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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】スプリング巻き機
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/62 20060101AFI20240603BHJP
   E06B 9/02 20060101ALI20240603BHJP
   E06B 9/60 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
E06B9/62 B
E06B9/02 A
E06B9/60
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020182194
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072639
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】浅利 啓太
(72)【発明者】
【氏名】坂本 克広
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-8489(JP,A)
【文献】特開平4-24387(JP,A)
【文献】米国特許第3979977(US,A)
【文献】米国特許第6125582(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトには開閉体の重量をバランスさせるスプリングが搭載されており、前記スプリングを巻き締めて当該シャフトに回転力を付与するスプリング巻き機であって、
前記シャフトの挿通部を備えた平歯車と、
前記平歯車の回転力を前記バランススプリングに伝動させる手段と、
前記平歯車と噛合するウォームと、
前記ウォームと一体で回転し、回動駆動源と接続可能な駆動軸と、
を備え、
前記平歯車は2枚のプレート間に回転自在に支持されており、
前記平歯車の面部の周縁部位には、平歯車よりも小径の円周面が形成されており、
プレート間には、前記円周面に近接して、複数のガイドが設けてあり、前記ガイドは、前記平歯車の歯には非接触で前記円周面に接触可能な周面を備えている、
スプリング巻き機。
【請求項2】
前記円周面は、前記平歯車の面部に固定された円板の周面である、請求項1に記載のスプリング巻き機。
【請求項3】
前記円板は、前記平歯車の両方の面部に固定されている、請求項2に記載のスプリング巻き機。
【請求項4】
前記複数のガイドは、ウォームとの噛合部位を除いて、平歯車の周方向に亘って設けてある、請求項1~3いずれか1項に記載のスプリング巻き機。
【請求項5】
前記複数のガイドは、ウォームから遠い側に密に設けてある、請求項4に記載のスプリング巻き機。
【請求項6】
前記ガイドは回転自在なローラである、請求項1~5いずれか1項に記載のスプリング巻き機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリング巻き機に係り、詳しくは、開閉体の重量をバランスさせるスプリングが搭載されているシャフトにおいて、前記スプリングを巻き締めて当該シャフトに回転力を付与するスプリング巻き機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャッターの中には、扉体の重量をバランスさせるバランススプリングが搭載されたシャフトを備えるものがあり、このようなシャッターとしてオーバーヘッドドアを挙げることができる。オーバーヘッドドアのワイヤを巻き取るシャフトに搭載しているバランススプリングは、一端をブラケットに固定し、他端を当該バランススプリングに固定したワインディングプラグを介してシャフトに固定している。このバランススプリングはパネル開放時の持ち上げ力を蓄えるように予め所定量巻き締める必要があるが、この巻き締め作業としては、手動で行うもの(特許文献1の従来例)、電動で行うもの(特許文献2、3)が知られている。
【0003】
特許文献1には、バランススプリングには捩りコイルバネが使用され、該バランススプリングが所定量回転され初期トルクが付与された状態で一端がブラケット側に固定され、一端がシャフト側にプラグを介して固定され、前記シャフトに巻取方向の回転力を付勢する様になっており、シャッタカーテンにはワイヤを介して上昇力が付勢され、前記シャッタカーテンを開閉する際の動力が軽減されていること、バランススプリングは当初は一端がブラケットに固定され、他端には固定プラグが固定されており、固定プラグはシャフトに対して回転自在であり、該シャフトには固定されていない状態となっており、取付現場で、固定プラグに2本の棒(本願図2に参照番号21´で示している)を交互に差込みながら、固定プラグを所定量回転させて巻き締め作業を行った後に、ボルトにより固定プラグをシャフトに固定すること、が記載されている。
【0004】
