(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】掃除ロボット及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
A47L 11/28 20060101AFI20240603BHJP
A47L 11/10 20060101ALI20240603BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20240603BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240603BHJP
【FI】
A47L11/28
A47L11/10
A47L9/28 E
G05D1/43
(21)【出願番号】P 2022513138
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(86)【国際出願番号】 CN2020111411
(87)【国際公開番号】W WO2021037065
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】201910788271.0
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519066739
【氏名又は名称】ポジテック パワー ツールズ(スーチョウ)カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】タン、イーユン
(72)【発明者】
【氏名】シェ、ミンヂィアン
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン、シソン
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-121364(JP,A)
【文献】特開2019-088779(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0142237(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0368644(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0075689(US,A1)
【文献】米国特許第05815880(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0101926(US,A1)
【文献】特開2019-171001(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107788913(CN,A)
【文献】特開2019-005577(JP,A)
【文献】特開2014-061375(JP,A)
【文献】特開平09-047413(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0018420(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2457486(EP,A2)
【文献】特開2017-131556(JP,A)
【文献】国際公開第2018/024897(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00- 9/32
A47L11/00-11/40
G05D 1/00- 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除ロボットであって、
本体と、
前記本体に設けられ、前記掃除ロボットを床面上で移動させ、掃除作業を実行させるための移動装置と、
前記本体に設けられ、前記掃除ロボットの前方床面特徴を検出するための検出装置と、
前記本体に設けられ、前記掃除ロボットの位置情報を取得するための位置決め装置と、
前記検出装置及び前記位置決め装置に電気的に接続され、前記掃除ロボットの作業領域のマップを保持又は取得する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記マップにおける前記掃除ロボットの位置を特定することができ、
前記制御装置は、前記検出装置からの検出結果に基づいて前記
前方床面特徴を認識し、また、認識した前記
前方床面特徴を、前記マップにおける前記掃除ロボットの位置と組み合わせて、前記掃除ロボットを制御して対応する動作を実行させることを特徴とする掃除ロボット。
【請求項2】
前記制御装置は、前記前方床面特徴が絨毯である場合、前記掃除ロボットの前記マップにおける異なる位置と組み合わせて、前記掃除ロボットが異なる動作を実行するように制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の掃除ロボット。
【請求項3】
前記前方床面特徴が絨毯である場合、前記マップにおける前記掃除ロボットの位置と組み合わせて、前記絨毯が所定領域にあるか否かを判断し、所定領域にある場合、前記掃除ロボットが前記絨毯に進入するように制御し、前記絨毯が非所定領域にある場合、前記掃除ロボットが前記絨毯に進入しないように制御し、
前記マップは、進行領域と、前記進行領域に出入りするための出入り口領域とを含み、前記非所定領域は、前記出入り口領域から第1所定距離範囲外の領域を含み、前記所定領域は、前記出入り口領域から第2所定距離範囲内の領域を含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の掃除ロボット。
【請求項4】
前記制御装置は、前記検出装置からの検出結果に基づいて前記前方床面特徴を認識し、また、認識した前記前方床面特徴を、前記マップにおける前記掃除ロボットの位置と組み合わせて、前記前方床面特徴の前記マップにおける位置を識別し、
前記前方床面特徴が第一位置にある場合、前記掃除ロボットが第一の対応する動作を実行するように制御し、前記前方床面特徴が第二位置にある場合、前記掃除ロボットが、第一の対応する動作と異なる第二の対応する動作を実行するように制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の掃除ロボット。
【請求項5】
前記制御装置は、前記検出装置からの検出結果に基づいて、前記
前方床面特徴が絨毯であるか否かを認識することを含む、前記
前方床面特徴の識別を行い、
前記制御装置は、前記掃除ロボットを制御して、前記絨毯のある領域に進入しないか又は前記絨毯のある領域を通過することを含む、対応する動作を実行させることを特徴とする請求項1に記載の掃除ロボット。
【請求項6】
前記検出装置は、超音波センサ、光学センサ、ミリ波レーダーセンサ、及び機械式スイッチのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載の掃除ロボット。
【請求項7】
前記検出装置は、距離測定センサを含み、前記検出装置は、前記掃除ロボットと前記床面との距離を検出することによって前記床面の高さを表す高さパラメータを取得し、前記制御装置は、前記高さパラメータが第1のプリセット値より大きい場合に、前記
前方床面特徴が絨毯であると認識することを特徴とする請求項
5に記載の掃除ロボット。
【請求項8】
前記マップは、進行領域と、前記進行領域に出入りするための出入り口領域とを含み、前記制御装置は、前記
前方床面特徴が絨毯であると認識し、かつ、前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記掃除ロボットが前記出入り口領域から第1の所定距離の範囲外にあると判断した場合、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域に入らないように制御することを特徴とする請求項1に記載の掃除ロボット。
【請求項9】
前記マップは、進行領域と、前記進行領域に出入りするための出入り口領域とを含み、前記制御装置は、前記
前方床面特徴が絨毯であると認識し、かつ、前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記掃除ロボットが前記出入り口領域から第2の所定距離の範囲内にあると判断した場合、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域を通過するように制御することを特徴とする請求項1に記載の掃除ロボット。
【請求項10】
前記掃除ロボットは、領域間移動モードを含み、領域間移動モードでは、前記制御装置は、前記掃除ロボットをある進行領域から前記出入り口領域を通過して別の進行領域に進入するように制御し、
前記制御装置は、前記領域間移動モードでは、前記
前方床面特徴が絨毯であると認識し、かつ前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記掃除ロボットが前記出入り口領域から第2の所定距離の範囲内にあると判断した場合、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域を通過して、ある進行領域から別の進行領域に入るように制御することを特徴とする請求項
9に記載の掃除ロボット。
【請求項11】
前記掃除ロボットは、領域内移動モードを含み、領域内移動モードでは、前記制御装置は、前記掃除ロボットをある進行領域内を移動しながら掃除作業を行うように制御し、
前記制御装置は、前記領域内移動モードでは、前記
前方床面特徴が絨毯であると認識した場合、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域に入らないように制御することを特徴とする請求項
9に記載の掃除ロボット。
【請求項12】
