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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】検査装置、検査方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240603BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20240603BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
H04N1/00 002A
H04N1/387 110
B41J29/393 105
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022031410
(22)【出願日】2022-03-02
(65)【公開番号】P2023127618
(43)【公開日】2023-09-14
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】數見 亮
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-131613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/38- 1/393
B41J 29/38-29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のページが面付けされた画像を表示し、かつ、当該表示された画像内に面付けされているページの1つにおいてユーザーの第1の指示に基づき検査領域の配置を受け付け、かつ、当該表示された画像内に面付けされている前記複数のページそれぞれの方向の設定を前記ユーザーの第2の指示に基づき受け付けるための画面を、提供する提供手段と、
前記受け付けた前記複数のページそれぞれの方向の設定に基づき、前記ページの1つに配置された検査領域が、前記表示された画像内に面付けされている他のページの対応する位置に複製されるように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記ユーザーの前記第1の指示に基づき配置された検査領域と前記複製された検査領域とに基づいて、印刷物を読み取ることにより得られるスキャン画像の検査を行う検査手段を、更に備えることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
複数のページが面付けされた画像を表示し、かつ、当該表示された画像内に面付けされているページの1つにおいてユーザーの指示に基づき検査領域の配置を受け付けるための画面を、提供する提供手段と、
前記ページの1つに配置された検査領域が、前記表示された画像内に面付けされている他のページの対応する位置に複製されるように制御する制御手段と、
前記ユーザーの指示に基づき配置された検査領域と前記複製された検査領域とに基づいて、印刷物を読み取ることにより得られるスキャン画像の検査を行う検査手段とを、
備え、
前記検査手段による検査は、前記ユーザーの指示に基づき配置された検査領域と前記複製された検査領域とに対応する前記スキャン画像内の領域をデコードした結果を、正解データと照合するデータ照合検査であることを特徴とす検査装置。
【請求項4】
前記ユーザーの指示に基づき配置された検査領域と前記複製された検査領域とに対応する前記スキャン画像内の領域は、二次元コードまたはバーコードが印刷される領域である、ことを特徴とする請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
複数のページが面付けされた画像を表示し、かつ、当該表示された画像内に面付けされているページの1つにおいてユーザーの指示に基づき検査領域の配置を受け付けるための画面を、提供する提供手段と、
前記ページの1つに配置された検査領域が、前記表示された画像内に面付けされている他のページの対応する位置に複製されるように制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、さらに、前記表示された画像において、前記複製された検査領域内が空白であった場合、他のオブジェクトからの距離に基づいて、前記複製された検査領域の位置を補正する、ことを特徴とす検査装置。
【請求項6】
複数のページが面付けされた画像を表示し、かつ、当該表示された画像内に面付けされているページの1つにおいてユーザーの指示に基づき検査領域の配置を受け付けるための画面を、提供する提供手段と、
前記ページの1つに配置された検査領域が、前記表示された画像内に面付けされている他のページの対応する位置に複製されるように制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、さらに、前記検査領域の複製先となる前記他のページのうち、当該複製される検査領域のすべてがデコードできないページについては、当該検査領域が複製されないように制御する、ことを特徴とす検査装置。
【請求項7】
検査装置の提供手段が、複数のページが面付けされた画像を表示し、かつ、当該表示された画像内に面付けされているページの1つにおいてユーザーの第1の指示に基づき検査領域の配置を受け付け、かつ、当該表示された画像内に面付けされている前記複数のページそれぞれの方向の設定を前記ユーザーの第2の指示に基づき受け付けるための画面を、提供する提供ステップと、
前記受け付けた前記複数のページそれぞれの方向の設定に基づき、前記検査装置の制御手段が、前記ページの1つに配置された検査領域が、前記表示された画像内に面付けされている他のページの対応する位置に複製されるように制御する制御ステップと、