特許文献2、3には、電動ドリルを用いて電動でバランススプリングの巻き締め作業を行う装置が開示されている。特許文献2には、シャフトと同軸に従動ギヤが固定されたシャッターの引上げ装置であって、シャフトに係合させるフックと、該フックを上記シャフトの回転方向に対して固定する固定部材と、上記シャフトにフックを固定した状態で、上記従動ギヤに対して歯合する駆動ギヤと、該駆動ギヤに一端が連結され、他端は電動ドリルに連結された駆動力伝達手段と、を具備していることを特徴とするシャッターの引上力調整治具が開示されている。
【0005】
特許文献3には、平歯車とウォームが、歯車機構により伝動連結されており、平歯車はシャフトを受け入れるようなスロットを備えており、ウォームには駆動軸が一体で設けてあり、駆動軸を電動ドリルで回転させることで、平歯車を回転させ、平歯車の回転力でコイルスプリングを捩じるような電動ツールが開示されている。
【0006】
特許文献3に類似した電動ドリルを用いたスプリング巻き機として、平歯車は、円周状の溝部を備えたフレームないしケーシング内に納まっており、平歯車をウォームに直接噛合させているものが実用化されている。このタイプのものでは、平歯車の回転時における平歯車と溝部の摩擦抵抗が大きく、回転トルクの伝達効率が悪いと共に、平歯車の耐久性が低いという課題がある。また、平歯車が負荷を受けて回転する際に、平歯車とウォームとの噛み合い深さが浅いと、平歯車の歯が欠けたり、変形しやすくなる。本発明者等は、平歯車に接触する回転体を設けることも検討したが、特に小型のスプリング巻き機においては、平歯車の歯と回転体の当たりが強くなる傾向があり、平歯車の歯が偏摩耗する事象が観察された。
【文献】特開2005-226291
【文献】特許第2539533号
【文献】米国特許第3979977号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、スプリング巻き機において、駆動源の回転トルクのスプリングへの伝達効率を向上させると共に、平歯車等の構成部品の耐久性を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明が採用した技術手段は、
シャフトには開閉体の重量をバランスさせるスプリングが搭載されており、前記スプリングを巻き締めて当該シャフトに回転力を付与するスプリング巻き機であって、
前記シャフトの挿通部を備えた平歯車と、
前記平歯車の回転力を前記バランススプリングに伝動させる手段と、
前記平歯車と噛合するウォームと、
前記ウォームと一体で回転し、回動駆動源と接続可能な駆動軸と、
を備え、
前記平歯車は2枚のプレート間に回転自在に支持されており、
前記平歯車の面部の周縁部位には、平歯車よりも小径の円周面が形成されており、
プレート間には、前記円周面に近接して、複数のガイドが設けてあり、前記ガイドは、前記平歯車の歯には非接触で前記円周面に接触可能な周面を備えている、
スプリング巻き機、である。
【0009】
1つの態様では、前記円周面は、前記平歯車の面部に固定された円板の周面である。
1つの態様では、前記円板は、前記平歯車の両方の面部に固定されている。
後述する実施形態では、平歯車と第1円板と第2円板とから平歯車アセンブリが形成されており、第1円板、第2円板のそれぞれの円周面に接触可能にガイドが設けてある。
【0010】
1つの態様では、前記複数のガイドは、ウォームとの噛合部位を除いて、平歯車の周方向に亘って設けてある。
1つの態様では、前記複数のガイドは、ウォームから遠い側に密に設けてある。
【0011】
1つの態様では、前記ガイドは回転自在なローラである。
後述する実施形態では、前記ガイドはベアリングである。
【0012】
本発明に係るスプリング巻き機は、スプリングの巻き締め作業に加えて、巻き戻し作業に用い得る。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、平歯車を2枚のプレート間に回転自在に支持すると共に、前記平歯車の面部の周縁部位には、平歯車よりも小径の円周面が形成されており、プレート間には、前記円周面に近接して複数のガイドを設け、前記円周面にガイドの周面を接触可能としたので、前記円周面が1つあるいは複数のガイドの周面に接触することで、平歯車の回転時における当該平歯車の変位を、平歯車の歯に負荷を与えることなく、低抵抗で規制し、また、平歯車とウォームとの適切な噛合状態が維持されるので、平歯車が負荷を受けて回転する際に、平歯車とウォームとの噛み合いが不安定となることに起因する平歯車の歯の破損や変形を可及的に防止する。
もって、駆動源(例えば電動ドリル)の回転トルクのスプリングへの伝達効率を向上させると共に、平歯車等の構成部品の耐久性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアの正面図である。
図2】(A)はワイヤ巻取機構の斜視図、(B)はオーバーヘッドドアのワイヤ巻取機構のワインディングプラグを示す図、(C)はバランススプリングとワインディングプラグとの連結を示す図である。
図3】本実施形態に係るスプリング巻き機の斜視図である。
図4】本実施形態に係るスプリング巻き機を示す正面図及び側面図である。
図5図4に示すスプリング巻き機において、一方のプレートを外した状態を示す図である。
図6図4に示すスプリング巻き機において、プラグ支持ボルトを外した状態を示す図である。
図7図6の矢視方向から見た拡大断面図である。
図8】(A)、(B)は、スプリング巻き機の駆動軸の支持構造を説明する図である。(C)は、本実施形態に係る軸受を示す図である。
