(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】電動作業機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240603BHJP
H02P 27/00 20060101ALN20240603BHJP
【FI】
B25F5/00 G
B25F5/00 C
H02P27/00
(21)【出願番号】P 2020178979
(22)【出願日】2020-10-26
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 均
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-104248(JP,A)
【文献】特開2017-229119(JP,A)
【文献】特開2001-320894(JP,A)
【文献】特開2016-146703(JP,A)
【文献】特開2010-279125(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0365997(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F1/00-5/02
H02P21/00-25/03
H02P25/04
H02P25/10-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動作業機であって、
電源から電力の供給を受けて駆動するように構成されたモータと、
前記電源から前記モータへ電力を供給するために前記電源と前記モータとの間に設けられる電流経路上に設置されるシャント抵抗器と、
前記シャント抵抗器に流れる電流の大きさを測定して、測定した電流の大きさに応じた出力電圧を出力するように構成された電流測定部と、
前記電流測定部へ、0Vとは異なるように設定された基準電圧を供給するように構成された基準電圧供給部とを備え、
前記電流測定部は、前記シャント抵抗器に電流が流れていないときには前記基準電圧と一致するように前記出力電圧を出力するように構成され、
前記基準電圧供給部は、予め設定された電圧変更条件が成立すると、前記基準電圧の値を変更するように構成さ
れ、
前記電圧変更条件は、当該電動作業機を作動させるために使用者により操作されるように構成された操作部が操作されていないと成立する電動作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の電動作業機であって、
前記電圧変更条件が成立しているときにおける前記出力電圧の値は、前記電圧変更条件が成立していないときにおける前記出力電圧の値より大きい電動作業機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電動作業機であって、
前記出力電圧が予め設定された過電流検出閾値以上である場合に、前記シャント抵抗器において過電流を検出したと判断するように構成された過電流検出部を備え、
前記電圧変更条件が成立しているときにおける前記基準電圧の値は前記過電流検出閾値より大きい電動作業機。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の電動作業機であって、
前記電圧変更条件が成立しているときにおける前記出力電圧に基づいて、前記電流測定部に異常が発生しているか否かを判断する自己診断を実行するように構成された自己診断部を備
え、
前記自己診断部は、前記自己診断の実行中に、前記操作部が操作されていない非操作状態から前記操作部が操作されている操作状態へ変化した場合に、前記自己診断を中断させるように構成されている電動作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された電動作業機は、電流測定回路を備える。電流測定回路は、モータに供給される電流の大きさを測定するためにモータの負極側の通電経路に直列接続された抵抗器の両端間電圧を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動作業機における電流測定に高い信頼性が要求される場合、その信頼性を確保するために、互いに独立した2つの電流測定回路を用いて、互いの測定値を比較してもよい。
しかし、2つの電流測定回路を実装する必要があるため、電流測定の信頼性が要求されない場合と比較して、部品実装面積および実装部品数が2倍になってしまう。
【0005】
本開示の一態様は、電流測定に必要な高い信頼性の確保に起因した部品実装面積および実装部品数の増加を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、電動作業機であって、モータと、シャント抵抗器と、電流測定部と、基準電圧供給部とを備える。
モータは、電源から電力の供給を受けて駆動するように構成される。シャント抵抗器は、電源からモータへ電力を供給するために電源とモータとの間に設けられる電流経路上に設置される。
【0007】
電流測定部は、シャント抵抗器に流れる電流の大きさを測定して、測定した電流の大きさに応じた出力電圧を出力するように構成される。
