(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】人力駆動車用のブレーキ制御装置および人力駆動車
(51)【国際特許分類】
B62L 3/08 20060101AFI20240603BHJP
B62L 3/02 20060101ALI20240603BHJP
B60T 8/34 20060101ALI20240603BHJP
B62J 43/28 20200101ALI20240603BHJP
B62J 43/13 20200101ALI20240603BHJP
B62M 6/40 20100101ALI20240603BHJP
B62M 6/90 20100101ALI20240603BHJP
【FI】
B62L3/08
B62L3/02 D
B60T8/34
B62J43/28
B62J43/13
B62M6/40
B62M6/90
(21)【出願番号】P 2020139480
(22)【出願日】2020-08-20
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】桑山 和也
(72)【発明者】
【氏名】中井 基継
(72)【発明者】
【氏名】羽原 良輔
(72)【発明者】
【氏名】中倉 正裕
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-502958(JP,A)
【文献】特表2014-520023(JP,A)
【文献】特開2002-002571(JP,A)
【文献】特開平06-239286(JP,A)
【文献】特開2017-165200(JP,A)
【文献】特開平10-007050(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108367743(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102019118949(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62L 3/08
B62L 3/02
B60T 8/34
B62J 43/28
B62J 43/13
B62M 6/40
B62M 6/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用のブレーキ制御装置であって、
ブレーキ制御部が設けられる本体と、
前記本体を前記人力駆動車に取り付ける取付部と、を備え、
前記取付部は、前記人力駆動車用のフレームに設けられるボトルケージ取付孔に取り付け可能に構成され、
前記ブレーキ制御部は、
前記人力駆動車のブレーキ操作装置と前記人力駆動車のブレーキ作動装置とを接続する流路の流体圧を制御し、
前記流路に接続されるポートを備え、
前記ポートは、前記フレームの延びる方向に開口するように前記本体に設けられる、ブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記取付部は、第1取付部と第2取付部とを備え、
前記第1取付部と前記第2取付部との間隔は、実質的に64mmである、請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記取付部は、前記ボトルケージ取付孔に挿入される軸部材を備え、
前記軸部材は、雄ねじ部を含む、請求項2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項4】
前記取付部は、前記本体を前記フレームの外面に取り付け可能に構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項5】
前記本体と前記取付部とを接続するアダプタをさらに備える、請求項1から
4のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項6】
前記本体は、前記アダプタに着脱可能に取り付けられる、請求項
5に記載のブレーキ制御装置。
【請求項7】
前記本体および前記アダプタの一方は、凸部を備え、
前記本体および前記アダプタの他方は、前記凸部と係合する凹部を備える、請求項
6に記載のブレーキ制御装置。
【請求項8】
前記ボトルケージ取付孔の延びる方向と平行する方向から見た場合、前記本体は、前記フレームの延びる方向と直交する方向において、前記ボトルケージ取付孔に対してオフセットするように前記フレームに取り付けられる、請求項1から
7のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項9】
前記本体は、前記フレームに取り付けられる状態において、前記ボトルケージ取付孔を覆うように前記フレームに取り付けられる、請求項1から
7のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項10】