前記制御装置が前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域に進入しないように制御することは、前記掃除ロボットを前記絨毯から離れるように制御するか、又は前記掃除ロボットを前記絨毯のエッジに沿って移動するように制御することを含むことを特徴とする請求項
5、
8又は
11に記載の掃除ロボット。
【請求項13】
前記掃除ロボットは、前記本体の下面に設けられた床拭き部材と、前記床拭き部材を昇降させる床拭き部材昇降装置とをさらに含み、前記制御装置は、前記
前方床面特徴が絨毯であると認識した場合、前記床拭き部材を持ち上げるように前記床拭き部材昇降装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の掃除ロボット。
【請求項14】
前記位置決め装置は、レーザーSLAM位置決め装置又は視覚的SLAM位置決め装置であることを特徴とする請求項1に記載の掃除ロボット。
【請求項15】
前記マップは、前記位置決め装置によって取得されるか、又はユーザー端末から受信されることを特徴とする請求項1に記載の掃除ロボット。
【請求項16】
前記検出装置は、前記本体の底部に設けられるとともに前記本体の前部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の掃除ロボット。
【請求項17】
掃除ロボットの制御方法であって、
前記掃除ロボットは床面を移動しながら掃除作業を行い、前記掃除ロボットは、前記掃除ロボットの位置情報を取得するための位置決め装置と、前記掃除ロボットの前方床面特徴を検出するための検出装置とを含み、前記掃除ロボットは、前記掃除ロボットの作業領域のマップを保持するか又は取得することができ、前記制御方法は、
前記掃除ロボットの位置情報を取得し、前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記マップにおける前記掃除ロボットの位置を特定することと、
前記掃除ロボットの検出装置からの検出結果に基づいて前記掃除ロボットの前方床面特徴を認識し、また、認識した前記
前方床面特徴を、前記マップにおける前記掃除ロボットの位置と組み合わせて前記掃除ロボットを制御して対応する動作を実行させることを含むことを特徴とする掃除ロボットの制御方法。
【請求項18】
前記前方床面特徴が絨毯である場合、前記掃除ロボットの前記マップにおける異なる位置と組み合わせて、前記掃除ロボットが異なる動作を実行するように制御する、ことを特徴とする請求項
17に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項19】
前記前方床面特徴が絨毯である場合、前記マップにおける前記掃除ロボットの位置と組み合わせて、前記絨毯が所定領域にあるか否かを判断し、所定領域にある場合、前記掃除ロボットが前記絨毯に進入するように制御し、前記絨毯が非所定領域にある場合、前記掃除ロボットが前記絨毯に進入しないように制御し、
前記マップは、進行領域と、前記進行領域に出入りするための出入り口領域とを含み、前記非所定領域は、前記出入り口領域から第1所定距離範囲外の領域を含み、前記所定領域は、前記出入り口領域から第2所定距離範囲内の領域を含むことを特徴とする請求項
17又は
18に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項20】
前記
前方床面特徴が絨毯であると認識した場合、前記マップにおける前記掃除ロボットの位置に応じて、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域に進入しないように制御するか、又は前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域を通過するように制御することを特徴とする請求項
17に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項21】
前記マップは、進行領域と、前記進行領域に出入りするための出入り口領域とを含み、前記制御方法は、前記
前方床面特徴が絨毯であると認識し、かつ、前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記掃除ロボットが前記出入り口領域から第1の所定距離の範囲外にあると判断した場合、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域に進入しないように制御することを含むことを特徴とする請求項
17に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項22】
前記マップは、進行領域と、前記進行領域に出入りするための出入り口領域とを含み、前記制御方法は、前記
前方床面特徴が絨毯であると認識し、かつ、前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記掃除ロボットが前記出入り口領域から第2の所定距離の範囲内にあると判断した場合、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域を通過するように制御することを含むことを特徴とする請求項
17に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項23】
前記掃除ロボットは、領域間移動モードを含み、領域間移動モードでは、前記掃除ロボットをある進行領域から前記出入り口領域を通過して別の進行領域に進入するように制御し、
前記制御方法は、前記領域間移動モードでは、前記
前方床面特徴が絨毯であると認識し、かつ前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記掃除ロボットが前記出入り口領域から第2の所定距離の範囲内にあると判断した場合、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域を通過して、ある進行領域から別の進行領域に進入するように制御することを含むことを特徴とする請求項
22に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項24】
前記掃除ロボットは、領域内移動モードを含み、領域内移動モードでは、前記掃除ロボットをある進行領域内を移動しながら掃除作業を行うように制御し、
前記制御方法は、前記領域内移動モードでは、前記
前方床面特徴が絨毯であると認識した場合、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域に進入しないように制御することを含むことを特徴とする請求項
17に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項25】
前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域に進入しないように制御することは、前記掃除ロボットを前記絨毯から離れるように制御するか、又は前記掃除ロボットを前記絨毯のエッジに沿って移動するように制御することを含むことを特徴とする請求項
20、
21又は
24に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項26】
前記掃除ロボットは、本体の下面に設けられた床拭き部材と、前記床拭き部材を昇降させる床拭き部材昇降装置とをさらに含み、前記制御方法は、前記
前方床面特徴が絨毯であると認識した場合、前記床拭き部材を上昇させるように制御することを含むことを特徴とする請求項
17に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項27】
前記マップは、前記位置決め装置によって取得されるか、又はユーザー端末から受信されることを特徴とする請求項
17に記載の掃除ロボットの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、知能ロボットの技術分野に関し、特に掃除ロボット及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ技術と人工知能科学の急速な発展に伴い、現代ロボットの研究分野において知能ロボット技術が注目を浴びている。中でも、掃除ロボットが知能ロボットの最も実用的な形態である。
【0003】
自動掃除機、ロボット掃除機などとしても知られる掃除ロボットは、特定の人工知能によって部屋内で床面の掃除作業を自動的に完成することができる。掃除ロボットは動作する時、通常、ブラッシによる掃除と真空による掃除の両方によって、床面上の異物を自体に付属のゴミ箱に吸引して床面掃除の機能を完成する。該ロボットの本体は自動化技術を採用した可動装置であり、ダストボックスの真空集塵装置を搭載し、本体と合わせて制御パスを設定する。使用時、掃除ロボットは、屋内で繰り返し走行し、例えば、エッジに沿った掃除、集中掃除、ランダム掃除、ストレート掃除などのパスに応じて掃除する。従来の掃除ロボットは、主に掃除と吸引によってゴミを掃除するが、床面に水汚れや油汚れなどの液体の汚れ、又は床面に付着した掃除が難しい頑固な汚れがある場合は、効果的に掃除できなくなる。
【0004】
掃除・吸引が困難な上記の汚れをよく落とすために、床拭き機や床拭き機能一体型の床掃き・床拭き複合機が登場した。
【0005】
ある特定のシナリオでは、該ロボットは、床拭きモードにあるとき、掃除対象(例えば、床、床面タイル)の床面を湿らせた後、清掃する。該床面にウェットクリーニングに適さない前方物体(例えば、絨毯)がある場合、ユーザーは、ロボットが前方物体を自動的に認識し、前方物体に進入しないことを望んでいる。
【0006】
