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特許7497377アンテナアレイを用いたビームフォーミングおよびビームステアリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】アンテナアレイを用いたビームフォーミングおよびビームステアリング
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20240603BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20240603BHJP
   H01Q 3/26 20060101ALI20240603BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
H04B7/06 890
H04B7/08 710
H01Q3/26 Z
H01Q1/24 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021576561
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 US2020039266
(87)【国際公開番号】W WO2020263911
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】62/865,450
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519006872
【氏名又は名称】エイブイエックス・アンテナ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】パジョナ,オリバー
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0365900(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0089419(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0036726(US,A1)
【文献】特開2014-003670(JP,A)
【文献】特開2018-136219(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0373181(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/02-7/08
H01Q 3/26
H01Q 1/24
IEEE Xplore
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナシステムであって、
複数の第1のアンテナ要素を有する第1のアンテナアレイであって、前記第1のアンテナ要素は、多入力多出力(MIMO)モードの通信プロトコルを介して1つまたは複数の信号を通信するように動作可能である、第1のアンテナアレイと、
複数の第2のアンテナ要素を有する第2のアンテナアレイと、
記第2のアンテナアレイの前記第2のアンテナ要素のうちの1つまたは複数の動作を、第1のモードまたは第2のモードで切り換え制御するように構成された制御回路と、
を備え、
前記第1のモードでは、前記第2のアンテナ要素のうちの第1のサブセットは、前記通信プロトコルを介した前記第1のアンテナ要素の通信をサポートするための二次機能を提供し、前記第2のアンテナ要素の第2のサブセットは、前記第1のアンテナ要素のビームフォーミングまたはビームステアリングをサポートするように構成され、
前記第2のモードでは、前記第2のアンテナ要素のうちの第3のサブセットは、前記第1のアンテナ要素のビームフォーミングまたはビームステアリングをサポートするように構成され、前記第3のサブセットは、前記第2のサブセットに対して1つまたは複数の追加の第2のアンテナ要素を有する、
アンテナシステム。
【請求項2】
前記通信プロトコルは、5G通信プロトコルである、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項3】
前記二次機能は、前記通信プロトコルを介した多入力多出力(MIMO)モード通信をサポートするために、1つまたは複数の追加のアンテナ要素を提供することを含む、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項4】
前記二次機能は、ダイバーシティアンテナ要素として機能するように1つまたは複数の追加アンテナ要素を提供することを含む、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項5】
前記第1のアンテナアレイは、4×4MIMOアンテナアレイを含む、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項6】
