IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターベット インターナショナル ベー. フェー.の特許一覧

特許74973571-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドの調製方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 405/14 20060101AFI20240603BHJP
   C07D 405/04 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
C07D405/14
C07D405/04 CSP
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021533236
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2019084887
(87)【国際公開番号】W WO2020120673
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/120821
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】18212188.9
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510000976
【氏名又は名称】インターベット インターナショナル ベー. フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チャセイン,クリストフ・ピエール・アラン
(72)【発明者】
【氏名】イン,ジンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,リーチョン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ウェンソン
(72)【発明者】
【氏名】クリエーター,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ダーメン,トマス
(72)【発明者】
【氏名】サランタ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シェイパーズ,クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ハラルド
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/108969(WO,A1)
【文献】特表2014-526525(JP,A)
【文献】国際公開第2018/111663(WO,A1)
【文献】特表2011-530511(JP,A)
【文献】特表2014-530203(JP,A)
【文献】国際公開第2013/051639(WO,A1)
【文献】特表2016-531893(JP,A)
【文献】国際公開第2018/049781(WO,A1)
【文献】特表2015-524480(JP,A)
【文献】特表2017-522342(JP,A)
【文献】Siu, Tony et al.,The Discovery of 3-((4-Chloro-3-methoxyphenyl)amino)-1-((3R,4S)-4-cyanotetrahydro-2H-pyran-3-yl)-1H-pyrazole-4-carboxamide, a Highly Ligand Efficient and Efficacious Janus Kinase 1 Selective Inhibitor with Favorable Pharmacokinetic Properties,Journal of Medicinal Chemistry,2017年,60(23),pp. 9676-9690
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
で表される化合物を製造する方法であって、
a. 式(VI)
【化2】
〔式中、Rは、C-Cアルキルである
で表される化合物を、式(XII)
【化3】
で表される化合物と、触媒の存在下、及び、RがI又はBrである場合には塩基の存在下で、反応させて、式(XIII)
【化4】
で表される化合物を生成させること;及び、
b. 式(XIII)で表される化合物を、式(I)で表される化合物に変換させること;
を含む、前記方法。
【請求項2】
が、C -C アルキルである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
が、エチルである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、
a. 式(XIII)で表される化合物を、トリアルキルアミンの存在下で、リチウム塩と反応させて、式(XIV)
【化5】
で表される化合物を生成させること;及び、
b. 式(XIV)で表される化合物を、式(I)で表される化合物に変換させること;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
トリアルキルアミンが、トリメチルアミンである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
リチウム塩が、臭化リチウム、塩化リチウム又は水酸化リチウムである請求項4に記載の方法。
【請求項7】
さらに、式(XIV)で表される化合物の活性中間体を形成させること、及び、次いで、アンモニア又はアンモニア同等物と反応させて式(I)で表される化合物を生成させること、を含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
アンモニア同等物が、塩基の存在下における塩化アンモニウムである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式(VI)
【化6】
〔式中、Rは、C-Cアルキルである
で表される化合物を製造する方法であって、
a. 式(II)
【化7】
で表される化合物を、
i.シアン化水素又はその同等;及び、
ii.POCl又はSOCl
と反応させて、式(III)
【化8】
で表される化合物を生成させること;及び、
b. 式(III)で表される化合物を式(VI)で表される化合物に変換させること;
を含む、前記方法。
【請求項10】
が、C -C アルキルである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
が、エチルである請求項9に記載の方法。
【請求項12】
シアン化水素の同等物が、TMSCNである請求項9に記載の方法。
【請求項13】
さらに、
a. 式(III)で表される化合物を、塩基の存在下で、式(IV)
【化9】
〔式中、Rは、C-Cアルキルである
で表される化合物と反応させて、式(V)
【化10】
〔式中、Rは、C-Cアルキルである
で表される化合物を生成させること;及び、
b. 式(V)で表される化合物を式(VI)で表される化合物に変換させること;
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項14】
