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特許7497415プロセスカートリッジ、感光体ユニット、及び、現像ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】プロセスカートリッジ、感光体ユニット、及び、現像ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/18 20060101AFI20240603BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
G03G21/18 103
G03G15/16 103
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022199979
(22)【出願日】2022-12-15
(62)【分割の表示】P 2021081298の分割
【原出願日】2017-04-17
(65)【公開番号】P2023021344
(43)【公開日】2023-02-10
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】宇山 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】松田 健司
(72)【発明者】
【氏名】菊地 健
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-114718(JP,A)
【文献】特開2010-277079(JP,A)
【文献】特開2008-026578(JP,A)
【文献】特開2002-328586(JP,A)
【文献】特開2014-016496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光ドラムと押圧部材とを備える感光体ユニットと、
前記感光体ユニットに取り外し可能に装着される現像ユニットであって、
軸線方向に延びる現像軸線の周りに回転可能な現像ローラと、
トナーを収容する収容部と、前記現像ローラが前記感光ドラムに押し付けられるように、前記押圧部材によって押圧される被押圧部と、を備える現像枠体と、
前記収容部の中に配置され、第1軸線の周りに回転するように構成された第1撹拌部材と、
前記収容部の中に配置され、第2軸線の周りに回転するように構成された第2撹拌部材と、
を有する現像ユニットと、
を備え、
前記軸線方向に見て、前記現像ローラが前記感光ドラムに接触する接触部と前記第1軸線の間の第1距離は、前記接触部と前記第2軸線の間の第2距離よりも短く、かつ、前記接触部と前記被押圧部の間の第3距離は、前記第1距離よりも長く、
前記現像ユニットが前記感光体ユニットから取り外されるときに、前記現像ローラと、前記第1撹拌部材、前記第2撹拌部材とが、一体的に前記感光体ユニットから取り外されるように、前記現像枠体は前記現像ローラ、前記第1撹拌部材、前記第2撹拌部材を支持し、
前記現像ユニットは、前記現像ローラに接触する第1端部シールおよび第2端部シールを有し、
前記軸線方向について、前記押圧部材は前記第1端部シールと前記第2端部シールの間に位置される、
ことを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記感光体ユニットは、レバーを備え、
前記現像枠体は、前記レバーと当接する被当接部を備え、
前記軸線方向に見て、前記接触部と前記被当接部の間の第4距離は、前記第1距離よりも長いことを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記現像ユニットは、第1電極と、第2電極とを有することを特徴とする請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記軸線方向について、前記第1電極、前記第2電極、前記レバーは、前記カートリッジの中央に対して一端側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記現像ユニットは、前記現像ローラを駆動するための駆動力を受ける駆動力受け部材を有し、
前記軸線方向について、前記駆動力受け部材は、前記カートリッジの前記中央に対して前記一端側の反対の他端側に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記感光体ユニットは、レバーを備え、
前記現像枠体は、前記レバーと当接する被当接部を備え、
前記現像ユニットは、第1電極と、第2電極とを有することを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記軸線方向について、前記第1電極、前記第2電極、前記レバーは、前記カートリッジの中央に対して一端側に配置されていることを特徴とする請求項6に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記現像ユニットは、前記現像ローラを駆動するための駆動力を受ける駆動力受け部材を有し、
前記軸線方向について、前記駆動力受け部材は、前記カートリッジの前記中央に対して前記一端側の反対の他端側に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記レバーが操作され、前記レバーが前記被当接部を押圧することにより、
前記現像ユニットが前記感光体ユニットから取り外される方向に移動される、
ことを特徴とする請求項2から8のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項10】
感光ドラムと押圧部材とを備える感光体ユニットと、
前記感光体ユニットに取り外し可能に装着される現像ユニットであって、
軸線方向に延びる現像軸線の周りに回転可能な現像ローラと、
トナーを収容する収容部と、前記現像ローラが前記感光ドラムに押し付けられるように、前記押圧部材によって押圧される被押圧部と、を備える現像枠体と、
前記収容部の中に配置され、第1軸線の周りに回転するように構成された第1撹拌部材と、
前記収容部の中に配置され、第2軸線の周りに回転するように構成された第2撹拌部材と、
を有する現像ユニットと、
を備え、
前記軸線方向に見て、前記現像ローラが前記感光ドラムに接触する接触部と前記第1軸線の間の第1距離は、前記接触部と前記第2軸線の間の第2距離よりも短く、かつ、前記接触部と前記被押圧部の間の第3距離は、前記第1距離よりも長く、
前記現像ユニットが前記感光体ユニットから取り外されるときに、前記現像ローラと、前記第1撹拌部材、前記第2撹拌部材とが、一体的に前記感光体ユニットから取り外されるように、前記現像枠体は前記現像ローラ、前記第1撹拌部材、前記第2撹拌部材を支持し、
前記感光体ユニットは、レバーを備え、
前記現像枠体は、前記レバーと当接する被当接部を備え、
前記軸線方向に見て、前記接触部と前記被当接部の間の第4距離は、前記第1距離よりも長く、
前記レバーが操作され、前記レバーが前記被当接部を押圧することにより、
