(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】バッテリを有するシステム、及びこのようなシステムを制御する方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240603BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240603BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
H02J7/00 B
H02J7/00 302C
H01M10/44 P
H02M3/155 S
(21)【出願番号】P 2020554905
(86)(22)【出願日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2019058503
(87)【国際公開番号】W WO2019193096
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】201841013149
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】マジ ゴウタム
(72)【発明者】
【氏名】ヴェント マティアス
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-230340(JP,A)
【文献】特開平11-150875(JP,A)
【文献】特開2014-079154(JP,A)
【文献】特開2015-035921(JP,A)
【文献】特開2013-093969(JP,A)
【文献】特開2014-136389(JP,A)
【文献】米国特許第07023185(US,B2)
【文献】特表2009-541980(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0249421(US,A1)
【文献】特表2005-530325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J9/00-11/00
H01M10/42-10/48
H02M3/00-3/44
H02M7/42-7/98
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
H01L33/00-33/46
H05B39/00-39/10
H05B45/00-45/59
H05B47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
負荷と、
前記バッテリからのバッテリ電力を、前記負荷に印加するための負荷電力に変換するための電力変換器と、
システムコントローラとを有するシステムであって、前記電力変換器が、エネルギ蓄積部、及び前記エネルギ蓄積部へと、前記エネルギ蓄積部から前記負荷へとバッテリ電力の切り替えを制御するためのスイッチング装置を含むスイッチモード電力変換器を有し、前記システムコントローラが、前記バッテリの連続放電モードと不連続放電モードとの間の選択を可能にするよう適合され、前記システムコントローラが、前記連続放電モードと前記不連続放電モードとの間の切り替えをするときに、前記電力変換器から前記負荷に供給されるrms電流が同じままになるように、前記エネルギ蓄積部のインピーダンスを制御するよう適合されるシステム。
【請求項2】
前記エネルギ蓄積部が、並列接続されている第1及び第2インダクタを有すると共に、前記インダクタのうちの一方を選択的に接続する又は切り離すためのスイッチを有する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラが、前記連続放電モードと前記不連続放電モードとの間の切り替えをするよう、前記スイッチング装置のスイッチング周波数を制御するよう適合される請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラが、前記連続放電モードと前記不連続放電モードとの間の切り替えをするよう、前記電力変換器への平滑出力コンデンサの結合を制御するよう適合される請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
外部電源に接続するための入力を有し、前記コントローラが、前記不連続放電モードの間、前記外部電源を切れ目の間使用することによって、前記負荷に連続的な電力を供給するよう適合される請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
複数のバッテリを有し、前記コントローラが、代わる代わるに前記負荷に前記