塩基が、リン酸三カリウム又は酢酸カリウムである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
が、C -C アルキルである請求項13に記載の方法。
【請求項16】
が、エチルである請求項13に記載の方法。
【請求項17】
さらに、式(V)で表される化合物のエナンチオマーを分離させて、式(VI)で表される化合物を生成させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記エナンチオマーの分離が、キラルクロマトグラフィーによって達成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
式(V)
【化11】
〔式中、Rは、C-Cアルキルである
で表される化合物。
【請求項20】
が、C -C アルキルである請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
が、エチルである請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
前記化合物が、式(VI)
【化12】
〔式中、Rは、C-Cアルキルである
で表される化合物である、請求項19に記載の化合物。
【請求項23】
が、C -C アルキルである請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
が、エチルである請求項22に記載の化合物。
【請求項25】
式(XIII)
【化13】
〔式中、Rは、C-Cアルキルである
で表される化合物。
【請求項26】
が、C -C アルキルである請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
が、エチルである請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
式(XIV)
【化14】
で表される化合物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
WO2018/108969には、選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬であり、従って、アトピー性皮膚炎、関節炎及び癌のようなJAK介在性疾患の治療に有用な式Iで表される化合物が開示されている。具体的には、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)が開示されている。
【化1】
【0002】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)の既知の合成は、重要な中間体3-アミノ-1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドに関して明確に示されている(下記のスキーム4の化合物(XVI)を参照されたい)。この中間体は有機溶媒への溶解度が低いので、親ラセミ化合物(XV)のキラル分離は、キラル超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)で実施しなければならなかった。さらに、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)へのさらなる変換には副生物の形成が伴っており、そのことによって純粋な最終生成物の製造はより困難であった。
【0003】
WO2013/041042には、関節リウマチ、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び癌の治療に有用なヤヌスキナーゼ阻害薬としてのピラゾールカルボキサミド類が開示されている。この開示の化合物は、下記式
【化2】
【0004】
で表される化合物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2018/108969
【文献】WO2013/041042
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
式(I)
【化3】
【0007】
で表される化合物を製造する方法であって、
a. 式(VI)
【化4】
【0008】
〔式中、Rは、C-Cアルキルであり、好ましくは、C-Cアルキルであり、最も好ましくは、エチルである〕
で表される化合物を、式(XII)
【化5】
【0009】
で表される化合物と、触媒の存在下、及び、RがI又はBrである場合には塩基の存在下で反応させて、式(XIII)
【化6】
【0010】
で表される化合物を生成させること;及び、
b. 式(XIII)で表される化合物を式(I)で表される化合物に変換させること;
を含む、前記方法。
【0011】
その方法は、さらに、
a. 式(XIII)で表される化合物を、トリアルキルアミン(好ましくは、トリエチルアミン)の存在下で、リチウム塩(好ましくは、臭化リチウム、塩化リチウム又は水酸化リチウム)と反応させて、式(XIV)
【化7】
【0012】
で表される化合物を生成させること;及び、
b. 式(XIV)で表される化合物を式(I)で表される化合物に変換させること;
を含む。
【0013】
その方法は、さらに、式(XIV)で表される化合物の活性中間体を形成させること、及び、次いで、アンモニア又はその同等物(例えば、塩基を伴っている塩化アンモニウム)と反応させて式(I)で表される化合物を生成させること、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)への新規アクセスが発見された。主な新規性は、(i)WO2018/108969に開示されているブロモ-ピリジン中間体(XIIb)の新規でより効率的な合成、(ii)新規ヨード-ピリジンビルディングブロック(XIIa)の合成及び使用、(iii)キラル分離によりエナンチオピュアな形態(VI)で得ることができるピラゾールエステル中間体(V)の合成及び使用、及び、(iv)この高度な中間体(VI)を1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)に変換させるための新規合成段階、にある。1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)の既知の合成とは異なり、新規の合成順序は、合理的なコストでスケールアップできる可能性を提供し、従って、大量の1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)の製造に適合する。
【0015】
スキーム1
【化8】
【0016】
新規合成における重要な中間体の調製に関する説明を以下に記載する。
【0017】
WO2018/108969に開示されている2-フルオロ-4-ブロモ-6-メトキシ-ピリジン(XIIb)の合成は、3,5-ジクロロ-2,4,6-トリフルオロピリジンから出発する4段階のプロセスに基づいていた。このプロセスを構成するいくつかの合成段階は、信頼性が低く、歩留まりが悪いことが判明した。実例となる欠点として、3,5-ジクロロ-2,4,6-トリフルオロピリジンの2,4,6-トリフルオロピリジンへの水素化脱塩素反応(M. Schlosser et al. Chem. Eur. J. 2005,11, 1903)は、疎水性アルコールの中でのみ達成することが可能であり、そして、生成物は部分的な加水分解を受ける。さらに、得られた2,4,6-トリフルオロピリジンの2,6-ジフルオロ-4-ヒドラジニルピリジンへのさらなる変換は、位置選択的ではなかった。このようにして、2,6-ジフルオロピリジンのイリジウム(I)が触媒するホウ素化に基づく新規でより効率的な2段階合成が開発された(スキーム2)。
