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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】シーケンシングチップ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20240603BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20240603BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20240603BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20240603BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
C12M1/34 Z
G01N37/00 102
G01N33/50 P
C12Q1/6869 Z
C12M1/00 A
【請求項の数】 38
(21)【出願番号】P 2022564684
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 CN2020086477
(87)【国際公開番号】W WO2021212429
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】517110612
【氏名又は名称】ビージーアイ シェンチェン
【住所又は居所原語表記】Main building, Beishan Industrial Zone, Yantian Street, Yantian District, Shenzhen, Guangdong 518083, China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】王照輝
(72)【発明者】
【氏名】李漢東
(72)【発明者】
【氏名】李元
(72)【発明者】
【氏名】章文蔚
(72)【発明者】
【氏名】陳奧
【審査官】西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/060177(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/207669(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12Q
G01N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーケンシングチップであって、チップ本体、核酸及びホスホン酸ポリマー膜を含み、
前記チップ本体は同じ層に設けられる少なくとも1つのチップ粒子を含み、前記チップ粒子はチップマトリックスをウェーハ層の切断線に沿って切断することによって得られ、
前記チップマトリックスは、
均一に分布している切断線を有するウェーハ層と、
酸化ケイ素で構成され、前記ウェーハ層の上表面に形成される第1の酸化ケイ素層と、
遷移金属酸化物で構成され、前記第1の酸化ケイ素層の上表面に形成される遷移金属酸化物層と、を含み、
前記核酸は前記遷移金属酸化物層に固定され、前記ホスホン酸ポリマー膜はポリホスホン酸ポリマーで構成され、前記遷移金属酸化物層の上面に形成され、
前記ポリホスホン酸ポリマーはポリアルケニルホスホン酸塩またはポリアルケニルホスホン酸ブロックコポリマー塩であり、
前記遷移金属酸化物層は、複数の接続しない遷移金属酸化物スポットにより構成され、
前記遷移金属酸化物スポットの厚さは10-20nmであり、前記第1の酸化ケイ素層の厚さは80-100nmである、
ことを特徴とするシーケンシングチップ。
【請求項2】
前記ポリホスホン酸ポリマーはポリビニルホスホン酸塩またはポリビニルホスホン酸-ポリプロピレンカルボン酸ブロックコポリマー塩であり、
ポリビニルホスホン酸塩は式(I)で表される構造を有し、
【化1】
前記ポリビニルホスホン酸-ポリプロピレンカルボン酸ブロックコポリマー塩は、式(II)で表される構造を有し、
【化2】
nは1~76の整数であり、mは380~22000の整数である、ことを特徴とする請求項1に記載のシーケンシングチップ。
【請求項3】
前記核酸はDNBである、ことを特徴とする請求項1に記載のシーケンシングチップ。
【請求項4】
前記ポリホスホン酸ポリマーはポリビニルホスホン酸ナトリウム塩またはポリビニルホスホン酸-ポリプロピレンカルボン酸ブロックコポリマーナトリウム塩である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のシーケンシングチップ。
【請求項5】
前記ポリホスホン酸ポリマーは前記遷移金属酸化物層における遷移金属酸化物分子の少なくとも一部に化学結合によって接続され、
前記化学結合は遷移金属酸化物分子とポリホスホン酸ポリマーのホスホン酸基を接続することによって形成される、ことを特徴とする請求項1に記載のシーケンシングチップ。
【請求項6】
前記ポリホスホン酸ポリマーは前記遷移金属酸化物層における遷移金属酸化物分子の少なくとも一部に化学結合によって接続され、
前記化学結合は遷移金属酸化物分子とポリホスホン酸ポリマーのホスホン酸基を接続することによって形成される、ことを特徴とする請求項5に記載のシーケンシングチップ。
【請求項7】
前記遷移金属酸化物スポットにさらにアミノ基が接続され、
前記複数の接続しない遷移金属酸化物スポットの間の第1の酸化ケイ素層にさらにポリエチレングリコールが接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のシーケンシングチップ。
【請求項8】
同じ層に設けられる少なくとも1つのチップ粒子を含むチップ本体、核酸、及びホスホン酸ポリマー膜を含むシーケンシングチップであって、
前記チップ粒子はチップマトリックスをウェーハ層の切断線に沿って切断することによって得られ、
前記チップマトリックスは、
均一に分布している切断線を有するウェーハ層と、
酸化ケイ素で構成され、前記ウェーハ層の上表面に形成される第1の酸化ケイ素層と、
遷移金属酸化物で構成され、前記第1の酸化ケイ素層の上表面に形成される遷移金属酸化物層と、を含み、
前記チップマトリックスは、第2の酸化ケイ素層を含み、
前記遷移金属酸化物層は連続層構造であり、前記第2の酸化ケイ素層は、前記遷移金属酸化物層の上表面と前記ホスホン酸ポリマー膜の下表面に設けられ、
前記核酸は前記遷移金属酸化物層に固定され、前記ホスホン酸ポリマー膜はポリホスホン酸ポリマーで構成され前記遷移金属酸化物層の上面に形成され、
前記ポリホスホン酸ポリマーはポリアルケニルホスホン酸塩またはポリアルケニルホスホン酸ブロックコポリマー塩であり、
前記ウェーハはシリコンウェーハであり、前記第2の酸化ケイ素層の厚さは40-60nmであり、前記遷移金属酸化物層の厚さは5-15nmであり、前記第1の酸化ケイ素層の厚さは80-100nmであり、
または、前記ウェーハは石英ウェーハであり、前記第2の酸化ケイ素層の厚さは100-200nmであり、前記遷移金属酸化物層の厚さは10-20nmであり、前記第1の酸化ケイ素層の厚さは80-100nmである、
とを特徴とするシーケンシングチップ。
【請求項9】
シーケンシングチップであって、チップ本体核酸、及びホスホン酸ポリマー膜を含み、
前記チップ本体は同じ層に設けられる少なくとも1つのチップ粒子を含み、前記チップ粒子はチップマトリックスをウェーハ層の切断線に沿って切断することによって得られ、
前記チップマトリックスは、
均一に分布している切断線を有するウェーハ層と、
酸化ケイ素で構成され、前記ウェーハ層の上表面に形成される第1の酸化ケイ素層と、
遷移金属酸化物で構成され、前記第1の酸化ケイ素層の上表面に形成される遷移金属酸化物層と、
第2の酸化ケイ素層と、を含み、
前記遷移金属酸化物層は、前記第1の酸化ケイ素層の上表面に沿って形成された複数の互いに接続しない遷移金属酸化物スポットにより構成され、
前記第2の酸化ケイ素層は、前記遷移金属酸化物スポットの間に設けられ、
前記核酸は前記遷移金属酸化物層に固定され、前記ホスホン酸ポリマー膜はポリホスホン酸ポリマーで構成され、前記遷移金属酸化物層の上面に形成され、
前記ポリホスホン酸ポリマーはポリアルケニルホスホン酸塩またはポリアルケニルホスホン酸ブロックコポリマー塩であり、
前記ウェーハはシリコンウェーハであり、前記第2の酸化ケイ素層の厚さは40-60nmであり、前記遷移金属酸化物層の厚さは5-15nmであり、前記第1の酸化ケイ素層の厚さは80-100nmであり、
または、前記ウェーハは石英ウェーハであり、前記第2の酸化ケイ素層の厚さは100-200nmであり、前記遷移金属酸化物層の厚さは10-20nmであり、前記第1の酸化ケイ素層の厚さは80-100nmである、ことを特徴とするシーケンシングチップ。
【請求項10】
前記遷移金属酸化物層が前記第2の酸化ケイ素層の井字格子の凹陥に設けられている、ことを特徴とする請求項8に記載のシーケンシングチップ。
【請求項11】
前記第2の酸化ケイ素層にさらにポリエチレングリコールが接続される、ことを特徴とする請求項8または9に記載のシーケンシングチップ。
【請求項12】
アミノ基は前記遷移金属酸化物層における遷移金属酸化物分子の少なくとも一部に化学結合によって接続され、
前記化学結合は遷移金属酸化物分子とアミノ基ホスホン酸化合物のホスホン酸基を接続することによって形成される、ことを特徴とする請求項11に記載のシーケンシングチップ。
【請求項13】
前記ポリエチレングリコールはポリエチレンイミン-ポリエチレングリコールとポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤から選ばれる少なくとも1つにより提供される、ことを特徴とする請求項7または11に記載のシーケンシングチップ。
【請求項14】
前記ポリエチレングリコールはポリエチレンイミン-ポリエチレングリコールにより提供され、前記ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコールは静電気によって前記第1の酸化ケイ素層の表面または第2の酸化ケイ素層の表面に吸着される、ことを特徴とする請求項13に記載のシーケンシングチップ。
【請求項15】
前記ポリエチレングリコールはポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤により提供され、前記ポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤は-Si-O-Si-鎖によって前記第1の酸化ケイ素層または第2の酸化ケイ素層に接続される、ことを特徴とする請求項13に記載のシーケンシングチップ。
【請求項16】
前記ウェーハはシリコンウェーハ、石英ウェーハ、ガラスウェーハ及びCMOSウェーハから選ばれる少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載のシーケンシングチップ。
【請求項17】
前記遷移金属酸化物は、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、六酸化ニオブ及び二酸化ハフニウムから選ばれる少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載のシーケンシングチップ。
【請求項18】
前記遷移金属酸化物は、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、五酸化タンタルから選ばれる少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項17に記載のシーケンシングチップ。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載のシーケンシングチップを製造する方法であって、
1)ウェーハ層に対して表面修飾を行い、チップマトリックスを得るステップであって、前記表面修飾は遷移金属酸化物を使用して前記ウェーハ層の表面を処理し、遷移金属酸化物層を形成することを含み、前記ウェーハ層の上表面に第1の酸化ケイ素層を有し、酸化ケイ素層は酸化ケイ素で構成され、前記遷移金属酸化物層は前記第1の酸化ケイ素層の上表面に形成され、前記ウェーハ層に均一に分布している切断線を有するステップと、
2)前記チップマトリックスをウェーハ層の切断線に沿って切断し、チップ粒子を得るステップと、
3)チップ粒子を組み立て、チップ本体を得るステップと、
4)前記チップ本体に対して核酸固定処理を行うステップと、
5)DNAナノボールが固定されたチップ本体に対してポリホスホン酸ポリマーの緩衝溶液中でインキュベート処理を行い、前記シーケンシングチップを得るステップと、を含み、
前記核酸はDNBであり、
ステップ1)において、ウェーハ層に対して表面修飾を行うことは、薄膜堆積、フォトリソグラフィーまたはエッチングの方法によって実現され、連続遷移金属酸化物層またはスポットで配列する遷移金属酸化物層を形成する、
ことを特徴とするシーケンシングチップを製造する方法。
【請求項20】
ステップ5)において、前記緩衝溶液はPBS緩衝溶液である、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ステップ5)において、前記ポリホスホン酸ポリマーの分子量は5w~510wである、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
ステップ5)において、前記緩衝溶液中での前記ポリホスホン酸ポリマーの濃度は1.5~2.5mg/mLである、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項23】
ステップ5)において、前記インキュベート処理は常温下で8~12min行う、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項24】
ステップ1)において、第1の酸化ケイ素層は、低温プラズマ化学蒸着、プラズマ強化化学蒸着、スパッタリングまたは原子層堆積法の方法により前記ウェーハ層の上表面に予め形成される、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記遷移金属酸化物層は連続層構造であり、ステップ1)において、前記遷移金属酸化物層の上表面に酸化ケイ素により連続する井字形で配列される第2の酸化ケイ素層を形成するステップをさらに含み、
または、前記遷移金属酸化物層はスポットで配列され、ステップ1)において、前記遷移金属酸化物層のスポットの間に酸化ケイ素を堆積することによって第2の酸化ケイ素層を形成するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記遷移金属酸化物層はスポットで配列され、ステップ1)において、前記遷移金属酸化物層のスポットの間に酸化ケイ素を堆積することによって第2の酸化ケイ素層を形成するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項27】
ステップ3)の後とステップ4)の前に、前記遷移金属酸化物に対してアミノ化処理を行うステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項19~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記アミノ化処理は、遷移金属酸化物をアミノ基ホスホン酸化合物と反応させることによって取得される、ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ステップ3)の後とステップ4)の前に、前記第1の酸化ケイ素層または第2の酸化ケイ素層に対して表面修飾を行い、前記第1の酸化ケイ素層または第2の酸化ケイ素層にポリエチレングリコールを導入するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項19~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記ポリエチレングリコールは、ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコールとポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤から選ばれる少なくとも1つにより提供される、ことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ポリエチレングリコールは、ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコールにより提供され、
前記表面修飾は、ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコールと前記第1の酸化ケイ素層の表面または第2の酸化ケイ素層の表面を静電気吸着することによって行われる、ことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリエチレングリコールは、ポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤により提供され、
前記表面修飾は、ポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤と前記第1の酸化ケイ素層または第2の酸化ケイ素層のヒドロキシル基を縮合反応させることによって行われ、前記ヒドロキシル基は第1または第2の酸化ケイ素層がイオン化された後に水中の水酸化物イオンを吸着することによって形成されるSi-OHにより提供される、ことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項33】
ステップ2)において、前記切断は半導体ウェーハ切断方法により実現される、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項34】
ステップ3)において、前記組み立ては、前記チップ粒子を液体の出入口を有する支持フレーム内に置き、のりまたは接着剤でチップ粒子と支持フレームを貼り合わせることによって形成され、前記支持フレームと前記チップ粒子との間に流体通路が形成されることを含む、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項35】
