(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】少なくとも1つの制御された手動自由度を伴う眼科用顕微鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 3/135 20060101AFI20240603BHJP
A61B 3/18 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
A61B3/135
A61B3/18
(21)【出願番号】P 2021576684
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2019066676
(87)【国際公開番号】W WO2020259794
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】521511575
【氏名又は名称】ハーグ-シュトライト アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】フランク ツンケール
(72)【発明者】
【氏名】イェルク ブライテンシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ フーバー-メツナリック
(72)【発明者】
【氏名】トーマス キラー
(72)【発明者】
【氏名】ユリアン ファウ.コール バン ランゲンベルゲ
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-016239(JP,A)
【文献】特表2017-526507(JP,A)
【文献】特開昭63-055514(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0117207(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0001931(US,A1)
【文献】特表2019-502434(JP,A)
【文献】特開2019-000358(JP,A)
【文献】特開平02-104349(JP,A)
【文献】特開2015-150436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00- 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡装置(8)と;
ヒンジ(30)によって連結され枢動的に互いに可動である少なくとも第1の構成要素(1、2)および第2の構成要素(3、8;4、9)と;
前記第1および第2の構成要素(1、2;3、8;4、9)の間の相対的位置を測定するように配設された第1のセンサ部材(46a)を有する位置センサ(46a、46b)と;
を含む眼科用の顕微鏡において、
前記第1および第2の構成要素(1、2;3、8;4、9)の間に配設された一次ブレーキ部材(38a)を有する電気制御式のブレーキ(38a、38b、38c)、および
前記位置センサ(46a、46b)および前記ブレーキ(38a、38b、38c)に連結され、前記位置センサ(46a、46b)の読取り値に応じて前記ブレーキ(38a、38b、38c)を操作するように適応されたブレーキコントローラ(50)、
を特徴とする顕微鏡。
【請求項2】
前記第1の構成要素(1、2)が、前記顕微鏡のベース(1)であるか、または前記ベース(1)に並進的に組付けられたステージ(2)である、請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項3】
前記第2の構成要素(3、8;4、9)が前記顕微鏡装置(8)を含む、請求項1ないし2のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項4】
前記第2の構成要素(3、8;4、9)が光源(9)を含む、請求項1または2のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項5】
前記ヒンジ(30)が、
前記第1の構成要素(1、2)に剛結された第1のヒンジ部材(32a、32b、32c)と、
前記第2の構成要素(3、8;4、9)に対して剛結された第2のヒンジ部材(34)と、
枢動軸(5)を有し、前記第1および前記第2のヒンジ部材(32a、32b、32c;34)を連結する一次枢動軸受(44a)と、
を含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項6】
前記ヒンジ(30)がさらに、第1のコイル部材(40a)と、前記枢動軸(5)の周りに配設され、前記第1のコイル部材(40a)内の電流に応じて前記第1および第2のヒンジ部材(32a~32c;34)の間に摩擦制動力を生成するように位置付けされた第1のブレーキディスク(42a)とを含む、請求項5に記載の顕微鏡。
【請求項7】
前記第1の構成要素(1、2)ならびに前記第2の構成要素(3、8)との関係において枢動的に可動である第3の構成要素(4、9)、
をさらに含み、ここで、
