1判断手段である検出可否判断部83は、フォトセンサ制御部71から取得した情報に基づき、透過型上面センサ51を用いたシートの検出の可否を判断する。「シートの検出の可否」とは、透過型上面センサ51を用いて光軸L51上のシートの有無を検出することが妥当であるか否かを表す。具体的には、透過型上面センサ51の発光部51aの消灯時の受光部51bの信号レベルを用いて、表3に示す関係に基づいて透過型上面センサ51を用いたシートの検出の可否を判断する。
【0063】
【0064】
本実施形態に係る第2判断手段である検出要否判断部84は、コントローラ119から受信したシートに関連する情報を用いて、透過型上面センサ51を用いたシートの検出の要否を判断する。「シートの検出の要否」とは、透過型上面センサ51を用いて光軸L51上のシートの有無を検出することが必要であるか否かを表す。具体的には、コントローラ119から受信したシートに関連する情報を用いて、表4に示す関係に基づき透過型上面センサ51によるシートの検出の必要性を判断する。
【0065】
【0066】
図3(c)を用いて前述した通り、透過型上面センサ51はカールが発生したシートの場合は、カールによって持ち上がったシートの端部を検出可能に構成されている。シートのカールに起因する排出不良等の可能性を低減するためには、シートにカールが発生することが予想される状況では透過型上面センサ51を用いた排出トレイ37の昇降制御を行うことが望ましい。
【0067】
シートのカールは、画像形成に用いるシートの吸湿度が高いほど生じやすく、また、シートの坪量が小さいほど生じやすいことが知られている。そこで、本実施形態では、カールが発生する可能性が高いことを表す所定の条件として、シートに関連する情報の中でも、表4に示すシート設置環境の相対湿度[RH%]とシートの坪量[g/m2]の条件を用いる。「シート設置環境」とは、画像形成に用いるシートが置かれていた環境を指し、本実施形態の場合は画像形成装置1の給送装置6が備えるシートを収納する収納庫の環境を指す。シート設置環境の相対湿度は、コントローラ119を介した通信により、画像形成装置1が備える湿度センサの検知結果として取得することができる。
【0068】
なお、シート処理装置4に画像形成システム1Sが設置された環境の相対湿度を検知する湿度センサを配置してその検知結果を参照する構成としてもよい。また、透過型上面センサ51を用いたシート検出の要否判断は、排出されるシートに関連する情報に基づいて、表4に示す条件以外の条件で行ってもよい。例えば、薄紙、普通紙、厚紙といったシートの種類、シートの流れ目、シートの印刷面、シートのサイズ、シートの枚数、シートに施されるステイプル等の処理の種別、シート設置環境の温度の中の、少なくとも1つを用いた条件を用いてもよい。これらの条件は、シートのカールの生じやすさに相関があるか否かに応じて適宜組み合わせて用いられる。
【0069】
[排出トレイの昇降制御]
次に、本実施形態における主制御部101による排出トレイ37の昇降制御について説明する。主制御部101は、シート処理装置4の電源オン後、排出トレイ37をシートの排出先とする画像形成動作のジョブの有無を常時監視し、当該ジョブが実行される場合に排出トレイ37の昇降制御を実行する。昇降制御においては、排出トレイ37上にシートが無い場合は排出トレイ37を上限位置まで移動させ、シートが積載されている場合は、排出トレイ37上のシートの上面が所定の位置となるように、シートの積載量に応じて排出トレイ37を下降させる。
【0070】
図6のフローチャートを用いて、排出トレイ37の昇降制御について詳細に説明する。先ず、シート有無センサ50の出力信号に基づき、昇降制御部80は排出トレイ37上のシートの有無を判断する(S100)。排出トレイ37上にシートが無いと判断した場合、上限センサ53の検出結果に基づき、昇降制御部80は排出トレイ37が上限位置に有るか判断する(S101)。排出トレイ37が上限位置に有ると判断した場合、S100に戻り、昇降制御部80は、シート有無センサ50の出力信号が排出トレイ37上にシートが有ることを表している状態となるまでを待つ。S101において、排出トレイ37が上限位置に無いと判断した場合、昇降制御部80はモータ制御部75を介して昇降モータ55を第1方向に回転させ、排出トレイ37を上昇させる。そして、排出トレイ37が上限位置に有ることを上限センサ53の検知結果が示していることを確認すると、昇降制御部80は排出トレイ37の上昇を停止させる(S102)。
