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特許7497311保護カバー装置、及び保護カバーに対する外嵌部材の位置決め構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】保護カバー装置、及び保護カバーに対する外嵌部材の位置決め構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
F16L57/00 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021018970
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022121961
(43)【公開日】2022-08-22
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】中村 敦
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-271940(JP,A)
【文献】特開2007-306776(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0242066(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0031767(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に連続する分断開口を閉じることで、内部に配線・配管材の配設経路を形成するための長尺筒状の保護カバーと、
前記保護カバーの外部に移動不能に取付けられて、前記分断開口の閉塞状態を維持する維持部材と、
軸方向に複数に分割された各分割体が互いに組み付けられて筒状を成し、前記保護カバーにおける前記維持部材が取付けられた箇所に、当該維持部材の一部又は全部を内部に収容した状態で外嵌される外嵌部材と、
から成り、
前記外嵌部材には、前記維持部材における当該外嵌部材に収容された箇所に当接することで、前記保護カバーに対する抜け出しが規制されるか、又は当該保護カバーの軸方向両側への移動が規制される位置決め部が設けられていることを特徴とする保護カバー装置。
【請求項2】
前記外嵌部材には、前記維持部材における当該外嵌部材に収容された箇所、及び前記保護カバーの端面の双方にそれぞれ当接して、前記保護カバーの軸方向両側への移動を規制する各位置決め部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の保護カバー装置。
【請求項3】
前記外嵌部材は、前記保護カバーに取着された前記維持部材に対する当該保護カバーの軸方向にずれた異なる2つの位置で、前記外嵌部材の移動を防止した状態で取着可能なように、当該外嵌部材の軸方向にずれた異なる複数の位置に前記位置決め部が形成され、
前記各位置において、
前記複数の位置決め部のうち特定の1つの位置決め部が単独で前記維持部材に当接するか、若しくは前記複数の位置決め部が、前記維持部材に又は前記維持部材と前記保護カバーとに当接するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護カバー装置。
【請求項4】
前記外嵌部材は、前記保護カバーに取着された前記維持部材に対して、当該保護カバーの軸方向にずらすことなく、自身の軸心を中心に回動させることで、前記維持部材に対して位置決め部が当接して、周方向に沿った少なくとも2つの向きにおいて、自身の軸方向への移動を規制した状態で、前記保護カバーに取着可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護カバー装置。
【請求項5】
前記外嵌部材の軸方向の両端部の少なくとも一方は、前記保護カバーの軸方向の端部に取着された当該維持部材と、当該保護カバーの端部との双方を収容するように外嵌されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護カバー装置。
【請求項6】
前記外嵌部材の軸方向の両端部は、前記維持部材が軸方向の端部に取着された2本の保護カバーの当該各端部を内部に収容した状態で、前記2本の保護カバーどうしを接続可能であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の保護カバー装置。
【請求項7】
前記外嵌部材は、その軸方向の中間部に、内外を連通する側方開口を備え、
前記保護カバーの端部に取着された前記維持部材は、前記外嵌部材の軸方向における前記側方開口を挟んだ両側のいずれの位置に配置させても、当該保護カバーの端部に外嵌可能なように、当該外嵌部材には、その軸方向に沿って複数の位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護カバー装置。
【請求項8】
前記外嵌部材に設けられた位置決め部は、前記保護カバーに取着された前記維持部材の軸方向にずれた2箇所に当接する当接部により構成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の保護カバー装置。
【請求項9】
前記外嵌部材に設けられた位置決め部は、前記保護カバーの端面に当接する端面当接部と、当該保護カバーに取着された前記維持部材における前記端面と反対側の部分に当接する維持部材当接部と、により構成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の保護カバー装置。
【請求項10】
前記外嵌部材に設けられた位置決め部は、前記保護カバーに取着された前記維持部材に当接する一つの当接部により構成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の保護カバー装置。
【請求項11】
長尺筒状の保護カバーは、軸方向に連続する分断開口を閉じることで、内部に配線・配管材の配設経路が形成され、当該保護カバーには、その分断開口を閉じた状態を維持するための維持部材が取着され、前記保護カバーの端部からの流体管の引き出し、当該端部の閉塞、或いは当該保護カバーの途中からの流体管の分岐配管のために、当該保護カバーの端部、又はその途中に、当該保護カバーの各位置に取着された前記維持部材の全部又は一部を内部に収容した状態で外嵌部材が外嵌され、
前記外嵌部材は、当該外嵌部材に設けられた位置決め部の前記維持部材に対する当接により、前記保護カバーの軸方向両側への移動、又は当該保護カバーからの抜け出しが規制される構造であることを特徴とする保護カバーに対する外嵌部材の位置決め構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺筒状の保護カバーの端部において内部の流体管に連結された給水栓を覆ったり、当該保護カバーを直線状、屈曲状又は分岐状に接続するために、当該保護カバーに外嵌される外嵌部材を備えた保護カバー装置、及び保護カバーに対する外嵌部材の位置決め構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
長尺筒状の保護カバーの端部において、当該保護カバーの内部に収容された流体管に給水栓を連結して、当該給水栓を給水栓カバーで覆うには、特許文献1,2に示されるように、流体管の長手方向に沿って二分割された前記給水栓カバーを前記保護カバーの端部に仮配置し、この状態で、保護カバーの内部の流体管に給水栓を接続していた。このようにして、流体管に給水栓が接続された状態では、前記給水栓カバーは、給水栓によって、その位置は維持されているが、保護カバーに対してはフリーであって、結合されていない。
【0003】
このため、流体管と給水栓との接続前において、保護カバーの端部に給水栓カバーを仮配置させた状態で、当該給水栓カバーの二分割体の一方に設けられた側方開口に給水栓の雄ねじ部を挿通した後に、当該給水栓を回転させることで、当該給水栓の雄ねじ部と、前記流体管の端部に接続されたエルボの雌ねじ部とを螺合させていた。給水栓が流体管に接続された後においては、給水栓カバーは、給水栓に対して係止された状態となるため、保護カバーに対して直接に結合されていなくても、その位置は維持される。このように、保護カバーに収容された流体管に対して給水栓を接続する前において、当該保護カバーに対して給水栓カバーを、流体管の長手方向に沿って位置決めした状態で仮設置できないため、給水栓カバーの仮設置位置において、作業者の手によって当該給水栓カバーを保持して、流体管と給水栓とを接続しなければならず、その作業は、大変に面倒であった。
【0004】