【0018】
スキーム2: 式(XIIb)で表される化合物への新規アクセス
【化9】
【0019】
このプロセスによって、2,6-ジフルオロピリジン(VII)の4位における選択的ホウ素化が良好な収率(65%)で可能になる。本発明の一実施形態では、ホウ素化段階は、リガンドとしての4,4’-ジ-tert-ブチルビピリジン又はN-ベンジル-1-フェニル-N-(2-ピリジルメチレンアミノ)メタンアミンの存在下で実施される。本発明の別の実施形態では、ホウ素化段階は、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン又はジオキサンのような有機溶媒中で実施される。次いで、得られたボロン酸エステル(VIII)の対応する臭化物(XI)への変換は、臭素化剤の存在下で達成される。本発明の一実施形態では、臭素化剤は、酸化剤を伴う臭化銅(I)又は臭化銅(II)から選択される。本発明の別の実施形態では、臭素化剤は、臭化銅(II)である。目標物の2-フルオロ-4-ブロモ-6-メトキシ-ピリジン(XIIb)を得るための6-メトキシ置換基の導入は、カリウムメトキシド又はナトリウムメトキシドのようなアルカリメトキシドの存在下で達成される。本発明の一実施形態では、アルカリメトキシドは、ナトリウムメトキシドである。
【0020】
2-フルオロ-4-ブロモ-6-メトキシ-ピリジン(XIIb)の新たに開発された合成の費用効果の高い代替手段は、2-フルオロ-4-ヨード-6-メトキシ-ピリジン(XIIa)の合成及び使用である(スキーム3)。
【0021】
スキーム3: 式(XIIa)で表される化合物への新規アクセス
【化10】
【0022】
かくして、2-フルオロ-4-ヨード-6-メトキシ-ピリジン(XIIa)は、新規ハロゲン化/ハロゲンダンスプロトコルを介して、2-フルオロ-6-メトキシ-ピリジン(IX)から単一の合成段階で高純度及び高収率で得られる。本発明の一実施形態では、ハロゲン化/ハロゲンダンス段階(halogen dance step)は、リチウムアミド塩基の存在下で実施される。本発明の副態様において、リチウムアミド塩基は、リチウム2,2,6,6-テトラメチルピペリジド及びリチウムジイソプロピルアミドから選択される。本発明のさらなる副態様において、リチウムアミド塩基は、リチウム2,2,6,6-テトラメチルピペリジドである。本発明の一部において、ハロゲン化/ハロゲンダンス段階は、2~2.5当量のリチウムアミド塩基の存在下で実施される。本発明の副部分において、反応は、2~2.1当量のリチウムアミド塩基の存在下で実施される。本発明の一実施形態では、ハロゲン化/ハロゲンダンス反応は、-78~-65℃の温度で実施される。本発明の副実施形態では、反応は、-75~-70℃で実施される。本発明のさらなる実施形態では、反応は、15~20体積の溶媒を使用して実施される。
【0023】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)の既知合成は、重要な中間体3-アミノ-1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]ピラゾール-4-カルボキサミド(XVI)に関して明確に示されている(WO2018/108969)(スキーム4を参照されたい)。この中間体は有機溶媒への溶解度が低いので、親ラセミ化合物(XV)のキラル分離は、キラル超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)で実施しなければならなかった。さらに、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)へのさらなる変換には、反応性アミド基の存在に起因する副生物の形成が伴っていた。
【0024】
スキーム4
【化11】
【0025】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)は、3-アミノ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチルから新規合成を介して得ることができる3-アミノ-1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]ピラゾール-4-カルボン酸エチル(VI)からより便利に調製することができるということが見いだされた(スキーム5)。
【0026】
スキーム5: 式(I)で表される化合物の新規合成
【化12】
【0027】
この新規中間体(V)は、親アミド(XV)と比較して、有機溶媒にはるかに溶解しやすく、及び、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)へのクリーンな変換を受けやすい、という利点を提供する。有機溶媒中での溶解度がより高いので、ラセミ化合物(V)の拡張可能で極めて費用効率が高い新規キラル分離が達成される。
【0028】
3-アミノ-1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]ピラゾール-4-カルボン酸エチル(VI)は、3-アミノ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル(IV)を、有機溶媒中で、塩基の存在下、高温で、3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニトリル(III)と反応させ、その後、キラル分離に付すことによって調製される(スキーム6)。
【0029】
スキーム6: 式(VI)で表される新規合成中間体の調製
【化13】
【0030】
本発明の一実施形態では、塩基は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、炭酸カリウム、リン酸三カリウムから選択される。本発明の別の実施形態では、塩基は、炭酸カリウム又はリン酸三カリウムである。
【0031】
本発明の一実施形態では、有機溶媒は、エタノール、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、トルエン又はアセトニトリルである。本発明の副態様において、有機溶媒は、トルエン又はアセトニトリルのいずれかである。本発明の一実施形態では、1~2.5当量の3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニトリル(III)が反応に関与している。本発明の別の実施形態では、1.1~1.5当量の3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニトリル(III)が反応に関与している。
【0032】
2-フルオロ-4-ブロモ-6-メトキシ-ピリジン(XIIb)又は2-フルオロ-4-ヨード-6-メトキシ-ピリジン(XIIa)と式(VI)で表される化合物との間のカップリング段階は、パラジウム触媒とリガンドの存在下で達成される(スキーム7)。
