(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】撮像システム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20240603BHJP
B60Q 1/00 20060101ALI20240603BHJP
B60Q 1/04 20060101ALI20240603BHJP
B60Q 1/24 20060101ALI20240603BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240603BHJP
G03B 15/03 20210101ALI20240603BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240603BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240603BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240603BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20240603BHJP
H04N 23/74 20230101ALI20240603BHJP
【FI】
H04N23/60 500
B60Q1/00 C
B60Q1/04 Z
B60Q1/24 Z
G03B15/00 H
G03B15/00 V
G03B15/03 Z
G03B17/02
G06T1/00 330Z
G06T7/00 650Z
H04N23/56
H04N23/74
(21)【出願番号】P 2022510420
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2021011356
(87)【国際公開番号】W WO2021193426
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】P 2020051232
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020058081
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】村松 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】北村 和隆
(72)【発明者】
【氏名】時田 主
【審査官】佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-230563(JP,A)
【文献】特開2003-087644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
B60Q 1/00
B60Q 1/04
B60Q 1/24
G03B 15/00
G03B 15/03
G03B 17/02
G06T 1/00
G06T 7/00
H04N 23/56
H04N 23/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲へ光を発する発光部と、
前記発光部が発する光が照射される領域を含む範囲を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像されたn(nは3以上の整数)枚の撮像画像からn-1枚の差分画像を生成する差分画像生成部と、を備え、
前記差分画像生成部は、前記n枚の撮像画像に含まれる、前記発光部の点灯時に撮像した画像と前記発光部の減光時に撮像した画像とに基づいて、前記差分画像を生成
し、
前記撮像部は、1フレームの期間をTとすると、1フレームの期間内でT/x(x>1)の時間露光し、
前記発光部は、T/xの時間内において光を発し、かつ、車両用灯具が備える光源の光度のx倍以上の光度で発光できるように構成されていることを特徴とする撮像システム。
【請求項2】
前記撮像部は、連続したn個のフレームから前記n枚の撮像画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記差分画像生成部は、
第1のフレームから取得した、前記発光部の点灯時に撮像した第1の撮像画像と、前記第1のフレームに続く第2のフレームから取得した、前記発光部の減光時に撮像した第2の撮像画像と、から第1の前記差分画像を生成し、
前記第2のフレームに続く第3のフレームから取得した、前記発光部の点灯時に撮像した第3の撮像画像と、前記第2の撮像画像と、から第2の前記差分画像を生成することを特徴とする請求項2に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記発光部は、発する光のピーク波長が940±20nmであることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の撮像システム。
【請求項5】
車両の周囲へ光を発する発光部と、