前記給水栓カバーを構成する二分割体の一方には、円形状の開放端面閉塞板部が設けられており、保護カバーに差込み状態で外嵌される給水栓カバーの一方の分割体の開放端面閉塞板部を保護カバーの端面に当接させることで、当該保護カバーに対する給水栓カバーの位置決めを行うことも考えられる。しかし、この方法では、保護カバーに対する給水栓カバーの前記差込み方向の位置の規制は可能であるが、抜出し方向(離脱方向)への位置の規制は行えないので、保護カバーに対して給水栓カバーが抜け出てしまう。
【0005】
また、保護カバーに外嵌される外嵌部材は、上記した給水栓カバーに限られず、直線状に配置される2本の保護カバーの対向端面の部分を接続用付属保護カバーで接続したり、2本の流体管の屈曲部をエルボ状付属保護カバーで接続したりしており、保護カバーの軸方向に対する各接続用付属保護カバーの位置決めが必要となる。更に、流体管を分岐配管させるには、当該分岐部を覆う分岐用付属保護カバーが使用され、当該分岐用付属保護カバーの対向する各接続口は、直線配置された2本の保護カバーに接続されているため、当該2本の保護カバーの長手方向に対する分岐用付属保護カバーの位置決めが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】意匠登録第1094899号公報
【文献】意匠登録第1100019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、保護カバーの開放端面に配置される給水栓カバー、開放端面閉塞カバー、或いは保護カバーの直線接続部、屈曲接続部又は分岐接続部に配置される付属保護カバーを当該保護カバーに対してその軸方向の両側に移動不能に、或いは抜け出ないように配置可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、軸方向に連続する分断開口を閉じることで、内部に配線・配管材の配設経路を形成するための長尺筒状の保護カバーと、
前記保護カバーの外部に移動不能に取付けられて、前記分断開口の閉塞状態を維持する維持部材と、
軸方向に複数に分割された各分割体が互いに組み付けられて筒状を成し、前記保護カバーにおける前記維持部材が取付けられた箇所に、当該維持部材の一部又は全部を内部に収容した状態で外嵌される外嵌部材と、
から成り、
前記外嵌部材には、前記維持部材における当該外嵌部材に収容された箇所に当接することで、前記保護カバーに対して抜け出しが規制されるか、又は当該保護カバーの軸方向両側への移動が規制される位置決め部が設けられていることを特徴としている。
【0009】
長尺筒状の保護カバーの分断開口を通して内部の配設経路に流体管を収容した後に、当該保護カバーの分断開口は閉塞され、保護カバーにおける分断開口の閉塞部分に複数の閉塞部材が取着されることで、その閉塞状態が維持される。請求項1の発明では、複数の閉塞部材の一つは、保護カバーにおける外嵌部材が取着される部分に取着される。このため、例えば、外嵌部材が、給水栓の一部を覆う給水栓カバーの場合には、当該給水栓カバーは、保護カバーの端部に取着された閉塞部材に対して位置決め部が当接するようにして取着(仮配置)されるので、作業中において、給水栓カバーが保護カバーから抜け出ることはない。このため、保護カバーの端部に取着される給水栓カバーの部分において、当該保護カバー内に収容された流体管に対して給水栓を接続する場合において、保護カバーの端部に仮配置された前記給水栓カバーは、保護カバーから抜け出ないので、給水栓の接続作業をスムーズに行える。
【0010】
また、請求項1の発明においては、外嵌部材は、保護カバーの開放端面を閉塞する開放端面閉塞部材としても使用され、当該外嵌部材の位置決め部が、当該保護カバーの端部に取着される維持部材における当該外嵌部材に収容された箇所に当接して抜け出ない構造となるので、経年使用によっても、開放端面閉塞部材が外嵌部材から抜け落ちることはない。更に、請求項1の発明を構成する外嵌部材は、直線状に配置された2本の保護カバーの接続部に配置される接続用付属保護カバー、直交配置される2本の保護カバーの屈曲接続部に配置されるエルボ状の屈曲部用付属保護カバー、更には、流体管が分岐配管される分岐接続部に配置される分岐用付属保護カバーとしても使用される。これらの場合には、保護カバーにおける各種付属保護カバーとして機能する外嵌部材が接続される部分に、当該保護カバーの分断開口の閉塞状態を維持する複数の維持部材の一つが取着されていて、外嵌部材に設けられた位置決め部が前記維持部材に当接することで、保護カバーに対する各種付属保護カバーとして機能する外嵌部材の当該保護カバーの軸方向に沿った配置位置が定められて、当該軸方向の両側に移動不能となる。従って、各種付属保護カバーとして機能する外嵌部材は、配管途中の仮配置状態でも、位置ずれしないので、配管作業がし易くなると共に、各種付属保護カバーは、経年使用によっても位置ずれしない。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記外嵌部材には、前記維持部材における当該外嵌部材に収容された箇所、及び前記保護カバーの端面の双方にそれぞれ当接して、前記保護カバーの軸方向両側への移動を規制する各位置決め部が形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明によれば、前記外嵌部材は、保護カバーに取着された維持部材における当該外嵌部材に収容された箇所、及び前記保護カバーの端面の双方にそれぞれ当接するために、当該外嵌部材は、保護カバーの軸方向の両側への移動が規制されて、当該保護カバーに対する外嵌部材の取着位置が定められる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記外嵌部材は、前記保護カバーに取着された前記維持部材に対する当該保護カバーの軸方向にずれた異なる2つの位置で、前記外嵌部材の移動を防止した状態で取着可能なように、当該外嵌部材の軸方向にずれた異なる複数の位置に前記位置決め部が形成され、
前記各位置において、
前記複数の位置決め部のうち特定の1つの位置決め部が単独で前記維持部材に当接するか、若しくは前記複数の位置決め部が、前記維持部材に又は前記維持部材と前記保護カバーとに当接するように構成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項3の発明によれば、保護カバーに対して外嵌部材が、抜け出ないように取着されるか、或いは当該保護カバーの軸方向の両側に移動不能となって位置決め状態で取着される形態としては、外嵌部材に設けられた複数の位置決め部の特定の一つが、保護カバーに取着された維持部材に当接して抜け出しが防止される形態、外嵌部材に設けられた複数の位置決め部のうち特定の2つが、前記維持部材に当接して外嵌部材の取着位置が当該保護カバーの軸方向の両側に移動しないように配置される形態、更に、外嵌部材に設けられた特定の2つの位置決め部が、保護カバーに取着された前記維持部材と当該保護カバー自体との双方に当接して、保護カバーに対する外嵌部材は、特定位置に移動不能に取着される形態との計3つ形態が存在する。例えば、開放端面を有する保護カバーの端部に、外嵌部材を取着して、当該開放端面を閉塞する場合において、当該外嵌部材の抜け落ちが防止できるのに加えて、当該保護カバーの開放端面を基準にして当該外嵌部材の突出長の調整が可能となる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、前記外嵌部材は、前記保護カバーに取着された前記維持部材に対して、当該保護カバーの軸方向にずらすことなく、自身の軸心を中心に回動させることで、前記維持部材に対して位置決め部が当接して、周方向に沿った少なくとも2つの向きにおいて、自身の軸方向への移動を規制した状態で、前記保護カバーに取着可能であることを特徴としている。
【0016】
請求項4の発明によれば、外嵌部材が、例えば側方開口を有する給水栓カバーである場合には、給水栓の配置位置に応じて保護カバーに対して外嵌部材を回動させて、給水栓の接続方向に対応させて側方開口の向きを周方向に沿ってずらすことができる。また、外嵌部材が、エルボ状の屈曲付属保護カバーの場合には、当該外嵌部材を回動させることで、2本の保護カバーの屈曲方向に対応させられると共に、外嵌部材が、チーズ状の分岐付属保護カバーの場合には、当該外嵌部材を回動させることで、分岐付属保護カバーの分岐方向に対応させられる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1又は2の発明において、前記外嵌部材の軸方向の両端部の少なくとも一方は、前記保護カバーの軸方向の端部に取着された当該維持部材と、当該保護カバーの端部との双方を収容するように外嵌されていることを特徴としている。