前記第2のアンテナアレイは、4×4MIMOアンテナアレイを含む、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項7】
前記第1のアンテナアレイおよび前記第2のアンテナアレイは、約24GHzから約86GHzまでの範囲の周波数帯で通信するように動作可能である、
請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項8】
複数の第3のアンテナ要素を有する第3のアンテナアレイをさらに備え、
前記制御回路は、前記第1のモードまたは前記第2のモードにおいて、前記第3のアンテナアレイ内の前記第3のアンテナ要素のうちの1つまたは複数の動作を制御するように構成され、前記第1のモードでは、前記第3のアンテナ要素のうちの1つまたは複数は、前記通信プロトコルを介した前記第1のアンテナ要素の通信をサポートするための二次機能を提供し、前記第2のモードでは、前記第3のアンテナ要素のうちの1つまたは複数は、前記第1のアンテナ要素のビームフォーミングまたはビームステアリングをサポートするように構成される、
請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項9】
前記制御回路は、
前記第1のアンテナアレイに結合された1つまたは複数の第1のスイッチを有する第1のスイッチングコンポーネントと、
前記第2のアンテナアレイに結合された1つまたは複数の第2のスイッチを有する第2のスイッチングコンポーネントと、
前記第1のスイッチングコンポーネントと前記第2のスイッチングコンポーネントの間に結合された位相シフトコンポーネントと、
を備える、
請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項10】
前記位相シフトコンポーネントは、1つまたは複数の位相シフタを含む、請求項9に記載のアンテナシステム。
【請求項11】
前記位相シフトコンポーネントは、電気的長さが異なる1つまたは複数の伝送線を含む、請求項9に記載のアンテナシステム。
【請求項12】
モバイル機器であって、
複数の第1のアンテナ要素を有する第1のアンテナアレイであって、前記第1のアンテナ要素は、多入力多出力(MIMO)モードの通信プロトコルを介して1つまたは複数の信号を通信するように動作可能である、第1のアンテナアレイと、
複数の第2のアンテナ要素を有する第2のアンテナアレイと、
記第2のアンテナアレイの前記第2のアンテナ要素のうちの1つまたは複数の動作を、第1のモードまたは第2のモードで切り換え制御するように構成された制御回路と、
を備え、
前記第1のモードでは、前記第2のアンテナ要素のうちの第1のサブセットは、前記通信プロトコルを介した前記第1のアンテナ要素の通信をサポートするための二次機能を提供し、前記第2のアンテナ要素の第2のサブセットは、前記第1のアンテナ要素のビームフォーミングまたはビームステアリングをサポートするように構成され、
前記第2のモードでは、前記第2のアンテナ要素のうちの第3のサブセットは、前記第1のアンテナ要素のビームフォーミングまたはビームステアリングをサポートするように構成され、前記第3のサブセットは、前記第2のサブセットに対して1つまたは複数の追加の第2のアンテナ要素を有する、
モバイル機器。
【請求項13】
前記第1のアンテナアレイおよび前記第2のアンテナアレイは、前記モバイル機器の異なる表面に近接して配置される、請求項12に記載のモバイル機器。
【請求項14】
前記第1のアンテナアレイと前記第2のアンテナアレイは、前記モバイル機器の同じ表面に近接して配置される、請求項12に記載のモバイル機器。
【請求項15】
複数の第1アンテナ要素を有する第1のアンテナアレイと、複数の第2のアンテナ要素を有する第2のアンテナアレイとを備えるアンテナシステムを構成する方法であって、
多入力多出力モードで通信プロトコルを介して1つまたは複数の信号を通信するように、前記第1のアンテナアレイの前記複数の第1のアンテナ要素を動作させるステップと、
前記第2のアンテナアレイを第1のモードで動作させるステップであって、前記複数の第2のアンテナ要素の第1のサブセットは、前記通信プロトコルを介した前記第1のアンテナ要素の通信をサポートするための二次機能を提供し、前記複数の第2のアンテナ要素の第2のサブセットは、前記第1のアンテナ要素のビームフォーミングまたはビームステアリングをサポートするように構成される、動作させるステップと、
前記第2のアンテナアレイの動作を前記第1のモードから第2のモードに切り換えるステップであって、前記第2のモードでは、前記複数の第2のアンテナ要素の第3のサブセットは、前記複数の第1のアンテナ要素にビームフォーミングまたはビームステアリングを提供するように構成され、前記第3のサブセットは、前記第2のサブセットに対して1つまたは複数の追加の第2のアンテナ要素を有する、切り換えるステップと、
を備える、方法。
【請求項16】
