(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】伝動ユニットおよび動力システム
(51)【国際特許分類】
B60K 6/40 20071001AFI20240603BHJP
B60K 1/00 20060101ALI20240603BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20240603BHJP
B60K 17/02 20060101ALI20240603BHJP
B60K 17/04 20060101ALI20240603BHJP
F02B 61/00 20060101ALI20240603BHJP
F02N 11/04 20060101ALI20240603BHJP
F16H 57/02 20120101ALI20240603BHJP
B60K 17/28 20060101ALN20240603BHJP
【FI】
B60K6/40
B60K1/00
B60K6/48 ZHV
B60K17/02 D
B60K17/04 G
F02B61/00 C
F02B61/00 D
F02N11/04 D
F16H57/02
B60K17/28 D
(21)【出願番号】P 2020210699
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】荒川 治朗
(72)【発明者】
【氏名】舩木 耕一
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-133455(JP,A)
【文献】特表2010-533620(JP,A)
【文献】特開2015-182512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/40
B60K 6/48
B60K 1/00
B60K 17/04
B60K 17/02
F16H 57/02
F02B 61/00
F02N 11/04
B60K 17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源の出力軸と、前記駆動源の駆動力により駆動される被駆動装置の入力軸と、を動力伝達可能に連結する連結要素と、
前記駆動源とは別に駆動力を発生させる第二の駆動源と、を備え、
前記第二の駆動源は、前記出力軸の軸方向から見て、前記連結要素を避けて配置されており、
前記第二の駆動源は、前記出力軸に対してオフセットした第二の出力軸を有し、
前記出力軸と前記第二の出力軸との間に、動力伝達可能な伝動機構を備えるとともに、前記伝動機構を収容する伝動ケースを備え、
前記伝動ケース
における前記軸方向で駆動源側の部位に、前記出力軸と一体回転する回転体を収容する回転体ハウジングを備え、
前記第二の駆動源は、前記伝動ケース
における前記軸方向で前記駆動源側の部位
で、前記軸方向から見て前記回転体ハウジングを避け
た上方に配置されている、伝動ユニット。
【請求項2】
前記伝動ケースは、前記出力軸およびこれと同軸の前記連結要素を収容する円筒状の筒状ケース部と、前記筒状ケース部の前記被駆動装置側に配置され、軸方向の幅が狭い偏平状をなす偏平状ケース部と、を備えている、請求項1に記載の伝動ユニット。
【請求項3】
前記連結要素は、前記駆動源と前記被駆動装置との間の動力伝達を断接する油圧クラッチを備え、
前記偏平状ケース部の前記駆動源側に、前記油圧クラッチに対する作動オイルの供給を制御するオイル供給制御装置が配置されている、請求項2に記載の伝動ユニット。
【請求項4】
前記第二の駆動源はモータジェネレータであり、前記油圧クラッチを介して前記駆動源と動力伝達可能に連結され、
前記第二の駆動源は、前記油圧クラッチを介さず前記被駆動装置と動力伝達可能に連結されている、請求項3に記載の伝動ユニット。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の伝動ユニットと、
前記駆動源と、
前記被駆動装置と、を備えている、動力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝動ユニットおよび動力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1,2には、ハイブリッド車両の駆動系において、エンジン10とモータ15との間に油圧クラッチ14を備え、このクラッチ14の断接の制御により、エンジン走行モードとEV走行モードとの切り替えをスムーズにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-093638号公報
【文献】特開2020-093639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、エンジン等の第一の駆動源にモータ等の第二の駆動源を後付けすることの開示はない。しかし、既存の第一の駆動源に第二の駆動源を後付けしてハイブリッド化することができれば、汎用性の高い動力システムを構成することができる。
【0005】