を備えることを特徴とする検査方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の検査装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに印刷された画像に対して、印刷不良の発生の有無を検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置により印刷されたシートについて、当該印刷で形成された画像を検査することにより、正常に印刷されたか否かを検査する装置がある。また、近年では、印刷装置で印刷された直後のシートを排紙トレイに搬送する途中にこのような装置を組み込み、搬送中のシートをスキャナ等で読み取って当該印刷結果の画像を解析して正常に印刷されたか検査可能とした印刷システムもある。
【0003】
また、名刺や本などの印刷を行う際は、複数ページ分の画像を1枚の大きい用紙内にレイアウト(面付け)して印刷し、その後、当該印刷された用紙を裁断機で裁断し、裁断後の紙を用いて名刺や本などの最終的な成果物を得る処理が行われている。このような処理において検査を行う場合は、複数ページの画像を1枚の大きい用紙にレイアウトして印刷した直後の用紙(すなわち裁断を行う前の用紙)を排紙トレイへ搬送中に、当該用紙を読み取って検査を行うことになる。
【0004】
特許文献1では、複数ページからなる入力画像を用紙の一面に集約(面付け)して印刷した用紙の検査を行う際、ユーザーが指定したページ画像に対応する面付けした部分のみを正解画像と比較して検査することを開示している。すなわち、特許文献1は、面付けした各ページ画像が用紙内のどの位置に印刷されたかに着目し、ページ画像単位で検査対象にするか否かを指定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-93425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、印刷物の種類によっては、ページ内の部分領域が特に重要である場合がある。例えば、ページ内に、宛先などの文字列やバーコード・二次元コードなどを印刷する場合、その文字列やバーコードなどの重要な部分が間違いなく印刷されたかを検査する必要がある。そのような印刷物に対して特許文献1のようにページ単位で検査対象にすると、重要な部分以外の領域も検査対象となってしまい、無駄な処理が行われることになる。
【0007】
しかしながら、特許文献1では検査対象にするかどうかをページ単位で指定するものであり、複数のページが面付けされた用紙において、面付けされた各ページ内のどの部分領域を検査対象領域とするかを指定することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の検査装置は、複数のページが面付けされた画像を表示し、かつ、当該表示された画像内に面付けされているページの1つにおいてユーザーの第1の指示に基づき検査領域の配置を受け付け、かつ、当該表示された画像内に面付けされている前記複数のページそれぞれの方向の設定を前記ユーザーの第2の指示に基づき受け付けるための画面を、提供する提供手段と、前記受け付けた前記複数のページそれぞれの方向の設定に基づき、前記ページの1つに配置された検査領域が、前記表示された画像内に面付けされている他のページの対応する位置に複製されるように制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
複数のページが面付けされて印刷された用紙において、面付けされた各ページ内のどの部分を検査対象とするかの設定を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】情報処理装置と検査装置と印刷装置の構成を表す模式図。
図2】情報処理装置と検査装置と印刷装置の構成を示すブロック図。
図3】情報処理装置と検査ユニットと印刷装置と大容量スタッカの内部構成を示す図。
図4】検品処理全体のフローチャート。
図5A】検査領域を設定する際のプレビュー表示画面のUI
図5B】検査領域を設定する際のプレビュー表示画面で、余白の詳細設定を行った場合の
図6】検査設定のフローチャート
図7】検査領域の複製時の座標計算
図8】第2の実施形態における印刷物の例
図9】第2の実施形態における検査設定のフローチャート
図10】第3の実施形態における印刷物の例
図11】第3の実施形態における検査設定のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
<<第1の実施形態>>
ここでは、各ページの一部分に異なるデータ(バリアブルデータ)を印刷するバリアブル印刷を行い、かつ、バリアブル印刷される複数のページを大きな用紙に面付けして印刷する場合について説明する。なお、以下の例では、バリアブルデータとして、二次元コードやバーコードが印刷され、その二次元コードやバーコードが正確に印刷されたかを検査する。このような検査の場合、印刷された二次元コードやバーコードを実際に読み取ってデコードし、デコード結果を正解データと比較することで、検査を行うようにすればよい。なお、本実施例では、二次元コードやバーコードを検査対象として説明するが、これに限るものではなく、文字列を検査対象とし、その印刷された文字列を光学文字認識処理でデコードして、正解データと比較するようにしてもよい。
【0013】
図1は、本実施例における情報処理装置と検査装置と画像形成装置の構成を表す模式図である。なお、本実施例の画像形成装置は電子写真方式の画像形成装置を用いて説明するが、本実施例における画像形成装置は、インクジェット方式、オフセット方式など、異なる画像形成方式の画像形成装置であっても良い。
【0014】
画像形成装置0101は、ケーブル0112を介して情報処理装置0109と接続されている。情報処理装置0109は、ネットワーク0113を介してクライアントコンピュータ0110、検査装置0108と接続されている。
【0015】
画像形成装置0101は、UI(ユーザインタフェース)パネル0102、給紙デッキ0103および給紙デッキ0104を備える。さらに、3段の給紙デッキからなるオプションデッキ0105が接続される。画像形成装置0101は、例えば電子写真方式やインクジェット方式の画像形成装置である。また、UIパネル0102は、例えば静電容量方式のタッチパネルを備えたユーザインターフェースである。
【0016】
