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特許7497358層状三元変換(TWC)触媒およびその触媒を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】層状三元変換(TWC)触媒およびその触媒を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/57 20240101AFI20240603BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240603BHJP
   B01J 23/63 20060101ALI20240603BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20240603BHJP
   B01J 37/03 20060101ALI20240603BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20240603BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240603BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20240603BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B01J35/57 L
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
B01J23/63 A
B01J37/02 101D
B01J37/02 301C
B01J37/03 B
B01J37/04 102
B01J37/08 ZAB
F01N3/10 A
F01N3/28 301A
F01N3/28 301P
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021533831
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 IB2019060713
(87)【国際公開番号】W WO2020121245
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】62/779,037
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】19153168.0
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】リウ,フートン
(72)【発明者】
【氏名】ディーバ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,ケ-ビン
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0180464(US,A1)
【文献】特表2014-509241(JP,A)
【文献】国際公開第2013/065421(WO,A1)
【文献】特表2016-505380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
B01D 53/94
F01N 3/00 - 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関からの排気ガスを精製するための層状三元触媒組成物であって、前記触媒が、
a)第1の層であって、
i)少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムと、
ii)酸化バリウムと、を含み、
前記第1の層が、本質的にストロンチウムを含まず、ストロンチウムの量が、0.01%未満である、第1の層と、
b)第2の層であって、
i)少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持されたロジウムと、
ii)酸化ストロンチウムおよび/または酸化バリウムと、
iii)任意選択で、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持されたパラジウムと、を含む、第2の層と、を備え、且つ
前記第1の層中の前記アルミナ成分上に担持されたパラジウムの量が、前記第1の層中に存在するパラジウムの総量に対して、20~70重量%の範囲であり、前記第1の層中の前記酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムの量が、前記第1の層中に存在するパラジウムの総量に対して、30~60%重量%の範囲である、層状三元触媒組成物。
【請求項2】
前記組成物が、基材をさらに備え、前記第1の層または前記第2の層が、前記基材上に堆積される、請求項1に記載の層状三元触媒組成物。
【請求項3】
前記アルミナ成分が、ランタナ-アルミナ、セリア-アルミナ、セリア-ジルコニア-アルミナ、ジルコニア-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリア-ランタナ-アルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミア-アルミナ、またはそれらの組み合わせを含み、前記酸素貯蔵成分が、セリア-ジルコニア、セリア-ジルコニア-ランタナ、セリア-ジルコニア-イットリウム、セリア-ジルコニア-ランタナ-イットリウム、セリア-ジルコニア-ネオジム、セリア-ジルコニア-プラセオジム、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジム、セリア-ジルコニア-ランタナ-プラセオジム、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジム-プラセオジム、またはそれらの組み合わせを含み、前記ジルコニア成分が、ジルコニア、ランタナ-ジルコニア、バリウム-ジルコニア、およびセリア-ジルコニアを含む、請求項1および2に記載の層状三元触媒組成物。
【請求項4】
前記ジルコニア成分が、セリア-ジルコニアを含み、セリアの量が、前記ジルコニア成分の総重量に対して0~20重量%の範囲である、請求項1~3に記載の層状三元触媒組成物。
【請求項5】
前記第1の層中の前記少なくとも1つのアルミナ成分と前記少なくとも1つの酸素貯蔵成分との重量比が、1:0.2~1:1の範囲である、請求項1~4に記載の層状三元触媒組成物。
【請求項6】
前記第1の層が、前記アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された5~200g/ft(0.1766~7.062kg/m)のパラジウムで充填され、前記第2の層が、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持された0~80g/ft(0~2.8251kg/m)のパラジウムで充填され、前記第2の層が、少なくとも1つのジルコニア成分上に担持された0.2~30g/ft(0.007~1.059kg/m)のロジウムで充填され、前記第1の層が、0.01~0.4g/in(0.610~24.40kg/m)の酸化バリウムで充填され、前記第2の層が、0~0.2g/in(0~12.20kg/m)の酸化バリウムまたは0.01~0.2g/in(0.610~12.20kg/m)の酸化ストロンチウムで充填される、請求項1~5に記載の層状三元触媒組成物。
【請求項7】
前記第2の層が、ジルコニア上に担持されたロジウムおよびセリア-ジルコニア上に担持されたロジウムを含む、請求項1~に記載の層状三元触媒組成物。
【請求項8】
前記第2の層が、少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持されたロジウム、酸化ストロンチウムおよび/または酸化バリウム、ならびに少なくとも1つのアルミナ成分上に担持されたパラジウムを含む、請求項1~に記載の層状三元触媒組成物。
【請求項9】
前記基材が、セラミックまたは金属である、請求項2~のいずれかに記載の三元触媒組成物。
【請求項10】
前記第2の層が、第1のゾーンおよび第2のゾーンを備え、
前記第1のゾーンが、
(i)少なくとも1つのアルミナ成分上に担持されたパラジウムと、
(ii)少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持されたロジウムと、
(iii)酸化ストロンチウムおよび/または酸化バリウムと、を含み、
前記第2のゾーンが、
(i)少なくとも1つのアルミナ成分上に担持されたパラジウムと、
(ii)少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持されたロジウムと、を含む、請求項1~のいずれかに記載の層状三元触媒組成物。
【請求項11】
前記第1の層が、第1のゾーンおよび第2のゾーンを備え、
前記第1のゾーンが、
i)少なくとも1つのアルミナ成分と、
ii)アルミナ上に担持されたパラジウムと、
iii)酸化バリウムと、を含み、
前記第2のゾーンが、
i)少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分と、
ii)前記アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムと、
iii)酸化バリウムと、を含む、請求項1~10に記載の層状三元触媒組成物。
【請求項12】
前記第1の層および前記第2の層の両方が、第1のゾーンおよび第2のゾーンを備え、
前記第1の層の前記第1のゾーンが、
i)少なくとも1つのアルミナ成分と、
ii)アルミナ上に担持されたパラジウムと、
iii)酸化バリウムと、を含み、
前記第1の層の前記第2のゾーンが、
i)少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分と、
ii)前記アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムと、
iii)酸化バリウムと、を含み、
前記第2の層の前記第1のゾーンが、
i)少なくとも1つのアルミナ成分上に担持されたパラジウムと、
ii)少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持されたロジウムと、
iii)酸化ストロンチウムおよび/または酸化バリウムと、を含み、
前記第2の層の前記第2のゾーンが、
i)少なくとも1つのアルミナ成分上に担持されたパラジウムと、
ii)少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持されたロジウムと、を含む、請求項1~11に記載の層状三元触媒組成物。
【請求項13】
前記組成物が、基材をさらに備え、前記第1のゾーンおよび/または第2のゾーンが、前記基材上に堆積される、請求項1012のいずれかに記載の層状三元触媒組成物。
【請求項14】
請求項1~13に記載の層状三元触媒組成物を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、第1の層を調製することと、任意選択で、基材上に前記第1の層を堆積することと、第2の層を調製することと、前記第1の層上に前記第2の層を堆積させて、続いて500℃~600℃の範囲の温度で焼成することと、を含み、前記第1の層および前記第2の層を調製するステップが、インシピエントウェットネス含浸技術(A)、共沈技術(B)、および共含浸技術(C)から選択される技術を含む、プロセス。
【請求項15】
前記インシピエントウェットネス含浸技術(A)が、
i.少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分上に酸化バリウムを充填して、第1の混合物を得ることと、
ii.前記混合物を焼成に供して、第1の焼成混合物を得ることと、
iii.前記第1の焼成混合物にパラジウムを含浸させて、第1の層を得ることと、
iv.少なくとも1つのアルミナ成分上に酸化ストロンチウムまたは酸化バリウムを充填して、第2の混合物を得ることと、
v.前記第2の混合物を焼成に供して、第2の焼成混合物を得ることと、
vi.前記第2の焼成混合物にパラジウムを含浸させて、第1の材料を得ることと、
vii.少なくとも1つのジルコニア成分上に酸化ストロンチウムおよび/または酸化バリウムを充填して、第3の混合物を得ることと、
viii.前記第3の混合物を焼成に供して、第3の焼成混合物を得ることと、