前記現像ユニットが前記感光体ユニットから取り外される方向に移動される、
ことを特徴とするカートリッジ。
【請求項11】
前記現像ユニットは、第1電極と、第2電極とを有することを特徴とする請求項10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記軸線方向について、前記第1電極、前記第2電極、前記レバーは、前記カートリッジの中央に対して一端側に配置されていることを特徴とする請求項11に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記現像ユニットは、前記現像ローラを駆動するための駆動力を受ける駆動力受け部材を有し、
前記軸線方向について、前記駆動力受け部材は、前記カートリッジの前記中央に対して前記一端側の反対の他端側に配置されていることを特徴とする請求項12に記載のカートリッジ。
【請求項14】
感光ドラムと押圧部材とを備える感光体ユニットと、
前記感光体ユニットに取り外し可能に装着される現像ユニットであって、
軸線方向に延びる現像軸線の周りに回転可能な現像ローラと、
トナーを収容する収容部と、前記現像ローラが前記感光ドラムに押し付けられるように、前記押圧部材によって押圧される被押圧部と、を備える現像枠体と、
前記収容部の中に配置され、第1軸線の周りに回転するように構成された第1撹拌部材と、
前記収容部の中に配置され、第2軸線の周りに回転するように構成された第2撹拌部材と、
を有する現像ユニットと、
を備え、
前記軸線方向に見て、前記現像ローラが前記感光ドラムに接触する接触部と前記第1軸線の間の第1距離は、前記接触部と前記第2軸線の間の第2距離よりも短く、かつ、前記接触部と前記被押圧部の間の第3距離は、前記第1距離よりも長く、
前記現像ユニットが前記感光体ユニットから取り外されるときに、前記現像ローラと、前記第1撹拌部材、前記第2撹拌部材とが、一体的に前記感光体ユニットから取り外されるように、前記現像枠体は前記現像ローラ、前記第1撹拌部材、前記第2撹拌部材を支持し、
前記感光体ユニットは、レバーを備え、
前記現像枠体は、前記レバーと当接する被当接部を備え、
前記現像ユニットは、第1電極と、第2電極とを有し、
前記レバーが操作され、前記レバーが前記被当接部を押圧することにより、
前記現像ユニットが前記感光体ユニットから取り外される方向に移動される、
ことを特徴とするカートリッジ。
【請求項15】
前記軸線方向について、前記第1電極、前記第2電極、前記レバーは、前記カートリッジの中央に対して一端側に配置されていることを特徴とする請求項14に記載のカートリッジ。
【請求項16】
前記現像ユニットは、前記現像ローラを駆動するための駆動力を受ける駆動力受け部材を有し、
前記軸線方向について、前記駆動力受け部材は、前記カートリッジの前記中央に対して前記一端側の反対の他端側に配置されていることを特徴とする請求項15に記載のカートリッジ。
【請求項17】
前記軸線方向に見て、前記第3距離は、前記第2距離よりも長いことを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項18】
前記押圧部材は、前記被押圧部に当接する当接部と、前記当接部を前記被押圧部に向けて押し付けるバネと、を有することを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子写真方式の画像形成装置に装着又は取り外し可能な感光体ユニット、現像ユニット等のカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置としてのレーザビームプリンタや複写機においては、感光ドラム上にトナー像を形成しこのトナー像を記録材としてのシートへ転写することで記録材に画像を形成している。
【0003】
レーザビームプリンタにおいては、メンテナンスを容易にすべく、画像形成装置の一部の部品をカートリッジに設け、カートリッジを装置本体外に取り出し、メンテナンスや交換を行う方式が広く採用されている。特許文献1には、感光ドラムを有する感光体ユニットにトナーを収容する現像ユニットを着脱可能なプロセスカートリッジが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-224221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
感光ドラムを有する感光体ユニットにトナーを収容する現像ユニットを着脱可能な構造を有するプロセスカートリッジには、サイズ、コスト、精度、ユーザビリティ等の観点で改良の余地が残されている。本開示は、プロセスカートリッジを構成する感光体ユニット、現像ユニットの少なくともいずれかを改良することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願にかかる発明の一つは、
感光ドラムと押圧部材とを備える感光体ユニットと、
前記感光体ユニットに取り外し可能に装着される現像ユニットであって、
軸線方向に延びる現像軸線の周りに回転可能な現像ローラと、
トナーを収容する収容部と、前記現像ローラが前記感光ドラムに押し付けられるように、前記押圧部材によって押圧される被押圧部と、を備える現像枠体と、
前記収容部の中に配置され、第1軸線の周りに回転するように構成された第1撹拌部材と、
前記収容部の中に配置され、第2軸線の周りに回転するように構成された第2撹拌部材と、
を有する現像ユニットと、
を備え、
前記軸線方向に見て、前記現像ローラが前記感光ドラムに接触する接触部と前記第1軸線の間の第1距離は、前記接触部と前記第2軸線の間の第2距離よりも短く、かつ、前記接触部と前記被押圧部の間の第3距離は、前記第1距離よりも長く、
前記現像ユニットが前記感光体ユニットから取り外されるときに、前記現像ローラ、前記第1撹拌部材、前記第2撹拌部材が、一体的に前記感光体ユニットから取り外されるように、前記現像枠体は前記現像ローラ、前記第1撹拌部材、前記第2撹拌部材を支持し、
前記現像ユニットは、前記現像ローラに接触する第1端部シールおよび第2端部シールを有し、
前記軸線方向について、前記押圧部材は前記第1端部シールと前記第2端部シールの間に位置される、
ことを特徴とするカートリッジである。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、感光体ユニット、現像ユニットの少なくともいずれかを改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】プロセスカートリッジを備えた画像形成装置の断面図
図2】現像ユニットの断面図
図3】現像ユニットの斜視図
図4】現像ユニットの分解斜視図
図5】プロセスカートリッジの断面図
図6】現像ユニットの上視図
図7】感光体ユニットに装着された現像ユニットとリフト部材を示す斜視図
図8】プロセスカートリッジの斜視図
図9】感光体ユニットの部分斜視図
図10】現像ユニットと感光体ユニットの斜視図
図11】プロセスカートリッジの斜視図
図12】感光体ユニットと現像ユニットと現像ローラと端部シールの左右方向の配置関係を示す上視図