前記二次機能は、前記通信プロトコルを介した多入力多出力(MIMO)モード通信をサポートするために、前記複数の第2のアンテナ要素の前記第1のサブセットに含まれる1つまたは複数の第2のアンテナ要素を動作させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記二次機能は、ダイバーシティアンテナ要素として機能させるように、前記複数の第2のアンテナ要素の前記第1のサブセットに含まれる1つまたは複数の第2のアンテナ要素を動作させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記通信プロトコルは、5G通信プロトコルであり、前記1つまたは複数の信号は、約24GHzから約86GHzの範囲の周波数帯内である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
[0001]本出願は、2019年6月24日に出願された「アンテナアレイを用いたビームフォーミング(beam forming)およびビームステアリング(beam steering)」というタイトルの米国仮出願第62/865,450号の優先権の利益を主張するものであり、この出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、一般に、5Gセルラー通信システムで使用するためのアンテナシステムなど、無線通信システム用のアンテナシステムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
[0003]ラップトップ、タブレット、スマートフォン、IoT(インターネットオブシングス)機器などの電子機器は、セルラーネットワーク上で通信することができる。4Gで動作するセルラーネットワークが豊富に使用されており、最近では、広い地域で安定した信頼性の高いネットワークで音声通信とともに中程度から高いデータレートの伝送を提供するように進化している。通信システムは、5Gのプロトコルとネットワークに移行しつつある。5Gネットワークは、実質的により高いデータレートとより低い遅延を実現することができ、音声アプリケーション、データアプリケーション、IoTアプリケーションに適用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本開示の実施形態の態様および利点は、以下の説明に部分的に記載され、または説明から学ぶことができ、または実施形態の実践を通じて学ぶことができる。
【0005】
[0005]本開示の1つの例示的な態様は、アンテナシステムに向けられている。アンテナシステムは、複数の第1のアンテナ要素を有する第1のアンテナアレイを含む。第1のアンテナ要素は、多入力多出力(MIMO)モードの通信プロトコルを介して1つまたは複数の信号を通信するように動作可能である。アンテナシステムは、複数の第2のアンテナ要素を有する第2のアンテナアレイを含む。アンテナシステムは、第1のモードまたは第2のモードで、第2のアンテナアレイの第2のアンテナ要素のうちの1つまたは複数の動作を制御するように構成された制御回路を含む。第1のモードでは、第2のアンテナ要素のうちの1つまたは複数は、通信プロトコルを介した第1のアンテナ要素の通信をサポートするための二次機能を提供するように構成される。第2のモードでは第2のアンテナ要素のうちの1つまたは複数は、第1のアンテナ要素のビームフォーミングまたはビームステアリングをサポートするように構成される。
【0006】
[0006]様々な実施形態のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照することにより、よりよく理解されるであろう。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を示し、説明と合わせて、関連する原理を説明する役割を果たす。
【0007】
[0007]当業者に向けられた実施形態の詳細な議論は、添付の図を参照する本明細書に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】[0008]図1は、本開示の例示的な実施形態によるアンテナシステムを有するモバイル機器を示す図である。
図2】[0009]図2は、本開示の例示的な実施形態によるアンテナシステムにおけるアンテナアレイの構成を示す図である。
図3】[0010]図3Aは、本開示の例示的な実施形態による例示的なビームフォーミングまたはビームステアリングを示す図である。図3Bは、本開示の例示的な実施形態による例示的なビームフォーミングまたはビームステアリングを示す図である。図3Cは、本開示の例示的な実施形態による例示的なビームフォーミングまたはビームステアリングを示す図である。
図4】[0011]図4は、本開示の例示的な実施形態によるアンテナシステムを構成するための例示的な制御回路を示す図である。