ix.前記第3の焼成混合物にロジウムを含浸させて、第2の材料を得ることと、
x.前記第1の材料と前記第2の材料とを混合して、第2の層を得ることと、
xi.前記第1の層上に前記第2の層を堆積させて、前記層状三元触媒組成物を得ることと、を含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記共沈技術(B)が、
i.酸化バリウムおよびパラジウムを、前記アルミナ成分の少なくとも1つの前駆体および前記酸素貯蔵成分の少なくとも1つの前駆体との共沈によって、少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分に組み込んで、第1の混合物を得ることと、
ii.前記第1の混合物を焼成に供して、第1の層を得ることと、
iii.酸化ストロンチウムまたは酸化バリウムのいずれか、およびパラジウムを、前記アルミナ成分の少なくとも1つの前駆体との共沈によって少なくとも1つのアルミナ成分に組み込んで、第2の混合物を得ることと、
iv.前記第2の混合物を焼成に供して、第1の材料を得ることと、
v.酸化ストロンチウムならびに/または酸化バリウムおよびロジウムを、共沈によって少なくとも1つのジルコニア成分に組み込んで、第3の混合物を得ることと、
vi.前記第3の混合物を焼成に供して、第2の材料を得ることと、
vii.前記第1の材料と前記第2の材料とを混合して、前記第2の層を得ることと、
viii.前記第1の層上に前記第2の層を堆積させて、前記層状三元触媒組成物を得ることと、を含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
前記共含浸技術()が、
i.酸化バリウムまたはその前駆体およびパラジウムまたはその前駆体を、共含浸によって少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分に組み込んで、第1の混合物を得ることと、
ii.前記第1の混合物を焼成に供して、第1の層を得ることと、
iii.酸化ストロンチウムもしくはその前駆体または酸化バリウムもしくはその前駆体のいずれか、およびパラジウムもしくはその前駆体を、共含浸によって少なくとも1つのアルミナ成分に組み込んで、第2の混合物を得ることと、
iv.前記第2の混合物を焼成に供して、第1の材料を得ることと、
v.酸化ストロンチウムもしくはその前駆体ならびに/または酸化バリウムもしくはその前駆体のいずれか、およびロジウムまたはその前駆体を、共含浸によって少なくとも1つのジルコニア成分に組み込んで、第3の混合物を得ることと、
vi.前記第3の混合物を焼成に供して、第2の材料を得ることと、
vii.前記第1の材料と前記第2の材料とを混合して、前記第2の層を得ることと、
viii.前記第1の層上に前記第2の層を堆積させて、前記層状三元触媒組成物を得ることと、を含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項18】
前記プロセスが、i)基材を提供するステップと、ii)前記基材上に前記第1の層を堆積するステップと、iii)前記第1の層上に前記第2の層を堆積するステップと、を含む、請求項1417に記載のプロセス。
【請求項19】
前記バリウムの前駆体が、硝酸バリウム、塩化バリウム、酢酸バリウム、シュウ酸バリウム、アルミン酸バリウム、ホウ酸バリウム、フッ化バリウム、炭酸バリウム、水酸化バリウム、硫酸バリウム、および亜硫酸バリウムから選択され、前記ストロンチウムの前駆体が、硝酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、およびシュウ酸ストロンチウムから選択され、前記パラジウムの前駆体が、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、および酢酸パラジウムから選択され、前記ロジウムの前駆体が、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、および酢酸ロジウムから選択される、請求項1718のいずれかに記載のプロセス。
【請求項20】
炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を処理する方法であって、前記排気流を、請求項1~13に記載の触媒組成物、または請求項1419に記載のプロセスによって得られる触媒組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項21】
ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物レベルを低減する方法であって、前記ガス状排気流を、請求項1~13に記載の触媒組成物、または請求項1419に記載のプロセスによって得られた触媒組成物と接触させて、前記排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減することを含む、方法。
【請求項22】
前記排気ガス中に存在する前記炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルが、前記触媒組成物と接触する前の前記排気ガス流中の前記炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルと比較して、少なくとも50%低減する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を精製するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の触媒組成物、または請求項1419に記載のプロセスによって得られる触媒組成物の使用。
【請求項24】
内燃機関の下流に配置された、請求項1~13に記載の三元触媒組成物、または請求項1419に記載のプロセスによって得られる三元触媒組成物を含む、内燃機関用の排気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスを処理してその中に含有される汚染物質を低減するのに有用な層状触媒組成物に関する。特に、本発明は、改善された三元変換(TWC)触媒およびその触媒を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三元変換(TWC)触媒(以下、三元変換触媒、三元触媒、TWC触媒、およびTWCと互換的に呼ぶ)は、内燃機関からの排気ガス流の処理に数年間利用されてきた。一般に、炭化水素、窒素酸化物、および一酸化炭素などの汚染物質を含有する排気ガスを処理または精製するために、三元変換触媒を含有する触媒コンバーターが内燃機関の排気ガスラインで使用される。三元変換触媒は、典型的には、未燃の炭化水素および一酸化炭素を酸化し、窒素酸化物を還元することが知られている。
【0003】
TWC触媒は、モノリシックキャリアなどの担体上にさらに支えられたアルミナなどの耐熱金属酸化物担体上に堆積された白金、パラジウム、ロジウム、レニウム、およびイリジウムなどの1つ以上の白金族金属(以下、互換的にPGMと呼ぶ)を含む。
【0004】
様々な政府で設定された未燃炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物汚染物質の排出基準を満たすために、毎年大量の触媒コンバーターを車両に搭載する必要があり、次にガソリン排出制御で非常に大量のPGMを消費する。同様の状況は、ディーゼル酸化触媒(DOC)などのPGM成分を使用したディーゼル排出制御、および特に新興アジア地域でのPGM使用の需要の増加に伴う揮発性有機化合物(VOC)排除などの室内空気汚染制御にも存在する。
【0005】
したがって、より一層厳しい排出基準を実現するために使用できるPGMを大幅に減らすような、TWC用途におけるPGM触媒の固有の活性の改善が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、パラジウム(Pd)およびロジウム(Rh)などのPGMと密接に接触する電子修飾剤として作用することが見出されている酸化バリウム(BaO)および酸化ストロンチウム(SrO)などのアルカリ土類金属酸化物促進剤を利用することによるPGM有効性の増強を対象とする。これらの促進剤は、反応条件下でのPGMの還元性を改善し、それによって触媒性能を促進することが見出されている。したがって、パラジウム、プラチナ、およびロジウムなどの貴金属の充填量を増やすことなく、より厳しい排出規制に満たすために、TWC性能は、大きく改善される。
【0007】
したがって、一態様では、本発明は、内燃機関からの排気ガスを精製するための層状三元触媒組成物を提供する。触媒組成物は、自動車の排気ガスからの窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、および炭化水素(HC)排出物の少なくとも一部を除去することが見出されている。触媒組成物は、ガソリン内燃機関の三元触媒(TWC)用途で特に有用である。一実施形態では、触媒は、i)少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムと、ii)酸化バリウムと、を含む、第1の層であって、本質的にストロンチウムを含まず、ストロンチウムの量が、0.01%未満である、第1の層と、少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持されたロジウムと、酸化ストロンチウムおよび/または酸化バリウムと、任意選択で、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持されたパラジウムと、を含む、第2の層と、を備える。
【0008】
一実施形態では、第1の層は、アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された5~200g/ft(0.1766~7.062kg/m)のパラジウムおよび0.01~0.4g/in(0.610~24.40kg/m)の酸化バリウムで充填される。一実施形態では、第2の層は、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持された0~80g/ft(0~2.8251kg/m)のパラジウム、少なくとも1つのジルコニアまたはアルミナ成分上に担持された0.2~30g/ft(0.007~1.059kg/m)のロジウム、および0~0.2g/in(0~12.20kg/m)の酸化バリウム、または0.01~0.2g/in(0.610~12.20kg/m)の酸化ストロンチウムで充填される。別の実施形態では、層状三元触媒組成物は、基材を備え、第1の層または第2の層は、基材上に堆積される。
【0009】
さらに別の実施形態では、触媒組成物は、第1および/または第2の層が第1のゾーンおよび第2のゾーンに構成されるゾーン化された構成を示す。
【0010】
別の態様では、本発明は、本発明の層状三元触媒組成物を調製するためのプロセスを提供する。このプロセスは、第1の層を調製することと、任意選択で、基材上に第1の層を堆積することと、第2の層を調製することと、第1の層の上に第2の層を堆積させ、続いて焼成することと、を含む。第1の層および第2の層を調製するステップは、インシピエントウェットネス含浸技術(A)、共沈技術(B)、または共含浸技術(C)などの技術を伴う。
【0011】
さらに別の態様では、本発明は、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を処理する方法を提供する。この方法は、該排気流を、本発明の触媒組成物または本発明のプロセスによって得られた触媒組成物と接触させることを含む。
【0012】
さらに別の態様では、本発明は、ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減する方法を提供する。この方法は、ガス状排気流を、本発明の触媒組成物または本発明のプロセスによって得られた触媒組成物と接触させて、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減することを含む。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、排気ガス流と流体連通し、かつCOおよびHCの軽減ならびにNOxからNへの変換に適合した、内燃機関の下流に位置付けられた、本発明による三元触媒組成物、または本発明のプロセスによって得られる触媒組成物を含む内燃機関用の排気システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の実施形態の理解を提供するために、添付図面が参照され、これらは、必ずしも縮尺どおりに描かれておらず、参照番号は、本発明の例示的な実施形態の成分を指す。図面は、単なる例示であり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明の上記および他の特徴、それらの性質、ならびに様々な利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮すると、より明らかになるであろう。
