(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】抗微生物性ガス放出剤、並びにその使用のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/23 20060101AFI20240603BHJP
A61L 2/20 20060101ALI20240603BHJP
A61L 101/06 20060101ALN20240603BHJP
【FI】
A61L2/23
A61L2/20
A61L101:06
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022096797
(22)【出願日】2022-06-15
(62)【分割の表示】P 2020567906の分割
【原出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-07-08
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501014005
【氏名又は名称】シーエスピー テクノロジーズ,インコーポレイティド
【住所又は居所原語表記】960 West Veterans Boulevard, Auburn, Alabama 36832 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・プラット
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・アール・フリードマン
(72)【発明者】
【氏名】ディープティ・エス・グプタ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エイ・ジョンストン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ベルファンス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・フレデリック・スパノ
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0163854(US,A1)
【文献】特開2007-315743(JP,A)
【文献】特表2009-524572(JP,A)
【文献】特表2013-518799(JP,A)
【文献】特開2012-036072(JP,A)
【文献】国際公開第2014/175261(WO,A1)
【文献】特開2012-245434(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194884(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00-2/28;11/00-12/14
A01N 1/00-65/48
A01P 1/00-23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗微生物性放出剤であって、
(a)金属亜塩素酸塩と、
(b
)酸性化乾燥固体無機材料であるキャリア材料と、
(c)吸湿性化合物を含む誘因剤と、
を含み、
前記キャリア材料の2gの試料を10mLの水中に懸濁させる場合、前記酸性化乾燥固体無機材料の水相のpHが1.0~2.0であり、
(a)前記金属亜塩素酸塩が、前記抗微生物性放出剤の全重量に対して、5~30重量%であり、
(b)前記キャリア材料が、前記抗微生物性放出剤の全重量に対して、50~90重量%であり、
(c)前記誘因剤が、前記抗微生物性放出剤の全重量に対して、2~20重量%である、抗微生物性放出剤。
【請求項2】
前記金属亜塩素酸塩が、アルカリ金属亜塩素酸塩、アルカリ土類金属亜塩素酸塩又は遷移金属亜塩素酸塩である、請求項1に記載の抗微生物性放出剤。
【請求項3】
前記金属亜塩素酸塩が、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸カルシウム及び亜塩素酸マグネシウムの少なくとも1つであり、
前記誘因剤が、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、硝酸マグネシウム、硫酸銅、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、五酸化リン及び臭化リチウムの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の抗微生物性放出剤。
【請求項4】
前記キャリア材料は酸性化シリカゲルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗微生物性放出剤。
【請求項5】
前記誘因剤が塩化カルシウムである、請求項1~
4のいずれか一項に記載の抗微生物性放出剤。
【請求項6】
前記抗微生物性放出剤は二酸化塩素ガスを放出する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の抗微生物性放出剤。
【請求項7】
抗微生物性放出剤の調製方法であって、
金属亜塩素酸塩と
、酸性化乾燥固体無機材料であるキャリア材料と、吸湿性化合物を含む誘因剤とを混合して抗微生物性放出剤を形成するステップを含み、
前記キャリア材料の2gの試料を10mLの水中に懸濁させる場合、前記酸性化乾燥固体無機材料の水相のpHが1.0~2.0であり、
前記金属亜塩素酸塩が、前記抗微生物性放出剤の全重量に対して、5~30重量%であり、
前記キャリア材料が、前記抗微生物性放出剤の全重量に対して、50~90重量%であり、
前記誘因剤が、前記抗微生物性放出剤の全重量に対して、2~20重量%である方法。
【請求項8】
前記キャリア材料が、酸性化シリカゲルである、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記キャリア材料が、鉱酸で処理し、続いて乾燥したシリカゲルであり、前記鉱酸が硫酸、塩酸又は硝酸である、請求項
7又は
8に記載の方法。
【請求項10】
混和ポリマーであって、
(a)ベースポリマーと;
(b)チャネリング剤と;
(c)請求項1~
6のいずれか一項に記載の抗微生物性放出剤を含み、
(a)前記ベースポリマーは、前記混和ポリマーの全重量に対して、20重量%~50重量%の範囲であり、(b)前記チャネリング剤は、混和ポリマーの全重量に対して、2重量%~15重量%の範囲であり、(c)前記抗微生物性放出剤は、混和ポリマーの全重量に対して、40重量%~70重量%の範囲である、混和ポリマー。
【請求項11】
前記混和ポリマーは、0.1mm~1.0mmの厚さを有する膜の形態である、請求項
10に記載の混和ポリマー。
【請求項12】
請求項
10又は
11に記載の混和ポリマーを含む容器。
【請求項13】
前記抗微生物性放出剤が二酸化塩素ガスを放出する、請求項
12に記載の容器。
【請求項14】
前記容器の内部内の微生物の増殖を阻害または防止するための、請求項
12又は
13に記載の容器の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、参照によって内容全体が本明細書に組み込まれる、2018年11月13日出願の「ANTIMICROBIAL GAS RELEASING AGENTS AND SYSTEMS AND METHODS FOR USING THE SAME」と題された米国仮特許出願第62/760,519号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、抗微生物性放出剤が混和されたポリマーを使用して、例えば食品容器中での微生物の増殖を減少させ、且つ予防する、及び/又は微生物を死滅させる組成物、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
制御及び/又は規制されなければならない環境において、好ましくは、貯蔵、輸送及び利用される品目が多数ある。例えば、湿分制御分野において、その中に捕捉された過剰量の湿分を吸収する能力を有する容器及び/又はパッケージは望ましいものとして認識されている。同様に、汚染のリスクを伴う製品、例えば、食品のパッケージにおいて、微生物の成長及び増殖を制御することが望ましくなり得る。
【0004】
食品、特に、スライスされたか、又はカットされた生鮮食料品、例えば、肉、家禽肉、果実及び野菜は、典型的に、食品の目視検査を可能にする透明なプラスチックフィルムによってラップされた支持容器、例えば、トレーに貯蔵され、且つ販売される。これらの食品は滲出液(すなわち、汁)を生じるが、これは一般に、微生物の成長源となる可能性がある。加えて、食品が接触するプロセス装置又は他の表面の汚染が食品に残留し得、且つパッケージされた状態で増殖することもあり得る。同様に、食品は、パッケージプロセスの前にも汚染され得る。例えば、トマトは、その表皮に開口部を有し得、それを通して望ましくない微生物が侵入し、そこで自己複製することもあり得る。食品取り扱いプロセス及び/又はコールドチェーン管理における中断(例えば、食品輸送の間の冷蔵が数時間中断する)によって、汚染食品の微生物成長がもたらされる可能性があり、潜在的に食品由来疾病の発生を導く可能性がある。食品中の微生物汚染の原因又は性質にかかわらず、汚染された食品の貯蔵寿命及び安全性は微生物の汚染及び増殖によって影響を受ける。
【0005】
食品産業が食料品の保存のために取り組んだ1つの方法は、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム及び亜硝酸塩などの食品グレードの防腐剤を食品の成分として含ませることによる。しかしながら、そのような防腐剤は、いくつかの健康分野及び消費者には、不自然であり、且つ健康リスクを引き起こすものとしてみなされている。さらに、未加工食品、例えば、新鮮な果実又は野菜に対して、そのような防腐剤を使用することは実際的ではない。
【0006】
食品産業が食品保蔵のために取り組んだ別の方法は、パッケージ材料中の成分として食品と直接接触する抗微生物剤を利用することである。しかしながら、いくつかの用途においては、そのような直接接触が望ましくないこともあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特定の用途に関して、有効となるためには貯蔵食品との直接接触が必要である固体又は液体成分と比較して、微生物の成長を制御するために、食品パッケージ又は容器のヘッドスペース中に抗微生物性ガスを放出する抗微生物剤を提供することが望ましい。しかしながら、ヘッドスペース中で抗微生物性ガスを提供することには課題がある。
【0008】
そのような課題の1つは、指定の期間でヘッドスペース内で抗微生物性ガスの望ましい放出プロフィールを達成することである。所与の製品に対して適切な放出プロフィールを達成することができないと、その製品の望ましい貯蔵寿命を達成することもできなくなり得る。
【0009】
別のそのような課題は、抗微生物性ガスを放出するために現在利用可能な活性剤に関する。1つの現在利用可能な抗微生物性放出剤は、商標ASEPTROL7.05としてBASF Catalysts LLCによって提供されている。この材料及びその調製に関しては、米国特許第6,676,850号明細書に記載されている。簡単に言うと、ASEPTROLは、亜塩素酸ナトリウム活性化合物、粘土キャリア及び誘因剤を含む二酸化塩素放出材料である。ASEPTROLは、二酸化塩素放出材料として確かに有益性を有するが、それは特定の不利益を有する。1つのそのような不利益は、それは特定の用途に関して効力が不十分であり、且つその効力を変化させることができないということである。別の不利益は、それは加工及び取り扱い時に非常に不安定となる可能性があるということである。
