(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】撮像素子及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/70 20230101AFI20240603BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240603BHJP
H04N 25/76 20230101ALI20240603BHJP
【FI】
H04N25/70
H01L27/146 D
H01L27/146 F
H04N25/76
(21)【出願番号】P 2022137140
(22)【出願日】2022-08-30
(62)【分割の表示】P 2021107806の分割
【原出願日】2012-07-18
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2011169291
(32)【優先日】2011-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】岸 隆史
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0157445(US,A1)
【文献】特開2012-104684(JP,A)
【文献】特開2008-235478(JP,A)
【文献】特開2010-225927(JP,A)
【文献】国際公開第2011/083722(WO,A1)
【文献】特開2008-048313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30- 5/33
H04N 9/01- 9/11
H04N 23/10-23/30
H04N 25/00-25/79
H01L 27/14-27/148
H01L 29/76
H10K 39/32-39/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに積層された第1の半導体基板および第2の半導体基板と、
複数の画素が行列状に配列された画素部と、
前記複数の画素から信号が出力される複数の列信号線と、
少なくともAD変換器を備えた複数の列回路と、
前記複数の列回路により所定の処理を施された信号を出力する出力回路と、
を有する撮像素子であって、
前記撮像素子を光入射面側から見た場合に、前記複数の列回路が前記画素部と重なるように、前記画素部および前記複数の列信号線が前記第1の半導体基板の領域に形成されるとともに前記複数の列回路が前記第2の半導体基板の領域に形成され、
前記
第1の半導体基板の領域に形成された前記複数の列信号線は略等間隔で互いに平行に配置され、
前記第1の半導体基板の領域に形成された第1の列信号線と前記第2の半導体基板の領域に形成された第1の列回路とを電気的に接続する第1の接続ポイントと、前記第1の半導体基板の領域に形成された第2の列信号線と前記第2の半導体基板の領域に形成された第2の列回路とを電気的に接続する第2の接続ポイントと、前記第1の半導体基板の領域に形成された第3の列信号線と前記第2の半導体基板の領域に形成された第3の列回路とを電気的に接続する第3の接続ポイントと、前記第1の半導体基板の領域に形成された第4の列信号線と前記第2の半導体基板の領域に形成された第4の列回路とを電気的に接続する第4の接続ポイントが、列に沿う方向において異なる位置に設けられ
、
前記第1乃至第4の接続ポイントが前記第1乃至第4の列回路の各々における前記出力回路への出力端と異なる側であって、前記第1乃至第4の列回路と重ならない位置に設けられていることを特徴とする撮像素子。
【請求項2】
前記複数の列回路が、列に沿う方向において、均等に配置されていることを特徴とする請求項1記載の撮像素子。
【請求項3】
前記複数の列回路が、列に沿う方向において、少なくとも隣接する2列で異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の撮像素子。
【請求項4】
さらに、前記第2の半導体基板の領域には所定の画像処理を施すデジタル回路が配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記画素部を駆動する駆動回
路をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項6】
前記駆動回路の少なくとも一部が前記第1の半導体基板の領域に形成されていることを特徴とする請求項5記載の撮像素子。
【請求項7】
前記画素部の前記複数の画素の各々は、光電変換により電荷を発生する光電変換素子と、前記光電変換素子で発生した電荷を一時的に蓄えるフローティングディフュージョン部と、前記フローティングディフュージョン部の電位に応じた信号を出力する増幅部とを備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項8】
前記画素部の各々は、さらに、前記光電変換素子から前記フローティングディフュージョン部に電荷を転送する転送部と、前記フローティングディフュージョン部をリセットするリセット部とを備えることを特徴とする請求項7記載の撮像素子。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の撮像素子と、
前記撮像素子から出力された信号を記録媒体に記録する記録部と、
前記撮像素子から出力された信号に基づく画像を表示する表示部と、
前記撮像素子、前記記録部、前記表示部を含む装置全体を制御するコントローラと、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
被写体の光学像を前記撮像素子に結像させるレンズ部と、