現在、床拭きモードで前方物体を認識できる方法の1つとしては、磁気ストライプを設けることによって仮想的な立ち入り禁止領域を設定し、ロボットが該仮想的な立ち入り禁止領域に進入することを回避する方法が採用される。ただし、上記の磁石を設ける方法は、以下の欠点がある。すなわち、使用前に磁石を取り付ける必要があるだけでなく、使用中に磁石が移動され、設定された仮想的な立ち入り禁止領域がずれたり、無効化されたりすることがあり、全体的には、使用体験と信頼性が劣る。
【0007】
また、実際的には、ほとんどの掃除ロボットは、屋内の状況に応じて前方床面特徴を認識し、かつ、屋内の状況に応じて判断を下して対応する動作を柔軟に実行し、さまざまな環境ニーズを満たすことができないため、インテリジェント化度が低く、ユーザー体験が悪い。
【発明の概要】
【0008】
先行技術における少なくとも1つの欠陥を克服するために、本発明は、前方床面特徴を認識でき、またマップ情報に合わせて対応する動作を実行でき、高度なインテリジェント化が図られ、使用上の信頼性が高く、包括的なユーザー体験が良好な、掃除ロボット及びその制御方法を提供する。
【0009】
本発明の上記の目的は、以下の技術的解決手段によって達成することができる。
【0010】
掃除ロボットであって、本体と、前記本体に設けられ、前記掃除ロボットを床面上で移動させ、掃除作業を実行させるための移動装置と、前記本体に設けられ、前記掃除ロボットの前方床面特徴を検出するための検出装置と、前記本体に設けられ、前記掃除ロボットの位置情報を取得するための位置決め装置と、前記検出装置及び前記位置決め装置に電気的に接続され、前記掃除ロボットの作業領域のマップを保持又は取得するための制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記マップにおける前記掃除ロボットの位置を特定することができ、前記制御装置は、前記検出装置からの検出結果に基づいて前記床面特徴を認識し、また前記マップにおける前記掃除ロボットの位置に合わせて、前記掃除ロボットを制御して対応する動作を実行させる。
【0011】
一実施形態において、前記制御装置は、前記検出装置からの検出結果に基づいて、前記床面特徴が絨毯であるか否かを認識することを含む、前記床面特徴の識別を行い、また、前記制御装置は、前記掃除ロボットを制御して、前記掃除ロボットが前記絨毯のある領域に進入しないか、又は前記絨毯のある領域を通過することを含む、対応する動作を実行させる。
【0012】
一実施形態において、記検出装置は、超音波センサ、光学センサ、ミリ波レーダーセンサ、及び機械式スイッチのうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
一実施形態において、前記検出装置は、距離測定センサを含み、前記検出装置は、前記掃除ロボットと前記床面との距離を検出することによって前記床面の高さを表す高さパラメータを取得し、前記制御装置は、前記高さパラメータが第1のプリセット値より大きい場合、前記床面特徴が絨毯であると認識する。
【0014】
一実施形態において、前記マップは、進行領域と、前記進行領域に出入りするための出入り口領域とを含み、前記制御装置は、前記床面特徴が絨毯であると認識し、かつ、前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記掃除ロボットが前記出入り口領域から第1の所定距離の範囲外にあると判断した場合、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域に入らないように制御する。
【0015】
一実施形態において、前記マップは、進行領域と、前記進行領域に出入りするための出入り口領域とを含み、前記制御装置は、前記床面特徴が絨毯であると認識し、かつ、前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記掃除ロボットが前記出入り口領域から第2の所定距離の範囲内にあると判断した場合、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域を通過するように制御する。
【0016】
一実施形態において、前記掃除ロボットは、領域間移動モードを含み、領域間移動モードでは、前記制御装置は、前記掃除ロボットをある進行領域から前記出入り口領域を通過して別の進行領域に進入するように制御する。前記制御装置は、前記領域間移動モードでは、前記床面特徴が絨毯であると認識し、かつ前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記掃除ロボットが前記出入り口領域から第2の所定距離の範囲内にあると判断した場合、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域を通過して、ある進行領域から別の進行領域に入るように制御する。
【0017】
一実施形態において、前記掃除ロボットは、領域内移動モードを含み、領域内移動モードでは、前記制御装置は、前記掃除ロボットがある進行領域内を移動しながら掃除作業を行うように制御する。前記制御装置は、前記領域内移動モードでは、前記床面特徴が絨毯であると認識した場合、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域に進入しないように制御する。
【0018】
一実施形態において、前記制御装置が前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域に進入しないように制御することは、前記掃除ロボットを前記絨毯から離れるように制御するか、又は前記掃除ロボットが前記絨毯のエッジに沿って移動するように制御することを含む。
【0019】
一実施形態において、前記掃除ロボットは、前記本体の下面に設けられた床拭き部材と、前記床拭き部材を昇降させる床拭き部材昇降装置とをさらに含み、前記制御装置は、前記床面特徴が絨毯であると認識した場合、前記床拭き部材を持ち上げるように前記床拭き部材昇降装置を制御する。
【0020】
一実施形態において、前記位置決め装置は、レーザーSLAM位置決め装置又は視覚的SLAM位置決め装置である。
【0021】
一実施形態において、前記マップは、前記位置決め装置によって取得されるか、又はユーザー端末から受信される。
【0022】
一実施形態において、前記検出装置は、前記本体の底部に設けられるとともに前記本体の前部に設けられる。
【0023】
一実施形態において、前記検出装置は、前記掃除ロボットと前記床面との距離を検出することにより、前記床面の高さを表す高さパラメータを取得し、前記制御装置は、前記高さパラメータとプリセット値との比較結果に従って前記床面特徴を認識する。
【0024】
一実施形態において、前記プリセット値は、第1のプリセット値を含み、前記高さパラメータが第1のプリセット値よりも大きい場合、前記制御装置は、前記床面特徴が絨毯であると認識する。
【0025】
一実施形態において、前記プリセット値は、第2のプリセット値を含み、前記高さパラメータが第2のプリセット値よりも小さい場合、前記制御装置は、前記床面特徴が崖であると認識し、このとき、前記掃除ロボットを前記崖のある領域に進入しないように制御する。
【0026】
一実施形態において、前記高さパラメータは、前記床面特徴の高さ値ΔHであり、前記検出装置は、垂直方向となす夾角がθである検出方向を有し、前記床面特徴の高さ値は、ΔH=ΔL×COSθであり、ここで、ΔLは、前記検出方向に沿って測定された距離基準値Lと、検出方向に沿って実際に測定された距離L1との間の差である。
【0027】
一実施形態において、前記検出装置は、動作前に前記高さパラメータを較正する。
【0028】
一実施形態において、前記検出装置は、距離測定センサを含み、前記距離測定センサは、TOFセンサ又は三角距離測定センサである。
【0029】
一実施形態において、前記マップは、進行領域と、前記進行領域に出入りするための出入り口領域と、出入り口以外の領域の境界とを含み、前記制御装置は、前記掃除ロボットの位置情報に基づいて、前記掃除ロボットが前記境界から第3の所定距離の範囲内にあると判断した場合、前記検出装置を遮蔽し、前記掃除ロボットを作業を続行するように制御する。
【0030】
一実施形態において、前記検出装置は垂直方向となす夾角の角度は0度~90度の範囲内にある検出方向を有し、前記検出方向と。
【0031】
一実施形態において、前記本体は、進行方向に沿って前面を有するハウジングを含み、前記検出装置は、前記前面に設けられる。
【0032】
掃除ロボットの制御方法であって、前記掃除ロボットは床面を移動しながら掃除作業を行い、前記掃除ロボットは、前記掃除ロボットの位置情報を取得するための位置決め装置と、前記掃除ロボットの前方床面特徴を検出するための検出装置とを含み、前記掃除ロボットは、前記掃除ロボットの作業領域のマップを保持するか又はそのマップを取得することができ、前記制御方法は、前記掃除ロボットの位置情報を取得し、前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記マップにおける前記掃除ロボットの位置を特定することと、前記掃除ロボットの検出装置からの検出結果に基づいて前記掃除ロボットの前方床面特徴を認識し、また前記マップにおける前記掃除ロボットの位置に合わせて、前記掃除ロボットを制御して対応する動作を実行させることとを含む。
【0033】
一実施形態において、前記床面特徴が絨毯であると認識した場合、前記マップにおける前記掃除ロボットの位置に応じて、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域に進入しないように制御するか、又は前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域を通過するように制御する。
【0034】