【0033】
スキーム7: 式(XIII)で表される化合物の調製
【化14】
【0034】
本発明の一実施形態では、パラジウム触媒は、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、アリルパラジウム(II)クロリド二量体、[(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)-2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)メタンスルホネート及び酢酸パラジウム(II)から選択され、そして、リガンドは、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリイソプロピル-3,6-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル及び4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテンから選択される。本発明の一部において、パラジウムが触媒するカップリング段階は、酢酸カリウム又はリン酸三カリウムのような塩基の存在下で実施される。
【0035】
得られた式(XIII)で表されるエステルの式(XIV)で表される対応する酸への加水分解(スキーム8)は、リチウム塩、トリアルキルアミン及び触媒量の水の存在下で実施される。
【0036】
スキーム8: 式(XIV)で表される化合物の調製
【化15】
【0037】
本発明の一実施形態では、リチウム塩は、臭化リチウム、塩化リチウム又は水酸化リチウムである。本発明の別の実施形態では、リチウム塩は、臭化リチウム又は水酸化リチウムのいずれかである。本発明のさらなる実施形態では、トリアルキルアミン塩基は、トリエチルアミンである。本発明の別の実施形態では、加水分解は、高温で実施される。本発明の追加の実施形態では、加水分解は、60~100℃の温度で実施される。本発明のさらなる実施形態では、加水分解は、65~85℃の温度で実施される。
【0038】
最後から2番目の酸(XIV)の1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)への変換は、式(XIV)で表される酸を活性中間体に変換し、そして、この中間体をアンモニア又はその合成同等物と反応させることによって達成される(スキーム9)。
【0039】
スキーム9: 式(XIV)で表される中間体の化合物(I)への変換
【化16】
【0040】
本発明の一実施形態では、活性中間体は、式(XIV)で表される酸から誘導される酸塩化物であり、そして、酸(XIV)を塩化オキサリル又は塩化チオニルのような塩素化剤と反応させることによって得られる。本発明の別の実施形態では、活性中間体は、式(XIV)で表される酸を、場合により、ヒドロキシベンゾトリアゾール又はシアノ(ヒドロキシイミノ)酢酸エチルのような添加剤の存在下で、カルボジイミド(DCC、DIC、EDC.HCl)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム塩(HBTU、TBTU)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム塩(HATU、TATU)試薬のようなカップリング試薬と反応させることによって生成される。
【0041】
定義
リチウムテトラメチルピペリジド(CAS番号38227-87-1)(多くの場合、LiTMP、Li/TMP又はLTMPと略される)は、分子式C18LiNを有する化合物である。それは、非求核性塩基として使用される。
【0042】
トリメチルシリルシアニド(CAS番号7677-24-9)(TMSCN)は、式(CHSiCNで表される化合物である。この揮発性液体は、トリメチルシリル基に結合したシアン化物基(即ち、CN)からなる。この分子は、有機合成において、シアン化水素の同等物として使用される。
【0043】
1,5-シクロオクタジエン(CAS番号1552-12-1)(多くの場合、CODと略される)は、多くの金属錯体においてリガンドとして使用される化合物である。
【0044】
ピナコール(CAS番号76-09-5)(通常、ピン(pin)と略される)は、多くの場合、有機金属カップリングプロセスに関与するホウ素エステルの構造成分である。
【0045】
MTBEは、メチルtert-ブチルエーテル(CAS番号1634-04-4)を表し、有機溶媒として使用される。
【0046】
ジベンジリデンアセトン(CAS番号35225-79-7)(多くの場合、dbaと略される)は、多くの金属錯体においてリガンドとして使用される化合物である。
【0047】
2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(CAS番号564483-19-8)(多くの場合、t-Bu Xphos又はtert-Butyl Xphosと略される)は、多くの金属錯体においてリガンドとして使用される化合物である。
【0048】
4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(CAS番号161265-03-8)(通常、Xantphosと略される)は、多くの金属錯体においてリガンドとして使用される化合物である。
【0049】
1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(CAS番号538-75-0)(多くの場合、DCCと略される)、1,3-ジイソプロピルカルボジイミド(CAS番号693-13-0)(多くの場合、DICと略される)及び1-エチル-3-(3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(CAS番号25952-53-8)(通常、EDC.HClと略される)は、カルボン酸を対応するO-アシル尿素中間体に変換させるために使用される試薬であり、さまざまな求核試薬との反応を促進する。
【0050】
O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(CAS番号94790-37-1)(多くの場合、HBTUと略される)及びO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(CAS番号125700-67-6)(多くの場合、TBTUと略される)は、カルボン酸を対応する1-ヒドロキシベンゾトリアゾールエステルに変換させるために使用される試薬であり、さまざまな求核試薬との反応を促進する。
【0051】
O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(CAS番号148893-10-1)(多くの場合、HATUと略される)及びO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(CAS番号873798-09-5)は、カルボン酸を対応する1-ヒドロキシアザベンゾトリアゾールエステルに変換させるために使用される試薬であり、さまざまな求核試薬との反応を促進する。
【0052】
アンモニア同等物は、アンモニアの合成同等物、例えば、塩化アンモニウムである。
【0053】
臭素化剤は、反応物に臭素を導入するために使用される試薬であり、例えば、臭化銅(II)又は酸化剤を伴う臭化銅(I)である。