そこで本発明は、第一の駆動源に第二の駆動源を効率よく設置してハイブリッド化することができる伝動ユニットおよび動力システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、駆動源の出力軸と、前記駆動源の駆動力により駆動される被駆動装置の入力軸と、を動力伝達可能に連結する連結要素と、前記駆動源とは別に駆動力を発生させる第二の駆動源と、を備え、前記第二の駆動源は、前記出力軸の軸方向から見て、前記連結要素を避けて配置されている、伝動ユニットを提供する。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記第二の駆動源はモータジェネレータであり、前記出力軸に対してオフセットした第二の出力軸を有し、前記出力軸と前記第二の出力軸との間に、前記出力軸の駆動力を増速して前記第二の出力軸に伝達可能な伝動機構を備えている。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記出力軸と前記第二の出力軸との間に、動力伝達可能な伝動機構を備えるとともに、前記伝動機構を収容する伝動ケースを備え、前記伝動ケースの前記駆動源側の部位に、前記出力軸と一体回転する回転体を収容する回転体ハウジングを備え、前記第二の駆動源は、前記伝動ケースの前記駆動源側の部位に、前記回転体ハウジングを避けて配置されている。
【0009】
請求項4に記載した発明は、前記伝動ケースは、前記軸方向と直交する直交方向の幅よりも前記軸方向の幅が狭い偏平状に形成され、前記軸方向で前記駆動源と前記被駆動装置との間に配置される偏平状ケース部を備えている。
【0010】
請求項5に記載した発明は、前記偏平状ケース部の前記駆動源側の部位に、前記回転体ハウジングおよび前記第二の駆動源が配置されている。
【0011】
請求項6に記載した発明は、前記連結要素は、前記駆動源と前記被駆動装置との間の動力伝達を断接するクラッチを備え、前記第二の駆動源はモータジェネレータであり、前記クラッチを介して前記駆動源と動力伝達可能に連結され、前記第二の駆動源は、前記クラッチを介さず前記被駆動装置と動力伝達可能に連結されている。
【0012】
請求項7に記載した発明は、請求項1から6の何れか一項に記載の伝動ユニットと、前記駆動源と、前記被駆動装置と、を備えている、動力システムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1,7に記載した発明によれば、第二の駆動源が駆動源および被駆動装置の連結要素に対してオフセットして配置されることで、第二の駆動源が駆動源と同軸に配置される場合に比べて、伝動ユニットおよびこれを備える動力システムの軸方向幅の増加を抑えることができる。
また、第二の駆動源が駆動源の出力軸と被駆動装置の入力軸との間に挟まれる場合に比べて、第二の駆動源に外部からアクセスしやすくなり、メンテナンス性を向上させることができる。
【0014】
請求項2に記載した発明によれば、駆動源の駆動力を増速して第二の駆動源に伝達可能とするので、モータジェネレータの発電量を増加させることが可能となる。
また、モータジェネレータの駆動力を減速して駆動源および被駆動装置に伝達するので、モータジェネレータの出力を抑えることが可能となる。
したがって、モータジェネレータの小型軽量化を図ることができる。
【0015】
請求項3に記載した発明によれば、伝動ケースの駆動源側の部位に、回転体ハウジングおよび第二の駆動源を効率よく配置することが可能となり、伝動ユニットの小型化を図ることができる。
【0016】
請求項4に記載した発明によれば、伝動ケースが、軸方向の幅を抑えた偏平状をなして駆動源と被駆動装置との間に配置される偏平状ケース部を備えることで、駆動源と被駆動装置とを大きく離間させずに伝動ユニットを配置することができる。
【0017】
請求項5に記載した発明によれば、回転体ハウジングおよび第二の駆動源が、偏平状ケース部の駆動源側の部位に集約して配置されるので、回転体ハウジングおよび第二の駆動源を偏平状ケース部の軸方向両側に振り分けて配置する場合に比べて、伝動ユニットをコンパクトにすることができる。
【0018】
請求項6に記載した発明によれば、クラッチを接続状態とすれば、駆動源で被駆動装置を駆動させるとともに、モータジェネレータを駆動させて発電を行うことができる。このとき、モータジェネレータを力行運転すれば、モータジェネレータで駆動源の駆動をアシストすることができる。
また、クラッチを切断状態としてモータジェネレータを力行運転すれば、駆動源を停止させたままモータジェネレータのみによって被駆動装置を駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態における動力システムの断面を含む説明図である。
【
図3】上記動力システムのエンジンおよび油圧ポンプ間に介装される伝動ユニットを油圧ポンプ側から見た斜視図である。
【
図4】上記伝動ユニットをエンジン側から見た斜視図である。
【
図6】上記エンジンにおける伝動ユニットを連結する部位の斜視図である。
【
図7】上記伝動ユニットにおける油圧ポンプを連結する部位の斜視図である。
【
図8】
図5に相当する断面図であり、伝動ユニットとエンジンおよび油圧ポンプとの連結構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
<動力システム>
図1、
図2に示すように、実施形態の動力システム1は、エンジン10(駆動源)と、油圧ポンプ15(被駆動装置)と、クラッチユニット20(伝動ユニット)と、を備えている。