前記レンズ部を駆動制御するレンズ駆動部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CMOSAPS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Active Pixel Sensor)を撮像素子として使用し、撮影した画像を記録するデジタルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像装置が開発されている。撮像素子は画素部と周辺回路部を有する。周辺回路部では画素からの信号を読み出し、画像信号として外部に出力する。画素部はフォトダイオードで光電変換を行い、光電変換により得られた信号は、画素部に形成された画素回路で周辺回路部に読み出される。
【0003】
近年は、画素の微細化に伴い、画素内は出来るだけ回路を少なくし、フォトダイオードの面積を増やして、撮像素子の性能を確保している。また、機能向上にともない、周辺回路部の面積も大きくなってきている。そこで、画素部と周辺回路部を別のチップに形成する技術の開発が行われている。例えば、特許文献1においては、画素はフォトダイオードと一部のスイッチのみにして、他のスイッチを別チップに構成する手法をとっている。
【0004】
図27は、従来の撮像素子の概略構成を説明するための図である。
【0005】
撮像素子は、画素部101’、画素部101’における行を選択する垂直選択回路102’、画素部101’中の画素のうち垂直選択回路102’によって選択される行の画素の信号に所定の処理を施す列回路103’を有する。さらに、撮像素子は、列回路103’で処理された信号を列毎に保持する列メモリ104’、列メモリ104’で保持された信号の列を選択する水平選択回路105’、水平選択回路105’で選択された列の信号を出力回路107’に読み出す出力信号線106’を有する。なお、撮像素子は、図示された構成要素以外にも、例えば、垂直選択回路102’、水平選択回路105’、列回路103’等にタイミング信号を提供するタイミングジェネレータ、制御回路等を有する。
【0006】
垂直選択回路102’は、画素部101’の複数の行を順に選択し、列回路103’を介して、選択した信号を列メモリ104’に出力する。水平選択回路105’は、列メモリ104’に保持された信号を順に選択し、出力信号線106’を介して出力回路107’に出力する。画素部101’は、2次元の画像を提供するために、複数の画素を2次元アレイ状に配列して構成される。これらの回路は、1つの半導体基板上に形成され、半導体プロセスの微細化とともに、画素間隔の縮小化や周辺回路の面積縮小化が行われている。
【0007】
図28は、従来の撮像素子における1画素の構成及びその画素から信号を読み出す回路の構成を示す図である。
【0008】
図28に示すように、2次元の画像を提供する画素アレイは、複数の画素を2次元アレイ状に配列して構成される。各画素201’は、フォトダイオード(以下「PD」とも記す)202’、転送スイッチ203’、フローティングディフュージョン部(以下「FD」とも記す)204’、リセットスイッチ207’、増幅MOSアンプ205’、選択スイッチ206’を含むように構成される。
【0009】
PD202’は、光学系を通して入射する光を光電変換して電荷を発生する光電変換素子として機能する。PD202’のアノードは接地ラインに接続され、カソードは転送スイッチ203’のソースに接続される。転送スイッチ203’は、そのゲート端子に入力される転送パルスφTXによって駆動され、PD202’で発生した電荷をFD204’に転送する。FD204’は、電荷を一時的に蓄積するとともに蓄積した電荷を電圧信号に変換する電荷電圧変換部として機能する。
【0010】
増幅MOSアンプ205’は、ソースフォロアとして機能し、そのゲートにはFD204’で電荷電圧変換された信号が入力される。また、増幅MOSアンプ205’は、そのドレインが第1電位を供給する第1電源線VDD1に接続され、そのソースが選択スイッチ206’に接続されている。選択スイッチ206’は、そのゲートに入力される垂直選択パルスφSELによって駆動され、そのドレインが増幅MOSアンプ205’に接続され、そのソースが垂直信号線(列信号線)208’に接続されている。垂直選択パルスφSELがアクティブレベル(ハイレベル)になると、画素アレイの該当する行に属する画素の選択スイッチ206’が導通状態になり、増幅MOSアンプ205のソースが垂直信号線208’に接続される。
【0011】
リセットスイッチ207’は、そのドレインが第2電位(リセット電位)を供給する第2電源線VDD2に接続され、そのソースがFD204’に接続されている。さらに、リセットスイッチ207’は、そのゲートに入力されるリセットパルスφRESによって駆動され、FD204’に蓄積されている電荷を除去する。
【0012】
FD204’及び増幅MOSアンプ205’のほか、垂直信号線208’に定電流を供給する定電流源209’によってフローティングディフュージョンアンプが構成される。選択スイッチ206’で選択された行を構成する各画素において、PD202’からFD204’に転送される電荷がFD204’で電圧信号に変換されて、フローティングディフュージョンアンプを通じて列毎に設けられた垂直信号線(列信号線)208’に出力される。
【0013】
垂直信号線(列信号線)208’の各々に接続された列回路103’は、CDS(相関2重サンプリング)回路及びゲインアンプなどで構成される。また、列回路103’は、列毎に同様の構成の回路で形成される。列回路103’で処理された信号は、各々対応する列メモリ104’に保持される。列メモリ104’で保持された信号は、出力信号線106’を介して出力回路107’に転送される。出力回路107’は、入力された信号に対して増幅やインピーダンス変換などを行い、撮像素子の外に信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところが特許文献1においては、画素の中でも信号量が微弱なフローティングディフュージョン(FD)で、チップ間の接続を行うため、FDの製造上のばらつきが、FDの容量値ばらつきとなる。その結果、PRNU(明時反応不均一性:Photo Response Non-Uniformity)やDSNU(暗時出力不均一性:Dark Signal Non-uniformity)の原因となってしまう。また、特許文献1には、読み出し回路の配置が記載されていないが、画素部と周辺回路部を別チップにしているので、従来に対し、効率的に読み出し回路を配置することが望まれる。また、最近では、列回路に列毎のAD変換器を導入するなど、周辺回路に複数の機能を実現する回路を導入するが故に、周辺回路のチップ面積が増大している。その結果周辺回路で発生する熱が、画素のPD202’に暗電流を発生させるだけでなく、周辺回路の配置に偏りがある場合には、暗電流が画面対応領域内で不均一になってしまうという課題が発生する。
