(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】杭基礎構造
(51)【国際特許分類】
E02D 27/12 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
E02D27/12 Z
E02D27/12 A
(21)【出願番号】P 2020164636
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡下 和彦
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-265925(JP,A)
【文献】特開2011-117208(JP,A)
【文献】特開昭61-216914(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0932468(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0032624(KR,A)
【文献】特開2008-038420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00-27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に打設した杭に対して上部構造体を設置した杭基礎構造であって、
前記杭は、上端側に地面から上方へ突出する地上突出部を有し、
該地上突出部は、上端部または側部に前記上部構造体を支持する支持部を有し、
該支持部は、前記上部構造体の土台と鉛直荷重支持点との交点付近に直接接合され
、
前記杭の前記地面の近傍の位置に突起部が形成され、
前記地面および前記突起部よりも上側の位置に重錘が設置され、
該突起部は、前記重錘によって上側から押さえられるようになっていることを特徴とする杭基礎構造。
【請求項2】
請求項1に記載の杭基礎構造であって、
隣接する前記杭の前記地上突出部間が、引張力および圧縮力を調整可能なブレース材で連結されていることを特徴とする杭基礎構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の杭基礎構造であって、
前記支持部と前記上部構造体との間の接合部は、1本の前記鉛直荷重支持点につき、二箇所以上設けられていることを特徴とする杭基礎構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、杭基礎構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物を、基礎を介して地面の上に設置することが行われている。
【0003】
一般に、基礎は、鉄筋コンクリートによって形成されており、鉄筋コンクリートの基礎は、型枠設置、配筋、コンクリート打設、養生などの工程で作られる。そのため、コンクリートの養生期間などに最低でも2週間以上かかってしまい、建物の施工までに時間を要するので、その分、工期が長くなってしまう。特に、ベタ基礎の場合には、ベタ基礎を構成するスラブ部と立上部とのそれぞれについて、上記工程を別々に行う必要があるので、より工期が長くなる。
【0004】
そこで、短期間で基礎を設置できるように、基礎を杭によって構成すること(杭基礎)が行われている(例えば、特許文献1、2参照)。これにより、少なくともコンクリートの養生期間がなくなるので、その分、基礎を短期間で設置することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-144347号公報
【文献】特開2009-144348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1や特許文献2に記載された杭基礎構造は、地面に打設した杭の上端部(頭部または杭頭)に、杭頭キャップを取付けて、杭頭キャップの上部に建物を設置するようにしていた。この際、杭頭キャップの下部に、円錐面や球面などの可動面を形成することで、杭頭キャップが、杭の上端部に対して傾動自在となるようにしている。
【0007】
特許文献1、2の杭基礎構造では、例えば、地震のような動的な外力に対して、杭頭キャップが杭の上端部で外力に合わせて傾動することで、免震効果を発揮するようになっている。しかし、この構造だと、例えば、風・浸水などの静的な外力に対しては、杭頭キャップは、特に効果を発揮することができないという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記した課題の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に対して、本発明は、
地面に打設した杭に対して上部構造体を設置した杭基礎構造であって、
前記杭は、上端側に地面から上方へ突出する地上突出部を有し、
該地上突出部は、上端部または側部に前記上部構造体を支持する支持部を有し、