一実施形態において、前記マップは、進行領域と、前記進行領域に出入りするための出入り口領域とを含み、前記制御方法は、前記床面特徴が絨毯であると認識し、かつ、前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記掃除ロボットが前記出入り口領域から第1の所定距離の範囲外にあると判断した場合、前記掃除ロボットが前記絨毯のある領域に進入しないように制御することを含む。
【0035】
一実施形態において、前記マップは、進行領域と、前記進行領域に出入りするための出入り口領域とを含み、前記制御方法は、前記床面特徴が絨毯であると認識し、かつ、前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記掃除ロボットが前記出入り口領域から第2の所定距離の範囲内にあると判断した場合、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域を通過するように制御することを含む。
【0036】
一実施形態において、記掃除ロボットは、領域間移動モードを含み、領域間移動モードでは、前記掃除ロボットをある進行領域から前記出入り口領域を通過して別の進行領域に進入するように制御する。前記制御方法は、前記領域間移動モードでは、前記床面特徴が絨毯であると認識し、かつ前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記掃除ロボットが前記出入り口領域から第2の所定距離の範囲内にあると判断した場合、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域を通過して、ある進行領域から別の進行領域に進入するように制御することを含む。
【0037】
一実施形態において、前記掃除ロボットは、領域内移動モードを含み、領域内移動モードでは、前記掃除ロボットをある進行領域内を移動しながら掃除作業を行うように制御する。前記制御方法は、前記領域内移動モードでは、前記床面特徴が絨毯であると認識した場合、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域に進入しないように制御することを含む。
【0038】
一実施形態において、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域に進入しないように制御することは、前記掃除ロボットを前記絨毯から離れるように制御するか、又は前記掃除ロボットを前記絨毯のエッジに沿って移動するように制御することを含む。
【0039】
一実施形態において、前記掃除ロボットは、前記本体の下面に設けられた床拭き部材と、前記床拭き部材を昇降させる床拭き部材昇降装置とをさらに含む。前記制御方法は、前記床面特徴が絨毯であると認識した場合、前記床拭き部材を上昇させるように制御することを含む。
【0040】
一実施形態において、前記マップは、前記位置決め装置によって取得されるか、又はユーザー端末から受信される。
【0041】
本出願の実施形態において提供される掃除ロボット及び制御方法は、前記検出装置からの検出結果に基づいて、前記掃除ロボットの前方床面特徴のタイプを認識することができる。該掃除ロボットは、移動作業中に位置決め装置によって取得された位置情報と掃除ロボットの作業領域のマップを用いて、マップにおける位置をリアルタイムに較正し、また、前記マップにおけるその較正位置に応じて、対応する動作を実行することができる。これにより、さまざまな機能が実現され、高度なインテリジェント化が図られ、使用上の信頼性が高く、包括的なユーザー体験が大幅に向上する。
【0042】
具体的には、マップにおける掃除ロボットの位置に応じて、以下のような様々な制御動作を採用する。
1、掃除ロボットが出入り口領域(ドア)以外の領域の付近にある場合、前進方向に沿って前記検出装置からの検出結果に基づいて前方床面特徴が絨毯であると認識したとき、例えば、プリセット値(例えば、5mm)を超える凸部を感知したとき、該掃除ロボットを前方の領域に進入しないことによって、絨毯を汚すことを防ぐことができる。
2、掃除ロボットが出入り口領域(ドア)の付近にある場合、前進方向に沿って前記検出装置からの検出結果に基づいて前方床面特徴が絨毯であると認識したとき、例えば、プリセット値(例えば、5mm)を超える凸部を感知したとき、床拭き部材を持ち上げ、該掃除ロボットを前方の領域に進入させる。これにより、掃除ロボットは、単一の進行領域に制限されることなく、また絨毯を汚すことなく、異なる進行領域内に移動してグローバルマップに画定される範囲内で掃除作業を行うことが可能となる。
【0043】
本出願において提供される掃除ロボットは、主に該床面特徴の物理的寸法に基づいて前方床面特徴を認識する。したがって、先行技術における他の認識方法と比べて、使用時に絨毯を含む床面特徴を確実に認識できるだけでなく、仮想的な立ち入り禁止領域を設定する必要がない。
【0044】
さらに、前方の領域に進入しない場合に関しては、該検出装置の取付け角度を制御することで、前方床面特徴から一定の距離にあるときに前方床面特徴を事前に認識することができる。これにより、該掃除ロボットが前方の領域、例えば、ドア以外の絨毯、崖などに進入することをより確実に防ぐことができる。
【0045】
以下、図面及び実施形態を参照して本発明についてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の一実施形態における掃除ロボットの構造模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態における掃除ロボットの構造模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態における掃除ロボットの作業シーンの模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態における掃除ロボットの作業シーンの模式図である。
【
図5】本発明の実施形態における、絨毯を認識した後の掃除ロボットの走行モードの模式図である。
【
図6】本発明の実施形態における、絨毯を認識した後の掃除ロボットの走行モードの模式図である。
【
図7】本発明の実施形態における、絨毯を認識した後の掃除ロボットの走行モードの模式図である。
【
図8】本発明の一実施形態におけるグローバルマップの模式図である。
【
図9】本発明の一実施形態におけるグローバルマップの模式図である。
【
図10】本発明の一実施形態における床拭き部材を持ち上げる場合の模式図である。
【
図11】本発明の一実施形態における掃除ロボットの制御方法の手順のフローチャートである。
【
図12】本発明の一実施形態における掃除ロボットの制御方法の手順のフローチャートである。
【
図13】本発明の別の実施形態における掃除ロボットの構造模式図である。
【
図14】
図13の実施形態における、掃除ロボットが絨毯を認識する場合の模式図である。
【
図15】
図13の実施形態における掃除ロボットの前進方向側の検出装置の分布の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面及び具体的な実施形態を参照して本発明の技術的解決手段について詳細に説明する。これらの実施形態は、単に本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。加えて、本発明を読んだのち、当業者は、本発明に対して様々な均等的な意味の変更を行うことができ、このような変更もまた、本出願の添付の特許請求の範囲によって限定される範囲内にあることを理解されたい。
【0048】
なお、ある要素が別の要素に「設けられている」とは、ある要素が他の要素に直接又は要素を介在して存在していることと理解される。ある要素が別の要素に「接続されている」とは、ある要素が他の要素に直接接続されていてもよく、又は、介在する要素が存在していてもよいことと理解される。本明細書において使用される用語「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」及び類似の表現は、単に説明を意図するものであり、実施形態のみとして限定されることを意図しない。
【0049】
別段の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての技術的用語及び科学的用語は、本出願が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本出願の実施形態において使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためのものであり、本出願を限定することを意図しない。本明細書において使用される用語「及び/又は」は、関連して列挙された項目の1つ又は複数の任意及び全ての組み合わせを含む。
【0050】
図1~4に示すように、本出願の一実施形態は、掃除ロボット100を提供する。該掃除ロボット100は、本体1、移動装置6、位置決め装置5、検出装置3、及び制御装置(図示せず)などを含む。移動装置6は、本体1の下に設けられた走行輪、走行輪に伝動接続された伝動機構等を含む。掃除ロボット100は、本体1の中に設けられた電池をさらに含んでもよい。使用時、該電池によって供給される電気エネルギーは、該伝動機構を介して機械的エネルギーに変換され、走行輪に伝達される。これにより、掃除ロボット100は床面を移動させ、掃除作業を行うことができる。
【0051】