【0071】
上記の処理により、排出トレイ37上にシートが無い場合、排出トレイ37は上限位置で待機することになる。
【0072】
S100において排出トレイ37上にシートが有ると判断された場合、検出可否判断部83が透過型上面センサ51によるシート検出の可否を判断する(S103)。透過型上面センサ51によるシート検出が「可能」と判断された場合、第1シート有無判断部81及び第2シート有無判断部82により、透過型上面センサ51及び反射型上面センサ52がシートを検知しているか否かが判断される(S104、表1、表2参照)。透過型上面センサ51又は反射型上面センサ52の検知結果が「シート有り」の場合、昇降制御部80はモータ制御部75を介して昇降モータ55を第2方向に回転させ、排出トレイ37を下降させる(S105)。そして、透過型上面センサ51及び反射型上面センサ52の両方の検知結果が「シート無し」になる位置まで排出トレイ37が下降すると、昇降制御部80は排出トレイ37の下降を停止させる。又は、下降中に排出トレイ37が下限位置に有ることを下限センサ54の検知結果が示した場合、昇降制御部80は排出トレイ37の下降を停止させる。S104において、透過型上面センサ51及び反射型上面センサ52の両方の検知結果が「シート無し」の場合、昇降制御部80は排出トレイ37の下降は行わずS106へ進む。
【0073】
上記の処理により、検出可否判断部83が透過型上面センサ51によるシート検出が「可能」と判断した場合、透過型上面センサ51及び反射型上面センサ52の両方を用いた昇降制御が行われる。言い換えると、第1発光部が光を発していない状態における第1受光部の受光量が第1の量(表3のLow)である場合、透過型センサ及び反射型センサの出力信号に基づいて積載部の昇降を実行する。この場合、透過型上面センサ51及び反射型上面センサ52の検知特性を生かして、カールやもたれが生じた場合でもシートの排出を継続可能な、より確実性の高い昇降制御を実行することが可能である。
【0074】
S103において、検出可否判断部83が透過型上面センサ51によるシート検出は不可能と判断した場合、検出要否判断部84は、透過型上面センサ51によるシート検出が必要か判断する(S107)。透過型上面センサ51によるシート検出が「不要」と判断された場合、第2シート有無判断部82により反射型上面センサ52がシートを検知しているか否かが判断される(S108)。反射型上面センサ52の検知結果が「シート有り」の場合、昇降制御部80はモータ制御部75を介して昇降モータ55を第2方向に回転させ、排出トレイ37を下降させる(S109)。そして、反射型上面センサ52の検知結果が「シート無し」になる位置まで排出トレイ37が下降すると、昇降制御部80は排出トレイ37の下降を停止させる。又は、下降中に排出トレイ37が下限位置に有ることを下限センサ54の検知結果が示した場合、昇降制御部80は排出トレイ37の下降を停止させる。S108において、反射型上面センサ52の検知結果が「シート無し」の場合、昇降制御部80は排出トレイ37の下降は行わずS106へ進む。
【0075】
上記の処理により、検出可否判断部83が透過型上面センサ51によるシート検出が「不可能」と判断し、かつ、検出要否判断部84が透過型上面センサ51によるシート検出が「不要」と判断した場合、反射型上面センサ52を用いた昇降制御が行われる。言い換えると、第1発光部が光を発していない状態における第1受光部の受光量が第1の量より多い第2の量(表3のHigh)であり、かつ、排出手段によって排出されるシートの坪量及びシートが置かれていた環境の湿度が所定の条件を満たさない場合(表4の「不要」)、反射型センサの出力信号に基づいて昇降手段による積載部の昇降を実行する。この場合、透過型上面センサ51を使用しないものの、シートのカールが生じる可能性が低いことから、反射型上面センサ52を用いて適切な昇降制御を実行することができる。