図13】現像ユニットを下方からみた斜視図
図14】現像ユニットとリフト部材の部分斜視図
図15】現像ユニットと感光体ユニットの斜視図
図16】リフト部材と押圧部材の位置関係を示す図
図17】現像ユニットの離脱を示す図
図18】現像ユニットが装着された感光体ユニットを右側から見た図
図19】現像手動ギアの機構を示す側面図
図20】現像ユニットの一部を右側から見た図
図21】現像ユニットが装着された感光体ユニットを右側から見た図
図22】現像ユニットが装着された感光体ユニットを右側から見た図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
以下の説明において、画像形成装置1を使用するユーザを基準にした方向を定義している。つまり、画像形成装置1の正面側を「前」、背面側を「後」、上面(天面)側を「上」、下面(底面)側を「下」としている。また画像形成装置1を正面側から見た時の画像形成装置1の左側を「左」、右側を「右」とする。プロセスカートッジ5についても、画像形成装置1に装着された状態と同じ姿勢であるものとして画像形成装置1と同様に方向を定義している。各図面における各方向は図面に記される矢印によって定義されている。
この矢印で示される前後方向、上下方向、左右方向は互いに直交する方向である。これらの方向は全ての図面で同じ方向を示している。上下方向は鉛直方向と平行で、左右方向及び前後方向は水平方向と平行である。また、左右方向は感光ドラム61の回転軸線方向、及び、現像ローラ71の回転軸線方向とそれぞれ平行である。また、現像ユニット7を感光体ユニット6に装着して一体化したものをプロセスカートッジ5と称す。このプロセスカートリッジ5を装置本体2に装着する際の挿入方向(装着方向)S1及び取り外し方向S2は、前後方向と平行であり、左右方向と上下方向とに直交する。
【0011】
<画像形成装置の全体構成>
図1はプロセスカートリッジ5が装着された画像形成装置1の断面図であり、その断面は上下方向及び前後方向に平行である。図1に示すように、画像形成装置1は、装置本体2内に用紙Sを供給するための給紙部3と、露光装置4と、用紙S上にトナー像を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙S上に転写されたトナー像を熱定着する定着装置8を主に備えている。
【0012】
給紙部3は、装置本体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、給紙機構32とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、給紙機構32によってプロセスカートリッジ5(感光ドラム61と転写ローラ63との間)に向けて供給される。
【0013】
露光装置4は、装置本体2内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。この露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光が、感光ドラム61の表面で高速走査されることで、感光ドラム61の表面を露光する。
【0014】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置されている。装置本体2に設けられたドア(開閉部材)21を開いたとき(図1に二点鎖線で記載)にできる開口から装置本体2の収容部23に挿入方向S1で挿入され、装置本体2に装着される構成となっている。プロセスカートリッジ5を装置本体2から取り外す際は取り外し方向S2にプロセスカートリッジ5を移動させて取り出す。
【0015】
このプロセスカートリッジ5は、主に感光体ユニット6と現像ユニット7を備えている。感光体ユニット6は、感光ドラム61と、帯電ローラ62と、転写ローラ63とを主に備えている。現像ユニット7は、感光体ユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっている。現像ユニット7は、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナー(現像剤)を収容するトナー収容部(現像剤収容部)74と、トナー収容部74内に設けられる第1アジテータ75A、第2アジテータ75Bとを主に備えている。
【0016】
<画像形成プロセス>
次にこのプロセスカートリッジ5を用いた画像形成プロセスについて説明する。感光ドラム61は、画像形成プロセス実行中に回転駆動されている。最初に帯電ローラ62により感光ドラム61の表面が一様に帯電され、その後、露光装置4から発せられる画像データに対応したレーザ光で露光されることで、感光ドラム61上に画像データに対応する静電潜像が形成される。
【0017】
一方で、トナー収容部74内のトナーは、第2アジテータ75B、第1アジテータ75Aで撹拌された後、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給される。そして、現像ローラ71に供給されたトナーは、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0018】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、感光ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像にトナーが付着して可視像化され、感光ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光ドラム61と転写ローラ63の間に用紙Sが搬送され、感光ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
【0019】
定着装置8は、プロセスカートリッジ5の後方に配置され、加熱ローラ81と加圧ローラ82とを主に備えている。トナー像が転写された用紙Sはこの定着装置8を通過し、その際に、用紙Sが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間で加熱及び加圧され、トナー像が用紙S上に定着させられる。定着装置8を通過した用紙Sは、排紙トレイ22上に排出される。
【0020】
<プロセスカートリッジの構成>
次にプロセスカートリッジ5の各ユニットについて説明する。前述のように、プロセスカートリッジ5は、感光体ユニット6と、感光体ユニット6に着脱可能な現像ユニット7を備えている。
【0021】
<現像ユニットの構成>
まず、現像ユニット7の構成について説明する。図2は、現像ユニット7の断面図であり、(a)は図3のA-A断面での断面図、(b)は図3のB-B断面での断面図である。なおA-A断面、B-B断面は上下方向及び前後方向に平行である。図3は現像ユニット7の斜視図である。図4は、現像ユニット7の分解斜視図である。図5は、感光体ユニット6に装着された現像ユニット7の断面図であり、その断面は上下方向及び前後方向に平行である。図6は、現像ユニット7の上視図であり、説明のため筐体700の天面を取り除いた状態を示している。図13は、現像ユニット7を下方から見た斜視図である。
