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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】現像剤補給容器
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240603BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
G03G15/08 343
G03G21/16 176
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023020901
(22)【出願日】2023-02-14
(62)【分割の表示】P 2022002947の分割
【原出願日】2017-09-21
(65)【公開番号】P2023053307
(43)【公開日】2023-04-12
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沖野 礼知
(72)【発明者】
【氏名】片山 弘雅
(72)【発明者】
【氏名】四方田 伸之
(72)【発明者】
【氏名】山岡 将人
(72)【発明者】
【氏名】嘉村 彰人
(72)【発明者】
【氏名】片山 晃司
(72)【発明者】
【氏名】峰 司
(72)【発明者】
【氏名】村上 雄也
(72)【発明者】
【氏名】磯部 敬介
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 祥悟
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-015826(JP,A)
【文献】特開2016-199234(JP,A)
【文献】特開2001-222158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を受入れる受入れ口が形成された現像剤受入れ部と、前記現像剤受入れ部と一体的に変位可能な被係合部と、を有する現像剤受入れ装置に着脱可能な現像剤補給容器において、
回転可能であり、現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤収容部に連通し、前記現像剤収容部に収容された現像剤を排出する排出口が底面に形成された排出部と、
前記現像剤収容部の回転軸線方向と交差する方向に延びる回転軸線を中心に前記排出部に対して回転可能な回転部と、を備え、
前記回転部は、前記被係合部が係合する係合部を有し、
前記現像剤補給容器の現像剤受入れ装置に対する装着動作に伴って、前記被係合部が前記係合部に係合し、前記被係合部が前記係合部に係合した状態において前記現像剤受入れ部が前記現像剤補給容器に向けて変位するように前記回転部が前記排出部に対して回転し、
前記回転部は、アーム状の形状を為しており、
前記回転部の第1の回転方向への回転止めとなる第1の回転止め部と、
前記回転部の前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向への回転止めとなる第2の回転止め部と、
前記回転部を前記第1の回転止め部に付勢させる弾性部材と、を備える、
ことを特徴とする現像剤補給容器。
【請求項2】
前記現像剤補給容器が前記現像剤受入れ装置に装着されていない状態において、前記回転部は前記弾性部材からの付勢力を受けて前記第1の回転止め部に当接し、
前記現像剤補給容器が前記現像剤受入れ装置に装着されて前記排出口と前記受入れ口とが連通した状態において、前記回転部は前記弾性部材からの付勢力に抗する付勢力を前記被係合部から受けて前記第2の回転止め部に当接する、
ことを特徴とする請求項1に記載の現像剤補給容器。
【請求項3】
現像剤を受入れる受入れ口が形成された現像剤受入れ部と、前記現像剤受入れ部と一体的に変位可能な被係合部と、を有する現像剤受入れ装置に着脱可能な現像剤補給容器において、
回転可能であり、現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤収容部に連通し、前記現像剤収容部に収容された現像剤を排出する排出口が底面に形成された排出部と、
前記現像剤収容部の回転軸線方向と交差する方向に延びる回転軸線を中心に前記排出部に対して回転可能な回転部と、を備え、
前記回転部は、前記被係合部が係合する係合部を有し、
前記現像剤補給容器の現像剤受入れ装置に対する装着動作に伴って、前記被係合部が前記係合部に係合し、前記被係合部が前記係合部に係合した状態において前記現像剤受入れ部が前記現像剤補給容器に向けて変位するように前記回転部が前記排出部に対して回転し、
