(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】配線・配管材保護カバー装置、及び付属保護カバーの接続構造
(51)【国際特許分類】
F16L 57/00 20060101AFI20240603BHJP
F16L 33/00 20060101ALI20240603BHJP
F16L 33/03 20060101ALI20240603BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
F16L57/00 A
F16L33/00 B
F16L33/03
F16B7/04 302A
(21)【出願番号】P 2021025104
(22)【出願日】2021-02-19
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】中村 敦
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-271940(JP,A)
【文献】特開平9-42243(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0242066(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0031767(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 57/00
F16L 33/00
F16L 33/03
F16B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に連続する分断開口を閉じることで、内部に配線・配管材の配設経路が形成される長尺筒状の主保護カバーと、
前記主保護カバーの前記分断開口を跨いで取着されることで、当該分断開口の閉塞状態を維持するための閉塞維持部材と、
中空本体部の少なくとも軸方向の一端部に、外周面に対して窪んだ状態で凹部が形成され、前記凹部の露出状態を維持して、前記主保護カバーの端部に内挿されて、当該主保護カバーと接続される内挿接続部が、前記中空本体部の前記一端部に連設された中空状の付属保護カバーと、
前記主保護カバーの軸方向の端部に取着された前記閉塞維持部材に係止される係止部、及び前記付属保護カバーの前記凹部に入り込むように掛かり合う掛合部を備え、前記付属保護カバーの内挿接続部が前記主保護カバーに対して抜出し方向に移動するのを防止する接続部材と、
を備えたことを特徴とする配線・配管材保護カバー装置。
【請求項2】
前記閉塞維持部材は、前記接続部材の一部を、前記主保護カバーとの間で挟むように配置して、当該主保護カバーに取着可能であることを特徴とする請求項1に記載の配線・配管材保護カバー装置。
【請求項3】
前記接続部材は、前記主保護カバーの外面に沿って配置されて、少なくとも一部が前記主保護カバーと前記閉塞維持部材との間に挟まれて配置される外面沿い部を備え、当該外面沿い部の一端部に前記係止部が設けられ、その他端部に前記掛合部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配線・配管材保護カバー装置。
【請求項4】
前記主保護カバーには、前記分断開口を挟んだ両側に、当該分断開口に向かって凹設された一対の係合凹部が軸方向に連続して設けられ、
前記閉塞維持部材は、前記主保護カバーの一対の係合凹部に係合可能な一対の係合凸部を備え、
前記付属保護カバーは、環状の複数の前記
凹部が軸方向に間隔をあけて形成された蛇腹状を成すことで可撓性を有する中空本体部と、当該中空本体部の両端に一体に連設されて、前記主保護カバーの端部に内挿されて接続される前記内挿接続部とから成ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の配線・配管材保護カバー装置。
【請求項5】
前記接続部材は、線材を屈曲して形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の配線・配管材保護カバー装置。
【請求項6】
内部に配線・配管材が配設される主保護カバーは、その外面に取着された閉塞維持部材により、軸方向に連続する分断開口を閉塞した状態を維持されて筒状に形成され、当該主保護カバーの端部に中空筒状の付属保護カバーの内挿接続部が内挿されており、
前記主及び付属の各保護カバーを接続する接続部材の係止部が前記閉塞維持部材に係止されていると共に、その掛合部が前記付属保護カバーの外面に窪んで形成された凹部に入り込むように掛かり合って、前記主保護カバーの端部から前記付属保護カバーの内挿接続部が、相対的に抜出し方向に移動するのを防止された状態で、前記主及び付属の各保護カバーが接続されていることを特徴とする付属保護カバーの接続構造。
【請求項7】
前記閉塞維持部材は、前記主保護カバーに対してその周方向の移動が規制された状態で取着され、
前記付属保護カバーに形成された回動規制部が前記接続部材に当接することで、当該主及び付属の各保護カバーは、当該各保護カバーの共通軸心を中心とする相対回動が規制されていることを特徴とする請求項6に記載の付属保護カバーの接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主保護カバーに対する付属保護カバーの接続方式に特徴を有する配線・配管材保護カバー装置、及び付属保護カバーの接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、付属保護カバーであるわん曲部保護カバーC1 と、主保護カバーである直状部保護カバーSとの接続に、基台13と、蓋体である付属保護カバーFとを使用する「接続構造」が示されている。この「接続構造」は、接続対象である主保護カバーと付属保護カバーとは別に、基台13と蓋体(付属保護カバーF)との係合から成る専用の接続具が別途必要になるのに加えて、主及び付属の各保護カバー内に収容保護される配管材の径が大きくなると、前記基台13と蓋体との係合が解除されて、当該蓋体である付属保護カバーFが外される問題がある。