負荷電力を供給するために少なくとも2つのバッテリを選択し、それによって、前記少なくとも2つのバッテリの前記不連続放電モードを実施するよう適合される請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記負荷が照明装置であり、前記システムがLED照明器具を有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
バッテリと、負荷と、前記バッテリからのバッテリ電力を、前記負荷に印加するための負荷電力に変換するための電力変換器とを有するシステムを制御するための方法であって、前記電力変換器が、エネルギ蓄積部、及び前記エネルギ蓄積部へと、前記エネルギ蓄積部から前記負荷へとバッテリ電力の切り替えを制御するためのスイッチング装置を含むスイッチモード電力変換器を有し、前記方法が、
前記バッテリの連続放電モードと不連続放電モードとの間で選択をするステップであって、前記連続放電モードと前記不連続放電モードとの間の切り替えをするときに、前記電力変換器から前記負荷に供給されるrms電流が同じままになるように、前記エネルギ蓄積部のインピーダンスが制御されるステップを有する方法。
【請求項9】
前記方法が、
前記スイッチモード電力変換器のスイッチング装置のスイッチング周波数を制御することによって、及び/又は
スイッチモード電力変換器への平滑出力コンデンサの結合を制御することによって、前記連続放電モードと前記不連続放電モードとの間の切り替えをするステップを有する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記不連続放電モードの間、外部電源を切れ目の間使用することによって、前記負荷に連続的な電力を供給するステップを有する請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
代わる代わるに前記
負荷電力を供給するために複数のバッテリから少なくとも2つのバッテリを選択し、それによって、前記少なくとも2つのバッテリの前記不連続放電モードを実施するステップを有する請求項8、9又は10に記載の方法。
【請求項12】
LED照明器具を制御するステップを有する請求項8乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
再充電可能バッテリは、非常に多くのアプリケーションにおいて使用されている。それらは、例えば、時間的に変化する電力出力及び時間的に変化するエネルギ入力を有するシステムにおけるエネルギ蓄積デバイスとして使用される。例えば、照明器具には、ますます、内蔵バッテリが設けられるようになってきている。これらは、一般に照明が必要とされないときに利用可能である太陽エネルギによって充電され得るのに対して、照明は、太陽エネルギが利用可能ではないときに必要とされる。従って、それらは、充電のためのエネルギの利用可能性と、出力電力のための要求との間の時間遅延を担うためのエネルギ蓄積要素として機能する。
【0003】
とりわけ、屋外照明器具の場合は、より広くは、屋外システムの場合は、バッテリは一般に周囲温度にさらされる。
【0004】
リチウムイオン(LiFePo4)バッテリなどの再充電可能バッテリの性能は、1セル当たりの最大充電電圧、充電及び放電電流、放電深さ(DOD)、並びに使用中のバッテリ動作温度などのストレスパラメータに依存する。バッテリのサイクル寿命は、受電及び放電電流、DOD、並びに1セル当たりの最大充電電圧が増加するにつれて、減少する。バッテリが室温以外で動作している場合には、バッテリの動作温度も寿命に対してかなりの影響を示す。
【0005】
例えば、(例えば、10℃未満の)低温バッテリ充電は、バッテリサイクル寿命に著しく影響を及ぼす。LiFePo4が、25℃でサイクルし、5500サイクルの寿命を示す場合には、同じバッテリが10℃でサイクルされる場合には、3750サイクルを示し、同じバッテリが-10℃でサイクルされる場合には、146サイクルしか示さないことが実験から分かっている。
【0006】
下の表は、(充電深さ100%での)異なる温度におけるバッテリ寿命のサイクル数N
fを示している。
【0007】
内蔵バッテリを備える屋外照明器具の場合には、バッテリは、多くの地域において極めて低い温度を経験する。例えばオフィススペースのための屋内照明器具の場合でも、バッテリは、照明器具の上に、従って、建物の断熱性の低い部分に配置される。この場合も先と同様に、バッテリは極めて低い又は高い温度を経験し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に、バッテリの利用効率を向上させる必要性があり、とりわけ、バッテリが、著しい温度変化、とりわけ、低温にさらされる状況において、バッテリの利用効率を向上させる必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、請求項によって規定されている。