前記ウェーハはシリコンウェーハであり、前記組み立ては、前記チップ粒子の上表面を上に向けて前記支持フレームに貼り合わせ、1つのカバーガラスをチップ粒子の上表面に設置し、前記チップ本体を取得することを含む、ことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ウェーハは石英ウェーハまたはガラスウェーハであり、前記組み立ては、前記チップ粒子の下表面を上に向けて前記支持フレームに貼り合わせ、前記チップ本体を取得することを含む、ことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記ウェーハはCMOSウェーハであり、前記組み立ては、前記チップ粒子の下表面と基板を貼り合わせ、前記チップ粒子は前記基板にワイヤで接続され、前記ワイヤはチップ粒子上の電気信号を基板に伝送するために使用され、前記チップ本体を取得することを含む、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項38】
請求項1~19のいずれか1項に記載のシーケンシングチップ、または請求項20~37のいずれか1項に記載の方法で製造されるシーケンシングチップを使用してシーケンシングを行う、ことを特徴とするシーケンシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物技術分野に関し、具体的に、シーケンシングチップ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロアレイシーケンシングチップは、ハイスループットシーケンシングを実現する前提条件の一つであり、現在使用されているDNAナノボール(DNB、DNA Nano Ball)シーケンシング技術は、次のステップのシーケンシング生化学反応のために、DNBをシーケンシングチップに固定する必要がある。現在使用されているシーケンシングチップを例として、各チップの表面には2億近くのDNB結合部位がある。DNBを結合部位に安定して固定するために、シーケンシングチップの表面に対してアミノ化処理を行う必要がある。その他、チップの表面の非結合部位以外の領域は、非特異的吸着をできるだけ減少し、バックグラウンドを減らし、シーケンシングの品質を向上させるために、他の処理を行う必要がある。したがって、マイクロアレイ付きのシーケンシングチップの効率的かつ低コストの製造は、高品質のシーケンシングを実現する基本的な作業の一つである。
【0003】
現在、シーケンシングチップの製造ステップは、主に、まず、半導体プロセスによってシリコンウェーハ上にナノアレイを含むパターン化されたフォトレジスト層を製造するステップであって、該パターン化された層は、複数の同一のユニット構造を含むことができ、各ユニットが1枚のシーケンシングチップを形成することができるステップと、次に、パターン化された層付きのウェーハに対して化学蒸着処理を行い、ウェーハの機能領域にアミノ化層を形成するステップと、組立プロセスによって、ウェーハを単一のチップに分割してテスト可能なシーケンシングチップに組み立てるステップを含む。
【0004】
しかし、シーケンシングチップの表面へのDNBの吸着作用は、ロングサイクルのシーケンシングには不十分であるため、新しいDNBロード及び固定方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、発明者の以下の問題の発見と理解に基づいて作成されるものである。
【0006】
現在使用されている遺伝子チップ生産方法は、phi29 DNAポリメラーゼ及びDNBに対する遷移金属酸化物とSiOの相互作用の違いに依存し、DNBを遷移金属酸化物の表面に特異的に吸着するが、これらの作用だけではDNAナノボールはチップの表面に安定して存在することができず、シーケンシング過程において、一部のDNAナノボールがシーケンシング試薬によって洗い流される。従来の技術案では、タンパク質フィルムを使用してアミノ化表面に吸着されたDNAナノボールを保護するが、該手段は、該タンパク質フィルムと遷移金属の酸化との作用の強度が制限されるため、遷移金属酸化物チップに適用しない。
【0007】
遷移金属酸化物のDNBアレイチップに対して、本願の発明者は、ホスホン酸ポリマーによってDNBを固定する新しい方法を開発し、ホスホン酸ポリマーと遷移金属酸化物との間の化学反応に基づいて、DNBナノボールを遷移金属酸化物の表面に安定して固定することができ、且つシーケンシング試薬の洗い流しに耐えられる。
【0008】
本発明の第1の態様では、本発明は、シーケンシングチップを提供する。本発明の実施例によれば、前記シーケンシングチップであって、チップ本体、核酸及びホスホン酸ポリマー膜を含み、前記チップ本体は同じ層に設けられる少なくとも1つのチップ粒子を含み、前記チップ粒子はチップマトリックスをウェーハ層の切断線に沿って切断することによって得られ、前記チップマトリックスは、均一に分布している切断線を有するウェーハ層と、酸化ケイ素で構成され、前記ウェーハ層の上表面に形成される第1の酸化ケイ素層と、遷移金属酸化物で構成され、前記第1の酸化ケイ素層の上表面に形成される遷移金属酸化物層と、を含み、前記核酸は前記遷移金属酸化物層に固定され、前記ホスホン酸ポリマー膜はポリホスホン酸ポリマーで構成され、前記遷移金属酸化物層の上面に形成され、前記ポリホスホン酸ポリマーはポリアルケニルホスホン酸塩またはポリアルケニルホスホン酸ブロックコポリマー塩であり、前記遷移金属酸化物層は、複数の接続しない遷移金属酸化物スポットにより構成され、前記遷移金属酸化物スポットの厚さは10-20nmであり、前記第1の酸化ケイ素層の厚さは80-100nmである
【0009】
特に説明しない限り、本発明に記載の「チップマトリックス」とは、チップ粒子に分割するために使用できるシーケンシングチップユニットを指し、例えば、本発明の実施例によるチップマトリックスを使用すると、チップ粒子に分割することができ、さらに、前記チップ粒子は同じ方向に同じ層でシーケンシングチップ本体を組み合わせて形成することができる。
【0010】
本発明の実施例によるシーケンシングチップでは、従来のタンパク質フィルムの代わりに、親水性のホスホン酸ポリマー膜を使用してDNAナノボールを固定することによって、ポリマー膜はホスホン酸と遷移金属酸化物との化学反応により、遷移金属酸化物の表面にしっかりと付着され、これにより、シーケンシング対象である核酸を固定し、それは、大分子の特性を持ち、表面に吸着された後にネット状構造を形成するため、チップの表面でのシーケンシング対象である核酸の安定性を保証する。
【0011】
本発明の第2の態様では、本発明はシーケンシングチップの製造方法を提出する。本発明の実施例によれば、前記方法は、1)ウェーハ層に対して表面修飾を行い、チップマトリックスを得るステップであって、前記表面修飾は遷移金属酸化物を使用して前記ウェーハ層の表面を処理し、遷移金属酸化物層を形成することを含み、前記ウェーハ層の上表面に第1の酸化ケイ素層を有し、酸化ケイ素層は酸化ケイ素で構成され、前記遷移金属層は前記第1の酸化ケイ素層の上表面に形成され、前記ウェーハ層に均一に分布している切断線を有するステップと、2)前記チップマトリックスをウェーハ層の切断線に沿って切断し、チップ粒子を得るステップと、3)チップ粒子を組み立て、チップ本体を得るステップと、4)前記チップ本体に対してDNAナノボール固定処理を行うステップと、5)DNAナノボールが固定されたチップ本体に対してポリホスホン酸ポリマーの緩衝溶液中でインキュベート処理を行い、前記シーケンシングチップを得るステップと、を含む。前記核酸はDNBであり、ステップ1)において、ウェーハ層に対して表面修飾を行うことは、薄膜堆積、フォトリソグラフィーまたはエッチングの方法によって実現され、連続遷移金属酸化物層またはスポットで配列する遷移金属酸化物層を形成する。本発明の実施例による方法は、操作が簡単であり、製造されたシーケンシングチップの収率が高く、且つ得られたシーケンシングチップでは、チップの表面でのDNAナノボールの安定性が高く、ロングサイクルのシーケンシングの需要を満たすことができる。
【0012】
本発明の第3の態様では、本発明はシーケンシング方法を提供する。本発明の実施例によれば、前記方法は、上記で限定された、または上記の方法に従って製造されたシーケンシングチップを使用してシーケンシングするステップを含む。本発明の実施例による方法は、ロングサイクルのシーケンシングを行うことができ、シーケンシングの結果の正確性が高く、コストが低い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1-5は本発明の一態様によるアレイ式「スポット」構造を有するパターン化された遷移金属酸化物層シーケンシングチップの製造過程の各プロセス過程での断面図である。
図1】本発明の実施例による表面に酸化ケイ素層を有するウェーハ上にアレイ式「スポット」構造を有する一層の遷移金属酸化物層薄膜を形成するウェーハ構造1-10の断面図である。
図2】本発明の実施例による図1のウェーハ構造1-10に対してスライスプロセスを行った後に形成した複数の単一のチップ1-20の断面図である。
図3】本発明の実施例による図2のチップに対して組立プロセスを行った後に形成したシーケンシングチップ1-30の断面図である。
図4】本発明の実施例による図3のシーケンシングチップ1-30に対して表面機能化修飾を行った後シーケンシングチップ1-40である。
図5A】本発明の実施例による図4の表面修飾後のシーケンシングチップ1-40に対してDNBロードを行った後に形成した、DNBアレイを含むシーケンシングチップ1-50Aの断面図である。
図5B】本発明の実施例による表面修飾を必要せずにシーケンシングチップ内にDNBアレイを形成することができるより簡潔なシーケンシングチップ1-50Bの断面図である。
図5C】本発明の実施例による蛍光信号強度と酸化ケイ素層の厚さとの関係である。
図5D】本発明の実施例による蛍光信号強度と遷移金属酸化物厚さとの関係(‘スポット’構造)である。図6-11は本発明の他の態様によるアレイ式「井」構造を有するパターン化された遷移金属酸化物層シーケンシングチップの製造過程の各プロセス過程での断面図である。
図6】本発明の実施例による表面に酸化ケイ素層を有するウェーハに一層の遷移金属酸化物層薄膜を形成するウェーハ構造2-10の断面図である。
図7】本発明の実施例による図6に示すような遷移金属酸化物層薄膜を有するウェーハ構造2-10にアレイ式「井」構造を有する一層の酸化ケイ素層を形成した後に形成したウェーハ2-20の断面図である。
図8】本発明の実施例による図7に示すようなアレイ式「井」構造を有するウェーハ構造2-20に対してスライスプロセスを行った後に形成した複数の単一のチップ2-30の断面図である。
図9】本発明の実施例による図8の単一のチップに対して組立プロセスを行った後に形成したシーケンシングチップ2-40の断面図である。
図10】本発明の実施例による図9に示すようなシーケンシングチップに対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ2-50の断面図である。
図11A】本発明の実施例による図10に示すような表面機能化修飾処理後のシーケンシングチップ2-50に対してDNBロードを行った後に形成した、DNBアレイを有するシーケンシングチップ2-60Aの断面図である。
図11B】本発明の実施例による表面修飾を必要せずにシーケンシングチップ内にDNBアレイを形成することができるより簡潔なシーケンシングチップ2-60Bの断面図である。
図11C】本発明の実施例によるシリコン基板に基づく異なる「井」構造の蛍光信号と第2の酸化層との関係である。
図11D】本発明の実施例による蛍光信号強度と遷移金属酸化物厚さとの関係である。 図12-17は本発明の他の態様による他のアレイ式「井」構造を有するパターン化された遷移金属酸化物層シーケンシングチップの製造過程の各プロセス過程での断面図である。
図12】本発明の実施例による表面に酸化ケイ素層を有するウェーハにアレイ式「スポット」構造を有する一層の遷移金属酸化物層を形成するウェーハ構造3-10の断面図である。
図13】本発明の実施例による図12に示すような遷移金属酸化物層薄膜を有するウェーハ構造3-10にアレイ式「井」構造を有する一層の酸化ケイ素層を形成した後に形成したウェーハ3-20の断面図である。
図14】本発明の実施例による図13に示すようなアレイ式「井」構造を有するウェーハ構造3-20に対してスライスプロセスを行った後に形成した複数の単一のチップ3-30の断面図である。
図15】本発明の実施例による図14の単一のチップに対して組立プロセスを行った後に形成したシーケンシングチップ3-40の断面図である。
図16】本発明の実施例による図15に示すようなシーケンシングチップに対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ3-50の断面図である。
図17A】本発明の実施例による図16に示すような表面機能化修飾処理後のシーケンシングチップ3-50に対してDNBロードを行った後に形成した、DNBアレイを有するシーケンシングチップ3-60Aの断面図である。
図17B】本発明の実施例による表面修飾を必要せずにシーケンシングチップ内にDNBアレイを形成することができるより簡潔なシーケンシングチップ3-60Bの断面図である。
図17C】本発明の実施例による他のシリコン基板に基づく異なる「井」構造の蛍光信号と第2の酸化層との関係である。 図18-22は本発明の他の態様による裏面照射型、アレイ式「スポット」構造を有するパターン化された遷移金属酸化物層シーケンシングチップの製造過程の各プロセス過程での断面図である。
図18】本発明の実施例による表面に酸化ケイ素層を有するウェーハにアレイ式「スポット」構造を有する一層の遷移金属酸化物層薄膜を形成するウェーハ構造4-10の断面図である。
図19】本発明の実施例による図18に示すようなアレイ式「井」構造を有するウェーハ構造4-10に対してスライスプロセスを行った後に形成した複数の単一のチップ4-20の断面図である。
図20】本発明の実施例による図19の単一のチップ4-20に対して組立プロセスを行った後に形成したシーケンシングチップ4-30の断面図であり、この組立プロセスは、チップのパターン化された層を下に向けてフレームと一緒に組み立て、これにより、励起光源とカメラがチップの裏面から石英またはガラス基板を介してDNBを照射して信号を収集することである。
図21】本発明の実施例による図20に示すようなシーケンシングチップに対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ4-40の断面図である。
図22A】本発明の実施例による図21に示すような表面機能化修飾処理後のシーケンシングチップ4-40に対してDNBロードを行った後に形成した、DNBアレイを有するシーケンシングチップ4-50Aの断面図である。
図22B】本発明の実施例による表面修飾を必要せずにシーケンシングチップ内にDNBアレイを形成することができるより簡潔なシーケンシングチップ4-50Bの断面図である。
図22C】本発明の実施例による石英基板に基づく蛍光信号と第2の酸化層との関係(裏面照射型「スポット」構造)である。 図23-28は本発明の他の態様による裏面照射型、アレイ式「井」構造を有するパターン化された遷移金属酸化物層シーケンシングチップの製造過程の各プロセス過程での断面図である。
図23】本発明の実施例による表面に酸化ケイ素層を有するウェーハに一層の遷移金属酸化物層薄膜を形成するウェーハ構造5-10の断面図である。
図24】本発明の実施例による図23に示すような遷移金属酸化物層薄膜を有するウェーハ構造5-10にアレイ式「井」構造を有する一層の酸化ケイ素層を形成した後に形成したウェーハ5-20の断面図である。
図25】本発明の実施例による図24に示すようなアレイ式「井」構造を有するウェーハ構造5-20に対してスライスプロセスを行った後に形成した複数の単一のチップ5-30の断面図である。
図26】本発明の実施例による図25の単一のチップ5-30に対して組立プロセスを行った後に形成したシーケンシングチップ5-40の断面図であり、この組立プロセスは、チップのパターン化された層を下に向けてフレームと一緒に組み立て、これにより、励起光源とカメラがチップの裏面から石英またはガラス基板を介してDNBを照射して信号を収集することである。
図27】本発明の実施例による図26に示すようなシーケンシングチップに対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ5-50の断面図である。
図28A】本発明の実施例による図27に示すような表面機能化修飾処理後のシーケンシングチップ5-50に対してDNBロードを行った後に形成した、DNBアレイを有するシーケンシングチップ5-60Aの断面図である。
図28B】本発明の実施例による表面修飾を必要せずにシーケンシングチップ内にDNBアレイを形成することができるより簡潔なシーケンシングチップ5-60Bの断面図である。
図28C】本発明の実施例による石英基板に基づく異なる「井」構造の蛍光信号と第2の酸化層との関係(裏面照射型「井」構造)である。 図29-34は本発明の他の態様による裏面照射型、他のアレイ式「井」構造を有するパターン化された遷移金属酸化物層シーケンシングチップの製造過程の各プロセス過程での断面図である。
図29】本発明の実施例による表面に酸化ケイ素層612を有するウェーハ611にアレイ式「スポット」構造を有する一層の遷移金属酸化物層613を形成するウェーハ構造6-10の断面図である。
図30】本発明の実施例による図29に示すような遷移金属酸化物層薄膜を有するウェーハ構造6-10にアレイ式「井」構造を有する一層の酸化ケイ素層を形成した後に形成したウェーハ6-20の断面図である。
図31】本発明の実施例による図30に示すようなアレイ式「井」構造を有するウェーハ構造6-20に対してスライスプロセスを行った後に形成した複数の単一のチップ6-30の断面図である。
図32】本発明の実施例による図31の単一のチップ6-30に対して組立プロセスを行った後に形成したシーケンシングチップ6-40の断面図であり、この組立プロセスは、チップのパターン化された層を下に向けてフレームと一緒に組み立て、これにより、励起光源とカメラがチップの裏面から石英またはガラス基板を介してDNBを照射して信号を収集することである。