前記流路は、前記ブレーキ操作装置に接続される第1流路、および、前記ブレーキ作動装置に接続される第2流路を備え、
前記ポートは、前記第1流路に接続される第1ポートと、前記第2流路に接続される第2ポートと、を備える、請求項1から
9のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項11】
前記本体のうちの長手方向における一方の端部には、前記第1流路、前記第2流路、前記ブレーキ制御装置と前記ブレーキ制御装置に電力を供給するバッテリとを接続する電気ケーブルが接続される、請求項10に記載のブレーキ制御装置。
【請求項12】
前記ブレーキ制御部は、前記第1ポートと前記第2ポートとの間における流体の流通状態を変更するバルブを備える、請求項
10または11に記載のブレーキ制御装置。
【請求項13】
前記ブレーキ制御部は、前記バルブを駆動するアクチュエータを備える、請求項12に記載のブレーキ制御装置。
【請求項14】
請求項13に記載の人力駆動車用のブレーキ制御装置と、
前記人力駆動車用のフレームと、を備え
前記アクチュエータは、前記フレームの内部空間に設けられるバッテリと電気的に接続されている、
人力駆動車。
【請求項15】
前記バッテリは、前記人力駆動車の推進をアシストするモータと電気的に接続されている、請求項
14に記載の
人力駆動車。
【請求項16】
請求項1から
9のいずれか一項に記載の人力駆動車用のブレーキ制御装置と、
前記人力駆動車用のフレームと、を備える、人力駆動車。
【請求項17】
前記フレームは、ダウンチューブ、シートチューブ、および、トップチューブを含み、
前記取付部は、前記本体を、前記ダウンチューブの上方の外面、前記シートチューブ前方の外面、または、前記トップチューブの下方の外面に取り付け可能に構成される、請求項
16に記載の
人力駆動車。
【請求項18】
前記ブレーキ制御装置と、
前記ブレーキ操作装置および
前記ブレーキ作動装置の少なくとも1つと、を接続する流路をさらに備え、
前記フレームは、内部空間と、前記内部空間と連通する連通部と、を備え、
前記流路の少なくとも一部は、前記連通部を介して前記内部空間に配置される、請求項
17に記載の人力駆動車。
【請求項19】
前記連通部は、前記フレームのうちの前記ボトルケージ取付孔の近傍に設けられる、請求項
18に記載の人力駆動車。
【請求項20】
前記連通部は、孔を含み、
前記孔の内径は、前記ボトルケージ取付孔の内径よりも大きい、請求項
18または
19に記載の人力駆動車。
【請求項21】
前記連通部は、第1連通部および第2連通部を備え、
前記第1連通部および前記第2連通部は、前記フレームの延びる方向において、前記ボトルケージ取付孔に対して互いに反対の位置になるように前記フレームに設けられる、請求項
18から
20のいずれか一項に記載の人力駆動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用のブレーキ制御装置および人力駆動車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、人力駆動車用のブレーキ制御装置を開示する。特許文献1の人力駆動車用のブレーキ制御装置は、人力駆動車のフレームに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102019118949号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の1つは、人力駆動車のフレームに簡便に取り付けできる人力駆動車用のブレーキ制御装置および人力駆動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従うブレーキ制御装置は、人力駆動車用のブレーキ制御装置であって、ブレーキ制御部が設けられる本体と、前記本体を前記人力駆動車に取り付ける取付部と、を備え、前記取付部は、前記人力駆動車用のフレームに設けられるボトルケージ取付孔に取り付け可能に構成される。
上記第1側面のブレーキ制御装置によれば、ボトルケージ取付孔を介してブレーキ制御装置を人力駆動車のフレームに簡便に取り付けできる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面のブレーキ制御装置において、前記取付部は、第1取付部と第2取付部とを備え、前記第1取付部と前記第2取付部との間隔は、実質的に64mmである。
上記第2側面のブレーキ制御装置によれば、第1取付部と第2取付部との間隔を、ボトルケージ取付孔に好適な間隔にできる。
【0007】
前記第2側面に従う第3側面のブレーキ制御装置において、前記取付部は、前記ボトルケージ取付孔に挿入される軸部材を備え、前記軸部材は、雄ねじ部を含む。