【0015】
図1】層状構成における触媒物品設計の概略図である。
図2】SrOを用いておよび用いずに、5時間、950/1050℃のリーンリッチ(10%の水蒸気)老化したPdおよびRh粉末試料に対する着火試験中のCO、NOx、およびHCのT50結果を示す棒グラフである。
図3A】SrOを用いておよび用いずに、5時間、950/1050℃のリーンリッチ(10%の蒸気)老化したPdおよびRh試料に対する450℃でのOSC試験結果を示す棒グラフである。
図3B】SrOを用いておよび用いずに、5時間、950/1050℃のリーンリッチ(10%の水蒸気)老化したRh粉末試料に対する350/450℃でのλ掃引(平均λ=1.05、1.02、1.01、1.00、0.99、0.98、0.96)時のCO、HC、NOx変換を示す棒グラフである。
図4】SrOを用いておよび用いずに、5時間、950/1050℃のリーンリッチ(10%の水蒸気)老化したPdまたはRh/CeO-ZrO試料に対する着火試験時のCO、NOx、およびHCのT50結果を示す棒グラフである。
図5】SrOを用いておよび用いらずに、5時間、950/1050℃のリーンリッチ(10%の蒸気)老化したPdまたはRh/CeO-ZrO試料に対する450℃でのOSC試験結果を示す棒グラフである。
図6】10%の蒸気を用いたリーンリッチ条件下で、5時間、950℃で老化した3%のPd-5%のSrO-Al触媒のSTEM/EDSマッピングである。
図7】10%の蒸気を用いたリーンリッチ条件下で、5時間、950℃で老化した1%のRh-5%のSrO-ZrO触媒のSTEM/EDSマッピングである。
図8】参照触媒および発明触媒の累積CO排出量、HC排出量、およびNOx排出量についての車両でのFTP-75ミッドベッド試験結果を示す線グラフである。
図9】参照触媒および発明触媒の累積CO排出量、HC排出量、およびNOx排出量についての車両でのFTP-75テールパイプ試験結果を示す線グラフである。
図10】本発明の一実施形態による層状触媒組成物を含み得るハニカム型基材担体の斜視図である。
図11図10に対して拡大し、かつ図10の基材担体の端面に平行な平面に沿って切り取った部分断面図であり、図10に示される複数のガス流路の拡大図である。
図12図10でのハニカム型基材が、壁流フィルタ基材モノリスを表す、図10に対して拡大された断面の破断図である。
図13】本発明の1つの例証的な実施形態による排気システムを示す図である。
図14】ゾーン化された構成での触媒物品設計の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
これより、以下で本発明をより十分に説明する。本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本発明が十分かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。本明細書中のいかなる言葉も、請求されていない要素を、開示された材料および方法の実施に必須であることを示すものと解釈されるべきではない。
【0017】
本明細書に考察される材料および方法を説明する文脈(特に以下の請求項の文脈)における「a」、「an」、「the」という用語、および同様の指示語の使用は、本明細書で別途指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈される。
【0018】
本明細書での値の範囲の記載は、本明細書で別途指示がない限り、単に範囲内に含まれる各個別の値を個々に参照する簡略法として機能することを意図し、各個別の値は、本明細書で個別に記載されたように本明細書に組み込まれる。
【0019】
本明細書全体を通して使用される「約」という用語は、小さな変動を説明し、釈明するために使用される。例えば、「約」という用語は、±5%以下、例えば、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.2%以下、±0.1%以下、または±0.05%以下を指す。全ての数値は、明示的に示されているか否かに関わらず、「約」という用語によって修飾される。もちろん、「約」という用語によって修飾される値には、特定の値が含まれる。例えば、「約5.0」には、5.0が含まれる必要がある。
【0020】
本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書で別途指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供される任意および全ての例または例示的言語(例えば「など」)の使用は、材料および方法をよりよく説明することのみを意図したものであり、別途請求されない限り、範囲を限定するものではない。
【0021】
一態様では、本発明は、内燃機関からの排気ガスまたは排気流を効率的に精製するための、三元変換触媒組成物を含有するPGM、およびそのような組成物を層状構成に組み込んだ三元変換触媒物品を提供する。
【0022】
一実施形態では、触媒組成物は、2つ以上の層を備え、各層は、所定の最適化された組成物を有する。触媒組成物中の層の順序は、触媒組成物の触媒活性に重大な影響を与える。一実施形態では、触媒組成物は、第1の層および第2の層を備える。一実施形態では、第1の層は、白金族金属としてのパラジウムおよび担体材料上に担持された促進剤としての酸化バリウムを含む。担体材料は、少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分を含む。一実施形態では、触媒組成物の第1の層(最下層)におけるストロンチウムの存在が、触媒の性能に悪影響を与えることが見出されているので、第1の層は、本質的にストロンチウムを含まない。本発明の文脈では、第1の層は、基材上に堆積された最下層である。
【0023】
一実施形態では、触媒組成物の第2の層は、白金族金属としてロジウムおよび任意選択でパラジウム、ならびに促進剤として酸化ストロンチウムおよび/または酸化バリウムのいずれかを含む。一実施形態では、第2の層中に存在するパラジウムは、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持され、一方、ロジウムは、増強された固有の触媒性能を得るために、少なくとも1つのジルコニア成分上に担持される。一実施形態では、第2の層は、ジルコニア上に担持されたロジウムおよびセリア-ジルコニア上に担持されたロジウムを含む。別の実施形態では、第2の層は、少なくとも1つのジルコニア成分上に担持されたロジウムを含む。
【0024】
本明細書で使用されているように、「触媒」または「触媒組成物」という用語は、反応を促進する物質を指す。
【0025】
本明細書で使用されているように、「流」という用語は、広義的には、固体または液体の微粒子状物質を含み得る流動ガスの任意の組み合わせを指す。
【0026】
本明細書で使用されているように、「上流」および「下流」という用語は、エンジンからテールパイプに向かうエンジン排気ガス流の流れに応じた相対的な方向を指し、エンジンは上流位置にあり、テールパイプおよびあらゆる汚染物軽減物品、例えばフィルタおよび触媒は、エンジンの下流にある。
【0027】
「排気流」、「エンジン排気流」、「排気ガス流」などの用語は、固体または液体の粒子状物質も含有し得る、流動するエンジン流出ガスの任意の組み合わせを指す。流れは、ガス状成分を含み、例えば、液滴、固体粒子などのようなある特定の非ガス状成分を含有し得る希薄燃焼エンジンの排気である。希薄燃焼エンジンの排気流は、典型的には、燃焼生成物、不完全燃焼生成物、窒素酸化物、可燃性および/または炭素質微粒子状物質(煤)、ならびに未反応の酸素および窒素をさらに含む。そのような用語は、本明細書に記載されるような1つ以上の他の触媒系成分の下流の流出物を同様に指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「本質的にストロンチウムを含まない」という用語は、第1の層にストロンチウムまたは酸化ストロンチウムを外部から添加しないことを指すが、任意選択で、0.01%未満などの端数として存在し得る。
【0029】
白金族金属(PGM)成分は、PGM(Ru、Rh、Os、Ir、Pd、Pt、および/またはAu)を含む任意の成分を指す。例えば、PGMは、原子価がゼロの金属形態であってもよく、またはPGMは、酸化物形態であってもよい。「PGM成分」についての言及は、任意の価電子状態でのPGMの存在を考慮に入れている。「白金(Pt)成分」、「ロジウム(Rh)成分」、「パラジウム(Pd)成分」、「イリジウム(Ir)成分」、「ルテニウム(Ru)成分」などの用語は、触媒のか焼または使用時に分解するか、さもなければ触媒活性形態、通常は金属または金属酸化物に変換する、それぞれの白金族金属化合物、錯体などを指す。
【0030】
触媒材料もしくは触媒組成物または触媒ウォッシュコートにおける「担体」は、沈殿、会合、分散、含浸、または他の好適な方法によって金属(例えば、PGM)、安定剤、促進剤、結合剤などを受容する材料を指す。例示的な担体としては、本明細書で以下に記載されるような耐熱金属酸化物担体が挙げられる。
【0031】
耐熱金属酸化物担体」は、例えば、バルクアルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、シリカ、マグネシア、ネオジミア、およびそのような使用が知られている他の材料、ならびに原子ドープされた組み合わせを含み、かつ高表面積または活性化アルミナなどの活性化合物を含むそれらの物理的混合物または化学的組み合わせを含む金属酸化物である。
【0032】
金属酸化物の例示的な組み合わせとしては、アルミナ-ジルコニア、アルミナ-セリア-ジルコニア、ランタナ-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリア-ランタナ-アルミナ、バリアランタナ-ネオジミアアルミナ、およびアルミナ-セリアが挙げられる。例示的なアルミナは、大きい細孔のベーマイト、ガンマ-アルミナ、およびデルタ/シータアルミナを含む。例示的なプロセスにおいて出発材料として使用される有用な市販のアルミナとしては、高仮比重ガンマ-アルミナ、低または中仮比重大細孔ガンマ-アルミナ、ならびに低仮比重大細孔ベーマイトおよびガンマ-アルミナなどの、活性アルミナが挙げられる。そのような材料は、一般に、得られる触媒に耐久性を提供すると考えられている。
【0033】
高表面積の耐熱金属酸化物担体」は、具体的には、20Åを超える細孔および広い細孔分布を有する担体粒子を指す。高表面積の耐熱金属酸化物担体、例えば、「ガンマアルミナ」または「活性アルミナ」とも呼ばれるアルミナ担体材料は、典型的には、1グラムあたり60平方メートル(「m2/g」)を超える、しばしば最大約200m2/g以上の未使用の材料のBET表面積を示す。そのような活性化アルミナは通常、アルミナのガンマ相とデルタ相との混合物であるが、相当量のエータ、カッパ、およびシータアルミナ相も含有してもよい。
【0034】
本明細書で使用される場合、「酸素貯蔵成分」(OSC)という用語は、多価状態を有し、かつ還元条件下で一酸化炭素(CO)および/または水素などの還元剤と能動的に反応し、次いで酸化条件下で酸素または窒素酸化物などの酸化剤と反応することができる実体を指す。酸素貯蔵成分の例としては、希土類酸化物、特にセリア、ランタナ、プラセオジム、ネオジミア、ニオブ、ユーロピア、サマリア、イッテルビア、イットリア、ジルコニア、およびセリアに加えてそれらの混合物が挙げられる。「NOx」という用語は、NOまたはNO2などの窒素酸化物化合物を指す。
【0035】
軽減という用語は、任意の手段により引き起こされる量の減少を意味する。
【0036】
本明細書で使用されているように、「含浸させた」または「含浸」とは、担体材料の多孔質構造に触媒材料が浸透することを指す。
【0037】