図5】[0012]図5は、本開示の例示的な実施形態による例示的な方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0013]次に、1つまたは複数の例が図面に示されている実施形態を詳細に参照する。各例は、実施形態の説明のために提供されるものであり、本開示を限定するものではない。実際、本開示の範囲や思想から逸脱することなく、実施形態に様々な修正や変形を加えることができることは、当業者には明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として図示または説明された特徴は、別の実施形態で使用して、さらに別の実施形態をもたらすことができる。したがって、本開示の態様は、そのような修正および変形をカバーすることが意図される。
【0010】
[0014]本開示の例示的な態様は、5G通信システムなどの通信システムにおいて、アンテナアレイを用いるビームフォーミングおよび/またはビームステアリングのためのシステムおよび方法に向けられている。例えば、機器用のアンテナシステムは、複数の異なるアンテナアレイを含むことができる。各アンテナアレイは、複数の異なるアンテナ要素を有することができる。アンテナ要素は、二次機能(例えば、多入力多出力(MIMO)、ダイバーシティ)を提供するため、通信プロトコル(例えば、5G通信プロトコル)を介した主通信をサポートするため、またはビームフォーミングおよび/またはビームステアリングをサポートするためのいずれかのために、アレイ間で共有することができる。
【0011】
[0015]5G通信プロトコルは、例えば、MIMO通信および/またはより高い周波数帯(例えば、約24GHzから約86GHzの範囲の周波数帯)での通信のために構成されたアンテナアレイを使用して実装することができる。これらのアンテナアレイの各々は、複数のアンテナ要素を含むことができる。アンテナ要素を、MIMOモード(例えば、4×4MIMOモード)で信号(例えば、RF信号)を通信するように、個別におよび/または集合的に制御することができる。これにより、無線通信において、より高いデータレートとより低い遅延を提供することができる。
【0012】
[0016]電子機器(例えば、モバイル機器、IoT機器、または他の電子機器)は、複数の異なるアンテナアレイ(例えば、2つのアンテナアレイ、3つのアンテナアレイ、4つのアンテナアレイ)を含むことができる。アンテナアレイのうちの1つ(例えば、メインアンテナアレイ)は、通信プロトコル(例えば、3G、4G(LTE)、5Gプロトコルなどのセルラー通信プロトコル)を介した主通信に使用することができる。1つまたは複数の異なるアンテナアレイを使用して、メインアンテナアレイの通信をサポートするための二次機能を提供することができる。例えば、アンテナアレイは、メインアンテナアレイのMIMO動作および/またはダイバーシティ動作をさらに強化するために使用することができる。
【0013】
[0017]本開示の例示的な態様によれば、複数の異なるアンテナアレイから選択されたアンテナ要素は、メインアンテナアレイの「ビームフォーミング」または「ビームステアリング」をサポートするために使用することができる。ビームフォーミングとは、特定の方向(例えば、基地局の方向)の信号強度を高めて通信リンクを強化するために、異なるアンテナビームを組み合わせることをいう。「ビームステアリング」とは、アンテナビームの利得の高い方向が特定の方向(例えば、基地局の方向)に向くように、アンテナビームを動的にステアリングすることをいう。
【0014】
[0018]例えば、メインアンテナアレイの1つまたは複数のアンテナ要素を、MIMOおよび/またはダイバーシティをサポートするために使用することから、ビームステアリングまたはビームフォーミングのために使用することに切り替えることができる。加えて、および/または代替として、異なるアンテナアレイからの1つまたは複数の追加のアンテナ要素を、MIMOおよび/またはダイバーシティをサポートするために使用することから、ビームステアリングまたはビームフォーミングのために使用することに切り替えることができる。このようにして、本開示の態様は、MIMO/ダイバーシティをサポートするため、および/またはビームステアリングもしくはビームフォーミングのために、異なるアンテナアレイ間の異なるアンテナ要素を共有して、アンテナアレイ内の利用可能なリソースの使用を強化し、無線性能を向上させることができるという技術的効果を有することができる。
【0015】
[0019]本明細書では、「モバイル機器」とは、無線通信が可能で、通常の動作時にはユーザが手で持ち運べる電子機器である。例示的なモバイル機器は、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、ウェアラブル機器、パーソナルデジタルアシスタント、およびポータブルデジタルミュージックプレイヤーを含む。本明細書では、数値に関連して「約」という用語を使用することは、記載された数値の10%以内を意味する。
【0016】
