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特許7497429回転作動装置およびそのような回転作動装置を動作させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】回転作動装置およびそのような回転作動装置を動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/12 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
H02N2/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022520330
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 DE2020100854
(87)【国際公開番号】W WO2021063454
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】102019126702.1
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505257752
【氏名又は名称】フィジック インストゥルメント(ピーアイ)ゲーエムベーハー アンド ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ボチカイ、ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】マルト、ハリー
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-078391(JP,A)
【文献】特開2004-222453(JP,A)
【文献】特開2009-201322(JP,A)
【文献】特開平11-332263(JP,A)
【文献】特開2005-124263(JP,A)
【文献】特開平03-212174(JP,A)
【文献】特開2012-080611(JP,A)
【文献】特開昭63-171176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転作動装置(1)であって、
基部(2)と、
ロータ(3)と、
少なくとも2つの駆動ユニット(4)を各グループが含む、少なくとも2つのグループ(40、42)の駆動ユニット(4)と、を備え、前記少なくとも2つのグループ(40、42)の駆動ユニット(4)の設けられる全部の駆動ユニット(4)は、円周に沿って配置されており、
前記駆動ユニット(4)は、前記基部(2)上に周方向に、かつ前記基部(2)と前記ロータ(3)との間に配置され、各駆動ユニット(4)は、互いに相対的にV字形に配置された2つの変形可能なアクチュエータ(5)と、両方のアクチュエータに接続された摩擦要素(6)とを含んでおり、前記摩擦要素(6)の接触点または接触表面は、接触面(K)を形成し、前記駆動ユニットの中心面(A)は、前記接触面(K)に対して実質的に垂直に配置されており、
前記ロータ(3)および前記摩擦要素(6)は、前記駆動ユニット(4)の間に中央に配置されたバネ装置(30)によって、互いに向かい合う方向に押圧され、前記駆動ユニット(4)は、前記バネ装置(30)を周方向に取り囲むか、または枠で囲んでおり、前記回転作動装置(1)は、前記アクチュエータ(5)が変形していない場合、全ての摩擦要素(6)が前記ロータ(3)と接触し、かつ前記接触面(K)に共に広がるように構成されており
前記回転作動装置(1)は、前記ロータ(3)の連続的な運動は、異なるグループ(40、42)の駆動ユニット(4)の前記アクチュエータ(5)の位相オフセット作動によって実施されるように構成されている、回転作動装置(1)。
【請求項2】
前記バネ装置(30)が前記ロータ(3)と一体に形成されている、請求項1に記載の回転作動装置(1)。
【請求項3】
前記バネ装置(30)は、スリット状の凹部(32)を備える、請求項1に記載の回転作動装置(1)。
【請求項4】
前記アクチュエータ(5)がそれぞれ、ジョイントを介して前記基部(2)に接続された支持部(20)を介して前記基部(2)上で支持される、請求項1に記載の回転作動装置(1)。
【請求項5】
前記ロータ(3)は、前記摩擦要素(6)との接触のために設けられた摩擦ディスク(34)を備える、請求項1に記載の回転作動装置(1)。
【請求項6】