図9】本実施形態に係る平歯車を示す図である。
図10】本実施形態に係る平歯車アセンブリの第1円板を示す図である。
図11】本実施形態に係る平歯車アセンブリの第2円板を示す図である。
図12】本実施形態に係る第1プレートを示す図である。
図13】本実施形態に係る第2プレートを示す図である。
図14】(A)は、本実施形態に係る第1軸受ベースを示す図であり、(B)は、本実施形態に係る第2軸受ベースを示す図である。
図15】(A)は、本実施形態に係るプラグ支持ボルト、(B)は、本実施形態に係るボルト取付ベース、(C)は、本実施形態に係る取付ベースを示す。
図16】本実施形態に係る平歯車アセンブリの分割アセンブリを説明する図である。
図17】本実施形態に係る抜け止めプレートを示す図である。
図18】本実施形態に係る平歯車アセンブリの本体に分割アセンブリを取り付ける工程を示す図である。
図19】本実施形態に係るスプリング巻き機をプラグにセットした状態を示す図である。
図20】本実施形態に係るスプリング巻き機をプラグにセットした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアの正面図であり、オーバーヘッドドアの扉体は、横長方形状の複数枚のパネルPを上下方向に互いに回動可能に連結することで構成されている。各パネルPの幅方向左右両端には、ローラブラケットが設けてあり、扉体は、各パネルPの左右両端のローラブラケットのガイドローラが開口部の幅方向左右に設けたガイドレールGに案内されながら上昇、下降することで開口部を開閉する。ガイドレールGは、開口部の高さ方向に延びる第1部位と、第1部位の上方から室内側に向かって後方に延びる湾曲状の第2部位と、第2部位の後方から天井に沿って後方に延びる第3部位と、からなる。
【0016】
最下位のパネルPの幅方向左右両端には、ワイヤWが連結されており、開口部の上方には、ワイヤWの巻取機構1が設けてある。開口部全閉状態から、ワイヤ巻取機構1によって、左右のワイヤWを同時に引き上げることで、各パネルPが第1部位に位置する垂直姿勢から第3部位に位置するほぼ水平姿勢まで引き上げられて、開口部全開状態となる。
【0017】
ワイヤ巻取機構1は、開口幅方向両端の上方に位置する左右の巻取ドラム1A、1Bと、左右の巻取ドラム1A、1Bを一体で同期して回転可能とする回転機構を備えている。図2(A)に示すように、本実施形態に係る回転機構は、開口幅方向に直列に接続された2本の第1シャフト2A、第2シャフト2Bを備え、第1シャフト2A、第2シャフト2Bの一方の端部同士がジョイント20を介して一体で回転可能に連結されており、第1シャフト2A、第2シャフト2Bの他方の端部が、それぞれ左右の巻取ドラム1A、1Bに一体で回転可能に連結されている。本実施形態では回転機構は2本のシャフトを備えているが、シャフトの本数は、開口幅寸法や扉体の重量等に応じて、1本でもよく、あるいは3本以上のシャフトを一体で回転するように連結したものであってもよい。
【0018】
第1シャフト2Aの長さ方向の一端側は、ブラケット3Aに回転自在に支持されており、他端側はブラケット4Aに回転自在に支持されている。第2シャフト2Bの長さ方向の一端側は、ブラケット3Bに回転自在に支持されており、他端側はブラケット4Bに回転自在に支持されている。ブラケット3A、3B、4A、4Bは、それぞれ開口幅方向に所定の間隔を存して躯体に対して持ち出し状に固定されており、ブラケット3A、4Aが第1シャフト2Aを、長さ方向の2箇所で回転自在(ベアリングによって)に支持しており、ブラケット3B、4Bが第2シャフト2Bを、長さ方向の2箇所で回転自在(ベアリングによって)に支持している。
【0019】
開口部上方の両端部位には、ブラケット5A、5Bがそれぞれ躯体に対して持ち出し状に固定されている。第1巻取ドラム1Aは、ブラケット4Aとブラケット5Aの間に回転自在(ベアリングによって)に支持されている。第2巻取ドラム1Bは、ブラケット4Bとブラケット5Bの間に回転自在(ベアリングによって)に支持されている。
【0020】
第1シャフト2Aには第1コイルスプリング6Aが外装されており、第1コイルスプリングの一端は、ブラケット3Aに固定された第1筒状体60の外面に巻き付けて接続されており、第1コイルスプリングの他端は第1シャフト2Aと一体で回転する第2筒状体ないしワインディングプラグ61の外面に巻き付けて接続されている。第2シャフト2Bには第2コイルスプリング6Bが外装されており、第2コイルスプリング6Bの一端は、ブラケット3Bに固定された第1筒状体60の外面に巻き付けて接続されており、第2コイルスプリング6Bの他端は第2シャフト2Bと一体で回転する第2筒状体ないしワインディングプラグ61の外面に巻き付けて接続されている。
【0021】