【0018】
請求項5の発明によれば、保護カバーの軸方向の一端部に、給水栓カバー又は開放端面閉塞カバーとして機能する外嵌部材が取着される場合には、当該保護カバーの端部に取着された維持部材及び当該保護カバーの端部との双方が外嵌部材に収容されることで、給水栓カバー又は開放端面閉塞カバーとしての本来の機能を果す他に、閉塞部材が取着された保護カバーの端部が当該外嵌部材で覆われることで、美観が高められる。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記外嵌部材の軸方向の両端部は、前記維持部材が軸方向の端部に取着された2本の保護カバーの当該各端部を内部に収容した状態で、前記2本の保護カバーどうしを接続可能であることを特徴としている。
【0020】
請求項6の発明は、外嵌部材が2本の保護カバーを接続する接続用付属保護カバーとして機能する場合であって、接続すべき2本の保護カバーの対向端部、及び当該対向端部に取着された各維持部材の計4つの各部分を外嵌部材で収容した状態で、2本の保護カバーが接続される。上記した4つの各部分で同一の外嵌部材で収容されて覆われるので、2本の保護カバーの接続部の美観も高められる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1又は2の発明において、前記外嵌部材は、その軸方向の中間部に、内外を連通する側方開口を備え、
前記保護カバーの端部に取着された前記維持部材は、前記外嵌部材の軸方向における前記側方開口を挟んだ両側のいずれの位置に配置させても、当該保護カバーの端部に外嵌可能なように、当該外嵌部材には、その軸方向に沿って複数の位置決め部が設けられていることを特徴としている。
【0022】
請求項7の発明によれば、外嵌部材の側方開口の両側に維持部材が配置される使用例は、直線(直状)配置された2本の保護カバーの対向端部にそれぞれ維持部材が取着され、前記2本の保護カバーの対向端面の間の端面間隙間に、前記外嵌部材の側方開口を配置させて、当該外嵌部材の軸方向の両端部に設けられた各位置決め部を、各保護カバーの各維持部材に当接させることで、直線配置された2本の保護カバーは、当該外嵌部材で接続されると共に、前記端面間隙間に外嵌部材の側方開口が配置されているため、当該端面間隙間において流体管の分岐配管が可能となる。従って、本使用例の外嵌部材は、チーズ状の分岐付属保護カバーとして機能する。
また、外嵌部材の側方開口の一方の端部のみに、保護カバーに取着された維持部材が配置される使用例としては、当該外嵌部材の側方開口の開口状態を維持するように、当該側方開口が保護カバーの延長上に配置されて、外嵌部材の一方の端部のみを当該保護カバーに部分的に外嵌させて、当該一方の端部の部分に設けられた位置決め部を、保護カバーに取着された維持部材に当接させる場合があり、本使用例は、外嵌部材を、流体管の屈曲配管用の付属保護カバーとして用いており、保護カバーに収容された流体管は、当該保護カバーの開放端面の部分で屈曲されて、前記外嵌部材の側方開口から外部に引き出されて配管される。
更に、外嵌部材の側方開口の他方の端部のみに、保護カバーに取着された維持部材が配置される使用例としては、外嵌部材の全体又はほぼ全体を保護カバーの端部に外嵌させて、外嵌部材の他方の端部に設けられた位置決め部を、保護カバーに取着された維持部材に当接させることで、当該保護カバーに対する外嵌部材の抜け出しを防止する場合であり、この場合には、当該外嵌部材の一方の開口が開放端面閉塞板部で閉塞されている場合には、当該開放端面閉塞板部により保護カバーの開放端面が閉塞される。なお、外嵌部材の側方開口は、その内側に配置されている保護カバーにより閉塞される。
【0023】
請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の発明において、前記外嵌部材に設けられた位置決め部は、前記保護カバーに取着された前記維持部材の軸方向にずれた2箇所に当接する当接部により構成されることを特徴としている。
【0024】
請求項8の発明によれば、前記維持部材の軸方向にずれた2箇所に当接する各当接部は、いずれも外嵌部材に設けられた構成であるので、維持部材が取着された保護カバーに対して外嵌部材を、当該保護カバーの軸方向の両側に移動しないように配置できる。
【0025】
請求項9の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の発明において、前記外嵌部材に設けられた位置決め部は、前記保護カバーの端面に当接する端面当接部と、当該保護カバーに取着された前記維持部材における前記端面と反対側の部分に当接する維持部材当接部と、により構成されていることを特徴としている。
【0026】
請求項9の発明によれば、外嵌部材に設けられる位置決め部は、保護カバーの端面に当接する端面当接部と、保護カバーに取着された維持部材に当接する維持部材当接部との2種類で構成され、外嵌部材が、開放端面を有する保護カバーの端部に外嵌して、当該開放端面を閉塞する開放端面閉塞部材である場合には、当該開放端面閉塞部材が備える開放端面閉塞板部を端面当接部として機能させられ、別途、端面当接部を外嵌部材に設ける必要のない利点がある。
【0027】
請求項10の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明において、前記外嵌部材に設けられた位置決め部は、前記保護カバーに取着された前記維持部材に当接する1つの当接部により構成されていることを特徴としている。
【0028】
請求項10の発明は、保護カバーに取着された維持部材に当接する外嵌部材の位置決め部は、1つの当接部で構成されているため、最も簡単な構成で、保護カバーに対して外嵌部材が抜け出たり、或いは当該保護カバーの軸方向の両側に移動するのを規制できる。
【0029】
請求項11の発明は、長尺筒状の保護カバーは、軸方向に連続する分断開口を閉じることで、内部に配線・配管材の配設経路が形成され、当該保護カバーには、その分断開口を閉じた状態を維持するための維持部材が取着され、前記保護カバーの端部からの流体管の引き出し、当該端部の閉塞、或いは当該保護カバーの途中からの流体管の分岐配管のために、当該保護カバーの端部、又はその途中に、当該保護カバーの各位置に取着された前記維持部材の全部又は一部を内部に収容した状態で外嵌部材が外嵌され、
前記外嵌部材は、当該外嵌部材に設けられた位置決め部の前記維持部材に対する当接により、前記保護カバーの軸方向両側への移動、又は当該保護カバーからの抜け出しが規制される構造であることを特徴とする保護カバーに対する外嵌部材の位置決め構造であることを特徴としている。
【0030】
請求項11の発明は、請求項1の発明を「保護カバーに対する外嵌部材の位置決め構造」の面から把握して表現したものであって、実質的な内容は、請求項1の発明と同等である。
【発明の効果】
【0031】
請求項1の発明では、複数の閉塞部材の一つは、保護カバーにおける外嵌部材が取着される部分に取着される。このため、例えば、外嵌部材が、給水栓の一部を覆う給水栓カバーの場合には、給水栓カバーは、保護カバーの端部に取着された閉塞部材に対して位置決め部が当接するようにして取着されるので、作業中において、給水栓カバーが保護カバーから抜け出ることはない。このため、保護カバーの端部に取着される給水栓カバーの部分において、当該保護カバー内に収容された流体管に対して給水栓を接続する場合において、前記給水栓カバーは、保護カバーから抜け出ないので、給水栓の接続作業をスムーズに行える。また、請求項1の発明においては、外嵌部材は、保護カバーの開放端面を閉塞する開放端面閉塞部材としても使用され、当該外嵌部材の位置決め部が、当該保護カバーの端部に取着される維持部材における当該外嵌部材に収容された箇所に当接して抜け出ない構造となるので、経年使用によっても、開放端面閉塞部材が保護カバーから抜け落ちることはない。
【0032】
また、請求項2の発明によれば、前記外嵌部材は、保護カバーに取着された維持部材における当該外嵌部材に収容された箇所、及び前記保護カバーの双方にそれぞれ当接するために、当該外嵌部材は、保護カバーの軸方向の両側への移動が規制されて、当該保護カバーに対する外嵌部材の取着位置が定められる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施例1,2の保護カバー装置を用いた配管例の斜視図である。
図2】本発明の実施例1の保護カバー装置を構成する保護カバーC0 、閉塞維持具D及び給水栓カバーE1 の分解斜視図である。
図3】同じく異なる方向から見た保護カバー装置の分解斜視図である。
図4】同じく更に異なる方向から見た保護カバー装置の分解斜視図である。