基準電圧供給部は、電流測定部へ、0Vとは異なるように設定された基準電圧を供給するように構成される。
【0008】
電流測定部は、シャント抵抗器に電流が流れていないときには基準電圧と一致するように出力電圧を出力するように構成される。
基準電圧供給部は、予め設定された電圧変更条件が成立すると、基準電圧の値を変更するように構成される。
【0009】
このように構成された本開示の電動作業機は、電圧変更条件が成立することによって基準電圧供給部が基準電圧の値を変更した場合において、この変更に応じて電流測定部の出力電圧の値が変化したときに、電流測定部が正常であると判断することができる。このため、本開示の電動作業機は、電流測定に必要な高い信頼性を確保するために、互いに独立した2つの電流測定部を備える必要がない。そして、基準電圧供給部において基準電圧の値を変更するための回路は、簡単な回路構成にすることができる。
【0010】
これにより、本開示の電動作業機は、電流測定に必要な高い信頼性の確保に起因した部品実装面積および実装部品数の増加を抑制することができる。
電圧変更条件が成立しているときにおける出力電圧の値は、電圧変更条件が成立していないときにおける出力電圧の値より大きくしてもよい。これにより、電動作業機のモータの回転中に何らかの原因で基準電圧が変更されてしまった場合であっても、電流測定部は、シャント抵抗器に実際に流れる電流に相当する出力電圧よりも大きい値を示す出力電圧を出力する。
【0011】
このため、本開示の電動作業機は、電動作業機のモータの回転中に基準電圧が変更されてしまうという異常が発生した場合において実際の電流値よりも低い値として電流測定されてしまうという事態の発生を抑制することができる。
【0012】
電動作業機は、出力電圧が予め設定された過電流検出閾値以上である場合に、シャント抵抗器において過電流を検出したと判断するように構成された過電流検出部を備え、電圧変更条件が成立しているときにおける基準電圧の電圧値は過電流検出閾値より大きくてもよい。
【0013】
これにより、電圧変更条件が成立することによって基準電圧供給部が基準電圧の値を変更した場合において、この変更による電流測定部の出力電圧の値は過電流検出閾値より大きくなり、過電流検出部は、過電流を検出したと判断する。したがって、本開示の電動作業機は、基準電圧の値を変更することにより、電流測定部および過電流検出部の診断(すなわち、動作確認)を同時に行うことができる。
さらに、本開示の電動作業機は、電動作業機のモータの回転中に基準電圧が変更されてしまうという異常が発生した場合において過電流を検出したと判断し、異常が発生したまま通常のモータ回転処理が継続する事態の発生を抑制することができる。
【0014】
電動作業機は、電圧変更条件が成立しているときにおける出力電圧に基づいて、電流測定部に異常が発生しているか否かを判断する自己診断を実行するように構成された自己診断部を備えてもよい。そして電圧変更条件は、当該電動作業機を作動させるために使用者により操作されるように構成された操作部が操作されていないと成立し、自己診断部は、自己診断の実行中に、操作部が操作されていない非操作状態から操作部が操作されている操作状態へ変化した場合に、自己診断を中断させてもよい。
【0015】
これにより、本開示の電動作業機は、電流測定部の自己診断を実行できない状況であるにも関わらず自己診断を実行してしまうという事態の発生を抑制し、電流測定部の診断精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】電動作業機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】作業機制御処理を示すフローチャートである。
【
図4】電流センサチェック処理の前半部分を示すフローチャートである。
【
図5】電流センサチェック処理の後半部分を示すフローチャートである。
【
図6】抵抗値の変化に対する出力電圧の変化を示す図である。
【
図7】シャントレギュレータを備える基準電圧回路の回路図である。
【
図8】リニアレギュレータを備える基準電圧回路の回路図である。
【
図9】オペアンプを備える基準電圧回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本開示の例示的な実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態の電動作業機1は、
図1に示すように、被加工部材を切断するために使用されるマルノコである。
【0018】
電動作業機1は、ベース2と、本体部3とを備える。ベース2は、被加工部材の切断作業を行う際に切断対象の被加工部材の上面に接触する略矩形状の部材である。本体部3は、ベース2の上面側に配置されている。
【0019】
本体部3は、円形のノコ刃4と、ノコ刃ケース5と、カバー6とを備える。ノコ刃4は、本体部3における切断進行方向の右側に配置されている。ノコ刃ケース5は、ノコ刃4の上側における略半周の範囲の周縁を内部に収容して覆うように形成されている。
【0020】
カバー6は、ノコ刃4の下側における略半周の範囲の周縁を覆うように形成されている。カバー6は開閉式であり、
