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特許7497437複数の入力サンプルに基づいて複数の出力サンプルを提供するための信号処理装置、および複数の入力サンプルに基づいて複数の出力サンプルを提供するための方法
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  • 特許-複数の入力サンプルに基づいて複数の出力サンプルを提供するための信号処理装置、および複数の入力サンプルに基づいて複数の出力サンプルを提供するための方法 図1
  • 特許-複数の入力サンプルに基づいて複数の出力サンプルを提供するための信号処理装置、および複数の入力サンプルに基づいて複数の出力サンプルを提供するための方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】複数の入力サンプルに基づいて複数の出力サンプルを提供するための信号処理装置、および複数の入力サンプルに基づいて複数の出力サンプルを提供するための方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 17/00 20060101AFI20240603BHJP
   G06F 17/10 20060101ALI20240603BHJP
   H03H 17/02 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
H03H17/00 601F
G06F17/10 D
H03H17/02 681G
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2022537660
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2019086997
(87)【国際公開番号】W WO2021129936
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】ボルマー、クリスチャン
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08289195(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0170838(US,A1)
【文献】米国特許第08786472(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0321216(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 17/00-17/08
G06F 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる時間とそれぞれ関連付けられた複数の入力サンプルに基づいて複数の出力サンプルを提供するための信号処理装置であって、
処理コア出力サンプルのセットを提供するために、それぞれの異なる時間と関連付けられた入力サンプルおよび関連付けられた処理時間に基づいて処理演算をそれぞれ実行するように構成された複数の処理コアと、
異なる処理時間と関連付けられた処理演算をそれぞれ実行する前記複数の処理コアの複数の前記処理コア出力サンプルのセットから、前記複数の出力サンプルを提供するように構成されたサンプルコンバイナ論理と、を備え、
前記サンプルコンバイナ論理が、コンバイナノードの複数の階層レベルを有する階層ツリー構造を含み、
最上位階層レベルのそれぞれのコンバイナノードが、2つ以上の処理コア出力サンプルのセットに基づいて、結合出力サンプルのセットを提供するように構成されており、
前記最上位階層レベルよりも下位の所与の階層レベルのそれぞれのコンバイナノードが、上位の階層レベルの関連付けられたコンバイナノードの2つ以上の出力サンプルのセットに基づいて結合出力サンプルのセットを提供するように構成されており、
前記それぞれのコンバイナノードが、前記それぞれの入力サンプルのセットを結合するように構成されており、
入力サンプルの各セットが、前記入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報に基づいて、シフトおよび/またはゼロパディングされる、
信号処理装置。
【請求項2】
複数の入力サンプルに基づいて複数の出力サンプルを提供するための信号処理装置であって、
処理コア出力サンプルのセットを提供するために、それぞれの入力サンプルおよび関連付けられた処理時間に基づいて処理演算を実行するように構成された複数の処理コアと、
異なる処理時間と関連付けられた処理演算を実行する前記複数の処理コアの複数の前記処理コア出力サンプルのセットから、前記複数の出力サンプルを提供するように構成されたサンプルコンバイナ論理と、を備え、
前記サンプルコンバイナ論理が、コンバイナノードの複数の階層レベルを有する階層ツリー構造を含み、
最上位階層レベルのそれぞれのコンバイナノードが、2つ以上の処理コア出力サンプルのセットに基づいて、結合出力サンプルのセットを提供するように構成されており、
前記最上位階層レベルよりも下位の所与の階層レベルのそれぞれのコンバイナノードが、上位の階層レベルの関連付けられたコンバイナノードの2つ以上の出力サンプルのセットに基づいて結合出力サンプルのセットを提供するように構成されており、
前記それぞれのコンバイナノードが、前記それぞれの入力サンプルのセットを結合するように構成されており、
入力サンプルの各セットが、前記入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報に基づいて、シフトおよび/またはゼロパディングされ、
それぞれのコンバイナノードの入力サンプルの各セット内におけるサンプル数が、次の式に基づくものであり、
【数1】
式中、
inputが、入力サンプルの各セット内における前記サンプル数を表し、
が、所与の階層レベルのそれぞれのコンバイナノードの入力サンプルのセットの前記数を表し、
が、
【数2】
に従ったPの整数因数を表し、
式中、
Pが、前記処理コアの数を表し、
Hが、選択された整数因数分解における因数の総数を表し、
hが、それぞれのコンバイナノードの前記階層レベルを表し、
Mが、単一の処理コアの前記出力サンプルのセットのサンプル数を表す、
信号処理装置。
【請求項3】
複数の入力サンプルに基づいて複数の出力サンプルを提供するための信号処理装置であって、
処理コア出力サンプルのセットを提供するために、それぞれの入力サンプルおよび関連付けられた処理時間に基づいて処理演算を実行するように構成された複数の処理コアと、
異なる処理時間と関連付けられた処理演算を実行する前記複数の処理コアの複数の前記処理コア出力サンプルのセットから、前記複数の出力サンプルを提供するように構成されたサンプルコンバイナ論理と、を備え、
前記サンプルコンバイナ論理が、コンバイナノードの複数の階層レベルを有する階層ツリー構造を含み、
最上位階層レベルのそれぞれのコンバイナノードが、2つ以上の処理コア出力サンプルのセットに基づいて、結合出力サンプルのセットを提供するように構成されており、
前記最上位階層レベルよりも下位の所与の階層レベルのそれぞれのコンバイナノードが、上位の階層レベルの関連付けられたコンバイナノードの2つ以上の出力サンプルのセットに基づいて結合出力サンプルのセットを提供するように構成されており、
前記それぞれのコンバイナノードが、前記それぞれの入力サンプルのセットを結合するように構成されており、
入力サンプルの各セットが、前記入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報に基づいて、シフトおよび/またはゼロパディングされ、
それぞれのコンバイナノードの出力サンプル数が、次の式に基づくものであり、
【数3】
式中、
outputが、前記出力サンプル数を表し、
が、
【数4】
に従ったPの整数因数を表し、
式中、
Pが、前記処理コアの数を表し、
Hが、選択された整数因数分解における因数の総数を表し、
hが、それぞれのコンバイナノードの前記階層レベルを表し、
Mが、単一の処理コアの前記出力サンプルのセットのサンプル数を表す、
信号処理装置。
【請求項4】
複数の入力サンプルに基づいて複数の出力サンプルを提供するための信号処理装置であって、
処理コア出力サンプルのセットを提供するために、それぞれの入力サンプルおよび関連付けられた処理時間に基づいて処理演算を実行するように構成された複数の処理コアと、
異なる処理時間と関連付けられた処理演算を実行する前記複数の処理コアの複数の前記処理コア出力サンプルのセットから、前記複数の出力サンプルを提供するように構成されたサンプルコンバイナ論理と、を備え、
前記サンプルコンバイナ論理が、コンバイナノードの複数の階層レベルを有する階層ツリー構造を含み、
最上位階層レベルのそれぞれのコンバイナノードが、2つ以上の処理コア出力サンプルのセットに基づいて、結合出力サンプルのセットを提供するように構成されており、
前記最上位階層レベルよりも下位の所与の階層レベルのそれぞれのコンバイナノードが、上位の階層レベルの関連付けられたコンバイナノードの2つ以上の出力サンプルのセットに基づいて結合出力サンプルのセットを提供するように構成されており、
前記それぞれのコンバイナノードが、前記それぞれの入力サンプルのセットを結合するように構成されており、
入力サンプルの各セットが、前記入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報に基づいて、シフトおよび/またはゼロパディングされ、
前記処理コアが、処理機能を決定するために、前記それぞれの処理コアと関連付けられたそれぞれの処理時間の分数部を使用するように構成されており、
前記信号処理装置が、前記最上位階層レベルの前記それぞれのコンバイナノードに提供される、前記それぞれの入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報として、前記それぞれの処理コアと関連付けられた前記それぞれの処理時間の整数部分を使用するように構成されている、
信号処理装置。
【請求項5】
前記出力サンプルのターゲット出力サンプルレートが、前記入力サンプルの入力サンプルレート以下である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記複数の処理コアの処理時間を追跡し、前記複数の処理コアの処理時間が前記出力サンプルのサンプリング周期の所定の倍数をオーバーフローするたびに、前記サンプルコンバイナ論理に結合された出力レジスタおよび/またはアキュムレータからの複数の出力サンプルの放出をトリガするように構成された時間アキュムレータを、さらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項7】