該支持部は、前記上部構造体の土台と鉛直荷重支持点との交点付近に直接接合され、
前記杭の前記地面の近傍の位置に突起部が形成され、
前記地面および前記突起部よりも上側の位置に重錘が設置され、
該突起部は、前記重錘によって上側から押さえられるようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記構成によって、工期を短くすると共に、静的な外力に対して高い支持効果を得ることなどができる。
また、杭の地面の近傍の位置に突起部が形成され、地面および突起部よりも上側の位置に重錘が設置され、突起部は、重錘によって上側から押さえられることで、上部構造体からの引抜力によって杭が抜けないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態の杭基礎構造に対して設置される上部構造体の一例としての建物ユニットの全体斜視図である。
【
図2】実施例1にかかる杭基礎構造の部分拡大斜視図である。
【
図3】隣接する杭間にブレース材を設置して張力調整を行う状態を示す図である。
【
図4】上部構造体に対する杭の設置位置の例を示す平面図である。
【
図5】ブレース材に備えられた張力調整具の例を示す図である。
【
図6】支持部と上部構造体との接合部を示す部分拡大平面図である。
【
図7】支持部と上部構造体との接合部の他の例を示す部分拡大平面図である。このうち、(a)は1つの上部構造体のコーナー部を1つの支持部で支持する場合、(b)は隣接配置された2つの上部構造体の近接するコーナー部に跨るように1つの支持部を設けて支持する場合である。
【
図8】重錘をスラブとした場合を示す地上突出部周辺の部分拡大斜視図である。
【
図9】重錘を土間コンクリートとする場合を示す地上突出部周辺の部分拡大斜視図である。
【
図10】実施例1の杭頭に水平力が入力された場合の、杭の各部に作用される曲げ力の分布を示す
図2と同様の図である。
【
図11】実施例2にかかる、杭基礎構造によって複数の上部構造体を支持した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1~
図11は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例1】
【0013】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0014】
例えば、
図1に示すような、建物などの上部構造体1を、
図2に示すように、地面2に対し、基礎3を介して設置する。
【0015】
そして、上記した基礎3の構造(基礎構造)を、杭4を用いた構造(杭基礎構造)にする。杭基礎構造は、地面2に打設した杭4に対して上部構造体1を設置するものとされる。
【0016】
ここで、杭基礎構造は、基礎3の少なくとも一部に杭4を用いた基礎構造のことである。この実施例では、杭4を基礎3の主要な構成として、ほぼ杭4のみによって上部構造体1を支持する基礎構造となっている。
【0017】
地面2は、建物を設置する土地(敷地)の地盤のことであり、狭義には敷地の表面(設計上の地表面GL)のことであるが、地中も含めることができる。地面2が地表面GLを表すか、地中を表すか、地表面GLと地中の両方を表すかについては、文脈による。
【0018】
杭4は、地面2(地中)に打込んで支えなどに使う棒状の支持部材のことである。杭4には、どのようなものを使っても良いが、この場合、杭4には、円筒状をして、上下方向5に延びる段付きの鋼管(例えば、タイガーパイルなどと呼ばれているもの)などを使用することができる。
【0019】
上部構造体1は、建物などの建築物全般を指す用語である。上部構造体1は、どのような構成のものとしても良い。この実施例では、上部構造体1は、建物となっている。
【0020】
上記のような基本的な構成に対し、この実施例では、以下のような構成を備えることができる。
【0021】
(1)杭4は、上端側に地面2から上方へ突出する地上突出部11を有している。
地上突出部11は、上端部または側部に上部構造体1を支持する支持部12を有している。
支持部12は、上部構造体1の土台13と鉛直荷重支持点14との交点15付近に直接接合されるものとなっている。
【0022】
ここで、杭4の上端側は、杭4を大きく上下に分けた場合に、上側となる部分のことである。これに対し、杭4の下端側は、杭4の下側の部分となる。なお、この場合の上端側および下端側は、杭4を大雑把に上下2つに分けた言い方であり、特に明確な境界位置はない。
【0023】
地面2から上方は、地上(地表面GLよりも上側の空中の部分)のことである。これに対し、地面2よりも下方は、地中のことである。この場合、境界位置は、設計上の地表面GLの位置となる。
【0024】