[0020]図1は、本開示の例示的な実施形態による、セルラー通信をサポートし、ビームステアリング機能またはビームフォーミング機能を有する例示的なモバイル機器100を示す。図示するように、モバイル機器は、ハウジング104を含む。ハウジング104は、複数の異なる表面(例えば、エッジ表面)を含むことができる。例えば、ハウジング104は、第1の表面107および第2の表面109、ならびに他の表面(指定されていない)を有する。モバイル機器100は、ユーザがモバイル機器100と対話できるように、インターフェース要素(例えば、タッチスクリーン、タッチパッド、キーボード、カメラ、マイクロフォン)を含むことができる。
【0017】
[0021]ハウジング104は、第1のアンテナアレイ110、第2のアンテナアレイ120、および第3のアンテナアレイ130の3つのアンテナアレイを収容する。3つのアンテナアレイは、説明および議論の目的で図示されている。当業者であれば、本明細書で提供される開示を利用して、本開示の範囲から逸脱することなく、より多いまたはより少ないアンテナアレイを使用できることを理解するであろう。
【0018】
[0022]第1のアンテナアレイ110、第2のアンテナアレイ120、および第3のアンテナアレイ130のそれぞれは、複数のアンテナ要素を含むことができる。各アンテナ要素を、5G通信プロトコルなどのセルラー通信プロトコルを介して1つまたは複数の信号を通信するように構成することができる。各アンテナ要素を、約24GHzから約86GHzの範囲の周波数帯で1つまたは複数の信号を通信するように構成することができる。いくつかの実施形態では、各アンテナアレイは、基板(例えば、回路基板)上に配置された複数のアンテナ要素(例えば、放射要素)を含むことができる。
【0019】
[0023]第1のアンテナアレイ110および第2のアンテナアレイ120は、モバイル機器100の同じ表面、すなわち表面107に近接しているように図示されている。第3のアンテナアレイ130は、第1のアンテナアレイ110および第2のアンテナアレイ120に対して異なる表面(例えば、表面109)にあるものとして図示されている。このように、アンテナアレイを、モバイル機器100の同じ表面に近接して配置することも、異なる表面に近接して配置することもできる。
【0020】
[0024]図2は、本開示の例示的な実施形態による、第1のアンテナアレイ110および第2のアンテナアレイ120の例示的な構成を示す。より詳細には、構成202において、複数の第1のアンテナ要素112は、通信プロトコル(例えば、5G通信プロトコル)を介した主通信をサポートするように構成される。複数の第1のアンテナ要素112は、MIMOモードで通信プロトコルを介して通信可能である。例えば、複数の第1のアンテナ要素112は、4×4MIMOモードで動作するように構成することができる。
【0021】
[0025]構成202では、第2のアンテナアレイ120に関連する複数の第2のアンテナ要素122が、第1のアンテナアレイ110内の第1のアンテナ要素112の主通信をサポートするための二次機能を提供するように構成される。例えば、第2のアンテナアレイ120の複数の第2のアンテナ要素122は、第1のアンテナアレイ110内の第1のアンテナ要素112に対して追加のMIMO能力および/またはダイバーシティを提供することができる。
【0022】
[0026]構成202では、第2のアンテナ要素122の第1のサブセット126が、第1のアンテナアレイ110の第1のアンテナ要素112をサポートするための二次機能を提供するように構成される。第1のサブセット126は、第2のアンテナアレイ120内の第2のアンテナ要素122のすべてを含む。第2のアンテナアレイ120の第2のサブセット(アンテナ要素なし)は、第1のアンテナアレイ110の第1のアンテナ要素112のビームステアリングまたはビームフォーミングをサポートするように構成される。
【0023】
[0027]本開示の例示的な態様によれば、制御回路は、第1のアンテナアレイ110および第2のアンテナアレイ120の構成を構成202から構成204に調整することができる。構成204では、第2のアンテナ要素122のサブセット124は、第1のアンテナアレイ110の第1のアンテナ要素112のビームステアリングまたはビームフォーミングをサポートするように構成されている。第2のアンテナ要素122のサブセット126は、第1のアンテナアレイ110の第1のアンテナ要素112の二次機能(例えば、MIMO、ダイバーシティ)をサポートするように構成されたままである。
【0024】
[0028]図2の例では、説明および議論の目的で、2つのアンテナアレイにわたるアンテナ要素の構成を議論している。当業者であれば、本明細書で提供される開示内容を用いて、本開示の範囲から逸脱することなく、アンテナ要素を単一のアンテナアレイまたは2つ以上のアンテナアレイに関連付けることができることを理解するであろう。例えば、アンテナ要素112および122は、本開示の範囲から逸脱することなく、単一のアンテナアレイのすべての部分とすることができる。別の例として、本開示の範囲から逸脱することなく、第1のアンテナアレイ110にわたるアンテナ要素、第2のアンテナアレイ120にわたるアンテナ要素、および第3のアンテナアレイ130にわたるアンテナ要素を使用することができる。
【0025】