【0003】
一方、本発明の発明特定事項を構成する主保護カバーCmに対する付属保護カバーCs
1の接続は、
図24に示されるように、当該付属保護カバーCs
1の内挿接続部26を構成する連結板部29と、主保護カバーCmにおける閉塞維持具Aの係合凸部13を挿入係合させる係合凹部5a,5bの部分とを、1ないし複数本のビス95で連結する構造であった。よって、作業現場におけるビスの連結作業が面倒であるのに加えて、接続部に大きな力が作用すると、当該接続が解除されてしまうという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-82678号公報の段落「0019」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、主及び付属の各保護カバーの既存の構造を利用して、当該各保護カバーを迅速に接続でき、しかも接続力を大きくすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、軸方向に連続する分断開口を閉じることで、内部に配線・配管材の配設経路が形成される長尺筒状の主保護カバーと、
前記主保護カバーの前記分断開口を跨いで取着されることで、当該分断開口の閉塞状態を維持するための閉塞維持部材と、
中空本体部の少なくとも軸方向の一端部に、外周面に対して窪んだ状態で凹部が形成され、前記凹部の露出状態を維持して、前記主保護カバーの端部に内挿されて、当該主保護カバーと接続される内挿接続部が、前記中空本体部の前記一端部に連設された中空状の付属保護カバーと、
前記主保護カバーの軸方向の端部に取着された前記閉塞維持部材に係止される係止部、及び前記付属保護カバーの前記凹部に入り込むように掛かり合う掛合部を備え、前記付属保護カバーの内挿接続部が前記主保護カバーに対して抜出し方向に移動するのを防止する接続部材と、
を備えたことを特徴とする配線・配管材保護カバー装置である。
【0007】
請求項1の発明によれば、閉塞維持部材により分断開口の閉塞状態で維持されている主保護カバーの端部に、付属保護カバーの内挿接続部を内挿した状態で、主及び付属の各保護カバーの接続部を跨いで配置される接続部材の係止部を前記閉塞維持部材に係止させると共に、当該接続部材の掛合部を付属保護カバーの凹部に入り込むように掛かり合わせることで、主及び付属の各保護カバーは、前記接続部材を介して接続される。このように、主及び付属の各保護カバーの接続には、軸方向の分断開口の閉塞状態を維持させるために、主保護カバーに必ず取着される閉塞維持部材を接続手段と兼用させていると共に、接続部材の掛合部を入り込ませて掛け合わせるための凹部は、接続対象部材の一方である付属保護カバーに設けられるため、別途、独立した接続手段は接続部材のみとなる。従って、主及び付属の各保護カバーの既存の構造を利用して、当該各保護カバーを大きな接続力で接続可能となる。
【0008】
また、請求項1の発明では、主及び付属の各保護カバーの接続に際して必要な作業は、主及び付属の各保護カバーの接続部に配置される接続部材の係止部を、主保護カバーに取着された前記閉塞維持部材に係止させると共に、当該接続部材の掛合部を付属保護カバーの凹部に入り込むように掛かり合わせるのみであるので、前記接続作業を迅速に行えると共に、当該接続部材を介して主及び付属の各保護カバーを接続しているので、接続力も大きくなる。また、主及び付属の各保護カバーの外部において両者が接続される構造であるので、内部に収容される配線・配管材は、その外径に係わらず収容可能となる。更に、軸方向に連続する分断開口を有する主保護カバーにおける軸方向の端部は、変形され易いが、請求項1の発明では、主保護カバーの分断開口の閉塞状態を維持する複数の閉塞維持部材のうち、付属保護カバーとの接続に関与する閉塞維持部材は、主保護カバーの軸方向の端部に取着されるので、主保護カバーの端部の変形を防止できる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記閉塞維持部材は、前記接続部材の一部を、前記主保護カバーとの間で挟むように配置して、当該主保護カバーに取着可能であることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明によれば、接続部材の一部は、主保護カバーと閉塞維持部材 との間に配置されるので、主保護カバーに対して接続部材を仮配置した状態で、当該主保護カバーに対して閉塞維持部材を取着したり、或いは閉塞維持部材の裏面側に接続部材の一部を配置して、両者を仮組付けした状態で、当該閉塞維持部材を主保護カバーに取着可能となる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記接続部材は、前記主保護カバーの外面に沿って配置されて、少なくとも一部が前記主保護カバーと前記閉塞維持部材との間に挟まれて配置される外面沿い部を備え、当該外面沿い部の一端部に前記係止部が設けられ、その他端部に前記掛合部が設けられていることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明によれば、接続部材における主保護カバーの端部に配置される部分は、閉塞維持部材により覆われて、当該接続部材の外部露出の割合が少なくなるため、当該接続部材が他の物品類と接触して、その係止部又は掛合部が外れる恐れを最小化できると共に、主及び付属の各保護カバーの接続部の見栄えも良好となる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記主保護カバーには、前記分断開口を挟んだ両側に、当該分断開口に向かって凹設された一対の係合凹部が軸方向に連続して設けられ、
前記閉塞維持部材は、前記主保護カバーの一対の係合凹部に係合可能な一対の係合凸部を備え、