【0016】
本発明の目的は、画素部の性能を損なわず、かつ周辺回路のチップ面積増大を抑制してコストの増大を抑制できる撮像素子及び撮像装置を提供することにある。
【0017】
また、本発明の目的は、さらに、画素部と周辺回路部が別領域に形成された撮像素子において、画素部の性能を損なわず、かつ効率的に周辺回路を配置しチップ面積増大を抑制し、かつ周辺回路の発熱による暗電流の画面対応領域内不均一性を抑えた撮像素子及び撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、請求項1記載の撮像素子は、互いに積層された第1の半導体基板および第2の半導体基板と、複数の画素が行列状に配列された画素部と、前記複数の画素から信号が出力される複数の列信号線と、少なくともAD変換器を備えた複数の列回路と、前記複数の列回路により所定の処理を施された信号を出力する出力回路と、を有する撮像素子であって、前記撮像素子を光入射面側から見た場合に、前記複数の列回路が前記画素部と重なるように、前記画素部および前記複数の列信号線が前記第1の半導体基板の領域に形成されるとともに前記複数の列回路が前記第2の半導体基板の領域に形成され、前記第1の半導体基板の領域に形成された前記複数の列信号線は略等間隔で互いに平行に配置され、前記第1の半導体基板の領域に形成された第1の列信号線と前記第2の半導体基板の領域に形成された第1の列回路とを電気的に接続する第1の接続ポイントと、前記第1の半導体基板の領域に形成された第2の列信号線と前記第2の半導体基板の領域に形成された第2の列回路とを電気的に接続する第2の接続ポイントと、前記第1の半導体基板の領域に形成された第3の列信号線と前記第2の半導体基板の領域に形成された第3の列回路とを電気的に接続する第3の接続ポイントと、前記第1の半導体基板の領域に形成された第4の列信号線と前記第2の半導体基板の領域に形成された第4の列回路とを電気的に接続する第4の接続ポイントが、列に沿う方向において異なる位置に設けられ、前記第1乃至第4の接続ポイントが前記第1乃至第4の列回路の各々における前記出力回路への出力端と異なる側であって、前記第1乃至第4の列回路と重ならない位置に設けられていることを特徴とする。
【0019】
また、上記目的を達成するために、請求項9記載の撮像装置は、請求項1乃至8の何れか1項に記載の撮像素子と、前記撮像素子から出力された信号を記録媒体に記録する記録部と、前記撮像素子から出力された信号に基づく画像を表示する表示部と、前記撮像素子、前記記録部、前記表示部を含む装置全体を制御するコントローラと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画素部の性能を損なわず、かつ周辺回路のチップ面積増大によるコストの増大を抑制できるという効果が得られる。
【0021】
また、本発明によれば、画素部の性能を損なわず、かつ効率的に効率的な周辺回路の配置が可能となり、かつ周辺回路の発熱による暗電流の画面対応領域内不均一性を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮像素子の全体構成を説明するためのブロック図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る撮像素子における画素及びその画素から信号を読み出す回路構成を示す図である。
【
図4】
図2の回路構成の他の変形例を示す図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る撮像素子の断面構造を表わす図である。
【
図6】
図1に示す撮像素子の全体構成の変形例を示すブロック図である。
【
図7】
図1に示す撮像素子の全体構成の他の変形例を示すブロック図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態に係る撮像素子の断面構造を表わす図である。
【
図9】
図1に示す撮像素子の全体構成のさらに他の変形例を示すブロック図である。
【
図10】第1及び第2の実施の形態及びその変形例のいずれかに係る撮像素子を搭載した撮像装置の一例であるデジタルカメラの概略構成を示す図である。
【
図11】本発明の第3の実施の形態に係る撮像素子における1画素の構成及びその画素から信号を読み出す回路構成を示す図である。
【
図12】
図11の撮像素子の回路構成の変形例を示す図である。
【
図13】
図11の撮像素子の回路構成の他の変形例を示す図である。
【
図14】第3の実施の形態の撮像素子の全体構成を上から俯瞰した図である。
【
図15】第3の実施の形態の変形例の撮像素子の断面図である。
【
図16】本発明の第5の実施の形態の撮像素子の全体構成を上から俯瞰した図である。
【
図17】第5の実施の形態の撮像素子の全体構成変形例を上から俯瞰した図である。
【
図18】第5の実施の形態の撮像素子の全体構成他の変形例を上から俯瞰した図である。
【
図19】本発明の第6の実施の形態の撮像素子の全体構成を上から俯瞰した図である。
【
図20】第6の実施の形態の撮像素子の全体構成の変形例を上から俯瞰した図である。
【
図21】第6の実施の形態の撮像素子の全体構成の他の変形例を上から俯瞰した図である。
【
図22】本発明の第7の実施の形態の撮像素子の全体構成を上から俯瞰した図である。
【
図23】本発明の第8の実施の形態の撮像素子の全体構成を上から俯瞰した図である。
【