前記発光部が発する光が照射される領域を含む範囲を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像されたn枚の撮像画像からn-1枚の差分画像を生成する差分画像生成部と、を備え、
前記差分画像生成部は、前記n枚の撮像画像に含まれる、前記発光部が第1の光度C1で発光しているときに撮像した第1の撮像画像と、前記発光部が第2の光度C2(0<C2<C1)で発光しているときに撮像した第2の撮像画像と、に基づいて、前記差分画像を生成
し、前記第1の撮像画像と、前記発光部が第3の光度C3(C2<C3<C1)で発光しているときに撮像した第3の撮像画像と、に基づいて、前記差分画像を生成することを特徴とする撮像システム。
【請求項6】
前記撮像部は、連続したn個のフレームから前記n枚の撮像画像を取得することを特徴とする請求項
5に記載の撮像システム。
【請求項7】
前記差分画像生成部は、
前記第1の撮像画像と前記第2の撮像画像とから第1の差分画像を生成し、
前記第1の撮像画像と前記第3の撮像画像とから第2の差分画像を生成することを特徴とする請求項
5に記載の撮像システム。
【請求項8】
車両の周囲にある複数の標識を判別する判別部を更に備え、
前記判別部は、前記第1の差分画像から前記複数の標識に含まれる第1の標識を判別し、前記第2の差分画像から前記複数の標識に含まれる第2の標識を判別することを特徴とする請求項
7に記載の撮像システム。
【請求項9】
前記判別部は、前記第1の差分画像から前記第2の標識よりも車両に近い位置にある前記第1の標識を判別し、前記第2の差分画像から前記第1の標識よりも車両から遠い位置にある前記第2の標識を判別することを特徴とする請求項
8に記載の撮像システム。
【請求項10】
前記発光部は、車両用灯具が備える光源の通常の光度の10倍以上の光度で発光できるように構成されていることを特徴とする請求項
5乃至
9のいずれか1項に記載の撮像システム。
【請求項11】
前記撮像部は、1フレームの期間をTとすると、1フレームの期間内でT/x(x>1)の時間露光し、
前記発光部は、T/xの時間内において光を発し、かつ、前記光源の光度のx倍以上の光度で発光できるように構成されていることを特徴とする請求項1
0に記載の撮像システム。
【請求項12】
前記発光部は、発する光のピーク波長が940±20nmであることを特徴とする請求項
5乃至1
1のいずれか1項に記載の撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車照明が視認性に与える影響が大きい領域に適切に照明光が投光されるよう照明領域を設定することができる照明制御装置が考案されている(特許文献1参照)。この照明制御装置は、照明光点灯時に撮影された点灯画像と消灯時に撮影された消灯画像との差分画像に基づいて、自車照明がドライバの視認性に与える影響が大きい領域に適切に照明光が投光されるよう照明領域を設定することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、照明光点灯時に撮影された点灯画像と消灯時に撮影された消灯画像との差分画像に基づいて車両前方領域の状況を判断する場合、差分画像の数は撮影画像の数の半分となる。また、ある差分画像の消灯画像と次の差分画像の点灯画像との間の期間に生じる車両前方領域の状況変化に関する情報は、いずれの差分画像にも反映されない。
【0005】
また、カメラのダイナミックレンジの限界を超えて撮影された画像は、白飛びしたり黒つぶれしたりする。例えば、点灯画像を撮影した際の照明光が明るすぎれば識別対象が白飛びし、消灯時の環境光が暗すぎれば識別対象が黒つぶれすることがある。そのため、車両前方を撮影する際には適切な明るさで照明する必要がある。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、車両周囲の状況をより精度よく判別するための新たな技術を提供することにある。
【0007】
本発明の他の例示的な目的の一つは、車両周囲の状況をより精度よく判別するための新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の撮像システムは、車両の周囲へ光を発する発光部と、発光部が発する光が照射される領域を含む範囲を撮像する撮像部と、撮像部で撮像されたn(nは3以上の整数)枚の撮像画像からn-1枚の差分画像を生成する差分画像生成部と、を備える。差分画像生成部は、n枚の撮像画像に含まれる、発光部の点灯時に撮像した画像と発光部の減光時に撮像した画像とに基づいて、差分画像を生成する。
【0009】
この態様によると、n枚の撮像画像から1枚だけ少ないn-1枚の差分画像が得られるので、フレームレートをそれほど上げずに所望の数の差分画像が得られる。これにより、所定の時間内でより多くの差分画像を用いて車両周囲の状況をより精度よく判別できる。
【0010】
撮像部は、連続したn個のフレームからn枚の撮像画像を取得してもよい。これにより、不連続なn個のフレームからn枚の撮像画像を取得した場合と比較して、差分画像と差分画像との間で生じた車両周囲の状況の変化の情報を取りこぼしにくくなる。
【0011】