本発明の一実施形態に従った触媒組成物は、a)i)少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムと、ii)酸化バリウムと、を含む、第1の層であって、本質的にストロンチウムを含まず、ストロンチウムの量が、0.01%未満である、第1の層と、b)i)少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持されたロジウムと、ii)酸化ストロンチウムおよび/または酸化バリウムと、iii)任意選択で、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持されたパラジウムと、を含む、第2の層と、を備える。
【0038】
一実施形態では、第2の層は、少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持されたロジウム、酸化ストロンチウムおよび/または酸化バリウム、ならびに少なくとも1つのアルミナ成分上に担持されたパラジウムを含む。
【0039】
一実施形態では、層状三元触媒組成物は、基材をさらに備え、第1の層または第2の層が基材上に堆積される。1つの好ましい実施形態では、第1の層(最下層)が基材上に堆積される。
【0040】
本発明の一実施形態に従った触媒組成物は、a)i)少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムと、ii)酸化バリウムと、を含む、第1の層であって、本質的にストロンチウムを含まず、ストロンチウムの量が、0.01%未満である、第1の層と、b)i)少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持されたロジウムと、ii)酸化ストロンチウムおよび/または酸化バリウムと、iii)任意選択で、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持されたパラジウムと、を含む、第2の層と、c)基材であって、第1の層が基材上に堆積され、第2の層が第1の層上に堆積される、基材と、を備える。
【0041】
本発明の一実施形態に従った触媒組成物は、a)i)少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムと、ii)酸化バリウムと、を含む、第1の層であって、本質的にストロンチウムを含まず、ストロンチウムの量が、0.01%未満である、第1の層と、b)i)少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持されたロジウムと、ii)酸化ストロンチウムと、iii)任意選択で、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持されたパラジウムと、を含む、第2の層と、c)基材であって、第1の層が基材上に堆積され、第2の層が第1の層上に堆積される、基材と、を備える。
【0042】
一実施形態では、第1の層は、アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された5~200g/ft(0.1766~7.062kg/m)のパラジウムで充填される。
【0043】
別の実施形態では、第1の層は、アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された10~150g/ft(0.3531~5.29kg/m)のパラジウムで充填される。
【0044】
別の実施形態では、第1の層は、アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された30~100g/ft(1.059~3.531kg/m)のパラジウムで充填される。
【0045】
別の実施形態では、第2の層は、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持された0~80g/ft(0~2.8251kg/m)のパラジウムで充填される。
【0046】
別の実施形態では、第2の層は、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持された5~80g/ft(0.1766~2.8251kg/m)のパラジウムで充填される。
【0047】
別の実施形態では、第2の層は、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持された10~50g/ft(0.3531~1.765kg/m)のパラジウムで充填される。
【0048】
さらに別の実施形態では、第2の層は、少なくとも1つのジルコニア成分上に担持された0.2~30g/ft(0.007~1.059kg/m)のロジウムで充填される。
【0049】
さらに別の実施形態では、第2の層は、少なくとも1つのジルコニア成分上に担持された2~15g/ft(0.070~0.5297kg/m)のロジウムで充填される。
【0050】
担持材料として使用されるアルミナ成分の例としては、ランタナ-アルミナ、セリア-アルミナ、セリア-ジルコニア-アルミナ、ジルコニア-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリア-ランタナ-アルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミア-アルミナ、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0051】
酸素貯蔵成分の例としては、セリア-ジルコニア、セリア-ジルコニア-ランタナ、セリア-ジルコニア-イットリウム、セリア-ジルコニア-ランタナ-イットリウム、セリア-ジルコニア-ネオジム、セリア-ジルコニア-プラセオジム、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジム、セリア-ジルコニア-ランタナ-プラセオジム、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジム-プラセオジム、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
ジルコニア成分の例は、ジルコニア、ランタナ-ジルコニア、バリウム-ジルコニア、およびセリア-ジルコニアを含む。一実施形態では、ジルコニア成分は、ジルコニアを含む。別の実施形態では、ジルコニア成分は、セリア-ジルコニアを含み、セリアの量は、ジルコニア成分の総重量に関連して0~20重量%の範囲である。
【0053】
本明細書で使用される場合、「促進剤」という用語および「ドーパント」という用語は、互換的に使用され得、両方とも、促進剤またはドーパントが意図的に添加されていない触媒と比較して、触媒の活性を増強するために担体材料に意図的に添加される成分を指す。
【0054】
実施形態では、例示的なドーパント/促進剤は、酸化バリウムまたは酸化ストロンチウムである。
【0055】
一実施形態では、第1の層は、促進剤として0.01~0.4g/in(0.610~24.40kg/m)の酸化バリウムで充填される。一実施形態では、第2の層は、酸化バリウムおよび/または酸化ストロンチウムのいずれかを含む。一実施形態では、第2の層は、0~0.2g/in(0~12.20kg/m)の酸化バリウムで充填される。1つの好ましい実施形態では、第2の層は、酸化ストロンチウムを含む。いくつかの実施形態では、第2の層は、0.01~0.2g/in(0.610~12.20kg/m)の酸化ストロンチウムで充填される。
【0056】
一実施形態では、第1の層中の少なくとも1つのアルミナ成分と少なくとも1つの酸素貯蔵成分との重量比は、1:0.2~1:1の範囲である。
【0057】
一実施形態では、第1の層中のアルミナ成分上に担持されたパラジウムの量は、第1の層中に存在するパラジウムの総量に対して、20~70重量%の範囲であり、第1の層中の酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムの量は、第1の層中に存在するパラジウムの総量に対して、30~60%重量%の範囲である。
【0058】
例示的な一実施形態では、触媒組成物は、i)少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分上に担持された5~200g/ft(0.1766~7.062kg/m)のパラジウムと、ii)酸化バリウムと、を含み、本質的にストロンチウムを含まない、第1の層と、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持された5~80g/ft(0.1766~2.8251kg/m)のパラジウムと、少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持された0.2~30g/ft(0.007~1.059kg/m)のロジウムと、0.01~0.2g/in(0.610~12.20kg/m)の酸化ストロンチウムと、を含む、第2の層と、を備える。
【0059】
別の例示的な実施形態では、触媒組成物は、i)少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分上に担持された30~100g/ft(1.059~3.531kg/m)のパラジウムと、ii)酸化バリウムと、を含み、本質的にストロンチウムを含まない、第1の層と、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持された10~50g/ftのパラジウムと、少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持された0.2~30g/ft(0.007~1.059kg/m)のロジウムと、0.01~0.2g/inの酸化ストロンチウムと、を含む、第2の層と、を備える。
【0060】
さらに別の例示的な実施形態では、触媒組成物は、i)少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分上に担持された10~150g/ft(0.3531~5.29kg/m)のパラジウムと、ii)酸化バリウムと、を含み、本質的にストロンチウムを含まない、第1の層と、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持された10~50g/ftのパラジウムと、少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持された2~15g/ft(0.070~0.5297kg/m)のロジウムと、0.01~0.2g/in(0.610~12.20kg/m)の酸化ストロンチウムと、を含む、第2の層と、を備える。
【0061】
一実施形態では、層状三元触媒組成物は、基材をさらに備える。したがって、基材と組み合わせた組成物は、触媒物品と呼ぶことができる。すなわち、本触媒物品は、その上に配置された少なくとも2つの触媒組成物コーティングを有する「基材」を備える。例えば、触媒物品は、基材上に2つのウォッシュコートを含み得る。
【0062】
一実施形態では、第1の層が基材上に堆積され、第2の層が第1の層上に堆積される。第1の層は、白金族金属としてのパラジウムと、担持材料上に担持された促進剤としての酸化バリウムと、を含み、第1の層は、本質的にストロンチウムを含まない。第2の層は、白金族金属としてのパラジウムおよびロジウムと、促進剤としての酸化ストロンチウムおよび/または酸化バリウムと、を含む。
【0063】
本明細書で使用されているように、「基材」という用語は、典型的にはウォッシュコートの形態の、触媒組成物を含有する複数の粒子を含有するモノリス材料を指し、その上に触媒材料が置かれる。
【0064】
「モノリシック基材」への言及は、入口から出口まで均質で連続的な単一構造を意味している。
【0065】
本明細書で使用されているように、「ウォッシュコート」という用語は、処理されるガス流の通過を可能にするのに十分に多孔性のある基材材料、例えばハニカムタイプの担体部材に塗布される触媒または他の材料の薄い接着性コーティングの技術分野におけるその通常の意味を有する。
【0066】
ウォッシュコートは、液体ビヒクル中のある特定の固形分(例えば30%~90重量%)の粒子を含有するスラリーを調製し、次いでこれを基材上にコーティングし、乾燥させてウォッシュコート層を提供することによって形成される。
【0067】