図2(B)、(C)に示すように、ワインディングプラグ61は、第1シャフト2A、第2シャフト2Bの挿通部612を備えた本体610と、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bの端部を接続するスプリング固定部611と、から一体形成されており、本体610には、ワインディングプラグ61と第1シャフト2A、第2シャフト2Bを固定して一体化するためのボルト24用の孔613が径方向に形成されており、ボルト24を締めることによって、ワインディングプラグ61とシャフト2A、2Bを固定する。ワインディングプラグ61の本体610には、さらに、プラグ支持ボルト21(後述する)を挿入するための孔614が径方向に形成されている。従来の手動によるスプリング巻き締め作業は、棒21´(図2(A)参照)を孔614に差し込んで、ワインディングプラグ61を回転させることで、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bを巻き締めていた。本実施形態では、電動で駆動するスプリング巻き機によって、ワインディングプラグ61を回転させることで、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bを巻き締める。
【0022】
第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bは、パネルPの開放時の持ち上げ力を蓄えるように、スプリング巻き機によって、予め所定量巻き締められている。扉体の下降時には、パネルPの自重がワイヤWに作用することで、第1巻取ドラム1A、第2巻取ドラム1Bの回転によって、ワイヤWが引き出されながら第1シャフト2A、第2シャフト2Bが第1の方向に回転して開口部を閉鎖し、開口部開放時には、巻き締められて蓄勢された第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bが解放され、スプリングの戻り力が、第1シャフト2A、第2シャフト2Bを第2の方向へ回転させてワイヤWを巻き上げるように作用し、パネルPの上昇動作をアシストするようになっている。
【0023】
図3に、本実施形態に係るスプリング巻き機の斜視図、図4に、同スプリング巻き機の正面図及び側面図を示す。図19図20に、本実施形態に係るスプリング巻き機をセットした状態を示す。本実施形態に係るスプリング巻き機は、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bの端部が固定されているワインディングプラグ61に係脱可能であり、ワインディングプラグ61に係止して当該ワインディングプラグ61に回転力を与える平歯車7と、平歯車7と噛合するウォーム8と、ウォーム8と一体で回転し、回動駆動源(例えば電動ドリル)と接続可能な駆動軸9と、を備え、駆動軸9を電動で回転させることにより、ウォーム8を回転させ、ウォーム8の回転に連動して平歯車7を回転させ、平歯車7の回転力をワインディングプラグ61に伝達して、ワインディングプラグ61を回転させることで、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bを巻き締めるようになっている。本実施形態に係るスプリング巻き機は、比較的小型のスプリング巻き機である。
【0024】
図9に示すように、本実施形態に係る平歯車7は、第1部分(本体)70と、第2部分(分割部)71と、に分割されており、第1部分70と第2部分71を組み合わせることで形成されている。平歯車7の周縁には連続状に歯72が形成されており、ウォーム8と噛合するようになっている。第2部分71は、一端に歯72を備え、他端に半円状の凹部710が形成されている略長方形状(やや扇状に近い形状)の要素であり、第1部分70は、平歯車7から第2部分71を取り除いた要素であり、第2部分71の外形に対応する略長方形状の切り欠き部700を備えており、切り欠き部700の底部には半円状の凹部701が形成されている。第1部分70の切り欠き部700に第2部分71を嵌め込んだ状態において、第1部分70の凹部701と第2部分71の凹部710から、平歯車7の中心に位置して、円形状の開口が形成されている。次に述べるように、本実施形態に係る平歯車7は、第1円板10と第2円板11と一体化されて平歯車アセンブリ7´(図7参照)を形成しており、平歯車7の円形状の開口は、第1円板10及び第2円板11の開口と共に円形状の挿通部73(図4図6参照)を構成しており、挿通部73に第1シャフト2A、第2シャフト2Bを挿通可能となっている。
【0025】
平歯車7の面部には、平歯車7を両側から挟み込むように、平歯車7よりも小径の第1円板10、第2円板11が固定されている(図7参照)。平歯車7と、第1円板10と、第2円板11と、から平歯車アセンブリ7´が形成されており、平歯車アセンブリ7´は、駆動軸9及びウォーム8の回転に連動して一体で回転するようになっている。
【0026】
図10に示すように、本実施形態に係る第1円板10は、第1部分(本体部)100と、第2部分(分割部)101と、に分割されており、第1部分100と第2部分101を組み合わせることで第1円板10が形成されるようになっており、第1円板10は連続状の円周面(102、102´)を備えている。
【0027】