図33】本発明の実施例による図32に示すようなシーケンシングチップに対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ6-50の断面図である。
図34A】本発明の実施例による図33に示すような表面機能化修飾処理後のシーケンシングチップ6-50に対してDNBロードを行った後に形成した、DNBアレイを有するシーケンシングチップ6-60Aの断面図である。
図34B】本発明の実施例による表面修飾を必要せずにシーケンシングチップ内にDNBアレイを形成することができるより簡潔なシーケンシングチップ6-60Bの断面図である。
図34C】本発明の実施例による他の石英基板に基づく異なる「井」構造の蛍光信号と第2の酸化層との関係(他の裏面照射型「井」構造)である。 図35-41は本発明の他の態様によるCMOS画像センサーウェーハにアレイ式「スポット」構造または「井」構造を有するパターン化された遷移金属酸化物層シーケンシングチップを製造する製造過程の各プロセスステップ断面図である。
図35】本発明の実施例による表面酸化層付きのCMOS画像センサーウェーハ7-10の断面図である。
図36A】本発明の実施例による図35に示すようなCMOSウェーハ7-10にアレイ式「スポット」構造を有するパターン化された遷移金属酸化物層を形成した後のウェーハ構造7-20Aの断面図である。
図36B】本発明の実施例による図35に示すようなCMOSウェーハ7-10にアレイ式「井」構造を有するパターン化された遷移金属酸化物層を形成した後のウェーハ構造7-20Bの断面図である。
図36C】本発明の実施例による図35に示すようなCMOSウェーハ7-10に他のアレイ式「井」構造を有するパターン化された遷移金属酸化物層を形成した後のウェーハ構造7-20Cの断面図である。
図37】本発明の実施例による図36に示すようなパターン化された遷移金属酸化物層を有するCMOSウェーハ7-20に対してスライスプロセスを行った後に形成した複数の単一のチップ7-30の断面図である。
図38】本発明の実施例による図37に示すような単一のチップに対してチップ実装及びワイヤーボンディングを行った後に形成したチップ構造7-40の断面図である。
図39】本発明の実施例による図38に示すようなチップ実装及びワイヤーボンディングプロセス後のチップ7-50にカバー構造を貼り合うことによって形成されたシーケンシングチップ7-50の断面図である。
図40】本発明の実施例による図39に示すようなシーケンシングチップに対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ7-60の断面図である。
図41A】本発明の実施例による図40に示すような表面機能化修飾処理後のチップ7-60に対してDNBロードを行った後に形成した、DNBアレイを有するシーケンシングチップ7-70Aの断面図である。
図41B】本発明の実施例による表面修飾を必要せずにシーケンシングチップ内にDNBアレイを形成することができるより簡潔なシーケンシングチップ7-70Bの断面図である。
図41C】本発明の実施例によるCMOS構造に基づく蛍光強度とトップの酸化層の厚さとの関係である。
図41D】本発明の実施例によるCMOS構造に基づく蛍光強度と「スポット」金属酸化層の厚さとの関係である。
図41E】本発明の実施例によるCMOS構造に基づく蛍光強度と薄膜金属酸化層の厚さとの関係である。
図41F】本発明の実施例によるCMOS構造に基づく蛍光強度と第2の酸化物厚さとの関係(薄膜金属酸化層)である。
図42】本発明の実施例によるアレイ式「スポット」構造を有する遷移金属酸化物層のウェーハ構造8-10の断面図である。
図43】本発明の実施例による図42に示すようなウェーハ構造8-10に対してスライスプロセスを行った後に形成した複数の単一のチップ81及び82を含むウェーハ構造8-20の断面図である。
図44】本発明の実施例による図43に形成された単一のチップ81または82と1つのハンドル構造831を組み立てた後に形成した再利用可能なシーケンシングチップ8-30の断面図である。
図45】本発明の実施例による図44に示すような組み立てられたシーケンシングチップを試薬842を入れた容器841に浸漬する模式図である。
図46】本発明の実施例による遷移金属酸化物チップの表面が修飾されていないが、DNBロード条件が変化される蛍光画像である。
図47】本発明の実施例によるZebraプラットフォームでのオンマシンシーケンシングの結果グラフである。
図48】本発明の実施例による遷移金属酸化物チップの表面に対して選択的にアミノ化修飾を行った後にDNBローディングを行った蛍光画像である。
図49】本発明の実施例による遷移金属酸化物領域をアミノ化するとともにシリカ非機能領域に対してコポリマー修飾を行った後にDNBローディングを行った蛍光画像であり、左:対照群、右:実験群である。
図50】本発明の実施例によるポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤を使用して非機能領域のさらなる修飾を行う効果の検出の蛍光画像であり、左:対照群、右:実験群である。
図51】本発明の実施例によるポリマーを使用してDNAナノボールを固定する原理図である。
図52】本発明の実施例によるシーケンシング過程におけるポリマーによって固定されたDNAナノボールの安定性の表現の結果グラフである。
図53】本発明の実施例によるシーケンシング過程におけるタンパク質フィルムによって固定されたDNAナノボールの安定性の表現の結果グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を詳しく説明し、前記実施例の例を図に示す。以下、図面を参照して説明する実施例は例示的なものであり、本発明を解釈するために使用され、本発明を制限するものとして理解されるべきではない。
【0015】
例における試薬、検出機器等は、特に説明しない限り、自己製造するか、または市販の経路を介して入手することができる。
【0016】
説明する必要があることとして、本発明に記載の「遷移金属酸化物領域」とは、チップマトリックス表面から見たときの遷移金属酸化物で構成される領域を指し、本発明に記載の「酸化ケイ素領域」とは、チップマトリックス表面から見たときの酸化ケイ素で構成される領域である。
【0017】
「パターン化された層」という用語は、ウェーハ表面で遷移金属酸化物領域と酸化ケイ素領域が交互に存在する形状を指し、「井字形」と「スポット」構造を含む。
【0018】
「スポット」構造という用語は、遷移金属酸化物領域が酸化ケイ素領域よりも高い構造を指し、即ち遷移金属酸化物は酸化ケイ素上に離散的な形で分布している。
【0019】
「前記遷移金属酸化物層は連続層構造であり、前記第2の酸化ケイ素層は酸化ケイ素から複数の接続された井字形で前記遷移金属酸化物層の上表面に形成される」という用語は、第2の酸化ケイ素層は井字格子の構造で前記遷移金属酸化物層の上表面に覆って位置し、即ち井字格子の格子体が酸化ケイ素であり、井字格の凹陥が遷移金属酸化物であることを意味する。第2の酸化ケイ素層は井戸のように凹んでおり、遷移金属酸化物層の上表面に井字格子の形状が形成されることも理解できる。「チップマトリックス」という用語は、単一のチップに分割してテスト可能なシーケンシングチップに組み立てるために使用できる。ウェーハ構造には数十~数千の同じ単一のチップ(ウェーハサイズ及びチップサイズによって決められる)が含まれ、且つチップとチップの間に非常に狭い非機能間隔が残され、この間隔は切断線とも呼ばれる。
【0020】
本発明のシーケンシングチップの製造は特に制限されず、用いられるウェーハ材料の異なりに従って、従来の技術における従来の該ウェーハ材料からシーケンシングチップを製造するための方法に適用することができ、従来の技術におけるシーケンシングチップとの区別は、ここで用いられる単一のチップが異なることである。
【0021】
「単一のチップ」という用語は、本発明における「チップマトリックス」を切断線に沿って切断することによって得られるものを指し、「チップ粒子」とも呼ばれる。
【0022】
シーケンシングチップ
【0023】
本発明の第1の態様では、本発明は、シーケンシングチップを提供する。本発明の実施例によれば、前記シーケンシングチップは、チップ本体、核酸及びホスホン酸ポリマー層を含み、前記チップ本体は同じ層に設けられる複数のチップ粒子を含み、前記チップ粒子はチップマトリックスをウェーハ層の切断線に沿って切断することによって得られ、前記チップマトリックスは、均一に分布している切断線を有するウェーハ層と、酸化ケイ素で構成され、前記ウェーハ層の上表面に形成される第1の酸化ケイ素層と、遷移金属酸化物で構成され、前記第1の酸化ケイ素層の上表面に形成される遷移金属酸化物層と、を含み、前記核酸は前記遷移金属酸化物層に固定され、前記ホスホン酸ポリマー膜はポリホスホン酸ポリマーで構成され、前記遷移金属酸化物層の上面に形成される。
【0024】
本発明の実施例によれば、前記ポリホスホン酸ポリマーはポリアルケニルホスホン酸塩またはポリアルケニルホスホン酸ブロックコポリマー塩である。
【0025】
本発明の実施例によれば、前記ポリホスホン酸ポリマーは、ポリビニルホスホン酸塩またはポリエチレン/プロペニルホスホン酸-ポリエチレン/プロペニルカルボン酸ブロックコポリマー塩等であり、ポリビニルホスホン酸塩は式(I)で表される構造、
【0026】
【化1】
【0027】
を有する。
【0028】
本発明の具体的な実施例によれば、前記式(I)に記載のポリホスホン酸ポリマーの分子量は具体的に5w~500wであるが、これに制限されない。
【0029】
本発明の実施例によれば、前記ポリビニルホスホン酸-ポリプロピレンカルボン酸ブロックコポリマー塩は、式(II)で表される構造、
【0030】
【化2】
【0031】
式(II)を有し、
【0032】
nは具体的に、0~76の整数であるが、これらに制限されなく、mは具体的に、380~22000の整数であるが、これらに制限されない。
【0033】
本発明の具体的な実施例によれば、前記式(II)に記載のポリホスホン酸ポリマーのmセグメントの分子量は、具体的に、0~1wであるが、これらに制限されなく、nセグメントの分子量は、具体的に、5w~500wであるが、これらに制限されない。
【0034】
本発明の実施例によれば、前記ポリホスホン酸ポリマーはポリビニルリン酸ナトリウム塩またはポリビニルリン酸-ポリプロピレンカルボン酸ブロックコポリマーナトリウム塩である。
【0035】
本発明の実施例によれば、前記核酸はDNBである。
【0036】
本発明の実施例によれば、前記ポリホスホン酸ポリマーは前記遷移金属酸化物層内の遷移金属酸化物分子の少なくとも一部に化学結合を介して接続され、
本発明の実施例によれば、前記化学結合は遷移金属酸化物分子をポリホスホン酸ポリマーのホスホン酸基と接続することによって形成される。
【0037】
本発明の実施例によるシーケンシングチップでは、従来のタンパク質フィルムの代わりに、親水性のホスホン酸ポリマー膜を使用してDNAナノボールを固定することによって、ポリマー膜はホスホン酸と遷移金属酸化物との化学反応により、チップ本体の遷移金属酸化物の表面にしっかりと付着され、これにより、DNAナノボールを固定し、それは、大分子の特性を持ち、表面に吸着された後にネット状構造を形成するため、チップの表面でのDNAナノボールの安定性を保証する。本発明の実施例によるシーケンシングチップはより安定であり、シーケンシング結果がより確実であり、シーケンシングチップのデータの出力効率を大幅に向上させ、シーケンシングチップの歩留まりを向上させ、シーケンシングのコストを大幅に削減することができる。
【0038】
本発明の実施例によるチップマトリックスの表面は、2つの領域を含み、即ちシーケンシング対象シーケンス(特にDNB)結合部位領域(遷移金属酸化物領域、即ち機能領域)とシーケンシング対象シーケンス非結合部位領域(酸化ケイ素領域、即ち非機能領域)である。発明者は、前記チップマトリックス上の遷移金属酸化物領域と酸化ケイ素領域との異なる表面性質を使用して、シーケンシング対象シーケンスを含む溶液のpH及び表面活性剤組成などを変更するだけで、遷移金属酸化物領域へのシーケンシング対象シーケンスの選択的な吸着を実現することを発見した。なお、遷移金属酸化物領域と非機能領域を選択的に修飾し、遷移金属酸化物領域へのDNBの選択的な吸着能力を更に強化することができる。
【0039】
本発明の実施例によれば、前記遷移金属酸化物層は複数の接続しない遷移金属酸化物スポットで構成される。遷移金属酸化物はスパッタリング、電子ビーム蒸着または熱蒸着原子層堆積法等の従来の方法によって遷移金属酸化物を酸化ケイ素の表面に離散的に分布し、「スポット」形のパターン化された遷移金属酸化物層を形成する。これにより、表面から見ると、チップマトリックスには、シーケンシングシーケンスに特異的に結合する遷移金属酸化物スポット及びスポット間のシーケンシングシーケンスに結合できない酸化ケイ素領域が形成される。
【0040】
本発明の実施例によれば、前記遷移金属酸化物スポットの厚さは10-20nmであり、前記第1の酸化ケイ素層の厚さは80-100nmであり、好ましくは90nmである。発明者は、シミュレーション計算により、遷移金属酸化物スポットの厚さが10-20nmであり、第1の酸化ケイ素層の厚さが80-100nmであり、好ましくは90nmであるチップマトリックスは、シーケンシング対象シーケンスのDNBによって放出される光のより高い反射率を有することができ、その結果、シーケンシング対象シーケンスのDNBによって放出される光信号ができるだけ多く信号検出装置によってキャプチャされることができ、DNBの信号強度が間接的に強化され、信号対雑音比が高くなり、最終的に得られたシーケンシングチップの性能を大幅に向上させる。
【0041】
本発明の実施例によれば、前記遷移金属酸化物スポットにさらにアミノ基が接続される。発明者は、遷移金属酸化物分子をアミノ化することによって、DNBに対するチップマトリックス表面の機能領域の吸着の特異性を更に向上させることができることを発見した。これにより、DNBのpH及び表面活性剤成分を調整することによって、DNBに対するチップマトリックス表面の機能領域の特異的吸着機がより強い。
【0042】
本発明の実施例によれば、前記複数の接続しない遷移金属酸化物スポットの間の第1の酸化ケイ素層にさらにポリエチレングリコールが接続される。これにより、DNBに対するチップマトリックス表面の非機能領域の非特異的吸着がさらに低下する。
【0043】
本発明の実施例によれば、前記チップマトリックスは第2の酸化ケイ素層をさらに含む。
【0044】
本発明の実施例によれば、前記遷移金属酸化物層は連続層構造であり、前記第2の酸化ケイ素層は、酸化ケイ素によって複数の接続された井字形で前記遷移金属酸化物層の上表面に形成される。説明する必要なこととして、連続層構造とは、第1の酸化ケイ素層の上面に遷移金属酸化物でいっぱい覆われる。これにより、遷移金属酸化物層の上面に1つまたは複数の井字形である第2の酸化ケイ素層を覆うことによって、パターン化された遷移金属酸化物と酸化ケイ素が交互に現れるパターンを得ることができる。
【0045】
本発明の実施例によれば、前記遷移金属酸化物層は複数の接続しない遷移金属酸化物スポットで構成され、前記第2の酸化ケイ素層は前記複数の接続しない遷移金属酸化物スポット間の第1の酸化ケイ素層の上表面に形成される。理解できることとして、ここでの第2の酸化ケイ素層は遷移金属酸化物スポットと井字形を形成することができ、遷移金属酸化物は井字形の凹陥内に位置し、第2の酸化ケイ素層は井字形の格子体を構成し、このようにして、第2の酸化ケイ素層は遷移金属酸化物層より高くすることも、遷移金属酸化層と同じくらい高くすることもできる。
【0046】
本発明の実施例によれば、前記ウェーハはシリコンウェーハであり、前記第2の酸化ケイ素層の厚さは40-60nmであり、好ましくは50nmであり、前記遷移金属酸化物層の厚さは5-15nmであり、前記第1の酸化ケイ素層の厚さは80-100nmであり、好ましくは90nmである。発明者は、シミュレーション計算により、ウェーハがシリコンウェーハであり、井字形構造を形成するチップマトリックスである第2の酸化ケイ素層の厚さは40-60nmであり、好ましくは50nmであり、遷移金属酸化物層の厚さは5-15nmであり、第1の酸化ケイ素層の厚さは80-100nmであり、好ましくは90nmである場合、シーケンシング対象シーケンスのDNBによって放出される光のより高い反射率を有し、その結果、シーケンシング対象シーケンス、特にDNBによって放出される光信号ができるだけ多く信号検出装置によってキャプチャされ、シーケンシング対象シーケンスのDNBの信号強度が間接的に強化され、信号対雑音比が高くなり、最終的に得られたシーケンシングチップの性能を大幅に向上させる。
【0047】
本発明の実施例によれば、前記ウェーハは石英ウェーハであり、前記第2の酸化ケイ素層の厚さは100-200nmであり、前記遷移金属酸化物層の厚さは10-20nmであり、前記第1の酸化ケイ素層の厚さは80-100nmであり、好ましくは90nmである。発明者は、シミュレーション計算により、ウェーハが石英ウェーハであり、井字形構造を形成するチップマトリックスである第2の酸化ケイ素層の厚さは100-200nmであり、遷移金属酸化物層の厚さは10-20nmであり、第1の酸化ケイ素層の厚さは80-100nmであり、好ましくは90nmである場合、シーケンシング対象シーケンス、特にDNBによって放出される光のより高い反射率を有し、その結果、シーケンシング対象シーケンス、特にDNBによって放出される光信号ができるだけ多く信号検出装置によってキャプチャされ、シーケンシング対象シーケンスのDNBの信号強度が間接的に強化され、信号対雑音比が高くなり、最終的に得られたシーケンシングチップの性能を大幅に向上させる。また、第2の酸化ケイ素層の厚さは100-200nmである場合、最終的に形成されたシーケンシングチップでは、井字形構造がシーケンシング対象シーケンスのDNBをロードするための適切な深さを持つことを確保するだけでなく、カメラが比較的高い強度の蛍光信号を収集することができる。
【0048】