【0076】
S107において、検出要否判断部84が透過型上面センサ51によるシート検出が「必要」と判断した場合、通信制御部79によりコントローラ119へ、排出トレイ37を排出先とするシートについての画像形成中断を通知する(S110)。コントローラ119は、画像形成中断の通知を受けると、排出トレイ37へ排出する新たな画像形成指示を中断する。ただし、画像形成装置1及びシート処理装置4内で搬送中のシートについては、上段又は下段の排出トレイ25,37に排出するものとする。
【0077】
上記の処理により、検出可否判断部83が透過型上面センサ51によるシート検出が「不可能」と判断し、かつ、検出要否判断部84が透過型上面センサ51によるシート検出が「必要」と判断した場合、排出トレイ37へのシートの排出が中断される。言い換えると、第1発光部が光を発していない状態における第1受光部の受光量が第2の量(表3のHigh)であり、かつ、排出手段によって排出されるシートの坪量及びシートが置かれていた環境の湿度が所定の条件を満たす場合(表4の「必要」)、排出手段によるシートの排出に応じて昇降手段による積載部の昇降を実行する。この場合、シートのカールが生じる可能性があることから、反射型上面センサ52のみでは適切な昇降制御を実行することが難しいとの判断により、シートの排出の中断(画像形成動作の中断)が決定される。
【0078】
その後、検出可否判断部83による判断結果が、透過型上面センサ51によるシート検出が「可能」となるまで待つ(S111)。待機中、S110からの経過時間を計測する(S113)。待機中に経過時間が所定時間Terrを経過した場合、通信制御部79によりコントローラ119に対して透過型上面センサ51の異常を通知し(S114)、排出トレイ37の昇降制御を終了する。待機中にS111で検出可否判断部83による判断結果が「可能」に変化すると、通信制御部79によりコントローラ119に対して排出トレイ37を排出先とするシートについての画像形成再開を通知する(S112)。コントローラ119は、画像形成再開の通知を受けると、排出トレイ37へ排出する画像形成指示を再開し、S106に進む。
【0079】
シート処理装置4の電源がオフとなるまで、主制御部101は以上のS100からの処理を繰り返す(S106)。
【0080】
[本実施形態の利点]
透過型上面センサ51の受光部51bは、構成上外部からの外乱光の影響を受ける可能性がある。例えば、太陽光による影響が考えられる。即ち、シート処理装置4を設置する向き、天気、時間帯等の条件により、発光部51aが照射する光の光軸L51に近い入射角度で受光部51bに太陽光が入射する場合がある。また、受光部51bに入射する太陽光の量は、発光部51aに発せられた後に受光部51bに入射する光量に比べて同程度又はそれ以上に大きくなる場合が考えられる。
【0081】
このような場合、発光部51aの消灯状態でも受光部51bの受光量が略飽和していることになり、発光部51aを点灯させても受光部51bの信号レベルが殆ど変動しない状態となる。つまり、発光部51aの点灯及び消灯に関わらず受光部51bが略一定の信号を出力していることになり、受光部51bの信号から光軸L51上のシートの有無を判断することは妥当ではない。
【0082】
一方、反射型上面センサ52にも太陽光等の外乱光が入射する可能性はあるが、発光部52aと受光部52bが近くに配置されるため、反射型上面センサ52の光軸L52上にシートが存在する場合、シートにより外乱光が遮光される。そこで、第2シート有無判断部82は、反射型上面センサ52の発光部52aの消灯時と点灯時の受光部52bの信号レベルの組み合わせによりシート有無を判断することで、光軸L52上のシートの有無を適切に検出することができる。つまり、反射型センサは、透過型センサに比べて外乱光の存在下でも適切な検出精度を維持しやすい利点がある。