第2部分101は、先端側の幅広部1010と、基端側の幅狭部1011と、からなり、幅広部1010の縁部は円弧状の周面102´となっており、幅狭部1011の縁部は凹部1012となっている。第1部分100は、第1円板10からから第2部分101を取り除いた要素であり、第2部分101の外形に対応するように、幅広部1000と、幅狭部1001と、からなる切り欠き部を備えており、また、円弧状の周面102を備えている。第1部分100の切り欠き部の幅狭部1001の深さは、第2部分101の幅狭部1011の突出寸法よりも大きく、切り欠き部(幅狭部1001)の底部には半円状の凹部1002が形成されている。第1部分100の切り欠き部に第2部分101を嵌め込んだ状態において、第1部分100の凹部1002と第2部分101の凹部1012から、第1円板10の中心に位置して開口が形成され、この開口は平歯車7の円形状の開口を含む領域に形成されており、平歯車アセンブリ7´の挿通部73を形成している。
【0028】
図11に示すように、本実施形態に係る第2円板11は、第1部分(本体部)110と、第2部分(分割部)111と、に分割されており、第1部分110と第2部分111を組み合わせることで第2円板11が形成されるようになっており、第2円板11は連続状の円周面(112、112´)を備えている。
【0029】
第2部分111は、先端側の幅広部1110と、基端側の幅狭部1111と、からなり、幅広部1110の縁部は円弧状の周面112´となっており、幅狭部1111の縁部は凹部1112となっている。第1部分110は、第1円板11からから第2部分111を取り除いた要素であり、第2部分111の外形に対応するように、幅広部1100と、幅狭部1101と、からなる切り欠き部を備えており、また、円弧状の周面112を備えている。第1部分110の切り欠き部の幅狭部1101の深さは、第2部分111の幅狭部1111の突出寸法よりも大きく、切り欠き部の幅狭部1101の底部には半円状の凹部1102が形成されている。第1部分110の切り欠き部に第2部分111を嵌め込んだ状態において、第1部分110の凹部1102と第2部分111の凹部1112から、第2円板11の中心に位置して開口が形成され、この開口は平歯車7の円形状の開口を含む領域に形成されており、平歯車アセンブリ7´の挿通部73を形成している。
【0030】
図3図4図6図7等に示すように、平歯車アセンブリ7´は、平歯車7がウォーム8に噛合した状態で、2枚の第1プレート12、第2プレート13間に挟まれるような態様で回転自在に保持されており、第1プレート12、第2プレート13は、スプリング巻き機のいわば表面板である。
【0031】
図12に示すように、第1プレート12は、切り欠きリング状ないしC形状の第1部分120と、第1部分120の基端側(図12に示す姿勢では下方部位)に一体形成された台形状の第2部分121と、からなる。第1部分120の内側の周縁1200に囲まれた領域に円形状の開口122が形成されており、開口122の側方には切り欠き開口123が連続状に一体形成されている。第1プレート12には、第1部分120の下方部位から第2部分121に跨るように、横長方形状の開口124が形成されている。
【0032】
図13に示すように、第2プレート13は、第1プレート12と略同一の外形を備えており、図13に示す姿勢において、横向き扇状の開口130が形成されている。開口130は、第1プレート12と第2プレート13を対向させた時に、第1プレート12の円形状の開口122の中心から切り欠き開口123に亘る領域に対応するように形成されており、開口130の底部には凹部131が形成されている。第1プレート12の切り欠き開口123と、第2プレート13の開口130の開口縁(底部の凹部131と反対側)は一致するようになっている。第2プレート13の下側の台形状部分には、横長方形状の開口132が形成されており、第1プレート12と第2プレート13を対向させた時に、第1プレート12の開口124と一致するようになっている。
【0033】
図3図4図6図7等に示すように、平歯車アセンブリ7´の周縁部は、第1プレート12の第1部分120と、第2プレート13の周縁部と、の間に挟まれるように位置しており、平歯車7に噛合しているウォーム8は第1プレート12の開口124、第2プレート13の開口132内に非接触状態で納まるようになっている。平歯車アセンブリ7´の周縁部を除く面部(第1円板10の面部)は、第1プレート12の開口122に露出している。
【0034】
図4図7に示すように、第1プレート12の第1部分120と第2プレート13の周縁部の間には、平歯車アセンブリ7´の第1円板10の円周面(102、102´)、第2円板11の円周面(112、112´)に近接して、複数のローラ14が回転自在に設けてあり、ローラ14は、第1円板10の円周面(102、102´)、第2円板の円周面(112、112´)に接触可能な周面を備えている。
【0035】
本実施形態では、図7に示すように、一対のローラ14が第1プレート12と第2プレート13間に亘って延びる軸140に対して回転自在に設けてあり、一方のローラ14の周面が第1円板10の円周面(102、102´)に接触可能となっており、他方のローラ14の周面が第2円板11の円周面(112、112´)に接触可能となっている。軸140の一対のローラ14間に位置する部位はローラ14の支持部に比べて大径の中間部141となっている。中間部141は一対のローラ14に対して小径となっており、平歯車7の周縁の歯72に非接触状態で対向するようになっており、平歯車7(平歯車アセンブリ7´)の回転時に、平歯車7の歯72に負荷がかからないようになっている。
【0036】