図5】保護カバーC0 の横断面図である。
図6】(a),(b)は、それぞれ給水栓カバーE1 の第1分割体E1aを異なる方向から見た斜視図である。
図7】(a),(b)は、それぞれ給水栓カバーE1 の第2分割体E1bを異なる方向から見た斜視図である。
図8】分離状態の給水栓カバーE1 の係合爪27a及び被係合爪27bの部分の端面図である。
図9】分離状態の給水栓カバーE1 の軸方向の中央部の内側及び外側の各重合板部25a,25bの部分の端面図である。
図10】(a),(b)は、それぞれ給水栓カバーE1 の第1及び第2の各分割体E1a, E1bの分離状態及び結合状態の斜視図である。
図11】(a)は、保護カバーC0 の端部に給水栓カバーE1 が取付けられた状態の部分平面図であり、(b)は、(a)のX1 -X1 線断面図である。
図12】(a),(b)は、それぞれ図11(a)のY1 -Y1 線及びY2 -Y2 線の端面図である。
図13図11(a)のY3 -Y3 線断面図である。
図14】給水栓カバーE1 の第1分割体E1aの開放端面閉塞板部23により保護カバーC0 の開放端面C0aを閉塞して、当該保護カバーC0 に設けた側方開口36を利用して給水栓Fを接続する場合の分解斜視図である。
図15】(a)は、開放端面C0aから離れた部分に閉塞維持具Dが取着された保護カバーC0 の部分斜視図であり、(b)は、保護カバーC0 の開放端面C0aの側の部分平面図であり、(c)は、(b)のX2 -X2 線断面図である。
図16】(a),(b)は、それぞれ開放端面C0aが給水栓カバーE1 の開放端面閉塞板部23で閉塞された保護カバーC0 の端部を異なる方向から見た部分斜視図である。
図17】(a)は、同様の保護カバーC0 の端部の平面図であり、(b)は、(a)のX3 -X3 線断面図である。
図18】(a)は、保護カバーC0 の接続用の付属保護カバーである給水栓カバーE1'の分解斜視図であり、(b)は、2本の保護カバーC0 が給水栓カバーE1'で接続された状態の斜視図である。
図19】(a)は、2本の保護カバーC0 が給水栓カバーE1'で接続された状態の平面図であり、(b)は、(a)のX4 -X4 線断面図である。
図20】(a),(b)は、それぞれ直交配管された2本の保護カバーC0 の接続部を接続用付属保護カバーE2 により覆った実施例2の配管例を異なる方向から見た斜視図である。
図21】同様の状態の分解斜視図である。
図22】同様の状態を異なる方向から見た分解斜視図である。
図23図20(a)のZ-Z線における展開断面図である。
図24】(a),(b)は、保護カバーC0 の軸方向に沿ってずれた複数の位置で、当該軸方向に移動不能に取着される開放端面閉塞カバーE3 の取着構造を示す模式的断面図である。
図25】(a),(b)は、保護カバーC0 の軸方向にずれることなく、しかも当該保護カバーC0 の軸心を中心にして180°回動させた周方向に沿って異なる2つの位置に取着できる給水栓カバーE4 の取着構造の模式的断面図である。
図26】直線的に配置された2本の保護カバーの対向端部に、当該保護カバーの軸方向に移動不能に取着される接続用付属保護カバーE5 の取着構造の模式的断面図である。
図27-A】(a)は、直線上に配置された2本の保護カバーC0 を接続用付属保護カバーE6 を用いて接続した部分の模式的断面図である。
図27-B】(b),(c)は、それぞれ接続用付属保護カバーE6 を用いて、保護カバーC0 の開放端面において流体管を屈曲配管させる場合、及び当該保護カバーC0 の開放端面を閉塞する場合の模式的断面図である。
図28】(a),(b)は、保護カバーC0 の端面に当接する端面当接部と、当該保護カバーC0 に取着された閉塞維持具Dに対して当該端面と反対側から当接する閉塞維持具当接部とで位置決め部が構成される開放端面閉塞カバーE7 ,E8 の取着構造を示す模式的断面図である。
図29】閉塞維持具Dに対して1箇所で当接する当接部により位置決め部が構成される開放端面閉塞カバーE9 の取着構造を示す模式的断面図である。
図30】1本の保護カバーC0 の途中から流体管を分岐配管させるための付属保護カバーE10の保護カバーC0 に対する取着構造を示す模式的断面図である。
図31】(a),(b)は、それぞれ別の閉塞維持具D’の斜視図、及びその取着状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、複数の最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。なお、以下の各実施例において、符号「E」は、本発明の実施に係る「カバー(外嵌部材)」について使用し、「C」は、本発明の実施に係わらない一般構造の従来の「カバー」について使用する。
【実施例1】
【0035】
最初に、図1図4を参照して、建物の壁体Wの壁表面Waに引き出されて、その途中で90°屈曲された流体管Pの水平配管部の端部に給水栓Fがエルボ92を介して連結され、流体管Pの壁表面Waが引き出された全ての部分が長尺筒状の保護カバーC0 内に収容されると共に、前記給水栓Fの部分が給水栓カバーE1 で覆われた配管構造を、施工方法を含めて説明する。図1において、建物内に配管された流体管Pと壁表面Waに垂直に配管された流体管Pとはエルボ(図示せず)で連結されていると共に、壁表面Waにおいて水平及び垂直に配管された各流体管Pは、同じくエルボ(図示せず)で連結されている。給水栓Fの基端の雄ねじ部91aは、前記エルボ92の雌ねじ部92aに螺合・連結されて、当該給水栓Fの基端部及び前記エルボ92の部分は、水平に配置された保護カバーC0 の端部に部分的に外嵌される給水栓カバーE1 で覆われている。
【0036】
壁表面Waに配管された流体管Pの水平配管部及び垂直配管部は、いずれも長尺筒状の保護カバーC0 に収容され、流体管Pの垂直配管部は、直線状に配置された2本の保護カバーC0 内に収容され、各保護カバーC0 の接続部には、所定の隙間37(図19参照)が形成され、当該隙間37及び各保護カバーC0 の各端部は、開放端面閉塞板部23を除去した給水栓カバーE1'が接続用の付属保護カバーとして機能して、2本の保護カバーC0 を接続している。また、流体管Pの水平配管部と垂直配管部とを、それぞれ収容する各保護カバーC0 の接続端部は、エルボ状の接続用付属保護カバーE2 で接続され、流体管Pの壁表面Waへの引出し部は、別のエルボ状の接続用付属保護カバーC1 内に収容されて、当該接続用付属保護カバーC1 の壁表面Wa側の端部は、垂直に配置された保護カバーC0 の上端部に外嵌状態で接続されている。流体管Pは、流体管保持部93aを有する複数の固定具93を介して壁表面Waに固定されている。なお、図1においては、所定の隙間37を有して垂直に配置された2本の保護カバーC0 は、開放端面閉塞板部23が除去されて、接続用付属保護カバーとして機能する給水栓カバーE1'で接続される構造を図示可能とするために、垂直に配置された2本の保護カバーC0 は、現実の施工よりも短いものを図示してある。
【0037】
保護カバーC0 は、図1図3図5に示されるように、樹脂の押出成形により形成される長尺筒状を成していて、周方向の一箇所に軸方向に沿った分断開口1を形成可能な薄肉構造となっている。このため、保護カバーC0 は、周方向の両端縁部2,3を互いに近接させて係合させることで、前記分断開口1が閉塞される構造となっている。保護カバーC0 の分断開口1は、内部の配設経路に流体管Pを挿入するための開口である。一方の端縁部2は、変則薄板状をなしていて、その外側の部分において、本体部4との接続部において凹状の係合凹部5aが軸方向に沿って連続して形成され、内面側に補強突条6a,6bが軸方向に連続して設けられ、外側(分断開口1に近い側)の補強突条6bの高さ方向の中央部には、薄板状の係合板部7が形成されている。他方の端縁部3は、断面が偏平U字状に形成されて、前記一方の端縁部2と同様に、その外側の部分において、本体部4との接続部において凹状の係合凹部5bが軸方向に沿って連続して形成され、断面が偏平U字状の部分に形成された凹部は、前記一方の端縁部2の係合板部7が挿入係合される係合孔8となっている。この係合状態において、一方の端縁部2に形成された外側の補強突条6bが、他方の端縁部3の端面に当接することで、前記分断開口1が閉塞されて、長尺筒状の保護カバーC0 となる。また、保護カバーC0 の本体部4における分断開口1が形成される部分と対向する部分は、内側に向けて一対の屈曲部9が形成され、分断開口1を形成するために、本体部4を外側に大きく開く際に、当該本体部4が前記各屈曲部9を起点として対称形状を保持して開き易いようにしてある。このため、本体部4における各屈曲部9の間には、他の部分に対して僅かに凹状となった浅凹部11が形成されている。