さらに画像形成装置0101は、検査ユニット0106、大容量スタッカ0107を備える。検査ユニットは、ケーブル0114を介して検査装置0108と接続されている。大容量スタッカ0107は、印刷後の用紙の排紙先となるメイントレイとトップトレイを備え、メイントレイには一度に数千枚の用紙を積載することができる。
【0017】
印刷ジョブはクライアントコンピュータ0110で生成され、ネットワーク0113を介して情報処理装置0109に送信され、情報処理装置0109で管理される。そして、印刷ジョブは情報処理装置0109からケーブル0112を通じて画像形成装置0101に送信され、画像形成装置0101が用紙に印字する処理を行う。なお、印刷ジョブは、情報処理装置0109において生成・管理され、ネットワーク0112を介して画像形成装置0101に送信され、画像形成装置0101で管理される形態をとっても良い。
【0018】
なお、クライアントコンピュータ0110、情報処理装置0109、検査装置0108はケーブル0112に接続されて画像形成装置0101と通信できる形態をとっても良い。即ち、本実施例に示す画像形成装置0101、情報処理装置0109、クライアントコンピュータ0110の接続形態は一例であり、本実施例で示した他にも様々な接続形態があることは言うまでもない。
【0019】
図2は、本実施例の画像形成装置0101と検査装置0108と大容量スタッカ0107と情報処理装置0109とクライアントコンピュータ0110の制御構成を示すブロック図である。
【0020】
CPU(Central ProcessiNG Unit/中央演算装置)0201は、システムバス0212を介して画像形成装置0101内の各部における制御や演算を司る。CPU0201は、記憶部0205に格納され、かつ、RAM(Ramdom Access Memory)0202にロードされるプログラムの実行を司る。RAM0202は、CPU0201から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU0201のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部0205は、プログラムやデータを記憶する不揮発性記憶装置であり、画像形成装置動作時の記憶領域およびワークメモリとしても機能する。
【0021】
エンジンI/F0209は、プリンタエンジン02010との通信、制御を司る。給紙デッキI/F0204は、給紙デッキ0211との通信、制御を司る。給紙デッキ0211は、給紙デッキ0103、0104、オプションデッキ0105をハード構成として総称するものである。UIパネル0203は、UIパネル0102のハード構成であり、画像形成装置0101の操作全般を行うためのユーザインターフェースである。本実施形態では、UIパネル0203は静電容量方式のタッチパネルを備えたものとする。
【0022】
ネットワークインターフェース(以下、NW I/F)0207は、ケーブル0213を介して情報処理装置0109のNW I/F0238と接続され、情報処理装置0109と画像形成装置0101の通信を司る。なお、この例ではシステムバス0212、0239に接続されたインターフェース同士が直接接続されている形式であるが、情報処理装置0109と画像形成装置0101は例えばネットワーク等で接続されている形式でもよく、その接続形式を限定しない。ビデオI/F0206は、ビデオケーブル0241を介してビデオI/F0233と接続され、情報処理装置0109と画像形成装置0101の間の画像データの通信を司る。
【0023】
なお、情報処理装置0109における画像形成装置0101との接続インターフェースは、NW I/F0238とビデオI/F0233の機能を統合した形式をとっても良い。また、画像形成装置0101における情報処理装置0109との接続インターフェースは、NW I/F0207とビデオI/F0206の機能を統合した形式をとっても良い。
【0024】
アクセサリI/F0208は、ケーブル0225を介してアクセサリI/F0214、アクセサリI/F0220と接続する。即ち、画像形成装置0101はアクセサリI/F0208、0214、0220を介して検査ユニット0106、大容量スタッカ0107と互いに通信を行う。
【0025】
CPU0216は、システムバス0219を介して検査ユニット0106内の各部における制御や演算を行うため、記憶部0247に格納され、かつ、RAM0217にロードされるプログラムを実行する。RAM0217は、CPU0216から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU0216のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部0247は、検査ユニット動作時の一時記憶領域およびワークメモリとして機能する。検査装置I/F0215は、ケーブル0248を介して検査装置ユニットI/F0231と接続する。即ち、検査ユニット0106は、検査装置I/F0215と検査装置ユニットI/F0231とを介して検査装置0108と通信を行う。
【0026】
撮影部0218は、例えばコンダクトイメージセンサ(以下、CIS)を搭載した撮影機能(画像読取機能)を備え、検査ユニット内を通過する用紙を撮影し、撮影した画像を検査装置I/F0215を介して検査装置0108に送信する。なお、撮影部0218に対するCISはセンサの一例であり、CCDイメージセンサなど他の種類のセンサであっても良く、その撮影方式(読取方式)を限定しない。
【0027】
CPU0221は、システムバス0224を介して大容量スタッカ0107内の各部における制御や演算を行うため、記憶部0248に格納され、かつ、RAM0222にロードされるプログラムの実行を司る。RAM0222は、CPU0221から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU0221のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。排紙部0223は、メイントレイとトップトレイへの排紙動作や、メイントレイとトップトレイ各々の積載状況の監視や制御を司る。