シャフト(34)が前記ロータ(3)と一体に形成され、かつ前記基部(2)を貫通して突出し、前記シャフト(34)は、回転調整装置(1)により位置決めされるべき要素を取り付けるために設けられている、請求項1に記載の回転作動装置(1)。
【請求項7】
前記アクチュエータ(5)が電気機械材料を含み、好ましくは、電気機械材料からなる、請求項1に記載の回転作動装置(1)。
【請求項8】
前記アクチュエータ(5)が圧電材料、好ましくは、圧電セラミック材料からなる、請求項7に記載の回転作動装置(1)。
【請求項9】
請求項1に記載の回転作動装置(1)を動作させるための方法であって、異なるグループ(40、42)の駆動ユニット(4)が互いに相対的に位相オフセットの態様で作動される、方法。
【請求項10】
個々のグループ(40、42)の駆動ユニット(4)の作動が、前記接触面(K)に実質的に垂直に配置された垂直運動成分と、前記接触面(K)に実質的に平行に配置された水平運動成分とを含む、前記摩擦要素(6)の規定の運動軌跡に影響を与え、前記バネ装置(30)の力に抗して作用する前記垂直運動成分により、個々の他のグループの駆動ユニット(4)の前記アクチュエータ(5)の前記摩擦要素(6)の前記ロータ(3)との接触が解除され、前記水平運動成分により、前記ロータ(3)の駆動方向への規定の駆動ステップの生成が生じる、請求項9に記載の回転作動装置(1)を動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の回転作動装置に関する。また、本発明は、請求項9に記載のそのような回転作動装置を動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人の特許文献1には、その文献の図7において、駆動装置2を有する圧電走行駆動装置1を使用した回転作動装置が記載されており、この文献の図2を参照すると、4つの圧電アクチュエータ213、214、223、224がフレーム20内にV字形の配置となるように対で挿入されている。互いに相対的にV字形に配置されたアクチュエータの各対は、関連する駆動部21、22と、駆動部とフレーム20の基部201との間に配置された弾性バネ部211、221とによって、基部201のソリッドステートジョイント212、222に押圧され、その結果、特に、アクチュエータに加わるプレストレス力が設定される。
【0003】
駆動装置2を基部フレーム4上に弾性変形可能な部分(特許文献1の図7には図示せず)によりソリッドステートジョイントの形態で配置することによって、駆動部は、円形ディスク状のロータ3に押圧され、他方、フレームの弾性特性によって、協働アクチュエータ対が制御されて、それに結合された駆動部の対応する動作が行われると、他の相互作用するアクチュエータ対の駆動部が、専ら受動的に(即ち、電気的作動なしに、かつ機械的配置または状況のみに起因して)ロータを離昇させるか、または付加的に能動的に(即ち、この駆動部のロータからの離昇を支援または改善する個々のアクチュエータ対の適切な電気的作動によって)にロータを離昇させることが可能となる。
【0004】
特許文献1の図7により開示された回転作動装置の欠点は、特に、ロータの外周に配置された複数の駆動装置2が使用される場合、その比較的大きな空間要件である。
前述の問題を解決するために、発明の主題ではない本出願の図5によれば、例えば、環状ディスクとして設計されたロータの内周上に特許文献1による3つの駆動装置を配置することが可能であり、ここで、この点に関して、1つのみの駆動装置、または2つまたは3つを超える駆動装置の使用も可能である。駆動装置または複数の駆動装置のこの種の配置に基づいて、駆動装置の非駆動アクチュエータ対の駆動部の受動的な離昇をさらに有利にし、小さな調整面を備えた比較的小さな回転作動装置を実現することができる。しかしながら、これは、高精度で駆動するために、非常に高精度で低公差を維持しつつ製造する必要があるため、ロータの製造または内周面の機械加工が比較的複雑であるという点で不利である。さらに、そのような解決策では、ロータまたはその回転軸の配向に関して多くの手間をかける必要がある。
【0005】
特許文献2は、その図3および4において、互いに相対的にV字形に配置された2つの圧電アクチュエータ1および2を各駆動ユニットが含む3つの駆動ユニットを含む回転作動装置を開示しており、2つの圧電アクチュエータ1および2の一方の端部が共通のベース17に支持され、反対側の端部が運動機構18を介して結合されており、ここで、運動機構18は、ベース17に連結されたネジによって運動機構18に押し付けられる駆動要素10を備え、圧縮力またはプレストレス力が、運動機構を介してアクチュエータ1および2に加えられる。