前記付属保護カバーは、環状の複数の前記凹部が軸方向に間隔をあけて形成された蛇腹状を成すことで可撓性を有する中空本体部と、当該中空本体部の両端に一体に連設されて、前記主保護カバーの端部に内挿されて接続される前記内挿接続部とから成ることを特徴としている。
【0014】
請求項4の発明によれば、閉塞維持部材は、その一対の係合凸部が、主保護カバーの一対の係合凹部に入り込んで係合されるので、主保護カバーの軸方向の端部に、接続手段を兼用して取着された閉塞維持部材は、各保護カバーの接続の安定性が高められる。また、付属保護カバーの中空本体部は、環状の複数の前記凹部が軸方向に間隔をあけて形成された蛇腹状となっているので、当該中空本体部の軸方向の端部の凹部は、接続部材の掛合部を入り込ませて掛かり合わせる対象として使用でき、接続手段の一部として兼用させられ、主保護カバーの軸方向の端部に取着される閉塞維持部材と協働して、接続手段の一部として機能する。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記接続部材は、線材を屈曲して形成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項5の発明によれば、線材は自在に屈曲させて目的形状の接続部材に簡単に形成できる利点があるのに加えて、入手が容易で、しかも安価に接続部材を成形できる。
【0017】
請求項6の発明は、内部に配線・配管材が配設される主保護カバーは、その外面に取着された閉塞維持部材により、軸方向に連続する分断開口を閉塞した状態を維持されて筒状に形成され、当該主保護カバーの端部に中空筒状の付属保護カバーの内挿接続部が内挿されており、
前記主及び付属の各保護カバーを接続する接続部材の係止部が前記閉塞維持部材に係止されていると共に、その掛合部が前記付属保護カバーの外面に窪んで形成された凹部に入り込むように掛かり合って、前記主保護カバーの端部から前記付属保護カバーの内挿接続部が、相対的に抜出し方向に移動するのを防止された状態で、前記主及び付属の各保護カバーが接続されていることを特徴とする付属保護カバーの接続構造である。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1の発明を「付属保護カバーの接続構造」の面から把握して表現したもので、実質的な作用効果は、請求項1の発明と同等である。
【0019】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記閉塞維持部材は、前記主保護カバーに対してその周方向の移動が規制された状態で取着され、
前記付属保護カバーに形成された回動規制部が前記接続部材に当接することで、当該主及び付属の各保護カバーは、当該各保護カバーの共通軸心を中心とする相対回動が規制されていることを特徴としている。
【0020】
請求項7の発明によれば、付属保護カバーに回動規制部を設けるのみで、前記主及び付属の各保護カバーは、当該各保護カバーの共通軸心を中心とする相対回動を規制できて、各保護カバーの接続部の接続力の低下を防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、主及び付属の各保護カバーの接続には、軸方向の分断開口の閉塞状態を維持させるために、主保護カバーに必ず取着される閉塞維持部材を接続手段と兼用させていると共に、接続部材の掛合部を入り込ませて掛け合わせるための凹部は、接続対象部材である付属保護カバーに設けられるため、別途、独立した接続手段は接続部材のみとなる。また、主及び付属の各保護カバーの接続に際して必要な作業は、主及び付属の各保護カバーの接続部に配置される接続部材の係止部を、主保護カバーに取着された前記閉塞維持部材に係止させると共に、当該接続部材の掛合部を付属保護カバーの凹部に入り込むように掛かり合わせるのみであるので、前記接続作業を迅速に行えると共に、当該接続部材を介して主及び付属の各保護カバーを接続しているので、接続力も大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1-A】途中で大きくわん曲された流体管Pが壁表面Waに固定配管された状態の斜視図である。
【
図1-B】壁表面Waに直交配置される2本の主保護カバーCmを付属保護カバーCs
1で接続した本発明の実施例1の接続構造の斜視図である。
【
図2】本発明の接続構造により、主保護カバーCmと付属保護カバーCs
1 とが接続された部分の斜視図である。
【
図4】本発明の接続構造を構成する主保護カバーCm、付属保護カバーCs
1 、閉塞維持具A及びバネ接続具B
1 の分解斜視図である。
【
図5】(a)は、主保護カバーCmの軸方向の端部に取着された閉塞維持具Aにバネ接続具B
1 が係止された状態の平面図であり、(b)は、(a)のU-U線断面図である。
【
図7-A】(a)は、付属保護カバーCs
1 の蛇腹状の中空本体部25の一部を破断した平面図であり、(b)は、付属保護カバーCs
1 の内挿接続部26の断面図である。
【
図7-B】(c)は、付属保護カバーCs
1 の分断開口21が開状態の内挿接続部26の断面図である。
【
図8】(a)~(d)は、それぞれバネ接続具B
1 の正面図、右側面図、平面図及び斜視図である。
【
図9】(a),(b)は、それぞれバネ接続具B
1 を用いた主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1 の接続部の底面図及び正面図である。
【
図10】(a),(b)は、それぞれ
図9(a)のV
1 -V
1 線及びV
2 -V
2 線の各断面図である。
【
図12】閉塞維持具A及びバネ接続具B
1 を用いて、主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1 の接続方法の一例を示す斜視図である。
【
図13】同じく他の接続例の途中状態を示す斜視図である。
【
図15】(a)は、金属線材製のバネ接続具B
2 の斜視図であり、(b)は,当該バネ接続具B