差分画像生成部は、第1のフレームから取得した、発光部の点灯時に撮像した第1の撮像画像と、第1のフレームに続く第2のフレームから取得した、発光部の減光時に撮像した第2の撮像画像と、から第1の差分画像を生成し、第2のフレームに続く第3のフレームから取得した、発光部の点灯時に撮像した第3の撮像画像と、前述の第2の撮像画像と、から第2の差分画像を生成してもよい。これにより、連続した3枚の撮像画像から、2枚の差分画像が生成される。また、各差分画像は、発光部の点灯時と減光時(消灯時も含む)のそれぞれに撮像した撮像画像の差分であるため、周囲の環境からの光の影響が抑えられている。つまり、発光部が発する光が照射される領域が主として撮像されるため、周囲の環境からの光やそれに伴う影の影響が低減され、撮像画像から生成される差分画像を用いた画像認識の精度が増す。
【0012】
発光部は、車両用灯具が備える光源の通常の光度の10倍以上の光度で発光できるように構成されていてもよい。これにより、周囲の環境からの光の影響がより抑えられる。
【0013】
撮像部は、1フレームの期間をTとすると、1フレームの期間内でT/x(x>1)の時間露光し、発光部は、T/xの時間内において光を発し、かつ、光源の光度のx倍以上の光度で発光できるように構成されていてもよい。このように、短時間で大出力の発光を行うことで露光時間を短くでき、その結果、環境光(例えば太陽光)が撮像画像に与える影響の割合を小さくできる。
【0014】
発光部は、発する光のピーク波長が940±20nmであってもよい。このような近赤外の波長の光は、環境光にあまり含まれていない。そのため、撮像部によって環境光と近赤外の波長の光とが区別されることで、近赤外の波長の光により照射された車両周囲の状況が精度よく判別できる。
【0015】
本発明の他の態様の撮像システムは、車両の周囲へ光を発する発光部と、発光部が発する光が照射される領域を含む範囲を撮像する撮像部と、撮像部で撮像されたn枚の撮像画像からn-1枚の差分画像を生成する差分画像生成部と、を備える。差分画像生成部は、n枚の撮像画像に含まれる、発光部が第1の光度C1で発光しているときに撮像した第1の撮像画像と、発光部が第2の光度C2(0<C2<C1)で発光しているときに撮像した第2の撮像画像と、に基づいて、差分画像を生成する。
【0016】
この態様によると、発光部の光度が異なる照射条件で撮像された、少なくとも2枚の撮像画像に基づいて差分画像が生成される。そのため、環境光の影響を低減しつつ、判別可能な明るさの対象物を含む差分画像が得られやすくなる。
【0017】
差分画像生成部は、第1の撮像画像と、発光部が第3の光度C3(C2<C3<C1)で発光しているときに撮像した第3の撮像画像と、に基づいて、差分画像を生成してもよい。これにより、2枚の撮像画像を撮像した際の発光部の光度の差(C1-C2,C1-C3)が異なる2枚の差分画像が生成される。そのため、少なくとも一方の差分画像において、判別可能な明るさの対象物を含む可能性が高くなる。
【0018】
撮像部は、連続したn個のフレームからn枚の撮像画像を取得してもよい。これにより、不連続なn個のフレームからn枚の撮像画像を取得した場合と比較して、差分画像と差分画像との間で生じた車両周囲の状況の変化の情報を取りこぼしにくくなる。
【0019】
差分画像生成部は、第1の撮像画像と第2の撮像画像とから第1の差分画像を生成し、第1の撮像画像と第3の撮像画像とから第2の差分画像を生成してもよい。
【0020】
車両の周囲にある複数の標識を判別する判別部を更に備えてもよい。判別部は、第1の差分画像から複数の標識に含まれる第1の標識を判別し、第2の差分画像から複数の標識に含まれる第2の標識を判別してもよい。これにより、判別可能な標識が増える。
【0021】
判別部は、第1の差分画像から第2の標識よりも車両に近い位置にある第1の標識を判別し、第2の差分画像から第1の標識よりも車両から遠い位置にある第2の標識を判別してもよい。これにより、距離の異なる複数の標識が存在していても、両方の標識を判別できる。
【0022】
発光部は、車両用灯具が備える光源の通常の光度の10倍以上の光度で発光できるように構成されていてもよい。これにより、周囲の環境からの光の影響がより抑えられる。
【0023】
撮像部は、1フレームの期間をTとすると、1フレームの期間内でT/x(x>1)の時間露光し、発光部は、T/xの時間内において光を発し、かつ、光源の光度のx倍以上の光度で発光できるように構成されていてもよい。このように、短時間で大出力の発光を行うことで露光時間を短くでき、その結果、環境光(例えば太陽光)が撮像画像に与える影響の割合を小さくできる。
【0024】
発光部は、発する光のピーク波長が940±20nmであってもよい。このような近赤外の波長の光は、環境光にあまり含まれていない。そのため、撮像部によって環境光と近赤外の波長の光とが区別されることで、近赤外の波長の光により照射された車両周囲の状況が精度よく判別できる。
【0025】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、車両周囲の状況をより精度よく判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】車両が備えるカメラが取得する多様な光を説明するための模式図である。
【