エンジン10は、例えば直列四気筒型の内燃機関である。エンジン10は、クランクケース11内にクランクシャフト12(駆動軸)を収容している。エンジン10は、例えばクランクシャフト12と同軸の出力軸13をクランクケース11の外部に突出させている。出力軸13は、エンジン10の運転に伴い回転駆動力を出力する。
【0022】
出力軸13には、クラッチユニット20に備える油圧クラッチ24(伝動装置)を介して、油圧ポンプ15が接続されている。油圧ポンプ15は、エンジン10および後述するモータジェネレータ18の少なくとも一方から回転動力が入力されて駆動する。油圧ポンプ15は、駆動によって外部に供給する油圧を発生させる。油圧ポンプ15が発生した油圧は、例えば建設機械や産業機械の油圧アクチュエータ等に供給される。
【0023】
油圧クラッチ24は、油圧供給により接続状態となって、エンジン10の出力軸13と油圧ポンプ15の入力部16(入力軸)との間で回転駆動力を伝達可能とする。以下、出力軸13をエンジン出力軸13、入力部16を入力軸16、油圧クラッチ24をクラッチ24ということがある。
図中線C1は互いに同軸の出力軸13および入力部16の回転中心軸線を示す。動力システム1は、出力軸13の軸方向(軸線C1に沿う方向、図中矢印F11方向)を水平にして車載される。図中矢印F12は軸方向F11と直交しかつ車載時に水平となる幅方向、図中矢印F13は軸方向F11および幅方向と直交しかつ車載時に垂直となる上下方向、をそれぞれ示している。
【0024】
動力システム1は、例えば油圧ショベル等の建設機械、フォークリフト等の産業機械等の特殊車両に搭載される。これらの搭載車両は、油圧シリンダや油圧モータ等の油圧アクチュエータを備えている。動力システム1は、搭載車両の油圧アクチュエータに供給する油圧を発生させる。
【0025】
クラッチユニット20は、エンジン10の出力軸13と油圧ポンプ15の入力部16との間に配置される。クラッチユニット20は、エンジン10に比べて小型であり、異なるエンジン10にも載せ替えが容易である。油圧ポンプ15の入力部16は、エンジン10の出力軸13と同軸に配置される回転要素である。クラッチユニット20は、エンジン10の出力軸13と油圧ポンプ15の入力部16との間の動力伝達を断接するクラッチ24を備えている。クラッチ24は、エンジン10の出力軸13と油圧ポンプ15の入力部16との間の動力伝達の可否を切り替える。
【0026】
クラッチユニット20は、クラッチ24等を収容する伝動ケース30を備えている。伝動ケース30は、出力軸13の軸方向F11でエンジン10と油圧ポンプ15との間に配置されている。
図3~
図5を併せて参照し、伝動ケース30は、エンジン10の出力軸13およびこれと同軸の回転要素を収容する円筒状の筒状ケース部31と、筒状ケース部31よりも大径をなして筒状ケース部31のエンジン10側に配置され、出力軸13に設けられたフライホイール13aを収容するホイールハウジング32と、筒状ケース部31の油圧ポンプ15側に配置され、前記幅方向F12および上下方向F13の各幅よりも前記軸方向F11の幅が狭い偏平状をなす偏平状ケース部33と、を備えている。
【0027】
偏平状ケース部33は、軸方向F11から見て、幅方向の一側に向けて上下幅を広げつつ延出している。偏平状ケース部33は、軸方向F11から見て、略三角形状をなしている。偏平状ケース部33の幅方向一側の部位は、軸方向視でホイールハウジング32よりも幅方向一側に張り出している。この張り出し部分を張り出し部34と称する。また、偏平状ケース部33における軸方向でエンジン10側を向く側面を第一側面35、偏平状ケース部33における軸方向で油圧ポンプ15側を向く側面を第二側面36と称する。例えば、第一側面35および第二側面36は、軸方向と直交する平面状をなしている。
【0028】
軸方向F11において、偏平状ケース部33のエンジン10側(第一側面35よりもエンジン10側)には、ホイールハウジング32の少なくとも一部(実施形態では全体)が配置されている。軸方向F11において、偏平状ケース部33の張り出し部34のエンジン10側(第一側面35よりもエンジン10側)には、モータジェネレータ(第二の駆動源)18の少なくとも一部(実施形態では全体)が配置されている。軸方向F11において、偏平状ケース部33のエンジン10側(第一側面35よりもエンジン10側)には、さらに、後述するオイル供給制御装置50の油圧レギュレータ60および油路切替弁70が配置されている。
【0029】
モータジェネレータ18は、例えばMRモータとして構成されている。モータジェネレータ18は、不図示のインバータを介して車載電源(二次バッテリ)に接続されている。モータジェネレータ18は、車載電源からの電力供給に応じてエンジン10とは別に第二の駆動力を発生する電動機として機能する。モータジェネレータ18は、エンジン10からの動力伝達に応じて電力を発電する発電機として機能する。例えば、モータジェネレータ18が発電した電力は、車載電源に充電される。モータジェネレータ18と車載電源との間で授受される電力は、不図示のインバータにより調整される。
【0030】
動力システム1は、電子制御装置(ECU)としての制御部17を備えている。制御部17は、エンジン10の駆動等に係る各種演算処理を行う演算処理回路と、制御用のプログラムやデータが記憶された記憶装置と、を備えている。