【0054】
本発明の一実施形態は、式(XII)
【化17】
【0055】
〔式中、RはIである〕
で表される化合物を製造する方法であり、ここで、該方法は、
式(IX)
【化18】
【0056】
で表される化合物を、ヨウ素及びリチウムアミド塩基(好ましくは、リチウム/TMP)と反応させて、式(X)
【化19】
【0057】
で表される化合物を生成させることを含む。
【0058】
一実施形態では、その方法は、さらに、式(X)で表される化合物をリチウムアミド塩基(好ましくは、リチウム/TMP)の存在下で反応させて、式(XIIa)
【化20】
【0059】
で表される化合物を生成させることを含む。
【0060】
代替的な実施形態では、段階(a)の生成物は、段階(b)に進む前に単離及び精製されない。
【0061】
本発明の一実施形態は、式(XII)
【化21】
【0062】
〔式中、RはBrである〕
で表される化合物を製造する方法であり、ここで、該方法は、
式(VII)
【化22】
【0063】
で表される化合物を、イリジウム触媒及びビス(ピナコラート)ジボロンと反応させて、式(VIII)
【化23】
【0064】
で表される化合物を生成させることを含む。
【0065】
一実施形態では、その方法は、さらに、式(VIII)で表される化合物を、臭素化剤(好ましくは、臭化銅(II)又は酸化剤を伴う臭化銅(I)、好ましくは、臭化銅(II))と反応させて、式(XI)
【化24】
【0066】
で表される化合物を生成させることを含む。
【0067】
一実施形態では、その方法は、さらに、式(XI)で表される化合物をアルカリメトキシド(好ましくは、ナトリウムメトキシド又はカリウムメトキシド)と反応させて、式(XIIb)
【化25】
【0068】
で表される化合物を生成させることを含む。
【0069】
本発明の一実施形態は、式(VI)
【化26】
【0070】
〔式中、Rは、C-Cアルキルであり、好ましくは、C-Cアルキルであり、最も好ましくは、エチルである〕
で表される化合物を製造する方法であり、ここで、該方法は、
式(II)
【化27】
【0071】
で表される化合物を、
i.シアン化水素又はその同等物(例えば、TMSCN);及び、
ii.POCl又はSOCl
と反応させて、式(III)
【化28】
【0072】
で表される化合物を生成させることを含む。
【0073】
一実施形態では、その方法は、さらに、式(III)で表される化合物を、塩基(例えば、リン酸三カリウム又は酢酸カリウム)の存在下で、式(IV)
【化29】
【0074】
〔式中、Rは、C-Cアルキルであり、好ましくは、C-Cアルキルであり、最も好ましくは、エチルである〕
で表される化合物と反応させて、式(V)
【化30】
【0075】
〔式中、Rは、C-Cアルキルであり、好ましくは、C-Cアルキルであり、最も好ましくは、エチルである〕
で表される化合物を生成させることを含む。
【0076】
一実施形態では、その方法は、さらに、式(V)で表される化合物のエナンチオマーを分離させて、式(VI)で表される化合物を生成させることを含む。
【0077】
一実施形態では、エナンチオマーの分離は、キラルクロマトグラフィーによって達成される。
【0078】
本発明の一実施形態は、式(V)
【化31】
【0079】
〔式中、Rは、C-Cアルキルであり、好ましくは、C-Cアルキルであり、最も好ましくは、エチルである〕
で表される化合物である。
【0080】
本発明の一実施形態は、式(VI)
【化32】
【0081】
〔式中、Rは、C-Cアルキルであり、好ましくは、C-Cアルキルであり、最も好ましくは、エチルである〕
で表される化合物である。
【0082】
本発明の一実施形態は、式(XIII)
【化33】
【0083】
〔式中、Rは、C-Cアルキルであり、好ましくは、C-Cアルキルであり、最も好ましくは、エチルである〕
で表される化合物である。
【0084】
本発明の一実施形態は、式(XIV)
【化34】
【0085】
で表される化合物である。
【0086】
本発明の追加の実施形態は、式(I)
【化35】
【0087】
で表される化合物を製造する方法であり、ここで、該方法は、
式(XVI)
【化36】
【0088】
で表される化合物を、式(XIIa)
【化37】
【0089】
で表される化合物と反応させて、式(I)で表される化合物を生成させることを含む。
【0090】
HPLC法:
方法A
Agilent Technologies UHPLC/MSD 6130 B Series 1290、これは、以下のもので構成されている:
バイナリポンプG7120A(脱ガス剤含有);
ウェルプレートサンプラーG4226A;
カラムオーブンG1316B;
ダイオードアレイ検出器G4212A;
質量検出器G6130B四重極LC/MS、ESIソース付き;
カラム: Waters XP、2.1×50mm Xbridge BEH C18 2.5μ、T=40℃;
溶離液: A:アセトニトリル(0.05%(vol./vol.)ギ酸含有);
B:水(0.05%(vol./vol.)ギ酸含有);
流量: 0.8mL/分;
勾配: 2→100%溶離液A 1.2分、0.5分100%溶離液A;
実行時間: 2.2分;
検出: ESI/MS、正及び負イオンスキャン: 100-1000m/z;
UV 254及び210nm。
【0091】
方法B
Agilent Technologies UHPLC/MS 1260 Series、これは、以下のもので構成されている:
バイナリポンプG7120A(脱ガス剤含有);
ウェルプレートサンプラーG4226A;
カラムオーブンG7116B;
ダイオードアレイ検出器G7117B;
質量検出器G6150B四重極LC/MS、ESI-ジェットストリームソース付き;
カラム: Waters XP、2.1×50mm Xbridge BEH C18 2.5μ、T=40℃;
溶離液: A:アセトニトリル(0.05%(vol./vol.)ギ酸含有);
B:水(0.05%(vol./vol.)ギ酸含有);
流量: 0.8mL/分;
勾配: 2→100%溶離液A 1.2分、0.5分100%溶離液A;
実行時間: 2.2分;
検出: ESI/MS、正及び負イオンスキャン: 100-1000m/z;
UV 254及び210nm。
【0092】
方法C
Agilent Technologies UHPLC/MS 1260 Series、これは、以下のもので構成されている:
バイナリポンプG4220A(脱ガス剤含有);
ウェルプレートサンプラーG4226A;
カラムオーブンG7116B;
ダイオードアレイ検出器G4212A;
質量検出器G6130B四重極LC/MS、ESI/APCI-マルチモードソース付き;
カラム: Waters XP、2.1×50mm Xbridge BEH C18 2.5μ、T=40℃;
溶離液: A:アセトニトリル(0.05%(vol./vol.)ギ酸含有);
B:水(0.05%(vol./vol.)ギ酸含有);
流量: 0.8mL/分;
勾配: 2→100%溶離液A 1.2分、0.5分100%溶離液A;
実行時間: 2.2分;
検出: ESI/MS、正及び負イオンスキャン: 100-1000m/z;
UV 254及び210nm。
【実施例
【0093】