2 を用いた主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1の接続部の斜視図である。
【
図16】(a),(b)は、それぞれバネ接続具B
2 を用いた本発明の実施例2の主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1 の接続部の底面図及び正面図である。
【
図18-A】垂直及び水平に配管された2本の流体管Pがエルボ継手72を介して接続された状態で、壁表面Waに固定配管された状態の斜視図である。
【
図18-B】壁表面Waに直交配置される2本の主保護カバーCmをエルボ状の付属保護カバーCs
2で接続した本発明の実施例3の接続構造の斜視図である。
【
図19】主及び付属の各保護カバーCm,Cs
2の接続部を壁表面Waの側から見た部分斜視図である。
【
図20】(a)は、
図18-AのY
1 -Y
1 線断面図であり、(b)は、閉塞維持具A及びバネ接続具B
1 の取着状態の
図18-AのY
2 -Y
2 線の各断面図である。
【
図21】主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1が、互いに回動しないような接続構造により接続された接続部を示す斜視図である。
【
図22】(a)は、同じく平面図であり、(b)は、(a)のZ-Z線断面図である。
【
図23】(a),(b)は、それぞれ喰込み突起14を備えた別の閉塞維持具A’の斜視図、及びその取着状態の断面図である。
【
図24】ビス95を用いた主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1の従来の接続構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、複数の最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
最初に、
図1~
図13を参照して、蛇腹構造の中空本体部25を有する付属保護カバーCs
1を用いて2本の主保護カバーCmを接続する本発明の実施例1の接続構造について説明する。
図1-A及び
図1-Bにおいて、建物内において水平配管されて、外壁体Wから引き出された流体管Pは、当該引出し部においてエルボ継手71を介して別の流体管Pに接続され、壁表面Waに沿って配管される当該別の流体管Pは、その途中が大きなわん曲半径で直角にわん曲されて、垂直配管部Pa,わん曲配管部Pb及び水平配管部Pcの3つの部分を有し、前記垂直配管部Pa及び水平配管部Pcは、それぞれ別の主保護カバーCmに収容され、前記わん曲配管部Pbは、中空本体部25が蛇腹構造となっている付属保護カバーCs
1に収容される。このように、蛇腹構造の中空本体部25を有する付属保護カバーCs
1は、エルボ継手を用いることなく、1本の流体管Pを大きなわん曲半径でわん曲させて配管する場合に使用される。そして、前記付属保護カバーCs
1の両端部は、それぞれ実施例1の接続構造により別の主保護カバーCmに接続される。また、流体管Pにおける壁表面Waへの引出し部は、別の接続用付属保護カバーCs
0に収容されて、当該接続用付属保護カバーCs
0は、前記垂直配管部Paを内部に収容した主保護カバーCmの上端部に接続される。また、流体管Pは、流体管保持部91aを有する複数の流体管固定具91を介して壁表面Waに固定されている。なお、
図1-Aにおいて、93は、建物内に水平に配管された流体管Pの壁表面Waへの引出し部を貫通させる貫通孔を覆う化粧プレートを示す。
【0025】
また、
図2~
図5に示されるように、軸方向の全長に亘って連続した分断開口1を有する主保護カバーCmと、前記付属保護カバーCs
1とは、当該主保護カバーCmの分断開口1の閉塞状態を維持する複数の閉塞維持具Aのうち、付属保護カバーCs
1 と接続される側の端部に取着される当該閉塞維持具Aと、バネ性を有する金属線材を屈曲して形成されたバネ接続具B
1 とを用いて、各保護カバーCm,Cs
1の外部における前記閉塞維持具Aが配置される一箇所において互いに接続される。
【0026】
主保護カバーCmは、付属保護カバーCs
1との組み合わせで、従来から使用されているものであり、
図4及び
図6に示されているように、樹脂の押出成形により形成されることで、全長に亘って同一断面の長尺中空構造を有していて、周方向の一箇所に軸方向に沿った閉塞可能な分断開口1を形成可能な薄肉構造となっている。このため、主保護カバーCmは、周方向の両端縁部2,3を互いに近接させて係合させることで、前記分断開口1が閉塞される構造となっている。主保護カバーCmの分断開口1は、内部の配設経路に流体管Pを挿入するための開口である。一方の端縁部2は、変則薄板状をなしていて、その外側の本体部4との接続部において、前記分断開口1に向けて凹状となった係合凹部5aが軸方向に沿って連続して形成され、内面側に補強突条6a,6bが軸方向に連続して設けられ、外側(分断開口1に近い側)の補強突条6bの高さ方向の中央部には、薄板状の係合板部7が形成されている。他方の端縁部3は、断面が偏平U字状に形成されて、前記一方の端縁部2と同様に、その外側の本体部4との接続部において、同じく分断開口1に向けて凹状となった係合凹部5bが軸方向に沿って連続して形成され、断面が偏平U字状の部分に形成された凹部は、前記一方の端縁部2の係合板部7が挿入係合される係合孔8となっている。この係合状態において、一方の端縁部2に形成された外側の補強突条6bが、他方の端縁部3の端面に当接することで、前記分断開口1が閉塞されて、長尺筒状の主保護カバーCmとなる。また、主保護カバーCmの本体部4における分断開口1が形成される部分と対向する部分は、内側に向けて一対の屈曲部9が形成され、分断開口1を形成するために、本体部4を外側に大きく開く際に、当該本体部4が前記各屈曲部9を起点として対称形状を保持して開き易いようにしてある。このため、本体部4における各屈曲部9の間には、他の部分に対して僅かに外側が凹状となることで、内側に僅かに突出した低突出部11が形成されている。別の面から見ると、主保護カバーCmは、円筒体の対向部に、それぞれ分断開口1を形成する分断部、及び低突出部が形成されて、残りの本体部4は、軸心Kmの元の円筒体の残部形状を維持した部分円筒状になっている。なお、