本明細書において使用され、Heck,Ronald,and Farrauto,Robert,Catalytic Air Pollution Control,New York:Wiley-Interscience,2002,pp.18-19に記載されているように、ウォッシュコート層は、モノリシック基材または下側のウォッシュコート層の表面に配置された材料の、組成的に区別される層を含む。一実施形態では、基材は、1つ以上のウォッシュコート層を含有し、各ウォッシュコート層は、何らかの態様が異なり(例えば、粒径もしくは結晶子相などのその物理的特性が異なってもよい)、かつ/または化学的触媒機能が異なってもよい。
【0068】
触媒物品は、「未使用」であってもよく、これは、それが新しく、任意の熱または熱的ストレスに長期間の間曝露されていないことを意味する。「未使用」とはまた、触媒が最近調製され、任意の排気ガスに曝露されていないことを意味し得る。同様に、「老化した」触媒物品は、新しくはなく、長期間(すなわち3時間超)の間排気ガスおよび高温(すなわち500℃超)に曝露されている。
【0069】
1つ以上の実施形態によれば、本発明の触媒物品の基材は、自動車触媒を調製するために典型的に使用される任意の材料で構築され得、典型的にはセラミックまたは金属モノリシックハニカム構造を備える。基材は、典型的には、上記で本明細書に記載の触媒組成物を含むウォッシュコートが塗布および接着される複数の壁面を提供し、それにより触媒組成物用の担体として作用する。
【0070】
例示的な金属基材は、チタンおよびステンレス鋼ならびに鉄が実質的なまたは主な成分である他の合金などの耐熱性金属および金属合金を含む。そのような合金は、1つ以上のニッケル、クロム、および/またはアルミニウムを含有し得、これらの金属の総量は、有利には、合金の少なくとも15重量%を含み得る。例えば、10~25重量%のクロム、3~8%のアルミニウム、および最大20重量%のニッケル。合金はまた、例えば、マンガン、銅、バナジウム、およびチタンなどの、少量または痕跡量の1つ以上の金属を含有してもよい。金属基材の表面は、高温、例えば、1000℃以上で酸化されて、基材の表面上に酸化物層を形成し、合金の耐食性を改善し、金属表面へのウォッシュコート層の接着を容易にし得る。
【0071】
基材の構築に使用されるセラミック材料としては、任意の好適な耐火性材料、例えば、コーディエライト、炭化ケイ素、ムライト、コージライト-aアルミナ、窒化ケイ素、ジルコンムライト、スポジュメン、アルミナ-シリカマグネシア、ジルコンシリケート、シリマナイト、マグネシウムシリケート、ジルコン、ペタライト、アルミナ、アルミノシリケートなどが挙げられ得る。
【0072】
通路が流体流に開放されるように、基材の入口から出口面まで延在する複数の微細で平行なガス流路を有するモノリシックフロースルー基材などの、任意の好適な基材を用いることができる。入口から出口への本質的に直線の経路である通路は、通路を通して流れるガスが触媒材料と接触するように、触媒材料がウォッシュコートとしてコーティングされる壁によって画定される。モノリシック基材の流路は、例えば、台形、長方形、正方形、正弦波形状、六角形、楕円形、および円形などの任意の好適な断面形状のものであり得る薄壁チャネルである。そのような構造は、約60~約1200以上の断面1平方インチ(cpsi)あたりのガス入口開口部(すなわち、「セル」)、より一般的には、約300~600cpsiを含有し得る。フロースルー基材の壁厚は、変動する可能性があり、典型的な範囲は、0.002~0.1インチである。代表的な市販のフロースルー基材は、400cpsiで6milの壁厚、または600cpsiで4milの壁厚を有するコーディエライト基材である。しかしながら、本発明は、特定の基材タイプ、材料、または幾何学的形状に限定されないことが理解されるであろう。
【0073】
代替的な実施形態では、基材は、各通路が、基材本体の一端で非多孔性プラグによって閉塞され、交互の通路が反対側の端面で閉塞されている、壁流基材であってもよい。これは、出口に到達するために、ガス流が壁流基材の多孔質壁を通ることを必要とする。そのようなモノリシック基材は、約100~400cpsi、より典型的には、約200~約300cpsiなどの、最大約700またはそれよりも多いcpsiを含有し得る。セルの断面形状は、上記に説明されているように、変動する可能性がある。壁流基材は、典型的には、0.002~0.1インチの壁厚を有する。代表的な市販の壁流基材は、多孔性コーディエライトから構築され、その例は、200cpsiおよび10ミルの壁厚、または300cpsiおよび8ミルの壁厚、ならびに45~65%の壁の多孔度を有する。チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素、および窒化ケイ素などの他のセラミック材料もまた、壁流フィルタ基材として使用される。しかしながら、本発明は、特定の基材の種類、材料、または形状には限定されないことが理解されるであろう。基材が壁流基材である場合、触媒組成物は、壁の表面に配設されることに加えて、多孔性壁の細孔構造内に浸透し得る(すなわち、細孔開口部を部分的または完全に塞ぐ)ことに留意されたい。
【0074】
図10および11は、本明細書に記載されるようなウォッシュコート組成物でコーティングされたフロースルー基材の形態の例示的な基材2を示している。図10を参照すると、例示的な基材2は、円筒形状を有し、円筒外面4、上流端面6、および端面6と同一の対応する下流端面8を有する。基材2は、内部に形成された複数の微細で平行なガス流路10を有する。図10に見られるように、流路10は、壁12によって形成され、上流端面6から下流端面8まで基材2を通って延在し、通路10は、流体の流れ、例えば、ガス流が、そのガス流路10を介して基材2を長手方向に通ることができるように、障害物がない。図11でより容易に見られるように、壁12は、ガス流路10が実質的に規則的な多角形形状を有するように寸法決めおよび構成されている。示されるように、ウォッシュコート組成物は、必要に応じて、複数の区別される層で適用することができる。示される実施形態では、ウォッシュコートは、基材部材の壁12に接着された別個の第1のウォッシュコート層14および第1のウォッシュコート層14の上にコーティングされた第2の別個のウォッシュコート層16からなる。一実施形態では、本発明はまた、2つ以上(例えば、3つまたは4つ)のウォッシュコート層で実施され、示される2層の実施形態に限定されない。
【0075】
図12は、本明細書に記載されるようなウォッシュコート組成物でコーティングされた壁流フィルタ基材の形態の例示的な基材2を示している。図13に見られるように、例示的な基材2は、複数の通路52を有する。通路は、フィルタ基材の内壁53によって管状に囲まれている。基材は、入口端54および出口端56を有する。通路は、入口端で入口プラグ58により、出口端で出口プラグ60により交互に塞がれて、入口54および出口56で逆となる市松模様を形成する。ガス流62は、塞がれていないチャネル入口64を通して入り、出口プラグ60によって止められ、(多孔性である)チャネル壁53を通して出口側66に拡散する。ガスは、入口プラグ58を理由に、壁の入口側に戻って通ることができない。本発明で使用される多孔質壁流フィルタは、要素の壁がその上に、またはその中に1つ以上の触媒物質を有するという点で触媒作用を受ける。触媒材料は、要素壁の入口側のみ、出口側のみ、入口側および出口側の両方に存在してもよく、または壁自体が、触媒材料から全てまたは一部が構成されてもよい。本発明は、要素の入口壁および/または出口壁における1個以上の触媒材料層の使用を含む。
【0076】
本発明は、三元触媒組成物が層状に基材上に堆積される層状三元触媒物品およびその調製をさらに提供する。
【0077】
1つの例示的な実施形態では、触媒組成物または触媒物品は、i)少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分上に担持された5~200g/ftのパラジウムと、ii)酸化バリウムと、を含む、第1の層であって、本質的にストロンチウムを含まず、かつセラミックまたは金属基材上に堆積される、第1の層と、第1の層に堆積された、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持された5~80g/ftのパラジウムと、少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持された0.2~30g/ftのロジウムと、0.01~0.2g/inの酸化ストロンチウムと、を含む、第2の層と、を備える。
【0078】
別の例示的な実施形態では、触媒組成物または触媒物品は、i)少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分上に担持された30~100g/ftのパラジウムと、ii)酸化バリウムと、を含む、第1の層であって、本質的にストロンチウムを含まず、かつセラミックまたは金属基材上に堆積される、第1の層と、第1の層に堆積された、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持された10~50g/ftのパラジウムと、少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持された0.2~30g/ftのロジウムと、0.01~0.2g/inの酸化ストロンチウムと、を含む、第2の層と、を備える。
【0079】
さらに別の例示的な実施形態では、触媒組成物または触媒物品は、i)少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分上に担持された10~150g/ftのパラジウムと、ii)酸化バリウムと、を含む、第1の層であって、本質的にストロンチウムを含まず、かつセラミックまたは金属基材上に堆積される、第1の層と、第1の層に堆積された、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持された10~50g/ftのパラジウムと、少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持された2~15g/ftのロジウムと、0.01~0.2g/inの酸化ストロンチウムと、を含む、第2の層と、を備える。
【0080】
いくつかの実施形態では、基材は、別個のウォッシュコートスラリー中に含有される少なくとも2つの層でコーティングされ、少なくとも1つの層は、軸方向にゾーン化された構成である。例えば、同じ基材が、一方の層の単一のウォッシュコートスラリーおよび第1の層または第2の層のいずれかが帯状構成を有し得るもう一方の層の異なるウォッシュコートスラリーでコーティングされる。
【0081】
一実施形態では、触媒組成物の第2の層は、ゾーン配置を備える。すなわち、第2の層は、フロントゾーン(第1のゾーン)およびリアゾーン(第2のゾーン)を備える。一実施形態では、第1のゾーンは、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持されたパラジウム、少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持されたロジウム、ならびに酸化ストロンチウムおよび/または酸化バリウムを含む。一実施形態では、第2のゾーンは、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持されたパラジウム、ならびに少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持されたロジウムを含む。
【0082】
別の実施形態では、触媒組成物の第1の層は、第1のゾーンおよび第2のゾーンを備える。一実施形態では、第1のゾーンは、少なくとも1つのアルミナ成分、アルミナ上に担持されたパラジウム、および酸化バリウムを含む。一実施形態では、第2のゾーンは、少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分、アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウム、ならびに酸化バリウムを含む。
【0083】
さらに別の実施形態では、第1の層および第2の層の両方が、第1のゾーンおよび第2のゾーンを備える。一実施形態では、第1の層の第1のゾーンは、少なくとも1つのアルミナ成分、アルミナ上に担持されたパラジウム、および酸化バリウムを含む。
【0084】