【0028】
CPU0226は、システムバス0230を介して検査装置0108内の各部における制御や演算を行うため、記憶部0228に格納され、かつRAM0227にロードされるプログラムを実行する。RAM0227は、CPU0226から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU0226のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部0228は、プログラムを格納する不揮発性記憶媒体であり、検査装置動作時の一時記憶領域およびワークメモリとしても機能する。PDL解析部0229は、クライアントコンピュータ0110や情報処理装置0109から受信した例えばPDF、PostScript、PCLなどのPDLデータを読み込み、解釈処理を実行する。表示部0245は例えば検査装置に接続される液晶ディスプレイであり、検査装置へのユーザの入力を受け付けたり、検査装置の状態を表示したりする。
【0029】
CPU0234は、システムバス0239を介して情報処理装置0109内の各部における制御や演算を行うため、記憶部0236に格納され、かつRAM0235にロードされるプログラムを実行する。RAM0235は、CPU0234から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU0234のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。ネットワークインターフェース(以下、NW I/F)0237は、ネットワークを介してNW I/F0232、0240と接続される。情報処理装置0109は、NW I/F0237、NW I/F0232を介して検査装置0108と通信を行う。また、情報処理装置0109は、NW I/F0237、NW I/F0240を介してクライアントコンピュータ0110と通信を行う。
【0030】
CPU0243は、システムバス0246を介してクライアントコンピュータ0110内の各部における制御や演算を行うため、記憶部0245に格納され、かつRAM0242にロードされるプログラムを実行する。RAM0242は、CPU0243から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU0243のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部0244は、プログラムを格納する不揮発性記憶媒体であり、クライアントコンピュータ動作時の一時記憶領域およびワークメモリとしても機能する。
【0031】
図3は、印刷装置0101と検査ユニット0106と大容量スタッカ0107の内部構成を示す図である。印刷装置0101は、UIパネル0102を介してユーザの入力を受け付けたり、印刷や機器の状態を表示したりする。給紙デッキ0103及び0104には、各種用紙を収容しておくことが可能である。各給紙デッキでは、収容された用紙の最上位の用紙一枚のみを分離し、用紙搬送パス0305へ搬送することが可能である。0301~0304は現像ステーションであり、カラー画像を形成するために、それぞれY、M、C、Kの有色トナーを用いてトナー像を形成する。ここで形成されたトナー像は中間転写ベルト0306に一次転写される。中間転写ベルト0306は図を時計回りに回転し、0307の二次転写位置で用紙搬送パス0305から搬送されてきた用紙へとトナー像が転写される。定着ユニット0308は加圧ローラーと加熱ローラーを備え、各ローラーの間を用紙が通過することにより、トナーを溶融・圧着することで用紙にトナー像を定着させる。定着ユニット0308を抜けた用紙は用紙搬送パス0309を通って0312へと搬送される。用紙の種類によって定着のためにさらに溶融・圧着が必要な場合は、定着ユニット0308を通過した後、上の用紙搬送パスを使って第二定着ユニット0310へと搬送され、追加の溶融・圧着が施された後、用紙搬送パス0311を通って0312へと搬送される。画像形成モードが両面の場合は、0313の用紙反転パスへと用紙を搬送し、0313で反転した後、両面搬送パス0314へと用紙が搬送され、二次転写位置0307で二面目の画像転写が行われる。
【0032】
検査ユニット0106内にはCIS0315、0316が対向する形で配置される。CIS0315は用紙の上面を、CIS0316は用紙の下面を読み取るためのセンサである。検査ユニット0106は、用紙搬送パス0317に搬送された用紙が所定の位置に到達したタイミングで、CIS0315、0316を用いて用紙をスキャンする。スキャンされた画像は、検査装置I/F0215、検査ユニットI/F0231を介して検査装置0108に送信される。CPU0226は、当該受信した画像に欠陥があるかどうか判定し、判定した結果を再び検査ユニットI/F0231、検査装置I/F0215を介して検査ユニット0106に通知する。CPU0216は、当該受信した判定結果を、アクセサリI/F0214、0220を介して大容量スタッカ0107に通知する。
【0033】
0107は大容量の用紙を積載することが可能な大容量スタッカである。大容量スタッカ0107は、用紙を積載するトレイとしてメイントレイ0324を有する。検査ユニット0106を通過した用紙は用紙搬送パス0319を通して大容量スタッカ0107に入る。用紙は用紙搬送パス0319から用紙搬送パス0322を経由して、メイントレイ0324に積載される。さらに大容量スタッカ0107は、排紙トレイとしてトップトレイ0320を有する。CPU0221は、検査装置0108によって欠陥が検出された用紙をトップトレイ0320に排出する。トップトレイ0320に出力する場合は、用紙搬送パス0319から用紙搬送パス0321を経由してトップトレイ0320へと用紙が搬送される。0323は用紙を反転するための反転部である。この反転部0323は、用紙をメイントレイ0324に積載する場合に使用される。入ってきた用紙の向きと積載時の用紙の向きが同一となるように、メイントレイ0324に積載する場合には反転部0323で一度用紙を反転させる。トップトレイ0320へ搬送する場合は、積載時にフリップせずにそのまま用紙を排出するため、反転部0323での反転動作は行わない。