【0022】
現像ユニット7は、図2(a)、(b)に示すように、現像枠体としての筐体700の前方にユーザが把持する把持部701を有し、後方に現像ローラ71が回転可能に支持されている。以降、現像ユニット7の構成に関して、現像ローラ71の回転軸線方向を軸方向と称して説明する。
【0023】
把持部701は、軸方向に直交する断面で見ると筐体700と重なる位置に配置されている。また、軸方向に関しては筐体700のほぼ中央部に配置している。すなわち、図3に示すように、軸方向に関して、内部にトナーを収容する空間700A1、700B1を備える第1筐体部700A、及び第2筐体部700Bの間に把持部701が配置されている。なお空間700A1は第1筐体部700Aの内部空間であり、図2(b)に示す第2筐体部700Bと空間700B1と同様の配置関係となっているため、図示していない。
【0024】
このような構成により、把持部701の周辺のスペースをトナー収容スペースとすることができる。このように前後方向における現像ユニットの幅に制約がある場合、本構成を採用することで、より多くのトナーを収容することができる。なお、軸方向に直交する断面で見た時、把持部701の少なくとも一部が第1筐体部700Aと第2筐体部700Bに重なっていれば上記の効果は得られる。より多くのトナーを入れるためには、把持部701の軸方向の長さは、ユーザビリティを損なわない程度に可能な限り小さい方が望ましい。
【0025】
図4図6に示すように、現像ローラ71、供給ローラ72、第1アジテータ(第1撹拌部材)75A、及び第2アジテータ(第2撹拌部材)75Bは、それぞれその両端を筐体700の左側壁704と右側壁705に回転可能に支持されている。筐体700の左側壁704よりも左側には、現像カップリング710、現像ローラギア711、供給ローラギア712、第1アジテータギア713、第2アジテータギア714、アイドルギア715A、715B、715Cが設けられている。現像ローラギア711は現像ローラ71の端部に固定され、供給ローラギア712は供給ローラ72の端部に固定されている。また、第1アジテータギア713は第1アジテータ75Aの撹拌棒78A(図5参照)の端部に固定され、第2アジテータギア714は第2アジテータ75Bの撹拌棒78B(図5参照)の端部に固定されている。
【0026】
装置本体2に設けられたドア21を閉じる動作に連動して、装置本体2に設けられた不図示の現像駆動伝達部材が、現像カップリング710に係合するための位置へ移動する。
逆にドア21を開く動作に連動して、現像駆動伝達部材は、現像カップリング710との係合を解除する位置へ移動する。
【0027】
ドア21を閉めると、現像駆動伝達部材から駆動力受部材としての現像カップリング710に駆動力が伝達(入力)され、現像カップリング710の周面に設けられたギアから現像ローラギア711を介して現像ローラ71が、供給ローラギア712を介して供給ローラ72が回転可能となる。現像駆動伝達部材は、現像カップリング710の所定範囲内での位置ずれを許容して、現像カップリング710に駆動力を伝達することができる構成となっている。現像カップリング710、現像ローラギア711、供給ローラギア712は、筐体700に取り付けられたサイドホルダ719によって、軸方向の移動を規制されている。
【0028】
トナーをより収容しつつ、装置本体2の高さを低くするためには、現像ユニット7の高さを低くすることが重要となる。そこで、図5に示すように、現像ユニット7が感光体ユニット6に装着された状態で、現像ユニット7が、ほぼ水平になるように配置することが必要である。現像ユニット7は、2本の第1アジテータ75A、第2アジテータ75Bを採用し、トナー収容部74内のトナーを撹拌し、最後まで使い切れるようにしている。第1アジテータ75Aは、撹拌棒78Aと撹拌シート79Aを備える。第1アジテータ75Aは、現像カップリング710からアイドルギア715Aを介して、第1アジテータギア713で駆動力を受けて回転可能に構成されている。第2アジテータ75Bは、撹拌棒78Bと撹拌シート79Bを備える。第2アジテータ75Bは、第1アジテータギア713からアイドルギア715B、715Cを介して、第2アジテータギア714で駆動力を受けて回転可能に構成されている。
【0029】
第2アジテータ75Bは、トナー収容部74内のトナーを第1アジテータ75A側へ供給している。トナー収容部74内の第1アジテータ75Aの近くにあるトナーは、第1アジテータ75Aで撹拌された後、供給ローラ72側へ供給され、更に供給ローラ72によって現像ローラ71に供給される。
【0030】
<感光体ユニットの構成>
次に、感光体ユニット6の詳細構成について説明する。図8は、プロセスカートリッジ5の斜視図である。図9は、感光体ユニット6の部分斜視図である。図10は、現像ユニット7と感光体ユニット6の斜視図である。図11は、プロセスカートリッジ5の斜視図である。図12は、感光体ユニット6と現像ユニット7と現像ローラ71と端部シール717の左右方向の配置関係を示す上視図である。なお、図12においては、説明のため、現像ローラ71と端部シール717を左右方向の位置を変えることなく現像ユニット7から抜き出した状態で記載している。
【0031】
感光体ユニット6は、図8に示すように、一対の左側壁611と右側壁612を有するフレーム610と、フレーム610の後方に回転可能に支持された感光ドラム61を主に備える。フレーム610の前方には、現像ユニット7が装着可能な装着部615とユーザが感光体ユニット6を把持する把持部617と、現像ユニット7を押圧する押圧部材640と、現像ユニット7を持ち上げるリフト部材(移動部材)642と、を備えている。リフト部材642は装着部615に装着された現像ユニット7を持ち上げる。左右方向において左側壁611と右側壁612の間に装着部615に装着された現像ユニット7のトナー収容部74が配置される。
【0032】
現像ユニット7に収納されるトナー量から決まる現像ユニット7の寿命は、感光ドラム61の感光層の厚みから決まる感光体ユニット6の寿命に比べて短く設定されている。従って、寿命に到達した現像ユニット7だけを感光体ユニット6とは別に交換する必要がある。その場合は、ドア21を開いて装置本体2内からプロセスカートリッジ5を取り出し、寿命に達した現像ユニット7を感光体ユニット6から取り外し、図10の装着方向ADで示すように、別の現像ユニット7を感光体ユニット6に取り付ける。その後、現像ユニット7が装着された感光体ユニット6をプロセスカートリッジ5として装置本体2へ装着する。
【0033】
図8図10図11に示すように、フレーム610の左側壁611、右側壁612には、感光ドラム61よりも前方に現像ローラ71の回転軸受け部材746A、及び746Bを受ける受け部641が形成されている。受け部641は、左側から見た時に前側が開放された略U字の凹部であり、現像ユニット7を感光体ユニット6に装着する過程で、現像ローラ71の回転軸746がその中に挿入される。受け部641は図10に示す現像ユニット7の装着方向ADへの移動をガイドする。