3-アミノ-1-[(トランス)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]ピラゾール-4-カルボン酸エチル(III)の合成
【化38】
【0094】
還流冷却器、機械的撹拌機、内部温度計、ガススクラバーを備え、窒素雰囲気下に置かれたジャケット付きガラス製反応器(10L)に、乾燥アセトニトリル(2.55L)及びジヒドロ-2H-ピラン-4(3H)-オン(II)(365g、3.65mol)を装入する。得られた混合物を撹拌し、その温度を-5~0℃に調節する。その溶液に、温度を10℃未満に維持しながら、ヨウ化亜鉛(35g、0.11mol)を添加する。温度を-5~0℃に調節した後、温度を0℃未満に維持しながら、トリメチルシランカルボニトリル(433mL、3.46mol)を80分かけて滴下して加える。0℃で3時間の反応時間の後、出発物質の完全な変換が観察され、そして、その反応混合物に、ピリジン(1.76L、21.9mol)を添加し、続いて、塩化ホスホリル(510mL;5.47mol)を添加する。温度を80℃に上げ、反応混合物をこの温度で16時間撹拌する。次いで、その反応混合物を室温に冷却し、水性50%水酸化ナトリウムの添加によりpH>10に調節された水(7.3L)中の硫酸鉄七水和物(304g、1.09mol)の溶液に添加する。その反応混合物を塩基性硫酸鉄溶液に添加している間、温度は20℃未満に維持し、pHは50%水酸化ナトリウム水溶液の添加により10以上に維持する。得られた混合物をメチル-tert-ブチルエーテル(3.5L)で抽出し、有機層を収集し、水層を水(6L)で希釈する。その希釈された水層をメチル-tert-ブチルエーテル(2×2.5L)で抽出する。合わせた有機層を飽和水性炭酸水素ナトリウム(1.83L)で洗浄し、40℃で減圧下で濃縮する。粗残渣を減圧下(0.5mbarでbp約45℃)で蒸留することで、所望の生成物(III)が無色の油状物(289g、2.6mol)として得られる。
【0095】
HPLC方法A: 保持時間:0.58分; m/z 110。
【0096】
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 6.60 - 6.57 (1H, m); 4.21 - 4.18 (2H, m); 3.75 (2H, J = 5.52 Hz, t); 2.31 - 2.25 (2H, m)。
【0097】
2,6-ジフルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(VIII)の合成
【化39】
【0098】
ビス(ピナコラート)ジボロン(68.8g、0.27mol);4,4’-ジ-tert-ブチルビピリジン(2.10g、7.82mmol)及び(1,5-シクロオクタジエン)(メトキシ)イリジウム(I)二量体(2.59g、3.91mmol)を、不活性雰囲気下、メチル-tert-ブチルエーテル(10mL)に懸濁させ、2,6-ジフルオロピリジン(VII)(23.8mL、0.26mol)を添加した。温度をゆっくりと45℃に上げ、反応混合物をこの温度で5時間撹拌した。次いで、その反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。単離された残渣を、溶離液としてペンタンを使用する短いシリカゲルカラムで濾過することによって精製して、所望の生成物(VIII)が無色の固体(32.7g、0.14mol)として得られた。
【0099】
HPLC方法A: 保持時間:0.68分; m/z 581
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.08 (2H, m); 1.28 (12H, s)。
【0100】
4-ブロモ-2-フルオロ-6-メトキシ-ピリジン(XIIb)の合成
【化40】
【0101】
2,6-ジフルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(VIII)(32g、133mmol)をメタノール(380mL)に溶解させ、臭化銅(II)の1.1M水溶液(104g、465mmol)を添加した。得られた混合物を加熱還流し、この温度で90分間撹拌した。加熱を停止し、反応混合物を氷浴で0℃に冷却した後、撹拌しながら10%水酸化アンモニウム水溶液(300mL)を滴下して加えた。得られた混合物をペンタン(3×200mL)で抽出し、ペンタン中の所望の生成物(XI)の溶液を直接次の段階に使用した。ペンタン中の4-ブロモ-2-フルオロ-6-メトキシ-ピリジン(XI)の溶液に乾燥メタノール(160mL)を添加し、約20℃で撹拌しながら、乾燥メタノール(88.4mL)中のナトリウムメトキシド(100mmol)の溶液を添加した。2.5時間の反応時間の後、混合物を氷浴を適用することにより0℃に冷却し、混合物を2N水性塩酸(224mL)と氷(224g)の撹拌混合物に注いだ。有機層が分離した後、水層をペンタン(100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、減圧下(700~750mbar)、約38℃で濃縮した。所望の生成物(XIIb)が、残留ペンタン(11重量%)の存在下で、淡黄色の固体(21.5g、92mmol)として得られた。
【0102】
HPLC方法A: 保持時間:1.11分
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 6.82 (1H, m); 6.68 - 6.67 (1H, m); 3.93 (3H, s)。
【0103】
2-フルオロ-6-メトキシ-4-ヨード-ピリジン(XIIa)の合成
【化41】
【0104】
不活性雰囲気下、乾燥したフラスコ(20L)に、15℃で乾燥テトラヒドロフラン(5.99L)を装入した。2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(1161g、8.22mol)を加え、得られた溶液を-30℃に冷却した。ヘキサン中のn-BuLiの溶液(2292mL、7.47mol)を、温度を約-30℃に維持しながら30分で滴下して加えた。得られた混合物をこの温度で1時間撹拌した。次いで、その混合物を-75~-70℃に下げ、乾燥テトラヒドロフラン(1496mL)中の2-フルオロ-6-メトキシ-ピリジン(IX)(500g、3.93mol)の溶液を、温度を-75~-70℃に維持しながら30分で添加した。反応混合物をこの温度で90分間撹拌した後、乾燥テトラヒドロフラン(2494mL)中のヨウ素(998.4g、3.93mol)の溶液を、-75~-70℃で1時間以内で添加した。その混合物を-75~-70℃で14時間撹拌した。水(3.5L)を-75~-70℃で30分以内で添加し、その反応混合物を室温に到達させた。有機層を分離し、水層をメチル-tert-ブチルエーテル(2×2.5L)で抽出した。合わせた有機層を85重量%水性リン酸(2×4L)で洗浄し、30℃を超えない温度で4時間濃縮して総重量を1250gとした。102℃で水蒸気蒸留し、水層を分離した後、無色の油状物が得られた。その単離された油状物にヘプタン(390mL)を加え、得られた混合物を-10~-5℃で30分間撹拌した。形成された固体を濾過により収集し、少量の予冷したヘプタン(約55mL)で洗浄して、所望の生成物(XIIa)(530g、2.09mol)が得られた。
【0105】