【0031】
制御部17には、各種の検出信号が入力されている。この検出信号には、エンジン10の回転数(例えばクランク軸の回転数)、エンジン10の各種温度、アクセル操作量(出力要求量)、車速等の車両状態、車載電源の蓄電量、等が含まれている。これらの検出信号に基づき、制御部17が動力システム1の運転制御を行う。この運転制御には、エンジン10の運転制御、モータジェネレータ18の力行/回生(発電)の制御、オイル供給制御装置50の電磁弁の制御、が含まれている。
【0032】
モータジェネレータ18は、エンジン10に対しては、クラッチ24を介して動力伝達可能に連結されている。モータジェネレータ18は、クラッチ接続時には、エンジン10と動力伝達可能であり、クラッチ切断時には、エンジン10と動力伝達不能である。モータジェネレータ18は、油圧ポンプ15に対しては、クラッチ24を介さず常に動力伝達可能に連結されている。
【0033】
動力システム1は、クラッチ24の断接によって、エンジン10と油圧ポンプ15との間、およびエンジン10とモータジェネレータ18との間の各々で、動力伝達の可否を切り替える。クラッチ24が接続状態にあるとき、エンジン10と油圧ポンプ15との間、およびエンジン10とモータジェネレータ18との間の各々で、動力伝達が可能となる。クラッチ24が切断状態にあるとき、エンジン10と油圧ポンプ15との間、およびエンジン10とモータジェネレータ18との間の各々で、動力伝達が不能となる。
【0034】
動力システム1は、クラッチ24の断接を伴う制御により、以下の第一、第二および第三運転モードでの運転が可能である。クラッチユニット20は、油圧ポンプ15を駆動する動力を、エンジン10およびモータジェネレータ18の少なくとも一方で行うように、動力伝達経路を切り替える。
【0035】
第一運転モード(エンジン駆動モード(充電モード))は、クラッチ24を接続状態とし、エンジン10の駆動により油圧ポンプ15を駆動するとともに、エンジン10の駆動によりモータジェネレータ18を駆動する。すなわち、エンジン10でモータジェネレータ18を駆動して発電を行いながら、エンジン10で油圧ポンプ15を駆動させて油圧を発生させることが可能である。これにより、車載電源の充電を行いながら、油圧ポンプ15の出力で車両走行等を行うことが可能である。また、車両の運動エネルギーを出力軸13からモータジェネレータ18へ入力可能な構成であれば、第一運転モードは車両の運動エネルギーを電気に回生する回生モードでもある。
【0036】
第二運転モード(エンジン+モータ駆動モード(エンジンアシストモード))は、クラッチ24を接続状態とし、エンジン10およびモータジェネレータ18の両方の駆動により油圧ポンプ15を駆動する。すなわち、エンジン10およびモータの両方の動力で油圧ポンプ15を駆動させて油圧を発生させることが可能である。これにより、エンジン10による油圧ポンプ15の駆動をモータジェネレータ18でアシストし、高出力を得ることが可能である。
【0037】
第三運転モード(モータ駆動モード)は、クラッチ24を切断状態とし、エンジン10を停止させるとともにモータジェネレータ18のみを駆動させ、モータジェネレータ18の駆動により油圧ポンプ15を駆動する。すなわち、エンジン10を停止させてモータジェネレータ18の駆動のみで油圧ポンプ15を駆動させて油圧を発生させることが可能である。これにより、エンジン10を停止させた状態で、モータジェネレータ18によって油圧ポンプ15を駆動させて油圧を得ることが可能である。
【0038】
<クラッチユニット>
図1~
図5に示すように、クラッチユニット20は、油圧供給により作動するクラッチ24と、クラッチ24に対する作動オイルの供給を制御するオイル供給制御装置50と、を備えている。
図5を参照し、クラッチユニット20は、エンジン10の出力軸13に一体回転可能に連結される第一連結軸21と、油圧ポンプ15の入力部16に一体回転可能に連結される第二連結軸22と、を備えている。第一連結軸21は、エンジン10の出力軸13と同軸に配置され、出力軸13と常時一体に回転する。第二連結軸22は、油圧ポンプ15の入力部16と同軸に配置され、入力軸と常時一体に回転する。第一連結軸21および第二連結軸22は、互いに同軸に配置され、これら第一連結軸21と第二連結軸22との間に、クラッチ24が構成されている。第一連結軸21および第二連結軸22は、クラッチ24を介して動力伝達を断接可能に連結されている。
【0039】
クラッチ24は、外部(オイルポンプ14)から油圧が供給されて作動する。クラッチ24は、ノーマルオープンの油圧クラッチである。クラッチ24は、外部からの油圧供給により接続状態(エンジン10および油圧ポンプ15間の動力伝達が可能な状態)となる。クラッチ24は、外部からの油圧供給の消失により切断状態(エンジン10および油圧ポンプ15間の動力伝達が不能な状態)となる。例えば、クラッチ24は、出力軸13と同軸の円板状の摩擦板(クラッチ板)を複数備えた多板クラッチである。
【0040】