【0010】
したがって、食品パッケージ、並びに制限されないが、殺菌された使い捨て医療デバイスのパッケージなどの他の用途において、微生物汚染を制御し、減少させ、且つ実質的に破壊する抗微生物剤の改善された送達が要求されている。この要求を満たすことの課題は、例えば、感覚受容性低下によって製品の品質に悪影響を及ぼす可能性のあるパッケージヘッドスペースの「過量投与」をすることなく、病原体を有効に制御及び/又は殺滅するために十分な抗微生物性ガスをパッケージヘッドスペース中に提供することのバランスを維持することである。このような課題に取り組む必要がある。所与の用途に関して制御可能な放出プロフィールを提供するようにその効力を変更及び調整させることのできる、改良された二酸化塩素放出材料も必要とされている。そのような材料が、現在利用可能なASEPTROL材料と比較して、製造時の加工性及び取り扱い時の安全性の改善をもたらすことが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、一態様において、本発明は、抗微生物性放出剤を提供する。抗微生物性放出剤は、キャリア材料、活性化合物及び誘因剤を含む。任意選択的に、キャリア材料は、3.5未満のpH、任意選択的に約1.4~約3.1のpHを有する。活性化合物は、好ましくは、金属亜塩素酸塩である。誘因剤は、好ましくは、吸湿性化合物を含む。一実施形態において、キャリア材料は、1つ以上の酸によって処理されており、例えば、酸性化シリカゲルである。任意選択的に、誘因剤としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、硝酸マグネシウム、硫酸銅、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、五酸化リン及び/臭化リチウムの少なくとも一つが含まれる。
【0012】
別の態様において、本発明は、抗微生物性放出剤の調製方法を提供する。この方法は、3.5未満のpHのキャリア材料を提供するステップと、キャリア材料を誘因剤及び活性化合物と混合して、抗微生物性放出剤を製造するステップとを含む。
【0013】
別の態様において、本発明は、ベースポリマーと、抗微生物性放出剤と、任意選択的にチャネリング剤とを含む混和ポリマーを提供する。抗微生物性放出剤は、3.5未満のpHのキャリア材料と、活性化合物と、誘因剤とを含む。
【0014】
任意選択的に、いずれの実施形態においても、抗微生物性放出剤は、内部空間内に配置された少なくとも1つの混和ポリマー物品中に提供される。混和ポリマー物品は、ベースポリマーと、抗微生物性放出剤と、任意選択的にチャネリング剤とを含むモノリシック材料である。好ましくは、そのような混和ポリマーは、0.1mm~1.0mm、好ましくは0.2mm~0.6mm任意選択的に約0.2又は0.3mmの厚さを有する膜として提供される。好ましくは、そのような膜は容器側壁の正中線より上(好ましくは少なくとも2/3又は3/4)に提供される。これは、本発明者によって、所望の抗微生物性ガス放出プロフィールを達成するための補助となることが見出されている。
【0015】
任意選択的に、いずれの実施形態においても、二酸化塩素ガス放出剤は、内部空間内に配置された少なくとも1つの混和ポリマー物品中に提供される。混和ポリマー物品は、ベースポリマーと、二酸化塩素ガス放出剤とチャネリング剤とを含むモノリシック材料である。好ましくは、そのような混和ポリマーは、0.1mm~1.0mm、好ましくは0.2mm~0.6mm、任意選択的に約0.2又は0.3mmの厚さを有する膜として提供される。代わりに、そのような混和ポリマー組成物は、ASTM D1238/ISO 1133条件下で混和ポリマーが200g/10分~5000g/10分の範囲のメルトフロー指数を有するホットメルト用途において製造されてもよい。任意選択的に、そのような混和ポリマー組成物は、2分間5Hzにおいて剪断後、190℃においてレオメーターを用いて粘度を測定する場合、1,000cp~50,000cpの範囲の粘度を有する。二酸化塩素放出剤を含む混和ポリマーを分注するために任意選択的に使用されてよいホットメルト分注装置及び方法は、参照によって全体が本明細書に組み込まれる、PCT/US2018/049578号明細書に記載されている。
【0016】
したがって、一態様において、本発明は、商品がその中に位置する密閉容器において、微生物の成長を阻害若しくは予防するため、及び/又は微生物を殺滅するためのシステムを提供する。このシステムは、任意選択的に、底部表面と、上部開口と、底部表面から上部開口まで垂直方向に延在する1つ以上の側壁と、1つ以上の側壁によって形成される内部空間と、商品によって占有されていない内部空間によって形成されるヘッドスペースと、容器を密閉及び/又は密封するためのカバーとを含む容器を含む。また、このシステムは、ベースポリマーと、放出された抗微生物性ガスを放出するように構成される抗微生物性放出剤とを含むモノリシック材料を含む、内部空間内に位置する少なくとも1種の混和ポリマー物品を含む。このシステムは、放出された抗微生物性ガスの放出を活性化するために、内部空間に存在する選択された材料をさらに含む。
【0017】
別の態様において、本発明は、商品がその中に位置する密閉容器において、微生物の成長を阻害若しくは予防するため、及び/又は微生物を殺滅するための方法を提供する。この方法は、ベースポリマーを得ることと、選択された材料、例えば湿分による活性化時にガスの形態で放出された抗微生物性材料を放出するように構成される抗微生物性放出剤をベースポリマーと組み合わせて、モノリシック材料を形成することとを含む、少なくとも1種の混和ポリマー物品を形成することを含む。また、この方法は、底部表面と、上部開口と、底部表面から上部開口まで垂直方向に延在する1つ以上の側壁と、1つ以上の側壁によって形成される内部空間と、商品によって占有されていない内部空間によって形成されるヘッドスペースと、容器を密閉及び/又は密封するためのカバーとを含む容器を得ることも含む。この方法は、容器の内部空間内に少なくとも1種の混和ポリマー物品を配置することと;容器中に商品を配置することと;容器をカバーすることと;容器の内部空間中に選択された材料を提供することと;商品中及び/又は上に存在する微生物の成長を減少若しくは予防するため、及び/又は微生物を殺滅するために有効な濃度で内部空間内に放出された抗微生物性材料を放出することとをさらに含む。
【0018】
別の態様において、製品がその中に位置する密閉容器において、微生物の成長を阻害若しくは予防するため、及び/又は微生物を殺滅するためのパッケージが提供される。このパッケージは、その中の内部空間を画定する密閉容器を含む。製品(任意選択的に、食品)が、内部空間内に提供される。製品によって占有されていない内部空間の体積内にヘッドスペースが形成される。湿分と抗微生物性放出剤との反応によってヘッドスペース中に二酸化塩素ガスを放出する抗微生物性放出剤を内部空間内に配置する。10時間~36時間の期間で、6パーツパーミリオン(PPM)~35PPM、任意選択的に、16時間~36時間の期間で、15PPM~30PPM、任意選択的に、約24時間の期間で、15PPM~30PPMのヘッドスペース濃度を提供するように二酸化塩素ガスを放出する量で抗微生物性放出剤が提供される。
【0019】
任意選択的に、いずれの実施形態においても、製品が内部空間内に提供される場合、製品は少なくとも1種の病原体によって汚染される。抗微生物性放出剤は、内部空間内に且つ7℃の貯蔵条件下で製品が提供された時点から2日、任意選択的に3日、任意選択的に4日、任意選択的に5日、任意選択的に6日、任意選択的に7日、任意選択的に8日、任意選択的に9日、任意選択的に10日、任意選択的に11日、任意選択的に12日、任意選択的に13日の期間後、少なくとも1種の病原体のグラム当たりのコロニー形成単位(CFU/g)における少なくとも1ログベース10の減少、任意選択的にCFU/gにおける少なくとも2ログベース10の減少、任意選択的にCFU/gにおける少なくとも3ログベース10の減少、任意選択的に少なくとも1種の病原体のCFU/gにおける少なくとも4ログベース10の減少を実施するように二酸化塩素ガスの徐放をもたらす。任意選択的に、少なくとも1種の病原体は、サルモネラ(Salmonella)、大腸菌(E.Coli)、リステリア(Listeria)及び/又はゲオトリクム(Geotrichum)である。
【0020】
任意選択的に、製品が食品であり、且つ抗微生物性放出剤及び/又は二酸化塩素ガスの量が、少なくとも1種の病原体のCFU/gにおける少なくとも1ログベース10の減少(又はCFU/gにおける少なくとも2ログベース10の減少、又は少なくとも3ログベース10の減少、又は少なくとも4ログベース10の減少)を実施するために十分な量で存在する場合、そのような有効性は食品の感覚受容性低下の代償をもたらさない。例えば、特殊な検出装置を用いずに通常の消費者によって認知されるように、食品は漂白されないか、又は他の様式で変色されない(すなわち、実質的な感覚受容性低下が生じない)。
【0021】
任意選択的に、いずれの実施形態においても、抗微生物性放出剤は、内部空間内に位置する少なくとも1種の混和ポリマー物品中に提供される。混和ポリマー物品は、ベースポリマー、抗微生物性放出剤及び任意選択的にチャネリング剤を含むモノリシック材料である。好ましくは、そのような混和ポリマーは、0.1mm~1.0mm、好ましくは、0.2mm~0.6mm、任意選択的に、約0.3mmの厚さを有するフィルムとして提供される。好ましくは、そのようなフィルムは、容器側壁の正中線より上(好ましくは、少なくとも2/3又は3/4)に提供される。本発明者らは、これが所望の抗微生物性ガス放出プロフィールの達成の補助となることを見出した。
【0022】
任意選択的に、いずれの実施形態においても、抗微生物性放出剤は、アルカリ金属亜塩素酸塩、好ましくは、亜塩素酸ナトリウムを含む粉末混合物である。粉末混合物は、少なくとも1種のキャリア、任意選択的に酸性化シリカゲル及び少なくとも1種の湿分誘引剤、任意選択的に、塩化カルシウムをさらに含む。
【0023】
任意選択的に、いずれの実施形態においても、食品がその中に位置する密閉容器において、微生物の成長を阻害若しくは予防するため、且つ/又は微生物を殺滅するための方法が提供される。この方法は、その中に内部空間を画定する密閉容器と、内部空間内の食品とを提供することを含む。ヘッドスペースは、製品によって占有されていない内部空間の体積内に形成される。(本明細書の要約及び他所において開示されるものなどの)抗微生物性放出剤が内部空間に提供される。この薬剤は、湿分と抗微生物性放出剤との反応によってヘッドスペース中に抗微生物性ガスを放出する。抗微生物性放出剤は、前もって決定された時間量において抗微生物性ガスの所望のヘッドスペース濃度を提供するように抗微生物性ガスを放出するために十分な量で提供される。本方法に従って、製品が内部空間内に提供された時点で製品が少なくとも1種の病原体によって汚染される場合、抗微生物性放出剤は、任意選択的に、内部空間内に且つ7℃の貯蔵条件下で製品が提供された時点から2日、任意選択的に3日、任意選択的に4日、任意選択的に5日、任意選択的に6日、任意選択的に7日、任意選択的に8日、任意選択的に9日、任意選択的に10日、任意選択的に11日、任意選択的に12日、任意選択的に13日の期間後、少なくとも1種の病原体のグラム当たりのコロニー形成単位(CFU/g)における少なくとも1ログベース10の減少、任意選択的にCFU/gにおける少なくとも2ログベース10の減少、任意選択的にCFU/gにおける少なくとも3ログベース10の減少、任意選択的に少なくとも1種の病原体のCFU/gにおける少なくとも4ログベース10の減少を実施するように抗微生物性ガスの徐放をもたらす。好ましくは、この方法は、食品の実質的又は合理的な(消費者にとって)知覚可能な感覚受容性低下を引き起こさずに、例えば、食品の漂白又は他の様式の顕著な変色を生じることなく、減少を実施する。好ましくは、抗微生物性放出剤は、例えば本明細書に記載される混和ポリマー中に、より好ましくは混和ポリマー膜中に提供される。