【0034】
図12に示すように、押圧部材640は、フレーム610の前方の左右方向に関して両端部に設けられ、付勢部材としての圧縮バネ640Aにより前から後へ向かう方向へ付勢されている。このため、圧縮バネ640Aの付勢力により、押圧部材640は現像ユニット7の筐体700の第1筐体部700A、及び700Bにそれぞれ設けられている被押圧リブ716A、716Bをそれぞれ押圧する。押圧部材640によって現像ユニット7を押圧することで、現像ローラ71を感光ドラム61に向けて付勢する。
【0035】
また、図9に示すように、感光ドラム61の左端部には斜歯の感光体ギア(第1ギア)65と斜歯の転写ギア(第2ギア)66が固定され、感光ドラム61と一体的に回転する構成となっている。プロセスカートリッジ5が装置本体2に装着されると、装置本体2の駆動ギア(図示せず)と感光体ギア65とが噛合うことで、感光ドラム61及び転写ギア66に駆動力が伝達されて回転可能な状態となる。更に転写ギア66は転写ローラ63の左端部に固定された転写ローラギア(第3ギア)67に噛み合っており、転写ローラ63も回転可能な状態となる。
【0036】
駆動力が伝達されると、感光ドラム61は感光体ギア65の斜歯の作用によって右側へ押圧されるように力を受ける。また、転写ギア66の斜歯の傾く方向は、感光体ギア65の斜歯の傾く方向と逆方向、転写ローラギア67は斜歯の傾く方向は、感光体ギア65の斜歯の傾く方向と同方向に設定している。従って、転写ローラ63は転写ローラギア67の斜歯の作用によって右側へ押圧されるように力を受ける。この様な構成を取ることで、転写ローラ63が、感光ドラム61と同じ方向(右側)に付勢されることとなる。その結果、感光ドラム61の回転軸線方向に関して、感光ドラム61と転写ローラ63はそれぞれフレーム610の右側壁612に突き当てて位置を決めることができるため、感光ドラム61に対する転写ローラ63との位置精度を良好にすることができる。その結果、設計上気にすべき公差を小さくできるため、転写ローラ63等を小型化して低コスト化することができる。また転写ローラギア67が斜歯であることにより、転写ローラ63が回転中は、転写ローラ63の回転軸線方向(左右方向)に関する位置が安定するため、画像不良が発生しにくい。
【0037】
また、転写ギア66の外径の大きさは、感光体ギア65の外径の大きさよりも小さく設定している。これにより、感光体ギア65を確実に装置本体2の駆動ギアと噛み合わせることができる。なお、感光ドラム61の回転軸線方向に関して、感光ドラム61と転写ローラ63のそれぞれを斜歯ギアの付勢力で付勢する方向は右側でなく左側でも良い。
【0038】
また、図8に示すように、現像ユニット7が感光体ユニット6に装着された状態で、感光体ユニット6の把持部617は現像ユニット7の把持部701よりも前側に配置される。そして、把持部617の左右方向の長さは、把持部701の左右方向の長さよりも大きく構成されている。ここで、現像ユニット7を装着した感光体ユニット6は現像ユニット7単体よりも重量が大きい。そこで、このような左右方向の長さ関係とすると、ユーザがより重量のある現像ユニット7を装着した感光体ユニット6を把持する際に、把持部701を握る時よりも安定した握り方で把持部617を握ることができる。このためユーザがプロセスカートリッジ5を扱う上でのユーザビィリティを良好とすることができる。
【0039】
<各バイアス接点と現像カップリング710との位置関係>
図20は水平面上に設置した現像ユニット7の一部を現像ローラ71の回転軸線方向で右側から見た図である。現像ユニット7には、現像ローラ71に電気的に接続され、現像ローラ71に印加される電圧が供給される第1電気接点720A、及び供給ローラ72に電気的に接続され、供給ローラ72に印加される電圧が供給される第2接点720Bが設けられている。これらの電気接点が装置本体2に設けられた不図示の電力供給接点と接触することで、現像ローラ71、供給ローラ72に電力を供給する。
【0040】
図20には、上下方向及び前後方向に関する、現像カップリング(駆動力受部材)710と第1電気接点720A、第2電気接点720Bとの配置関係を説明するために、現像カップリング710の駆動力受部と回転中心710Eを一点鎖線で記している。図20に示すように、前後方向(水平方向)に関して、回転中心710Eは第1接点720Aと第2接点720Bが配置される幅W1の領域内に配置されている。また、上下方向(鉛直方向)に関して、回転中心710Eは第1電気接点720Aと第2電気接点720Bが配置される幅W2の領域内に配置されている。幅W1は第1電気接点720Aと第電気2接点720Bのうち前後方向に関して最も前側の端部と最も後側の端部の間の距離である。幅W2は第1電気接点720Aと第2電気接点720Bのうちの上下方向に関して最も上側の端部と最も下側の端部の間の距離である。前後方向及び上下方向で第1電気接点720Aと第2電気接点720Bが配置される領域は、上記の前後方向で幅W1内にあり上下方向で幅W2内にある領域である。このようにすることで、装置本体2と接触する必要のある現像カップリング710と、第1電気接点720A、第2電気接点720Bと、を上下方向及び前後方向でほとんど同じ位置に配置することができる。従って、上下方向及び前後方向に関して、現像ユニット7が大きくなることを抑制することができる。
【0041】
なお、現像ローラ71に担持するトナーの厚みを規制する現像ブレードに印加される電圧を第2電気接点720Bから供給する構成であっても良い。
【0042】
<現像ユニット7の押圧構成>
次に、現像ユニット7の被押圧部である被押圧リブ716A、716Bについて図6図15図19を用いて説明する。図15は現像ユニット7が装着された感光体ユニット6との斜視図である。図19は、現像ユニット7を左側から見た側面図である。図6に示すように、筐体700の左側壁704及び右側壁705に近く、前後方向で強度が比較的高い部分である左右方向に関して両端部に被押圧リブ716A、及び716Bを設けた。
これにより、筐体700の強度を確保して押圧部材640の押圧力によって変形することを抑制することができる。
【0043】
また、被押圧リブ716A、716Bの押圧部材640との接触し押圧される部分を被押圧部716A1(第1被押圧部)、716B1(第2被押圧部)、現像ローラ71の感光ドラム62が接触する接触部を接触部71bとする。押圧部材640の押圧方向に関して、現像ローラ71が感光ドラム61に安定して押圧されるためには、被押圧部716A1、716B1が接触部71bからなるべく遠い方が良い。つまり、被押圧部716A1、716B1が接触部71bから遠いほど、被押圧リブ716A、716Bと現像ローラ71の軸受け部の間に存在する筐体700の体積が大きい。このため、2つの圧縮バネ640Aの付勢力のばらつきの影響を受けにくく、現像ローラ71を感光ドラム61に付勢する力の左右差が出にくい。ここで押圧部材640の押圧方向は前後方向と平行である。
【0044】