図1はカバー6が閉じられた状態を示している。カバー6は、被加工部材の切断時に電動作業機1を切断進行方向に移動させることにより、ノコ刃4の回転中心を中心として
図1における
時計回り方向に回転して徐々に開かれていく。これにより、ノコ刃4が露出され、その露出部分が被加工部材に切り込まれて行く。
【0021】
本体部3における左側には、略円筒状のモータケース7が設置されている。このモータケース7の内部に、電動作業機1の駆動源であるモータ11が収容されている。なお、モータ11は、
図1に示されておらず、
図2に示されている。
【0022】
モータケース7とノコ刃4との間には、図示しないギヤ機構が収容されている。モータ11が回転すると、その回転がギヤ機構を介してノコ刃4へ伝達され、ノコ刃4が回転する。
【0023】
本体部3における上側には、電動作業機1の使用者により把持されるハンドル8が配置されている。ハンドル8は、本体部3の上側においてアーチ状に取り付けられている。すなわち、ハンドル8は、第1端が本体部3における切断進行方向の後端側に固定され、第2端がその後端よりも切断進行方向の前方側に固定されている。
【0024】
ハンドル8には、トリガスイッチ9が取り付けられている。電動作業機1の使用者は、ハンドル8を握った状態で、トリガスイッチ9に対して引き操作および戻し操作をすることができる。なお、電動作業機1の使用者は、トリガスイッチ9の付近においてハンドル8の左右方向に突出しているロックオフレバーを操作した状態で、トリガスイッチ9を引くことができる。具体的には、電動作業機1の使用者は、左側または右側からロックオフレバーを押すことで、トリガスイッチ9を引くことができる。以下、トリガスイッチ9に対して引き操作された状態をオン状態、トリガスイッチ9に対して戻し操作された状態をオフ状態という。
【0025】
本体部3の後端には、繰り返し充電可能なバッテリ12を収容したバッテリパック10が、着脱自在に装着されている。本体部3にバッテリパック10が装着されている状態で、トリガスイッチ9が引き操作されると、バッテリ12の電力により本体部3内のモータ11が回転する。なお、バッテリ12は、
図1に示されておらず、
図2に示されている。
【0026】
図2に示すように、電動作業機1は、制御ユニット20を備える。
制御ユニット20は、バッテリパック10内のバッテリ12から電力供給を受けてモータ11を駆動制御する。本実施形態では、モータ11は、3相ブラシレスモータである。
【0027】
制御ユニット20は、モータドライバ21、制御回路22、電流測定回路23、基準電圧回路24、過電流検出回路25、ラッチ回路26、スイッチ操作回路27、過電流遮断回路28、電源ライン29およびグランドライン30を備える。
電源ライン29は、バッテリ12の正極PEからモータドライバ21を通ってモータ11に至る電流経路である。グランドライン30は、バッテリ12の負極NEからグランドおよびモータドライバ21を通ってモータ11に至る電流経路である。
【0028】
モータドライバ21は、電源ライン29およびグランドライン30を介してバッテリ12から電力供給を受けて、モータ11の各相巻線に電流を流すための回路である。本実施形態では、モータドライバ21は、6つのスイッチング素子を備える3相フルブリッジ回路を備える。
【0029】
モータドライバ21は、制御回路22から出力された制御信号に従い、モータドライバ21内の各スイッチング素子をオン状態またはオフ状態にすることで、モータ11の各相巻線に電流を流し、モータ11を回転させる。
【0030】
制御回路22は、CPU22a、ROM22bおよびRAM22c等を備えたマイクロコンピュータを含んでいる。マイクロコンピュータの各種機能は、CPU22aが非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、ROM22bが、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。なお、CPU22aが実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、制御回路22は複数のマイコンを備えてもよい。
【0031】
電流測定回路23は、抵抗器R0,R1,R2,R3,R4とオペアンプA1とを備える。
抵抗器R0は、シャント抵抗器であり、グランドライン30上に設けられる。
【0032】
抵抗器R1の第1端は、抵抗器R0におけるモータドライバ21側の端部に接続される。抵抗器R1の第2端は、オペアンプA1の非反転入力端子に接続される。
抵抗器R2の第1端は、抵抗器R0におけるグランド側の端部に接続される。抵抗器R2の第2端は、オペアンプA1の反転入力端子に接続される。
【0033】
抵抗器R3の第1端は、オペアンプA1の反転入力端子に接続される。抵抗器R3の第2端は、オペアンプA1の出力端子に接続される。
抵抗器R4の第1端は、オペアンプA1の非反転入力端子に接続される。抵抗器R4の第2端は、基準電圧回路24に接続される。
【0034】
抵抗器R1の抵抗値は抵抗器R2の抵抗値に等しい。抵抗器R3の抵抗値は抵抗器R4の抵抗値に等しい。本実施形態では、抵抗器R1,R3の抵抗値は10kΩ以下である。高速な入力信号変化に対し、浮遊容量の影響を回避し、正確に出力できるようにするためである。