【0024】
任意選択的に、本明細書に記載されるパッケージのいずれの実施形態においても、本発明の態様は、ヘッドスペース中で二酸化塩素ガスを放出するように抗微生物性放出剤を活性化する湿分を発散する、食品の貯蔵のためのパッケージの使用を含んでよい。この使用によって、本明細書に記載される所望のヘッドスペース抗微生物性ガス濃度が達成され得る。この使用は、内部空間内に且つ7℃の貯蔵条件下で製品が提供された時点から2日、任意選択的に3日、任意選択的に4日、任意選択的に5日、任意選択的に6日、任意選択的に7日、任意選択的に8日、任意選択的に9日、任意選択的に10日、任意選択的に11日、任意選択的に12日、任意選択的に13日の期間後、少なくとも1種の病原体のグラム当たりのコロニー形成単位(CFU/g)における少なくとも1ログベース10の減少、任意選択的にCFU/gにおける少なくとも2ログベース10の減少、任意選択的にCFU/gにおける少なくとも3ログベース10の減少、任意選択的に少なくとも1種の病原体のCFU/gにおける少なくとも4ログベース10の減少を実施し得る。これは、好ましくは、食品の実質的な感覚受容性低下を引き起こさずに、例えば、食品の漂白又は他の様式の顕著な変色を生じることなく実行される。
【0025】
同様の数字が同様の要素を指定する以下の図面と関連して、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】開示された概念の方法に従って基材上に堆積され得る混和ポリマーから形成されたプラグの透視図である。
【
図2】
図1の線2-2に沿って切断された断面図である。
【
図3】開示された概念の任意選択的な実施形態による混和ポリマーの別の実施形態から形成されたプラグを示す、
図2と類似の断面図である。
【
図4】活性剤が、選択された材料(例えば、湿分)との接触によって活性化される抗微生物性ガス放出材料である、開示された概念の任意選択的な実施形態による混和ポリマーの概略図である。
【
図5】バリアシート基材に接着した、開示された概念の任意選択的な実施形態による混和ポリマーから形成されたシート又はフィルムの断面図である。
【
図6】開示された概念の任意選択的な実施形態による混和ポリマーを使用して形成され得るパッケージの断面図である。
【
図7】様々なpH値における、開示された概念による例示的なClO
2放出剤のClO
2放出プロフィールのグラフである。
【
図8】開示された概念の任意選択的な態様による混和ポリマー膜を含む例示的なパッケージの透視図である。
【
図9】2つの参照標準に対する開示された概念による例示的な混和ポリマーのClO
2放出プロフィールのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
定義
本明細書で使用される場合、「活性」という用語は、本発明の態様に従って選択された材料(例えば、湿分又は酸素)において作用するか、それと相互作用するか、又はそれと反応することが可能であることとして定義される。そのような作用又は相互作用の例としては、選択された材料の吸収、吸着又は放出を含み得る。本発明の第一焦点と関連する「活性」の別の例は、放出された材料(例えば、二酸化塩素)の放出を引き起こすために選択された材料(例えば、湿分)において作用するか、それと相互作用するか、又はそれと反応することが可能である薬剤である。
【0028】
本明細書で使用される場合、混和ポリマーに関連する「活性剤」という用語は、(1)好ましくは、ベースポリマーと非混和性であり、且つベースポリマー及びチャネリング剤との混合及び加熱時に溶融せず、すなわち、ベースポリマー又はチャネリング剤のいずれかに対する融点よりも高い融点を有し、且つ(2)選択された材料において作用するか、それと相互作用するか、又はそれと反応する材料として定義される。「活性剤」という用語には、限定されないが、選択された材料を吸収、吸着又は放出する材料が含まれ得る。本明細書の第一焦点の活性剤は、例えば湿分との反応時に、抗微生物性ガス、好ましくは、二酸化塩素ガスを放出するものである。
【0029】
「抗微生物性放出剤」という用語は、例えば、ガスの形態の放出された抗微生物性材料を放出することが可能である活性剤を意味する。この抗微生物性放出剤は、抗微生物性ガスを放出するように構成された配合物(例えば、粉末混合物)中に活性成分及び他の成分(例えば、触媒及び誘引剤)を含み得る。「放出された抗微生物性材料」は、微生物の成長及び増殖を阻害及び予防し、且つ/又は微生物を殺滅する化合物、例えば、二酸化塩素ガスである。放出された抗微生物性材料は、抗微生物性放出剤によって放出される。例として、抗微生物性放出剤は、(湿分などの)選択された材料との接触によって、(例えば、化学反応又は物理変化によって)誘引され得る。例えば、湿分は抗微生物性放出剤と反応し、それによって薬剤は、放出された抗微生物性材料を放出し得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、「ベースポリマー」という用語は、ベースポリマーに混入されるチャネリング剤のガス透過率よりも実質的に低いか、低いか、又は実質的にそれと同等である、選択された材料のガス透過率を任意選択的に有するポリマーである。例として、そのような透過率は水蒸気透過率であり、選択された材料は湿分であり、且つ活性剤は、湿分によって活性化される抗微生物性ガス放出剤である。このような活性剤は、抗微生物性ガスを放出するように構成された配合物中に活性成分及び他の成分を含み得る。ベースポリマーの主要機能は、混和ポリマーの構造を提供することである。
【0031】
本発明の任意選択的な実施形態における使用のために適切なベースポリマーとしては、エチレン酢酸ビニル、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-メタクリレートコポリマー、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリ乳酸を含むポリエステル、多無水物、ポリアクリリアニトリル(polyacrylianitrile)、ポリスルホン、ポリアクリル酸エステル、アクリル、ポリウレタン及びポリアセタール、或いはそのコポリマー又は混合物が含まれる。
【0032】
特定の実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも2倍の水蒸気透過率を有する。他の実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも5倍の水蒸気透過率を有する。他の実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも10倍の水蒸気透過率を有する。なお他の実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも20倍の水蒸気透過率を有する。なお別の実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも50倍の水蒸気透過率を有する。なお他の実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも100倍の水蒸気透過率を有する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「チャネリング剤」という用語は、ベースポリマーと非混和性であり、且つベースポリマーよりも速い速度でガス相物質を輸送する親和力を有する材料として定義される。任意選択的に、チャネリング剤は、チャネリング剤をベースポリマーと混合することによって形成される時に、混和ポリマーを通ってチャネルを形成することが可能である。任意選択的に、そのようなチャネルは、単にベースポリマーのみにおける速度よりも速い速度で、混和ポリマーを通って選択された材料を伝達することが可能である。
【0034】
本明細書で使用される場合、「チャネル」又は「相互連結チャネル」という用語は、ベースポリマーを通して貫入するチャネリング剤から形成された流路として定義され、且つ互いに相互連結し得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、「混和ポリマー」という用語は、少なくとも1種のベースポリマーと、その中に混和又は分散された活性剤及び任意選択的にチャネリング剤とから形成されたモノシリック材料として定義される。したがって、混和ポリマーには、少なくとも2相(チャネリング剤を含まないベースポリマー及び活性剤)、又は少なくとも3相(チャネリング剤を含むベースポリマー及び活性剤)が含まれる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「モノリシック」、「モノリシック構造」又は「モノリシック組成物」という用語は、2つ以上の分離したマクロ的層又は部分からならない組成物又は材料として定義される。したがって、それは潜在的にモノリシック組成物である層を有する可能性があるが、多層複合材自体は「モノリシック組成物」ではない。
【0037】
本明細書で使用される場合、「相」という用語は、構造又は組成物にそのモノリシック特徴が与えられように均一分散されたモノリシック構造又は組成物の一部若しくは成分として定義される。
【0038】
本明細書で使用される場合、「選択された材料」という用語は、活性剤において作用するか、又はそれによって作用するか、又はそれと相互作用するか、若しくはそれと反応し、且つ混和ポリマーのチャネルを通って伝達されることが可能である材料として定義される。例えば、放出材料が活性剤である実施形態において、選択された材料は、抗微生物性ガス(例えば、二酸化塩素)などの放出材料を放出するように活性剤と反応するか、又は他の様式でそれを誘引する湿分であり得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、「3相」という用語は、3つ以上の相を含むモノリシック組成物又は構造として定義される。本発明による3相組成物の例は、ベースポリマー、活性剤及びチャネリング剤から形成された混和ポリマーである。任意選択的に、3相組成物又は構造は、追加の相、例えば、着色剤を含み得るが、それにもかかわらず、3種の主要機能成分の存在のため、なお「3相」であると考えられる。
【0040】