【0034】
以下フローチャートと画面の例を用いて、本発明の特徴となる処理について説明する。なお、本フローに係る画像形成装置のプログラムは、画像形成装置0101の記憶部0205に記憶されており、RAM0202に読み出され、CPU0201によって実行される。また、本フローに係る検査装置のプログラムは、検査装置0108の記憶部0228に記憶されており、RAM0227に読み出され、CPU0226によって実行される。また、本フローに係る情報処理装置のプログラムは、情報処理装置0109の記憶部0236に記憶されており、RAM0235に読み出され、CPU0234によって実行される。また、本フローに係るクライアントコンピュータのプログラムは、クライアントコンピュータ0110の記憶部0245に記憶されており、RAM0242に読み出され、CPU0243によって実行される。
【0035】
検査開始前のリファレンス登録作業から検査実行までの全体の流れを図4のフローチャートを用いて説明する。
【0036】
まず、ステップS401で、検査装置は、リファレンス画像を登録する。検査装置0108は、クライアントコンピュータ0110から送信された印刷ジョブに基づき、リファレンス画像を生成して登録する。このリファレンス画像は、印刷ジョブをラスタ画像化することにより生成される画像であり、検査対象の領域や検査用のパラメータを設定する際に用いる。なお、リファレンス画像用の印刷ジョブは、画像形成装置で画像形成する際に使用する印刷ジョブと同じものを使うものとするが、これに限るものではなく、印刷対象データのうちの一部をサンプルデータとして生成された印刷ジョブであってもよい。また、リファレンス画像は、クライアントコンピュータ0110や情報処理装置0109で印刷ジョブをラスタライズした画像を、リファレンス画像として検査装置0108に送信して登録するようにしてもよい。
【0037】
次に、ステップS402では、リファレンス画像上において為されたユーザの指示に基づいて、検査装置は、各種検査パラメータや、検査対象の領域の位置の設定など、検査設定を行う。詳細は後述する。
【0038】
次に、ステップS403では、検査対象となる印刷ジョブに基づき印刷された用紙を検査ユニット0106で読み取り、S402で設定された検査設定に基づいて、検査装置0108が、当該読み取られた画像に対する検査を実行する。すなわち、印刷が実行されると、検査ユニット0106は用紙の搬送を検知して当該用紙をCIS0315、0316でスキャンし、そのスキャン画像が検査装置0108のRAM303に保存される。検査装置108は、検査設定に基づき当該スキャン画像内の検査対象領域を検査して検査結果を出力する。なお、検査対象領域が、QRコード(登録商標)やバーコードが印刷される領域である場合は、当該領域内のQRコードやバーコードをデコードし、そのデコード結果を正解データと比較して合致するか否かのデータ照合検査を行う。また、検査対象領域が画像である場合は、検査対象領域内の画像を正解画像と比較して合致するか否かの画像照合検査を行うようにすればよい。
【0039】
次に、ステップS402の検査設定の詳細について、図5Aを用いて説明する。検査設定は、S401にて登録したリファレンス画像を選択して開始する。
【0040】
プレビュー表示画面0501は、リファレンス画像が表示されるプレビュー表示画面であり、ユーザーはこの画面上で検査領域を指定することができる。なお、プレビュー表示画面0501は、検査装置0108により提供されるものであり、例えば、検査装置の表示部0245に表示してユーザーからの指示を受け付けることができる。また、クライアントコンピュータのWebブラウザが、検査装置0108により提供されるプレビュー表示画面0501を表示できるように、検査装置0108は該画面をWebUIとして提供するようにしてもよい。その場合、検査装置は、そのWebUIとしてクライアントコンピュータに表示させたプレビュー表示画面を介して、クライアントコンピュータのユーザからの指示を受け付けることができる。また、後述するように、本実施形態では、プレビュー表示されたリファレンス画像内に面付けされているページ画像の1つに対しユーザの指示により配置された検査領域を、面付けされている他のページ画像内に複製することができる。WebUIを用いて実現する場合、この複製処理は、ユーザの指示により配置された検査領域の位置情報をクライアントコンピュータから検査装置に送信し、検査装置で当該検査領域を複製してクライアントコンピュータにフィードバックするようにしてもよい。また、複製処理に関するスクリプト(JavaScript等で記述)をWebUIに組み込んでクライアントコンピュータに送信しておき、クライアントコンピュータがそのスクリプトを実行することで、検査領域の複製が行われるようにしてもよい。
【0041】
なお、リファレンス画像の生成に使用された印刷ジョブが、複数のページを1つのシートに面付けして印刷するように指示された印刷ジョブであった場合は、複数のページが面付けされた状態の画像がリファレンス画像として表示される。例えば、図5Aの例では、4ページ分の画像が1シートの片面に面付けされている。なお、1シート片面に面付け可能なページ数より多いページが印刷ジョブに含まれている場合、プレビュー表示されるリファレンス画像を、次のシートに切り替える操作が為されると、次のシートのリファレンス画像を表示できるものとする。
【0042】
検査領域0502は、プレビュー画像上に配置された検査領域を示す枠である(図5Aでは点線の枠で示している)。検査領域0502は、次のような操作により設定される。まず、ユーザが、検査領域配置ボタン0503を選択すると、検査領域のタイプを選択させるためのプルダウンメニューが表示され、ユーザがその中から所望のタイプを選択する。その後、プレビュー画像上で、ユーザによるマウス操作により検査領域の範囲を選択する操作が為されると、当該選択されたタイプに対応する検査領域が配置される。なお、一旦配置された検査領域の位置を修正したい場合は、ユーザは、マウスクリック操作で対象の検査領域を選択し、さらに、ユーザによるマウスドラッグ操作により大きさや位置を変更することもできる。図5Aでは、QRコードが印刷される位置に、検査領域を設定した例を示している。
