(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】ピペラジンアザスピロ誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 401/12 20060101AFI20240603BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240603BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20240603BHJP
A61K 31/501 20060101ALI20240603BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240603BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240603BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20240603BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240603BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240603BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240603BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240603BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240603BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240603BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240603BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20240603BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240603BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240603BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20240603BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240603BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20240603BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240603BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240603BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20240603BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240603BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20240603BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20240603BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240603BHJP
C07D 401/14 20060101ALI20240603BHJP
C07D 403/12 20060101ALI20240603BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20240603BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20240603BHJP
C07D 417/14 20060101ALI20240603BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20240603BHJP
C07D 491/107 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
C07D401/12
A61K31/496
A61K31/497
A61K31/501
A61K31/506
A61K31/5377
A61P1/02
A61P1/18
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/10
A61P9/10 101
A61P9/12
A61P11/00
A61P11/06
A61P13/00
A61P17/02
A61P21/00
A61P21/02
A61P25/04
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/18
A61P25/20
A61P25/28
A61P25/30
A61P27/06
A61P29/00
C07D401/14 CSP
C07D403/12
C07D405/14
C07D413/14
C07D417/14
C07D471/04 101
C07D471/04 108Q
C07D491/107
(21)【出願番号】P 2020551327
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(86)【国際出願番号】 US2019023916
(87)【国際公開番号】W WO2019183636
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-23
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】チャン,レイ
(72)【発明者】
【氏名】ラチャペッレ,エリク・アルフィー
(72)【発明者】
【氏名】バトラー,クリストファー・ライアン
(72)【発明者】
【氏名】カブラオイ,ナターシャ・マリアム
(72)【発明者】
【氏名】ブロドニー,マイケル・アーロン
(72)【発明者】
【氏名】マカリスター,ローラ・アン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、キンギ
(72)【発明者】
【氏名】ヘラル,クリストファー・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ベブ,ダミエン
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-505323(JP,A)
【文献】国際公開第2017/021728(WO,A1)
【文献】特表2008-501031(JP,A)
【文献】特表2007-506776(JP,A)
【文献】特表2020-523396(JP,A)
【文献】C.G.WERMUTH編,『最新 創薬化学 上巻』,株式会社テクノミック,1998年08月15日,235-271頁,13章 等価置換に基づく分子の変換
【文献】野崎正勝 等,創薬化学,第1版,株式会社化学同人,1995年,p.98-99
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】
もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩(式中、
X
1およびX
2は、それぞれ独立して、CHまたは窒素であるが、ただし、X
1およびX
2の両方ともがCHであることはできないものとし、
R
1は
、-SF
5
、(C
2~C
6)アルケニル、(C
2~C
6)アルキニル、(C
1~C
6)アルキルチオ
、-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル
、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、前
記(C
2~C
6)アルケニル、(C
2~C
6)アルキニル、(C
1~C
6)アルキルチオ
、-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル
、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-N(R
6)(R
7)、(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、前記(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、および(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキルおよび(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、
R
2は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-SF
5、ニトロ、-N(R
6)(R
7)、(C
1~C
6)アルキル、および(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択され、前記(C
1~C
6)アルキルおよび(C
1~C
6)アルコキシは、1~3つのハロゲンで置換されていてもよく、
R
6およびR
7は、それぞれ独立して、水素、(C
1~C
6)アルキルまたはC(O)-CH
3から選択され、
mは1または2であり、
nは1または2である)。
【請求項2】
X
1が窒素であり、X
2がCHである、請求項1に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項3】
X
1が窒素であり、X
2が窒素である、請求項1に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項4】
X
1がCHであり、X
2が窒素である、請求項1に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
1が、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、チアゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、トリアゾロピリジニル、およびオキサジアゾリルからなる群から選択される(5~10員)ヘテロアリールであり、前記(5~10員)ヘテロアリールが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、-(CH
2)
2-O-CH
2CH
3、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、前記(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、および(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよい、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R
1が、オキセタニル、モルホリノ、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタ-6-イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピロリジニル、およびピペリジニルからなる群から選択される(4~8員)ヘテロシクロアルキルであり、前記ヘテロシクロアルキルが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、前記(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、および(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよい、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R
2が水素である、請求項1から
6のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項8】
mが2であり、nが1である、請求項1から
7のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項9】
mが1であり、nが2である、請求項1から
7のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項10】
mが1であり、nが1である、請求項1から
7のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項11】
式I
Aの化合物:
【化2】
もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩(式中、
X
1およびX
2は、それぞれ独立して、CHまたは窒素であるが、ただし、X
1およびX
2の両方ともがCHであることはできないものとし、
R
1は
、-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル
、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、前
記-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル
、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、前記(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、および(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキルおよび(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、
R
2は、水素、ハロゲン、(C
1~C
6)アルキル、および(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択され、前記(C
1~C
6)アルキルおよび(C
1~C
6)アルコキシは、1~3つのハロゲンで置換されていてもよい)。
【請求項12】
X
1が窒素であり、X
2がCHである、請求項
11に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項13】
X
1が窒素であり、X
2が窒素である、請求項
11に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項14】
X
1がCHであり、X
2が窒素である、請求項
11に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項15】
R
1が、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、チアゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、トリアゾロピリジニル、およびオキサジアゾリルからなる群から選択される(5~10員)ヘテロアリールであり、前記(5~10員)ヘテロアリールが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、前記(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、および(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよい、請求項
11から
14のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項16】
R
1が、オキセタニル、モルホリノ、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタ-6-イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピロリジニル、およびピペリジニルからなる群から選択される(4~8員)ヘテロシクロアルキルであり、前記ヘテロシクロアルキルが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、前記(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、および(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよい、請求項
11から
14のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項17】
式I
Bの化合物:
【化3】
もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩(式中、
X
1およびX
2は、それぞれ独立して、CHまたは窒素であるが、ただし、X
1およびX
2の両方ともがCHであることはできないものとし、
R
1は
、-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル
、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、前
記-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル
、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、前記(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、および(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキルおよび(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、
R
2は、水素、ハロゲン、(C
1~C
6)アルキル、および(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択され、前記(C
1~C
6)アルキルおよび(C
1~C
6)アルコキシは、1~3つのハロゲンで置換されていてもよい)。
【請求項18】
X
1が窒素であり、X
2がCHである、請求項
17に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項19】
R
1が、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、チアゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、トリアゾロピリジニル、およびオキサジアゾリルからなる群から選択される(5~10員)ヘテロアリールであり、前記(5~10員)ヘテロアリールが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、前記(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、および(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよい、請求項
17から
18のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項20】
R
1が、オキセタニル、モルホリノ、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタ-6-イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピロリジニル、およびピペリジニルからなる群から選択される(4~8員)ヘテロシクロアルキルであり、前記ヘテロシクロアルキルが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、-(CH
2)
2-O-CH
2CH
3、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、前記(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、および(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよい、請求項
17から
18のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項21】
式I
Cの化合物:
【化4】
もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩(式中、
X
1およびX
2は、それぞれ独立して、CHまたは窒素であるが、ただし、X
1およびX
2の両方ともがCHであることはできないものとし、
R
1は
、-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル
、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、前
記-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル
、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、前記(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、および(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキルおよび(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、
R
2は、水素、ハロゲン、(C
1~C
6)アルキル、および(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択され、前記(C
1~C
6)アルキルおよび(C
1~C
6)アルコキシは、1~3つのハロゲンで置換されていてもよい)。
【請求項22】
X
1が窒素であり、X
2がCHである、請求項
21に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項23】
R
1が、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、チアゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、トリアゾロピリジニル、およびオキサジアゾリルからなる群から選択される(5~10員)ヘテロアリールであり、前記(5~10員)ヘテロアリールが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、前記(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、および(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよい、請求項
21から
22のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項24】
R
1が、オキセタニル、モルホリノ、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタ-6-イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピロリジニル、およびピペリジニルからなる群から選択される(4~8員)ヘテロシクロアルキルであり、前記ヘテロシクロアルキルが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、前記(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、および(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよい、請求項
21から
22のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項25】
式I’の化合物:
【化5】
もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩(式中、
X
1およびX
2は、それぞれ独立して、CHまたは窒素であるが、ただし、X
1およびX
2の両方ともがCHであることはできないものとし、
R
1は
、-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル
、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、前
記-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル
、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、前記(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、および(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキルおよび(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、
R
2は、水素、ハロゲン、(C
1~C
6)アルキル、および(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択され、前記(C
1~C
6)アルキルおよび(C
1~C
6)アルコキシは、1~3つのハロゲンで置換されていてもよく、
mは1または2であり、
nは1または2である)。
【請求項26】
X
1が窒素であり、X
2がCHである、請求項
25に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項27】
X
1が窒素であり、X
2が窒素である、請求項
25に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項28】
X
1がCHであり、X
2が窒素である、請求項
25に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項29】
R
1が、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、チアゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、トリアゾロピリジニル、およびオキサジアゾリルからなる群から選択される(5~10員)ヘテロアリールであり、前記(5~10員)ヘテロアリールが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、前記(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、および(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよい、請求項
25から
28のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項30】
R
1が、オキセタニル、モルホリノ、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタ-6-イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピロリジニル、およびピペリジニルからなる群から選択される(4~8員)ヘテロシクロアルキルであり、前記ヘテロシクロアルキルが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよく、前記(C
1~C
6)アルキル、(C
1~C
6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールが、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C
1~C
6)アルキル、および(C
1~C
6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されていてもよい、請求項
25から
28のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項31】
エチル6-{4-[3-(5-メトキシピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-(5-メトキシピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-1;
エチル6-{4-[3-(5-メトキシピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-2;
エチル(6R)-6-{4-[3-(1,3-チアゾール-4-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル(6R)-6-{4-[3-(1,3,4-チアジアゾール-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート
;
エチル(6R)-6-{4-[3-(ピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル(6R)-6-{4-[3-(4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート
;
エチル(6R)-6-{4-[3-(1,3-チアゾール-5-イル)ピラジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート
;
エチル2-{4-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-6-アザスピロ[3.4]オクタン-6-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-(ピリミジン-5-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-(3-メチルピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル2-{4-[3-(1,3-チアゾール-4-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-6-アザスピロ[3.4]オクタン-6-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-(ピリダジン-4-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-(1,3-オキサゾール-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート
;
エチル2-[4-(5-シアノ-2,3’-ビピリジン-2’-イル)ピペラジン-1-イル]-6-アザスピロ[3.4]オクタン-6-カルボキシレート、ENT-2;
エチル6-[4-(5-シアノ-2,3’-ビピリジン-2’-イル)ピペラジン-1-イル]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[2-(オキセタン-3-イルオキシ)ピリジン-3-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[5-フルオロ-3-(1,3-チアゾール-4-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-1
;
エチル6-(4-{3-[4-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル]ピリジン-2-イル}ピペラジン-1-イル)-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-(3-シアノアゼチジン-1-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-(4-メチル-1,2-チアゾール-5-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-(3-メチル-1,2-チアゾール-5-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-(1,2,5-チアジアゾール-3-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-(1,2,5-チアジアゾール-3-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-1;
エチル6-{4-[3-(ピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-(2,4-ジメチル-1,3-チアゾール-5-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[5’-(ジフルオロメトキシ)-3,3’-ビピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル6-[4-(6’-メトキシ-3,3’-ビピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-([1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン-6-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-(5-シアノピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-2;
エチル(6R)-6-{4-[3-(モルホリン-4-イル)ピラジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル(6R)-6-{4-[3-(4-メトキシピペリジン-1-イル)ピラジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル(6R)-6-{4-[3-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタ-6-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-(ピリダジン-3-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル(6R)-6-{4-[3-(ピリミジン-4-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル(6R)-6-{4-[3-(2-メチルピリミジン-5-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル6-{4-[3-(5-ヒドロキシピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル(6R)-6-(4-{3-[1-(4-シアノブチル)-1H-ピラゾール-4-イル]ピリジン-2-イル}ピペラジン-1-イル)-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル(6R)-6-(4-{3-[1-(2-エトキシエチル)-1H-ピラゾール-4-イル]ピリジン-2-イル}ピペラジン-1-イル)-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
エチル(6R)-6-{4-[3-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート;
および
エチル6-(4-(3-(4-アセトアミドフェニル)ピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレー
ト
から選択される、化合物もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項32】
エチル(6R)-6-{4-[3-(1,3-チアゾール-4-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレートもしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項33】
エチル(6R)-6-{4-[3-(1,3,4-チアジアゾール-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレートもしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項34】
エチル(6R)-6-{4-[3-(ピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレートもしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩。
【請求項35】
治療有効量の請求項1から
34のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項36】
M4媒介性(またはM4関連)疾患または障害を処置するための請求項
35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
M4媒介性(またはM4関連)疾患または障害が、アルツハイマー病、統合失調症または精神病、疼痛、嗜癖、睡眠障害、認知障害(例えば、軽度認知機能障害)、パーキンソン病、パーキンソン病-レボドパ-誘発性ジスキネジー、ハンチントン病、ジスキネジー、ドライマウス、肺高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、尿失禁、緑内障、21トリソミー(ダウン症候群)、脳アミロイド血管症、認知症、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(HCHWA-D)、クロイツフェルトヤコブ病、プリオン障害、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、頭部外傷、脳卒中、膵炎、封入体筋炎、他の末梢性アミロイドーシス、糖尿病、自閉症、およびアテローム性動脈硬化症からなる群から選択される、請求項
36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
M4媒介性(またはM4関連)疾患または障害が、アルツハイマー病、統合失調症、疼痛、嗜癖、パーキンソン病、パーキンソン病-レボドパ-誘発性ジスキネジー、および睡眠障害からなる群から選択される、請求項
36に記載の医薬組成物。
【請求項39】
M4媒介性(またはM4関連)疾患または障害を処置するための、請求項1から
34のいずれか一項に記載の化合物、N-オキシド、または薬学的に許容される塩。
【請求項40】
M4媒介性(またはM4関連)疾患または障害が、アルツハイマー病、統合失調症または精神病、疼痛、嗜癖、睡眠障害、認知障害(例えば、軽度認知機能障害)、パーキンソン病、パーキンソン病-レボドパ-誘発性ジスキネジー、ハンチントン病、ジスキネジー、ドライマウス、肺高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、尿失禁、緑内障、21トリソミー(ダウン症候群)、脳アミロイド血管症、認知症、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(HCHWA-D)、クロイツフェルトヤコブ病、プリオン障害、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、頭部外傷、脳卒中、膵炎、封入体筋炎、他の末梢性アミロイドーシス、糖尿病、自閉症、およびアテローム性動脈硬化症からなる群から選択される、請求項
39に記載の化合物、N-オキシド、または薬学的に許容される塩。
【請求項41】
M4媒介性(またはM4関連)疾患または障害が、アルツハイマー病、統合失調症、疼痛、嗜癖、パーキンソン病、パーキンソン病-レボドパ-誘発性ジスキネジー、および睡眠障害からなる群から選択される、請求項
39に記載の化合物、N-オキシド、または薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、ムスカリンM4受容体のアゴニストであり、M4媒介性疾患および障害、例えば、統合失調症、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、パーキンソン病および関連する記憶および実行機能不全、激越、ならびにこれらに伴う精神病の処置に有用である、新規のピペラジンアザスピロ誘導体、その塩、その医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
統合失調症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、うつ病および他の様々な神経系/神経変性疾患を有する患者は、患者らの日常生活に消耗性破壊をもたらす行動および認知機能障害に頻繁に悩まされている。長年にわたって、行動および認知機能にいくらかの改善をもたらす多くの薬理学的処置が発見された。しかし、改善はよくても中程度であり、大抵の場合、錐体外路および代謝性副作用を含めた、これらの処置に関連する根本的な用量制限有害作用が、部分的な応答、および不遵守をもたらす。
【0003】
新規および改善された薬理学的処置を発見することを目指して、研究者らは、実行可能な機序として、ムスカリンアセチルコリン受容体(mAChR)に注目し始めた。同定されており、およびGタンパク質共役受容体(GPCR)スーパーファミリーの一部である5種のmAChRサブタイプ(M1-M5)が存在する。これらのサブタイプは末梢神経および中枢神経系(CNS)全体にわたり広く分布し、M1およびM4サブタイプはCNSにおいて優勢に発現する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
研究者らは、それ以来、サブタイプ選択的M4ムスカリンアセチルコリン受容体活性因子を同定することに焦点を絞ってきた。例えば、M4ムスカリンアセチルコリン受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)が研究されてきた。M4 PAMに加えて、研究はまたM4受容体のアゴニストを同定することに焦点を絞っている。実際に、アルツハイマー病の主な症状の処置のために開発されているM4アゴニストHTL0016878は、第I相臨床研究に入った。しかし、ムスカリンM4受容体のアゴニストを含む新規または改善された活性因子が、M4媒介性疾患および障害、例えば、パーキンソン病、統合失調症、アルツハイマー病および本明細書に記載されているその他のM4媒介性疾患および障害を処置するための新規および改善された治療法を得るのに必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明は、部分的に、式Iの化合物:
【0006】
【0007】
(式中、
X1およびX2は、それぞれ独立して、CHまたは窒素であるが、ただし、X1およびX2の両方ともがCHであることはできないものとし、
