(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板位置調整方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240603BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20240603BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240603BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/304 651B
H01L21/304 651M
H01L21/304 648A
H01L21/68 F
H01L21/68 P
H01L21/306 K
(21)【出願番号】P 2020159314
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安武 陽介
(72)【発明者】
【氏名】菊本 憲幸
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 通矩
(72)【発明者】
【氏名】石井 弘晃
(72)【発明者】
【氏名】テン ポーリン
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-141238(JP,A)
【文献】特開2001-176952(JP,A)
【文献】特開2018-206877(JP,A)
【文献】特開2010-153769(JP,A)
【文献】特開2014-036204(JP,A)
【文献】特開2012-099833(JP,A)
【文献】特開2020-124754(JP,A)
【文献】特開2003-224100(JP,A)
【文献】特開2001-274232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/68
H01L 21/683
H01L 21/306
B05C 5/00
B05C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の基板を水平な姿勢に保持する保持面を有するベースと、
前記ベースを鉛直な回転軸線まわりに回転させる回転ユニットと、
前記保持面に保持されている基板の周縁部を加熱する加熱ユニットと、
光を発する発光部および前記発光部から発せられた光を受ける受光部を有し、前記保持面に保持されている基板の周縁部が前記発光部と前記受光部との間の検出空間内に位置するときに前記回転軸線に対する当該基板の偏心量を測定する偏心量測定ユニットと、
前記検出空間に存在する雰囲気を前記検出空間外の雰囲気で置換する雰囲気置換ユニットとを備え
、
前記雰囲気置換ユニットが、前記検出空間に向けて気体を供給する気体供給ユニットを含み、
前記気体供給ユニットが、前記発光部と前記受光部との対向方向に沿って並ぶ複数の気体吐出口を含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記気体供給ユニットが、複数の前記気体吐出口をそれぞれ有する複数の固定気体ノズルと、複数の前記固定気体ノズルが共通に取り付けられる取付プレートとを含み、
前記固定気体ノズルが、前記取付プレートに取り付けられる取付部と、前記取付部と一体に形成され、前記気体吐出口が設けられた吐出部とを含む、請求項
1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
円板状の基板を水平な姿勢に保持する保持面を有するベースと、
前記ベースを鉛直な回転軸線まわりに回転させる回転ユニットと、
前記保持面に保持されている基板の周縁部を加熱する加熱ユニットと、
光を発する発光部および前記発光部から発せられた光を受ける受光部を有し、前記保持面に保持されている基板の周縁部が前記発光部と前記受光部との間の検出空間内に位置するときに前記回転軸線に対する当該基板の偏心量を測定する偏心量測定ユニットと、
前記検出空間に存在する雰囲気を前記検出空間外の雰囲気で置換する雰囲気置換ユニットとを備え、
前記雰囲気置換ユニットが、前記検出空間に向けて気体を供給する気体供給ユニットを含み、
前記気体供給ユニットが、前記発光部および前記受光部とともに移動し、前記検出空間に気体を供給する移動気体ノズルヘッドであって、前記保持面に保持されている基板の周縁部が前記検出空間内に位置する検出位置と、前記保持面に保持されている基板の周縁部が前記検出空間外に位置する退避位置との間で移動する移動気体ノズルヘッドを含む
、基板処理装置。
【請求項4】
前記加熱ユニットが、前記保持面に保持されている基板の周縁部に対向するヒータを含み、
前記気体供給ユニットが、前記保持面に保持されている基板の周縁部と前記ヒータとの間の空間に向かって気体を吐出する、請求項
1~3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記ベースを収容するチャンバをさらに備え、
前記雰囲気置換ユニットが、前記チャンバ内の空間への給気および前記チャンバ内の空間からの排気を行う給排気ユニットを含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記保持面に保持されている基板を取り囲むガードであって、前記ガードの上端部が当該基板の上面よりも上方に位置する上位置と前記ガードの上端部が当該基板の上面よりも下方に位置する下位置との間で移動するように構成されているガードをさらに含み、
前記給排気ユニットが、前記チャンバ内の雰囲気を排気する排気ダクトと、前記チャンバ内に雰囲気を供給し、前記排気ダクトに向かう気流を前記チャンバ内に形成する気流形成ユニットとを含み、
前記ガードは、前記ガードが前記上位置に位置するときに前記気流が前記保持面に保持されている基板の周縁部と前記ガードとの間を通り、前記ガードが前記下位置に位置するときに前記気流が前記ガードの外側を通るように前記気流の経路を切り替える、請求項
5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記保持面上の基板を前記ベースに対して移動させて、当該基板の中心部を前記回転軸線に近づけるセンタリングユニットをさらに備え、
前記センタリングユニットが、前記保持面に保持されている基板を持ち上げたり、当該持ち上げた基板を前記保持面に載置したりするように構成されているリフタと、前記リフタを水平移動させることで、当該基板の中心部を前記回転軸線に近づけるリフタ水平移動機構とを含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記リフタは、複数設けられており、
複数の前記リフタが、前記保持面に保持されている基板よりも下方から当該基板に対向する対向部を有し、
前記センタリングユニットが、前記対向部を前記保持面よりも上方の第1位置と、前記対向部を前記保持面よりも下方の第2位置との間で鉛直方向に移動させるリフタ鉛直移動機構をさらに含む、請求項
7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記リフタが複数設けられており、
複数の前記リフタが、前記保持面に保持されている基板の周縁部に水平方向から対向する第1対向面を有する第1リフタと、前記保持面に保持されている基板の周縁部に前記第1対向面とは反対側から水平方向から対向する第2対向面を有する第2リフタとを含み、
前記リフタ水平移動機構が、前記第1リフタおよび前記第2リフタを個別に水平移動させる第1リフタ水平移動機構と、前記第1リフタおよび前記第2リフタを一体に水平移動させる第2リフタ水平移動機構とを含み、
前記第1対向面および前記第2対向面は、上方に向かうにしたがって互いに離間するように水平方向に対して傾斜する、請求項
7に記載の基板処理装置。
【請求項10】
円板状の基板を水平な姿勢に保持する保持面を有するベースと、
前記ベースを鉛直な回転軸線まわりに回転させる回転ユニットと、
前記保持面に保持されている基板の周縁部を加熱する加熱ユニットと、
光を発する発光部および前記発光部から発せられた光を受ける受光部を有し、前記保持面に保持されている基板の周縁部が前記発光部と前記受光部との間の検出空間内に位置するときに前記回転軸線に対する当該基板の偏心量を測定する偏心量測定ユニットと、
前記検出空間に存在する雰囲気を前記検出空間外の雰囲気で置換する雰囲気置換ユニットと、
前記保持面上の基板を前記ベースに対して移動させて、当該基板の中心部を前記回転軸線に近づけるセンタリングユニットとを備え、
前記センタリングユニットが、前記保持面に保持されている基板を持ち上げたり、当該持ち上げた基板を前記保持面に載置したりするように構成されているリフタと、前記リフタを水平移動させることで、当該基板の中心部を前記回転軸線に近づけるリフタ水平移動機構とを含み、
前記リフタが複数設けられており、
複数の前記リフタが、前記保持面に保持されている基板の周縁部に水平方向から対向する第1対向面を有する第1リフタと、前記保持面に保持されている基板の周縁部に前記第1対向面とは反対側から水平方向から対向する第2対向面を有する第2リフタとを含み、
前記リフタ水平移動機構が、前記第1リフタおよび前記第2リフタを個別に水平移動させる第1リフタ水平移動機構と、前記第1リフタおよび前記第2リフタを一体に水平移動させる第2リフタ水平移動機構とを含み、
前記第1対向面および前記第2対向面は、上方に向かうにしたがって互いに離間するように水平方向に対して傾斜する、基板処理装置。
【請求項11】
円板状の基板の周縁部にヒータが対向するように、ベースの保持面に前記基板を水平な姿勢で保持させる基板保持工程と、
発光部および受光部を有するセンサの前記発光部および前記受光部の間の空間である検出空間に前記基板の周縁部が位置する状態で、前記検出空間に存在する雰囲気を前記検出空間外の雰囲気で置換する雰囲気置換工程と、
前記雰囲気置換工程の実行中に、鉛直な回転軸線まわりに前記ベースを回転させながら前記回転軸線に対する当該基板の偏心量を前記センサによって検出する偏心量測定工程と、
前記偏心量測定工程によって検出された偏心量に応じて、前記基板を前記ベースに対して移動させることによって、前記基板の中心部を前記回転軸線に近づける位置合わせ工程とを含
み、
前記雰囲気置換工程が、前記発光部と前記受光部との対向方向に沿って並ぶ複数の気体吐出口から前記検出空間に向けて気体を供給する気体供給工程を含む、基板位置調整方法。
【請求項12】
円板状の基板の周縁部にヒータが対向するように、ベースの保持面に前記基板を水平な姿勢で保持させる基板保持工程と、
発光部および受光部を有するセンサの前記発光部および前記受光部の間の空間である検出空間に前記基板の周縁部が位置する状態で、前記検出空間に存在する雰囲気を前記検出空間外の雰囲気で置換する雰囲気置換工程と、
前記雰囲気置換工程の実行中に、鉛直な回転軸線まわりに前記ベースを回転させながら前記回転軸線に対する当該基板の偏心量を前記センサによって検出する偏心量測定工程と、
前記偏心量測定工程によって検出された偏心量に応じて、前記基板を前記ベースに対して移動させることによって、前記基板の中心部を前記回転軸線に近づける位置合わせ工程とを含み、
前記雰囲気置換工程が、前記検出空間に向けて気体を供給する気体供給工程を含み、
前記気体供給工程が、前記発光部および前記受光部とともに移動し、前記検出空間に気体を供給する移動気体ノズルヘッドであって、前記保持面に保持されている基板の周縁部が前記検出空間内に位置する検出位置と、前記保持面に保持されている基板の周縁部が前記検出空間外に位置する退避位置との間で移動する移動気体ノズルヘッドによって前記検出空間に気体を供給する工程を含む、基板位置調整方法。
【請求項13】
前記雰囲気置換工程が、前記基板を取り囲むガードであって、当該ガードの上端部が当該基板の上面よりも上方に位置する上位置と当該ガードの上端部が当該基板の上面よりも下方に位置する下位置との間で移動するように構成されているガードを前記上位置に配置することによって、前記ガードおよび前記ベースを収容するチャンバ内で前記基板の周縁部と前記ガードとの間を通って排気ダクトに向かって流れる気流を形成する気流形成工程を含む、請求項
11または
12に記載の基板位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理装置と、当該基板処理装置を用いた基板位置調整方法に関する。処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウェハ、液晶表示装置および有機EL(Electroluminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、基板より小さい円板状のスピンチャックと、基板の下面周縁部に沿う環状のヒータと、基板の上面に処理液を供給するノズルと含む基板処理装置が開示されている。この基板処理装置では、基板の周縁部を加熱しながら、基板の上面の周縁部を処理液で処理する基板処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている基板処理装置では、スピンチャックに基板を配置する際、基板が偏心配置されることがある。