本実施形態におけるローラ14の配置態様について、図5に基づいて詳細に説明する。略C形状の第1プレート12の第1部分120と、第2プレート13(第1部分120に対向する部位)の間には、平歯車アセンブリ7´の第1円板10の円周面(102、102´)、第2円板11の円周面(112、112´)の周方向に間隔を存して複数のローラ14a~14eが配置されている。対向する第1プレート12と第2プレート13において、第1プレート12の開口122及び切り欠き開口123に対向する領域に第2プレート13の開口130が位置している。平歯車アセンブリ7´の周縁を挟み込む部位(第1プレート12の第1部分120、第2プレート13の周縁部)は、図示の姿勢において、開口の上側領域と、下側領域とからなり、上側領域には、ローラ14a、14b、14cが等間隔で配置されており、下側領域には、ローラ14bに対向する位置にウォーム8が噛合しており、ウォーム8を挟んで、ローラ14d、14eが配置されている。
【0037】
ローラ14a~14eは一対のローラからなるローラセットであり、一方のローラは、平歯車アセンブリ7´の第1円板10の円周面(102、102´)に近接しており、他方のローラは、平歯車アセンブリ7´の第2円板11の円周面(112、112´)に近接している。平歯車アセンブリ7´の回転時に、平歯車アセンブリ7´の回転中心が僅かに変位しようとすると、平歯車アセンブリ7´の第1円板10の円周面(102、102´)及び第2円板11の円周面(112、112´)が、ローラ14a~14eのいずれかの1つあるいは複数のローラの周面に接触して、平歯車アセンブリ7´の変位を規制するようになっている。また、ローラ14a~14eは、第1円板10及び第2円板11に比べてはるかに小径であり、従来のフレームの溝部に平歯車が接触する場合に比べて、ローラ14a~14eと第1円板10及び第2円板11との接触時の抵抗は低減されている。
【0038】
また、本実施形態に係る平歯車アセンブリ7´において、平歯車7´の径は、第1円板10及び第2円板11の径よりも大きいものの、平歯車7の周縁の歯72は、ローラ14の軸部140に一対のローラ14間に位置して設けた中間部141から離間しているので、平歯車アセンブリ7´の回転時に、平歯車7の歯72に負荷がかかることがない。
【0039】
本実施形態では、ウォーム8に対向する部位において、ローラ14a、14b、14cが配置されているので、平歯車7がウォーム8から離れる方向に僅かに移動しようとした時には、ローラ14a、14b、14cの周面に平歯車アセンブリ7´の第1円板10の円周面(102、102´)及び第2円板11の円周面(112、112´)が速やかに接触することで、平歯車アセンブリ7´の移動を規制し、平歯車7の歯72とウォーム8との適正な噛合状態を維持する。
【0040】
本実施形態に係るスプリング巻き機は比較的小型であるため、平歯車アセンブリ7´、ウォーム8、ローラ14等の構成要素の寸法と有効スペースとの関係から、ローラ14を配置する部位が限定的となっているが、ローラ14の個数は10個(5セット×2)に限定されない。本実施形態では、平歯車アセンブリ7´は、2枚の第1円板10及び第2円板11を備え、一対のローラ14の一方が第1円板10の円周面(102、102´)に、他方が第2円板11の円周面(112、112´)にそれぞれ接触可能となっているが、平歯車アセンブリが1枚の円板のみを備え、1枚の円板の円周面に接触可能にローラ14を配置してもよい。また、円板に代えて、円周面を備えたリングを平歯車7の面部に固定するようにしてもよい。
【0041】
本実施形態に係るローラ14(14a~14e)は、周面が平歯車アセンブリ7´の第1円板10の円周面(102、102´)、第2円板11の円周面(112、112´)に接触して、回転中の平歯車アセンブリ7´の変位を規制するガイドであり、ローラ14はガイドの1つの好ましい実施態様である。本発明に係るガイドは、ローラ14に限定されるものではなく、平歯車アセンブリ7´の第1円板10の円周面(102、102´)、第2円板11の円周面(112、112´)に接触可能な周面を備えたベアリングであってもよい。あるいは、平歯車アセンブリ7´の第1円板10の円周面(102、102´)、第2円板11の円周面(112、112´)に接触可能な周面を備えた非回転体からガイドを形成してもよい。あるいは、ベアリング、ローラ、非回転体の任意の組み合わせのセットから複数のガイドを構成してもよい。
【0042】
図4図6図8等に示すように、第1プレート12の第2部分121と第2プレート13の下方の台形状部位の間には、2枚の第1軸受ベース15と、2枚の第2軸受ベース16と、からなる4枚の軸受ベースが設けてあり、これらが重なった状態で第1プレート12の第2部分121と第2プレート13の台形状部位との間に挟持され、第1プレート12、第2プレート13に固定されている。より具体的には、2枚の第2軸受ベース16が重なった状態で厚さ方向の中央に位置しており、両側から第1軸受ベース15で挟み込むようになっており、一方の第1軸受ベース15が第1プレート12に当接し、他方の第1軸受ベース15が第2プレート13に当接するように納まっている。
【0043】