同じ階層レベル内において、コンバイナノードの入力サンプルのセット内におけるサンプル数が同一であり、かつ/または
同じ階層レベル内において、複数のコンバイナノードの出力サンプルのセット内におけるサンプル数が同一である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項8】
所与のコンバイナノードの出力サンプルのセット内におけるサンプル数が、次の上位階層レベルのコンバイナノードによって、または前記処理コアによって、前記所与のコンバイナノードに提供される前記入力サンプルの各セット内におけるサンプル数よりも大きい、
請求項1から7のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項9】
前記サンプルコンバイナ論理が、次の上位階層レベルのそれぞれのコンバイナノードによって入力サンプルとしてコンバイナノードに提供されるサンプル数が、階層レベルが減少するにつれて段階的に増加するように構成されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項10】
それぞれのコンバイナノードの入力サンプル数および/または出力サンプル数が、単一の処理コアの前記出力サンプルのセットのサンプル数、および/またはそれぞれのコンバイナノードの前記階層レベル、および/または前記処理コアの数の整数因数への因数分解に基づくものである、
請求項1から9のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項11】
それぞれのコンバイナノードの入力サンプルのセットのサンプル数が、前記処理コアの数の整数因数への因数分解に基づくものである、
請求項1から10のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項12】
所与の階層レベルのそれぞれのコンバイナノードの入力サンプルのセットのサンプル数が、pと等しく、
が、
【数5】
に従ったPの整数因数を表し、
式中、
Pが、前記処理コアの数を表し、
Hが、選択された整数因数分解における因数の総数を表し、
hが、それぞれのコンバイナノードの前記階層レベルを表す、
請求項1から11のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項13】
前記サンプルコンバイナ論理のそれぞれの階層レベル内における前記それぞれのコンバイナノードが、前記結合出力サンプルのセットを提供するように構成されており、
前記結合出力サンプルのセットが、前記入力サンプルのセットの結合であり、
前記信号処理装置が、前記入力サンプルのセットと関連付けられた前記時間情報の間の関係に基づいて、結合の前に前記入力サンプルのセットが互いに対していくつのサンプルだけシフトされるかを決定するように構成されている、
請求項1から12のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項14】
前記サンプルコンバイナ論理のそれぞれの階層レベル内における前記それぞれのコンバイナノードが、前記入力サンプルのセットの適切にゼロパディングされたバージョンを合計することによって前記結合出力サンプルのセットを提供するように構成されており、
特定の入力サンプルのセットのパディングの量および位置が、前記入力サンプルのセットと関連付けられた前記時間情報に基づくものである、
請求項1から13のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項15】
前記最上位階層レベルのコンバイナノードが、それぞれの入力サンプルの各セットと関連付けられたそれぞれの時間情報を受け取るように構成されており、
前記それぞれの時間情報が、前記それぞれの入力サンプルのセットと関連付けられた処理時間に対応する、
請求項1から14のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項16】
前記それぞれの階層レベルのそれぞれのコンバイナノードが、前記入力サンプルのセットと関連付けられた前記時間情報に基づいて前記結合出力サンプルに時間情報を割り当てるように構成されている、
請求項1から15のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項17】
前記結合出力サンプルに割り当てられた時間情報が、前記入力サンプルのセットのうちの1つと関連付けられた前記時間情報と等しい、
請求項1から16のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項18】
複数の出力サンプルを格納するように構成された出力レジスタをさらに備える、
請求項1から17のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項19】
前記出力レジスタが、出力サンプルの値を累算および/または積算するように構成されている、
請求項18に記載の信号処理装置。
【請求項20】
前記複数の出力サンプルを放出する出力アキュムレータが、シフトレジスタを有する、
請求項1から19のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項21】
前記サンプルコンバイナ論理の最後のコンバイナノードの前記出力サンプルのセットに対して動作するように構成されたシフト論理および/またはパディング論理をさらに備える、
請求項1から20のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項22】
関連付けられた処理時間の順で前記複数の処理コアを並べたときに、隣合う2つの処理コアのそれぞれに関連付けられた処理時間の差分が、等距離または非等距離である、
請求項1から21のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項23】
前記信号処理装置が、前記入力サンプルのデシメーションを実行する、
請求項1から22のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項24】
前記信号処理装置が、畳み込みを実行する、
請求項1から23のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項25】
処理コアが、転置Farrow構造を実装する、
請求項1から24のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項26】
異なるサブツリーの構造が、前記処理コアの数の整数因数の同じかまたは異なる選択から導出される、
請求項1から25のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項27】
なるサブツリーの構造が、前記処理コアの数の整数因数の同じかまたは異なる順序付けから導出される、
請求項1から26のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項28】
異なる時間とそれぞれ関連付けられた複数の入力サンプルに基づいて複数の出力サンプルを提供するための方法であって、
出力サンプルのセットを提供するために、それぞれの異なる時間と関連付けられた入力サンプルおよび関連付けられた処理時間に基づいて、複数の処理コアを使用して処理演算を実行するステップと、
異なる処理時間と関連付けられた処理演算をそれぞれ実行する前記複数の処理コアの前記複数の出力サンプルのセットから、前記複数の出力サンプルを提供するステップと、を含み、
前記複数の出力サンプルの前記提供が、複数の階層レベルを有する階層ツリー構造を使用し、
最上位階層レベルのそれぞれの結合が、2つ以上の処理コア出力サンプルのセットに基づいて結合出力サンプルのセットを提供し、
前記最上位階層レベルよりも下位の所与の階層レベルのそれぞれの結合が、上位の階層レベルの関連付けられた結合の2つ以上の出力サンプルのセットに基づいて、結合出力サンプルのセットを提供し、
前記それぞれの結合が、前記それぞれの入力サンプルのセットを結合し、
入力サンプルの各セットが、前記入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報に基づいてシフトおよび/またはゼロパディングされる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施形態は、デジタル信号処理に関する。
本発明によるさらなる実施形態は、デジタル信号プロセッサ(DSP)上でのリアルタイム波形処理に関する。より具体的には、本発明は、処理されるデータのレートがDSPのクロック速度よりも高く、したがって並列データ処理アーキテクチャが採用されるDSP上のリアルタイム波形処理に関する。
本発明の実施形態は、並列間引きデジタルコンボルバに関する。
【背景技術】
【0002】
デシメーションは、ダウンサンプリングのプロセスを記述し、信号をより低いレートでサンプリングすることによって得られたはずのシーケンスの近似を生成する。出力サンプルレートが一般に入力サンプルレート以下であることを意味する。
【0003】
デシメータまたは間引きコンボルバは、等距離サンプリングで与えられた入力波形を連続時間インパルス応答で畳み込み、その出力において入力レート以下のサンプルレートでこの演算の結果を生成する。連続時間インパルス応答は、サンプルレート比に比例して時間伸長される。適切に選択されたインパルス応答を用いて、デシメータを、そうでなければ出力サンプルレートで望ましくないエイリアシング効果を生成する入力波形のスペクトル成分を抑制するように設計できる。
【0004】
デシメータは、特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)上での好都合な実装に役立つアルゴリズムアーキテクチャを示す。従来のデシメータは、転置Farrow構造として実装することができる。転置Farrow構造のインパルス応答は、区分的多項式形式で記述される。
【0005】
順次DSPに対して間引き畳み込みまたは間引きデジタル畳み込みを実行するための従来の演算の実装は、BabicおよびHentschelによるものであり、以下として要約される。
【0006】