図2】本実施の形態に係る撮像システムのブロック図である。
【
図3】本実施の形態に係る撮像システムによる画像処理の一例を示す模式図である。
【
図4】撮像システムによる画像処理の参考例を示す模式図である。
【
図5】本実施の形態に係る撮像システムによる画像処理の他の例を示す模式図である。
【
図6】距離の異なる複数の交通標識を車両が備える発光部で照射した様子を示す模式図である。
【
図7】本実施の形態に係る撮像システムによる画像処理の変形例を示す模式図である。
【
図8】本実施の形態に係る撮像部における検出対象の輝度値と検出後の階調値との関係を示す模式図である。
【
図9】
図9(a)は、撮像画像1を示す図、
図9(b)は、撮像画像2を示す図である。
【
図10】本実施の形態の他の状況での撮像部における検出対象の輝度値と検出後の階調値との関係を示す模式図である。
【
図11】本実施の形態に係る撮像システムによる画像処理の他の変形例を示す模式図である。
【
図12】
図12(a)は、光度C1でランプが照射されたタイミングでカメラが取得した撮像画像1を示す図、
図12(b)は、光度C2でランプが照射されたタイミングでカメラが取得した撮像画像2を示す図、
図12(c)は、光度C3でランプが照射されたタイミングでカメラが取得した撮像画像3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0029】
(第1の実施の形態)
図1は、車両が備えるカメラが取得する多様な光を説明するための模式図である。近年、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems:先進運転支援システム)や自動運転に用いる画像認識は、車両10が備えるカメラ12によって取得した画像をもとにしてAIや機械学習による認識を行っている。しかしながら、画像取得の際に、周囲の光やそれによって生じる影の影響が問題となる。例えば、カメラ12に入射する光には、太陽や月の光といった自然環境光L1が照射された交通参加者からの反射光L1’が挙げられる。ここで、交通参加者14とは、車両がADASや自動運転のために必要とする認識対象であり、自動車、自転車、自動二輪車、歩行者、交通標識、信号灯等をいう。
【0030】
これら交通参加者14のうち、自動車16や自動二輪車18が備える灯具や、信号機といった照明器具からの照射光L2もカメラ12に入射する。加えて、車両10が備える発光部としてのランプ20から車両周囲へ発せられた照射光L3は、交通参加者14を照射し、その反射光L3’もカメラ12に入射する。このように、カメラに入射する光は多様であり、1枚の画像における明部や影がどの光によって生じているかを判別することは簡単ではない。
【0031】
具体的には、夜間では、周囲の光L2や車両10のロービームカットラインにより形成される光L3によって生じるコントラストがあげられる。昼間では、太陽の自然環境光L1と建物によって生じる影が認識の精度を低下させる。また、薄暮時では、周囲が薄暗くなって見にくくなるが、車両10のヘッドランプによる光を照射しても効果は薄く、認識がしづらい状況となる。また、同じ場所でも光の当たり方で影のでき方が異なるため、AIや機械学習の学習もそれらシーンまで想定して行わなければならないことが考えられる。
【0032】
そこで、上記課題を鑑み、本願発明者らは、自車側から照射する光L3による反射光L3’だけを検出することで、周囲の環境光による影響を受けることなく、また、影のない安定した画像を取得する可能性に想到した。具体的には、外部の光の影響を受けずに、自車側の光の反射だけを効率的に取り込む方法として以下の手法が考えられる。
【0033】
(手法1)照射する光の波長を選択する。例えば、環境光の中でも比較的少ない波長帯域の光(940nm±20nmの近赤外線)を使う。
【0034】
(手法2)カメラの露光時間を短くして、露光時間に同期してパルス的に大出力の光を照射することで、外部の光取り込みを抑えつつ、自車の光を効率的に取り込む。
【0035】
(手法3)さらに周囲の光の影響を排除するために、第1のタイミングで自車の光の照射と同期して露光して画像1を取得。続いて第2のタイミングで自車の光を照射しないでカメラを露光して画像2を取得する。その後、画像1と画像2の差分画像を生成することで、自車の照射光以外の光を相殺させる。
【0036】
上述の手法1~3を組み合わせることで、さらに周囲の光の影響を少なくすることができる。また、手法1ではピーク波長が940nm前後の近赤外線を用いるが、例えば可視光を用いて手法2と手法3とを組み合わせてもよい。また、可視光を用いる場合は、例えば光源をDRL(Daytime Running Lamps:デイタイムランニングランプ)の機能と共通にしてもよい。
【0037】
光の影響は、昼間の太陽光が100万cd/m2、自車の照射光が平均1万cd/m2(例えば出力が平均10W)とする。ここで自車の照射光をDuty1%で平均10Wを出力すると、瞬間で1000W出力できることとなり、輝度は100万cd/m2となる。
【0038】