オイル供給制御装置50は、エンジン10に連動するオイルポンプ14が吐出したオイル(油圧)を、一定圧に制御(調圧)して出力する。オイル供給制御装置50は、クラッチ接続時、調圧した一定の油圧をクラッチ24に供給する。オイルポンプ14は、エンジン10に一体に設けられている。オイルポンプ14は、エンジン10の駆動に伴い駆動する。オイルポンプ14は、エンジン始動後は常にクランクシャフト12に連動して駆動する。エンジン10は、出力要求の増加に応じて回転数を増加させる。オイルポンプ14は、エンジン回転数の増加に応じて吐出量を増加させる。オイル供給制御装置50からオイルポンプ14よりも上流側に戻されるオイルの流量は、エンジン回転数の増加に応じて増加する。
【0041】
オイル供給制御装置50からクラッチ24に油圧が供給されると、クラッチ24が接続状態となり、第一連結軸21と第二連結軸22とが動力伝達可能に連結される。クラッチ24への油圧供給がなくなると、クラッチ24が切断状態となり、第一連結軸21と第二連結軸22との動力伝達可能な連結が解除される(すなわち動力伝達が不能となる)。
【0042】
図3、
図4を併せて参照し、伝動ケース30の偏平状ケース部33は、軸方向F11から見て、幅方向の一側に向けて上下幅を広げつつ延出している。偏平状ケース部33は、軸方向F11から見て、略三角形状をなしている。以下、偏平状ケース部33の軸方向F11視の形状について説明する。偏平状ケース部33には、出力軸13を中心とした円形状の第一円形部37と、第一円形部37に対して幅方向一側に離間した位置で上下に並ぶ第二円形部38および第三円形部39と、が形成されている。偏平状ケース部33の外周部には、第一円形部37および第二円形部38に上方から接する接線に沿う上辺部41と、第一円形部37および第三円形部39に下方から接する接線に沿う下辺部42と、第二円形部38および第三円形部39に幅方向一側から接する接線に沿う側辺部43と、が形成されている。
【0043】
図5を参照し、偏平状ケース部33の幅方向他側のエンジン10側には、第一側面35よりもエンジン10側に突出する筒状ケース部31が設けられている。伝動ケース30の内部には、クラッチ作動用オイルであるクラッチフルードが貯留されている。伝動ケース30は、クラッチフルードを貯留するオイルタンク30aを兼ねている。
【0044】
モータジェネレータ18は、エンジン10の出力軸13と平行な出力軸(第二の出力軸、以下、モータ出力軸ということがある。)19を備えている。モータジェネレータ18は、エンジン10とは別に第二の駆動力を発生する。モータジェネレータ18のモータ出力軸19は、エンジン10の出力軸13に対して径方向でオフセットしている。例えば、図示の例では、モータ出力軸19は、出力軸13に対して径方向で斜め上方にオフセットしている。モータ出力軸19ひいてはモータジェネレータ18は、各出力軸13,19の軸方向から見て、後述する連結要素23および連結ケース部48を避けた位置に配置されている。
【0045】
モータジェネレータ18と油圧ポンプ15との間には、伝動ギヤ列(伝動機構)44が構成されている。伝動ギヤ列44は、エンジン10の出力軸13とモータ出力軸19との間で動力伝達を可能とする。伝動ギヤ列44は、エンジン10の出力軸13の回転を増速してモータ出力軸19に伝達する。伝動ギヤ列44は、モータ出力軸19の回転を減速してエンジン10の出力軸13に伝達可能とする。伝動ギヤ列44は、モータ出力軸19と同軸の第一ギヤ軸45と、油圧ポンプ15の入力部16と同軸の第二ギヤ軸46と、第一ギヤ軸45及び第二ギヤ軸46の間に配置される中継ギヤ軸47と、を備えている。
【0046】
第一ギヤ軸45には、第一伝動ギヤ45aが一体に設けられている。第二ギヤ軸46には、第二伝動ギヤ46aが一体に設けられている。中継ギヤ軸47には、第一伝動ギヤ45aに噛み合う第一中継ギヤ47aと、第二伝動ギヤ46aに噛み合う第二中継ギヤ47bと、が一体回転可能に設けられている。第一伝動ギヤ45aは、第一中継ギヤ47aより小径である。第二中継ギヤ47bギヤは、第二伝動ギヤ46aよりも小径である。
【0047】
したがって、モータジェネレータ18の駆動力は、第一伝動ギヤ45aと第一中継ギヤ47aとの間で減速されるとともに、第二中継ギヤ47bと第二伝動ギヤ46aとの間でも減速されて、油圧ポンプ15に伝達される。クラッチ接続時には、エンジン10の駆動力は、第二伝動ギヤ46aと第二中継ギヤ47bとの間で増速されるとともに、第一中継ギヤ47aと第一伝動ギヤ45aとの間でも増速されて、モータジェネレータ18に伝達される。
【0048】
連結要素23は、エンジン10の出力軸13と油圧ポンプ15の入力部16とを一体回転可能に連結する回転要素である。連結要素23は、第一および第二連結軸21,22と、これらの連結軸21,22の間の動力伝達を断接するクラッチ24と、を備えている。連結要素23は、連結ケース部48に収容されている。連結ケース部48は、連結要素23、出力軸13および入力部16と異なり、エンジン10および油圧ポンプ15の本体(躯体)に対して回転しない非回転要素である。連結ケース部48は、伝動ケースの第一円形部37、筒状ケース部31およびホイールハウジング32を備えている。
【0049】
以上説明したように、上記部品配置構造を有するクラッチユニット20は、エンジン10の出力軸13と、前記エンジン10の駆動力により駆動される油圧ポンプ15の入力軸16と、を動力伝達可能に連結する連結要素23と、前記エンジン10とは別に駆動力を発生させるモータジェネレータ18と、を備え、前記モータジェネレータ18は、前記出力軸13の軸方向から見て、前記連結要素23を避けて配置されている。