前記ブレーキ(38a、38b、38c)が、前記第1および第3の構成要素(1、2;4、9)の間および/または前記第2および第3の構成要素(3;4)の間に配設された二次ブレーキ部材(38b、38c)を含み、
前記位置センサ(46a、46b)が、前記第1および第3の構成要素(1、2;4、9)の間の相対的位置を測定するように配設された第2のセンサ部材(46b)を含んでいる、
請求項5または6に記載の顕微鏡。
【請求項8】
ヒンジ(30)が、
前記第3の構成要素(4、9)に対して剛結された第3のヒンジ部材(36a~36d)と、
前記第1または第2のヒンジ部材(32a~32c;34)と前記第3のヒンジ部材(36a~36
d)を連結する二次枢動軸受(44b、44c)と、
を含んでいる、請求項7に記載の顕微鏡。
【請求項9】
第2のコイル部材(40b)と、前記枢動軸(5)の周りに配設され、前記第2のコイル部材(40b)内の電流に応じて前記第2および第3のヒンジ部材(34、36a~36d)の間に摩擦制動力を生成するように位置付けされた、第2のブレーキディスク(42b)とをさらに含む、請求項8に記載の顕微鏡。
【請求項10】
第3のコイル部材(40c)と、前記枢動軸(5)の周りに配設され、前記第3のコイル部材(40c)内の電流に応じて前記第1および第3のヒンジ部材(32a~32c;36a~36d)の間に摩擦制動力を生成するように位置付けされた、第3のブレーキディスク(42c)とをさらに含み、
かつ特に、前記第1、第2および第3のコイル部材(40a~40c)および前記第1、第2および第3のブレーキディスク(42a~42c)が前記枢動軸(5)に沿った異なる位置に配設されている、
請求項8または9に記載の顕微鏡。
【請求項11】
前記ブレーキ(38a、38b、38c)が2つの二次ブレーキ部材(38b、38c)を含み、一方の二次ブレーキ部材(38c)が前記第1および第3の構成要素(1、2;4、9)の間に配設され、他方の二次ブレーキ部材(38b)が前記第2および第3の構成要素(3、8;4、9)の間に配設されている、請求項8ないし10のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項12】
前記第1の構成要素(1、2)が前記ヒンジ(30)の第1の場所に連結され、前記第2の構成要素(3、8)が前記ヒンジ(30)の第2の場所に連結され、前記第3の構成要素(4、9)が前記ヒンジ(30)の第3の場所に連結され、前記第2の場所は前記第1および前記第3の場所の間に位置設定され、前記第1のヒンジ部材(32a~32c)または前記第3のヒンジ部材(36a~36d)が、前記第2のヒンジ部材(34)を通って延在するシャフト(36c)を含む、請求項8ないし11のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項13】
前記ブレーキコントローラ(50)が、現在の相互位置(x)および所望の相互位置(x0)に応じて前記ブレーキ(38a、38b、38c)を起動させるための起動時間(t0)を計算するように適応されている、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項14】
前記ブレーキコントローラ(50)が、
前記第1および第2の構成要素(1、2;3、8;4、9)の間の運動速度(v)を決定し、かつ、
前記所望の相互位置(x0)と前記運動速度(v)に応じて、前記ブレーキ(38a、38b、38c)を起動させるための時間(t0)を計算する、
ように適応されている、請求項13に記載の顕微鏡。
【請求項15】
前記ブレーキコントローラ(50)が、
前記ブレーキ(38a、38b、38c)の起動と前記第1および第2の構成要素(1、2;3、8;4、9)間の運動の静止との間の制動距離(D)を計算し、
前記制動距離(D)を用いて前記起動時間(t0)を決定する、
ように適応されている、請求項14に記載の顕微鏡。
【請求項16】
前記ブレーキコントローラ(50)が、
制動プロセスの複数の過去の測定値を用いて、前記ブレーキ(38a、38b、38c)の制動距離(D)を記述する少なくとも1つのパラメータ(Δt、u)を導出し、
前記パラメータ(Δt、u)に応じて起動時間(t0)を計算する、
ように適応されている、請求項15に記載の顕微鏡。
【請求項17】
前記ブレーキコントローラ(50)が、
前記ブレーキ(38a、38b、38c)を作動化させている間に、前記ブレーキ(38a、38b、38c)に対抗して作用する力の増大を検出し、かつ
このような増大の時点で、前記ブレーキ(38a、38b、38c)を解放する、
ように適応されており、
特に、前記位置センサ(46a、46b)が、前記力を検出するために使用される、
請求項1ないし16のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項18】
前記ブレーキコントローラ(50)が、1秒未満、特に0.5秒未満の持続時間の間、前記ブレーキ(38a、38b、38c)を作動化させかつ自動的に非作動化させるように適応されている、請求項1ないし17のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項19】