そこで、この発明の1つの目的は、基板の偏心量を良好に低減できる基板処理装置および基板位置調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の一実施形態は、円板状の基板を水平な姿勢に保持する保持面を有するベースと、前記ベースを鉛直な回転軸線まわりに回転させる回転ユニットと、前記保持面に保持されている基板の周縁部を加熱する加熱ユニットと、光を発する発光部および前記発光部から発せられた光を受ける受光部を有し、前記保持面に保持されている基板の周縁部が前記発光部と前記受光部との間の検出空間内に位置するときに前記回転軸線に対する当該基板の偏心量を測定する偏心量測定ユニットと、前記検出空間に存在する雰囲気を前記検出空間外の雰囲気で置換する雰囲気置換ユニットとを備える、基板処理装置を提供する。
【0006】
この基板処理装置では、保持面に保持されている基板の周縁部が発光部と受光部との間に位置するときに、偏心量測定ユニットがベースの回転軸線に対する基板の偏心量を測定する。
基板の周縁部は、加熱ユニットによって加熱されるため、基板の周縁部の付近の空間において雰囲気の揺らぎが生じる。詳しくは、基板の周縁部に接する比較的温度が高い雰囲気とその周囲の雰囲気とが混ざり合って雰囲気が攪拌される。雰囲気が攪拌されることによって基板の周縁部の付近の空間の屈折率にむらが生じる。
【0007】
基板の偏心量は、発光部と受光部との間の検出空間に基板の周縁部が位置する状態で測定されるため、検出空間にも雰囲気の揺らぎが生じ、検出空間の屈折率にむらが生じる。空間の屈折率にむらが生じると、発光部が発する光の到達位置がずれ、偏心量測定ユニットの検出精度が悪化する。
そこで、検出空間に存在する雰囲気を、雰囲気置換ユニットを用いて検出空間外の雰囲気で置換する構成であれば、基板の周縁部が検出空間内に位置するときに検出空間における雰囲気の揺らぎを解消できる。その結果、偏心量測定ユニットの検出精度を向上させることができるので、基板の偏心量を良好に低減できる。
【0008】
この発明の一実施形態では、前記雰囲気置換ユニットが、前記検出空間に向けて気体を供給する気体供給ユニットを含む。そのため、検出空間内の雰囲気が、気体供給ユニットから供給される気体によって押し出され、気体供給ユニットから供給される気体によって良好に置換される。
この発明の一実施形態では、前記加熱ユニットが、前記保持面に保持されている基板の周縁部に対向するヒータを含む。前記気体供給ユニットが、前記検出空間において、前記保持面に保持されている基板の周縁部と前記ヒータとの間の部分に向かって気体を吐出する。
【0009】
基板の周縁部とヒータとの間の雰囲気は、ヒータによって加熱されやすく、周囲の雰囲気との温度差が生じやすい。そのため、基板の周縁部とヒータとの間の雰囲気には特に揺らぎが発生しやすい。そこで、基板の周縁部とヒータとの間の空間に向かって気体を吐出すれば、検出空間における揺らぎの原因となる基板の周縁部とヒータとの間の雰囲気を効果的に置換できる。したがって、検出空間における雰囲気の揺らぎを一層解消できる。
【0010】
この発明の一実施形態では、前記気体供給ユニットが、前記発光部と前記受光部との対向方向に沿って並ぶ複数の気体吐出口を含む。そのため、対向方向に沿って並ぶ複数の気体吐出口から吐出される気体によって、基板の周縁部の付近の部分の雰囲気だけでなく、検出空間の全体において雰囲気が置換される。そのため、偏心量測定ユニットの検出精度を向上させることができる。
【0011】
この発明の一実施形態では、前記気体供給ユニットが、複数の前記気体吐出口をそれぞれ有する複数の固定気体ノズルと、複数の前記固定気体ノズルが共通に取り付けられる取付プレートとを含む。そして、前記固定気体ノズルが、前記取付プレートに取り付けられる取付部と、前記取付部と一体に形成され、前記気体吐出口が設けられた吐出部とを含む。
【0012】
複数の固定気体ノズルが取付プレートに取り付けられており、固定気体ノズルの取付部および吐出部が一体に形成されている。そのため、固定気体ノズルを取付プレートに対して強固に固定でき、固定気体ノズル同士の位置関係を強固に固定できる。したがって、検出空間に向けて気体を的確に供給できる。
この発明の一実施形態では、前記気体供給ユニットが、前記発光部および前記受光部とともに移動し、前記検出空間に気体を供給する移動気体ノズルヘッドであって、前記保持面に保持されている基板の周縁部が前記検出空間内に位置する検出位置と、前記保持面に保持されている基板の周縁部が前記検出空間外に位置する退避位置との間で移動する移動気体ノズルヘッドを含む。そのため、移動気体ノズルが検出位置に位置するときに検出空間に気体を吐出して検出空間内の空気を気体で置換することで、偏心量測定ユニットの検出精度を向上できる。これにより、基板の偏心量を良好に低減できる。
【0013】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記ベースを収容するチャンバをさらに備える。そして、前記雰囲気置換ユニットが、前記チャンバ内の空間への給気および前記チャンバ内の空間からの排気を行う給排気ユニットを含む。そのため、チャンバ内の空間を給気および排気する際に、検出空間内の雰囲気を検出空間外の雰囲気で良好に置換できる。
【0014】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記保持面に保持されている基板を取り囲むガードであって、前記ガードの上端部が当該基板の上面よりも上方に位置する上位置と前記ガードの上端部が当該基板の上面よりも下方に位置する下位置との間で移動するように構成されているガードをさらに含む。前記給排気ユニットが、前記チャンバ内の雰囲気を排気する排気ダクトと、前記チャンバ内に雰囲気を供給し、前記排気ダクトに向かう気流を前記チャンバ内に形成する気流形成ユニットとを含む。そして、前記ガードは、前記ガードが前記上位置に位置するときに前記気流が前記保持面に保持されている基板の周縁部と前記ガードとの間を通り、前記ガードが前記下位置に位置するときに前記気流が前記ガードの外側を通るように前記気流の経路を切り替える。
【0015】
この構成によれば、ガードが上位置に位置するときには、チャンバ内において排気ダクトに向かう気流が基板の周縁部とガードとの間を通り、ガードが下位置に位置するときには、気流がガードの外側を通る。
そのため、ガードを上位置に配置することによって、基板の周縁部の周りの雰囲気を、気流によって運ばれる気体で置換できる。これにより、基板の周縁部が検出空間内に位置するときに検出空間における雰囲気の揺らぎを解消できる。その結果、偏心量測定ユニットの検出精度を向上させることができるので、基板の偏心量を良好に低減できる。
【0016】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置は、前記保持面上の基板を前記ベースに対して移動させて、当該基板の中心部を前記回転軸線に近づけるセンタリングユニットをさらに備える。したがって、偏心量測定ユニットが測定する偏心量に基づいて、基板の中心部が回転軸線に近づくようにベースに対して基板をセンタリングユニットが移動させることによって、基板の偏心量が低減される。
この発明の一実施形態では、前記センタリングユニットが、前記保持面に保持されている基板を持ち上げたり、当該持ち上げた基板を前記保持面に載置したりするように構成されているリフタと、前記リフタを水平移動させることで、当該基板の中心部を前記回転軸線に近づけるリフタ水平移動機構とを含む。
この構成によれば、保持面に保持されている基板をリフタによって持ち上げた状態で、リフタを水平移動させて基板の中心部を回転軸線に近づけることで、偏心量を低減できる。
【0017】
この発明の一実施形態では、前記リフタが、複数設けられている。複数の前記リフタが、前記保持面に保持されている基板よりも下方から当該基板に対向する対向部を有する。そして、前記センタリングユニットが、前記対向部を前記保持面よりも上方の第1位置と、前記対向部を前記保持面よりも下方の第2位置との間で鉛直方向に移動させるリフタ鉛直移動機構をさらに含む。
【0018】
この構成によれば、複数のリフタを第1位置に移動させることで、複数のリフタで基板を持ち上げて下方から支持することができる。基板を支持している複数のリフタをベースに対して水平方向へ移動させて基板の中心部を回転軸線に近づけることで、偏心量を低減できる。その後、複数のリフタを第2位置へ移動させることで、基板を保持面に保持させることができる。
【0019】
この発明の一実施形態では、前記リフタが複数設けられている。複数の前記リフタが、前記保持面に保持されている基板の周縁部に水平方向から対向する第1対向面を有する第1リフタと、前記保持面に保持されている基板の周縁部に前記第1対向面とは反対側から水平方向から対向する第2対向面を有する第2リフタとを含む。前記リフタ水平移動機構が、前記第1リフタおよび前記第2リフタを個別に水平移動させる第1リフタ水平移動機構と、前記第1リフタおよび前記第2リフタを一体に水平移動させる第2リフタ水平移動機構とを含む。前記第1対向面および前記第2対向面は、上方に向かうにしたがって互いに離間するように水平方向に対して傾斜する。
【0020】
この構成によれば、第1水平移動機構は、第1リフタおよび第2リフタを水平方向に個別に移動させることができる。第1水平移動機構によって、第1リフタおよび第2リフタが互いに近づくように第1リフタおよび第2リフタを水平方向に移動させることによって、第1対向面および第2対向面が基板の周縁部に当接する。第1対向面および第2対向面は、上方に向かうにしたがって互いに離間するように水平方向に対して傾斜する。そのため、第1対向面および第2対向面は、基板を保持面から持ち上げて下方から支持できる。第1対向面および第2対向面が基板を下方から支持する状態を維持しながら、第2リフタ水平移動機構によって第1リフタおよび第2リフタを水平方向へ移動させることによって、基板の中心部を回転軸線に近づけることができる。これにより、偏心量を低減できる。
【0021】
この発明の他の実施形態は、円板状の基板の周縁部にヒータが対向するように、ベースの保持面に前記基板を水平な姿勢で保持させる基板保持工程と、発光部および受光部を有するセンサの前記発光部および前記受光部の間の空間である検出空間に前記基板の周縁部が位置する状態で、前記検出空間に存在する雰囲気を前記検出空間外の雰囲気で置換する雰囲気置換工程と、前記雰囲気置換工程の実行中に、鉛直な回転軸線まわりに前記ベースを回転させながら前記回転軸線に対する当該基板の偏心量を前記センサによって検出する偏心量測定工程と、前記偏心量測定工程によって検出された偏心量に応じて、前記基板を前記ベースに対して移動させることによって、前記基板の中心部を前記回転軸線に近づける位置合わせ工程とを含む、基板位置調整方法を提供する。
【0022】
この方法によれば、雰囲気置換工程によって発光部および受光部の間の検出空間に存在する雰囲気を検出空間外の置換することによって、検出空間における雰囲気の揺らぎを解消できる。検出空間に存在する雰囲気の置換を継続しながらセンサによって基板の偏心量を測定すれば、検出空間における雰囲気の揺らぎを解消した状態で、偏心量を測定できる。これにより、偏心量を精度良く検出できるので、基板の偏心量を良好に低減できる。
【0023】
この発明の他の実施形態によれば、前記雰囲気置換工程が、前記検出空間に向けて気体を供給する気体供給工程を含む。そのため、検出空間に存在する雰囲気が、気体供給ユニットから供給される気体によって押し出され、気体供給ユニットから供給される気体によって良好に置換される。
この発明の他の実施形態によれば、前記雰囲気置換工程が、前記基板を取り囲むガードであって、当該ガードの上端部が当該基板の上面よりも上方に位置する上位置と当該ガードの上端部が当該基板の上面よりも下方に位置する下位置との間で移動するように構成されているガードの上端部を前記上位置に配置することによって、前記ガードおよび前記ベースを収容するチャンバ内で前記基板の周縁部と前記ガードとの間を通って排気ダクトに向かって流れる気流を形成する気流形成工程を含む。
【0024】
この方法によれば、ガードが上位置に位置するときには、チャンバ内において排気ダクトに向かう気流が基板の周縁部とガードとの間を通り、ガードが下位置に位置するときには、気流がガードの外側を通る。したがって、ガードを上位置に配置することによって、基板の周縁部の周りの雰囲気を気流によって運ばれる気体で置換できる。そのため、基板の周縁部が検出空間内に位置するときに検出空間における雰囲気の揺らぎを解消できる。その結果、偏心量測定ユニットの検出精度を向上させることができるので、基板の偏心量を良好に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置の内部構成を示す図解的な平面図である。
【
図2】
図2は、前記基板処理装置に備えられる処理ユニットの構成例を説明するための模式図である。
【
図3】