[0029]いくつかの実施形態では、本例のビームフォーミングまたはビームステアリングのためのアンテナ要素を構成するためのメカニズムを、例えば、アンテナ要素に通信される信号に位相シフトを導入することによって実施することができる。いくつかの実施形態では、位相シフトは、遅延線を用いて通信される信号に時間遅延を導入する遅延線を用いて実装することができる。いくつかの実施形態では、位相シフトは、位相シフタを用いて実装することができる。
【0026】
[0030]図3Aから3Cは、アンテナ要素間に実装された3つの異なる位相シフトに対応する3つの異なる放射パターンの例を示している。この例では、モバイル機器は、Y方向に最も高い利得を有する第1の放射パターンを生成する第1のアンテナアレイまたは第1のアンテナアレイの1つまたは複数の第1のアンテナ要素と、Z方向に最も高い利得を有する第2の放射パターンを生成する第2のアンテナアレイまたは第2のアンテナアレイの1つまたは複数の第2のアンテナ要素と、を含むように構成される。図3Aは、第2の放射パターンからの寄与がほとんど無視できるように時間遅延または位相シフトが設定され、その結果、Y方向に最も高い利得を有する複合放射パターンが得られる第1のモードを示す。図3Bは、第1の放射パターンと第2の放射パターンが位相的に共存するように時間遅延または位相シフトが設定され、その結果、Y+Z方向に最も高い利得を有する複合放射パターンが得られる第2のモードを示す。図3Cは、第1の放射パターンからの寄与がほとんど無視できるように時間遅延または位相シフトを設定し、その結果、Z方向に最も高い利得を有する複合放射パターンが得られる第3のモードを示す。
【0027】
[0031]図4は、本開示の例示的な実施形態によるアンテナアレイを構成するように構成された例示的な制御回路200の概略図を示す。この例では、5G通信プロトコルを含む第1から第Nのプロトコルが、複数のアンテナ要素を有する第1のアンテナアレイ110でサポートされる場合を示している。第1のアンテナアレイ110は、図1および図2に図示された第1のアンテナアレイ110と同様とすることができる。複数のアンテナ要素を有する第2のアンテナアレイ120を、二次機能(例えば、MIMO、ダイバーシティ)のために構成されるか、またはビームステアリングもしくはビームフォーミングのために構成されるかのいずれかによって、第1のアンテナアレイ110の通信をサポートするために使用することができる。第2のアンテナアレイ120は、図1および図2に図示された第2のアンテナアレイ120と同様とすることができる。
【0028】
[0032]制御回路200は、第1のアンテナアレイ110および第2のアンテナアレイ120のうちのアンテナ要素を、二次機能をサポートすることと、ビームフォーミングまたはビームステアリングをサポートすることとの間で構成するように動作可能である。
【0029】
[0033]第1から第Nのトランシーバ302は、5G通信プロトコルを含む第1~第Nのプロトコルによる信号を処理するために、第1のアンテナアレイ110に関連付けられている。トランシーバ302によってサポートされる他のプロトコルは、2Gプロトコル、3Gプロトコル、4G(LTE)プロトコルなどを含むことができる。(N+1)番目から(N+M)番目のトランシーバ304は、5G通信プロトコルを含む第1~第Nのプロトコルのうちの1つまたは複数と連携して、本来意図された機能を実行するために、第2のアンテナアレイ120に関連付けられている。トランシーバ304によってサポートされる他のプロトコルは、2Gプロトコル、3Gプロトコル、4G(LTE)プロトコルなどを含むことができる。
【0030】
[0034]制御回路200は、第1のスイッチングコンポーネント220と第2のスイッチングコンポーネント224とを含むことができる。第1のスイッチングコンポーネント220と第2のスイッチングコンポーネント224とを、位相シフトコンポーネント227を介して互いに結合することができる。位相シフトコンポーネント227を、ビームステアリング機能および/またはビームフォーミング機能を実装するために、第1のアレイ110および120のアンテナ要素間で通信される信号間に複数の位相シフトを提供するように構成することができる。
【0031】
[0035]例えば、位相シフトコンポーネント227は、第1のスイッチングコンポーネント220および第2のスイッチングコンポーネント224を使用して1つまたは複数のアンテナ要素に選択的に結合することができる遅延線として機能することができる、電気的長さが異なる複数の伝送線を含むことができる。加えておよび/または代替として、位相シフトコンポーネント227は、位相シフトコンポーネント227を介して通信される信号に位相シフトを実装するように構成された1つまたは複数の位相シフタを含むことができる。
【0032】