そして、カメラの露光時間をDuty1%で同期させれば、昼間の輝度と同等の明るさが照射できる。さらに手法3のように2つの画像の差分をとることで、昼間でも自車の照射光の影響だけの映像を取得することが可能である。その際、カメラで受光する反射光として、ピーク波長が940nm前後の近赤外線に絞ることで、さらに鮮明に画像が取得可能となる。
【0039】
図2は、本実施の形態に係る撮像システム100のブロック図である。
図2に示すように、撮像システム100は、車両の周囲へ光を発する発光部102と、発光部102が発する光が照射される領域を含む範囲を撮像する撮像部104と、発光部102が発する光の強度や発光タイミング、撮像部の感度や撮像タイミングを制御する制御部106と、を有する。制御部106は、撮像部104で撮像された複数の撮像画像から差分画像を生成する差分画像生成部108を有する。
【0040】
図3は、本実施の形態に係る撮像システムによる画像処理の一例を示す模式図である。
図3に示すように、カメラは所定のフレームレートで連続して車両周囲を撮像する。具体的には、フレームF1のタイミングT1において、カメラの露光(時間t1)を開始するとともに、ランプの照射(時間t1’≦時間t1)を開始する。その結果、1枚目の撮像画像1が得られる。次に、フレームF2のタイミングT2において、カメラの露光(時間t2=時間t1)を開始するが、ランプは照射しない(または減光する)。その結果、2枚目の撮像画像2が得られる。
【0041】
撮像画像1は、
図1に示す自然環境光L1に起因する反射光L1’、交通参加者14からの照射光L2、ランプ20が照射した光の反射光L3’の情報を含んでいる。一方、撮像画像2は、ランプ20が非点灯の状態で撮像されているため、反射光L3’の情報を含んでおらず、反射光L1’と照射光L2との情報しか含んでいない。そこで、制御部106の差分画像生成部108において、撮像画像1と撮像画像2とから差分画像1を生成する。
【0042】
これにより、反射光L3’の情報のみを含んだ差分画像1が得られ、自然環境光L1に起因する反射光L1’や交通参加者14からの照射光L2の影響を抑えられる。その結果、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems:先進運転支援システム)や自動運転において、撮像画像や差分画像を用いた状況認識の精度が高まる。
【0043】
次に、フレームレートをそれほど上げずに差分画像を多く取得する方法について説明する。はじめに、特定の2枚の撮像画像から1枚の差分画像を生成する場合について説明する。
図4は、撮像システムによる画像処理の参考例を示す模式図である。
図4に示すように、各フレームF1~F4において、4枚の撮像画像1~4が得られる。撮像画像1および撮像画像3は、ランプの照射がある状態で撮像した画像、撮像画像2および撮像画像4は、ランプの照射がない状態で撮像した画像である。
【0044】
参考例に係る撮像システムでは、撮像画像1および撮像画像2から反射光L3’の情報のみを含んだ差分画像1が得られ、撮像画像3および撮像画像4から反射光L3’の情報のみを含んだ差分画像2が得られる。しかしながら、得られる差分画像の数は4フレームの撮像画像に対して2枚であり、仮に同じ時間で4枚の差分画像を取得しようとすれば、フレームレートを2倍に上げる必要がある。
【0045】
加えて、差分画像1および差分画像2に含まれる情報には、フレームF2でカメラの露光およびランプの照射が終了してから(T2+t1)、フレームF3で撮像が開始されるタイミングT3までに車両周囲で生じた状況の変化は含まれていない。つまり、一部の期間において情報の欠落が生じる可能性がある。
【0046】
図5は、本実施の形態に係る撮像システムによる画像処理の他の例を示す模式図である。本実施の形態に係る撮像システム100が備える差分画像生成部108は、撮像されたn(nは3以上の整数)枚の撮像画像からn-1枚の差分画像を生成する。差分画像生成部108は、n枚の撮像画像に含まれる、発光部の点灯時に撮像した画像と発光部の減光時に撮像した画像とに基づいて、差分画像を生成する。以下では、4枚の撮像画像から3枚の差分画像を生成する場合について説明する。
【0047】
図5に示すように、各フレームF1~F4において、4枚の撮像画像1~4が得られる。撮像画像1および撮像画像3は、ランプの照射がある状態で撮像した画像、撮像画像2および撮像画像4は、ランプの照射がない状態(あるいは減光時の状態)で撮像した画像である。
【0048】
本実施の形態に係る撮像システム100では、撮像画像1および撮像画像2から反射光L3’の情報のみを含んだ差分画像1が得られ、撮像画像2および撮像画像3から反射光L3’の情報のみを含んだ差分画像2が得られ、撮像画像3および撮像画像4から反射光L3’の情報のみを含んだ差分画像3が得られる。
【0049】
この態様によると、4枚の撮像画像から1枚だけ少ない3枚の差分画像が得られるので、フレームレートをそれほど上げずに所望の数の差分画像が得られる。同様に、60枚の撮像画像から59枚の差分画像が得られるので、フレームレートをほとんど変えずに撮像画像の枚数とほぼ変わらない枚数の差分画像が得られる。これにより、所定の時間内でより多くの差分画像を用いて車両周囲の状況をより精度よく判別できる。
【0050】
また、