【0006】
3つの駆動ユニットは、環状ディスクとして実施される被駆動要素11の円周に均一に配置されており、3つの駆動要素10は、互いに相対的に約120°の円周角度距離を有する。これらはベースと被駆動要素との間に配置されているので、回転作動装置の外形寸法は、固定壁20またはハウジング28によって実質的に規定される。
【0007】
動作中、駆動ユニットのアクチュエータは、アクチュエータに結合された駆動要素10が楕円の運動軌跡で高周波振動を発生するように電気的に制御され、特許文献2の第9欄第13行の記載によれば、これらの振動の周波数は、20kHz、つまり超音波範囲内である。3つの駆動ユニットは全て、同期して動作するように同じ高周波電圧信号によって作用される。
【0008】
3つの駆動ユニットの同期制御は、3つの駆動ユニットのいずれも被駆動要素11と接触しない時間的な位相が生じ、その結果、これらの位相において駆動の中断が生じる。駆動の中断の時間的な位相は、駆動ユニットのアクチュエータの高い制御周波数、即ち、被駆動要素の高い回転速度においては、非常に短く、この速度領域では許容可能である。しかしながら、制御周波数が低いほど、または回転速度が低いほど、駆動の中断がより顕著になり、従って、特許文献2で既知の回転作動装置は、特定の用途からは除外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2017/158017号
【文献】米国特許第4613782号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような背景に基づいて、本発明の目的は、コンパクトな寸法で非常に高精度で中断のない調整動作を可能にする回転作動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1に記載の回転作動装置によって達成される。回転作動装置は、基部とロータとの間に基部上に周方向に配置された少なくとも4つの駆動ユニットを含む。駆動ユニットは、第1および第2のグループに割り当てることができ、2つのグループの各々は、少なくとも2つの駆動ユニットを含む。各グループが2つ以上の駆動ユニットを含み、好ましくは、各グループが3つの駆動ユニットを含むことは、本発明の主旨の範囲内である。
【0012】
駆動ユニットの各々は、互いに相対的にV字形に配置された2つのアクチュエータを含み、このように形成されたV字の先端部の領域は、2つのアクチュエータを互いに接続または連結する摩擦要素によって実現される。V字形の先端部、従って摩擦要素は、回転作動装置のロータに面している。
【0013】
V字形の配置により、駆動ユニットの2つのアクチュエータが間に囲む角度は、広い範囲内で変化させることができる。10°~160°の間の角度が可能である。しかしながら、55°~125°の間の角度範囲が好ましく、85°~95°の角度範囲が特に好ましい。
【0014】
駆動ユニットの摩擦要素およびロータは、アクチュエータの非作動または非変形状態において、全ての摩擦要素がロータと接触するように、駆動ユニット間に中央に配置されたバネ装置によって、一方向に向かって押圧される。この場合、対応する接触点または接触表面は、接触面Kに共に広がる。バネ装置の中央配置では、駆動ユニットがバネ装置を周方向に取り囲んでいるため、回転調整装置の特にコンパクトな構造が可能となる。
【0015】
バネ装置がロータと一体に形成されることが有利であり得る。バネ装置のロータとの一体化または一体型設計の結果として、向上した組み立て性を備えた回転作動装置のより簡単な構造が達成される。この場合、バネ装置がスリット状の凹部を含み、それによってバネ装置のバネ作用が達成されることは、特に、有利となり得る。
【0016】
さらに、アクチュエータは、基部上で支持され、各場合において、ジョイントまたはジョイント部を介して基部に接続された支持部上に支持されることが有利であり得る。支持部およびジョイントまたはジョイント部は、好ましくは、一体に形成されるか、または基部と一体的に形成される。関節式に配置された支持部の支持により、横方向の力によるアクチュエータの負荷を相殺することができる。さらに、この手段により、製造または組み立てに起因する機械的公差を補償することができる。
【0017】