図3は、前記処理ユニットに備えられるスピンチャックおよびその周辺の模式的な平面図である。
【
図4】
図4は、前記処理ユニットに備えられる加熱ユニットの周辺の断面図である。
【
図5】
図5は、前記処理ユニットに備えられる移動気体ノズルヘッドおよびセンサの構成を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、前記処理ユニットに備えられるセンタリングユニットの周辺の断面図である。
【
図7】
図7は、前記基板処理装置の主要部の電気的構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、前記基板処理装置によって実行される基板処理の一例を説明するための流れ図である。
【
図9】
図9は、前記基板処理における基板位置調整処理(ステップS2)について説明するための流れ図である。
【
図10A】
図10Aは、前記基板位置調整処理の一例が行われているときの基板の様子を説明するための模式図である。
【
図10B】
図10Bは、前記基板位置調整処理の一例が行われているときの基板の様子を説明するための模式図である。
【
図10C】
図10Cは、前記基板位置調整処理の一例が行われているときの基板の様子を説明するための模式図である。
【
図11】
図11は、検出空間内の雰囲気の置換が行われる前後における偏心量の測定値の違いを説明するためのグラフである。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る基板処理装置に備えられる処理ユニットの構成例を説明するための模式図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る処理ユニットの模式的な平面図である。
【
図14A】
図14Aは、前記処理ユニットに備えられる複数の固定気体ノズルを水平方向から見た模式図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係る処理ユニットに備えられるセンタリングユニットの周辺の断面図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係る基板処理における基板位置調整処理(ステップS2)について説明するための流れ図である。
【
図17A】
図17Aは、第2実施形態に係る基板位置調整処理の一例が行われているときの基板の様子を説明するための模式図である。
【
図17B】
図17Bは、第2実施形態に係る基板位置調整処理の一例が行われているときの基板の様子を説明するための模式図である。
【
図17C】
図17Cは、第2実施形態に係る基板位置調整処理の一例が行われているときの基板の様子を説明するための模式図である。
【
図18A】
図18Aは、第2実施形態に係る基板処理において実行される雰囲気置換工程の変形例について説明するための模式図である。
【
図18B】
図18Bは、第2実施形態に係る基板処理において実行される雰囲気置換工程の変形例について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1は、この発明の一実施形態に基板処理装置1の内部構成を示す図解的な平面図である。
基板処理装置1は、シリコンウエハ等の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。この実施形態では、基板Wは、円板状の基板である。基板Wは、たとえば、半導体ウェハである。
【0027】
基板処理装置1は、基板Wを処理液で処理する複数の処理ユニット2と、処理ユニット2で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリヤCが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理装置1を制御するコントローラ3とを含む。
搬送ロボットIRは、キャリヤCと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。複数の処理ユニット2は、たとえば、同様の構成を有している。
【0028】
各処理ユニット2は、基板Wを水平に保持しながら回転軸線A1(鉛直軸線)まわりに基板Wを回転させるスピンチャック6と、平面視でスピンチャック6を取り囲む処理カップ7と、スピンチャック6および処理カップを収容するチャンバ8とを含む。回転軸線A1は、基板Wの中央部を通る鉛直な直線である。
チャンバ8には、搬送ロボットCRによって、基板Wを搬入したり基板Wを搬出したりするための出入口が形成されている。チャンバ8には、この出入口を開閉するシャッタユニット(図示せず)が備えられている。
【0029】
図2は、処理ユニット2の構成例を説明するための模式図である。
図3は、スピンチャック6およびその周辺の模式的な平面図である。
スピンチャック6は、基板Wを水平に保持しながら、基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線A1(鉛直軸線)まわりに基板Wを回転させる。スピンチャック6は、基板Wを水平に保持しながら回転軸線A1まわりに基板Wを回転させる基板保持回転ユニットの一例である。スピンチャック6は、スピンベース21(ベース)、回転軸22、スピンモータ23およびモータハウジング24を含む。
【0030】
スピンベース21は、基板Wを水平な姿勢に保持する保持面21aを有する。保持面21aは、たとえば、平面視で円形状である。保持面21aは、たとえば、スピンベース21の上面である。保持面21aの直径は基板Wの直径よりも小さい。
回転軸22は、中空軸である。回転軸22は、回転軸線A1に沿って鉛直方向に延びている。回転軸線A1は、スピンベース21の保持面21aの中央部を通る鉛直軸線である。回転軸22の上端には、スピンベース21が結合されている。スピンベース21は、回転軸22の上端に対して外嵌されている。
【0031】
スピンベース21および回転軸22には、吸引経路25が挿通されている。吸引経路25は、スピンベース21の保持面21aの中心から露出する吸引口25aを有する。吸引経路25は、吸引配管26に連結されている。吸引配管26は、真空ポンプ等の吸引ユニット27に連結されている。
吸引配管26には、その経路を開閉するための吸引バルブ28が介装されている。吸引バルブ28を開くことによって、スピンベース21の保持面21aに配置された基板Wを吸引することによって、基板Wが保持面21aに吸着される。スピンベース21は、基板保持ユニットの一例である。保持面21aは、基板Wを吸着する吸着面ともいう。スピンチャック6は、基板Wを吸着面に吸着させる吸着装置ともいう。
【0032】
スピンモータ23によって回転軸22が回転されることにより、スピンベース21が回転される。これにより、スピンベース21と共に、基板Wが回転軸線A1まわりに回転される。スピンモータ23は、基板Wを回転軸線A1まわりに回転させる回転ユニットの一例である。モータハウジング24は、スピンモータ23および回転軸22を収容する。回転軸22の上端は、モータハウジング24から突出している。
【0033】
処理カップ7は、スピンベース21の保持面21aに保持されている基板Wから飛散する液体を受け止める複数のガード30と、複数のガード30によって下方に案内された液体を受け止める複数のカップ31と、平面視において、複数のガード30および複数のカップ31を取り囲む排気桶33と、排気桶33に連結される排気ダクト34とを含む。
この実施形態では、2つのガード30(第1ガード30Aおよび第2ガード30B)と、2つのカップ31(第1カップ31Aおよび第2カップ31B)とが設けられている例を示している。
【0034】
第1カップ31Aおよび第2カップ31Bのそれぞれは、上向きに開放された環状溝の形態を有している。
第1ガード30Aは、スピンベース21を取り囲むように配置されている。第2ガード30Bは、第1ガード30Aよりもスピンベース21に近い位置でスピンベース21を取り囲むように配置されている。
【0035】
第1ガード30Aおよび第2ガード30Bは、それぞれ、ほぼ円筒形状を有している。各ガード30の上端部は、スピンベース21側(ガード30の中心側)に向かうように内方に傾斜している。
ガード30の中心側は、基板Wの回転径方向の内側でもある。ガード30の中心側の反対側は、基板Wの回転径方向の外側でもある。第1ガード30Aおよび第2ガード30Bは、同軸上に配置されており、ガード30の中心側は、第1ガード30Aの中心側であり、第2ガード30Bの中心側でもある。
【0036】
第1ガード30Aは、スピンベース21を取り囲むように配置されている。第2ガード30B(内側ガード)は、第1ガード30A(外側ガード)よりも第1ガード30Aの中心側でスピンベース21を取り囲むように配置されている。
詳しくは、第1ガード30Aは、平面視でスピンベース21を取り囲む第1筒状部35Aと、第1筒状部の上端からガード30の中心側に延びる第1延設部36Aとを有する。第1延設部36Aは、ガード30の中心側に向かうにしたがって上方に向かうように水平方向に対して傾斜する傾斜部を有する。第1延設部36Aは、平面視において環状である。
【0037】
第2ガード30Bは、第1筒状部35Aよりもガード30の中心側に配置され平面視でスピンベース21を取り囲む第2筒状部35Bと、第2筒状部35Bの上端からガード30の中心側に延びる第2延設部36Bとを含む。第2延設部36Bは、第1延設部36Aに下方から対向する。第2延設部36Bは、ガード30の中心側に向かうにしたがって上方に向かうように水平方向に対して傾斜する傾斜部を有する。第2延設部36Bは、平面視において環状である。
【0038】
第1カップ31Aは、第2ガード30Bと一体に形成されており、第1ガード30Aによって下方に案内された処理液を受け止める。第2カップ31Bは、第2ガード30Bによって下方に案内された処理液を受け止める。第1カップ31Aによって受けられた処理液は、第1カップ31Aの下端に連結された第1処理液回収路(図示せず)によって回収される。第2カップ31Bによって受けられた処理液は、第2カップ31Bの下端に連結された第2処理液回収路(図示せず)によって回収される。
【0039】
処理ユニット2は、第1ガード30Aおよび第2ガード30Bを別々に昇降させるガード昇降ユニット37を含む。ガード昇降ユニット37は、下位置と上位置との間で第1ガード30Aおよび第2ガード30Bを個別に昇降させる。
第1ガード30Aおよび第2ガード30Bがともに上位置に位置するとき、基板Wから飛散する処理液は、第2ガード30Bによって受けられる。第2ガード30Bが下位置に位置し、第1ガード30Aが上位置に位置するとき、基板Wから飛散する処理液は、第1ガード30Aによって受けられる。
【0040】
各ガード30の上位置は、スピンチャック6に保持されている基板Wの位置である保持位置(
図2に示す基板Wの位置)よりもガード30の上端が上方に位置する位置である。各ガード30の下位置は、保持位置よりもガード30の上端が下方に位置する位置である。
第1ガード30Aおよび第2ガード30Bがともに下位置に位置するときには、対応する搬送ロボットCRが、チャンバ8内に基板Wを搬入したりチャンバ8内から基板Wを搬出したりすることができる。
【0041】
ガード昇降ユニット37は、第1ガード30Aを昇降させる第1ガード昇降ユニットと、第2ガード30Bを昇降させる第2ガード昇降ユニットとを含む。
第1ガード昇降ユニットの構成は特に制限されていないものの、第1ガード昇降ユニットは、たとえば、シリンダ機構、ボールねじ機構、リニアモータ機構、および、ラックアンドピニオン機構の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0042】
第1ガード昇降ユニットは、たとえば、モータ等の第1アクチュエータ(図示せず)と、第1ガード30Aに結合され、第1アクチュエータから付与される駆動力を第1ガード30Aに伝達し第1ガード30Aを昇降させる第1昇降運動伝達機構(図示せず)とを含む。第1昇降運動伝達機構は、たとえば、ボールねじ機構またはラックアンドピニオン機構を含む。
【0043】
第2ガード昇降ユニットの構成は特に制限されていないものの、第2ガード昇降ユニットは、たとえば、シリンダ機構、ボールねじ機構、リニアモータ機構、および、ラックアンドピニオン機構の少なくとも1つを含んでいてもよい。
第2ガード昇降ユニットは、たとえば、モータ等の第2アクチュエータ(図示せず)と、第2ガード30Bに結合され、第2アクチュエータから付与される駆動力を第2ガード30Bに伝達し第2ガード30Bを昇降させる第2昇降運動伝達機構(図示せず)とを含む。第2昇降運動伝達機構は、たとえば、ボールねじ機構またはラックアンドピニオン機構を含む。
【0044】
処理ユニット2は、周縁ノズルヘッド9と、気流形成ユニット10と、加熱ユニット11と、移動気体ノズルヘッド12と、センサ13と、センタリングユニット14とをさらに含む。
周縁ノズルヘッド9は、基板Wの上面の周縁部に処理流体を供給する複数の周縁ノズル40と、複数の周縁ノズル40を支持するノズル支持部材41とを含む。基板Wの上面の周縁部とは、基板Wの外周端(先端)と、基板Wの上面において外周端の近傍の部分とを含む領域のことである。