図4において、Lmは、主保護カバーCmの分断線を示す。
【0027】
このため、
図6で2点鎖線で示される状態は、長尺筒状の主保護カバーCmの本体部4に軸方向に連続して分断開口1が形成された状態であって、当該分断開口1から内部の配設経路に流体管Pを挿入配設した後に、一方の端縁部2の係合板部7を、他方の端縁部3の係合孔8に挿入して前記分断開口1を閉塞し、当該閉塞状態を閉塞維持具Aで維持させる。閉塞維持具Aは、
図4~
図6に示されるように、金属板バネを屈曲させて形成され、主保護カバーCmの両端縁部2,3を合成させた横断面円弧状の外形に対応する横断面形状を有する閉塞維持具本体12の幅方向の両端部に、主保護カバーCmの各係合凹部5a,5bに挿入係合される横断面U字形状の係合凸部13が内側に大きく屈曲して一体に形成されている。主保護カバーCmの分断開口1の閉塞状態は、その軸方向に沿って所定間隔をおいて配置される複数の閉塞維持具Aにより維持される。
【0028】
ここで、本発明においては、主保護カバーCmに対して付属保護カバーCs1を接続する接続手段の一つとして、前記閉塞維持具Aを用いることを要旨としているので、主保護カバーCmの分断開口1を閉塞する複数の閉塞維持具Aのうち一つは、当該主保護カバーCmの軸方向に沿った端部付近に取着したものを使用している。
【0029】
次に、
図4、
図7-A及び
図7-Bを参照して、前記主保護カバーCmに接続される付属保護カバーCs
1について説明する。付属保護カバーCs
1は、樹脂により形成されて、流体管Pを挿入可能とする軸方向に沿った分断開口21が設けられ、軸方向に沿って環状の凹部23と凸部22とが交互に形成されることで、可撓性を有する蛇腹状に形成され、軸方向の両端部に、当該両端部を非変形にして補強するための前記凸部22と同一外径の補強リング部24が形成された円筒体状の中空本体部25と、当該中空本体部25の両端部に一体にそれぞれ形成されて、前記主保護カバーCmの端部に内挿される内挿接続部26とから成る。当該内挿接続部26は、前記凸部22の外径よりは小さくて、前記凹部23の内径よりは大きな外径を有する短円筒体の一部を割円状に欠落させた変則短円筒状(部分円筒状)の接続筒部27が、前記中空本体部25の補強リング部24に一体に形成され、短円筒体の一部を断面割円状に欠落させることで形成された方形状の平面部28における前記中空本体部25の軸方向と直交する方向に沿った中央部に、平板状の連結板部29が一体に形成されている。変則短円筒状の前記接続筒部27における平面部28と対向する部分には、
図7-B(c)に示されるように、前記接続筒部27を変形させて分断開口21を形成可能にするために、周方向に沿って所定間隔をおいて、或いは所定の中心角でもって一対の屈曲部33が内方に向けて形成されることで、主保護カバーCmの低突出部11が配置され、当該低突出部11との干渉を回避するため、当該低突出部11よりも大きな中心角でもって、円弧状をした浅凹部31が形成されている。円筒体状をした前記中空本体部25及び割円を欠落させた形状の断面を有する内挿接続部26の接続筒部27の各軸心Ks
1は、同一である。
【0030】
前記連結板部29は、従来において、主保護カバーCmに対して付属保護カバーCs
1を接続する際に、当該主保護カバーCmの係合凹部5a,5bの部分から螺入されたビス95の先端部を螺合させることで、主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1を接続するための部材である。当該連結板部29の前記平面部28に対する高さは、
図7-Bに示されるように、付属保護カバーCs
1の内挿接続部26を主保護カバーCmの端部に内挿した状態で、主保護カバーCmの分断開口1に臨む一方の端縁部2の内面に当接し得る寸法である。この結果、補強リング部24の外端面における接続筒部27の外側には、主保護カバーCmの端面が当接する円リング状の端面当接面32が形成される。付属保護カバーCs
1は、主保護カバーCmと同様に、流体管Pを内部に挿入するための分断開口21を有しており、
図4には、当該分断開口21を閉塞することで形成される分断線Ls
1が示されており、内挿接続部26の部分では、連結板部29の基端に形成されている。なお、前記補強リング部24に接続筒部27を一体に設けることで、当該補強リング部24の外端面に割円状に形成された部分の外周部も、前記端面当接面32の周方向に沿った延長面となる。なお、上記で使用の「割円」とは、円の中心を通過しない直線で、当該円の任意の部分を二分した場合において、当該円の中心を含まない側の前記直線と円弧で囲まれる形状を指す。
【0031】
次に、
図2~
図5及び
図8を参照して、金属線材製のバネ接続具B
1 について説明する。バネ接続具B
1 は、主保護カバーCmと、その端部の内部に内挿接続部26が内挿された付属保護カバーCs
1とを接続するものであって、バネ性を有する金属線材を屈曲して形成され、その一端部を、前記主保護カバーCmの端部に取着された閉塞維持具Aの奥側の端面12aに係止させると共に、その他端部を、付属保護カバーCs
1の中空本体部25の環状の凹部23に入り込ませて掛け合わせることで、主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1の各端部どうしを、それらの外部において接続するものである。
【0032】