【0043】
QRコードの検査を行う場合は、当該QRコードをデコードした結果が正解データと合致しているか照合する検査を行う。0504は、照合検査に用いる正解データのファイルを選択する設定項目である。QRコードの照合検査の場合は、割り付け印刷された各ページのQRコードをデコードした際のそれぞれの正解データが列挙されているものとする。例えば、照合検査のデータは、照合検査に用いる各QRコードの正解データをカンマ区切りで列挙したリファレンスCSVファイルである。
【0044】
0505は、ユーザの操作によって、現在選択されている検査領域に対する設定項目であり、プレビュー表示画面0501上に配置された検査領域のうちの1つをユーザがクリック操作することによって選択された検査領域の個別の設定値が表示される。
【0045】
0506は面付け設定項目である。ユーザがプレビュー画面上で検査領域を1つ設定した後、当該設定された検査領域を、面付けされてプレビュー表示されている他のページ画像内に自動的に複製する際に必要な、面付けに関する情報を入力する。ユーザが0508~0510の項目に関する情報を入力しておくと、その入力に基づいて、ユーザにより設定された検査領域を、同一シートに面付けされてプレビュー表示されている他のページ画像の対応する位置に複製する。なお、複製された各検査領域についての面付け設定項目の設定値は、それぞれ複製元の検査領域と同じになる。
【0046】
0507は、バーコード検査の設定を行うための部分であり、ユーザは、プレビュー画像上で選択した検査領域が、バーコードまたは二次元コードの検査領域である場合に、その検査内容の詳細を設定する。検査実行時には、後述する0511~0515の項目の設定に基づいて検査する。なお、面付け設定項目0506を用いて、バーコードの検査領域が複製された場合は、複製後の検査領域に対応する各項目0511~0515の情報は項目ごとに計算されて複製される。
【0047】
0508は、面付けされている他のページに対して検査領域を自動的に複製するか否かを設定するチェックボックスである。この項目をONに設定した場合、複製元の検査領域の座標位置と、面付けの種類509とに基づいて、複製先の別のページ画像部分における検査領域の座標を計算する。また、この複製を行う際、複製後の検査領域に対するバーコード検査設定0507は、複製前の検査領域に対するバーコード検査設定0507もとに複製される。
【0048】
0509は面付けの種類を示す。0509はユーザにプルダウンにより、あらかじめ登録されている面付けされた各ページ画像の方向や1シート当たりのページ画像の数と面付け順などのフォーマットを選択させる。面付けのフォーマットは複数の種類があり、例えば図7図8で示されるように一部の面が回転したものなどがある。例えば、本や冊子などを作成する場合、複数のページが面付けされて印刷された用紙を紙折り機を使ってページ間の境界位置で折った後に裁断機を使って不要な箇所を断ち落とすように裁断するので、印刷時には一部のページを回転させて印刷する必要がある。
【0049】
0510は、複製元の検査領域が配置されている面番号である。これは検査領域を複製する際に、当該検査領域がどの面に属しているのかを示している。自動複製する際は、複製元となる面番号0510のページ画像の部分に対して設定されている検査領域が、面付けされている他のページ画像内の対応する箇所に設定されるように、検査領域の情報の複製を行う。複製元となる面番号0510は検査領域それぞれに紐づけられており、例えばQRコードの検査は1の面を複製し、名前の検査は2の面を複製するような選択の仕方も可能であるものとする。
【0050】
0511は該当検査領域のバーコードの角度である。これは、選択されている検査領域が複製された検査領域以外の場合、ユーザが手動で入力する。また、複製された検査領域の場合、複製元の検査領域に対して設定されている角度に基づいて、複製された検査領域に対する角度が自動的に算出される。
【0051】
0512は該当検査領域のバーコード種別である。これは、選択されている検査領域が複製された検査領域以外の場合、ユーザが手動で入力する。また、複製された検査領域の場合、複製元の検査領域に対して設定されている種類と同じバーコード種別が入力される。
【0052】
0513は検査領域のIDを示す。これは、検査領域のデコード結果を、リファレンスCSVファイル内のデータと比較する際に参照するIDである。ユーザがプレビュー画像上で検査領域を設定すると、当該設定された検査領域に対応するIDが自動で入力される。また、複製された検査領域の場合、複製元の検査領域と同じIDが自動的に入力される。
【0053】
0514は、デコード結果のデータを正解データと照合することにより検査を行うか否かを指定するためのチェックボックスである。このチェックボックスがONに設定されている場合は、検査領域のデコード結果を、リファレンスCSVファイル内の対応するIDのデータと比較することで検査を行う。なお、複製された検査領域の場合、チェックボックス0514には、複製元の検査領域に対する設定と同じ設定が反映される。
【0054】
0515は照合する列を示す。これは、検査領域から得たデータと正解データとの照合検査を行う場合、その正解データがリファレンスCSVファイルの何列目に記載されているかを示す。複製された検査領域の場合、複製元の検査領域と同じ数値が入力される。
【0055】
0516は面付けの詳細入力ボタンである。このボタンがユーザにより押下されると、図5Bのようなウィンドウ0517を開き、面付けに関する詳細な情報を入力することができる。
【0056】