前記回転部は、複数の前記係合部を有する歯車状の形状を為している、
ことを特徴とする現像剤補給容器。
【請求項4】
前記回転部は、前記現像剤収容部の回転軸線方向と上下方向に交差する幅方向において、前記排出部の両側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像剤補給容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤受入れ装置に着脱可能な現像剤補給容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機などの電子写真方式の画像形成装置には微粉末のトナーなどの現像剤が使用されている。このような画像形成装置においては、画像形成によって消費されてしまう現像剤を、現像剤補給容器から補う構成となっている。
【0003】
例えば、現像剤補給容器が画像形成装置内に設けられた現像剤受入れ装置に着脱可能であって、現像剤補給容器の装着動作に伴って、現像剤受入れ装置の現像剤受入れ部を現像剤補給容器の排出口に向けて変位させる構成が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-015826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、現像剤補給容器を装着する際の操作力を軽減して操作性を向上することができる現像剤補給容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の現像剤補給容器は、現像剤を受入れる受入れ口が形成された現像剤受入れ部と、前記現像剤受入れ部と一体的に変位可能な被係合部と、を有する現像剤受入れ装置に着脱可能な現像剤補給容器において、回転可能であり、現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤収容部に連通し、前記現像剤収容部に収容された現像剤を排出する排出口が底面に形成された排出部と、前記現像剤収容部の回転軸線方向と交差する方向に延びる回転軸線を中心に前記排出部に対して回転可能な回転部と、を備え、前記回転部は、前記被係合部が係合する係合部を有し、前記現像剤補給容器の現像剤受入れ装置に対する装着動作に伴って、前記被係合部が前記係合部に係合し、前記被係合部が前記係合部に係合した状態において前記現像剤受入れ部が前記現像剤補給容器に向けて変位するように前記回転部が前記排出部に対して回転し、前記回転部は、アーム状の形状を為しており、前記回転部の第1の回転方向への回転止めとなる第1の回転止め部と、前記回転部の前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向への回転止めとなる第2の回転止め部と、前記回転部を前記第1の回転止め部に付勢させる弾性部材と、を備えることを特徴とする、
また、本発明の現像剤補給容器は、現像剤を受入れる受入れ口が形成された現像剤受入れ部と、前記現像剤受入れ部と一体的に変位可能な被係合部と、を有する現像剤受入れ装置に着脱可能な現像剤補給容器において、回転可能であり、現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤収容部に連通し、前記現像剤収容部に収容された現像剤を排出する排出口が底面に形成された排出部と、前記現像剤収容部の回転軸線方向と交差する方向に延びる回転軸線を中心に前記排出部に対して回転可能な回転部と、を備え、前記回転部は、前記被係合部が係合する係合部を有し、前記現像剤補給容器の現像剤受入れ装置に対する装着動作に伴って、前記被係合部が前記係合部に係合し、前記被係合部が前記係合部に係合した状態において前記現像剤受入れ部が前記現像剤補給容器に向けて変位するように前記回転部が前記排出部に対して回転し、前記回転部は、複数の前記係合部を有する歯車状の形状を為していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現像剤補給容器を装着する際の操作力を軽減して操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
図2】第1の実施形態に係る画像形成装置の斜視図。
図3】第1の実施形態に係る現像剤受入れ装置の、(a)斜視図、(b)断面図。
図4】第1の実施形態に係る現像剤受入れ装置の、(a)部分拡大斜視図、(b)部分拡大断面図、(c)現像剤受入れ部の斜視図。
図5】第1の実施形態に係る現像剤補給容器の、(a)一部を切断して示す斜視図、(b)フランジ部周辺の断面図、(c)正面から見た正面図。