このため、押圧部材640の押圧方向に関して第1アジテータ75Aや第2アジテータ75Bの撹拌棒78A、78Bより前側に被押圧リブ716A、及び716Bを設けている。具体的には、第2アジテータ75Bの撹拌棒78Bの回転中心78B1は、第1アジテータ75Aの撹拌棒78Aの回転中心78A1よりも現像ローラ71の回転中心から遠い位置に配置されている。そして前後方向における、接触部71bから第2アジテータ75Bの撹拌棒78Bの回転中心78B1までの距離よりも、接触部71bから被押圧部716A1までの距離の方が長い。同様に、接触部71bから第2アジテータ75Bの撹拌棒78Bの回転中心78B1までの距離よりも、接触部71bから被押圧部716B1(図6参照)までの距離の方が長い。なお、現像ローラ71の回転中心からの回転中心78B1及び被押圧部716B1の距離についても同様の関係となっている。
【0045】
更に、図6に示すように、被押圧リブ716A、及び716Bは、押圧部材640の押圧方向と平行な前後方向でずれて配置されている。具体的には被押圧リブ716Bが、716Aよりも後方側に配置されている。図19に示すように、押圧部材640の押圧方向(力F1の方向)に関して、現像ローラ71の感光ドラム61との接触部71bから被押圧リブ716Aの被押圧部(第1被押圧部)716A1までの距離D4とする。また、接触部71bから被押圧リブ716Bの被押圧部(第2被押圧部)716B1までの距離D5とする。すると、距離D4の方が距離D5よりも長い。なお、本来左側から現像ユニット7を見た場合、被押圧部716B1が見えないが、図19においては説明のために被押圧部716B1の位置を示している。また、被押圧部716A1と被押圧部716B1はそれぞれ押圧部材640から互いに平行な力F1を受ける。
【0046】
筐体700の現像ローラ71の軸受の位置の関係等によっては、現像ローラが片当たりする可能性がある。片当たりとは、現像ローラ71の左側の部分と右側の部分で感光ドラム61への当接圧が異なる場合である。
【0047】
このように被押圧部716A1、716B1の位置を押圧部材640の押圧方向(前から後ろに向かう方向)でずらすことで、上述した片当たりの発生を抑制することが可能になる。片当たりを抑制するためには、左側の押圧部材640を押圧する圧縮バネ640Aのバネ圧を右側の押圧部材640を押圧する圧縮バネ640Aのバネ圧と異ならせることも有効である。しかしながら、上述のような、被押圧部716A1、及び716B1の位置を前後方向でずらす構成により、接触部71bとの距離がそれぞれ異ならせることができ、片当たりを抑制しつつ同じ圧縮バネ640Aを用いることが可能となる。従って、現像ローラ71と感光ドラム61の左右の当接状態を安定させつつ、コストダウンを図れる。なお、片当たりの状況によっては、押圧部材640の押圧方向に関して、被押圧部716A1、716B1と接触部71bとの距離の関係を上記と逆にしても良い。
【0048】
更に、図15に示すように被押圧リブ716A、及び716Bは、押圧部材640の押圧方向(力F1の方向)及び現像ローラ71の軸線方向(左右方向)に直交する取り外し方向Y1でもずれて配置されている。取り外し方向Y1とは、現像ユニット7が感光体ユニット6から取り外しを開始する時に現像ユニット7の被押圧部716A1、716B1の移動する方向である。取り外し方向Y1は、現像ユニット7の感光体ユニット6に支持される被支持部718A、746A1が感光体ユニット6に支持される時に受ける力の方向と一致している。なお、現像ユニット7を感光体ユニット6から取り外していく過程で、被押圧部716A1、716B1の移動軌跡は離脱方向LD示すように現像ローラ71の回転中心を中心とする円弧状になる。
【0049】
具体的には被押圧リブ716Aが、716Bよりも上側に配置されている。これにより、被押圧部716A1が、被押圧部716B1よりも上側に配置される。つまり、被押圧部716A1は、被押圧部716B1よりも取り外し方向Y1で下流に配置されている。
換言すれば、図19に示すように、取り外し方向Y1に関して、被押圧部716A1と接触部71bとの間の距離D6は被押圧部716B1と接触部71bとの間の距離D7よりも長い。なお、前後方向及び力F1の方向は現像ユニット7を装着した感光体ユニット6を水平の面に設置した時の水平線と平行で、上下方向は鉛直方向と平行である。また被押圧部716B1よりも上下方向における上側の位置とは、現像ユニット7を装着した感光体ユニット6を水平の面に設置した時の鉛直方向の上側の位置である。
【0050】
これについて図19を用いて説明する。現像ローラ71の感光ドラム61と接触する接触部71bを中心とするモーメントを考えた時、被押圧部716A1、716B1がそれぞれ押圧部材640から受ける力F1は、モーメントM1として作用する。被押圧部716A1、716B1の位置が取り外し方向Y1に関して、接触部71bよりも下流側に配置される程このモーメントM1は大きくなる。
【0051】
ここで、現像ユニット7の左側部には、現像ローラギア711、供給ローラギア712、第1アジテータギア713、第2アジテータギア714、アイドルギア715A、715B、715Cなど、複数のギアが配置されている。現像ユニット7の右側部にはギアは配置されていない。このため、現像ユニット7の右側部と比べると左側部の重量が重くなる。現像ユニット7の左側部、右側部とは、それぞれ現像ローラ71の軸線方向に関して現像ユニット7の中央よりも一端側の部分、他端側の部分のことを指す。ここで、現像ユニット7の左側の被押圧部716A1を右側部の被押圧部716B1よりも取り外し方向Y1に関して下流の位置に配置することで、現像ユニット7の左側部の右側部と比べ大きなモーメントM1が発生する。これにより、現像ユニット7をフレーム610から取り外す際、より重量の重い現像ユニット7の左側部を持ち上げるモーメントが作用するので、現像ユニット7が左右方向に対して傾くことが抑制され、ユーザビリティが良い。
【0052】
また本実施形態では感光体ユニット6のリフト部材642からY1方向の力を受ける当接面(力受け部)751A(図7参照)が、現像ユニット7の右側部のみにある。このため、現像ユニット7の左側部が右側部に比べて持ちあがりにくく、やはり左右方向に対して傾きやすい。このため、上述したように現像ユニット7の左側部の右側部と比べ大きなモーメントM1が発生する構成とすることで、現像ユニット7が左右方向に対して傾くことが抑制され、ユーザビリティが良い。
【0053】
また、現像ユニット7の左側右側での重量バランスやリフト部材642の位置によっては、上下方向における被押圧部716A1、716B1の位置関係を上記と逆にしても良い。なお、現像カップリング710、装置本体2に設けられた現像駆動伝達部材に係合して、回転駆動力を受ける。現像カップリング710が回転駆動力を受けている時、現像ユニット7の左側には接触部71bを中心としてモーメントM1の反対方向のモーメントを受ける。このため、上述した現像ユニット7の左側に作用するモーメントM1を打ち消すように力が作用するので、現像ユニット7を安定してフレーム610に固定しておくことができる。
【0054】
<現像カップリング710の構成>