図5に示す例では、撮像部104は、連続した4個のフレームから4枚の撮像画像1~4を取得している。これにより、不連続な4個のフレームから4枚の撮像画像を取得した場合と比較して、差分画像と差分画像との間で生じた車両周囲の状況の変化の情報を取りこぼしにくくなる。
【0051】
また、本実施の形態に係る差分画像生成部108は、フレームF1から取得した、発光部102の点灯時に撮像した撮像画像1と、フレームF1に続くフレームF2から取得した、発光部102の減光時に撮像した撮像画像2と、から差分画像1を生成し、フレームF2に続くフレームF3から取得した、発光部102の点灯時に撮像した撮像画像3と、前述の撮像画像2と、から差分画像2を生成している。これにより、連続した3枚の撮像画像1~3から、2枚の差分画像1,2が生成される。また、差分画像1や差分画像2は、発光部102の点灯時と減光時(減光時には消灯時も含まれる)のそれぞれに撮像した撮像画像の差分であるため、周囲の環境からの光の影響が抑えられている。つまり、発光部102が発する光が照射される領域が主として撮像されるため、周囲の環境からの光やそれに伴う影の影響が低減され、撮像画像から生成される差分画像を用いた画像認識の精度が増す。
【0052】
(第2の実施の形態)
次に、自車からの距離が異なる複数の交通標識(交通参加者14の一例)を判別する方法について説明する。
図6は、距離の異なる複数の交通標識を車両が備える発光部で照射した様子を示す模式図である。
図7は、本実施の形態に係る撮像システムによる画像処理の変形例を示す模式図である。
図8は、本実施の形態に係る撮像部における検出対象の輝度値と検出後の階調値との関係を示す模式図である。
図9(a)は、撮像画像1を示す図、
図9(b)は、撮像画像2を示す図である。
【0053】
図6に示す交通標識22a,22bは、車両10からの距離が異なり、その反射光L3’がカメラ12に入射した場合に制御部106で検出される輝度値はそれぞれ異なる。例えば、
図7に示すように、カメラは所定のフレームレートで連続して車両周囲を撮像する。具体的には、フレームF1のタイミングT1において、カメラの露光(時間t1)を開始するとともに、光度C1でランプの照射(時間t1’≦時間t1)を開始する。その結果、1枚目の撮像画像1が得られる。次に、フレームF2のタイミングT2において、カメラの露光(時間t2=時間t1)を開始するとともに、光度C2(0<C2<C1)でランプの照射(時間t1’=時間t2’<時間t2)を開始する。その結果、2枚目の撮像画像2が得られる。
【0054】
得られた2枚の画像のそれぞれには、輝度値の異なる2つの交通標識22a,22bが含まれることになる。そして、
図8に示す輝度と階調との関係から、光度C1でランプが照射されたタイミングでカメラ12が取得した輝度値Laの交通標識22aは、撮像画像1において階調Gaの交通標識22aとして認識される。同様に、光度C1でランプが照射されたタイミングでカメラ12が取得した輝度値Lbの交通標識22bは、撮像画像1において階調Gbの交通標識22bとして認識される。同様に、光度C2でランプが照射されたタイミングでカメラ12が取得した輝度値La’の交通標識22aは、撮像画像2において階調Ga’の交通標識22aとして認識される。同様に、光度C2でランプが照射されたタイミングでカメラ12が取得した輝度値Lb’の交通標識22bは、撮像画像2において階調Gb’の交通標識22bとして認識される。
【0055】
撮像画像1,2における交通標識22a,22bの輝度値La,Lb,La’,Lb’がカメラの検出範囲(ダイナミックレンジR1)に含まれる場合、
図9(a)や
図9(b)に示すように、いずれの撮像画像においても交通標識22a,22bの内容を判別できる。また、制御部106の差分画像生成部108において、撮像画像1と撮像画像2とから差分画像1を生成することで、反射光L3’の情報のみを含んだ差分画像1が得られ、自然環境光L1に起因する反射光L1’や他の交通参加者14からの照射光L2の影響を抑えられる。その結果、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems:先進運転支援システム)や自動運転において、撮像画像や差分画像を用いた状況認識の精度が高まる。
【0056】
一方、所定のランプの光度C1,C2によってあらゆる交通参加者14の判別ができるわけではない。その理由は、交通参加者それぞれの反射率が異なり、また、交通参加者との距離によってカメラに届く反射光L3’の明るさが異なるためである。そこで、本願発明者らは、判別可能な明るさの対象物の範囲を広げる差分画像を得られる技術を考案した。
【0057】
図10は、本実施の形態の他の状況での撮像部における検出対象の輝度値と検出後の階調値との関係を示す模式図である。
図11は、本実施の形態に係る撮像システムによる画像処理の他の変形例を示す模式図である。
図12(a)は、光度C1でランプが照射されたタイミングでカメラ12が取得した撮像画像1を示す図、
図12(b)は、光度C2でランプが照射されたタイミングでカメラ12が取得した撮像画像2を示す図、
図12(c)は、光度C3でランプが照射されたタイミングでカメラ12が取得した撮像画像3を示す図である。