地上突出部11は、杭4の地上に突出した部分のことである。これに対し、杭4の地上突出部11よりも下側の部分は地中部分16(地中埋設部)となる。地上突出部11の地上への突出量は、上部構造体1を地面2よりどれだけ高い位置に設置するかによって定められるが、例えば、一般的な基礎3の高さなどとすることができる。地中部分16の地中への埋設量は、地上突出部11や上部構造体1の支持に必要な強度などに基づいて設定される。
【0025】
地上突出部11の上端部は、地上突出部11の頂部、または、杭4の上端部(杭頭)のことである。地上突出部11の側部は、地上突出部11における、地面2から杭頭までの間のいずれかの位置の外側面のことである。
【0026】
支持部12は、上部構造体1の下部を下側から支持、固定する部分または部材のことである。この実施例では、支持部12は、地上突出部11の上端部に設置されたブラケット17、および、ブラケット17と地上突出部11との間を連結して、ブラケット17を下側から支持するスチフナ18を有している。ブラケット17は、例えば、地上突出部11の上端部に載置固定された、ほぼ水平な一枚の金属製のプレート(横面部材)とすることができる(杭頭ブラケット)。スチフナ18は、ブラケット17の下面と地上突出部11の側面とに跨るように固定された、ほぼ垂直な一枚または複数枚の金属製のプレート(縦面部材)とすることができる。ブラケット17は、杭4の上端部に溶接などによってその下面を直接固定されることで、杭4と一体化される。スチフナ18は、杭4の側面やブラケット17の下面などとの間に溶接などによってその一側縁部や上縁部を直接固定されることで、杭4およびブラケット17と一体化される。
【0027】
土台13は、基礎3の上部に設置されて基礎3と上部構造体1とをつなぐ部材である。土台13は、上部構造体1と一体のものとしても、上部構造体1と別体のものとしても良い。この実施例では、土台13は、上部構造体1の下部を構成する横部材となっている。土台13は、例えば、上部構造体1の床梁21などとすることができる。
【0028】
鉛直荷重支持点14は、上部構造体1に作用される鉛直荷重を支持するための縦部材である。鉛直荷重支持点14は、例えば、上部構造体1の柱22などとすることができる。
【0029】
土台13と鉛直荷重支持点14との交点15は、土台13と鉛直荷重支持点14との連結部分のことである。この実施例では、交点15は、鉛直荷重支持点14の位置となる。交点15付近は、土台13と鉛直荷重支持点14とが交差する部分(交点15)を避けた、交点15の近傍の位置のことである。支持部12は、上部構造体1の上記した交点15付近の位置に設けられて、上部構造体1の交点15の周辺を支持する。
【0030】
直接接合は、支持部12に対して上部構造体1の交点15付近の部分が、複雑で間接的な取付構造などを介することなく、比較的単純な状態で直接的に取付けられる(例えば、載置固定される)ことである。
【0031】
この実施例の場合、上部構造体1は、
図1に示すように、ユニット建物、または、ユニット建物を構成する個々の建物ユニット23とされている。ユニット建物は、予め工場で製造された建物ユニット23を建築現場へ搬送して、建築現場で組み立てることにより、短期間のうちに構築できるようにした建物のことである。
【0032】
建物ユニット23は、ほぼ直方体状の構造物とされている。建物ユニット23には、金属製のものと木質系のものとが存在している。このうち、金属製の建物ユニット23は、金属製の4本の柱22の上端部間を金属製の4本の天井梁24で矩形状に連結すると共に、4本の柱22の下端部間を金属製の4本の床梁21で矩形状に連結したボックスラーメン構造のユニットフレームをその骨格部分に有している。この場合、建物ユニット23の柱22が上記した鉛直荷重支持点14となり、床梁21が上記した土台13となる。
【0033】
建物ユニット23の柱22と、天井梁24や床梁21との間は、金属製のジョイントピース26(連結部材)を介してそれぞれ連結される。この場合、柱22の側面にジョイントピース26が溶接固定される。ジョイントピース26に対し、天井梁24の端部や床梁21の端部がそれぞれ溶接固定またはボルト固定によって連結される(剛接合または半剛接合)。柱22は角筒状のものとされる。
【0034】
角筒状をした各柱22には、隣接する二面に対して、直交する二方向へ突出するようにジョイントピース26が取付けられる。4本の天井梁24や床梁21は、間に柱22を挟んでほぼ直角に組み合わされた状態で、対応するジョイントピース26に取付けられる。これにより、平面視矩形状をした天井フレーム27および床フレーム28がそれぞれ形成される。この場合、平面視矩形状をした床フレーム28の4つのコーナー部が、それぞれ上記した交点15の位置となる。
【0035】
そして、少なくとも、各柱22の下端部とジョイントピース26の下面とが、ブラケット17の上面に直接当接した状態となるように、建物ユニット23の下部が、少なくとも4箇所の支持部12の上に載置される。
【0036】
(2)
図3に示すように、隣接する杭4の地上突出部11間が、引張力および圧縮力を調整可能なブレース材31で連結されても良い。