本発明の実施例によれば、前記第2の酸化ケイ素層の井字格凹陥での前記遷移金属酸化物層または前記遷移金属酸化物スポットにさらにアミノ基が接続される。発明者は、遷移金属酸化物分子をアミノ化することによって、シーケンシング対象シーケンスに対するチップマトリックス表面の機能領域の吸着の特異性を更に向上させることができることを発見した。これにより、シーケンシング対象シーケンスのpH及び表面活性剤成分を調整することにより、シーケンシング対象シーケンスに対するチップマトリックス表面の機能領域の特異的吸着を実現することができる。
【0049】
本発明の実施例によれば、前記第2の酸化ケイ素層にさらにポリエチレングリコールが接続される。これにより、DNBに対するチップの表面の非機能領域の非特異的吸着はさらに低下する。
【0050】
本発明の実施例によれば、前記アミノ基は前記遷移金属酸化物層内の遷移金属酸化物分子の少なくとも一部に化学結合によって接続される。「化学結合」とは、遷移金属-O-P結合(例えばZr-O-P結合、Ti-O-P結合、Ta-O-P結合)を指す。これにより、アミノ基と遷移金属酸化物は緊密に結合されることができる。
【0051】
本発明の実施例によれば、前記化学結合は、遷移金属酸化物分子をアミノ基ホスホン酸化合物のホスホン酸基に接続することによって形成される。発明者は、ホスホン酸基が酸化ケイ素層に反応せず、遷移金属酸化物分子との特異的な反応を利用し、アミノ基ホスホン酸化合物を使用して特異的に遷移金属酸化物分子にアミノ基を導入することができる。
【0052】
本発明の実施例によれば、前記ポリエチレングリコールは、ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコール及びポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤から選ばれる少なくとも1つによって提供される。これにより、DNBに対するチップの表面の非機能領域の非特異的吸着はさらに低下する。
【0053】
本発明の実施例によれば、前記ポリエチレングリコールはポリエチレンイミン-ポリエチレングリコールにより提供され、前記ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコールは静電気によって前記第1の酸化ケイ素層の表面または第2の酸化ケイ素層の表面に吸着される。
【0054】
本発明の実施例によれば、前記ポリエチレングリコールはポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤によって提供され、前記ポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤は-Si-O-Si-鎖によって前記第1の酸化ケイ素層または第2の酸化ケイ素層に接続される。
【0055】
説明する必要なこととして、本発明の実施例によるウェーハの材料は制限されない。本発明の具体的な実施例によれば、前記ウェーハはシリコンウェーハ、石英ウェーハ、ガラスウェーハ及びCMOSウェーハから選ばれる少なくとも1つを含む。
【0056】
本発明の実施例によれば、前記遷移金属酸化物は、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、六酸化ニオブ及び二酸化ハフニウムから選ばれる少なくとも1つを含む。
【0057】
本発明の実施例によれば、前記遷移金属酸化物は、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、五酸化タンタルから選ばれる少なくとも1つを含む。
【0058】
本発明の実施例によるシーケンシングチップ構造は表面単分子層を必要としないか、またはチップの製造プロセスを完成した後に表面修飾を行うことができ、このため、本発明に記載のシーケンシングチップは、性質が安定した特点を有し、シーケンシングチップの性能に影響を与えることなく、引っかき傷などのような物理的接触に耐えることができ、且つ高温及び化学試薬腐食に耐性がある。このため、該チップは、条件がより過酷であるが効率がより高い加工及び組立プロセスに耐えることができ、梱包、輸送及び使用前の準備作業時に損傷を受ける可能性が低くなる。このため、シーケンシングチップの収率が向上し、シーケンシングチップを使用してデータを出力する効率が向上し、これにより、コストが削減される。
【0059】
シーケンシングチップの製造方法
【0060】
本発明の第2の態様では、本発明はシーケンシングチップの製造方法を提出する。本発明の実施例によれば、前記方法は、1)ウェーハ層に対して表面修飾を行い、チップマトリックスを得るステップであって、前記表面修飾は遷移金属酸化物を使用して前記ウェーハ層の表面を処理し、遷移金属酸化物層を形成することを含み、前記ウェーハ層の上表面に第1の酸化ケイ素層を有し、酸化ケイ素層は酸化ケイ素で構成され、前記遷移金属層は前記第1の酸化ケイ素層の上表面に形成され、前記ウェーハ層に均一に分布している切断線を有するステップと、2)前記チップマトリックスをウェーハ層の切断線に沿って切断し、チップ粒子を得るステップと、3)チップ粒子を組み立て、チップ本体を得るステップと、4)前記チップ本体に対してDNAナノボール固定処理を行うステップと、5)DNAナノボールが固定されたチップ本体に対してポリホスホン酸ポリマーの緩衝溶液中でインキュベート処理を行い、前記シーケンシングチップを得るステップと、を含む。本発明の実施例による方法は、操作が簡単であり、製造されたシーケンシングチップの収率が高い。
【0061】
本発明の実施例によれば、ステップ5)において、前記緩衝溶液はPBS緩衝溶液である。
【0062】
本発明の実施例によれば、ステップ5)において、前記ポリホスホン酸ポリマーの分子量は5w~510wである。
【0063】
本発明の実施例によれば、ステップ5)において、前記緩衝液中での前記ポリホスホン酸ポリマーの濃度は1.5~2.5mg/mLであり、好ましくは、2mg/mLである。
【0064】
本発明の実施例によれば、ステップ5)において、前記インキュベート処理は、常温で8~12min、例えば8min、9min、10min、11min、12min行う。
【0065】
本発明の実施例によれば、ステップ1)において、第1の酸化ケイ素層は、低温プラズマ化学蒸着、プラズマ強化化学蒸着、スパッタリングまたは原子層堆積法の方法によって前記ウェーハ層の上表面に予め形成される。説明する必要なこととして、ウェーハ表面に第1の酸化ケイ素層を形成する方法は制限されず、従来の半導体プロセス技術、例えば低温プラズマ化学蒸着、プラズマ強化化学蒸着、スパッタリング、原子層堆積等によって行うことができる。
【0066】
本発明の実施例によれば、ステップ1)において、ウェーハ層に対して表面修飾を行うことは、薄膜堆積、フォトリソグラフィーまたはエッチングの方法によって実現され、連続遷移金属酸化物層またはスポットで配列する遷移金属酸化物層を形成する。本発明の一具体的な実施例によれば、酸化ケイ素層の上面に一層のパターン化された遷移金属酸化物層を形成し、遷移金属酸化物は二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、六酸化ニオブ、二酸化ハフニウムまたはその任意の組合わせであってもよく、該遷移金属酸化物層は酸化ケイ素層の上に離散的に分布され、特定のアレイ式パターン(即ち後続のシーケンシングにおいて光学のキャリブレーションを行うための遷移金属酸化物格子及び特殊設計のグラフィックスまたはラインである)を形成し、且つ各枚の単一のチップに同様なパターン配布を有する。このパターン化された層は従来の半導体プロセス技術、例えば薄膜堆積、フォトリソグラフィー、エッチングプロセスによって実現されることができ、即ち、まず、酸化ケイ素層の上にスパッタリング、電子ビーム蒸着、熱蒸発原子層堆積等の薄膜堆積技術によってウェーハ一層全体を覆う遷移金属酸化物層を形成し、さらに、金属酸化物層の上に薄膜堆積、フォトリソグラフィー、エッチングプロセスによって必要なパターン化された層に対応する一層のハードマスク材料層を形成し、最終的に、エッチングプロセスによってハードマスク層のパターンを遷移金属酸化物層の上に再刻印し、パターン化された遷移金属酸化物層を形成し、即ち離散的に配布される遷移金属酸化物は「スポット」状で規則的に酸化ケイ素層の上に配布され、且つ遷移金属酸化物「スポット」がない領域に、酸化ケイ素層が露出し、「スポット」状の遷移金属酸化物領域のサイズはDNBサイズと同じまたはやや小さく、これにより、1つの「スポット」に1つのDNBのみを吸着する。
【0067】
本発明の実施例によれば、前記遷移金属酸化物層は連続層構造であり、ステップ1)において、前記遷移金属酸化物層の上表面に酸化ケイ素によって連続する井字形で配列される第2の酸化ケイ素層を形成するステップをさらに含む。ここでの形成は、主に原子層堆積法によって実現される。本発明の一具体的な実施例によれば、まず、ウェーハの上に第1の酸化ケイ素層を形成し、その後、第1の酸化ケイ素層の上に一層の遷移金属酸化物層を形成し、従来の半導体プロセスにおけるフォトリソグラフィー、エッチング技術によって遷移金属酸化物層の上に離散的に配布されるアレイ式「井」構造を形成する。「井」構造の底部には露出した遷移金属酸化物層があり、「井」構造の周囲には、遷移金属酸化物層よりも高い酸化ケイ素層があり、「井」のサイズはDNBのサイズと同じまたはやや小さく、これにより、各「井」構造に1つのDNBのみを結合する。
【0068】
本発明の実施例によれば、前記遷移金属酸化物層はスポットで配列され、ステップ1)において、さらに、前記遷移金属酸化物層のスポット間に酸化ケイ素を堆積して第2の酸化ケイ素層を形成することを含む。ここでの堆積は、主に原子層堆積法によって実現される。本発明の一具体的な実施例によれば、まず、ウェーハの上に第1の酸化ケイ素層を形成し、次に、従来の半導体プロセスにおけるフォトリソグラフィー、エッチング技術によって酸化ケイ素層の上に離散的に配布されるアレイ式「井」構造を形成する。「井」構造の底部には露出した遷移金属酸化物層があり、「井」構造の周囲には遷移金属酸化物層よりも高くまたは同じである酸化ケイ素層があり、「井」のサイズはDNBのサイズと同じまたはやや小さく、これにより、各「井」構造に1つのDNBのみを結合する。
【0069】
本発明の実施例によれば、ステップ3)の後とステップ4)の前に、前記遷移金属酸化物に対してアミノ化処理を行うステップをさらに含む。これにより、チップマトリックスの機能領域にアミノ基を導入することができ、シーケンシング対象シーケンス、特にDNBに対する機能領域の特異的吸着能力をさらに向上させることができる。
【0070】
本発明の実施例によれば、前記アミノ化処理は、遷移金属酸化物をアミノ基ホスホン酸化合物と反応させることによって取得される。これにより、アミノ基ホスホン酸化合物と遷移金属酸化物は遷移金属-O-P結合(例えばZr-O-P結合、Ti-O-P結合、Ta-O-P結合)を形成することができる。さらに、チップマトリックスの機能領域にアミノ基を導入することができ、シーケンシング対象シーケンス、特にDNBに対する機能領域の特異的吸着能力をさらに向上させることができる。
【0071】
本発明の実施例によれば、ステップ3)の後とステップ4)の前に、前記第1の酸化ケイ素層または第2の酸化ケイ素層に対して表面修飾を行い、前記第1の酸化ケイ素層または第2の酸化ケイ素層にポリエチレングリコールを導入するステップをさらに含む。これにより、シーケンシングシーケンスのDNBに対するチップマトリックスの非機能領域の吸着能力をさらに低下させることができる。
【0072】
本発明の実施例によれば、前記ポリエチレングリコールは、ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコールとポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤から選ばれる少なくとも1つによって提供される。
【0073】
本発明の実施例によれば、前記ポリエチレングリコールはポリエチレンイミン-ポリエチレングリコールにより提供され、前記表面修飾は、ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコールと前記第1の酸化ケイ素層表面または第2の酸化ケイ素層表面を静電気吸着することによって行われる。これにより、チップマトリックスの非機能領域にポリエチレングリコールを導入することができる。
【0074】
本発明の実施例によれば、前記ポリエチレングリコールはポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤により提供され、前記表面修飾は、ポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤と前記第1の酸化ケイ素層または第2の酸化ケイ素層のヒドロキシル基を縮合反応させることによって行われ、前記ヒドロキシル基は、第1または第2の酸化ケイ素層がイオン化された後に水中の水酸化物イオンを吸着することによって形成されるSi-OHにより提供される。これにより、チップマトリックスの非機能領域にポリエチレングリコールを導入することができる。
【0075】
本発明の実施例によれば、ステップ2)において、前記切断は、半導体ウェーハ切断方法により実現される。
【0076】
本発明の実施例によれば、ステップ3)において、前記組み立ては、前記チップ粒子を液体の入出口を有する支持フレーム内に置き、のりまたは接着剤でチップ粒子と支持フレームを貼り合わせることによって形成され、前記フレームと前記チップ粒子との間に流体通路が形成されることを含む。
【0077】
本発明の実施例によれば、前記ウェーハはシリコンウェーハであり、前記組み立ては、前記チップ粒子の上表面を上に向けて前記支持フレームに貼り合わせ、1つのカバーガラスをチップ粒子の上表面に設置し、前記チップ本体を取得することを含む。
【0078】
本発明の実施例によれば、前記ウェーハは石英ウェーハまたはガラスウェーハであり、前記組み立ては、前記チップ粒子の下表面を上に向けて前記支持フレームに貼り合わせ、前記チップ本体を取得することを含む。
【0079】
本発明の実施例によれば、前記ウェーハはCMOSウェーハであり、前記組み立ては、前記チップ粒子の下表面と基板(即ち感光性素子)を貼り合わせ、前記チップ粒子は前記基板にワイヤで接続され、前記ワイヤはチップ粒子上の電気信号を基板に伝送するために使用され、前記チップ本体を取得することを含む。
【0080】
本発明の実施例によれば、前記基板形態は、LGA、CLCC、PLCC等の形態を含むが、これらに制限されない。
【0081】
本発明の実施例によれば、前記ワイヤーボンディングに用いられる金属線は金線やアルミ線等を含むが、これらに制限されない。
【0082】
シーケンシング方法
【0083】
本発明の第3の態様では、本発明はシーケンシング方法を提供する。本発明の実施例によれば、前記方法は、上記で限定された、または上記の方法に従って製造されたシーケンシングチップを使用してシーケンシングするステップを含む。本発明の実施例によれば、前記シーケンシングチップの遷移金属酸化物層にDNBが固定される。DNBサンプルは点光源と見なすことができ、それによって放出された光はカメラまたはCMOS画像センサーによって収集されることができ、その後シーケンシングする。本発明の実施例による方法は、ロングサイクルのシーケンシングを行うことができ、シーケンシングの結果の正確性が高く、コストが低い。
【0084】
以下、本発明の実施例を詳しく説明する。
【0085】
実施例1 シリコンまたは石英ウェーハに「スポット」構造のシーケンシングチップ本体を製造する方法
【0086】
図1-5を参照し、本実施例はシリコンまたは石英ウェーハに「スポット」構造の遷移金属酸化物シーケンシングチップを製造する方法を提供し、該方法の各ステッププロセス過程の断面図を示す。該方法は、任意の固有の回路または構造がないベアウェーハに完成することができる。本発明の図面にウェーハ上の2つの領域11と12のみを模式的に示し、当業者は認識すべきこととして、ウェーハの上に同じ構造を有する複数の(ウェーハのサイズ及びチップのサイズに応じて、チップの数が数十~数千であってもよい)単一のチップを形成することができ、各枚の単一のチップは1つのシーケンシングチップ本体を形成することができる。
【0087】
図1はベアウェーハにDNB結合部位領域(遷移金属酸化物層、即ち機能領域)とDNB非結合部位領域(酸化ケイ素層、即ち非機能領域)が交互に存在するパターン化された層を含むウェーハ1-10の断面図を示す。まず、図1におけるウェーハ基板構造111を提供し、材料はシリコンまたは石英であり得るが、当業者が認識すべきこととして、本発明は基板材料をシリコンまたは石英材料に制限されず、他の任意の適切な半導体ウェーハ材料も本発明に使用できる。次に、ウェーハ111に一層の酸化ケイ素層112を形成し、従来の半導体プロセス技術、例えば低温プラズマ化学蒸着、プラズマ強化化学蒸着、スパッタリング、原子層堆積等によって該層酸化ケイ素を形成することができる。そして、酸化ケイ素層の上面に一層のパターン化された遷移金属酸化物層を形成し、遷移金属酸化物は二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、六酸化ニオブ、二酸化ハフニウムまたはその任意の組合わせであり得、該遷移金属酸化物層は酸化ケイ素層の上に離散的に分布され、特定のアレイ式パターンを形成し、且つ各枚の単一のチップ(例えば図1における単一のチップ11と12)上に同じパターン配布を有する。このパターン化された層は、従来の半導体プロセス技術、例えば薄膜堆積、フォトリソグラフィー、エッチングプロセスを利用して実現することができ、即ち、まず、ウェーハ遷移金属酸化物層(図示せず)全体を覆うように、酸化ケイ素層の上にスパッタリング、電子ビーム蒸着、熱蒸発原子層堆積等の薄膜堆積技術によって形成され、金属酸化物層に薄膜堆積、フォトリソグラフィー、エッチングプロセスによって一層の必要なパターン化された層に対応するハードマスク材料層(図示せず)を形成し、最終的にエッチングプロセスによってハードマスク層のパターンを遷移金属酸化物層の上に再刻印し、図1における構造113に示すようなパターン化された遷移金属酸化物層を形成する。構造113に示すようなパターン化された層では、離散的に配布される遷移金属酸化物は「スポット」状で酸化ケイ素層の上に規則的に配布され、且つ遷移金属酸化物「スポット」がない領域に、酸化ケイ素層が露出し、「スポット」状の遷移金属酸化物領域のサイズはDNBのサイズと同じまたはやや小さく、これにより、1つの「スポット」に1つのDNBのみを吸着する。認識すべきこととして、ここでこのパターン化された層を形成するために必要なプロセスステップを説明したが、このパターン化された層を実現できる任意のプロセス方法はこの発明内に含まれるべきである。図1におけるウェーハ構造1-10は数十~数千個の同じチップ(ウェーハのサイズ及びチップのサイズによって決められる)を含むことができ、且つチップとチップとの間に非常に狭い非機能間隔が保留し、この間隔は切断線とも呼ばれ、切断ナイフはチップの有効構造領域を損傷せずにウェーハを複数の単一のチップに切断することができる。