【0010】
本発明による例は、
バッテリと、
負荷と、
前記バッテリからのバッテリ電力を、前記負荷に印加するための負荷電力に変換するための電力変換器と、
システムコントローラとを有するシステムであって、前記システムコントローラが、前記バッテリの連続放電モードと不連続放電モードとの間の選択を可能にするよう適合されるシステムを提供する。
【0011】
バッテリの不連続放電モードは、バッテリ利用、とりわけ、利用可能なエネルギ蓄積部の利用、サイクル寿命、比エネルギ及び比電力を改善するために使用され得る。不連続性は、バッテリ性能の最適化に役立つより速い緩和を導入する。これは、例えば、低温動作にとりわけ興味深いだろう。
【0012】
前記電力変換器は、エネルギ蓄積部、及び前記エネルギ蓄積部へと、前記エネルギ蓄積部から前記負荷へとバッテリ電力の切り替えを制御するためのスイッチング装置を含むスイッチモード電力変換器を有し得る。
【0013】
第1例においては、前記コントローラは、前記スイッチング装置のスイッチング周波数を制御するよう適合される。前記スイッチング周波数を制御することにより、充放電サイクルのために利用可能な時間が変更される。その結果、電流波形は、連続モードと不連続モードとの間で移行し得る。
【0014】
第2例においては、前記コントローラは、前記エネルギ蓄積部のインピーダンスを制御するよう適合され得る。
【0015】
前記インピーダンスを制御することにより、充放電時定数が変更され、これは、バッテリ電流波形の傾きを変更する効果を有する。これは、動作モード間の切り替え時に供給される平均(又はrms)電流が同じままになるように、全体的な電流レベルを制御するために使用され得る。
【0016】
前記エネルギ蓄積部は、並列接続されている第1及び第2インダクタを有してもよく、且つ前記インダクタのうちの一方を選択的に接続する又は切り離すためのスイッチを有してもよい。従って、前記エネルギ蓄積部は、単一のインダクタ、又は並列接続されているインダクタの対として構成され得る。これは、前記エネルギ蓄積部のインピーダンスを制御する1つのやり方を提供する。
【0017】
前記コントローラは、その代わりに(又は更に)、前記電力変換器への平滑出力コンデンサの結合を制御するよう適合され得る。出力平滑化を制御することにより、この場合も先と同様に、連続モードと不連続モードとの間の選択をすることが可能である。
【0018】
前記システムコントローラは、前記連続放電モードと前記不連続放電モードとの間の切り替え時に、等しいrms出力電流を実施するよう適合され得る。このやり方においては、前記負荷は同じrms電流を見ており、故に、制御の移行は前記システムのユーザによって知覚されない。
【0019】
前記システムは、外部電源に接続するための入力を有してもよく、前記コントローラは、前記不連続放電モードの間、前記外部電源を切れ目の間使用することによって、前記負荷に連続的な電力を供給するよう適合される。これは、不連続バッテリ放電を確実にしながら、前記負荷への連続的な電力供給を維持する。前記外部電源は、例えば、主電源である。
【0020】
前記システムは、複数のバッテリを有してもよく、前記コントローラは、代わる代わるに前記負荷に前記出力電力を供給するために少なくとも2つのバッテリを選択し、それによって、前記少なくとも2つのバッテリの前記不連続放電モードを実施するよう適合される。これは、不連続バッテリ放電を達成するが、前記負荷への連続的な供給を達成する他のやり方を提供する。
【0021】
前記電力変換器は、例えば、バックコンバータ又はブーストコンバータを有する。
【0022】
前記負荷は、例えば、照明装置であり、前記システムは、LED照明器具を有する。
【0023】
従って、前記システムは、バッテリ内蔵型照明器具である。これらは、一般に照明が必要とされないときに利用可能である太陽エネルギによって充電され得るのに対して、照明は、太陽エネルギが利用可能ではないときに必要とされる。従って、前記バッテリは、充電のためのエネルギの利用可能性と、出力電力のための要求との間の時間遅延を担うためのエネルギ蓄積要素として機能する。前記不連続モードは、冬の夜間などの寒い期間における照明中にとりわけ興味深いだろう。前記バッテリは、その代わりに、主電源の需要レベル、従って、主電源の価格設定レベルの関数として、タイムシフトする目的を有し、主電源によって充電されてもよい。
【0024】
本発明は、バッテリと、負荷と、前記バッテリからのバッテリ電力を、前記負荷に印加するための負荷電力に変換するための電力変換器とを有するシステムを制御するための方法であって、