時間アキュムレータが、Δtの増分で半開区間[0:1)における分数サンプルを累算する。デシメーション比は、1/Δtであり、ここで、Δtは、半開区間[0:1)内である。時間アキュムレータがオーバーフローすると、デシメータは1つの出力サンプルを放出し、出力アキュムレータ内の出力サンプルを一桁シフトする。
【0007】
出力アキュムレータの内部では、複数の出力サンプルが準備中である。出力アキュムレータは、複数のいわゆるドットコアの結果を累算または積算する。各ドットコアは、係数のベクトルと多項式評価器の対応する出力ベクトルとの間のドット積またはスカラーベクトル積を計算する。ドットコアの係数は、連続時間畳み込みカーネルを、したがってデシメータの応答を、区分的多項式形式で決定する。
【0008】
複数の出力サンプル内の出力サンプルの数または対応するドットコアの数Mは、Farrowデシメータのサポートと呼ばれ、一方、係数のベクトル内の係数の数Nは、Farrowデシメータの次数である。
【0009】
多項式評価器は、入力サンプルに累算された分数時間の連続する累乗0、1、…Nを乗算する。
【0010】
累算プロセスの結果として、出力波形の振幅は1/Δtだけスケーリングされる。出力振幅を入力または入力振幅と一致させるために、すべての出力サンプルにΔtが乗算される。
【0011】
従来のFarrow実装形態は、一度に1つのサンプルを処理する、すなわち、並列度1を有する。
【0012】
サンプルレートがデジタル信号プロセッサのクロックレートよりも高いときはいつでも、サンプルを適度に小さく結合するための努力を維持しながら、(例えば、共通のサンプルのセットに対して)並列処理演算を実行する必要がある。
【0013】
この目的は、独立請求項の主題によって解決される。
【発明の概要】
【0014】
本発明の一実施形態(例えば、請求項1を参照)は、処理コアの入力値などの複数の入力サンプルまたは入力値のセットに基づいて、例えばP個の出力サンプルなどの複数の出力サンプルまたは出力値を並列に提供するための、デシメータや間引きコンボルバなどのデジタル信号処理装置である。
【0015】
デジタル信号処理装置は、処理コア出力サンプルのセット、例えば処理コアごとにM個の処理コア出力サンプルを提供するために、それぞれの入力サンプルおよび関連付けられた処理時間に基づいて、処理演算、例えば、間引き演算や間引きデジタル畳み込み演算を実行するように構成された複数の処理コアまたは修正転置Farrowコアを備える。
【0016】
デジタル信号処理装置は、異なる処理時間、例えば、入力サンプルと関連付けられた時間や、t、t+Δt、t+2Δt、…などの基準時間に対する時間と関連付けられた処理演算を実行する、複数の処理コア、例えば、間引きコアやFarrowデシメータの複数の処理コア出力サンプルのセットからの複数の出力サンプルを提供するように構成されたサンプルコンバイナ論理または構造をさらに備える。
【0017】
サンプルコンバイナ論理は、複数の階層レベルのコンバイナノードを有する階層ツリー構造を備える。
【0018】
最上位階層レベルのそれぞれのコンバイナノードは、2つ以上の処理コア出力サンプルのセットに基づいて結合出力サンプルのセットを提供するように構成される。
【0019】
さらに、最上位階層レベルよりも下位の所与の階層レベルのそれぞれのコンバイナノードは、上位の階層レベルの関連付けられたコンバイナノードの2つ以上の出力サンプルのセットに基づいて結合出力サンプルのセットを提供するように構成される。
【0020】
それぞれのコンバイナノードは、それぞれの入力サンプルのセットを結合するように構成され、入力サンプルの各セットは、入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報に依存してシフトおよび/またはゼロパディングされる。
【0021】
言い換えれば、異なる処理時間と関連付けられた、例えば、P個の入力サンプルは、P個の処理コアまたは修正転置Farrowコアに提供される。各処理コアは、例えば、M個の出力サンプルを、複数の階層レベルのコンバイナノードから構成される階層ツリー構造を備えるコンバイナ論理に提供する。
【0022】
各コンバイナノードは、所与のコンバイナノードの2つ以上の入力サンプルのセットを結合するように構成される。所与の階層レベルの各コンバイナノードは、次の上位階層レベルのコンバイナノードから入力サンプルを受信し、次の下位階層レベルのコンバイナノードにその出力サンプルのセットを供給する。
【0023】
コンバイナ論理の出力サンプル、例えばP+M-1個のサンプルは、最下位階層レベルのコンバイナノードの出力であり、コンバイナ論理の入力セット、例えばM個のサンプルのセットは、最上位階層レベルのコンバイナノードの入力セットである。
【0024】
実施形態(例えば、請求項2参照)によれば、デジタル信号処理装置の出力サンプルのターゲット出力サンプルレートは、デジタル信号処理装置の入力サンプルの入力サンプルレート以下である。
【0025】
デジタル信号処理装置は、入力サンプリングよりも概して粗い出力サンプリングを提供するように構成される。デジタル信号処理装置は、その出力でその入力レート以下のサンプルレートでその演算の結果を生成する。
【0026】
デジタル信号処理装置のこの属性のいくつかの典型的であるが限定的ではない使用事例および/または用途を以下に列挙する。
ターゲットサンプルレートがソースサンプルレート以下である場合の、柔軟な(もしくはほぼ任意の)サンプルレート変換、および/または
ターゲットレートがソースレートに等しいときの、柔軟な(もしくはほぼ任意の)サンプルレート変換の特殊事例である、サブサンプル分解能を有するデジタル遅延、および/または
明確に定義されたサンプラ周波数応答を有するデジタル化デジタル波形のサンプリング、および/または
例えば、クロック回復ループの一部として、タイミングジッタを伴う入力波形の追跡。
好ましい実施形態(例えば、請求項3参照)では、デジタル信号処理装置は、時間アキュムレータを備える。
【0027】
時間アキュムレータは、グローバル処理時間を追跡し、グローバル処理時間が出力サンプルのサンプリング周期のPなどの所定の倍数をオーバーフローするたびに、出力レジスタおよび/または出力アキュムレータからの、P個の出力サンプルなどの複数の出力サンプルの放出をトリガするように構成される。出力レジスタおよび/または出力アキュムレータは、例えばシフトブロックまたはシフタを介して、サンプルコンバイナ論理に結合される。
【0028】
時間アキュムレータは、P×Δt増分で半開区間[0:P)における分数サンプルを累算する。時間アキュムレータがオーバーフローするたびに、デシメータは、例えば、P個の出力サンプルを放出し、出力レジスタおよび/または出力アキュムレータ内の出力サンプルをシフトする。
【0029】
実施形態(例えば、請求項4参照)によれば、コンバイナ論理の同じ階層レベル内において、複数のコンバイナノードの入力サンプルのセット内におけるサンプル数は同一であり、かつ/またはコンバイナ論理の同じ階層レベル内において、複数のコンバイナノードの出力サンプルのセット内におけるサンプル数が同一である。
【0030】
例えば、第1のコンバイナノードの入力サンプルのセット内のサンプル数および出力サンプルのセット内のサンプル数は、同じ階層レベルの第2のコンバイナノードの入力サンプルのセット内のサンプル数および出力サンプルのセット内のサンプル数と等しい。
【0031】
コンバイナ論理は、同じモジュールから構築された階層レベルを有するモジュール構造を有する。ここで、同じ階層レベルのコンバイナノードがそれらの入力サンプルのセット内に等しい量のサンプルおよびそれらの出力サンプルのセット内に等しい量のサンプルを有する。これにより、コンバイナ論理の生成および/または計画がより単純に、より安価に、かつ/またはより高速になる。
【0032】
好ましい実施形態(例えば、請求項5参照)では、所与のコンバイナノードの出力サンプルのセット内におけるサンプル数は、次の上位階層レベルのコンバイナノードによって、または入力サンプルとして処理コアによって、所与のコンバイナノードに提供される各入力サンプルのセット内におけるサンプルの数よりも大きい。
【0033】
所与のコンバイナノードは、等しい量のサンプルを有する2つ以上の入力サンプルを結合して出力サンプルのセットにする。
【0034】
所与のコンバイナノードの出力サンプル数は、所与のコンバイナノードの任意の入力サンプルのセット内におけるサンプル数よりも大きい。所与のコンバイナノードの入力サンプルのセットは、等しい数のサンプルを含み、それらのサンプルは、次の上位階層レベルのコンバイナノードによって出力サンプルのセットとして、または処理コアによって出力サンプルのセットとして提供される。
【0035】
一実施形態(例えば、請求項6参照)によれば、サンプルコンバイナ論理は、次の上位階層レベルのそれぞれのコンバイナノードによって入力サンプルとしてコンバイナノードに提供されるサンプル数が、階層レベルが減少するにつれて段階的に増加するように構成される。
【0036】
コンバイナ論理は、コンバイナノードの連鎖であり、各コンバイナノードは、上位階層レベルのコンバイナノードから入力サンプルのセットとして2つ以上の出力セットを受け取り、出力サンプルのセットを下位階層レベルのコンバイナノードに提供する。
【0037】
最上位階層レベルのコンバイナノードは、それぞれの2つ以上の処理コアから2つ以上の入力サンプルのセットを受け取ることになる。
【0038】
上から下へのコンバイナ論理のツリー構造に従って、異なる階層レベルのコンバイナノードの出力サンプルのセットのサンプル数は増加し、より下位の階層レベルのコンバイナノードの入力サンプルのセット内のサンプル数も増加する。
【0039】
実施形態(例えば、請求項7参照)によれば、それぞれのコンバイナノードの入力サンプル数および/またはそれぞれのコンバイナノードによって提供される出力サンプル数は、例えばMとして表される、単一の処理コアの出力サンプルのセットのサンプル数、および/または例えばhとして表される、それぞれのコンバイナノードの階層レベル、および/または例えばPとして表される処理コアの数の、例えばpとして表される整数因数への因数分解に基づくものである。
【0040】
入力サンプルのセット内のサンプル数と所与のコンバイナノードの出力サンプル数との間には関係があり、この関係は、所与のコンバイナノードの階層レベル、処理コアの出力サンプル数、および処理コアの数の整数因数に依存する。この関係を、例えば方程式上で定義することにより、コンバイナノードおよび/またはコンバイナ論理全体の明確かつ直接的な理解が得られる。
【0041】
好ましい実施形態(例えば、請求項8参照)では、それぞれのコンバイナノードの入力サンプルのセットの数は、例えばPとして表される処理コアの数の、例えばpとして表される整数因数への因数分解に依存する。