さらに、アクチュエータが電気機械材料を含み、好ましくは、電気機械材料からなることが有利であり得る。電気機械材料は、電圧が印加され、対応する電界が生じると機械的変形を実行し、前記機械的変形は、作動動作または駆動動作のために使用可能である。電気機械材料で作製されたアクチュエータは、機械部品を有しておらず、電気エネルギーを非常に効率的に、かつ非常に高いダイナミクスで機械的な変形または運動に変換することができる。アクチュエータは、電歪特性を有する材料を含むか、または電歪特性を有する材料からなることも想定される。
【0018】
アクチュエータは、好ましくは、圧電材料からなり、特に好ましくは、圧電セラミック材料からなる。圧電材料または圧電セラミック材料は容易に入手可能であり、かつ非常に明確な方法で動作させることができる。アクチュエータが電歪特性を有する材料を含むことも想定される。
【0019】
また、本発明は、上記の回転作動装置を動作させるための方法に関し、その方法では、異なるグループの駆動ユニットが互いに相対的に位相シフトの態様で制御される。例えば、2つのグループの駆動ユニットを含む回転作動装置の場合、第1のグループの駆動ユニットは、対応する第2のグループの駆動ユニットに対して位相シフトの態様で制御される。
【0020】
この場合、個々のグループの駆動ユニットの制御が、これらの駆動ユニットに割り当てられた摩擦要素の規定の運動軌跡が生じるように行われることが有利であり得、運動軌跡は、接触面Kに対して実質的に垂直に配置された垂直運動成分と、接触面Kに対して実質的に平行に配置された水平運動成分とを含み、その結果、バネ装置の力に抗して作用する垂直運動成分により、個々の他のグループの駆動ユニットのアクチュエータの摩擦要素のロータとの接触が解除され、水平運動成分により、駆動方向におけるロータの規定の駆動ステップが生じる。
【0021】
以下は、本発明による回転作動装置の実施形態について、対応する図を用いて説明するが、同じ参照記号は、異なる図の同一の構成要素に関する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による回転作動装置の斜視図である。
図2】別の図での図1による回転調整装置の斜視図である。
図3A-3B】図1または図2による回転作動装置に関する平面図および断面図である。
図4A-4B】本発明による回転作動装置の駆動ユニットのグループに関する概略図である。
図5】本発明に属さない回転作動装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明による回転調整装置1を斜視図で示している。ソケット200に接続されたステンレス鋼製の実質的にリング状の基部2上には、合計4つの駆動ユニット4が対で互いに対極的に位置し、かつ互いに重なり合うように、周方向に互いに相対的に約90°で配置されている。
【0024】
各駆動ユニット4は、共に実質的にV字形を形成するように互いに相対的に配置される2つの細長い圧電アクチュエータ5によって形成され、基部2から離れる方向を向く駆動ユニット4の2つのアクチュエータ5の端部は、実質的に三角形の摩擦要素6を介して互いに接続または結合されている。基部2と対向する駆動ユニット4の各アクチュエータ5の個々の他端は、ソリッドステートジョイントを介して基部2に接続されている支持部20によって支持されている。支持部20およびソリッドステートジョイントは、一体に形成されるか、または基部2と一体に形成される。
【0025】
駆動ユニット4に割り当てられ、互いに相対的にV字形に配置された2つのアクチュエータ5の中心面は、駆動ユニット中心面Aを規定する面にまたがっており、ここで、対で互いに対極的に位置するように配置された駆動ユニット4の駆動ユニット中心面Aは、互いに実質的に平行に配置され、かつ隣接する駆動ユニット4の駆動ユニット中心面Aは、互いに実質的に垂直に配置されている。
【0026】
柱状の圧電アクチュエータは、圧電セラミック材料で構成されている。同じものがそれぞれ、関連するジョイント20および関連する摩擦要素6の両方に、材料接合、特に接着結合によって接続されている。駆動ユニット4に関連する2つのアクチュエータ5は、それらの間に約90°の角度を有する。
【0027】
4つの駆動ユニット4のうちのいずれのアクチュエータも電気的に作動されないか、または電圧が印加されていない、図1に示される回転作動装置の静止状態では、4つの摩擦要素6の全ては、ロータ3に材料接合で接続された環状の摩擦ディスク60に接触している。
【0028】
摩擦ディスク60は、基部2に実質的に平行に配置され、かつ基部2から離間して配置されており、駆動ユニット4は、基部2と摩擦ディスク60との間に配置されている。摩擦要素6と摩擦ディスク60との接触点または接触表面は、実質的に接触面K(図3Bを参照)に存在し、駆動ユニット中心面Aは、接触面Kに対して実質的に垂直に配置されている。