【0088】
図2はパターン化された遷移金属酸化物層を有するウェーハ1-10に対してスライスプロセスを行った後に形成した複数の単一のウェーハ構造1-20の断面図である。図2におけるウェーハは、切断溝121により分割された単一のチップに切断されており、この図2にはスライスプロセス後に形成した単一のチップ11と12を模式的に説明する。
【0089】
図3は単一のチップをシーケンシングチップ1-30に組み立てた後の断面図である。パターン化された表面層131を有する単一のチップは、まず、液体の入出口133を有するフレーム構造131内に入れ、次に、疎水性処理後のカバーガラス132をフレーム構造131の上に貼り合わせ、カバーガラス132とパターン化された表面113を含むチップとの間に流体通路134を形成し、液体が液体の入出口133から流体通路134に流入または排出することができる。この図では、フレーム131へのチップの組み立て、及びフレーム131へのカバーガラス132の貼り合わせの両方とも接着剤により各部材を固定し、任意の適切な接着剤は本発明に使用できる。この図は組み立てられたシーケンシングチップの構造を模式的に示し、即ち液体の入出口を提供するフレーム、及びフレームと流体通路を形成するカバーガラスを含むが、当業者が認識すべきこととして、任意の適切な材料のフレーム及びカバーガラス、並びに液体の入出口及び流体通路の提供を実現できる任意のフレーム及びカバーガラス構造は、いずれも本発明内に含まれるべきである。
【0090】
図4はシーケンシングチップ1-30に対して機能化表面修飾を行った後に形成したシーケンシングチップ1-40である。表面修飾用の液体は液体の入出口を介して流体通路内に入り、遷移金属酸化物領域と酸化ケイ素領域に接触することができ、その表面に対して機能化修飾を行うことによって、DNBを吸着する機能(即ちDNB結合部位、遷移金属酸化物領域、機能領域)及びDNBを排斥する機能(即ちDNB非結合部位、酸化ケイ素領域、非機能領域)機能をそれぞれ持つ。表面修飾の過程は以下のを含む。1)酸化ケイ素層表面にポリエチレングリコール分子層142を形成する。前記ポリエチレングリコール分子は、ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコールとポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤から選ばれる少なくとも1つを含み、これにより、DNBに対するチップの表面非機能領域の非特異的吸着はさらに低下し、または前記ポリエチレングリコール分子はポリエチレンイミン-ポリエチレングリコールであり、前記複数のポリエチレングリコール分子の一端は酸化ケイ素層112に静電気吸着によって接続される。ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコールは酸化ケイ素層112に自己組み立てを行うことができ、その後、静電気作用によって酸化ケイ素層112に吸着され、または前記ポリエチレングリコール分子はポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤であり、前記複数のポリエチレングリコール分子の一端は酸化ケイ素層112に-Si-O-Si-鎖によって接続され、ポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤は酸化ケイ素層112の表面にあるヒドロキシル基と縮合反応が発生して、-Si-O-Si-鎖を形成することができる。2)遷移金属酸化物層に複数のアミノ基141を形成する。前記複数のアミノ基は前記複数の遷移金属酸化物分子の少なくとも一部に接続され、前記複数のアミノ基は酸化ケイ素層に接続しない。発明者は、遷移金属酸化物分子をアミノ化することによって、DNBに対するチップの表面機能領域の特異的吸着をさらに向上させることができることを発見した。これにより、DNBのpH及び表面活性剤成分を調整することによって、DNBに対するチップの表面機能領域の特異的吸着を実現することができる。前記複数のアミノ基はアミノ基ホスホン酸化合物により提供される。発明者は、ホスホン酸基が酸化ケイ素層に反応せずに遷移金属酸化物分子と特異的に反応し、アミノ基ホスホン酸化合物を利用して遷移金属酸化物分子にアミノ基を特異的に導入することができ、または前記複数のアミノ基と前記複数の遷移金属酸化物分子の少なくとも一部との接続は化学結合によって接続されることを発見した。以上のように、発明者は、ホスホン酸基が酸化ケイ素層に反応せずに遷移金属酸化物分子と特異的に反応することを利用し、アミノ基ホスホン酸化合物を利用して遷移金属酸化物分子にアミノ基を特異的導入することができ、ホスホン酸基と遷移金属酸化物分子は対応する化学結合を形成することができ、前記複数のアミノ基はホスホン酸基を介して遷移金属酸化物分子と化学結合を形成して遷移金属酸化物分子に接続され、前記化学結合は遷移金属とアミノ基ホスホン酸化合物のホスホン酸基を接続することによって形成される。アミノ基ホスホン酸化合物におけるホスホン酸基は遷移金属酸化物分子と対応する遷移金属-O-P結合(例えばZr-O-P結合、Ti-O-P結合、Ta-O-P結合)を形成することができ、このため、前記複数のアミノ基はホスホン酸基と遷移金属酸化物分子により形成される遷移金属-O-P結合によって遷移金属酸化物分子に接続される。
【0091】
図5A図4において機能化処理後に形成したシーケンシングチップ本体1-40に対してDNBロードを行った後に形成したDNBアレイを含むシーケンシングチップ1-50Aの断面図である。シーケンシングチップ上の液体の入出口133を介してDNB試薬を流体通路内に流入させ、DNBは、DNB非結合部位(ポリエチレングリコールで修飾された酸化ケイ素層)と結合せずに選択的にDNB結合部位(アミノ基で修飾された遷移金属酸化物領域、即ち機能領域)と結合し、これにより、DNBナノアレイを形成する。図5Aにさらに光源とカメラ152が示され、蛍光標識物が結合されたDNBは、特定の波長またはエネルギーの光源の励起下で特定の波長またはエネルギーの光を発することができ、カメラによって収集され、カメラによって収集された光信号を分析することによってDNB上のアルカリ基配布を分析することができる。
【0092】
図5Bは他のより簡潔なDNBロード方法を示し、図5Bにおける図3のシーケンシングチップ1-30は任意の表面修飾処理なしでDNBロードを行うことができ、このステップはDNB試薬のph及び表面活性剤成分を最適に達する必要があり、これにより、表面機能化修飾がない場合で、DNBはDNB結合部位(遷移金属酸化物層、即ち機能領域)のみに選択的に吸着され、DNB非結合部位(酸化ケイ素層、即ち非機能領域)によって排斥される。認識すべきこととして、図4及び図5Aに示すような表面機能化修飾を行ってからDNBロードを行う方法により、パターン化された表面へのDNBの選択的吸着効果がより良い。
【0093】
結果は、図5Aと5Bに示されるように、DNBサンプル151は遷移金属酸化物「スポット」113にロードされ、カメラ152はDNBサンプルの上方に置かれ、DNBサンプルによって放出された光信号を収集することに用いられる。DNBサンプルは1つの点光源と見なすことができ、上方へ放出された光はカメラによって直接収集され、下へ放出された光の一部は遷移金属酸化物層と酸化ケイ素層によって反射されてカメラによって収集されることができ、下へ放出された他の一部の光は遷移金属酸化物層と酸化ケイ素層を通過してシリコン基板に入る。発明者は、光学シミュレーション計算により、1つの最適化された遷移金属酸化物層と酸化ケイ素層の厚さを取得し、この厚さである場合、DNBによって放出された光信号に対する遷移金属酸化物層と酸化ケイ素層の反射が最も大きく、通過が最も小さく、その結果、DNBによって放出された光信号ができるだけ多く上に向けて伝送されてカメラによって収集され、即ちカメラによってキャプチャされた蛍光信号強度が最も大きい。シミュレーション計算時に、まず、1つの最適な酸化ケイ素層の厚さを決定するために、遷移金属酸化物層がない場合、異なる酸化ケイ素層の厚さに対応する蛍光信号強度を計算し、シミュレーション計算の結果を図5Cに示す。酸化ケイ素層の厚さが約90ナノである場合、4種の波長の光の反射率はいずれも比較的に高い。
【0094】
酸化ケイ素層の厚さが約90ナノである場合、DNBサンプルによって放出された光信号に対する酸化ケイ素層の反射効果が最もよく、即ちカメラによってキャプチャされた蛍光信号強度が最も強い。次に、酸化ケイ素層の厚さが90ナノである場合、遷移金属酸化層の厚さの変化と蛍光信号強度との関係を計算してシミュレーションし、結果を図5Dに示し、遷移金属酸化物層の厚さが40ナノより小さい場合、遷移金属酸化物層の厚さが高いと、カメラによってキャプチャされた蛍光信号強度が次第に低くなるため、遷移金属酸化物層の厚さは約10~20ナノである場合、遷移金属酸化物層は良い機械信頼性を有し、反射率が最も大きく、カメラによってキャプチャされた蛍光信号強度が最も高く、図5Dに示される通りである。
【0095】
実施例2 シリコンまたは石英ウェーハに「井」構造の遷移金属酸化物シーケンシングチップ本体を製造する方法
【0096】
図6-11を参照し、本実施例はシリコンまたは石英ウェーハに「井」構造の遷移金属酸化物シーケンシングチップを製造する方法を提供する。また、該方法の各ステッププロセス過程での断面図を示す。該方法は、任意の固有の回路または構造がないベアウェーハに完成することができる。本発明の図面にウェーハ上の2つの領域21と22のみを模式的に示し、当業者は認識すべきこととして、ウェーハの上に同じ構造を有する複数の(ウェーハのサイズ及びチップのサイズに応じて、チップの数が数十~数千であってもよい)単一のチップを形成することができ、各枚の単一のチップは1つのシーケンシングチップを形成することができる。
【0097】
図6はベアウェーハに一層の酸化ケイ素層及び遷移金属酸化物層を形成した後のウェーハ構造2-10の断面図である。まず、1つのウェーハ基板211を提供し、このウェーハ基板はシリコンまたは石英材料であるが、これらに制限されなく、任意の適切な半導体ウェーハはいずれも本発明に適用できる。次に、ウェーハ211に一層の酸化ケイ素層212を形成し、酸化ケイ素層を形成するプロセスは実施例1における図1のプロセスと同様である。酸化ケイ素層に一層の遷移金属酸化物層213を形成し、遷移金属酸化物は二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、六酸化ニオブ、二酸化ハフニウムまたはその任意の組合わせであってもよく、且つ形成方法は実施例1における図1の方法と同様である。
【0098】
図7図6の遷移金属酸化物層を含むウェーハ2-10にパターン化された「井」構造を有する酸化ケイ素層を形成した後のウェーハ2-20の断面図である。図7では、まず、図6のウェーハ2-10に一層の酸化ケイ素層221を形成し、従来の半導体プロセスにおけるフォトリソグラフィー、エッチング技術によって酸化ケイ素層221に離散的に配布されるアレイ式「井」構造222を形成する。「井」構造の底部は露出した遷移金属酸化物層であり、「井」構造の周囲は遷移金属酸化物層より高い酸化ケイ素層221であり、「井」のサイズはDNBサイズと同じまたはやや小さく、各「井」構造に1つのDNBのみを結合する。
【0099】
図8図7のウェーハ構造2-20に対してスライスプロセスを行った後に形成した複数の単一のチップ2-30の断面図である。この図では実施例1における図2と同様なスライスプロセスを使用する。図7の2-20ウェーハは切断溝231で仕切られる単一のチップ21及び22に切断される。
【0100】
図9は単一のチップを組み立てた後に形成したシーケンシングチップ2-40の断面図である。前記組立プロセスは実施例1における図3のプロセスと同様である。液体の入出口243を有するフレーム241、及びフレームに貼り合われるカバーガラス242を含む。カバーガラスとアレイ式「井」構造を含む単一のチップとの間に流体通路を形成する。
【0101】
図10図9のシーケンシングチップ2-40に対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ2-50の断面図である。図における表面機能化処理ステップは実施例1における図4のステップと同様であり、最終的に遷移金属酸化物層213に露出した「井」構造の底部にはアミノ基で修飾されたDNB結合部位領域(即ち機能領域)を形成し、遷移金属酸化物層よりも高い酸化ケイ素層の表面にポリエチレングリコール分子層を形成する。
【0102】
図11A図10に示すようなシーケンシングチップ2-50の上にDNBをロードした後に形成した、DNBアレイを有するシーケンシングチップ2-60Aの断面図である。この図に示すように、DNBが表面機能化修飾処理後のシーケンシングチップ2-60Aのアレイ式「井」構造内にロードされ、これにより、DNBがより高い流速の液体の洗い流しに耐えられ、シーケンシングチップをシーケンシングする際の速度を加速する。この図では同様に励起光源及びカメラ構造262を示し、特定の波長と能力の励起光を提供して蛍光標識物で標識されたDNBによって放出された特定の波長及び能力の光信号を収集することができ、DNB上のアルカリ基の配布の識別に適用する。
【0103】
図11Bは他のより簡潔なDNBロード方法を示し、図9のシーケンシングチップ2-40は任意の表面修飾処理なしで、DNBをロードしてシーケンシングチップ2-60Bを形成することができ、このステップはDNB試薬のpH及び表面活性剤成分を最適に達する必要があり、これにより、表面機能化修飾がない場合で、DNBはDNB結合部位(遷移金属酸化物層、即ち機能領域)のみに選択的に吸着され、DNB非結合部位(酸化ケイ素層、即ち非機能領域)によって排斥される。発明者は、図10及び図11Aに示すような表面機能化修飾を行ってからDNBロードを行う方法により、パターン化された表面へのDNBの選択的吸着効果がより良いことを発見した。
【0104】
発明者は、同様に光学シミュレーション計算により、酸化ケイ素層と遷移金属酸化物層の厚さを最適化しており、本実施例における遷移金属酸化物層は一層の薄膜構造であり、遷移金属酸化物層の下方には第1の酸化ケイ素層があり、遷移金属酸化物層の上方にはアレイ式「井」構造を有する第2の酸化ケイ素層がある。上記実施例1におけるシミュレーション結果によれば、発明者は、遷移金属酸化物層の厚さが0~40ナノで変化する場合、遷移金属酸化物層の厚さの増加に伴い、薄膜の反射率が次第に低くなり、カメラによって収集されることができる蛍光信号強度が次第に小さくなる。このため、まず、第1の酸化ケイ素層の厚さが90ナノである場合、遷移金属酸化物層の厚さはそれぞれ0ナノ、10ナノ、20ナノであると、蛍光信号強度とアレイ式「井」構造を有する第2の酸化ケイ素層の厚さとの関係をシミュレーションした。シミュレーション結果は、図11Cに示すように、第2の酸化ケイ素層の厚さの増加に伴い、蛍光信号強度が次第に弱くなり、光信号に対する薄膜の反射率が低くなることである。このため、「井」構造はDNBをロードするための一定の深さを持たせるために、発明者は第2の酸化ケイ素層の厚さを約50ナノとなるように選択した。
【0105】
第1の酸化ケイ素層の厚さが90ナノであり、第2の酸化ケイ素層の厚さが50ナノである場合、また、異なる遷移金属酸化物層の厚さと蛍光信号強度との対応関係をシミュレーションして計算した。シミュレーション結果は、図11Dに示すように、その変化傾向が上記実施例1と同様であり、即ち遷移金属酸化物層の厚さが40ナノより小さい場合、遷移金属酸化物層の厚さの増加に伴い、反射率が小さくなり、蛍光信号強度が次第に弱くなる。このため、発明者は、遷移金属酸化物層の厚さが約5~15ナノである場合に最適であり、このとき、4種のアルカリ基によって放出された異なる波長の蛍光信号強度はいずれも比較的高いと考えられる。このため、発明者は、本実施例において、第1の酸化ケイ素層の厚さが90ナノであり、遷移金属酸化物層の厚さが5~15ナノであり、第2の酸化ケイ素層の厚さが50ナノである場合、シーケンシングチップ上の薄膜の反射率が比較的大きく、カメラによってキャプチャされることができる蛍光信号強度が比較的高いと考えられる。
【0106】
実施例3 シリコンまたは石英ウェーハに「井」構造を有する遷移金属酸化物シーケンシングチップ本体を製造する他の方法
【0107】
図12-17に示すように、本実施例はシリコンまたは石英ウェーハに「井」構造を有する遷移金属酸化物シーケンシングチップを製造する他の方法を提供する各ステッププロセスでの断面図である。この方法と実施例2の方法との異なりは、本方法は、まず酸化ケイ素層312を含むウェーハ311にパターン化された遷移金属酸化物層313を形成するが、実施例2の方法はウェーハ全体の上に遷移金属酸化物層を形成することであり、図12及び図6の比較に示す通りである。
【0108】
図12はパターン化された遷移金属酸化物層313を含むウェーハ構造3-10の断面図であり、その形成プロセスは実施例1における図1のプロセスと同様である。
【0109】
図13図12に示すようなパターン化された遷移金属酸化物層を含むウェーハ3-10に、さらにパターン化された「井」構造322を有する酸化ケイ素層321を形成した後のウェーハ構造3-20の断面図である。その形成プロセスは実施例2における図7のプロセスと同様であり、酸化ケイ素層上の「井」構造322はパターン化された「スポット」状遷移金属酸化物層313に一々対応し、最終的に酸化ケイ素層は遷移金属酸化物層より高くなるとともに、ウェーハの表面にアレイ式のパターン化された「井」構造を形成し、「井」構造の底部には露出した遷移金属酸化物層313がある。
【0110】