【0035】
オペアンプA1の出力端子は、抵抗器R11を介して制御回路22のA/D入力ポートP1に接続される。
このように構成された電流測定回路23は、式(1)に示す出力電圧VoutをオペアンプA1の出力端子から出力する。式(1)のV1は、抵抗器R1の第1端における電圧値である。式(1)のV2は、抵抗器R2の第1端における電圧値である。式(1)のR1は、抵抗器R1の抵抗値である。式(1)のR3は、抵抗器R3の抵抗値である。式(1)のVrefは、基準電圧回路24から出力される基準電圧の電圧値である。本実施形態では、電流測定回路23のゲイン(すなわち、R3/R1)が20以下に設定されている。高速な入力信号変化に対応するため、電流測定回路23のゲインをオペアンプA1のその速度におけるオープンループゲイン以上にすると、オペアンプA1では入力波形を再現することができなくなるからである。
【0036】
Vout=(V1-V2)×(R3/R1)+Vref ・・・(1)
基準電圧回路24は、抵抗器R5,R6と、PNP型トランジスタT1とを備える。
抵抗器R5の第1端には5V電圧が印加される。抵抗器R5の第2端は抵抗器R6の第1端に接続され、この接続点が基準電圧回路24の出力となる。抵抗器R6の第2端は接地される。本実施形態では、抵抗器R5の抵抗値は、抵抗器R6の抵抗値に等しい。
【0037】
PNP型トランジスタT1のベースは制御回路22の出力ポートP2に接続される。PNP型トランジスタT1のエミッタには5V電圧が印加される。PNP型トランジスタT1のコレクタは、抵抗器R5と抵抗器R6との接続点に接続される。
また、PNP型トランジスタT1のコレクタを、抵抗器R5と抵抗器R6との接続点に、抵抗器を介して接続してもよい。この場合、介在した抵抗器の抵抗値によって、PNP型トランジスタT1をオンした時の基準電圧値を任意に設定でき、設定電圧は、後述の抵抗器R7および抵抗器R8で設定される過電流検出回路25の過電流検出閾値より高い値に設定してもよい。この場合、PNP型トランジスタT1をオンした時に、後述する過電流検出回路25を作動させることができ、少なくとも、設定した電圧値であれば、つまり、設定した電圧値相当の電流が抵抗器R0に流れたなら、過電流検出回路25が作動できることが分かる。
【0038】
「(抵抗器R1の抵抗値)≫(抵抗器R5,R6の抵抗値)」となるように抵抗器R5,R6の抵抗値が設定されている。基準電圧回路24の出力インピーダンスを、抵抗器R1の抵抗値の少なくとも1/10以下とし、電流測定回路23へ与える出力インピーダンスの影響を小さくするためである。
【0039】
このように構成された基準電圧回路24は、PNP型トランジスタT1がオフ状態であるときに2.5Vの基準電圧Vrefを出力し、PNP型トランジスタT1がオン状態であるときに5Vの基準電圧Vrefを出力する。
【0040】
過電流検出回路25は、抵抗器R7,R8,R9,R10とコンデンサC1,C2とコンパレータA2とを備える。
抵抗器R7の第1端には5V電圧が印加される。抵抗器R7の第2端は、抵抗器R8の第1端とコンパレータA2の反転入力端子とに接続される。抵抗器R8の第2端は接地される。
【0041】
抵抗器R9の第1端はオペアンプA1の出力端子に接続される。抵抗器R9の第2端はコンパレータA2の非反転入力端子に接続される。
抵抗器R10の第1端はラッチ回路26に接続される。抵抗器R10の第2端はコンパレータA2の非反転入力端子に接続される。
【0042】
コンデンサC1の第1端には5V電圧が印加される。コンデンサC1の第2端はコンパレータA2の反転入力端子に接続される。コンデンサC2の第1端はコンパレータA2の非反転入力端子に接続される。コンデンサC2の第2端は接地される。
【0043】
抵抗器R9およびコンデンサC2は、コンパレータA2の非反転入力端子側のローパスフィルタを形成している。
コンデンサC1は、コンパレータA2の反転入力端子側のローパスフィルタを形成するために設置されている。またコンデンサC1,C2は、5V電圧が投入されたときにコンパレータA2の出力をローレベルに固定させることができる。
【0044】
過電流検出回路25を高速応答させるために、コンパレータA2の非反転入力端子側のローパスフィルタの時定数(すなわち、抵抗器R9の抵抗値とコンデンサC2の静電容量との積)は1μs以下となるように設定されている。
【0045】
このように構成された過電流検出回路25は、コンパレータA2の非反転入力端子の電圧(すなわち、オペアンプA1の出力端子の電圧)がコンパレータA2の反転入力端子の電圧より大きい場合に、コンパレータA2の出力端子からハイレベルの信号を過電流信号として出力する。すなわち、コンパレータA2の反転入力端子に印加される電圧が過電流検出閾値である。
【0046】
ラッチ回路26は、PNP型トランジスタT2とNPN型トランジスタT3とを備える。
PNP型トランジスタT2のベースは、NPN型トランジスタT3のコレクタに接続される。
【0047】