さらに、「パッケージ」、「パッケージング」及び「容器」という用語は、本明細書中、商品、例えば、食品及び食料品を保持するか、有するか、或いは保持又は含有するように構成される対象を示すように互換的に使用され得る。任意選択的に、パッケージは、製品がその中に貯蔵された容器を含み得る。パッケージ、パッケージング及び容器の非限定的な例としては、トレー、箱、カートン、ボトル容器、道管(vessel)、ポーチ及び軟質バッグが含まれる。ポーチ又は軟質バッグは、例えば、ポリプロピレン又はポリエチレンから製造され得る。パッケージ又は容器は、例えば、カバー、蓋、施蓋シーラント、接着剤及び熱シールを含む種々の機構を使用して、密閉、カバー及び/又は密封され得る。パッケージ又は容器は、プラスチック(例えば、ポリプロピレン又はポリエチレン)、紙、スタイロフォーム(登録商標)、ガラス、金属及びその組合せなどの種々の材料から構成されてもよい。1つの任意選択的な実施形態において、パッケージ又は容器は、硬質又は半硬質ポリマー、任意選択的にポリプロピレン又はポリエチレンから構成され、且つ好ましくは、重力下でその形状を維持するために十分な剛性を有する。
【0041】
例示的な混和ポリマー
慣習的に、乾燥剤、酸素吸収剤及び他の活性剤は、パッケージの内部環境を制御するために、そのままの状態で、例えば、パッケージ内でサッシェ又はキャニスターに収容されたルーズな粒子として使用される。多くの用途に関して、そのようなルーズに貯蔵された活性物質を有することは望ましくない。したがって、本出願は、ポリマーが種々の所望の形態、例えば、コンテナライナー、プラグ、フィルムシート、ペレット及び他のそのような構造へと押出成形及び/又は成形可能である、活性剤を含む活性剤混和ポリマーを提供する。
【0042】
任意選択的に、そのような活性混和ポリマーは、混和活性剤(例えば、湿分を吸収する吸水剤)に選択された材料(例えば、湿分)を伝達するために、混和ポリマーの表面とその内部との間にチャネルを形成する、ポリエチレングリコール(PEG)及びビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(PVPVA)などのチャネリング剤を含み得る。上記で説明される通り、混和ポリマーは、2相配合物(すなわち、チャネリング剤を含まず、ベースポリマー及び活性剤を含む)又は3相配合物(すなわち、ベースポリマー、活性剤及びチャネリング剤を含む)であり得る。混和ポリマーは、例えば、それぞれ参照によって完全に記載されるように本明細書に組み込まれる、米国特許第5,911,937号明細書、同第6,080,350号明細書、同第6,124,006号明細書、同第6,130,263号明細書、同第6,194,079号明細書、同第6,214,255号明細書、同第6,486,231号明細書、同第7,005,459号明細書及び米国特許出願公開第2016/0039955号明細書において記載されている。
【0043】
本発明における使用のために適切なベースポリマーとしては、任意選択的に、エチレン酢酸ビニル、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-メタクリレートコポリマー、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリ乳酸を含むポリエステル、多無水物、ポリアクリリアニトリル(polyacrylianitrile)、ポリスルホン、ポリアクリル酸エステル、アクリル、ポリウレタン及びポリアセタール、或いはそのコポリマー又は混合物の1つ以上が含まれる。
【0044】
本発明の適切なチャネリング剤には、任意選択的に、ポリグリコールのうちの一つ以上、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレン-ビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVOH)、グリセリンポリアミン、ポリウレタン、及びポリアクリル酸又はポリメタクリル酸を含むポリカルボン酸が含まれる。代わりに、チャネリング剤は、例えば、CLARIANTによって製造される商品名Polyglykol B01/240で商業的に入手可能なポリプロピレンオキシド-モノブチルエーテルなどの非水溶性ポリマーであることが可能である。他の実施形態において、チャネリング剤は、CLARIANTによって製造される商品名Polyglykol B01/20で商業的に入手可能なポリプロピレンオキシド-モノブチルエーテル、CLARIANTによって製造される商品名Polyglykol D01/240で商業的に入手可能なポリプロピレンオキシド、エチレン酢酸ビニル、ナイロン6、ナイロン66、又は上記のいずれかの組合せであることも可能である。
【0045】
活性剤として抗微生物性放出剤を含む混和ポリマーについて、以下にさらに説明する。
【0046】
抗微生物性放出剤及びそれを含む任意選択的な混和ポリマー
図1~6及び8は、本発明の特定の実施形態による混和ポリマー20及び混和ポリマーから形成された様々なパッケージングアセンブリを例示する。混和ポリマー20は、それぞれ、ベースポリマー25、任意選択的にチャネリング剤35及び活性剤30を含む。活性剤30は、好ましい実施形態において、抗微生物性放出剤である。示される通り、チャネリング剤35は、混和ポリマー20を通して、相互連結チャネル45を形成する。活性剤30の少なくともいくつかがこれらのチャネル45内に含まれることにより、チャネル45は、混和ポリマー25の外側表面において形成されたチャネル開口48を介して、活性剤30と混和ポリマー20の外側とを連通する。活性剤30は、例えば、以下にさらに詳細に記載される種々の放出材料のいずれか1種であることが可能である。チャネリング剤、例えば、35が好ましいが、本発明は、任意選択的にチャネリング剤を含まない混和ポリマーを概括的に含む。本発明による適切な活性剤としては、抗微生物性放出剤が含まれる。
【0047】
図4は、活性剤30が抗微生物性放出剤である、本発明の任意選択的な態様による混和ポリマー10の実施形態を例示する。矢印は、混和ポリマー10の外側から、チャネル45を通って、活性剤30(この場合、抗微生物性放出剤)の粒子までの選択された材料、例えば、湿分又は別のガスの経路を示す。任意選択的に、抗微生物性放出剤は、選択された材料(例えば、湿分)と反応するか、又は他の様式で誘因若しくは活性化され、それに応じて、放出された抗微生物性材料を、好ましくは、ガスの形態で放出する。これらの図は、上記及び下記でさらに説明される。
【0048】
本明細書において有用な抗微生物剤には、揮発性抗微生物性放出剤、非揮発性抗微生物性放出剤及びその組合せが含まれる。
【0049】
「揮発性抗微生物性放出剤」という用語は、流体又はガス(例えば、水、湿分又は食品からの汁)との接触時に、ガス及び/又はガス相、例えば、放出された抗微生物剤の蒸気を生じるいずれの化合物も含む。以下により詳細に記載される通り、揮発性抗微生物性放出剤は、一般に、放出された抗微生物性材料(ガス及び/又は蒸気)が漏出しないように、密閉系において使用される。
【0050】
「非揮発性抗微生物剤」という用語は、それが流体(例えば、水又は食品からの汁)との接触時に、最小限の抗微生物剤の蒸気を生じるか、又は抗微生物剤の蒸気を生じないいずれの化合物も含む。非揮発性抗微生物剤の例としては、限定されないが、アスコルビン酸、ソルビン酸塩、ソルビン酸、クエン酸、クエン酸塩、乳酸、乳酸塩、安息香酸、安息香酸塩、重炭酸塩、キレート化化合物、ミョウバン塩、ナイシン、ε-ポリリジン10%、メチル及び/又はプロピルパラベン、或いは上記化合物のいずれの組合せも含む。塩には、上記で列挙された化合物のいずれかのナトリウム、カリウム又はマグネシウム塩も含まれる。具体例としては、ソルビン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム又はソルビン酸ナトリウムが含まれる。
【0051】
本発明の態様に従って使用される抗微生物性放出剤の好ましい特徴としては、以下の特徴のいずれか1つ以上が含まれる:(1)それらは、冷蔵温度において揮発する;(2)それらは、安全な食品で;(3)それらは、混和ポリマー配合物又は放出のための他の機構中に安全に組み込まれ得る;(4)それらは、長期貯蔵条件において貯蔵安定性である;(5)それらは、薬剤が配置されたパッケージが、パッケージ中に製品が配置された状態で密封されたら、放出された抗微生物性材料を放出する;(6)それらは、パッケージ内での所望の放出プロフィールを達成するように配合及び構成される場合に、貯蔵された食品に感覚受容性的に実質的に影響を与えない;(7)それらは、好ましくは、食品パッケージング及び仕上げ食品ラベリングに関する適用可能な政府規制及び/又はガイドラインにおいて容認可能である。
【0052】
抗微生物性放出剤-二酸化塩素放出剤
本発明の一態様において、抗微生物性放出剤は、放出された抗微生物性材料としてガスの形態で二酸化塩素(ClO2)を放出する揮発性抗微生物性剤である。例えば、抗微生物性放出剤は、1)活性化合物、2)キャリア材料及び3)組合せで湿分によって誘因又は活性化されて、薬剤が二酸化塩素を放出するようにさせる誘因剤を含む、化合物又は組成物であり得る。
【0053】
上記の背景の項目で記載した通り、米国特許第6,676,850号明細書に記載されるように、既存の抗微生物性放出剤は、BASF Catalysts LLCによって商標ASEPTROL 7.05で提供されている。出願人は、任意選択的にASEPTROLに特定の利点を提供する新規且つユニークな抗微生物性放出剤を発明した。出願人の発明は、制御可能な放出プロフィール及び製造時の所望の加工性を提供する二酸化塩素ガス放出剤を含む。出願人の新規ClO2放出剤は、産業規模での製造により実証可能であり、比較的安定であり、且つ高い装填レベルで混和ポリマーを製造するプロセスのために適応可能である。特に、本発明は、活性化合物、キャリア材料及び誘因剤を含むClO2放出組成物を提供する。任意選択的に、本発明の抗微生物性放出剤は乾燥粉末である。以下、本出願は、本発明の任意選択的な態様によるClO2放出組成物の上記成分のそれぞれを説明する。
【0054】
活性化合物
アルカリ金属亜塩素酸塩、アルカリ土類金属亜塩素酸塩及び遷移金属亜塩素酸塩を含む、様々な金属亜塩素酸塩が、抗微生物性放出剤の調製において活性化合物として利用されてよい。一実施形態において、金属亜塩素酸塩は、亜塩素酸ナトリウム及び亜塩素酸カリウムなどのアルカリ金属亜塩素酸塩である。別の実施形態において、金属亜塩素酸塩は、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸カルシウム及び亜塩素酸マグネシウムなどのアルカリ土類亜塩素酸塩である。任意選択的な実施形態において、金属亜塩素酸塩は、亜塩素酸ナトリウムである。
【0055】
金属亜塩素酸塩は、様々な商業的な供給源から入手可能である。工業銘柄のフレーク状亜塩素酸ナトリウム(80%)は、Acros、Aldrich Chemical Co.及びAlfa Asserから入手可能である。亜塩素酸カルシウム及び亜塩素酸カリウムは、それぞれ、T.J.Baker Co.及びAldrich Chemical Co.から入手可能である。一般に、これらの市販の亜塩素酸塩は、(例えば300℃で3時間)乾燥され、そして使用前に冷却される。
【0056】
キャリア材料