実施形態の動力システム1は、上記クラッチユニット20と、エンジン10と、油圧ポンプ15と、を備えている。
【0050】
この構成によれば、モータジェネレータ18がエンジン10および油圧ポンプ15の連結要素23に対してオフセットして配置されることで、モータジェネレータ18がエンジン10と同軸に配置される場合に比べて、伝動ユニットおよびこれを備える動力システムの軸方向幅の増加を抑えることができる。
また、モータジェネレータ18がエンジン10の出力軸13と油圧ポンプ15の入力軸16との間に挟まれる場合に比べて、モータジェネレータ18に外部からアクセスしやすくなり、メンテナンス性を向上させることができる。
【0051】
上記クラッチユニット20において、前記モータジェネレータ18は、前記出力軸13に対してオフセットしたモータ出力軸19を有し、前記出力軸13と前記モータ出力軸19との間に、前記出力軸13の駆動力を増速して前記モータ出力軸19に伝達可能な伝動機構44を備えている。
この構成によれば、エンジン10の駆動力を増速してモータジェネレータ18に伝達可能とするので、モータジェネレータ18の発電量を増加させることが可能となる。
また、モータジェネレータ18の駆動力を減速してエンジン10および油圧ポンプ15に伝達するので、モータジェネレータ18の出力を抑えることが可能となる。
したがって、モータジェネレータ18の小型軽量化を図ることができる。
【0052】
上記クラッチユニット20において、前記出力軸13と前記モータ出力軸19との間に、動力伝達可能な伝動機構44を備えるとともに、前記伝動機構44を収容する伝動ケース30を備え、前記伝動ケース30の前記エンジン10側の部位に、前記出力軸13と一体回転するフライホイール13aを収容するホイールハウジング32を備え、前記モータジェネレータ18は、前記伝動ケース30の前記エンジン10側の部位に、前記ホイールハウジング32を避けて配置されている。
この構成によれば、伝動ケース30のエンジン10側の部位に、ホイールハウジング32およびモータジェネレータ18を効率よく配置することが可能となり、クラッチユニット20の小型化を図ることができる。
【0053】
上記クラッチユニット20において、前記伝動ケース30は、前記軸方向F11と直交する直交方向(幅方向F12および上下方向F13)の幅よりも前記軸方向F11の幅が狭い偏平状に形成され、前記軸方向F11で前記エンジン10と前記油圧ポンプ15との間に配置される偏平状ケース部33を備えている。
この構成によれば、伝動ケース30が軸方向F11の幅を抑えた偏平状をなしてエンジン10と油圧ポンプ15との間に配置される偏平状ケース部33を備えることで、オイルタンク30aの容量を可及的に確保しつつ、エンジン10と被駆動部とを大きく離間させずにクラッチユニット20を配置することができる。
【0054】
上記クラッチユニット20において、前記偏平状ケース部33の前記エンジン10側の部位に、前記ホイールハウジング32および前記モータジェネレータ18が配置されている。
この構成によれば、ホイールハウジング32およびモータジェネレータ18が、偏平状ケース部33のエンジン10側の部位に集約して配置されるので、ホイールハウジング32およびモータジェネレータ18を偏平状ケース部33の軸方向両側に振り分けて配置する場合に比べて、クラッチユニット20をコンパクトにすることができる。
【0055】
上記クラッチユニット20において、前記連結要素23は、前記エンジン10と前記油圧ポンプ15との間の動力伝達を断接するクラッチ24を備え、前記モータジェネレータ18は、前記クラッチ24を介して前記エンジン10と動力伝達可能に連結され、前記モータジェネレータ18は、前記クラッチ24を介さず前記油圧ポンプ15と動力伝達可能に連結されている。
この構成によれば、クラッチ24を接続状態とすれば、エンジン10で油圧ポンプ15を駆動させるとともに、モータジェネレータ18を駆動させて発電を行うことができる。このとき、モータジェネレータ18を力行運転すれば、モータジェネレータ18でエンジン10の駆動をアシストすることができる。
また、クラッチ24を切断状態としてモータジェネレータ18を力行運転すれば、エンジン10を停止させたままモータジェネレータ18のみによって油圧ポンプ15を駆動させることができる。
【0056】
以下、実施形態のエンジン10、クラッチユニット20および油圧ポンプ15の連結構造について
図6~
図8を参照して説明する。図示都合上、
図1~
図5の構成と
図6~
図8の構成とは相違する部分がある。
【0057】
エンジン10の出力軸13の軸方向外側端部には、フライホイール13aが設けられている。フライホイール13aの軸方向外側部には、第一連結部11aが設けられている。第一連結部11aは、出力軸13から駆動力を伝達する相手(例えば入力軸16)に出力軸13に連結するための連結部である。
【0058】
油圧ポンプ15の入力部16の軸方向外側には、第一連結部11aと連結可能な第二連結部15aが設けられている。第二連結部15aは、入力軸16に対して駆動力を伝達する相手(例えば出力軸13)を入力軸16に連結するための連結部である。
【0059】