【0038】
このため、図5で2点鎖線で示される状態は、長尺筒状の保護カバーC0 の本体部4に軸方向に連続して分断開口1が形成された状態であって、当該分断開口1から内部の配設経路に流体管Pを挿入配設した後に、一方の端縁部2の係合板部7を、他方の端縁部3の係合孔8に挿入して前記分断開口1を閉塞し、当該閉塞状態を閉塞維持具Dで維持させる。閉塞維持具Dは、図2図5に示されるように、金属板バネを屈曲させて形成され、保護カバーC0 の両端縁部2,3を合成させた横断面円弧状の外形に対応する横断面形状を有する閉塞維持具本体12の幅方向の両端部に、保護カバーC0 の各係合凹部5a,5bに挿入係合される横断面U字形状の係合凸部13a,13bが内側に大きく屈曲して一体に形成されている。保護カバーC0 の分断開口1の閉塞状態は、その軸方向に沿って所定間隔をおいて配置される複数の閉塞維持具Dにより維持される。
【0039】
ここで、本発明においては、前記閉塞維持具Dは、保護カバーC0 の軸方向の一端である開放端部に配置される給水栓カバーE1 或いは保護カバーC0 どうしの直線接続部又は直交接続部で接続具として使用される付属保護カバーに設けられた位置決め部が、前記閉塞維持具D又は当該保護カバーC0 自体に当接することで、前記給水栓カバーE1 又は接続具として使用される付属保護カバーが、当該保護カバーC0 の軸方向にずれるのを防止することを要旨としている。従って、本発明の実施においては、保護カバーC0 の分断開口1の閉塞状態を維持する複数の前記閉塞維持具Dの一つは、当該保護カバーC0 の軸方向の端部に配置されることが必要条件となる。
【0040】
次に、図1図4及び図6図10を参照して、給水栓Fの基端部及び前記エルボ92を覆う前記給水栓カバーE1 について説明する。給水栓カバーE1 は、樹脂で成形され、円筒体の一端面が閉塞された形状であって、軸方向に沿って二分割されて、係合構造により一体に組み付けられる半円筒状の第1及び第2の各分割体E1a,E1bから成る。各分割体E1a,E1bは、一方の第1分割体E1aが円板状の開放端面閉塞板部23を備えている構造を除いて、同等構造を有しているので、同一又は同等部分には、同一符号に異なる添え字「a」,「b」を付すことで、対比理解を容易にしてある。
【0041】
第1分割体E1aは、半円筒状のカバー本体21aの内周面における軸方向の一端部に半リング状の位置決め突起22aが設けられ、その他端部に、円板状の開放端面閉塞板部23が設けられ、軸方向に沿った各分割端面24aにおける当該軸方向に沿った中央部には、カバー本体21aの外側が欠肉されることで内側重合板部25aがそれぞれ形成されていると共に、その両端部には、肉厚方向の内側が欠肉された係合部形成板部26aがそれぞれ周方向に突出して形成されて、各係合部形成板部26aの内面に係合爪27aがそれぞれ形成された構成である。カバー本体21aの内周面における軸方向に沿って前記係合爪27aが形成された位置には、それぞれ補強突条28aが周方向に沿った中央部が欠落された形態で形成されている。なお、補強突条28aのカバー本体21aの内周面に対する突出高さは、位置決め突起22aの突出高さと同一であって、給水栓カバーE1 は、その全体を保護カバーC0 に外嵌する使用方法もあり、この場合には、補強突条28aは、後述の第2分割体E1bの補強突条28bと協働して、前記保護カバーC0 の外周面に当接することで、給水栓カバーE1 の軸心を保護カバーC0 の軸心と合致させる機能(同心機能)も有している。このため、第1及び第2の各分割体E1a, E1bの各補強突条28a、28bは、その周方向に沿って各位置決め突起22a,22bの周方向に沿った中央部に設けられた過大突出部22a1,22b1を回避して、半円弧状の部分の中央部を除いた両端部に設けられている。
【0042】
円筒状の給水栓カバーE1 の軸方向に沿った一部は、保護カバーC0 の長手方向の端部に係合された前記閉塞維持具Dを収容した形態で、当該保護カバーC0 の端部に外嵌されて、前記位置決め突起22aが、当該閉塞維持具Dの奥側の端面に近接又は当接して配置され、第2分割体E1bに設けられた後述の位置決めリング部35と協働して、保護カバーC0 の軸方向両側に対して給水栓カバーE1 が移動しないように規制される。具体的には、図6(b)に示されるように、前記位置決め突起22aの周方向の中央部に、他の部分よりも径方向への突出長が大きな過大突出部22a1が設けられ、当該過大突出部22a1が前記閉塞維持具Dの端面に当接可能になっている。なお、第1分割体E1aの位置決め突起22aの過大突出部22a1の周方向に沿った長さは、第2分割体E1bの位置決め突起22bに設けられる過大突出部22b1の周方向の長さと同一であって、前記保護カバーC0 の前記浅凹部11の周方向の長さに対応している。
【0043】
前記給水栓カバーE1 は、その第1分割体E1aの開放端面閉塞板部23を除去することで、直線状に配置された2本の保護カバーC0 の接続部を構成する各端部に外嵌される接続用の付属保護カバーとしても使用される。即ち、開放端面閉塞板部23におけるカバー本体21aに近接した部分には、複数の円弧状の折取り溝29が断続して形成され、各折取り溝29において開放端面閉塞板部23を折り取って除去することで、残った部分は、当該カバー本体21aにおける開放端面閉塞板部23と反対側の端部に形成された半リング状の位置決め突起22aと同一形状の別の位置決め突起22aが形成されるようになっている〔図18(a)参照〕。円板状の開放端面閉塞板部23は、複数の前記折取り溝29を介してカバー本体21aと一体となっている半円板部と、当該カバー本体21aと非接続の残りの半円板部とから成り、後者の半円板部の半円弧状の外面側の周縁部には、第2分割体E1bの後述の位置決め突起22bを嵌合させるための半円弧状の嵌合凹部31が、半径方向外側に開放して設けられている。
【0044】
一方、給水栓カバーE1 の第2分割体E1bは、前記第1分割体E1aに対して係合構造により一体に組み付けることで、軸方向の一端部が円形の開放端面閉塞板部23で閉塞された円筒状になるような形状である。即ち、半円筒状の第2分割体E1bは、カバー本体21bの内周面における軸方向の両端部に、それぞれ半リング状の位置決め突起22bが形成され、各分割端面24bにおける軸方向の中央部には、肉厚方向の内側が欠肉された外側重合板部25bが周方向に突出して形成されていると共に、各分割端面24bにおける軸方向の両端部には、カバー本体21bの肉厚方向の外側が欠肉された被係合部形成板部26bがそれぞれ形成され、各被係合部形成板部26bの外面に、被係合爪27bがそれぞれ形成されている。各位置決め突起22bは、第1分割体E1aの位置決め突起22aと同様に、その周方向の中央部に過大突出部22b1が形成されている。カバー本体21bの内周面には、第1分割体E1aの補強突条28aと同様の補強突条28bが形成されている。
【0045】
第2分割体E1bのカバー本体21bの外周面における軸方向及び周方向の双方の中央部には、給水栓Fのフランジ部91bを当接させる当接平面部32を形成するための当接平面部形成突部33が形成され、カバー本体21aにおける軸方向及び周方向の双方の中央部には、前記当接平面部形成突部33を貫通する形態で、給水栓Fに接続される接続具91の雄ねじ部91aを挿入する側方開口34が形成されている。前記フランジ部91bと前記雄ねじ部91aとは一体に設けられて、給水栓Fに回動可能に螺合された接続具91となっている。側方開口34の内側には、当該側方開口34の周縁に沿って補強を兼用した円リング状をなしていて、給水栓Fを取付ける場合には、保護カバーC0 の端面に当接可能な位置決めリング部35が設けられている。
【0046】
そして、上記した給水栓カバーE1 を用いて、保護カバーC0 に側方開口を設けることなく、当該保護カバーC0 内に収容された流体管Pの端部に給水栓Fを接続するに、以下のようにして行う。まず、図2図3及び図11に示されるように、保護カバーC0 の分断開口1を通して内部に流体管Pを収容した後に、一端部が開放端面C0aとなる保護カバーC0 の分断開口1を閉塞する複数の閉塞維持具Dのうち、前記開放端面C0aに最も近い位置に取着される閉塞維持具Dは、当該開放端面C0aに臨む位置に配置させて、当該保護カバーC0 の分断開口1の閉塞状態を維持させる。図示例では、保護カバーC0 の開放端面C0aと、閉塞維持具Dの閉塞維持具本体12の一方の端面12aとが合致した状態となっている。
【0047】