本実施形態において、検出装置3は、掃除ロボットの前方床面特徴44を検出するために使用される。具体的には、検出装置3は、前方の床面が絨毯であるか否かを認識することができる。具体的には、検出装置は、超音波センサ、光センサ(例えば、赤外線センサ)、ミリ波レーダーセンサ、機械式スイッチなどのうちの任意の1つ又はいくつかの組み合わせであってもよい。本実施形態において、検出装置3は、超音波センサ3aと、機械式スイッチ3b、3cとを含む。具体的には、本体1は、前進方向に沿った前部と後部とを含み、超音波センサと機械式スイッチは、いずれも本体の前部に設けられるとともに本体の底部に設けられ、これによって機器の前進方向における絨毯をリアルタイムかつ効果的に検出する。本分野における一般的な応用と同様に、超音波センサは、粗さの異なる床面で反射される送信信号の反射係数や受信信号の強さが異なるという原理を用いて絨毯を検出する。ここで説明を省略する。機械式スイッチは、構造部品とスイッチング素子の連携により絨毯を検出することができる。例えば、可動構造部品が絨毯に遭遇すると、外力で動き、スイッチング素子をトリガーする。スイッチング素子は、マイクロスイッチ、光電スイッチ、ホールスイッチ、リードパイプなどを含む。もちろん、他の実施形態において、検出装置は、本体の後部や側面などの他の位置に設けられてもよく、掃除ロボットが異なる方向に沿って移動するときの前方床面特徴44を検出することができる。
【0052】
本実施形態において、位置決め装置5は、本体1に設けられ、前記掃除ロボットの位置情報を取得するために使用されてもよい。具体的には、前記位置決め装置は、レーザーSLAM位置決め装置又は視覚的SLAM位置決め装置であってもよい。該位置決め装置の具体的な形態は、その動作原理によって異なってもよく、本出願はここで具体的に限定しない。
【0053】
本実施形態において、前記制御装置は、前記掃除ロボットの作業領域のマップ(グローバルマップ4と略称する)を保持又は取得することができる。具体的には、位置決め装置を搭載した掃除ロボットは、現在のレーザーSLAMマッピング技術又は視覚的SLAMマッピング技術、あるいは両者の組み合わせを用いてグローバルマップを取得することができる。もちろん、グローバルマップの取得方法は上記の例に限定されるものではなく、例えば、ユーザー端末アプリから送信されたデータを受信して取得してもよく、本出願はここで具体的に限定しない。
【0054】
一実施形態において、グローバルマップ4は、掃除ロボットが本格的に作業を開始する前に位置決め装置によって検出された信号に基づいてグローバルマップを事前に構築し、制御装置の記憶部に記憶することができる。もちろん、該グローバルマップ4は、掃除ロボットの移動作業中に位置決め装置によって検出された信号に基づいて同期的に構築することもできる。具体的には、本出願はここで具体的に限定しない。
【0055】
図8及び
図9に示すように、該掃除ロボットが具体的には屋内掃除ロボットである場合、該グローバルマップ4は、ユーザーの屋内平面図であってもよく、該グローバルマップ4は、客間、寝室、トイレ、台所などの進行領域41と、通常、ドアのある領域となる、前記進行領域41に出入りするするための出入り口領域42とを含む。また、該グローバルマップ4において、出入り口以外の領域の境界43をさらに設けてもよい。該出入り口以外の領域の境界43は、適用される環境によって異なってもよい。例えば、屋内掃除ロボットの場合、該出入り口以外の領域の境界43は壁であってもよい。該進行領域41は、掃除ロボットによる掃除を必要とする可能性のある領域であってもよい。屋内掃除ロボットの場合、該進行領域41は、ユーザーの平面間取り図の壁以外の領域であってもよい。
【0056】
具体的には、前記進行領域41は少なくとも2つであり、第1の進行領域41と第2の進行領域41とを含んでもよい。前記第1の進行領域41と前記第2の進行領域41との間に前記出入り口領域42が設けられている。すなわち、該出入り口領域42は、主に2つの進行領域41の境界位置を指す。前記出入り口領域42を、前記グローバルマップ4のグラフィックによって判断してもよく、ユーザーアプリによって指定してもよい。屋内掃除ロボットの場合、該出入り口領域42は主にドアのある領域を指す。
【0057】
掃除ロボットは、掃除装置をさらに含む。本実施形態において、掃除装置は、拭き及び/又は洗い装置を含む。例えば、該掃除ロボットが床拭き機又は床拭き・床掃き・集塵機能を一体化した機器である場合、該掃除ロボットには床拭き部材2が設けられてもよい。該床拭き部材2は、昇降装置を介して前記本体1に固定することができる。床拭き部材2は、工具なしで本体に着脱可能となるように設計されてもよい。床拭き機能が必要な場合、該昇降装置によって、床面に接触するまで、該床拭き部材2を降下させることができる。具体的には、該床拭き部材2の主に床拭き機能を果たす掃除部材は、モップの形態であってもよい。もちろん、該床拭き部材2は、スポンジ又は他の特定の形態であってもよいが、本出願はここで具体的に限定しない。
【0058】
制御装置は、前記検出装置3と位置決め装置5に電気的に接続され、検出装置3、位置決め装置5などの信号取得素子によって得た信号を取得し、続いて、取得した信号及び保持したコンピュータ実行可能命令に基づいて適切な制御命令を出す。
【0059】
前記制御装置は、前記掃除ロボットの位置情報に従って、前記マップにおける前記掃除ロボットの位置を特定することができる。具体的には、該制御装置は、マップにおける掃除ロボットの位置較正を行うとき、位置決め装置によって取得した該掃除ロボットの現在の位置情報を、グローバルマップ4において複数の角度から比較対照することによって、マップにおける掃除ロボットの現在位置を正確に特定することができる。
【0060】
本実施形態において、前記制御装置は、検出装置3からの検出結果に基づいて掃除ロボットの前方床面特徴44を認識し、またマップにおける掃除ロボットの位置に合わせて、掃除ロボットを制御して対応する動作を実行させる。具体的には、制御装置は、検出装置3からの検出結果に基づいて、床面特徴44が絨毯であるか否かを含む、掃除ロボットの前方床面特徴44を認識する。したがって、制御装置は、掃除ロボットを制御して、絨毯のある領域に進入しないか又は絨毯のある領域を通過することを含む、対応する動作を実行させる。
【0061】
例えば、制御装置は、床面特徴が絨毯であると認識し、かつ、掃除ロボットの位置情報に基づいて掃除ロボットが出入り口領域から第1の所定距離の範囲外にあると判断した場合、掃除ロボットを絨毯のある領域に進入しないように制御し、これによって掃除ロボットが絨毯を汚すことを回避する。
【0062】
制御装置は、床面特徴が絨毯であると認識し、かつ、掃除ロボットの位置情報に基づいて掃除ロボットが出入り口領域から第2の所定距離の範囲内にあると判断した場合、掃除ロボットを絨毯のある領域を通過するように制御する。これにより、掃除ロボットが絨毯を認識した後、絨毯のある領域に進入せず単一の進行領域に制限されるため、異なる進行領域に移動してグローバルマップに画定される範囲内で掃除作業を実行できないことを回避する。
【0063】
本実施形態において、第1の所定距離は、50cm~100cmであってもよい。具体的には、該第1の所定距離の値の範囲は、実際の適用シナリオに応じて決定することができる。例えば、一般的なユーザーの家では、玄関に絨毯を敷き、該絨毯の位置がドアの近くに一定の偏差範囲内にある可能性がある。この場合、ドアから第1の所定距離までの領域は、絨毯が存在する可能性のある領域として設定してもよい。該領域において絨毯を認識すると、掃除ロボットが該領域を通過して新しい進行領域に進入する。
【0064】
前記第2の所定距離の範囲は、実際の適用シナリオに応じて決定することができる。例えば、一般的なユーザーの家では、玄関に絨毯を敷き、該絨毯の位置がドアの近くに一定の偏差範囲内にある可能性がある。この場合、ドアから第2の所定距離までの領域は、絨毯が存在する可能性のある領域として設定してもよい。該領域において絨毯を認識すると、掃除ロボットが該領域を通過して新しい進行領域41に進入する。
【0065】
全体的には、該第2の所定距離は、第1の所定距離と同様に50cm~100cmであってもよい。また、該第2の所定距離は、第1の所定距離とは異なってもよく、例えば、玄関の実際の大きさに応じて設定してもよいが、本出願はここで具体的に限定しない。本実施形態において、第1の所定距離の範囲外の部分と第2の所定距離の範囲内の部分との間に重なりが存在する。
【0066】
本実施形態において、制御装置が掃除ロボットを絨毯のある領域に進入しないように制御することは、掃除ロボットを絨毯から離れるように制御するか、又は掃除ロボットを絨毯のエッジに沿って移動するように制御することを含む。
図5~7は、絨毯に遭遇したときの掃除ロボットのいくつかの移動モードの模式図である。
図5に示すように、ある場合において、掃除ロボットは絨毯に遭遇した後、絨毯のエッジに沿って移動し、絨毯のエッジ領域を掃除する。掃除ロボットは、絨毯のエッジに沿った掃除を完成すると、絨毯を検出した中断位置に戻って、以前のパス(例えば、弓形のパス)に沿って移動し続ける。
図6に示すように、ある場合において、掃除ロボットは絨毯に遭遇した後、絨毯を汚すことを避けるために絨毯から離れる。具体的には、掃除ロボットは、例えば、弓形のパスに沿って引き返す。
図7に示すように、ある場合において、掃除ロボットは絨毯に遭遇した後、絨毯を通過して次の進行領域に入って掃除を行い、グローバルマップに画定される範囲内で掃除作業を完成する。
【0067】
本実施形態において、掃除ロボットは、領域内移動モード及び領域間移動モードを含む。領域内移動モードでは、制御装置は、掃除ロボットをある進行領域において移動し、掃除作業を実行するように制御する。領域内移動モードでは、制御装置は、床面特徴が絨毯であると認識したとき、掃除ロボットを絨毯のある領域に進入しないように制御する。領域内移動モードでは、掃除ロボットは、絨毯を検出したとき、掃除ロボットと出入り口領域との距離を問わず、絨毯を避けて掃除作業を行う。具体的には、掃除ロボットは絨毯のエッジに沿って移動したり、折り返し移動したりすることができる。このように、掃除ロボットは、ある進行領域において掃除作業を続行し、該進行領域における掃除作業を完成することができる。