HPLC方法A: 保持時間:1.14分
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.03 (1H, m); 6.88 - 6.86 (1H, m); 3.93 (3H, s)。
【0106】
3-アミノ-1-[(トランス)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]ピラゾール-4-カルボン酸エチル(V)の合成
【化42】
【0107】
還流冷却器、機械的撹拌機、内部温度計を備え、窒素雰囲気下に置かれたジャケット付きガラス製反応器(5L)に、乾燥アセトニトリル(750mL)、リン酸三カリウム一水和物(38.3g、0.16mol)及び3-アミノ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル(IV)(500g、3.19mol)を装入した。得られた混合物を80℃に加熱し、3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニトリル(III)(462g、4.15mol)を添加漏斗を介して迅速に添加した。添加漏斗をアセトニトリル(250mL)で濯ぎ、これも反応混合物に加えた。反応混合物を激しく撹拌しながら80℃で6.5時間反応させた後、加熱を停止し、その反応混合物をさらに一晩撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した後、黄色のスラリーが得られた。得られた物質を酢酸エチル(5L)で希釈し、得られた溶液を1M水性塩酸(3×1.5L)で抽出し、ブライン(1L)で1回洗浄し、硫酸マグネシウムのパッドで満たされたフィルターで濾過し、減圧下で濃縮して黄色の油状物が得られた。その黄色の油状物をメタノール(1.36L)に溶解し、得られた混合物を撹拌しながら40℃まで昇温させて、確実に均質化させた。次いで、その溶液を25℃に冷却し、この温度で2.0gの純粋な種晶を播種した後、-20℃で一晩穏やかに撹拌した。形成された沈澱物を濾去し、予冷したメタノール(1L)で洗浄し、減圧下、40℃で乾燥させて、オフホワイトの固体が得られた。単離された白色の固体を2-プロパノール(1L)中で1時間加熱還流し、混合物を一晩穏やかに撹拌しながらゆっくりと室温に到達させた。形成された沈澱物を濾去し、2-プロパノール(300mL)で洗浄し、減圧下、40℃で乾燥させて、所望の生成物(V)がオフホワイトの固体(347.2g、1.20mol)として得られた。
【0108】
HPLC方法A: 保持時間:0.75分; m/z 265
1HNMR (600 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.82 (s, 1H); 4.28 (2H, J = 7.1 Hz, q); 4.14 (1H, J = 4.3, 9.0 Hz, dt); 4.08 (1H, J = 4.2, 12.0 Hz, dd); 4.00 (1H, J = 4.0, 12.1 Hz, td); 3.90 (1H, J = 8.7, 12.0 Hz, dd); 3.55 - 3.50 (1H, m); 3.62 - 3.44 (2H, m); 2.20 - 2.10 (1H, m); 2.06 - 1.94 (1H, m); 1.34 (3H, J = 7.1 Hz, t)。
【0109】
3-アミノ-1-[(トランス)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]ピラゾール-4-カルボン酸エチル(V)の3-アミノ-1-[(3S,4R)-4-シアノテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル(VI)へのキラル分離
【化43】
【0110】
エナンチオマー(V)の混合物の単一のエナンチオマー(VI)への分離は、キラルクロマトグラフィーによって達成された。
【0111】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボン酸エチル(XIII)の合成
【化44】
【0112】
3-アミノ-1-[(3S,4R)-4-シアノテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル(VI)(50g、189mmol)、4-ブロモ-2-フルオロ-6-メトキシ-ピリジン(XIIb)(39g、189mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(3.57g、3.8mmol)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(3.21g、7.6mmol)及び酢酸カリウム(37.1g、378mmol)を不活性雰囲気下に置き、2-プロパノール(600mL)を添加した。得られた混合物を65℃に加熱し、この温度で90分間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を、減圧下、40℃で濃縮した。得られた粗残渣をアセトニトリル(650mL)と一緒に50℃で30分間撹拌した。温溶液をセライトのパッドで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を2-プロパノール(750mL)に溶解し、得られた混合物を100℃に昇温させ、次いで、穏やかに撹拌しながらゆっくりと室温に到達させた。形成された沈澱物を濾去し、湿ったケーキを2-プロパノール(50mL)で濯ぎ、次いで、減圧下、40℃で乾燥させて、所望の生成物(XIII)(61.2g、149mmol)が得られた。濾液を2-プロパノール濯ぎと合して減圧下で濃縮して、固体が得られた。新たに形成された固体を2-プロパノール(2×50mL)で洗浄し、減圧下、40℃で乾燥させて、所望の生成物(XIII)の第2の収穫物(8.2g、19.5mmol)が得られた。
【0113】
HPLC方法B: 保持時間:1.10分; m/z 390
1HNMR (600 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.61 (1H, s); 7.95 (1H, s); 6.73 (1H, s); 6.68 (1H, J = 1.5 Hz, d); 4.33 (2H, J = 7.1 Hz, q); 4.25 (1H, J = 4.2, 9.0 Hz, dt); 4.16 (1H, J = 4.2, 12.0 Hz, dd); 4.06 (1H, J = 4.0, 12.1 Hz, td); 3.98 (1H, J = 8.8, 12.1 Hz, dd); 3.92 (3H,s); 3.70 - 3.62 (1H, m); 3.61 - 3.52 (1H, m); 2.25 - 2.15 (1H, m); 2.06 (1H, J = 4.2, 10.3, 14.2 Hz, dtd); 1.38 (3H, J = 7.1 Hz, t)。
【0114】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボン酸エチル(XIII)の合成
【化45】
【0115】