エンジン10の出力軸13と油圧ポンプ15の入力軸16とは、第一および第二連結部11a,15aによって直接的に連結可能である。第一および第二連結部11a,15aは、複数のボルトナット等の締結具を用いて着脱可能に結合される。第一および第二連結部11a,15aの連結によって、出入力軸13,16間で動力伝達が可能となる。
【0060】
実施形態では、第一および第二連結部11a,15aの間に、クラッチユニット20の連結要素23が介設される。この連結要素23を介して、第一および第二連結部11a,15aが間接的に連結される。この連結によって、出入力軸13,16の間で連結要素23を介して回転動力を伝達可能となる。
【0061】
連結要素23の軸方向一端部(エンジン10側に位置する第一連結軸21の外側端部)には、フライホイール13aの第一連結部11aに連結可能な駆動側連結部23aが設けられている。例えば、駆動側連結部23aは、入力軸16の第二連結部15aと同一形状をなしている。第一連結部11aおよび駆動側連結部23aは、複数のボルトナット等の締結具を用いて着脱可能に結合される。
図8に示すように、第一連結軸21は、互いにスプライン篏合する複数部品で構成されてもよい。
【0062】
連結要素23の軸方向他端部(油圧ポンプ15側に位置する第二連結軸22の外側端部)には、入力軸16の第二連結部15aに連結可能な被駆動側連結部23bが設けられている。例えば、被駆動側連結部23bは、フライホイール13aの第一連結部11aと同一形状をなしている。第二連結部15aおよび被駆動側連結部23bは、複数のボルトナット等の締結具を用いて着脱可能に結合される。
図8に示すように、第二連結軸22は、互いにスプライン篏合する複数部品で構成されてもよい。
図7に示すように、被駆動側連結部23bの周囲にフライホイール13aと同様のホイール部23cが設けられてもよい。
【0063】
第一および第二連結部11a,15aの間に介設される連結要素23の各連結部23a,23bは、以下の構成を有する。すなわち、連結要素23における第一連結部11aに連結される駆動側連結部23aは、第二連結部15aと同一形状を有し、連結要素23における第二連結部15aに連結される被駆動側連結部23bは、第一連結部11aと同一形状を有している。
【0064】
これにより、連結要素23と出入力軸13,16との連結構造の設計が容易になり、かつ連結要素23と出入力軸13,16との連結作業も容易になる。なお、各連結部23a,23bは、前述した同一形状に限らない。各連結部23a,23bは、第一および第二連結部11a,15aと動力伝達可能に連結される構成であればよい。
【0065】
連結要素23を収容する連結ケース部48の軸方向一端部(ホイールハウジング32のエンジン10側の開放端の外周部)には、駆動側ケース連結部48aが設けられている。駆動側ケース連結部48aは、ホイールハウジング32の開放端の外周に延びるフランジとしての態様をなしている。
【0066】
エンジン10の躯体(例えばクランクケース11)の外側面における出力軸13の第一連結部11aの周囲には、第一躯体連結部11cが設けられている。第一躯体連結部11cは、軸方向と交差する閉塞プレート11bの外周部に設けられている。第一躯体連結部11cと駆動側ケース連結部48aとは、複数のボルトナット等の締結具を用いて着脱可能に結合される。
【0067】
油圧ポンプ15の躯体(ポンプボディ)における入力部16の第二連結部15aの周囲には、ホイールハウジング32と同様のハウジング15bが設けられている。ハウジング15bは、油圧ポンプ15を直接エンジン10に連結した場合、内部にフライホイール13aを収容する。ハウジング15bのエンジン10側の開放端の外周部には、第二躯体連結部15cが設けられている。第二躯体連結部15cは、ハウジング15bの開放端の外周に延びるフランジとしての態様をなしている。例えば、第二躯体連結部15cは、連結ケース部48の駆動側ケース連結部48aと同一形状をなしている。
【0068】
連結ケース部48の軸方向他端部(油圧ポンプ15側の端部)には、被駆動側ケース連結部48cが設けられている。連結ケース部48の軸方向他端部には、エンジン10の閉塞プレート11bと同様の閉塞プレート48bが設けられている。被駆動側ケース連結部48cは、閉塞プレート48bの外周部に設けられている。被駆動側ケース連結部48cと第二躯体連結部15cとは、複数のボルトナット等の締結具を用いて着脱可能に結合される。例えば、被駆動側ケース連結部48cは、エンジン10の第一躯体連結部11cと同一形状をなしている。
【0069】
エンジン10の第一躯体連結部11cと油圧ポンプ15の第二躯体連結部15cとは、直接的に連結可能である。実施形態では、第一および第二躯体連結部11c,15cの間に、クラッチユニット20の連結ケース部48が介設される。この連結ケース部48を介して、第一および第二躯体連結部11c,15cが間接的に連結される。
【0070】
連結ケース部48の各連結部48a,48cは、以下の構成を有する。すなわち、連結ケース部48において、エンジン10の第一躯体連結部11cに連結される駆動側ケース連結部48aは、油圧ポンプ15の第二躯体連結部15cと同一形状を有し、油圧ポンプ15の第二躯体連結部15cに連結される被駆動側ケース連結部48cは、エンジン10の第一躯体連結部11cと同一形状を有している。
【0071】