R1は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-SF5、ニトロ、-N(R6)(R7)、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、(C1~C6)アルキルチオ、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C10)アリール、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、前記(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、(C1~C6)アルキルチオ、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C10)アリール、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-N(R6)(R7)、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキルおよび(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、
R2は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-SF5、ニトロ、-N(R6)(R7)、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択され、前記(C1~C6)アルキルおよび(C1~C6)アルコキシは、1~3つのハロゲンで場合によって置換されており、
R6およびR7は、それぞれ独立して、水素、(C1~C6)アルキルまたはC(O)CH3から選択され、
mは1または2であり、
nは1または2である)もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩を提供する。
【0008】
式I、IA、IB、ICおよびI’の化合物は、患者においてM4媒介性(またはM4関連)疾患または障害を処置するのに有用であり、この方法は、患者に、治療有効量の式I、IA、IB、ICおよびI’の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0009】
本発明はまた、M4媒介性(またはM4関連)疾患または障害の処置のための、本明細書に記載されている化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩の使用を対象とし、この疾患または障害は、アルツハイマー病、統合失調症または精神病、疼痛、嗜癖、睡眠障害、認知障害(例えば、軽度認知機能障害)、パーキンソン病、パーキンソン病-レボドパ-誘発性ジスキネジー、ハンチントン病、ジスキネジー、ドライマウス、肺高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、尿失禁、緑内障、21トリソミー(ダウン症候群)、脳アミロイド血管症、認知症、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(HCHWA-D)、クロイツフェルトヤコブ病、プリオン障害、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、頭部外傷、脳卒中、膵炎、封入体筋炎、他の末梢性アミロイドーシス、糖尿病、自閉症、およびアテローム性動脈硬化症である。
【0010】
本発明はまた、治療有効量の式I、IA、IB、ICおよびI’の化合物、もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤とを含有する医薬製剤を対象とする。
【0011】
前述の一般的説明も以下の詳細な説明も例示であり、単なる説明的なものであり、特許請求された本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本文書内の表題は、読者によるその精査を円滑にするためだけに利用される。これら表題は、本発明または特許請求の範囲を決して限定するものではないと解釈されるべきである。
【0013】
定義および例証
本発明は、本発明の例示的な実施形態および本明細書に含まれる実施例の以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解され得る。
【0014】
本発明は、当然のことながら変動し得る、特定の合成による作製法に限定されるものではないことを理解されたい。本明細書で使用されている用語は単に特定の実施形態を説明する目的のためのものにすぎず、限定することを意図しないこともまた理解されたい。本明細書およびこれに続く特許請求の範囲において、以下の意味を有すると定義されるべきいくつかの用語について言及がなされている:
本明細書でここに使用される場合、「a」または「an」は、1つまたは複数を意味し得る。本明細書の請求項(複数可)で使用される場合、単語「含んでいる」と併せて使用される際には、単語「a」または「an」は1つまたは1つより多くを意味し得る。本明細書で使用される場合、「別の」は、少なくとも2番目またはそれ以降を意味し得る。
【0015】
用語「約」は、それが指す公称値のプラスマイナス10%、一実施形態では、プラスマイナス5%、別の実施形態では、プラスマイナス2%の近似値を意味する相対的用語を指す。本開示の分野に対して、値がより狭い範囲でなければならないと具体的に述べられていない限り、このレベルの近似値は妥当である。
【0016】
本明細書で使用される場合、「ムスカリンM4受容体のアゴニスト」という用語は、本発明の化合物が、天然リガンド(例えばアセチルコリン)の不在下で、M4受容体の作用を誘発することを意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合、「n員の」(nは整数である)という用語は通常、環形成原子の数がn個である部分の環形成原子の数を記載している。例えば、ピリジンは、6員ヘテロアリール環の一例であり、チオフェンは5員ヘテロアリール環の一例である。
【0018】
本発明の明細書の様々な箇所で、本発明の化合物の置換基が群または範囲で開示されている。本発明はこのような群および範囲の構成員のありとあらゆる個々のサブコンビネーションを含むことを具体的に意図する。例えば、「C1~6アルキル」という用語は、C1アルキル(メチル)、C2アルキル(エチル)、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、およびC6アルキルを含むことを具体的に意図する。別の例では、「5~10員ヘテロアリール基」という用語は、任意の5員、6員、7員、8員、9員または10員ヘテロアリール基を含むことを具体的に意図する。
【0019】
「(C1~C6)アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、1~6個の炭素原子を含有する飽和、分枝または直鎖のアルキル基、例えば、これらに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、およびn-ヘキシルを指す。(C1~C6)アルキルは場合によって置換されていてもよく、この場合、1個または複数の水素原子は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-SF5、ニトロ、-(C1~C6)アルコキシ、および-N(R6)(R7)(式中、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素および(C1~C6)アルキルから選択される)からなる群から選択される置換基で置き換えられている。例えば、(C1~C6)アルキル部分は、1個または複数のハロゲン原子で置換されて「ハロ(C1~C6)アルキル」を形成することができる。ハロ(C1~C6)アルキルの代表的な例として、これらに限定されないが、フルオロメチル、2-フルオロエチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、およびペンタフルオロエチルが挙げられる。置換(C1~C6)アルキルの他の代表的な例として、これらに限定されないが、シアノブチルおよびエトキシエチルが挙げられる。
【0020】
「(C2~C6)アルケニル」という用語は、2~6個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、脂肪族炭化水素を指し、これには少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖基が含まれる。代表的例として、これらに限定されないが、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル(アリル)、イソプロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニルなどが挙げられる。本発明の化合物が(C2~C6)アルケニル基を含有する場合、化合物は、純粋E(エントゲーゲン)形態、純粋Z(ツザメン)形態、またはこれらの任意の混合物として存在し得る。(C2~C6)アルケニルは場合によって置換されていてもよく、この場合、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-SF5、ニトロ、-(C1~C6)アルコキシ、および-N(R6)(R7)(式中、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素および(C1~C6)アルキルから選択される)からなる群から選択される置換基で置き換えられている。
【0021】
「(C2~C6)アルキニル」という用語は、2~6個の炭素原子および少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する脂肪族炭化水素を指し、これには少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖および分枝鎖が含まれる。代表的な例として、これらに限定されないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、およびヘキシニルが挙げられる。(C2~C6)アルキニルは場合によって置換されていてもよく、この場合、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-SF5、ニトロ、-(C1~C6)アルコキシ、および-N(R6)(R7)、(式中、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素および(C1~C6)アルキルから選択される)からなる群から選択される置換基で置き換えられている。
【0022】
「(C1~C6)アルコキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、酸素原子を介して親分子部分に結合している(C1~C6)アルキル基(上で定義された通り)を指す。(C1~C6)アルコキシの代表的な例として、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、およびヘキシルオキシが挙げられる。(C1~C6)アルコキシは場合によって置換されていてもよく、この場合、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-SF5、ニトロ、-(C1~C6)アルコキシ、および-N(R6)(R7)(式中、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素および(C1~C6)アルキルから選択される)からなる群から選択される置換基で置き換えられている。例えば、(C1~C6)アルコキシは、1個または複数のハロゲン原子で置換されて、「ハロ(C1~C6)アルコキシ」を形成することができる。ハロ(C1~C6)アルコキシの代表的な例として、これらに限定されないが、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、2-フルオロエトキシ、トリフルオロメトキシ、およびペンタフルオロエトキシが挙げられる。
【0023】
「(C1~C6)アルキルチオ」という用語は、本明細書で使用される場合、硫黄原子を介して親分子部分に結合している(C1~C6)アルキル基(上で定義された通り)を指す。(C1~C6)アルキルチオの代表的な例として、これらに限定されないが、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオなどが挙げられる。(C1~C6)アルキルチオは場合によって置換されていてもよく、この場合、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-SF5、ニトロ、-(C1~C6)アルコキシ、および-N(R6)(R7)(式中、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素および(C1~C6)アルキルから選択される)からなる群から選択される置換基で置き換えられている。
【0024】
本明細書で使用される場合、「(C3~C6)シクロアルキル」という用語は、3~6個の炭素原子を有する飽和炭素環式分子から水素を除去することにより得られる炭素環式置換基を指す。「シクロアルキル」は単環式環であってよく、その例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。(C3~C6)シクロアルキルは、場合によって置換されていてもよく、この場合、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-SF5、ニトロ、-(C1~C6)アルコキシ、および-N(R6)(R7)(式中、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素および(C1~C6)アルキルから選択される)からなる群から選択される置換基で置き換えられている。
【0025】
「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、環炭素原子の少なくとも1個が窒素、酸素または硫黄から選択されるヘテロ原子で置き換えられているシクロアルキル(上で定義された通り)を指す。「(4~6員)ヘテロシクロアルキル」という用語は、ヘテロシクロアルキル置換基が、合計4~6個の環原子を含有し、そのうちの少なくとも1個がヘテロ原子であることを意味する。「(4~8員)ヘテロシクロアルキル」という用語は、ヘテロシクロアルキル置換基が、合計4~8個の環原子を含有し、そのうちの少なくとも1個がヘテロ原子であることを意味する。「(6員)ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロアルキル置換基が、合計6個の環原子を含有し、そのうちの少なくとも1個がヘテロ原子であることを意味する。「(5員)ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロアルキル置換基が、合計5個の環原子を含有し、そのうちの少なくとも1個がヘテロ原子であることを意味する。ヘテロシクロアルキル置換基は、適当な原子価を有する窒素原子を介して、または任意の環炭素原子を介して結合していてもよい。ヘテロシクロアルキル部分は、適当な原子価を有する窒素原子において、または任意の利用可能な炭素原子において1つまたは複数の置換基で場合によって置換されていてもよい。
【0026】
ヘテロシクロアルキル環の例として、これらに限定されないが、アゼチジニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ-トリアジニル、テトラヒドロピラゾリル、テトラヒドロオキサジニル、テトラヒドロピリミジニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチアジニル、テトラヒドロチアジアジニル、テトラヒドロ-オキサゾリル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロジアジニル、オキサジニル、オキサチアジニルが挙げられる。ヘテロシクロアルキル環のさらなる例として、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、イミダゾリジン-1-イル、イミダゾリジン-2-イル、イミダゾリジン-4-イル、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、ピペラジン-1-イル、ピペラジン-2-イル、1,3-オキサゾリジン-3-イル、イソチアゾリジニル、1,3-チアゾリジン-3-イル、1,2-ピラゾリジン-2-イル、1,2-テトラヒドロチアジン-2-イル、1,3-チアジナン-3-イル、1,2-テトラヒドロジアジン-2-イル、1,3-テトラヒドロジアジン-1-イル、1,4-オキサジン-4-イル、2-オキソ-ピペリジニル(例えば、2-オキソ-ピペリジン-1-イル)などが挙げられる。ヘテロシクロアルキルは、場合によって置換されていてもよく、この場合、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-SF5、ニトロ、-(C1~C6)アルコキシ、および-N(R6)(R7)(式中、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素および(C1~C6)アルキルから選択される)からなる群から選択される置換基で置き換えられている。
【0027】
「(C6~C10)アリール」は、6~10個の炭素原子を含有するコンジュゲートしたpi-電子系を有する全炭素単環式または縮合環多環式芳香族基、例えば、フェニルまたはナフチルを指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、酸素、窒素および硫黄から独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有し、このような環が縮合していてもよい(縮合しているとは上で定義された通りである)1、2または3つの環を有する芳香族炭素環式系を指す。「(5~10員)ヘテロアリール」環は、5~10個の環原子を有し、これら環原子のうちの少なくとも1個が窒素であり、残りの環原子が炭素、酸素、硫黄、および窒素からなる群から独立して選択されるヘテロアリール環を指す。「(5~6員)ヘテロアリール」環とは、5~6個の環原子を有し、これら環原子のうちの少なくとも1個が窒素であり、残りの環原子が炭素、酸素、硫黄、および窒素からなる群から独立して選択されるヘテロアリール環を指す。ヘテロアリールの例として、これらに限定されないが、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、チアゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、トリアゾロピリジニル、およびオキサジアゾリルが挙げられる。
【0029】
ヘテロアリールは、本明細書で定義された通りであるシクロアルキル基、またはヘテロシクロアルキル基に場合によって縮合していてもよいことを理解されたい。
ヘテロアリール置換基は、適当な原子価を有する窒素原子を介して、または任意の炭素原子を介して結合していてもよい。ヘテロアリール部分は、適当な原子価を有する窒素原子において、または任意の利用可能な炭素原子において、1つまたは複数の置換基で場合によって置換されていてもよい。(5~10員)ヘテロアリールは場合によって置換されていてもよく、この場合、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-SF5、ニトロ、-(C1~C6)アルコキシ、および-N(R6)(R7)(式中、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素および(C1~C6)アルキルから選択される)からなる群から選択される置換基で置き換えられている。置換基は、任意の利用可能な炭素原子においてヘテロアリール部分に、またはヘテロ原子が適当な原子価を有する窒素である場合にはヘテロ原子に結合することができる。
【0030】
「ハロ」または「ハロゲン」は、本明細書で使用される場合、塩素、フッ素、臭素、またはヨウ素原子を指す。
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、本明細書で使用される場合、-OH基を意味する。
【0031】
「シアノ」は、本明細書で使用される場合、-CN基を意味し、この-CN基はまた:
【0032】
【0033】
のように図示され得る。
「ニトロ」は、本明細書で使用される場合、-NO2基を意味する。
「場合によって置換されている」は、本明細書で使用される場合、置換が場合によるもので、したがって非置換の原子および部分と、置換された原子および部分との両方を含むことを意味する。「置換された」原子または部分とは、指定された原子または部分上の任意の水素が、示された置換基からの選択で置き換えられ得ることを示すが(指定された原子または部分上の最大ですべての水素原子を含む水素原子が示された置換基からの選択で置き換えられている)、ただし、指定された原子または部分の標準原子価を超えないものとし、置換が安定した化合物を結果として生じるものとする。例えば、メチル基(すなわち、-CH3)が場合によって置換されている場合、炭素原子上の3個までの水素原子が、置換基で置き換えられ得る。
【0034】
「患者」は、温血動物、例えば、ブタ、雌ウシ、ニワトリ、ウマ、モルモット、マウス、ラット、アレチネズミ、ネコ、ウサギ、イヌ、サル、チンパンジー、およびヒトを指す。
【0035】
「薬学的に許容される」は、物質または組成物が、製剤を構成する他の成分と、および/または製剤による処置を受けている哺乳動物と化学的におよび/または毒物学的に適合性がなければならないことを示唆している。
【0036】
「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、処置を受けている障害の症状のうちの1つまたは複数をある程度軽減する、投与される化合物(そのN-オキシドまたは化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩を含む)の量を指す。M4媒介性障害(例えば、アルツハイマー病または統合失調症)の処置に関連して、治療有効量とは、M4媒介性障害に伴う1つまたは複数の症状(例えば、統合失調症の陽性症状、陰性症状、もしくは認知症状、またはアルツハイマー病の精神病性症状)をある程度を軽減する作用(または、例えば、排除すること)を有する量を指す。
【0037】
「処置する」という用語は、本明細書で使用される場合、他に指摘されていない限り、このような用語が適用される障害もしくは状態、またはこのような障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状の進行を逆転、緩和、阻害する、または障害もしくは状態、またはこのような障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状を予防することを意味する。「処置」という用語は、本明細書で使用される場合、他に指摘されていない限り、処置する行為を指し、「処置する」は本明細書で定義された通りである。「処置する」という用語はまた、対象のアジュバントおよびネオアジュバント処置も含む。
【0038】
「異性体」は、以下に定義されているような「立体異性体」および「幾何異性体」を意味する。
「立体異性体」は、1つまたは複数のキラル中心を保有する化合物を指し、キラル中心はRまたはS立体配置でそれぞれ存在し得る。立体異性体は、すべてのジアステレオマー形態、エナンチオマー形態およびエピマー形態ならびにラセミ体およびこれらの混合物を含む。
【0039】
「幾何異性体」は、cis、trans、anti、エントゲーゲン(E)、およびツザメン(Z)形態ならびにこれらの混合物で存在し得る化合物を指す。
本明細書で使用される場合、特定されていない限り、置換基の結合点は置換基の任意の適切な位置からのものであってもよい。例えば、ピリジニル(またはピリジル)は2-ピリジニル(またはピリジン-2-イル)、3-ピリジニル(またはピリジン-3-イル)、または4-ピリジニル(またはピリジン-4-イル)であることができる。
【0040】
置換されたまたは場合によって置換された部分が記載され、このような部分がどの原子を介して置換基に結合しているか示されていない場合、置換基はこのような部分の中の任意の適当な原子を介して結合していてもよい。例えば、場合によって置換されている(5~10員の)ヘテロアリールにおいて、ヘテロアリールの置換基は、原子価が許容するヘテロアリール部分の任意の炭素原子またはヘテロアリールのヘテロ原子に結合することができる。置換基および/または変数の組合せは、このような組合せが安定した化合物をもたらす場合のみ許容できる。
【0041】
本明細書は、「置換基」、「基(radical)」、および「基(group)」という用語を交換可能なように使用している。
置換基が群から「独立して選択される」と記載されている場合、置換基の各事例は他から独立して選択される。したがって、各置換基は他の置換基(複数可)と同一であってもよいし、または異なってもよい。
【0042】
本明細書で使用される場合、「式I」、「式I’」、「式IA」、「式IB」、および「式IC」という用語は、本明細書のこれより以下「本発明の化合物(複数可)」と称すことができる。このような用語はまた、これらに限定されないが、本発明の化合物の水和物、溶媒和物、異性体(例えば、回転性立体異性体を含む)、結晶性および非結晶形態、同形体、多形、代謝産物、プロドラッグを含めた本発明の化合物のすべての形態を含むと定義されている。例えば、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される溶媒、例えば、水、エタノールなどとの非溶媒和形態および溶媒和形態で存在し得る。溶媒または水が堅く結合している場合、複合体は湿度に依存しない明確な化学量論を有することになる。しかし、チャンネル溶媒和物および吸湿性化合物のように、溶媒または水が弱く結合している場合、水/溶媒含有量は湿度および乾燥状態に依存することになる。このような場合には、非化学量論が基準となる。一般的に、溶媒和形態は、本発明の目的に対して非溶媒和の形態と同等と考えられる。
【0043】
本発明の化合物はクラスレートまたは他の複合体(例えば、共結晶)として存在し得る。薬物およびホストがその中に化学量論的または非化学量論的量で存在する複合体、例えば、クラスレート、薬物-ホスト包接複合体などが本発明の範囲内に含まれる。2つ以上の有機および/または無機構成成分を含有する本発明の化合物の複合体もまた含まれ、これらは化学量論的または非化学量論的量であってよい。生成した複合体は、イオン化されていても、部分的にイオン化されていても、またはイオン化されていなくてもよい。このような複合体の概説については、Haleblianによる、J.Pharm.Sci.、64巻(8号)、1269~1288頁(1975年8月)を参照されたい。共結晶は通常、非共有結合による相互作用を介して一緒に結合しているが、中性分子の塩との複合体であってもよい、中性分子成分の結晶性複合体と定義される。共結晶は、溶融結晶化により、溶媒からの再結晶化により、または構成成分を一緒に物理的に粉砕することにより調製することができる。O.AlmarssonおよびM.J.Zaworotko、Chem.Commun.、2004年、17巻、1889~1896頁を参照されたい。多成分複合体の一般的な概説については、J.K.Haleblian、J.Pharm.Sci.、1975年、64巻、1269~1288頁を参照されたい。
【0044】
本発明の化合物は化合物が不斉炭素原子を有し、よって2つ以上の立体異性形態として存在し得る幾何異性体として存在することができる。本発明は、本発明の化合物およびその混合物のすべての個々の立体異性体および幾何異性体を含む。個々のエナンチオマーは、キラル分離により、または合成において関連するエナンチオマーを使用することにより得ることができる。本発明の化合物の炭素-炭素結合は、
実線
【0045】
【0046】
実線くさび形
【0047】
【0048】
または点線くさび形
【0049】
【0050】
を使用して本明細書で図示することができる。不斉炭素原子への結合を表す実線の使用は、炭素原子におけるすべての可能な立体異性体(例えば、特定のエナンチオマー、ラセミ混合物など)が含まれることを示すことを意図する。不斉炭素原子への結合を表す実線または点線のいずれかのくさび形の使用は、示されている立体異性体が存在することを示すことを意図する。ラセミ化合物に存在する場合、実線および点線くさび形は、絶対立体配置というよりもむしろ相対立体配置を定義するために使用される。このような示された相対立体配置を保有するラセミ化合物は(+/-)記号が付いていることもある。例えば、別途述べられていない限り、本発明の化合物は、cisおよびtrans異性体、光学異性体、例えば、RおよびSエナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体、回転異性体、配座異性体、アトロプ異性体、およびこれらの混合物(例えば、ラセミ体およびジアステレオマー対)を含む立体異性体として存在することができることを意図する。本発明の化合物は1種より多い種類の異性を示すことができる。対イオンが光学活性を有する酸付加塩または塩基付加塩、例えば、D-乳酸またはL-リシン、またはラセミ、例えば、DL-酒石酸塩またはDL-アルギニンなどもまた含まれる。
【0051】
一部の実施形態では、本発明の化合物は、アトロプ異性体(例えば、1つまたは複数のアトロプエナンチオマー)で存在してもよいし、および/またはアトロプ異性体として単離されてもよい。当業者であれば、アトロプ異性は、2つ以上の芳香族環を有する化合物に存在し得る(例えば、単結合を介して連結した2つの芳香族環)ことを認識している。例えば、Freedman、T.B.ら、Absolute Configuration Determination of Chiral Molecules in the Solution State Using Vibrational Circular Dichroism.、Chirality、2003年、15巻、743~758頁およびBringmann、G.ら、Atroposelective Synthesis of Axially Chiral Biaryl Compounds.、Angew.Chem.、国際版、2005年、44巻、5384~5427頁を参照されたい。
【0052】
任意のラセミ体が結晶化する場合、異なる2種類の結晶が可能である。第1の種類は、両エナンチオマーを等モル量で含有する1つの均質な形態の結晶が生成される、上に言及されたラセミ化合物(真のラセミ体)である。第2の種類は、それぞれが単一のエナンチオマーを含む2つの形態の結晶が等モル量で生成されるラセミ混合物または集合体である。
【0053】
本発明の化合物はまた、そのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩として存在することもできる。
当業者には公知の通り、アミン化合物(すなわち、1個または複数の窒素原子を含む化合物)、例えば第三級アミンは、N-オキシド(アミンオキシドまたはアミンN-オキシドとしてもまた公知)を形成することができる。N-オキシドは式(R100R200R300)N+-O-を有し、この親アミン(R100R200R300)Nは、例えば、第三級アミン(例えば、R100、R200、R300のそれぞれは独立してアルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリールなどである)、ヘテロ環式またはヘテロ芳香族アミン[例えば、(R100R200R300)Nは一緒になって、1-アルキルピペリジン、1-アルキルピロリジン、1-ベンジルピロリジン、またはピリジンを形成する]であることができる。例えば、イミン窒素、特にヘテロ環式またはヘテロ芳香族イミン窒素、またはピリジンタイプの窒素原子[例えば、ピリジン、ピリダジン、またはピラジン中の窒素原子]
【0054】
【0055】
は、N酸化して、基
【0056】
【0057】
を含むN-オキシドを形成することができる。よって、1個または複数の窒素原子(例えば、イミン窒素原子)を含む本発明による化合物は、そのN-オキシド(例えば、安定したN-オキシドを形成するのに適した窒素原子の数に応じて、モノ-N-オキシド、ビス-N-オキシドまたはマルチ-N-オキシド、またはこれらの混合物)を形成することが可能となり得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、「N-オキシド(複数可)」という用語は、すべての可能な、特に本明細書に記載されているすべての安定した、N-オキシド形態のアミン化合物(例えば、1個または複数のイミン窒素原子を含む化合物)、例えば、モノ-N-オキシド(アミン化合物の1個より多くの窒素原子がモノ-N-オキシドを形成することができる場合、異なる異性体を含む)またはマルチ-N-オキシド(例えば、ビス-N-オキシド)、または任意の比率でのこれらの混合物を指す。
【0059】
上述のように、本発明の化合物(またはそのN-オキシド)は、無機酸または有機酸から誘導される薬学的に許容される塩の形態で存在し得る。特定の化合物に応じて、化合物の塩は、塩の物理的特性のうちの1つまたは複数、例えば、異なる温度および湿度における医薬品安定性の増強、または水中もしくは油中での望ましい溶解度により有利となり得る。ある場合には、化合物の塩はまた、化合物の単離、精製、および/または分離における補助として使用することもできる。
【0060】
塩が患者に投与される(例えば、in vitroの状況で使用される場合とは対照的に)ことが意図される場合、塩は薬学的に許容されることが好ましい。「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物を、そのアニオンがヒトによる消費に適していると一般的に考えられている酸と、またはそのカチオンがヒトによる消費に適していると一般的に考えられている塩基と合わせることにより調製される塩を指す。薬学的に許容される塩は、親化合物と比べて水性溶解度が高いことから、本発明の方法の生成物としては特に有用である。
【0061】
本発明の化合物が適切な薬学的に許容される酸付加塩は、可能であれば、無機酸、例えば、これらに限定されないが、塩酸、臭水素酸、フッ化水素酸、ホウ酸、フルオロホウ酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、炭酸、スルホン酸、および硫酸、ならびに有機酸、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イソチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、コハク酸、トルエンスルホン酸、酒石酸、およびトリフルオロ酢酸から誘導されるものを含む。適切な有機酸は、一般的にこれらに限定されないが、脂肪族、環状脂肪族、芳香族、芳香脂肪族、ヘテロ環式、カルボキシル、およびスルホン酸クラスの有機酸を含む。
【0062】
適切な有機酸の具体例として、これらに限定されないが、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、ジグルコン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、グルクロン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、ピルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、アントラニル酸塩、ステアリン酸塩、サリチル酸塩、p-ヒドロキシ安息香酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、エンボン酸塩(パモ酸塩)、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パントテン酸塩、トルエンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、スルファニル酸塩(sufanilate)、シクロヘキシルアミノ-スルホン酸塩、アルギン酸、β-ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸塩、ガラクツロン酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、硫酸ドデシル塩、グルコヘプトン酸塩(glycoheptanoate)、グリセロリン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレン-スルホネート、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、チオシアン酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。
【0063】
さらに、本発明の化合物が酸性部分を保持する場合、その適切な薬学的に許容される塩は、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩;および適切な有機配位子と形成される塩、例えば、第四級アンモニウム塩を含むことができる。別の実施形態では、塩基塩は、塩基から形成されて無毒性塩を形成するが、この無毒性塩は、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リシン、メグルミン、オラミン、トロメタミンおよび亜鉛の塩を含む。
【0064】
有機塩は、第2級、第3級または第4級アミン塩、例えば、トロメタミン、ジエチルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)、およびプロカインから作製することができる。塩基性窒素含有基は、薬剤、例えば、低級アルキル(C1~C6)ハロゲン化物(例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、および塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、ならびにヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、およびヨウ化ブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル、および硫酸ジアミル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ミリスチル、および塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ミリスチル、および臭化化ステアリル、およびヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ミリスチル、およびヨウ化ステアリル)、ハロゲン化アリールアルキル(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)、およびその他で4級化されていてもよい。
【0065】
一実施形態では、酸および塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩も形成され得る。
適切な塩の概説については、StahlおよびWermuthによる「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties、Selection、and Use」(Wiley-VCH、2002年)を参照されたい。本発明の化合物の薬学的に許容される塩を作製するための方法は当業者には公知である。
【0066】
本発明の化合物は、完全に非晶質から完全に結晶性の範囲の固体連続体で存在し得る。「非晶質」という用語とは、材料が分子レベルで長距離秩序を欠いている状態を指し、温度に応じて、固体または液体の物理的特性を示すことができる。通常このような材料は、特殊なエックス線回折パターンを付与せず、固体の特性を示してはいるが、より正式には液体として記載される。加熱により、明らかな固体から液体特性を有する材料への変化が生じ、これは通常二次転移(「ガラス転移」)の状態変化を特徴とする。「結晶性」という用語は、材料が分子レベルで規則正しい、秩序化した内部構造を有し、定義されたピークを有する特殊なエックス線回折パターンが得られる固相を指す。このような材料は、十分に加熱した場合、液体の特性も示すが、固体から液体への変化は相変化、通常一次転移(「融点」)を特徴とする。
【0067】
本発明の化合物はまた、適切な条件の対象下におかれた場合、メソモルフィック状態(メソ相または液晶)で存在することもできる。メソモルフィック状態とは真の結晶状態と真の液体状態(融解液または溶液のいずれか)との間の中間体である。温度変化の結果として生じるメソモルフィズムは「サーモトロピック」と記載され、第2構成成分、例えば、水または別の溶媒の添加により生成されるモルフィズムは「リオトロピック」と記載される。リオトロピックメソ相を形成する可能性を有する化合物は、「両親媒性」と記載され、イオン性(例えば、-COO-Na+、-COO-K+、または-SO3
-Na+)または非イオン性(例えば、-N-N+(CH3)3)の極性頭部基を保有する分子からなる。さらなる情報については、N.H.HartshorneおよびA.Stuartによる、Crystals and the Polarizing Microscope、第4版(Edward Arnold、1970年)を参照されたい。
【0068】
本発明はまた、本発明の化合物のプロドラッグにも関する。よって、それ自体わずかな薬理学的活性を有してもよいし、薬理学的活性を有していなくてもよい本発明の化合物のある特定の誘導体は、体内にまたは身体上に投与された場合、例えば、加水分解的切断により、所望の活性を有する式Iの化合物へと変換され得る。このような誘導体は「プロドラッグ」と呼ばれる。プロドラッグの使用についてのさらなる情報は、Pro-drugs as Novel Delivery Systems、14巻、ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびW.Stella)およびBioreversible Carriers in Drug Design、Pergamon Press、1987年(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association)に見出すことができる。
【0069】
本発明によるプロドラッグは、例えば、本発明の化合物に存在する適当な官能基を、「プロ部分」として当業者に公知のある特定の部分で置き換えることにより生成することができ、例えば、これは、H.Bundgaardによる、Design of Prodrugs(Elsevier、1985年)、またはProdrugs:Challenges and Reward、2007年版、Valentino Stella編、Ronald Borchardt、Michael Hageman、Reza Oliyai、Hans Maag、Jefferson Tilley、134~175頁(Springer、2007年)に記載されている。
【0070】
さらに、本発明のある化合物は、それ自体本発明の他の化合物のプロドラッグとして作用することができる。
本発明はまた、保護基を含有する本発明の化合物を包含する。当業者であればまた、本発明の化合物は、精製または貯蔵に対して有用であり、患者への投与前に除去することができるある特定の保護基を用いて調製され得ることも認識している。官能基の保護および脱保護は「Protective Groups in Organic Chemistry」、J.W.F.McOmie編、Plenum Press(1973年)ならびに「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Wiley-Interscience(1999年)に記載されている。