0517は面付け入力ウィンドウである。このウィンドウで面付けに発生している余白の設定を行うことができる。0518は余白設定図である。面付けの種類0509で指定されている面付けの例を図示する。面付け入力ウィンドウ0517において表示されている面付け番号は、各ページ画像の面付け順を示している。また、面付け番号の数値の向きはページ画像の向きに対応する(例えば、面付け番号3および4には、ページ画像が180度回転されて面付けされるので、面付け番号3および4も180度回転した状態で表示されている)。また、複製元となる面の面付け番号を強調表示する(図5Bの例では、面付け番号「1」が複製元として太字で強調されている)。これにより、面付け元となる面をわかりやすく図示する。また、余白値0519に入力された数値を図に反映することでユーザの入力している設定を可視化する。
【0057】
0519は余白値である。ここに入力された数値に基づいて、各面に面付けされるページ画像の座標を計算し、余白設定図0518にリアルタイムに反映する。
【0058】
0520は余白決定ボタンである。OKを選択することで余白値0519に設定した数値を記憶部0228に記録する。その後、面付け入力ウィンドウ0517を閉じる。
【0059】
0521は検査設定決定ボタンである。OKを選択することで、図5上で設定した検査設定を全てRAM0227に保存する。
【0060】
次に、検査領域を設定する際の処理を、図6のフローチャートを用いて説明する。検査領域の設定開始時、表示部0245には図5Aのような画面が表示されている。プレビュー表示画面0501には、印刷ジョブの最初の4ページのページ画像が面付けされた状態の画像が、リファレンス画像として表示される。ユーザは、当該プレビュー表示されたリファレンス画像を参照して、検査領域配置ボタン0503を選択した後、検査対象にしたい検査領域を指定する。
【0061】
S601にてCPU0226は、ユーザーにより検査領域配置ボタン0503が選択された後、ユーザーにより指定された検査領域0502の位置の入力を受け付ける。バーコード検査の場合は、検査設定0511~0515の入力も受け付ける。
【0062】
続いて、S602にて、CPU0226は、S601でユーザーにより指定された検査領域0502に対してS601で入力された検査設定にしたがってデコードする。
【0063】
S603にて、CPU0226はS602のデコード結果に基づき、設定0512で指定されたバーコード種別が正しいか判断する。すなわち、設定0512で指定されたバーコード種別にしたがって検査領域をデコードできた場合は、指定されたバーコード種別が正しいと判断できる。また、デコードしたバーコードの座標が、座標選択した領域の中央にない場合やクワイエットゾーンを確保できていない場合、デコードしたバーコードを検出した際の位置座標に基づいて、ユーザにより指定された検査領域の位置座標を補正して、記憶部0228に保存する。
【0064】
S604にてCPU0226は印刷設定を取得する。面付けの種類0509、複製元となる面番号0510、記憶部0227に記憶された面付けの詳細入力0516の入力を待つ。なお、本実施例ではユーザ入力により面付け設定を受信しているが、他システムから受信する形態をとってもよい。
【0065】
S605にてCPU0226は、S603で設定した検査領域と、S604で取得した面付け設定を用いて、面付けされた他のページ画像部分の適切な座標に検査領域の複製を行う。図5Aの例では、ユーザーが面番号1のページ画像に対する検査領域0502を設定したため、その他のページ画像(面番号2~4のページ画像)に対し、各ページの面付け位置と面付けの方向に基づいて算出した位置に検査領域を自動的に複製する。なお、複製先の検査領域の適切な座標は、面付けの方法によって異なるが、例えば、図7のように4面付けであった場合、複製元の検査領域0702の左上座標と複製先の検査領域0703の関係式は式0704で示される。図7の複製先検査領域における面付けの角度は、複製元検査領域を180度回転させたものとする。また、バーコード種別、検査領域のID、照合する列は複製元検査領域と同値を選択する。
【0066】
図7の詳細について説明する。0701はリファレンス画像の全体を示し、その幅をWとし、高さをHとする。複製元の検査領域0702は、面付け番号1のページ画像内の位置(左上座標を(x0,y0)、幅をw、高さをhの位置)に、ユーザにより指定されたものとする。この複製元の検査領域0702を面付け番号3のページ画像内に複製したときの複製先検査領域0703の位置を、左上座標を(x1,y1)、幅をw、高さをhとする。このとき、製先検査領域の左上座標は、式0704で表される位置となる。なお、図7では、検査領域0702を、面付け番号3のページ画像内に複製する例について説明しているが、面付け番号2および4の各ページ画像内にも複製することができる。
【0067】
S606にてCPU0226は複製先検査領域をデコードし、複製先検査領域が空白かどうかを調べる。
【0068】
S606にて複製先検査領域が空白でなかった場合、S607にてCPU0226はその検査領域をデコードする。デコードしたバーコードの座標が、座標選択した領域の中央にない場合やクワイエットゾーンを確保できていない場合、デコードしたバーコードの座標から検査領域の正確な座標を算出する。この時、複製先検査領域が規定のサイズに即した領域サイズになっているか判定を行い、規定のサイズに満たない場合、領域の中央にデータを維持したまま検査領域の拡大を行い、複製先検査領域とする。こうして生成した複製先検査領域をCPU0226は記憶部0228に保存する。
【0069】
S606にて複製先検査領域が空白であった場合、またはS607の処理が終わった後に、S608にてCPU0226は表示部0245に複製した検査領域を入力したプレビュー表示画面0501を表示し、ユーザに各検査領域の確認・修正を促す。なお、印刷ジョブによっては、QRコードを印刷しないページが含まれる場合があるので、そのような場合は、QRコードが印刷されていないことを検査できるように、ユーザーは複製先の検査領域をそのまま残しておくことが望ましい。
【0070】
S609にてCPU0226は、S608でユーザの修正を受けたものを含めたすべての検査領域の位置をRAM0227に記憶し、検査設定を終了する。
【0071】
以上により、検査領域の複製を行うことで検査設定時のユーザの負荷を減らすことができる。
【0072】
<<第2の実施形態>>