さらにディスプレイ(52)を含み、前記ブレーキコントローラ(50)が、
所望の相互位置(x0)との関係における前記第1および第2の構成要素(1、2;3、8;4、9)間の現在の位置(x(t))を決定し、かつ
前記第1および第2の構成要素(1、2;3、8;4、9)のうちの1つを前記所望の相互位置(x0)まで移動させるための変位方向を前記ディスプレイ(52)上に標示する、
ように適応されている、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項20】
前記第1および第2の構成要素(1、2;3、8;4、9)のうちの少なくとも2つの間に、ころ軸受(44a、44b、44c)および摩擦軸受(45a、45b)を含む、請求項1ないし19のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンド、顕微鏡装置、互いとの関係において手動式に可動である少なくとも第1および第2の構成要素、および第1および第2の構成要素間の相対的位置を測定するように配設された位置センサを有する眼科用顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(米国特許出願公開第2011/0001931号)は、2つの水平方向に沿って、そのスタンドとの関係において手動で移動させることのできる細隙灯顕微鏡について記述している。
【0003】
この装置には、これらの自由度に沿ったあらゆる移動を制動するための電気制御式ブレーキが備わっている。ユーザは装置上のスイッチを起動させることによってブレーキを操作する。
【0004】
特許文献2(欧州特許第2721995号)は、照明の角度を測定するための位置センサを伴う設定状態取得部分を有する別の細隙灯顕微鏡について記述している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2011/0001931号明細書
【文献】欧州特許第2721995号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決すべき問題は、使用し易さが増したこのタイプの眼科用顕微鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題は、請求項1の眼科用顕微鏡によって解決される。
【0008】
したがって、該眼科用顕微鏡は、少なくとも以下の要素を含む:
- 顕微鏡装置:顕微鏡装置は、典型的に、目の画像を拡大するためのレンズ系を含む。それはさらに、カメラおよび/または接眼レンズを含んでいてよい。
- 少なくとも第1の構成要素および第2の構成要素:これら2つの構成要素は、例えば、間に好適なリニア軸受または枢動軸受を具備することによって、互いとの関係において手動式に可動である。
- 前記第1および第2の構成要素間の相対的位置を測定するように配設された第1のセンサ部材を有する位置センサ:この第1のセンサ部材は例えば、角度センサまたはリニアセンサを含み得る。センサは、2つの構成要素の相互位置を表わす電子信号を生成する。
- 電気制御式ブレーキ。このブレーキは、第1および第2の構成要素間に配設された一次ブレーキ部材を含む。
- 位置センサおよびブレーキに連結され、位置センサの読取り値に応じてブレーキを操作するように適応されたブレーキコントローラ。
【0009】
顕微鏡のこの設計は、2つの相互に可動な構成要素の位置に応じてブレーキを起動させることを可能にする。したがって、ユーザが手動で構成要素を移動させることができるとしても、装置はそれらを適切に位置付けするのをアシストすることができる。
【0010】
有利には、「第1の構成要素」は、装置のベースまたは前記ベースに対して並進的に組付けられたステージである。
【0011】
「第2の構成要素」は、例えば、顕微鏡または顕微鏡の光源を含み得る。
【0012】
重要な利用分野において、第1および第2の構成要素は、互いとの関係において枢動的に可動である。これは、眼科用顕微鏡の構成要素において共通の自由度であり、この自由度を動力化するコストは高い。したがって、構成要素のアシスト式手動配置が、ユーザにとっての大きなメリットを提供する。
【0013】
有利な実施形態において、顕微鏡は、例えば第1の構成要素ならびに第2の構成要素との関係において手動式に可動である光源を含み得る第3の構成要素を含む。この場合、ブレーキは、第1および第3の構成要素間に配設されて、それらの間に電気的に制御可能な制動力を生成するための二次ブレーキ部材を含む。さらに、位置センサは、第1および第3の構成要素間の相対的位置を測定するように配設された第2のセンサ部材を含む。
【0014】
第2のセンサ部材は、第1および第3の構成要素間で直接測定を行なうことができるか、または第2および第3の構成要素間の相対的位置を測定し、この相対的位置に基づいて、それを第1のセンサ部材の読取り値と組み合わせることによって間接的に第1および第3の構成要素間の相対的位置を決定することができる。
【0015】