上記第3側面のブレーキ制御装置によれば、軸部材の雄ねじ部によってブレーキ制御装置を好適にボトルケージ取付孔に係合できる。
【0008】
前記第1から第3側面のいずれか1つに従う第4側面のブレーキ制御装置において、前記取付部は、前記本体を前記フレームの外面に取り付け可能に構成される。
上記第4側面のブレーキ制御装置によれば、取付部は本体をフレームの外面に取り付けできるため、ブレーキ制御装置の取り付けおよび取り外しが簡便になる。
【0009】
前記第4側面に従う第5側面のブレーキ制御装置において、前記フレームは、ダウンチューブ、シートチューブ、および、トップチューブを含み、前記取付部は、前記本体を、前記ダウンチューブの上方の外面、前記シートチューブ前方の外面、または、前記トップチューブの下方の外面に取り付け可能に構成される。
上記第5側面のブレーキ制御装置によれば、取付部は、本体を、ダウンチューブの上方の外面、シートチューブ前方の外面、または、トップチューブの下方の外面に取り付けできる。
【0010】
前記第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面のブレーキ制御装置において、前記本体と前記取付部とを接続するアダプタをさらに備える。
上記第6側面のブレーキ制御装置によれば、アダプタによって本体と取付部とを接続できる。
【0011】
前記第6側面に従う第7側面のブレーキ制御装置において、前記本体は、前記アダプタに着脱可能に取り付けられる。
上記第7側面のブレーキ制御装置によれば、本体をアダプタに着脱可能に取り付けできるため、本体を簡便に取り付けおよび取り外しできる。
【0012】
前記第7側面に従う第8側面のブレーキ制御装置において、前記本体および前記アダプタの一方は、凸部を備え、前記本体および前記アダプタの他方は、前記凸部と係合する凹部を備える。
上記第8側面のブレーキ制御装置によれば、凸部および凹部によって本体とアダプタとを好適に係合できる。
【0013】
前記第1から第8側面のいずれか1つに従う第9側面のブレーキ制御装置において、前記ボトルケージ取付孔の延びる方向と平行する方向から見た場合、前記本体は、前記フレームの延びる方向と直交する方向において、前記ボトルケージ取付孔に対してオフセットするように前記フレームに取り付けられる。
上記第9側面のブレーキ制御装置によれば、ボトルケージ取付孔の延びる方向と平行する方向から見た場合、本体がフレームの延びる方向と直交する方向において、ボトルケージ取付孔に対してオフセットするようにフレームに取り付けできる。
【0014】
前記第1から第8側面のいずれか1つに従う第10側面のブレーキ制御装置において、前記本体は、前記フレームに取り付けられる状態において、前記ボトルケージ取付孔を覆うように前記フレームに取り付けられる。
上記第10側面のブレーキ制御装置によれば、本体がボトルケージ取付孔を覆うようにブレーキ制御装置をフレームに取り付けできる。
【0015】
前記第1から第10側面のいずれか1つに従う第11側面のブレーキ制御装置において、前記ブレーキ制御部は、前記人力駆動車のブレーキ操作装置と前記人力駆動車のブレーキ作動装置とを接続する流路の流体圧を制御し、前記流路は、前記ブレーキ操作装置に接続される第1流路、および、前記ブレーキ作動装置に接続される第2流路を備え、前記ブレーキ制御装置は、前記第1流路に接続される第1ポートと、前記第2流路に接続される第2ポートと、を備える。
上記第11側面のブレーキ制御装置によれば、第1ポートと第2ポートとによって、ブレーキ制御装置をブレーキ操作装置とブレーキ作動装置に好適に接続できる。
【0016】
前記第11側面に従う第12側面のブレーキ制御装置において、前記ブレーキ制御部は、前記第1ポートと前記第2ポートとの間における流体の流通状態を変更するバルブを備える。
上記第12側面のブレーキ制御装置によれば、バルブによって流体の流通状態を好適に変更できる。
【0017】
前記第12側面に従う第13側面のブレーキ制御装置において、前記ブレーキ制御部は、前記バルブを駆動するアクチュエータを備える。
上記第13側面のブレーキ制御装置によれば、アクチュエータによってバルブを好適に駆動できる。
【0018】
前記第13側面に従う第14側面のブレーキ制御装置において、前記アクチュエータは、前記フレームの内部空間に設けられるバッテリと電気的に接続されている。
上記第14側面のブレーキ制御装置によれば、フレームの内部空間に設けられるバッテリの電力を使用できる。
【0019】
前記第14側面に従う第15側面のブレーキ制御装置において、前記バッテリは、前記人力駆動車の推進をアシストするモータと電気的に接続されている。
上記第15側面のブレーキ制御装置によれば、モータに電力を供給するバッテリの電力を使用できる。
【0020】
本発明の第16側面に従う人力駆動車は、第1から第10側面のいずれか1つに記載の人力駆動車用のブレーキ制御装置と、前記人力駆動車用のフレームと、を備える。