次に、金属線材製のバネ接続具B1 について、相手方の各取付部材との関係を含めて説明する。バネ接続具B1 は、主保護カバーCmの外面と、当該主保護カバーCmの接続側の端部に取着された閉塞維持具Aとの間に、当該主保護カバーCmの軸方向に沿って配置される一対の外面沿い部41を備え、当該一対の外面沿い部41の各一端部には、正面視で直角に屈曲されると共に、平面視で緩やかに上方(取着状態で、主保護カバーCmの軸心Kmから離れる方向)に屈曲されて、その中央部に、前記一対の外面沿い部41を含む仮想平面に対して平行な部分を有する係止部42が連設されている。前記一対の外面沿い部41の各他端部には、平面視で緩やかに下方(取着状態で、主保護カバーCmの軸心Kmに近付く方向)に向けて直角に折り曲げられて一部が空間配置されて、先端部の掛合部43が、付属保護カバーCs1の補強リング部24に接続する凹部23に入り込んで掛かり合うように導く導入案内部44が連設されている。また、バネ接続具B1 の掛合部43の先端は、取着状態において、付属保護カバーCs1の中空本体部25の軸心Ks1から離間する方向に180°わん曲されることで環状に形成された環状把持部43aが形成されている。
【0033】
そして、上記した閉塞維持具Aと金属線材製のバネ接続具B
1 とを用いて、主保護カバーCmの端部に付属保護カバーCs
1を接続するには、以下のようにして行う。まず、
図1-A及び
図1ーBに示されるように、壁表面Waに沿って流体管Pの途中を大きくわん曲させて、当該流体管Pを複数の流体管固定具91を介して壁表面Waに対して所定間隔をおいて固定し、その後に、固定配管された流体管Pに対して主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1を相対的に移動させることで、付属保護カバーCs
1の分断開口21から流体管Pのわん曲配管部Pbを内部に収容すると共に、2本の主保護カバーCmの分断開口1から、流体管Pの垂直及び水平の各配管部Pa,Pcをそれぞれ内部に収容することで、前記付属保護カバーCs
1の両端部の各内挿接続部26は、各主保護カバーCmの端部に内挿された状態となる。その後に、主保護カバー射出の分断線Lmが存在する各端縁部2,3と壁表面Waとの空間S(
図14参照)を利用して、閉塞維持具Aを用いた主保護カバーCmの分断開口1の閉塞状態の維持、及び当該閉塞維持具A及びバネ接続具B
1 を用いた主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1の接続を行う。主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1の接続を行う。即ち、主保護カバーCmの分断開口1の閉塞状態を維持する複数の閉塞維持具Aの一つは、当該主保護カバーCmの端部に取着されるが、
図12に示されるように、当該主保護カバーCmの端部における分断線Lmが存在する側の外面に、バネ接続具B
1 の一対の外面沿い部41を配置すると共に、付属保護カバーCs
1の中空本体部25における補強リング部24に隣接する凹部23に一対の掛合部43を入り込ませて、掛かり合うように仮配置しておく。この状態で、バネ接続具B
1 の一対の外面沿い部41を覆い隠すようにして、主保護カバーCmに対して閉塞維持具Aを押圧させると、当該バネ接続具B
1 の閉塞維持具本体12が、そのわん曲の程度が緩やかになるように弾性変形された後に原形状又はこれに近い形状に復元することで、主保護カバーCmの分断線Lmの両側に形成されている一対の係合凹部5a,5bに対して閉塞維持具Aの一対の係合凸部13が係合され、当該バネ接続具B
1 の閉塞維持具本体12の弾性復元力により、前記係合の状態が維持される。
【0034】
これにより、
図12に示されるように、金属線材製のバネ接続具B
1 の一対の外面沿い部41は、主保護カバーCmの外面と閉塞維持具Aの閉塞維持具本体12との間に配置されることで覆い隠されると共に、当該一対の外面沿い部41の各一端部に連結されている係止部42は、閉塞維持具Aの端面12aに当接又は近接した状態で、当該主保護カバーCmの軸心から離れる方向に立ち上がった状態で配置されることで、閉塞維持具本体12に係止されて、バネ接続具B
1 の上記仮配置状態が維持される。これにより、バネ接続具B
1 の係止部42が閉塞維持具Aの端面12aに係止された状態、及び当該バネ接続具B
1 の掛合部43が、付属保護カバーCs
1の凹部23に入り込んで掛かり合った状態も維持されて、当該バネ接続具B
1 を介して主保護カバーCmと付属保護カバーCs
1とが、それらの各端部における周方向の一箇所において閉塞維持具A及びバネ接続具B
1 を介して接続される。
【0035】
また、
図13及び
図14には、主保護カバーCmと付属保護カバーCs
1の別の接続方法が示されている。
図13に示されるよう、主保護カバーCmの軸方向の一端部に、バネ接続具B
1 の一対の外面沿い部41を挟んだ状態で、閉塞維持具Aを取着することで、当該バネ接続具B
1 は、閉塞維持具Aに対して係止部42及び一対の導入案内部44により、互いに逆方向に係止されることで、閉塞維持具Aに対してバネ接続具B
1 が抜け出ることはない。この状態で、付属保護カバーCs
1の内挿接続部26を主保護カバーCmの端部の中空部に内挿して、
図14で実線で示されるように、弾性復元力に抗して一対の掛合部43を外方に拡開させて、主保護カバーCmに対して付属保護カバーCs
1の内挿接続部26を最大に内挿し、この状態で、外方に拡開された一対の掛合部43を開放させると、当該一対の掛合部43は、自身の有する金属線材の弾性復元力により、付属保護カバーCs
1の凹部23に入り込んで、主保護カバーCmに対して付属保護カバーCs
1は、閉塞維持具A及びバネ接続具B
1 を介して抜出し不能に接続される。
【0036】
閉塞維持具A及びバネ接続具B
1 を介して主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1が接続された状態が、
図2、
図3及び
図9~
図11に明瞭に図示されている。各保護カバーCm,Cs
1の接続状態では、主保護カバーCmに取着された閉塞維持具Aの閉塞維持具本体12と主保護カバーCmの外面との間に、バネ接続具B