一態様において、キャリア材料は、3.5未満のpHを有する材料を含む。本明細書中、pHは、水中に懸濁又は溶解されたキャリア材料の水相のpHを示す。任意選択的に、キャリア材料の2gの試料を10mLの水中に懸濁させる。水相のpHを測定する。任意選択的に、キャリア材料は親水性材料である。任意選択的に、キャリア材料は、乾燥固体材料、又は乾燥固体無機材料である。任意選択的に、一実施形態において、キャリア材料は、酸性化シリカゲルである。別の任意選択的な実施形態において、キャリア材料は1つ以上の酸によって処理されている。任意選択的に、酸は、任意選択的に硫酸、塩酸及び硝酸からなる群から選択される鉱酸である。任意選択的に、結果として生じる処理されたキャリア材料の水相のpHが3.5未満であるように、未変性キャリア材料は1つ以上の酸によって処理される。任意選択的に、結果として生じる処理された親水性材料の水相のpHは、0.5~3.5、任意選択的に0.5~3.0、任意選択的に1.0~3.5、任意選択的に1.0~3.0又は任意選択的に1.0~2.0である。任意選択的に、結果として生じる処理された親水性材料の水相のpHは、1.5~1.8又は1.0~1.5である。出願人は、1.4~3.1の水相のpHは、安全性及び有効性の均衡を良好に保つ所望の窓領域を提供することを見出した。換言すれば、直近に記載の範囲は、所望の二酸化塩素放出特性を提供しながら、材料を加工及び処理するための「安全ゾーン」を提供する。任意選択的に、キャリア材料は、酸性化後に(例えば、300℃で3時間)乾燥させられ、そして使用前に冷却される。
【0057】
任意選択的に、未変性キャリア材料は鉱酸溶液中に含浸される。鉱酸溶液濃度の濃度は、キャリア材料の望ましいpH値に依存して、約0.1Mから飽和までの範囲であることが可能である。
【0058】
誘因剤
別の態様において、誘因剤は吸湿性材料を含む。任意選択的に、吸湿性材料は吸湿性の塩である。任意選択的に、吸湿性材料は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、硝酸マグネシウム、硫酸銅、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、五酸化リン及び/又は臭化リチウムのいずれか1つである。任意選択的な実施形態において、誘因剤は塩化カルシウムである。一般に、吸湿性材料は、(例えば、300℃で3時間)乾燥させられ、そして使用前に冷却される。
【0059】
典型的に、誘因剤の吸湿性によって、湿分は貯蔵及び捕集され、これは次いで二酸化塩素の放出を導く活性化合物との反応を開始する。
【0060】
二酸化塩素放出剤
上記二酸化塩素放出剤の成分のそれぞれは別々に調製される。例えば、キャリア材料及び誘因剤は個々に調製されて、次いで最終的に活性化合物と組み合わせられる。
【0061】
任意選択的に、キャリア材料は酸性化シリカゲルである。任意選択的に、酸性化シリカゲルは、未変性のシリカゲルを硫酸溶液によって処理し、スラリーを生じることによって調製される。スラリーを完全に熱で乾燥させ、乾燥状態の酸性化シリカゲルを得る。任意選択的に、酸性化シリカゲルのpHは、3.5未満、任意選択的に1.0~3.5、任意選択的に1.4~3.1、任意選択的に1.0~3.0、任意選択的に1.0~2.0、任意選択的に1.0~1.5、任意選択的に1.5~1.8、任意選択的に1.5~3.0、任意選択的に1.5~2.5、任意選択的に1.5~1.8、任意選択的に2.0~3.0、任意選択的に2.0~2.5である。pHは、例えば、10mLの水中に酸性化シリカゲル2gの水相のpHを測定することによって、標準的な方法によって測定される。
【0062】
次いで、キャリア材料をいずれかの順番で誘因剤及び活性化合物と混合する。任意選択的な実施形態において、(酸性化シリカゲルなどの)キャリア材料を(CaCl2などの)誘因剤と混合して、混合物を得る。任意選択的に、混合物を最終的に(NaClO2を含む金属亜塩素酸塩などの)活性化合物と組み合わせて、ClO2放出活性剤を製造する。別の実施形態において、キャリア材料を活性化合物と混合し、次いで誘因剤と混合する。別の実施形態において、キャリア材料を同時に活性化合物及び誘因剤と混合する。
【0063】
抗微生物性放出剤中の活性化合物、キャリア材料及び誘因剤の量は、限定されないが、選択された特定の成分、放出される二酸化塩素ガスの望ましい量、二酸化塩素ガスの望ましい放出速度及び使用のための望ましい抗微生物性放出剤の全量を含む、いくつかの要因次第である。しかしながら、二酸化塩素ガス放出プロフィールは、活性材料の量などの他の要因よりもキャリア材料の酸性及び乾燥度により感応性が高い。
【0064】
いずれの実施形態においても、キャリア材料は、抗微生物性放出剤の全量に対して、任意選択的に50重量%~90重量%である。任意選択的に、キャリア材料は、抗微生物性放出剤の全量に対して、60重量%~90重量%、任意選択的に60重量%~80重量%、任意選択的に60重量%~70重量%、任意選択的に70重量%~90重量%、任意選択的に70重量%~80重量%である。
【0065】
いずれの実施形態においても、活性化合物は、抗微生物性放出剤の全量に対して、任意選択的に5重量%~30重量%である。任意選択的に、活性化合物は、抗微生物性放出剤の全量に対して、7重量%~25重量%、任意選択的に9重量%~20重量%、任意選択的に11重量%~20重量%である。
【0066】
いずれの実施形態においても、誘因剤は、抗微生物性放出剤の全量に対して、任意選択的に2重量%~20重量%である。任意選択的に、誘因剤は、抗微生物性放出剤の全量に対して、5重量%~18重量%、任意選択的に8重量%~15重量%、任意選択的に約10重量%である。
【0067】
本発明の一実施形態によると、そのようにして調製されたClO2放出剤は乾燥固体及び吸湿性であって、且つ使用するまで窒素下で密閉及び貯蔵される。
【0068】
本発明の任意選択的な態様によるClO
2放出剤のClO
2放出特性を
図7に示す。開示された概念のClO
2放出剤の例示的な実施形態は、次の組成に従って調製された:酸性化シリカゲル77%、亜塩素酸ナトリウム13%及び塩化カルシウム10%。
図7のグラフは、pH1.42からpH3.14までの様々なpHレベルにおけるこの組成物の放出特性を示す。このグラフは、最も低いpHでは最も高いClO
2濃度がもたらされ、そして最も高いpHでは最も低いClO
2濃度がもたらされたことを示す。このデータは、pHの変動によってClO
2濃度を標的レベルに調製することが可能であることを示す。
【0069】
本発明の任意選択的な態様に従って調製されたグラムあたりのClO2放出剤は、ガス放出が湿分との接触によって開始される場合、室温(23℃)において1000ppm~4000ppmのClO2濃度を提供する。任意選択的に、ClO2濃度は、1000ppm~3500ppm、任意選択的に1000ppm~3000ppm、任意選択的に1000ppm~2500ppm、任意選択的に1000ppm~2000ppm、任意選択的に1000ppm~1500ppm、任意選択的に1500ppm~3500ppm、任意選択的に1500ppm~3000ppm、任意選択的に1500ppm~2500ppm、任意選択的に1500ppm~2000ppm、任意選択的に2000ppm~3500ppm、任意選択的に2000ppm~3000ppm、任意選択的に2000ppm~2500ppm、任意選択的に2500ppm~3500ppm、任意選択的に2500ppm~3000ppm、任意選択的に3000ppm~3500ppmである。
【0070】
本明細書で参照されるClO2濃度は、次のように測定された。スポンジ(1インチ×1インチ×1/2インチ)を2.1Lメイソンガラスジャーの底面に入れた。水(10mL)をスポンジに加えた。水はスポンジに完全に吸収され、そして目に見える遊離した水はなかった。スポンジとの物理的接触がない状態で、粉末形態のClO2放出剤の試料(2g)をガラスジャーの底面に入れた。ガラスジャーを密閉し、そして周囲の光から保護した。ヘッドスペース中のClO2濃度を監視した。戻す前に、アウトプットライン及びリターンラインを含むガス輸送ラインによって、ヘッドスペース中の空気の流れをポータブルClO2ガス分析計へと変えた。
【0071】
抗微生物性放出剤を含有する混和ポリマー
任意選択的に、抗微生物性放出剤は、少なくとも2相であり、且つ抗微生物性放出剤及びベースポリマーを含む混和ポリマーの成分である。好ましくは、混和ポリマーは、少なくとも3相であり、且つ抗微生物性放出剤、ベースポリマー及びチャネリング剤を含む。混和ポリマーの形態は限定されない。任意選択的に、そのような混和ポリマーは、例えば、膜、シート又はプラグの形態である。
【0072】
一般に、混合物中の活性剤の濃度が高いほど、最終組成物の吸収、吸着又は放出能力(場合により)はより高と考えられる。しかしながら、活性剤濃度が高すぎると、混和ポリマーはより脆性となる可能性があり、活性剤、ベースポリマー材料及びチャネリング剤の溶融混合物を熱的に形成、押出成形又は射出成形することがより困難となる可能性がある。
【0073】
一実施形態において、抗微生物性放出剤装填レベルは、混和ポリマーの全重量に対して、20重量%~80重量%、任意選択的に40重量%~70重量%、任意選択的に40重量%~60重量%、任意選択的に40重量%~50重量%、任意選択的に45重量%~65重量%、任意選択的に45重量%~60重量%、任意選択的に45重量%~55重量%、任意選択的に50重量%~70重量%、任意選択的に55重量%~65重量%の範囲である。本発明によると、本発明のClO2放出剤の任意選択的な装填レベルは、安全などの要因を考慮に入れて選択される。例えば、pH<2.5のシリカゲルと一緒に、ClO2放出剤の装填レベルが約50%より高い場合、使用温度において混和ポリマー成分は火炎危険となり得る。したがって、そのような実施形態に関して、ClO2放出剤の装填レベルは、20%~60%、任意選択的に20%~55%、任意選択的に20%~50%、任意選択的に30%~60%、任意選択的に30%~55%、任意選択的に30%~50%、任意選択的に40%~60%、任意選択的に40%~55%、任意選択的に40%~50%、任意選択的に45%~60%、任意選択的に50%~55%である。
【0074】
任意選択的に、ベースポリマーは、混和ポリマーの10重量%~70重量%、任意選択的に15重量%~60重量%、任意選択的に15重量%~50重量%、任意選択的に15重量%~40重量%、任意選択的に20重量%~60重量%、任意選択的に20重量%~50重量%、任意選択的に20重量%~40重量%、任意選択的に20重量%~35重量%、任意選択的に25重量%~60重量%、任意選択的に25重量%~50重量%、任意選択的に25重量%~40重量%、任意選択的に25重量%~30重量%、任意選択的に30重量%~60重量%、任意選択的に30重量%~50重量%、任意選択的に30重量%~45重量%、任意選択的に40重量%~60重量%、任意選択的に40重量%~50重量%の範囲である。
【0075】
ClO2放出剤は高温で分解するため、本発明での使用に特に適切なベースポリマーとしては、180℃以下の融解温度を有するそれらの熱可塑性エラストマー及び熱可塑性ポリマーが含まれる。例としては、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-メタクリレートコポリマー、ポリ(塩化ビニル)、ポリ乳酸を含むポリエステル、或いはそのコポリマー又は混合物が含まれる。
【0076】
任意選択的に、チャネリング剤は、混和ポリマーの全重量に対して、1重量%~25重量%、任意選択的に1重量%~20重量%、任意選択的に1重量%~15重量%、任意選択的に2重量%~15重量%、任意選択的に5重量%~20重量%、任意選択的に5重量%~15重量%、任意選択的に5重量%~10重量%、任意選択的に8重量%~15重量%、任意選択的に8重量%~10重量%、任意選択的に10重量%~20重量%、任意選択的に10重量%~15重量%又は任意選択的に10重量%~12重量%の範囲である。
【0077】