[0036]第1のスイッチングコンポーネント220は、第1のアンテナアレイ110の個々のアンテナ要素を位相シフトコンポーネント227に選択的に結合するように構成された複数の第1のスイッチ(例えば、トランジスタ、または他のスイッチング機器)を含むことができる。第2のスイッチングコンポーネント224は、第2のアンテナアレイ120の個々のアンテナ要素を位相シフトコンポーネント227に選択的に結合するように構成された複数の第2のスイッチ(例えば、トランジスタ、または他のスイッチング機器)を含むことができる。第1のスイッチングコンポーネント224は、ブロック236で表されるように、システム内のコンポーネントまたはモジュールにオープン、接地、またはショートするパスを含むことができる。
【0033】
[0037]制御回路200は、ある期間中に第1のアンテナアレイ110の個々のアンテナ要素に結合されるトランシーバ302のうちの1つまたは複数を選択するように構成されたモジュール240を含むことができる。モジュール240を、信号をアンテナアレイ110および/または第1のスイッチングコンポーネント220に提供することの間で選択するように構成することができる電力コンバイナ/スプリッタ242に結合することができる。制御回路200は、ある期間中に、第2のアンテナアレイ120の個々のアンテナ要素に結合されるトランシーバ304のうちの1つまたは複数を選択するように構成されたモジュール245を含むことができる。
【0034】
[0038]コントローラ244(例えば、1つまたは複数のメモリ機器に格納されたコンピュータ可読命令を実行するように構成されたプロセッサ、マイクロプロセッサなど)を、パス/位相シフトの選択を制御するために、第1のスイッチングコンポーネント220、第2のスイッチングコンポーネント224、位相シフトコンポーネント227、モジュール240、モジュール245、および電力コンバイナ/スプリッタ242など、制御回路200の様々なコンポーネントに結合することができる。
【0035】
[0039]制御回路200は、モジュール240を制御して、トランシーバ302の選択されたトランシーバを第1のアンテナアレイ110内の1つまたは複数のアンテナ要素に結合することにより、通信プロトコルを介して1つまたは複数の信号を通信するように要素を制御することができる。通信プロトコルを、例えば、5G通信プロトコルとすることができる。第1のアンテナアレイ110内のアンテナ要素のうちの1つまたは複数を、MIMOモードで通信プロトコルを介して信号を通信するように構成することができる。
【0036】
[0040]制御回路200は、第2のアンテナアレイ120内のアンテナ要素のうちの1つまたは複数が、第1のモードまたは第2のモードになるように構成することができる。第1のモードでは、第2のアンテナ要素のうちの1つまたは複数が、通信プロトコルを介した第1のアンテナ要素の通信をサポートするための二次機能(例えば、MIMO、ダイバーシティ)を提供するように構成される。
【0037】
[0041]より詳細には、第2のアンテナアレイ120内の1つまたは複数のアンテナ要素がMIMOまたはダイバーシティのために使用される場合、コントローラ244は、第2のアンテナアレイ120のアンテナ要素のうちの1つまたは複数をトランシーバ304のうちの適切なトランシーバに選択的に結合するように、第2のスイッチングコンポーネント224およびモジュール245を制御することができる。さらに、コントローラ244は、第1のアンテナアレイ110のアンテナ要素のうちの1つまたは複数をブロック236に選択的に結合するように(例えば、オープン、接地、短絡など)、第1のスイッチングコンポーネント224を制御することができる。コントローラ244は、第1のアンテナアレイ110の1つまたは複数のアンテナ要素を第2のアンテナアレイ120の1つまたは複数のアンテナ要素から別の方法で切り離すようにコンポーネントを制御することもできる。
【0038】
[0042]第2のモードにあるとき、制御回路200は、第1のアンテナ要素のビームフォーミングまたはビームステアリングをサポートするように、第2のアンテナアレイ120および/または第1のアンテナアレイ110のアンテナ要素のうちの1つまたは複数を制御することができる。例えば、第1のスイッチングコンポーネント220および第2のスイッチングコンポーネント240は、コントローラ244によって制御することができ、第1のアンテナアレイ110および/または第2のアンテナアレイ120のうちの2つ以上のアンテナ要素を結合するように、パスを位相シフトコンポーネント227に接続することができる。位相シフトコンポーネント227は、ビームフォーミングまたはビームステアリングのために、アンテナ要素に関連する放射パターン間の位相シフトを行うことができる。
【0039】
[0043]図5は、本開示の例示的な実施形態による例示的な方法(400)のフロー図を示している。方法(400)は、例えば、図1~4に示されたアンテナシステムを使用して実施することができる。図5は、説明および議論の目的で、特定の順序で実行されるステップを示している。当業者であれば、本明細書で提供される開示を利用して、本明細書で説明される方法のいずれかの様々なステップを、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な方法で適応する、省略する、再配置する、図示されていないステップを含ませる、同時に実行する、および/または変更することができることを理解するであろう。