PNP型トランジスタT2のエミッタはダイオードD1を介して制御回路22の出力ポートP3に接続される。なお、ダイオードD1のアノードは制御回路22の出力ポートP3に接続され、ダイオードD1のカソードはPNP型トランジスタT2のエミッタに接続される。さらに、PNP型トランジスタT2のエミッタはダイオードD2を介してスイッチ操作回路27に接続される。
【0048】
PNP型トランジスタT2のコレクタは抵抗器R10を介してコンパレータA2の非反転入力端子に接続される。
NPN型トランジスタT3のベースはコンパレータA2の出力端子に接続される。NPN型トランジスタT3のエミッタは接地される。NPN型トランジスタT3のコレクタは制御回路22の入力ポートP4に接続される。
【0049】
このように構成されたラッチ回路26では、制御回路22の出力ポートP3からハイレベルが出力された、または、スイッチ操作回路27からハイレベルが出力された状態で、コンパレータA2の出力端子から過電流信号が出力されると、PNP型トランジスタT2およびNPN型トランジスタT3がオン状態となり、コンパレータA2の非反転入力端子は抵抗器R10を介してハイレベルにプルアップされる。その後、オペアンプA1の出力端子から出力される信号の電圧値が低下しても、コンパレータA2の非反転入力端子はプルアップされているので、コンパレータA2の出力は変化せず、PNP型トランジスタT2およびNPN型トランジスタT3のオン状態が維持される。そして、PNP型トランジスタT2およびNPN型トランジスタT3のオン状態は、トリガスイッチ9がオン状態からオフ状態へ切り替わるまで、または、制御回路22の出力ポートP3がハイレベルからローレベルへ切り替わるまで継続する。
【0050】
スイッチ操作回路27は、PNP型トランジスタT4を備える。
PNP型トランジスタT4のベースは、トリガスイッチ9に接続される。PNP型トランジスタT4のエミッタには5V電圧が印加される。PNP型トランジスタT4のコレクタは、ダイオードD2のアノードと制御回路22の入力ポートP5とに接続される。ダイオードD2のカソードはPNP型トランジスタT2のエミッタに接続される。
【0051】
このように構成されたスイッチ操作回路27では、トリガスイッチ9がオフ状態からオン状態へ切り替わると、PNP型トランジスタT4のベースが接地電位となり、PNP型トランジスタT4がオン状態となる。これにより、スイッチ操作回路27は、5V電圧を出力する。
【0052】
過電流遮断回路28は、電源ライン29上に設けられる。そして過電流遮断回路28は、外部から入力される過電流制御信号に従って、この電流経路を導通させるオン状態と、この電流経路を遮断するオフ状態との間で切り替わる。なお、過電流制御信号は、NPN型トランジスタT3のコレクタの電圧レベルである。
【0053】
過電流遮断回路28は、過電流制御信号がハイレベルである場合にオン状態となり、過電流制御信号がローレベルである場合にオフ状態となる。
次に、制御回路22のCPU22aが実行する作業機制御処理の手順を説明する。作業機制御処理は、制御回路22に5V電圧が供給されて制御回路22が起動した後に開始される処理である。
【0054】
作業機制御処理が実行されると、CPU22aは、
図3に示すように、まずS10にて、作業機制御処理で用いる各種パラメータを初期値に設定する初期化を実行する。
そしてCPU22aは、S20にて、トリガスイッチ9がオフ状態であるか否かを判断する。具体的には、CPU22aは、入力ポートP5の電圧レベルがハイレベルである場合に、トリガスイッチ9がオン状態であると判断し、入力ポートP5の電圧レベルがハイレベルでない場合に、トリガスイッチ9がオフ状態であると判断する。
【0055】
ここで、トリガスイッチ9がオン状態である場合には、S20の処理を繰り返すことにより、トリガスイッチ9がオフ状態になるまで待機する。
そして、トリガスイッチ9がオフ状態になると、CPU22aは、S30にて、各種チェックを実行する。例えば、CPU22aは、バッテリ12の電圧をチェックしたり、モータドライバ21のスイッチング素子の温度をチェックしたりする。
【0056】
さらにCPU22aは、S40にて、後述する電流センサチェック処理を実行する。
電流センサチェック処理が終了すると、CPU22aは、S50にて、後述の電流センサエラーフラグF1がセットされているか否かを判断する。なお、フラグをセットするとは、そのフラグの値を1にすることを示し、フラグをクリアするとは、そのフラグの値を0にすることを示す。ここで、電流センサエラーフラグF1がクリアされている場合には、CPU22aは、S60にて、トリガスイッチ9がオン状態であるか否かを判断する。ここで、トリガスイッチ9がオフ状態である場合には、S60の処理を繰り返すことにより、トリガスイッチ9がオン状態になるまで待機する。
【0057】
そして、トリガスイッチ9がオン状態になると、CPU22aは、S70にて、モータ11を駆動するためのモータ駆動処理を実行し、S60に移行する。
またS50にて、電流センサエラーフラグF1がセットされている場合には、CPU22aは、S80にて、所定のエラー処理を実行し、作業機制御処理を終了する。
次に、S40でCPU22aが実行する電流センサチェック処理の手順を説明する。
【0058】
電流センサチェック処理が実行されると、CPU22aは、