一実施形態において、混和ポリマーは、35重量%~60重量%の上記粉末混合物の形態の抗微生物性放出剤と、30重量%~50重量%のベースポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA))と、5重量%~12重量%のチャネリング剤(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))とを含む3相配合物である。ベースポリマー及びチャネリング剤は特に限定されない。
【0078】
本発明の任意選択的な態様による混和ポリマー10の製造方法は特に限定されない。例としては、ベースポリマー25及びチャネリング剤35をブレンドすることが含まれる。チャネリング剤35を添加する前又は後に、活性剤30をベースポリマー25にブレンドする。混和ポリマー10混合物中で3成分全てが均一に分布する。そのようにして調製された混和ポリマーは、少なくとも3相を含む。
【0079】
図1~6及び8は、本発明による混和ポリマー10及び混和ポリマーから形成された様々なパッケージングアセンブリを例示する。混和ポリマー10は、それぞれ、ベースポリマー材料25、チャネリング剤35及び活性剤30を含む。示される通り、チャネリング剤35は、混和ポリマー10を通して、相互連結チャネル45を形成する。活性剤30の少なくともいくつかがこれらのチャネル45内に含まれ、チャネル45は、混和ポリマー10の外側表面において形成されたチャネル開口48を介して、活性剤30と混和ポリマー10の外側とを連通する。活性剤30は、例えば、種々の吸収、吸着又は放出材料のいずれか1種であることが可能である。「活性剤」という用語は、文脈に従って、「抗微生物性放出剤」又は「ClO
2放出剤」として理解されてよい。チャネリング剤、例えば、35が好ましいが、開示された概念は、任意選択的にチャネリング剤を含まない混和ポリマーを概括的に含む。
【0080】
図1は、本発明の特定の実施形態による混和ポリマー20から構成されるプラグ55を示す。プラグ55は、容器の内部に配置され得る。上記の通り、混和ポリマー20は、ベースポリマー25、チャネリング剤35及び活性剤30を含む。
【0081】
図2は、
図1に示されるプラグ55の断面図を示す。加えて、
図2は、チャネリング剤35が相互連結チャネル45を形成し、固結したプラグ55を通して経路を確立するように、混和ポリマー20が固結されていることを示す。活性剤30の少なくともいくつかがチャネル45内に含まれ、チャネル45は、混和ポリマー25の外側表面において形成されたチャネル開口48を介して、活性剤30と混和ポリマー20の外側とを連通する。
【0082】
図3は、
図2のプラグ55に類似の構成を有するプラグ55の実施形態を例示する。
図3中、相互連結チャネル45は、
図2を示されたものと比較して、より微細である。これは、チャネリング剤35と一緒にダイマー剤(すなわち、可塑剤)を使用することから得ることが可能である。ダイマー剤は、ベースポリマー25とチャネリング剤35との間の適合性を強化し得る。このような強化された適合性は、標準的条件下で均一溶液中への組み込みに抵抗する可能性があるベースポリマー25及びチャネリング剤35のより徹底的なブレンドを促進し得る、ブレンドのより低い粘度によって促進される。ダイマー剤が添加されている混和ポリマー20の固結時に、それによってそこに形成された相互連結チャネル45は、より高い分散及びより小さい多孔率を有し、それによって、プラグ55を通しての相互連結チャネルのより高い密度が確立される。
【0083】
本明細書に開示されるものなどの相互連結チャネル45は、これらの材料の浸透に抵抗するバリアとして一般に作用するベースポリマー25を通して、湿分、ガス又は臭気などの所望の材料の伝達を促進する。この理由のため、ベースポリマー25自体は、活性剤30がその中に混和され得るバリア物質として作用する。チャネリング剤35から形成された相互連結チャネル45は、所望の材料が混和ポリマー10を通って移動するための経路を提供する。これらの相互連結チャネル45がない場合、比較的少量の所望の材料が活性剤30に、又は活性剤30からベースポリマー25を通して伝達されるであろうと考えられる。さらに、活性剤30から所望の材料が伝達される場合、それは、例えば、活性剤30が、抗微生物性ガス放出材料などの放出材料である実施形態において、活性剤30から放出され得る。
【0084】
図4は、活性剤30が吸収又は吸着材料である、開示された概念による混和ポリマー10の実施形態を例示する。矢印は、混和ポリマー10の外側から、チャネル45を通って、選択された材料を吸収又は吸着する活性剤30の粒子までの選択された材料、例えば、湿分又はガスの経路を示す。
【0085】
図5は、本発明の態様に従って、複合体を形成するようにバリアシート80と組み合わせて使用される混和ポリマー20から形成された活性シート又はフィルム75を例示する。活性シート又はフィルム75の特徴は、プラグ55に関して記載されるものと類似している。バリアシート80は、低湿分又は酸素透過性を有するホイル及び/又はポリマーなどの基材であり得る。バリアシート80は、混和ポリマー構造75との適合性があり、したがって、分散後に活性シート又はフィルム75が固結する場合、活性シート又はフィルム75に熱的に接着するように構成される。
【0086】
図6は、活性シート又は膜75とバリアシート80とを組み合わせて、活性シート又は膜75中の混和ポリマー10によって形成された内側表面における活性特徴と、バリアシート80によって形成された外側表面における蒸気抵抗特徴を有するパッケージングラップを形成する実施形態を例示する。本実施形態において、活性シート又は膜75はバリアシート80の一部を占有する。活性シート又は膜75の製造及びバリアシート80への疎の接着のための本発明による方法は特に制限される。
【0087】
一実施形態において、
図6に示される通り、
図5のシートが一緒になって、活性パッケージ85が形成される。示される通り、それぞれがバリアシート80と一緒になった活性シート又はフィルム75から形成される、2つの積層体又は複合体が提供される。パッケージの内側に配置されるように、それぞれの活性シート又はフィルム75を互いに対面させ、且つパッケージ内側の密封領域のほぼ周囲に形成される、密封領域90において一緒にさせて、シート積層体を積み重ねる。
【0088】
任意選択的に、上記実施形態のいずれにおいても、抗微生物性混和ポリマーは、密封食品パッケージ中に配置されたフィルムの形態である。任意選択的に、フィルムは、例えば、接着剤を使用して、パッケージの内部表面に接着されてもよい。代わりに、フィルムは、パッケージの内部表面に(接着剤を用いずに)ヒートステーク(heat stake)されていてもよい。フィルム基材にヒートステークするプロセスは当該技術において既知であり、且つ参照によって全体として本明細書に組み込まれる、米国特許第8,142,603号明細書に詳細に記載されている。
【0089】
代わりに、膜は、直接的なインライン溶融法によってパッケージの内部表面に堆積及び接着されてもよい。膜の径及び厚さは様々であることが可能である。特定の実施形態において、膜は約0.2mm又は0.3mmの厚さを有する。任意選択的に、膜は、0.1mm~1.0mm、より好ましくは0.2mm~0.6mmの範囲であってよい。
【0090】
任意選択的に、混和ポリマーフィルム114は、(例えば、
図8に関して記載及び示される側壁上で)パッケージにヒートステークされる。有利には、ヒートステークによって、接着剤を使用することなくフィルムを側壁に永久に接着することが可能となる。接着剤は、食品を含有するヘッドスペース中で望ましくない揮発性物質を放出し得るため、いくつかの場合は問題となり得る。本発明の任意選択的な実施形態に従って使用され得るヒートステークプロセスの態様は、上記で参照された、米国特許第8,142,603号明細書に開示されている。ヒートステークは、この場合、フィルム及び密封層基材上に十分な圧力を加えて、フィルムを容器の壁部又は別の基材に接着しながら、側壁上で密封層基材を加熱することを意味する。
【0091】
例えば、特定の実施形態において、抗微生物性混和ポリマーフィルム114は、側壁106上のフィルム部分114の代わりに、又はそれに加えて、容器の内側である施蓋フィルム112(又は蓋)の表面に連結していてもよい。代わりに、抗微生物性混和ポリマーフィルム114は、施蓋フィルム112(又は蓋)の組成物に組み込まれていてもよい。任意選択的に、施蓋膜自体が蓋バリア層及びその下の抗微生物性混和ポリマー膜層を含んでもよい。任意選択的に、蓋又は施蓋膜が基材であるいずれの実施形態においても、混和ポリマー膜を蓋又は施蓋膜に接着するために、混和ポリマー膜がその上にヒートステークされてもよい。
【0092】
膜114の配置に加えて、別の重要な要因は、放出された抗微生物性材料の放出プロフィールである。上記の通り、適切な貯蔵寿命を保証するために、薬剤の放出は、好ましくは望ましい速度に制御される。例えば、いくつかの実施形態において、放出は全て即座に起こるべきではなく;むしろ、放出は、より好ましくは、望ましい貯蔵寿命を達成するために延長され、維持され、そして前もって決定されていてもよい。しかしながら、いくつかの用途においては、ヘッドスペース中への二酸化塩素のより短期であるが、より強力な「急速バースト(quick burst)」望ましくなり得る。
【0093】
一般に、抗微生物性放出剤が混和されたポリマーは、自己活性化する。これは、放出された抗微生物性ガスの放出は、抗微生物性放出剤が選択された材料、例えば、湿分に暴露されるまで開始されないことを意味する。典型的に、湿分は、食品が容器の内部に配置される前には容器の内部、例えば、ヘッドスペースに存在しない。配置によって、食品が湿分を生じ、それが、ポリマー中に混和された抗微生物性放出剤と相互作用し、ヘッドスペース中で抗微生物性放出剤が生じる。一実施形態において、容器は、湿分を発散する食料品によって生じた容器中の湿分を捕捉するように、湿分が漏出しない様式で密封される。
【0094】
特定の実施形態において、徐放及び/又は所望の放出プロフィールは、例えば、スプレーコーターを使用して、所望のタイムフレームにおいて放出された抗微生物剤を放出するように構成されるコーティングを活性剤に適用することによって達成することが可能である。抗微生物性放出剤は、種々の放出効果を達成するように、その上に適用された種々のコーティングを有し得る。例えば、14日間の貯蔵寿命が所望である場合、パッケージの前もって決定された相対湿度に基づいて、抗微生物性放出剤を誘引するために存在する選択された材料(湿分)の量が決定され得る。この決定に基づき、薬剤は、所望の放出プロフィールを達成するために、様々な厚さ及び/又は特性の延長放出コーティングによってコーティングされてもよい。例えば、いくつかの活性剤は、それが1週間後まで放出された抗微生物性材料を放出し始めないが、他の活性剤はほぼ即座に放出し始めるようにコーティングされるであろう。スプレーコーティング技術は当該技術において既知である。例えば、製薬ビーズなどは、有効成分の放出速度を制御するため、例えば、延長放出又は徐放性の薬剤を製造するためにスプレーコーティングされる。任意選択的に、そのような技術は、抗微生物性ガスの放出の所望の制御された速度を達成するためにコーティングを活性剤に適用するように適応され得る。
【0095】
