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特許7497332TTフィールドを送達するためのアレイにおける温度測定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】TTフィールドを送達するためのアレイにおける温度測定
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/32 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
A61N1/32
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021167357
(22)【出願日】2021-10-12
(62)【分割の表示】P 2019508909の分割
【原出願日】2017-08-11
(65)【公開番号】P2022020655
(43)【公開日】2022-02-01
【審査請求日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】62/376,885
(32)【優先日】2016-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・クリニツキー
(72)【発明者】
【氏名】ミハイル・シュトットランド
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトル・カイコフ
(72)【発明者】
【氏名】ヨラム・ワッサーマン
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0076366(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0281311(US,A1)
【文献】特開平07-306064(JP,A)
【文献】特開2009-066355(JP,A)
【文献】特開2022-190039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の体における目標部位を通る電場を加えるAC信号発生器と共に使用するための装置であって、
前記対象者の体に対して配置するように構成された複数の容量結合された電極要素と、
前記対象者の体に対して前記複数の電極要素を保持するように構成された基板と、
前記複数の電極要素のそれぞれ1つにおける温度を感知するように配置された複数の温度センサと、
アナログ出力、および複数の選択可能なアナログ入力を有するアナログマルチプレクサであって、前記複数のアナログ入力のそれぞれが、前記複数の温度センサのそれぞれ1つに動作可能に接続される、アナログマルチプレクサと、
前記アナログ出力から到来する信号をデジタル化するように構成されたアナログ-デジタル変換器と、
前記複数のアナログ入力のそれぞれを順次選択し、前記アナログ-デジタル変換器から、前記複数の温度センサのそれぞれ1つにそれぞれが対応する複数の温度読取り値を順次取得し、かつ前記複数の温度読取り値に対応するデジタルデータを送信するように構成されたコントローラと、
を含む複数のトランスデューサアレイであって、前記アナログマルチプレクサ、前記アナログ-デジタル変換器、および前記コントローラが、前記基板に取り付けられる、複数のトランスデューサアレイと、
近位端および遠位端を有するケーブルであって、(i)前記ケーブルの前記近位端と、前記ケーブルの前記遠位端との間でAC電流が流れるようにする第1の導体、および(ii)前記送信されたデジタルデータを、前記ケーブルの前記遠位端から前記ケーブルの前記近位端へと搬送するように構成されたデータ経路を含み、前記AC電流を前記複数の電極要素へとそれぞれ経路指定し、かつ前記データ経路を提供するための、単一の前記第1の導体のみを使用するケーブルと、
前記ケーブルを前記トランスデューサアレイに接続するために、前記ケーブルの前記遠位端に取り付けられるコネクタと、
マスタコントローラを有するハブであって、前記複数のトランスデューサアレイの複数のコントローラから同時に温度読取り値を取得する、ハブと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記複数の温度センサは、複数のサーミスタを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ケーブルは、25cm以下の長さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ケーブルは、10cm以下の長さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
精密抵抗器をさらに備え、
前記アナログマルチプレクサは、前記精密抵抗器に動作可能に接続された選択可能なさらなるアナログ入力を有し、かつ
前記コントローラは、前記さらなるアナログ入力を選択し、前記アナログ-デジタル変換器から、前記精密抵抗器に対応するさらなる読取り値を取得し、かつ前記さらなる読取り値に対応するデジタルデータを送信するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
精密抵抗器をさらに備え、
前記アナログマルチプレクサは、前記精密抵抗器に動作可能に接続された選択可能なさらなるアナログ入力を有し、
前記コントローラは、前記さらなるアナログ入力を選択し、前記アナログ-デジタル変換器から、前記精密抵抗器に対応するさらなる読取り値を取得し、かつ前記対応するデジタルデータの送信前に、前記複数の温度読取り値のそれぞれを、前記さらなる読取り値に基づいて較正するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置
【請求項7】
記ケーブルは、前記送信されるデジタルデータを、前記ケーブルの前記遠位端から前記ケーブルの前記近位端へと搬送する前記データ経路を提供するための単一の導体と、電力を前記コントローラに供給するための単一の導体と、接地のための単一の導体とを使用する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ケーブルにおける前記第1の導体を介して到来するエネルギーは、前記コントローラに電力を供給するために使用される、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年8月18日に出願された米国特許仮出願第62/376,885号の利益を主張するものであり、その全体を参照により本明細書に組み込むものとする。