ブレーキはさらに、2つの二次ブレーキ部材を含んでいてよく、一方の二次ブレーキ部材は第1および第3の構成要素間に配設され、他方の二次ブレーキ部材は、第2および第3の構成要素間に配設されている。これにより、3つの構成要素のうちのいずれか2つを互いに固定してそれらを残りの構成要素に対抗して共通のユニットとして移動させることが可能になる。
【0016】
ブレーキコントローラは、所望の相互位置に応じてブレーキを起動させるための時間を計算するように適応され得る。特に、コントローラは、1つ以上の所望の制動位置を記憶するための1つ以上の記憶位置を含み得る。位置センサの現在の読取り値は、これらの位置における制動をアシストするために、この制動位置と比較される。
【0017】
制動精度を改善するために、ブレーキコントローラはさらに、以下のステップを実施するように適応されている:
- 構成要素の間の運動速度を決定するステップ;および
- 所望の相互位置と運動速度に応じて、ブレーキを起動させるための起動時間を計算するステップ。
【0018】
これによって、顕微鏡の速度依存性制動距離を少なくとも部分的に補償することができる。
【0019】
ブレーキコントローラは同様に、(1)ブレーキの起動と(2)構成要素間の運動静止との間の時間遅延を計算するようにも適応され得る。この時間遅延は、次にブレーキのためのより精確な起動時間を決定するために使用可能である。
【0020】
以下で説明するように、こうして、装置の状態および/またはその使用方法を決定することが可能になり、このことが今度は、制動プロセスのタイミングを改善する一助となる。特に、ブレーキコントローラは、
- 制動プロセスの複数の過去の測定値を用いて、ブレーキの制動距離を記述する少なくとも1つのパラメータを導出し、
- この/これらのパラメータに応じてブレーキの起動時間を計算する、
ように適応されていてよい。
【0021】
したがって、制動距離の予測は、例えば、装置を操作するためにユーザが用いる手動力および/またはブレーキの状態に適応され得る。
【0022】
本発明は、以下の詳細な説明を考慮した時点で、より良く理解でき、以上に記載されたもの以外の目標が明らかになるものである。この説明では、添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】
図2は、(細隙灯アームが顕微鏡の光学軸との関係において枢動した状態での)顕微鏡の上面図を示す。
【
図4】
図4は、ブレーキコントローラのいくつかの構成要素のブロック回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
概要
図1および2は、眼科用顕微鏡、特に、細隙灯顕微鏡の一実施形態を示す。
【0025】
顕微鏡は、例えば机の上に載ったベース1、ベース1に組付けられた並進的に変位可能なステージ2、第1のアーム3および第2のアーム4を有する。
【0026】
ステージ2は、ベース1との関係において水平x方向およびz方向に沿って線形的に変位し得る。
【0027】
アーム3および4は、ステージ2に組付けられ、共通の垂直枢動軸5、すなわち垂直y方向に平行な軸を中心にして枢動する。
【0028】
有利には、アーム3および/または4は、手動式に操作される、すなわちその角度位置は手動で変更され、これらのアームには、その角度位置を変更するための電気アクチュエータが備わっていない。しかしながら、手動に加えて自動でこれらを操作するために、電気的角度アクチュエータを備えることも同様に可能である。
【0029】
装置はさらに、患者の頭を収容するための、ベース1に組付けられたヘッドレスト7を含んでいてよい。
【0030】
アーム3は、顕微鏡装置8を担持し、アーム4は光源9を担持する。
【0031】
顕微鏡8は光学軸12を有する。顕微鏡は、目10の画像をカメラ16および/または接眼レンズ18に投射する入射対物レンズ14を含み得る。これらの構成要素間で光を分割するため、ビームスプリッタ20を配設することができる。
【0032】
光源9は、例えば、検査対象の目10に細隙形状の光ビームを投射するように適応された、当業者にとっては公知の細隙灯であり得る。当該実施形態において、光源9は、光発生器22、空間光変調器または調整可能な機械式細隙24、および結像光学系26を含む。
【0033】
光発生器22は例えば、光学スペクトルの赤色、緑色、青色および赤外域内などの異なる波長を発出する複数のユニットを含み得る。これらのユニットは、光源22の色を変更するために別個に制御され得る。結像光学系26は、変調器24からの光を、例えばアーム4に組付けられた鏡28を介して、目10の前面上に投射する。
【0034】
光源9は、鏡28の上方または下方に配設され得る。
【0035】
装置はさらに、アーム3および4とステージ2を連結するヒンジ30、ならびに装置のブレーキを操作するためのブレーキコントローラ32を含む。これらの構成要素について、以下でさらに詳述する。
【0036】
ヒンジの設計
図3は、枢動軸5に沿ったヒンジ30の概略的断面図を示す。この図において、同じ斜線様式を有する部品が、互いに剛結されている部品を標示している。
【0037】