【0071】
本発明の化合物の代謝産物、すなわち、薬物投与によりin vivoで形成される化合物もまた本発明の範囲内に含まれる。
本発明はまた、本明細書で列挙されたものと同一であるすべての薬学的に許容される同位体標識化合物を含み、これら同位体標識化合物において、1個または複数の原子は、同じ原子番号を有するが、自然界で優位を占める原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する原子で置き換えられている。本発明の化合物に包含されるのに適した同位体の例として、これらに限定されないが、水素の同位体、例えば、2H、3H;炭素の同位体、例えば、11C、13C、および14C;塩素の同位体、例えば、36Cl;フッ素の同位体、例えば、18F;ヨウ素の同位体、例えば、123Iおよび125I;窒素の同位体、例えば、13Nおよび15N;酸素の同位体、例えば、15O、17O、および18O;リンの同位体、例えば、32P;ならびに硫黄の同位体、例えば、35Sが挙げられる。本発明のある特定の同位体標識された化合物、例えば、放射性同位体を組み込んでいるものなどは、薬物および/または基質組織分布実験(例えば、アッセイ)に有用である。放射性同位体トリチウム、すなわち、3H、および炭素14、すなわち、14Cは特に、これらの組込みの容易さおよび素早い検出手段を考慮するとこの目的に対して有用である。より重い同位体、例えば、重水素、すなわち、2Hによる置換は、より大きな代謝安定性から生じるある特定の治療上の利点、例えば、in vivo半減期の増加または必要投与量の減少をもたらすことができ、したがって、いくらかの状況において好ましいこともある。ポジトロン発光同位体、例えば、11C、15F、18F、15Oおよび13Nによる置換は、基質受容体占有率を試験するためのポジトロン放出断層撮影(PET)実験において有用であり得る。本発明の同位体標識化合物は一般的に、当業者に公知の従来技術により、または以前利用していた非標識試薬の代わりに適当な同位体標識試薬を使用して、添付のスキームおよび/もしくは実施例ならびに調製に記載のものと類似のプロセスにより調製することができる。本発明による薬学的に許容される溶媒和物は、結晶化溶媒が同位体置換されていてもよいもの、例えば、D2O、アセトン-d6、またはDMSO-d6を含む。以下に記載の実施例1~51に例示された化合物を含む本発明の化合物は、これらの化合物の同位体標識バージョン、例えば、これらに限定されないが、重水素化同位体およびトリチウム化同位体ならびに上記に論じられたすべての他の同位体を含む。
【0072】
ある特定の実施形態では、本発明は、ポジトロン発光トモグラフィー(PET)を使用して、組織(例えば、脳)内のM4化合物の分布を画像化および定量化するのに有用な新規の、選択的、放射標識M4アゴニストを対象とする。
【0073】
化合物
上述した、式Iの化合物は、ピペラジン-1-イル-2-アザスピロカルボキシレートコアを含有し、ピペラジンは、R1およびR2で置換されている6員ヘテロアリール(ピリジンまたはピラジン)に結合しており、アザスピロ部分は2-アザスピロ[3.4]オクタン、6-アザスピロ[3.4]オクタン、または2-アザスピロ[3.3]ヘプタンから選択される。
【0074】
一実施形態では、上記に記載の式Iにおいて、X1は窒素であり、X2はCHである。
別の実施形態では、X1は窒素であり、X2は窒素である。
さらに別の実施形態では、X1はCHであり、X2は窒素である。
【0075】
X1およびX2の上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のR1,R2、mおよびnに対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0076】
別の実施形態では、上記に記載の式Iにおいて、R1は、ハロゲン、シアノ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(C3~C6)シクロアルキルからなる群から選択され、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(C3~C6)シクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基でそれぞれ場合によって置換されている。
【0077】
ある特定の実施形態では、R1は(C1~C6)アルコキシである。R1が(C1~C6)アルコキシである場合、該アルコキシは、これらに限定されないが、メトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロメトキシ、およびトリフルオロメトキシを含む。
【0078】
ある特定の実施形態ではR1は(C3~C6)シクロアルキルである。R1が(C3~C6)シクロアルキルである場合、該シクロアルキルは、これらに限定されないが、シクロプロピルを含む。
【0079】
別の実施形態では、上記に記載の式Iにおいて、R1は、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、チアゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、トリアゾロピリジニル、およびオキサジアゾリルからなる群から選択される(5~10員)ヘテロアリールであり、前記(5~10員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、-(CH2)2-O-CH2CH3、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている。
【0080】
別の実施形態では、上記に記載の式Iにおいて、R1は(5~6員)ヘテロアリールである。
R1が置換(5~10員)ヘテロアリールまたは置換(5~6員)ヘテロアリールである場合、該置換基(複数可)は(C1~C6)アルキルまたは(C1~C6)アルコキシであり、該アルキル置換基は、これらに限定されないが、メチル、エチル、シアノブチル、およびエトキシエチルを含み、該アルコキシ置換基は、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロエトキシ、およびフルオロメトキシを含む。
【0081】
別の実施形態では、上記に記載の式Iにおいて、R1は、オキセタニル、モルホリノ、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタ-6-イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピロリジニル、およびピペリジニルからなる群から選択される(4~8員)ヘテロシクロアルキルであり、前記ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている。
【0082】
R1が置換(4~8員)ヘテロシクロアルキルである場合、該置換基(複数可)は(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシまたは(5~6員)ヘテロアリールであり、該アルキル置換基は、これらに限定されないが、メチル、エチル、シアノブチル、およびエトキシエチルを含み、該アルコキシ置換基(複数可)は、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロエトキシ、およびフルオロメトキシを含み、該(5~6員)ヘテロアリール置換基はピラゾリルであり、該ピラゾリルはメチル置換基で場合によって置換されている。
【0083】
R1の上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のX1、X2、R2、mおよびnに対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0084】
別の実施形態では、上記に記載の式Iにおいて、R2は水素である。
別の実施形態では、R2はフルオロである。
R2の上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のX1、X2、R1、mおよびnに対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0085】
別の実施形態では、上記に記載の式Iにおいて、mは2であり、nは1である。
別の実施形態では、mは1であり、nは2である。
別の実施形態では、mは1であり、nは1である。
【0086】
mおよびnの上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のX1、X2、R1、およびR2に対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0087】
ある特定の他の実施形態では、本発明は、式IAの化合物:
【0088】
【0089】
(式中、
X1およびX2は、それぞれ独立して、CHまたは窒素であるが、ただし、X1およびX2の両方ともがCHであることはできないものとし、
R1は、ハロゲン、シアノ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C10)アリール、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C10)アリール、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキルおよび(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、
R2は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択され、前記(C1~C6)アルキルおよび(C1~C6)アルコキシは、1~3つのハロゲンで場合によって置換されている)もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩である。
【0090】
一実施形態では、上記に記載の式IAにおいて、X1は窒素であり、X2はCHである。
別の実施形態では、X1は窒素であり、X2は窒素である。
【0091】
さらに別の実施形態では、X1はCHであり、X2は窒素である。
X1およびX2の上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のR1,R2、mおよびnに対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0092】
別の実施形態では、上記に記載の式IAにおいて、R1は、ハロゲン、シアノ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(C3~C6)シクロアルキルからなる群から選択され、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(C3~C6)シクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基でそれぞれ場合によって置換されている。
【0093】
ある特定の実施形態では、R1は(C1~C6)アルコキシである。R1が(C1~C6)アルコキシである場合、該アルコキシは、これらに限定されないが、メトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロメトキシ、およびトリフルオロメトキシを含む。
【0094】
ある特定の実施形態では、R1は(C3~C6)シクロアルキルである。R1が(C3~C6)シクロアルキルである場合、該シクロアルキルは、これらに限定されないが、シクロプロピルを含む。
【0095】
別の実施形態では、上記に記載の式IAにおいて、R1は、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、チアゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、トリアゾロピリジニル、およびオキサジアゾリルからなる群から選択される(5~10員)ヘテロアリールであり、前記(5~10員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、-(CH2)2-O-CH2CH3、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている。
【0096】
別の実施形態では、上記に記載の式IAにおいて、R1はハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている(5~6員)ヘテロアリールであり、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている。
【0097】
R1が置換(5~10員)ヘテロアリールまたは置換(5~6員)ヘテロアリールである場合、該置換基(複数可)は(C1~C6)アルキルまたは(C1~C6)アルコキシであり、該アルキル置換基は、これらに限定されないが、メチル、エチル、シアノブチル、およびエトキシエチルを含み、該アルコキシ置換基は、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロエトキシ、およびフルオロメトキシを含む。
【0098】
別の実施形態では、上記に記載の式IAにおいて、R1は、オキセタニル、モルホリノ、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタ-6-イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピロリジニル、およびピペリジニルからなる群から選択される(4~8員)ヘテロシクロアルキルであり、前記ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている。
【0099】
R1が置換(4~8員)ヘテロシクロアルキルである場合、該置換基(複数可)は(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシまたは(5~6員)ヘテロアリールであり、該アルキル置換基は、これらに限定されないが、メチル、エチル、シアノブチル、およびエトキシエチルを含み、該アルコキシ置換基(複数可)は、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロエトキシ、およびフルオロメトキシを含み、該(5~6員)ヘテロアリール置換基はピラゾリルであり、該ピラゾリルはメチル置換基で場合によって置換されている。
【0100】
R1の上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のX1、X2、およびR2に対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0101】
別の実施形態では、上記に記載の式IAにおいて、R2は水素である。
別の実施形態では、R2はフルオロである。
R2の上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のX1、X2、およびR1に対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0102】
ある特定の他の実施形態では、本発明は、式IBの化合物:
【0103】
【0104】
(式中、
X1およびX2は、それぞれ独立して、CHまたは窒素であるが、ただし、X1およびX2の両方ともがCHであることはできないものとし、
R1は、ハロゲン、シアノ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C10)アリール、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C10)アリール、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキルおよび(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、
R2は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択され、前記(C1~C6)アルキルおよび(C1~C6)アルコキシは、1~3つのハロゲンで場合によって置換されている)もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩である。
【0105】
一実施形態では、上記に記載の式IBにおいて、X1は窒素であり、X2はCHである。
別の実施形態では、X1は窒素であり、X2は窒素である。
【0106】
さらに別の実施形態では、X1はCHであり、X2は窒素である。
X1およびX2の上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のR1,R2、mおよびnに対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0107】
別の実施形態では、上記に記載の式IBにおいて、R1は、ハロゲン、シアノ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(C3~C6)シクロアルキルからなる群から選択され、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(C3~C6)シクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基でそれぞれ場合によって置換されている。
【0108】
ある特定の実施形態では、R1は(C1~C6)アルコキシである。R1が(C1~C6)アルコキシである場合、該アルコキシは、これらに限定されないが、メトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロメトキシ、およびトリフルオロメトキシを含む。
【0109】
ある特定の実施形態では、R1は(C3~C6)シクロアルキルである。R1が(C3~C6)シクロアルキルである場合、該シクロアルキルは、これらに限定されないが、シクロプロピルを含む。
【0110】
別の実施形態では、上記に記載の式IBにおいて、R1は、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、チアゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、トリアゾロピリジニル、およびオキサジアゾリルからなる群から選択される(5~10員)ヘテロアリールであり、前記(5~10員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている。
【0111】
別の実施形態では、上記に記載の式IBにおいて、R1は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている(5~6員)ヘテロアリールであり、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている。
【0112】
R1が置換(5~10員)ヘテロアリールまたは置換(5~6員)ヘテロアリールである場合、該置換基(複数可)は(C1~C6)アルキルまたは(C1~C6)アルコキシであり、該アルキル置換基は、これらに限定されないが、メチル、エチル、シアノブチル、およびエトキシエチルを含み、該アルコキシ
置換基は、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロエトキシ、およびフルオロメトキシを含む。
【0113】
別の実施形態では、上記に記載の式IBにおいて、R1はオキセタニル、モルホリノ、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタ-6-イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピロリジニル、およびピペリジニルからなる群から選択される(4~8員)ヘテロシクロアルキルであり、前記ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキルおよび前記(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている。
【0114】
R1が置換(4~8員)ヘテロシクロアルキルである場合、該置換基(複数可)は(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシまたは(5~6員)ヘテロアリールであり、該アルキル置換基は、これらに限定されないが、メチル、エチル、シアノブチル、およびエトキシエチルを含み、該アルコキシ置換基(複数可)は、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロエトキシ、およびフルオロメトキシを含み、該(5~6員)ヘテロアリール置換基はピラゾリルであり、該ピラゾリルはメチル置換基で場合によって置換されている。
【0115】
R1の上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のX1、X2、およびR2に対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0116】
別の実施形態では、上記に記載の式IBにおいて、R2は水素である。
別の実施形態では、R2はフルオロである。
R2の上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のX1、X2、およびR1に対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0117】
ある特定の他の実施形態では、本発明は、式ICの化合物:
【0118】
【0119】
(式中、
X1およびX2は、それぞれ独立して、CHまたは窒素であるが、ただし、X1およびX2の両方ともがCHであることはできないものとし、
R1は、ハロゲン、シアノ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C10)アリール、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C10)アリール、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキルおよび(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、
R2は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択され、前記(C1~C6)アルキルおよび(C1~C6)アルコキシは、1~3つのハロゲンで場合によって置換されている)もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩である。
【0120】
一実施形態では、上記に記載の式ICにおいて、X1は窒素であり、X2はCHである。
別の実施形態では、X1は窒素であり、X2は窒素である。
【0121】
さらに別の実施形態では、X1はCHであり、X2は窒素である。
X1およびX2の上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のR1およびR2に対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0122】
別の実施形態では、上記に記載の式ICにおいて、R1は、ハロゲン、シアノ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(C3~C6)シクロアルキルからなる群から選択され、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(C3~C6)シクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基でそれぞれ場合によって置換されている。
【0123】
ある特定の実施形態では、R1は(C1~C6)アルコキシである。R1が(C1~C6)アルコキシである場合、該アルコキシは、これらに限定されないが、メトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロメトキシ、およびトリフルオロメトキシを含む。
【0124】
ある特定の実施形態では、R1は(C3~C6)シクロアルキルである。R1が(C3~C6)シクロアルキルである場合、該シクロアルキルは、これらに限定されないが、シクロプロピルを含む。
【0125】
別の実施形態では、上記に記載の式ICにおいて、R1は、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、チアゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、トリアゾロピリジニル、およびオキサジアゾリルからなる群から選択される(5~10員)ヘテロアリールであり、前記(5~10員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、-(CH2)2-O-CH2CH3、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている。
【0126】
別の実施形態では、上記に記載の式ICにおいて、R1は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている(5~6員)ヘテロアリールであり、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている。
【0127】
R1が置換(5~10員)ヘテロアリールまたは置換(5~6員)ヘテロアリールである場合、該置換基(複数可)は(C1~C6)アルキルまたは(C1~C6)アルコキシであり、該アルキル置換基は、これらに限定されないが、メチル、エチル、シアノブチル、およびエトキシエチルを含み、該アルコキシ置換基は、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロエトキシ、およびフルオロメトキシを含む。
【0128】
別の実施形態では、上記に記載の式ICにおいて、R1は、オキセタニル、モルホリノ、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタ-6-イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピロリジニル、およびピペリジニルからなる群から選択される(4~8員)ヘテロシクロアルキルであり、前記ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている。
【0129】
R1が置換(4~8員)ヘテロシクロアルキルである場合、該置換基(複数可)は(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシまたは(5~6員)ヘテロアリールであり、該アルキル置換基は、これらに限定されないが、メチル、エチル、シアノブチル、およびエトキシエチルを含み、該アルコキシ置換基(複数可)は、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロエトキシ、およびフルオロメトキシを含み、該(5~6員)ヘテロアリール置換基はピラゾリルであり、該ピラゾリルはメチル置換基で場合によって置換されている。
【0130】
R1の上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のX1、X2、およびR2に対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0131】
別の実施形態では、上記に記載の式ICにおいて、R2は水素である。
別の実施形態では、R2はフルオロである。
R2の上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のX1、X2、およびR1に対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0132】
ある特定の他の実施形態では、本発明は、式I’の化合物:
【0133】
【0134】
(式中、
X1およびX2は、それぞれ独立して、CHまたは窒素であるが、ただし、X1およびX2の両方ともがCHであることはできないものとし、
R1は、ハロゲン、シアノ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C10)アリール、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、-O-(4~6員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C10)アリール、(5~10員)ヘテロアリールおよび(4~8員)ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキルおよび(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、
R2は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択され、前記(C1~C6)アルキルおよび(C1~C6)アルコキシは、1~3つのハロゲンで場合によって置換されており、
mは1または2であり、
nは1または2である)もしくはそのN-オキシド、または化合物もしくはN-オキシドの薬学的に許容される塩である。
【0135】
一実施形態では、上記に記載の式I’において、X1は窒素であり、X2はCHである。
別の実施形態では、X1は窒素であり、X2は窒素である。
【0136】
さらに別の実施形態では、X1はCHであり、X2は窒素である。
X1およびX2の上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のR1,R2、mおよびnに対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0137】
別の実施形態では、上記に記載の式I’において、R1は、ハロゲン、シアノ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(C3~C6)シクロアルキルからなる群から選択され、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(C3~C6)シクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基でそれぞれ場合によって置換されている。
【0138】
ある特定の実施形態では、R1は(C1~C6)アルコキシである。R1が(C1~C6)アルコキシである場合、該アルコキシは、これらに限定されないが、メトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロメトキシ、およびトリフルオロメトキシを含む。
【0139】
ある特定の実施形態では、R1は(C3~C6)シクロアルキルである。R1が(C3~C6)シクロアルキルである場合、該シクロアルキルは、これらに限定されないが、シクロプロピルを含む。
【0140】
別の実施形態では、上記に記載の式I’において、R1は、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、チアゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、トリアゾロピリジニル、およびオキサジアゾリルからなる群から選択される(5~10員)ヘテロアリールであり、前記(5~10員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、-(CH2)2-O-CH2CH3、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている。
【0141】
別の実施形態では、上記に記載の式I’において、R1は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている(5~6員)ヘテロアリールであり、前記(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、および前記(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている。
【0142】
R1が置換(5~10員)ヘテロアリールまたは置換(5~6員)ヘテロアリールである場合、該置換基は(C1~C6)アルキルまたは(C1~C6)アルコキシであり、該アルキル置換基は、これらに限定されないが、メチル、エチル、シアノブチル、およびエトキシエチルを含み、該アルコキシ置換基(複数可)は、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロエトキシ、およびフルオロメトキシを含む。
【0143】
別の実施形態では、上記に記載の式I’において、R1は、オキセタニル、モルホリノ、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタ-6-イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピロリジニル、およびピペリジニルからなる群から選択される(4~8員)ヘテロシクロアルキルであり、前記ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、および(5~6員)ヘテロアリールからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されており、前記(C1~C6)アルキルおよび前記(5~6員)ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C1~C6)アルキル、および(C1~C6)アルコキシからなる群から選択される1~3つの置換基で場合によって置換されている。
【0144】
R1が置換(4~8員)ヘテロシクロアルキルである場合、該置換基(複数可)は(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシまたは(5~6員)ヘテロアリールであり、該アルキル置換基は、これらに限定されないが、メチル、エチル、シアノブチル、およびエトキシエチルを含み、該アルコキシ置換基(複数可)は、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロエトキシ、およびフルオロメトキシを含み、該(5~6員)ヘテロアリール置換基はピラゾリルであり、該ピラゾリルはメチル置換基で場合によって置換されている。
【0145】
R1の上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のX1、X2、R2、mおよびnに対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0146】
別の実施形態では、上記に記載の式I’において、R2は水素である。
別の実施形態では、R2はフルオロである。
R2の上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のX1、X2、R1、mおよびnに対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0147】
別の実施形態では、上記に記載の式I’において、mは2であり、nは1である。
別の実施形態では、mは1であり、nは2である。
別の実施形態では、mは1であり、nは1である。
【0148】
mおよびnの上述された亜属(実施形態)のいずれもが、本明細書の上記およびこれより以下に記載のX1、X2、R1、およびR2に対する亜属のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0149】
ある特定の他の実施形態では、本発明は、M4媒介性(またはM4関連)疾患または障害の処置における、本発明の化合物、または本発明の化合物のいずれか1つのN-オキシド、もしくは薬学的に許容される塩の使用を対象とする。
【0150】
ある特定の他の実施形態では、本発明は、患者において、M4媒介性(またはM4関連)疾患または障害を処置するための方法であって、患者に治療有効量の本発明の化合物、または本発明の化合物のいずれか1つのN-オキシド、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を対象とする。
【0151】
ある特定の実施形態では、本発明の化合物は、M4受容体アゴニストであり、該化合物は、天然リガンド(例えばアセチルコリン)の不在下で、M4受容体に対する結合親和性を有し、M4受容体に対する作用を誘発する。
【0152】
ある特定の他の実施形態では、本発明は、M4媒介性(またはM4関連)疾患または障害が、アルツハイマー病、統合失調症、疼痛、嗜癖、睡眠障害、認知障害(例えば、軽度認知機能障害、加齢に伴う軽度認知機能障害、および健忘性軽度認知機能障害)、パーキンソン病、パーキンソン病レボドパ誘発性ジスキネジー(PD-LID)、ハンチントン病、ジスキネジー、ドライマウス、肺高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、尿失禁、緑内障、21トリソミー(ダウン症候群)、脳アミロイド血管症、認知症、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(HCHWA-D)、クロイツフェルトヤコブ病、プリオン障害、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、頭部外傷、脳卒中、膵炎、封入体筋炎、他の末梢性アミロイドーシス、糖尿病、自閉症、およびアテローム性動脈硬化症からなる群から選択される疾患または障害である、上述された使用を対象とする。
【0153】
ある特定の実施形態では、M4媒介性(またはM4関連)疾患または障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、統合失調症、疼痛、嗜癖、および睡眠障害からなる群から選択される疾患または障害である。
【0154】
本発明はまた、新規の本発明の化合物を含む組成物(例えば、医薬品組成物)を提供する。したがって、一実施形態では、本発明は、(治療有効量の)新規の本発明の化合物を含み、薬学的に許容される担体を場合によって含む医薬組成物を提供する。1つのさらなる実施形態では、本発明は、(治療有効量の)本発明の化合物を含み、薬学的に許容される担体、および場合によって、少なくとも1種の追加の医薬用または薬学的薬剤(例えば、以下に記載されている抗精神病剤または抗統合失調症剤)を場合によって含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、追加の医薬用または薬学的薬剤は以下に記載されているような抗統合失調症剤である。
【0155】
薬理
ムスカリンアセチルコリン受容体M4(ムスカリン4またはCHRM4としても公知)は、CHRM4遺伝子に対してコードされるヒトタンパク質である。M4受容体は主に脳内で発現される。M4受容体の発現が生じる脳の主な領域は、線条体、皮質、および海馬であり、最も高い発現は、M4が主要ムスカリンのサブタイプ(およそ46%)である線条体において生じる。M4は末梢部(例えば、精巣、皮膚および結腸)において散発的に発現される。
【0156】
M4受容体はGq/iタンパク質にカップリングし、線条体および中脳において阻害性オートレセプターとして(Zhangら、2002年、Tzavaraら、2004年)、ならびに線条体、新皮質および海馬においてシナプス後の調節性受容体として機能する(Levyら、1991年、Zhangら、1997年)。M4受容体はまた、シナプス前に、皮質から線条体へのグルタミン酸作動性シナプシス(Pancani、T.ら、「Allosteric activation of M4 improve behavioral and physiological alterations in early symptomatic YAC128 mice」、Proceedings of the National Academy of the Sciences of the United States of America、2015年11月10日、112巻(45号):14078~83頁)、および海馬グルタメートニューロン(ここでシナプス前M4がグルタメート放出をモジュレートする)にも見出される。M4受容体の最も高い発現は、線条体において見出され、M4受容体はまた、ドーパミン作動性神経伝達に対する調節作用を保有し、GABAを主要な神経伝達物質として含有する、線条体中型有棘ニューロンのサブセットにおいてD1ドーパミン受容体と共に共発現される(Bernardら、1992年;DiChiaraら、1994年、Inceら、1997年)。
【0157】
選択的M4アゴニストの投与により、統合失調症の処置に対する抗精神病活性が得られると仮定されてきた(Felderら、「Elucidating the Role of Muscarinic Receptors in Psychosis」、Life Sci.、68巻:2605~2613頁、2001年)。この意見は、ドーパミン作動性およびコリン作動性神経伝達の動力学をM4受容体がモジュレートし、ドーパミン機能亢進の状態がM4機能の損失と共に生じることを実証した実験によりさらに支持された(Tzavaraら、「M4 Muscarinic Receptors Regulate the Dynamics of Cholinergic and Dopaminergic Neurotransmission:relevance to the pathophysiology and treatment of related CNS pathologies」、FASEB J.、18巻:1410~1412頁、2004年)。
【0158】
本発明の化合物はまた、アルツハイマー病および統合失調症に伴う神経精神医学的症状(すなわち、行動症状)を処置する/緩和するのに有用となり得る(Foster、Daniel J.ら、「Activation of M1 and M4 muscarinic receptors as potential treatments for Alzheimer’s disease and schizophrenia」、Neuropsychiatric Disease and Treatment、2014年、10巻、183~191頁)。これら行動症状は、これらに限定されないが、激越、不安、過敏性、闘争的なこと、失見当識、錯覚、妄想、感情鈍麻、うつ病、脱抑制、異常運動および強迫的行動、ならびに睡眠障害を含む(Dillon、Carolら、「Behavioral symptoms related to cognitive impairment」、Neuropsychiatric Disease and Treatment 2013年、9巻、1443~1455頁)。上述された行動症状を処置する/緩和することにより、本発明の化合物はまた認知を増強すると考えられている。
【0159】
上記を考慮して、本発明の化合物は、統合失調症およびアルツハイマー病の処置に有用となり得る。本発明の化合物はまた、パーキンソン病、ハンチントン病、嗜癖、うつ病およびてんかんの処置にも有用となり得る。
【0160】