【0045】
各周縁ノズル40には、対応する周縁ノズル40に処理流体を案内する処理流体配管42が接続されている。各処理流体配管42には、対応する処理流体配管42内の流路を開閉する処理流体バルブ43が介装されている。
複数の周縁ノズル40は、たとえば、APM(アンモニア・過酸化水素水混合液)等の薬液を吐出する第1周縁薬液ノズル40Aと、フッ酸(HF:フッ化水素酸)等の薬液を吐出する第2周縁薬液ノズル40Bと、炭酸水等のリンス液を吐出する周縁リンス液ノズル40Cと、窒素ガス(N2)等の気体を吐出する周縁気体ノズル40Dとを含む。
【0046】
第1周縁薬液ノズル40Aおよび第2周縁薬液ノズル40Bから吐出される薬液は、APMやフッ酸に限られない。周縁ノズル40から吐出される薬液は、たとえば、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえば、クエン酸、蓚酸等)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含有する液であってもよい。これらを混合した薬液の例としては、APM以外に、SPM(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:硫酸過酸化水素水混合液)等が挙げられる。APMは、SC1(Standard Clean 1)とも呼ばれる。
【0047】
周縁リンス液ノズル40Cから吐出されるリンス液は、炭酸水に限られない。周縁ノズル40から吐出されるリンス液は、DIW(Deionized Water)、炭酸水、電解イオン水、希釈濃度(たとえば、1ppm以上で、かつ、100ppm以下)の塩酸水、希釈濃度(たとえば、1ppm以上で、かつ、100ppm以下)のアンモニア水、還元水(水素水)のうちの少なくとも1つを含有する液であってもよい。
【0048】
周縁気体ノズル40Dから吐出される気体は、窒素ガスに限られない。周縁ノズル40から吐出される気体は、空気であってもよい。また、周縁気体ノズル40Dから吐出される気体は、窒素ガス以外の不活性ガスであってもよい。窒素ガス以外の不活性ガスは、たとえば、アルゴン等の希ガス類である。
ノズル支持部材41には、周縁ノズルヘッド9を支持するヘッド支持アーム45が結合されている。周縁ノズルヘッド9は、周縁ノズル移動ユニット44によってヘッド支持アーム45が移動されることで、水平方向および鉛直方向に移動される。周縁ノズルヘッド9は、中心位置とホーム位置(退避位置)との間で水平方向に移動するように構成されている。周縁ノズルヘッド9が中央位置とホーム位置との間の周縁位置に位置するときに複数の処理流体バルブ43のいずれかが開かれると、対応する周縁ノズル40から基板Wの上面の周縁部に対応する処理流体が供給される。
【0049】
周縁ノズル移動ユニット44は、ヘッド支持アーム45を鉛直方向に移動させるアーム鉛直移動機構(図示せず)と、ヘッド支持アーム45を水平方向に移動させるアーム水平移動機構(図示せず)とを含む。
ヘッド支持アーム45は、直動式であっても回動式であってもよい。ヘッド支持アーム45が直動式のアームである場合、ヘッド支持アーム45は、ヘッド支持アーム45の延設方向(ヘッド支持アーム45が延びる方向)に水平移動する。ヘッド支持アーム45が回動式のアームである場合、所定の鉛直軸線周りに回動することによって水平移動する。
【0050】
アーム水平移動機構は、たとえば、シリンダ機構、ボールねじ機構、リニアモータ機構、および、ラックアンドピニオン機構の少なくとも1つを含んでいてもよい。アーム水平移動機構は、たとえば、モータ等の水平移動用アクチュエータ(図示せず)と、ヘッド支持アーム45に結合され、当該アクチュエータから付与される駆動力をヘッド支持アーム45に伝達しヘッド支持アーム45を水平移動させる水平運動伝達機構(図示せず)とを含む。水平運動伝達機構は、たとえば、ボールねじ機構またはラックアンドピニオン機構を含む。
【0051】
アーム鉛直移動機構は、たとえば、シリンダ機構、ボールねじ機構、リニアモータ機構、および、ラックアンドピニオン機構の少なくとも1つを含んでいてもよい。アーム鉛直移動機構は、たとえば、モータ等の昇降アクチュエータ(図示せず)と、ヘッド支持アーム45に結合され、昇降アクチュエータから付与される駆動力をヘッド支持アーム45に伝達しヘッド支持アーム45を昇降させる昇降運動伝達機構(図示せず)とを含む。昇降運動伝達機構は、たとえば、ボールねじ機構またはラックアンドピニオン機構を含む。
【0052】
チャンバ8は、スピンチャック6および処理カップ7を取り囲む略四角筒状の側壁8Aと、スピンチャック6よりも上方に配置された上壁8Bと、スピンチャック6を支持する下壁8Cと含む。
気流形成ユニット10は、クリーンエア(フィルターによってろ過された空気)を送るFFU(ファン・フィルタ・ユニット)10Aと、チャンバ8の上壁8Bで開口する送風口8aの下方に配置された整流板10Bとを含む。
【0053】
気流形成ユニット10は、送風口8aの上に配置されている。送風口8aは、チャンバ8の上端部に設けられており、排気ダクト34は、チャンバ8の下端部に配置されている。排気ダクト34の上流端34aは、チャンバ8の中に配置されており、排気ダクト34の下流端は、チャンバ8の外に配置されている。
FFU10Aは、送風口8aを介してチャンバ8内にクリーンエアを送る。チャンバ8内に供給されたクリーンエアは、排気ダクト34内に吸い込まれ、チャンバ8から排出される。これにより、整流板10Bから下方に流れる均一なクリーンエアの下降流が、チャンバ8内に形成される。基板Wに対する各種処理(後述する基板処理)は、クリーンエアの下降流が形成されている状態で行われる。このように、気流形成ユニット10および排気ダクト34は、チャンバ8内の空間への給気およびチャンバ8内の空間からの排気を行う給排気ユニットを構成している。
【0054】
気流形成ユニット10によってチャンバ8内に形成される下降流の流量は、たとえば、1.3m3/min以上で、かつ、7.0m3/min以下である。
加熱ユニット11は、保持面21aに保持されている基板Wの周縁部を加熱するユニットである。基板Wの周縁部とは、基板Wにおいて、外周端(先端)と外周端の近傍の部分とを含む部分のことである。
【0055】
加熱ユニット11は、基板Wの下面の周縁部に対向する対向面50aを有する平面視円環状のヒータ50と、ヒータ50内に窒素ガス等の気体を送出する気体送出ユニット55とを含む。ヒータ50には、給電線56を介して電源等の通電ユニット57が接続されている。対向面50aは、基板Wの下面から、たとえば、2mm以上でかつ5mm以下の距離を隔てて対向している。
【0056】
図3に示すように、処理ユニット2には、基板Wの下面に処理流体を供給するノズルを有する下側周縁ノズルヘッド17が設けられていてもよく、その場合、ヒータ50には、下側周縁ノズルヘッド17を収容し、ヒータ50の周方向における一部を切り欠く切り欠き50bが設けられている。
下側周縁ノズルヘッド17は、複数の下側周縁ノズル75と、複数の下側周縁ノズル75を支持するノズル支持部材76とを含む。各下側周縁ノズル75には、対応する下側周縁ノズル75に処理流体を案内する下側処理流体配管77が接続されている。各下側処理流体配管77には、下側処理流体バルブ78が介装されており、下側処理流体バルブ78は、対応する下側処理流体配管77内の流路を開閉する。
【0057】
複数の下側周縁ノズル75は、複数の周縁ノズル40と同様の液体を吐出するように構成されていてもよい。具体的には、複数の下側周縁ノズル75は、APM等の薬液を吐出する第1下側周縁薬液ノズル75Aと、フッ酸等の薬液を吐出する第2下側周縁薬液ノズル75Bと、炭酸水等のリンス液を吐出する下側周縁リンス液ノズル75Cとを含む。下側周縁ノズル75から吐出される処理流体としては、周縁ノズル40(
図2を参照)から吐出される処理流体の例として列挙したものと同様のもの挙げられる。
【0058】
図2を参照して、気体送出ユニット55は、ヒータ50に連結され、ヒータ50内に気体を送り込む気体供給配管58と、気体供給配管58内の流路を開閉する流路開閉バルブ59とを含む。
図4は、加熱ユニット11の周辺の断面図である。気体送出ユニット55によってヒータ50内に送り込まれた気体は、ヒータ50内に形成された加熱流路51内で加熱され、ヒータ50に形成された気体吐出口50cから吐出される。ヒータ50は、輻射熱と、気体吐出口50cから吐出される加熱気体とによって、基板Wの周縁部を加熱する。気体吐出口50cから吐出される気体の流量は、たとえば、40L/minである。
【0059】
気体送出ユニット55によってヒータ50に送り込まれる気体は、窒素ガスに限られず、空気であってもよい。また、この気体は、窒素ガス以外の不活性ガスであってもよい。
ヒータ50は、たとえば、炭化ケイ素(SiC)やセラミックス製のヒータ本体部52と、ヒータ本体部52に内蔵された発熱体53とを含む。発熱体53は、たとえば、ニクロム線等の抵抗発熱体である。この場合、発熱体53が抵抗発熱体である場合、ヒータ50は、抵抗式のヒータである。発熱体53は、ヒータ50の周方向のほぼ全域に亘って設けられている。
図3の例のように、ヒータ50に切り欠き50bが設けられている場合には、発熱体53は、ヒータ50の周方向において切り欠き50bが設けられている位置に端部を有する有端環状である。発熱体53は、通電ユニット57(
図2を参照)によって通電されることで発熱する。
図3の例とは異なり、ヒータ50は、周方向に端部を有する有端環状であってもよい。
【0060】
加熱流路51は、発熱体53に対して基板Wと反対側において、ヒータ50の周方向のほぼ全域に亘って設けられている。この場合には、基板Wと発熱体53との間に加熱流路51が存在しないので、基板Wを均一に加熱することが容易になる。また、発熱体53から基板Wへの輻射熱および伝熱が、加熱流路51を流れる不活性ガスによって阻害されない。
【0061】
図4に示す例とは異なり、加熱流路51が基板Wと発熱体53との間に配設されていてもよい。
ヒータ本体部52は、たとえば、下方から上方に向かって順次に積層された下部材52a、中部材52b、および上部材52cを備えている。加熱流路51は、下部材52aの上面に形成されている凹部と、中部材52bの下面において当該凹部を塞いでいる部分とによって形成されている。
【0062】
複数の気体吐出口50cは、基板Wの下面に対向するように、ヒータ50の対向面50aに設けられている。複数の気体吐出口50cは、平面視において、発熱体53よりも回転軸線A1側および発熱体53よりも回転軸線A1とは反対側の両側において、ヒータ50の周方向に沿って配置されている。複数の気体吐出口50cは、上部材52cおよび中部材52bに形成された複数の連結流路52dのそれぞれを介して、加熱流路51と接続されている。
【0063】
ヒータ50は、発熱体53の発熱によって対向面50aから基板Wの下面に赤外線の熱線Hを放射して基板Wを加熱する。気体送出ユニット55がヒータ50に供給する気体は、加熱流路51に導入され、加熱流路51を流れる過程で発熱体53によって予め加熱される。加熱された気体は、各連結流路52dを介して対応する気体吐出口50cから、基板Wの下面の周縁部とヒータ50の対向面50aとの間の環状空間SP1に吐出される。気体吐出口50cから吐出される気体は、予め加熱されているので、基板Wの加熱に寄与する。
【0064】
図5は、移動気体ノズルヘッド12およびセンサ13の構成を説明するための模式図である。移動気体ノズルヘッド12は、略水平方向に気体を吐出する吐出口60aを有する移動気体ノズル60と、移動気体ノズル60を支持するノズル支持部材61とを含む。移動気体ノズル60には、移動気体ノズル60に気体を案内する気体配管62が接続されている。気体配管62には、気体配管62内の流路を開閉する気体バルブ63が介装されている。
【0065】
移動気体ノズル60から吐出される気体は、窒素ガスに限られない。移動気体ノズル60から吐出される気体は、空気であってもよい。また、移動気体ノズル60から吐出される気体は、窒素ガス以外の不活性ガスであってもよい。移動気体ノズル60から吐出される気体の流量は、たとえば、5L/min以上で、かつ、30L/min以下である。
センサ13は、回転軸線A1に対する基板Wの偏心量Eを測定する偏心量測定ユニットの一例である。回転軸線A1に対する基板Wの偏心量Eとは、回転軸線A1に対する、基板Wの上面の中心部C1を通る鉛直な中心軸線A2のずれ量のことである。
【0066】
センサ13は、光を発する発光部70と、発光部70から発せられた光を受ける受光部71とを有する。この実施形態では、発光部70および受光部71は、ノズル支持部材61によって支持されている。この実施形態では、発光部70および受光部71は、鉛直方向において互いに対向する。そのため、発光部70から発せられる光によって形成される光軸は、鉛直方向に延びている。
【0067】