図24】本発明の第9の実施の形態の撮像素子の全体構成を上から俯瞰した図である。
【
図25】第9の実施の形態の撮像素子の全体構成の変形例を上から俯瞰した図である。
【
図26】第9の実施の形態の撮像素子の全体構成の他の変形例を上から俯瞰した図である。
【
図27】従来の撮像素子の概略構成を説明するための図である。
【
図28】従来の撮像素子における1画素の構成及びその画素から信号を読み出す回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳述する。
【0024】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る撮像素子の概略構成を説明するための図である。実際には、図示の領域1と領域2が上下方向に重なっているものとする。
【0025】
図1において、撮像素子は、画素部101、画素部101における行を選択する垂直選択回路102、画素部101中の画素のうち垂直選択回路102によって選択される行の画素の信号を読み出して所定の処理を施す列回路103を有する。さらに、撮像素子は、列回路103で処理された信号を列毎に保持する列メモリ104、列メモリ104で保持された信号を選択する水平選択回路105、水平選択回路105で選択された列を出力回路107に読み出す出力信号線106を有する。なお、撮像素子は、図示された構成要素以外にも、例えば、垂直選択回路102、水平選択回路105、列回路103等にタイミングを提供する後述のタイミングジェネレータ1007、後述の制御回路1009、DA変換器等が組み込まれていてもよいが、これらは、撮像素子と同じ基板上に設ける必要はなく、タイミングジェネレータ1007及び制御回路1009は、
図10におけるように、撮像素子とは別体に設けてもよい。
【0026】
垂直選択回路102は、画素部101の複数の行を順に選択し、列回路103を介して、選択した行の信号を列メモリ104に出力する。水平選択回路105は、列メモリ104に保持された信号を順に選択し、出力信号線106を介して出力回路107に出力する。画素部101は、2次元の画像を提供するために、複数の画素を2次元アレイ状に配列して構成される。
【0027】
領域1に含まれる画素部101、垂直選択回路102、及び出力回路107は、第1の半導体基板に形成される。一方、領域2に含まれる列回路103、列メモリ104、水平選択回路105、及び出力信号線106は、第2の半導体基板に形成される。第1の半導体基板と第2の半導体基板は、それぞれ別に形成され、電気的に接続が必要な配線を接続して積層されることにより、同一のパッケージに実装される。すなわち、撮像素子のパッケージの上面(画素部101の光入射面側)から俯瞰すると、第1の半導体基板の領域1に形成された画素部101の下部に、第2の半導体基板の領域2に形成された列回路103、列メモリ104、水平選択回路105、及び出力信号線106が重なるような位置に存在することになる。領域1にある垂直選択回路102や出力回路107の下の領域2に、タイミングジェネレータ1007や制御回路1009、DA変換器等を配置すると面積効率がよい。なお、以下に説明する複数の実施の形態では、第1の半導体基板と第2の半導体基板を備える構成を一例として説明するが、これに限らず、さらに別の半導体基板を備える構成でもかまわない。
【0028】
図2は、第1の実施の形態に係る撮像素子における1画素の構成及びその画素から信号を読み出す回路の構成を示す図である。
【0029】
図2に示すように、2次元の画像を提供する画素アレイは、複数の画素を2次元アレイ状に配列して構成される。各画素201は、フォトダイオード(以下「PD」とも記す)202、転送スイッチ203、フローティングディフュージョン部(以下「FD」とも記す)204、リセットスイッチ207、増幅MOSアンプ205、選択スイッチ206を含むように構成される。リセットスイッチ207は、リセット部として機能する。
【0030】
PD202は、光学系を通して入射する光を光電変換して電荷を発生する光電変換素子として機能する。PD202のアノードは接地ラインに接続され、カソードは転送スイッチ203のソースに接続される。転送スイッチ(転送ユニット)203は、そのゲート端子に入力される転送パルスφTXによって駆動され、PD202で発生した電荷をFD204に転送する。FD204は、電荷を一時的に蓄積するとともに蓄積した電荷を電圧信号に変換する電荷電圧変換部として機能する。
【0031】
増幅MOSアンプ(増幅部)205は、MOSFET等の増幅回路で構成され、ソースフォロアとして機能し、そのゲートにはFD204で電荷電圧変換された信号が入力される。また、増幅MOSアンプ205は、そのドレインが第1電位を供給する第1電源線VDD1に接続され、そのソースが選択スイッチ206に接続されている。選択スイッチ206は、そのゲートに入力される垂直選択パルスφSELによって駆動され、そのドレインが増幅MOSアンプ205に接続され、そのソースが垂直信号線208に接続されている。垂直選択パルスφSELがアクティブレベル(ハイレベル)になると、画素アレイの該当する行に属する画素の選択スイッチ206が導通状態になり、増幅MOSアンプ205のソースが垂直信号線208に接続される。
【0032】
リセットスイッチ(リセットユニット)207は、そのドレインが定電位である第2電位(リセット電位)を供給する第2電源線VDD2に接続され、そのソースがFD204に接続されている。また、リセットスイッチ207は、そのゲートに入力されるリセットパルスφRESによって駆動され、FD204に蓄積されている電荷を除去する。φTX、φSEL、及びφRESは、垂直選択回路102から供給される。
【0033】
FD204及び増幅MOSアンプ205のほか、垂直信号線208に定電流を供給する定電流源209によってフローティングディフュージョンアンプが構成される。選択スイッチ206で選択された行を構成する各画素において、PD202からFD204に転送される電荷がFD204で電圧信号に変換されて、フローティングディフュージョンアンプを通じて列毎に設けられた垂直信号線(列信号線)208に出力される。