代わりに、徐放及び/又は所望の放出プロフィールは、(次に放出された抗微生物性材料の放出を誘引する)混和ポリマー中の湿分取り込みを制御するように構成された材料の層を、任意選択的にフィルムの両側面上に提供することによって達成され得る。例えば、フィルムは、例えば、そのいずれかの片面又は両面上に配置された低密度ポリエチレン(LDPE)から製造されたポリマーライナーを含み得る。フィルム及びライナーの厚さは変動可能である。特定の実施形態において、フィルムは、厚さ約0.3mmであり、且ついずれか片面上のLDPEライナーは、厚さ約0.02mm~0.04mmである。LDPEライナーは、フィルムと共押出されてもよく、又はその上に積層されてもよい。
【0096】
代わりに、徐放及び/又は所望の放出プロフィールは、抗微生物性放出剤の誘引剤の配合物を変性することによって達成され得る。例えば、誘引剤は、湿分との接触時に液化し、次いで、活性成分(例えば、亜塩素酸ナトリウム)と反応して、抗微生物性ガスの放出が引き起こされる。誘引剤は、種々の速度で湿分との接触時に液化するように配合され得る。誘引剤の液化が迅速であるほど、抗微生物性ガスの放出も迅速であり、そして逆もまた同様である。このようにして、誘引剤の変性は、抗微生物性ガスの所望の放出速度を提供するさらに別のベヒクルである。
【0097】
上記機構のいずれの組合せも、容器ヘッドスペース中で抗微生物性ガスの所望の放出速度及び放出プロフィールを達成するために利用され得る。
【0098】
任意選択的な実施形態において、本発明の抗微生物性混和ポリマーから調製される膜は、グラム当たり基準で、ガス放出が標準条件下、湿分との接触によって開始される場合、室温(23℃)において150ppm~2000ppmのClO2濃度を提供する(実施例を参照のこと)。任意選択的に、ClO2濃度は、150ppm~1800ppm、任意選択的に150ppm~1600ppm、任意選択的に150ppm~1200ppm、任意選択的に150ppm~1000ppm、任意選択的に150ppm~800ppm、任意選択的に150ppm~600ppm、任意選択的に150ppm~400ppm、任意選択的に150ppm~250ppm、任意選択的に400ppm~1800ppm、任意選択的に400ppm~1600ppm、任意選択的に400ppm~1200ppm、任意選択的に400ppm~1000ppm、任意選択的に400ppm~800ppm、任意選択的に400ppm~600ppm、任意選択的に600ppm~1800ppm、任意選択的に600ppm~1600ppm、任意選択的に600ppm~1200ppm、任意選択的に600ppm~1000ppm、任意選択的に600ppm~800ppm、任意選択的に800ppm~1800ppm、任意選択的に800ppm~1600ppm、任意選択的に800ppm~1200ppm、任意選択的に800ppm~1000ppm、任意選択的に1000ppm~1800ppm、任意選択的に1000ppm~1600ppm、任意選択的に100ppm~1200ppm、任意選択的に1200ppm~1800ppm、任意選択的に1200ppm~1600ppm、任意選択的に1600ppm~1800ppmである。
【0099】
本明細書で参照されるClO2濃度は、次のように測定される。2.1Lメイソンガラスジャーの底面にスポンジ(1インチ×1インチ×1/2インチ)を入れた。水(10mL)をスポンジに加えた。水はスポンジに完全に吸収され、そして目に見える遊離した水はなかった。スポンジとの物理的接触がない状態で、膜片(2g、1.7インチ×1インチ、厚さ0.3mm)をガラスジャーの底面に入れた。ガラスジャーを密閉し、そして周囲の光から保護した。ヘッドスペース中のClO2濃度を監視した。戻る前に、アウトプットライン及びリターンラインを含むガス輸送ラインによって、ヘッドスペース中の空気の流れをポータブルClO2ガス分析計へと変えた。
【0100】
本発明による例示的な容器又はパッケージ
本発明の抗微生物性放出剤を含有する混和ポリマーは、任意選択的に食品パッケージ中で利用されてもよい。混和ポリマーの有効性は、パッケージに貯蔵された食品との直接的な接触に依存せず、むしろ食品に抗微生物性効果を提供するためのパッケージヘッドスペース中への二酸化塩素の放出に依存する。混和ポリマーは、従来の方法でいずれの容器又はパッケージにも付着、接着又は他の様式で含まれてよい。この容器又はパッケージは、食品輸送、保存及び貯蔵のために商業的に使用される。この容器又はパッケージの形状又は幾何構造は限定されない。
【0101】
図8は、本発明の特定の実施形態による生鮮食品、例えば、製品又は肉を貯蔵するための任意選択的なパッケージ100を示す。パッケージ100はプラスチックトレー102の形態で示されるが、他の形態及び材料も本発明の範囲内にあるものとして考えられる。トレー102は、基部104と、基部104からトレー開口部108まで垂直に延在する側壁106とを含む。基部104及び側壁106はともに、例えば、生鮮食品を保持及び貯蔵するための内部110を画定する。パッケージ100は、任意選択的に開口部108上に配置され、且つ密閉する軟質プラスチック施蓋膜112を含む。開口部108を閉鎖及び密閉するために多種多様なカバー又は蓋が使用されてよいことが考えられ、且つ理解される。任意選択的に、カバー又は蓋は、内部を見ることができるように透明である。製品(例えば薄切りトマト)が内部110に貯蔵される場合、製品の周囲及び上部の空間は、本明細書中、「ヘッドスペース」と記載される(示されていない)。
【0102】
パッケージ100は、側壁106上に配置された抗微生物性混和ポリマー膜114の部分をさらに含む。示された実施形態において、そのような膜114の4つの部分があり、側壁106あたり1つの膜114の部分がある。膜114は、好ましくは、開口部108の近位で、側壁106の上部又はその付近に配置される。少なくとも一部分においてであるが、好ましくはそれぞれの膜部分114のほとんど又は全てが側壁106の正中線116より上に突出する。正中線116は、基部104及び開口部108の間の中央に位置する。パッケージ100の上部又はそれに向かう膜配置は、パッケージ100のヘッドスペース中への放出された抗微生物性材料の所望の分布を促進するため、膜部分114の有効性に対する効果を有することが見出された。パッケージ中で混和ポリマーを基部104上の高さの非常に低い位置、又は食品の下に配置する場合は、ヘッドスペース中の放出された抗微生物性材料の所望の分布が提供されないことがわかった。抗微生物剤の質量輸送が最適でない場合、食品/商品のいくつかは、微生物の増殖に対して十分に保護されないであろう。さらに、食品は、望ましくないことに、放出された抗微生物性材料と反応し、且つ/又は吸収し得る。側壁の正中線より上、好ましくは側壁の少なくとも67%又は75%又は約80%の高さに膜を配置することにより、所望の微生物性ガス放出プロフィール及びヘッドスペース濃度の達成が促進されることが見出された。
【0103】
任意選択的に、混和ポリマー膜114は、(例えば、
図8に関して記載及び示される側壁上で)パッケージにヒートステークされる。有利には、ヒートステークによって、接着剤を使用することなく膜を側壁に永久に接着することが可能となる。接着剤は、食品を含有するヘッドスペース中で望ましくない揮発性物質を放出し得るため、いくつかの場合は問題となり得る。本発明の任意選択的な実施形態に従って使用され得るヒートステークプロセスの態様は、上記で参照された、米国特許第8,142,603号明細書に開示されている。ヒートステークは、この場合、膜及び密封層基材上に十分な圧力を加えて、膜を容器の壁部に接着しながら、側壁上で密封層基材を加熱することを意味する。任意選択的に、混和ポリマー膜114は、直接的なインライン溶着法によってパッケージに配置及び接着される。
【0104】
特定の実施形態において、抗微生物性混和ポリマー膜114は、側壁106上の膜部分114の代わりに、又はそれに加えて、容器の内側である施蓋膜112(又は蓋)の表面に連結していてもよい。代わりに、抗微生物性混和ポリマー膜114は、施蓋膜112(又は蓋)の組成物に組み込まれていてもよい。
【0105】
上記機構のいずれの組合せも、容器ヘッドスペース中で抗微生物性ガスの所望の放出速度及び放出プロフィールを達成するために利用されてよい。
【0106】
例示的な実施形態
次の例示的な実施形態は、本発明の任意選択的な態様をさらに説明し、且つ本明細書の一部である。これらの例示的な実施形態は、技術的に本出願の請求項ではないが、請求項と実質的に類似する形式で(それぞれ数字記号と、それに続く文字記号を有する)明示される。次の例示的な実施形態は、「請求項」の代わりに「実施形態」として従属関係で互いに参照される。
【0107】
1A.3.5未満のpHを有するキャリア材料と、金属亜塩素酸塩である活性化合物と、吸湿性化合物を含む誘因剤とを含む抗微生物性放出剤。
【0108】
2A.キャリア材料が酸性化乾燥固体材料である、実施形態1Aの抗微生物性放出剤。
【0109】
3A.キャリア材料が1つ以上の酸で処理されている、実施形態1A又は2Aの抗微生物性放出剤。
【0110】
4A.キャリア材料が酸性化乾燥固体無機材料である、実施形態1A~3Aのいずれかの抗微生物性放出剤。
【0111】
5A.キャリア材料が酸性化親水性材料である、実施形態1A~4Aのいずれかの抗微生物性放出剤。
【0112】
6A.pHが、0.5~3.0、任意選択的に1.0~3.0、任意選択的に約1.0~2.0、任意選択的に1.5~1.8、任意選択的に1.0~1.5である、実施形態1A~5Aのいずれかの抗微生物性放出剤。
【0113】
7A.キャリア材料が酸性化シリカゲルである、実施形態1A~6Aのいずれかの抗微生物性放出剤。
【0114】
8A.活性化合物が金属亜塩素酸塩である、実施形態1A~7Aのいずれかの抗微生物性放出剤。
【0115】
9A.金属亜塩素酸塩が、アルカリ金属亜塩素酸塩、アルカリ土類金属亜塩素酸塩又は遷移金属亜塩素酸塩である、実施形態8Aの抗微生物性放出剤。
【0116】
10A.金属亜塩素酸塩が、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸カルシウム及び亜塩素酸マグネシウムの少なくとも1つである、実施形態8Aの抗微生物性放出剤。
【0117】
11A.金属亜塩素酸塩が、亜塩素酸ナトリウムである、実施形態9A又は10Aの抗微生物性放出剤。
【0118】
12A.誘因剤が、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、硝酸マグネシウム、硫酸銅、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、五酸化リン及び臭化リチウムの少なくとも1つを含む、実施形態1A~11Aのいずれかの抗微生物性放出剤。
【0119】
13A.誘因剤が塩化カルシウムを含む、実施形態1A~12Aのいずれかの抗微生物性放出剤。
【0120】
14A.キャリア材料が、抗微生物性放出剤の全重量に対して、50~90重量%、任意選択的に60~90重量%、任意選択的に60~80重量%、任意選択的に60~70重量%、任意選択的に70~90重量%、任意選択的に70~80重量%である、実施形態1A~13Aのいずれかの抗微生物性放出剤。
【0121】
15A.金属亜塩素酸塩が、抗微生物性放出剤の全重量に対して、5~30重量%、任意選択的に7~25重量%、任意選択的に9~20重量%、任意選択的に11~20重量%である、実施形態1A~14Aのいずれかの抗微生物性放出剤。
【0122】
16A.誘因剤が、抗微生物性放出剤の全重量に対して、2~20重量%、任意選択的に5~18重量%、任意選択的に8~15重量%、任意選択的に約10重量%である、実施形態1A~15Aのいずれかの抗微生物性放出剤。
【0123】