ヒンジ30の目的は、顕微鏡の第1、第2および第3の構成要素を互いに枢動連結することにある。当該実施形態において、第1の構成要素はステージ2であり、第2の構成要素は、顕微鏡装置8を伴う第1のアーム3であり、第3の構成要素は、照明源9を伴う第2のアーム4である。
【0038】
これら3つの構成要素は、枢動軸5を中心にして互いとの関係において枢動する。
【0039】
ヒンジ30は、ステージ2(またはベース1)に対して、すなわち顕微鏡の第1の構成要素に対して剛結された「第1のヒンジ部材」32a、32b、32cを含む。
【0040】
ヒンジはさらに、アーム3に対してすなわち顕微鏡の第2の構成要素に対して剛結された「第2のヒンジ部材」34を含む。
【0041】
ヒンジは同様に、アーム4に対してすなわち顕微鏡の第3の構成要素に対して剛結された「第3のヒンジ部材」36a~36dも含んでいる。
【0042】
構成要素が枢動式である本発明の実施形態について、「剛」結されたなる用語は、「非枢動的に」連結されたものとして理解すべきである。
【0043】
ヒンジ30はさらに、一次ブレーキ部材38aおよび1つまたは2つの二次ブレーキ部材38b、38cを有するブレーキを含む。
【0044】
一次ブレーキ部材38aは、第1のヒンジ部材32a~32cと第2のヒンジ部材34の間に摩擦制動力を生成するように配設されている第1のコイル部材40aおよび第1のブレーキディスク42aを含む。
【0045】
図示された実施形態において、第1のコイル部材40aは、第1のヒンジ部材32a~32cに連結されており、第1のブレーキディスク42aは、第2のヒンジ部材34に連結されているが、これと反対の配設を用いることも同様に可能である。
【0046】
二次ブレーキ部材38bは、第2のヒンジ部材34と第3のヒンジ部材36a~36dの間に摩擦制動力を生成するように配設されている第2のコイル部材40bおよび第2のブレーキディスク42bを含む。
【0047】
図示された実施形態において、第2のコイル部材40bは、第2のヒンジ部材34に連結されており、第2のブレーキディスク42bは、第3のヒンジ部材36a~36dに連結されているが、これと反対の配設を用いることも同様に可能である。
【0048】
二次ブレーキ部材38cは、第1のヒンジ部材32a~32cと第3のヒンジ部材36a~36dの間に摩擦制動力を生成するように配設されている第3のコイル部材40cおよび第3のブレーキディスク42cを含む。
【0049】
図示された実施形態において、第3のコイル部材40cは、第1のヒンジ部材32a~32cに連結されており、第3のブレーキディスク42dは、第3のヒンジ部材36a~36dに連結されているが、これと反対の配設を用いることも同様に可能である。
【0050】
ブレーキ部材38a、38b、38cは個別にかつ独立して起動させることができる。
【0051】
コイル部材40a、40b、40cならびにブレーキディスク42a、42b、42cは有利には環状であり、枢動軸5の周囲に同軸的に配設されている。
【0052】
ブレーキディスク42a、42b、42cは、強誘電材料製であり、電流がそれらのそれぞれのコイル部材38a、38b、38cを通して送られた時点でこれらのコイル部材へと引きつけられる。図示された実施形態においては、この引力が、2つのそれぞれのヒンジ部材の間の運動を制動する摩擦力を生成する。
【0053】
ヒンジ30はさらに、第1のヒンジ部材32a~32cおよび第2のヒンジ部材34を枢動連結する一次枢動軸受44aを含む。その回転軸は、枢動軸5と一致する。
【0054】
ヒンジ30は同様に、2つの二次枢動軸受44b、44cを含む。二次枢動軸受44bは、第2のヒンジ部材34を第3のヒンジ部材36a~36dに連結し、二次枢動軸受44cは第1のヒンジ部材32a~32cを第3のヒンジ部材36a~36dに対し枢動連結する。二次枢動軸受44b、44cはここでもまた枢動軸5に対し同軸である。
【0055】
ヒンジ30はさらに、第1および第2のセンサ部材46a、46bを伴う位置センサを含む。
【0056】
第1のセンサ部材46aは、第1のヒンジ部材32a~32cと第2のヒンジ部材34の間に配設されている。このセンサ部材は、これら2つのヒンジ部材の間の相対的枢動位置を測定するように適応されている。
【0057】
第2のセンサ部材46bは、第1のヒンジ部材32a~32cと第3のヒンジ部材36a~36dの間に配設されている。このセンサ部材は、これら2つのヒンジ部材の間の相対的枢動位置を測定するように適応されている。
【0058】
第1および第2のセンサ部材46a、46bは、磁気角度位置センサであり得る。
【0059】
図3の実施形態において、顕微鏡の第1の構成要素、すなわちステージ2および/またはベース1は、ヒンジ30の第1の場所(
図3ではヒンジ30の下端部)に連結されている。顕微鏡の第2の構成要素、すなわちアーム3および顕微鏡装置8は、ヒンジ30の第2の場所(
図3ではヒンジの中間区分)に組付けられている。顕微鏡の第3の構成要素、すなわちアーム4および光源9は、ヒンジ30の第3の場所(
図3ではヒンジの頂端部)に組付けられている。
【0060】