図6】第1の実施形態に係る現像剤補給容器の容器本体の斜視図。
図7】第1の実施形態に係るフランジ部の、(a)斜視図、(b)底面図。
図8】第1の実施形態に係る係合部において、(a)現像剤補給容器の挿入が開始された時の側面図、(b)現像剤補給容器の挿入に伴い、被係合部が保持部に保持された時の側面図。
図9】第1の実施形態に係る係合部において、(a)係合部が第2の位置に位置した時の側面図、(b)現像剤補給容器の装着完了に伴い、被係合部が延長部に位置した時の側面図。
図10】現像剤補給容器の装着動作時に現像剤受入れ部に作用する力を説明するための模式図であり、(a)は比較例、(b)は第1の実施形態。
図11】(a)比較例の傾斜角度と係数Aとの関係を示すグラフ、(b)水平方向の移動距離と操作力Fとの関係を示すグラフ、(c)第1の実施形態の傾斜角度と係数Aとの関係を示すグラフ。
図12】第1の実施形態に係るシャッタの、(a)上面図、(b)斜視図。
図13】第1の実施形態に係るポンプの、(a)斜視図、(b)側面図。
図14】第1の実施形態に係る往復部材の、(a)斜視図、(b)(a)の反対側から見た斜視図。
図15】第1の実施形態に係るカバーの、(a)斜視図、(b)(a)の反対側から見た斜視図。
図16】第2の実施形態に係るフランジ部の、(a)斜視図、(b)底面図。
図17】第2の実施形態に係る係合部において、(a)現像剤補給容器の挿入が開始された時の側面図、(b)現像剤補給容器の挿入に伴い、被係合部が保持部に保持された時の側面図。
図18】第2の実施形態に係る係合部において、(a)被係合部が係合部の上部に位置した時の側面図、(b)現像剤補給容器の装着完了に伴い、被係合部が延長部に位置した時の側面図。
図19】現像剤補給容器の装着動作時に現像剤受入れ部に作用する力を説明するための模式図であり、(a)は比較例、(b)は第2の実施形態。
図20】角度θ、αと係数A、Bとの関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を、図1図15(b)を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1及び図2を用いて説明する。
【0011】
[画像形成装置]
図1において、画像形成装置100は、装置本体100aの上部に原稿読取装置103を有する。原稿101は、原稿台ガラス102の上に置かれる。そして、原稿101の画像情報に応じた光像を原稿読取装置103の複数のミラーMとレンズLnとにより、像担持体としての円筒状の感光体である感光ドラム104上に結像させることにより静電潜像を形成する。この静電潜像は乾式の現像器(一成分現像器)201により現像剤(乾式粉体)としてのトナー(一成分磁性トナー)を用いて可視化される。尚、本実施形態では、現像剤補給容器1(トナーカートリッジとも呼ぶ)から補給すべき現像剤として一成分磁性トナーを用いた例について説明するが、このような例だけではなく、後述するような構成としても構わない。
【0012】
具体的には、一成分非磁性トナーを用いて現像を行う一成分現像器を用いる場合、現像剤として一成分非磁性トナーを補給することになる。また、磁性キャリアと非磁性トナーを混合した二成分現像剤を用いて現像を行う二成分現像器を用いる場合、現像剤として非磁性トナーを補給することになる。尚、この場合、現像剤として非磁性トナーと共に磁性キャリアも併せて補給する構成としても構わない。
【0013】
図1に示す現像器201は、上述したように、原稿101の画像情報に基づいて感光ドラム104上に形成された静電潜像を、現像剤としてトナーを用いて現像するものである。また、現像器201には、現像剤補給システム200が接続されており、現像剤補給システム200は、現像剤補給容器1と、現像剤補給容器1が着脱可能な現像剤受入れ装置8とを有する。現像剤補給システム200については後述する。
【0014】
現像器201は、現像剤ホッパ部201aの他に、現像ローラ201fが設けられている。この現像剤ホッパ部201aには、現像剤補給容器1から補給された現像剤を撹拌するための撹拌部材201cが設けられている。そして、この撹拌部材201cにより撹拌された現像剤は、搬送部材201dにより搬送部材201e側へと送られる。そして、搬送部材201e、201bにより順に搬送されてきた現像剤は、現像ローラ201fに担持され、最終的に感光ドラム104との現像部へと供給される。本実施形態では、一成分現像剤を用いているため、現像剤補給容器1から現像剤としてのトナーを、現像器201へ補給する構成としている。但し、二成分現像剤を用いる場合、現像剤補給容器1から現像剤としてのトナー及びキャリアを補給する構成としても構わない。