【0058】
例えば、自車と交通標識との距離によっては、発光部の光度が高すぎる場合がある。その場合、撮像部における検出対象の輝度値と検出後の階調値との関係が
図10に示す白飛びの範囲R2に含まれることになる。したがって、光度C1でランプが照射されたタイミングでカメラ12が取得した輝度値Laの交通標識22aは、撮像画像1において階調Ga(階調値255)となり真っ白として認識される。同様に、光度C1でランプが照射されたタイミングでカメラ12が取得した輝度値Lbの交通標識22bは、撮像画像1において階調Gb(階調値255)となり真っ白として認識される(
図12(a)参照)。
【0059】
一方、発光部の光度が低すぎると、自車から遠い交通標識まで十分な光が届かない場合がある。その場合、撮像部における検出対象の輝度値と検出後の階調値との関係が
図10に示す黒つぶれの範囲R3に含まれることになる。したがって、光度C2でランプが照射されたタイミングでカメラ12が取得した輝度値La’の交通標識22aは、撮像画像2において階調Ga’となり標識の内容が認識される。それに対して、光度C2でランプが照射されたタイミングでカメラ12が取得した輝度値Lb’の交通標識22bは、撮像画像2において階調Gb’(階調値0)となり真っ黒として認識される(
図12(b)参照)。
【0060】
したがって、
図12(a)示す撮像画像1と
図12(b)に示す撮像画像2とから生成される差分画像1においては、交通標識22aは内容が判別できるものの交通標識22bは判別できない。そこで、本実施の形態に係る他の変形例では、
図11に示すように、フレームF1とフレームF2との間のフレームF3のタイミングT3において、カメラの露光(時間t3)を開始するとともに、光度C3(C2<C3<C1)でランプの照射(時間t3’≦時間t3)を開始する。その結果、3枚目の撮像画像3が得られる。
【0061】
次に、フレームF2のタイミングT2において、カメラの露光(時間t2=時間t1)を開始するとともに、光度C2(0<C2<C1)でランプの照射(時間t1’=時間t2’<時間t2)を開始する。その結果、2枚目の撮像画像2が得られる。光度C3でランプが照射されたタイミングでカメラ12が取得した輝度値La”の交通標識22aは、撮像画像3において階調Ga”(階調値255)となり真っ白として認識される。一方で、光度C3でランプが照射されたタイミングでカメラ12が取得した輝度値Lb”の交通標識22bは、撮像画像3において階調Gb”(階調値≠255)として認識される(
図12(c)参照)。
【0062】
図13(a)は、差分画像1を示す図、
図13(b)は、差分画像2を示す図である。前述のように、制御部106の差分画像生成部108において、撮像画像1と撮像画像2とから差分画像1を生成し、撮像画像1と撮像画像2とから差分画像2を生成することで、反射光L3’の情報のみを含んだ差分画像1,2が得られ、自然環境光L1に起因する反射光L1’や他の交通参加者14からの照射光L2の影響を抑えられる。また、撮像画像1と撮像画像2のみでは判別できなかった交通標識22bが、撮像画像3を用いることで判別可能となる。その結果、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems:先進運転支援システム)や自動運転において、撮像画像や差分画像を用いた状況認識の精度が高まる。なお、差分画像を生成する際に用いる2枚の撮像画像の組合せは、必ずしも上述の組合せに限られない。例えば、撮像画像2と撮像画像3とから差分画像2を生成してもよい。
【0063】
以上のように、本実施の形態に係る撮像システム100は、撮像部104で撮像されたn枚の撮像画像からn-1枚の差分画像を生成する差分画像生成部108を備える。差分画像生成部108は、n枚の撮像画像に含まれる、発光部102が光度C1で発光しているときに撮像した撮像画像1と、発光部102が光度C2(0<C2<C1)で発光しているときに撮像した撮像画像2と、に基づいて、差分画像1を生成する。
【0064】
これにより、発光部102の光度が異なる照射条件で撮像された、少なくとも2枚の撮像画像に基づいて差分画像が生成される。そのため、環境光の影響を低減しつつ、判別可能な明るさの対象物を含む差分画像が得られやすくなる。
【0065】
また、差分画像生成部108は、撮像画像1と、発光部102が光度C3(C2<C3<C1)で発光しているときに撮像した撮像画像3と、に基づいて、差分画像2を生成する。これにより、2枚の撮像画像を撮像した際の発光部の光度の差(C1-C2,C1-C3)が異なる2枚の差分画像が生成される。そのため、少なくとも一方の差分画像において、判別可能な明るさの対象物を含む可能性が高くなる。
【0066】
また、撮像システム100は、車両の周囲にある複数の交通標識を判別する判別部110を更に備えている。判別部110は、
図13(a)に示すように、差分画像1から複数の交通標識に含まれる交通標識22aを判別し、差分画像2から複数の標識に含まれる交通標識22bを判別できる。これにより、判別可能な標識が増える。
【0067】