第2の場所は、枢動軸5に沿って第1および第3の場所の間に位置設定される。このタイプの設計を使用する場合には、第1のヒンジ部材32a~32cまたは第3のヒンジ部材36a~36dは、有利には、第2のヒンジ部材34を通って延在するシャフトを含み、これにより、第1および第3のヒンジ部材が直接相互作用することが可能となる。
【0061】
図3の実施形態において、このシャフト36cは第3のヒンジ部材によって形成され、こうして、二次ブレーキ部材38cおよび/または第2のセンサ部材46bをヒンジ30の第1の場所に組付けることが可能になる。
【0062】
換言すると、シャフトは、一方の側で顕微鏡の第1または第3の構成要素に連結され、他方の側でブレーキ部材および/またはセンサ部材のうちの1つに連結されている。
【0063】
シャフト36cは中空であり、例えばブレーキ部材38a~38c、顕微鏡装置8および/または光源9に連結される配線を収容することができる。
【0064】
図示された実施形態において、枢動軸受44a、44b、44cはころ軸受である。このようなころ軸受は、ブレーキが非作動化されている時に非常に低い摩擦を有する。これは、必ずしも望ましくない可能性がある。したがって、少なくとも1対の構成要素間の移動を減衰させるために1つ以上の摩擦ダンパ45a、45bを具備することができる。
【0065】
摩擦ダンパは、ころ軸受の転がり抵抗よりもはるかに大きい、特に少なくとも100倍大きい永久摩擦力を構成要素の間に及ぼすように設計されている。
【0066】
図示された実施形態においては、第1および第2の構成要素間の動きを減衰させるために第1の摩擦ダンパ45aが具備され、第1および第3の構成要素間の動きを減衰させるために第2の摩擦ダンパ45bが具備されている。
【0067】
より一般的には、装置は、構成要素のうちの少なくとも2つの間に、少なくとも1つのころ軸受と少なくとも1つの摩擦ダンパの組合せを含む。
【0068】
有利には、第1および第2の構成要素間にはころ軸受44aおよび摩擦ダンパ45aが存在し、第1および第3の構成要素間にはころ軸受44cおよび摩擦ダンパ45bが存在する。極めて有利な実施形態においては、第2および第3の構成要素間にはころ軸受44bが存在するものの摩擦ダンパは存在せず、こうして、それぞれ第3および第2の構成要素を動かすことなく、第1の構成要素との関係において第2または第3の構成要素をより容易に移動させることが可能になる。
【0069】
ブレーキ操作
顕微鏡は、
図4に概略的に例示されているブレーキコントローラ50を含む。
【0070】
ブレーキコントローラは、例えば顕微鏡の制御ユニットの一部であり得るマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを含み得る。それは、上述のさまざまなブレーキ機能を実施するようにプログラミングされる。
【0071】
ブレーキコントローラ50は、位置センサ、すなわちセンサ部材46a、46bに連結されており、これにより、ブレーキコントローラは3つの顕微鏡構成要素の現在の相互位置を決定することができるようになっている。
【0072】
ブレーキコントローラ50は、同様に、ブレーキ部材38a、38b、38cにも連結されてそれらを操作する。
【0073】
ブレーキコントローラ50はさらに、操作命令および/またはステータス情報をユーザに示すように適応されたディスプレイ52に連結されている。
【0074】
以下では、ブレーキコントローラ50内に実装可能ないくつかの機能性について説明する。
【0075】
起動時間
第1の機能性は、或る既定の相互位置まで顕微鏡の構成要素を動かす上でのユーザサポートに関係する。
【0076】
この機能性においては、ブレーキコントローラ50の記憶セクション54が、顕微鏡の構成要素のうちの2つの間の少なくとも1つの「所望される相互位置」を保持し得る。
【0077】
このときブレーキコントローラ50は、この所望される相互位置を2つの構成要素間の現在の相互位置と比較するための装備を有していてよい。2つの間に不整合があった場合、ブレーキコントローラ50は、ディスプレイ52上で、構成要素の1つを所望される相互位置まで動かすための変位方向を表示する。
【0078】
例えば、所望される相互位置は、ステージ2と第1のアーム3の間の37.2°の角度などであり得る。第1のセンサ部材46aが、例えば、現在の相互位置すなわち現在の角度を33.5°として標示する。これらの数字のうちの一方または両方がディスプレイ52上に示され得る。
【0079】
次に、ブレーキコントローラ50は、アーム3をその現在の位置から所望される位置まで動かすための方向を決定する。この方向はこのとき、例えばディスプレイ52上で2つの矢印56a、56bのうちの一方を反転表示することによって表示される。
【0080】
このように変位方向を表示することによって、ユーザは、構成要素のうちの1つを手動で右方向に移動させるようにアシストされる。
【0081】
ブレーキコントローラ50はこのとき、さらに、所望される位置で移動を停止させるために移動中の構成要素を正しい時間で適切に制動するようにユーザをアシストすることができる。これを行なうために、ブレーキコントローラは、ブレーキ、すなわちそのブレーキ部材38a、38b、38cの少なくとも1つを起動させるための時間を計算する。