【0015】
カセット105~108は、それぞれシートなどの記録材Sを収容する。画像形成時には、これらカセット105~108のうち、画像形成装置100の操作部100d(図2参照)から操作者(ユーザ)が入力した情報もしくは原稿101のサイズを基に最適な記録材Sを収容したカセットが選択される。ここで記録材Sとしては用紙に限定されずに、例えばOHPシート等適宜使用及び選択できる。そして、給送分離装置105A~108Aにより搬送された1枚の記録材Sを、搬送部109を経由してレジストレーションローラ110まで搬送し、感光ドラム104の回転と、原稿読取装置103のスキャンのタイミングを同期させて搬送する。
【0016】
レジストレーションローラ110の記録材搬送方向下流側で、感光ドラム104と対向する位置には、転写帯電器111及び分離帯電器112が設けられている。レジストレーションローラ110により搬送された記録材Sは、転写帯電器111によって、感光ドラム104上に形成された現像剤による画像(トナー画像)が転写される。そして、トナー画像が転写された記録材Sは、分離帯電器112によって感光ドラム104から分離される。この後、搬送部113により搬送された記録材Sは、定着部114において熱と圧力が加えられ、記録材上にトナー像が定着される。その後、トナー像を定着した記録材Sは、片面コピーの場合には、排出反転部115を通過し、排出ローラ116により排出トレイ117へ排出される。
【0017】
他方、両面コピーの場合には、記録材Sは、排出反転部115を通り、一度、排出ローラ116により一部が装置外へ排出される。そして、この後、記録材Sの終端が切換部材118を通過し、排出ローラ116にまだ挟持されているタイミングで切換部材118の位置を切り換えると共に排出ローラ116を逆回転させることにより、記録材Sは、再度、装置内へ搬送される。さらに、この後、記録材Sは、再給送搬送部119,120を経由してレジストレーションローラ110まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排出トレイ117へ排出される。
【0018】
上記構成の画像形成装置100において、感光ドラム104の周りには現像器201、クリーナ部202、一次帯電器203等の画像形成プロセス機器が設置されている。尚、現像器201は、原稿読取装置103により読み取った原稿101の画像情報などに基づき感光ドラム104に形成された静電潜像に現像剤を付着させることにより、静電潜像を現像するものである。また、一次帯電器203は、感光ドラム104上に所望の静電潜像を形成するために感光ドラム表面を一様に帯電するためのものである。また、クリーナ部202は感光ドラム104に残留している現像剤を除去するためのものである。
【0019】
図2に示すように、画像形成装置100の装置本体100aの外装カバーの一部である交換用カバー40を操作者が開けると、後述する現像剤受入れ装置8の一部が現れる。そして、この現像剤受入れ装置8に現像剤補給容器1を挿入することで、現像剤補給容器1は、現像剤受入れ装置8へ現像剤を補給可能な状態に装着される。他方、操作者が現像剤補給容器1を交換する際は、装着動作とは逆の動作を行って現像剤受入れ装置8から現像剤補給容器1を離脱した後に、新たな現像剤補給容器1を装着する。尚、交換用カバー40は、現像剤補給容器1を着脱(交換)するための専用カバーであって、現像剤補給容器1を着脱するためだけに開閉される。他方、画像形成装置100のメンテナンスは、前面カバー100cを開閉することにより行われる。ここで、交換用カバー40と前面カバー100cとは一体であってもよく、その場合、現像剤補給容器1の交換や、画像形成装置100のメンテナンスは一体化されたカバー(不図示)を開閉することにより行われる。
【0020】
[現像剤受入れ装置]
次に、現像剤補給システム200を構成する現像剤受入れ装置8について、図3(a)~図4(c)を用いて説明する。現像剤受入れ装置8には、図3(a)に示すように、現像剤補給容器1が着脱自在に装着される装着部(装着スペース)8fが設けられている。装着部8fには、現像剤補給容器1を着脱方向に案内するための挿入ガイド8eが設けられている。本実施形態の場合、挿入ガイド8eによる現像剤補給容器1の装着方向Aに対し、現像剤補給容器1の離脱方向Bが逆方向となるように構成されている。
【0021】