【0040】
[0044](402)において、本方法は、アンテナシステムを用いた通信のための通信プロトコルを選択するステップを含むことができる。通信プロトコルは、例えば、5G通信プロトコルとすることができる。5G通信プロトコルは、アンテナのMIMO動作、および/または、約24GHzから約86GHzの範囲の周波数帯など、より高い周波数帯での通信を求めることができる。
【0041】
[0045](404)において、本方法は、通信プロトコルを介して通信するように第1のアンテナ要素を構成するステップを含むことができる。例えば、モバイル機器内の1つまたは複数のアンテナアレイにわたる複数のアンテナ要素を、例えばMIMOモードで、5G通信プロトコルを介して信号を通信するために、トランシーバに結合することができる。
【0042】
[0046](406)において、本方法は、通信プロトコルを介した第1のアンテナ要素による1つまたは複数の信号の通信をサポートするための二次機能を提供するように、1つまたは複数の第2のアンテナ要素を動作させるステップを含むことができる。二次機能は、通信プロトコルを介してMIMO通信をサポートするように第2のアンテナ要素を構成することを含むことができる。二次機能は、1つまたは複数の第2のアンテナ要素をダイバーシティアンテナ要素として動作させることを含むことができる。1つまたは複数の第2のアンテナ要素は、第1のアンテナ要素と同じアンテナアレイの一部、および/または、異なるアンテナアレイとすることができる。
【0043】
[0047](408)において、本方法は、ビームステアリングまたはビームフォーミングをサポートするために第2のアンテナ要素の動作モードを調整するための信号を受信するステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、動作モードを調整する信号は、アンテナシステムと基地局との間の通信リンクに関連するチャネル品質インジケータ(CQI)に基づくことができる。例えば、動作モードを調整する信号は、通信リンクのCQIを向上させるように実施することができる。例示的なCQIは、信号対雑音比(SNR)、信号対干渉プラス雑音比(SINR)、受信信号強度インジケータ(RSSI)、ビットエラーレート(BER)および他のメトリックのうちの1つまたは複数を含み、これらはチャネル品質インジケータ(CQI)と呼ばれる。他のトリガ/信号を、ある期間の満了、定期的な間隔、特定の基地局との通信時など、第2のアンテナ要素の動作モードを調整するために使用することができる。
【0044】
[0048](410)において、本方法は、上で詳細に説明したように、ビームステアリングまたはビームフォーミングをサポートするために、1つまたは複数の第2のアンテナ要素を動作させるステップを含むことができる。例えば、信号を、1つまたは複数の遅延線、位相シフタなどを含む位相シフタモジュールを通過させて、第2のアンテナ要素を用いたビームステアリングおよび/またはビームフォーミングを実施することができる。
【0045】
[0049](412)において、本方法は、二次機能をサポートするために第2のアンテナ要素の動作モードを調整するための信号を受信するステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、動作モードを調整する信号は、アンテナシステムと基地局との間の通信リンクに関連するCQIに基づくことができる。例えば、動作モードを調整する信号は、通信リンクのCQIを向上させるように実施することができる。他のトリガ/信号を、ある期間の満了、定期的な間隔、特定の基地局との通信時など、第2のアンテナ要素の動作モードを調整するために使用することができる。
【0046】
[0050](412)で信号を受信すると、本方法は(406)に戻ることができ、通信プロトコルを介した第1のアンテナ要素による通信をサポートするための二次機能を提供するモードで、1つまたは複数の第2のアンテナ要素を動作させることができる。このようにして、二次機能サポート(例えば、MIMO、ダイバーシティ)と、ビームステアリングサポートまたはビームフォーミングサポートとの間の第2のアンテナ要素の動的調整を通じて、通信リンク品質を高めることができる。
【0047】
[0051]本主題は、その特定の例示的な実施形態に関して詳細に説明されてきたが、当業者は、上述の理解を得た上で、そのような実施形態に対する変更、変形、および等価物を容易に作り出し得ることが理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、限定というよりむしろ例示によるものであり、本開示は、当業者に容易に明らかになるような変更、変形、および/または追加を本主題に含めることを排除するものではない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5