本発明のM4選択的活性化因子はまた、神経性、神経変性および/または精神医学的障害を含む中枢神経系の状態または疾患の処置に対する広範囲な他の治療的用途を有し得ると考えられている。神経、神経変性および/または精神医学的障害として、これらに限定されないが、(1)気分[感情]障害;(2)不安障害を含む、神経症的、ストレスに関連したおよび身体表現性障害;(3)ヒトを含む哺乳動物における認知欠陥の症状を含む障害;(4)注意欠損を含む障害、実行機能欠損(短期記憶欠損)、インパルス制御の機能不全、錐体外路症状、基底核、海馬および前頭前皮質の異常に基づく障害;(5)普通小児期および思春期に発症する行動障害および情動障害;(6)精神発達の障害;(7)中枢神経系に主に影響を与える全身性萎縮;(8)錐体外路障害および運動障害;(9)生理学的障害および肉体的要因に伴う行動症候群;(10)成人の人格障害および行動障害;(11)統合失調症および他の精神病性障害;(12)精神活性物質の使用による精神障害および行動障害;(13)過剰性的亢進を含む性機能不全;(14)精神遅滞;(15)虚偽性障害、例えば、急性幻覚性躁病;(16)偶発性および発作性障害、てんかん;(17)ナルコレプシー;(18)認知症、ならびに(19)筋萎縮性側索硬化症が挙げられる。
【0161】
本発明に従い処置され得る気分[感情]障害の例として、これらに限定されないが、双極性障害I型、軽躁病(躁病および混合形態)、双極性障害II型;抑うつ障害、例えば、単一のうつ病エピソードまたは再発性大うつ病性障害、慢性うつ病、精神病性うつ病、小うつ病性障害、出産後に発症する抑うつ障害、精神病性症状を伴う抑うつ障害;持続性気分[感情]障害、例えば、循環気質、気分変調、気分正常;月経前症候群(PMS)および月経前不快気分障害が挙げられる。
【0162】
本発明に従い処置され得る神経症的、ストレスに関連したおよび身体表現性障害の例として、これらに限定されないが、不安障害、社会性不安障害、全般性不安障害、広場恐怖症を伴う、または伴わないパニック障害、特定の恐怖症、対人恐怖症、慢性不安障害;強迫性障害;強いストレスに対する反応および適応障害、例えば、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害;他の神経症的障害、例えば、自我感喪失-現実感消失症候群が挙げられる。
【0163】
本明細書で使用される「認知欠陥」および「認知欠陥の症状を含む障害」という句は、同年齢の一般的集団内の他の個体と比較した、特定の個体における1つまたは複数の認知性局面、例えば、記憶、知性、学習およびロジック能力、または注意および実行機能(短期記憶)などにおける正常以下の機能または最適以下の機能を指す。
【0164】
本発明に従い処置され得る「認知欠陥の症状を含む障害」の例として、これらに限定されないが、認知欠損、主にこれらだけに限らないが健忘症、精神病(統合失調症)、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発硬化性認知症、老人性認知症、ルイス身体認知症、脳卒中、前頭側頭認知症、進行性核上性麻痺、ハンチントン病、HIV疾患(HIVに伴う認知症)、脳外傷および薬物乱用;軽度認知障害ADHD、アスペルガー症候群、および加齢に伴う記憶障害;術後のまたは集中ケア療法に伴う認知機能低下またはせん妄に関係するものが挙げられる。
【0165】
本発明に従い処置され得る、普通は乳児期、小児期および思春期に最初に診断される障害の例として、これらに限定されないが、運動過多障害、例えば、活動および注意力の撹乱、注意欠陥多動性障害(ADHD)、運動過多症を含めたもの;注意欠陥障害(ADD);素行障害、これらに限定されないが、抑うつ性素行障害を含めたもの;チック障害、一時的チック障害、慢性運動または音声チック障害、音声および複数の運動チック障害の組合わせ(ジルドラトゥレット症候群)、物質誘発性チック障害を含めたもの;自閉症性障害;バッテン病、自慰過剰、爪かみ、鼻ほじりおよび指しゃぶりが挙げられる。
【0166】
本発明に従い処置され得る精神発達障害の例として、これらに限定されないが、広汎性発達障害が挙げられ、この広汎性発達障害は、これらに限定されないが、アスペルガー症候群およびレット症候群、自閉症性障害、精神遅滞および常同運動に伴う小児期自閉症および過動性障害、運動機能の特異的発育障害、学習能力の特異的発育障害を含む。
【0167】
本発明に従い処置され得る、中枢神経系に主に影響を与える全身性萎縮の例として、これに限定されないが、基底核に主に影響を与える多発性硬化症全身性萎縮が挙げられ、これにはハンチントン病、および筋萎縮性側索硬化症が含まれる。
【0168】
本発明に従い処置され得る、基底核の異常および/または変性を有する錐体外路障害および運動障害の例として、これらに限定されないが、ハンチントン病;パーキンソン病;続発性パーキンソニズム、例えば、脳炎後パーキンソニズム;他の障害に含まれるパーキンソニズム;ニーマンピック病、レビー小体病;基底核の変性疾患;他の錐体外路障害および運動障害、例えば、振戦、本態性振戦および薬物誘発性振戦、ミオクローヌス、舞踏病および薬物誘発性舞踏病、薬物誘発性チックおよび有機物由来のチック、薬物誘発性急性ジストニー、薬物誘発性遅発性ジスキネジー、振戦を含む筋痙直または衰弱に伴う筋肉痙縮および筋障害を含めたものなど;精神欠陥(痙直、ダウン症候群および脆弱X症候群を含む)、Lドーパ誘発性ジスキネジー;下肢静止不能症候群およびスティッフマン症候群が挙げられる。
【0169】
本発明に従い処置され得る、基底核の異常および/または変性を有する運動障害のさらなる例として、これらに限定されないが、ジストニーが挙げられ、ジストニーには、これらに限定されないが、局所性ジストニー、多限局性または分節性ジストニー、捻転性ジストニー、半球型、全身性および遅発性ジストニー(精神薬理学薬物により誘発)が含まれる。局所性ジストニーとして、頚部ジストニー(斜頚)、眼瞼痙攣(眼瞼の痙攣)、四肢ジストニー(書痙など先端部の痙攣)、または下顎ジストニーおよび痙攣性発声障害(声帯の痙攣);神経弛緩剤誘発性運動障害、例えば、これらに限定されないが、神経遮断薬悪性症候群(NMS)、神経弛緩剤誘発性パーキンソニズム、神経弛緩剤誘発性早期発症型または急性ジスキネジー、神経弛緩剤誘発性急性ジストニー、神経弛緩剤誘発性急性アカシジア、神経弛緩剤誘発性遅発性ジスキネジー、および神経弛緩剤誘発性振戦を含めたものが挙げられる。
【0170】
本発明による生理学的障害および肉体的要因に伴う行動症候群の例として、これらに限定されないが、非器質性睡眠障害、例えば、これらに限定されないが、非器質性睡眠過剰、非器質性睡眠覚醒スケジュール障害(サーカディアンリズム睡眠障害)、不眠症、睡眠時随伴症および睡眠妨害を含めたもの;出生後および出産後うつ病を含む産褥に伴う精神障害および行動障害;摂食障害、例えば、これらに限定されないが、拒食症、神経性過食症、気晴らし食い障害、多食症、肥満、強迫性摂食障害および氷食症を含めたものが挙げられる。
【0171】
本発明に従い処置され得る成人の人格障害および行動障害の例として、これらに限定されないが、人格障害、例えば、これらに限定されないが、情動不安定、境界型、強迫的、強迫性、依存性および受動攻撃性人格障害を含めたもの;習慣性およびインパルス障害(インパルス制御障害)、例えば、間欠性爆発性障害、病的賭博、病的放火(放火癖)、病的窃盗(窃盗癖)、抜毛癖を含めたもの;ミュンヒハウゼン症候群が挙げられる。
【0172】
本発明に従い処置され得る統合失調症および他の精神病性障害の例として、これらに限定されないが、異なるタイプの連続的または偶発性の統合失調症(例えば、妄想型、破瓜型、緊張型、鑑別不能型、残遺型、および統合失調症様障害);統合失調型障害(例えば、境界型、潜伏性、精神病前、前認知症期、偽神経症性統合失調症および統合失調型人格障害);持続性妄想性障害;急性、一時的および持続性精神病性障害;誘発性妄想性障害;異なるタイプの統合失調感情障害(例えば、躁うつ病または混合型);産褥精神病ならびに他のおよび特定されていない非器質性精神病、例えば、統合失調症における引きこもりが挙げられる。
【0173】
本発明に従い処置され得る、精神活性物質の使用による精神障害および行動障害の例として、これらに限定されないが、アルコール、オピオイド、カンナビノイド、鎮静剤または睡眠薬、コカインの使用による精神障害および行動障害;カフェインを含む他の刺激剤の使用による精神障害および行動障害;薬物依存および乱用(例えば、麻薬依存、アルコール中毒、アンフェタミンおよびメタンフェタミン依存、オピオイド依存、コカイン嗜癖、ニコチン依存、ならびに薬物禁断症状症候群、ならびに再発予防)、幻覚薬、タバコ(ニコチン)、揮発性溶媒の使用による精神障害および行動障害、ならびに複数の薬物の使用および他の精神活性物質の使用による精神障害および行動障害、例えば、以下のサブタイプの症状:有害な使用、依存症候群、禁断症状状態、およびせん妄を伴う禁断症状状態などを含めたものが挙げられる。
【0174】
本発明に従い処置され得る認知症の例として、これらに限定されないが、血管性認知症、クロイツフェルトヤコブ病、HIV、頭部外傷、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病による認知症、アルツハイマー型認知症が挙げられる。
【0175】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療有効量の本発明の化合物を、統合失調症の処置を必要とする患者に投与することによる、統合失調症の処置のための本発明の化合物の使用を対象とする。
【0176】
ある特定の他の実施形態では、本発明は、治療有効量の本発明の化合物を、統合失調症に伴う認知機能障害の処置を必要とする患者に投与することによる、統合失調症に伴う認知機能障害の処置のための本発明の化合物の使用をさらに対象とする。
【0177】
本発明の前述の化合物、そのN-オキシド、および薬学的に許容される塩が有用となり得る統合失調症または精神病として、以下の状態のうちの1つまたは複数が挙げられる:統合失調症(妄想型、解体型、緊張型または鑑別不能型)、統合失調症様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、全身病状による精神病性障害、および物質誘発性または薬物誘発性(フェンサイクリジン、ケタミンおよび他の解離性麻酔、アンフェタミンおよび他の精神刺激剤ならびにコカイン)精神性精神病性障害、感情障害に伴う精神病、短期反応精神病、統合失調感情精神病、「統合失調症スペクトル」障害、例えば、統合失調症または統合失調型人格障害、または精神病に伴う疾患(例えば、大うつ病、躁うつ病(双極性)障害、アルツハイマー病および外傷後ストレス症候群)、これには統合失調症の陽性症状と陰性症状の両方および他の精神病が含まれる;認知障害、例えば、認知症(アルツハイマー病、虚血、多発硬化性認知症、外傷、血管系の問題または脳卒中、HIV疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルトヤコブ病、出生時低酸素症、他の全身病状または物質乱用に伴う)を含めたもの;せん妄、健忘性障害、または加齢に伴う認知機能低下。
【0178】
上述の中枢神経系障害に加えて、本発明の化合物は、他のM4媒介性(またはM4関連)障害、例えば、これらに限定されないが、嗜癖(例えば、物質嗜癖、例えば、オピオイド、コカイン、またはアルコールに対する嗜癖)、疼痛(例えば、急性疼痛、炎症性疼痛、および神経障害性疼痛)、および睡眠障害(例えば、レム睡眠調節に関係するもの、例えば、レム睡眠の開始に関係するもの)を処置するために使用することができる。本発明の化合物で処置され得る追加のM4媒介性(またはM4関連)障害または状態として、ドライマウス、認知障害(例えば、軽度認知機能障害)、ジスキネジー、肺高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、尿失禁、緑内障、21トリソミー(ダウン症候群)、脳アミロイド血管症、認知症(例えば、変性認知症)、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(HCHWA-D)、クロイツフェルトヤコブ病、プリオン障害、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、頭部外傷、脳卒中、膵炎、封入体筋炎、他の末梢性アミロイドーシス、糖尿病、自閉症、およびアテローム性動脈硬化症が挙げられる。例えば、US8,664,234を参照されたい。
【0179】
本発明の前述の化合物、そのN-オキシド、および薬学的に許容される塩が有用となり得る潜在的睡眠障害として以下が挙げられる:睡眠の質を増強する;睡眠の質を改善する;睡眠維持を増加させる;対象が眠った時間を、対象が眠ろうと試みた時間で割ることにより計算される値を増加させる;睡眠潜時または入眠(眠りにつくのに要する時間)を低減させる;寝付き困難を低減させる;睡眠の継続を増加させる;睡眠中の覚醒回数を低減させる;夜間の目覚めを低減させる;初期の入眠から覚醒まで費やされる時間を低減する;全睡眠量を増加させる;睡眠の断片化を減少させる;レム睡眠時間のタイミング、頻度または期間を改変する;徐波(すなわちステージ3または4)睡眠時間のタイミング、頻度または期間を改変する;ステージ2睡眠の量およびパーセンテージを増加させる;徐波睡眠を推進する;睡眠中のEEGデルタ活動を増強する;日中の注意力を増加させる;日中の傾眠を減少させる;過剰な日中の眠気を処置または減少させる;不眠症;睡眠過剰;ナルコレプシー;睡眠の中断;睡眠時無呼吸;覚醒;夜行性ミオクローヌス;レム睡眠の中断;時差ボケ;交代勤務者の睡眠障害;睡眠異常;夜驚症;うつ病、情動障害/気分障害に伴う不眠症、ならびに睡眠歩行および遺尿、ならびに加齢に伴う睡眠障害;アルツハイマー型日没現象;概日リズムに伴う状態、ならびに時間帯域横断旅行および交代勤務スケジュールに伴う精神的障害および肉体的障害;レム睡眠の減少を副作用として引き起こす薬物に起因する状態;非回復性睡眠、および筋痛または睡眠中の呼吸障害に伴う睡眠時無呼吸という形で明らかとなる症候群;ならびに睡眠の質の低下から生じる状態。
【0180】
本発明の前述の化合物、そのN-オキシド、および薬学的に許容される塩が有用となり得る疼痛障害として、神経障害性疼痛(例えば、ヘルペス後神経痛、神経損傷、「痛み(dynias)」、例えば、外陰部痛、幻肢痛、神経根引き抜き損傷、有痛性糖尿病性ニューロパシー、有痛性外傷性モノニューロパシー、有痛性多発ニューロパシー);中心性疼痛症候群(神経系のあらゆるレベルにおいて実質的にあらゆる病変により潜在的に引き起こされる);術後痛症候群(例えば、乳房切除後症候群、開胸術後症候群、断端痛);骨および関節痛(変形性関節炎)、反復運動による疼痛、歯痛、がん性疼痛、筋膜疼痛(筋肉損傷、線維筋痛);手術前後の疼痛(一般外科、婦人科系のもの)、慢性疼痛、月経困難症、ならびに狭心症に伴う疼痛、ならびに多様な起源の炎症性疼痛(例えば変形性関節炎、関節リウマチ、リウマチ性疾患、腱鞘滑膜炎および痛風)、頭痛、片頭痛および群発性頭痛、頭痛、1次痛覚過敏、2次痛覚過敏、1次異痛症、2次異痛症、または中枢性増感作用に起因する他の疼痛が挙げられる。
【0181】
本発明の前述の化合物、そのN-オキシドおよび薬学的に許容される塩は、疼痛のオピオイド処置に対する耐性および/または依存を低減するために、ならびに、例えば、アルコール、オピオイド、およびコカインの禁断症状症候群を処置するために使用することができる。
【0182】
製剤
本発明の化合物は経口投与され得る。経口投与は、化合物が消化管に入るように飲み込むことを含むことができ、または化合物が口から血流に直接入る口腔内頬側もしくは舌下投与を利用することもできる。
【0183】
別の実施形態では、本発明の化合物はまた血流、筋肉、または内臓に直接投与され得る。非経口投与に対する適切な手段として、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、側脳室内、尿道内、胸骨内、脳内、筋肉内および皮下が挙げられる。非経口投与に対する適切なデバイスとして、針(マイクロニードルを含む)インジェクター、無針インジェクターおよび点滴技術が挙げられる。
【0184】
別の実施形態では、本発明の化合物はまた、皮膚または粘膜への局所的投与(すなわち、皮膚または経皮的に)が、化合物の体内吸収をもたらすように製剤化され得る。別の実施形態では、本発明の化合物はまた、鼻腔内投与または吸入による投与が化合物の体内吸収をもたらすように製剤化され得る。別の実施形態では、本発明の化合物は、直腸投与または経膣投与が化合物の体内吸収をもたらすように製剤化され得る。
【0185】
化合物および/または化合物を含有する組成物に対する投与レジメンは、患者のタイプ、年齢、体重、性別および病状;状態の重症度;投与経路;ならびに利用される特定の化合物の活性を含む様々な要因に基づく。よって投与レジメンは広く変動し得る。1日当たり、体重1キログラム当たり約0.01mg~約100mgの程度の投与レベルが上記に示された状態の処置において有用である。一実施形態では、本発明の化合物の1日総用量(単回用量または分割用量で投与される)は通常約0.01~約100mg/kgである。別の実施形態では、本発明の化合物の1日総用量は約0.1~約50mg/kgであり、別の実施形態では、約0.5~約30mg/kg(すなわち、体重1kg当たりの本発明の化合物のmg値)である。一実施形態では、投薬は0.01~10mg/kg/日である。別の実施形態では、投薬は0.1~1.0mg/kg/日である。単位剤形組成物は、全部で1日用量となるような量またはその約数を含有し得る。多くの場合、化合物の投与は1日複数回(通常4回以下)繰り返されることになる。通常、1日当たりの複数回用量は、所望する場合、1日総用量を増加させるために使用することができる。
【0186】
経口投与に対して、組成物は、患者への投与量の対症調整に対して、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、75.0、100、125、150、175、200、250および500ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供され得る。医薬は通常、約0.01mg~約500mgの活性成分、または別の実施形態では、約1mg~約100mgの活性成分を含有する。静脈内投与では、定速注入中の用量は約0.1~約10mg/kg/分間の範囲であってよい。
【0187】
本発明による適切な対象は哺乳動物の対象を含む。本発明による哺乳動物として、これらに限定されないが、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ブタ、げっ歯類、ウサギ目、霊長類などが挙げられ、子宮内哺乳動物を包含する。一実施形態では、ヒトは適切な対象である。ヒト対象は、いかなる性別であってもよいし、いかなる発達段階にあってもよい。
【0188】
別の実施形態では、本発明は、本明細書で列挙された状態を処置するための医薬の調製のための1つまたは複数の本発明の化合物の使用を含む。
上に言及された状態の処置のために、本発明の化合物は、それ自体を化合物として投与することができる。代わりに、薬学的に許容される塩は、親化合物と比べて、これらがより高い水溶解度を有することから、医学的用途に対して適切である。
【0189】
別の実施形態では、本発明は医薬組成物を含む。このような医薬組成物は、薬学的に許容される担体と共に提示される本発明の化合物を含む。担体は、固体、液体、またはこの両方であることができ、化合物と共に単回用量組成物、例えば、錠剤として製剤化することができ、この単回用量組成物は体重の0.05%~95%の活性化合物を含有することができる。本発明の化合物は、標的化可能な薬物担体として適切なポリマーとカップリングさせることができる。他の薬理学的活性のある物質もまた存在することができる。
【0190】
本発明の化合物は、任意の適切な経路により、好ましくはこのような経路に適合した医薬組成物の形態で、および意図した処置に対して有効な用量で投与され得る。活性化合物および組成物は、例えば、経口的に、直腸に、非経口的に、または局所的に(例えば、鼻腔内または眼用)投与され得る。
【0191】
固体投与形態の経口投与は、例えば、それぞれが既定量の少なくとも1種の本発明の化合物を含有する、硬質もしくは軟質カプセル剤、丸剤、カシェ剤、ロゼンジ剤、または錠剤などの別個の単位で提示されてもよい。別の実施形態では、経口投与は散剤または粒剤の形態であってもよい。別の実施形態では、経口投与形態は、ロゼンジ剤などの舌下である。このような固体剤形では、本発明の化合物は普通、1種または複数のアジュバントと併用される。このようなカプセル剤または錠剤は制御放出性製剤を含有し得る。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、剤形はまた緩衝剤を含んでもよいし、または腸溶コーティングを用いて調製されてもよい。
【0192】
別の実施形態では、経口投与は液体投与形態であってもよい。経口投与用の液体剤形として、例えば、当技術分野で一般的に使用されている不活性希釈剤(例えば、水)を含有する、薬学的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が挙げられる。このような組成物はまた、アジュバント、例えば、湿潤化剤、乳化剤、懸濁化剤、香味剤(例えば、甘味剤)、および/または芳香剤を含み得る。
【0193】
別の実施形態では、本発明は非経口投与形態を含む。「非経口投与」として、例えば、皮下注射、静脈内注射、腹腔内注射、筋肉注射、胸骨内注射、および点滴が挙げられる。注射用調製物(すなわち、滅菌注射用の水性または油性懸濁剤)は、適切な分散剤、湿潤化剤、および/または懸濁化剤を使用する公知の技術に従い製剤化することができ、デポー剤製剤を含む。
【0194】
別の実施形態では、本発明は局所投与形態を含む。「局所投与」として、例えば、経皮投与、例えば、経皮パッチもしくはイオントホレーシスデバイスを介した経皮投与、眼内投与、または鼻腔内投与もしくは吸入投与が挙げられる。局所投与用組成物としてはまた、例えば、局所用ゲル剤、スプレー剤、軟膏剤、およびクリーム剤も挙げられる。局所用製剤は、皮膚または他の患部を介した活性成分の吸収または浸透を増強する化合物を含み得る。本発明の化合物が経皮デバイスで投与される場合、投与は、リザーバーおよび多孔質膜タイプのもの、または様々な固体マトリックスを有するいずれのパッチを使用しても達成される。この目的に対して典型的な製剤は、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、散布剤、ドレッシング、フォーム剤、フィルム剤、皮膚パッチ剤、ウエハー剤、インプラント、スポンジ剤、繊維、包帯およびマイクロエマルジョンを含む。リポソームもまた使用され得る。典型的な担体として、アルコール、水、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。経皮吸収促進剤が組み込まれてもよい。例えば、Finnin and Morgan、J.Pharm.Sci.、88巻(10号)、955~958頁(1999年)を参照されたい。
【0195】
眼への局所投与に適した製剤として、例えば、本発明の化合物が適切な担体中に溶解または懸濁されている点眼剤が挙げられる。眼または耳への投与に適した典型的な製剤は、等張性の、pH調整された滅菌生理食塩水中の微粉化された懸濁液または溶液の液滴の形態であってよい。眼および耳への投与に適した他の製剤として、軟膏剤、生分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えば、シリコーン)インプラント、ウエハー剤、レンズおよび微粒子または、小胞系、例えば、ニオソームまたはリポソームが挙げられる。ポリマー、例えば、架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、またはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ゲランガムは、塩化ベンズアルコニウムなどの保存剤と一緒に組み込むことができる。このような製剤はまたイオントホレーシスにより送達することもできる。
【0196】
鼻腔内投与または吸入による投与に対して、本発明の活性化合物は、患者がポンプスプレー容器を圧搾したりまたはポンプで送り出したりすることにより溶液もしくは懸濁液の形態で、または適切な噴霧剤を使用して、加圧容器もしくはネブライザーからのエアゾールスプレー剤の提示として、好都合に送達される。鼻腔内投与に適した製剤は通常、ドライパウダー吸入器から乾燥粉末の形態で(以下のうちのいずれか:単独で;混合物として、例えば、ラクトースとの乾式混合として;または、例えば、ホスファチジルコリンなどのリン脂質との混合した構成成分粒子として)から投与されるか、または例えば、1,1,1,2-テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴霧剤を使用して、もしくは使用せずに、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、電気流体力学を使用して微細なミストを生成するアトマイザー)、またはネブライザーからのエアゾールスプレー剤として投与される。鼻腔内での使用のため、散剤は生体接着性薬剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含み得る。
【0197】
別の実施形態では、本発明は直腸投与形態を含む。このような直腸投与形態は、例えば坐剤の形態であってよい。ココアバターは従来の坐剤基剤であるが、必要に応じて様々な代替形態を使用することができる。
【0198】
薬学分野において公知の他の担体材料および投与モードもまた使用され得る。本発明の医薬組成物は、薬学の周知の技術のいずれか、例えば、有効な製剤化手順および運用手順により調製され得る。有効な製剤化手順および運用手順に関する上記考察は当技術分野で周知であり、標準的教科書に記載されている。薬物の製剤は、例えば、Hoover、John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania、1975年;Libermanら編、Pharmaceutical Dosage Forms、MarcelDecker、NewYork、N.Y.、1980年;およびKibbeら編、Handbook of Pharmaceutical Excipients(第3版)、American Pharmaceutical Association、Washington、1999年で論じられている。
【0199】
本発明の化合物は、様々な状態または病態の処置において、単独でまたは他の治療剤と併用して使用することができる。本発明の化合物(複数可)および他の治療剤(複数可)は同時に(同じ剤形または別個の剤形のいずれかで)または順次に投与されてもよい。例示的治療剤は、例えば、代謝調節型グルタミン酸受容体アゴニストであってよい。
【0200】
2種以上の化合物を「併用して」投与するとは、これら2種の化合物は、一方の存在が他方の生物学的作用を変化させるのに十分近接した時間内で投与されることを意味する。2種以上の化合物は、同時に、並行してまたは順次に投与され得る。さらに、同時投与は、投与前に化合物を混合することにより、または化合物の投与は同じ時間点であっても、異なる解剖学的部位に、もしくは異なる投与経路を使用した投与により行われてもよい。
【0201】
「同時発生的投与」「共投与」、「同時投与」、および「同時に投与される」という句は、化合物が併用して投与されることを意味する。
本発明は、本発明のM4活性因子化合物と、1種または複数の追加の薬学的活性のある薬剤(複数可)との組合せの使用を含む。活性剤の組合せが投与される場合、これらは別個の剤形で順次にまたは同時に投与されてもよいし、または単一剤形内に組み合わされてもよい。したがって、本発明はまたある量の(a)本発明の化合物または化合物の薬学的に許容される塩を含む第1の薬剤;(b)第2の薬学的活性のある薬剤;および(c)薬学的に許容される担体、ビヒクルまたは希釈剤を含む医薬組成物を含む。
【0202】
様々な薬学的活性のある薬剤は、処置される疾患、障害、または状態に応じて、本発明の化合物と併せて使用するために選択され得る。本発明の組成物と併用して使用することができる薬学的活性のある薬剤として、制限なしで以下が挙げられる:
(i)アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えば、塩酸ドネペジル(ARICEPT、MEMAC)、サリチル酸フィゾスチグミン(ANTILIRIUM)、硫酸フィゾスチグミン(ESERINE)、メトリホネート、ネオスチグミン、ガンスチグミン、ピリドスチグミン(MESTINON)、アンベノニウム(MYTELASE)、デマルカリウム、Debio 9902(またZT-1;Debiopharmとしても公知)、リバスチグミン(EXELON)、ラドスチギル、NP-0361、臭化水素酸ガランタミン(RAZADYNE、RIMINYL、NIVALIN)、タクリン(COGNEX)、トルセリン、マレイン酸ベルナクリン、メモキン、フペルジンA(HUP-A;NeuroHitech)、フェンセリン、エドロホニウム(ENLON、TENSILON)、およびINM-176;
(ii)アミロイドβ(またはそのフラグメント)、例えば、汎HLA DR-結合エピトープ(PADRE)、ACC-001(Elan/Wyeth)、ACI-01、ACI-24、AN-1792、Affitope AD-01、CAD106、およびV-950とコンジュゲートしたAβ1~15;
(iii)アミロイドβ(またはそのフラグメント)に対する抗体、例えば、ポネズマブ、ソラネズマブ、バピネオズマブ(AAB-001としても公知)、AAB-002(Wyeth/Elan)、ACI-01-Ab7、BAN-2401、静脈内Ig(GAMMAGARD)、LY2062430(ヒト化m266Lilly)、R1450(Roche)、ACU-5A5、huC091、ならびに国際特許公開WO04/032868号、WO05/025616号、WO06/036291号、WO06/069081号、WO06/118959号、米国特許公開US2003/0073655号、US2004/0192898号、US2005/0048049号、US2005/0019328号、欧州特許公開EP0994728号および1257584号、および米国特許第5,750,349号に開示されているものなど;
(iv)アミロイド低下剤またはアミロイド阻害剤(アミロイド産生、蓄積および線維化を減少させるものを含む)、例えば、ディメボン、ダブネチド、エプロジセート、ロイプロリド、SK-PC-B70M、セレコキシブ、ロバスタチン、アナプソス、オキシラセタム、プラミラセタム、バレニクリン、ニセルゴリン、コロストリニン、ビスノルシムセリン(BNCとしても公知)、NIC5-15(Humanetics)、E-2012(Eisai)、ピオグリタゾン、クリオキノール(PBT1としても公知)、PBT2(Prana Biotechnology)、フルルビプロフェン(ANSAID、FROBEN)およびそのR-エナンチオマー、タレンフルルビル(FLURIZAN)、ニトロフルルビプロフェン、フェノプロフェン(FENOPRON、NALFON)、イブプロフェン(ADVIL、MOTRIN、NUROFEN)、イブプロフェンリシネート、メクロフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム(MECLOMEN)、インドメタシン(INDOCIN)、ジクロフェナクナトリウム(VOLTAREN)、ジクロフェナクカリウム、スリンダク(CLINORIL)、スリンダクスルフィド、ジフルニサル(DOLOBID)、ナプロキセン(NAPROSYN)、ナプロキセンナトリウム(ANAPROX、ALEVE)、ARC031(Archer Pharmaceuticals)、CAD-106(Cytos)、LY450139(Lilly)、インスリン分解酵素(インスリシンとしても公知)、イチョウ葉抽出物EGb-761(ROKAN、TEBONIN)、トラミプロセート(CEREBRIL、ALZHEMED)、エプロジセート(FIBRILLEX、KIACTA)、化合物W[3,5-ビス(4-ニトロフェノキシ)安息香酸]、NGX-96992、ネプリライシン(中性エンドペプチダーゼ(NEP)としても公知)、シロイノシトール(シリトールとしても公知)、アトルバスタチン(LIPITOR)、シンバスタチン(ZOCOR)、KLVFF-(EEX)3、SKF-74652、メシル酸イブタモレン、BACE阻害剤、例えば、ASP-1702、SCH-745966、JNJ-715754、AMG-0683、AZ-12304146、BMS-782450、GSK-188909、NB-533、E2609およびTTP-854;ガンマセクレターゼモジュレーター、例えば、ELND-007;ならびにRAGE(終末糖化産物に対する受容体)阻害剤、例えば、TTP488(Transtech)およびTTP4000(Transtech)、ならびにPTI-777を含めた米国特許第7,285,293号に開示されたもの;
(v)アルファアドレナリン受容体アゴニスト、例えば、グアンファシン(INTUNIV、TENEX)、クロニジン(CATAPRES)、メタラミノール(ARAMINE)、メチルドーパ(ALDOMET、DOPAMET、NOVOMEDOPA)、チザニジン(ZANAFLEX)、フェニレフリン(ネオシネフリンとしても公知)、メトキサミン、シラゾリン、グアンファシン(INTUNIV)、ロフェキシジン、キシラジン、モダフィニル(PROVIGIL)、アドラフィニル、およびアルモダフィニル(NUVIGIL);
(vi)ベータアドレナリン受容体遮断剤(ベータ遮断剤)、例えば、カルテオロール、エスモロール(BREVIBLOC)、ラベタロール(NORMODYNE、TRANDATE)、オクスプレノロール(LARACOR、TRASACOR)、ピンドロール(VISKEN)、プロパノロール(INDERAL)、ソタロール(BETAPACE、SOTALEX、SOTACOR)、チモロール(BLOCADREN、TIMOPTIC)、アセブトロール(SECTRAL、PRENT)、ナドロール(CORGARD)、酒石酸メトプロロール(LOPRESSOR)、コハク酸メトプロロール(TOPROL-XL)、アテノロール(TENORMIN)、ブトキサミン、およびSR 59230A(Sanofi);
(vii)抗コリン薬、例えば、アミトリプチリン(ELAVIL、ENDEP)、ブトリプチリン、メシル酸ベンズトロピン(COGENTIN)、トリヘキシフェニジル(ARTANE)、ジフェンヒドラミン(BENADRYL)、オルフェナドリン(NORFLEX)、ヒヨスチアミン、アトロピン(ATROPEN)、スコポラミン(TRANSDERM-SCOP)、臭化メチルスコポラミン(PARMINE)、ジシクロベリン(BENTYL、BYCLOMINE、DIBENT、DILOMINE)、トルテロジン(DETROL)、オキシブチニン(DITROPAN、LYRINEL XL、OXYTROL)、臭化ペンチエネート、プロパンテリン(PRO-BANTHINE)、シクリジン、塩酸イミプラミン(TOFRANIL)、マレイン酸イミプラミン(SURMONTIL)、ロフェプラミン、デシプラミン(NORPRAMIN)、ドキセピン(SINEQUAN、ZONALON)、トリミプラミン(SURMONTIL)、およびグリコピロレート(ROBINUL);
(viii)抗痙攣剤、例えば、カルバマゼピン(TEGRETOL、CARBATROL)、オキシカルバゼピン(TRILEPTAL)、フェニトインナトリウム(PHENYTEK)、ホスフェニトイン(CEREBYX、PRODILANTIN)、ジバルプロエクスナトリウム(DEPAKOTE)、ガバペンチン(NEURONTIN)、プレガバリン(LYRICA)、トピリメート(TOPAMAX)、バルプロ酸(DEPAKENE)、バルプロ酸ナトリウム(DEPACON)、1-ベンジル-5-ブロモウラシル、プロガビド、ベクラミド、ゾニサミド(TRERIEF、EXCEGRAN)、CP-465022、レチガビン、タランパネル、およびプリミドン(MYSOLINE);
(ix)抗精神病剤、例えば、ルラシドン(LATUDA、SM-13496としても公知;Dainippon Sumitomo)、アリピプラゾール(ABILIFY)、クロルプロマジン(THORAZINE)、ハロペリドール(HALDOL)、イロペリドン(FANAPTA)、デカン酸フルペンチキソール(DEPIXOL、FLUANXOL)、レセルピン(SERPLAN)、ピモジド(ORAP)、デカン酸フルフェナジン、塩酸フルフェナジン、プロクロルペラジン(COMPRO)、アセナピン(SAPHRIS)、ロキサピン(LOXITANE)、モリンドン(MOBAN)、ペルフェナジン、チオリダジン、チオチキセン(thiothixine)、トリフルオペラジン(STELAZINE)、ラメルテオン、クロザピン(CLOZARIL)、ノルクロザピン(ACP-104)、リスペリドン(RISPERDAL)、パリペリドン(INVEGA)、メルペロン、オランザピン(ZYPREXA)、クエチアピン(SEROQUEL)、タルネタント、アミスルプリド、ジプラシドン(GEODON)、ブロナンセリン(LONASEN)、およびACP-103(Acadia Pharmaceuticals);
(x)カルシウムチャネル遮断剤、例えば、ロメリジン、ジコノチド、ニルバジピン(ESCOR、NIVADIL)、ジペルジピン、アムロジピン(NORVASC、ISTIN、AMLODIN)、フェロジピン(PLENDIL)、ニカルジピン(CARDENE)、ニフェジピン(ADALAT、PROCARDIA)、MEM 1003およびその親化合物、ニモジピン(NIMOTOP)、ニソルジピン(SULAR)、ニトレンジピン、ラシジピン(LACIPIL、MOTENS)、レルカニジピン(ZANIDIP)、リファリジン、ジルチアゼム(CARDIZEM)、ベラパミル(CALAN、VERELAN)、AR-R 18565(AstraZeneca)、ならびにエネカジン;
(xi)カテコールO-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、例えば、ニテカポン、トルカポン(TASMAR)、エンタカポン(COMTAN)、およびトロポロン;
(xii)中枢神経系刺激剤、例えば、アトモキセチン、レボキセチン、ヨヒンビン、カフェイン、フェンメトラジン、フェンジメトラジン、ペモリン、フェンカムファミン(GLUCOENERGAN、REACTIVAN)、フェネチリン(CAPTAGON)、ピプラドール(MERETRAN)、デアノール(ジメチルアミノエタノールとしても公知)、メチルフェニデート(DAYTRANA)、塩酸メチルフェニデート(RITALIN)、デクスメチルフェニデート(FOCALIN)、アンフェタミン(単独でまたは他のCNS刺激剤、例えば、ADDERALL(アスパラギン酸アンフェタミン、硫酸アンフェタミン、糖酸デキストロアンフェタミン、および硫酸デキストロアンフェタミン)と併用して)、硫酸デキストロアンフェタミン(DEXEDRINE、DEXTROSTAT)、メタンフェタミン(DESOXYN)、リスデクスアンフェタミン(VYVANSE)、およびベンズフェタミン(DIDREX);
(xiii)コルチコステロイド、例えば、プレドニゾン(STERAPRED、DELTASONE)、プレドニゾロン(PRELONE)、酢酸プレドニゾロン(predisolone acetate)(OMNIPRED、PRED MILD、PREDFORTE)、リン酸プレドニゾロンナトリウム(ORAPRED ODT)、メチルプレドニゾロン(MEDROL);酢酸メチルプレドニゾロン(DEPO-MEDROL)、およびコハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム(A-METHAPRED、SOLU-MEDROL);
(xiv)ドーパミン受容体アゴニスト、例えば、アポモルフィン(APOKYN)、ブロモクリプチン(PARLODEL)、カベルゴリン(DOSTINEX)、ジヒドレキシジン、ジヒドロエルゴクリプチン、フェノルドパム(CORLOPAM)、リスリド(DOPERGIN)、テルグリドペルゴリド(spergolide)(PERMAX)、ピリベジル(TRIVASTAL、TRASTAL)、プラミペキソール(MIRAPEX)、キンピロール、ロピニロール(REQUIP)、ロチゴチン(NEUPRO)、SKF-82958(GlaxoSmithKline)、カリプラジン、パルドプルノクスおよびサリゾタン;
(xv)ドーパミン受容体アンタゴニスト、例えば、クロルプロマジン、フルフェナジン、ハロペリドール、ロキサピン、リスペリドン、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジン、テトラベナジン(NITOMAN、XENAZINE)、7-ヒドロキシアモキサピン、ドロペリドール(INAPSINE、DRIDOL、DROPLETAN)、ドンペリドン(MOTILIUM)、L-741742、L-745870、ラクロプリド、SB-277011A、SCH-23390、エコピパム、SKF-83566、およびメトクロプラミド(REGLAN);
(xvi)ドーパミン再取り込み阻害剤、例えば、ブプロピオン、サフィナミド、マレイン酸ノミフェンシン(MERITAL)、バノキセリン(GBR-12909としても公知)およびそのデカン酸エステル、DBL-583、ならびにアミネプチン;
(xvii)ガンマアミノ酪酸(GABA)受容体アゴニスト、例えば、バクロフェン(LIORESAL、KEMSTRO)、シクロフェン、ペントバルビタール(NEMBUTAL)、プロガビド(GABRENE)、およびクロメチアゾール;
(xviii)ヒスタミン3(H3)アンタゴニスト、例えば、シプロキシファン、チプロリサント、S-38093、イルダビサント、ピトリサント、GSK-239512、GSK-207040、JNJ-5207852、JNJ-17216498、HPP-404、SAR-110894、trans-N-エチル-3-フルオロ-3-[3-フルオロ-4-(ピロリジン-1-イルメチル)フェニル]-シクロブタンカルボキサミド(PF-3654746ならびに米国特許公開US2005-0043354号、US2005-0267095号、US2005-0256135号、US2008-0096955号、US2007-1079175号、およびUS2008-0176925号;国際特許公開WO2006/136924号、WO2007/063385号、WO2007/069053号、WO2007/088450号、WO2007/099423号、WO2007/105053号、WO2007/138431号、およびWO2007/088462号;ならびに米国特許第7,115,600号に開示されているもの);
(xix)免疫調節物質、例えば、酢酸グラチラマー(コポリマー1としても公知;COPAXONE)、MBP-8298(合成ミエリン塩基性タンパク質ペプチド)、フマル酸ジメチル、フィンゴリモド(FTY720としても公知)、ロキニメクス(LINOMIDE)、ラキニモド(ABR-215062およびSAIK-MSとしても公知)、ABT-874(ヒト抗IL-12抗体;Abbott)、リツキシマブ(RITUXAN)、アレムツズマブ(CAMPATH)、ダクリズマブ(ZENAPAX)、およびナタリズマブ(TYSABRI);
(xx)免疫抑制剤、例えば、メトトレキセート(TREXALL、RHEUMATREX)、ミトキサントロン(NOVANTRONE)、ミコフェノール酸モフェチル(CELLCEPT)、ミコフェノール酸ナトリウム(MYFORTIC)、アザチオプリン(AZASAN、IMURAN)、メルカプトプリン(PURI-NETHOL)、シクロホスファミド(NEOSAR、CYTOXAN)、クロラムブシル(LEUKERAN)、クラドリビン(LEUSTATIN、MYLINAX)、アルファ-フェトプロテイン、エタネルセプト(ENBREL)、および4-(ベンジルオキシ)-5-[(5-ウンデシル-2H-ピロール-2-イリデン)メチル]-1H,1’H-2,2’-ビピロール(PNU-156804としても公知);
(xxi)インターフェロン、インターフェロンベータ-1a(AVONEX、REBIF)およびインターフェロンベータ-1b(BETASERON、BETAFERON)を含む;
(xxii)レボドパ(またはそのメチルもしくはエチルエステル)、これを単独でまたはドーパデカルボキシラーゼ阻害剤(例えば、カルビドパ(SINEMET、CARBILEV、PARCOPA)、ベンセラジド(MADOPAR)、α-メチルドーパ、モノフルオロメチルドーパ、ジフルオロメチルドーパ、ブロクレシン、またはm-ヒドロキシベンジルヒドラジン)と併用して;