【0034】
垂直信号線(列信号線)208の各々に接続された列回路103は、CDS(相関2重サンプリング)回路やゲインアンプなどで構成される。CDS回路は、垂直信号線208に出力された信号に相関2重サンプリング処理を施す。また、ゲインアンプは、垂直信号線208に出力された信号を所定の増幅率で増幅する。また、列回路103は、列毎に同様の構成の回路で形成される。列回路103で上記処理を施された信号は、各々対応する列メモリ104に保持される。列メモリ104で保持された信号は、出力信号線106を介して出力回路107に転送される。出力回路107は、入力された信号に対して増幅やインピーダンス変換などを行い、撮像素子の外部に信号を出力する。
【0035】
列回路103、列メモリ104、及び出力回路107は、前述のような回路構成をとることもできるが、列回路103に列毎にAD変換器をもったタイプでもよい。その場合は、列回路103は、CDS回路やゲインアンプに加え、AD変換器を有する。また、その際の列メモリ104はデジタル(デジタル信号)のメモリであり、出力回路107には、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)ドライバーなどの構成要素も含まれる。
【0036】
図示の領域1すなわち第1半導体基板には、画素毎に設けられた、PD202、転送スイッチ203、FD204、リセットスイッチ207、増幅MOSアンプ205、及び選択スイッチ206、ならびに出力回路107を含むように構成されている。
【0037】
図示の領域2すなわち第2半導体基板には、列毎に設けられた、垂直信号線208、定電流源209、列回路103、列メモリ104、及び出力信号線106を含むように構成されている。なお、垂直信号線(列信号線)208は、画素部101と列回路103を接続する配線であり、領域1または領域2のどちらに含まれていてもよい。また、選択スイッチ206は領域2に含まれていてもよい。
【0038】
また、
図3に示す回路構成の変形例のように、定電流源209は領域1にあってもよい。ただし、この場合は定電流源209を画素と同一の基板に配置するため、あまり面積効率はよくない。画素部の面積より、列回路103、列メモリ104、出力信号線106などの構成面積が大きい場合にのみ、有効である。
【0039】
また、
図4で示す回路構成の他の変形例のように、選択スイッチ206がない構成であってもよい。選択スイッチ206がない構成においては、ΦRESと第2電源線VDD2の電位を制御することで、選択行と非選択行の設定を行う。
【0040】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る撮像素子の断面構造を表わす図である。第1半導体基板を表す領域1が第2半導体基板を表す領域2の上に積層された構造を示している。
図2に示す構成要素と同じものについては同一の符合を付す。
【0041】
第1半導体基板を表わす領域1は、半導体基板501上に形成される。領域1は、第1導電型の領域502、PDの領域202、PD202の暗電流を抑制するための、第1導電型の領域503を備える。また、転送スイッチ203、FD204、増幅MOSアンプ205を備える。この他にも、リセットスイッチ207も含む。
【0042】
さらに、素子分離領域504、多層に形成された配線層505、多層配線層505間の層間膜506を備える。スルーホール507は、配線間を電気的に接続する。領域1は画素部を含むため、色分離を行うカラーフィルター508や、光を集光するマイクロレンズ509も含む。
【0043】
第1半導体基板以外の半導体基板として第2半導体基板を表わす領域2は、半導体基板510上に形成される。各スイッチ群511の複数種類のスイッチにより列回路103の各回路が形成される。また、領域2は、列メモリ104、出力信号線106なども含む。垂直信号線208の接続ポイント115は、マイクロバンプ等で領域1と領域2を電気的に接続する。また、垂直信号線208の接続ポイント115以外にも、電源や各種駆動パルスなどを供給する配線同士が、マイクロバンプ等の接続ポイント512で接続される。なお、本実施の形態では、裏面照射タイプで受光部を形成した第1半導体基板を図示したが、裏面照射タイプでなく、表面照射タイプでもよい。
【0044】
本実施の形態では、
図1のように、領域1に画素部101、垂直選択回路102、及び出力回路107を形成し、その他の駆動回路は領域2に配置したが、これに限定するものではない。例えば、
図6の撮像素子の全体構成の変形例のように、出力回路107を領域2に配置してもよい。
【0045】
また、
図7の撮像素子の全体構成の他の変形例に示すように、垂直選択回路102の一部を領域1に、垂直選択回路102の残りを領域2に配置してもよい。また、その際には、上から俯瞰した際に略同一の箇所に配置することで、面積効率を上げることもできる。つまり、本発明においては、画素部101のうち、FD204を領域1および領域2に分断することがないように、少なくとも転送スイッチ203、FD204、リセットスイッチ207、増幅MOSアンプ205が領域1にあればよい。その他の駆動回路は半導体基板の面積効率に応じて、領域1に配置されていても、領域2に配置されていてもよい。
【0046】
上記実施の形態では、
図5に示すように、領域1を第1の半導体基板、領域2を第2の半導体基板としているが、これに限定するものではなく、
図8に示すように、同一の半導体基板に形成してもよい。
【0047】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る撮像素子の断面構造を表わす図である。
図2に示す構成要素と
図5に示す構成要素と同じものについては同一の符合を付してそれらの説明は省略する。
【0048】
図8に示す第2の実施の形態においては、半導体基板501の表面(第1面または第2面)、裏面(第1面または第2面)にそれぞれ領域1、領域2が形成されている。本実施の形態では、領域1が形成された側を表面、領域2が形成された側を裏面として説明する。保護層801は、裏面の配線層505を保護する。プラグ802は、表面と裏面を電気的に接続する。