【0037】
ここで、杭4は、
図2に示すように、少なくとも、上部構造体1の鉛直荷重支持点14(各柱22)の位置に、鉛直荷重支持点14と上下方向5にほぼ連続するように設けられる。
【0038】
更に、必要な場合には、
図4に示すように、杭4は、上部構造体1の鉛直荷重支持点14間の中間位置、例えば、上部構造体1の床梁21の二等分点や三等分点や四等分点などの等分点の位置またはその近傍などに設けても良い。
【0039】
ブレース材31は、筋交いなどの斜材のことである。ブレース材31は、隣接する地上突出部11のほぼ上端部と地上突出部11のほぼ下端部との間に、互いに交差するように2本設けるのが好ましい。
【0040】
図2では、地上突出部11の上端部には、上記したスチフナ18が固定されている。また、地上突出部11の下端部に、スチフナ18のほぼ真下に位置するように、ジョイントブラケット35を溶接などによって固定する。そして、ブレース材31を、隣接する一方の地上突出部11のスチフナ18と、他方の地上突出部11のジョイントブラケット35との間に斜めに設置する。ブレース材31と、スチフナ18およびジョイントブラケット35との間は、スチフナ18およびジョイントブラケット35とほぼ面直でほぼ水平なボルト・ナットなどの締結固定具によって横方向に締結固定(ピン固定)される。交差する2本のブレース材31は、ほぼ上下方向5およびほぼ床梁21の延設方向36に広がる同じ一つの縦の面にほぼ沿うように設置されることで、垂直ブレースとなる。
【0041】
各ブレース材31の中間部(の若干上端寄りの位置)には、必要に応じて、ブレース材31に作用される引張力および圧縮力を調整可能な張力調整具37が設けられる。一対のブレース材31の張力調整具37は、互いに重ならないようにズレた位置に設置される。ブレース材31と張力調整具37とによって、
図3のように、杭4が二点鎖線で示す初期位置から実線で示す(調整後の)位置となるように、杭4に対する施工状態や施工精度を調整可能な張力調整機構が形成される。張力の調整よって地面2と杭4との間にできた隙間には、例えば、セメントミルク61(
図3)などの現場施工型の充填硬化材を上から打設しても良い。なお、上記した張力の調整は、各ブレース材31の長さなどで行うことができるため、状況によっては、張力調整具37を設けない構造も可能である。ただし、張力調整具37を設けない場合でも、張力の調整は、行うようにする。
【0042】
張力調整具37は、例えば、ターンバックルのような手動調整式のものとしても良い。また、張力調整具37は、例えば、
図5に示すような、静電モータ38などを用いた自動調整式のものとしても良い。静電モータ38などを用いた張力調整具37は、例えば、電力を常時印加するなどして引張力および圧縮力の調整や制御を継続的かつ自動的に行わせることで、地震などの横力(動的な外力)に対する制振装置(または、アクティブ制振装置)として機能させることができる。
【0043】
(3)
図6に示すように、支持部12と上部構造体1との間の接合部41は、1本の鉛直荷重支持点14につき、二箇所以上設けるようにしても良い。
【0044】
ここで、接合部41は、上下方向5に延びるボルトおよびナットなどの締結固定具によって、支持部12のブラケット17と、上部構造体1のジョイントピース26および床梁21の端部との間を上下方向5に剛接合するものとされている。
【0045】
二箇所以上の接合部41は、例えば、同じ柱22に複数本の床梁21が連結されている場合に、柱22と各床梁21との連結部分に対してそれぞれ設けるのが好ましい。この場合、接合部41は、同じ柱22に連結された直交する2本の床梁21およびそのジョイントピース26に対してそれぞれ設けられる。
【0046】
図の場合には、杭4は、柱22よりも断面が大きいものとされている。杭4は、その中心42を柱22の中心(柱22の2本の対角線が交差する位置)からズラした状態で(少なくとも一部または大部分が)上下に重なるように設けられている。
【0047】
杭4は、その中心42が柱22の断面の内側に位置する範囲内で、中心42を床フレーム28の内方へズラして配置されている。この際、杭4は、床フレーム28の外形線とほぼ接する位置、または、それよりも床フレーム28の内側に位置するように、床フレーム28の内側へズラして配置するのが好ましい。
【0048】
ブラケット17は、杭4の断面よりも大きな面積を有する面板とされる。ブラケット17は、床フレーム28の外形線よりも外側にほとんどはみ出ないような状態で、床フレーム28のコーナー部(上記した交点15の部分)の下側の位置に設置される。
【0049】
即ち、ブラケット17は、少なくとも床フレーム28の外形線のコーナー部にほぼ沿った直交する2つの辺17a,17bを有している。直交する2つの辺17a,17bは、それぞれ接合部41の位置を超える長さ以上に土台13(床梁21)にほぼ沿って延ばされる。直交する2つの辺17a,17bは、例えば、ジョイントピース26よりも床梁21の延設方向36に対して長いものとされている。