(xxiii)N-メチルDアスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニスト、例えば、メマンチン(NAMENDA、AXURA、EBIXA)、アマンタジン(SYMMETREL)、アカンプロセート(CAMPRAL)、ベソンプロジル、ケタミン(KETALAR)、デルセミン、デキサナビノール、デキセファロキサン、デキストロメトルファン、デキストロルファン、トラキソプロジル、CP-283097、ヒマンタン、インダンタドール(idantadol)、イペノキサゾン、L-701252(Merck)、ラニセミン(lancicemine)、レボルファノール(DROMORAN)、LY-233536およびLY-235959(共にLilly)、メサドン、(DOLOPHINE)、ネラメキサン、ペルジンホテル、フェンサイクリジン、チアネプチン(STABLON)、ジゾシルピン(MK-801としても公知)、EAB-318(Wyeth)、イボガイン、ボアカンギン、チレタミン、リルゾール(RILUTEK)、アプチガネル(CERES0TAT)、ガベスチネル、およびレマセミド(remacimide);
(xxiv)モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤、例えば、セレギリン(EMSAM)、塩酸セレギリン(l-デプレニル、ELDEPRYL、ZELAPAR)、ジメチルセレギリン(dimethylselegilene)、ブロファロミン、フェネルジン(NARDIL)、トラニルシプロミン(PARNATE)、モクロベミド(AURORIX、MANERIX)、ベフロキサトン、サフィナミド、イソカルボキサジド(MARPLAN)、ニアラミド(NIAMID)、ラサギリン(AZILECT)、イプロニアジド(MARSILID、IPROZID、IPRONID)、CHF-3381(Chiesi Farmaceutici)、イプロクロジド、トロキサトン(HUMORYL、PERENUM)、ビフェメラン、デソキシペガニン、ハルミン(テレパシンまたはバニステリン(banasterine)としても公知)、ハルマリン、リネゾリド(ZYVOX、ZYVOXID)、およびパルギリン(EUDATIN、SUPIRDYL);
(xxv)ムスカリン受容体(特にM1サブタイプ)アゴニスト、例えば、セビメリン、レベチラセタム、塩化ベタネコール(DUVOID、URECHOLINE)、イタメリン、ピロカルピン(SALAGEN)、NGX267、アレコリン、L-687306(Merck)、L-689660(Merck)、ヨウ化フルトレトニウム(FURAMON、FURANOL)、ベンゼンスルホン酸フルトレトニウム、p-トルエンスルホン酸フルトレトニウム、McN-A-343、オキソトレモリン、サブコメリン、AC-90222(Acadia Pharmaceuticals)、およびカルバコール(CARBASTAT、MIOSTAT、CARBOPTIC);
(xxvi)神経保護薬、例えば、ボスチニブ、コンドリアーゼ、アリモクロモル(airmoclomol)、ラモトリジン、ペランパネル、アニラセタム、ミナプリン(minaprime)、リルゾール、N-ヒドロキシ-1,2,4,9-テトラヒドロ-3H-カルバゾール-3-イミン、デスモテプラーゼ、アナチバント、アスタキサンチン、ニューロペプチドNAP(例えば、AL-108およびAL-208;共にAllon Therapeutics)、ニューロストロール(neurostrol)、ペランパネル(perampenel)、イスプロニクリン、ビス(4-β-D-グルコピラノシルオキシベンジル)-2-β-D-グルコピラノシル-2-イソブチルタルタレート(ダクチロリンBまたはDHBとしても公知)、ホルモバクチン、キサリプロデン(XAPRILA)、ラクタシスチン、塩酸ジメボリン(DIMEBON)、ジスフェントン(CEROVIVE)、アルンジン酸(ONO-2506、PROGLIA、CEREACT)、シチコリン(シチジン5’-ジホスホコリンとしても公知)、エダラボン(RADICUT)、AEOL-10113およびAEOL-10150(共にAeolus Pharmaceuticals)、AGY-94806(SA-450およびMsc-1としても公知)、顆粒球コロニー刺激因子(AX-200としても公知)、BAY-38-7271(KN-387271としても公知;Bayer AG)、アンクロド(VIPRINEX、ARWIN)、DP-b99(D-Pharm Ltd)、HF-0220(17-β-ヒドロキシエピアンドロステロン;Newron Pharmaceuticals)、HF-0420(オリゴトロピン(oligotropin)としても公知)、ピリドキサール5’-リン酸塩(公知MC-1としても)、マイクロプラスミン、S-18986、ピクロゾタン、NP031112、タクロリムス、L-セリル-L-メチオニル-L-アラニル-L-リシル-L-グルタミル-グリシル-L-バリン、AC-184897(Acadia Pharmaceuticals)、ADNF-14(National Institutes of Health)、スチルバズレニルニトロン、SUN-N8075(Daiichi Suntory Biomedical Research)、およびゾナンパネル;
(xxvii)ニコチン受容体アゴニスト、例えば、エピバチジン、ブプロピオン、CP-601927、バレニクリン、ABT-089(Abbott)、ABT-594、AZD-0328(AstraZeneca)、EVP-6124、R3487(MEM3454としても公知;Roche/Memory Pharmaceuticals)、R4996(MEM63908としても公知;Roche/Memory Pharmaceuticals)、TC-4959およびTC-5619(共にTargacept)、ならびにRJR-2403;
(xxviii)ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害剤、例えば、アトモキセチン(STRATTERA)、ドキセピン(APONAL、ADAPIN、SINEQUAN)、ノルトリプチリン(AVENTYL、PAMELOR、NORTRILEN)、アモキサピン(ASENDIN、DEMOLOX、MOXIDIL)、レボキセチン(EDRONAX、VESTRA)、ビロキサジン(VIVALAN)、マプロチリン(DEPRILEPT、LUDIOMIL、PSYMION)、ブプロピオン(WELLBUTRIN)、およびラダキサフィン;
(xxix)ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、これらに限定されないが、以下を含む(a)PDE1阻害剤(例えば、ビンポセチン(CAVINTON、CERACTIN、INTELECTOL)および米国特許第6,235,742号に開示されているもの(b)PDE2阻害剤(例えば、エリスロ-9-(2-ヒドロキシ-3-ノニル)アデニン(EHNA)、BAY60-7550、および米国特許第6,174,884号に記載されているもの)、(c)PDE3阻害剤(例えば、アナグレリド、シロスタゾール、ミルリノン、オルプリノン、パログレリル、およびピモベンダン)、(d)PDE4阻害剤(例えば、アプレミラスト、イブジラスト、ロフルミラスト、ロリプラム、Ro20-1724、イブジラスト(KETAS)、ピクラミラスト(RP73401としても公知)、CDP840、シロミラスト(ARIFLO)、ロフルミラスト、トフィミラスト、オグレミラスト(GRC 3886としても公知)、テトミラスト(OPC-6535としても公知)、リリミラスト(lirimifast)、テオフィリン(UNIPHYL、THEOLAIR)、アロフィリン(LAS-31025としても公知)、ドキソフィリン、RPR-122818、またはメセンブリン)、および(e)PDE5阻害剤(例えば、シルデナフィル(VIAGRA、REVATIO)、タダラフィル(CIALIS)、バルデナフィル(LEVITRA、VIVANZA)、ウデナフィル、アバナフィル、ジピリダモール(PERSANTINE)、E-4010、E-4021、E-8010、ザプリナスト、ロデナフィル(iodenafil)、ミロデナフィル、DA-8159、および国際特許出願WO2002/020521号、WO2005/049616号、WO2006/120552号、WO2006/126081号、WO2006/126082号、WO2006/126083号、およびWO2007/122466号に開示されているもの)、(f)PDE7阻害剤;(g)PDE8阻害剤;(h)PDE9阻害剤(例えば、BAY73-6691(Bayer AG)および米国特許公開US2003/0195205号、US2004/0220186号、US2006/0111372号、US2006/0106035号、およびUSSN12/118,062号(2008年5月9日出願)に開示されているもの)、(i)PDE10阻害剤、例えば、2-({4-[1-メチル-4-(ピリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-3-イル]フェノキシ}メチル)キノリン-3(4H)-オンおよびSCH-1518291;ならびに(j)PDE11阻害剤;
(xxx)キノリン、例えば、キニーネ(その塩酸塩、二塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩およびグルコン酸塩を含む)、クロロキン、ソントキン、ヒドロキシクロロキン(PLAQUENIL)、メフロキン(LARIAM)、およびアモジアキン(CAMOQUIN、FLAVOQUINE);
(xxxi)βセクレターゼ阻害剤、例えば、ASP-1702、SCH-745966、JNJ-715754、AMG-0683、AZ-12304146、BMS-782450、GSK-188909、NB-533、LY-2886721、E-2609、HPP-854、(+)-酒石酸フェンセリン(POSIPHEN)、LSN-2434074(LY-2434074としても公知)、KMI-574、SCH-745966、Ac-rER(N2-アセチル-D-アルギニル-L-アルギニン)、ロキシスタチン(E64dとしても公知)、およびCA074Me;
(xxxii)γセクレターゼ阻害剤およびモジュレーター、例えば、BMS-708163(Avagacest)、WO20060430064(Merck)、DSP8658(Dainippon)、ITI-009、L-685458(Merck)、ELAN-G、ELAN-Z、4-クロロ-N-[(2S)-3-エチル-1-ヒドロキシペンタン-2-イル]ベンゼンスルホンアミド;
(xxxiii)セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン)1A(5-HT1A)受容体アンタゴニスト、例えば、スピペロン、レボ-ピンドロール、BMY7378、NAD-299、S-(-)-UH-301、NAN190、レコゾタン;
(xxxiv)セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン)2C(5-HT2c)受容体アゴニスト、例えば、バビカセリンおよびジクロナピン;
(xxxv)セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン)4(5-HT4)受容体アゴニスト、例えば、PRX-03140(Epix);
(xxxvi)セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン)6(5-HT6)受容体アンタゴニスト、例えば、A-964324、AVI-101、AVN-211、ミアンセリン(TORVOL、BOLVIDON、NORVAL)、メチオテピン(メチテピンとしても公知)、リタンセリン、ALX-1161、ALX-1175、MS-245、LY-483518(SGS518としても公知;Lilly)、MS-245、Ro 04-6790、Ro 43-68544、Ro 63-0563、Ro 65-7199、Ro 65-7674、SB-399885、SB-214111、SB-258510、SB-271046、SB-357134、SB-699929、SB-271046、SB-742457(GlaxoSmithKline)、Lu AE58054(Lundbeck A/S)、およびPRX-07034(Epix);
(xxxvii)セロトニン(5-HT)再取り込み阻害剤、例えば、アラプロクレート、シタロプラム(CELEXA、CIPRAMIL)、エスシタロプラム(LEXAPRO、CIPRALEX)、クロミプラミン(ANAFRANIL)、デュロキセチン(CYMBALTA)、フェモキセチン(MALEXIL)、フェンフルラミン(PONDIMIN)、ノルフェンフルラミン、フルオキセチン(PROZAC)、フルボキサミン(LUVOX)、インダルピン、ミルナシプラン(IXEL)、パロキセチン(PAXIL、SEROXAT)、セルトラリン(ZOLOFT、LUSTRAL)、トラゾドン(DESYREL、MOLIPAXIN)、ベンラファキシン(EFFEXOR)、ジメリジン(NORMUD、ZELMID)、ビシファジン、デスベンラファキシン(PRISTIQ)、ブラソフェンシン、ビラゾドン、カリプラジン、ニューラルステムおよびテソフェンシン;
(xxxviii)栄養因子、例えば、神経成長因子(NGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF;ERSOFERMIN)、ニューロトロフィン-3(NT-3)、カルディオトロフィン-1、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューブラスチン、メテオリン、およびグリア由来神経栄養因子(GDNF)、ならびにプロペントフィリン、イデベノン、PYM50028(COGANE;Phytopharm)、およびAIT-082(NEOTROFIN)などの栄養因子の産生を刺激する薬剤;
(xxxix)グリシントランスポーター1阻害剤、例えば、パリフルチン、ORG-25935、JNJ-17305600、およびORG-26041;
(xl)AMPA型グルタミン酸受容体モジュレーター、例えば、ペランパネル、ミバンパトル、セルランパネル、GSK-729327、N-{(3S,4S)-4-[4-(5-シアノチオフェン-2-イル)フェノキシ]テトラヒドロ-フラン-3-イル}プロパン-2-スルホンアミドなど。
(xli)ヤヌスキナーゼ阻害剤(JAK)、例えば、これらに限定されないが、トファシチニブ、ルキソリチニブ、バリシチニブ、CYT387、GLPG0634、レストールチニブ、パクリチニブ、およびTG101348。
(xlii)インターロイキン-1受容体関連キナーゼ4阻害剤(IRAK4)、例えば、これらに限定されないが、PF-06650833。
【0203】
本発明は、上記に記載されている処置の方法の実施において使用するのに適したキットをさらに含む。一実施形態では、キットは、本発明の化合物の1種または複数を含む第1の剤形と、その投与量に対する容器とを、本発明の方法を行うのに十分な量で含有する。
【0204】
別の実施形態では、本発明のキットは、1種または複数の本発明の化合物を含む。
このようなキットの一例はいわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは包装業界では周知であり、薬学的単位投与剤形(錠剤、カプセル剤など)の包装に広く使用されている。ブリスターパックは一般的に、透明なプラスチック材料のホイルで覆われた比較的硬い材料のシートからなる。包装プロセスの間に溝がプラスチックホイルに形成される。溝は包装する錠剤またはカプセル剤のサイズおよび形状を有する。次に、錠剤またはカプセル剤を溝に配置し、溝が形成された方向と反対側のホイルの面において、比較的硬い材料のシートをプラスチックホイルに対して密封する。その結果、錠剤またはカプセル剤は、プラスチックホイルとシートとの間の溝の中に密封される。一部の実施形態では、シートの強度は、手で溝に圧力をかけることよりシートの溝の箇所に開口部が形成されて、錠剤またはカプセル剤がブリスターパックから取り出すことができるような強度となっている。次いで、錠剤またはカプセル剤は前記開口部を介して取り出すことができる。
【0205】
例えば、錠剤またはカプセル剤の横に番号という形態でキット上に記憶補助を提供するのが望ましいこともあり、この番号は、服用するよう特定された錠剤またはカプセル剤が服用されるべきレジメンの日と対応している。このような記憶補助の別の例は、カード上に、例えば、以下の通り「第1週の月曜日、火曜日..。第2週の月曜日、火曜日...」などと印刷されているカレンダーである。記憶補助の他の変化形は容易に明らかである。「1日用量」は、所定の日に服用すべき1個の錠剤もしくはカプセル剤または数個の丸剤もしくはカプセル剤であることができる。また、式Iの化合物の1日用量は1個の錠剤またはカプセル剤からなることができ、その一方で第2の化合物の1日用量が数個の錠剤またはカプセルからなることもでき、この逆もまた同様である。記憶補助はこのようなレジメンを反映するものとする。
【0206】
本発明の別の特定の実施形態では、1日用量がこれらの意図された使用の順に従って一つずつ分配されるように設計されているディスペンサーが提供される。例えば、ディスペンサーは記憶補助を備えており、これによりレジメンとの適合性がさらに促進される。このような記憶補助の例は、分配された1日用量の回数を示す機械的カウンターである。このような記憶補助の別の例は、液晶表示装置に連結した電池式ミクロチップメモリー、または可聴合図信号であり、これは、例えば、前回1日用量が摂取された期日を読み上げ、および/または次回の用量がいつ摂取されるべきかを人に注意喚起するものである。
【0207】
上述のように、本発明の化合物は、本明細書に記載されている1種または複数の追加の抗統合失調症薬剤と併用して使用することができる。併用療法が使用された場合、1種または複数の追加の抗統合失調症薬剤は、本発明の化合物と順次または同時に投与される。一実施形態では、追加の抗統合失調症薬剤は、本発明の化合物の投与前に、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与される。別の実施形態では、追加の抗統合失調症薬剤は、本発明の化合物の投与後に、哺乳動物に投与される。別の実施形態では、追加の抗統合失調症薬剤は、本発明の化合物(もしくはそのN-オキシドまたは前述のものの薬学的に許容される塩)の投与と同時に、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与される。
【0208】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物において統合失調症の処置のための医薬組成物であって、上で定義されたような本発明の化合物(そのN-オキシドまたは化合物もしくはN-オキシドの塩を含む)(前記化合物または薬学的に許容される塩その水和物、溶媒和物および多形を含む)のある量を、1種または複数の(例えば1~3種の)抗統合失調症薬剤、例えば、ジプラシドン、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、アセナピン、ブロナンセリン、またはイロペリドンと合わせて含み、活性剤および組合せの量が、これらがまとめて摂取される場合、統合失調症を処置するのに治療的に有効である、医薬組成物を提供する。
【0209】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物において、M4媒介性(またはM4関連)疾患または障害を処置するための医薬組成物であって、上で定義されたような本発明の化合物(そのN-オキシドまたは化合物もしくはN-オキシドの塩を含む)(前記化合物N-オキシドまたは前述の薬学的に許容される塩の水和物、溶媒和物および多形を含む)のある量を、M4媒介性(またはM4関連)疾患または障害を処置するための1種または複数の(例えば1~3種の)他の薬剤と合わせて含み、活性剤および組合せの量が、これらがまとめて摂取される場合、M4媒介性(またはM4関連)疾患または障害を処置するのに治療的に有効である、医薬組成物を提供する。
【0210】
上記に示されている本発明の化合物(式I、式Iaおよび式Ib)は、示されている特定の立体異性体(例えばエナンチオマーまたはアトロプ異性体)に限定されるものではなく、すべての立体異性体およびこれらの混合物を含むことを理解されたい。
【0211】
一般スキーム
式I、IA、IB、IC、およびI’の化合物は、有機化学の当技術分野で公知の合成法、または当業者が熟知している修正および変換と一緒に、以下に記載されている方法により調製され得る。本明細書で使用されている出発材料は市販されているか、または当技術分野で公知の所定の方法[例えば、標準的な参考図書、例えば、Compendium of Organic synthetic methods、I~XIII巻(Wiley-Interscienceにより出版)に開示の方法]により調製することもできる。好ましい方法は、これらに限定されないが、以下に記載されているものを含む。
【0212】
以下の合成順序のいずれかの間、関連する分子のいずれかの感受性基または反応性基を保護することが必要である、および/または望ましいことがある。これは、従来の保護基、例えば、参照により本明細書に組み込まれている、T.W.Greene、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1981年;T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1991年;ならびにT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1999年に記載されている手段により達成することができる。
【0213】
式I、IA、IB、IC、およびI’の化合物またはこれらの薬学的に許容される塩は、本明細書の以下に論じられている反応スキームに従い調製することができる。他に指摘されていない限り、スキームの中の置換基は上記のように定義される。例えば、式IAではmは2であり、nは1である。式IBではmは1であり、nは2である。式ICではmもnも1である。生成物の単離および精製は、普通の技能を有する化学者には公知の標準的手順により達成される。
【0214】
当業者であれば、スキーム、方法、および実施例に使用されている様々な記号、上付き文字、および下付き文字は、表示上の便宜のため、および/またはスキームに導入される順序を反映するために使用され、添付の特許請求の範囲における記号、上付き文字、または下付き文字に必ずしも対応するように意図されていないことを理解している。さらに、当業者であれば、多くの場合、これらの化合物は、混合物およびエナンチオマーであり、これらの混合物およびエナンチオマーは、従来技術、例えば、これらに限定されないが、結晶化、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、およびキラルクロマトグラフィーを使用して、合成スキームの様々な段階において分離することによって、1つのエナンチオマーを生成することを認識している。スキームは、本発明の化合物を合成するのに有用な方法の代表的なものである。スキームは、本発明の範囲を何ら制約するものではない。
【0215】
【0216】
スキーム1は、式Iの化合物の調製に対する1つの合成順序について言及している。スキーム1を参照すると、化合物II(式中、式IIのX1、X2、およびR2置換基は、最終生成物またはその保護された変化形において所望されるものと同じ部分で表されるべきであり、R1は、アリールまたは5もしくは6員ヘテロアリールを指す)は、臭化ヘテロアリールとカップリングして、パラジウム源、リガンド、および塩基の標準的選択を、標準的溶媒、例えば、これらに限定されないが、アセトニトリル、トルエン、またはエタノール中で使用するパラジウム触媒Suzukiカップリング反応を介して化合物IIIを生成することができる。Pd/リガンド/塩基の組合せの例として、これらに限定されないがテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)プラス炭酸ナトリウムおよびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)プラスジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニルプラス炭酸カリウムが挙げられる。保護基P1の除去は化合物IVを結果として生じる。保護基P1は、この場合、アミン保護に対して当業者に周知の基を指す。例えば、P1はtert-ブトキシカルボニル(BOC)であってよく、このBOCは、これらに限定されないが、HClの1,4-ジオキサン中溶液による処理を含めた、適当な溶媒中での酸性条件を介して開裂することができる。代わりにP1は、カルボキシベンジル(Cbz)またはベンゾイル(Bz)基を含めた、アミンに適した他の多くの保護基の1つであってもよく、当業者に公知の標準的条件下で開裂することができる。化合物IVおよびV(式中、mおよびnは、独立して、1または2から選択される整数で表される)は、例えば、これらに限定されないが、シアノ水素化ホウ素ナトリウムとチタニウム(IV)エトキシドの組合せを適切な溶媒中で使用する、標準的な還元的アミノ化手順を使用して、カップリングして、式Iのラセミ化合物を生成することができる。例えば、キラルクロマトグラフィー法、例えば、HPLCまたは超臨界流体クロマトグラフィーを介したキラル分離は、式I’の化合物を生成することができる。
【0217】
【0218】
スキーム2は、式IおよびI’の化合物の調製に対する代替の合成経路について言及している。スキーム2aを参照すると、化合物IV(式中、式IVのX1、X2、R1およびR2置換基は、最終生成物またはその保護された変化形において所望されるものと同じ部分で表されるべきである)は、エナンチオマーとして純粋な化合物VIのスルホネート(式中、R3はアリールまたはアルキル置換基、例えばメチルまたは4-メチルフェニルであり、mおよびnは、独立して、1または2から選択される整数で表される)により、これらに限定されないがアセトニトリルを含む適当な溶媒中の炭酸カリウムなどの塩基の存在下で置き換えられ得る。スキーム2bを参照すると、化合物IV(式中、X1、X2、R1およびR2は、最終生成物またはその保護された変化形において所望されるものと同じ部分で表されるべきである)は、キラル化合物VIIのアルキルスルホネート(式中、R3はアリールまたはアルキル置換基であり、mおよびnは、独立して、1または2から選択される整数で表される)により同様に置き換えられて、化合物VIIIを生成することができる。これらに限定されないが、ジクロロメタン中トリフルオロ酢酸を含めた、適当な溶媒中の酸性条件を介して開裂することができるBOC基を除去し、これに続いてジクロロメタンまたは他の適当な溶媒中のクロロギ酸エチルで処理して、式I’の化合物を生成する。代わりに、スキーム2cに示されている通り、化合物IV(式中、式IVのX1、X2、R1およびR2置換基は、最終生成物またはその保護された変化形において所望されるものと同じ部分で表されるべきである)は、例えば、これらに限定されないが、シアノ水素化ホウ素ナトリウムとチタニウム(IV)エトキシドの組合せを適切な溶媒中で使用する、標準的還元的アミノ化手順を使用して、化合物IX(式中、mおよびnは、独立して、1または2から選択される整数で表される)とカップリングして、一般式Xの化合物を生成することができる。これらに限定されないが、ジクロロメタン中トリフルオロ酢酸を含む適当な溶媒中の酸性条件を介して開裂することができるBOC基を除去し、これに続いてジクロロメタンまたは他の適当な溶媒中クロロギ酸エチルで処理して、一般式Iのラセミ化合物を生成する。式I’の化合物は、例えば、キラル超臨界流体クロマトグラフィーまたはHPLCによるキラル分離後、単離することができる。
【0219】
【0220】
スキーム3は、式Iaの化合物の調製について言及している。化合物II(式中、式IIのX1、X2、およびR2置換基は、最終生成物またはその保護された変化形において所望されるものと同じ部分で表されるべきである)および化合物XI(式中、R4は小さなアルキルまたはアルコキシ(alkyoxy)である)をカップリングして、例えば、ヨウ化銅(I)などの銅触媒、(1R,2R)-N,N’-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミンなどのリガンド、およびリン酸カリウムなどの塩基を、NMPなどの適切な溶媒中で使用して、Ullmanカップリングを介して化合物XIIを形成することができる。保護基P1の除去は化合物XIIIを結果として生じる。この場合P1は、アミン保護について当業者には周知の基を指す。例えば、P1はtert-ブトキシカルボニル(BOC)であり、このtert-ブトキシカルボニルは、適当な溶媒中の酸性条件を介して、これらに限定されないが、HClの1,4-ジオキサン中溶液での処理により開裂することができる。式Iaの化合物の合成は、キラルスルホネート化合物VI(式中、R3はアリールまたはアルキル置換基であり、mおよびnは、独立して、1または2から選択される整数で表される)と、化合物XIIIとの、炭酸カリウムなどの塩基の存在下、これらに限定されないがアセトニトリルを含めた適当な溶媒中での反応を介して行うことができる。
【0221】
【0222】
スキーム4は、式Ibの化合物の調製について言及している。化合物XVを生成するための化合物XIV(式中、R2置換基は、最終生成物またはその保護された変化形において所望されるものと同じ部分で表されるべきである)と、tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレートとの間のクロスカップリング反応は、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)などのパラジウム源、RuPhos([2’,6’-ビス(プロパン-2-イルオキシ)ビフェニル-2-イル](ジシクロヘキシル)ホスファン)などのリガンド、および1,4-ジオキサンまたは他の適切な溶媒中のTert-ブトキシドナトリウムなどの適切な塩基を使用して行うことができる。これらに限定されないが、1,4-ジオキサン中HClなどの酸性条件を使用するBOC基の除去は、結果として化合物XVIを形成する。化合物XVIおよびV(式中、mおよびnは、独立して、1または2から選択される整数で表される)は、例えば、これらに限定されないが、シアノ水素化ホウ素ナトリウムとチタニウム(IV)エトキシドの組合せを適切な溶媒中で使用して、標準的な還元的アミノ化手順を使用してカップリングして、化合物XVIIを生成することができる。水素化ナトリウムなどの適切な塩基を、DMFなどの適切な溶媒中で使用して、化合物XVIIのフッ素を、アルコール(式中、R5は上記に記載の通りである)で求核置換して、式Ibの化合物を生成する。
【0223】
【0224】
スキーム5は、式I’の化合物の合成について言及している。化合物XVIII(式中、X1、X2、およびR2置換基は、最終生成物またはその保護された変化形において所望されるものと同じ部分で表されるべきである)は、パラジウム源、リガンド、および塩基の標準的な選択を、標準的な溶媒、例えば、これらに限定されないが、アセトニトリル、トルエン、またはエタノール中で使用して、Suzukiカップリング反応を介して、アリールまたはヘテロアリールボロン酸とカップリングして、式XIXの化合物を生成することができる。Pd/リガンド/塩基の組合せの例として、これらに限定されないが[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)および炭酸ナトリウムが挙げられる。保護基P1の除去は化合物XXを結果として生じる。P1はtert-ブトキシカルボニル(BOC)であってよく、このtert-ブトキシカルボニルは、これらに限定されないが、HClの1,4-ジオキサン中溶液での処理を含めた、適当な溶媒中での酸性条件を介して開裂することができる。式I’の化合物の合成は、炭酸カリウムなどの適切な塩基の存在下、これらに限定されないがアセトニトリルを含む適当な溶媒中で、化合物VIのスルホネート(式中、R3はアリールまたはアルキル置換基であり、mおよびnは、独立して、1または2から選択される整数で表される)の化合物XXによる置換を介して行うことができる。
【0225】
【0226】
スキーム6は、一般式VIおよびVIIの調製について言及している。スキーム6aを参照すると、化合物IX(式中、mおよびnは独立して、1または2から選択される整数で表される)のBOC保護基は、例えば、これらに限定されないがメタノール中HClなどの酸性媒体を使用して除去することができる。粗材料は、クロロギ酸エチルおよびトリエチルアミンなどの塩基と、ジクロロメタンなどの溶媒中で合わせて、式Vのカルバミン酸エチルを形成することができる。ケトンのエナンチオマーとして純粋なアルコールXXIへの還元は、Codex(登録商標)ケト還元酵素KRED-P3-G09およびNADP+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)などの酵素試薬を適当な緩衝液中で使用して達成することができる。代わりに、ラセミ還元もまた、例えば、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を用いて行うことができ、キラル分離を後のステップで行うことができる。XXIと、活性化アルキルまたはアリール塩化スルホニルまたは無水物とを、適当な溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で合わせることで、式VIの化合物を得る。スキーム6bを参照すると、化合物IXの、エナンチオマーとして純粋なアルコールXXIIへのケトン還元は、Codex(登録商標)ケト還元酵素KRED-P3-G09およびNADP+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)などの酵素試薬を適当な緩衝液中で使用して達成することができる。アルキルまたはアリール塩化スルホニルまたは無水物を、トリエチルアミンおよび4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)などの適当な塩基と共に、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中で添加することにより、式VIIの化合物の形成を結果として生じる。BOC基の除去は、例えば、これらに限定されないが、ジクロロメタン中トリフルオロ酢酸などの適当な酸性条件下で行い、次いで生成した粗材料をクロロギ酸エチルで、例えば、ジクロロメタン中のトリエチルアミンなどの塩基性条件下で行うことで、式VIの化合物の形成が結果として生じることができる。
【0227】
本明細書で使用される場合、「反応する」(または「反応」または「反応した」)という用語は、指定された化学反応物質を一緒に合わせることによって、化学転換が起きて、系内に最初に導入されたいずれの化合物とも異なる化合物を生成することを指す。反応は溶媒の存在下でまたは不在下で行うことができる。
【0228】
式Iの化合物は、立体異性体、例えば、アトロプ異性体、ラセミ体、エナンチオマー、またはジアステレオマーとして存在し得る。個々のエナンチオマーの調製/単離のための従来技術として、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ体の分離が挙げられる。代わりに、ラセミ体(またはラセミ前駆体)は、適切な光学活性化合物、例えば、アルコールと、または、化合物が酸性または塩基性部分を含有する場合、酸または塩基、例えば、酒石酸または1-フェニルエチルアミンと反応し得る。生成したジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶化により分離することができ、ジアステレオ異性体のうちの1つまたは両方は、当業者に周知の手段により対応する純粋なエナンチオマー(複数可)へと変換することができる。式Iのキラル化合物(およびそのキラル前駆体)は、クロマトグラフィー、通常HPLCを、これらに限定されないが、水性プラスアセトニトリルなどの混合溶媒系と共に使用して(このうちのいずれかまたは両方がトリフルオロ酢酸、ギ酸、濃縮水酸化アンモニウムなどの添加物を含有し得る)、または移動相が0%~50%の2-プロパノール、通常2%~20%、および0%~5%のアルキルアミン、通常0.1%のジエチルアミンを含有する通常ヘプタンまたはヘキサンなどの炭化水素からなり、二酸化炭素と、メタノールもしくはアセトニトリルなどの有機溶媒(ジエチルアミンまたは水酸化アンモニウムなどの添加物を場合によって含有する)との組合せを非対称樹脂上で使用して行われる超臨界流体クロマトグラフィーを用いて、エナンチオマー富化された形態で得ることができる。溶出液の濃縮により富化された混合物が生成する。立体異性集合体は、当業者に公知の従来技術により分離され得る。例えば、その開示がその全体において参照により本明細書に組み込まれている、Stereochemistry of Organic Compounds by E.L.ElielおよびS.H.Wilen(Wiley、NewYork、1994年)を参照されたい。適切な立体選択的な技術は当業者には周知である。
【0229】
本発明は、具体例でより詳細に記載されることになる。以下の実施例は、例示目的で提供され、いかなる方式によっても本発明を限定することを意図するものではない。当業者であれば、変更または修正しても本質的に同じ結果をもたらし得る様々な重要性の低いパラメーターを容易に認識している。本発明の範囲内の追加の化合物は、これらの実施例に例示された方法を、単独でまたは当技術分野で一般的に公知の技術と組み合わせて使用して調製され得る。以下の実施例および調製において、「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し、「N」は、濃縮について言及している場合、正常を意味し、「M」はモルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「μmol」はマイクロモルを意味し、「eq.」は当量を意味し、「℃」は摂氏温度を意味し、「MHz」はメガヘルツを意味し、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを意味する。
【実施例】
【0230】
実験手順
以下は、様々な本発明の化合物の合成を例示している。本発明の範囲内の追加の化合物は、これらの実施例に例示された方法を、単独でまたは当技術分野で一般的に公知の技術と組み合わせて使用して調製され得る。
【0231】
実験は一般的に、特に酸素感受性または水分感受性試薬または中間体が利用される場合、不活性雰囲気(窒素またはアルゴン)下で行われた。市販の溶媒および試薬は一般的にさらに精製せずに使用した。無水溶媒は、適切な場合には、一般的にAcros Organics製のAcroSeal(登録商標)製品、Sigma-Aldrich製のAldrich(登録商標)Sure/Seal(商標)、またはEMD Chemicals製のDriSolv(登録商標)製品を利用した。他の場合には、市販の溶媒は、水に対する以下の品質管理標準:a)ジクロロメタン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランに対して<100ppm;b)メタノール、エタノール、1,4-ジオキサンおよびジイソプロピルアミンに対して<180ppmが達成されるまで4Åモレキュラーシーブを充填したカラムに通した。非常に感受性の高い反応に対して、溶媒は金属のナトリウム、水素化カルシウム、またはモレキュラーシーブでさらに処理し、使用直前に蒸留した。生成物は一般的に、さらなる反応に使用される前に真空下で乾燥するか、または生物学的試験を受けた。質量分析法データは、液体クロマトグラフィー質量分析法(LCMS)、大気圧化学イオン化(APCI)またはガスクロマトグラフィー質量分析法(GCMS)装置のいずれかにより報告される。核磁気共鳴(NMR)データに対する化学シフトは、利用した重水素化溶媒からの残留ピークを参照して百万分率(ppm、δ)で表現される。いくつかの実施例では、キラル分離を行って本発明のある化合物のエナンチオマーを分離した(いくつかの実施例では、分離したエナンチオマーは、これらの溶出順序に従いENT-1およびENT-2と指定)。いくつかの実施例では、旋光計を使用してエナンチオマーの旋光度を測定した。その観察された回転データ(またはその比旋光度データ)に従い、時計回りの回転を持つエナンチオマーは(+)-エナンチオマーと指定し、反時計回り回転を持つエナンチオマーは(-)-エナンチオマーと指定した。ラセミ化合物は構造に隣接する(+/-)の存在により示される;これらの場合、示された立体配置は化合物の置換基の(絶対的ではなく)むしろ相対的立体配置を表す。
【0232】
検出可能な中間体を介した反応手順の後には一般的にLCMSが続き、その後の試薬の添加前に完全な変換まで進行させることが可能である。他の実施例または方法における合成参照手順に対して、反応条件(反応時間および温度)は異なっても良い。一般的に、反応の後には薄層クロマトグラフィーまたは質量分析法が続き、適当な場合、ワークアップの対象下におかれた。精製は実験により異なり得る:一般的に、溶出液/勾配に対して使用される溶媒および溶媒比は、適当なRfsまたは保持時間が得られるように選択される。これらの調製および実施例におけるすべての出発材料は、市販のものであるか、または当技術分野で公知の方法もしくは本明細書に記載されているような方法で調製することができる。
【0233】
以下に記載されている化合物および中間体は、ACD/ChemSketch 2012、ファイルバージョンC10H41、Build 69045(Advanced Chemistry Development、Inc.、Toronto、Ontario、Canada)で提供される命名規則を使用して命名された。ACD/ChemSketch 2012で提供される命名規則は当業者には周知であり、ACD/ChemSketch 2012で提供される命名規則は一般的に、有機化学の命名法およびCAS指数ルールに対するIUPAC(国際純正および応用化学連合(International Union for Pure and Applied Chemistry)推奨に適合していると考えられている。
【0234】
調製物P1
エチル6-オキソ-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(P1)
【0235】
【0236】
塩化アセチル(88mL、1.24モル)を0℃でメタノール(500mL)に加え、生成した溶液を密閉容器内で1時間撹拌した。この塩化水素のメタノール中溶液に、tert-ブチル6-オキソ-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(20.0g、88.8mmol)および硫酸マグネシウム(20g)を加えた。反応混合物を55℃で2時間撹拌し、この時点でこれを室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣(18.4g)をジクロロメタン(700mL)と混合し、激しい撹拌下で0℃に冷却した。クロロギ酸エチル(30mL、310mmol)の滴下添加後、反応混合物をトリエチルアミン(60mL、430mmol)で滴下処理し、0℃で1.5時間撹拌した。次いでこれを室温に温め、終夜撹拌した。塩酸(1M;200mL、200mmol)を加え、撹拌を室温で10分間継続した。有機層を飽和水性塩化ナトリウム溶液(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%~100%酢酸エチル)により、琥珀色の油状物質として生成物を生成した。収量:13.2g、66.9mmol、75%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.13 (q, J=7.2 Hz, 2H), 3.92 (AB四重線, JAB=8.6 Hz, ΔνAB=9.1 Hz, 4H), 2.46 (s, 2H), 2.33-2.27 (m, 2H), 2.23-2.17 (m, 2H), 1.25 (t, J=7.2 Hz, 3H).