この状態で、給水栓カバーE1 を構成する第1及び第2の各分割体E1a, E1bの軸方向の一端の各位置決め突起22a,22bを、前記閉塞維持具Dの他方の端面12bよりも内側に配置させた状態で、当該第1及び第2の各分割体E1a, E1bを一体に組み付ける。これにより、図12(a),(b)に示されるように、第1及び第2の各分割体E1a, E1bは、その軸方向の中央部において、第1分割体E1aの内側重合板部25aの外側に、第2分割体E1bの外側重合板部25bが配置されることで、内側及び外側の各重合板部25a,25bが互いに重合されると共に、当該重合板部の両側は、第1分割体E1aの係合爪27aが第2分割体E1bの被係合爪27bと係合することで、第1及び第2の各分割体E1a, E1bは、一体に組み付けられ、しかも第2分割体E1bの側方開口34の内側に設けられた位置決めリング部35の周方向の一部が、保護カバーC0 の開放端面C0aに近接又は当接して配置される。これにより、第1及び第2の各分割体E1a, E1bが一体に組み付けられた給水栓カバーE1 は、その軸方向の一端部が、開放端面C0aを有する保護カバーC0 の開放端面C0aに近い端部に片持ち状となり、しかも自身の軸方向両側に移動不能となって外嵌・支持される。この状態では、図11(b)に示されるように、開放端面C0aを有する保護カバーC0 に収容された流体管Pの先端に接続されたエルボ92の未接続の接続端部は、給水栓カバーE1 を構成する第2分割体E1bの側方開口34の内側に設けられた位置決めリング部35に臨むか、或いは僅かに入り込んでいる。
【0048】
上記したように、給水栓カバーE1 は、その軸方向の一端部が、開放端面C0aを有する保護カバーC0 の開放端面C0aに近い端部に片持ち状となり、しかも自身の軸方向両側に移動不能となって安定して外嵌・支持されるので、給水栓カバーE1 の外側において、給水栓Fの接続具91を回転させて、その雄ねじ部91aを前記エルボ92の雌ねじ部92aに螺合させると、当該接続具91の回転により前記エルボ92が側方開口34の外側に僅かに引き寄せられ、前記フランジ部91bの背面の平面部が、給水栓カバーE1 の第2分割体E1bの外面の当接平面部32に密着当接させられることで、図1に示されるように、給水栓カバーE1 の側方に配置された給水栓Fは、エルボ92を介して保護カバーC0 の内部の流体管Pに接続される。
【0049】
また、上記した給水栓Fの配管例では、開放端面C0aを有する保護カバーC0 の軸方向に沿った当該開放端面C0aの側の端部に閉塞維持具Dが配置され、給水栓カバーE1 は、当該閉塞維持具Dの閉塞維持具本体12の端面12bに当接して抜け出しが防止されるように、開放端面閉塞板部23と反対側の端部が前記保護カバーC0 に部分的に外嵌されて、片持ち状となって支持され、給水栓Fは、給水栓カバーE1 に設けられた側方開口34を用いて、当該保護カバーC0 に収容された流体管Pに対してエルボ92を介して接続される構成である。従って、保護カバーC0 には、その内部の流体管Pに給水栓Fを接続するための側方開口を設ける必要のない利点がある。
【0050】
図14及び図15に示される給水栓Fの配管例は、開放端面C0aを備えた保護カバーC0 における浅凹部11の部分に、給水栓Fを接続するための側方開口36を設けて、給水栓カバーE1 の第1分割体E1aの開放端面閉塞板部23を、前記保護カバーC0 の開放端面C0aに直接に当接させて、当該開放端面C0aを閉塞する構造である。従って、開放端面C0aを備えた保護カバーC0 における当該開放端面C0aに最も近接して配置される閉塞維持具Dの配置位置は、前記給水栓カバーE1 の全体を、開放端面C0aを備えた保護カバーC0 の端部に外嵌させた状態において、閉塞維持具Dの全体が当該給水栓カバーE1 内に収容され、しかも第1及び第2の各分割体E1a, E1bにおける合成されて円リングとなった奥側の各位置決め突起22a,22bに近接して、当該閉塞維持具Dの閉塞維持具本体12の奥側の端面12bが配置される位置である。
【0051】
このため、図15(a)に示されるように、開放端面C0aを備えた保護カバーC0 の当該開放端面C0aに最も近い閉塞維持具Dを上記位置に配置して、当該保護カバーC0 の分断開口1を閉塞して、図15(b),(c)で示されるように、給水栓カバーE1 の第1分割体E1aの開放端面閉塞板部23が保護カバーC0 の開放端面C0aに当接するようにして、当該保護カバーC0 の端部に、給水栓カバーE1 を外嵌させる。これにより、閉塞維持具Dの閉塞維持具本体12の奥側の端面12bに当該給水栓カバーE1 の奥側の各位置決め突起22a,22bが当接することで、当該給水栓カバーE1 の抜出し方向への移動が防止されると共に、保護カバーC0 の開放端面C0aに第1分割体E1aの開放端面閉塞板部23が当接することで、当該給水栓カバーE1 が前記抜出し方向と反対側に移動するのが防止されて、当該給水栓カバーE1 は、自身の軸方向両側に移動しない状態で、前記保護カバーC0 の開放端面C0aの側の端部に外嵌される。従って、本配管例では、保護カバーC0 の開放端面C0aに当接する前記開放端面閉塞板部23は、保護カバーC0 に対する給水栓カバーE1 の移動を防止する「位置決め部」としての機能を果している。なお、図15(c)に示されるように、上記のようにして、開放端面C0aを備えた保護カバーC0 の端部に給水栓カバーE1 の全体が外嵌された状態では、当該給水栓カバーE1 の位置決めリング部35が、保護カバーC0 に貫通した側方開口36に入り込んでいるため、この構造によっても、保護カバーC0 に対して給水栓カバーE1 は、軸方向の両側に移動不能に外嵌される。
【0052】
ここで、上記した2種類の配管例においては、保護カバーC0 の開放端面C0aの側の端部に外嵌された給水栓カバーE1 は、いずれも当該給水栓カバーE1 の軸方向の両側に移動不能に外嵌されているため、給水栓カバーE1 の側方開口34又は保護カバーC0 の側方開口36に、給水栓Fに連結された接続具91の雄ねじ部91aを挿入して、内側のエルボ92に螺合させて、給水栓Fを接続する作業を安定して行える利点がある。しかし、本発明においては、給水栓Fの接続作業中において、保護カバーC0 からの当該給水栓Fの抜け出しを防止できれば、保護カバーC0 に対して給水栓カバーが軸方向の両側に移動可能なように単に配置されているのみである従来構造に比較すれば、当該給水栓Fの接続作業は、比較的安定して行える。従って、本発明においては、保護カバーC0 に対して給水栓カバーE1 が軸方向の両側に移動しない構造は、本発明の「最良実施例」であって、保護カバーC0 に対して給水栓カバーE1 が抜け出ない構造のみである実施例も本発明に含まれる。
【0053】
また、上記した給水栓カバーE1 は、保護カバーC0 に収容された流体管Pに給水栓Fを接続した部分を覆う場合のみならず、図16及び図17に示されるように、保護カバーC0 の開放された開放端面C0aを単に覆ったり、図18及び図19に示されるように、或いは直線接続される2本の保護カバーC0 の接続部を覆ったりするのにも使用される。
【0054】
保護カバーC0 の開放端面C0aを給水栓カバーE1 で覆うには、図16及び図17に示されるように、保護カバーC0 の開放端面C0aに最も近い部分に配置される閉塞維持具Dは、当該保護カバーC0 の開放端面C0aに近い部分に側方開口36を設ける場合と同様の位置、即ち、当該開放端面C0aから所定長だけ奥側に入り込んだ部分に配置される。この状態で、開放端面C0aの側の端部に、保護カバーC0 を構成する第1及び第2の各分割体E1a, E1bを外嵌させて一体に組み付けると、第1及び第2の各分割体E1a, E1bのいずれか一方の奥側の位置決め突起22a,22bが、保護カバーC0 の分断開口1の閉塞状態を維持している最も開放端面C0aの側の閉塞維持具Dの閉塞維持具本体12の奥側の端面12bに密着又は近接すると共に、第1分割体E1aの開放端面閉塞板部23が、保護カバーC0 の開放端面C0aに近接又は密着することで、保護カバーC0 の開放端面C0aの側の端部に給水栓カバーE1 が軸方向両側に移動不能に外嵌されて、当該保護カバーC0 の開放端面C0aは、第1分割体E1aの開放端面閉塞板部23で閉塞される。なお、図16及び図17の図示では、保護カバーC0 の分断開口1の閉塞状態を維持する閉塞維持具Dの側に、側方開口34を備えた第2分割体E1bが配置されているが、第1及び第2の各分割体E1a, E1bの周方向に沿った配置は、図示とは逆であっても、保護カバーC0 に対して給水栓カバーE1 を軸方向両側に移動不能にして外嵌して、当該保護カバーC0 の開放端面C0aを、第1分割体E1aの開放端面閉塞板部23で閉塞可能である。
【0055】