【0050】
直交する2つの辺17a,17bの先端部には、それぞれ直角の辺17c,17dが設けられている。直角の辺17c,17dは、少なくとも床梁21の幅よりも長く、床梁21を幅方向に横断するように床フレーム28の内側へ向けて延ばされている。
【0051】
直角の辺17c,17dの先端部は、そのまま交差するまで延ばしても良いが、先端部間に、傾斜した辺17eを設けて斜めに連結する(または、斜めカット部を設ける)ようにしても良い。これにより、ブラケット17は、平面視ほぼ五角形状のものとなる。そして、ブラケット17は、柱22の下端部と2つのジョイントピース26の下面とを下から同時にほぼ当接状態で支持できる形状および大きさを有するものとされる。
【0052】
ただし、ブラケット17の形状は、上記に限るものではなく、例えば、
図7(a)に示すように、上記した4つの辺17a~17dによって形成される矩形状としても良い。また、ブラケット17は、例えば、
図7(b)に示すように、隣接して配置された2つの建物ユニット23の近接するコーナー部(交点15)間に跨って、近接する2つのコーナー部を同時に支持できる程度の大きさのものなどとしても良い。この場合、
図7(b)のブラケット17は、矩形状とされているが、ブラケット17の形状は、上記に限るものではない。
【0053】
なお、
図6に示すように、ブラケット17に対し、スチフナ18は、各床梁21の下部の位置に設けても良い。この場合、スチフナ18は、各床梁21の延設方向36と平行に設けても良い。この実施例では、スチフナ18は、床梁21の延設方向36に対して傾斜させた状態で、延設方向36と非平行に設置するようにしている。
【0054】
即ち、スチフナ18は、杭4の中心42を通り、床梁21の延設方向36の中央部へ進むに従い床フレーム28の外方へ向かう斜めの線45に沿って傾斜配置されている。この際、接合部41を床梁21の幅方向の中央部よりも床フレーム28の外側寄りの位置に設置し、スチフナ18を、杭4の外周上の位置から接合部41の内側を通り過ぎて、直角の辺17c,17dを超えない程度の長さまで延びるように設けても良い。
【0055】
そして、ブレース材31が、床梁21の延設方向36に沿って配置されることで、平面的に見て、延設方向36に対して傾斜配置されたスチフナ18と、延設方向36に延びるブレース材31との間には、角度が付いた状態となる。
【0056】
このように、スチフナ18とブレース材31との間に角度を付けることで、ブレース材31の張力を利用して杭4の回転を抑制する回転規制構造を得ることが可能になる。
【0057】
例えば、右側の土台13に対する接合部41について見た場合、(地上突出部11の上端部に作用する)鉛直荷重支持点14の図中時計回りのモーメントに対しては、主に杭4に固定されたブレース材31で抵抗し、鉛直荷重支持点14の図中反時計回りのモーメントに対しては、主に床梁21の延設方向36に張力が作用されているスチフナ18で抵抗する構成などとすることができる。
【0058】
(4)
図8(
図9)に示すように、杭4における地面2の近傍の位置に突起部51が形成され、
地面2および突起部51よりも上側の位置に重錘52が設置され、
突起部51は、重錘52によって上側から押さえられるようになっていても良い。
【0059】
ここで、杭4における地面2の近傍の位置は、地上突出部11の下端部周辺、または、地中部分16の上端部周辺の位置のことである。
【0060】
突起部51は、杭4の浮上がりを押さえるために、杭4に設けられる被押さえ部分である。突起部51は、地上突出部11の下部の地表面GLの位置またはその近傍などの位置に横に突出するように設けるのが好ましい。突起部51は、杭4の浮上がりを押さえるのに使えればどのようなものとしても良い。
【0061】
この実施例では、突起部51は、杭4の外周の周方向に延びるほぼ水平な金属製のフランジ部としている。フランジ部は、杭4の外周に対し周方向に連続した状態で、杭4と一体に形成される。突起部51をフランジ部とすることで、杭4の全周を均等に押さえることが可能になる。例えば、フランジ部は、杭4とは別の部材で形成されて、杭4の外周に、溶接固定されることで、杭4と一体化される。フランジ部は、所要の強度を確保するために、比較的厚肉のものとするのが好ましい。フランジ部の下面側には、必要に応じて、補強用のスチフナ51aなどの補強部材を周方向に単数または複数取付けても良い。
【0062】
重錘52は、突起部51を介して杭4を押さえるための押さえ部材である。突起部51と重錘52とによって、杭4の抜止め機構が形成される。重錘52は、突起部51を介して杭4を有効に押さえることができる程度以上の重さを有していればどのようなものとしても良い。重錘52は、突起部51を直接押さえるようにするのが好ましいが、突起部51を間接的に押さえるようにしても良い。また、重錘52の下面側には、必要に応じて突起部51の少なくとも一部または全部を収容する凹部などを設けても良い。