【背景技術】
【0002】
TTフィールド療法は、腫瘍を治療するための実証済みの手法である。TTフィールドを送達するための従来技術であるOptune(登録商標)システムにおいては、TTフィールドは、腫瘍に近接した患者の皮膚上に配置された4つのトランスデューサアレイによって患者に送達される。トランスデューサアレイは2対に配置され、各トランスデューサアレイは、マルチワイヤケーブルを介して電場発生器に接続される。電場発生器は、(a)第1の時間期間中に一方の対のアレイを通してAC電流を送る、次いで、(b)第2の時間期間中に他方の対のアレイを通してAC電流を送る、その後、治療が継続される期間中、ステップ(a)と(b)が繰り返される。
【0003】
各トランスデューサアレイは、屈曲ワイヤ(flex wire)により相互接続された1組の容量結合された電極要素(直径が約2cm)として構成される。各電極要素は、導電性のある医用ゲルの層と接着テープの間に挟まれたセラミックディスクを含む。アレイを患者上に配置するとき、医用ゲルが患者の皮膚の輪郭に付着して、デバイスが良好に体に対して電気接触されることを保証する。接着テープは、患者がその日々の活動を行うとき、アレイ全体を患者上の定位置に保持する。
【0004】
トランスデューサアレイにより送達される交流の振幅は、皮膚温度(トランスデューサアレイの下の皮膚上で測定される)が、摂氏41度の安全閾値を超えないように制御される。患者の皮膚上の温度測定値は、トランスデューサアレイのいくつかのディスクの下に配置されたサーミスタを用いて取得される。既存のOptune(登録商標)システムでは、各アレイは、1つのサーミスタをアレイの各ディスクの下に配置させた状態で、8個のサーミスタを含む(大部分のアレイは、8個を超えるディスクを含み、その場合、温度測定は、アレイ内のディスクのサブセットの下で実施されるだけであることに留意されたい)。
【0005】
4アレイのそれぞれにおけるサーミスタは、非常に長いワイヤを介して、「ケーブルボックス」と呼ばれる電子デバイスに接続され、その場合、全部で32個のサーミスタ(4アレイ×アレイごとの8サーミスタ)からの温度が測定され、かつサーミスタごとに、デジタル値へとアナログ-デジタル変換される。これらの測定値は、次いで、ケーブルボックスと電場発生器との間の双方向デジタルシリアル通信を容易にするさらなる2本のワイヤを介して、ケーブルボックスから電場発生器へと送信される。電場発生器におけるコントローラは、温度測定値を用いて、患者の皮膚上で摂氏41度以下に温度を維持するために、アレイの各対により送達される電流を制御する。電流それ自体は、電場発生器からケーブルボックスを通りアレイへと延びるさらなるワイヤ(すなわち、各アレイに対して1本のワイヤ)により、各アレイに送達される。
【0006】
既存のOptune(登録商標)システムでは、4本の10ワイヤケーブル(ケーブルのそれぞれは、各アレイとケーブルボックスの間で延びる)、および電場発生器とケーブルボックスの間で延びる1本の8ワイヤ螺旋コードがある。10ワイヤケーブルのそれぞれは、8つのサーミスタから信号を搬送するための8ワイヤ、すべての8サーミスタに共通の1ワイヤ、さらに、TTフィールド信号をアレイに供給するための1ワイヤを有する。8ワイヤ螺旋コードは、ケーブルボックスへの電力(Vcc)用の1ワイヤ、ケーブルボックスの接地(GND)用の1ワイヤ、データ通信(温度読取り値を電場発生器に送るための)2ワイヤ、さらに、TTフィールド信号用の4ワイヤ(すなわち、4つのアレイのそれぞれに対して1つ)を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、対象者の体の目標部位を通る電場を加えるためのAC信号発生器と共に使用される第1の装置を対象とする。第1の装置は、対象者の体に対して配置されるように構成された複数の容量結合された電極要素を含む。基板は、対象者の体に対して複数の電極要素を保持するように構成される。複数の温度センサが、複数の電極要素のそれぞれ1つにおける温度を感知するように配置される。第1の装置はまた、アナログ出力、および複数の選択可能なアナログ入力を有するアナログマルチプレクサを含み、複数のアナログ入力のそれぞれは、複数の温度センサのそれぞれ1つに動作可能に接続される。それはまた、アナログ出力から到来する信号をデジタル化するように構成されたアナログ-デジタル変換器と、コントローラとを含む。コントローラは、(a)複数のアナログ入力のそれぞれを順次選択し、(b)アナログ-デジタル変換器から、複数の温度センサのそれぞれ1つにそれぞれが対応する複数の温度読取り値を順次取得し、かつ(c)複数の温度読取り値に対応するデジタルデータを送信するように構成される。第1の装置はまた、近位端および遠位端を有するケーブルを含む。ケーブルは、(i)ケーブルの近位端とケーブルの遠位端との間をAC電流が流れるようにする導体、および(ii)送信されたデジタルデータを、ケーブルの遠位端からケーブルの近位端へと搬送するように構成されたデータ経路を含む。複数の電極要素は、導体に電気的に接続される。アナログマルチプレクサ、アナログ-デジタル変換器、およびコントローラが、基板に、またはケーブルの遠位端に取り付けられる。
【0008】
第1の装置のいくつかの実施形態では、複数の温度センサは、複数のサーミスタを備える。
【0009】
第1の装置のいくつかの実施形態では、ケーブルは25cm以下の長さを有する。第1の装置のいくつかの実施形態では、ケーブルは10cm以下の長さを有する。
【0010】
第1の装置のいくつかの実施形態は、コントローラとケーブルの遠位端との間に設けられたコネクタをさらに含む。これらの実施形態のいくつかでは、アナログマルチプレクサ、アナログ-デジタル変換器、およびコントローラが基板に取り付けられる。
【0011】
第1の装置のいくつかの実施形態は、複数の温度センサと、複数のアナログ入力との間に設けられたコネクタをさらに含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、アナログマルチプレクサ、アナログ-デジタル変換器、およびコントローラが、ケーブルの遠位端に取り付けられる。