直線接続される2本の保護カバーC0 の接続部を給水栓カバーE1 で覆うには、図1図18及び図19に示されるように、当該給水栓カバーE1 を構成する第1分割体E1aの開放端面閉塞板部23のカバー本体21aに近接した部分に半円弧状に設けられた複数の折取り溝29の部分で、当該開放端面閉塞板部23の大部分を折り取って、カバー本体21aに接続した部分に、半リング状(半円弧状)の位置決め突起22aを残存させる。当該位置決め突起22aの周方向の中央部には、過大突出部22a1も形成される。開放端面閉塞板部23が除去された給水栓カバーE1'は、接続用の付属保護カバーとして機能する。なお、図18(a)において、23’は、開放端面閉塞板部23の折取り片を示す。
【0056】
また、図19に示されるように、接続すべき2本の保護カバーC0 の部分には、第2分割体E1bに設けられた位置決めリング部35の外径よりも僅かに広い隙間37が形成され、各保護カバーC0 には、その開放端面C0aに対して自身の一方の端面が合致した状態で閉塞維持具Dが配置されている。このため、第2分割体E1bの側方開口34が壁表面Waと対向するように配置して、当該壁表面Waに沿って配設される2本の保護カバーC0 の隙間37を覆うようにして、各保護カバーC0 の各端部に、接続用の付属保護カバーとして機能する給水栓カバーE1'を外嵌させると、第1分割体E1aの軸方向の両端の半リング状の各位置決め突起22aは、各保護カバーC0 の開放端面C0aに臨んで配置された各閉塞維持具Dの閉塞維持具本体12の外側の端面12bに近接又は当接して配置されると共に、第2分割体E1bの位置決めリング部35は、2本の保護カバーC0 の各開放端面C0aの間に配置される。これにより、接続用の付属保護カバーとして機能する給水栓カバーE1'は、2本の保護カバーC0 のいずれに対しても、自身の軸方向両側に移動不能に外嵌されて、2本の保護カバーC0 の間の隙間37及び各保護カバーC0 の軸方向の端部に配置された各閉塞維持具Dが、いずれも覆い隠される。
【実施例2】
【0057】
次に、図20図23を参照して、本発明の実施例2の保護カバー装置について説明する。実施例2の保護カバー装置は、エルボ状の接続用付属保護カバーE2 を用いて直交配置された2本の保護カバーC0 を、当該接続用付属保護カバーE2 が流体管の配設方向に沿ってずれることなく接続する構成である。接続用付属保護カバーE2 は、当該接続用付属保護カバーE2 内にエルボ(図示せず)を介して配設される流体管の中心を含む平面で二分割された構成であって、第1及び第2の各分割体E2a, E2bから成って、各分割体E2a, E2bの分断面41a,41bには、それぞれ肉厚方向の内側及び外側が欠肉された係合部形成板部42a1、42a2及び被係合部形成板部42b1、42b2が形成されて、係合部形成板部42a1、42a2の内側面及び被係合部形成板部42b1、42b2の外側面には、それぞれ係合部43a及び被係合部43bが形成されている。
【0058】
互いに直交配置された状態で接続される2本の保護カバーC0 の接続側の端部には、一方の端面が当該保護カバーC0 の端面と合致した状態で、それぞれ閉塞維持具Dが取着され、第1及び第2の各分割体E2a, E2bのカバー本体44a,44bの内周面における流体管の配設方向に沿った両端部には、前記閉塞維持具Dにおける流体管の配設方向に沿った寸法(長さ)と同一の間隔をおいて2本一組となった半円弧状の位置決め突起45a,45bが設けられ、2本一組となった位置決め突起45a,45bのうち外側(カバー本体44a,44bの端面側)のものは、当該カバー本体44a,44bの端面に臨んで配置されている。
【0059】
そして、直交配置された2本の保護カバーC0 の軸方向の端部に取着された各閉塞維持具Dを、第2分割体E2bの2本一組となった各位置決め突起45bの間に挿入配置させた状態で、第1及び第2の各分割体E2a, E2bの各分断面41a,41bを当接させて、当該各分割体E2a, E2bを一体に組み付けると、図20及び図23に示されるように、直交配置された2本の保護カバーC0 の軸方向の端部に取着された各閉塞維持具Dが、接続用付属保護カバーE2 の第2分割体E2bの2本一組の各位置決め突起45bの間に挿入配置された形態で、当該2本の保護カバーC0 は接続用付属保護カバーE2 を介して一体に接続される。よって、接続用付属保護カバーE2 は、直交配置されたいずれの保護カバーC0 に対しても移動不能な構造となるので、長期間の使用によっても、接続用付属保護カバーE2 は、各保護カバーC0 に対して位置ずれすることはなく、原接続状態を保持する。
【0060】
上記した実施例1,2において、保護カバーC0 の分断開口1が閉塞された状態を維持する「維持部材」である閉塞維持具Dの全部又は一部を収容した状態で、当該保護カバーC0 に外嵌される「外嵌部材」である給水栓カバーE1 又は接続用付属保護カバーE2 に設けられた「位置決め部」である位置決め突起45a,45b又は位置決めリング部35或いは保護カバーC0 の開放端面C0aと、「維持部材」である閉塞維持具Dの配置関係について具体的に説明した。以下においては、「外嵌部材」に設けられた「位置決め部」と、保護カバーC0 に取着された「維持部材」の配置関係に関する別の実施例を模式的断面図を使用して、「位置決め原理」についてのみ簡潔に説明する。
【実施例3】
【0061】
図24に示される実施例3の「外嵌部材」は、保護カバーC0 の開放端面C0aを閉塞する開放端面閉塞カバーE3 であって、例えば二分割構造の円筒状のカバー本体51の一方の分割体の内周面における軸方向に沿って異なる位置に計3つの位置決め突起52a,52b,52cが、当該軸方向に沿って一定間隔をおいて設けられ、保護カバーC0 の端部に取着された「維持部材」である閉塞維持具Dの両端面に当接する位置決め突起を計3つの位置決め突起52a,52b,52cから隣接する2つが選択されることで、保護カバーC0 に対して開放端面閉塞カバーE3 を、その軸方向に沿って異なる2つの位置で取着可能な構造となっている。なお、図24において、53は、カバー本体51の一方の分割体に一体に設けられた開放端面閉塞板部を示す。
【実施例4】
【0062】
図25に示される実施例4の「外嵌部材」は、同じく保護カバーC0 の開放端面C0aを閉塞する給水栓カバーE4 であって、その円筒状のカバー本体51の軸方向のほぼ中央部に側方開口54が設けられ、当該カバー本体51の内周面における軸方向に沿って異なる位置には、保護カバーC0 に取着された閉塞維持具Dの両端面に当接又は近接配置される2つの位置決め突起55a,55bが全周に亘って設けられている。保護カバーC0 に対して給水栓カバーE4 を180°だけ回動させると、前記側方開口54が反対側を向いて、保護カバーC0 の軸方向に対する給水栓カバーE4 の配置位置を維持したままで、周方向に沿った配置位置を180°だけ変更させられる。なお、本実施例4では、各位置決め突起55a,55bは、全周に亘って設けられているため、保護カバーC0 の軸方向の位置が維持されたまま、当該保護カバーC0 に対して回転可能であり、側方開口54を任意の向きに配置させられる。
【実施例5】
【0063】
図26に示される実施例5の「外嵌部材」は、直線状に配置された2本の保護カバーC0 を接続する接続用付属保護カバーE5 であって、二分割構造の円筒状のカバー本体56の一方の分割体の内周面には、各保護カバーC0 の軸方向の端部に取着された各閉塞維持具Dの両端面に当接する一対一組の二組の位置決め突起57a,57bが、前記閉塞維持具Dの保護カバーC0 の軸方向に沿った寸法に対応した間隔をおいて形成されている。よって、二分割構造のカバー本体56の各分割体を一体に組み付ける際に、一方の分割体に設けられた計二組の位置決め突起57a,57bを各保護カバーC0 の閉塞維持具Dの両側に配置させることで、接続用付属保護カバーE5 は、各保護カバーC0 の軸方向両側に移動することなく、当該接続用付属保護カバーE5 によって、直線状に配置された2本の保護カバーC0 を対向端部の部分で接続できる。
【実施例6】
【0064】
図27に示される実施例6の「外嵌部材」は、接続用、開放端面での屈曲配管用及び開放端面閉塞用のいずれにも使用可能な二分割構造の接続用付属保護カバーE6 であって、カバー本体61の一方の分割体の長手方向の中央部の一箇所に側方開口62が形成され、他方の分割体の内周面には、直線上に配置された2本の保護カバーC0 の外周面に取着された各閉塞維持具Dの両端面に当接又は近接配置される一対一組となった二組の位置決め突起63a,63bが形成され、更に前記一方の分割体には、円筒状のカバー本体の一方の端面を閉塞する開放端面閉塞板部64が折取り可能に形成されている。
【0065】