図14図13のウェーハ構造3-20に対してスライスプロセスを行った後に形成した切断溝331で仕切られる複数の単一のチップ3-30の断面図である。スライスプロセスは実施例2における図8のプロセスと同様である。
【0111】
図15図14に示すような単一のチップ3-30に対して組立プロセスを行った後に形成したシーケンシングチップ3-40の断面図である。組立プロセスは実施例2における図9と同様である。
【0112】
図16図15に示すようなシーケンシングチップ3-40に対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ3-50である。その表面機能化処理プロセスは実施例2における図10のプロセスと同様である。
【0113】
図17A図16に示すような表面機能化処理後のシーケンシングチップ3-50に対してDNBロードプロセスを行った後に形成したDNBアレイを有するシーケンシングチップ3-60Aの断面図である。そのDNBロードステップは実施例2における図11Aと同様である。
【0114】
図17Bは、表面機能化修飾処理を必要としないより簡潔な他のDNBロード方法であり、それは上記実施例2における図11Bの方法と同様である。
【0115】
本実施例において、遷移金属酸化物層は第1の酸化ケイ素層の上に形成されるアレイ式の「スポット」構造であり、同時に、その上方にはアレイ式「井」構造を有する第2の酸化ケイ素層を形成し、酸化ケイ素層の「井」構造は遷移金属酸化物層の「スポット」に対応する。上記実施例1において、シミュレーション計算により、第1の酸化ケイ素層の厚さが90ナノであり、遷移金属酸化物層の厚さが約10~20ナノである場合、最適な反射率があり、蛍光信号強度が強くなる。このうえで、アレイ式「井」構造を有する第2の酸化ケイ素層を有すると、蛍光信号強度が第2の酸化ケイ素層の厚さに伴う変化をシミュレーションし続き、シミュレーション計算の結果は図17Cに示す通りであり、第2の酸化ケイ素層の厚さが0であり、即ち第2の酸化ケイ素層がない場合、蛍光信号強度が最も大きく、第2の酸化ケイ素層の厚さの増加に伴い、反射率が低くなり、蛍光信号強度が次第に弱くなる。このため、DNBサンプルをロードする「井」構造を有するのを確保するために、第2の酸化ケイ素層の厚さが約50ナノである場合に最適であり、このとき、第1の酸化ケイ素層の厚さが90ナノであり、遷移金属酸化物層の厚さが約10~20ナノである。
【0116】
実施例4 石英ウェーハに「スポット」構造を有する裏面照射型遷移金属酸化物シーケンシングチップ本体を製造する方法
【0117】
図18-22に示すように、本実施例は石英ウェーハに「スポット」構造を有する裏面照射型遷移金属酸化物シーケンシングチップを製造する方法を提供する各ステッププロセスでの断面図である。本実施例と実施例1-3との異なりは、本実施例の方法は基板として石英ウェーハまたは他の任意の適切な透明ガラスウェーハを使用し、基板であるウェーハにパターン化された「スポット」構造を有する遷移金属酸化物のパターン化された層を製造するとともに、組立プロセス時にチップのパターン化された層を下に向けて組み立て、励起光源及びカメラを使用してチップの裏面(即ち石英ウェーハ基板を通過して)からDNBを励起して蛍光信号を収集することである。
【0118】
図18は酸化ケイ素層412を有する石英ウェーハ411にパターン化された遷移金属酸化物層を形成するウェーハ構造4-10の断面図であり、ウェーハは石英ウェーハであるが、他の任意の適切な透明ガラスウェーハは本発明に使用できる。酸化層412及びパターン化された遷移金属酸化物層413を形成するプロセスは実施例1における図1のプロセスと同様である。
【0119】
図19図18のウェーハ4-10にスライスプロセスを行った後、形成した切断溝で仕切られる複数の単一のチップ4-20の断面図である。スライスプロセスは実施例1における図2のプロセスと同様である。
【0120】
図20図19における単一のチップに対してパッケージングプロセスを行った後に形成したシーケンシングチップ4-30の断面図である。本プロセスステップでは、シーケンシングチップのパターン化された層を下に向けて液体の入出口432を有するフレーム431に組み立てて貼り合わせ、フレームとチップ上のパターン化された層との間に流体通路433を形成する。フレーム431は任意の適切な材料を任意の適切な加工方法で加工することによって形成されることができ、且つ任意の適切な接着剤でチップとフレームを貼り合わせることができる。認識すべきこととして、この図はフレームが有すべき構造を模式的に示したが、この図は限定的なものではなく、チップを支持する作用を提供し、液体の入出口を有し、チップのパターン化された層と流体通路を形成することができる任意のフレーム構造はいずれも本発明の特許の範囲内にあると見なされるべきである。
【0121】
図21図20に示すようなシーケンシングチップ4-30に対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ4-40の断面図である。機能化修飾のステップは実施例1における図4に示すようなステップと同様である。
【0122】
図22A図21に示すような機能化修飾処理後のシーケンシングチップ4-40に対してDNBロードを行った後に形成した、DNBアレイを有するシーケンシングチップ4-50Aの断面図である。DNBロードステップは実施例1における図5Aのステップと同様である。この図22Aには同様に励起光源とカメラ452が示され、シーケンシングチップの石英またはガラス基板の裏面からDNBを照射し、蛍光標識物で標識されたDNBから放出した蛍光信号を収集し、これにより、DNB上のアルカリ基をシーケンシングする。
【0123】
図22Bは他のより簡潔な、表面機能化修飾処理を必要としないDNBロード方法であり、実施例1における図5Bの方法と同様である。且つ励起光源とカメラ452はシーケンシングチップの石英またはガラス基板の裏面からDNBを照射し、蛍光標識物で標識されたDNBから放出した蛍光信号を収集し、これにより、DNB上のアルカリ基をシーケンシングする。
【0124】
本実施例4において、酸化ケイ素層はまず透明石英ウェーハに形成され、次に、アレイ式の遷移金属酸化物「スポット」構造は酸化ケイ素層に形成され、DNBサンプルは遷移金属酸化物「スポット」構造にロードされる。しかし、この実施例において、カメラは石英基板の裏面に置かれ、DNBによって放出された光信号が遷移金属酸化物層、酸化ケイ素層及び石英基板を通過してから、カメラによってキャプチャされる。このため、本実施例4において、DNBによって放出された蛍光信号が異なる厚さの遷移金属酸化物層、酸化ケイ素層及び石英基板を通過してから、カメラによってキャプチャされることができる信号強度の比較を計算した。シミュレーション結果は、図22Cに示すように、酸化ケイ素層の厚さが90ナノであり、遷移金属酸化物層の厚さが10~20ナノ(第2の酸化ケイ素層の厚さが0である)である場合、DNBサンプルによって放出された蛍光の通過率が最も大きく、このとき、遷移金属酸化物層、酸化ケイ素層及び石英基板を通過する蛍光信号強度が最も大きく、100%に近い。
【0125】
実施例5 石英ウェーハに「井」構造を有する裏面照射型遷移金属酸化物シーケンシングチップ本体を製造する方法
【0126】
図23-28に示すように、本実施例による石英ウェーハに「井」構造を有する裏面照射型遷移金属酸化物シーケンシングチップを製造する方法の各ステッププロセスでの断面図である。本実施例の方法は、石英ウェーハまたは他の任意の適切な透明ガラスウェーハを基板として使用し、基板であるウェーハにパターン化された「井」構造を有する遷移金属酸化物のパターン化された層を製造し、且つ組立プロセス時にチップのパターン化された層を下に向けて組み立て、励起光源及びカメラを使用してチップの裏面(即ち石英ウェーハ基板を通過して)からDNBを励起して蛍光信号を収集する。
【0127】
図23はベアウェーハに一層の酸化ケイ素層及び遷移金属酸化物層を形成した後のウェーハ構造5-10の断面図である。その形成方法は実施例2における図6の方法と同様である。
【0128】
図24図23における遷移金属酸化物層を含むウェーハ5-10にパターン化された「井」構造を有する酸化ケイ素層を形成した後のウェーハ5-20の断面図である。その形成方法は実施例2における図7の方法と同様である。
【0129】
図25図24のウェーハ構造5-20に対してスライスプロセスを行った後に形成した複数の単一のチップ5-30の断面図である。この図に実施例1における図2と同様なスライスプロセスが採用される。
【0130】
図26図25における単一のチップに対してパッケージングプロセスを行った後に形成したシーケンシングチップ5-30の断面図である。このプロセスステップでは、シーケンシングチップのパターン化された層を下に向けて液体の入出口432を有するフレーム431と組み立てて貼り合わせ、フレームとチップ上のパターン化された層との間に流体通路433を形成する。この図には実施例3における図20のプロセスが採用される。
【0131】
図27図26に示すようなシーケンシングチップ5-40に対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ5-50の断面図である。機能化修飾のステップは実施例1における図4に示すようなステップと同様である。
【0132】
図28A図27に示すような機能化修飾処理後のシーケンシングチップ5-50に対してDNBロードを行った後に形成した、DNBアレイを有するシーケンシングチップ5-60Aの断面図である。DNBロードステップは実施例1における図5Aのステップと同様である。この図には同様に励起光源とカメラ562が示され、シーケンシングチップの石英またはガラス基板の裏面からDNBを照射し、蛍光標識物で標識されたDNBから放出した蛍光信号を収集し、これにより、DNB上のアルカリ基をシーケンシングする。
【0133】
図28Bは他のより簡潔な、表面機能化修飾処理を必要としないDNBロード方法であり、実施例1における図5Bの方法と同様である。且つ励起光源とカメラ562はシーケンシングチップの石英またはガラス基板の裏面からDNBを照射し、蛍光標識物で標識されたDNBから放出した蛍光信号を収集し、これにより、DNB上のアルカリ基をシーケンシングする。
【0134】
本実施例5において、まず石英ウェーハに第1の酸化ケイ素層を形成し、次に第1の酸化ケイ素層の上方に一層の遷移金属酸化物層を形成し、そして、遷移金属酸化物層の上方にアレイ式「井」構造を有する第2の酸化ケイ素層を形成する。このような場合で、DNBサンプルは同様に「井」構造における遷移金属酸化物層にロードされ、放出された光信号は遷移金属酸化物層、第1の酸化ケイ素層及び石英基板を通過して、石英基板の裏面に置かれるカメラによってキャプチャされる。このような場合で、第1の酸化ケイ素層の厚さが90ナノであり、遷移金属酸化物層の厚さが10ナノまたは20ナノである場合、異なる第2の酸化ケイ素層の厚さが薄膜層を通過する蛍光信号強度に与える影響をシミュレーションした。シミュレーション結果は、図28Cに示すように、第1の酸化ケイ素層の厚さと第2の酸化ケイ素層の厚さが同様である場合、厚さが10ナノの遷移金属酸化物層の構造の蛍光信号強度は厚さが20ナノの構造の蛍光信号強度より高い。第1の酸化ケイ素層の厚さと遷移金属酸化層の厚さが決定される場合、第2の酸化ケイ素層の厚さが増加すると、薄膜層を通過する蛍光信号強度は第2の酸化ケイ素層の厚さの増加に伴って単調に増加または単調に減少することはないが、異なる波長の場合で異なる蛍光信号強度の変化傾向を示す。このような場合で、第2の酸化ケイ素層の厚さが100~200ナノであると、「井」構造がDNBをロードするための適切な深さを有するのを確保するだけでなく、カメラが強度の高い蛍光信号を収集することができる。
【0135】
実施例6 石英ウェーハに「井」構造を有する、裏面照射型遷移金属酸化物シーケンシングチップ本体を製造する他の方法
【0136】
図29-34に示すように、本実施例による石英ウェーハに「井」構造を有する、裏面照射型遷移金属酸化物シーケンシングチップを製造する方法の各ステッププロセスでの断面図である。この方法と上記5の方法との異なりは、本方法は、まず酸化ケイ素層612を含むウェーハ611にパターン化された遷移金属酸化物層613を形成するが、実施例5の方法はウェーハ全体に遷移金属酸化物層を形成することであり、図29及び図23の比較に示す通りである。
【0137】
図29はパターン化された遷移金属酸化物層613を含むウェーハ構造6-10の断面図であり、その形成プロセスは上記の図1のプロセスと同様である。
【0138】
図30図29に示すようなパターン化された遷移金属酸化物層を含むウェーハ6-10に、さらにパターン化された「井」構造622を有する酸化ケイ素層621を形成した後のウェーハ構造6-20の断面図である。その形成プロセスは実施例2における図7のプロセスと同様であり、酸化ケイ素層上の「井」構造622はパターン化された「スポット」状遷移金属酸化物層613に一々対応し、最終的に酸化ケイ素層は遷移金属酸化物層より高くなり、且つウェーハの表面にアレイ式のパターン化された「井」構造を形成し、「井」構造の底部には露出した遷移金属酸化物層613がある。
【0139】
図31図30のウェーハ構造6-20に対してスライスプロセスを行った後に形成した切断溝631で仕切られる複数の単一のチップ6-30の断面図である。スライスプロセスは実施例2における図8のプロセスと同様である。
【0140】
図32図31における単一のチップに対してパッケージングプロセスを行った後に形成したシーケンシングチップ6-40の断面図である。この図のプロセスは実施例5における図26のプロセスと同様である。
【0141】
図33図32に示すようなシーケンシングチップ6-40に対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ6-50の断面図である。機能化修飾のステップは実施例1における図4に示すようなステップと同様である。
【0142】
図34A図33に示すような機能化修飾処理後のシーケンシングチップ6-50に対してDNBロードを行った後に形成した、DNBアレイを有するシーケンシングチップ6-60Aの断面図である。DNBのロードステップは実施例1における図5Aのステップと同様である。この図には同様に励起光源とカメラ662が示され、シーケンシングチップの石英またはガラス基板の裏面からDNBを照射し、蛍光標識物で標識されたDNBから放出した蛍光信号を収集し、これにより、DNB上のアルカリ基をシーケンシングする。
【0143】
図34Bは他のより簡潔な、表面機能化修飾処理を必要としないDNBロード方法であり、実施例1における図5Bの方法と同様である。且つ励起光源とカメラ662はシーケンシングチップの石英またはガラス基板の裏面からDNBを照射し、蛍光標識物で標識されたDNBから放出した蛍光信号を収集し、これにより、DNB上のアルカリ基をシーケンシングする。
【0144】
本実施例6において、まず石英ウェーハに第1の酸化ケイ素層を形成し、そして、第1の酸化ケイ素層の上方に一層のアレイ式「スポット」構造を有する遷移金属酸化物層を形成し、次に、遷移金属酸化物層の上方にアレイ式「井」構造を有する第2の酸化ケイ素層を形成し、第2の酸化ケイ素層の「井」構造は遷移金属酸化物層の「スポット」構造に対応し、遷移金属酸化物「スポット」構造は第2の酸化ケイ素層「井」構造の底部にある。このような場合でDNBサンプルは同様に「井」構造における遷移金属酸化物層にロードされ、放出された光信号は遷移金属酸化物層、第1の酸化ケイ素層及び石英基板を通過して、石英基板の裏面に置かれるカメラによってキャプチャされる。
【0145】
このような場合で、まず第1の酸化ケイ素層の厚さが90ナノであり、遷移金属酸化物層の厚さが10ナノまたは20ナノである場合、異なる第2の酸化ケイ素層の厚さが蛍光信号強度に与える影響をシミュレーションした。シミュレーション結果は、図34Cに示すように、第1の酸化ケイ素層の厚さと第2の酸化ケイ素層の厚さが同様である場合、厚さが10ナノの遷移金属酸化物層の構造の蛍光信号強度は同様に厚さが20ナノの構造の蛍光信号強度より高い。第1の酸化ケイ素層の厚さと遷移金属酸化層の厚さが決定される場合、第2の酸化ケイ素層の厚さが増加すると、薄膜層を通過する蛍光信号強度は同様に第2の酸化ケイ素層の厚さの増加に伴って単調に増加または単調に減少することはないが、異なる波長の場合で異なる蛍光信号強度の変化傾向を示す。このような場合で、第2の酸化ケイ素層の厚さが100~200ナノであると、「井」構造がDNBをロードするための適切な深さを有するのを確保するだけでなく、カメラが強度の高い蛍光信号を収集することができる。
【0146】
実施例7 CMOSウェーハに「スポット」構造または「井」構造を有する遷移金属酸化物シーケンシングチップ本体を製造する方法
【0147】
図35-41に示すように、本実施例は、CMOSウェーハにアレイ式「スポット」構造または「井」構造を有する遷移金属酸化物シーケンシングチップを製造する方法を提出する。この方法と上記方法との異なりは、上記方法はいずれも外部の励起光源及びカメラ機器を使用して、外部の励起光源によって放出された特定の波長とエネルギーの励起光を使用して蛍光標識物で標識されたDNBを照射し、その結果、DNBが特定の波長とエネルギーの光を発射し、DNBによって放出された光信号をカメラによって収集することによってシーケンシングすることができ、本方法は外部の励起光源及びカメラ機器を必要としないことである。本方法に用いられるCMOSウェーハは画像センサー機能を持つCMOSウェーハであり、各枚のウェーハに数百~数千の画像センサーチップを有することができ、各画像センサーチップは数百万~数千万のピクセル点(及びフォトダイオードアレイ)を有することができ、画像センサーチップは外部の異なる強度の光信号を感知して対応する電気信号に変換することができる。蛍光標識物が標識されたDNBを画像センサーチップ上のフォトダイオードアレイに選択的にロードし、フォトダイオードアレイに一々対応するDNBアレイを形成し、生物学的または化学的方法を使用してDNBに発光させ(外部励起光源なしで)、画像センサーチップが異なる時間、異なるピクセル点上での光信号値を認識することによって、画像センサーチップにロードされたDNBアレイをシーケンシングすることができる。
【0148】