【0029】
ソケット200は、駆動ユニット4のアクチュエータ5に至るケーブルを収容するように機能し、それによって、アクチュエータ5の電圧供給が確保される。これらの内部ケーブルは、供給ライン220に接続されている。ソケット200はまた、回転作動装置を上位ユニットに取り付けるために使用される。回転作動装置1を制御するための電子部品、例えば、センサ、受信機、コントローラ、ドライバなどをソケット200内に内蔵することが想定される。さらに、回転作動装置の独立したエネルギー供給のために、ソケット200内に電池またはアキュムレータを設けることが想定される。
【0030】
ロータ3は、固定基部2に対して回転可能に取り付けられている。バネ装置30が、ロータと一体的に形成されるか、またはロータの内周に一体形成されており、バネ装置30は、駆動ユニット4がバネ装置30を周方向に取り囲むか、または枠を形成するように、駆動ユニット4間に中心的に配置されている。バネ装置30の弾性作用は、ロータ3の周方向を向き、かつロータ3の軸方向に間隔を置いて配置されたスリット状の凹部32によって実現される。ロータ3のバネ装置30は、ロータ3または摩擦ディスク60を、駆動ユニット4の全ての摩擦要素6に対して弾性的に押圧させる。
【0031】
図2は、図1による回転設定装置1を別の図で示しており、ここで、図1では隠れていた裏側を確認できるので、裏側に配置されて図1では確認できない駆動ユニット4を確認することができる。図2には、図1では確認できない他の特徴はないため、ここでは、図2のより詳細な説明は省略する。
【0032】
図3Aは、図1または図2による本発明による回転作動装置を平面図(基部2またはロータ3に垂直な方向から見た)で示し、図3Bは、図3Aでマークされた断面に関する。図3Bによる断面図では、駆動ユニットのアクチュエータの電気的制御がない、図3Bに示される静止状態において、2つの認識可能な摩擦要素6が摩擦ディスク60に接触しており、これは、図3Bでは認識できない2つのさらなる摩擦要素6にも当てはまることが明確に分かる。結果として生じる摩擦要素6と摩擦ディスク60との間の4つの接触点または接触表面は、実質的に平面内に存在し、この平面が接触面Kを形成する。駆動ユニット中心面Aは、接触面Kに実質的に垂直に配置されており、対極的に位置する駆動ユニット4の駆動ユニット中心面Aは、互いに実質的に平行に配置されている。
【0033】
さらに、図3Bから分かるように、シャフト34が、ロータ3と一体に形成され、基部2およびソケット200の両方を貫通して突出し、かつソケット200の表面に対して突出しているため、回転調整装置1によって位置決めされるべき要素を、シャフト34の突出部分に取り付けるか、または連結することができる。
【0034】
ロータ3または摩擦ディスク60が駆動ユニット4の摩擦要素6に対して弾性的に押圧されるバネ力を調整するために、クランプナット7が、シャフト34の対応するネジ部に係合し、かつベアリング8によって支持されている。クランプナット7をシャフト34のネジ部上で回転させることによって、シャフト34、従ってロータ3がクランプナット7の方向に移動して(図3Bにおいて左方向に引っ張られる)、その結果、ロータ3に接続された摩擦ディスク60が、ロータ3を介して駆動ユニット4の摩擦要素6に対して弾性的に押圧される。
【0035】
ベアリング8は、シャフト34のネジ部分に螺合されたクランプナット7によってプレストレスが付与されたアンギュラボールベアリングである。第2のアンギュラボールベアリング8’は、スナップリングによって第1のアンギュラボールベアリング8から分離されており、かつロータ3と第2のアンギュラボールベアリング8’との間に設けられた皿バネ9によってプレストレスが付与されている。
【0036】
図4Aおよび図4Bは、駆動ユニット4に関して2つの可能な配置の変形例を概略的に示す。ここで、図4Aは、図1図3による本発明による回転作動装置の例示的な実施形態による駆動ユニット4の配置に対応し、4つの駆動ユニット4は、互いに実質的に90°の個々の角度距離を有して円周に沿って配置されている。このようにして、2つの駆動ユニットが互いに対極的に位置するように配置され、ここで、対応する一対の駆動ユニット4を1つのグループに割り当てることができる。図4Aにおいて、非充填枠によって特徴付けられる駆動ユニット4の対は、第1のグループ40の駆動ユニット4を形成し、一方、充填枠によって特徴付けられる駆動ユニット4の他方の対は、第2のグループ42の駆動ユニット4を形成する。