発光部70は、水平方向に延びる発光面70aを有し、受光部71は、発光面70aと平行に延びる受光面71aを有する。発光部70は、たとえば、LED等の光源を有する。この実施形態では、受光部71はラインセンサであり、受光面71a上に、複数の画素が水平方向に一列に並ぶように配置される。この実施形態では、発光部70の発光面70aと受光部71の受光面71aとは、鉛直方向において互いに対向する。発光部70の発光面70aから受光部71の受光面71aに向けて帯状の光が出射される。
【0068】
発光部70の発光面70aと受光部71の受光面71aとの間の空間(検出空間DS)に、スピンベース21の保持面21aによって保持される基板Wの周縁部が位置するとき、スピンベース21に対する基板Wの偏心量Eがセンサ13によって測定される。受光部71は、受光した光Lの光量(たとえば、強度)を示す電気信号を、コントローラ3(
図1を参照)に出力する。
【0069】
ノズル支持部材61は、発光部70を支持する発光部支持部61aと、受光部71を支持する受光部支持部61bと、発光部支持部61aおよび受光部支持部61bを連結する連結部61cとを含む。そのため、発光部支持部61a、受光部支持部61bおよび連結部61cによって、支持部内空間SSが区画されている。
連結部61cは、発光部70および受光部71の対向方向D1に延びている。連結部61cは、
図5に示すように、対向方向D1に直線的に延びていてもよいし、
図5とは異なり、基板Wから離れる方向に突出するように湾曲状に対向方向D1に延びていてもよい。
【0070】
移動気体ノズル60は、移動気体ノズル60の吐出口60aは、連結部61cに設けられている。移動気体ノズル60の吐出口60aの気体の吐出方向D2は、対向方向D1に対する直交方向(水平方向)である。
移動気体ノズル60の吐出口60aから吐出される気体は、支持部内空間SSに向けて供給され、支持部内空間SS内に充満する。検出空間DSは、支持部内空間SSの一部である。そのため、移動気体ノズル60の吐出口60aから吐出される気体は、検出空間DSの全体に行き渡りやすい。
【0071】
このように、移動気体ノズルヘッド12(移動気体ノズル60)は、検出空間DSに向けて気体を供給する気体供給ユニットとして機能する。さらに、移動気体ノズルヘッド12(移動気体ノズル60)は、検出空間DSに存在する雰囲気を検出空間DS外の雰囲気(吐出口60aから吐出される気体)で置換する雰囲気置換ユニットとして機能する。
移動気体ノズルヘッド12は、気体ノズル移動ユニット65によって水平方向に移動される。移動気体ノズルヘッド12は、発光部70および受光部71とともに、検出位置(
図5に示す位置)と退避位置(
図1に示す位置)との間で水平方向に移動するように構成されている。移動気体ノズルヘッド12は、検出位置に位置するとき、水平方向からヒータ50に隣接配置される。
【0072】
移動気体ノズルヘッド12が検出位置に位置するとき、スピンベース21に保持されている基板Wの周縁部が検出空間DSに位置する。移動気体ノズルヘッド12は、検出位置に位置するときに吐出口60aから気体を吐出させることで、検出空間DSに気体を供給することができる。
また、移動気体ノズルヘッド12が検出位置に位置するとき、吐出口60aは、基板Wの下面の周縁部とヒータ50の対向面50aとの間の環状空間SP1に水平方向から対向する。そのため、移動気体ノズルヘッド12は、環状空間SP1に気体を効率的に送り込むことができる。基板Wの下面の周縁部とは、基板Wの外周端(先端)と、基板Wの下面において外周端の近傍の部分とを含む領域のことである。
【0073】
移動気体ノズルヘッド12が検出位置に位置するとき、発光部70および受光部71の一方が、スピンベース21に保持されている基板W(保持位置)よりも上方に位置し、発光部70および受光部71の他方が、保持位置よりも下方に位置する。この実施形態では、発光部70が保持位置よりも上方に位置し、受光部71が保持位置よりも下方に位置する。
【0074】
移動気体ノズルヘッド12が退避位置に位置するとき、スピンベース21に保持されている基板Wの周縁部が検出空間DS外に位置する。
移動気体ノズルヘッド12が検出位置に位置するときに発光部70から発せられた光は、検出空間DS内で進行し、その一部は、基板Wの周縁領域により遮られ、他の部分は受光面71a上の一部の画素に入射する。コントローラ3は、受光部71の複数の画素のうち、発光部70からの光を受光した画素の位置に基づいて、検出空間DS内における基板Wの外周端の位置を検出する。
【0075】
移動気体ノズル60の一部は、ノズル支持部材61に結合されて水平に延びる気体ノズルアーム66に挿通されている。
気体ノズル移動ユニット65は、気体ノズルアーム66を水平方向に移動させる気体ノズルアーム水平移動機構(図示せず)を含む。気体ノズルアーム水平移動機構は、たとえば、シリンダ機構、ボールねじ機構、リニアモータ機構、および、ラックアンドピニオン機構の少なくとも1つを含んでいてもよい。気体ノズルアーム水平移動機構は、たとえば、モータ等の水平移動用アクチュエータ(図示せず)と、気体ノズルアーム66に結合され、当該アクチュエータから付与される駆動力を気体ノズルアーム66に伝達し気体ノズルアーム66を水平移動させる水平運動伝達機構(図示せず)とを含む。水平運動伝達機構は、たとえば、ボールねじ機構またはラックアンドピニオン機構を含む。
【0076】
図6は、センタリングユニット14の周辺の断面図である。センタリングユニット14は、スピンベース21の保持面21a上の基板Wをスピンベース21に対して移動させて、基板Wの中心軸線A2を回転軸線A1に近づけるように構成されている。センタリングユニット14は、加熱ユニット11よりも回転軸線A1側に配置されている。
センタリングユニット14は、保持面21aに保持されている基板Wを持ち上げたり、当該持ち上げた基板Wを保持面21aに載置したりするように構成されている複数(この実施形態では、3個)のリフタとしての複数のリフトピン80(
図3も参照)と、複数のリフトピン80を水平移動させることで、基板Wの中心部C1を回転軸線A1に近づけるピン水平移動機構90とを含む。ピン水平移動機構90は、リフタ水平移動機構の一例である。
【0077】
複数のリフトピン80は、回転軸線A1まわりの回転方向に等間隔で配置されている。ピン水平移動機構90は、複数のリフトピン80を一体的にスピンベース21に対して水平方向へ移動させる。複数のリフトピン80は、円環状の連結部材81によって連結されている。
センタリングユニット14は、複数のリフトピン80を一体的に鉛直方向に移動させるピン鉛直移動機構85をさらに含む。ピン鉛直移動機構85は、リフタ鉛直移動機構の一例である。
【0078】
リフトピン80は、保持面21aに保持されている基板Wよりも下方から基板Wに対向する対向部としての先端部80aを有する。複数のリフトピン80は、ピン鉛直移動機構85によって、第1位置(
図6に二点鎖線で示す位置)と第2位置(
図6に実線で示す位置)との間で移動される。リフトピン80が第1位置に位置するとき、保持面21aに保持されている基板Wよりも上方にリフトピン80の先端部80aが位置する。リフトピン80が第2位置に位置するとき、保持面21aに保持されている基板Wよりも下方にリフトピン80の先端部80aが位置する。
【0079】
ピン鉛直移動機構85の構成は特に制限されていないものの、ピン鉛直移動機構85は、たとえば、リニアモータ機構、ボールねじ機構、または、シリンダ機構を含んでいる。
ピン鉛直移動機構85は、固定体86と可動体87と駆動機構88とを含む。可動体87は、固定体86に対して鉛直方向に沿って移動可能に設けられている。駆動機構88は、可動体87を固定体86に対して鉛直方向に移動させるための駆動力を可動体87に作用させる。
【0080】
駆動機構88は、たとえばモータを含む。たとえば、可動体87は、適宜にリンク部材等を介してモータの回転子に連結されており、当該リンク部材がモータによって変位することで、可動体87が固定体86に対して鉛直方向に移動する。駆動機構88が可動体87を固定体86に対して鉛直方向に移動させることにより、連結部材81および複数のリフトピン80が一体的に鉛直方向に移動する。
【0081】
基板Wがスピンベース21の保持面21a上に載置されている状態で、複数のリフトピン80を第2位置から第1位置に移動させることによって、複数のリフトピン80によって基板Wが持ち上げられる。詳しくは、第1位置に移動する途中で基板Wがスピンベース21から複数のリフトピン80に受け渡され、基板Wがスピンベース21から上方に離間する。
【0082】
ピン水平移動機構90の構成は特に制限されていないものの、たとえば、リニアモータ機構、ボールねじ機構、または、シリンダ機構を含んでいる。
ピン水平移動機構90は、固定体91、可動体92、および、駆動機構93を含んでいる。可動体92は、固定体91に対して水平方向に沿って移動するように構成されている。可動体92の移動方向は、回転軸線A1を通る鉛直な平面である基準面P1(
図3を参照)と平行な水平方向である。可動体92の移動方向は、後述する位置合わせ工程において基板Wが移動する方向であるセンタリング方向と同じ方向である。
【0083】
駆動機構93は、可動体92を固定体91に対して移動させるための駆動力を可動体92に作用させる。たとえば、駆動機構93は、リニアモータ機構である。その場合、リニアモータ機構は、固定子に取り付けられたコイルと、移動子に取り付けられた永久磁石とを含み、これらの磁気作用により、移動子を固定子に対して水平方向に移動させる。固定体91は、リニアモータの固定子に連結され、可動体92は、リニアモータの移動子に連結される。駆動機構93は、複数のリフトピン80を水平に移動させることにより、スピンベース21に対して基板Wを水平に移動させるセンタリングアクチュエータの一例である。
【0084】
ピン水平移動機構90の可動体92は、ピン鉛直移動機構85の固定体86に連結される。よって、ピン水平移動機構90の可動体92が水平方向に移動することにより、ピン鉛直移動機構85、連結部材81および複数のリフトピン80が一体的に水平方向に移動する。
ピン鉛直移動機構85によって複数のリフトピン80が第2位置から第1位置に移動されることで、複数のリフトピン80が基板Wをスピンベース21から持ち上げて支持する。基板Wを支持している複数のリフトピン80をピン水平移動機構90が水平移動させて、スピンベース21に対する基板Wの位置を調整することができる。詳しくは、基板Wの中心軸線A2を回転軸線A1に近づけることで、偏心量Eを低減できる。スピンベース21に対する基板Wの位置を調整した後、ピン鉛直移動機構85によって複数のリフトピン80を第1位置から第2位置に移動させることによって、スピンベース21の保持面21aに基板Wを保持させることができる。
【0085】
センタリングユニット14は、水平方向におけるピン水平移動機構90の可動体92の位置を検出するエンコーダ等の位置測定センサ94を含んでいてもよい。
センタリングユニット14は、ピン鉛直移動機構85およびピン水平移動機構90を収容する環状の収容部材95を含む。収容部材95には、複数の貫通孔95aが形成されており、複数の貫通孔95aのそれぞれから基板Wの下面に向けて複数のリフトピン80が突出している。センタリングユニット14は、各貫通孔95aの周縁と対応するリフトピン80との間に設けられたシール部材96を含む。
【0086】
図7は、基板処理装置1の主要部の電気的構成を示すブロック図である。コントローラ3は、マイクロコンピュータを備え、所定の制御プログラムに従って基板処理装置1に備えられた制御対象を制御する。
具体的には、コントローラ3は、プロセッサ(CPU)4と、制御プログラムが格納されたメモリ5とを含むコンピュータであってもよい。コントローラ3は、プロセッサ4が制御プログラムを実行することによって、基板処理のための様々な制御を実行するように構成されている。
【0087】
とくに、コントローラ3は、搬送ロボットIR,CR、スピンモータ23、周縁ノズル移動ユニット44、気体ノズル移動ユニット65、ガード昇降ユニット37、通電ユニット57、センサ13、センタリングユニット14、吸引バルブ28、複数の処理流体バルブ43、気体バルブ63、および、下側処理流体バルブ73を制御するようにプログラムされている。
【0088】
コントローラ3は、センタリングユニット14の位置測定センサ94によって検出された可動体92の位置を示す電気信号を受信する。コントローラ3は、受光部71から出力された電気信号を受信する。
図8は、前記基板処理装置によって実行される基板処理の一例を説明するための流れ図である。
図8は、主として、コントローラ3がプログラムを実行することによって実現される処理が示されている。
【0089】
まず、未処理の基板Wは、搬送ロボットIR,CR(
図1参照)によってキャリヤCから処理ユニット2に搬入され、スピンチャック6に渡される(ステップS1)。具体的には、基板Wが保持面21aに載置される。基板Wが保持面21aに載置されている状態で吸引バルブ28が開かれることによって、基板Wは、水平に保持される(基板保持工程)。基板Wが保持面21aに載置される前に、流路開閉バルブ59は開かれており、かつ、通電ユニット57によるヒータ50の通電は開始されている。