【0042】
は、例えば、Pが
【数1】
によって記述されるような、Pの、必ずしも素因数ではない整数因数を表す。式中、Pは、処理コアの数を表し、kは、0と(H-1)との間の割当変数を表し、Hは、選択された整数因数分解における因数の総数を表す。
【0043】
同じ階層レベルのコンバイナノードは、それらの入力サンプルのセット内に同数のサンプルを有し、同数の出力サンプルを提供する。
【0044】
実施形態(例えば、請求項9参照)によれば、所与の階層レベルhのそれぞれのコンバイナノードの入力サンプルのセットの数は、例えば、処理コアの数Pの整数因数pのうちの1つである、pとして表される。
【0045】
は、上述したように、Pが
【数2】
によって記述されるような、処理コアの数Pの、必ずしも素因数ではない整数因数pのセットの1つの要素である。
【0046】
のhは、それぞれのコンバイナノードの階層レベルを表す。最上位階層レベルはh=0によって記述され、hは階層レベルが減少するにつれて増加する。
【0047】
好ましい実施形態(例えば、請求項10参照)では、それぞれのコンバイナノードの入力サンプルの各セット内のサンプル数は、以下の式に基づくものである。
【数3】
【0048】
式中、Ninputは、入力サンプルの各セット内のサンプル数を表し、
は、所与の階層レベルのそれぞれのコンバイナノードの入力サンプルの各セット内のサンプルの数を表し、
は、上述したように、
【数4】
であるような、処理コアの数Pの、必ずしも素因数ではない整数因数を表し、
hは、それぞれのコンバイナノードの階層レベルを表し、最上位階層レベルは、h=0によって記述され、hは、階層レベルが減少するにつれて増加し、
Mは、単一の処理コアの出力サンプルのセットのサンプル数を表す。
【0049】
好ましい実施形態(例えば、請求項11参照)では、それぞれのコンバイナノードの出力サンプル数は、以下の式に基づくものである。
【数5】
【0050】
式中、Noutputは、それぞれのコンバイナノードによって提供される出力サンプル数を表し、
は、上述したように、
【数6】
であるような、処理コアの数Pの、必ずしも素因数ではない整数因数を表し、
hは、それぞれのコンバイナノードの階層レベルを表し、最上位階層レベルは、h=0によって記述され、hは、階層レベルが減少するにつれて増加し、
Mは、単一の処理コアによって提供される出力サンプルのセットのサンプル数を表す。
好ましい実施形態(例えば、請求項12参照)では、サンプルコンバイナ論理のそれぞれの階層レベル内のそれぞれのコンバイナノードは、結合出力サンプルのセットを提供するように構成される。そこで、結合出力サンプルのセットは、入力サンプルのセットの結合である。
【0051】
信号処理装置は、入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報、例えばint間の関係、例えば差に依存して、結合の前に入力サンプルのセットが互いに対して何サンプルだけシフトされるかを決定するように構成される。
【0052】
所与のコンバイナノードは、所与のコンバイナノードに提供された2つ以上の入力サンプルのセットの結合セットを提供する。異なる入力サンプルのセットは、異なる処理時間と関連付けられる。
【0053】
異なる処理時間は、非同一の入力サンプルのセットをもたらし、サンプルは、複数の入力サンプルのセットに含まれ得る。
【0054】
実施形態(例えば、請求項13参照)によれば、サンプルコンバイナ論理のそれぞれの階層レベル内のそれぞれのコンバイナノードは、入力サンプルのセットの適切にゼロパディングされたバージョンを合計することによって結合出力サンプルのセットを提供するように構成され、特定の入力サンプルのセットのパディングの量および位置は、入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報に依存する。
【0055】
入力サンプルのセットの、選択され、適切にゼロパディングされたバージョンの合計により、入力サンプルのセットを結合して単一の出力サンプルのセットにすることが可能になる。入力サンプルの結合セットは、出力サンプルのセットよりも大きなサンプルセットである。入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報に依存した開始インデックスから開始して、単一の出力サンプルのセットへの結合の前に、ゼロパディングされたサンプルのセットの中から所与の数のサンプルが選択される。
【0056】
好ましい実施形態(例えば、請求項14参照)では、最上位階層レベルのコンバイナノードは、それぞれの入力サンプルのセットと関連付けられた、intなどのそれぞれの時間情報を受け取るように構成される。intやfloor(t+Δt)などのそれぞれの時間情報は、それぞれの入力サンプルのセットと関連付けられたt+n・Δtなどの処理時間に対応する、すなわち、処理時間に基づくかまたは処理時間に関連する。
【0057】
それぞれのコンバイナノードの入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報は、入力サンプルのセットの出力サンプルのセットへの結合前に、ゼロパディングされた入力セットからの選択の開始インデックスを計算するために使用される。時間情報は、それぞれの入力サンプルのセットと関連付けられた処理時間に依存する。
【0058】
実施形態(例えば、請求項15参照)によれば、処理コアは、処理機能を決定するために、それぞれの処理コアと関連付けられたt+n・Δtなどのそれぞれの処理時間の、例えばfracとして表される分数部を使用するように構成される。信号処理装置は、それぞれの処理コアによって最上位階層レベルのそれぞれのコンバイナノードに提供される、それぞれの入力サンプルのセットと関連付けられたintなどの時間情報として、それぞれの処理コアと関連付けられたそれぞれの処理時間tのintなどの整数部分を使用するように構成される。
【0059】
それぞれの処理時間の分数部は、処理コアに提供される。それぞれの処理時間の整数部分は、コンバイナ論理の最上位階層レベルのそれぞれのコンバイナノードに提供される。
【0060】
好ましい実施形態(例えば、請求項16参照)では、それぞれの階層レベルのそれぞれのコンバイナノードが、入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報に基づいて結合出力サンプルに整数値の時間情報を割り当てるように構成される。
【0061】
結合出力サンプルのセットと関連付けられた時間情報は、1つまたは複数の入力サンプルのセットの時間情報に基づく整数値である。例えば、結合出力サンプルのセットと関連付けられた時間情報は、入力サンプルのセットのうちの1つの時間情報の整数値と等しい。
【0062】
好ましい実施形態(例えば、請求項17参照)では、結合出力サンプルに割り当てられた時間情報は、入力サンプルのセットのうちの1つと関連付けられた時間情報と等しい。
【0063】
入力サンプルのセットのうちの1つと関連付けられた時間情報を出力サンプルのセットに割り当てることは、時間情報を出力サンプルのセットに割り当てる簡単な方法である。
【0064】
好ましい実施形態(例えば、請求項18参照)では、デジタル信号処理装置は、複数の出力サンプルを格納するように構成された出力レジスタを備える。
【0065】
サンプルを出力レジスタに格納することは、さらなるデータ処理によってデータを失わないという利点を有し、かつ/または再使用を可能にする、すなわち、同じサンプルが、例えば出力サンプルの累算によって複数回処理される。
【0066】
好ましい実施形態(例えば、請求項19参照)では、出力レジスタは、出力サンプルの値を累算および/または積算するように構成される。
【0067】
出力値を累算および/または積算することにより、信号処理装置の出力値のセットをより小さくかつ/またはよりコンパクトに保ちながら、出力サンプルの結合が得られる。
【0068】
好ましい実施形態(例えば、請求項20参照)では、出力レジスタまたは出力アキュムレータはシフトレジスタを備える。
【0069】
限られた数の出力サンプルが格納されさえすればよいので、限られた数の出力サンプルを格納するにはシフトレジスタで十分である。シフトレジスタは、限られた数のサンプルを格納するための実行可能な解決策であり、広く使用されており、使用が簡単で費用効果が高い。
【0070】
さらに、出力アキュムレータでの累算は、シフトレジスタによって容易に実行することができるシフト演算を使用する。
【0071】
実施形態(例えば、請求項21参照)によれば、デジタル信号処理装置は、サンプルコンバイナ論理の最後のコンバイナノードの出力サンプルのセットに対して動作するように構成されたシフト論理および/またはパディング論理を備える。
【0072】
シフト論理および/またはパディング論理は、コンバイナ論理によって提供されたサンプルのセットに適切な数のゼロを後尾および/または先頭に付加する。コンバイナ論理の出力サンプルと関連付けられた時間情報と関連付けられたインデックスから開始して、適切にゼロパディングされた出力サンプルから事前定義数のサンプルが選択される。
【0073】
好ましい実施形態(例えば、請求項22参照)では、処理コアと関連付けられた処理時間は、タイミングジッタが適用される場合、等距離または非等距離である。
【0074】
処理時間は処理演算と関連付けられるので、等距離または非等距離であり得る処理時間の可変性により、等距離または非等距離の処理時間で可変処理演算を実行することになる。
【0075】
好ましい実施形態(例えば、請求項23参照)では、信号処理装置は、前記入力サンプルのデシメーションを実行する。
【0076】
デジタル信号処理装置は、時間アキュムレータがオーバーフローするたびに新しい出力サンプルのセットを放出する。
【0077】
累算時間情報の分数値はそれぞれの処理コアと関連付けられ、累算時間情報の整数値は出力サンプルのセットと関連付けられ、結果として出力サンプルのセットは入力サンプルのセットのデシメーションになる。
【0078】
実施形態(例えば、請求項24参照)によれば、デジタル信号処理装置は、畳み込みを実行する。
【0079】
所与の処理コアが、入力サンプルのセットを取得し、単一の出力サンプルのセットを出力することによって、複数の入力要素から単一の出力要素を提供するサンプル結合演算を実行する際に、サンプルコンバイナ論理は、加重平均演算または畳み込み演算を実行する。
【0080】