前記バッテリの連続放電モードと不連続放電モードとの間で選択をするステップを有する方法も提供する。
【0025】
前記電力変換器は、エネルギ蓄積部、及び前記エネルギ蓄積部へと、前記エネルギ蓄積部から前記負荷へとバッテリ電力の切り替えを制御するためのスイッチング装置を含むスイッチモード電力変換器を有してもよく、前記方法は、
前記スイッチモード電力変換器の前記エネルギ蓄積部のインピーダンスを制御することによって、及び/又は
前記スイッチモード電力変換器のスイッチング装置のスイッチング周波数を制御することによって、及び/又は
前記スイッチモード電力変換器への平滑出力コンデンサの結合を制御することによって、前記選択を実施するステップを有する。
【0026】
前記方法は、前記不連続放電モードの間、外部電源を切れ目の間使用することによって、前記負荷に連続的な電力を供給するステップを有してもよい。前記方法は、代わる代わるに前記出力電力を供給するために複数のバッテリから少なくとも2つのバッテリを選択し、それによって、前記少なくとも2つのバッテリの前記不連続放電モードを実施するステップを有してもよい。
【0027】
前記方法は、好ましくは、LED照明器具を制御するためのものである。
【0028】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
ここで、添付図面を参照して本発明の例について詳細に説明する。
【
図1】バッテリと、負荷14と、電力変換器とを有するシステム10を示す。
【
図3】
図2の電力変換器の連続モードの動作のための波形を示す。
【
図4】
図2の電力変換器の不連続モードの動作のための波形を示す。
【
図5】エネルギ蓄積部(インダクタ)が2個の並列インダクタとして形成される変形ブーストコンバータの形態の電力変換器を示す。
【
図6】
図5の電力変換器の通常の連続動作モードを示す。
【
図7】
図5の電力変換器の低減インダクタンスの効果を示す。
【
図8】出力コンデンサの除去の、
図6の波形への影響を示す。
【
図9】バックコンバータをベースとした電力変換器を示す。
【
図10】不連続モードである通常動作中の
図9の回路の機能を説明するためのタイミング図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図を参照して本発明について説明する。
【0031】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明の目的のためのものでしかなく、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるようになるだろう。図は、単に概略的なものに過ぎず、縮尺通りには描かれていないことは、理解されたい。図の全体を通して、同じ参照符号は、同じ又は同様のパーツを示すために使用されていることも、理解されたい。
【0032】
本発明は、バッテリと、負荷と、バッテリからのバッテリ電力を、負荷に印加するための負荷電力に変換するための電力変換器とを有するシステムを提供する。システムコントローラは、バッテリの連続放電モードと不連続放電モードとの間の選択を可能にする。このやり方においては、バッテリは、最も適切なバッテリ放電特性に従って、様々なやり方で動作され得る。
【0033】
バッテリのパルス放電の概念は、一定の放電電流の使用ではなく、電流速度及び/又は方向の連続的変化に基づいている。基本的には、電流は、中断され、より短い休止期間を導入し得る、又は短い充電パルスに置き換えられ得る。これらの短い休止期間は、緩和の速度を増加させると考えられており、短い電流反転は、より速い緩和、及びバッテリ内の電気化学的プロセスの方向を逆にすることの両方を可能にし得る。
【0034】
幾つかの文献は、パルス電流又は電圧はリチウムイオンバッテリの輸送機構に影響を及ぼし得ることを示唆している。脱分極パルスは、バッテリの充放電性能のかなりの向上を可能にし得る。例えばC. F. Chiasserini及びR. R. Raoによる"Pulsed battery discharge in communication devices," in Proc. 5th Annu. ACM/IEEE Int. Conf. Mobile Comput. Netw., Seattle, WA, 1999, pp. 88-95は、セルの比エネルギ及び比電力の両方を増加させるための慎重に選択された振幅及び休止期間を有するパルス放電プロファイルの使用を示している。更に、他の研究は、電極の電位のパルス化は、等価拡散層の厚さの制御を可能にし、従って、過電位の集中を制限することを示している。従って、パルス放電(及び随意に充電)は、バッテリ性能の最適化のための興味深い候補と考えられ得る。
【0035】