図19に示すように、現像カップリング710には現像駆動伝達部材から駆動力を受ける駆動力受部710A~710Dが設けられている。駆動力受部710A~710Dは現像カップリング710の中心から点対称に配置されている。こうすることにより駆動力のロスを少なくできる。駆動力受部710A~710Dは4つの面で構成され、その内少なくとも3つを用いて駆動力を伝達する。駆動力受部710A~710Dの入り口には装置本体2に設けられた現像駆動伝達部材と係合するために現像駆動伝達部材をガイドする為の斜面が各々設けられている。
【0055】
<現像ユニット7の支持構成>
次に現像ユニット7の支持構成について図12を用いて説明する。左右方向に関して、押圧部材640の押圧部Pは、現像ローラ71上のトナーがコーティングされている領域よりも内側に配置している。左右方向に関して、現像ローラ71上のトナーをコーティングする領域の幅を決めるのは、筐体700の現像ローラに接触し、筐体700内からトナーが左右方向に漏れ出すことを規制する端部シール717の内側端部717Aである。押圧部材640の被押圧部716A1、716B1を押圧する2つの押圧部Pを通り前後方向に延びる破線をそれぞれ破線X1a、X1b、端部シール717の内側端部717Aの位置を通り前後方向に延びる破線をそれぞれ破線X2a、X2bとする。なお、破線X1a、X1bは被押圧部716A1、716B1も通る線である。そうすると、左右方向に関して、破線X1aが破線X2aよりも、破線X1bが破線X2bよりも内側に配置される関係となっている。
【0056】
この圧縮バネ640Aの付勢力は、リフト部材642の操作部642Aを操作した際に、現像ユニット7を感光体ユニット6から離脱する方向に移動させることができるように設定されている。
【0057】
図12に示すように、フレーム610の底面613の左右方向で両端部に上方向に突出した突起部643を設けている。この突起部643は、図13に示す、現像ユニット7の筐体700の底部に設けられたリブ718に当接することで筐体700を支持する。突起部643の中心を通り前後方向に延びる破線を破線X3a、X3bとすると、左右方向に関して、破線X3aが破線X1aよりも、破線X3bが破線X1bよりも外側に配置されている。なお、外側、内側とは左右方向におけるフレーム610の中央を基準とするものである。このようにすることで、左右方向でのフレーム610による筐体700の支持点間距離である破線X3a、X3b間の距離D3を、破線X1a、X1b間の距離D1よりも大きくすることができ、現像ユニット7を安定的に支持することができる。
【0058】
なお、距離D3が距離D1よりも大きければ、破線X3aが破線X1aの内側に配置、もしくは破線X3bが破線X1bの内側に配置される構成であっても良い。
【0059】
<現像ユニット7のリフト機構>
図14は現像ユニット7とリフト部材642の部分斜視図である。図16は現像ユニット7が装着された感光体ユニット6の上視図であり、(a)ではリフト部材642を透かして示しており、(b)ではリフト部材642を透かさず示している。図17は感光体ユニット6と現像ユニット7の断面図であり、その断面は上下方向及び前後方向に平行である。図17(a)は現像ユニット7が感光体ユニット6に装着されている状態、図17(b)は感光体ユニット6の上に現像ユニット7が載っている状態である。
【0060】
感光体ユニット6に装着された現像ユニット7はリフト機構によって、リフト状態へと移行した後に、感光体ユニット6から取り外される。このリフト機構について以下に詳述する。
【0061】
図14に示すように、リフト部材642は、圧縮バネ650の力を受けた状態で、右側壁612に回転可能に支持されている。リフト部材642の回転軸線642Xは左右方向(感光ドラム61の軸線方向)に平行である。リフト部材642は圧縮バネ650の力によってR1方向に回転するほうに付勢されている。フレーム610には、図15に示すように、リフト部材642の回転軌跡が確保できるように、切欠き部614が設けられている。
【0062】
ユーザが、圧縮バネ650の力に逆らってリフト部材642の操作部642Aを押してリフト部材642をR2方向に回転させることで、リフト部材642が突出部751を押圧し、現像ユニット7を感光体ユニット6から離脱する離脱方向LDへ移動させる。これにより、現像ユニット7は感光体ユニット6から取り外すことができる状態となる。操作部642Aは感光体ユニット6の右端部側(一端部側)に配置されている。
【0063】
現像ユニット7は、より多くのトナーを入れた、水平方向に長く、高さ方向に薄い構成になっている。従って、ユーザがリフト部材642の操作部642Aを操作する際に、より負荷を感じることなく、現像ユニット7を感光体ユニット6から離脱できることが重要である。
【0064】
負荷を減らすための工夫の一つとして、操作部642Aの面積がより大きい構成とした方が、よりユーザの操作が容易となる。そこで、図16(a)、(b)に示すように、リフト部材642の回転軸線方向に関して、操作部642Aの最も外側の端部である最外端642Bが、感光体ユニット6の右端部側に配置された右側壁612よりも外側(右側)に配置されている。更に、操作部642Aの回転軸線方向に関して、最外端642Bが、第1接点720A及び第2接点720Bの最も外側の表面よりも外側(右側)に配置されている。なお、外側、内側とは左右方向におけるフレーム610の中央を基準とするものである。これにより、プロセスカートリッジ5の挿入方向S1で先端側(下流側)である後側の部分の左右方向の幅が大きくなることを抑えつつ、リフト部材642の操作部642Aの面積を大きくすることができる。
【0065】
また、プロセスカートリッジ5を水平の面に載地した場合に、リフト部材642の操作部642Aの少なくとも一部が、上方から見て、押圧部材640と重なるように配置している。本構成において、上方から見てとは、プロセスカートリッジ5の挿入方向S1と左右方向とに直交する方向から見てと同義である。また別の表現をすれば、操作部642Aは、感光体ユニット6を水平面上に載置した状態において、操作部642Aと押圧部材640を水平面に投影した時に、押圧部材640と重なる位置に配置されている。この様な構成を取ることで、プロセスカートリッジ5を上方から見た時の占有面積が増えることを抑制しつつ、操作部642Aの面積を大きく確保することができる。そして操作部642Aの面積を大きく確保することで、ユーザが容易にリフト部材642を操作することができる。
【0066】
図17(a)に示すように、現像ユニット7が感光体ユニット6に装着されている装着状態では、押圧部材640によって、筐体700が押圧されることで現像ローラ71が感光ドラム61に向かって押しつけられている。また、押圧部材640によって現像ユニット7が感光体ユニット6から離脱しないようにロックされている。
【0067】
図14図15に示すように、リフト部材642は、その一端が、筐体700の突出部751の当接面(当接部)751Aを上方へ移動させる。これにより、現像ユニット7を、装着部615(図10参照)に装着された装着位置から離脱方向LDへ移動させて感光体ユニット6から離脱させることができる。