【0012】
第1の装置のいくつかの実施形態は、精密抵抗器をさらに含む。これらの実施形態では、アナログマルチプレクサは、精密抵抗器に動作可能に接続されたさらなる選択可能なアナログ入力を有する。これらの実施形態では、コントローラは、(d)さらなるアナログ入力を選択し、(e)アナログ-デジタル変換器から、精密抵抗器に対応するさらなる読取り値を取得し、かつ(f)さらなる読取り値に対応するデジタルデータを送信するようにさらに構成される。
【0013】
第1の装置のいくつかの実施形態は、精密抵抗器をさらに含む。これらの実施形態では、アナログマルチプレクサは、精密抵抗器に動作可能に接続されたさらなる選択可能なアナログ入力を有する。これらの実施形態では、コントローラは、(d)さらなるアナログ入力を選択し、(e)アナログ-デジタル変換器から、精密抵抗器に対応するさらなる読取り値を取得し、かつ(f)対応するデジタルデータの送信前に、複数の温度読取り値のそれぞれを、さらなる読取り値に基づいて較正するようにさらに構成される。
【0014】
第1の装置のいくつかの実施形態では、ケーブルは、単一の導体を使用して、送信されるデジタルデータを、ケーブルの遠位端からケーブルの近位端へと搬送するデータ経路を提供する。
【0015】
第1の装置のいくつかの実施形態では、ケーブルは、送信されるデジタルデータを、ケーブルの遠位端からケーブルの近位端へと搬送するデータ経路を提供するための単一の導体と、電力をコントローラに供給するための単一の導体と、接地のための単一の導体とを使用する。
【0016】
第1の装置のいくつかの実施形態では、ケーブルにおける導体を介して到来するエネルギーは、コントローラに電力を供給するために使用される。
【0017】
本発明の別の態様は、対象者の体における目標部位を通る電場を加えるためのAC信号発生器と共に使用される第2の装置を対象とする。この第2の装置は、第1、第2、第3、および第4の複数の温度読取り値に対応するデジタルデータを受け取り、かつ第1、第2、第3、および第4の複数の温度読取り値に対応するデジタルデータをAC信号発生器に出力するように構成されたハブを含む。ハブは、電流を、AC信号発生器からハブを越えた遠位方向にある位置へと経路指定するように構成された第1、第2、第3、および第4の導体を含む。
【0018】
この第2の装置はまた、対象者の体に対して、第1、第2、第3、および第4の位置にそれぞれ配置されるように構成された第1、第2、第3、および第4の複数の容量結合された電極要素を含む。この第2の装置はまた、対応する複数の電極要素を、対象者の体に対して、第1、第2、第3、および第4の位置に保持するように構成された第1、第2、第3、および第4の基板を含む。この第2の装置はまた、第1、第2、第3、および第4の複数の電極要素のそれぞれ1つにおける温度を感知するように配置された第1、第2、第3、および第4の複数の温度センサを含む。この第2の装置はまた、第1、第2、第3、および第4のアナログ出力をそれぞれ有する第1、第2、第3、および第4のアナログマルチプレクサを含む。これらのマルチプレクサは、それぞれ、第1、第2、第3、および第4の複数の選択可能なアナログ入力を有する。第1、第2、第3、および第4の複数のアナログ入力のうちの各アナログ入力は、第1、第2、第3、および第4の複数の温度センサのうちの各温度センサに動作可能に接続される。この第2の装置はまた、第1、第2、第3、および第4のアナログ出力から到来する信号をそれぞれデジタル化するように構成された第1、第2、第3、および第4のアナログ-デジタル変換器を含む。この第2の装置はまた、第1、第2、第3、および第4のコントローラを含む。これらのコントローラは、(a)第1、第2、第3、および第4の複数のアナログ入力のうちの各入力をそれぞれ順次選択し、(b)各読取り値が、第1、第2、第3、および第4の複数の温度センサのうちの各温度センサに対応する第1、第2、第3、および第4の複数の温度読取り値に含まれるものである、第1、第2、第3、および第4の複数の温度読取り値を、それぞれ、第1、第2、第3、および第4のアナログ-デジタル変換器から順次取得し、かつ(c)第1、第2、第3、および第4の複数の温度読取り値に対応する第1、第2、第3、および第4のデジタルデータをハブに送信するように構成される。この第2の装置はまた、ハブにおける第1、第2、第3、および第4の導体を介して到来する電流を、それぞれ、第1、第2、第3、および第4の複数の電極要素へと経路指定し、かつ第1、第2、第3、および第4のデジタルデータを、それぞれ、第1、第2、第3、および第4のコン
トローラからハブへと経路指定するように配置された第1、第2、第3、および第4のケーブルを含む。
【0019】
第2の装置のいくつかの実施形態では、第1、第2、第3、および第4のコントローラは、第1、第2、第3、および第4の複数の温度読取り値が同時に取得されるように同期化される。
【0020】
第2の装置のいくつかの実施形態では、第1、第2、第3、および第4のコントローラは、第1、第2、第3、および第4の複数の温度読取り値の少なくとも一部分が、同時に取得されるように同期化される。
【0021】
第2の装置のいくつかの実施形態は、第1、第2、第3、および第4の精密抵抗器をさらに含む。これらの実施形態では、アナログマルチプレクサのそれぞれは、各精密抵抗器に動作可能に接続された、さらなる選択可能なアナログ入力を有する。第1、第2、第3、および第4のコントローラは、(d)各さらなるアナログ入力を選択し、(e)各アナログ-デジタル変換器から、各精密抵抗器に対応する第1、第2、第3、および第4のさらなる読取り値を取得し、かつ(f)第1、第2、第3、および第4のさらなる読取り値に対応するデジタルデータをハブへと送信するようにさらに構成される。いくつかのこれらの実施形態では、ハブは、第1、第2、第3、および第4のさらなる読取り値に基づき、第1、第2、第3、および第4の複数の温度読取り値に含まれる各温度読取り値を較正するようにさらに構成される。
【0022】