一実施形態では、第1の層の第2のゾーンは、少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分、アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウム、ならびに酸化バリウムを含む。
【0085】
一実施形態では、第2の層の第1のゾーンは、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持されたパラジウム、少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持されたロジウム、ならびに酸化ストロンチウムおよび/または酸化バリウムを含む。一実施形態では、第2の層の第2のゾーンは、少なくとも1つのアルミナ成分上に担持されたパラジウム、ならびに少なくとも1つのジルコニア成分および/またはアルミナ成分上に担持されたロジウムを含む。
【0086】
これは、図14を参照することでより簡単に理解され得る。参照触媒物品および触媒物品A、B、Cを図14に示す。触媒Bは、第1の層(最下層)が基材(26)の長さに沿って並んで位置する2つのウォッシュコートゾーン(22および24)を備え、第2の層がウォッシュコートゾーン(washocoat zone)(22および24)の最上部の基材(26)の全長に沿って位置する1つのウォッシュコートゾーン(28)を備える実施形態を示す。
【0087】
触媒Aは、第1の層(最下層)が基材(26)の全長に沿って位置するウォッシュコートゾーン(30)を備え、第2の層がウォッシュコートゾーン(washocoat zone)(30)の最上部の基材(26)の長さに沿って並んで位置する2つのウォッシュコートゾーン(32および34)を備える実施形態を示す。
【0088】
触媒Cは、第1の層(最下層)が基材(26)の長さに沿って並んで位置する2つのウォッシュコートゾーン(36および38)を備え、第2の層がウォッシュコートゾーン(washocoat zone)(36および38)の最上部の基材(26)の長さに沿って並んで位置する2つのウォッシュコートゾーン(40および42)を備える実施形態を示す。
【0089】
いくつかの実施形態では、ウォッシュコートゾーンは、基材の長さの約5~約95%、約10~約80%、約15~約75%、または約20~60%の範囲にわたって基材の入口端から延在する。
【0090】
いくつかの実施形態では、ウォッシュコートゾーンは、基材の軸方向の全長の約5~約95%、約10~約80%、約15~約75%、または約20~60%の範囲にわたって基材の出口端から延在する。
【0091】
いくつかの例示的な実施形態では、ゾーン配置を備えたウォッシュコーティングされた触媒物品の設計が調製される。最下層が、La-Al上に担持されたパラジウム、CeO-ZrOおよびBaO上に担持されたパラジウムで形成されるのに対して、最上層が、La-ZrOまたはCeO-ZrO上に担持されたロジウムおよびLa-Al上に担持されたパラジウムで形成される、参照触媒が調製される。参照触媒と同様の最下層設計を有するが、ゾーン化された構成(すなわち、第1のゾーンおよび第2のゾーン)を有する最上層を有する触媒物品「A」が調製される。第1のゾーンは、La-ZrO上に担持されたロジウム、La-Al上に担持されたパラジウム、およびBaOまたはSrOを含む。第2のゾーンは、CeO-ZrO上に担持されたロジウムおよびLa-Al上に担持されたパラジウムを含み、Rh/CeO-ZrOに対するBaOまたはSrOの悪影響を防止する。参照触媒と同様の最上層設計を有するが、ゾーン化された構成(すなわち、第1のゾーンおよび第2のゾーン)を有する最下層を有する触媒物品「B」が調製される。第1のゾーンは、La-Al上に担持されたパラジウムおよびBaOまたはSrOを含む。第2のゾーンは、La-Al上に担持されたパラジウム、CeO-ZrO上に担持されたパラジウム、およびBaOを含み、Pd/CeO-ZrOに対するBaOまたはSrOの悪影響を防止する。最上層および最下層のそれぞれがゾーン化された構成(第1のゾーンおよび第2のゾーン)を有する触媒物品「C」が調製される。最下層の第1のゾーンは、La2O3-Al2O3上に担持されたパラジウムおよびBaOまたはSrOを含む。最下層の第2のゾーンは、La-Al上に担持されたパラジウム、CeO-ZrO上に担持されたパラジウム、およびBaOを含み、Pd/CeO-ZrOに対するBaOまたはSrOの悪影響を防止する。最上層の第1のゾーンは、La-ZrO上に担持されたロジウム、La-Al上に担持されたパラジウム、およびBaOまたはSrOを含む。最上層の第2のゾーンは、CeO-ZrO上に担持されたロジウムおよびLa-Al上に担持されたパラジウムを含み、Rh/CeO-ZrOに対するBaOまたはSrOの悪影響を防止する。
【0092】
この組成物のウォッシュコートまたは触媒金属構成要素または他の構成要素の量を説明する際に、触媒基材の単位体積あたりの構成要素重量の単位を使用することが好都合である。したがって、単位、立方インチあたりのグラム(「g/in」)、および立方フィートあたりのグラム(「g/ft」)は、本明細書において、基材の空隙の体積を含む基材の体積あたりの構成要素重量を意味すべく使用される。g/Lなどの体積あたりの重量の他の単位もまた、使用されることがある。
【0093】
基材の単位あたりのこれらの重量は、典型的には、相応する触媒ウォッシュコート組成物での処理の前後に触媒基材を計量することにより計算され、処理プロセスは、高温での触媒基材の乾燥および焼成を伴うため、これらの重量は、ウォッシュコートスラリーの実質的に全ての蒸発可能なものが除去されていることから、実質的に溶媒不含の触媒コーティングを表すことに留意する。
【0094】
本発明の別の態様では、層状三元触媒組成物を調製するためのプロセスが提供される。一実施形態では、プロセスは、第1の層(触媒組成物1)を調製することと、第2の層(触媒組成物2)を調製することと、を含む。一実施形態では、プロセスは、第1の層を調製することと、任意選択で、基材上に第1の層を堆積することと、第2の層を調製することと、第1の層上に第2の層を堆積させて、続いて500℃~から600℃の範囲の温度で焼成することと、を含み、第1の層および第2の層を調製するステップが、インシピエントウェットネス含浸技術(A)、共沈技術(B)、および共含浸技術(C)から選択される技術を含む。本発明のさらに別の態様では、触媒組成物でコーティング/堆積された基材を備える層状三元触媒物品を調製するためのプロセスが提供される。このプロセスは、基材上に第1の層を堆積し、続いて第1の層上に第2の層を堆積することを含む。このプロセスは、第1の層または第2の層、あるいはその両方の堆積後に実行される焼成を伴う。典型的には、焼成は、500℃~600℃の範囲の温度で行われる。
【0095】
触媒組成物または触媒物品の調製は、粒子形態の担持材料に、パラジウム/およびまたはロジウム前駆体溶液などの活性金属溶液を含浸させることを伴う。
【0096】
本明細書で使用されているように、「含浸させられた」または「含浸」とは、担体材料の多孔質構造に触媒材料が浸透することを指す。
【0097】
含浸を実行するために使用される技術としては、インシピエントウェットネス含浸技術(A)、共沈技術(B)、および共含浸技術(C)が挙げられる。
【0098】
毛細管含浸または乾式含浸とも称されるインシピエントウェットネス含浸技術は、一般的に、不均一系の材料、すなわち触媒の合成に使用される。一般的に、金属前駆体は、水溶液または有機溶液に溶解され、次いで、金属含有溶液は、添加された溶液の体積と同じ細孔体積を含む触媒担体に添加される。毛細管現象により、溶液が担体の細孔に引き込まれる。担体の細孔容積を超えて添加された溶液により、溶液輸送が、毛細管現象プロセスから、はるかに遅い拡散プロセスに変わる。触媒を乾燥および焼成して、溶液内の揮発性成分を除去し、触媒担体の表面上に金属を堆積させる。含浸させられた材料の濃度プロファイルは、含浸および乾燥の間の細孔内の物質移動条件に依存する。
【0099】
担体粒子は、典型的には、溶液の実質的に全てを吸収して、湿潤固体を形成するのに十分に乾燥している。ロジウムが活性金属である場合、塩化ロジウム、硝酸ロジウム(例えば、Ru(N0)3およびそれらの塩)、酢酸ロジウム、またはそれらの組み合わせ、ならびにパラジウムが活性金属である場合、硝酸パラジウム、パラジウムテトラアミン、酢酸パラジウム、またはそれらの組み合わせなどの、水溶性化合物または活性金属の錯体の水溶液が、典型的には、利用される。
【0100】
活性金属溶液を用いた担体粒子の処理後、粒子は、高温(例えば、100~150℃)で一定期間(例えば、1~3時間)、粒子を熱処理などによって乾燥させ、次いで、活性金属をより触媒的に活性な形態に変換するために焼成される。例示的な焼成プロセスは、約400~550℃の温度で10分間~3時間、空気中で熱処理することを伴う。上記のプロセスは、所望の水準の活性金属含浸に到達するために必要に応じて繰り返されてもよい。
【0101】
上記の触媒組成物は、典型的には、上記のように触媒粒子の形態で調製される。これらの触媒粒子を水と混合して、ハニカム型基材などの触媒基材をコーティングする目的でスラリーを形成する。
【0102】
触媒粒子に加えて、スラリーは、任意選択で、アルミナ、シリカ、酢酸ジルコニウム、コロイド状ジルコニア、または水酸化ジルコニウム、会合性増粘剤、および/または界面活性剤(アニオン性、カチオン性、非イオン性、もしくは両性の界面活性剤を含む)の形態のバインダーを含有してもよい。他の例示的な結合剤としては、ボヘマイト、ガンマアルミナ、またはデルタ/シータアルミナ、ならびにシリカゾルが挙げられる。バインダーは、存在する場合、一般的に、約1~5重量%の量のウォッシュコート総充填量で使用される。酸性または塩基性の種をスラリーの添加を行い、それによりpHを調整する。例えば、いくつかの実施形態では、スラリーのpHは、水酸化アンモニウム、硝酸水溶液、または酢酸の添加により調整される。スラリーの典型的なpH範囲は、約3~12である。
【0103】
スラリーを粉砕して、粒径を低減させ、粒子の混合を促進してもよい。粉砕は、ボールミル、連続ミル、または他の同様の機器で達成され、スラリーの固形分は、例えば、約20~60重量%、より具体的には、約20~40重量%であり得る。一実施形態では、粉砕後のスラリーは、約10~約40ミクロン、好ましくは10~約30ミクロン、より好ましくは約10~約15ミクロンのD90粒径によって特徴付けられる。D90は、専用の粒径分析装置を使用して決定される。この実施例で用いられている機器は、レーザー回折を使用して、少量のスラリーの粒径を測定する。ミクロン単位のD90は、典型的には、粒子の数の90%が、引用値よりも小さな直径を有することを意味する。
【0104】
当該技術分野において知られている任意のウォッシュコート技術を使用して、スラリーを触媒基材上にコーティングする。一実施形態では、触媒基材は、スラリーに1回以上浸漬されるか、または別様にスラリーでコーティングされる。コーティングされた基材は、その後、高温(例えば100~150℃)で一定期間(例えば10分~3時間)の間乾燥させ、次いで、例えば400~700℃で、典型的には約10分~約3時間の間加熱することによって焼成させる。乾燥および焼成後、最終的なウォッシュコートコーティング層は、本質的に溶媒を含まないと考えられる。
【0105】
焼成後、上記のウォッシュコート技術により得られる触媒充填量は、基材のコーティングされた重量とコーティングされていない重量の差を計算することにより求めることが可能である。当業者に明らかであるように、触媒充填量は、スラリーのレオロジーを変えることにより修正することが可能である。さらに、ウォッシュコートを生成するためのコーティング/乾燥/焼成プロセスを必要に応じて繰り返して、コーティングを所望の充填水準または厚さに構築すること、すなわち1個より多くのウォッシュコートを塗布することが可能である。
【0106】
ある特定の実施形態では、コーティングされた基材は、コーティングされた基材を熱処理に供することによって老化させる。1つの特定の実施形態では、老化は、空気中の10体積%の水の環境において、約20 850℃~約1050℃の温度で20時間行われる。したがって、ある特定の実施形態では、老化した触媒物品が提供される。ある特定の実施形態では、特に効果的な材料は、老化(例えば、約850℃~約1050℃で、空気中の10体積%の水、20時間の老化)時にそれらの細孔体積の高いパーセンテージ(例えば、約95~100%)を維持する金属酸化物ベースの担体(実質的に100%のセリア担体を含むが、これに限定されない)を含む。
【0107】