1B.(i)キャリア材料を提供するステップと;(ii)キャリア材料を誘因剤及び活性化合物と混合し、抗微生物性放出剤を生成するステップとを含む抗微生物性放出剤の調製方法であって、抗微生物性放出剤が、(a)キャリア材料と、(b)活性化合物と、(c)誘因剤とを含み、さらにキャリア材料が3.5未満のpHを有する、方法。
【0124】
2B.キャリア材料が、親水性材料を鉱酸で処理し、続いて乾燥することによって提供され、任意選択的に鉱酸が硫酸、塩酸又は硝酸である、実施形態1Bの方法。
【0125】
3B.キャリア材料が酸性化シリカゲルである、実施形態1B又は2Bの方法。
【0126】
4B.活性化合物が、アルカリ金属亜塩素酸塩、アルカリ土類金属亜塩素酸塩又は遷移金属亜塩素酸塩を含む、実施形態1B~3Bのいずれかの方法。
【0127】
5B.誘因剤が吸湿性化合物を含む、実施形態1B~4Bのいずれかの方法。
【0128】
1C.(i)ベースポリマーと;(ii)抗微生物性放出剤と;(iii)任意選択的にチャネリング剤とを含む混和ポリマーであって、抗微生物性放出剤が、(a)キャリア材料と、(b)活性化合物と、(c)誘因剤とを含み、さらにキャリア材料が3.5未満のpHを有し;任意選択的に、活性化合物が、アルカリ金属亜塩素酸塩、アルカリ土類金属亜塩素酸塩又は遷移金属亜塩素酸塩を含み、且つ任意選択的に、誘因剤が吸湿性化合物を含む、混和ポリマー。
【0129】
2C.ベースポリマーが、混和ポリマーの10重量%~70重量%、任意選択的に15重量%~60重量%、任意選択的に15重量%~50重量%、任意選択的に15重量%~40重量%、任意選択的に20重量%~60重量%、任意選択的に20重量%~50重量%、任意選択的に20重量%~40重量%、任意選択的に20重量%~35重量%、任意選択的に25重量%~60重量%、任意選択的に25重量%~50重量%、任意選択的に25重量%~40重量%、任意選択的に25重量%~30重量%、任意選択的に30重量%~60重量%、任意選択的に30重量%~50重量%、任意選択的に30重量%~45重量%、任意選択的に40重量%~60重量%、任意選択的に40重量%~50重量%の範囲である、実施形態1Cの混和ポリマー。
【0130】
3C.抗微生物性放出剤が、混和ポリマーの全重量に対して20重量%~80重量%、任意選択的に40重量%~70重量%、任意選択的に40重量%~60重量%、任意選択的に40重量%~50重量%、任意選択的に45重量%~65重量%、任意選択的に45重量%~60重量%、任意選択的に45重量%~55重量%、任意選択的に50重量%~70重量%、任意選択的に55重量%~65重量%の範囲である、実施形態1C又は2Cの混和ポリマー。
【0131】
4C.チャネリング剤が、混和ポリマーの全重量に対して2重量%~25重量%、任意選択的に2重量%~20重量%、任意選択的に2重量%~15重量%、任意選択的に5重量%~15重量%、任意選択的に5重量%~10重量%、任意選択的に8重量%~15重量%、任意選択的に8重量%~10重量%、任意選択的に10重量%~20重量%、任意選択的に10重量%~15重量%、又は任意選択的に10重量%~12重量%の範囲である、実施形態1C~3Cのいずれかの混和ポリマー。
【0132】
1D.抗微生物性放出剤を含む混和ポリマー材料であって、抗微生物性放出剤が、(a)キャリア材料と、(b)活性化合物と、(c)誘因剤とを含み、キャリア材料が3.5未満のpHを有し;任意選択的に、活性化合物が、アルカリ金属亜塩素酸塩、アルカリ土類金属亜塩素酸塩又は遷移金属亜塩素酸塩を含み、且つ任意選択的に、誘因剤が吸湿性化合物を含む、混和ポリマー材料。
【0133】
1E.混和ポリマーを含む混和ポリマー材料であって、混和ポリマーが、(i)ベースポリマーと;(ii)抗微生物性放出剤と;(iii)任意選択的にチャネリング剤とを含み、抗微生物性放出剤が、(a)キャリア材料と、(b)活性化合物と、(c)誘因剤とを含み、さらにキャリア材料が3.5未満のpHを有し;任意選択的に、活性化合物が、アルカリ金属亜塩素酸塩、アルカリ土類金属亜塩素酸塩又は遷移金属亜塩素酸塩を含み、且つ任意選択的に、誘因剤が吸湿性化合物を含む、混和ポリマー材料。
【0134】
1F.10mLの水に浸漬されたスポンジを含有する2.1Lジャー中の2gの混和ポリマー材料を用いて濃度を測定する場合、抗微生物性放出剤が、混和ポリマー材料1グラムあたり150ppm~1800ppm、任意選択的に400ppm~1600ppm,任意選択的に600ppm~1200ppm,任意選択的に800ppm~1000ppmの濃度でClO2を放出する、実施形態1D又は1Eの混和ポリマー材料。
【0135】
1G.微生物の増殖を抑制若しくは予防するため、及び/又は微生物を死滅させるための容器であって、容器が抗微生物性放出剤を含み、抗微生物性放出剤が、(a)キャリア材料と、(b)活性化合物と、(c)誘因剤とを含み、キャリア材料が3.5未満のpHを有し;任意選択的に、活性化合物が、アルカリ金属亜塩素酸塩、アルカリ土類金属亜塩素酸塩又は遷移金属亜塩素酸塩を含み、且つ任意選択的に、誘因剤が吸湿性化合物を含む、容器。
【0136】
1H.微生物の増殖を抑制若しくは予防するため、及び/又は微生物を死滅させるための容器であって、容器が、(i)ベースポリマーと;(ii)抗微生物性放出剤と;(iii)任意選択的にチャネリング剤とを含む混和ポリマー材料を含み、抗微生物性放出剤が、(a)キャリア材料と、(b)活性化合物と、(c)誘因剤とを含み、さらにキャリア材料が3.5未満のpHを有し;任意選択的に、活性化合物が、アルカリ金属亜塩素酸塩、アルカリ土類金属亜塩素酸塩又は遷移金属亜塩素酸塩を含み、且つ任意選択的に、誘因剤が吸湿性化合物を含む、容器。
【0137】
1I.食品を貯蔵及び保存するための実施形態1G又は実施形態1Hの容器の使用。
【0138】
以下の実施例を参照して、本発明をより詳細に説明するが、本発明がそれらに限定されるようにみなされないことは理解されるべきである。
【実施例】
【0139】
実施例1-ClO2放出剤
0.6N硫酸溶液(約20L)をシリカゲル(25ポンド)にゆっくり添加し、スラリーを形成した。スラリーを完全に混合し、オーブン乾燥させ、そして室温まで冷却した。酸性化シリカゲルの試料2gを10mLの水中に懸濁させた。水相のpHは約1.4~1.6であった。
【0140】
乾燥亜塩素酸ナトリウム粉末(約3.2ポンド)を添加する前に、酸性化シリカゲルの一部(約20ポンド)を乾燥塩化カルシウム粉末(約2.5ポンド)と完全に混合させた。混合物を再び完全に混合し、そして窒素パージした。そのようにして調製されたClO2放出剤を窒素下で密閉、貯蔵した。
【0141】
以下の表1にClO2放出剤試料を示す。
【0142】
【0143】
異なる酸性度の他の酸性化シリカゲルを同様に調製し、そして対応するClO2放出剤に組み込んだ。
【0144】
そのようして調製されたClO2放出剤をClO2放出のために誘発させた。2.1Lメイソンガラスジャーの底面にスポンジ(1インチ×1インチ×1/2インチ)を入れた。水(10mL)をスポンジに添加し、水はスポンジに完全に吸収され、そして目に見える遊離した水はなかった。スポンジとの物理的接触がない状態で、ClO2放出剤の試料(2g)をガラスジャーの底面に入れた。ガラスジャーを密閉し、そして周囲の光から保護した。ClO2濃度は、典型的に室温(23℃)において2~4時間でピークに達した。
【0145】
異なる酸性度レベルのシリカゲルを用いて調製されたClO
2放出剤のClO
2放出を表2に要約し、そして
図7でグラフ化する。シリカゲルキャリアの酸性度が増加するほど、ピーク放出ClO
2濃度は増加する。
【0146】
【0147】
実施例2-抗微生物性放出剤を含有する混和ポリマー
以下の表3に従って、上記抗微生物性放出剤、ベースポリマー及びチャネリング剤を含有する混和ポリマーを使用して膜を押出成形した。押出形成された膜の典型的な厚さは0.2mm又は0.3mmである。
【0148】
【0149】
2.1Lメイソンガラスジャーの底面にスポンジ(1インチ×1インチ×1/2インチ)を入れた。水(10mL)をスポンジに添加し、水はスポンジに完全に吸収され、そして目に見える遊離した水はなかった。スポンジとの物理的接触がない状態で、膜片(2g、約1.7インチ×1インチ、厚さ0.3mm)をガラスジャーの底面に入れた。ガラスジャーを密閉し、そして周囲の光から保護した。
【0150】
ガラス製メイソンジャーの蓋の2つの穴に、アウトプットライン及びリターンラインを含むガス輸送ラインを設置した。戻される前に、ジャーのヘッドスペース中の空気の流れをATI C16ポータブルClO2ガス分析計(Analytical Technology Inc.,Collegeville,PA)へと変えた。典型的に、ClO2濃度は約2~5時間でピークに達する。本明細書で参照されるClO2濃度は次のように測定される。2.1Lメイソンガラスジャーの底面にスポンジ(1インチ×1インチ×1/2インチ)を入れた。水(10mL)をスポンジ添加した。水はスポンジに完全に吸収され、そして目に見える遊離した水はなかった。スポンジとの物理的接触がない状態で、膜片(2g、1.7インチ×1インチ)をガラスジャーの底面に入れた。ガラスジャーを密閉し、そして周囲の光から保護した。ヘッドスペース中のClO2濃度を監視した。
【0151】
混和ポリマーの性能は、放出されたClO2のピーク濃度によって特徴づけられてもよい。以下の表(表4)は、バッチIDによって識別された、本発明によるClO2放出剤を含む例示的ないくつかの膜のピーク濃度を説明する。二酸化塩素ガス濃度は、典型的に、室温(23℃)においては約2~5時間後、そして4℃においては約22時間後にそのピークに達する。「Cloxout」粉末及び表4で識別される対応する膜は、本発明の任意選択的な態様による酸性化シリカゲルによる混和ポリマー膜を意味する。Aseptrol粉末及び対応する膜の単一の項目が参照のために提供される。
【0152】
【0153】
実施例3-参照と比較される混和ポリマー
表3からの膜1を一例として使用して、本発明の混和ポリマーのClO2放出プロフィールを、国際公開第2005/041660号パンフレットで報告される参照の膜に対して比較する。参照の膜配合物及び調製方法は以下の表5に明らかにされる。
【0154】
【0155】
参照1及び2のClO
2放出特性は、実施例1及び2において上記された測定方法を使用して評価された。(膜のグラムあたりのppmに正規化された)放出されたClO
2ヘッドスペース濃度を表6に示し、そして本発明の任意選択的な態様の膜1からのものと一緒に
図9にプロットされる。
【0156】
【0157】
グラムあたりの基準で、本発明の膜1の任意選択的な実施形態は、ピーク濃度において4倍以上のClO2を放出して、そして長期間、そのClO2濃度を維持する。
【0158】
国際公開第2005/041660号パンフレットの溶液キャスト膜に対して、本発明の混和ポリマーのClO2放出プロフィールを比較しようとする努力において、出願人は、本発明の酸性化シリカゲルClO2放出剤を組み込むことによって、国際公開第2005/041660号パンフレットに報告されるような溶液キャスト膜を調製することを試みた。しかしながら、Evaloyポリマーは、酸性化シリカゲルのClO2放出剤の存在下で有意に分解し、したがって、比較は実施できなかった。
【0159】
本発明が詳細に、且つ特定の実施例を参考にして説明されているが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を実行可能であることは当業者に明白であろう。