界面抵抗は、低温時及び放電終了時に最も高い。所与の充電状態の場合は、界面抵抗は、温度が低下するにつれて指数関数的に増加する。従って、効率的なバッテリ使用の必要性が、低温時にとりわけ重要である。
【0036】
図1は、バッテリ12と、負荷14と、バッテリからのバッテリ電力を、負荷に印加するための負荷電力に変換するための電力変換器16と、システムコントローラ18とを有するシステム10を示している。
【0037】
システムコントローラ18は、バッテリの連続放電モードと不連続放電モードとの間の選択を可能にするよう適合される。バッテリの不連続放電モードは、バッテリ利用、とりわけ、利用可能なエネルギ蓄積部の利用、サイクル寿命、比エネルギ及び比電力を改善するために使用される。不連続性は、バッテリ性能の最適化に役立つより速い緩和を導入する。
【0038】
図1は、更なる外部電源20を示している。或る例においては、これは主電源である。このような場合には、バッテリは、主電源のピーク時(及び従って、ピークコスト時)に電力を供給するために使用されてもよく、主電源は、バッテリを再充電するために使用されてもよい。別の例においては、電源20は、太陽エネルギ電源である。このような場合には、バッテリは、直接の太陽光発電が利用できないときに電力を供給するために使用される。
【0039】
図2は、スイッチモード電力変換器を有するあり得る電力変換器16の或る例を示している。スイッチモード電力変換器は、エネルギ蓄積部22、及びエネルギ蓄積部へと、エネルギ蓄積部から負荷へとバッテリ電力の切り替えを制御するためのスイッチング装置24、26を含む。
【0040】
この例は、スイッチング装置が、高周波主スイッチングトランジスタ24及びダイオード26、並びにエネルギ蓄積部としてのインダクタ22を有するブーストコンバータである。平滑コンデンサ28は、出力負荷14と並列に設けられる。
【0041】
第1例においては、コントローラ18は、主トランジスタ24のスイッチング周波数を制御するよう適合される。スイッチング周波数を制御することにより、充放電サイクルのために利用可能な時間が変更される。その結果、電流波形は、連続モードと不連続モードとの間で移行し得る。
【0042】
図3は、連続モードの動作のための波形を示している。
【0043】
上のグラフは、バッテリから引き出される電流IBを示しており、下のグラフは、コントローラ18によって主トランジスタのゲートに印加されるパルス幅変調(PWM)信号を示している。エネルギ変換率は、PWM信号のデューティサイクルに基づいて制御される。増加電流ランプ(increasing current ramp)は、インダクタの充電に対応し、減少電流ランプは、負荷へのインダクタの放電に対応する。
【0044】
この連続動作は、50kHzのような第1周波数で動作することによって達成され得る。
【0045】
図4は、不連続モードの動作のための波形を示している。
【0046】
この場合も先と同様に、上のグラフは、バッテリから引き出される電流IBを示しており、下のグラフは、コントローラ18によってトランジスタのゲートに印加されるパルス幅変調(PWM)信号を示している。この不連続動作は、30kHzのようなより低い第2周波数で動作することによって達成され得る。効果は、エネルギ蓄積部が完全に空の状態にされることから、バッテリから引き出される減少電流がゼロまで低下するというものである。
【0047】
不連続モードは、例えば、連続モードのスイッチング周波数の10%と70%との間のスイッチング周波数、例えば、前記スイッチング周波数の半分の周波数を有する。
【0048】
このタイプのブーストコンバータは、ほとんどの場合には、バッテリ電圧が、必要とされるLEDストリング電圧未満であるので、例えば、バッテリ内蔵型LED照明器具においてよく使用される。コンバータが、
図3において示されているように高周波で、例えば50乃至100kHzの範囲内で動作される場合、コンバータは、連続伝導モード(CCM)で動作することから、バッテリ電流は連続的であり、連続的なDCバッテリ電流を生じさせる。最大インダクタ電流を飽和限界内に保つことにより、動作周波数は、バッテリ電流が不連続又は電流臨界モード(boundary conduction mode)になるように、低減され得る。
【0049】
不連続伝導モードを実施するためのこの周波数低減方法の結果は、バッテリからLEDストリングへの電力供給がインダクタの飽和限界によって制限されることから、出力電流、即ち、LED電流が低減される必要があり得るというものである。周波数低減は、例えば、調光モードの動作中に、バッテリ性能を改善するために使用され得る。
【0050】