これにより、連結ケース部48とエンジン10および油圧ポンプ15の躯体との連結構造の設計が容易になり、かつ連結ケース部48とエンジン10および油圧ポンプ15との連結作業も容易になる。なお、各連結部48a,48cは、前述した同一形状に限らない。各連結部48a,48cは、第一および第二躯体連結部11c,15cと一体的に連結される構成であればよい。
【0072】
以上説明したように、上記連結構造を有するクラッチユニット20は、エンジン10の出力軸13と、前記エンジン10の駆動力により駆動される油圧ポンプ15の入力軸16と、を動力伝達可能に連結する連結要素23と、前記エンジン10とは別に駆動力を発生させるモータジェネレータ18と、を備え、前記連結要素23は、前記出力軸13に設けられた第一連結部11aに連結される駆動側連結部23aと、前記入力軸16に設けられ、前記第一連結部11aと連結可能な第二連結部15aに連結される被駆動側連結部23bと、を備えている。
実施形態の動力システム1は、上記クラッチユニット20と、エンジン10と、油圧ポンプ15と、を備えている。
【0073】
この構成によれば、エンジン10と油圧ポンプ15との間に、モータジェネレータ18を有するクラッチユニット20を設置する場合に、エンジン10および油圧ポンプ15における互いに連結可能な各連結部を変更したり別部品を介装したりすることなく、クラッチユニット20を設置することが可能となる。これにより、エンジン10および油圧ポンプ15の各連結部を利用してクラッチユニット20を設置可能とし、既存の動力システムを効率よくハイブリッド化することができる。
【0074】
上記クラッチユニット20において、前記被駆動側連結部23bは、前記第一連結部11aと同一形状を有している。
この構成によれば、クラッチユニット20の被駆動側連結部23bがエンジン10の第一連結部11aと同一形状であるため、油圧ポンプ15の第二連結部15aを変更したり別部品を介装したりすることなく、クラッチユニット20を設置することが可能となる。これにより、既存の動力システムを効率よくハイブリッド化することができる。
【0075】
上記クラッチユニット20において、前記連結要素23を収容する連結ケース部48を備え、前記連結ケース部48は、前記エンジン10の躯体に設けられた第一躯体連結部11cに連結される駆動側ケース連結部48aと、前記油圧ポンプ15の躯体に設けられ、前記第一躯体連結部11cと連結可能な第二躯体連結部15cに連結される被駆動側ケース連結部48cと、を備えている。
この構成によれば、エンジン10および油圧ポンプ15の各躯体連結部11c,15cを変更したり別部品を介装したりすることなく、クラッチユニット20の連結ケース部48を連結することが可能となる。これにより、既存の動力システムを効率よくハイブリッド化することができる。
【0076】
上記クラッチユニット20において、前記被駆動側ケース連結部48cは、前記第一躯体連結部11cと同一形状を有している。
この構成によれば、クラッチユニット20の被駆動側ケース連結部48cがエンジン10の第一躯体連結部11cと同一形状であるため、油圧ポンプ15の第二躯体連結部15cを変更したり別部品を介装したりすることなく、クラッチユニット20を設置することが可能となる。これにより、既存の動力システムを効率よくハイブリッド化することができる。
【0077】
上記クラッチユニット20において、前記連結要素23は、前記エンジン10と前記油圧ポンプ15との間の動力伝達を断接するクラッチ24を備え、前記モータジェネレータ18は、前記クラッチ24を介して前記エンジン10と動力伝達可能に連結され、かつ前記油圧ポンプ15とは前記クラッチ24を介さず動力伝達可能に連結されている。
この構成によれば、クラッチ24を接続状態とすれば、エンジン10で油圧ポンプ15を駆動させるとともに、モータジェネレータ18を駆動させて発電を行うことができる。このとき、モータジェネレータ18を力行運転すれば、モータジェネレータ18でエンジン10の駆動をアシストすることができる。また、クラッチ24を切断状態としてモータジェネレータ18を力行運転すれば、エンジン10を停止させたままモータジェネレータ18のみによって油圧ポンプ15を駆動させることができる。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、駆動源は、エンジン10(内燃機関)に限らず、電動機でもよい。クラッチ24は、油圧供給により接続状態となるノーマルオープンではなく、油圧供給により切断状態となるノーマルクローズでもよい。伝動装置は、動力伝達を断接するクラッチ24に限らず、変速機の変速動作を制御するクラッチでもよい。また、伝動装置は、油圧供給により変速作動する変速機でもよい。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 動力システム
10 エンジン(駆動源)
13 出力軸
13a フライホイール(回転体)
15 油圧ポンプ(被駆動装置)
16 入力部(入力軸)
18 モータジェネレータ(第二の駆動源)
19 モータ出力軸(第二の出力軸)
23 連結要素
24 クラッチ
30 伝動ケース
32 ホイールハウジング(回転体ハウジング)
33 偏平状ケース部
44 伝動機構
F11 軸方向
F12 幅方向(直交方向)
F13 上下方向(直交方向)