図4に示すように、まずS110にて、トリガスイッチ9がオフ状態であるか否かを判断する。ここで、トリガスイッチ9がオン状態である場合には、CPU22aは、電流センサチェック処理を終了する。一方、トリガスイッチ9がオフ状態である場合には、CPU22aは、S120にて、電流測定回路23から出力される出力電圧V
outを読み込む。
【0059】
そしてCPU22aは、S130にて、読み込んだ出力電圧Voutに基づいて、ドライバ電流値が0Aであるか否かを判断する。具体的には、CPU22aは、出力電圧Voutが予め設定された正常電圧範囲内である場合には、ドライバ電流値が0Aであると判断し、出力電圧Voutが正常電圧範囲外である場合には、ドライバ電流値が0Aでないと判断する。本実施形態では、正常電圧範囲は、2.4V以上であり且つ2.6V以下である範囲である。
【0060】
ここで、ドライバ電流値が0Aでない場合には、CPU22aは、S280に移行する。一方、ドライバ電流値が0Aである場合には、CPU22aは、S140にて、疑似スイッチオン信号を出力する。具体的には、CPU22aは、出力ポートP3の電圧をハイレベルに設定する。
【0061】
そしてCPU22aは、S150にて、トリガスイッチ9がオフ状態であるか否かを判断する。ここで、トリガスイッチ9がオン状態である場合には、CPU22aは、S160にて、疑似スイッチオン信号の出力を停止する。具体的には、CPU22aは、出力ポートP3の電圧をローレベルに設定する。
【0062】
さらにCPU22aは、S170にて、トリガスイッチ9がオン状態であるか否かを判断する。ここで、トリガスイッチ9がオン状態である場合には、CPU22aは、電流センサチェック処理を終了する。一方、トリガスイッチ9がオフ状態である場合には、CPU22aは、S280に移行する。
【0063】
またS150にて、トリガスイッチ9がオフ状態である場合には、CPU22aは、S180にて、過電流を検出したか否かを判断する。具体的には、CPU22aは、入力ポートP4の電圧レベルがローレベルである場合に、「過電流を検出した」と判断する。
【0064】
ここで、過電流を検出した場合には、CPU22aは、S280に移行する。一方、過電流を検出していない場合には、CPU22aは、S190にて、基準電圧変更信号を出力する。具体的には、CPU22aは、出力ポートP2の電圧をローレベルに設定する。
【0065】
さらにCPU22aは、S200にて、出力電圧V
outを読み込む。そしてCPU22aは、
図5に示すように、S210にて、読み込んだ出力電圧V
outの値が変更後の基準電圧の値(すなわち、5V)に等しいか否かを判断する。
【0066】
ここで、出力電圧Voutの値が変更後の基準電圧の値に等しくない場合には、CPU22aは、S280に移行する。一方、出力電圧Voutの値が変更後の基準電圧の値に等しい場合には、CPU22aは、S220にて、S180と同様にして、過電流を検出したか否かを判断する。
【0067】
ここで、過電流を検出していない場合には、CPU22aは、S280に移行する。一方、過電流を検出した場合には、CPU22aは、S230にて、基準電圧変更信号の出力を停止する。具体的には、CPU22aは、出力ポートP2の電圧をハイレベルに設定する。
【0068】
次にCPU22aは、S240にて、S180と同様にして、過電流を検出したか否かを判断する。ここで、過電流を検出していない場合には、CPU22aは、S280に移行する。一方、過電流を検出した場合には、CPU22aは、S250にて、疑似スイッチオン信号の出力を停止する。具体的には、CPU22aは、CPU22aは、出力ポートP3の電圧をローレベルに設定する。
【0069】
そしてCPU22aは、S260にて、S180と同様にして、過電流を検出したか否かを判断する。ここで、過電流を検出していない場合には、CPU22aは、電流センサチェック処理を終了する。一方、過電流を検出した場合には、CPU22aは、S270にて、トリガスイッチ9がオン状態であるか否かを判断する。ここで、トリガスイッチ9がオン状態である場合には、CPU22aは、電流センサチェック処理を終了する。一方、トリガスイッチ9がオフ状態である場合には、CPU22aは、S280に移行する。
【0070】
S280に移行すると、CPU22aは、RAM22cに設けられた電流センサエラーフラグF1をセットして、電流センサチェック処理を終了する。
【0071】
図6は、ドライバ電流が0Aであるときにおいて抵抗器R1,R2,R3,R4,R5,R6の抵抗値の変化に対する出力電圧V
outの変化を示す図である。線L1,L2,L3,L4,L5,L6はそれぞれ、抵抗器R1,R2,R3,R4,R5,R6の抵抗値の変化に対する出力電圧V
outの変化を示す。
【0072】
抵抗器R1,R2,R3,R4,R5,R6の抵抗値の正常値はそれぞれ、4.7kΩ、100kΩ、4.7kΩ、100kΩ、100Ω、100Ωである。
図6に示すように、ドライバ電流が0Aであるときにおいて抵抗器R1,R2,R3,R4,R5,R6のうち一つの抵抗器の抵抗値が変化すると、出力電圧V
outが2.5Vから外れてしまう。このため、上記の正常電圧範囲を、2.4V以上であり且つ2.6V以下であるとした。