【0049】
また、上記実施の形態では、領域1、領域2として説明したが、2つの領域に限定するものではなく、複数の領域に分割して、各構成要素を配置してもよい。例えば、
図9に示す変形例のように、領域1に画素部101、垂直選択回路102を形成し、残りの駆動回路を領域2、領域3に分割して形成するように構成してもよい。図示例では、領域2に、垂直選択回路102の残りと列回路103が形成され、領域3に、列回路103の残りとその他の駆動回路が別々に形成されている。このように、複数の領域にまたがって各構成要素を別々に配置することで、列毎にAD変換器などを搭載し、増大する列回路103の配置を有効に行うことが可能となる。なお、領域1、領域2、領域3をそれぞれ別々の半導体基板に形成してもかまわない。
【0050】
図10は、上述した実施の形態及び変形例のいずれかに係る撮像素子を搭載した撮像装置の一例であるデジタルカメラの概略構成を示す図である。
【0051】
図10において、被写体の光学像を固体撮像素子(実施の形態及び変形例のいずれかに係る撮像素子)1005に結像させるレンズ部1001は、レンズ駆動装置1002によってズーム制御、フォーカス制御、絞り制御などが行われる。メカニカルシャッター1003は、シャッター制御ユニット1004によって制御される。固体撮像素子1005は、レンズ部1001で結像された被写体像を画像信号に変換して出力する。撮像信号処理回路1006は、固体撮像素子1005から出力される画像信号に各種の補正を行ったり、データを圧縮したりする。
【0052】
タイミングジェネレータ1007は、固体撮像素子1005、撮像信号処理回路1006に、各種タイミング信号を出力する駆動ユニットである。制御回路1009は、各種演算と撮像装置全体を制御する。メモリ1008は、画像データを一時的に記憶する。記録媒体制御インターフェース1010は、半導体メモリ等の着脱可能な記録媒体1011に記録または読み出しを行う。表示部1012は、各種情報や撮影画像を表示する。
【0053】
次に、前述の構成を有するデジタルカメラの撮影時の動作について説明する。
【0054】
不図示のメイン電源がオンされると、コントロール系の電源がオンし、更に撮像信号処理回路1006などの撮像系回路の電源がオンされる。つづいて、不図示のレリーズボタンが押されると、測距装置1014から出力された信号をもとに、高周波成分を取り出し、被写体までの距離の演算を制御回路1009で行う。その後、レンズ駆動装置1002によりレンズ部1001を駆動して合焦か否かを判断し、合焦していないと判断したときは、再びレンズ部1001を駆動して測距を行う。そして、合焦が確認された後に撮影動作が開始する。
【0055】
撮影動作が終了すると、固体撮像素子1005から出力された画像信号は、撮像信号処理回路1006で画像処理され、制御回路1009によりメモリ1008に書き込まれる。メモリ1008に蓄積されたデータは、制御回路1009の制御により記録媒体制御I/F部1010を通り、半導体メモリ等の着脱可能な記録媒体1011に記録される。なお、図示しない外部I/F部を通り直接コンピュータ等に入力して画像の加工を行ってもよい。
【0056】
図11は、本発明の第3の実施の形態の撮像素子における1画素の構成及びその画素から信号を読み出す回路構成を示す図である。領域1は、第1の半導体基板に形成された回路を有するチップであり、領域2は、第2の半導体基板に形成された回路を有するチップである。
【0057】
領域1の中には、主に画素201を有し、領域2の中には、主に画素201からの信号を処理する列回路を有する。
【0058】
領域1は、2次元の画像を提供する画素アレイとして、複数の画素201を2次元アレイ状に配列して構成される。各画素201は、フォトダイオード(以下、PDとも記す)202、転送スイッチ203、フローティングディフュージョン部(以下、FDとも記す)204、増幅MOSアンプ205、選択スイッチ206及び、リセットスイッチ207を含んで構成されうる。
【0059】
PD202は、光学系を通して入射する光を光電変換して電荷を発生する光電変換部として機能する。PD202のアノードは接地ラインに接続され、カソードは転送スイッチ203のソースに接続される。転送部としての転送スイッチ203は、そのゲート端子に入力される転送パルスφTXによって駆動され、PD202で発生した電荷をFD204に転送する。FD204は、電荷を一時的に蓄積するとともに蓄積した電荷を電圧信号に変換する電荷電圧変換部として機能する。
【0060】
増幅MOSアンプ205は、ソースフォロアとして機能し、そのゲートにはFD204で電荷電圧変換された信号が入力される。また、増幅MOSアンプ205は、そのドレインが第1電位を供給する第1電源線VDD1に接続され、そのソースが選択スイッチ206に接続されている。選択スイッチ206は、そのゲートに入力される垂直選択パルスφSELによって駆動され、そのドレインが増幅MOSアンプ205に接続され、そのソースが垂直信号線208に接続されている。垂直選択パルスφSELがアクティブレベル(ハイレベル)になると、画素アレイの該当する行に属する画素の選択スイッチ206が導通状態になり、増幅MOSアンプ205のソースが垂直信号線208に接続される。垂直信号線208は列を共有する複数の画素201で共有される。
【0061】
リセットスイッチ207は、そのドレインが第2電位(リセット電位)を供給する第2電源線VDD2に接続され、そのソースがFD204に接続されていて、そのゲートに入力されるリセットパルスφRESによって駆動されて、FD204に蓄積されている電荷を除去する。
【0062】
FD204及び増幅MOSアンプ205他、垂直信号線208に定電流を供給する定電流源209によってフローティングディフュージョンアンプが構成される。選択スイッチ206で選択された行を構成する各画素において、PD202からFD204に転送される電荷がFD204で電圧信号に変換されて、フローティングディフュージョンアンプを通じて列毎に設けられた垂直信号線(列信号線)208に出力される。φTX、φSEL、φRESは後述する垂直選択回路から供給される。