このため、直線状に配置された2本の保護カバーC0 を対向端部の部分で接続するには、図27(a)に示されるように、接続用付属保護カバーE6 の前記開放端面閉塞板部64を折り取ることで全体を筒状にして、各分割体を一体に組み付ける際に、前記他方の分割体に形成された一対一組となった二組の位置決め突起63a,63bを、それぞれ各保護カバーC0 の閉塞維持具Dの両端面に当接又は近接配置させた状態で、一対の分割体を一体に組み付けると、一方の分割体に設けられた前記側方開口62が、2本の保護カバーC0 の端面間隙間65に配置された状態で、接続用付属保護カバーE6 を介して2本の保護カバーC0 が接続されることで、当該側方開口62を利用して、流体管の分岐配管が可能となる。即ち、接続用付属保護カバーE6 の側方開口62に、保護カバーC0 に比較してサイズの小さな別の保護カバーC0'の一端部を挿入して、2本の保護カバーC0 に収容された2本の流体管と、1本の保護カバーC0'に収容された1本の流体管とをチーズ継手(三方継手)〔図示せず〕を介して接続することで、分岐配管が可能となる。
【0066】
また、図27(b)に示されるように、保護カバーC0 の開放端面において給水栓を接続したり、同(c)に示されるように、保護カバーC0 の開放端面を単に閉塞させる場合には、図27(b),(c)に示されるように、前記開放端面閉塞板部64はそのまま残存させる。保護カバーC0 の開放端面において給水栓を接続させる場合には、カバー本体61の開口側に近い一対一組の位置決め突起63aを、保護カバーC0 の端部に取着された閉塞維持具Dの両端面に当接又は近接配置させて、カバー本体61における開口側の部分のみを保護カバーC0 に部分的に外嵌させることで、側方開口62の開口状態を維持させて、当該側方開口62を利用して給水栓を接続させる。
【0067】
一方、保護カバーC0 の開放端面を単に閉塞させる場合には、図27(c)に示されるように、カバー本体61の分割体に設けられた一対一組の二組の位置決め突起63a,63bのうち、前記開放端面閉塞板部64に近い側の一組の位置決め突起63bを保護カバーC0 の閉塞維持具Dの両端面に配置させて、カバー本体61の全体を保護カバーC0 の端部に外嵌させることで、保護カバーC0 の開放端面は、前記開放端面閉塞板部64で閉塞されると共に、前記側方開口62は、内側の保護カバーC0 によって閉塞される。
【0068】
ここで、保護カバーC0 に取着される「外嵌部材」である閉塞維持具D又は当該保護カバーC0 自体に当接することで、当該保護カバーC0 の軸方向に沿った「外嵌部材」の位置決めを行った状態で、当該保護カバーC0 に対して「外嵌部材」の抜け出し又は軸方向の両側への移動を規制する「位置決め部」の構造としては、上記した各実施例1~6に示されるように、保護カバーC0 に取着された閉塞維持具Dの両端面に当接又は近接配置される一対の位置決め突起の他に以下の構造が挙げられる。
【0069】
例えば、図28(a)に示される開放端面閉塞カバーE7 は、二分割構造の円筒状のカバー本体71の一方の分割体の内周面に設けられた位置決め突起72と、保護カバーC0 の開放端面C0aを閉塞する開放端面閉塞板部73とで、保護カバーC0 に対する開放端面閉塞カバーE7 の位置決めと、その軸方向の両側への移動を防止する構造である。また、図28(b)に示される開放端面閉塞カバーE8 は、二分割構造の円筒状のカバー本体71の一方の分割体の内周面における開口に近い部分に設けられて、保護カバーC0 に取着された閉塞維持具Dの奥側の端面に当接する第1位置決め突起74と、当該保護カバーC0 の開放端面C0aに当接する第2位置決め突起75とによって、保護カバーC0 の軸方向に対する開放端面閉塞カバーE8 の配置位置が定められると共に、当該軸方向の両側への移動が規制されている。
【0070】
更に、図29に示される開放端面閉塞カバーE9 は、円筒状のカバー本体71を構成する一対の分割体の一方の内周面における開口に近い部分に設けられた単に一つの位置決め突起76が、保護カバーC0 に取着された閉塞維持具Dに対して係合することで、保護カバーC0 に対する開放端面閉塞カバーE9 の配置位置が定められると共に、当該保護カバーC0 に対して開放端面閉塞カバーE9 は、軸方向の両側に移動不能な構造になっている。
【実施例7】
【0071】
更に、図30に示される実施例7の「外嵌部材」は、1本の保護カバーC0 の途中において、流体管の分岐配管を行う場合に使用される円筒状の分岐配管用の付属保護カバーE10であって、当該付属保護カバーE10の途中には、側方開口81が設けられ、当該付属保護カバーE10における周方向に沿って反対側の部分であって、軸方向に沿って当該側方開口81に近接した位置に閉塞維持具Dが取着されている。前記付属保護カバーE10の二分割円筒状のカバー本体82の軸方向の中央部には、カバー本体82の一方の分割体の保護カバーC0 の側方開口81に対応する側方開口83が形成されていると共に、他方の分割体の周方向に沿って前記側方開口83と反対側であって、軸方向に沿った一端部には、前記閉塞維持具Dの両端面に当接可能な一対の位置決め突起84が形成されている。
【0072】
よって、1本の保護カバーC0 の側方開口81が設けられている部分において、一方の分割体の側方開口83と保護カバーC0 の側方開口81とを合致させて、一対の分割体を一体に組み付けると、他方の分割体の内周面に設けられた一対の位置決め突起84は、保護カバーC0 に取着された閉塞維持具Dの両端面に当接又は近接して配置され、保護カバーC0 及び付属保護カバーE10の各側方開口81,83が合致した状態で、保護カバーC0 の長手方向の両側に移動不能となって、当該保護カバーC0 に対して付属保護カバーE10が取着される。
【0073】
そして、保護カバーC0 内に収容された2本の流体管と、当該保護カバーC0 に対してサイズの小さな別の保護カバーC0'内に配管された1本の流体管をチーズ継手(図示せず)を介して連結して、当該チーズ継手の保護カバーC0'側の接続部を、前記各側方開口81,83を通して配置させる。当該チーズ継手の保護カバーC0'の側の接続部は、分岐配管用の保護カバーC0'内に収容される。
【0074】
また、前記閉塞維持具Dに替えて、図31に示されるように、保護カバーC0 に対して喰い込む喰込み突起14を備えた閉塞維持具D’を用いることも可能である。閉塞維持具D’の各係合凸部13a、13bにおけるU字状にわん曲された部分における軸方向の中央部を、部分的に閉塞維持具本体12の側に切り起こすことで喰込み突起14が形成され、当該喰込み突起14は、保護カバーC0 に取着された状態において、その弾性復元力により、保護カバーC0 の各係合凹部5a,5bを形成する部分に喰い込むことで、当該閉塞維持具D’は、給水栓カバーE1 等から軸方向に沿った外力を受けても、保護カバーC0 に対して位置ずれしなくなる。
【0075】
また、上記した各実施例1~7において、上記した給水栓カバー、接続用付属カバー、或いは開放端面閉塞カバーの各カバー本体は、軸方向に沿った二分割構造であるが、その分割数は「2」に限定されない。
【符号の説明】
【0076】
0,C0':保護カバー
0a:保護カバーの開放端面
D,D’:閉塞維持具(維持部材)
1 :給水栓カバー(外嵌部材)
1':接続用付属保護カバーとしての機能する給水栓カバー (外嵌部材)
2,E5,E6 :接続用付属保護カバー(外嵌部材)
3,E7 ~E9 :開放端面閉塞カバー(外嵌部材)
4 :給水栓保護カバー
10:分岐付属保護カバー(外嵌部材)
P:流体管
1:保護カバーの分断開口
22a,22b :給水栓カバーE1 の位置決め突起(位置決め部)
34,54:給水栓カバーE1 ,E4 の側方開口
35:給水栓カバーE1 の位置決めリング部(位置決め部)
36,81:保護カバーの側方開口
45a,45b :接続用付属保護カバーE2 の位置決め突起(位置決め部)
52a~52c:開放端面閉塞カバーE3 の位置決め突起(位置決め部)
55a,55b:開放端面閉塞カバーE4 の位置決め突起(位置決め部)
57a,57b:接続用付属保護カバーE5 の位置決め突起(位置決め部)
62:接続用付属保護カバーE6 の側方開口
63a,63b:接続用付属保護カバーE6 の位置決め突起(位置決め部)
72:開放端面閉塞カバーE7 の位置決め突起(位置決め部)
73:開放端面閉塞カバーE7 の開放端面閉塞板部(位置決め部)
74,75:開放端面閉塞カバーE8 の位置決め突起(位置決め部)
76:開放端面閉塞カバーE9 の位置決め突起(位置決め部)
83:分岐付属保護カバーE10の側方開口
84:分岐付属保護カバーE10の位置決め突起(位置決め部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27-A】
図27-B】
図28
図29
図30
図31