【0073】
このように構成された電動作業機1は、モータ11と、抵抗器R0と、電流測定回路23と、基準電圧回路24とを備える。
モータ11は、バッテリ12から電力の供給を受けて駆動する。抵抗器R0は、バッテリ12からモータ11へ電力を供給するためにバッテリ12とモータ11との間に設けられるグランドライン30上に設置される。抵抗器R0は、シャント抵抗器である。電流測定回路23は、抵抗器R0に流れる電流の大きさを測定して、測定した電流の大きさに応じた出力電圧Voutを出力する。基準電圧回路24は、電流測定回路23へ、0Vとは異なるように設定された基準電圧Vrefを供給する。
【0074】
電流測定回路23は、抵抗器R0に電流が流れていないときには基準電圧と一致するように出力電圧Voutを出力する。基準電圧回路24は、予め設定された電圧変更条件が成立すると、基準電圧Vrefの値を変更する。電圧変更条件は、制御回路22が起動した直後でトリガスイッチ9がオフ状態であると成立する。
【0075】
このように電動作業機1は、電圧変更条件が成立することによって基準電圧回路24が基準電圧Vrefの値を変更した場合において、この変更に応じて電流測定回路23の出力電圧Voutの値が変化したときに、電流測定回路23が正常であると判断することができる。このため、電動作業機1は、電流測定に高い信頼性が要求される場合、その信頼性を確保するために、互いに独立した2つの電流測定回路23を備える必要がない。そして、基準電圧回路24において基準電圧Vrefの値を変更するための回路は、簡単な回路構成にすることができる。
【0076】
これにより、電動作業機1は、電流測定に必要な高い信頼性の確保に起因した部品実装面積および実装部品数の増加を抑制することができる。
また、電圧変更条件が成立しているときにおける出力電圧Voutの値は、電圧変更条件が成立していないときにおける出力電圧Voutの値より大きくてもよい。これにより、電動作業機1のモータ11の回転中に何らかの原因で基準電圧Vrefが変更されてしまった場合であっても、電流測定回路23は、抵抗器R0に実際に流れる電流に相当する出力電圧Voutよりも大きい値を示す出力電圧Voutを出力する。
【0077】
このため、電動作業機1は、電動作業機1のモータ11の回転中に基準電圧Vrefが変更されてしまうという異常が発生した場合において実際の電流値よりも低い値として電流測定されてしまうという事態の発生を抑制することができる。
【0078】
また過電流検出回路25は、出力電圧Voutが予め設定された過電流検出閾値以上である場合に、抵抗器R0において過電流を検出したと判断する。そして、電圧変更条件が成立しているときにおける基準電圧Vrefの値は過電流検出閾値より大きい。
【0079】
これにより、電圧変更条件が成立することによって基準電圧回路24が基準電圧Vrefの値を変更した場合において、この変更による電流測定回路23の出力電圧Voutの値は過電流検出閾値より大きくなり、過電流検出回路25は、過電流を検出したと判断する。したがって、電動作業機1は、基準電圧Vrefの値を変更することにより、電流測定回路23および過電流検出回路25の診断(すなわち、動作確認)を同時に行うことができる。
【0080】
制御回路22は、電圧変更条件が成立しているときにおける出力電圧Voutに基づいて、電流測定回路23に異常が発生しているか否かを判断する自己診断を実行する。そして電圧変更条件は、当該電動作業機1を作動させるために使用者により操作されるトリガスイッチ9が操作されていないと成立し、制御回路22は、自己診断の実行中に、制御回路22が操作されていない非操作状態から制御回路22が操作されている操作状態へ変化した場合に、自己診断を中断させる。
【0081】
これにより、電動作業機1は、電流測定回路23の自己診断を実行できない状況であるにも関わらず自己診断を実行してしまうという事態の発生を抑制し、電流測定回路23の診断精度を向上させることができる。
【0082】
以上説明した実施形態において、抵抗器R0は本開示におけるシャント抵抗器の一例に相当し、電流測定回路23は本開示における電流測定部の一例に相当し、基準電圧回路24は本開示における基準電圧供給部の一例に相当し、過電流検出回路25は本開示における過電流検出部の一例に相当する。
また、バッテリ12は本開示における電源の一例に相当し、グランドライン30は本開示における電流経路の一例に相当する。
【0083】
また、S210は本開示における自己診断部の一例としての処理に相当し、トリガスイッチ9は本開示における操作部の一例に相当する。
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
【0084】
例えば上記実施形態では、基準電圧回路24が抵抗器R5,R6とPNP型トランジスタT1とを備える形態を示した。しかし、
図7に示すように、基準電圧回路24は、抵抗器R5,R6,R21,R22とコンデンサC21とNPN型トランジスタT21とシャントレギュレータSRとを備えてもよい。
【0085】
抵抗器R21の第1端には5V電圧が印加される。抵抗器R21の第2端は抵抗器R5の第1端に接続される。抵抗器R5の第2端は抵抗器R6の第1端と抵抗器R22の第1端とに接続される。抵抗器R6の第2端は接地される。