上記第16側面の人力駆動車によれば、人力駆動車のフレームに簡便に取り付けできる人力駆動車用のブレーキ制御装置を備える人力駆動車を提供できる。
【0021】
前記第16側面に従う第17側面の人力駆動車において、前記ブレーキ制御装置と、ブレーキ操作装置およびブレーキ作動装置の少なくとも1つと、を接続する流路をさらに備え、前記フレームは、内部空間と、前記内部空間と連通する連通部と、を備え、前記流路の少なくとも一部は、前記連通部を介して前記内部空間に配置される。
上記第17側面の人力駆動車によれば、流路の少なくとも一部がフレームの内部空間に配置されるため、人力駆動車の美観の向上に貢献できる。
【0022】
前記第17側面に従う第18側面の人力駆動車において、前記連通部は、前記フレームのうちの前記ボトルケージ取付孔の近傍に設けられる。
上記第18側面の人力駆動車によれば、連通部がフレームのうちのボトルケージ取付孔の近傍に設けられるため、ボトルケージ取付孔の近傍において、流路をフレームの内部空間へ挿入、または、フレームの内部空間から取り出しできる。
【0023】
前記第17または第18側面に従う第19側面の人力駆動車において、前記連通部は、孔を含み、前記孔の内径は、前記ボトルケージ取付孔の内径よりも大きい。
上記第19側面の人力駆動車によれば、連通部の孔の内径がボトルケージ取付孔の内径よりも大きいため、流路を好適にフレームの内部空間に配置できる。
【0024】
前記第17から第19側面のいずれか1つに従う第20側面の人力駆動車において、前記連通部は、第1連通部および第2連通部を備え、前記第1連通部および前記第2連通部は、前記フレームの延びる方向において、前記ボトルケージ取付孔に対して互いに反対の位置になるように前記フレームに設けられる。
上記第20側面の人力駆動車によれば、第1連通部および第2連通部のそれぞれについて、流路をフレームの内部空間へ挿入、または、フレームの内部空間から取り出しできる。
【発明の効果】
【0025】
本開示の人力駆動車用のブレーキ制御装置および人力駆動車は、人力駆動車用のブレーキ制御装置を人力駆動車のフレームに簡便に取り付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態の人力駆動車用のブレーキ制御装置を含む人力駆動車の側面図。
【
図2】実施形態の人力駆動車用のブレーキシステムの構成を示す模式図。
【
図3】
図2の人力駆動車用のブレーキ制御装置の斜視図。
【
図4】
図2の人力駆動車用のブレーキ制御装置の構成を示す模式図。
【
図5】
図2の人力駆動車用のブレーキ制御装置をフレームに取り付けた状態の平面図。
【
図7】第1変形例の人力駆動車用のブレーキ制御装置をフレームに取り付けた状態の部分断面図。
【
図8】第2変形例の人力駆動車用のブレーキ制御装置をフレームに取り付けた状態の平面図。
【
図10】第3変形例の人力駆動車用のブレーキ制御装置を含む人力駆動車の側面図。
【
図11】第3変形例の人力駆動車用のブレーキ制御装置をフレームに取り付けた状態の平面図。
【
図13】第4変形例の人力駆動車用のブレーキ制御装置を含む人力駆動車の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<実施形態>
図1から
図6を参照して、実施形態の人力駆動車用のブレーキ制御装置50、および、人力駆動車10について説明する。人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、ハンドバイク、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車10が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車10は、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車10は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車10は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(E-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10を、自転車として説明する。
【0028】
本明細書において、以下の方向を示す用語「前(フロント)」、「後ろ(リア)」、「前方」、「後方」、「左」、「右」、「横」、「上方」、および、「下方」、並びに任意の他の類似の方向を示す用語は、人力駆動車10におけるユーザ基準位置(例えば、サドルまたはシート上)でハンドルバーを向いたユーザ(すなわち、ライダ)を基準に決定されるそれらの方向を指す。
【0029】