第2の装置のいくつかの実施形態は、第1、第2、第3、および第4の精密抵抗器をさらに含む。これらの実施形態では、アナログマルチプレクサのそれぞれは、各精密抵抗器に動作可能に接続された、さらなる選択可能なアナログ入力を有する。第1、第2、第3、および第4のコントローラは、(d)各さらなるアナログ入力を選択し、(e)各アナログ-デジタル変換器から、各精密抵抗器に対応する第1、第2、第3、および第4のさらなる読取り値を取得し、かつ(f)対応するデジタルデータをハブに送信する前に、第1、第2、第3、および第4のさらなる読取り値に基づき、第1、第2、第3、および第4の複数の温度読取り値に含まれる各読取り値をそれぞれ較正するようにさらに構成される。
【0023】
第2の装置のいくつかの実施形態は、第1、第2、第3、および第4のコントローラとハブとの間にそれぞれ設けられた第1、第2、第3、および第4のコネクタをさらに含む。
【0024】
第2の装置のいくつかの実施形態は、それぞれ、第1、第2、第3、および第4の複数の温度センサと、第1、第2、第3、および第4の複数のアナログ入力との間にそれぞれ設けられた第1、第2、第3、および第4のコネクタをさらに含む。
【0025】
第2の装置のいくつかの実施形態では、第1、第2、第3、および第4のケーブルのそれぞれは、ハブにおける第1、第2、第3、および第4の導体を介して到来する電流を、第1、第2、第3、および第4の複数の電極要素へとそれぞれ経路指定するために単一の導体を使用する。これらの実施形態では、第1、第2、第3、および第4のケーブルのそれぞれはまた、第1、第2、第3、および第4のコントローラとハブとの間でそれぞれデジタルデータを転送するための単一の導体を有する。
【0026】
第2の装置のいくつかの実施形態では、第1、第2、第3、および第4のケーブルのそれぞれは、ハブにおける第1、第2、第3、および第4の導体を介して到来する電流を、それぞれ、第1、第2、第3、および第4の複数の電極要素へと経路指定するために単一の導体を使用する。これらの実施形態では、第1、第2、第3、および第4のケーブルのそれぞれはまた、第1、第2、第3、および第4のコントローラとハブとの間でそれぞれデジタルデータを転送するための単一の導体、各コントローラに電力を供給するための単一の導体、および各接地用の単一の導体を有する。
【0027】
第2の装置のいくつかの実施形態では、ハブにおける第1、第2、第3、および第4の導体を介して到来するエネルギーは、それぞれ、第1、第2、第3、および第4のコントローラに電力を供給するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】TTフィールドを対象者の体に適用するために使用されるトランスデューサアレイの温度を測定するためのシステムのブロック図である。
図2図1の実施形態におけるハブの概略図である。
図3図1の実施形態の遠位回路のうちの1つの概略図である。
図4A図1の実施形態をコネクタ接続するための第1の選択肢を示す図である。
図4B図1の実施形態をコネクタ接続するための第2の選択肢を示す図である。
図5A図4Aの実施形態におけるコネクタの位置の詳細図である。
図5B図4Bの実施形態におけるコネクタの位置の詳細図である。
図6A図4Aの実施形態の機械的なレイアウトを示す図である。
図6B図4Bの実施形態の機械的なレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
添付図面を参照して様々な実施形態が以下で詳細に述べられる、図中、同様の参照数字は同様の要素を表す。
【0030】
図1は、トランスデューサアレイ50における温度センサから温度読取り値を取得するために、4つのトランスデューサアレイ50のそれぞれに近接して位置する遠位回路40を利用する実施形態のブロック図である。トランスデューサアレイ50のそれぞれは、複数の容量結合された電極要素52、および複数の温度センサ54(共に図3図6A、および図6Bで示される)を含む。温度センサ54は、各電極要素52における温度を検出するように配置される。いくつかの好ましい実施形態では、温度センサ54はサーミスタである。
【0031】
図1を参照すると、各遠位回路40は、各温度センサから温度読取り値を取得するように、各トランスデューサアレイ50の中に組み込まれた温度センサとインターフェースをとる。遠位回路40は、次いで、これらの温度読取り値をアナログ-デジタル変換し、デジタル化された温度読取り値を中心ハブ30へと転送する。中心ハブ30は、次いで、これらのデジタル化された温度読取り値を、シリアル通信リンクを介して電場発生器20に転送し、電場発生器20は、温度読取り値に基づいて、トランスデューサアレイ50への電流を調整する必要があるかどうかを判定することができる。
【0032】
遠位回路40を超えてトランスデューサアレイ50それ自体の中へと、遠位方向に配線45の中を延びる10本の短い導体が存在する。これらの10本の導体は、8個の温度センサのそれぞれに対する1本の導体、温度センサの共通接地用の1本の導体、およびTTフィールド信号(すなわち、電極要素に対するAC電流)用の1本の導体を含む。いくつかの好ましい実施形態では、遠位回路40は、組込式のアナログフロントエンドおよびマルチプレクサを備えたシングルチップマイクロコントローラ、またはプログラマブル・システムオンチップ(PSoC)を用いて実施される。この目的のために適切な部品番号は、CY8C4124LQI-443を含む。この場合、遠位回路40には、他の能動的な構成要素は必要としない。代替の実施形態では、当業者には明らかなように、組込式または別々のアナログフロントエンドおよびマルチプレクサを備える他のマイクロコントローラを使用することもできる。アナログフロントエンドおよびマルチプレクサは、温度センサから温度読取り値を取得する。これらの温度読取り値は、次いで、デジタル化され、好ましくは、シリアルデータリンクを介して、中心ハブ30に送信される。加えて、各遠位回路40はまた、電場発生器20において生じたTTフィールド信号をトランスデューサアレイ50へと経路指定するための関連する貫通導体(51、図3および図6Aで示される)を有する。
【0033】
図1の実施形態では、4つの遠位回路40のそれぞれは、各ケーブル35を介して中心ハブ30に接続される。遠位回路40とハブ30との間で延びるケーブル35のそれぞれにおいて、特に4本の導体が必要なだけである(すなわち、Vcc用に1、接地用に1、シリアルデータ通信用に1、およびTTフィールド信号用に1)。遠位回路40は、したがって、各トランスデューサアレイ50とインターフェースをとるために必要なワイヤ数を劇的に低減する。