好ましい実施形態(例えば、請求項25参照)では、複数の処理コアは、転置Farrow構造を実装する。転置Farrow構造は、デシメータの広く使用されている実装形態であり、これによりデシメータが、適用が容易な、既製の、費用効果の高い解決策になる。
【0081】
実施形態(例えば、請求項26参照)によれば、異なるサブツリーの構造が、処理コアの数Pの整数因数pの同じかまたは異なる選択から導出される。
【0082】
一例として、P=16の場合、処理コアの数を、ツリーの一部に対して16=(2×2×2)×2として、かつ/またはツリーの異なる部分に対して16=(4×2)×2として因数分解することができる。
【0083】
実施形態(例えば、請求項27参照)によれば、異なるサブツリーの構造が、処理コアの数Pの整数因数pの同じかまたは異なる順序付けから導出される。
【0084】
一例として、P=16の場合、処理コアの数を、ツリーの一部に対して16=2×4×2として、かつ/またはツリーの異なる部分に対して16=4×2×2として因数分解することができる。
【0085】
本発明によるさらなる実施形態は、それぞれの方法を作り出す。
【0086】
しかしながら、方法は、対応する装置と同じ考察に基づくものであることに留意されたい。さらに、方法は、装置に関して本明細書に記載されている特徴および/または機能および/または詳細のいずれかによって、個別と組み合わせの両方によって補足され得る。
【図面の簡単な説明】
【0087】
以下において、本開示の実施形態を、図面を参照してより詳細に説明する。
図1】コンバイナ論理と複数の処理コアとを備える、信号処理装置を示す概略ブロック図である。
図2】時間アキュムレータ、シフタ、およびアキュムレータモジュールで拡張された信号処理装置を示す概略ブロック図である。
図3】2つの入力サンプルのセットを有するコンバイナ論理のコンバイナノードを示す概略ブロック図である。
図4】シフタを示す概略ブロック図である。
図5】従来のFarrowデシメータ(従来の転置Farrow構造)を示す概略図である。
図6】例として、「修正Farrowコア」が、「Farrowコア」と「int」および「frac」の計算とを含む、修正Farrowコアを示す概略ブロック図である。
図7】拡張信号処理装置を示す例示的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
以下において、様々な発明の実施形態および態様について説明する。また、さらなる実施形態も、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0089】
特許請求の範囲によって定義される任意の実施形態は、本明細書に記載される詳細、特徴および/または機能のいずれかによって補足することができることに留意されたい。また、本明細書に記載される実施形態は、個別に使用することもでき、特許請求の範囲に含まれる詳細および/または特徴および/または機能のいずれかによって任意選択的に補足することもできる。
【0090】
また、本明細書に記載される個々の態様は、個別にまたは組み合わせて使用することができることにも留意されたい。よって、前記態様の別の態様に詳細を付加することなく、前記個々の態様の各々に詳細を付加することができる。
【0091】
本開示は、信号処理装置において使用可能な特徴を明示的または暗黙的に記述することに留意されたい。よって、本明細書に記載される特徴のいずれも、信号処理装置の文脈で使用することができる。
【0092】
さらに、方法に関連して本明細書に開示される特徴および機能は、そのような機能を実行するように構成された装置においても使用することができる。さらに、装置に関して本明細書に開示される任意の特徴または機能は、対応する方法においても使用することができる。言い換えれば、本明細書に開示される方法は、装置に関して説明される特徴および機能のいずれかによって補足することができる。
【0093】
本発明は、以下に記載される詳細な説明、および本発明の実施形態の添付の図面を読めばより完全に理解されるが、これらは本発明を記載される特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではなく、説明および理解のためのものにすぎない。
【0094】
図1による実施形態)
図1に、コンバイナ論理110と複数の処理コア120とを備える、デジタル信号処理装置100のブロック図を示す。コンバイナ論理110は、複数の階層レベル140a~140cを有する階層ツリー構造140に編成された複数のコンバイナノード130a~130fを備える。
【0095】
デジタル信号処理装置の入力サンプル150は、複数の処理コア120に提供される。
【0096】
複数の処理コア120は、処理コア120a~120fを備える。処理コア120a~120fの入力は、デジタル信号装置100の入力である。処理コア120a~120fの出力125a~125fは、コンバイナ論理110に結合される。
【0097】
処理コア120a~120fは、異なる処理時間と関連付けられており、入力サンプル150のうちの1つの入力サンプルを取得し、出力サンプルのセット125a~125f、例えばM個の出力サンプルを各々コンバイナ論理110に提供するように構成されている。
【0098】
処理コア120a~120fの出力サンプルのセット125a~125fは、入力サンプルとしてコンバイナ論理110に提供され、サンプルのセット125a~125fは、最上位階層レベル140a(h=0)のコンバイナノード130a~130cに提供される。コンバイナノード130a~130cは、入力サンプルのセット125a~125fを入力として取得し、結合セット160a~160dを次の下位階層レベル140b上のコンバイナノード130d~130eに提供する。レベル140a上の出力サンプルのセット160a~160dやレベル140b上の出力サンプルのセット160e~160fなど、同じ階層レベルの出力サンプルのセット内のサンプル数は同一である。
【0099】
任意の所与のコンバイナノード130a~130fは、次の上位階層レベルから2つ以上の入力サンプルのセットを取得する。例えば、コンバイナノード130dは、階層レベル140a上のコンバイナノード130a~130bから入力サンプルのセット160a~160bを取得し、1つの結合セット、例えば160eを、次の下位階層レベルのコンバイナノード、例えば階層レベル140c上のコンバイナノード130fに提供する。
【0100】
コンバイナ論理は、コンバイナノード130a~130fの階層ツリー構造140を有し、最上位階層レベルのコンバイナノード130a~130cは、それぞれの処理コア120a~120fから入力サンプルのセット125a~125fを取得し、他のすべてのコンバイナノード130d~130fは、次の上位階層レベルから入力サンプルのセットを取得する。
【0101】
最下位階層レベル140c上のコンバイナノード130fは、コンバイナ論理110の出力および信号処理装置の出力である出力180を提供する。コンバイナ論理110の他のすべてのコンバイナノード130a~130eの出力は、次の下位階層レベルのコンバイナノード130d~130fの入力のうちの1つと結合される。
【0102】
言い換えれば、デジタル信号処理装置100は、複数の処理コア120とコンバイナ論理110とを備え、複数の入力サンプル150から複数の出力サンプル180を提供するように構成されている。複数の処理コア120は並列に処理演算を実行し、処理コア120a~120fは異なる処理時間と関連付けられている。処理コア120a~120fの出力サンプルのセット125a~125fは、入力サンプルのセットとしてコンバイナ論理110に提供される。
【0103】
コンバイナ論理110は、階層レベル140a~140cに編成されたコンバイナノード130a~130fの階層ツリー構造140を使用することによって、入力サンプルのセット125a~125fから出力サンプルのセット180を提供する。
【0104】
入力サンプル150は、出力サンプルのセット125a~125dをコンバイナ論理110に提供するために、処理コア120a~120fに入力として供給され、セット125a~125f内のサンプル数は、すべてのセット125a~125fについて等しい。
【0105】
コンバイナ論理110の各レベル140a~140cは、コンバイナノード130a~130fを含み、所与の階層レベル140a~140cのコンバイナノード130a~130fは、次の上位階層レベルから2つ以上の入力サンプルのセット125a~125f、160a~160fを取得し、次の下位階層レベル140a~140cに1つのセット160a~160fを提供する。
【0106】
本明細書に記載されるデジタル信号処理装置100または並列間引きデジタルコンボルバ100は、信号プロセッサ特定用途向け集積回路(ASIC)および/または他の計器の一部の重要な構成要素として使用され得る。
【0107】
本明細書に記載されるデジタル信号処理装置の適用形態は、例えば、デジタル信号処理装置がほぼリアルタイムで100GSa/sのサンプルレートに対処することができるように、柔軟な(またはほぼ任意の高い)サンプルレートに対して、リアルタイムまたはほぼリアルタイムの応答時間で、並列DSP上で対処することができる。これは、並列処理コアを有するアーキテクチャの面積効率の良い実装形態である。
【0108】
さらに、信号処理装置を、無線周波数(RF)用途およびアナログベースバンド用途のために、ほぼリアルタイムで高品質の柔軟な(またはほぼ任意の)サンプルレート変換を提供するために使用することができる。使用可能な帯域幅は、例えば、ナイキストレートの75%とすることができ、例えば、60dBのイメージ抑圧を達成することができる。変換比は、いくつかの単純な分数に著しく限定されず、64ビットの分解能で0と1との間の数としてプログラムされるという意味で、真に柔軟である(またはほぼ任意である)。DSPのクロックレートをはるかに超えるサンプルレートに対処することができる。
【0109】
さらに、信号処理装置は、柔軟な(またはほぼ任意の)ユーザビットレートのために、デジタル化された非ゼロ復帰(NRZ)デジタル波形および/またはパルス振幅変調(PAM)デジタル波形をサンプリングするために使用することができる。
【0110】
さらに、クロック回復ループを用いて変動するデジタル波形を追跡することができる。
【0111】
重要な使用事例が、時間・デジタル(TDC)ベースの同期機構のためのサブサンプル分解能遅延を提供することである。
【0112】
図2による実施形態)
図2に、図1のデジタル信号処理装置100の強化または拡張バージョンである信号処理装置200の概略ブロック図またはハイレベルブロック図を示す。デジタル信号処理装置200の出力は、シフタ270に結合される。シフタ270は、1入力1出力を有し、シフタ270の出力はアキュムレータ290に結合される。