図5は、エネルギ蓄積部(インダクタ)が2つの並列インダクタ22a、22bとして形成される変形ブーストコンバータであって、第2インダクタ22bの接続を制御するためのスイッチ22cを備える変形ブーストコンバータを示している。従って、インダクタンスは2つの値の間で切り替え可能である。異なるインダクタンス値は、回路の時間特性を変える。この切り替えは、システムコントローラ18によって制御される。
【0051】
切替可能なインダクタは、インダクタの飽和限界を克服し、低減周波数にもかかわらず同じLED電流を維持するために使用される。
【0052】
図6は、第1インダクタ22aしか用いない通常の連続動作モードを示している。この通常の高周波(50乃至100kHz)動作モード中、バッテリ電流は、連続的であり、本質的にDCであり、インダクタ22aが、バッテリ電流を伝導する。
【0053】
図7は、並列接続されているインダクタを両方とも備えており、且つスイッチング周波数を低減させることによる低減インダクタンスの効果を示している。低減インダクタンスの結果として、電流プロファイルの傾きが増大され、周波数低減によって不連続モードが生じる。
【0054】
この組み合わされたアプローチの利点は、rms電流が一定レベルに維持されることができることである。電流の増加が、電流が流れる時間の減少を補償する。並列接続されている2つのインダクタを切り替えることにより、低周波動作時にも電流供給限界は2倍高められる。
【0055】
いずれのアプローチにおいても、出力コンデンサフィルタの結果として、LED電流は連続的である。インピーダンスを制御することにより、充放電時定数が変更され、これは、バッテリ電流波形の傾きを変更する効果を有する。並列接続されている2つのインダクタは、ピーク間の休止がより長くなり得るように、ピーク電流を2倍にすることを可能にする。
【0056】
コントローラ18は、その代わりに又は更に、電力変換器への平滑出力コンデンサ28の結合を制御するよう適合され得る。出力平滑化を制御することにより、この場合も先と同様に、連続モードと不連続モードとの間の選択をすることが可能である。
【0057】
図8は、例えば出力コンデンサと直列のスイッチ30を開くことによる、出力コンデンサの除去の、
図6の波形への影響を示している。この結果、LEDは、バッテリの脈動電流と同じ周波数を持つ脈動電流I
LEDを経験する。
【0058】
(主スイッチ24を閉じた状態での)インダクタの充電中は、電流はバッテリからインダクタへ流れるのに対して、(主スイッチ24を開いた状態での)インダクタの放電中は、電流ILEDはLED負荷へ流れる。
【0059】
図9は、バックコンバータをベースとした実施形態を示している。これは、バッテリ電圧がLEDストリング電圧よりも高いアプリケーションに適している。ブーストコンバータと同じ構成要素には同じ参照符号が付与されている。バッテリ12と並列のフィルタコンデンサ90と、直列スイッチ92とを有する、バッテリの両端に接続されている入力フィルタ回路がある。主スイッチ24が閉じているときには、電流がコンデンサ90からスイッチ24を通ってインダクタへ流れ、スイッチ24が開いているときには、コンデンサ内の欠乏した電荷がバッテリによって補充される。
【0060】
バッテリ12とコンデンサ90との間には、直列抵抗(又はインダクタンス)が設けられていてもよい。コンデンサからダウンコンバータへの電流経路は、低抵抗接続によるものである。直列スイッチ92が開けられるときには、バッテリによる再充電は中断され、ダウンコンバータの電流リップルはバッテリによって完全にサポートされる。
【0061】
図10は、不連続モードである通常動作中の回路機能を説明するためのタイミング図を示している。
【0062】
バッテリは脈動電流IBを経験する。異なる周波数及びデューティサイクルにおいて同じLED電流を維持するために、上で説明したようにインダクタの切り替えが採用される。
【0063】
LED電流ILEDは、示されているように連続的である。
【0064】
図1において示されているように、システムは、外部電源20に接続するための入力を有する。これは、不連続放電モードの間、外部電源を切れ目の間使用することによって、負荷に連続的な電力が供給されることを確実にするために使用され得る。外部電源は、例えば、主電源である。このやり方においては、バッテリ電流と主電源(又は充電器)電流とが交互に扱われ得る。その場合、負荷電流の脈動は、バッテリ電流の脈動とは独立したものとなる。また、バッテリの充電中、LEDは、電流リップルを引き起こすバッテリに断続的に負荷をかけるために使用されてもよい。
【0065】
他の例においては、システムは、複数のバッテリを有してもよく、その場合、コントローラ18は、代わる代わるに負荷に出力電力を供給するために少なくとも2つのバッテリを選択するよう適合される。これは、負荷への連続的な供給を維持しながら、少なくとも2つのバッテリの不連続放電モードを実施する。2つ以上のバッテリは、電流パルスを成形する別のやり方を提供するために、それらの間で電流を伝達するために使用されてもよい。