【0063】
この実施例では、重錘52は、例えば、地面2の上に設置または打設形成されたスラブ52a(または、鉄筋コンクリート造スラブ)や土間コンクリート52b(防湿土間コンクリート)などの面部材としている。
【0064】
スラブ52aや土間コンクリート52bなどの重錘52は、地面2の上に直接設置されて、床フレーム28の下側の地面2のほぼ全面を覆う水平な面を有している(面状重錘)。スラブ52aや土間コンクリート52bなどの重錘52は、床フレーム28や上部構造体1の平面形状とほぼ同じ形状で、床フレーム28や上部構造体1とほぼ同じか若干大きい大きさに形成される。
【0065】
スラブ52aや土間コンクリート52bなどの重錘52は、上下方向5に対しては、突起部51とジョイントブラケット35との間の部分に位置するように設置される。スラブ52aや土間コンクリート52bなどの重錘52は、少なくとも、杭4を押さえるのに必要な重量および強度が得られる厚みに形成される。
【0066】
スラブ52aや土間コンクリート52bなどの重錘52には、杭4の地上突出部11を通すための穴部55が上下方向5に貫通形成される。穴部55は、下面側にて突起部51を上下方向5に直接係止可能な大きさおよび形状の開口部とするのが好ましい。そのために、穴部55は、杭4の外径とほぼ同じかそれよりも大きく、また、突起部51(フランジ部)の外径よりも小さい径にする。これにより、杭4と穴部55との間には、非干渉領域56が形成される。非干渉領域56は、そのままにしておいても良いし、必要に応じて後から、コンクリートなどで埋めるようにしても良い。
【0067】
スラブ52aや土間コンクリート52bなどの重錘52は、突起部51の上側に直接、または、シート57(絶縁シート、
図9)などの介在物を介して間接的に接するようにすることで、突起部51を上から常時押さえ続けるものとするのが好ましい。または、突起部51との間に上下方向5に対する若干のクリアランスなどを設けておき、通常時には重錘52は突起部51に接していないが、杭4が浮上がろうとしたときに突起部51が重錘52に当たって突起部51が上から押さえられるように構成しても良い。
【0068】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0069】
地面2(地中)に、杭4をほぼ垂直に打設し、杭4の上端側を、基礎3に必要となる所要量だけ地面2から上方へ突出させて地上突出部11を形成する。杭4の配置は、少なくとも上部構造体1の鉛直荷重支持点14の位置などとする。なお、杭4は、更に、上部構造体1の鉛直荷重支持点14間の位置に適宜設置しても良い。そして、地上突出部11の上端部または側部に支持部12を取付けて、支持部12に対して上部構造体1を下側から直接支持固定させるようにする。支持部12は、上部構造体1の土台13と鉛直荷重支持点14との交点15付近に直接接合する。
【0070】
この際、隣接する杭4の地上突出部11間をブレース材31で連結して、上部構造体1の土台13、杭4、地面2の間にトラス構造を形成することで、杭4の上端部分の水平変形が抑制されるようにしても良い。
【0071】
そして、ブレース材31(に備えられた張力調整具37)によって、地上突出部11間の引張力および圧縮力を調整し、杭4の位置調整を行う。ブレース材31により地上突出部11間の引張力および圧縮力の調整を行った結果、地面2と杭4との間にできた隙間には、例えば、セメントミルク61(
図3)などの現場施工型の充填硬化材を上から打設して、隙間を埋めておくようにするのが好ましい。これにより、打設後の杭4の位置調整を行うと共に地盤の締固めを行い、上部構造体1の施工後の振動の防止などを図って、上部構造体1の居住性(または安定性)や耐震性などが向上されるようにする。
【0072】
支持部12と上部構造体1との間の接合部41は、1本の鉛直荷重支持点14につき、二箇所以上設けても良い。例えば、上部構造体1が土台13と鉛直荷重支持点14とによってラーメン構造を形成している場合、接合部41を二箇所以上設けることで、接合部41を一箇所とする場合よりも、上部構造体1の剛性や耐力を向上することが可能となる。
【0073】
即ち、例えば、外力によって、鉛直荷重支持点14が
図6の左側へ変形したときには、二箇所以上設けられた接合部41のうちの右側の土台13を固定する接合部41によって、鉛直荷重支持点14の近傍の土台13(右側や上側の土台13)の浮上がりが抑制されるため、上部構造体1が水平変形し難くなり、上部構造体1の剛性や耐力が向上する。
【0074】
反対に、例えば、外力によって、鉛直荷重支持点14が図の右側へ変形したときには、二箇所以上設けられた接合部41のうちの上記と直交する(図の上側の)土台13を固定する接合部41によって、鉛直荷重支持点14の浮上がりが抑制されるため、上部構造体1が水平変形し難くなり、上部構造体1の剛性や耐力が向上する。