調製物P2
tert-ブチル(6S)-6-[(メチルスルホニル)オキシ]-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(P2)
【0237】
【0238】
ステップ1.tert-ブチル(6S)-6-ヒドロキシ-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(C1)の合成。
本実験は2バッチで行った。tert-ブチル6-オキソ-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(40.0g、178mmol)の2-プロパノール(64mL、840mmol)中混合物を、溶液が形成されるまで50℃で加熱した。30℃で、および600rpmで撹拌しながら、Mettler EasyMax反応器に、緩衝液[水性リン酸カリウム、pH7.5(0.1M、2mM塩化マグネシウムを含有)](280mL)を投入した。Codex(登録商標)ケト還元酵素KRED-P3-G09(800mg)およびNADP+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)(80mg)を加え、生成した混合物を10分間撹拌した。高温の基質溶液をゆっくりと加え、この間反応温度は33℃未満に維持した。追加の2-プロパノール(10mLおよび6mL)を使用して基質フラスコをすすいだ。反応物の撹拌速度を600rpmまで上げ、窒素スパージ針を流速100cc/分で適用した。アリコートを定期的に採取した。およそ80μLの反応混合物を重水素化クロロホルム(920μL)と混合し、試料をボルテックスし、遠心分離し、1H NMRを介して有機層を分析した。23時間後、追加のCodex(登録商標)ケト還元酵素KRED-P3-G09(200mg)およびNADP+(20mg)を、pH7.5緩衝液(4mL)中溶液として加え、これに続いて2-プロパノール(20mL)を加えた。追加の22時間後、反応混合物を酢酸エチル(400mL)で希釈し、50分間撹拌し、この時点で珪藻土(25g)を加え、混合物を追加の10分間の間撹拌した。次いで、珪藻土(25g)を介してこれを濾過し、フィルターパッドを酢酸エチル(200mL)ですすいだ。この200mL濾液を使用して、最初の濾過から水層を抽出し、合わせた有機層を飽和水性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、褐色の油状物質(39.6g)を生成した。次いで、2つのバッチをジクロロメタン(600mL)中で合わせ、シリカゲル(150g)で処理し、クロマトグラフィー用に真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%~100%酢酸エチル;生成物はおよそ50%酢酸エチルにおいて溶出を開始した)は生成物を固体として生成した。合わせた収量:63.4g、279mmol、78%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ4.39-4.33 (m, 1H), 3.87 (AB四重線, JAB=8.4 Hz, ΔνAB=41.1 Hz, 2H), 3.80-3.74 (m, 2H), 2.12-2.01 (m, 2H), 1.97-1.77 (m, 3H), 1.69-1.59 (m, 1H), 1.44 (s, 9H).分析により、ee(エナンチオ過剰率)>99%が得られた[超臨界流体クロマトグラフィー]。カラム:Chiral Technologies Chiralpak AD-3、100×3.0mm、3μm;移動相A:二酸化炭素;移動相B:[0.2%(メタノール中7Mアンモニア)を含有するメタノール];勾配:5%B、1.0分間、次いで7.0分間にわたり5%~15%B;流速:2.0mL/分;逆圧:1800psi]。
【0239】
C1の示された絶対立体配置については以下の[tert-ブチル(6S)-6-ヒドロキシ-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(C1)とエチル(6S)-6-ヒドロキシ-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(C2)との立体化学的相関関係]を参照されたい。
【0240】
ステップ2.tert-ブチル(6S)-6-[(メチルスルホニル)オキシ]-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(P2)の合成。
トリエチルアミン(13.5mL、96.9mmol)および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(295mg、2.41mmol)をC1(11.0g、48.4mmol)のジクロロメタン(400mL)中溶液に加えた。次いで、塩化メタンスルホニル(8.40mL、108mmol)を加え{発熱に注意}、反応混合物を終夜撹拌させておいた。真空下で溶媒を除去した後、残渣をジクロロメタンと混合し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、シリカゲルによるクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%~100%酢酸エチル)を介して精製して、生成物を油状物質として得た。収量:14.6g、47.8mmol、99%。LCMS m/z328.2[M+Na+]1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ5.19-5.14 (m, 1H), 3.93 (d, AB四重線の半分, J=8.2 Hz, 1H), 3.85-3.78 (m, 3H), 3.00 (s, 3H), 2.26 (br d, AB四重線の半分, J=14.4 Hz, 1H), 2.16 (dd, ABXパターンの成分, J=14.6, 6.0 Hz, 1H), 2.13-1.99 (m, 3H), 1.92-1.83 (m, 1H), 1.44 (s, 9H).
調製物P3
エチル(6S)-6-[(メチルスルホニル)オキシ]-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(P3)
【0241】
【0242】
P2(14.6g、47.8mmol)のジクロロメタン(250mL)およびトリフルオロ酢酸(55mL、710mmol)中混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣をジクロロメタン(250mL)で希釈し、クロロギ酸エチル(9.10mL、95.2mmol)およびトリエチルアミン(26.7mL、192mmol)で順次処理した。この反応混合物を室温で2時間撹拌した後、これを減圧下で濃縮し、シリカゲルによるクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%~100%酢酸エチル)を使用して精製した。生成物を黄色の油状物質として得られたが、これは1H NMR分析により完全に純粋ではなかった。収量:13.1g、47.2mmol、99%。LCMS m/z278.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3), 生成物のピークのみ: δ5.20-5.15 (m, 1H), 4.12 (q, J=7.1 Hz, 2H), 4.00 (d, AB四重線の半分, J=8.6 Hz, 1H), 3.91-3.85 (m, 3H), 3.00 (s, 3H), 2.29 (br d, AB四重線の半分, J=14.8 Hz, 1H), 2.20-2.02 (m, 4H), 1.93-1.85 (m, 1H), 1.25 (t, J=7.0 Hz, 3H).
調製物P4
エチル(6S)-6-{[(4-メチルフェニル)スルホニル]オキシ}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(P4)
【0243】
【0244】
ステップ1.エチル(6S)-6-ヒドロキシ-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(C2)の合成。
Mettler EasyMax反応器に、Codex(登録商標)ケト還元酵素KRED-P3-G09(60mg)およびNADP+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)(6mg)を含有する緩衝液[水性リン酸カリウム、pH7.0(0.1M、2mM塩化マグネシウムを含有)](8.0mL)を投入した。追加の緩衝液(2.5mL)を使用してガラス器具をすすぎ、反応混合物に加えた。次いで、P1(1.5g、7.6mmol)の2-プロパノール(1.5mL)中溶液を、2-プロパノールすすぎ液(1.5mL)と共に加えた。反応混合物を、300rpmおよび30℃で、10SCCM(毎分立方センチメートル)の窒素流と共に撹拌した。アリコートを定期的に採取し、およそ50μLの反応混合物を重水素化クロロホルム(0.75mL)と混合し、試料をボルテックスし、遠心分離し、1H NMRを介して有機層を分析した。反応がおよそ80%変換に到達した時点で、窒素流速度を25SCCMに上げ、反応を終夜進行させた。酢酸エチル(15mL)を加え、生成した混合物を10分間激しく撹拌し、その時点でこれを珪藻土(1.5g)で処理し、珪藻土(1.5g)の湿ったパッドを介して濾過した。フィルターパッドを酢酸エチル(5mL)で洗浄した後、合わせた濾液の水層を酢酸エチル(15mL)と混合し、5分間激しく撹拌し、フィルターパッドを介して注入した。酢酸エチル(5mL)を再度使用して、フィルターパッドを洗浄し、これらの濾液から水層を同じように抽出した。これらの操作から合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。シリカゲルによるクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中20%~80%酢酸エチル)により、生成物を浅黄色の油状物質として生成した。分析により、ee(エナンチオ過剰率)>99%を得た{超臨界流体クロマトグラフィー。カラム:Chiral Technologies Chiralpak AD、250×4.6mm、5μm;移動相:85:15二酸化炭素/[0.2%(メタノール中7Mアンモニア)を含有するメタノール];流速3.0mL/分;逆圧:120バール}。収量:1.20g、6.02mmol、79%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ4.41-4.33 (m, 1H), 4.10 (q, J=7.0 Hz, 2H), 3.93 (AB四重線, JAB=8.4 Hz, ΔνAB=42.3 Hz, 2H), 3.86-3.80 (m, 2H), 2.13-2.02 (m, 2H), 1.98-1.78 (m, 3H), 1.70-1.6 (m, 1H, 推定; 水ピークにより一部不明確), 1.42 (d, J=3.1 Hz, 1H), 1.24 (t, J=7.0 Hz, 3H).示された絶対立体配置は、C2のP4への、次いで6への変換に基づき指定された(以下の実施例6の代替合成を参照されたい)。
【0245】
ステップ2.エチル(6S)-6-{[(4-メチルフェニル)スルホニル]オキシ}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(P4)の合成。
4-メチルベンゼンスルホン酸無水物(6.29g、19.3mmol)を0℃でC2(P1の生体内還元を介して合成、以前のステップを参照されたい;3.20g、16.1mmol)のピリジン(80mL)中混合物に加えた。4-(ジメチルアミノ)ピリジン(196mg、1.60mmol)の添加後、氷浴が溶融する間、反応混合物を終夜撹拌させておいた。LCMS分析はこの時点で、生成物:LCMS m/z354.3[M+H]+の存在を示した。反応混合物を真空下で濃縮した後、これを硫酸水素ナトリウム水溶液(10%;100mL)で希釈した。次いで水層をジエチルエーテル(150mL)およびジクロロメタン(150mL)で順次抽出した。合わせた有機層を減圧下で濃縮し、シリカゲルによるクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%~100%酢酸エチル)を介して精製して、生成物を油状物質として生成した。収量:4.54g、12.8mmol、80%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.78 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.35 (d, J=7.8 Hz, 2H), 5.01-4.92 (br m, 1H), 4.09 (q, J=7.2 Hz, 2H), 3.87 (AB四重線, JAB=8.6 Hz, ΔνAB=32.4 Hz, 2H), 3.82-3.76 (m, 2H), 2.46 (s, 3H), 2.12 (br d, AB四重線の半分, J=14.8 Hz, 1H), 2.09-1.96 (m, 2H), 1.94-1.86 (m, 2H), 1.85-1.76 (m, 1H), 1.24 (t, J=7.2 Hz, 3H).この材料の示された絶対配置は、実施例6の代替合成においてそれを以下のように使用することによって確立された。6のその試料は、以下に記載されているX線結晶構造判定に使用された材料と同一であることが示された。
【0246】
tert-ブチル(6S)-6-ヒドロキシ-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(C1)とエチル(6S)-6-ヒドロキシ-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(C2)との立体化学的相関関係
【0247】
【0248】
エチル6-ヒドロキシ-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(C3)の合成。
水素化ホウ素ナトリウム(95mg、2.5mmol)を、P1(280mg、1.42mmol)のメタノール(10mL)中溶液に一度に加えた{発熱に注意}。反応混合物を2時間撹拌した後、これを塩酸(1M;5mL)で希釈し、室温で5分間撹拌した。次いで、水(5mL)を加え、水層をジクロロメタン(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、生成物を油状物質として生成した。収量:233mg、1.17mmol、82%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ4.41-4.34 (m, 1H), 4.10 (q, J=7.2 Hz, 2H), 3.93 (AB四重線, JAB=8.4 Hz, ΔνAB=41.9 Hz, 2H), 3.86-3.80 (m, 2H), 2.14-2.02 (m, 2H), 1.98-1.78 (m, 3H), 1.70-1.6 (m, 1H, 推定; 水ピークにより一部不明確), 1.45-1.32 (br s, 1H), 1.24 (t, J=7.2 Hz, 3H).
ステップ1.(6S)-2-アザスピロ[3.4]オクタン-6-オール、塩酸塩(C4)の合成。
【0249】
塩化水素の1,4-ジオキサン(4M;8mL、32mmol)中溶液を、C1(512mg、2.25mmol)の酢酸エチル(12mL)中混合物に加え、反応混合物を室温で3時間撹拌した。真空下での溶媒の除去により、生成物を生成し、これを精製することなく以下の反応に使用した。
【0250】
ステップ2.エチル(6S)-6-ヒドロキシ-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレートの合成(C1からC2へ)。
クロロギ酸エチル(0.258mL、2.70mmol)を、C4(以前のステップからのもの、≦2.25mmol)およびトリエチルアミン(0.943mL、6.76mmol)のジクロロメタン(10mL)中混合物に滴下添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、これを塩酸(1M;10mL)で希釈し、室温で5分間撹拌した。水層をジクロロメタン(15mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。シリカゲルによるクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%~100%酢酸エチル)により、生成物を油状物質として得た。1H NMR分析によると、この材料は完全に純粋ではなかった。収量:100mg、0.502mmol、2ステップにわたり22%。1H NMR (400 MHz, CDCl3), 生成物のピークのみ: δ4.34-4.26 (br m, 1H), 4.06 (q, J=7.0 Hz, 2H), 3.89 (AB四重線, JAB=8.6 Hz, ΔνAB=44.8 Hz, 2H), 3.81-3.75 (m, 2H), 2.09-1.96 (m, 2H), 1.93-1.82 (m, 2H), 1.82-1.73 (m, 1H), 1.66-1.56 (m, 1H), 1.20 (t, J=7.2 Hz, 3H).
KRED-P3-G09還元からのC1およびC2の絶対立体化学(調製物P4)は、以下の方式において同じことが示されている。化合物C1を、C1から試料C2へと変換した(上記ステップ1および2)。C2(C3)のラセミ体を、超臨界流体クロマトグラフィーを介して試験した[カラム:Chiral Technologies Chiralpak AD-H、250×4.6mm、5μm;移動相A:二酸化炭素;移動相B:0.2%(メタノール中7Mアンモニア)を含有するメタノール;勾配:5%B、1.0分間、次いで8.0分間にわたり5%~40%B;流速:3.0mL/分;逆圧:1800psi]。2種のエナンチオマーを保持時間4.57分および4.94分で溶出した。KRED-P3-G09(調製物P4)を用いたP1の還元から得たC2試料により、C1からC2試料を得た場合と同じクロマトグラフィー条件下で保持時間4.9分が得られた。
【0251】
実施例1、実施例2および実施例3
エチル6-{4-[3-(5-メトキシピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(1)、エチル6-{4-[3-(5-メトキシピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-1(2)、およびエチル6-{4-[3-(5-メトキシピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-2(3)
【0252】
【0253】
ステップ1.tert-ブチル4-[3-(5-メトキシピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-カルボキシレート(C5)の合成。
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(89mg、77μmol)のトルエン(5mL)およびエタノール(2mL)中溶液を、tert-ブチル4-[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-カルボキシレート(300mg、0.771mmol)、2-ブロモ-5-メトキシピラジン(146mg、0.772mmol)、および炭酸ナトリウム水溶液(2M、10mL)の混合物に加えた。反応混合物を100℃で、マイクロ波照射下で3時間撹拌し、この時点でこれを真空下で濃縮した。[この方法を参考にした実験は、多くの場合60℃以上での標準的加熱を使用した。]シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0%~40%酢酸エチル)を使用した残渣の精製により、生成物を黄色の固体として得た。収量:260mg、0.700mmol、91%。LCMS m/z372.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.80-8.72 (br s, 1H), 8.33 (d, J=1.5 Hz, 1H), 8.33-8.28 (m, 1H), 7.86 (br d, J=6.8 Hz, 1H), 7.08-7.01 (m, 1H), 4.03 (s, 3H), 3.50-3.41 (br m, 4H), 3.21-3.05 (br m, 4H), 1.46 (s, 9H).
ステップ2.2-メトキシ-5-[2-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル]ピラジン、テトラヒドロクロリド塩(C6)の合成。塩化水素の1,4-ジオキサン(4M;3mL、12mmol)中溶液を、C5(260mg、0.700mmol)のアセトニトリル(6mL)中溶液に加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。真空下での溶媒の除去により、生成物を黄色の油状物質として生成し、これを次のステップでそのまま使用した。1H NMR分析によると、この材料は完全に純粋ではなかった。収量:290mg、0.695mmol、99%。LCMS m/z272.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), 生成物のピークのみ: δ9.57-9.42 (br m, 2H), 8.77 (d, J=1.2 Hz, 1H), 8.45 (d, J=1.5 Hz, 1H), 8.30 (dd, J=5.1, 1.7 Hz, 1H), 7.98 (dd, J=7.3, 1.5 Hz, 1H), 7.22 (dd, J=7.5, 5.3 Hz, 1H), 3.98 (s, 3H), 3.36-3.28 (br m, 4H), 3.12-3.04 (br m, 4H).
ステップ3.エチル6-{4-[3-(5-メトキシピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(1)の合成。
【0254】
C6(220mg、0.527mmol)およびトリエチルアミン(1.0mL、7.2mmol)のジクロロメタン(40mL)中混合物を室温で30分間撹拌し、この時点でP1(156mg、0.791mmol)を加え、これに続いてチタニウム(IV)エトキシド(1.5mL、7.2mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(490mg、7.80mmol)を加え、これに続いてメタノール(6mL)を加え、撹拌を室温でもう4時間継続した。次いで、水(4mL)を加え、生成した混合物を真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0%~10%メタノール)を使用して、これに続いて逆相クロマトグラフィー(カラム:Agela Technologies C18;移動相A:0.05%水酸化アンモニウムを含有する水;移動相B:アセトニトリル;勾配:45%~60%B)精製を行った。生成物を淡黄色の固体として単離した。収量:170mg、0.376mmol、71%。LCMS m/z453.3[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.76 (br s, 1H), 8.32 (d, J=1.2 Hz, 1H), 8.28 (dd, J=4.9, 1.7 Hz, 1H), 7.81 (dd, J=7.5, 1.8 Hz, 1H), 6.99 (dd, J=7.5, 5.0 Hz, 1H), 4.10 (q, J=7.1 Hz, 2H), 4.04 (s, 3H), 3.86 (AB四重線, 低磁場二重線が広がっている, JAB=8.3 Hz, ΔνAB=22.5 Hz, 2H), 3.81-3.74 (m, 2H), 3.29-3.10 (br m, 4H), 2.67-2.40 (br m, 5H), 2.11 (dd, J=12, 7 Hz, 1H), 2.02-1.45 (m, 5H, 推定; 水ピークにより一部不明確), 1.24 (t, J=7.1 Hz, 3H).
ステップ4.エチル6-{4-[3-(5-メトキシピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-1(2)およびエチル6-{4-[3-(5-メトキシピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-2(3)の単離。
【0255】
1(150mg、0.331mmol)の、その構成成分エナンチオマーへの分離を逆相HPLC[カラム:Chiral Technologies ChiralCel OD、10μm;移動相:4:1ヘキサン/エタノール]を介して行った。次いで、単離したエナンチオマーを個々に逆相クロマトグラフィー(カラム:Agela Technologies C18;移動相A:0.1%水酸化アンモニウムを含有する水;移動相B:アセトニトリル;勾配:0%~60%B)の対象下において、生成物を黄色の固体として生成した。第1溶出エナンチオマーを2と指定し、第2溶出エナンチオマーを3と指定した。
【0256】
2-収量:40mg、88μmol、27%。LCMS m/z453.3[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.76 (br s, 1H), 8.32 (d, J=1.2 Hz, 1H), 8.28 (dd, J=4.8, 1.8 Hz, 1H), 7.81 (dd, J=7.5, 1.8 Hz, 1H), 6.99 (dd, J=7.3, 4.9 Hz, 1H), 4.10 (q, J=7.1 Hz, 2H), 4.03 (s, 3H), 3.86 (AB四重線, 低磁場二重線が広がっている, JAB=8.3 Hz, ΔνAB=22.5 Hz, 2H), 3.80-3.74 (m, 2H), 3.30-3.10 (br m, 4H), 2.69-2.41 (br m, 5H), 2.11 (dd, J=12.5, 6.8 Hz, 1H), 2.00-1.48 (m, 5H, 推定; 水ピークにより一部不明確), 1.24 (t, J=7.1 Hz, 3H).保持時間:3.52分(分析用条件。カラム:Chiral Technologies ChiralCel OD-H、150×4.6mm、5μm;移動相:80:20:0.1ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン;流速:1.0mL/分)。
【0257】
3-収量:43mg、95μmol、29%。LCMS m/z453.3[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.75 (br s, 1H), 8.32 (d, J=1.2 Hz, 1H), 8.28 (dd, J=4.9, 2.0 Hz, 1H), 7.81 (dd, J=7.5, 1.8 Hz, 1H), 6.99 (dd, J=7.3, 4.9 Hz, 1H), 4.10 (q, J=7.1 Hz, 2H), 4.04 (s, 3H), 3.93-3.86 (br m, 1H), 3.84 (d, AB四重線の半分, J=8.3 Hz, 1H), 3.80-3.75 (m, 2H), 3.33-3.06 (br m, 4H), 2.71-2.35 (br m, 5H), 2.18-2.06 (m, 1H), 2.04-1.45 (m, 5H, 推定; 水ピークにより一部不明確), 1.24 (t, J=7.1 Hz, 3H).保持時間:4.53分(2に対して使用したものと同一の分析用条件)。
【0258】
実施例4
エチル(6R)-6-{4-[3-(1,3-チアゾール-4-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(4)
【0259】
【0260】
ステップ1.tert-ブチル4-[3-(1,3-チアゾール-4-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-カルボキシレート(C7)の合成。
エタノール(30mL)および炭酸ナトリウム(8.85g、83.5mmol)の水(33mL)中溶液を、tert-ブチル4-[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-カルボキシレート(13.0g、33.4mmol)と4-ブロモ-1,3-チアゾール(6.57g、40.1mmol)のトルエン(180mL)中混合物に加えた。次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.69g、2.33mmol)を加え、反応混合物を90℃で12時間撹拌した。真空下で溶媒を除去した後、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%~60%、石油エーテル中酢酸エチル)を使用して残渣を精製して、生成物を淡黄色の固体として生成した。収量:7.00g、20.2mmol、60%。LCMS m/z347.1[M+H]+。
【0261】
ステップ2.1-[3-(1,3-チアゾール-4-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン(C8)の合成。塩化水素の1,4-ジオキサン(4M;50mL、200mmol)中溶液を0℃でC7(11.0g、31.8mmol)のアセトニトリル(100mL)中溶液に加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、この時点でこれを濾過した。収集した固体を酢酸エチルで洗浄し、次いで、ジクロロメタン(150mL)とメタノール(25mL)の混合物に懸濁させた。炭酸カリウム(20g、145mmol)を加え、混合物を室温で16時間撹拌し、次いで濾過した。フィルターケーキをジクロロメタンとメタノールの混合物(10:1、60mL)で洗浄し、合わせた濾液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、生成物を黄色の油状物質として得た。1H NMR分析によると、この材料は完全に純粋ではなかった。収量:7.5g、30mmol、94%。LCMS m/z247.1[M+H]+。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), 生成物のピークのみ: δ9.19 (d, J=2.0 Hz, 1H), 8.24 (d, J=2.0 Hz, 1H), 8.22 (dd, J=4.8, 1.8 Hz, 1H), 8.10 (dd, J=7.5, 1.8 Hz, 1H), 7.04 (dd, J=7.5, 4.8 Hz, 1H), 2.97-2.91 (m, 4H), 2.80-2.73 (m, 4H).