【0068】
領域間移動モードでは、制御装置は、掃除ロボットをある進行領域から出入り口領域を通過して別の進行領域に進入するように制御する。領域間移動モードでは、制御装置は、床面特徴が絨毯であると認識し、かつ掃除ロボットの位置情報に基づいて掃除ロボットが出入り口領域から第2の所定距離の範囲内にあると判断したとき、掃除ロボットを絨毯のある領域を通過して、ある進行領域から別の進行領域に進入するように制御する。掃除ロボットは、ある進行領域における掃除作業を完成すると、領域間移動モードに入り、自身の位置情報に従って、マップに基づいて出入り口領域まで移動し、それを通過して別の掃除作業が必要な進行領域に入って作業をする。掃除ロボットは、絨毯を検出し、かつ出入り口領域から第2の所定距離の範囲内にあるとき、絨毯のある領域を通過して別の進行領域に進入する。掃除ロボットは、絨毯を検出したが、出入り口領域から第1の所定距離の範囲外にあるとき、絨毯のある領域に進入しない。具体的には、掃除ロボットは絨毯を汚すことを回避するように絨毯を迂回してもよい。このように、掃除ロボットはグローバルマップに画定される範囲内で掃除作業を完成できるだけでなく、清潔で効率的な掃除効果を得ることができる。
【0069】
図10を参照し、さらに、前記検出装置によって絨毯を検出した場合、前記制御装置は、絨毯との接触を回避するために、前記床拭き部材2を持ち上げるように前記床拭き部材昇降装置を制御することもできる。特に、掃除ロボットが絨毯のある領域を通過して次の進行領域に進入する必要がある場合、該絨毯を通過する前に床拭き部材2を絨毯よりも高い位置まで持ち上げるように昇降装置を制御することにより、床拭き部材2内のモップが絨毯を汚すことを回避することができる。
【0070】
本実施形態において提供される掃除ロボットは、前記検出装置からの検出結果に基づいて、前記掃除ロボットの前方床面特徴44を認識することができる。該掃除ロボットは、移動作業中に位置決め装置によって取得された位置情報と掃除ロボットの作業領域のマップを用いて、マップにおける位置をリアルタイムに較正し、また前記マップにおけるその較正位置に応じて、対応する動作を実行することができる。これにより、さまざまな機能が実現され、高度なインテリジェント化が図られ、使用上の信頼性が高く、包括的なユーザー体験を大幅に向上させる。
【0071】
具体的には、マップにおける掃除ロボットの位置に応じて、以下のような様々な制御動作を採用する。
1、掃除ロボットが出入り口領域(ドア)以外の領域の付近にある場合、前進方向に沿って前記検出装置により絨毯を感知したとき、該掃除ロボットが前方の領域に入らず、これによって、絨毯を汚すことを防ぐことができる。
2、掃除ロボットが出入り口領域(ドア)の付近にある場合、前進方向に沿って前記検出装置3により絨毯を感知したとき、床拭き部材2が持ち上げられ、該掃除ロボットが前方の領域に進入する。これにより、掃除ロボットは、単一の進行領域に制限されることなく、また絨毯を汚すことなく、異なる進行領域内に移動してグローバルマップに画定される範囲内で掃除作業を行うことが可能となる。
【0072】
図11に示すように、本出願は、上記掃除ロボットに対応して、掃除ロボットの制御方法をさらに提供する。具体的には、掃除ロボットの制御方法は、以下のステップを含んでもよい。
【0073】
ステップS10:前記掃除ロボットの位置情報を取得し、前記掃除ロボットの位置情報に従って、前記マップにおける前記掃除ロボットの位置を特定する。
【0074】
ステップS12:前記掃除ロボットの検出装置からの検出結果に基づいて、前記掃除ロボットの前方床面特徴44を認識し、また前記マップにおける前記掃除ロボットの位置に合わせて、掃除ロボットを制御して対応する動作を実行させる。
【0075】
なお、該掃除ロボットの制御方法は、前方床面特徴44によって異なるシナリオに適用できることに注意されたい。本実施形態において、主に絨毯の認識を例に挙げて記述しているが、他の前方床面特徴44の形態は、本出願において提供される認識方法に従って適切に調整することができる。
【0076】
本実施形態において、掃除ロボットの制御方法の詳細な手順は、上記の説明を参照することができ、ここで説明を省略する。
図12は、本実施形態に係る掃除ロボットの制御方法のフローチャートである。
図12において、第1の所定距離と第2の所定距離が同じである例を示す。
【0077】
本出願は、絨毯を検出する検出装置及び対応する方法をさらに提供する。
【0078】
図13~15を参照し、一実施形態において、検出装置3は、距離測定センサを含み、該距離測定センサは、TOFセンサ又は三角距離測定センサであってもよい。中でも、TOFセンサはTOF(Time of Flight)と略称され、主に飛行時間技術を用いて距離を測定する。飛行時間技術(Time of Flight)技術の基本原理は、発光素子を積載し、発光素子から放出された光子が物体の表面に当たると反射されることである。特殊なCMOSセンサを使用して、発光素子から放出され、物体の表面で反射されたこれらの光子をキャプチャすることで、光子の飛行時間を取得することができる。光子の飛行時間から、光子が飛行する距離を物体の高さ(深さ)情報として推算することができる。ここで、該本体1は、前進方向に沿って前面11を有するハウジングを含んでもよい。前記検出装置3は、該前面11に設けられてもよい。本実施形態において、該検出装置3は、前記本体1に設けられ、前記掃除ロボットの前方床面特徴44を検出するために使用される。該前方床面特徴44は、掃除ロボットが位置する現在の床面に対して凸状を呈する凸部特徴又は凹状を呈する凹部特徴を含んでもよい。前方床面特徴44が凸部特徴である場合、該検出装置3は、主に、前方に物体がないときの床面の高さと、前方に物体があるときの床面の高さとを含む、前方の進行領域の高さを特定するために使用される。前記検出装置3の数は1つであってもよい。該検出装置3の数が1の場合、該検出装置3は、該前面11の中央部に設けることができる。また、前記検出装置3の数は2つ又は3つであってもよい。少なくとも2つの検出装置3は前記前面11の側縁に同じ高さで分布されている。例えば、検出装置3の数が2の場合、該2つの検出装置3は、前面11の側縁に同じ高さで分布されている。検出装置3の数が3の場合、該3つの検出装置3のうち2つは前面11の側縁に設けられ、1つは該前面11の中央部に設けられ、3つの検出装置3は同じ高さで設けられる。前面11の側縁に少なくとも2つの検出装置3が設けられている場合、機器が異なる角度から前方床面特徴44に進入する前に、前方床面特徴44を最も速く認識するという効果を実現することを保証することができる。
【0079】
本実施形態において、前記検出装置3は、検出方向を有する。前記検出方向と垂直方向とがなす夾角θは、0度~90度の範囲内にあり、これにより、該掃除ロボットが前方床面特徴44に進入する前に、前方床面特徴44を事前に認識して、対応する制御操作を実行できることを保証する。
【0080】
理論的には、該検出装置3の取付け角度(検出方向と重力方向とがなす夾角)は、0度~360度の範囲内の任意の角度であってもよい。該検出装置3による前方床面特徴44の検出を確実にするために、該検出装置3の検出方向と垂直方向とがなす夾角θを0度~90度の範囲内にする必要がある。該検出装置3の取付け角度は、検出方向と垂直方向とがなす夾角θと一致し、0度~90度の範囲内にあることが好適である。該検出装置3の取付け角度が90度~360度の範囲内にある場合、反射構造を追加し、光路反射の原理によって該検出装置3の検出方向と垂直方向とがなす夾角θを0度~90度の範囲内にすることができる。
【0081】
また、前進方向において、前記床拭き部材2は前記前面11の後ろに設けられている。前進方向において両者の距離はh1である。該検出装置3が垂直に設けられる場合でも、前方床面特徴44が検出されると、制御装置は、床拭き部材2を上昇動作又は停止動作を実行するように適時に制御することができる。これにより、該床拭き部材2が前方床面特徴44と接触することを回避できる。
【0082】
前記制御装置は、掃除ロボットが位置する現在の進行領域41において基準高さを較正し、検出装置3の高さパラメータを取得することができる。
【0083】
具体的には、該制御装置は、コンピュータ実行可能命令を記憶している。取得した信号と記憶されたコンピュータ実行可能命令に基づいて、前記検出装置3によって絨毯を感知したとき、前方に特定の床面特徴44があることを示す。
【0084】
さらに、該前方床面特徴44の認識精度を向上させるために、前進方向に沿って、該検出装置3によってプリセット値を超える凸部を感知し、かつ該凸部の長さが所定の長さを超えることを検出した場合、前方に前方床面特徴44が存在することを示す。ここで、前進方向に沿って、該検出装置3は、プリセット値を超える凸部を検出するのにかかった時間と、該掃除ロボット自体の進行速度に従って、該凸部の長さを特定することができる。その後、特定された該凸部の長さを所定の長さと比較し、検出された凸部の長さが所定の長さを超えているか否かを判断する。もちろん、該検出装置3は、前進方向に沿って凸部の長さを直接測定する機能を備えてもよく、後に検出された凸部の長さを所定の長さと比較し、検出された凸部の長さが所定の長さを超えるか否かを判断する。もちろん、前進方向に沿って凸部の長さを検出する方法は、上記の例に限定されず、本出願はここで具体的に限定しない。
【0085】
一実施形態において、前記検出装置3は、前記掃除ロボットと前記床面との距離を検出することにより、前記床面の高さを表す高さパラメータを取得し、前記制御装置は、前記高さパラメータとプリセット値と比較結果に基づいて、前記床面特徴44を認識する。
【0086】