人力駆動車10は、人力駆動車用のブレーキ制御装置50と、人力駆動車用のフレーム12と、を備える。好ましくは、人力駆動車10は、車輪14をさらに備える。好ましくは、フレーム12は、ダウンチューブ16、シートチューブ18、および、トップチューブ20を含む。
【0030】
好ましくは、人力駆動車10は、流路32をさらに備える。流路32は、ブレーキ制御装置50と、ブレーキ操作装置34およびブレーキ作動装置36の少なくとも1つと、を接続する。好ましくは、人力駆動車10は、ブレーキ操作装置34およびブレーキ作動装置36をさらに備える。ブレーキ制御装置50、流路32、ブレーキ操作装置34、および、ブレーキ作動装置36は、人力駆動車10のブレーキシステム30を構成する。
【0031】
ブレーキ操作装置34は、例えば、ハンドルバーに設けられる。ブレーキ作動装置36は、車輪14を制動するように構成される。ブレーキ作動装置36は、ディスクブレーキであってもよく、リムブレーキであってもよく、ローラブレーキであってもよい。本実施形態では、ブレーキ作動装置36は、ディスクブレーキである。ブレーキ作動装置36は、キャリパを備える。好ましくは、ブレーキシステム30は、流体によって作動するブレーキシステム30である。好ましくは、流体は作動油である。流路32の内部には流体が充填される。流路32は、例えば、ブレーキホースである。好ましくは、流路32は、ブレーキ制御装置50とブレーキ操作装置34とを接続する第1流路32Aと、ブレーキ制御装置50とブレーキ作動装置36とを接続する第2流路32Bと、を備える。
【0032】
ブレーキ制御装置50は、本体52と、取付部54と、を備える。本体52には、ブレーキ制御部56が設けられる。取付部54は、本体52を人力駆動車10に取り付ける。取付部54は、人力駆動車用のフレーム12に設けられるボトルケージ取付孔に取り付け可能に構成される。
【0033】
好ましくは、ブレーキ制御装置50は、ABS(Anti-lock Braking System)の機能を有する。ブレーキ制御部56は、人力駆動車10のブレーキ操作装置34と人力駆動車10のブレーキ作動装置36とを接続する流路32の流体圧を制御する。流路32は、ブレーキ操作装置34に接続される第1流路32A、および、ブレーキ作動装置36に接続される第2流路32Bを備える。ブレーキ制御装置50は、第1流路32Aに接続される第1ポート58と、第2流路32Bに接続される第2ポート60と、を備える。
【0034】
ブレーキ制御部56は、バルブ62を備える。バルブ62は、第1ポート58と第2ポート60との間における流体の流通状態を変更する。好ましくは、ブレーキ制御部56は、アクチュエータ64を備える。アクチュエータ64は、バルブ62を駆動する。好ましくは、アクチュエータ64は、電気アクチュエータである。アクチュエータ64は、例えば、電気モータである。アクチュエータ64は、フレーム12の内部空間22に設けられるバッテリ38と電気的に接続されている。バッテリ38は、ダウンチューブ16、シートチューブ18、および、トップチューブ20のうちの少なくとも1つに設けられる。バッテリ38は、アクチュエータ64に電力を供給する。好ましくは、バッテリ38は、人力駆動車10の推進をアシストするモータ42と電気的に接続されている。モータ42は、クランク軸に設けられてもよく、車輪14に設けられるハブモータであってもよい。
【0035】
好ましくは、ブレーキ制御装置50は、制御装置66を備える。制御装置66は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御装置66は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御装置66は、アクチュエータ64を制御するように構成される。制御装置66は、本体52に設けられてもよく、ブレーキ制御装置50の外部に設けられていてもよい。制御装置66は、例えば、ブレーキ操作装置34の操作に応じてバルブ62を駆動する。
【0036】
ブレーキシステム30は、ブレーキ操作装置34が操作される場合、流体が第1流路32Aおよび第2流路32Bを移動することによってブレーキ作動装置36を作動させる。ABSが動作する場合、アクチュエータ64によってバルブ62が移動し、流路32を閉鎖する。この場合、バルブ62の移動によって、バルブ62よりもブレーキ作動装置36側の流路32の容積が増加し、ブレーキ作動装置36内の流体圧が低下するため、車輪14のロックが抑制される。
【0037】
好ましくは、フレーム12は、内部空間22と、内部空間22と連通する連通部24とを備える。流路32の少なくとも一部は、連通部24を介して内部空間22に配置される。
【0038】