図14(A)に示すように、第1軸受ベース15は、第1プレート12の台形状の第2部分121の外形に略対応する形状を備えており、図14(A)に示す姿勢(向き)で説明すると、上端にはウォーム8の下側部位を受け入れる凹部150が形成されており、凹部150の両側に位置して、左右の軸受支持部151が形成されており、第1軸受ベース15の凹部150は、第1プレート12の開口124及び第2プレート13の開口132の下側部位と一致しており、これら開口124、132と凹部150によって、ウォーム8を回転自在に受け入れる空間が形成されている。また、第1軸受ベース15の一方の軸受支持部151の端部には切り欠き152が形成されており、切り欠き152は、本実施形態に係るスプリング巻き機を長く使用する中で過荷重にて駆動軸9が歪んだ際に、第1軸受ベース15と駆動軸9の接触を可及的に防止するための“逃し”として機能するようになっている。図示の態様では、一方の軸受支持部151に切り欠き152を設けたが、両方の軸受支持部151に切り欠きを設けてもよい。
【0044】
図14(B)に示すように、第2軸受ベース16は、第1プレート12の台形状の第2部分121の外形に略対応する形状を備えており、図14(B)に示す姿勢(向き)で説明すると、上端にはウォーム8の下側部位を受け入れる凹部160が形成されており、凹部160の両側に位置して、左右の軸受支持部161が形成されており、第2軸受ベース16の凹部160は、第1プレート12の開口124及び第2プレート13の開口132の下側部位と一致しており、これら開口124、132と凹部160によって、ウォーム8を回転自在に受け入れる空間が形成されている。
【0045】
第2軸受ベース16の凹部160の下方には縦長方形状の切り欠き部162が下方に向かって形成されており、2枚の第2軸受ベース16の切り欠き部162には、取手18の上端部位が受け入れられており、取手18の上端部位は、2枚の第1軸受ベース15の間に挟持され、第1プレート12の第2部分121と第2プレート13の台形状部分に固定されている。
【0046】
図8(A)、(B)に示すように、重なった状態の4枚の軸受ベース15、16の軸受支持部151、161によって、軸受17が支持されている。本実施形態において、厚さ方向の両側の第1軸受ベース15の軸受支持部151高さ位置は、厚さ方向中央の第2軸受ベース16の軸受支持部161高さ位置よりも僅かに高くなっており、全体として凹状の支持面が形成されている。
【0047】
図14(C)に示すように、軸受17は、筒状部170と円板状のフランジ171とから一体形成されており、駆動軸9を挿通させる挿通孔172を備えた、スラスト軸受である。軸受17は、挿通孔172に駆動軸9を回転自在に受け入れて、フランジ171をウォーム8の端部に接触ないし近接させた状態で設けてある。軸受17の筒状部170の下面は、両側の2枚の第1軸受ベース15の軸受支持部151、中央の2枚の第2軸受ベース16の軸受支持部161上に載置されている。本実施形態に係る軸受17は、駆動軸9よりも摩耗し易いように、駆動軸9よりも軟らかい材料(例えば、真鍮)で形成されており、駆動軸9の回転時の動摩擦係数を低減させている。駆動軸9の長さ方向両端部には、電気ドリルのチャックと嵌合可能な駆動ナット90が取り付けられている。なお、駆動軸9(駆動軸9と一体で回転するウォーム8)が平歯車7の歯72に近づく方向の移動は、駆動軸9が、第1プレート12と第2プレート13を連結する軸部(円柱状)25(図8(A)参照)の周面に接触することで規制される。
【0048】
平歯車アセンブリ7´の面部(第1円板10の面部)には、平歯車7(平歯車アセンブリ7´)の回転力を第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bの端部が固定されたワインディングプラグ61に伝動させる手段が設けてある。図3図4等に示すように、平歯車アセンブリ7´の第1円板10の第1部分100の面部には、第1円板10の中心を挟んで一対の取付ベース19が固定されている。各取付ベース19には、ボルト取付ベース20がそれぞれ固定され、各ボルト取付ベース20には、プラグ支持ボルト21が取り付けられる。図15(A)にプラグ支持ボルト21、(B)にボルト取付ベース20、(C)に取付ベース19を示す。
【0049】
図3図4図9図10等に示すように、一対のプラグ支持ボルト21の軸部210は対向状に延びており、プラグ支持ボルト21の軸部210を、ワインディングプラグ61の本体610の孔614に径方向から差し込むことで、プラグ支持ボルト21の軸部210とワインディングプラグ61の本体610の孔614とを係止させ、平歯車7(平歯車アセンブリ7´)の回転によって、プラグ支持ボルト21を介して、ワインディングプラグ61を回転させることで、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bを巻き締めるようになっている。
【0050】
図15(B)に示すように、ボルト取付ベース20は、取付ベース19に固定される第1部分200と、第1部分200から垂直状に立ち上がる第2部分201と、から側面視L形状に形成されており、第2部分201の外面にはナット202が固定されている。ボルト取付ベース20の第2部分201には第2部分201に対して垂直方向にプラグ支持ボルト21が取り付けられている。
【0051】