1つの例証的な実施形態では、インシピエントウェットネス含浸技術(A)は、以下のステップを含む。
第1の層の調製:
-酸化バリウムを少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分上に充填して、第1の混合物を得、混合物を焼成に供して、第1の焼成混合物を得、第1の焼成材料にパラジウムを含浸させて、第1の層を得る。
第2の層の調製:
-酸化ストロンチウムまたは酸化バリウムを少なくとも1つのアルミナ成分上に充填して、第2の混合物を得、第2の混合物を焼成に供して、第2の焼成混合物を得、第2の焼成混合物にパラジウムを含浸させて、第1の材料を得、酸化ストロンチウムまたは酸化バリウムを少なくとも1つのジルコニア成分上に充填して、第3の混合物を得、第3の混合物を焼成に供して、第3の焼成混合物を得、第3の焼成材料にロジウムを含浸させて、第2の材料を得、第1の材料と第2の材料とを混合して、第2の層を得る。
触媒組成物の調製:
-第1の層上に第2の層を堆積させて、層状三元触媒組成物を得る。
【0108】
1つの例証的な実施形態では、共沈技術(B)は、以下のステップを含む。
第1の層の調製:
-酸化バリウムおよびパラジウムを、アルミナ成分の少なくとも1つの前駆体および酸素貯蔵成分の少なくとも1つの前駆体との共沈殿によって、少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分に組み込んで、第1の混合物を得、第1の混合物の層を焼成に供して、第1の層を得る、
第2の層の調製:
-酸化ストロンチウムまたは酸化バリウムのいずれか、およびパラジウムを、アルミナ成分の少なくとも1つの前駆体との共沈殿によって少なくとも1つのアルミナ成分に組み込んで、第2の混合物を得、第2の混合物を焼成に供して、第1の材料を得、酸化ストロンチウムまたは酸化バリウムのいずれか、およびロジウムを共沈殿によって少なくとも1つのジルコニア成分に組み込んで、第3の混合物を得、第3の混合物を焼成に供して、第2の材料を得、第1の材料と第2の材料とを混合して、第2の層を得る、
触媒組成物の調製:
-第1の層上に第2の層を堆積させて、層状三元触媒組成物を得る。
【0109】
例証的な一実施形態では、共含浸技術(B)は、以下のステップを含む。
第1の層の調製:
-酸化バリウムまたはその前駆体およびパラジウムまたはその前駆体を、共含浸によって少なくとも1つのアルミナ成分および少なくとも1つの酸素貯蔵成分に組み込んで、第1の混合物を得、第1の混合物を焼成に供して、第1の層を得る。
第2の層の調製:
-酸化ストロンチウムもしくはその前駆体または酸化バリウムもしくはその前駆体のいずれか、およびパラジウムもしくはその前駆体を、共含浸によって少なくとも1つのアルミナ成分に組み込んで、第2の混合物を得、第2の混合物を焼成に供して、第1の材料を得、酸化ストロンチウムもしくはその前駆体または酸化バリウムもしくはその前駆体のいずれか、およびロジウムもしくはその前駆体を、共含浸によって少なくとも1つのジルコニア成分に組み込んで、第3の混合物を得、第3の混合物を焼成に供して、第2の材料を得、第1の材料と第2の材料とを混合して、第2の層を得る。
触媒組成物の調製:
-第1の層上に第2の層を堆積させて、層状三元触媒組成物を得る。
【0110】
一実施形態では、焼成は、500℃~600℃の範囲の温度で行われる。
【0111】
一実施形態では、バリウムの前駆体は、硝酸バリウム、塩化バリウム、酢酸バリウム、シュウ酸バリウム、アルミン酸バリウム、ホウ酸バリウム、フッ化バリウム、炭酸バリウム、水酸化バリウム、硫酸バリウム、および亜硫酸バリウムから選択される。
【0112】
一実施形態では、ストロンチウムの前駆体は、硝酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、およびシュウ酸ストロンチウムから選択される。
【0113】
一実施形態では、パラジウムの前駆体は、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、および酢酸パラジウムから選択される。一実施形態では、ロジウムの前駆体は、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、テトラアミン硝酸パラジウム、および酢酸ロジウムから選択される。
【0114】
本発明の別の態様は、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を処理する方法を対象とする。この方法は、該排気流を、本発明の触媒組成物または上記のプロセスによって得られた触媒組成物と接触させることを含む。
【0115】
さらに別の態様では、本発明は、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減する方法を提供する。この方法は、排気ガスを、本発明の触媒組成物または上記のプロセスによって得られた触媒組成物と接触させて、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減することを含む。
【0116】
一実施形態では、排気ガス中に存在する炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルが、触媒組成物と接触する前の排気ガス流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルと比較して、少なくとも50%低減する。
【0117】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、炭化水素を二酸化炭素および水に変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する炭化水素の量の少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。
【0118】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、一酸化炭素を二酸化炭素に変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する一酸化炭素の量の少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、窒素酸化物を窒素に変換する。
【0119】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する窒素酸化物の量の少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する、組み合わされた炭化水素、二酸化炭素、および窒素酸化物の総量の少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。
【0120】
さらに別の態様では、本発明は、本発明の触媒組成物、または炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を精製するための本明細書に記載のプロセスによって得られる触媒組成物の使用を提供する。
【0121】
さらに別の態様では、本発明は、本発明による三元触媒組成物、または排気ガス流との流体連絡において内燃機関の下流に位置付けられた本明細書に記載のプロセスによって得られる触媒組成物を含む内燃機関用の排気システムを提供する。
【0122】
エンジンは、ガソリンエンジンおよび/もしくは圧縮天然ガス(CNG)エンジン(例えば、ガソリンならびにガソリンもしくはCNGの自動車およびオートバイなどの圧縮天然ガス移動源用)であり得るか、または固定供給源に関連するエンジン(例えば、発電機もしくはポンプ場)であり得る。
【実施例
【0123】
本発明の態様は、以下の実施例によってさらに完全に示され、これらは、本発明のある特定の態様を示すために記載されており、それを限定するものとして解釈されるべきではない。
【0124】
実施例1:粉末触媒の調製およびその試験
A.参照触媒A:アルミナ上の3%のPd
10.7グラムの硝酸パラジウム溶液(Pd=29.7%)を秤量し、水で希釈した。得られた硝酸パラジウム溶液をアルミナ上に含浸させ、混合物を得、これを2時間150℃で乾燥させ、2時間550℃で焼成した。
B.発明触媒B:アルミナ上の3%のPd-5%のSrO:
硝酸パラジウムおよび酢酸塩または硝酸塩からのSrOを水に溶解した。パラジウムおよびストロンチウムの得られた溶液をアルミナ上に含浸させ、混合物を得、これを2時間150℃で乾燥させ、2時間550℃で焼成した。
C.参照触媒C:高表面積ジルコニア(ZrO)で0.5%のRh
4.6グラムの硝酸ロジウム溶液(Rh=10.9%)を秤量し、水で希釈して100%のインシピエントウェットネスにした。次いで、硝酸ロジウム溶液をジルコニア上に含浸させ、混合物を得、これを2時間150℃で乾燥させ、2時間550℃で焼成した。
D.発明触媒D:高表面積ジルコニア(ZrO)上の0.5のRh-5%のSrO
4.6グラムの硝酸ロジウム溶液(Rh=10.9%)および硝酸ストロンチウムまたは酢酸塩を秤量し、水で希釈して100%のインシピエントウェットネスにした。次いで、得られた溶液をジルコニア上に含浸させ、混合物を得、これを2時間150℃で乾燥させ、2時間550℃で焼成した。
E.参照触媒E:Ce-O-ZrO上の3%のPd
10.7グラムの硝酸パラジウム溶液(Pd=29.7%)を秤量し、インシピエントウェットネスのために水で希釈した。硝酸パラジウムをCeO-ZrOに含浸させ、混合物を得、これを2時間150℃で乾燥させ、2時間550℃で焼成した。
F.発明触媒F:CeO-ZrO 40%CeO上の3%のPd-5%のSrO):
硝酸パラジウムおよび酢酸塩または硝酸塩からのSrOを水に溶解した。パラジウムおよびストロンチウムの得られた溶液をCeO-ZrOに含浸させ、混合物を得、これを2時間150℃で乾燥させ、2時間550℃で焼成した。
【0125】
老化:
触媒組成物は、ハイスループット実験用反応器で、リーンリッチ条件下で10%の蒸気を用いて950/1050℃で5時間老化して、着火性能、CO、HC、およびNOxのラムダスイープ変換、ならびに酸素貯蔵容量(OSC)を測定した。
【0126】
粉末触媒の試験
SrOを促進剤として使用した着火性能
Pd-AlおよびSrOを含有する粉末触媒、ならびにRh-ZrOおよびSrOを含有する粉末触媒の着火性能をスクリーニングし、SrOを含まないそれぞれの参照触媒と比較した。図2Aに示すように、Pd-Al参照触媒と比較して、本発明のPd-SrO-Al触媒組成物は、COおよびHCに対する950および1050℃の老化条件後に改善された着火性能を示したことが分かる。図2Bに示すように、Rh-ZrO参照触媒と比較して、本発明のRh-SrO-ZrO触媒は、CO、HC、およびNOxに対する950および1050℃の老化条件後に大幅に改善された着火性能を示したことが分かる。
【0127】
促進剤としてSrOを使用したOSC性能
触媒は、酸素貯蔵容量(OSC)について試験した。図3Aは、SrOを用いておよび用いずに、950/1050℃のリーンリッチ老化したPdおよびRh試料に対する450℃でのOSC試験結果を実証している。参照触媒と比較して、本発明の触媒Pd-SrO-Alは、450℃で改善されたOSCを示した。試料を含有するPdのOSC機能は、PdOx
【数1】
Pdのレドックスサイクルに由来した。SrOがこのPdOx
【数2】
Pdレドックスプロセスを明らかに強化したことが観察される。本発明の触媒Rh-SrO-ZrOはまた、参照触媒と比較して、SrOの存在のために著しく改善されたOSC機能を示した。試料を含有するRhのOSC機能は、主にRhOx
【数3】
Rhのレドックスサイクルに由来する。SrOのRh-ZrOへの導入は、RhOx
【数4】
Rhのレドックスサイクルを大幅に強化し、これがTWC性能の改善の理由である。
【0128】
促進剤としてSrOを使用したλ掃引中のCO、HC、およびNOx変換
触媒は、350/450℃でのλ掃引中のCO、HC、およびNOx変換について試験した。図3Bは、Rh-ZrO参照と比較して、発明触媒のRh-のSrO-ZrOを、両方の老化条件(950&1050℃)下の両方の温度でCO、HC、およびNOxの変換を促進したことを実証している。これらの結果は、SrO促進剤がTWC用途のためのRh/ZrO触媒に対する正の効果を有することを示している。
【0129】