フレーム12は、ボトルケージ取付孔26を備える。ボトルケージ取付孔26は、人力駆動車用のフレーム12に設けられる。ボトルケージ取付孔26は、ドリンクボトルホルダを取り付け可能に構成される。ボトルケージ取付孔26は、第1取付孔26Aと、第2取付孔26Bと、を備える。第1取付孔26Aと第2取付孔26Bとは、フレーム12の延びる方向において異なる位置に設けられる。第1取付孔26Aと第2取付孔26Bは、フレーム12の延びる方向に沿って設けられる。好ましくは、第1取付孔26Aから第2取付孔26Bまでの距離L1は、実質的に64mmである。好ましくは、ボトルケージ取付孔26は、内部空間22と連通する。好ましくは、ボトルケージ取付孔26は、雌ねじ部を含む。
【0039】
連通部24は、フレーム12のうちのボトルケージ取付孔26の近傍に設けられる。好ましくは、連通部24とボトルケージ取付孔26とは、フレーム12の延びる方向に沿って設けられる。好ましくは、連通部24は、ボトルケージ取付孔26を介してブレーキ制御装置50がフレーム12に取り付けられた状態において、ブレーキ制御装置50に覆われない位置に設けられる。好ましくは、連通部24は、孔24Aを含む。孔24Aの内径F1は、ボトルケージ取付孔26の内径F2よりも大きい。好ましくは、連通部24は、ボトルケージ取付孔26よりも、ブレーキ操作装置34に近い位置に設けられる。
【0040】
好ましくは、人力駆動車10は、バッテリ38を備える。バッテリ38は、ブレーキ制御装置50に電力を供給可能に構成される。バッテリ38とブレーキ制御装置50は、電気ケーブル40によって接続される。好ましくは、電気ケーブル40の少なくとも一部は、連通部24を介して内部空間22に配置される。好ましくは、バッテリ38は、フレーム12の内部空間22に配置される。バッテリ38は、フレーム12の外部に配置されてもよい。
【0041】
本実施形態では、ボトルケージ取付孔26および連通部24は、シートチューブ18に設けられる。本実施形態では、バッテリ38は、ダウンチューブ16の内部に設けられる。第1流路32A、第2流路32B、および、電気ケーブル40は、1つの連通部24を介して、内部空間22からダウンチューブ16の外周面に配置されるブレーキ制御装置50と接続される。
【0042】
本体52は、ハウジング68を備える。バルブ62およびアクチュエータ64は、ハウジング68の内部に配置される。第1ポート58および第2ポート60は、ハウジング68の外部に設けられる。好ましくは、ハウジング68は、筒形状に形成される。
【0043】
好ましくは、取付部54は、第1取付部54Aと第2取付部54Bとを備える。好ましくは、第1取付部54Aと第2取付部54Bとの間隔L2は、実質的に64mmである。
【0044】
好ましくは、取付部54は、本体52をフレーム12の外面に取り付け可能に構成される。取付部54は、本体52を、ダウンチューブ16の上方の外面、シートチューブ18前方の外面、または、トップチューブ20の下方の外面に取り付け可能に構成される。本実施形態では、本体52を、シートチューブ18前面に取り付け可能に構成される。
【0045】
好ましくは、取付部54は、ボトルケージ取付孔26に挿入される軸部材70を備える。軸部材70は、雄ねじ部70Aを含む。好ましくは、ボトルケージ取付孔26は、雌ねじ部を含む。ボトルケージ取付孔26の雌ねじ部に、フレーム12の外部から雄ねじ部70Aがねじ込まれる。
【0046】
好ましくは、ブレーキ制御装置50は、本体52と取付部54とを接続するアダプタ72をさらに備える。好ましくは、アダプタ72は、フレーム12の外周面に沿う形状を有する。アダプタ72は、第1面72Aおよび第2面72Bを備える。第1面72Aは、フレーム12の外面と接触可能に構成される。第2面72Bは、本体52と接触するように構成される。好ましくは、本体52は、アダプタ72に着脱可能に取り付けられる。本体52は、例えば、アダプタ72と取付部材74によって取り付けられる。好ましくは、本体52は、アダプタ72がフレーム12に取り付けられた状態において、アダプタ72に取り付けられる。取付部材74は、例えば、ボルトおよびナットである。ボルトは、アダプタ72の第2面72Bから突出するように配置される。本体52は、取付部材74のボルトが挿入される孔を備える。本体52の孔にボルトが挿入され、ナットに結合されることによって、本体52がアダプタ72に取り付けられる。本体52とアダプタ72との取り付け方法は、適宜変更できる。例えば、取付部材74は、面ファスナであってもよく、アダプタ72から突出し、本体52が嵌め込まれるアーム部材を備えていてもよい。
【0047】
好ましくは、取付部54は、本体52およびアダプタ72の少なくとも1つに設けられる孔を含む。ブレーキ制御装置50がアダプタ72を含む場合、孔は、アダプタ72に設けられる。孔には、軸部材70が挿入される。ブレーキ制御装置50がアダプタ72を含まない場合、孔は本体52に設けられる。
【0048】