【0090】
詳しくは後述するが、基板Wが保持面21aに載置された後、基板Wの位置合わせを行う基板位置調整処理(ステップS2)が実行される。基板位置調整処理は、センタリング処理(センタリング工程)ともいう。
基板位置調整処理が終了した後、所定の液処理が実行される。この基板処理装置1では、たとえば、加熱ユニット11で基板Wの周縁部を加熱しながら周縁ノズルヘッド9から基板Wの上面の周縁部に向けて処理液が供給される。基板Wの上面の周縁部には、APM、炭酸水、HF、炭酸水がこの順番で供給される。処理液の供給が終了した後、基板Wを高速回転させて基板Wの上面の周縁部を乾燥させる。
【0091】
より具体的には、周縁ノズルヘッド9を処理位置に移動させ、対応する処理流体バルブ43を開くことで、第1周縁薬液ノズル40Aから基板Wの上面の周縁部にAPM等の薬液が供給される(第1薬液処理:ステップS3)。
その後、第1周縁薬液ノズル40Aに対応する処理流体バルブ43が閉じられ、その代わりに、周縁リンス液ノズル40Cに対応する処理流体バルブ43が開かれる。これにより、周縁リンス液ノズル40Cから基板Wの上面の周縁部に炭酸水等のリンス液が供給される(第1リンス処理:ステップS4)。
【0092】
さらにその後、周縁リンス液ノズル40Cに対応する処理流体バルブ43が閉じられ、第2周縁薬液ノズル40Bに対応する処理流体バルブ43が開かれる。これにより、第2周縁薬液ノズル40Bから基板Wの上面お周縁部にフッ酸等の薬液が供給される(第2薬液処理:ステップS5)。その後、第2周縁薬液ノズル40Bに対応する処理流体バルブ43が閉じられ、周縁リンス液ノズル40Cに対応する処理流体バルブ43が開かれる。これにより、周縁リンス液ノズル40Cから基板Wの上面の周縁部に炭酸水等のリンス液が供給される(第2リンス処理:ステップS6)。
【0093】
第2リンス処理の後、処理流体バルブ43が閉じられ、スピンモータ23が基板Wの回転を加速させて、高回転速度(たとえば数千rpm)で基板Wを回転させる(スピンドライ:ステップS7)。これにより、液体が基板Wから除去され、基板Wが乾燥する。基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、スピンモータ23が回転を停止する。これにより、基板Wの回転が停止される。
【0094】
基板Wに対する液処理が終了した後、搬送ロボットCRが、処理ユニット2に進入して、スピンチャック6から処理済みの基板Wをすくい取って、処理ユニット2外へと搬出する(ステップS8)。その基板Wは、搬送ロボットCRから搬送ロボットIRへと渡され、搬送ロボットIRによって、キャリヤCに収納される。
液処理において、ヒータ50による輻射熱と加熱気体の供給とによって基板Wは加熱される。そのため、APMやHF等の薬液による基板Wの上面周縁部の処理レートが向上される。APMやHF等の薬液によって、基板Wの上面の周縁部に存在するTiNやSiO2がエッチングされる。加熱気体がヒータ50と基板Wの下面との間の環状空間SP1に供給されることによって、基板の上面の周縁部に着液した処理液が基板の下面に回り込むことを防止できる。
【0095】
図9は、基板処理における基板位置調整処理(ステップS2)について説明するための流れ図である。
図10A~
図10Cは、基板位置調整処理の一例が行われているときの基板の様子を説明するための模式図である。
基板位置調整処理(ステップS2)では、気体ノズル移動ユニット65が、移動気体ノズルヘッド12を検出位置に移動させる(ステップS10)。
【0096】
気体バルブ63が開かれ、移動気体ノズル60から検出空間DSへの気体の供給が開始される(気体供給工程)。これにより、
図5に示すように、移動気体ノズル60から供給される気体による、検出空間DSに存在する雰囲気の置換が開始される(ステップS11)。すなわち、検出空間DSに基板Wの周縁部が位置する状態で、移動気体ノズル60から吐出される気体で検出空間DSに存在する雰囲気を置換する雰囲気置換工程が開始される。
【0097】
雰囲気の置換が開始された後、センサ13によって基板Wの偏心量Eが測定される(ステップS12)。すなわち、雰囲気置換工程の実行中に、基板Wを回転させながらセンサ13によって偏心量Eを測定する偏心量測定工程が実行される。
センサ13によって偏心量Eが測定された後、コントローラ3が、偏心量Eが所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップS13:偏心量判定工程)。所定の閾値は、たとえば、0.08mmである。偏心量Eが、閾値以内でない場合には(ステップS13:NO)、基板Wの位置合わせが行われる前に、基板Wが配置される基準位置に基板Wが位置しているか否かを確認する位置確認工程が行われる(ステップS14)。
【0098】
位置確認工程では、具体的には、コントローラ3は、受光部71の検出値に基づいて基板Wが基準位置に位置しているか否かを確認する。基準位置は、基板Wの中心軸線A2が基準面P1に重なりかつ、基板Wの中心軸線A2と回転軸線A1とがリフトピン80の移動方向(センタリング方向)に並ぶ回転位相である。
図10Aは、基板Wの中心軸線A2が基準面P1に重なっていない状態を示している。
【0099】
基板Wが基準位置に位置している場合(ステップS14:YES)、スピンモータ23は、基板Wおよびスピンベース21を回転させずにその場で静止させる。基板Wが基準位置に位置していない場合(ステップS14:NO)、スピンモータ23は、基板Wおよびスピンベース21を基準位置まで回転させて、基準位置で静止させる(ステップS15)。たとえば基板Wが
図10Bに示す状態にある場合、スピンモータ23は、基板Wおよびスピンベース21を時計回りに90°回転させる。これにより、
図10Bに示すように、基板Wの中心部C1が基準面P1に重なり、基板Wが基準位置に配置される。
【0100】
基板Wが基準位置に配置された状態で、センタリングユニット14によって基板Wの位置合わせが行われる(位置合わせ工程:ステップS16)。詳しくは、センタリングユニット14が、センサ13によって測定された偏心量Eに応じて、回転軸線A1に基板Wの中心軸線A2が近づくようにスピンベース21に対して基板Wをセンタリング方向に水平に移動させる。
【0101】
具体的には、複数のリフトピン80を第1位置(
図6に二点鎖線で示すリフトピン80の位置を参照)に移動させてスピンベース21上の基板Wが複数のリフトピン80によって持ち上げられる。その後、
図10Bに示すように、複数のリフトピン80がセンタリング方向に移動することによって基板Wの偏心量Eが低減され、その後、複数のリフトピン80が第2位置(
図6に実線で示すリフトピン80の位置を参照)に下降される。複数のリフトピン80の下降によって、スピンベース21の保持面21aに基板Wが載置される。
【0102】
位置合わせ工程によって基板Wの中心軸線A2がスピンベース21の回転軸線A1に充分近づくことによって、
図10Cに示すように、基板Wの偏心が解消される。基板Wの偏心が解消されるとは、回転軸線A1と基板Wの中心軸線A2とが完全に一致していることを意味するのではなく、偏心量Eが所定の閾値(たとえば、0.08mm)以下となることを意味する。
【0103】
その後、吸引バルブ28が開かれることによって、基板Wがスピンベース21に吸着される(吸着工程:ステップS17)。その後、気体バルブ63が閉じられることによって、検出空間DS内の雰囲気の置換が終了する(ステップS18)。すなわち、雰囲気置換工程が終了する。また、気体ノズル移動ユニット65が、移動気体ノズルヘッド12を退避位置へ向けて移動させる(ステップS19)。以上により、基板位置調整処理(ステップS2)が終了する。
【0104】
ステップS13において、偏心量Eが、閾値以内である場合には(ステップS13:NO)、位置合わせ工程が実行されることなく、ステップS17以降の工程が実行される。
その後、未処理の基板Wが処理ユニット2に搬入され、その基板Wに対して、基板位置調整および基板処理が行われる。ヒータ50の加熱効率の観点から、加熱ユニット11のヒータ50に対する通電ユニット57の通電および気体の供給は、基板処理が終了した後、次の基板Wに対する基板位置調整が開始されるまでの間においても継続される。
【0105】
次に、検出空間DS内の雰囲気を置換することの効果について説明する。
基板位置調整処理では、基板Wが保持面21aに載置されることによって、基板Wの周縁部が、加熱ユニット11によって加熱される。そのため、基板Wの周縁部の付近の空間において雰囲気の揺らぎが生じる。詳しくは、基板Wの周縁部に接する比較的温度が高い雰囲気とその周囲の雰囲気とが混ざり合って雰囲気が攪拌される。雰囲気が攪拌されることによって基板Wの周縁部の付近の空間の屈折率にむらが生じる。
【0106】
移動気体ノズルヘッド12が検出位置に配置されると、センサ13の発光部70および受光部71の間の検出空間DSが基板Wの周縁部の近傍に位置する。そのため、検出空間DSにおいても雰囲気の揺らぎが生じる。
図11は、検出空間DS内の雰囲気の置換が行われる前後における偏心量Eの測定値の違いを説明するためのグラフである。
図11では、横軸が基板Wの回転位相を示しており、縦軸が基板W外周端の変位量を示している。
【0107】
回転位相は、基板Wの回転方向における基準位置の角度を0°とした場合の、基準位置に対する回転量を意味する。基板Wの外周端の変位量とは、発光部70および受光部71の対向方向に直交する方向における基板Wのシフト量であり、所定の基準位置に位置する基板Wの外周端と、各回転位相における基板Wの外周端との距離のことである。基準位置とは、基板Wの中心軸線A2がスピンベース21の回転軸線A1と一致する位置である。
【0108】
回転軸線A1に対する基板Wの偏心量Eは、基板Wの外周端の変位量の最大値の絶対値と、基板Wの外周端の変位量の最小値の絶対値との和(合計変位量DA)の半分である(E=DA/2)。
仮に、この基板処理とは異なり、検出空間DS内の雰囲気の置換が行われない場合には、検出空間DSに雰囲気の揺らぎが生じている状態で、偏心量Eが測定される。そのため、
図11に破線で示すように、基板Wの外周端の変位量にノイズが生じる。したがって、偏心量Eの測定精度が不充分である。
【0109】
一方、この基板処理では、移動気体ノズル60から供給される気体によって、検出空間DSに存在する雰囲気が置換されているため、検出空間DSにおける雰囲気の揺らぎが解消される。そのため、
図11に実線で示すように、基板Wの外周端の変位量のノイズが低減される。したがって、基板Wの偏心量Eを精度よく測定できる。
第1実施形態によれば、移動気体ノズル60から吐出される気体(検出空間DS外の雰囲気)によって、検出空間DS内の雰囲気が置換される。そのため、基板Wの周縁部が検出空間DSに位置するときに検出空間DSにおける雰囲気の揺らぎを解消できる。その結果、センサ13の検出精度を向上させることができるので、基板Wの偏心量Eを良好に低減できる。
【0110】
移動気体ノズル60は、保持面21aに保持されている基板Wの周縁部とヒータ50との間の環状空間SP1に向かって気体を吐出する。環状空間SP1に存在する雰囲気は、ヒータ50によって加熱されやすく、環状空間SP1外の雰囲気との温度差が生じやすい。そのため、環状空間SP1に存在する雰囲気には特に揺らぎが発生しやすい。そこで、移動気体ノズル60が環状空間SP1に向かって気体を吐出するように構成されていれば、環状空間SP1の雰囲気を効果的に置換できる。したがって、環状空間SP1における雰囲気の揺らぎを解消できる。
【0111】
<第2実施形態>
図12は、第2実施形態に係る基板処理装置1Pに備えられる処理ユニット2の構成例を説明するための模式図である。
図13は、第2実施形態に係る処理ユニット2の模式的な平面図である。
図13では、説明の便宜上、周縁ノズルヘッド9、および、気体ノズル移動ユニット65の図示を省略している。
【0112】
図12および
図13、ならびに後述する
図14~
図18Bにおいて、前述の
図1~
図11に示された構成と同等の構成については、
図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
基板処理装置1Pが、第1実施形態に係る基板処理装置1と主に異なる点は、移動気体ノズルヘッド12の代わりに、複数の固定気体ノズル15および取付プレート16が設けられている点、センサ13Pの位置が固定されている点、および、センタリングユニット14Pがガード30に取り付けられている点である。
【0113】
センサ13Pの発光部70および受光部71の一方は、保持位置よりも上方に配置されており、発光部70および受光部71の他方は、保持位置よりも下方に配置されている。第2実施形態では、発光部70および受光部71の対向方向D1は、鉛直方向と一致している。
図13に示す例では、発光部70が保持位置よりも下方に配置されており、受光部71が保持位置よりも上方に配置されている。
【0114】