【0034】
図2は、図1で示されたハブ30として使用するのに適した回路の概略図である。一般的に言って、ハブ30は、遠位回路40(図1で示される)のそれぞれから温度読取り値を受け取り、これらの温度読取り値を電場発生器20(図1で示される)に送る。広範囲な様々なアーキテクチャのいずれも、温度読取り値を受け取り、かつ送るために使用することができる。例えば、示された実施形態では、コントローラ32が、デジタルマルチプレクサ33に4入力のうちの1つを選択するように指令する信号を、デジタルマルチプレクサ33に送り、それにより、ハブ30は、遠位回路40(図1で示される)のうちの1つからデジタル信号を受信するように設定される。その後、コントローラ32は、選択された入力から全部で8つの温度読取り値を受け取り、かつこれらの温度読取り値を、送受信機34により電場発生器20(図1で示される)に送信する。選択された入力(すなわち、選択された遠位回路)からのすべての温度読取り値が電場発生器に送信された後、コントローラ32は、デジタルマルチプレクサ33への制御信号を更新し、かつデジタルマルチプレクサに、4入力のうちの別の1つ(すなわち、別の遠位回路)を選択するように指令する。コントローラ32は、次いで、新しく選択された入力から、全部で8個の温度読取り値を受け取り、かつこれらの温度読取り値を電場発生器に送信する。次いで、対応するシーケンスが実施されて、第3の入力から8個の温度読取り値が取得され、第4の入力から8個の温度読取り値が取得される。
【0035】
いくつかの好ましい実施形態では、コントローラ32、デジタルマルチプレクサ33、および送受信機34は、単一のチップへと共に一体化することができる。代替の実施形態では、コントローラ32およびデジタルマルチプレクサ33は、単一のチップへと共に一体化され、別個の送受信機34が使用される。例えば、コントローラ32およびデジタルマルチプレクサ33は、CypressのCY8C4244LQI-443を用いて実施することができ、送受信機34は、Linear TechnologyのLTC2856CMS8-2#PBFを用いて実施することができる。
【0036】
4入力のそれぞれからの温度測定値のすべてを取得するシーケンス全体は、周期的に(例えば、1秒、10秒、または30秒ごとに)反復されて、電場発生器20に提供される温度読取り値を更新する。ハブ30は、任意の従来の通信技法(例えば、RS485)を用いて、電場発生器20と通信する。ハブ30はまた、TTフィールド信号を、電場発生器20から、トランスデューサアレイ50のそれぞれへと直接通過させる貫通導体31を含む。一例では、ハブ30は、8導体螺旋ケーブル25(それは、各アレイからのTTフィールド信号用4ワイヤ、接地用1ワイヤ、遠位回路40へのVcc用1ワイヤ、通信用の2ワイヤを含む)を介して電場発生器20と通信する。特にこの実施形態は、TTフィールド送達システムの前のバージョンとの後方互換を有することができる。
【0037】
上記で述べた実施形態では、ハブ30と電場発生器20の間でデータ通信を実施するために(すなわち、温度データのために)、2本のワイヤが使用される。これは、例えば、各方向に通信を実施するために、1本のワイヤを使用することにより達成され得る。代替の実施形態では、ハブ30と電場発生器20の間のワイヤ数は、上記で述べた実施形態における2本のデータ通信ワイヤを、双方向通信を実施する(従来の単一ワイヤ通信プロトコルを用いて)単一データワイヤで置き換えることにより減らすことができる。
【0038】
図3は、ハブ(図1で示される)と任意の所与のトランスデューサアレイ50とのインターフェースをとるための回路の概略図である。各トランスデューサアレイ50は、複数の容量結合された電極要素52と、複数の電極要素のそれぞれ1つにおける温度を感知するように配置された複数の温度センサ54とを含む。いくつかの好ましい実施形態では、これらの温度センサ54はサーミスタである。
【0039】
アナログマルチプレクサ81は、アナログ出力と、複数の選択可能なアナログ入力とを有し、複数のアナログ入力のそれぞれは、複数の温度センサ54のうちのそれぞれ1つに接続される。各温度センサ54の第2の端子は、共通の接地へと延びる。アナログマルチプレクサ81の出力は、好ましくは高入力インピーダンスを備えた(例えば、電圧フォロアとして構成された演算増幅器など)増幅器82へ進む。増幅器82の出力は、アナログ-デジタル変換器83の入力に供給され、アナログ-デジタル変換器の出力は、コントローラ85に供給される。
【0040】
コントローラ85は、破線80内の構成要素のすべての動作を調整する。コントローラ85は、アナログマルチプレクサ81にコマンドを送り、温度センサ54の1つを選択して、その温度センサから温度読取り値を取得させる。
【0041】
温度センサ54としてサーミスタが使用される実施形態では、温度読取り値は、知られた電流を、サーミスタを通るように経路指定し、かつサーミスタにわたって現れる電圧を測定することにより取得され得る。示された実施形態では、これは、知られた電流(例えば、150μA)を生成するようにプログラムされ得るプログラム可能な電流源88を用いて達成することができる。アナログマルチプレクサ81は双方向のものであり、したがって、この知られた電流は、どのサーミスタがアナログマルチプレクサによって選択されても経路指定されることになる。
【0042】
全部で8個の温度センサ54からの温度読取り値は、以下の手順を用いて得ることができる。コントローラ85が、第1のサーミスタを選択するように、アナログマルチプレクサ81にコマンドを送り、かつ知られた電流を生成するように電流源88を構成する。第1のサーミスタが選択されたため、電流源88からの知られた電流は、アナログマルチプレクサ81を通って第1のサーミスタへと流れることになる。こうすることは、そのサーミスタにわたって電圧を生じさせることになる。第1のサーミスタが選択されたため、この電圧は、アナログマルチプレクサ81の出力に現れる。増幅器82は、この電圧をアナログ-デジタル変換器83の入力に供給する。コントローラ85は、アナログ-デジタル変換器83に、この電圧をデジタル化するように命令する。コントローラ85は、この読取り値をアナログ-デジタル変換器83から取得し、デジタル化された読取り値(第1のサーミスタに対応する)を一時的にバッファに記憶する。次いで、この手順は、8個のサーミスタのそれぞれからのデジタル化された読取り値がバッファに入るまで、他のサーミスタのそれぞれに対して順次繰り返される。