1 の一対の外面沿い部41が配置され、当該一対の外面沿い部41の一端部に連設された係止部42が、閉塞維持具本体12の奥側の端面12aに係止すると共に、当該一対の外面沿い部41の他端部に連設された一対の掛合部43が、付属保護カバーCs
1の補強リング部24に隣接した凹部23に入り込んで掛け合わされて、閉塞維持具A及びバネ接続具B
1 を介して主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1が接続される。また、閉塞維持具Aの手前側の端面12aは、付属保護カバーCs
1の補強リング部24の端面当接面32に近接又は当接して配置されており、主保護カバーCmに取着された閉塞維持具Aが取り外れない限り、主保護カバーCmからバネ接続具B
1 が取り外れることはないと共に、当該バネ接続具B
1 に規制されて、主保護カバーCmに射出された前記閉塞維持具Aが、主保護カバーCmの軸方向の端部の所定位置から軸方向にずれることもない。従って、施工時において、多少、乱暴な取り扱いを受けても、主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1の接続が解除されることは全く又は殆どない。また、中空本体部25の凹部23の底部23aは、環状に形成されているので、主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1が接続された状態で、当該各保護カバーCm,Cs
1は、相対的に回動可能である。
【0037】
また、主及び付属の各保護カバーCm,Cs1の接続状態では、金属線材製のバネ接続具B1 の一対の外面沿い部41は、閉塞維持具Aで覆われることで、当該バネ接続具B1 の露出部分の割合が少なくなるので、接続部の見栄えも良好となる。
【実施例2】
【0038】
次に、
図15~
図17を参照して、本発明の実施例2の主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1の接続構造について説明する。実施例2の接続構造は、実施例1に対して、金属線材製のバネ接続具B
2 の形状、並びに主保護カバーCm及び閉塞維持具Aに対するバネ接続具B
2 の配置が異なる。バネ接続具B
2 は、
図15~
図17に示されるように、前記バネ接続具B
1 と同様に、バネ性を有する1本の金属線材を折り曲げて形成されたもので、主保護カバーCmに取着された閉塞維持具Aの外面に沿って配置され、所定間隔をおいて互いに平行に配置された直線状の一対の板面沿い部51の各一端部(配置状態で、閉塞維持具Aの奥側の端面12aの近傍に配置される部分)に、平面視で緩やかなV字状に屈曲されると共に、側面視において、閉塞維持具本体12の奥側の端面12aを挟んで、当該閉塞維持具本体12の背面に近接して配置可能なように折り曲げられた係止部52が連設され、前記一対の板面沿い部51の各他端部に、それぞれ導入案内部54を介して付属保護カバーCs
1の凹部23に入り込んで掛かり合う掛合部53が連設された形状である。
【0039】
このため、軸方向に沿って接続側の端部に閉塞維持具Aが取着された主保護カバーCmの内部に、付属保護カバーCs1の内挿接続部26が内挿された状態において、前記バネ接続具B2 の一対の板面沿い部51を、前記閉塞維持具本体12の外面に沿わせると共に、当該一対の板面沿い部51の各一端部を連結するように連設された係止部52を、当該閉塞維持具本体12の奥側の端面12aを挟むように配置することで、当該閉塞維持具本体12の裏面側に配置すると共に、前記一対の板面沿い部51の他端部に連設された各掛合部53を、付属保護カバーCs1の補強リング部24の内側の凹部23に入り込ませて、掛かり合わせる。これにより、主及び付属の各保護カバーCm,Cs1は、前記バネ接続具B2 を介して接続される。
【0040】
このため、主保護カバーCmの端部に取着された閉塞維持具Aの奥側の端面12aが、バネ接続具B2 の一端側の係止部52及び一対の板面沿い部51により挟持されると共に、その他端側の一対の掛合部53が、付属保護カバーCs1における補強リング部24に近接した凹部23に入り込むことで、当該バネ接続具B2 及び閉塞維持具Aを介して主保護カバーCmに対して付属保護カバーCs1が抜出し不能となって接続される。また、主保護カバーCmに取着された閉塞維持具Aの奥側の端面12aが、バネ接続具B2 の一端側の係止部52及び一対の板面沿い部51により挟持されていると共に、当該バネ接続具B2 の他端側の一対の掛合部53は、その弾性復元力により、凹部23から容易には抜け出ないため、主及び付属の各保護カバーCm,Cs1を接続しているバネ接続具B2 は、簡単には取り外れない構造となっている。
【実施例3】
【0041】
次に、
図18~
図20を参照して、本発明の実施例3の主及び付属の各保護カバーCm,Cs
2の接続構造について説明する。実施例3は、実施例1のように流体管Pを途中で大きくわん曲させることなく、直管状の2本の流体管Pがエルボ継手72を介して接続されることで、流体管Pが直交配管される配管例で使用される。実施例3では、壁表面Waにおいて、垂直及び水平に配管される各流体管Pを、それぞれ主保護カバーCmに収容する前に、2本の流体管Pを接続しているエルボ継手72の部分に付属保護カバーCs
2を配置しておき、この状態で、固定配管された流体管Pに対して主保護カバーCmを相対的に移動させることで、垂直及び水平に配管される各流体管Pを、それぞれ主保護カバーCmの内部に収容させる。
【0042】
エルボ状の付属保護カバーCs
2は、直角に屈曲された付属保護カバー本体61の流体管Pの配設方向に沿った両端部に、それぞれ主保護カバーCmの端部に内挿される内挿接続部62が一体に設けられ、前記付属保護カバー本体61における各内挿接続部62の僅かに内側の部分に、前記バネ接続具B
1 の掛合部43を挿入配置させる環状溝部63がそれぞれ設けられている。付属保護カバーCs