第2の実施形態では検査領域の複製の際にS606において領域が空白であった場合に位置を修正する実施形態に関して図8図9を用いて説明する。なお、前述の実施形態と共通する部分は省略し、説明する。
【0073】
図8は、2面付けで印刷を行う場合のリファレンス画像と、そのリファレンス画像上で設定される検査領域を示したものである。図8において、ユーザにより複製元検査領域0801が指定されたものとする。また、複製先検査領域0802は、複製元検査領域0801の位置に基づきS605にて複製される検査領域である。ただし、リファレンス画像において、領域0802にはバーコード等のデータの記述がなく空白である。この場合、実施例1ではS608で、計算した座標をそのまま用いて検査領域として提示して、ユーザからの修正を受け付け可能にするが、実施例2においては周囲のオブジェクトを用いて位置調整を行ってから複製先検査領域として提示する。なお、角0803、角0804、角0805、角0806はそれぞれリファレンス画像の四隅を示す。また、印刷ジョブにより印刷される1枚目の画像をリファレンス画像とし、そのリファレンス画像上で設定された検査領域0801および0802は、2枚目以降の用紙に対して流用するようにしてもよい。その場合、印刷ジョブにより印刷される2枚目以降の用紙に対しても、1枚目の画像上で設定された検査領域0801および0802と同じ位置に、検査領域が複製されるものとする。
【0074】
図9は位置調整を行う際のフローチャートを示したものである。なお、図6のフローチャートと同様の処理が行われるステップについては、同じステップ番号を付与している。
【0075】
図9のS606にて複製先検査領域が空白であるとCPU0226が判断した場合、S901にて、CPU0226は複製元検査領域から既知の他オブジェクト、例えば紙の四隅などからの距離を計測する。本実施例では印刷物の四隅のうち、複製元検査領域0801と同じ面内に存在する角0803および角0804から複製元検査領域0801の距離を計測する。
【0076】
S902にて、CPU0226は複製先検査領域について既知のオブジェクトからの距離を計測する。印刷物の四隅のうち、複製先検査領域0802と同じ面内に存在する角0805と角0806から複製先検査領域0802の距離を計測する。
【0077】
S903にて、CPU0226はS901で計測した距離とS902で算出した距離を比較する。複製元検査領域と角の距離が対応する複製先検査領域と角の距離が等しくなるよう複製先検査領域の座標を調整する。本実施例では複製元検査領域0801と角0803の距離は、複製先検査領域0802と角0806の距離に対応し、複製元検査領域0801と角0804の距離は、複製先検査領域0802と角0805の距離に対応する。
【0078】
以上により複製先検査領域が空白の場合にも座標の修正を行うことが可能である。なお、他オブジェクトとの距離を用いて検査領域を修正する際に、余白を考慮するようにしてもよい。
【0079】
<<第3の実施形態>>
第3の実施形態ではS605にて、検査対象外のページ画像の部分に、検査領域を複製することを防ぐ実施形態について図10図11を用いて説明する。
【0080】
図10は4面付け印刷を行う場合のリファレンス画像と、そのリファレンス画像上で設定される検査領域を示したものである。ここでは面付け番号1の面1001のページ画像内に、ユーザの指示により4つの複製元検査領域が設定された場合について説明する。
【0081】
面付け番号2~4の各ページ画像に対して検査領域を複製することが可能であるが、面付け番号2(面1002)に検査領域を複製した場合は、破線で示す位置に複製されることになる。しかしながら、図10の例では、面1002に印刷されるページ画像には、デコード可能なバーコードやQRコードが含まれておらず、別のデータ(文字など)が含まれている。
【0082】
図11は、図10で示したように複製先の面にレイアウトされるページ画像内に、検査対象となるデータが含まれていない場合のフローチャートである。なお、図6のフローチャートと同様の処理が行われるステップについては、同じステップ番号を付与している。
【0083】
S606で複製先の検査領域が空白であると判定した場合、もしくは、S607で複製先検査領域の位置を補正した後、CPU0226は、S1101にて、複製先の面が検査対象にすべき面かを判断する。ここで、検査対象となる面かどうかの判断は、その面の中に複製された検査領域内に含まれるオブジェクトについてデコードした場合に、その面内のすべての複製先検査領域でデコードに成功したか判断することによって行われる。図10の面1002で示されるように、検査対象外にすべき面は、検査対象である面1001とはレイアウトが大きく異なるため、面1001で指定された検査領域を面1002に複製したとしても、複製先検査領域をデコードすることができない。そこで、本実施例では、検査領域を複製した面において、デコードに成功した複製先検査領域がなかった場合、検査対象外にすべき面と判断する。
【0084】
S1101にて検査対象外とすべき面が検出された場合、S1102にて、その面に複製された検査領域を全て削除することで、当該面のページ画像を検査対象から除外する。このように構成することで、検査対象にすべきでないページ画像に検査領域を複製することを防ぐことができる。
【0085】
以上で示されるように検査領域の複製を行うことで検査設定時のユーザの負荷を減らすことができる。また、第2の実施形態と第3の実施形態と、それぞれ組み合わせせることも当然考えられる。
【0086】
<<その他の実施例>>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。その処理は、上述した実施例の機能を実現させるソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又はコンピュータ読取可能な記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを実行する、というものである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11