【0043】
図示されていない代替実施形態では、サーミスタとインターフェースをとるための代替の手法(例えば、従来の電圧分割器手法など)を、上記で述べた定電流手法に代えて使用することができる。他の代替実施形態では、温度センサの異なるタイプが、上記で述べたサーミスタに代えて使用され得る。例は、熱電対、RTD、ならびにAnalog DevicesのAD590、およびTexas InstrumentsのLM135などの集積回路温度センサを含む。当然であるが、これらの代替の温度センサのいずれかが使用される場合、回路に対して(当業者には明らかな)適切な修正が必要となろう。
【0044】
いくつかの実施形態では、さらなる読取り値が取得され、それを、サーミスタから得られた温度読取り値の正確さを高めるように自己較正するために使用することができる。例えば、示された実施形態では、アナログマルチプレクサ81のボトム入力(bottom input)が接地に接続され、アナログマルチプレクサ81のトップ入力(top input)が精密抵抗器89に接続される。いくつかの実施形態では、精密抵抗器89は、10キロオーム、0.1%許容差の抵抗器である。精密抵抗器89からの読取り値は、サーミスタのいずれか1つからの読取り値を取得するために上記で述べたものと同じ手順を用いて取得され得る。アナログマルチプレクサ81の接地された入力から読取り値を取得することはまた、接地された入力が選択されたとき、電流源88が非活動化され得ること以外は同様のものである。これらの実施形態では、コントローラ85は、精密抵抗器からのデジタル化された読取り値、および接地された入力をバッファに一時的に記憶する(それは、合計で10個の読取り値がバッファに記憶されることを意味する)。これらのさらなる読取り値は、最終的に、サーミスタから取得された読取り値を較正するために使用され得る。いくつかの実施形態では、この較正は、温度読取り値に対応するデジタルデータを送信する前に、コントローラ85それ自体で実施される。他の実施形態では、この較正は、下流のプロセッサ(例えば、ハブ30におけるコントローラ32、共に図2で示されている)において実施され、その場合、精密抵抗器(および任意選択で、接地された入力)に対応するデジタルデータが、サーミスタから取得された未較正の温度読取り値と共に下流のプロセッサに送信される。
【0045】
精密抵抗器89を用いて較正を実施するための適切な1つの手法は、その抵抗にわたって測定された実際の電圧を、オームの法則、精密抵抗器89の知られている値、および電流源88により生成されている電流の予想値に基づく予想される電圧と比較することである。実際の測定電圧と予想される電圧との間のどんな偏差も、次にサーミスタ54からの後続する測定値に対する乗数として使用することができる。
【0046】
遠位回路40におけるコントローラ85は、UART86を介してハブ30(図1で示される)と通信し、かつ温度センサ54から取得された温度読取り値をハブに送信する。いくつかの実施形態では、コントローラ85を自律的に動作するようにプログラムすることができ、その場合、コントローラ85は、自動的に、温度センサ54のそれぞれから温度読取り値を収集し、上記で述べたように、その結果をバッファに記憶し、その後に、バッファの内容(すなわち、8個の温度センサ54のそれぞれに対する読取り値、および任意選択で、上記で述べたさらなる読取り値)をハブに送信することになる。
【0047】
代替の実施形態では、コントローラ85は、ハブに位置するマスタコントローラに対するスレーブとして動作するようにプログラムすることができる。これらの実施形態では、コントローラ85は、休止状態から開始するが、その場合、それがすることはすべて、UTRT86を介して到来するマスタコントローラからの受信コマンドを監視することである。マスタコントローラから到来し得るコマンドの例は、「サンプル収集」コマンド、および「データ送り」コマンドを含む。コントローラ85が、「サンプル収集」コマンドが来たと認識すると、コントローラ85は、8個の温度センサ54のそれぞれから温度読取り値を取得し、かつ結果をそのバッファに記憶する上記で述べた手順を開始することになる。コントローラ85が、「データ送り」コマンドが来たと認識したとき、コントローラ85は、前に収集した温度読取り値を、バッファからUART86を介してハブに送信する手順を実行するようになる。
【0048】
コントローラ85が、ハブ30に位置するマスタコントローラに対するスレーブとして動作する実施形態では、4つのトランスデューサアレイ50(図1で示される)のそれぞれから取得された温度測定値を同期化することが可能になる。これを達成するための一方法は、ハブ30におけるマスタコントローラに、「サンプル収集」コマンドを4つのすべてのコントローラ85に同時に、または間断なく送らせて、トランスデューサアレイのそれぞれから取得される温度読取り値が同時に、またはほぼ同時に取得されるようにすることである。温度読取り値は、次いで、4つのコントローラ85のそれぞれから8個単位で、ハブ30により収集され得る。
【0049】
腫瘍を治療するためにTTフィールドを使用する大部分のシステムは、腫瘍に適用されている電場の方向を周期的に(例えば、毎秒)切り換える。温度測定におけるノイズを最小化するために、電場が、その時間の間はいずれの方向にも加えられないわずかなギャップを導入することができ、温度測定は、その時間ギャップ中に行うことができる。いくつかの好ましい実施形態では、ハブ30に位置するマスタコントローラは、全部で4つのコントローラ85に対する「サンプル収集」コマンドのタイミングを同期化させ、したがって、遠位回路40のそれぞれが、このギャップの間にその温度読取り値を取得するようになる。温度読取り値が、4つのトランスデューサアレイのそれぞれから同時に取得される実施形態では、この手法は、ギャップの持続期間を最小化するために使用され得る。例えばシステムが、単一の測定値を取得するために100μsを必要とする場合、全部で32の測定値(すなわち、4遠位回路×各回路で8サーミスタ)を連続的に得るには、3.2msを要することになる。対照的に、4つの遠位回路のそれぞれが並列に動作する場合、各遠位回路は、その仕事を800μsで完了することができ、その場合、全部で32サンプルを、800μsで取得することができる。「データ送り」コマンドは、ノイズに影響されにくいので、そのコマンドは、電場が残っている間に実行することができ、したがって、時間に影響されないことに留意されたい。