本実施形態において、該高さパラメータは、高さ値又は検出方向の距離値を含んでもよい。高さパラメータが高さ値である場合、具体的に、検出した前方床面特徴44の最高点から基準床面までの高さ差ΔHであってもよい。高さパラメータが検出方向の距離値である場合、具体的に、検出方向の距離基準値Lと実際に測定した距離値L1との差ΔLであってもよい。
【0087】
ここで、ΔH=ΔL×COSθであり、ΔHをプリセット値と比較する方法を採用した場合、該プリセット値は具体的にプリセットされた高さ値であり、該ΔHが該プリセットされた高さ値を超える場合は、前方床面特徴44が認識されたことを示す。
【0088】
また、ΔLをプリセット値と比較する方法を採用した場合、該プリセット値はプリセットされた距離値であり、該ΔLが該プリセットされた距離値を超える場合、前方床面特徴44が認識されたことを示す。該プリセット値がプリセットされた距離値である場合、該検出装置3は、垂直方向と一定の角度をなすように本体1に斜めに設けることができる。
【0089】
以下の実施形態において、主に高さ値を例に挙げて説明するが、検出方向の距離値については、該高さ値を参照して類推することができ、本出願はここで説明を省略する。
【0090】
具体的には、前記プリセット値は第1のプリセット値を含み、前記検出装置3によって前記床面特徴の高さ値が第1のプリセット値よりも大きいことを検出した場合、前記制御装置は、前方床面特徴44が絨毯であると認識する。一般的に、ユーザーの屋内の床面は、床や床面タイルなど、平坦度の高い床面タイプである。掃除ロボットが前方床面特徴44のある進行領域41に位置する場合、該第1のプリセット値は、前方床面特徴44の高さ(又は高さ方向に沿った寸法)に応じて決めることができる。例えば、該前方床面特徴44が絨毯である場合、一般的な絨毯の厚さが5mm以上であることから、該第1のプリセット値を5mmに設定してもよい。
【0091】
さらに、絨毯は、一般に特定の寸法を有し、該寸法は絨毯の形状及び位置に応じて決定することができ、本出願はここで具体的に限定しない。しかし、絨毯の寸法は、該掃除ロボットの進行方向において少なくとも所定の長さを有する。したがって、該所定の長さを制御装置に記憶してもよく、例えば、該所定の長さは2cmであってもよい。
【0092】
本実施形態において提供される掃除ロボットが床拭きモードにあるとき、出入り口領域(ドア)以外の領域の近くで、前進方向に沿って前記検出装置3によって第1のプリセット値を超える凸部が感知されると、前方床面特徴44(例えば、絨毯)を認識したことを示す。さらに、該前方床面特徴44の認識精度を向上させるために、前進方向に沿って該検出装置3によって第1のプリセット値を超える凸部が感知され、かつ前記凸部の長さが所定の長さを超えることが検出されたとき、前方に前方床面特徴44が存在することを示す。
【0093】
本出願において提供される掃除ロボットは、主に前方床面特徴44の物理的寸法に基づいて前方床面特徴44を認識する。先行技術における他の認識方法と比べて、認識の信頼性がより高くなるだけでなく、仮想的な立ち入り禁止領域を設定する必要がないため、ユーザーの使用体験を大幅に向上させる。
【0094】
さらに、本出願において提供される掃除ロボットは、他の位置で前方床面特徴44を認識した後、対応する動作を実行することもできる。
【0095】
進行する領域が凹部領域である場合には、本出願において提供される掃除ロボットは落下防止機能を備える。
【0096】
前記プリセット値は、第2のプリセット値を含む。前記検出装置3によって前記床面特徴44の高さパラメータが前記第2のプリセット値よりも小さいことを検出した場合、前記制御装置は、前記床面特徴44が崖であると認識し、このとき、前記掃除ロボットを前記崖のある領域に進入しないように制御する。
【0097】
本実施形態において、前記第2のプリセット値は、主に現在の進行する領域の陥没の程度を評価するために使用される。具体的には、該第2のプリセット値は、ゼロ未満の負の数であってもよい。該第2のプリセット値は、該掃除ロボット自体の性能(例えば、障害物を避ける能力)に応じて具体的に特定することができ、例えば、-15cmとしてもよく、他の値としてもよいが、本出願はここで具体的に限定しない。該高さパラメータが該第2のプリセット値よりも小さい場合は、該掃除ロボットが落下後に正常に動作できなくなる恐れがあることを示す。
【0098】
別の場合には、グローバルマップ4を参照されたい。グローバルマップ4には、出入り口以外の領域の境界43をさらに含む。現在の位置が前記境界43から第3の所定距離内にあることを認識した場合、前記検出装置3を遮蔽し、前記掃除ロボットを作業を続行するように制御される。
【0099】
本実施形態において、該境界43は壁であってもよい。以下、主に壁を例に挙げて説明する。該第3の所定距離は5cmであってもよいが、その具体的な値は5cmに限定されず、本出願はここで具体的に限定しない。該掃除ロボットが壁から第3の所定距離内まで移動するとき、該掃除ロボットが壁を前方床面特徴44と見なして接近しないことを回避するために、前記検出装置3を遮蔽する。該検出装置3が遮蔽された後、該掃除ロボットは前進し続け、壁の隅部分を掃除する。
【0100】
本実施形態において、前記検出装置3は、通常、動作する前に高さパラメータを較正する必要がある。
【0101】
本実施形態において、掃除ロボットの進行を制御する前に、掃除ロボットが位置する現在の進行領域41の基準高さを較正し、検出装置3の高さパラメータを取得することができる。具体的には、取得した該検出装置3の高さパラメータは、主に、現在の進行領域41における前方床面特徴44の高さ計算に比較参照を提供し、具体的には、該前方床面特徴44の高さ測定に初期計算点を提供するために使用される。
【0102】
前記高さパラメータは、前記検出方向に沿った距離基準値Lを含んでもよい。もちろん、該高さパラメータは、垂直方向に沿った高さ基準値Hであってもよい。具体的には、較正時、高さパラメータを距離基準値Lとする例において、掃除ロボットが基準面で水平に静止しているときのNセットのデータを取得して、これらのNセットの平均値を求めて距離基準値Lとすることができる。
【0103】
該較正を行う時点は、適用シナリオに応じて設定することができる。例えば、掃除ロボットは、ベースステーションに戻るたびにベースステーションで自動的に較正してもよく、ベースステーションを出るたびに、ベースステーションの近くで較正を完成してから作業を開始してもよい。あるいは、掃除ロボットは、起動してから最初に較正を自動的に行ってもよく、マップにおける領域に入って較正を完成してから作業を開始してもよい。別の方法としては、検出の精度を向上させるために、床拭き部材2を交換した後、床拭き部材2を持ち上げた後、又は掃除ロボットを窮地から脱出させた後に較正してもよい。
【0104】
本実施形態において、制御装置は、前方床面特徴44が絨毯であるか否かを判断する際に、距離基準値Lから実際に測定して得られた距離値L1を差し引いて、ΔLを得る。
ΔL>0の場合、基準床面に対して凸部であり、凸部の垂直距離はΔH=ΔL×COSθである。
ΔL<0の場合、基準床面に対して凹部であり、凹部の垂直距離はΔH=ΔL×COSθである。
凸部がプリセット値(例えば、5mm)より大きい場合は、前方床面特徴44(絨毯)が認識されたことを示す。
【0105】
ほとんどの絨毯の実際の高さが5mmを超え、家の床面のうねりが該値よりも小さいことから、また現在のセンサの費用対効果の観点から、該プリセット値を5mmすることが好ましい。凹部が障害物クリアランス高度よりも大きい場合も、機器は進入しない。
【0106】
本出願によって提供される掃除ロボットは、主に前方床面特徴44の物理的寸法に基づいて前方床面特徴44を認識する。したがって、先行技術における他の認識方法と比べて、使用時に絨毯を含む前方床面特徴を確実に認識できるだけでなく、仮想的な立ち入り禁止領域を設定する必要がない。
【0107】
掃除ロボットが前記境界43から一定の距離内にあるとき、前記検出装置3は遮蔽され、前記掃除ロボットを掃除を続行するように制御される。これにより、掃除ロボットは死角を残さずに境界43の隅部分を掃除することができる。
【0108】
掃除ロボットは、前方床面特徴44が崖であると認識すると、その落下を防止するために該崖が位置する領域に進入しなくてもよい。
【0109】
さらに、前方の領域に進入しない場合に関しては、該検出装置3の取付け角度を制御することで、前方床面特徴44から一定の距離にあるときに前方床面特徴44を事前に認識することができる。これにより、該掃除ロボットが前方の領域、例えば、ドア以外の絨毯、崖などに進入することをより確実に防ぐことができる。
【0110】
もちろん、本実施形態において提供される掃除ロボットは、絨毯といった前方床面特徴44を認識できる他、必要に応じて、第1のプリセット値及び所定の長さの値を調整することによって、他の寸法の前方床面特徴44を認識することもできる。ここで、本出願は一々具体例を挙げない。
【0111】
本実施形態において、掃除ロボットの進行を制御する前に、掃除ロボットが位置する現在の進行領域41の基準高さを較正して、検出装置3の高さパラメータを取得することができる。具体的には、取得した該検出装置3の高さパラメータは、主に、現在の進行領域41における前方床面特徴44の高さ計算に比較参照を提供し、具体的には、該前方床面特徴44の高さ測定に初期計算点を提供するために使用される。
【0112】
本説明において、前記検出装置3は、前記掃除ロボットと前記前方床面特徴44との距離を検出することにより、前方床面特徴44の高さを表す高さパラメータを取得し、前記制御装置は、前記高さパラメータとプリセット値との比較結果に基づいて、前方床面特徴44を認識する。続いて、制御装置は、前記マップにおける前記掃除ロボットの較正位置に応じて、前記掃除ロボットを制御して対応する動作を実行させる。