【0063】
垂直信号線(列信号線)208の各々に接続された列回路103は、列アンプ110などで構成される。列回路103は、各列同様の構成の回路で形成される。列回路103は、
図11で示した列アンプ110だけの構成であってもよいし、CDS(相関2重サンプリング)回路などを含む構成であってもよい。
【0064】
列回路103で各種処理を施された信号は、各々対応する列メモリ104に保持される。列メモリ104で保持された信号は、出力信号線106を介し、出力回路107に転送される。出力回路107は、増幅やインピーダンス変換などを行い、撮像素子の外部に信号を出力する。
【0065】
領域1と領域2は垂直信号線(列信号線)208の接続ポイント115を介して、電気的に接続される。
図11に示すように接続ポイント115を増幅MOSアンプ205より後にすることで、PRNUやDSNUを低減することが可能となる。定電流源209は領域2にあってもよいし、領域1にあってもよい。
【0066】
【0067】
図12では、列アンプ110の後に列AD111を搭載している。列AD111は、列毎のADコンバーターであり、AD変換を行う。この場合、列回路103は列アンプ110、列AD111で構成される。また、前述したCDS回路等を含んでもよい。列AD111を有する構成の場合は、列メモリ104はデジタルのメモリであり、出力回路107は、LVDSドライバーなどの構成要素も含まれる。
【0068】
また、
図13で示すもう1つの変形例のように、選択スイッチ206がない構成でもよい。
【0069】
図14は、第3の実施の形態の撮像素子の概略を上から俯瞰した図である。領域1と領域2は、それぞれ別の半導体基板上に形成されたチップであり、電気的に接続が必要な配線を接続して、同一のパッケージに実装される。すなわちパッケージの上面から俯瞰すると、領域1の下に領域2が重なって配置されている。
【0070】
領域1は、画素201が複数行、複数列にアレイ上に形成されている。画素201を駆動するための、前述のφTX、φSEL、φRESが行毎に垂直選択回路102から供給される。画素から信号を取り出す垂直信号線208は同一列の画素毎に共有される。ここでは、1から4列目までの垂直信号線208を各々208_1、208_2、208_3、208_4と示している。領域1と領域2には垂直信号線208を列回路103に接続するための接続ポイント115を有する。垂直信号線208_1が有する接続ポイント115を115_1と示す。また、垂直信号線208_1とつながる列回路103を103_1と示し、列回路103_1とつながる列メモリ104を104_1と示す。領域2には、列メモリ104の信号を出力回路107に転送するための水平選択回路105を有する。水平選択回路105は列メモリ104の信号を時系列に出力回路107に転送する。
【0071】
なお、図示しないが領域1および領域2のいずれかには、図示された構成要素以外にも、前述の定電流源209を有する。定電流源209は列回路103の中に含まれてもよい。また、他にも例えば、垂直選択回路102、水平選択回路105、列回路103等にタイミングを提供するタイミングジェネレータ或いは制御回路や、シリアル通信インターフェース、DA変換器等を有する。
【0072】
水平選択回路105には、タイミングジェネレータ等より各種パルスが供給されるので、チップの端に近い所にあることが望ましい。
図14で示すように、接続ポイント115を列方向の中央付近にもってくることによって、水平選択回路105を上下方向に配置することが可能となる。なお、接続ポイント115を列方向の周辺付近にもってくることもできる。
【0073】
本実施の形態に係る撮像素子の断面構造は、
図5に示した第1の実施の形態のそれと略同一であるので、図示と説明を省略する。
【0074】
図14で示したように、接続ポイント115が各垂直信号線(列信号線)上で各列の画素によって共有されることによって、接続ポイントを画素毎に有した場合に対し、接続ポイント数が少ないので、接続ポイントの形成不良による歩留りが低減してしまう課題も解決することが可能となる。もちろん、接続ポイントは、1点でなく、歩留りを考慮して数点あってもよい。本実施の形態では領域1側の垂直信号線で画素を共有することによって、各画素毎に領域1と領域2をつなぐ必要がなくなっている。
【0075】
なお、ここでは、裏面照射タイプで受光部を形成した第1半導体基板を図示したが、裏面照射タイプでなく、表面照射タイプでもよい。
図15は本実施の形態の変形例の表面照射タイプの断面構造を表わす図である。第2半導体基板を表す領域2の上に第1半導体基板を表す領域1が積層された構造を示している。
図5と同一の符号の構成要素については説明を省略する。表面照射タイプの場合は、マイクロレンズ509が半導体基板501に対して、配線505の上部に設置される。表面照射タイプの場合は接続ポイント115と領域1の構成要素を接続するため、貫通ビア601を形成する。
【0076】
表面照射タイプの領域1と領域2を同一基板501に形成した本発明の第4の実施の形態の断面構造は、
図8に示した第2の実施の形態のそれと実質的に同じであるので、図示と説明を省略するが、前述したように、この場合は、接続ポイント115は垂直信号線208と裏面側の回路を接続するために、貫通ビア601となる。
【0077】
図16は、本発明の第5の実施の形態の撮像素子の全体構成を上から俯瞰した図である。
図17及び
図18は、その変形例をそれぞれ示した図である。
【0078】
図14で示した図と異なり、
図16に示す第5の実施の形態の撮像素子の全体構成では、接続ポイント115である115_1、115_2が列に沿う方向にずれることによって、列回路103_1、103_2の直近に接続ポイント115を配置することが可能となる。それによって、領域2での配線長が短くなり、さらに効率的に列回路103等を配置することが可能となる。
【0079】