【0068】
図17(b)に示すように、離脱していくと、現像ユニット7は、筐体700の被支持面700cが押圧部材640の保持部640Bで支持された仮支持位置で保たれる。また、仮支持位置にある現像ユニット7は、現像ローラ71の回転軸746B(746A)が受け部641に支持された状態である。この状態は、ロック(現像ユニット7を感光体ユニット6から取り外すことの規制)が解除されつつ、リフトアップされた状態(リフトアップ状態)である。このため、現像ユニット7の把持部701は、図17(a)に示す装着状態よりも上方に配置される。その結果、ユーザが、把持部701を掴み易い。更に、リフトアップ状態から把持部701を掴んで現像ユニット7をそのまま持ち上げれば、他の部材を移動させるなどすることなく、現像ユニット7を感光体ユニット6から取り外すことができる。このようにして、ユーザは、感光体ユニット6から現像ユニット7を取り外して、新品の現像ユニット7を感光体ユニット6へ装着することができる。
【0069】
図18は現像ユニット7が装着された感光体ユニット6を水平な面に設置した状態で右側から見た図である。説明のため、感光体ユニット6の右側壁612は記載を省略している。
【0070】
図18に示すように、現像ユニット7が装着された状態で、リフト部材642の回転軸642Bの回転中心を中心C1、突出部751の中心、すなわち第2アジテータ75Bの回転中心を中心C2とする。更に、突出部752、すなわち第1アジテータ75Aの回転中心を中心C3、現像ローラ71の軸部71Aの中心(現像ローラ71の回転中心)を中心C4とする。また、中心C2と中心C4を結ぶ直線をY1、中心C3と中心C4を結ぶ直線をY2とする。
【0071】
現像ユニット7が装着された感光体ユニット6を水平の面に載地した状態で、中心C1を上方に設置するほど、操作部642Aを上方に配置することができ、ユーザが操作し易い。そこで、現像ユニット7が装着された感光体ユニット6を水平の面に載地した状態で、中心C1は、中心C2、中心C3、直線Y1、及び直線Y2のいずれよりも上下方向で上側に配置されるように構成している。このような構成により、感光体ユニット6及び現像ユニット7の高さを抑えつつも、操作部642Aは高い位置に配置してユーザの操作し易さを保つことができる。
【0072】
また、操作部642Aを軽い力で操作して現像ユニット7を離脱させるためには、筐体700のリフト部材642と当接する当接面751Aが、現像ローラ71の軸部71Aの中心C4からできるだけ離れた位置に設けられることが望ましい。このため、当接面751Aを中心C3よりも中心C4から離れた位置に設けている。つまり、感光ドラム61の回転軸線方向から見た時、中心C4から中心C3までの距離が中心C4から中心C2までの距離が短いという条件のもと、中心C4から当接面751Aまでの距離は、中心C4から遠い中心C3までの距離よりも長い。
【0073】
図7は感光体ユニット6に装着された現像ユニット7とリフト部材642を示す斜視図である。説明のため、現像ユニット7は第2アジテータ75Bの回転軸線を通る断面で切断した状態を示している。
【0074】
図7に示すように、リフト部材642から押圧される突出部751は、筐体700の右側壁705から右方向(現像ローラ71の軸線方向)に突出して設けられている。突出部751は右側端部が閉じた円筒形状であり、その外周面にリフト部材642の一端と当接し押圧される当接面751Aが設けられている。つまり当接面751Aは円弧面形状である。突出部751の内周面は第2アジテータ75Bの回転軸としての撹拌棒78Bを回転可能に支持する軸受け部751Bである。つまり軸受け部751Bは円弧面形状である。
なお、突出部751の内周面である軸受け部751Bは撹拌棒78Bの軸受けでなく、例えば撹拌棒78A、供給ローラ72の回転軸、現像ローラ71の回転軸などの回転部材の軸受けとしても良い。
【0075】
この構成により、当接面751Aを設けるための突出部と軸受け部751Bを設けるための突出部とを別々の突出部として右側壁705から突出して形成するよりも、筐体700の右側壁705より右側のスペースを空けることできる。従って、筐体700や感光体ユニット6の設計の自由度を高めたり、小型化したりすることができる。なお、突出部751の内周面と外周面はそれぞれ上記のように円弧(円筒)面形状でなくても良い。つまり突出部751の内周面と外周面を平面で形成し、そこに当接面751Aや軸受け部751Bを設けても良い。
【0076】
<変形例1>
図21は変形例1の現像ユニット7が装着された感光体ユニット6を右側から見た図である。図21に示すように、内周面が軸受け部751Bである円筒形状の第1突出部7511と、外周面に当接面751Aを設けた第2突出部7512と、第1突出部7511と第2突出部7512とを繋ぐ中間部7513を設けても良い。第1突出部7511、第2突出部7512、及び、中間部7513は、いずれも筐体700の右側壁705から右方向(現像ローラ71の軸線方向)に突出して設けられている。この構成により、当接面751Aを設けるための突出部と軸受け部751Bを設けるための突出部とを別々の突出部として右側壁705から突出して形成する構成と比べ、2つの突出部(第1突出部7511、第2突出部7512)の強度を上げることができる。
【0077】
<変形例2>
次に変形例2の感光体ユニット206について説明する。図22は現像ユニット7が装着された変形例2の感光体ユニット206を水平な面に設置した状態で右側から見た図である。説明のため、感光体ユニット206の右側壁は記載を省略している。
【0078】
変形例2の感光体ユニット206は、帯電ローラ62のかわりにコロナ帯電器262を備え、前露光部201と、回収ローラ202を更に備える点が上述した感光体ユニット6と異なる。その他の構成については変形例2の感光体ユニット206と上述した感光体ユニット6と同様であり、説明は省略する。
【0079】
コロナ帯電器262は非接触で感光ドラム61の表面を帯電する帯電ユニットである。
前露光部201は光源としての発光ダイオードと導光部材としてのライトガイドを備え、発光ダイオードから出射された光をライトガイドで導き、感光ドラム61の表面に光を照射する。発光ダイオードに供給される電流は、装置本体2から供給される。前露光部201の光の照射により感光ドラム61の表面が除電される。また、回収ローラ202には装置本体2から所定の電圧が印加され、感光ドラム61の表面に付着した紙粉やゴミなどの異物やトナーを回収する。感光ドラム61の画像形成中の回転方向(矢印61a)に関して、転写ローラ63、前露光部201、回収ローラ202、コロナ帯電器、現像ローラ71の順で上流から下流に向って並んで配置されている。
【符号の説明】
【0080】
1 画像形成装置
2 装置本体
5 プロセスカートリッジ
6 感光体ユニット
7 現像ユニット
61 感光ドラム
63 転写ローラ
71 現像ローラ
610 フレーム
700 筐体
640 押圧部材
642 リフト部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図22