【0113】
アキュムレータ290は、2入力1出力を有する。アキュムレータ290の第1の入力はシフタ270に結合され、アキュムレータ290の第2の入力は時間アキュムレータ295に結合される。アキュムレータ290の出力は、拡張デジタル信号装置200の出力である。時間アキュムレータ295はアキュムレータ290と結合され、デジタル信号処理装置200の出力サンプルの放出をトリガするように構成されており、処理コアおよび/またはコンバイナ論理210に時間情報を提供するように構成されている。
【0114】
信号処理装置200の入力サンプル250は、処理コア220a~220fを含む複数の処理コア220に提供される。処理コア220a~220f、例えば処理コア220bは、コンバイナ論理210に結合されている。処理コア220a~220fは、入力サンプルを入力として期待し、出力サンプルのセット225a~225fを出力として提供する。出力サンプルのセット225a~225fは、コンバイナ論理210の入力サンプルのセットである。
【0115】
処理コア220a~220fのいずれか、例えば処理コア220bは、1入力1出力を有する。処理コア220a~220fは、入力サンプル250からの入力サンプルを入力として期待し、出力サンプルのセット225a~225fを提供する。出力サンプルのセット225a~225fは、コンバイナ論理210の入力サンプルのセットである。
【0116】
コンバイナ論理210は、図1のコンバイナ論理110と同様であり、複数の階層レベル240a~240cに編成されたコンバイナノード230a~230fの階層ツリー構造240を備える。
【0117】
コンバイナ論理210の最上位階層レベル240a上のコンバイナノード230a~230cの入力は、コンバイナ論理210の入力である。コンバイナノード230a~230cは、図1の複数の処理コア120と同様の、複数の処理コア220の処理コア220a~220fに結合された2つ以上の入力を有する。
【0118】
コンバイナ論理210の任意のコンバイナノード230a~230fは、1出力2つ以上の入力を有する。所与のコンバイナノード230a~230fの入力は、次の上位階層レベル240a~240c上の別のコンバイナノード230a~230fに結合され、コンバイナノード230a~230fの出力は、次の下位階層レベル240a~240c上のコンバイナノード230a~230fに結合される。
【0119】
最下位階層レベル240cのコンバイナノード230fの出力サンプルは、コンバイナ論理210の出力サンプルである。コンバイナ論理210の最下位階層レベル240cのコンバイナノード230fは、シフタ270を介してアキュムレータ290に結合されている。
【0120】
言い換えれば、デジタル信号処理装置200は、図1のデジタル信号処理装置100の拡張バージョンであり、デジタル信号処理装置100を備え、シフタ270と、アキュムレータ290と、時間アキュムレータ295とによって拡張されている。
【0121】
時間アキュムレータ295は、処理時間を追跡し、処理時間が出力サンプルのサンプリング周期の所定の倍数、例えばPをオーバーフローするたびに、アキュムレータ290からの出力サンプル280、例えばP個のサンプルの放出をトリガするように構成されている。
【0122】
アキュムレータ290は、出力サンプル280、例えばP個の出力サンプルを提供するために、シフタ270によって提供されたサンプルを累算および/または積算するように構成される。アキュムレータ290の出力サンプル280は、拡張信号処理装置200の出力サンプルである。
【0123】
シフタ270は、コンバイナ論理210の出力サンプルの先頭および/または後尾にゼロを付加し、選択されたサンプルのセットをアキュムレータ290に入力として提供するために、ゼロパディングされたサンプルのセットから事前定義数のサンプル、例えば2P+M-2個のサンプルを選択するように構成されている。
【0124】
処理コア220a~220f、例えば転置Farrowコアは、入力サンプル250の入力サンプルからのサンプルのセット、例えばM個のサンプルを、例えば、分配論理210の面積効率の良い実装形態に提供する。
【0125】
複数の処理コア220によって提供されるコンバイナ論理210の入力サンプルは、累算時間298に基づく時間情報と共に、第1の階層240a内のコンバイナノード230a~230cの入力サンプルである。それぞれの階層レベル240a~240c上のそれぞれのコンバイナノード230a~230fは、出力サンプルの各セットに時間情報を割り当てるように構成されており、時間情報は、時間アキュムレータ295によって追跡される処理時間に基づくものである。
【0126】
コンバイナ論理210の各コンバイナノード230a~230fは、入力サンプルのセットを結合して、次の下位階層レベルのコンバイナノード230a~230fへの入力としての出力サンプルのセットにするように構成されている。
【0127】
さらに、それぞれの階層レベル240a~240c上のそれぞれのコンバイナノード230a~230fは、それぞれのコンバイナノード230a~230fの入力サンプルのセットに割り当てられた時間情報に基づいて、(298に基づく)時間情報を出力サンプルのセットに割り当てるように構成されている。
【0128】
時間アキュムレータ295によって追跡される処理時間298は、タイミングジッタが適用されるか否かに応じて、等距離または非等距離であり得る。
【0129】
最下位階層レベル240cのコンバイナノード230fは、ゼロパディングされた出力サンプルを累算および/または積算して出力サンプルのセット280にするために、シフタ270を介してアキュムレータ290に出力サンプルを供給する。
【0130】
デジタル信号処理装置200は、例えば古典的なFarrowデシメータ(転置Farrow構造に基づく)と同じおよび/または同様の数学演算を実行するが、複数の、例えばP個のサンプルをクロックサイクルごとに1回に処理する。デジタル信号処理装置200は、1クロック当たりP個の時間的に連続した出力サンプルを生成し、したがって、1より大きい並列度を有する。
【0131】
複数の処理コアは、P個の同一の処理コア、または修正Farrowコアを含む。各処理コアは、ドットコアと、修正Farrowコアまたは修正Farrow実装で使用される多項式評価器とを備える。
【0132】
時間アキュムレータ295は、P×Δtの増分で半開区間[0;P)における分数サンプルを累算する。時間アキュムレータ295がオーバーフローするたびに、デシメータはP個の出力サンプルを放出する。
【0133】
各々M個の出力サンプルを提供するために、P個の入力サンプルがそれぞれのP個の処理コアに与えられる。複数の処理コア220a~220fは、t、t+Δt、t+2Δt、…などの異なる処理時間と関連付けられた、P個の同一の処理コアまたは修正Farrowコアを含む。処理コア220a~220fは、複数のドットコアと多項式評価器とを備える修正Farrowコア(図6の600)として実装できる。修正Farrowコアは各々、M個の出力サンプルをコンバイナ論理210の最上位階層レベル240aのコンバイナノード230a~230cに提供する。コンバイナ論理210の面積効率の良い実装形態は、すべての修正Farrowコアまたは処理コア220が出力アキュムレータ290内のM個のサンプルの正しいサブセットに寄与することを保証する。
【0134】
所与のコンバイナノードは、M個の入力サンプルのセットなどの2つ以上の入力サンプルのセットを取得し、それらを結合して出力サンプルの1つの結合セットにする。出力サンプルの結合セットは、次の下位階層レベルのコンバイナノードの入力サンプルのセットとして機能する。最下位階層レベル240cのコンバイナノード230fの出力サンプル、例えばP+M-1個のサンプルは、入力サンプルとしてシフタ270に提供される。
【0135】
シフタは、その入力サンプルの後尾および/または先頭にゼロ、例えばP-1個のゼロを付加し、ゼロパディングされたサンプルのセットからサンプル、例えば2P+M-2個のサンプルを選択するように構成されている。
【0136】
選択されたサンプル、例えば2P+M-2個のサンプルは、アキュムレータ290に提供される。信号処理装置の出力サンプルとして機能するP個の出力サンプルなどの出力サンプル280を提供するために、2P+M-2個のサンプル、すなわちP個の現在のサンプルおよびP+M-2個の将来のサンプルが出力アキュムレータ290において累算される。
【0137】
コンバイナ論理またはサンプルのセットの結合は、結合およびシフトの2段階で進む。
【0138】
結合段階は、処理コア220a~220fまたは修正Farrowコア220a~220fの出力サンプルセット、例えばM個のサンプルのセットがコンバイナ論理の第1の階層レベル240aのコンバイナノード230a~230cに提供されるように、入力サンプルのセットを結合する。P=2と仮定すると、結合プロセスには、H-1の高さを有する完全な2分木である階層構造240が関与する。したがって、階層レベルhにP/2h+1個のコンバイナノードを有するプロセスに関与するH個の階層レベルがあり、h=0…H-1である。最後のコンバイナノードは、P+M-1個の時間的に連続したサンプルを生成する。これらは、アキュムレータ290による累算のために、後続のシフトブロックまたはシフタ270によって正しい位置にシフトされる。
【0139】
シフタ270によって実行されるシフトは、P+M-1個のサンプルなどの入力サンプルのセットの後尾および/または先頭にゼロを付加して、ゼロパディングされたサンプルのセット、例えば3P+M-3個のサンプルを得ることを含む。アキュムレータ290による累算のためにサンプルの位置を補正するために、ゼロパディングされたサンプルのセットから出力サンプルのセット、例えば2P+M-2個のサンプルが選択される。
【0140】
階層レベルhにおける「コンバイナノード」の動作が図3に示されており、シフタの動作が図4に記載されており、実装形態の一例が図7に示されている。
【0141】
図3によるコンバイナノード)
図3に、図1のコンバイナノード130と同様のコンバイナノード300の概略ブロック図を示す。コンバイナノード300の入力は、それぞれの時間情報320a~320bと共に2つのサンプルのセット310a~310bを含む。コンバイナノード300は、関連付けられた時間情報350と共に入力サンプル310の出力サンプルのセット360を提供する。図3の具体例は、処理コアの数が2の累乗(すなわち、P=2)であり、この数がすべてp=2である