【0037】
図1図3による対応する回転作動装置を動作させるための本発明による方法では、2つのグループ40および42の駆動ユニット4またはそのアクチュエータ5は、位相シフト方式で、好ましくは、180°の位相オフセットによって電気的に制御される。個々の駆動ユニット4において、制御信号は、好ましくは、駆動ユニット4に割り当てられた摩擦要素6の楕円の運動軌跡をもたらし、ここで、グループ40、42に割り当てられた駆動ユニット4の摩擦要素6は、同時の運動軌跡を実行する。このようにして、例えば、グループ40の駆動ユニットは、最初に、ロータ3の規定の回転前進運動または調整運動ステップを実行し、その直後に、即ち、グループ40の駆動ユニット4が前進ステップを完了した後、グループ42の駆動ユニット4は、そのような前進運動または調整運動ステップを実行する。従って、グループ40、42の駆動ユニット4は、規定の前進ステップを交互に実行し、この場合、1つのグループの駆動ユニットが次の前進ステップを既に開始しており、他のグループの駆動ユニットがまだその前進ステップを完全に完了していないという駆動運動における一定の重複も可能である。
【0038】
好ましくは楕円形であり、従って接触面Kに実質的に平行な水平運動成分と接触面Kに実質的に垂直で、駆動ユニット中心面Aに実質的に平行な垂直運動成分の両方からなる、駆動ユニット4の摩擦要素6の運動軌跡の形状により、グループ40、42の駆動ユニット4の駆動運動、即ち、個々の摩擦要素6の垂直運動成分が、ロータ3のバネ装置30に力を及ぼし、これは、バネ装置によって及ぼされるバネ力を相殺し、バネ力は、摩擦要素6の方向へのロータ3または摩擦ディスク60の移動を保証し、それによって、その効果は、純粋に機械的または受動的に、推進に使用されていない、個々の他のグループの駆動ユニット4の摩擦要素6の離昇、または接触の解除を生じさせる。従って、1つのグループの駆動ユニット4によって、またはそれらに割り当てられた摩擦要素の運動軌跡の水平成分によって実施される前進ステップの間に、個々の他のグループの駆動ユニット4の摩擦要素が、ロータ3の摩擦ディスク60との接触によってこの前進ステップを妨害することがないことが保証される。
【0039】
1つのグループの駆動ユニットの摩擦要素の機械的に離昇する前述のプロセスは、このグループの駆動ユニットのアクチュエータの対応する電気的作動によってサポートされ、その際、アクチュエータが一定の長さだけ収縮することが有利となり得る。
【0040】
図4Bによれば、1つのグループ40、42の駆動ユニットは、3つの駆動ユニット4を含み、合計6つの駆動ユニットが円の円周に沿って配置され、隣接する駆動ユニット間に約60°の角度距離が存在することが想定される。この場合、一つのグループの駆動ユニットは、常に他のグループの2つの駆動ユニットの間に配置されるため、一つのグループの駆動ユニットは、互いに相対的に約120°の角度距離をとるようにする。各3つの駆動ユニットに対して2つのグループの駆動ユニットを使用する場合の特定の利点は、他のグループの駆動ユニットによって引き起こされる前進ステップの間に、前進のための推進に使用されない駆動ユニットの摩擦要素の機械的に引き起こされる離昇が改善されることにある。
【0041】
図4Aおよび図4Bに示される駆動ユニットの2つの配置に加えて、2つのグループの駆動ユニットの各グループが3つを超える駆動ユニットからなるさらなる構成が可能である。3つ以上のグループの駆動ユニットを設けることも考えられ、この場合、個々のグループの駆動ユニットが互いに相対的に位相シフトされる。例えば、図4Bによる構成の6つの駆動ユニットを、3つのグループの対極的に位置する駆動ユニットに割り当てて、3つのグループの駆動ユニットを周方向に順次制御することができる。
【符号の説明】
【0042】
1…回転作動装置
2…基部
3…ロータ
4…駆動ユニット
5…(駆動ユニット4の)アクチュエータ
6…摩擦要素(駆動ユニット4)
7…クランプナット
8、8’…アンギュラボールベアリング
9…皿バネ
20…支持部
30…バネ装置
32…(バネ装置30の)スリット状の凹部
34…(ロータ3の)シャフト
40…第1のグループの駆動ユニット4
42…第2のグループの駆動ユニット4
60…摩擦ディスク
200…ソケット
220…電力供給ライン
A…駆動ユニット中心面
K…接触面
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5