好ましくは、本体52は、フレーム12に取り付けられる状態において、ボトルケージ取付孔26を覆うようにフレーム12に取り付けられる。本体52は、フレーム12に取り付けられる状態において、第1取付孔26Aおよび第2取付孔26Bを覆うようにフレーム12に取り付けられる。好ましくは、本体52は、フレーム12の延びる方向における寸法が、第1取付部54Aと第2取付部54Bとの間隔L2よりも大きい。
【0049】
ブレーキ制御装置50は、ブレーキ制御装置50を取り付けるための孔等をフレーム12に設けずに、ボトルケージ取付孔26によってフレーム12に取り付けることができる。このため、フレーム12の加工の工程数の増加を抑制できる。
【0050】
<変形例>
実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用のブレーキ制御装置および人力駆動車が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用のブレーキ制御装置および人力駆動車は、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0051】
・
図7に示すように、本体52およびアダプタ72の一方は、凸部76を備え、本体52およびアダプタ72の他方は、凸部76と係合する凹部78を備えてもよい。好ましくは、凸部76と凹部78とは、互いに係合した状態において、本体52とアダプタ72との相対移動を規制するように構成されていてもよい。凸部76は、例えば、フック形状を有する。好ましくは、凸部76は、第1凸部76Aおよび第2凸部76Bを備え、凹部78は、第1凹部78Aおよび第2凹部78Bを備える。第1凸部76Aは、第1凹部78Aに係合する。第2凸部76Bは、第2凹部78Bに係合する。ユーザは、例えば、第1凸部76Aを第1凹部78Aに挿入した後、第2凸部76Bを第2凹部78Bに挿入することによって、本体52をアダプタ72に取り付ける。
【0052】
・
図8および
図9に示すように、ボトルケージ取付孔26の延びる方向と平行する方向から見た場合、本体52は、フレーム12の延びる方向と直交する方向において、ボトルケージ取付孔26に対してオフセットするようにフレーム12に取り付けられるようにしてもよい。この場合、例えば、ブレーキ制御装置50からアダプタ72を省略し、本体52は、フレーム12に取り付けられた状態において側方に突出する突出部80を備えていてもよい。取付部54は、突出部80に設けられる。好ましくは、突出部80は、ボトルケージ取付孔26の延びる方向に貫通する孔を備える。取付部54の軸部材70が突出部80の孔に挿入され、ボトルケージ取付孔26の雌ねじ部にねじ込まれることによって、本体52がフレーム12に取り付けられる。
【0053】
・
図10に示すように、本体52は、ダウンチューブ16の上方の外面に取り付け可能に構成されてもよい。この場合、ボトルケージ取付孔26は、ダウンチューブ16に設けられる。
【0054】
・
図10から
図12に示すように、連通部24は、第1連通部84Aおよび第2連通部84Bを備え、第1連通部84Aおよび第2連通部84Bは、フレーム12の延びる方向において、ボトルケージ取付孔26に対して互いに反対の位置になるようにフレーム12に設けられてもよい。第1連通部84Aおよび第2連通部84Bの一方には、流路32の少なくとも一部が配置され、第1連通部84Aおよび第2連通部84Bの他方に電気ケーブル40の少なくとも一部が配置されるようにしてもよい。
【0055】
・
図12に示すように、ブレーキ制御装置50からアダプタ72を省略し、取付部54によって本体52をフレーム12に直接取り付けるようにしてもよい。
【0056】
・
図13に示すように、本体52は、トップチューブ20の下方の外面に取り付け可能に構成されてもよい。
【0057】
・
図10に示すように、取付部54は、本体52を、ダウンチューブ16、シートチューブ18、および、トップチューブ20のうちの、バッテリ38が配置される部分に取り付け可能に構成されてもよい。この場合、バッテリ38とブレーキ制御装置50とを接続する電気ケーブル40を短くできる。
【0058】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0059】
10…人力駆動車、12…フレーム、16…ダウンチューブ、18…シートチューブ、20…トップチューブ、22…内部空間、24…連通部、24A…孔、84A…第1連通部、84B…第2連通部、26…ボトルケージ取付孔、14…車輪、34…ブレーキ操作装置、36…ブレーキ作動装置、32…流路、32A…第1流路、32B…第2流路、38…バッテリ、42…モータ、50…ブレーキ制御装置、52…本体、54…取付部、54A…第1取付部、54B…第2取付部、70…軸部材、70A…雄ねじ部、56…ブレーキ制御部、58…第1ポート、60…第2ポート、62…バルブ、64…アクチュエータ、72…アダプタ、76…凸部、78…凹部。