2の内挿接続部62の断面形状は、前記環状溝部63の溝底板部の断面形状と同一であるので、環状溝部63の溝底板部の断面図である
図20(b)においては、前記内挿接続部62に対応する部分の符号を付してある。
【0043】
付属保護カバーCs2は、前記付属保護カバーCs1の内挿接続部26の平面部28及び連結板部29の部分が、バネ接続具B1 の掛合部43を入り込ませて掛かり合うような形状に変形されていると共に、2つの屈曲部33に対応する各屈曲部62bの中心角が、主保護カバーCmの低突出部11を収容可能な最少角度に変更されている。即ち、前記内挿接続部62は、中心角が180°を超える部分円筒部62aにおける前記バネ接続具B1 の配置部と反対側の部分に2つの屈曲部62bが、主保護カバーCmの各2つの屈曲部9の中心角よりも僅かに大きな中心角で形成され、当該2つの屈曲部62bの対向するバネ接続具配置部62cは、前記環状溝部63の深さが、他の部分に比較して急激に深くなるように左右対称形状に形成されている。付属保護カバー本体61と各内挿接続部62との接続部は、段差状に形成されて、当該付属保護カバー本体61の両端面は、主保護カバーCmの端面が当接する当接端面64となっている。
【0044】
そして、
図18において、主保護カバーCmにおける付属保護カバーCs
2と接続される側の端部に取着された閉塞維持具Aに対して実施例1と同様にしてバネ接続具B
1 を予め取着しておき、この状態で、バネ接続具B
1 の一対の掛合部43が付属保護カバーCs
2の内挿接続部62との干渉を回避すべく、当該一対の掛合部43を自身の弾性に抗して拡開させた状態で、付属保護カバーCs
2の端部の内挿接続部62を主保護カバーCmの端部に内挿して、付属保護カバーCs
2の当接端面64に主保護カバーCmの端面が当接した後に、拡開状態の一対の掛合部43を開放させると、自身の弾性復元力により原形状に復元して、付属保護カバーCs
2の環状溝部63に入り込んで掛かり合わせられる。これにより、主保護カバーCmの端部に取着された閉塞維持具A及び当該閉塞維持具Aに取着されたバネ接続具B
1 を介して主保護カバーCmに対して付属保護カバーCs
2が抜出し不能となって接続される。主及び付属の各保護カバーCm,Cs
2の接続状態では、付属保護カバーCs
2の内挿接続部62の部分円筒部62aの軸心Ks
2〔
図20(b)参照〕と、主保護カバーCmの本体部4の軸心Kmとは合致している。
【0045】
付属保護カバーCs
2の他方の内挿接続部62に対して、上記と同様にして別の主保護カバーCmを接続すると、
図18に示されるように、垂直及び水平の互いに直交する方向に配置される2本の主保護カバーCmは、付属保護カバーCs
2を介して接続される。
【実施例4】
【0046】
次に、
図21及び
図22を参照して、主及び付属の各保護カバーCm,Cs
1を接続すると、各保護カバーCm,Cs
1が相対的に回動不能となる実施例4の接続構造について説明する。各保護カバーCm,Cs
1の接続状態では、当該各保護カバーCm,Cs
1の各軸心Km,Ks
1が合致していて、主保護カバーCmの一対の屈曲部9と、付属保護カバーCs
1の一対の屈曲部33とが互いに当接し合うまでは、各保護カバーCm,Cs
1は、相対的に回動可能である。前記実施例1において、付属保護カバーCs
1の補強リング部24の外面におけるバネ接続具B
1'の一対の外面沿い部41が配置される部分に、当該一対の外面沿い部41が入り込む一対の回動規制溝34が軸方向に沿って形成されている。このため、バネ接続具B
1'に関しては、バネ性を有する金属線材を折り曲げて所定形状に形成する際に、一対の外面沿い部41が、補強リング部24の外面に形成された一対の回動規制溝34に入り込むような形状に折り曲げられている。即ち、バネ接続具B
1'の一対の外面沿い部41は、前記バネ接続具B
1'の一対の外面沿い部41に比較して、主保護カバーCmの軸心Kmに僅かに近接している。
【0047】
実施例4の接続構造によれば、主保護カバーCmの端部に取着された閉塞維持具A及び当該閉塞維持具Aに取着されるバネ接続具B1'によって、主保護カバ ーCmに対して付属保護カバーCs1を抜出し不能であって、しかも相対的な回動が不能なように接続できるため、施工時に乱暴に取り扱われても、接続に支障を来すことはない。
【0048】
また、前記閉塞維持具Aに対して、
図23に示されるように、主保護カバーCmに対して喰い込む喰込み突起14を備えた閉塞維持具A’を用いることも可能である。閉塞維持具A’の各係合凸部13におけるU字状にわん曲された部分の軸方向の中央部を、部分的に閉塞維持具本体12の側に切り起こすことで喰込み突起14が形成され、当該喰込み突起14は、主保護カバーCmに取着された状態において、その弾性復元力により、主保護カバーCmの各係合凹部5a,5bを形成する部分に喰い込むことで、当該閉塞維持具A’は、軸方向に沿った外力を受けても、主保護カバーCmに対してより効果的に位置ずれを防止できる。
【0049】
なお、上記各実施例1,2,4で使用の可撓性を備えた付属保護カバーCs1は、その長さが比較的長いため、その内部に流体管Pを収容する作業を容易にするために、分断開口21が設けられているが、当該分断開口21を備えていない付属保護カバーが使用されることもある。
【符号の説明】
【0050】
A:閉塞維持具(閉塞維持部材)
B1,B1',B2 :バネ接続具(接続部材)
Cm:主保護カバー
Cs1, Cs2 付属保護カバー
Lm:主保護カバーの分断線
Ls1:付属保護カバーの分断線
P:流体管
1:主保護カバーの分断開口
12:閉塞維持具本体
12a :閉塞維持具本体の端面
14:喰込み突起
21:付属保護カバーの分断開口
23:中空本体部の凹部
24:補強リング部
25:中空本体部
26:内挿接続部
34:回動規制溝(回動規制部)
41:バネ接続具の外面沿い部
42,52:バネ接続具の係止部
43,53:バネ接続具の掛合部
51:バネ接続部の板面沿い部
62:エルボ状の付属保護カバーの内挿接続部
63:エルボ状の付属保護カバーの環状溝部