【0082】
最も単純なアプローチにおいて、ブレーキを作動化させるための起動時間は、現在の位置が所望の位置と整合する時間であり得る。しかしながら、ブレーキは一定の制動距離を有することから、所望の位置を超えた位置で停止する可能性があるため、この場合、不充分な整合が導かれ得る。
【0083】
より精確なアルゴリズムは、2つの構成要素間の運動速度を考慮に入れる。
【0084】
x0が所望される相互位置であり、x(t)が現在の相互位置であると仮定する。この場合、ブレーキを起動させるための起動時間t0は、x0-x(t0)が顕微鏡の制動距離Dに等しくなる時間であるはずである。すなわち:
【数1】
【0085】
制動距離Dは定数ではない。むしろ、それは典型的には、運動の現在の速度v(t)=dx(t)/dtとブレーキの反応時間Δtの関数である。同様に、それは、ユーザが構成要素を移動させる力の関数でもある(強い力は制動距離を増大させる)。したがって、uをユーザ依存型パラメータとして:
【数2】
【0086】
具体例において、制動距離Dは、以下の式によって近似され得る:
【数3】
【0087】
等式(2、3)中の速度vは、位置センサ46a、46bの測定値から計算され得る。パラメータΔtおよびuはさまざまな方法で得ることができる:
- 時間遅延Δtは、装置特異的遅延であるとみなされてよく、これは例えばメーカのサイトにおけるキャリブレーション測定から得ることができる。しかしながら、それは例えばブレーキの摩擦または汚染などに起因して経時的に変動し得、したがって、有利には以下で説明されている先行制動プロセスから導出される。
- パラメータuは、恒常であるものと仮定され、典型的なユーザのサンプルを用いてメーカのサイトにおけるキャリブレーション測定から決定され得る。しかしながら、このパラメータは、所与のユーザがどのように装置を操作するかに左右されることから、同様に、以下で説明されている先行制動プロセス(有利には、現在顕微鏡を使用しているユーザと同じユーザが実施したもの)から導出されるのが最も良い。
【0088】
パラメータΔt、uの1つ以上を、先行する制動プロセスから導出しなければならない場合、ブレーキコントローラ50は有利には、以下のステップを実施するように適応される:
- 複数の過去の制動プロセスについて、制動距離Dおよびブレーキの起動時点の速度v(t0)を測定するステップ。
- このようにして得た制動距離および速度を記憶するステップ。
- モデルパラメータとして未知のパラメータを有する速度v(t0)の関数としての制動距離D(Δt、v、u)についてのモデルを使用し、これらのモデルパラメータを記憶された制動距離および速度に適合させるステップ。
【0089】
速度v(t0)の関数としての制動距離D(Δt、v、u)のために使用されるモデルに応じて、例えば、線形適合アルゴリズム(例えば等式(3)のモデルについて)または非線形適合アルゴリズムを使用することが可能である。
【0090】
少なくとも1つのパラメータ、例えばパラメータuをユーザ間で変動させなければならない場合、ブレーキコントローラ50にはユーザ固有IDを入力するための好適な入力手段58が備わっている。この場合、ブレーキコントローラ50は、異なるユーザのための異なるパラメータセットを決定する。
【0091】
1つ以上のパラメータの決定は、例えば各制動プロセス後に自動的に精緻化可能である。
【0092】
ブレーキの解放
ブレーキは、例えばタッチスクリーン上でエリアまたはボタンなどのブレーキ解放入力60を提供することによって、手動で解放され得る。
【0093】
別の実施形態では、ブレーキコントローラ50は、以下のステップを実施するように適応され得る:
a) ブレーキ38a、38b、38cを作動化させながら、ブレーキ38a、38b、38cに対抗して作用する力の増加を検出するステップ。
b) このような増加の時点で、ブレーキ38a、38b、38cを解放するステップ。
【0094】
このようにしてユーザは、単にブレーキの力に対抗して構成要素の1つを押すことができ、その場合、ブレーキは解放される。
【0095】
ステップa)および/またはb)は、ブレーキを起動させた後、例えば1秒といった所与の時間の間抑制されるかまたは、構成要素がまだ静止していない間抑制されてよく、こうして力が、一回の制動プロセスの完了後の位置から離れるように構成要素を移動させるための意図的な応力であることが確認される。
【0096】
ステップa)の検出は、例えば専用の力センサを用いて実施され得る。しかしながら、位置センサ46a、46bが充分な解像度を有する場合、それを用いて構成要素に加えられた力に起因するヒンジ30内の弾性変形を検出することができ、したがって、専用の力センサの必要無く力を検出するために位置センサを使用することが可能である。
【0097】
位置の触覚的マーキング
同様に、ユーザが構成要素の1つを移動させている間に、「タッピング」操作で短い時間だけブレーキを操作することもできる。これにより、軸方向アラインメントまたは一定の角度でのアラインメントなど、構成要素の一定の好ましい相互位置をマーキングするユーザのための触覚フィードバックが生成されることになる。