【0086】
コンデンサC21の第1端は、抵抗器R21と抵抗器R5との接続点に接続される。コンデンサC21の第2端は接地される。
NPN型トランジスタT21のベースは制御回路22の出力ポートP2に接続される。NPN型トランジスタT21のコレクタは抵抗器R22の第2端に接続される。NPN型トランジスタT21のエミッタは接地される。
【0087】
シャントレギュレータSRのカソードは、抵抗器R21と抵抗器R5との接続点に接続される。シャントレギュレータSRのアノードは接地される。シャントレギュレータSRのリファレンス端子は、抵抗器R5と抵抗器R6との接続点に接続される。
【0088】
そして基準電圧回路24は、抵抗器R21とシャントレギュレータSRとの接続点におけるカソード電圧を基準電圧Vrefとして出力する。
このように構成された基準電圧回路24では、抵抗器R5と抵抗器R6との接続点における電圧がシャントレギュレータSRのリファレンス端子に入力され、シャントレギュレータSRは、リファレンス端子に入力された電圧が所定電圧となるように、カソード電圧を生成し、基準電圧Vrefとして出力する。なお、NPN型トランジスタT21がオン状態であるときには、リファレンス端子に入力される電圧は、抵抗器R5,R6,R22によって決定される。また、NPN型トランジスタT21がオフ状態であるときには、リファレンス端子に入力する電圧は、抵抗器R5,R6によって決定される。
【0089】
また基準電圧回路24は、
図8に示すように、抵抗器R5,R6,R31とコンデンサC31とNPN型トランジスタT31と可変出力リニアレギュレータLDOとを備えてもよい。
抵抗器R5の第1端は、可変出力リニアレギュレータLDOの出力端子Voutに接続される。抵抗器R5の第2端は、抵抗器R6の第1端と抵抗器R31の第1端とに接続される。抵抗器R6の第2端は接地される。抵抗器R31の第2端は、NPN型トランジスタT31のコレクタに接続される。
【0090】
コンデンサC31の第1端は可変出力リニアレギュレータLDOの出力端子Voutに接続される。コンデンサC31の第2端は接地される。
NPN型トランジスタT31のベースは制御回路22の出力ポートP2に接続される。NPN型トランジスタT31のエミッタは接地される。
【0091】
可変出力リニアレギュレータLDOの入力端子Vddには5V電圧が印加される。可変出力リニアレギュレータLDOのフィードバック端子FBは、抵抗器R5と抵抗器R6,R31との接続点に接続される。可変出力リニアレギュレータLDOのグランド端子は接地される。
【0092】
このように構成された基準電圧回路24は、出力ポートP2がハイレベルであるときに、NPN型トランジスタT31がオン状態となり、抵抗器R5,R6,R31で決定される電圧を出力端子Voutから出力する。また基準電圧回路24は、出力ポートP2がローレベルであるときに、NPN型トランジスタT31がオフ状態となり、抵抗器R5,R6で決定される電圧を出力端子Voutから出力する。
【0093】
また基準電圧回路24は、
図9に示すように、抵抗器R41とオペアンプA41とを備えてもよい。
抵抗器R41の第1端は、PNP型トランジスタT1のコレクタに接続される。抵抗器R41の第2端は、抵抗器R5と抵抗器R6との接続点に接続される。
【0094】
オペアンプA41の非反転入力端子は、抵抗器R5と抵抗器R6との接続点に接続される。オペアンプA41の反転入力端子は、オペアンプA41の出力端子に接続される。
このように構成された基準電圧回路24は、抵抗器R5と抵抗器R6との接続点における電圧と同じ電圧を基準電圧VrefとしてオペアンプA41の出力端子から低い出力インピーダンスで出力することができる。
【0095】
また、基準電圧回路24を備える代わりに、D/A変換出力できる出力ポートP2が電流測定回路23のオペアンプA1の非反転入力端子に抵抗器R4を介して接続されてもよい。すなわち、D/A変換出力ポートP2の電圧レベルを例えば2.5Vと5Vとの間で切り替えて出力することにより、基準電圧を変更してもよい。
【0096】
本開示の技術は、例えば電動ハンマ、電動ハンマドリル、電動ドリル、電動ドライバ、電動レンチ、電動グラインダ、電動マルノコ、電動レシプロソー、電動ジグソー、電動カッター、電動チェンソー、電動カンナ、電動釘打ち機(鋲打ち機を含む)、電動ヘッジトリマ、電動芝刈り機、電動芝生バリカン、電動刈払機、電動クリーナ、電動ブロア、電動噴霧器、電動散布機、電動集塵機といった各種電動作業機に適用することができる。
【0097】
上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。
【0098】
上述した電動作業機1の他、制御ユニット20としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、電動作業機制御方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0099】
1…電動作業機、11…モータ、23…電流測定回路、24…基準電圧回路、R0…抵抗器