【0050】
いくつかの実施形態では、以下の構成要素のいくつか、またはすべてが、単一の集積回路によって実施される、すなわち、アナログマルチプレクサ81、増幅器82、アナログ-デジタル変換器83、コントローラ85、UART86、および電流源88である。これらの機能ブロックのすべてを含む単一の集積回路の一例は、CypressのCY8C4124LQI-443Tプログラマブル・システムオンチップ(PSoC)である。
【0051】
任意選択で、単一のトランスデューサアレイに対する図4Aおよび図4Bで示されるように、ハブ30とトランスデューサアレイ50のそれぞれとの間の経路に、コネクタを含むことができる。図4Aの実施形態では、コネクタ42は、遠位回路40を越えた遠位方向に配置され、図4Bの実施形態では、コネクタ38は、遠位回路40の近位側に配置される。
【0052】
図5Aは、図4Aの実施形態においてコネクタ42が位置する場所を正確に示す、より詳細な図を示している。この実施形態では、コネクタ42は、遠位回路40を越えた遠位方向に配置される。図5Aの実施形態の動作は、10個の信号が、コネクタ42を横断すること以外は、上記で論じた図3の実施形態の動作と同様のものである、すなわち、1つは電極要素52へと進むAC電流用のもの、1つは、8個の温度センサ54のそれぞれに対するもの(小計8)、および1つは8個の温度センサ54のすべてに使用される共通接地に対するものである。
【0053】
図5Bは、図4Bの実施形態においてコネクタ38が位置する場所を正確に示す、より詳細な図を示している。この実施形態では、コネクタ38は、遠位回路40の近位側に配置される。図5Bの実施形態の動作は、4信号がコネクタ38を横断すること以外は、上記で論じた図3の実施形態の動作と同様のものであり、1つは電極要素52へと進むAC電流用のもの、1つはUART86とハブの間で移動するデータ用のもの、1つは遠位回路40に電力を供給するためのもの、および1つは遠位回路40に対する接地用のものである。
【0054】
図6Aは、図4A/図5Aの実施形態に対する機械的なレイアウトを示す。この実施形態では、基板59が、複数の容量結合された電極要素52を支持する。電極要素52は、対象者の体に対して配置されるように構成され、基板59は、対象者の体に対して複数の電極要素52を保持するように構成される。複数の温度センサ54は、電極要素52のそれぞれ1つに隣接して、かつ/またはその下に配置され、したがって、温度センサ54は、これらの電極要素の温度を感知することができる。
【0055】
ケーブル35は、近位端および遠位端を有する。このケーブル35は、(i)AC電流が、ケーブルの近位端と、ケーブルの遠位端との間を流れるようにする導体51、および(ii)ケーブルの遠位端からケーブルの近位端へと(すなわち、ハブの方向に)複数の温度読取り値(遠位回路40で生ずる)に対応するデジタルデータを搬送するように構成されたデータ経路を含む。
【0056】
モジュール60が、ケーブル35の遠位端に取り付けられる(直接的に、または介在する構成要素を介して)。遠位回路40は、モジュール60に取り付けられる。いくつかの実施形態では、遠位回路40に対する電力および接地は、ケーブル35を介して提供される。コネクタ42の第1の半体は、モジュール60の遠位端に設けられ、コネクタ42の第2の半体は、基板59に設けられる。コネクタ42の第1の半体は、コネクタ42の第2の半体と嵌合し、したがって、電気信号は、コネクタ42の両方の半体を通過することができる。コネクタ42の両方の半体が嵌合されたとき、8個のサーミスタ54からの信号は、基板59上の配線を通り、コネクタ42を通って移動して遠位回路40に入る。この遠位回路40は、アナログマルチプレクサ、アナログ-デジタル変換器、およびコントローラを含む(図3に関連して上記で述べている)。さらに、サーミスタ54のすべてに対する共通接地信号が、コネクタ42を介して提供される。電極要素52に対するAC電流用の経路もまた、コネクタ42を介して提供される。この経路は、複数の電極要素52が、ケーブル35の対応する導体に電気的に接続されるように、基板59上の適切な配線を通って延びている。
【0057】
図6Bは、図4B/図5Bの実施形態に対する機械的なレイアウトを示す。この実施形態では、基板59は、複数の容量結合された電極要素52を支持する。電極要素52は、対象者の体に対して配置するように構成され、基板59は、対象者の体に対して複数の電極要素52を保持するように構成される。複数の温度センサ54は、温度センサ54が、これらの電極要素の温度を感知できるように、電極要素52のそれぞれ1つに隣接して、かつ/またはその下に位置する。
【0058】
ケーブル35は、近位端および遠位端を有する。このケーブル35は、(i)ケーブルの近位端とケーブルの遠位端との間をAC電流が流れるようにする導体51、および(ii)ケーブルの遠位端からケーブルの近位端へと(すなわち、ハブの方向に)、複数の温度読取り値に対応するデジタルデータ(遠位回路40で生ずる)を搬送するように構成されたデータ経路を含む。
【0059】
モジュール65は、基板59に取り付けられる(直接的に、または介在する構成要素を介して)。遠位回路40は、このモジュール65に取り付けられる。いくつかの実施形態では、遠位回路40に対する電力および接地は、ケーブル35を介して供給される。コネクタ38の第1の半体が、ケーブル35の遠位端に設けられ、コネクタ38の第2の半体が、基板59に設けられる。コネクタ38の第1の半体は、コネクタ38の第2の半体と嵌合し、したがって、電気信号は、コネクタ38の両方の半体を通過することができる。コネクタ38の両方の半体が嵌合したとき、ケーブル35からの信号は、コネクタ38を通って移動し、遠位回路40の中に入る。遠位回路40は、アナログマルチプレクサ、アナログ-デジタル変換器、およびコントローラを含む(図3に関連して上記で述べている)。さらに、コネクタ38を通る、電極要素52に対するAC電流用の経路がまた提供される。この経路は、複数の電極要素52が、ケーブル35の対応する導体に電気的に接続されるように、基板59上の適切な配線を通って延びている。