【0113】
本実施形態において、前記出入り口領域42から第1の所定距離の範囲外にあり、かつ、前進方向に沿って前記検出装置3によって第1のプリセット値を超える凸部を感知した場合、前方床面特徴44が絨毯であると認識されたことを示すことができる。
【0114】
さらに、該前方床面特徴44の認識精度を向上させるために、前記凸部の連続距離も合わせて判断することができる。具体的には、第1のプリセット値を超える凸部を感知したうえで、凸部の長さが第1の所定の長さを超えることを感知した場合、前方床面特徴44が認識されたことを示す。
【0115】
本実施形態において提供される掃除ロボットは、床拭きモードにあるとき、出入り口以外の領域(ドア)の近くで、前進方向に沿って前記検出装置3によって第1のプリセット値(例えば、5mm)を超える凸部を感知し、かつ前記凸部の連続距離が所定の長さ(例えば、2cm)を超える場合、前方床面特徴44(例えば、絨毯)が認識されたことを示す。本出願において提供される掃除ロボットは、主に前方床面特徴44の物理的寸法に基づいて前方床面特徴44を認識する。先行技術における他の認識方法と比べて、該掃除ロボットは、使用時に前方床面特徴44(例えば、絨毯)を認識でき、認識の信頼性がより高く、また、仮想的な立ち入り禁止領域を設定する必要がないため、ユーザーの使用体験を大幅に向上させる。
【0116】
前記制御装置は、前記掃除ロボットの位置情報に従って、前記掃除ロボットが前記出入り口領域から第2の所定距離の範囲内にあると判断した場合、前記掃除ロボットが前記絨毯のある領域を通過するように制御する。
【0117】
以下、該出入り口領域42について、主にドアを例に挙げて説明する。すなわち、掃除ロボットは、ドアの近くで絨毯を検出すると、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域を通過するように制御する。
【0118】
具体的には、前記検出装置3によって前記床面特徴44の高さ値が第1のプリセット値より大きいことを検出した場合、前記制御装置は、前記床面特徴44が絨毯であると認識する。このとき、前記制御装置は、前記掃除ロボットの位置情報に基づいて前記掃除ロボットが前記出入り口領域から第2の所定距離の範囲内にあると判断した場合、前記掃除ロボットを前記絨毯のある領域を通過するように制御する。
【0119】
2つの進行領域41の境界位置は、その地上高さが異なる場合がある。このとき、検出装置3による誤判定を回避するとともに、該掃除ロボットが異なる進行領域41にスムーズに出入りして作業領域全体を掃除することを確保するために、前記出入り口領域42から第2の所定距離の範囲内で前方床面特徴44があると判断された場合でも、掃除ロボットが前記前方床面特徴44のある領域を通過するように制御する。
【0120】
ここで、前記第1のプリセット値は、前記前方床面特徴44の高さと前記検出装置3の現在の高さパラメータと両方に応じて決定することができる。ここで、前記検出装置3が位置する現在の領域の床面をゼロ点として計算した結果、前記第1のプリセット値は、前方床面特徴44の高さ以下である。通常、掃除ロボットは、障害物クリアランス高度を有し、前記検出装置3が位置する現在の領域の床面をゼロ点として計算すれば、該第1のプリセット高さが掃除ロボットの最高障害物クリアランス高度よりも小さい。
【0121】
さらに、前記掃除ロボットの制御方法は、前進方向に沿ってプリセット値を超える凸部を感知した場合、床拭き部材2を持ち上げることを含んでもよい。該床拭き部材2は、具体的には、モップ又はスポンジなどであってもよく、他の形態であってもよいが、本出願はここで具体的に限定しない。以下、主にモップを例に挙げて説明する。制御装置の指示に従って対応する動作をさらに実行するために、持ち上げられた該モップの高さが少なくともプリセット値と同一である必要がある。例えば、該前方床面特徴44を乗り越える必要がある場合、該床拭き部材2を制御してさらに上昇させてから、該前方床面特徴44を通過してもよい。該前方床面特徴44を避ける必要がある場合、該モップを持ち上げることによって掃除ロボットの走行ルートの再計画にも役立つ。また、該掃除ロボットのブレーキ機能が無効化となったり、ルートの計画が間違っていたりするなどの特殊な場合において、モップと絨毯の直接接触を回避することもできる。
【0122】
一実施形態において、前記検出装置3は検出方向を有し、前記検出装置3の高さパラメータは、前記検出方向に沿った距離基準値Lを含み、前記検出方向と垂直方向とがなす夾角はθである。
該床面特徴44の高さ値ΔHの計算式は、
ΔH=ΔL×COSθであり、
ここで、ΔLは、距離基準値Lと、検出方向に沿って実際に測定した距離L1との差を表す。
【0123】
1例として、例えば、距離基準値Lを50mmとし、実際に測定した距離値L1を38mmとし、θを38°とし、プリセット値を6mmとした場合、ΔH=ΔL×COSθ=12×COS38°=9.5mmとなる。
【0124】
ΔHがプリセット値よりも大きいため、前方床面特徴44(絨毯)が認識されたと判断する。
【0125】
一実施形態において、前記検出方向と垂直方向とがなす夾角θは、0度~90度の範囲内にある。本実施形態において、前方の床面に関する情報を事前に把握ことを確保するために、該検出装置3は、TOF検出装置3などの非垂直に取付け可能な検出装置3を用いてもよい。該検出装置3が全体として斜め下向きに取付けられている場合、一定の距離Nで事前に検出することが可能となる。このように、制動距離を確保するとともに、壁の場合では効果的かつ別々に対応することを確保することもできる。例えば、N=5cmの場合、壁から5cm以内にあるときに検出装置3が遮蔽され、壁を絨毯と認識することを回避する。
【0126】
一実施形態において、掃除ロボットは、障害物を越える機能をさらに備える。対応的に、前記掃除ロボットの制御方法は、前進方向に沿って、前記検出装置3によって現在の進行する領域において最高障害物クリアランス高度を超える凸部又は凹部を有することを感知した場合、前記掃除ロボットが前方の進行領域に進入しないように制御することをさらに含んでもよい。ここで、該最高障害物クリアランス高度は15mmであってもよい。もちろん、実際のニーズに応じて、掃除ロボットの特定のタイプと寸法に合わせて該最高障害物クリアランス高度を調整してもよいが、本出願はここで具体的に限定しない。
【0127】
現在の進行する領域が凹部領域である場合、本出願において提供される掃除ロボットは落下防止機能を備える。
【0128】
ある特定の実施形態において、前記プリセット値は、第2のプリセット値を含む。前記検出装置によって前記床面特徴44の高さ値が前記第2のプリセット値よりも低いことを検出した場合、前記制御装置は、前記床面特徴44が崖であると認識し、このとき、前記掃除ロボットを前記崖のある領域に進入しないように制御する。ここで、第2のプリセット値については、上記の掃除ロボットの実施形態における具体的な説明を参照することができ、本出願はここで説明を省略する。
【0129】
グローバルマップ4と併せて参照されたい。前記グローバルマップ4には、出入り口以外の領域の境界43をさらに含む。前記方法は、現在の位置が前記境界から第3の所定距離内にあると認識した場合、前記検出装置3を遮蔽することをさらに含む。
【0130】
本実施形態において、該境界43は壁であってもよい。以下、主に壁を例に挙げて説明する。該第3の所定距離は5cmであってもよいが、その具体的な値は5cmに限定されず、本出願はここで具体的に限定しない。該掃除ロボットが壁から第3の所定距離の近くまで移動するとき、該掃除ロボットが壁を前方床面特徴44と見なして接近しないことを回避するために、前記検出装置3は遮蔽される。該検出装置3が遮蔽された後、該掃除ロボットは前進し続け、壁の隅部分を掃除する。
【0131】
ある主な適用シナリオでは、床拭き・床掃き・集塵機能を一体化した掃除ロボットは、自動充電機能を備え、その充電ベースステーションは通常、ドアから離れた場所に設けられる。したがって、該掃除ロボットの動作時の初期位置は、通常、デフォルトではドアの近くではない。該掃除ロボットが起動した後、前進方向に沿って前記検出装置3によってプリセット値(例えば、5mm)を超える凸部を感知し、かつ前記凸部の連続距離が所定の長さ(例えば、2cm)を超える場合、前方床面特徴44(例えば、絨毯)が認識されたことを示す。本出願において提供される掃除ロボットは、主に前方床面特徴44の物理的寸法に基づいて前方床面特徴44を認識する。先行技術における他の認識方法と比べて、該掃除ロボットは、使用時に絨毯を認識でき、認識の信頼性がより高く、また、仮想的な立ち入り禁止領域を設定する必要がないため、ユーザーの使用体験を大幅に向上させる。
【0132】
なお、本出願の説明において、「第1」、「第2」等の用語は、目的を説明し、類似の対象を区別するためにのみ使用されており、前後の順番を記述するためではなく、相対的な重要性を示したり、暗示すると理解すべきではないことに注意されたい。また、本出願の説明において、特に明記しない限り、「複数」とは2つ以上を指す。
【0133】
前述の各実施形態については、すべて漸進的に説明しており、これらの実施形態間の同一又は類似の部分は互いに参照すればよく、各実施形態は他の実施形態との違いに焦点を当てて説明した。
【0134】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものに過ぎず、本発明を限定することを意図するものではない。本発明が属する技術分野の当業者は、本発明によって開示された精神及び範囲を逸脱しない限り、実施形態の形式及び詳細に任意の修正及び変更を加えることができる。ただし、本発明特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲で規定される範囲に準拠すべきである。