Pd-CeO-ZrO(CeO2含有量が40%高い)およびRh-CeO-ZrO(CeO含有量が10%低い)触媒を、SrO促進剤を用いておよび用いずに試験した。図4は、Pd-CeO-ZrO参照触媒と比較して、触媒Pd-SrO-CeO-ZrOが、COおよびHCのT50をあまり変化させなかったが、両方の老化条件下でNOxのT50を大幅に増加させ、これは、Pd-CeO-ZrO触媒のOSC機能がラムダ掃引変換の低下につながる可能性がある悪影響を受けたかもしれないことを示唆している。
【0130】
また、Rh-CeO-ZrO参照触媒と比較して、発明触媒Rh-SrO-CeO-ZrOは、950℃の老化後の悪影響を示し、この悪影響は、1050℃の老化後に消失することが分かる。
【0131】
図5は、SrOを用いておよび用いずに、CeO-ZrO上に担持した950/1050℃のリーンリッチ老化したPdおよびRh試料に対する350/450℃でのOSC試験結果を実証している。
【0132】
950/1050℃の老化後の触媒Pd-SrO-CeO-ZrOが、350および450℃の両方で有害なOSC機能を示すことが分かった。SrOにより誘導されるOSC機能におけるこの急激な減少は、着火および汚染物質の変換におけるTWC性能の低下をよく説明しており、これは、完全に配合されたTWC触媒では、SrOをCeO含有量の高いPd/OSC成分と一緒に置くことができないことを示唆している。
【0133】
さらに、950℃で老化した触媒Rh-SrO-CeO-ZrOは、350℃でOSC機能を低下させたが、SrOは、特に1050℃で老化した試料に対して450℃でOSC機能を大幅に向上させた。このように、高温老化条件(>1050℃)でのTWC用途のために、SrOは、CeO含有量が低いRh/OSC触媒のための促進剤として潜在的な候補であり得る。
【0134】
SrO促進剤とPGM種との間に強い相互作用があるかどうかを確認するために、走査型透過電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(STEM/EDS)を実行し、結果を図6および7に示す。
【0135】
図6は、950℃の老化後に3%のPd-5%のSrO-のAl触媒の2つの代表的な領域のSTEM/EDSマッピング結果を示す。950℃でリーンリッチ老化した後、Al上のPd種がある程度焼結して40~50nmの粒子を形成したことが非常に明らかである。SrO種は、Al上にランダムに分散し、50%超の可視Pd粒子は、SrOの凝集体の最上部に(座って)位置した。電子エネルギー損失分光法(EELS)は、Al上のPd粒子およびSrOに関連するPd粒子についても収集し、これは、Al上のPd粒子がより酸化状態(PdO)にあり、SrOに関連するPd粒子がより金属状態(Pd)にあることを示した。これは、SrOがPdOxへの強力な電子供与効果を有するため、Pd種がさらに減少し、そのTWC性能が大きく促進することを意味する。その場FTIRは、3%のPd-5%のSrO-Al触媒が、3%のPd-Al参照よりも、室温でもCO吸着時に還元されやすいことも確認した。
【0136】
図7は、950℃の老化後に1%のRh-5%のSrO-ZrO触媒の2つの代表的な領域のSTEM/EDSマッピング結果を実証している。老化後SrO促進剤を用いてZrO上の2種類のRh種を見出した。1つは、重度に凝集したRh粒子(領域1、約100nm)であり、もう1つは、細かく分散したRh種(領域2、10nm未満)である。EDSマッピングの結果は、凝集したRh粒子および微細に分散したRh種の両方がSrOと密接に接触していることを示している。また、その場FTIRにより、低温でのCO吸着時に1%のRh-5%のSrO-ZrO2触媒が1%のRh-ZrO参照よりもはるかに還元されやすいことが確認され、これにより、SrOがRhOxへの電子寄付効果を有し、このため、その還元性が改善し、TWC性能が向上することが再確認された。
【0137】
実施例2:層状三元触媒(参照触媒、参照1)の調製:
A.最下層(第1の層)の調製:
硝酸パラジウム溶液(Pd濃度=27.6%で53.2g)を、インシピエントウェットネス法を使用して4%の酸化La(Laドープアルミナ=1381グラム)で安定化したアルミナに含浸させた。次いで、混合物を2時間550℃で焼成した。
これとは別に、硝酸パラジウム(53.2グラム)を酸素貯蔵材料(OSM)(2302グラム:OSM:Ce=40%、Zr=60%、La5%、Y=5%酸化物として)にインシピエントウェットネス法を使用して含浸させた。次いで、混合物を2時間550℃で焼成した。
スラリーの調製:
アルミナ上の焼成したパラジウムを混合しながら水に添加した。これに酢酸バリウム(150.7g)および硫酸バリウム(276.9g)を添加して、混合物を得た。硝酸を使用して混合物のpHを4.5~5に調整した。混合物を、アイガーミルを使用して、20マイクロメートル未満の90%で粒度分布に連続的に粉砕した。これに、OSM上の焼成したPdを添加し、硝酸を使用してpHを4.5~5に調整し、14~16マイクロメートル未満の90%で粒度分布(PSD)に粉砕した。
最後に、アルミナバインダー分散液(20%の固体で455g)を混合物に添加し、よく混合した。得られた最終混合物を約2.2g/inにコーティングし、続いて550℃で2時間乾燥および焼成した。
B.最上層(第2の層)の調製:
29.94グラムの硝酸パラジウム(Pd濃度=27.1)を、インシピエントウェットネスによってランタンをドープしたアルミナに含浸させた。混合物を550℃で2時間焼成した。この混合物に水を添加して、スラリーを作製した。スラリーのpHを4.5~5に調整した。スラリーは、12~14マイクロメートル未満の90%のPSDまで連続的に粉砕した。
これとは別に、18.75gの硝酸ロジウムを、インシピエントウェットネスによって、10%のLa酸化物をドープしたジルコニア(Rh濃度=9.4%)に含浸させた。LaジルコニアのRhを水に添加し、メタノールアミンを使用してpHを8~8.5に維持した。その後、硝酸を使用してpHをさらに4.5~5に調整した。次いで、得られた混合物を、12~14マイクロメートル未満の90%でPSDに粉砕した。
次のステップでは、両方のスラリーを一緒に混合した。この混合物に、アルミナバインダー(20%のアルミナ個体)を添加し、得られた最終スラリーを、1.3g/inのウォッシュコート充填量で第1の層にコーティングした。
全体的なウォッシュコート充填量:
1.最下層コート:Pd=27.6g/ft(アルミナとOSMとの間で均等に分割)。OSM=1.25g/in、アルミナ=0.75g/in、BaO=0.15g/in、アルミナバインダー:0.05g/in。総最下層ウォッシュコート充填量=2.216g/in
2.最上層コート:PD=18.4g/ft、Rh=4g/ft。アルミナ=0.5g/in、La-ZrO=0.75g/in、アルミナバインダー:0.05g/in。総最上層ウォッシュコート充填量=1.3g/in
【0138】
実施例3:層状三元触媒の調製(発明触媒、IR触媒2)
A.最下層(第1の層)の調製:
最下層は、参照触媒の最下層と同様に調製した。
B.最上層(第2の層)の調製:
29.4グラムの硝酸パラジウム(Pd濃度=27.1)を、インシピエントウェットネスによって381gのランタンをドープしたアルミナに含浸させた。混合物を550℃で2時間焼成した。この混合物に水を添加して、スラリーを作製した。スラリーのpHを4.5~5に調整した。33gの硫酸ストロンチウム(SrO=56.1%)を添加する。スラリーは、12~14マイクロメートル未満の90%のPSDまで連続的に粉砕した。
これとは別に、18.23gの硝酸ロジウムを567gの10%のLa酸化物ドープジルコニア(Rh濃度=9.4%)にインシピエントウェットネスによって含浸させた。ジルコニア上の10%のLaに含浸させたロジウムを水に添加し、メタノールアミンを使用してpHを8~8.5に維持した。その後、硝酸を使用してpHをさらに4.5~5に調整した。次いで、得られた混合物を、12~14マイクロメートル未満の90%でPSDに粉砕した。
次のステップでは、両方のスラリーを一緒に混合した。この混合物に、アルミナバインダー(20%のアルミナ個体)を添加し、得られた最終スラリーを、1.3g/inのウォッシュコート充填量で第1の層にコーティングした。
全体的なウォッシュコート充填量:
1.最下層コート:Pd=27.6g/ft(アルミナとOSMとの間で均等に分割)。OSM=1.25g/in、アルミナ=0.75g/in、BaO=0.15g/in、アルミナバインダー:0.05g/in。総ウォッシュコート充填量=2.216
2.最上層コート:PD=18.4g/ft、Rh=4g/ft。アルミナ=0.5g/in、La-ZrO2=0.75g/in、SrO=0.025g/in、アルミナバインダー:0.05g/in、1.3g/inの総最上部ウォッシュコート充填量。
【0139】
車両での触媒の試験
ウォッシュコーティングされた触媒物品(実施例3-発明触媒および実施例2-参照触媒4.16”x3.0”、400/4)を、エンジン上で950℃で75時間燃料カット老化し、次いで、46/4g/ftのPd:Rh充填量で、FTP-75サイクルの車両で密結合(CC-1)触媒として試験した。密結合(CC-2触媒)を全ての試験で同じに保ち、これは、単純なPd最下部コートおよびRh最上部コート触媒で、Pd:Rh充填量は、14/4g/ftであった。エンジンアウト(I)、ミッドベッド(II)、およびテールパイプエミッション(III)の配置を有する排気システムを図13に示す。
【0140】
図8は、参照触媒1(参照1)および発明触媒(IR触媒2)のエンジンでのミッドベッドCO、HC、およびNOxの累積排出量を実証している。参照触媒1と比較して、本発明触媒は、十分に改善されたHC、NOx、およびCO性能を示し、累積HC、NOx、およびCO排出量がそれぞれ20%、31%、および17%減少したことが明確に観察される。これらの結果は、PGMの電子促進剤としてSrOを使用すると、触媒性能が改善した完全に配合されたTWC触媒にうまく移行できることを明確に示している。
【0141】
図9は、参照触媒1(参照1)および発明触媒(IR触媒2)のエンジンでのテールパイプのCO、HC、およびNOxの累積排出量を実証している。参照触媒1と比較すると、発明触媒(最上層に促進剤としてSrOを含む)がHC、NOx、およびHCの性能を良好に改善し、累積CO、NOx、およびHC排出量がそれぞれ10%、6.5%、および20%の減少を示したことが明確に観察される。これらの結果は、PGMの電子促進剤としてSrOを使用すると、触媒性能が改善したウォッシュコートされたTWC触媒にうまく移行できることも明確に示している。
【0142】
本明細書全体を通して「一実施形態」、「ある特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、「1つ以上の実施形態では」、「ある特定の実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態では」、または「実施形態では」などの句が本明細書全体の様々な箇所に出現することは、必ずしも本発明の同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態では任意の好適な方法で組み合わせることができる。本明細書に開示される様々な実施形態、態様、および任意選択の全ては、そのような特徴または要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされるかどうかに関係なく、全てのバリエーションで組み合わせることができる。本発明は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、開示される発明の任意の分けることが可能な特徴または要素が、その様々な態様および実施形態のいずれかにおいて、組み合わせ可能であることを意図すると考えるべきであると、全体として読み取られることが意図される。
【0143】
本明細書に開示される実施形態は、特定の実施形態を参照して説明されたが、これらの実施形態は、本発明の原理および用途の単なる例示であることを理解されたい。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の方法および装置に対して様々な修正および変更がなされ得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にある修正および変更を含むことが意図され、上記の実施形態は、限定ではなく例示の目的で提示される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14