【0060】
図4図6で示されたコネクタ接続される設計は、患者または介護者が、ケーブルが存在することによって妨げられることなく、患者の皮膚にトランスデューサアレイ50を取り付けられる点で、コネクタ接続されない実施形態に対して大幅な利点を提供する。これらの実施形態では、ケーブル35は、トランスデューサアレイ50が、最初に患者の体に配置されたとき、基板59から接続が解除されていることが好ましい。トランスデューサアレイ50が、その望ましい位置に付けられた後に限って、ケーブル35が、コネクタ38または42によりトランスデューサアレイ50に接続される。コネクタは、湿気(例えば、汗、シャワーなど)が電気回路と干渉しないようにするために、防水性であることが好ましい。
【0061】
トランスデューサアレイ50は、使用前に殺菌されることが好ましいので、図4A/図5A/図6Aの実施形態は、コネクタ接続されない図1の実施形態と図4B/図5B/図6Bの実施形態の両方に対して利点を有することに留意されたい。殺菌は、通常、放射線またはガスを用いて実施される。放射線は、電子装置と干渉する可能性があるので、遠位回路40をトランスデューサアレイ50から外すことのできない組立体は、ガスを用いて殺菌できるだけである。他方で、遠位回路40が、コネクタ42の(図4A/図5A/図6Aの実施形態のように)近位側に位置する場合、遠位回路40を含む部分は、殺菌を必要としないはずである。こうすることにより、遠位回路40に損傷を与える危険がなく、ガスまたは放射線を用いて図4A/図5A/図6Aの実施形態におけるランスデューサアレイ50の殺菌を実施できるようになる。
【0062】
上記で述べた構成のそれぞれは、各トランスデューサアレイ50とインターフェースをとるのに、4本の導体がケーブル35のそれぞれに必要であるに過ぎないため、従来技術に対して大幅な利点を有する。さらに、4本の導体だけが必要であるため、ハブ30を越えて遠位方向に延びるケーブル35は、従来技術のケーブルよりも細く、かつ小さくすることができる。こうすることは、トランスデューサアレイ50に隣接する体の部分にハブ30を取り付けることを容易にし、かつハブ30とトランスデューサアレイ50の間の相互接続を小さく、軽量化する。例えば、トランスデューサアレイ50が、患者の頭皮に付けられた場合、患者に不快さを与えることなく、トランスデューサアレイ50の近傍において、患者の頭部にハブ30を取り付けることが可能になる。これらの実施形態では、ハブ30をトランスデューサアレイ50と遠位回路40の両方に相互接続するためには、短いケーブル35(例えば、25cm未満、またはさらに10cm未満)を使用することが好ましい。
【0063】
本明細書で述べられた構成は、トランスデューサアレイ50へと導くケーブルのもつれを低減し、ケーブルが、患者の日々の活動に干渉する回数を低下させ、システム全体の扱いにくさを減らし、患者の快適さを向上させ、かつ患者の体に付けられたとき、電極の扱いやすさを向上させることができるので有利である。
【0064】
図1に戻って参照すると、表示ユニット(図示せず)をシステムに加えることができる。この表示ユニットは、デバイスが患者に提供する情報を表示するために使用することができ、これだけに限らないが、デバイス状況(例えば、オン/スタンバイ)、エラー表示、電池の充電状況、コンプライアンス基準などを含む。表示ユニットは、ハブ30と電場発生器20の間のケーブル25に沿った任意の点に取り付けることができる。代替の実施形態では、表示ユニット22は、ハブ30それ自体に取り付けることもできる。
【0065】
いくつかの代替の実施形態では、電力および接地を遠位回路40に供給するワイヤを、TTフィールド信号(貫通導体を介して送達される)からのエネルギーのいくらかをコイルを用いて転用すること、遠位回路40に隣接するコンデンサにそのエネルギーを蓄積すること、およびその蓄積されたエネルギーを用いて遠位回路40に電力を供給することにより、さらに除くことができる。TTフィールド信号ワイヤを介して温度データを送信する1ワイヤ通信プロトコルを実施することもさらに可能である。このような構成では、データ通信信号、および遠位回路に対する電力(Vcc)をすべて、トランスデューサアレイ50へと延びるケーブルから除くこともできる。これらのワイヤ低減技法のすべてが実施される場合、2本のワイヤだけが、ハブ30と各トランスデューサアレイ50の間に必要になる(すなわち、TTフィールド信号用に1本、および接地用に1本)。また4つのトランスデューサアレイ50から電場発生器20へと戻って延びるワイヤの合計数は、5本に低減されることになる(すなわち、共通接地用に1本、およびTTフィールド信号用に合計4本)。
【0066】
本発明は、いくつかの実施形態を参照して開示されてきたが、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の領域および範囲から逸脱することなく、述べられた実施形態に対して、数多くの修正、改変、および変更が可能である。したがって、本発明は、述べられた実施形態に限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲の文言、およびその等価な形態によって定義された完全な範囲を有するように意図される。
【符号の説明】
【0067】
20 電場発生器
25 8導体螺旋ケーブル
30 中心ハブ
31 貫通導体
32 コントローラ
33 デジタルマルチプレクサ
34 送受信機
35 ケーブル
38 コネクタ
40 遠位回路
42 コネクタ
45 配線
50 トランスデューサアレイ
51 貫通導体
52 電極要素
54 温度センサ
59 基板
60 モジュール
65 モジュール
80 破線
81 アナログマルチプレクサ
82 増幅器
83 アナログ-デジタル変換器
85 コントローラ
86 UART
88 電流源
89 精密抵抗器
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B