【0098】
これを実装するため、ブレーキコントローラ50は、1秒未満、特に0.5秒の持続時間にわたり、ブレーキ38a、38b、38cを作動化させ自動的に非作動化させるように適応され得る。一方で、作動化持続時間は有利には少なくとも0.1秒であり、これは、これよりはるかに緩慢な活性化では、ユーザが作用を及ぼすことのできる制動効果を生成するのに充分でない可能性があるからである。
【0099】
持続時間は、例えば以下のように与えられてよい:
- それは、固定した時間であり得る。
- それは、位置センサ46a、46bからの信号に左右され得る。例えば、ブレーキの起動後に速度v(t)が急速に降下した(例えば所与の時間内で所与の百分率を超える百分率だけ)ことをブレーキコントローラが検出した場合、ブレーキコントローラは、ユーザが構成要素を解放しこの場所で停止させることを望んでいると仮定して、ブレーキを作動化状態に保つことができる。そうでなければ、ブレーキコントローラは、ユーザが構成要素を解放しておらず、所与の位置で停止させることを望んでおらず、構成要素を移動させ続けることを望んでいると仮定して、ブレーキを解放する。
【0100】
ブレーキを一時的に起動させることにより実装されるこのような触覚フィードバックによって、機械的インデキシングメカニズムなどの機械的フィードバック部材の必要性が無くなる可能性がある。
【0101】
グループ操作
ブレーキコントローラ50はさらに、3つの構成要素のうちの2つを1つのグループにまとめ、一方で残りの構成要素をこのグループとの関係において自由に移動させるように装備され得る。
【0102】
例えば、ブレーキコントローラ50は、以下のうちの少なくとも1つ、特に少なくとも2つのモードでブレーキ38a、38b、38cを操作するように適応され得る:
- 第1のブレーキ部材38aを起動させる一方で、第2のブレーキ部材38bおよび第3のブレーキ部材38cを非作動化させる。この場合、第1および第2の構成要素(
図3の実施形態においてはベース2およびアーム3)の相互位置を固定した状態に保つ一方で、第3の構成要素(アーム4)を移動させることができる。
- 第2のブレーキ部材38bを起動させる一方で、第1のブレーキ部材38aおよび第3のブレーキ部材38cを非作動化させる。この場合、第2および第3の構成要素(アーム3および4)の相互位置は固定され、これら2つを、第1の構成要素(ベース2)との関係において1つのグループとして移動させることができる。
- 第3のブレーキ部材38cを起動させる一方で、第1のブレーキ部材38aおよび第2のブレーキ部材38bを非作動化させる。この場合、第1および第3の構成要素(ベース2およびアーム4)の相互位置は固定され、一方、第2の構成要素(アーム3)をこれらとの関係において移動させることが可能である。
【0103】
換言すると、ブレーキコントローラ50は、1つのブレーキ部材を作動化状態に保つ一方で、他の2つのブレーキ部材を非作動化状態に保つように適応され得、有利にも、ユーザは、作動化させるべきブレーキ部材を選択することができる。
【0104】
注釈
図示された実施形態において、ブレーキ部材は、それらを通して電流を供給することで制動状態にされる。換言すると、顕微鏡に電流が無い場合、ブレーキは解放されている。これにより、装置のコンパクトな設計が可能となり、かつ/または非制動状態における電力消費は削減される。
【0105】
別の実施形態においては、ブレーキ部材は、それらを通して電流を送ることによって非制動状態にされるような形で設計され得る。これは、例えば、ばねの力に対抗して作用するように作動化され得る電磁石を用いて、ばね部材によって互いに対し駆動される2つのリングを有するブレーキ部材によって達成可能である。この設計は、電流の不在下で顕微鏡を未使用状態にロックすることを可能にし、制動状態における電力消費量を削減する。
【0106】
以上の実施形態においては、3つの相互に可動である構成要素が存在する。しかしながら、顕微鏡は同様に、相互に可動な構成要素を2つのみ含むこともでき、あるいは、このような構成要素を4つ以上含んでいてもよい。
【0107】
図示された実施例において、構成要素は、互いとの関係において枢動し、ブレーキは構成要素間の枢動移動を制動するように適応されている。しかしながら、本発明は同様に、他のタイプの相対的変位のためにも使用可能である。本発明は、例えば、顕微鏡の構成要素間の線形変位、例えばx方向および/またはz方向におけるベース1との関係におけるステージ2の変位またはy方向に沿った構成要素の垂直変位、例えばヘッドレスト7の垂直変位を制動するために使用され得る。
【0108】
ここで記述した顕微鏡は、例えば所望される測定構成を確立または再現する目的で、さまざまな構成要素を適切に整列させる上でユーザをアシストする。
【0109】
本発明の現在選好されている実施形態が示され説明されているものの、本発明はそれに限定されず、以下の請求項の範囲内で他の形でさまざまに実施され実践され得るものである、ということを明確に理解すべきである。