【0066】
図11は、バッテリと、負荷と、バッテリからのバッテリ電力を、負荷に印加するための負荷電力に変換するための電力変換器とを有するシステムを制御するための方法を示している。前記方法は、ステップ110において、バッテリの連続放電モードと不連続放電モードとの間で選択をすることを含む。負荷は、ステップ112において、選択された動作モードに従って給電される。
【0067】
上で説明したように、モード選択は、
スイッチモード電力変換器のエネルギ蓄積部のインピーダンスの制御、
スイッチモード電力変換器のスイッチング装置のスイッチング周波数の制御、
スイッチモード電力変換器への平滑出力コンデンサの結合の制御のうちの1つ以上に基づき得る。
【0068】
本発明は、連続伝導モードと不連続伝導モードとの間で切り替えることができるシステムを提供する。2つのモードの間にはトレードオフがある。不連続モードは、バッテリ性能を向上させるが、電力供給能力を低下させる。従って、不連続モードは、LEDストリングの定格電力動作時ではなく調光モード動作中に、実施されることができる。しかしながら、インダクタの切り替えを追加することにより、定格電流出力を維持することが可能となる。
【0069】
パルス状のバッテリ放電は、必ずしもバッテリ性能を向上させるとは限らない。これは、温度(DCMは低温動作において効率的である)及びバッテリの化学的性質などの様々な動作条件に依存する可能性がある。それ故、ドライバに、連続モードと非連続モードとを切り替える能力を与えることにより、前記ドライバは、将来も有効に使い続けられるように設計されたものとなり、任意のバッテリの化学的性質に対して、任意の外部動作条件において、バッテリ性能向上のために適用され得る。これはまた、単一のドライバ設計が、高温領域だけでなく低温領域などの複数のアプリケーションに対応することを可能にする。
【0070】
モードを切り替える決定は、
温度、
LED照明器具の調光レベル、
接続されるバッテリのタイプ、
バッテリの充電状態、
バッテリの健康状態などの様々な供給源の情報に基づき得ることが分かる。
【0071】
電流リップルの期間中には、バッテリのインピーダンスが測定され得る。これは、充電状態及び健康状態の評価に使用され得る。電流リップルは意図的に生成されるので、電流パルスによって生じるバッテリ端子電圧波形を測定することにより、インピーダンスは直接モニタされ得る。
【0072】
バッテリのインピーダンスの測定は、多くのバッテリシステムの充電状態及び健康状態についての興味深い情報を提供する。しかしながら、バッテリのオーム抵抗は、多くの場合、非常に小さく、従って、電圧と電流との間に見られる位相シフトは、非常に小さくなり得る、又は配線によって支配され得る。バッテリ内蔵型ランプにおいては、バッテリの配線は、多くの場合、非常に短く、従って、多くの場合、インピーダンスの影響はモニタされ得る。
【0073】
上記では、バックコンバータ及びブーストコンバータの例が示されている。しかしながら、コンバータは、バックブーストコンバータ、プッシュプルコンバータ、フォワードコンバータ、又はハーフブリッジ若しくはフルブリッジインバータであってもよい。
【0074】
LED電流は、例えば、バッテリ電流がLED電流と同じであるという結果を伴う純抵抗回路を使用して生成されてもよい。高い周波数においては、結果として生じるリップルは、フリッカ速度(flicker rate)が約400Hzを上回ると仮定すれば、肉眼では見えないので、許容可能である。街路照明のような幾つかのアプリケーションにおいては、より遅いフリッカも許容可能であり得る。コンデンサ及び/又はインダクタンスのような局所エネルギは、スイッチモード電源の一部としてではなく、この場合も先と同様に、LED光束リップルとは独立してバッテリ電流放電リップルを生成する自由度を与えるために、使用されてもよい。
【0075】
本発明は、冬季の間及び夜間に低温放電が予想され、故に、パルス放電が効果的である屋外ソーラー照明器具にとって興味深い。バッテリは、その代わりに、タイムシフト、即ち、需要に応じた照明のために使用されてもよい。高需要期間中、照明器具は、通常、調光モードで動作し、この場合も先と同様に、バッテリ性能はDCM放電によって改善され得る。
【0076】
しかしながら、本発明は、バッテリ駆動負荷に、より広く適用され得る。
【0077】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する他の変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。