【0083】
本実施形態では、透過型上面センサ51及び反射型上面センサ52を備えた構成において、状況に応じて透過型上面センサ51及び反射型上面センサ52を使い分ける判断を行いながら排出トレイ37の昇降制御を行う。即ち、第1判断手段としての検出可否判断部83により透過型上面センサ51を用いたシートの上面の検出が可能か判断すると共に、第2判断手段としての検出要否判断部84により透過型上面センサ51を用いたシートの上面の検出が必要か判断する。そして、透過型上面センサ51及び反射型上面センサ52の出力信号に基づく昇降制御を行うか、反射型上面センサ52の出力信号に基づく昇降制御を行うか、シートの排出を中断するかを決定する。これにより、簡易な構成で、外乱光等の影響による誤動作の可能性を低減しつつ、可能な限りシートの排出を継続することができる。
【0084】
本実施形態では、受光部51bが太陽光の影響を受ける可能性がある時間に基づき、上記の所定時間Terrを例えば1時間と設定したが、Terrの長さは適宜変更可能である。また、コントローラ119は、画像形成中断の通知を受けた場合、不図示の操作パネルに外乱光により画像形成動作を停止していることを表示し、外乱光が入らないようユーザに処置を促すようにしても良い。
【0085】
なお、透過型上面センサ51における外乱光の影響を低減する代替策として、光軸方向が異なる複数の透過型上面センサを配置することが考えられる。しかし、この構成では複数の発光部及び受光部を互いに離れた位置に配置することになり、ハードウェア構成のコストが増大する。また、受光部51bの前方に設けるアパーチャー(絞り)を受光部51bからなるべく離して配置することも考えられるが、装置の大型化につながる。これに対し、本実施形態によれば簡易かつコンパクトな構成で外乱光の影響を低減することができる。
【0086】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るシート排出部について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態は、排出トレイ37の昇降制御の詳細が異なっている。以下、第1実施形態と共通の符号を付した要素は第1実施形態のものと実質的に同一の構成及び作用を有する者とする。
【0087】
図7は、本実施形態における画像形成システムの機能構成を示すブロック図である。昇降制御部80は、第1シート有無判断部81、第2シート有無判断部82、検出可否判断部83及び検出要否判断部84に加えて、トレイ下降量算出部85を備えている。トレイ下降量算出部85は、コントローラ119との通信により取得したシートに関連する情報に基づき、排出トレイ37の下降量を算出する。
【0088】
次に、本実施形態における排出トレイ37の昇降制御について、
図8のフローチャートを用いて説明する。なお、第1実施形態の
図6のフローチャートと処理内容が共通するステップには共通のステップ番号を付して説明を省略する。
【0089】
S107において、検出要否判断部84が透過型上面センサ51によるシートの検出が「必要」と判断した場合、昇降制御部80は排出トレイ37へのシートの排出を待つ(S200)。排出トレイ37へのシートの排出が無ければS103に戻る。本実施形態では、シート後端が束排出ローラ36に到達したタイミングで排出トレイ37へのシート排出が有ると判断する。排出トレイ37へのシート排出が有ると判断すると、トレイ下降量算出部85によりトレイ下降量dを下記の式1を用いて算出する(S201)。
トレイ下降量d[mm]=(シート枚数×シート厚さ)+基本オフセット量+後処理オフセット量 ・・・(式1)
【0090】
シート枚数は、束排出ローラ36により一度に排出するシート束のシート枚数である。シート厚さは、束排出ローラ36により一度に排出するシート束のシート1枚当たりの厚さである。主制御部101は、シート枚数及びシート厚さをコントローラ119との通信により取得する。シート厚さの単位は、例えば0.01mmとする。基本オフセット量は、排出されるシートの形状変化を考慮した値で、本実施例では1.5mmとする。後処理オフセット量は、排出されるシート束に施される処理の種類により決定し、本実施例ではステイプルを実施したシート束は2mm、ステイプルを実施していないシート束は0mmとする。