3-アミノ-1-[(3S,4R)-4-シアノテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル(VI)(1g、3.78mmol)、2-フルオロ-4-ヨード-6-メトキシピリジン(XIIa)(1.15g、4.54mmol)、二酢酸パラジウム(21mg、0.095mmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(109mg、0.19mmol)及びリン酸三カリウム(2.41g、11.35mmol)を窒素雰囲気下に置き、1,4-ジオキサン(10mL)を添加した。得られた混合物を60℃に加熱し、この温度で18時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣を2-プロパノール(20mL)で希釈し、得られた混合物を、溶液が得られるまで温めた。加熱を停止し、その溶液をゆっくりと室温に到達させた。懸濁液を濾過して、形成された沈澱物を収集した。湿ったケーキを2-プロパノール(25mL)で濯ぎ、減圧下、40℃で乾燥させて、所望の生成物(XIII)がオフホワイトの固体(1.07g、2.75mmol)として得られた。濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣を還流下で2-プロパノール(5mL)で希釈して、得られた沈澱物を濾過及び乾燥させた後、所望の生成物(XIII)の第2の収穫物(180mg、0.5mmol)が得られた。
【0116】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボン酸(XIV)の合成
【化46】
【0117】
臭化リチウム(769mg、8.86mmol)及びトリエチルアミン(380μL、2.66mmol)を、アセトニトリル(4.34mL)と水(87μL)中の1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボン酸エチル(XIII)(345mg、0.89mmol)の溶液に加え、得られた混合物を80℃で20時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(25mL)で希釈し、飽和水性炭酸水素ナトリウム(3×10mL)で抽出した。合わせた水層を、1M水性塩酸を添加することによって酸性化してpH3とした。形成された沈澱物を濾過により単離し、減圧下、40℃で乾燥させて、所望の生成物(XIV)が無色の固体(308mg、0.85mmol)として得られた。
【0118】
HPLC方法C: 保持時間:0.88分; m/z 362。
【0119】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)の合成
【化47】
【0120】
N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(245mg、1.28mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(131mg、0.85mmol)、塩化アンモニウム(91mg、1.71mmol)、トリエチルアミン(238μL、1.71mmol)及び1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボン酸(XIV)(308mg、0.85mmol)を、テトラヒドロフラン(3mL)とN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)の混合物中で、室温で90分間撹拌した。反応混合物に飽和水性炭酸水素ナトリウム(5mL)を添加し、水層を酢酸エチル(2×15mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(5mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製の所望の生成物(I)(276mg、0.77mmol)が得られた。
【0121】
HPLC方法A: 保持時間:0.86分; m/z 361
1HNMR (600 MHz, CDCl3) δ (ppm): 9.70 (1H, s); 8.35 (1H, s); 7.83 (1H, br s); 7.32 (1H, br s); 7.03 - 6.68 (2H, m); 4.64 (1H, J = 4.4, 10.2 Hz, dt); 4.04 (1H, J = 4.4, 11.3 Hz, dd); 3.94 - 3.86 (1H, m); 3.79 (3H, s); 3.71 - 3.59 (2H, m); 3.49 (1H, J = 2.2, 11.7 Hz, dt); 2.20 - 2.12 (1H, m); 2.04 - 1.93 (1H, m)。
【0122】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)への精製
【化48】
【0123】
ガラスで裏打ちされた160L容の容器に、粗製(I)(3.72kg、10.32mol)及びメタノール(80.8L)を装入した。内容物を加熱還流(65℃)し、化合物(I)の真性の種晶(109g、302.5mmol)をメタノール(1.9L)中のスラリーとして装入した。混合物を275rpmで撹拌し、14.5時間熟成させた。スラリーを60℃に冷却し、分析目的でサンプリングした。純粋な化合物(I)が得られた。そのスラリーを65℃から20℃に12時間かけて冷却し、次いで、20℃で6時間熟成させた。バッチを濾過し、ケーキをメタノール(5.4l)で洗浄した。固体を、窒素ブリードを備えた真空オーブン内で40℃で23時間乾燥させた。次いで、その物質をCo-Millに通して塊を粉砕し、化合物(I)(2.21kg、6.14mol)が白色粉末として得られた。
【0124】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)の代替合成
【化49】
【0125】
第1の容器内で、N,N-ジメチルアセトアミド(7.55L)を表面下窒素を使用して30分間脱ガスした。tBuBrettPhos(96.0g、0.198mol)及びアリルパラジウム(II)クロリド二量体(36.2g、0.099mol)を添加し、得られた混合物を、表面下窒素パージしながら20℃で100分間撹拌した。別の容器に、化合物(XVI)(2.32kg、9.88mol)を、化合物(XIIa)(2.50kg、9.88mol)、リン酸三カリウム(4.19kg、19.76mol)及びN,N-ジメチルアセトアミド(17.55L)と一緒に装入した。得られた混合物を撹拌及び脱ガスし、そして、第1の容器内で調製した触媒の溶液を添加した。第1の容器をN,N-ジメチルアセトアミド(0.5L)で濯ぎ、これも反応混合物に加えた。次いで、その反応混合物を室温で撹拌し、完全な変換が観察されるまでUV-HPLCでモニターした。その反応混合物を濾過し、湿ったケーキをN,N-ジメチルアセトアミド(5L)で洗浄した。濾液を0~5℃に冷却し、温度を0~5℃に維持しながら水(90L)を105分かけて加えた。得られたスラリーをこの温度で1時間熟成させた。次いで、そのスラリーを濾過し、ケーキを水(10L及び20L)で2回洗浄し、そして、メタノール(15L及び3×19L)で4回洗浄した。湿ったケーキを窒素流下で乾燥させて、所望の化合物(I)(3.14kg、0.154mol)が得られた。