図35はCMOS画像センサーウェーハ7-10の断面の模式図であり、当業者が認識すべきこととして、CMOSウェーハに複数のチップを有することができ、この図ではそのうちの2つのチップ71と72のみを模式的に示す。図35に示すように、該CMOS画像センサーウェーハは感光層73、相互接続層74、基板層75、感光層73上の誘電体薄膜層717を有し、該層材料は、通常、二酸化ハフニウムと五酸化タンタル薄膜を積み重ねることによって形成され、誘電体薄膜層717の上に一層の酸化ケイ素層718がある。感光層73は半導体材料715内に形成される感光部分716を含み、この感光部分716はフォトダイオードであってもよい。半導体材料層715は任意の適切な材料、例えばシリコン、シリコン上のIII-V族材料、シリコン上のグラフェン、絶縁体上のシリコン及びそれらの組合わせ等から製造されることができる。本発明は、ここでフォトダイオード716を説明したが、注意すべきこととして、任意の適切な感光構造はいずれも本発明に適用できる。フォトダイオード716は測定された光信号を電流信号に変換することができる。フォトダイオード716は1つのMOS(Metal Oxide Semiconductor, 金属酸化物半導体)トランジスタのソースとドレインを含むことができ、電流を他の部材に伝送することができ、例えば他のMOSトランジスタに伝送することができる。その他のアセンブリには、リセットトランジスタ、電流源フォロワーまたは電流値をデジタル信号に変換するための行セレクター等が含まれることができる。CMOSパターンセンサー10には誘電体層が含まれてもよく、注意すべきこととして、この誘電体層には任意の適切な電気絶縁材料が含まれることができる。相互接続層74は誘電体層713に形成される金属配線714を含み、金属配線714は集積回路材料の内部の相互接続にも、外部との電気的接続にも使用できる。基板層75はシリコン基板711とCMOS処理回路層712を含み、CMOS処理回路層はシーケンシング操作に必要なCMOS回路を含む。例えば、CMOS処理回路層712は画像処理、信号処理、シーケンシング操作を実現するための制御機能及び外部通信のための回路を含むことができる。CMOS処理回路712は感光層73によって感知された感光信号を電気信号に処理し、相互接続シリコン貫通ビア720及びパッド719によって電気信号を外部機器に伝送する。
【0149】
当業者が認識すべきこととして、本発明において、CMOS画像センサーチップの構造のみを模式的に説明したが、この説明は限定的なものではなく、任意の構造の画像センサーチップはいずれも本発明に使用できる。
【0150】
次に、図35に示すようなCMOS画像センサーウェーハ7-10にアレイ式の「スポット」構造または「井」構造を有する遷移金属酸化物層を形成し、即ち以下のような図36A図36B及び図36Cのとおりである。
【0151】
図36A図35に示すようなCMOS画像センサーウェーハ7-10に「スポット」構造のパターン化された遷移金属酸化物層を形成した後のCMOSウェーハ構造7-20Aの断面図である。この図におけるプロセスステップは実施例1における図1のステップと同様であり、異なりは、この図におけるウェーハがCMOSウェーハであり、且つ「スポット」構造の遷移金属酸化物領域721がフォトダイオードアレイ716の上方に分布されることだけである。
【0152】
図36B図35に示すようなCMOS画像センサーウェーハ7-10に「井」構造のパターン化された遷移金属酸化物層を形成した後のCMOSウェーハ構造7-20Bの断面図である。この図におけるプロセスステップは実施例2における図6及び図7のステップと同様であり、異なりは、この図におけるウェーハがCMOSウェーハであり、且「井」構造の遷移金属酸化物領域724がフォトダイオードアレイ716の上方に分布されることだけである。
【0153】
図36Cは、図35に示すようなCMOS画像センサーウェーハ7-10に他の「井」構造のパターン化された遷移金属酸化物層を形成した後のCMOSウェーハ構造7-20Cの断面図である。図36Cにおけるプロセスステップは実施例3における図12及び図13のステップと同様であり、異なりは、この図におけるウェーハがCMOSウェーハであり、且つ「井」構造の遷移金属酸化物領域727がフォトダイオードアレイ716の上方に分布されることだけである。
【0154】
図37図36Aにおけるパターン化された遷移金属酸化物層を形成したCMOSウェーハ7-20A(上記図36A図36B図36Cの後続のプロセスと一致するため、後続の発明内容について、図36Aに示すようなパターン化ウェーハ構造のみを使用して説明する)に対してスライスプロセスを行った後に形成した切断溝731で仕切られる複数の単一のチップ7-30の断面図である。スライスプロセスは実施例1における図2のプロセスと同様である。
【0155】
図38図37に示すようなチップに対してチップ実装及びワイヤーボンディングを行った後に形成したチップ構造7-40の断面図である。図38はシーケンシングチップ組立プロセス中の最初の2つのステップであり、まず単一のチップをのりまたは接着剤でパッケージング基板741に貼り合わせる。パッケージング基板741はLGAパッケージング形態の基板であってもよく、基板の正面にチップと電気的に接続されるパッド742を有し、基板の裏面に外部機器に電気的に接続される接点743を有し、パッド742は接点743に基板の内部の配線によって一々対応する。次に、ワイヤーボンディングの方法によってチップ上のパッド719と基板上のパッド742を電気的に接続することによって、チップから伝送してきた電気信号をワイヤを介して基板に送信し、さらに基板と外部機器のインターフェースを介して外部機器に送信する。認識すべきこととして、本説明の基板はLGA形態を含むが、これに制限されなく、任意の適切なパッケージング基板の形態はいずれも本発明に適用でき、且つチップ実装プロセスに用いられるのりまたは接着剤は任意のパッケージングプロセスに用いられるのりまたは接着剤を含むが、これに制限されなく、ワイヤーボンディングプロセスにおける金属接続線も金線、アルミ線等を含むが、これらに制限されない。
【0156】
図39図38に示すようなチップ構造7-40に対してカバー構造貼り合わせを行った後に形成したシーケンシングチップ7-50の断面図である。この図では、流体通路753、液体の入出口752及び支持構造を含むカバー構造751はのりまたは接着剤でCMOS画像センサーチップ及び基板に貼り合われ、シーケンシングチップを形成する。流体通路753はパターン化された遷移金属酸化物層の上に形成され、且つ液体を一定の空間範囲内に限定することによって、液体が流体通路以外のパッド、ワイヤ等の他の通電領域に接触されることがない。認識すべきこととして、カバー751は任意の適切な材質(例えば、任意の色のPC、PEI、PEEK、PMMA等を含むが、これに制限されない)から任意の適切な加工方法(CNC、金型開き射出成形、3Dプリント等を含むが、これに制限されない)により加工することによって形成される。また、当業者が認識すべきこととして、基板741及びカバー751の物理構造は、この図に示すように、この図の機能を実現することができる任意の物理構造はいずれも本発明内に含まれる。
【0157】
図40図39に示すようなシーケンシングチップに対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ7-60の断面図である。この図における機能化処理プロセスは実施例1における図4のプロセスと同様である。
【0158】
図41A図40の機能化処理後のシーケンシングチップ7-60に対してDNBロードを行った後に形成した、DNBアレイを有するシーケンシングチップ7-70Aの断面図である。この図に示されるDNBロードプロセスは実施例1における図5のプロセスと同様であり、異なりは、この方法では、蛍光標識物で標識されたDNBは生物学的または化学的方法によって発光し、外部の励起光源を必要としないため、DNBアレイが生物学的または化学的方法によって発光された光は画像センサー上のフォトダイオードアレイによってキャプチャされ、処理回路によって電気信号に出力される。DNBアレイが異なる時間、異なるピクセル点(フォトダイオード)で発光する状況に応じて、DNBのアルカリ基の配布を識別することができる。
【0159】
図41Bは他のより簡潔な、表面機能化処理を必要としないDNBロード方法である。このロード方法は、上記図5Bに示す通りであり、上記図41Aの方式によってDNBの発光信号をDNB上のアルカリ基の配布情報に変換する。
【0160】
本実施例7において、遷移金属酸化物層と第2の酸化ケイ素層は第1の酸化ケイ素層を有する感光構造を含むCMOSウェーハに上記実施例と同様である3種の「スポット」または「井」構造を形成し、即ち、以下を含み、1.第1の酸化ケイ素層にアレイ式「スポット」構造の遷移金属酸化物層を形成し、DNBは遷移金属酸化物層の「スポット」構造にロードされ、2.第1の酸化ケイ素層に一層の遷移金属酸化物薄膜を形成し、遷移金属酸化物薄膜にアレイ式「井」構造を有する第2の酸化ケイ素層を形成し、DNBは第2の酸化ケイ素層「井」構造の底部にある遷移金属酸化物層にロードされ、3.第1の酸化ケイ素層にアレイ式「スポット」構造を有する遷移金属酸化物層を形成し、遷移金属酸化物層の上にアレイ式「井」構造を有する第2の酸化ケイ素層を形成し、DNBは「井」構造の酸化ケイ素層の底部にある遷移金属酸化物「スポット」構造にロードされる。この3種の「スポット」または「井」構造では、DNBによって放出された光信号が遷移金属酸化物、第1の酸化ケイ素層及びCMOSウェーハ上のARC層(抗反射層、通常は五酸化タンタル)、PIN層(通常は二酸化ハフニウム)を通過する必要があり、最終的にCMOSウェーハ上の感光構造によって収集され、このため、DNBによって放出された光がこれらの薄膜を通過した後に感光構造によって収集されることができる信号強度をシミュレーションした。PIN層とARC層の厚さはCMOSウェーハのプロセスによって決められ、通常は一定の値であり、PIN層の厚さは6ナノであり、ARC層の厚さは50ナノである。このため、上記3種の「スポット」または「井」構造では、第1の酸化ケイ素層、遷移金属酸化物層及び第2の酸化ケイ素層の厚さの変化が蛍光信号強度に与える影響をシミュレーションした。
【0161】
まず本実施例に記載の第1種の場合、即ち第1の酸化ケイ素層のみを有する場合での蛍光信号強度と第1の酸化層の厚さとの関係をシミュレーションした。シミュレーション結果は、図41Cに示すように、CMOSウェーハにおける感光構造によって収集された光信号強度が第1の酸化層の厚さの増加に伴って単調に減少する。従来の標準CMOSプロセスと互換性があり、及び対応する製品の信頼性を考慮するために、酸化層の厚さは150nmであることが好ましい。
【0162】
次に、第1の酸化ケイ素層の厚さが150ナノである場合、第1の酸化ケイ素層上のアレイ式「スポット」構造遷移金属酸化物層の厚さと蛍光信号強度との関係をシミュレーションした。シミュレーション結果は、図41Dに示すように、CMOSウェーハにおける感光構造によって収集された光信号強度が遷移金属酸化層の厚さに伴って変動する。プロセスの観点から、最適化された厚さは、40-50nmであることが好ましい。
【0163】
続いて、本実施例7における第2種の場合をシミュレーションし、第1の酸化ケイ素層の厚さが150ナノである場合、第1の酸化ケイ素層にさらに一層の遷移金属酸化物層薄膜を形成し、まずこの遷移金属酸化物層薄膜の厚さを決定するために、この厚さと蛍光信号強度との関係をシミュレーションした。シミュレーション結果は、図41Eに示すように、蛍光信号強度が遷移金属酸化物層薄膜の厚さの増加に伴って変動し、厚さが10~20ナノである場合、蛍光信号強度が最も大きいことである。
【0164】
続いて、このうえでさらに「井」構造の第2の酸化ケイ素層を形成する場合、第2の酸化ケイ素厚さと蛍光信号強度との関係をシミュレーションした。シミュレーション結果は、図41Fに示すように、遷移金属酸化物層の厚さが決定された後、この構造によって収集された光信号強度と第2の酸化層の厚さとの相関性を無視することができる。DNAシーケンシングを行う流体の需要を考慮すると、第2の酸化層の厚さが厚すぎるため、表面の構造が深くなり、流体のデッドゾーンが発生しやすくなり、シーケンシングの品質に影響を与える可能性がある。第2の酸化層の厚さが適切であると、シーケンシング対象のDNA基を有効領域に落とすためにより効果的であり、第2の酸化層の厚さは好ましくは50-100nmにすることができる。
【0165】
実施例8 他の再利用可能なシーケンシングチップのパッケージング方法
【0166】
本実施例において、新しいシーケンシングチップのパッケージング方法を提出し、このようなパッケージング方法のシーケンシングチップは特殊な処理プロセス後に再利用可能であり、シーケンシングチップのコストが大幅に削減される。
【0167】
まず半導体ウェーハに遷移金属酸化物「スポット」または「井」構造を有するパターン化アレイを形成する必要があり、このアレイ式パターン化された構造は上記実施例1~3における図1図7及び図13のウェーハ上の構造の一つであってもよく、本実施例において実施例1における図1の構造を例としてこのような再利用可能なシーケンシングチップの製造プロセス過程を説明し、本発明に含まれた他のシーケンシングチップ構造は同様なパッケージングプロセスを使用して再利用可能なシーケンシングチップを製造することもできる。
【0168】
図42は、実施例1における図1と同様なアレイ式「スポット」構造を有する遷移金属酸化物層のウェーハ構造8-10の断面図であり、酸化ケイ素層812は半導体ウェーハ基板811に形成され、「スポット」構造の遷移金属酸化物層813は酸化ケイ素層812の上に形成され、各ステッププロセス過程及び材料要求は実施例1における図1の説明と一致する。
【0169】
図43は、図42に示すようなウェーハ構造8-10に対してスライスプロセスを行った後に形成した複数の単一のチップ81と82を含むウェーハ構造8-20の断面図であり、スライスプロセスは実施例1における図2のプロセスと同様である。
【0170】
図44は、図43で形成された単一のチップ81または82を1つのハンドル構造831と組み立てた後に形成した再利用可能なシーケンシングチップ8-30の断面図である。ここで、ハンドル構造831は、ハンドル構造と単一のチップを固定してシーケンシングチップを形成することによって、ハンドル構造を利用してシーケンシングチップに対して掴み、移し等の操作を行うことができ、これにより、DNBのロード及びシーケンシングを行う役割を果たす。図44では、1つの「L」型のアームレスト構造のみを模式的に示し、当業者が認識すべきこととして、上記機能を実現できるアームレスト構造はいずれも本発明に含まれ、本発明においてアームレスト構造の数も制限されなく、複数のアームレスト構造と単一のチップをパッケージングすることができる。アームレスト構造の材料はDNBロード及びシーケンシング試薬と互換性があり、コストが低く、加工しやすく、且つ老化や摩損が発生しにくいプラスチックまたは金属を選択して使用することができ、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等の高分子プラスチック、またはアルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属を含むが、これらに制限されない。固体または液体のような接着剤を使用して単一のチップとアームレスト構造を接着することができ、DNBロード及びシーケンシング試薬に互換性がある任意の接着剤は本特許に適用できる。
【0171】
図45は、図44に示すような組み立てられたシーケンシングチップを試薬842を入れた容器841内に浸漬し、試薬842はチップの表面修飾、DNBロード及びシーケンシング過程における任意の試薬であってもよく、1回の表面修飾、DNBロード及びシーケンシング過程において、それぞれ異なる試薬842で満たされた複数の容器841を有することができ、シーケンシングチップのハンドル構造を掴むことによってシーケンシングチップを異なる容器と試薬との間で切り替え、これにより、異なる反応を行う。この図45では、シーケンシングチップ上のDNB結合部位領域(「スポット」構造遷移金属酸化物層)にDNBのロードを完成し、1つの励起光源及びカメラ843によってDNBによって放出された異なる波長及びエネルギーの光信号を収集することができ、これにより、シーケンシング操作を行う。
【0172】
1回の完全なシーケンシング操作を行った後、このパッケージング構造のシーケンシングチップを処理して再利用することができる。具体的な処理方法は以下のとおりである。
【0173】
シーケンシングの終了後のシーケンシングチップを前処理し、ハンドル構造を取り外し、チップ全体を完全に外部に露出させる。続いて、チップをSC1洗浄液(Slide Clean 1、Tritonを含む50mMの水酸化カリウム溶液)に10分間浸漬し、その後取り出して、脱イオン水でチップの表面を3回以上繰り返し洗浄し、チップを窒素の気流に置いて完全に乾燥させる。
【0174】
以上のようなSC1洗浄液の代わりに、SC2洗浄液を使用してもよく、具体的な操作ステップは以下のとおりであり、シーケンシングの終了後のシーケンシングチップからハンドル構造を取り外し、SC2洗浄液(Slide Clean 2、アンモニアと過酸化水素を一定の割合で混合して使用する)に置かれる。洗浄液を80度に加熱して5分間放置し、その後、チップを取り出して、脱イオン水でチップを3回以上繰り返し洗浄し、チップを窒素の気流に置いて完全に乾燥させる。
【0175】
以上のような洗浄液の洗浄法の代わりに、プラズマ乾燥処理法を使用してもよく、シーケンシングの終了後のシーケンシングチップをアルゴンプラズマ雰囲気に30分間置いて、取り出した後に脱イオン水で洗浄して塵を除去し、チップを窒素の気流に置いて完全に乾燥させる。
【0176】
実施例9 チップの表面を修飾せず、ロード条件を変更することによってマイクロアレイを形成する
【0177】