【0075】
なお、上部構造体1の重量と設計外力との関係で、杭4の上端(杭頭)に有害な引抜力が生じない場合には、地面2はそのまま(表層地盤のまま)にして、上部構造体1の側で防湿処理を行うようにする。この場合、後述する重錘52は、設置しても良いが、特に設置しなくても良い。
【0076】
これに対し、上部構造体1の重量と設計外力との関係で、杭4の上端(杭頭)に有害な引抜力が生じる場合には、杭4の抜止め機構が必要になる。そして、抜止め機構として、杭4の地面2の近傍の位置に突起部51を一体に形成する。また、地面2および突起部51よりも上側の位置に重錘52を設置する。重錘52は、スラブ52a(または、鉄筋コンクリート造スラブ)や土間コンクリート52bなどとすることができる。そして、突起部51が、重錘52によって上側から押さえられるようにする。
【0077】
重錘52としてスラブ52aを設置する場合は、
図8に示すように、スラブ52aの突起部51と重なる部分に杭4の外径よりも僅かに大きく、しかも、突起部51が通らない大きさおよび形状の穴部55を設けて、穴部55にコンクリートを打設する。これにより、スラブ52aに埋設された配筋を杭4や突起部51などに定着させると共に、突起部51も含めて杭4とスラブ52aとを一体化することで、杭4の地中部分16をスラブ52aの地中梁にして、杭4に作用される曲げ力をスラブ52aが負担すると同時に、杭4の引き抜き防止のためのカウンターウエイトとしての効果も発揮させる構成にする。
【0078】
また、重錘52として土間コンクリート52bを建築現場で打設する場合は、
図9に示すように、杭4や突起部51と土間コンクリート52bとの付着を防ぐように、予め突起部51の上にシート57を設置しておく。このように、土間コンクリート52bの打設後の両者(突起部51と土間コンクリート52bとの)間にシート57を挟んで両者間の縁を切ることで、杭4からの曲げについては土間コンクリート52bに負担させずに、土間コンクリート52bを杭4の引抜防止のためのカウンターウエイトとして効果を発揮させる構成にする。
【0079】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0080】
(効果 1)地面2に打設した杭4に対して上部構造体1を設置した杭基礎構造では、杭4は、上端側に地面2から上方へ突出する地上突出部11を有し、地上突出部11は、上端部または側部に上部構造体1を支持する支持部12を有し、支持部12は、上部構造体1の土台13と鉛直荷重支持点14との交点15付近に直接接合されても良い。
【0081】
これにより、杭4の地上突出部11がそのまま上部構造体1の基礎3として使えるため、上部構造体1の設置開始までの日数をほぼ半減することができる(短工期化)。
そして、上部構造体1の鉛直荷重は、支持部12および杭4を介して精度良く効率的に地面2に伝達することができる。
【0082】
この際、
図10に示すように、杭4の地中部分16が地面2によって水平方向に支えられているため(または、杭4の地中部分16が地面2の持つバネ力(水平地盤バネ)によって水平方向に弾性的に支持されているため)、上部構造体1の水平方向の剛性や耐力が、従来の鉄筋コンクリートの基礎3の場合よりも向上される。
【0083】
よって、例えば、風・浸水などの静的な外力に対しても高い支持効果が得られる基礎構造(杭基礎構造)を得ることができ、上部構造体1が建物などの場合に、良好な居住性を確保することができる。
【0084】
(効果 2)杭基礎構造では、隣接する杭4の地上突出部11間が、引張力および圧縮力を調整可能なブレース材31で連結されても良い。これにより、杭4の打設後に、隣接する杭4の地上突出部11間をブレース材31で連結して、ブレース材31で地上突出部11間に引張力や圧縮力を加えて張力を調整することによって、杭4の地上突出部11の位置精度を確保、調整することができる。
【0085】
そして、ブレース材31によって地上突出部11間の引張力および圧縮力を調整することで、隣接する杭4の地上突出部11間に引張荷重が作用されるため、例えば、地面2が軟弱な場合に、地盤に対する締固め効果が発揮されて、地盤の液状化に対する抑制効果や地震などの振動に対する増幅率の低減効果を発揮させることができる。
【0086】
また、上部構造体1の設置後には、上部構造体1の土台13と、地面2(における隣接する杭4の地上突出部11の間の部分)との間にピンブレース構造が形成されるため、環境振動などに対して強い杭基礎構造を実現することができる。
【0087】
(効果 3)杭基礎構造では、支持部12と上部構造体1との間の接合部41は、1本の鉛直荷重支持点14につき、二箇所以上設けても良い。これにより、接合部41を二箇所以上設けることで上部構造体1の剛性がより高くなり、上部構造体1の居住性や耐震性をより向上することができる。
【0088】