発光部70は、スピンチャック6のモータハウジング24の中に配置されている。発光部70は、モータハウジング24を上下方向に貫通する透過穴の下方に配置されている。モータハウジング24の透過穴は、発光部70の光Lを透過する透過部材で覆われている。発光部70が発する光Lは、透明部材を通じてモータハウジング24の外に放出される。
【0115】
受光部71は、チャンバ8内に配置されたセンサハウジング100の中に配置されている。受光部71は、センサハウジング100を上下方向に貫通する透過穴の上方に配置されている。センサハウジング100の透過穴は、発光部70の光Lを透過する透明部材で塞がれている。発光部70から発する光Lは、透明部材を通じてセンサハウジング100の中に入り、受光部71に照射される。この実施形態では、発光部70の発光面70aと受光部71の受光面71aとは、鉛直方向において互いに対向する。
【0116】
このように、発光部70および受光部71は、チャンバ8内における位置が固定された部材(モータハウジング24およびセンサハウジング100)に固定されている。そのため、基板Wが保持面21aに保持されることによって、基板Wの周縁部が検出空間DSに配置される。
スピンベース21上に基板Wがない場合、発光部70から発せられた光Lは、ガード30の上端部の内周面とヒータ50の外周面との間に形成される環状空間SP2を鉛直方向に通り、ガード30およびヒータ50に遮られることなく受光部71に到達する。スピンベース21上に基板Wがある場合、発光部70から発せられた光Lの一部は基板Wの周縁部で遮られる。したがって、コントローラ3は、受光部71の複数の画素のうち、発光部70からの光Lを受光した画素の位置に基づいて、検出空間DS内における基板Wの外周端の位置を検出する。
【0117】
取付プレート16は、チャンバ8の側壁8Aに取り付けられて固定されている。
複数の固定気体ノズル15は、単一の取付プレート16に共通に取り付けられている。複数の固定気体ノズル15は、基板Wの保持位置よりも上方において、発光部70および受光部71の対向方向D1に沿って並んでいる。
各固定気体ノズル15には、固定気体ノズル15に窒素ガス等の気体を案内する気体配管110が接続されている。各気体配管110には、気体バルブ111が介装されており、各気体バルブ111は、対応する気体配管110内の流路を開閉する。複数の固定気体ノズル15は、それぞれ、複数の気体吐出口15aを有している。複数の気体吐出口15aは、対向方向D1に沿って並んでいる。
【0118】
複数の固定気体ノズル15は、検出空間DSにおいて基板Wの周縁部の近傍の部分に気体を供給する第1固定気体ノズル15Aと、検出空間DSにおいて基板Wの周縁部の周りの空間
の部分に気体を供給する第2固定気体ノズル15Bとを含む。第2固定気体ノズル15Bは、複数(
図12の例では、2つ)設けられていてもよい。
複数の固定気体ノズル15は、検出空間DSに気体を供給する気体供給ユニットの一例である。さらに、固定気体ノズル15は、検出空間DSに存在する雰囲気を検出空間DS外の雰囲気(気体吐出口15aから吐出される気体)で置換する雰囲気置換ユニットとして機能する。
【0119】
図14Aは、複数の固定気体ノズル15を水平方向から見た模式図である。
図14Bは、複数の固定気体ノズル15の周辺の斜視図である。
図14Cは、複数の固定気体ノズル15の平面図である。
図14Aに示すように、第2固定気体ノズル15Bの気体吐出口15aの気体の吐出方向D3は、対向方向D1に対して直交する方向である。第1固定気体ノズル15Aの気体吐出口15aの気体の吐出方向D4は、水平面HSに対して傾斜する傾斜方向である。この実施形態では、対向方向D1は、鉛直方向であるため、対向方向D1に対して直交する方向は、水平方向である。吐出方向D4に延びる直線SLと水平面HSとがなす角度θは、たとえば、18°である。
【0120】
第1固定気体ノズル15Aは、基板Wの保持位置よりも上方に配置されているため、吐出方向D4は、第1固定気体ノズル15Aの気体吐出口15aから検出空間DSに向かうにしたがって、下方に向かうように水平面HSに対して傾斜している。詳しくは、第1固定気体ノズル15Aの気体吐出口15aの気体の吐出方向D4は、基板Wの下面の周縁部とヒータ50の対向面50aとの間の環状空間SP1に向かう方向である。そのため、第1固定気体ノズル15Aは、環状空間SP1に気体を効率的に送り込むことができる。
【0121】
図14Bに示すように、各固定気体ノズル15は、取付プレート16に沿って延び取付プレート16に取り付けられる取付部115と、取付部115と一体に形成され、気体吐出口15aが設けられた吐出部116とを含む。
取付部115には、ねじ等の締結部材118が挿通される挿通孔115aが設けられている(
図14Cも参照)。固定気体ノズル15は、締結部材118によって取付プレート16に共通に取り付けられている。
【0122】
図13に示すように、吐出部116は、平面視において、取付部115が延びる方向(側壁8Aに沿う方向)に対して傾斜する方向へ向けて取付部115から延びている。平面視において、吐出部116および取付部115は、直交しないように水平に延びている。
気体吐出口15aは、吐出部116の先端部に設けられている。吐出部116は、回転軸線A1に向かって延びており、吐出部116と回転軸線A1との間にセンサ13Pが配置されている(
図13を参照)。したがって、吐出部116から吐出される気体は、センサ13Pの検出空間DSに送り込まれる。
【0123】
第1固定気体ノズル15Aの吐出部116は、気体吐出口15aが形成され対向方向D1に対して傾斜する平坦面116aを有する。第2固定気体ノズル15Bの吐出部116は、気体吐出口15aが形成され対向方向D1に沿う平坦面116bを有する。
図14Cに示すように、各固定気体ノズル15の吐出部116には、気体配管110が接続されている。詳しくは、吐出部116の内部には、一端が気体吐出口15aに接続される内部流路117が形成されており、気体配管110内の流路は、内部流路117の他端に接続されている。
【0124】
図15は、第2実施形態に係るセンタリングユニット14Pの周辺の断面図である。
センタリングユニット14Pは、保持面21aに保持されている基板Wを持ち上げたり、当該持ち上げた基板Wを保持面21aに載置したりするように構成されている2つのリフタ120と、2つのリフタ120を水平移動させることで、基板Wの中心部C1を回転軸線A1に近づけるリフタ水平移動機構90Pとを含む。
【0125】
各リフタ120は、スピンベース21上の基板Wの周縁部に水平方向から対向する。リフタ水平移動機構90Pは、個別にセンタリング方向に水平移動させる第1リフタ水平移動機構122と、2つのリフタ120を一体にセンタリング方向に水平移動させる第2リフタ水平移動機構123とを含む。
2つのリフタ120は、第1リフタ120Aと、第1リフタ120Aとは反対側からスピンベース21上の基板Wの周縁部に水平方向から対向する第2リフタ120Bとを含む。各リフタ120は、同様の構成を有している。
【0126】
2つのリフタ120は、回転軸線A1まわりの角度が180°異なる2つの位置にそれぞれ配置されている。各リフタ120は、センタリング方向に水平に対向する対向面127を有する。第1リフタ120Aの対向面127を第1対向面127Aといい、第2リフタ120Bの対向面127を第2対向面127Bという。第1対向面127Aおよび第2対向面127Bは、上方に向かうにしたがって互いに離間するように水平方向に対して傾斜する。
【0127】
各リフタ120は、第1リフタ水平移動機構122によって、リフト位置(
図15に二点鎖線で示す位置)と退避位置(
図15に実線で示す位置)との間で移動される。リフト位置は、リフタ120の対向面127の先端(センタリング方向における端部)がスピンベース21の保持面21a上の基板Wの外周端よりも回転軸線A1側に位置する位置である。退避位置は、リフタ120の対向面127がスピンベース21の保持面21a上の基板Wの外周端から離間する位置である。
【0128】
第1対向面127Aと第2対向面127Bとは、上方に向かうにしたがって互いに離間するように水平方向に対して傾斜するため、第1リフタ120Aおよび第2リフタ120Bがリフト位置に移動する過程で第1リフタ120Aおよび第2リフタ120Bによって、スピンベース21上の基板Wが持ち上げられる。
詳しくは、第1対向面127Aおよび第2対向面127Bが基板Wの外周端に接触した後、第1リフタ120Aおよび第2リフタ120Bは、互いにさらに近づいてスピンベース21から基板Wを持ち上げる。そして、第1リフタ120Aおよび第2リフタ120Bは、基板Wをスピンベース21から所定の高さまで持ち上げるリフト位置に到達する。
【0129】
リフト位置に位置する第1リフタ120Aおよび第2リフタ120Bを退避位置に移動させる過程で、スピンベース21の保持面21aに基板Wが載置される。
第1リフタ水平移動機構122は、2つのエアシリンダ125を含む。2つのエアシリンダ125は、回転軸線A1まわりの角度が180°異なる2つの位置にそれぞれ配置されている。2つのエアシリンダ125は、同じ高さに配置されている。2つのエアシリンダ125は、水平に対向している。スピンベース21は、平面視で2つのエアシリンダ125の間に配置されている。
【0130】
エアシリンダ125は、内部空間を有するシリンダ本体125aと、シリンダ本体125aの内部空間をエアシリンダ125の軸方向に離れた2つの部屋に仕切るピストンと、シリンダ本体125aの端面からエアシリンダ125の軸方向に突出しており、ピストンと共にエアシリンダ125の軸方向に移動するロッド125bとを含む。リフタ120は、ロッド125bに取り付けられている。2つのエアシリンダ125は、リフタアクチュエータの一例である。
【0131】
リフタ120は、シリンダ本体125aに対して、ロッド125bとともにエアシリンダ125の軸方向に移動する。エアシリンダ125の軸方向は、センタリング方向に一致している。
第2リフタ水平移動機構123は、2つのエアシリンダ125を支持するスライドブラケット140と、スライドブラケット140をセンタリング方向に移動させるリニアモータ141と、スライドブラケット140をセンタリング方向に案内するリニアガイド142とを含む。リニアモータ141は、2つのリフタ120を水平に移動させることにより、スピンベース21に対して基板Wを水平に移動させるセンタリングアクチュエータの一例である。
【0132】
スライドブラケット140は、2つのエアシリンダ125のそれぞれの下方に配置されたベースプレート140aと、2つのベースプレート140aを連結する1つ以上のジョイントアーム140bとを含む。リニアガイド142は、2つのベースプレート140aをそれぞれ支持する2つのメインベース143と、対応するベースプレート140aとの間に設けられている。
【0133】
スライドブラケット140が水平移動することによって、スライドブラケット140に支持された2つのエアシリンダ125と、2つのエアシリンダ125に支持された2つのリフタ120とは、スライドブラケット140と同じ方向、速度、および移動量で水平に移動する。
センタリングユニット14Pは、2つのエアシリンダ125とベースプレート140aとを収容するユニットハウジング145を含む(
図13を参照)。リニアモータ141およびリニアガイド142は、それぞれ、2つのユニットハウジング145に収容されている。リフタ120は、ユニットハウジング145の外に配置されている。
【0134】
ユニットハウジング145は、第1ガード30Aの第1延設部36Aに上方から載置されており、第1延設部36Aによって支持されている。そのため、センタリングユニット14は、第1ガード30Aとともに昇降する。したがって、センタリングユニット14が動作する際、第1ガード30Aは、2つのリフタ120の対向面127が水平方向から基板Wの周縁部に対向する基板位置調整位置に配置されている必要がある。基板位置調整位置は、上位置と下位置との間の位置である。ガード昇降ユニット37(第1ガード昇降ユニット)は、2つのリフタ120を昇降させるリフタ鉛直移動機構の一例である。
【0135】
スピンベース21上の基板Wは、2つのリフタ120が互いに近づくように移動されて所定のリフト位置に移動される過程で、2つのリフタ120によって持ち上げられ、スピンベース21の保持面21aから離れる。
2つのリフタ120が基板Wを水平に支持している状態で、リニアモータ141がスライドブラケット140をセンタリング方向に移動させると、2つのリフタ120に支持されている基板Wは、スライドブラケット140と同じ方向、速度、および移動量で水平に移動する。これにより、基板Wの中心軸線A2が回転軸線A1に対して移動する。したがって、スライドブラケット140の移動量を調整することにより、基板Wの中心軸線A2を回転軸線A1に近づけることができる。
【0136】
基板処理装置1Pによって、第1実施形態に係る基板処理装置1と同様の基板処理を実行することができる。具体的には、基板処理装置1Pによって
図8の基板処理を実行することができる。