【0091】
トレイ下降量dの算出方法は、束排出ローラ36から排出されるシートが、排出トレイ37に積載済みのシートとの衝突によるジャムの発生や、排出トレイ37に積載済みシートの落下を防ぐことが可能な値を得るものであればよく上記の式1には限定されない。例えば、基本オフセット量を十分大きな値に設定しても良いし、シートの坪量、シートの流れ目、シートの印刷面、シートのサイズ、シート設置環境等のシートに関連する情報を用いて、シートの形状変化をより正確に予測する算出式とするのも良い。
【0092】
本実施形態では、例えば、厚口の0.12mmのシート10枚をステイプルしたシート束の場合、式1に基づいて算出されるトレイ下降量dは4.7mmとなる。次に、昇降制御部80は、昇降モータ55をトレイ下降量dに相当するステップ数だけ第2方向に回転させて、排出トレイ37を下降させる(S109)。本実施形態では、昇降モータ55の1ステップの駆動で排出トレイ37が0.01mm昇降する構成であるため、トレイ下降量dが4.2mmの場合は420ステップとなる。排出トレイ37の下降中に排出トレイ37が下限位置に到達したことを下限センサ54の検出結果が示した場合、昇降制御部80は昇降モータ55を停止して排出トレイ37の下降を終了し、S106へ進む。
【0093】
このように本実施形態では、検出可否判断部83及び検出要否判断部84が透過型上面センサ51によるシート検出が不可能(S103:NO)かつ「必要」と判断した場合(S107:YES)、予測されるトレイ下降量dに基づいて昇降制御を行う。言い換えると、第1発光部が光を発していない状態における第1受光部の受光量が第2の量(表3のHigh)であり、かつ、排出手段によって排出されるシートの坪量及びシートが置かれていた環境の湿度が所定の条件を満たす場合(表4の「必要」)、排出手段によるシートの排出に応じて昇降手段による積載部の昇降を実行する。従って、シートのカールによる影響等も加味して必要なトレイ下降量dの算出方法を予め設定することにより、カールに起因する排出不良等が生じる可能性を抑制しつつシートの排出を続行できる。つまり、外乱光等の影響による誤動作の可能性を低減しつつ、可能な限りシートの排出を継続することができる。
【0094】
(変形例)
上記第1実施形態及び第2実施形態では、シート有無センサ50の検知結果に基づいて排出トレイ37を上限位置まで上昇させていたが、他の方法で排出トレイ37の上昇制御を行ってもよい。変形例として、透過型上面センサ51及び反射型上面センサ52を用いて排出トレイ37の上昇制御及び下降制御を行う方法を説明する。
【0095】
図9は、本変形例に係る排出トレイ37の昇降制御に関するフローチャートである。なお、第2実施形態の
図8のフローチャートと処理内容が実質的に同一であるステップについては、同じステップ番号を付して説明を省略する。
【0096】
先ず、昇降制御部80はコントローラ119から排出トレイ37へシートを排出する予定が有るかを取得する(S300)。排出トレイ37へシートを排出する予定が有る場合の処理は、第2実施形態の
図8のフローチャートのS103~S109,S200~S202と同様であり、再度の説明を省略する。S300において排出トレイ37へシートを排出する予定が無い場合、S301~S306の処理により、昇降制御部80は透過型上面センサ51と反射型上面センサ52により昇降トレイの上昇制御を行う。
【0097】