また、接合部41を二箇所以上設けることで、杭4の上端部に作用する回転方向のモーメントをブレース材31などで受けさせることができ、その分、杭4の地上突出部11周辺の構造を簡易化する(例えば、外部から目立つ突起物などをなくす)と共に、ブレース材31なども過大なものにしなくて済む。
【0089】
(効果 4)杭基礎構造では、杭4の地面2の近傍の位置に突起部51が形成され、地面2および突起部51よりも上側の位置に重錘52が設置され、突起部51は、重錘52によって上側から押さえられるようになっていても良い。これにより、重錘52の重量を、突起部51を介して杭4に上側からの押さえ力として作用させることで、上部構造体1からの引抜力によって杭4が抜けないようにできる。
【0090】
この際、重錘52を、例えば、スラブ52aや土間コンクリート52bなどとすることで、スラブ52aや土間コンクリート52bは上部構造体1への湿気を防ぐ防湿の機能や、床下設備を設置する空間(床下空間)を確保形成する機能などを、有効に発揮することができる。
【実施例2】
【0091】
図11は、実施例2を示すものであり、基本的に、上記実施例とほぼ同様の構成や作用効果を備えている。そのため、同様の部分については、上記実施例の記載を以てこの実施例の記載とすることで、この実施例での記載を省略できるものとする。以下、この実施例の特徴部分について記載する。
【0092】
この実施例では、特に上部構造体1が上記した建物ユニット23などのようにユニット化されている場合において、杭4の地面2からの地上突出部11を、上記実施例のものよりも上方へ長く延ばすことで、下階の上部構造体1の下部の位置よりも上方へ高く延びる延長部81を設けるようにしている。また、隣接する地上突出部11(における延長部81)の間に、ユニット化された上部構造体1(建物ユニット23)を、単数、または、スペース82を有して上下に複数配置する。建物ユニット23は、例えば、クレーンで吊り下げるようにして、地上突出部11(の延長部81)の間に設置することができる。そして、各上部構造体1の下部を、地上突出部11(延長部81を含む)の側面に設けた支持部12(下部支持部)によってそれぞれ個別に支持するようにしている。なお、延長部81の上端部は、キャップなどで塞いでおくようにする。
【0093】
この際、側方から見て、杭4は、相互間に上部構造体1が収まる程度以上の間隔を有して、横に2本以上設置される。これを平面的に見た場合には、杭4は、各建物ユニット23の4本の柱22の近傍の外側の位置にそれぞれ設置される。図の場合には、側方から見て横に並設された4本の杭4の間に、上部構造体1が横に3つ、互いに離隔された状態で並ぶように、それぞれ介在設置されている。ただし、杭4の本数や上部構造体1の設置個数は、これに限るものではない。
【0094】
また、地上突出部11の延長部81は、(最上階に位置する)上部構造体1の側部に位置して、この上部構造体1のほぼ上部に到達する程度の長さまで延ばすようにしても良い。
【0095】
支持部12は、少なくとも各上部構造体1の下部を下側から支持、固定するように、地上突出部11や延長部81の側部などの適宜の位置に対してそれぞれ設けられている。
【0096】
また、延長部81の側部には、上部構造体1の上部を上側から支持、固定する別の支持部85(上部支持部)を設けても良い。別の支持部85と上部構造体1の上部との間の接合部86は、天井梁24の端部およびジョイントピース26の位置に、支持部12の接合部41とほぼ同様にして設けることができる。別の支持部85は、直上部に位置する上階の支持部12とは別に設けても良いが、可能な場合には、上階の支持部12と一体化しても良い(上下共用支持部)。
【0097】
なお、この実施例の場合、別の支持部85は、下階に位置する上部構造体1の上部のみに対して設けられており、上階に位置する上部構造体1の上部については特に設けられていない。ただし、延長部81を更に上に延ばすなどによって、最上階に位置する上部構造体1の上部に対しても別の支持部85を設けることができる。
【0098】
また、図の場合、側方から見た状態で、隣接する2本の杭4の間には、上部構造体1が延長部81に沿い、上下方向5のスペース82を有して上下に2つの積層配置されている。ただし、上部構造体1の積層階数は、これに限るものではなく、3階以上としても良い。
【0099】
このように、地上突出部11に延長部81を設けることにより、杭4の地上突出部11(延長部81)を、上部構造体1に対する支持柱や補助柱などとして利用することができ、地震などの災害に強い、単層階または多層階のアパートなどの集合住宅やオフィスビルなどを容易に実現することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 上部構造体
2 地面
3 基礎
4 杭
11 地上突出部
12 支持部
13 土台
14 鉛直荷重支持点
15 交点
31 ブレース材
41 接合部
51 突起部
52 重錘