換言すると、判別部110は、差分画像1から交通標識22bよりも車両10に近い位置にある交通標識22aを判別し、差分画像2から交通標識22aよりも車両10から遠い位置にある交通標識22bを判別できる。これにより、距離の異なる複数の標識が存在していても、両方の標識を判別できる。
【0068】
次に、フレームレートをそれほど上げずに差分画像を多く取得する方法について説明する。
図7に示すように、本実施の形態に係る撮像システム100が備える差分画像生成部108は、撮像されたn(nは3以上の整数)枚の撮像画像からn-1枚の差分画像を生成する。差分画像生成部108は、n枚の撮像画像に含まれる、発光部の点灯時に撮像した画像と発光部の減光時に撮像した画像とに基づいて、差分画像を生成する。以下では、4枚の撮像画像から3枚の差分画像を生成する場合について説明する。
【0069】
図7に示すように、各フレームF1~F4において、4枚の撮像画像1~4が得られる。撮像画像1および撮像画像3は、ランプの照射がある状態で撮像した画像、撮像画像2および撮像画像4は、ランプの照射がない状態(あるいは減光時の状態)で撮像した画像である。
【0070】
本実施の形態に係る撮像システム100では、撮像画像1および撮像画像2から反射光L3’の情報のみを含んだ差分画像1が得られ、撮像画像2および撮像画像3から反射光L3’の情報のみを含んだ差分画像2が得られ、撮像画像3および撮像画像4から反射光L3’の情報のみを含んだ差分画像3が得られる。
【0071】
この態様によると、4枚の撮像画像から1枚だけ少ない3枚の差分画像が得られるので、フレームレートをそれほど上げずに所望の数の差分画像が得られる。同様に、60枚の撮像画像から59枚の差分画像が得られるので、フレームレートをほとんど変えずに撮像画像の枚数とほぼ変わらない枚数の差分画像が得られる。これにより、所定の時間内でより多くの差分画像を用いて車両周囲の状況をより精度よく判別できる。
【0072】
また、
図7に示す例では、撮像部104は、連続した4個のフレームから4枚の撮像画像1~4を取得している。これにより、不連続な4個のフレームから4枚の撮像画像を取得した場合と比較して、差分画像と差分画像との間で生じた車両周囲の状況の変化の情報を取りこぼしにくくなる。
【0073】
また、本実施の形態に係る差分画像生成部108は、フレームF1から取得した、発光部102の点灯時に撮像した撮像画像1と、フレームF1に続くフレームF2から取得した、発光部102の減光時に撮像した撮像画像2と、から差分画像1を生成し、フレームF2に続くフレームF3から取得した、発光部102の点灯時に撮像した撮像画像3と、前述の撮像画像2と、から差分画像2を生成している。これにより、連続した3枚の撮像画像1~3から、2枚の差分画像1,2が生成される。また、差分画像1や差分画像2は、発光部102の点灯時と減光時(減光時には消灯時も含まれる)のそれぞれに撮像した撮像画像の差分であるため、周囲の環境からの光の影響が抑えられている。つまり、発光部102が発する光が照射される領域が主として撮像されるため、周囲の環境からの光やそれに伴う影の影響が低減され、撮像画像から生成される差分画像を用いた画像認識の精度が増す。
【0074】
なお、発光部102は、車両10の車両用灯具が備える光源の通常の光度の10倍以上の光度で発光できるように構成されているとよい。車両用灯具が備える光源とは、例えば、ヘッドランプやデイタイムランニングランプが有するLED光源やレーザ光源である。また、光源の通常の光度とは、例えば、車両10が備える車両用前照灯により形成される配光パターンの平均光度であり、数千~数万(1000~90000)[cd]の範囲である。そして、発光部102は、撮像のタイミングで点灯する際に、瞬間のピーク光度が数万~100万[cd]以上となるように構成されている。これにより、周囲の環境からの光の影響がより抑えられる。
【0075】
撮像部104は、
図5に示すように、1フレームの期間をTとすると、1フレームの期間内でT/x(=t1:x>1)の時間露光する。発光部102は、T/xの時間内(時間t1’≦時間t1)において光を発し、かつ、車両用灯具が備える光源の通常の光度のx倍以上の光度で発光できるように構成されている。このように、短時間で大出力の発光を行うことで露光時間を短くでき、その結果、自然環境光L1(例えば太陽光)が撮像画像1~4に与える影響の割合を小さくできる。
【0076】
発光部102は、前述のように発する光のピーク波長が940±20nmであってもよい。このような近赤外の波長の光は、環境光にあまり含まれていない。そのため、撮像部によって環境光と近赤外の波長の光とが区別されることで、近赤外の波長の光により照射された車両周囲の状況が精度よく判別できる。
【0077】
また、発光部や撮像部は、車両用灯具に備えられていてもよいし、車両用灯具以外の場所に備えられていてもよい。
【0078】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、車両の撮像システムに利用できる。
【符号の説明】
【0080】
10 車両、 12 カメラ、 14 交通参加者、 16 自動車、 18 自動二輪車、 20 ランプ、 100 撮像システム、 102 発光部、 104 撮像部、 106 制御部、 108 差分画像生成部。