図17の変形例では、接続ポイント115_1、115_2、115_3、115_4をずらすことによって、列回路103_1から110_4の配置をまばらに配置することが可能となる。
図14のように、列回路103が画面対応領域で偏った配置の場合は、列回路103の発熱が集中し、列回路103からの熱をうけたPD202によって、撮影画像の画面対応領域内で暗電流の不均一性が発生してしまう。しかし、
図17のような構成、例えば、均等配置をとることによって、画面対応領域内で列回路103の発熱による暗電流の不均一性を低減することが可能となる。
図17では、列回路103_1、列メモリ104_1と列回路103_3、列メモリ104_3の配置を逆転させることによって、列回路103を分散している。そのため、列に沿う方向の中央にも出力信号線106を配置する工夫をしている。ただし、列回路103や列メモリ104が十分に小さい構成をとれる
図18のような場合においては、その必要はなく、列回路103_1と103_3は同一方向の配置でもよい。
【0080】
上述したように、接続ポイント115を列毎にずらすことによって、効率的な配置と、列回路103の発熱の影響を軽減させる配置が可能となる。
【0081】
図19は、本発明の第6の実施の形態の撮像素子の全体構成を上から俯瞰した図である。
図20及び
図21は、その変形例をそれぞれ示した図である。
【0082】
図14、16、17、18では、列回路103や列メモリ104は行に沿う方向に2列分の幅を有する回路として記載したが、本発明ではそれ以外の構成もとりうることが可能であり、その構成に限定されるものではない。たとえば
図19で示すように、行に沿う方向に1列分の幅の回路であってもよい。ただし、列回路103や列メモリ104が列に沿う方向に長さが増大した回路となってしまい、一層縦長になってしまう。列回路103や列メモリ104は隣接する列回路103、列メモリ104に対して、素子分離領域で分離されるため、より正方形に近い領域で形成される方が、面積効率がよい。
図20の変形例では行に沿う方向に4列分の幅を有している。模式図上横長に見えるが、実際には正方形に近づけるために、接続ポイント115を列毎にずらすことによって、このようなレイアウトも可能である。
図21の変形例に示すように、行に沿う方向に列回路103と列メモリ104の幅を増やすことによって、複数の出力信号線106を配置することも可能となる。出力信号線106は電力を消費しないので、出力信号線106の本数を増やして、列回路103、列メモリ104の間に配置することで、発熱を分散させることが可能となる。
【0083】
図22は、本発明の第7の実施の形態の撮像素子の全体構成を上から俯瞰した図である。
図22の配置は
図17と同じ考え方の配置であるが、列回路103や列メモリ114が小さかった場合、各回路の間に隙間があくことになる。
図12で示したような列ADを搭載している場合、デジタル回路1401を置くことができる。デジタル回路1401は、列メモリ104からの信号に対して、ガンマ補正処理などの各種補正処理やホワイトバランス調整等の画像処理を施すことも可能である。
図17や
図21の配置に限らず、列回路103を分散して配置しておくことによって、デジタル回路1401も分散配置となり、デジタル回路1401からの発熱による暗電流の不均一性も軽減することが可能となる。また、列ADを搭載している場合は、水平選択回路105は必ずしも必要ではない。
【0084】
図23は、本発明の第8の実施の形態の撮像素子の全体構成を上から俯瞰した図である。
図23では接続ポイント115が上下に偏っている。この場合は、暗電流の不均一性の低減は出来ないが、
図15や
図8で示したような貫通ビアを形成するためには有効である。貫通ビアを形成したがゆえに接続ポイント115近傍の画素201の特性が悪い時には、画面内で比較的目立ちにくい上下に接続ポイント115を寄せることによって、画像として目立ちにくくすることが可能となる。
【0085】
図24は、本発明の第9の実施の形態の撮像素子の概略を上から俯瞰した図である。
図25及び
図26は、その変形例をそれぞれ示した図である。
【0086】
上述した構成では、垂直選択回路102は領域1に、出力回路107は領域2に構成されていたが、本発明ではこれに限定されない。
図24にあるように、出力回路107が領域1にあってもよい。この場合には、出力信号線106と出力回路107を領域1と領域2で接続する。
図24で模式的に示したように、領域1と領域2の大きさは同じでなくてもよい。また、
図25の変形例で示すように、垂直選択回路102の一部が領域1に一部が領域2にあってもよい。このような構成では、垂直選択回路102のうち、画素201を駆動する駆動バッファは領域1に、デジタル部を領域2にもってくることも可能となる。また、
図26で示すように、出力回路107を左右方向ではなく、上下方向にもってくることも可能である。列回路が垂直方向に小さい場合には、このような構成をとることで、領域1と領域2の大きさをほぼ同一にすることも可能である。
【0087】
上記で説明した実施の形態及び変形例の撮像素子を使用した撮像装置であるデジタルカメラの構成や動作には、
図10を参照して前述したものと同様であるので、説明を省略する。
【0088】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0089】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0090】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0091】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0092】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【符号の説明】
【0093】
1 領域
2 領域
101 画素部
102 垂直選択回路
103 列回路
104 列メモリ
105 水平選択回路
106 出力信号線
107 出力回路