ステップ3.tert-ブチル(6R)-6-{4-[3-(1,3-チアゾール-4-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(C9)の合成。
【0262】
この実験は2つの同一のバッチで行った。C8(1.10g、4.47mmol)、P2(1.91g、6.25mmol)、および炭酸カリウム(1.54g、11.1mmol)のアセトニトリル(20mL)中混合物を密閉容器内に配置し、95℃で16時間加熱し、この時点でこれを真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0%~10%メタノール)により、生成物を淡黄色の油状物質として生成した。合わせた収量:1.70g、3.73mmol、42%。LCMS m/z456.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ9.20 (d, J=1.5 Hz, 1H), 8.23 (dd, J=4.6, 1.5 Hz, 1H), 8.20 (br s, 1H), 8.10 (br d, J=7.6 Hz, 1H), 7.06 (dd, J=7.3, 4.6 Hz, 1H), 3.76-3.58 (br m, 4H), 3.07-2.96 (br m, 4H), 2.64-2.39 (m, 5H, 推定; 溶媒ピークにより著しく不明確), 2.07-1.96 (m, 1H), 1.87-1.69 (m, 3H), 1.69-1.57 (m, 1H), 1.50-1.4 (m, 1H), 1.36 (s, 9H).
ステップ4.(6R)-6-{4-[3-(1,3-チアゾール-4-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン(C10)の合成。
【0263】
トリフルオロ酢酸(15mL)を、C9(6.00g、13.2mmol)のジクロロメタン(120mL)中溶液に加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、これを真空下で濃縮し、残渣をジクロロメタンとメタノール(9:1、150mL)の混合物に溶解した。炭酸ナトリウム(15g)を加え、生成した混合物を室温で3時間撹拌した。次いで、混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、生成物を黄色の油状物質として得た。収量:4.50g、12.7mmol、96%。LCMS m/z356.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ9.15-9.13 (m, 1H), 8.31-8.27 (m, 1H), 8.16-8.13 (m, 1H), 8.07 (br d, J=7.6 Hz, 1H), 7.18-7.12 (m, 1H), 3.69 (br d, AB四重線の半分, J=12 Hz, 1H), 3.65-3.49 (m, 5H), [3.40-3.24 (m)および3.16-3.07 (m), 合計7H, 推定; 溶媒ピークにより一部不明確], 2.41-2.28 (m, 2H), 2.02-1.81 (m, 3H), 1.72-1.63 (br m, 1H).
ステップ5.エチル(6R)-6-{4-[3-(1,3-チアゾール-4-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(4)の合成。クロロギ酸エチル(3.66g、33.7mmol)を、0℃でC10(4.00g、11.2mmol)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン(8.73g、67.5mmol)の混合物に加え、反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を水の中に注ぎ入れた後、これをジクロロメタン(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮し、シリカゲルによるクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0%~10%メタノール)を介して精製して、淡黄色のガム状物質(2.1g)を生成した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0%~20%メタノール)を使用して、この材料を再精製して、生成物を黄褐色泡状物質として得た。収量:1.77g、4.14mmol、37%。LCMS m/z428.4[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.88 (d, J=2.0 Hz, 1H), 8.26 (dd, J=4.7, 2.0 Hz, 1H), 8.11 (dd, J=7.4, 2.0 Hz, 1H), 8.02 (d, J=2.0 Hz, 1H), 6.98 (dd, J=7.6, 4.9 Hz, 1H), 4.10 (q, J=7.0 Hz, 2H), 3.86 (AB四重線, JAB=8.4 Hz, ΔνAB=20.8 Hz, 2H), 3.79 (AB四重線, JAB=8.4 Hz, ΔνAB=6.0 Hz, 2H), 3.21-3.15 (m, 4H), 2.62-2.48 (br m, 5H), 2.12 (dd, J=12.7, 6.8 Hz, 1H), 1.98-1.78 (m, 3H), 1.72 (dd, J=12.7, 9.6 Hz, 1H), 1.61-1.50 (m, 1H), 1.24 (t, J=7.2 Hz, 3H).
実施例5
エチル(6R)-6-{4-[3-(1,3,4-チアジアゾール-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(5)
【0264】
【0265】
ステップ1.tert-ブチル4-[3-(1,3,4-チアジアゾール-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-カルボキシレート(C11)の合成。この実験は、8つの同一バッチで行った。
【0266】
tert-ブチル4-[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-カルボキシレート(400mg、1.03mmol)のアセトニトリル(20mL)中混合物に、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(XPhos;147mg、0.308mmol)を加え、これに続いて2-ブロモ-1,3,4-チアジアゾール(203mg、1.23mmol)、炭酸ナトリウム(163mg、1.54mmol)、水(4mL)、およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(94.0mg、0.103mmol)を加えた。反応混合物を密閉容器内で、100℃で7時間撹拌し、この時点でこれを真空下で濃縮し、シリカゲルによるクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0%~80%酢酸エチル)を介して精製して、淡黄色の油状物質(550mg)を得た。すべての8つの反応からの生成物を合わせ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0%~70%酢酸エチル)の対象下におき、生成物を淡黄色の固体として生成した。合わせた収量:1.20g、3.45mmol、42%。LCMS m/z348.1[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ9.20 (s, 1H), 8.50 (dd, J=7.7, 1.8 Hz, 1H), 8.47 (dd, J=4.8, 1.8 Hz, 1H), 7.19 (dd, J=7.7, 4.8 Hz, 1H), 3.61 (dd, J=5, 5 Hz, 4H), 3.10 (dd, J=5, 5 Hz, 4H), 1.48 (s, 9H).
ステップ2.1-[3-(1,3,4-チアジアゾール-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン(C12)の合成。塩化水素の1,4-ジオキサン(4M;15mL、60mmol)中溶液を、C11(1.10g、3.17mmol)のアセトニトリル(30mL)中混合物に加え、反応混合物を室温で3時間撹拌した。真空下で溶媒を除去した後、残渣を酢酸エチルで粉砕して、白色の固体(1.0g)を得た。この材料をジクロロメタンとメタノールの混合物(10:1、150mL)中に溶解させ、炭酸カリウム(5.0g、36.2mmol)で処理した。この混合物を室温で16時間撹拌した後、これを濾過した。濾液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、生成物を淡黄色の固体として生成した。収量:700mg、2.83mmol、89%。LCMS m/z248.1[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ9.20 (s, 1H), 8.52-8.45 (m, 2H), 7.17 (dd, J=7.6, 4.9 Hz, 1H), 3.14-3.04 (m, 8H).
ステップ3.エチル(6R)-6-{4-[3-(1,3,4-チアジアゾール-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(5)の合成。
【0267】
C12(700mg、2.83mmol)、P3(1.23g、4.43mmol)、および炭酸カリウム(511mg、3.70mmol)のアセトニトリル(20mL)中混合物を、密閉容器内に配置し、100℃で16時間撹拌した。次いで、反応混合物を真空下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0%~10%メタノール)を使用して精製して、生成物を白色の固体として得た。収量:400mg、0.933mmol、33%。LCMS m/z429.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ9.20 (s, 1H), 8.47-8.41 (m, 2H), 7.14 (dd, J=7.6, 4.9 Hz, 1H), 4.10 (q, J=7.1 Hz, 2H), 3.88 (AB四重線, JAB=8.3 Hz, ΔνAB=21.7 Hz, 2H), 3.83-3.76 (m, 2H), 3.25-3.12 (br m, 4H), 2.73-2.55 (br m, 5H), 2.13 (dd, J=12.6, 7.0 Hz, 1H), 2.02-1.51 (m, 5H, 推定; 水ピークにより一部不明確), 1.24 (t, J=7.1 Hz, 3H).
実施例6および実施例7
エチル(6R)-6-[4-(3-メトキシピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(6)およびエチル(6S)-6-[4-(3-メトキシピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(7)
【0268】
【0269】
ステップ1.tert-ブチル6-[4-(3-メトキシピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(C13)の合成。tert-ブチル6-オキソ-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(2.00g、8.88mmol)、1-(3-メトキシピリジン-2-イル)ピペラジン、三塩酸塩(2.71g、8.96mmol)、トリエチルアミン(7.38mL、52.9mmol)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(3.35g、53.3mmol)および硫酸マグネシウム(3.21g、26.7mmol)のエタノール(50mL)中懸濁液を、45℃で16時間撹拌した。次いで、反応混合物を真空下で濃縮乾燥させた。シリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:1:10メタノール/ジクロロメタン)により、生成物を淡黄色の油状物質として生成し、これを次のステップで精製することなく使用した。LCMS m/z403.1[M+H]+。
【0270】
ステップ2.6-[4-(3-メトキシピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-2-アザスピロ[3.4]オクタン、トリフルオロ酢酸塩(C14)の合成。
トリフルオロ酢酸(20mL)をC13(以前のステップからのもの;≦8.88mmol)のジクロロメタン(80mL)中溶液に滴下方式で加えた。反応混合物を10℃で2時間撹拌し、この時点で、これを減圧下で濃縮乾燥させて、生成物を淡黄色の油状物質として得、これをそのまま以下のステップで使用した。LCMS m/z302.9[M+H]+。
【0271】
ステップ3.エチル6-[4-(3-メトキシピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(C15)の合成。C14(以前のステップからのもの、≦8.88mmol)およびトリエチルアミン(12.3mL、88.2mmol)のジクロロメタン(100mL)中溶液に、クロロギ酸エチル(2.89g、26.6mmol)を加えた。反応混合物を10℃で16時間撹拌し、この時点でこれを真空下で濃縮乾燥させた。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0%~9%メタノール)を介して精製を行い、これに続いて逆相HPLC(カラム:Phenomenex Gemini C18、10μm;移動相A:水中0.05%水酸化アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:25%~44%B)を介して精製を行った。次いで、生成した材料をもう1度シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル溶出液、これに続いて、ジクロロメタン中0%~9%メタノールの勾配)の対象下において、生成物を白色の固体として得た。収量:1.68g、4.49mmol、3ステップにわたり51%。LCMS m/z375.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ7.80 (dd, J=5.0, 1.5 Hz, 1H), 7.29 (dd, J=8.0, 1.0 Hz, 1H), 6.98 (dd, J=8.0, 5.0 Hz, 1H), 4.08 (q, J=7.0 Hz, 2H), 3.99-3.78 (m, 4H), 3.87 (s, 3H), 3.68-3.44 (br m, 4H), 3.41-3.3 (m, 1H, 推定; 溶媒ピークにより一部不明確), 3.28-3.11 (br m, 4H), 2.40 (dd, J=13.0, 8.0 Hz, 1H), 2.22-2.11 (m, 1H), 2.10-2.00 (m, 1H), 2.00-1.90 (m, 2H), 1.83-1.70 (m, 1H), 1.23 (t, J=7.0 Hz, 3H).
ステップ4.エチル(6R)-6-[4-(3-メトキシピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(6)およびエチル(6S)-6-[4-(3-メトキシピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(7)の単離。
【0272】
C15(1.67g、4.46mmol)の、その構成成分エナンチオマーへの分離は、超臨界流体クロマトグラフィー{カラム:Phenomenex Lux Amylose-1、5μm;移動相:4:1二酸化炭素/[0.2%(エタノール中7Mアンモニア)を含有するエタノール];逆圧:120バール}を介して行った。第1溶出エナンチオマーを6と指定し、第2溶出エナンチオマーを7と指定した。示された絶対配置は6の塩酸塩に対して行ったX線構造判定に基づいて指定された(以下を参照されたい)。
【0273】
6-収量:394mg、1.05mmol、24%。保持時間:5.80分{分析用条件。カラム:Phenomenex Lux Amylose-1、250×4.6mm、5μm;移動相A:二酸化炭素;移動相B:[0.2%(エタノール中7Mアンモニア)を含有するエタノール];勾配:5%で1分間、次いで8.0分間にわたり5%~60%B;流速:3.0mL/分;逆圧:120バール}。
【0274】
7-収量:453mg、1.21mmol、27%。LCMS m/z375.3[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.87 (br d, J=4.7 Hz, 1H), 7.03 (br d, J=7.8 Hz, 1H), 6.83 (dd, J=8.0, 4.9 Hz, 1H), 4.10 (q, J=7.2 Hz, 2H), 3.90 (d, AB四重線の半分, J=8.6 Hz, 1H), 3.86-3.82 (m, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.79 (AB四重線, JAB=8.4 Hz, ΔνAB=8.4 Hz, 2H), 3.47-3.39 (br m, 4H), 2.71-2.57 (br m, 5H), 2.14 (dd, J=12.9, 7.0 Hz, 1H), 1.99-1.81 (m, 3H), 1.77 (dd, J=12.5, 9.8 Hz, 1H), 1.67-1.55 (m, 1H), 1.24 (t, J=7.0 Hz, 3H).保持時間:6.68分(分析用条件は6に対して使用したものと同一)。
【0275】
単結晶X線構造判定のための6のその塩酸塩(6・HCl)への変換
塩化水素の1,4-ジオキサン(4M;6.3μL、25μmol)中溶液を、1.77g(1ドラム)バイアル中の6(9.5mg、25μmol)のエタノール(254μL)中溶液に加えた。バイアルを手動で30秒間振盪させた後、蓋をあけたまま、これを18時間静置させた。その時点で、エタノールは蒸発し、6・HClの小さな針状結晶が残り、そのうちの1つを以下に概説されているように、単結晶X線構造判定を介して分析した。
【0276】
6・HClの単結晶X線構造判定
単結晶X線分析
データ収集をBruker APEX回折計で、-150℃で実施した。データ収集物はオメガおよびファイスキャンからなった。
【0277】
構造は、斜方晶クラス空間群P212121においてSHELXソフトウェアスイートを使用する直接的方法で解明した。続いて、フルマトリックス最小二乗法により構造を精密化した。すべての非水素原子を発見し、異方性変位パラメーターを使用して精密化した。
【0278】
窒素上にプロトン受容体として位置する水素原子をフーリエ示差マップから発見し、制限された距離を用いて精密化した。水素原子を計算した位置に配置し、これらの担体原子上に乗せた。最終の精密化は、すべての水素原子に対する等方性変位パラメーターを含んだ。
【0279】
Platonを介したスクイーズアルゴリズムを適用して、対称の中心に位置する恐らく無秩序の酢酸エチル溶媒の観察された残留電子密度を排除した。一致因子は1.7%改善された。
【0280】
可能性のある方法(Hooft、2008年)を使用した絶対構造の分析を、PLATON(Spek)を使用して実施した。結果は、絶対構造が正しく指定されていることを示している。方法は、構造が正しいという確率は1.000であることを計算している。Hooftパラメーターは、0.011のesdで0.035と報告されている。
【0281】
非対称的単位は、プロトン化された6の2個の分子(2+)、2個の塩素イオン(2-)、および1個の水分子(半分占有)を含んだ。最終のR指数は5.3%であった。最終の示差フーリエは、欠損も、間違った電子密度もないことを明らかにした。
【0282】
関連のある結晶、データ収物、および精密化情報は表Aに要約されている。原子座標、結合の長さ、結合角度、および置換パラメーターは表B~Dに列挙されている。
ソフトウエアおよび参考文献
SHELXTL、Version5.1、Bruker AXS、1997年。
PLATON、A.L.Spek、J.Appl.Cryst.2003年、36巻、7~13頁。
MERCURY、C.F.Macrae、P.R.Edington、P.McCabe、E.Pidcock、G.P.Shields、R.Taylor、M.TowlerおよびJ.van de Streek、J.Appl.Cryst.2006年、39巻、453~457頁。
OLEX2、O.V.Dolomanov、L.J.Bourhis、R.J.Gildea、J.A.K.Howard、およびH.Puschmann、J.Appl.Cryst.、2009年、42巻、339~341頁。
R.W.W.Hooft、L.H.StraverおよびA.L.Spek、J.Appl.Cryst.、2008年、41巻、96~103頁。
H.D.Flack、ActaCryst.、1983年。A39巻、867~881頁。
【0283】
【0284】
【0285】
【0286】
【0287】
【0288】
【0289】
【0290】
【0291】
【0292】
【0293】
【0294】
実施例6の代替合成
エチル(6R)-6-[4-(3-メトキシピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(6)
【0295】
【0296】
1-(3-メトキシピリジン-2-イル)ピペラジン、塩酸塩(130mg、0.566mmol)、P4(240mg、0.679mmol)、炭酸カリウム(313mg、2.26mmol)、およびアセトニトリル(2.3mL)を密閉容器内に配置し、90℃で終夜加熱した。反応混合物を室温に冷却した後、これをシリカゲル上に吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0%~20%メタノール)を介して精製して、生成物を淡褐色の油状物質として得た。収量:80mg、0.21mmol、37%。LCMS m/z375.1[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.88 (dd, J=4.9, 1.4 Hz, 1H), 7.03 (dd, J=7.8, 1.2 Hz, 1H), 6.84 (dd, J=8.0, 4.9 Hz, 1H), 4.10 (q, J=7.2 Hz, 2H), 3.91 (d, AB四重線の半分, J=8.2 Hz, 1H), 3.87-3.83 (m, 1H), 3.85 (s, 3H), 3.80 (AB四重線, JAB=8.2 Hz, ΔνAB=8.4 Hz, 2H), 3.48-3.39 (br m, 4H), 2.69-2.56 (br m, 5H), 2.15 (dd, J=12.9, 7.0 Hz, 1H), 2.00-1.80 (m, 3H), 1.76 (dd, J=12.7, 9.6 Hz, 1H), 1.65-1.53 (m, 1H, 推定; 水ピークにより一部不明確), 1.24 (t, J=7.0 Hz, 3H).
この合成した材料(6-代替合成)の示された絶対配置を、上記に記載のX線結晶構造試料の調製に使用した材料(6-X線調製物)との比較を介して、以下の通り確立した。超臨界流体クロマトグラフィー{カラム:Phenomenex Lux Amylose-1、250×4.6mm、5μm;移動相A:二酸化炭素;移動相B:[0.2%(メタノール中7Mアンモニア)を含有するメタノール;勾配:5%Bで1.0分間、次いで8.0分間にわたり5%~60%B;流速:3.0mL/分;逆圧:120バール}を使用してラセミ体C15を試験した。2つのエナンチオマーに対して2つのピークが観察された:1つは5.82分で、および1つは6.54分で観察された。同一条件下で、6-代替合成により保持時間5.83分を得た。6-X線調製物により、保持時間5.83分を得た。これは2つの試料が同じ絶対立体配置を保有することを確証している。
【0297】
実施例8
エチル(6R)-6-{4-[3-(ピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(8)
【0298】
【0299】
ステップ1.tert-ブチル4-[3-(ピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-カルボキシレート(C16)の合成。tert-ブチル4-[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-カルボキシレート(6.00g、15.4mmol)、2-ブロモピラジン(2.7g、17mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.78g、1.54mmol)、および炭酸カリウム(6.39g、46.2mmol)のトルエン(80mL)、エタノール(30mL)、および水(3mL)の混合物中混合物を100℃で16時間撹拌した。次いで、反応混合物を真空下で濃縮し、残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0%~50%酢酸エチル)を介して精製して、生成物を黄色のガム状物質として生成した。収量:5.00g、14.6mmol、95%。LCMS m/z342.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ9.22 (br s, 1H), 8.68 (dd, J=2.4, 1.5 Hz, 1H), 8.51 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.35 (dd, J=4.9, 1.7 Hz, 1H), 7.90 (dd, J=7.6, 1.7 Hz, 1H), 7.06 (dd, J=7.6, 4.9 Hz, 1H), 3.46-3.39 (m, 4H), 3.16-3.07 (br m, 4H), 1.45 (s, 9H).
ステップ2.2-[2-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル]ピラジン(C17)の合成。C16(5.30g、15.5mmol)と、塩化水素の1,4-ジオキサン(4M;15.5mL、62mmol)中溶液とのジクロロメタン(60mL)およびメタノール(20mL)中混合物を室温で2時間を撹拌し、続いて40℃で1時間加熱した。真空下で溶媒を除去した後、残渣をメタノール(100mL)に溶解し、炭酸カリウム(12.0g、86.8mmol)で処理し、室温で1時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0%~10%メタノール)を使用して精製して、生成物を生成した。収量:2.90g、12.0mmol、77%。LCMS m/z242.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ9.18 (d, J=1.7 Hz, 1H), 8.74 (dd, J=2.6, 1.6 Hz, 1H), 8.57 (d, J=2.7 Hz, 1H), 8.30 (dd, J=4.9, 2.0 Hz, 1H), 7.85 (dd, J=7.6, 2.0 Hz, 1H), 7.07 (dd, J=7.5, 4.8 Hz, 1H), 2.95-2.90 (m, 4H), 2.67-2.62 (m, 4H).
ステップ3.エチル(6R)-6-{4-[3-(ピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(8)の合成。
【0300】
C17(2.50g、10.4mmol)、P4(5.13g、14.5mmol)、および炭酸カリウム(4.3g、31.1mmol)のアセトニトリル(25mL)中混合物を密閉容器内に配置し、100℃で48時間撹拌した。真空下で溶媒を除去した後、残渣を水(150mL)で希釈し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0%~10%メタノール)を介して精製して、生成物を黄色のガム状物質として生成した。収量:2.90g、6.86mmol、66%。LCMS m/z423.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ9.23 (br s, 1H), 8.66 (dd, J=2.4, 1.5 Hz, 1H), 8.48 (d, J=2.7 Hz, 1H), 8.33 (dd, J=4.8, 1.8 Hz, 1H), 7.88 (dd, J=7.5, 1.8 Hz, 1H), 7.03 (dd, J=7.3, 4.9 Hz, 1H), 4.10 (q, J=7.1 Hz, 2H), 3.85 (AB四重線, 低磁場二重線が広がっている, JAB=8.3 Hz, ΔνAB=22.7 Hz, 2H), 3.79-3.74 (m, 2H), 3.32-3.09 (br m, 4H), 2.69-2.38 (br m, 5H), 2.10 (dd, J=12.5, 6.8 Hz, 1H), 2.01-1.46 (m, 5H, 推定; 水ピークにより一部不明確), 1.24 (t, J=7.1 Hz, 3H).
実施例9
エチル(6R)-6-{4-[3-(4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(9)
【0301】
【0302】
ステップ1.tert-ブチル4-[3-(4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-カルボキシレート(C18)の合成。
tert-ブチル4-(3-ブロモピリジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(400mg、1.17mmol)、4-メチル-1H-ピラゾール(144mg、1.75mmol)、ヨウ化銅(I)(22mg、0.12mmol)、(1R,2R)-N,N’-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(34mg、0.24mmol)、およびリン酸カリウム(746mg、3.51mmol)の1-メチルピロリジン-2-オン(4mL)中混合物を、密閉容器内に配置し、140℃で16時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0%~100%酢酸エチル)の対象下におき、生成物を淡黄色の固体(160mg)として生成し、これを以下のステップでそのまま使用した。1H NMR分析によると、この材料は完全に純粋ではなかった。LCMS m/z344.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3), 生成物のピークのみ: δ8.24 (dd, J=4.9, 1.7 Hz, 1H), 7.78-7.76 (m, 1H), 7.71 (dd, J=7.8, 1.7 Hz, 1H), 7.54 (br s, 1H), 6.97 (dd, J=7.7, 4.8 Hz, 1H), 3.46-3.38 (m, 4H), 2.97-2.89 (m, 4H), 2.16 (s, 3H), 1.46 (s, 9H).
ステップ2.1-[3-(4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン(C19)の合成。C18(以前のステップからのもの;160mg、≦0.466mmol)と、塩化水素の1,4-ジオキサン(4M;0.5mL、2mmol)中溶液とのジクロロメタン(10mL)中混合物を室温で3時間撹拌し、この時点でこれを真空下で濃縮した。残渣をメタノール(20mL)に溶解し、炭酸カリウム(200mg、1.45mmol)で処理し、室温で20分間撹拌し、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0%~70%メタノール)を介して精製して、生成物を淡黄色の固体として得た。収量:60mg、0.25mmol、2つのステップにわたり21%。LCMS m/z244.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.24 (dd, J=4.8, 1.6 Hz, 1H), 7.70 (dd, J=7.6, 1.7 Hz, 1H), 7.66 (br s, 1H), 7.54 (br s, 1H), 7.01 (dd, J=7.6, 4.9 Hz, 1H), 3.27-3.20 (m, 4H), 3.16-3.08 (m, 4H), 2.17 (s, 3H).
ステップ3.エチル(6R)-6-{4-[3-(4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(9)の合成。
【0303】
C19(60mg、0.25mmol)、P4(131mg、0.371mmol)、および炭酸カリウム(102mg、0.738mmol)のアセトニトリル(3mL)中混合物を密閉容器内に配置し、100℃で48時間撹拌した。溶媒を真空下で除去した後、残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0%~20%メタノール)を介して、これに続いて逆相HPLC(カラム:Waters XBridge C18、5μm;移動相A:0.05%水酸化アンモニウムを含有する水;移動相B:アセトニトリル;勾配:40%~50%B)を介して精製した。生成物を淡黄色の固体として単離した。収量:25mg、59μmol、24%。LCMS m/z425.3[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.23 (dd, J=4.8, 1.8 Hz, 1H), 7.73 (br s, 1H), 7.68 (dd, J=7.8, 1.7 Hz, 1H), 7.52 (br s, 1H), 6.93 (dd, J=7.7, 4.8 Hz, 1H), 4.10 (q, J=7.1 Hz, 2H), 3.86 (AB四重線, 低磁場二重線が広がっている, JAB=8.3 Hz, ΔνAB=21.4 Hz, 2H), 3.78 (AB四重線, JAB=8.3 Hz, ΔνAB=6.0 Hz, 2H), 3.09-2.94 (br m, 4H), 2.62-2.39 (br m, 5H), 2.17 (s, 3H), 2.11 (dd, J=12.7, 6.8 Hz, 1H), 1.99-1.48 (m, 5H, 推定; 水ピークにより一部不明確), 1.24 (t, J=7.1 Hz, 3H).
実施例10
エチル6-{4-[2-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリジン-3-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(10)
【0304】
【0305】
ステップ1.tert-ブチル4-(2-フルオロピリジン-3-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(C20)の合成。3-ブロモ-2-フルオロピリジン(10.0g、56.8mmol)、tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレート(12.7g、68。2mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(2.60g、2.84mmol)、[2’,6’-ビス(プロパン-2-イルオキシ)ビフェニル-2-イル](ジシクロヘキシル)ホスファン(RuPhos;2.67g、5.72mmol)、およびTert-ブトキシドナトリウム(11.0g、114mmol)の1,4-ジオキサン(150mL)中混合物を110℃で16時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮した後、残渣を酢酸エチル(300mL)で希釈し、水(2x150mL)および塩化ナトリウム飽和水溶液(150mL)で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中50%~100%酢酸エチル)により、生成物を褐色のガム状物質として生成した。収量:5.20g、18.5mmol、33%。LCMS m/z282.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.79 (ddd, J=4.9, 1.7, 1.5 Hz, 1H), 7.30-7.23 (m, 1H), 7.12 (ddd, J=7.8, 4.8, 1.4 Hz, 1H), 3.61 (br dd, J=5.1, 5.1 Hz, 4H), 3.06 (br dd, J=5.1, 4.9 Hz, 4H), 1.50 (s, 9H).