【数7】
に従って因数分解される場合に得られる2分木構造の一部である。
【0142】
所与の階層レベルhにあるコンバイナノード300は、入力サンプルのセット310a~310bを結合して出力サンプルのセット360にするように構成されている。入力サンプルのセット310a~310bは、等しい量のサンプル、例えばW+M-1個のサンプルを有し、Wは、W=2によって記述され、hは、所与のコンバイナノードの階層レベルを表し、h=0は、最上位階層レベルであり、hは、階層レベルが減少するにつれて1だけ増加する。
【0143】
コンバイナノード300は、入力サンプルのセット310a~310bの後尾および/または先頭にゼロを付加し、例えば、第1の入力サンプルのセットおよび第2の入力サンプルのセットの後尾にW個のゼロを付加し(330a~330b)、第2の入力サンプルのセットの先頭にW個のゼロを付加する(340)。規定数のサンプル、例えば2W+M-1個のサンプルが、ゼロパディングされた入力サンプルのセットから選択される(370)。選択されたゼロパディングされた入力サンプルのセットは、例えば加算演算によって結合されて、例えば2W+M-1個のサンプルを有する出力サンプルセットになる。
【0144】
ゼロパディングされたサンプル、例えば3W+M-1個のサンプルからのサンプル、例えば2W+M-1個のサンプルの選択(370)は、入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報320a~320bに依存した開始インデックスから開始して、例えば2W+M-1個のサンプルを選択すること(370)によって進む。
【0145】
選択(370)の開始インデックスは、例えば、第2の入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報と第1の入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報との差などの、入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報の差を取ることによって取得され、すなわち、以下の式によって記述することができる。
index=intsecond-intfirstまたはindex=intright-intleft
【0146】
さらに、コンバイナノード300は、所与のコンバイナノード300によって提供された出力サンプルのセット360に時間情報350を関連付けるように構成されている。出力サンプルのセット360と関連付けられた時間情報350は、コンバイナノード300の所与の階層レベルにおいて、コンバイナノード300に提供される入力サンプルのセットと関連付けられた時間情報320a~320bに依存する。例えば、出力サンプル360と関連付けられた時間情報は、入力サンプルのセット310a~310bのうちの1つと関連付けられた時間情報320a~320bに等しい。
【0147】
図3は、図1のデジタル信号処理装置100で使用されるコンバイナノード300のブロック図を示している。コンバイナノード300は、図1の複数の処理コア120a~120fの結果を結合して共通の出力サンプルのセットにし、入力サンプルのセット310a~310bと関連付けられた時間情報320a~320bに依存して時間情報350を出力サンプル360に関連付けるために、図1のコンバイナ論理110において階層ツリー構造で編成されている。出力サンプル360は、次の下位階層レベルのコンバイナノードまたは図2のシフタ270の入力サンプルとして機能する。
【0148】
図4によるシフタ)
図4に、図2のシフタ270の一例であるシフタ400の図を示す。入力サンプルのセット420が関連付けられた時間情報410と共に、図1のコンバイナ論理110の最下位階層レベルのコンバイナノードによってシフタ400に提供される。また、シフタ400は、出力サンプルのセット460を図2のアキュムレータ290に提供する。
【0149】
入力サンプルのセット420、例えばP+M-1個のサンプルは、シフタ400に供給される。入力サンプルのセット420の後尾(430)および/または先頭(440)にゼロが付加される。例えば、入力サンプルのセットの後尾にP-1個のゼロが付加され、先頭にP-1個のゼロが付加され、ゼロパディングされた入力サンプルのセット、例えば3P+M-3個のサンプルのセットが得られる。出力サンプル、例えば2P+M-2個のサンプルは、時間情報410と関連付けられた開始インデックスから選択(450)を開始することによってゼロパディングされた入力サンプルのセットから選択され(450)、例えば、開始インデックスは時間情報410に等しい。選択されたサンプル、例えば2P+M-2個のサンプルは、図2のアキュムレータ290に提供される出力サンプル460である。
【0150】
図4は、図2のシフタ270と同様のシフタ400を示している。シフタ400は、図2のコンバイナ論理210から入力サンプル420を関連付けられた時間情報410と共に受け取り、図2のアキュムレータ290のために入力サンプルの位置を補正する。
【0151】
図5による従来のFarrowデシメータ)
図5に、転置Farrow構造としても知られる従来のFarrowデシメータ500のブロック図を示す。Farrowデシメータ500は、出力アキュムレータ510と、時間アキュムレータ520と、Farrowコア530とを備える。
【0152】
時間アキュムレータ520は、Δtの増分で半開区間[0;1)における分数サンプルを累算する。時間アキュムレータがオーバーフローすると、時間アキュムレータは、出力アキュムレータ510からの出力サンプル550のシフトおよび放出を要求する。Farrowデシメータ500は、時間アキュムレータ520がオーバーフローするたびに、クロックサイクルごとに1つの出力サンプル550を生成する。累算分数時間は、Farrowコア530の多項式評価器570にも提供される。
【0153】
修正Farrowコア530は、複数のドットコア560と、多項式評価器ユニット570とを備える。
【0154】
Farrowデシメータ500は、クロックサイクルごとに1つの入力サンプルを受け入れる。Farrowデシメータ500の入力は、多項式評価器570の入力である。多項式評価器570は、時間アキュムレータ520に結合されたさらなる入力を有し、各ドットコア560に結合される。
【0155】
多項式評価器570は、入力サンプルおよび時間アキュムレータ520からの分数時間入力を取得し、入力サンプルに累算分数時間の連続する累乗0、1、…Nを乗算して、サンプルのセットをドットコア560に提供する。
【0156】
ドットコア560は、多項式評価器570と出力アキュムレータ510とに結合されている。各ドットコア560は、係数のベクトルと多項式評価器570の出力値のベクトルとの間のドット積(スカラーベクトル積)を計算する。修正Farrowコア530の出力は、複数のドットコア560の出力サンプルである。複数のドットコア560の出力サンプルは、出力アキュムレータ510に提供される。
【0157】
出力アキュムレータ510は、ドットコア560の出力を入力値として取得し、Farrowデシメータ500の出力サンプルである出力サンプル550を出力する。出力アキュムレータは、ドットコア560の結果を累算および/または積算する。出力アキュムレータは、出力サンプル550を放出し、時間アキュムレータ520がオーバーフローすると、例えばシフトレジスタ内の累算ドット積値をシフトする。
【0158】
時間アキュムレータは分数時間を累算し、それをFarrowコア530の多項式評価器570に提供する。時間アキュムレータ520がオーバーフローすると、時間アキュムレータ520は新しい出力サンプル550を放出し、例えばシフトレジスタの形態で、出力アキュムレータ510に保持された値を、一桁シフトすることを要求する。
【0159】
ドット積は、Farrowコア530のドットコア560によって出力アキュムレータ510に提供される。すべてのドットコア560が、係数のベクトルと修正Farrowコア530の多項式評価器570の対応する出力ベクトルとの間のドット積またはスカラーベクトル積を計算する。
【0160】
多項式評価器570は、Farrowコア530の入力サンプルおよびFarrowデシメータ500の入力サンプルである入力サンプル540と、時間アキュムレータ520からの分数時間入力とを取得し、入力サンプルに累算分数時間の連続する累乗0、1、…Nを乗算して、ドットコア560に値のセットを提供する。
【0161】
Farrowデシメータ500は、一度に1つのサンプルを処理する従来のデシメータであり、1に等しい並列度を有する。図5の従来のFarrowデシメータ500に対する図1のデジタル信号処理装置100の新規性は、デジタル信号処理装置100が、高いサンプルレートに対してリアルタイムまたはほぼリアルタイムで、並列DSP上で対処することができることである。例えば、図1のデジタル信号処理装置100は、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで毎秒100ギガサンプルのサンプルレートに対処し得る。
【0162】
図1のデジタル信号処理装置100は、並列処理のための複数の処理コア120を備え、図1の処理コア120は、Farrowコア530を備える修正Farrowコア(図6の600)を実装し得る。図1のコンバイナ論理110は、図1の複数の処理コア120として使用される図6の複数の修正Farrowコア600の出力値を結合する。
【0163】
さらに、信号処理装置は、各処理コアまたはFarrowコア530ごとに複数の時間アキュムレータ520の代わりに、単一の時間アキュムレータ、例えば図2の295を使用し、よって、図6の修正Farrowコア600が処理演算を並列に実行することを可能にする。図1のデジタル信号処理装置100は、図6の修正Farrowコア600である図1の処理コア120を備える。
【0164】
図6による修正Farrowコア)
図6に、図5のFarrowコア530をFarrowコア630として備える修正Farrowコア600のブロック図を示す。修正Farrowコアは、入力サンプル640を関連付けられた時間情報620と共に入力として取得し、複数のサンプルまたはサンプルのセット650および関連付けられた時間情報510を出力として提供する。すべての修正Farrowコアは、1つのサンプルおよび分数サンプル時間を入力として取得し、例えばM個の出力サンプルに寄与する。
【0165】
修正Farrowコア600は、複数のドットコア660と、多項式評価器ユニット670とを備える。