S301では、検出可否判断部83により、透過型上面センサ51によるシートの検出が可能か判断する。透過型上面センサ51によるシートの検出が「可能」である場合、S302で透過型上面センサ51及び反射型上面センサ52の両方の検知結果が「シート無し」であるか判断する。透過型上面センサ51及び反射型上面センサ52の両方の検知結果が「シート無し」である場合、S303で昇降制御部80は昇降モータ55を第1方向に回転させる。そして、透過型上面センサ51と反射型上面センサ52の何れかの検知結果が「シート有り」となる位置まで排出トレイ37を上昇させる。また、排出トレイ37の上昇中に、排出トレイ37が上限位置に到達したことを上限センサ53の検出結果が示した場合、昇降制御部80は昇降モータ55を停止して排出トレイ37の上昇を終了し、S300に戻る。S302で透過型上面センサ51又は反射型上面センサ52の検知結果が「シート有り」である場合、昇降制御部80は排出トレイ37を上昇させずにS300に戻る。
【0098】
S301で透過型上面センサ51によるシートの検出が「不可能」である場合、S304で検出要否判断部84により、透過型上面センサ51によるシートの検出が必要か判断する。透過型上面センサ51によるシートの検出が「不要」である場合、S305で反射型上面センサ52の検知結果が「シート無し」であるか判断する。反射型上面センサ52の検知結果が「シート無し」である場合、S306で昇降制御部80は昇降モータ55を第1方向に回転させ、反射型上面センサ52の検知結果が「シート有り」となる位置まで排出トレイ37を上昇させる。また、排出トレイ37の上昇中に、排出トレイ37が上限位置に到達したことを上限センサ53の検出結果が示した場合、昇降制御部80は昇降モータ55を停止して排出トレイ37の上昇を終了し、S300に戻る。S305で反射型上面センサ52の検知結果が「シート有り」である場合、昇降制御部80は排出トレイ37を上昇させずにS300に戻る。
【0099】
以上の処理により、シート有無センサ50を省略した構成で、シートの積載量に応じて排出トレイ37を適切な位置まで上昇させることが可能となる。
【0100】
(その他の実施形態)
上述の各実施形態では、シート処理装置の例として、画像形成装置1に直接連結されるシート処理装置4について説明した。しかしながら、本技術は、画像形成装置1から中間のユニット(例えば、胴内排出型の画像形成装置において排出空間に装着される中継搬送ユニット)を介してシートを受け取るシート処理装置にも適用可能である。また、画像形成システムとは、画像形成装置1及びシート処理装置4の機能を有するモジュールが単一の筐体内に搭載されているものを含む。
【0101】
また、ステイプラ57はシートを処理する処理手段の一例であり、例えば中間積載部において整合したシート束を綴じない状態で排出トレイ37に排出するようにしてもよい。また、シート処理装置4に設けられたシート排出部100はシート排出装置の例であり、例えば画像形成装置において画像を形成されたシート(記録材)を画像形成装置の外部に排出するシート排出装置にも本技術は適用可能である。
【0102】
シート排出部100においてシートを排出する排出手段は、シートを挟持して搬送するローラ対に限らず、例えば排出手段としての束排出ガイド34によってシート処理装置4の筐体外までシートを押し出すようにしてもよい。
【0103】
図1等に示すシート処理装置4の内部構成は例示に過ぎず、シート処理装置内部の搬送路の配置等を変更してもよい。例えば、反転ローラ24による反転搬送の有無によってシートの排出先を切り替える構成に代えて、入口ローラ21の下流に上段の排出トレイ25に向かう搬送経路と綴じ処理部4Aに向かう搬送経路とを切り換えるフラップ状のガイド部材を配置してもよい。
【0104】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0105】
1B…画像形成手段(画像形成部)/1S…画像形成システム/4…シート処理装置/36…排出手段(束排出ローラ)/37…積載部(排出トレイ)/51…透過型センサ(透過型上面センサ)/51a…第1発光部/51b…第1受光部/52…反射型センサ(反射型上面センサ)/52a…第2発光部/52b…第2受光部/55…昇降手段(昇降モータ)/57…処理手段(ステイプラ)/83…第1判断手段(検出可否判断部)/84…第2判断手段(検出要否判断部)/100…シート排出装置(シート排出部)/101…制御手段(主制御部)