ステップ2.1-(2-フルオロピリジン-3-イル)ピペラジン、塩酸塩(C21)の合成。C20(5.20g、18.5mmol)のジクロロメタン(20mL)中溶液に塩化水素の1,4-ジオキサン(4.0M;18.5mL、74.0mmol)中溶液を加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌し、この時点でこれを真空下で濃縮して、粗生成物を淡褐色固体として得、これを精製することなく次のステップで使用した。1H NMR分析によると、この材料は完全に純粋ではなかった。LCMS m/z182.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), 生成物のピークのみ: δ9.7-9.4 (br m, 2H), 7.80 (br d, J=4.9 Hz, 1H), 7.58 (ddd, J=10.9, 7.9, 1.5 Hz, 1H), 7.29 (ddd, J=7.7, 4.9, 1.2 Hz, 1H), 3.33-3.15 (m, 8H).
ステップ3.エチル6-[4-(2-フルオロピリジン-3-イル)ピペラジン-1-イル]-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(C22)の合成。C21(以前のステップからのもの;≦18.5mmol)、P1(4.00g、18.4mmol)、チタニウム(IV)エトキシド(16.8g、73.6mmol)、およびトリエチルアミン(9.3g、92mmol)のジクロロメタン(80mL)およびメタノール(80mL)中混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(19.5g、92.0mmol)を加え、反応混合物を室温でもう3時間撹拌した。反応を水(10mL)でクエンチし、これにより白色の沈殿物が生成された。次いで、混合物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。フィルターパッドを酢酸エチル(100mL)で洗浄し、合わせた濾液を真空下で濃縮した。シリカゲルによるクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中50%~100%酢酸エチル)により、生成物を白色のガム状物質として生成した。収量:2.4g、6.6mmol、2ステップにわたり36%。LCMS m/z363.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.81 (ddd, J=4.9, 1.7, 1.5 Hz, 1H), 7.29 (ddd, J=10.3, 7.8, 1.7 Hz, 1H), 7.13 (ddd, J=7.8, 4.8, 1.3 Hz, 1H), 4.10 (q, J=7.1 Hz, 2H), 3.90 (AB四重線, JAB=8.6 Hz, ΔνAB=30.4 Hz, 2H), 3.80 (AB四重線, JAB=8.3 Hz, ΔνAB=7.6 Hz, 2H), 3.31 (br dd, J=4.9, 4.6 Hz, 4H), 3.11-2.98 (br m, 5H), 2.24 (dd, ABXパターンの半分, J=13.1, 7.7 Hz, 1H), 2.18-2.09 (m, 1H), 2.08-1.82 (m, 4H), 1.24 (t, J=7.1 Hz, 3H).
ステップ4.エチル6-{4-[2-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリジン-3-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(10)の合成。テトラヒドロフラン(1mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液;32mg、0.80mmol)を0℃で2,2,2-トリフルオロエタノール(75mg、0.75mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中溶液に加え、生成した混合物を0℃で30分間撹拌した。C22(90mg、0.25mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)中溶液を加え、反応混合物を50℃で16時間撹拌し、この時点でこれを酢酸エチル(30mL)で希釈し、水(2×10mL)および塩化ナトリウム飽和水溶液(10mL)で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。逆相HPLC(カラム:Phenomenex Gemini C18、5μm;移動相A:水中0.05%水酸化アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:0%~100%B)により、生成物を淡黄色のガム状物質として生成した。収量:29.5mg、66.7μmol、27%。LCMS m/z443.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.76 (dd, J=4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.14 (dd, J=7.7, 1.6 Hz, 1H), 6.94 (dd, J=7.6, 4.9 Hz, 1H), 4.81 (q, JHF=8.6 Hz, 2H), 4.11 (q, J=7.1 Hz, 2H), 3.89 (AB四重線, 低磁場二重線が広がっている, JAB=8.4 Hz, ΔνAB=23.3 Hz, 2H), 3.81 (AB四重線, JAB=8.2 Hz, ΔνAB=9.6 Hz, 2H), 3.25-3.07 (br m, 4H), 2.79-2.57 (br m, 5H), 2.18 (br dd, J=12, 7 Hz, 1H), 2.04-1.52 (m, 5H, 推定; 水ピークにより一部不明確), 1.25 (t, J=7.1 Hz, 3H).
実施例11
エチル(6R)-6-{4-[3-(1,3-チアゾール-5-イル)ピラジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(11)
【0306】
【0307】
ステップ1.tert-ブチル4-[3-(1,3-チアゾール-5-イル)ピラジン-2-イル]ピペラジン-1-カルボキシレート(C23)の合成。5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3-チアゾール(848mg、4.02mmol)およびtert-ブチル4-(3-クロロピラジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(1.00g、3.35mmol)のトルエン(35mL)中混合物に、水(5mL)および炭酸ナトリウム(1.06g、10.0mmol)を加え、これに続いて[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(245mg、0.335mmol)を加えた。次いで、反応容器を密閉し、100℃で16時間加熱した。真空下で溶媒を除去した後、残渣を、シリカゲルによるクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0%~90%酢酸エチル)を介して精製して、生成物を黄色の油状物質として生成した。収量:500mg、1.44mmol、43%。LCMS m/z348.1[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ9.0-8.8 (br s, 1H), 8.8-8.6 (br s, 1H), 8.23 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.17 (d, J=2.4 Hz, 1H), 3.68-3.57 (br m, 4H), 3.24-3.14 (br m, 4H), 1.48 (s, 9H).
ステップ2.2-(ピペラジン-1-イル)-3-(1,3-チアゾール-5-イル)ピラジン、塩酸塩(C24)の合成。
【0308】
塩化水素の1,4-ジオキサン(4M;3mL、12mmol)中溶液をC23(500mg、1.44mmol)のアセトニトリル(9mL)中溶液に加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、これを真空下で濃縮し、残渣を酢酸エチルで粉砕して、生成物を黄色の固体として得た。収量:330mg、1.16mmol、81%。LCMS m/z248.1[M+H]+。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), 特徴的ピーク: δ8.36 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.32 (d, J=2.4 Hz, 1H), 3.40-3.33 (br m, 4H), 3.32-3.23 (br m, 4H).
ステップ3.エチル(6R)-6-{4-[3-(1,3-チアゾール-5-イル)ピラジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート(11)の合成。C24(遊離塩基;120mg、0.485mmol)、P3(242mg、0.873mmol)、および炭酸カリウム(67mg、0.48mmol)のアセトニトリル(4mL)中混合物を密閉容器内、95℃で16時間撹拌した。真空下で濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0%~10%メタノール)を使用して、これに続いて逆相HPLC(カラム:Phenomenex Gemini C18、5μm;移動相A:水中0.1%ギ酸;移動相B:アセトニトリル;勾配:12%~20%B)を使用して精製した。生成物を淡黄色のガム状物質として単離した。収量:30mg、70μmol、14%。LCMS m/z429.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.88 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.22 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.16 (d, J=2.4 Hz, 1H), 4.11 (q, J=7.2 Hz, 2H), 3.89 (AB四重線, JAB=8.4 Hz, ΔνAB=27.7 Hz, 2H), 3.83-3.77 (m, 2H), 3.44-3.29 (br m, 4H), 2.90-2.77 (br m, 5H), 2.18 (dd, J=13.0, 7.3 Hz, 1H), 2.05-1.70 (m, 5H), 1.24 (t, J=7.1 Hz, 3H).
実施例1~11に対して上記に記載の方法、および表に記述されているような類似の出発材料を使用して、実施例12~53を合成した。利用した具体的な方法、ならびにこれらの実施例に対する特徴付けデータについては表1を参照されたい。
【0309】
【0310】
【0311】
【0312】
【0313】
【0314】
【0315】
【0316】
【0317】
【0318】
【0319】
【0320】
【0321】
【0322】
【0323】
【0324】
【0325】
【0326】
【0327】
【0328】
1. tert-ブチル2-オキソ-6-アザスピロ[3.4]オクタン-6-カルボキシレートを、1,4-ジオキサン中塩化水素での処理の対象下におき、保護基を除去した。その後のクロロギ酸エチルとの反応により必要なエチル2-オキソ-6-アザスピロ[3.4]オクタン-6-カルボキシレートを生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ4.15 (q, J=7.2 Hz, 2H), 3.63-3.43 (br m, 4H), 3.05 (br AB四重線, JAB=17 Hz, ΔνAB=38 Hz, 4H), 2.08 (dd, J=6.8, 6.8 Hz, 2H), 1.27 (t, J=7.1 Hz, 3H).
2. この場合、[1,1'-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(Pd-118)および炭酸セシウムまたは炭酸カリウムを使用してSuzukiカップリングを行った。
3. この場合、還元的アミノ化は、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、および硫酸マグネシウムで行った。
4. 分析HPLCに対する条件。カラム:Waters XBridge C18、2.1×50mm、5μm;移動相A:水中0.0375%トリフルオロ酢酸;移動相B:アセトニトリル中0.01875%トリフルオロ酢酸;勾配:0.6分間にわたり1%~5%B;3.4分間にわたり5%~100%B;流速:0.8mL/分。
5. この場合、P1の代わりにtert-ブチル6-オキソ-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレートを使用した。生成したtert-ブチル6-{4-[3-(ピリミジン-5-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレートをトリフルオロ酢酸で脱保護し、次いで1-クロロエチル炭酸エチルと反応させて、実施例14を生成した。
6. この場合、Suzukiカップリングは、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)および炭酸カリウムを使用して行った。
7. 必要な1-[2-(ジフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル]ピペラジンは、3-ブロモ-2-フルオロピリジンのC21への変換に対して実施例10に記載の方法を使用して、3-ブロモ-2-(ジフルオロメトキシ)ピリジンから合成した。
8. 逆相HPLC(カラム:Chiral Technologies Chiralpak IG;移動相:7:3ヘキサン/エタノール)を介して、ラセミ生成物をそのエナンチオマーへと分離し、第1溶出エナンチオマーを実施例19として指定した。次いで、両方のエナンチオマーを個々に逆相クロマトグラフィー(カラム:Agela Technologies C18;移動相A:水中0.05%水酸化アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:0%~100%B)の対象下においた。分析用HPLC(カラム:Chiral Technologies Chiralpak IG、4.6×150mm、5μm;移動相:7:3ヘキサン/エタノール;流速:1.0mL/分)上で、実施例19は、保持時間5.25分を示した。実施例19のエナンチオマー、エチル6-{4-[2-(ジフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-2は、同じ条件下で保持時間6.08分を有した。実施例19のエナンチオマー、LCMS m/z411.2[M+H]+は、以下の生物学的データを示した:M4 EC50、201nM(3回の判定);M4 Emax74%(3回の判定)。
9. 必要な1-[2-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル]ピペラジンは、3-ブロモ-2-フルオロピリジンのC21への変換に対して実施例10に記載されている方法を使用して、3-ブロモ-2-(トリフルオロメトキシ)ピリジンから合成した。
10. 逆相HPLC(カラム:Chiral Technologies Chiralcel OD、10μm;移動相:90:10ヘキサン/エタノール)を介して、ラセミ生成物をそのエナンチオマーへと分離した。第1溶出エナンチオマーを実施例20と指定した。次いで、両方のエナンチオマーを個々に逆相クロマトグラフィー(カラム:Agela Technologies C18;移動相A:水中0.05%水酸化アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:0%to100%B)の対象下においた。分析HPLC(カラム:Chiral Technologies Chiralcel OD-H、4.6×150mm、5μm;移動相:90:10ヘキサン/エタノール;流速:1.0mL/分)上で、実施例20は保持時間4.31分を示した。実施例20のエナンチオマー、エチル6-{4-[2-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-2は保持時間4.93分を同じ条件下で有した。実施例20エナンチオマー、LCMS m/z429.2[M+H]+は、以下の生物学的データを示した:M4 EC50、3600nM(2回の判定);M4 Emax95.3%(2回の判定)。
11. この場合、出発材料1-(3-メチルピリジン-2-イル)ピペラジンは市販のものであった。
12. 逆相HPLC(カラム:Chiral Technologies ChiralcelOZ-H、5μm;移動相:80:20:0.1ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン)を介して、ラセミ生成物をそのエナンチオマーへと分離した。第1溶出エナンチオマーを実施例21と指定した。次いで、両方のエナンチオマーを個々に、逆相HPLC(カラム:C18;移動相A:水中0.05%水酸化アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:70%~75%B)の対象下においた。分析HPLC(カラム:Chiral Technologies Chiralcel OZ-H、4.6×150mm、5μm;移動相:80:20:0.1ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン;流速:1.0mL/分)上で、実施例21は保持時間5.29分を示した。実施例21のエナンチオマー、エチル6-[4-(3-メチルピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-2は、保持時間6.04分を同じ条件下で有した。実施例21のエナンチオマー、LCMS m/z359.3[M+H]+は、以下の生物学的なデータを示した:M4 EC50、>241nM(4回の判定);M4 Emax76.2%(3回の判定)。
13. ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)およびリン酸三カリウムの存在下での、tert-ブチル4-(3-ブロモピリジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートおよびシクロプロピルボロン酸のSuzuki反応により、必要なtert-ブチル4-(3-シクロプロピルピリジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートを生成した。
14. 逆相HPLC(カラム:Chiral Technologies Chiralpak AD-H、5μm;移動相:100:0.1エタノール/ジエチルアミン)を介してラセミ生成物をそのエナンチオマーへと分離した。第1溶出エナンチオマーを実施例22と指定した。次いで、両方のエナンチオマーを個々に逆相クロマトグラフィー(カラム:Agela Technologies C18;移動相A:水中0.05%水酸化アンモニウム;移動相B:メタノール;勾配:5%~80%B)の対象下においた。分析HPLC(カラム:Chiral Technologies Chiralpak AD-H、4.6×250mm、5μm;移動相:100:0.1エタノール/ジエチルアミン;流速:1.0mL/分)上で、実施例22は保持時間12.00分を示した。実施例22のエナンチオマー、エチル6-[4-(3-シクロプロピルピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-2は、同じ条件下で保持時間14.94分を有した。実施例22のエナンチオマー、LCMS m/z385.2[M+H]+は、以下の生物学的データを示した:M4 EC50、11.6nM(6回の判定);M4 Emax103%(6回の判定。
15. この場合、還元的アミノ化はトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを用いて行った。
16. 超臨界流体クロマトグラフィー[カラム:Chiral Technologies Chiralpak IG、5μm;移動相7:3二酸化炭素/(0.2%1-アミノプロパン-2-オールを含有する2-プロパノール)]を介してラセミ生成物をそのエナンチオマーへと分離した。第2溶出エナンチオマーを実施例23と指定した。分析HPLC[カラム:Phenomenex Lux Cellulose-4、4.6×250mm、5μm;移動相A:二酸化炭素;移動相B:0.2%(メタノール中7Mアンモニア)を含有するエタノール;勾配:5%B、1.00分間、次いで8.00分間にわたり5%~60%B;流速:3.0mL/分;逆圧:120バール]上で、実施例23は保持時間7.31分を示した。実施例23のエナンチオマー、エチル2-[4-(5-シアノ-2,3'-ビピリジン-2'-イル)ピペラジン-1-イル]-6-アザスピロ[3.4]オクタン-6-カルボキシレート、ENT-1は保持時間7.01分を同じ条件下で有した。実施例23のエナンチオマー、LCMS m/z447.3[M+H]+は、以下の生物学的なデータを示した:M4 EC50、>10,000nM(1回の判定);M4 Emax、未確定。
17. この場合、P1の代わりにtert-ブチル6-オキソ-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレートを使用した。生成したtert-ブチル6-[4-(5-シアノ-2,3'-ビピリジン-2'-イル)ピペラジン-1-イル]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレートをトリフルオロ酢酸で脱保護し、次いでクロロギ酸エチルと反応させて、実施例24を生成した。
18. tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレートの2,3-ジブロモ-5-フルオロピリジンおよび炭酸カリウムとの反応により、tert-ブチル4-(3-ブロモ-5-フルオロピリジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートを得た。この材料を、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)およびフッ化セシウムの存在下で4-(トリブチルスタンナニル)-1,3-チアゾールとのスティルカップリングの対象下におくことにより、必要なtert-ブチル4-[5-フルオロ-3-(1,3-チアゾール-4-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-カルボキシレートを生成した。
19. 逆相HPLC(カラム:Chiral Technologies Chiralpak AD-H、5μm;移動相:1:1ヘキサン/エタノール)を介してラセミ生成物をそのエナンチオマーへと分離した。第1溶出エナンチオマーを実施例26と指定した。分析HPLC(カラム:Chiral Technologies Chiralpak AD-H、4.6x250mm、5μm;移動相:1:1ヘキサン/エタノール;流速:1.0mL/分)上で、実施例26は保持時間7.81分間を示した。実施例26、エチル6-{4-[5-フルオロ-3-(1,3-チアゾール-4-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-2のエナンチオマーは、保持時間16.42分を同じ条件下で有した。実施例26のエナンチオマー、LCMS m/z446.2[M+H]+は、以下の生物学的データを示した:M4 EC50、152nM(4回の判定);M4 Emax67.1%(4回の判定)。
20. 必要な4置換tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレートは、tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレートの適当なクロロ置換ヘテロ芳香族反応物質との反応を介して合成した。
21. 逆相HPLC(カラム:Chiral Technologies Chiralcel OJ、10μm;移動相:90:10:0.1ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン)を介してラセミ生成物をそのエナンチオマーへと分離した。第2溶出エナンチオマーを実施例27と指定した。次いで、両方のエナンチオマーを個々に逆相クロマトグラフィー(カラム:Agela Technologies C18;移動相A:水中0.05%水酸化アンモニウム;移動相B:メタノール;勾配:0%~100%B)の対象下においた。分析HPLC(カラム:Chiral Technologies Chiralcel OJ-H、4.6×150mm、5μm;移動相:90:10:0.1ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン;流速:1.0mL/分)、実施例27は保持時間5.19分間を示した。実施例27のエナンチオマー、エチル6-[4-(3-メトキシピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-1は同じ条件下で保持時間4.42分間を有した。実施例27のエナンチオマー、LCMS m/z376.2[M+H]+は、以下の生物学的データを示した:M4 EC50、>10,000nM(1回の判定);M4 Emax、未確定。
22. tert-ブチル4-(3-ブロモピリジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートの適当なアミン、Tert-ブトキシドナトリウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、および4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(キサントホス)との反応は、カップリングした生成物をもたらし、トリフルオロ酢酸を使用してこれを脱保護した。生成した第2級アミンを、P1、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミンでの還元的アミノ化の対象下において、実施例を生成した。
23. 分析HPLCに対する条件。カラム:Waters Atlantis dC18、4.6×50mm、5μm;移動相A:水中0.05%トリフルオロ酢酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中0.05%トリフルオロ酢酸(v/v);勾配:5.0%~95%B、4.0分間にわたり直線的;流速:2mL/分。
24. tert-ブチル6-オキソ-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレートの、メタノール中塩化アセチルとの反応により、6,6-ジメトキシ-2-アザスピロ[3.3]ヘプタンを生成した。クロロギ酸エチルおよびトリエチルアミンで処理し、これに続いて塩酸を用いてケタール脱保護を行うことにより、必要なエチル6-オキソ-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレートを得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ4.19 (s, 4H), 4.14 (q, J=7.0 Hz, 2H), 3.31 (s, 4H), 1.26 (t, J=7.0 Hz, 3H).
25. 逆相HPLC(カラム:Chiral Technologies Chiralpak IG、5μm;移動相:50/50/0.1ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン)を介してラセミ実施例33をそのエナンチオマーへと分離した。第1溶出エナンチオマーを実施例34と指定した。次いで、両エナンチオマーを個々にシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0%~10%メタノール)の対象下においた。分析HPLC(カラム:Chiral Technologies Chiralpak IG、4.6×150mm、5μm;移動相:1:1ヘキサン/エタノール;流速:1.0mL/分)上で、実施例34は保持時間9.66分を示した。実施例34のエナンチオマー、エチル6-{4-[3-(1,2,5-チアジアゾール-3-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-2は保持時間15.53分を同じ条件下で有した。実施例34のエナンチオマー、LCMS m/z429.2[M+H]+は以下の生物学的データを示した:M4 EC50、347nM(3回の判定);M4 Emax72.3%(3回の判定)。
26. 分析HPLCに対する条件。カラム:Waters XBridge C18、2.1×50mm、5μm;移動相A:水中0.0375%トリフルオロ酢酸;移動相B:アセトニトリル中0.01875%トリフルオロ酢酸;勾配:4.0分間にわたり;流速10%~100%B:0.8mL/分。
27. 逆相HPLC(カラム:Chiral Technologies Chiralcel OD、10μm;移動相:3:2ヘキサン/エタノール)を介してラセミ生成物をそのエナンチオマーへと分離した。第2溶出エナンチオマーを実施例41と指定した。次いで、両エナンチオマーを個々に逆相クロマトグラフィー(カラム:Agela Technologies C18;移動相A:水中0.1%水酸化アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10%~60%B)の対象下においた。分析HPLC(カラム:Chiral Technologies Chiralcel OD-H、4.6×150mm、5μm;移動相:7:3ヘキサン/エタノール;流速:1.0mL/分)上で、実施例41は保持時間6.02分間を示した。実施例41のエナンチオマー、エチル6-{4-[3-(5-シアノピラジン-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-イル}-2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-カルボキシレート、ENT-1は、保持時間4.96分を同じ条件下で有した。実施例41のエナンチオマー、LCMS m/z448.3[M+H]+は、以下の生物学的データを示した:M4 EC50、268nM(3回の判定);M4 Emax52.7%(3回の判定)。
28. tert-ブチル4-(3-クロロピラジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートのモルホリンおよび炭酸カリウムとの反応により、必要なtert-ブチル4-[3-(モルホリン-4-イル)ピラジン-2-イル]ピペラジン-1-カルボキシレートを得た。
29. tert-ブチル4-(3-クロロピラジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートの4-メトキシピペリジンおよび炭酸カリウムとの反応により、必要なtert-ブチル4-[3-(4-メトキシピペリジン-1-イル)ピラジン-2-イル]ピペラジン-1-カルボキシレートを得た。
30. rac-BINAP-Pd-G3(Aldrich、カタログ番号804967)、1,1'-ビナフタレン-2,2'-ジイルビス(ジフェニルホスファン)、およびTert-ブトキシドナトリウムを使用して、tert-ブチル4-(3-ブロモピリジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートと2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタンとのカップリングを行った。生成物をトリフルオロ酢酸で脱保護して、必要な6-[2-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル]-2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタンを生成した。
31. この場合、Suzukiカップリングは、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)および炭酸水素ナトリウムを使用して行った。
32. この場合、ヒドロキシピラジンを(4-メトキシベンジル)オキシ誘導体として導入した。5-ブロモピラジン-2-オールを1-(クロロメチル)-4-メトキシベンゼンおよび炭酸銀と反応させて、2-ブロモ-5-[(4-メトキシベンジル)オキシ]ピラジンを得、これをカップリング反応に使用した。トリフルオロ酢酸媒介性脱保護を利用して、tert-ブトキシカルボニル基を除去した。これはまた4-メトキシベンジル部分も除去した。
33. 炭酸セシウムおよびヨウ化カリウムの存在下での4-ヨード-1H-ピラゾールの適当なハロアルキル反応物質との反応により、必要な1-置換されている4-ヨード-1H-ピラゾールを得た。
34. [1,1'-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(Pd-118)およびリン酸三カリウムを使用してSuzuki反応を行った。
35. 分析HPLCに対する条件。カラム:Waters Atlantis dC18、4.6×50mm、5μm;移動相A:水中0.05%トリフルオロ酢酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中0.05%トリフルオロ酢酸(v/v);勾配:5.0%~80%B、3.75分間にわたり直線的、次いで0.25分間にわたり80%~95%B、次いで95%B、1.0分間;流速:2mL/分。
36. tert-ブチル4-[3-(エトキシカルボニル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-カルボキシレートをヒドラジンと反応させ、これに続いて塩化アセチルおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンでアセチル化することにより、tert-ブチル4-{3-[(2-アセチルヒドラジニル)カルボニル]ピリジン-2-イル}ピペラジン-1-カルボキシレートを得た。この材料を塩化p-トルエンスルホニルおよびトリエチルアミンで処理することにより、必要なtert-ブチル4-[3-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリジン-2-イル]ピペラジン-1-カルボキシレートを生成した。
37. 必要な1-[2-(メトキシ)ピリジン-3-イル]ピペラジンは、3-ブロモ-2-フルオロピリジンのC21への変換に対して実施例10で記載されている方法を使用して、3-ブロモ-2-(メトキシ)ピリジンから合成した。
38. 炭化水素/エタノール溶媒混合物を移動相として使用する逆相HPLC(カラム:Chiral Technologies Chiralcel OD、10μm)を介して、ラセミ生成物をそのエナンチオマーへと分離した。さらなる精製が必要とされる場合には、エナンチオマーを個々に逆相クロマトグラフィーの対象下におく。
【0329】
以下の生物学的アッセイ(複数可)を利用して、本発明の化合物に対するM4アゴニスト結合親和性を決定した:
生物学的アッセイ
ムスカリンhM4アゴニストGloSensor cAMPアッセイ法
アッセイの前に化合物を調製した。試験化合物を100%ジメチルスルホキシド(DMSO、SIGMA D8418)中に濃度30mMまで可溶化した。半対数希釈率を使用して、最高濃度4mMで、10ポイント中間体希釈系列を100%DMSO中に作った。連続希釈された化合物を384-ウェルプレート(マトリックスカタログ番号4325)中に200nL/ウェルで配置した。アッセイにおける最終化合物濃度範囲は10μM~0.3nMであり、最終DMSO濃度は0.25%であった。
【0330】
GloSensor構造体(Promega Sor-L9 HEK293ヒト/M4/GloSensor 細胞クローン番号40)を発現する親HEK細胞を使用して、安定した細胞株を発現するヒトM4 mAChRを生成した。90%ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Gibco11960)、10%ウシ胎児血清(FBS、Hyclone CH.30160-03)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco 15070-063)、500μg/mLジェネテシン(Gibco 10131-027)、200μg/mLハイグロマイシンB(Invitrogen 10687-010)および1%Glutamax(Thermo Fisher 35050061)中で細胞を成長させた。
【0331】
アッセイの1日前、解離緩衝液(Gibco13151-014)を使用して細胞をリフトし、遠心機内で、重力250倍で、室温で5分間回転させた。上清を取り除き、細胞ペレットを成長培地内で濃度6.25×106細胞/mLに再懸濁させた。次いで、細胞を白色のポリ-d-リシンコーティングプレート(Becton Dickinson 356661)に、1ウェル当たり40μL(25,000細胞)で加え、5%二酸化炭素(CO2)を有する37℃の加湿インキュベーター内で終夜(20~24時間)インキュベートした。
【0332】
翌日、培地を細胞板から取り除き、37℃に温めておいた88%CO2非依存性培地(Invitrogen 18045088)、10%FBSおよび2%GloSensor cAMP試薬(Promega E1291)を含有する40μLの平衡化培地と置き換えた。次いで、プレートに蓋をして、光を遮断した状態で、室温で2時間インキュベートした。
【0333】
以前に調製した連続希釈した化合物プレートに、200nLの4mM ACh(SIGMA A2661、最終10μM)または200nLの100%DMSO(最終0.25%)をそれぞれ陽性対照ウェルおよび陰性対照ウェルに加えた。次いで、10%FBSおよびEC80濃度のイソプロテレノール(SIGMA16504)を含有する16μLのCO2非依存性培地を加えることにより、化合物プレートを希釈した。化合物の試験前、濃度応答曲線をイソプロテレノールに対して実行して、EC80濃度を決定した。2時間の平衡化の終わりに、10μLを化合物プレートから細胞プレートに移した。細胞プレートを室温で追加の7分間インキュベートし、次いでMulti-label EnVisionプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して、発光について読み取った。
【0334】
相対的光単位として表現される生データを、Activity Base(IDBS)を使用して分析した。各アッセイプレート上に含有された陽性対照ウェルおよび陰性対照ウェルにより生成されたcAMPの量に基づき、およびこれと比べて、各化合物濃度におけるパーセント作用を計算した。陽性対照ウェルはEC100濃度のAChを含有し、陰性対照ウェルはDMSOのみを含有した。4パラメーターロジスティック用量反応方程式を使用して、濃度および作用値%をフィットし、50%作用(EC50)に必要とされる濃度、ならび濃度応答曲線の最大漸近線を決定して、効力を定義した。
【0335】
【0336】
【0337】
【0338】
【0339】
【0340】
【0341】
【0342】
本出願全体にわたり、様々な刊行物が参照されている。これら刊行物の開示は、すべての目的のため、これら全体において、本出願への参照により本明細書に組み込まれている。
【0343】
本発明において、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく様々な修正および変化形が作製され得ることは当業者には明らかである。本発明の他の実施形態は、本明細書に開示されている明細書および本発明の実施を考慮して、当業者には明らかである。明細書および実施例は単なる例示に過ぎないと考えられ、本発明の真の範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲に示されることが意図される。