【0166】
多項式評価器670は、入力サンプルおよび時間情報620に基づく分数時間入力680を取得し、入力サンプルに累算分数時間の連続する累乗0、1、…Nを乗算して、サンプルのセットをドットコア660に提供する。
【0167】
ドットコア660は、多項式評価器670に結合されている。各ドットコア660は、係数のベクトルと多項式評価器670の対応する出力ベクトルとの間のドット積またはスカラーベクトル積を計算する。修正Farrowコア600の出力は、複数のドットコア660の出力サンプルのセット650である。
【0168】
さらに、修正Farrowコアは、出力サンプルのセット650と関連付けられた時間情報610を提供する。累算分数時間の整数値は、出力サンプルのセット650と関連付けられた時間情報出力として出力時間情報値610として提供される。累算分数時間680の分数時間値は、多項式評価器670に提供される。
【0169】
図1のデジタル信号処理装置100は、並列処理のための複数の処理コア120を備え、図1の処理コア120は、修正Farrowコア600であり得る。図1のコンバイナ論理110は、図1の複数の処理コア120として使用される複数の修正Farrowコア600の出力値を結合する。
【0170】
さらに、信号処理装置は、各処理コアまたは修正Farrowコア600ごとに複数の時間アキュムレータの代わりに、単一の時間アキュムレータ、例えば図2の295を使用し、よって、修正Farrowコア600が処理演算を並列に実行することを可能にする。図1のデジタル信号処理装置100は、修正Farrowコア600である図1の処理コア120を備える。
【0171】
この実装態様の複数の変形形態が以下のように存在し得る:
処理コアまたは修正Farrowコアは、図5の元の実装形態またはBabicもしくはHentschelによって与えられた実装形態に従う必要はない。620や680などの時間値入力が与えられた場合の入力サンプル値に対するサポートMの連続時間応答を計算または近似する任意の実装形態は、適切な処理コアとして適格であり、信号処理装置で使用することができる。1つの代替例は多相実装であり、係数は、分数タイミング情報680から、例えば、数学的関係、ルックアップテーブル、または両方の組み合わせによって決定される。
Δt、デシメーション比の逆数は厳密に1未満である必要はなく、1と等しくすることができる。
Δtは定数である必要はない。
並列度Pは2の整数乗に限定されない。P=p…pH-1がPの因数分解である場合、コンバイナ論理を、階層レベルhにおいてp個の入力サンプルのセットを有するコンバイナノードの高さH-1の階層ツリーとして実装できる。
は素数である必要はない。
時間累算または分数タイミング情報を表すための異なる区間、例えば、[-0.5;P-0.5)、[-0.5;0.5)または[-1;1)が考えられる。
【0172】
以下では、処理コアの数がP=16であり、すべての処理コアがM=15個の出力サンプルを出力するデジタル信号処理装置の特定の例を提供する。
【0173】
図7による実施形態)
図7に、図1のデジタル信号処理装置100の一例であるデジタル信号処理装置700を示す。デジタル信号処理装置700は、Δtが区間、例えば(0:1]内にある、16×Δtの増分で、半開区間、例えば[0:16)における分数サンプルを累算するように構成された時間アキュムレータ710を備える。
【0174】
累算分数時間は、入力サンプル、例えば合計16個の入力サンプルと共に、図1に示されるように、処理コア、例えば16個の処理コアに提供される。所与の処理コア760は、例えば、入力サンプルからの15個の出力サンプルを関連付けられた時間情報と共に、最上位階層レベル740aのコンバイナノードに提供する。最上位階層レベルの各コンバイナノード730は、関連付けられた時間情報と共に、例えば各15個のサンプルの、例えば2つの入力サンプルのセットずつ提供され、1つの出力サンプルのセット、例えば、16個の出力サンプルを関連付けられた時間情報と共に出力する。
【0175】
2番目に上位の階層レベル740b上のコンバイナノード730は、関連付けられた時間情報と共に、例えば各16個のサンプルの、例えば2つの入力サンプルのセットを受け取り、出力サンプルのセット、例えば、18個の出力サンプルのセットを関連付けられた時間情報と共に提供する。
【0176】
次の下位階層レベル740c上のコンバイナノード730は、関連付けられた時間情報と共に、例えば各18個のサンプルの、例えば2つの入力サンプルのセットを受け取り、出力サンプルのセット、例えば、22個の出力サンプルのセットを関連付けられた時間情報と共に提供する。
【0177】
最下位階層レベル740d上のコンバイナノードは、関連付けられた時間情報と共に、例えば各22個のサンプルの、例えば2つの入力サンプルのセットを受け取り、出力サンプルのセット、例えば、30個の出力サンプルのセットを関連付けられた時間情報と共に提供する。
【0178】
最下位階層レベル740d上のコンバイナノード730の出力、例えば30個のサンプルは、アキュムレータ790のためのサンプル、例えば30個のサンプルの位置を補正するために、シフタ780に提供される。シフタ780は、サンプル、例えば45個のサンプルをアキュムレータ790に提供する。
【0179】
アキュムレータ790は、シフタ780によって提供されたサンプル、例えば45個のサンプルを累算および/または積算して、出力サンプルのセット、例えば16個の出力サンプルのセットにする。
【0180】
コンバイナノードによって提供されたサブセット内のすべてのサンプルは、次の階層レベル内のコンバイナノードの入力サンプルとして提供される。異なる階層レベル内のコンバイナノードは、16個、18個、22個、または30個のサンプルを入力として下位階層レベルのコンバイナノードまたはシフタ780に提供する。修正Farrowコア760は、図6の修正Farrowコア600と同様であり、この例では、1つの入力サンプルおよび時間アキュムレータ710からのタイミング情報に基づいて15個の出力サンプルを生成する。
【0181】
(信号処理装置と並列補間デジタルコンボルバとの比較)
「並列補間デジタルコンボルバ」は、(例えば、本出願と同日に出願された同一発明者の並行国際特許出願に記載されているように)本明細書に記載されている信号処理装置または間引きコンボルバと同様である。
【0182】
類似点は、どちらの発明も以下を許容することである。
サンプリングされた入力波形への連続時間インパルス応答の適用、および
入力サンプルレートとは異なる出力サンプルレートの選択。
【0183】
差異には、以下が含まれ得る。
本明細書に記載されている、出力レートが一般に入力レート以下である間引き事例とは対照的に、補間器によって、または補間事例において、出力レートは一般に入力レート以上である。
補間事例において、畳み込みカーネルは入力サンプルレートで適用される。カーネルが入力レートでイメージを減衰させるように設計されている場合、これにより、より高いサンプルレートに向けた柔軟な(ほぼ任意の)サンプルレート変換が可能になる。
【0184】
本明細書に記載される間引き事例とは対照的に、畳み込みカーネルは、出力サンプルレートに適合するようにスケーリングされる。適切に設計されたカーネルでは、より低いレートでの再サンプリングによるエイリアスが減衰される。これにより、アンチエイリアシングフィルタリングを用いたより低いサンプルレートに向けた柔軟な(ほぼ任意の)サンプルレート変換が可能になる。
【0185】
(さらなる潜在的な使用事例)
上述した本発明のさらなる潜在的な使用事例を以下に列挙する。
【0186】
本発明は、ベンチトップやATEなどの試験装置のベンダにとって、または無線周波数(RF)、ベースバンド、デジタル通信システムなどの通信システムにとって有益であり、その理由は以下のとおりである。
超高速での柔軟性の高いデータレート処理を達成することができ、かつ/または
エイリアス抑制のための調整可能なアナログサンプリングクロックおよび/もしくは切り替え可能なアナログフィルタバンクを回避することができるので、集積密度の大幅な増加を達成することができる。
【0187】
本発明は、集積されたDSP処理を有する変換器を販売する一般的な高速ADCのベンダにとって有益であり、その理由は以下のとおりである。
【0188】
離散的なサンプルレート比のセットのみをサポートするか、もしくは連続的な調整を狭い範囲の比に制限する既存のDSP解決策を超えるさらなる柔軟性を達成することができ、かつ/または
これらのADCの顧客にとっての集積密度の点で付加価値を達成することができる。
【0189】
本発明は、受信側サンプリングクロックの周波数および位相が送信側と整合されることが強く推奨され、場合によって整合されなければならず、サンプリングクロックがDSPのシステムクロックよりも高いために、並列アーキテクチャが採用されることが強く推奨され、場合によっては採用されなければならない、[Erup93、図13]と同様の、集積高データレートモデムにとって有益である。
【0190】
本発明は、複数の通信規格をサポートし、推奨されるかまたは必要とされるサンプルレートの一部または全部がDSPクロック速度を上回り、互いの簡単な比ではない統合型無線にとって有益である。
【0191】
(実装の代替案)
いくつかの態様を装置の文脈で説明したが、これらの態様は対応する方法の説明も表していることは明らかであり、ブロックまたはデバイスは方法ステップまたは方法ステップの特徴に対応する。同様に、方法ステップの文脈で説明された態様も、対応する装置の対応するブロックまたは品目または特徴の説明を表している。
【0192】
(参考文献)
[Babic02] D. Babic, J. Vesma, T. Saramaki, M. Renfors, “Implementation of the Transposed Farrow Structure,” in Proc. IEEE Int. Symp. Circuits & Syst., Phoenix Scottsdale , AZ, USA , May 26 29, 2002, pp. IV 5 IV 8
[Hentschel01] T. Hentschel, G. Fettweis, “ Continuous Time Digital Filters for Sample Rate Conversion in Reconfigurable Radio Terminals ,” Frequenz, vol. 55(5 6), pp. 185 188, 2001
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7