取付ベース19は、第1プレート12の第1部分120の内側の周縁1200に略一致する円弧状の縁部190(図15C参照)を備えており、縁部190を第1プレート12の第1部分120の内側の周縁1200に近接させて、第1円板10の第1部分100の面部に固定されている。取付ベース19は所定の厚さを備えており、スペーサとしても機能する。すなわち、取付ベース19にボルト取付ベース20を固定した状態において、第1部分200の先端側の半部は、第1プレート12の面部から浮いた状態にあり、平歯車アセンブリ7´の回転時に、ボルト取付ベース20と第1プレート12が干渉することがないようになっている。
【0052】
図16に示すように、平歯車7の第2部分71、第1円板10の第2部分101、第2円板11の第2部分111から、平歯車アセンブリ7´の分割アセンブリ71´が形成されている。平歯車アセンブリ7´の本体70´(平歯車7の第1部分70、第1円板10の第1部分100、第2円板11の第1部分110から形成されている)に対して、分割アセンブリ71´が径方向から脱着可能となっている。本実施形態では、分割アセンブリ71´は、抜け止めプレート22を取り付けることによって、平歯車アセンブリ7´の本体70´から外れることが防止されている。
【0053】
図17に示すように、抜け止めプレート22は、第1プレート12の第1部分120の内側の周縁1200に略一致する円弧状の縁部220を備えており、基端側の縁部221は一対の取付ベース19を避けるように平面視凸状に形成されており、縁部220には円形状の溝部222が形成され、凸部に位置して円形の孔223が形成されており、中央部位には、溝部222と孔223の間に位置して平面視方形状の磁石23が固定されている。分割アセンブリ71´を平歯車アセンブリ7´の本体70´に取り付けた状態で、抜け止めプレート22をセットする。この時、分割アセンブリ71´(平歯車7の第2部分71、第1円板10の第2部分101、第2円板11の第2部分111)を一体化させる2本のボルトの軸部26の一方を溝部222に挿通させ、他方を孔223に挿通させて、磁石23の磁力で抜け止めプレート22を分割アセンブリ71´(第1円板10の第2部分101)に取り付ける。分割アセンブリ71´の平歯車アセンブリ7の径方向に抜ける方向の移動は、抜け止めプレート22によって規制される。
【0054】
このように構成されたスプリング巻き機を用いて、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bを巻き締める際には、先ず、平歯車アセンブリ7´から分割アセンブリ71´を分離し、第1プレート12の第1部分120の開口122及び切り欠き開口123、第2プレート13の開口130、平歯車アセンブリ7´の本体70´の切り欠き部(平歯車アセンブリ7の第1部分70の切り欠き部700、第1円板10の第1部分100の切り欠き部、第2円板11の第1部分110の切り欠き部)に第1シャフト2Aないし第2シャフト2Bを受け入れ、分割アセンブリ71´を平歯車アセンブリ7´の本体70´に取り付ける。第1シャフト2Aないし第2シャフト2Bは、平歯車アセンブリ7´の挿通部73を挿通した状態にある。
【0055】
次いで、一方のプラグ支持ボルト21の軸部210をワインディングプラグ61の本体610の孔部614に差し込み、他方のプラグ支持ボルト21の軸部210をワインディングプラグ61の本体610の反対側の孔部614に反対側から差し込み、スプリング巻き機をワインディングプラグ61にセットする(図19図20参照)。
【0056】
そして、スプリング巻き機の駆動軸9の一方の端部の駆動ナット90に電気ドリルのチャックを嵌合し、電気ドリルによって、駆動軸9を電動回転させて、駆動軸9と一体で回転するウォーム8の回転によって、ウォーム8に噛合している平歯車7が回転し、平歯車7(平歯車アセンブリ7´)の回転が一対のプラグ支持ボルト21によってワインディングプラグ61に伝達され、ワインディングプラグ61の回転に伴って第1コイルスプリング6Aないし第2コイルスプリング6Bが巻き締められる。第1コイルスプリング6Aないし第2コイルスプリング6Bを予め決定された所定量巻き締めた後に、ワインディングプラグ61の本体610の孔613からボルト24を締め込むことで、ワインディングプラグ61と第1シャフト2Aないし第2シャフト2Bを固定して一体化する。
【0057】
スプリング巻き機を用いた。第1コイルスプリング6Aないし第2コイルスプリング6Bの巻き締め作業について説明したが、第1コイルスプリング6Aないし第2コイルスプリング6Bの巻き戻し作業において、スプリング巻き機を用い得ることに留意されたい。例えば、メンテナンス作業等において、バランススプリングである第1コイルスプリング6Aないし第2コイルスプリング6Bのスプリング力を調整したい場合に、スプリング巻き機をワインディングプラグ61にセットした状態で行うことができ、この時に、スプリング力を弱めたい場合には巻き戻し作業が行われる。
【符号の説明】
【0058】
2A 第1シャフト
2B 第2シャフト
6A 第1コイルスプリング
6B 第2コイルスプリング
7 平歯車
8 ウォーム
9 駆動軸
10 第1円板
11 第2円板
12 第1プレート
13 第2プレート
14 ローラ
図1
図2
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