ただし、基板位置調整処理(ステップS2)における各部材の動作が多少異なる。具体的には、基板処理装置1Pでは、移動気体ノズル60の代わりに、固定気体ノズル15が設けられているため、
図16に示すように、ノズルの移動に関する工程が省略される。
【0137】
図16は、前記基板処理における基板位置調整(ステップS2)について説明するための流れ図である。具体的には、チャンバ8内におけるセンサ13Pの位置が固定されているため、センサの移動に関する工程が省略されている。
より具体的には、以下の通りである。スピンベース21の保持面21aに基板Wが載置された後、複数の気体バルブ111が開かれる。
【0138】
基板Wが保持面21aに載置されることによって、基板Wの周縁部が検出空間DS内に位置する。複数の気体バルブ111が開かれることで、前述した
図14Aに示すように、複数の固定気体ノズル15から検出空間DSへの気体の供給が開始される(気体供給工程)。
固定気体ノズル15から供給される気体によって検出空間DSに存在する雰囲気の置換が開始される(ステップS11)。すなわち、検出空間DSに基板Wの周縁部が位置する状態で、複数の固定気体ノズル15から吐出される気体で検出空間DSに存在する雰囲気を置換する雰囲気置換工程が開始される。
【0139】
雰囲気の置換が開始された後、センサ13Pによって基板Wの偏心量が測定される(ステップS12)。すなわち、雰囲気置換工程の実行中に、基板Wを回転させながらセンサ13によって偏心量Eを測定する偏心量測定工程が実行される。
センサ13Pによって偏心量Eが測定された後、コントローラ3が、偏心量Eが所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップS13:偏心量判定工程)。所定の閾値は、たとえば、0.08mmである。偏心量Eが、閾値以内でない場合には(ステップS13:NO)、基板Wの位置合わせが行われる前に、基板Wが配置される基準位置に基板Wが位置しているか否かを確認する位置確認工程が行われる(ステップS14)。
【0140】
具体的には、コントローラ3は、受光部71の検出値に基づいて基板Wが基準位置に位置しているか否かを確認する。基準位置は、基板Wの中心軸線A2が基準面P1に重なりかつ、基板Wの中心軸線A2と回転軸線A1とがリフタ120の移動方向(センタリング方向)に並ぶ回転位相である。
基板Wが基準位置に位置している場合(ステップS14:YES)、スピンモータ23は、基板Wおよびスピンベース21を回転させずにその場で静止させる。基板Wが基準位置に位置していない場合(ステップS14:NO)、スピンモータ23は、基板Wおよびスピンベース21を基準位置まで回転させて、基準位置で静止させる(ステップS15)。これにより、
図17Aに示すように、基板Wの中心軸線A2が基準面P1に重なり、基板Wが基準位置に配置される。
【0141】
基板Wが基準位置に配置された状態で、センタリングユニット14によって基板Wの位置合わせが行われる(位置合わせ工程:ステップS16)。詳しくは、センタリングユニット14Pが、センサ13Pによって測定された偏心量Eに基づいて、回転軸線A1に基板Wの中心軸線A2が近づくようにスピンベース21に対して基板Wをセンタリング方向に水平に移動させる。
【0142】
具体的には、
図17Bに示すように、第1リフタ120Aおよび第2リフタ120Bをリフト位置に移動させることでスピンベース21上の基板Wが第1リフタ120Aおよび第2リフタ120Bによって持ち上げられる。その後、
図17Cに示すように、第1リフタ120Aおよび第2リフタ120Bを一体にセンタリング方向に移動させることによって基板Wの偏心量Eが低減される。その後、第1リフタ120Aおよび第2リフタ120Bが退避位置に水平移動させることによって、スピンベース21の保持面21aに基板Wが載置される。
【0143】
位置合わせ工程によって基板Wの中心軸線A2がスピンベース21の回転軸線A1に充分近づき、基板Wの偏心が解消される。
その後、吸引バルブ28が開かれることによって、基板Wがスピンベース21に吸着される(吸着工程:ステップS17)。その後、気体バルブ63が閉じられることによって、検出空間DS内の雰囲気の置換が終了する(ステップS18)。すなわち、雰囲気置換工程が終了する。以上により、基板位置調整処理(ステップS2)が終了する。
【0144】
第2実施形態によれば、固定気体ノズル15から吐出される気体(検出空間DS外の雰囲気)によって、検出空間DSに存在する雰囲気が置換される。そのため、基板Wの周縁部が検出空間DSに位置するときに検出空間DSにおける雰囲気の揺らぎを解消できる。その結果、センサ13Pの検出精度を向上させることができるので、基板Wの偏心量Eを良好に低減できる。
【0145】
前述したように、環状空間SP1に存在する雰囲気には特に揺らぎが発生しやすい。第1固定気体ノズル15Aは、保持面21aに保持されている基板Wの周縁部とヒータ50との間の環状空間SP1に向かって気体を吐出する。そのため、環状空間SP1の雰囲気を効果的に置換できる。したがって、環状空間SP1における雰囲気の揺らぎを解消できる。
【0146】
第2実施形態によれば、気体供給ユニットとしての複数の固定気体ノズル15が、発光部70と受光部71との対向方向D1に沿って並ぶ複数の気体吐出口15aを含む。そのため、対向方向D1に沿って並ぶ複数の気体吐出口15aから吐出される気体によって、基板Wの周縁部の付近の部分の雰囲気だけでなく、検出空間SPの全体において雰囲気が置換される。そのため、センサ13Pの検出精度を向上させることができる。
【0147】
第2実施形態によれば、複数の固定気体ノズル15が取付プレート16に取り付けられており、複数の固定気体ノズル15の取付部115および吐出部116が一体に形成されている。そのため、複数の固定気体ノズル15を取付プレート16に対して強固に固定でき、固定気体ノズル15同士の位置関係を強固に固定できる。したがって、検出空間DSに向けて気体を的確に供給できる。
【0148】
図18Aおよび
図18Bは、第2実施形態に係る基板処理において実行される雰囲気置換工程の変形例について説明するための模式図である。
第2実施形態に係る基板処理装置1Pでは、固定気体ノズル15からの気体の吐出を行うことなく、気流形成ユニット10によって形成される気流Fによって検出空間DS内の雰囲気の置換が行われてもよい。具体的には、第1ガード30Aが上位置に位置するときに気流Fが基板Wの周縁部と第1ガード30Aの内周端部(上端部)との間を通り、第1ガード30Aが下位置に位置するときに気流Fが第1ガード30Aの外側を通るように気流Fの経路を切り替えるように第1ガード30Aが構成されている。
【0149】
より具体的には、
図18Aに示すように、第1ガード30Aが上位置に位置するとき、基板Wと周縁部と第1ガード30Aの内周端部との間の隙間が広くなるため、気流Fは、主に第1ガード30Aの内周端部と基板Wの周縁部との間を通り、排気ダクト34の上流端34aに達する(気流形成工程)。一方、
図18Bに示すように、第1ガード30Aが下位置に位置するときには、基板Wの周縁部と第1ガード30Aの内周端部との間の隙間が、第1ガード30Aが上位置に位置するときよりも小さくなる。そのため、気流Fは、主に第1ガード30Aと排気桶33との間の隙間を通り、排気ダクト34の上流端34aに達する。
【0150】
このように、第1ガード30Aを上位置に配置することによって、チャンバ8内で基板Wの周縁部と第1ガード30Aとの間を通って排気ダクト34に向かって流れる気流Fが形成される。これにより、基板Wの周縁部の付近の雰囲気を、気流Fによって運ばれる気体で置換できる。すなわち、気流形成ユニット10および排気ダクト34によって構成される給排気ユニットが雰囲気置換ユニットとして機能する。そのため、基板Wの周縁部が検出空間DSに位置するときに検出空間DSにおける雰囲気の揺らぎを解消できる。その結果、センサ13Pの検出精度を向上させることができるので、センタリングユニット14によって、基板Wの偏心量Eを良好に低減できる。
【0151】
また、排気桶33と第1ガード30Aとの間には、第1ガード30Aが上位置に位置するときに、排気桶33と第1ガード30Aとの間において気流Fが通る経路を狭くする経路幅調整機構160が設けられていてもよい。経路幅調整機構160は、たとえば、第1ガード30Aの第1筒状部35Aからガード30の中心側とは反対側に突出する第1フランジ161と、排気桶33からガード30の中心側に突出する第2フランジ162とによって構成されている。第1フランジ161および第2フランジ162は、鉛直方向に互いに対向し、第1ガード30Aが上位置に近づくほど第1フランジ161と第2フランジ162との間の隙間は狭くなる。
【0152】
<その他の実施形態>
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
たとえば、上述の実施形態では、基板処理装置1,1Pが、搬送ロボットIR,CRと、処理ユニット2と、コントローラ3とを備えている。しかしながら、基板処理装置1,1Pは、処理ユニット2のみによって構成されていてもよい。言い換えると、処理ユニット2が基板処理装置の一例であってもよい。
【0153】
また、上述の実施形態では、センサ13,13Pにおいて、発光部70および受光部71の対向方向D1が鉛直方向に沿っている。しかしながら、対向方向D1は、必ずしも鉛直方向に沿っている必要はなく鉛直方向に対して傾斜していてもよい。言い換えると、高軸が鉛直方向に対して傾斜する方向に延びていてもよい。
また、第1実施形態においても、第1ガード30Aが上位置に位置するときに気流Fが基板Wの周縁部と第1ガード30Aの内周端部との間を通り、第1ガード30Aが下位置に位置するときに気流Fが第1ガード30Aの外側を通るように気流Fの経路を切り替えるように第1ガード30Aが構成されていてもよい。そのためには、第1ガード30Aが上位置に位置するときに移動気体ノズルヘッド12が検出位置に移動できるように、第1ガード30Aに移動許容孔が設けられている必要がある。
【0154】
また、第2実施形態に、センタリングユニット14を適用することは可能であるし、逆に、移動気体ノズルヘッド12の検出位置への移動を許容する移動許容孔が第1ガード30Aに設けられていれば、センタリングユニット14Pを第1実施形態に適用することも可能である。
また、第2実施形態において、複数の固定気体ノズル15の代わりに、複数の気体吐出口15aが設けられた単一の固定気体ノズルが設けられていてもよい。また、第1実施形態において、移動気体ノズルヘッド12に、対向方向D1に並ぶ複数の吐出口60aが設けられていてもよい。
【0155】
また、第2実施形態において、第1対向面127Aおよび第2対向面127Bは、上方に向かうにしたがって互いに離間するように水平方向に対して傾斜する。しかしながら、第1対向面127Aおよび第2対向面127Bは、鉛直面であってもよい。この場合、2つのリフタ120によって基板Wを水平方向の両側から把持した状態で、第1ガード30Aを上方に移動させることによって、基板Wをスピンベース21から浮き上がらせることができる。
【0156】
また、移動気体ノズル60から吐出される気体、および、第1固定気体ノズル15Aから吐出される気体は、環状空間SP1に向かう気流を形成してなくてもよく、ヒータ50の加熱に起因する検出空間DS内の雰囲気の揺らぎの発生を抑制できればよい。
上述の実施形態では、各構成を模式的にブロックで示している場合があるが、各ブロックの形状、大きさおよび位置関係は、各構成の形状、大きさおよび位置関係を示すものではない。
【0157】
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0158】
1 :基板処理装置
1P :基板処理装置
2 :処理ユニット(基板処理装置)
8 :チャンバ
10 :気流形成ユニット(給排気ユニット、雰囲気置換ユニット)
11 :加熱ユニット
12 :移動気体ノズルヘッド(気体供給ユニット、雰囲気置換ユニット)
13 :センサ(偏心量測定ユニット)
13P :センサ(偏心量測定ユニット)
14 :センタリングユニット
14P :センタリングユニット
15 :固定気体ノズル(気体供給ユニット、雰囲気置換ユニット)
15a :気体吐出口
16 :取付プレート
21 :スピンベース(ベース)
21a :保持面
30 :ガード
30A :第1ガード
34 :排気ダクト(給排気ユニット、雰囲気置換ユニット)
60a :吐出口
70 :発光部
71 :受光部
80 :リフトピン(リフタ)
80a :先端部(対向部)
85 :ピン鉛直移動機構(リフタ鉛直移動機構)
90 :ピン水平移動機構(リフタ水平移動機構)
90P :リフタ水平移動機構
115 :取付部
116 :吐出部
120 :リフタ
120A :第1リフタ
120B :第2リフタ
122 :第1リフタ水平移動機構
123 :第2リフタ水平移動機構
127 :対向面
127A :第1対向面
127B :第2対向面
A1 :回転軸線
A2 :中心軸線(基板の中心部)
C1 :中心部
D1 :対向方向
DS :検出空間
L :光
SP1 :環状空間(基板の周縁部とヒータとの間の空間)
W :基板