シリカ表面を使用して非結合部位領域をシミュレートし、二酸化チタン、五酸化タンタル表面の遷移金属酸化物を使用して結合部位領域をシミュレートする。プラズマ洗浄機を使用して3種の表面を洗浄し、続いてエタノールでさらに洗浄する。条件が最適化されたDNB溶液(溶液pH及び表面活性剤の含有量を変更)(160BP, 10ng/uL)を使用してチップの表面にDNBローディングを行い、DNBローディングが完成された後にcy3色素でDNBを蛍光標識し、続いて蛍光顕微鏡を使用してチップの表面を分析し、結果は、図46に示す通りであり、輝点はローディングされたDNBであり、黒い線は非機能領域がより集中している領域であり、機能領域の密度が低い(DNBを吸着しない)。このチップを前述の組み立て方法に従ってシーケンシングチップに製造し、Zebraプラットフォームでのオンマシンシーケンシング結果は、図47に示す通りであり、新規遷移金属酸化物アレイチップを使用してDNBローディングを行うローディング成功率(GRR値)は現在に使用されている従来のプロセスによって製造されるチップのローディング成功率より高い。
【0178】
結論:金属酸化物とシリカ表面の性質が異なるため、DNB溶液のpH及び表面活性剤等の成分を変更することによって、チップの表面の機能領域にDNBが選択的に吸着されることができる。
【0179】
実施例10 遷移金属酸化物格子付きのシリコン結晶による選択的な機能化後のDNB吸着効果の検出
【0180】
遷移金属酸化物格子付きのシリコン結晶チップをプラズマ洗浄機、エタノールで洗浄した後に10mMのアミノエチルホスホン酸溶液に置き、24時間浸漬した後に取り出して、エタノール、水を使用して表面を洗浄する。X線光電子分光計を使用して3種の表面を元素分析し、結果から示すように、アミノ化前後のシリカ表面にはリン元素の成分が含まれないが、二酸化チタン、五酸化タンタルの表面のリン元素原子は濃度がアミノ化前の0から2%まで上昇する。シーケンシングと同様なDNB溶液(160BP,10ng/uL)を使用してチップの表面にDNBローディングを行い、DNBローディングが完成された後にcy3色素でDNBを蛍光標識し、続いて蛍光顕微鏡を使用してチップの表面を分析し、結果は、図48に示すとおりである。図48から見るように、アミノ基ホスホン酸修飾後の遷移金属酸化物がDNBに対して良好な吸着効果を有すると同時に、シリカ非結合領域(図では黒い線)がDNBに対する吸着は大幅に限られる。
【0181】
ここで、遷移金属酸化物格子付きのシリコン結晶チップは、工場で使用されるシリカ結晶の表面を酸化した後、ALDを使用して遷移金属酸化物格子をコーティングすることによって製造される。
【0182】
結論:シリカ表面には任意のアミノ基ホスホン酸成分がなく、二酸化チタン、五酸化タンタル表面にはいずれもアミノ基ホスホン酸成分を検出することができ、ホスホン酸反応の選択性を示すことができる。修飾後の表面は遷移金属酸化物領域を選択的にアミノ化してチップの表面の機能領域がDNBに対する特異的吸着の効果を実現することができる。
【0183】
実施例11 ポリエチレングリコールを含むコポリマーによる非機能領域のさらなる修飾の効果の検出
【0184】
本実施例は、特にカスタマイズされたチップを使用して、チップ上の遷移金属酸化物領域のサイズは200ミクロンであり、間隔が500ミクロンである。チップを実施例9と同様に洗浄し、アミノ基ホスホン酸修飾処理後、10mg/mLのポリエチレンイミン-ポリエチレングリコール(PEI-PEG)コポリマー水溶液に10分間浸漬し、純水で洗浄する。シーケンシングと同様なDNB溶液(160BP,10ng/uL)を使用してチップの表面にDNBローディングを行い、DNBローディングが完成された後にcy3色素でDNBを蛍光標識し、続いて蛍光顕微鏡を使用してチップの表面を分析し、結果は、図49に示す通りである。図49から見るように、コポリマーでシリカ非結合領域を処理した後、表面の非特異的吸着がさらに低下する。
【0185】
結論:ポリエチレングリコールを含むコポリマーを使用することによってチップの表面の非機能領域がDNB及び不純物に対する吸着をさらに低下させることができる。
【0186】
実施例12 ポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤による非機能領域のさらなる修飾の効果の検出
【0187】
遷移金属酸化物格子付きのシリコン結晶チップをプラズマ洗浄機、エタノールで洗浄した後にアレンドロン酸とポリエチレングリコール改質のシランカップリング剤溶液に置き、一定の時間反応した後に取り出し、エタノールと水で洗浄する。シーケンシングと同様なDNB溶液(160 BP,10ng/uL)を使用してチップの表面にDNBローディングを行い、DNBローディングが完成された後にcy3色素でDNBを蛍光標識し、続いて蛍光顕微鏡を使用してチップの表面を分析し、図50に示すとおりである。
【0188】
結論:ポリエチレングリコールを含むシランカップリング剤を使用することによってシリカ表面非機能領域がDNB及び不純物に対する吸着をさらに低下させることができる。
【0189】
実施例13 ポリホスホン酸ポリマーを使用してチップの表面にDNAナノボールのポリマー膜を固定する方法
【0190】
まずDNAナノボールを実施例1~9の方法で遷移金属酸化物アレイチップに組み立て、2mg/mLのポリ(ビニルホスホン酸)ナトリウム塩(Mw 200,000)のPBS溶液を注入し、10min静置した後にPBS緩衝液を注入して余分なポリ(ビニルホスホン酸)ナトリウム塩を除去し、これまでチップでのDNAナノボールの固定を完成し、後続でハイブリダイゼーションプライマーを介して、蛍光dNTPを加えてDNAシーケンシングを実現する。図51は本例ではポリマーを使用してDNAナノボールを固定する原理図である。まずDNAナノボールを従来の方法で遷移金属酸化物のチップの表面に組み立て、ポリ(ビニルホスホン酸)ナトリウム塩はホスホン酸と遷移金属との化学反応によって、DNAナノボールをチップの表面に固定する。図52は、シーケンシング過程におけるポリマーで固定されたDNAナノボールの安定性の表現を示す。これから分かるように、DNAナノボールはシーケンシング過程において簡単に洗い流されず、安定性がより高い。
【0191】
実施例14 従来のタンパク質フィルムを使用してチップの表面にDNAナノボールのポリマー膜を固定する方法
【0192】
まずDNAナノボールを実施例1~9の方法で遷移金属酸化物アレイチップに組み立て、そして、2mg/mLのウシ血清タンパクのPBS溶液を注入し、10min静置した後PBS緩衝液を注入して余分なウシ血清タンパクを除去し、アルコールを注入してウシ血清タンパクを変性し、PSBを注入してチップにおけるアルコールをきれいに洗い流し、これまで、DNAナノボールがチップでの固定を完成し、後続で、ハイブリダイゼーションプライマーを介して、蛍光dNTPを加えてDNAシーケンシングを実現する。図53は、シーケンシング過程におけるタンパク質フィルムで固定されたDNAナノボールの安定性の表現を示す。タンパク質フィルムで固定されたDNAナノボールは、シーケンシング過程における安定性が悪い。
【0193】
本発明では、特に明確に指定および制限されていない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」または「下」に位置するのは、第1及び第2の特徴の直接接触、または第1及び第2の特徴の中間媒体による間接接触であってもよい。また、第1の特徴が第2の特徴「の上」、「上方」及び「上面」に位置するのは、第1の特徴が第2の特徴の真上または斜め上に位置することができることであってもよく、第1の特徴の水平高さが第2の特徴より高いことのみを示す。第1の特徴が第2の特徴「の下」、「下方」及び「下面」に位置するのは、第1の特徴が第2の特徴の真下または斜め下に位置することができることであってもよく、第1の特徴の水平高さが第2の特徴より小さいことのみを示す。
【0194】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」という参照用語などの説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明した具体的な特徴、構造、材料又は特点が本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれる。本明細書において、上記の用語の例示的な叙述は必ずしも同じ実施例又は例を指す必要がない。さらに、説明される具体的な特徴、構造、材料又は特点は任意の1つ又は複数の実施例又は例において適切な方式で結合することができる。なお、矛盾がない場合、当業者は、本明細書に記載されている異なる実施例又は例及び異なる実施例又は例の特徴を結合及び組み合わせることができる。
【0195】
本発明の実施例を以上で示し、説明したが、理解できるものとして、上記実施例は例示的なものであり、本発明を限定するものとして理解されるべきではなく、当業者は、本発明の範囲内で上記実施例に対して変化、修正、置換及び変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0196】
1-10 ウェーハ構造、
11、12 ウェーハ上の単一のチップ、
111 ウェーハ基板構造、
112 酸化ケイ素層、
113 パターン化された遷移金属酸化物層(即ち遷移金属酸化物「スポット」)、
1-20 複数の単一のウェーハ構造、
121 切断溝、
1-30 単一のチップを組み立てたシーケンシングチップ、
131 フレーム構造、
132 カバーガラス、
133 液体の入出口、
134 流体通路、
1-40 機能化表面修飾後に形成したシーケンシングチップ、
141 アミノ基、
142 ポリエチレングリコール分子層、
1-50A DNBロード後に形成したDNBアレイを含むシーケンシングチップ、
1-50B シーケンシングチップにDNBアレイを形成したシーケンシングチップ、
151 DNBサンプル、
152 光源とカメラ、
2-10 ベアウェーハに一層の酸化ケイ素層及び遷移金属酸化物層を形成した後のウェーハ構造、
21、22 単一のチップ、
211 ウェーハ基板、
212 酸化ケイ素層、
213 遷移金属酸化物層、
2-20 遷移金属酸化物層を含むウェーハにパターン化された「井」構造の酸化ケイ素層を形成した後のウェーハ、
221 酸化ケイ素層、
222 離散的に配布されるアレイ式「井」構造、
2-30 ウェーハ構造に対してスライスプロセスを行った後に形成した複数の単一のチップ、
231 切断溝、
2-40 単一のチップを組み立てることによって形成したシーケンシングチップ、
241 フレーム、
242 カバーガラス、
243 液体の入出口、
244 流体通路、
2-50 表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ、
251 酸化ケイ素層、
252 遷移金属酸化物層、
2-60A シーケンシングチップにDNBロードを行った後に形成した、DNBアレイを有するシーケンシングチップ、
2-60B シーケンシングチップにDNBアレイを形成したシーケンシングチップ、
261 DNB、
262 励起光源及びカメラ構造、
3-10 パターン化された遷移金属酸化物層を含むウェーハ構造、
31、32 単一のチップ、
311 ウェーハ、
312 酸化ケイ素層、
313 遷移金属酸化物層、
3-20 パターン化された遷移金属酸化物層を含むウェーハに、さらにパターン化された「井」構造を有する酸化ケイ素層を形成した後のウェーハ構造、
321 酸化ケイ素層、
322 酸化ケイ素層上の「井」構造、
3-30 ウェーハ構造に対してスライスプロセスを行った後に形成した切断溝で仕切られる複数の単一のチップ、
331 切断溝、
3-40 単一のチップに対して組立プロセスを行った後に形成したシーケンシングチップ、
341 フレーム、
342 カバーガラス、
343 液体の入出口、
344 流体通路、
3-50 シーケンシングチップに対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ、
351 酸化ケイ素層、
352 遷移金属酸化物層、
3-60A 表面機能化処理後のシーケンシングチップに対してDNBロードプロセスを行った後に形成したDNBアレイを有するシーケンシングチップ、
361 DNB、
362 励起光源及びカメラ構造、
3-60B シーケンシングチップにDNBアレイを形成したシーケンシングチップ、
4-10 酸化ケイ素層を有する石英ウェーハにパターン化された遷移金属酸化物層を形成したウェーハ構造、
41、42 ウェーハ上の単一のチップ、
411 石英ウェーハ、
412 酸化ケイ素層、
413 パターン化された遷移金属酸化物層、
4-20 ウェーハにスライスプロセスを行った後、形成した切断溝で仕切られる複数の単一のチップ、
421 切断溝、
4-30 単一のチップに対してパッケージングプロセスを行った後に形成したシーケンシングチップ、
431 フレーム、
432 液体の入出口、
433 流体通路、
4-40 シーケンシングチップに対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ、
441 酸化ケイ素層、
442 遷移金属酸化物層、
4-50A 機能化修飾処理後のシーケンシングチップに対してDNBロードを行った後に形成した、DNBアレイを有するシーケンシングチップ、
4-50B シーケンシングチップにDNBアレイを形成したシーケンシングチップ、
451 DNB、
452 励起光源とカメラ、
5-10 ベアウェーハに一層の酸化ケイ素層及び遷移金属酸化物層を形成した後のウェーハ構造、
51、52 ウェーハ上の単一のチップ、
511 ウェーハ基板構造、
512 酸化ケイ素層、
513 パターン化された遷移金属酸化物層、
5-20 遷移金属酸化物層を含むウェーハにパターン化された「井」構造の酸化ケイ素層を形成した後のウェーハ、
521 酸化ケイ素層、
522 遷移金属酸化物層、
5-30 ウェーハ構造に対してスライスプロセスを行った後に形成した複数の単一のチップ、
531 切断溝、
5-40 単一のチップに対して組立プロセスを行った後に形成したシーケンシングチップ、
541 フレーム、
542 液体の入出口、
5-50 シーケンシングチップに対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ、
551 酸化ケイ素層、
552 遷移金属酸化物層、
5-60A 機能化修飾処理後のシーケンシングチップに対してDNBロードを行った後に形成した、DNBアレイを有するシーケンシングチップ、
5-60B シーケンシングチップにDNBアレイを形成したシーケンシングチップ、
561 DNB、
562 励起光源及びカメラ、
6-10 パターン化された遷移金属酸化物層を含むウェーハ構造、
61、62 ウェーハ上の単一のチップ、
611 ウェーハ、
612 酸化ケイ素層、
613 遷移金属酸化物層、
6-20 パターン化された遷移金属酸化物層を含むウェーハに、さらにパターン化された「井」構造を有する酸化ケイ素層を形成した後のウェーハ構造、
621 酸化ケイ素層、
622 酸化ケイ素層上の「井」構造、
6-30 ウェーハ構造に対してスライスプロセスを行った後に形成した切断溝で仕切られる複数の単一のチップ、
631 切断溝、
6-40 単一のチップに対してパッケージングプロセスを行った後に形成したシーケンシングチップ、
641 フレーム、
642 液体の入出口、
6-50 シーケンシングチップに対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ、
651 酸化ケイ素層、
652 遷移金属酸化物層、
6-60A 機能化修飾処理後のシーケンシングチップに対してDNBロードを行った後に形成した、DNBアレイを有するシーケンシングチップ、
6-60B シーケンシングチップにDNBアレイを形成したシーケンシングチップ、
661 DNB、
662 励起光源及びカメラ、
7-10 CMOS画像センサーウェーハ、
71と72 2つのチップ、
73 感光層、
74 相互接続層、
75 基板層、
711 シリコン基板、
712 CMOS処理回路層、
713 誘電体層、
714 金属配線、
715 半導体材料、
716 感光部分、
717 誘電体薄膜層、
718 酸化ケイ素層、
719 チップ上のパッド、
720 相互接続シリコン貫通ビア、
7-20A CMOS画像センサーウェーハに「スポット」構造のパターン化された遷移金属酸化物層を形成した後のCMOSウェーハ構造、
721 遷移金属酸化物領域、
7-20B CMOS画像センサーウェーハに「井」構造のパターン化された遷移金属酸化物層を形成した後のCMOSウェーハ構造、
722 遷移金属酸化物領域、
723 酸化ケイ素領域、
724 「井」構造の遷移金属酸化物領域、
7-20C CMOS画像センサーウェーハに他の「井」構造のパターン化された遷移金属酸化物層を形成した後のCMOSウェーハ構造、
725 遷移金属酸化物領域、
726 酸化ケイ素領域、
727 遷移金属酸化物領域、
7-30 パターン化されたウェーハ構造に対してスライスプロセスを行った後に形成した切断溝で仕切られる複数の単一のチップ、
731 切断溝、
7-40 チップに対してチップ実装及びワイヤーボンディングを行った後に形成したチップ構造、
741 パッケージング基板、
742 基板上のパッド、
743 接点、
744 金属接続線、
7-50 チップ構造に対してカバー構造貼り合わせを行った後に形成したシーケンシングチップ、
751 支持構造のカバー構造、
752 液体の入出口、
753 流体通路、
7-60 シーケンシングチップに対して表面機能化修飾処理を行った後に形成したシーケンシングチップ、
761 遷移金属酸化物領域、
762 酸化ケイ素領域、
7-70A 機能化処理後のシーケンシングチップに対してDNBロードを行った後に形成した、DNBアレイを有するシーケンシングチップ、
7-70B シーケンシングチップにDNBアレイを形成したシーケンシングチップ、
771 DNB、
8-10 アレイ式「スポット」構造を有する遷移金属酸化物層のウェーハ構造、
81、82 ウェーハ上の単一のチップ、
811 ウェーハ基板、
812 酸化ケイ素層、
813 「スポット」構造の遷移金属酸化物層、
81、82 複数の単一のチップ、
8-20 ウェーハ構造に対してスライスプロセスを行った後に複数の単一のチップを形成したウェーハ構造、
821 切断線、
8-30 単一のチップと1つのハンドル構造を組み立てた後に形成した再利用可能なシーケンシングチップ、
831 ハンドル構造、
8-40 組み立てられたシーケンシングチップを試薬を入れた容器に浸漬するシーケンシングチップ、
841 容器、
842 試薬、
843 励起光源及びカメラ。
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