図3(a)~図4(a)に示すように、現像剤受入れ装置8は、現像剤補給容器1を駆動する駆動機構として機能する駆動ギヤ9を有している。この駆動ギヤ9は、駆動モータ500から駆動ギヤ列(不図示)を介して回転駆動力が伝達され、装着部8fに装着された状態にある現像剤補給容器1に対し回転駆動力を付与する機能を有している。駆動モータ500は、制御装置600によりその動作を制御される構成となっている。
【0022】
制御装置600は、駆動モータ500の制御の他、画像形成装置100の全体の制御を行う。このような制御装置600は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
【0023】
現像剤受入れ装置8の装着部8fには、現像剤補給容器1から排出された現像剤を受入れるための現像剤受入れ部11が設けられている。現像剤受入れ部11は、現像剤補給容器1の装着時に現像剤補給容器1の容器排出口3a4と接続され、容器排出口3a4から排出される現像剤を受け入れる受入れ口11aを有する。現像剤受入れ部11は、受入れ口11aが容器排出口3a4に対して遠近動する方向に、本実施形態では現像剤補給容器1の装着方向Aに交差する方向(具体的には、現像剤受入れ装置8に対して鉛直方向)に移動可能(変位可能)に取り付けられている。現像剤受入れ部11は、現像剤受入れ装置8に対し、現像剤受入れ装置8の壁面8hに沿って鉛直方向に移動可能(変位可能)に取り付けられている(図8(a)~図9(b)参照)。本実施形態の場合、図3(b)に示すように、現像剤受入れ部11は、例えば、圧縮コイルばねからなる付勢部材12により受入れ口11aが容器排出口3a4から遠ざかる方向(鉛直方向下方、変位方向と逆方向)に付勢されている。それ故、現像剤受入れ部11は、受入れ口11aが容器排出口3a4に近づく方向(鉛直方向上方)へ移動する際に、付勢部材12による付勢力に抗して移動することとなる。尚、本明細書中では、現像剤補給容器1の装着動作に伴って現像剤受入れ部11が変位する方向は鉛直方向上方であり、この方向を上方向(変位方向、鉛直方向上方)Uとし、その逆方向の鉛直方向下方を下方向Dとして表記する。
【0024】
また、図4(a)に示すように、現像剤受入れ装置8の装着部8fには、現像剤受入れ部11よりも装着方向Aの上流側に第1シャッタストッパ部8a及び第2シャッタストッパ部8bが設けられている。第1、第2シャッタストッパ部8a、8bは、現像剤受入れ装置8に対し相対移動する着脱中の現像剤補給容器1において、後述するシャッタ4(図5(b)参照)のみに関し現像剤受入れ装置8に対する相対移動を規制する。この場合、シャッタ4は、後述する容器本体2などのシャッタ4以外の現像剤補給容器1の一部に対し相対移動することになる。
【0025】
図3(b)及び図4(b)に示すように、現像剤受入れ装置8の下方向Dには、現像剤補給容器1から補給された現像剤を一時的に溜めておくサブホッパ8cが設けられている。このサブホッパ8c内には、現像器201の一部である現像剤ホッパ部201a(図1参照)へ現像剤を搬送するための搬送スクリュー14と、現像剤ホッパ部201aと連通した開口8dとが設けられている。
【0026】
図4(c)に示すように、現像剤受入れ部11には、受入れ口11aを取り囲むように形成された本体シール13が配置されている。本体シール13は、弾性体、発泡体等で構成されている。本体シール13は、現像剤補給容器1が装着された状態で、現像剤補給容器1の容器排出口3a4を取り囲む開口シール3a5との間で後述するシャッタ4を挟んで密着する。これにより、現像剤補給容器1の容器排出口3a4からシャッタ4のシャッタ開口(排出口)4jを介して受入れ口11aへと排出される現像剤が、現像剤搬送経路である受入れ口11a外へ漏れないようにしている。即ち、本体シール13は、受入れ口11aの周囲に設けられると共に、受入れ口11a及びシャッタ開口4jの連通時に受入れ口11a及びシャッタ開口4jの間で弾性変形してシールする。
【0027】
尚、受入れ口11aの直径は、装着部8f内が現像剤により汚れてしまうのを防止するために、シャッタ4のシャッタ開口4jの直径よりも略同径からやや大きくするのが望ましい。これは、シャッタ開口4jの直径よりも受入れ口11aの直径が小さい場合、シャッタ開口4jから排出された現像剤が本体シール13の上面に付着し易くなるためである。付着した現像剤は、現像剤補給容器1の着脱動作時に現像剤補給容器1の下面に付着することによって、現像剤による汚れの一因となる。この点に鑑み、受入れ口11aの直径は、シャッタ開口4jの直径に対して略同径~約2mm大きくすることが望ましい。例えば、シャッタ4のシャッタ開口4jの直径が約2mmの微細口(ピンホール)である場合、受入れ口11aの直径は約3mmに設定することが好ましい。
【0028】
また、図4(c)に示すように、現像剤受入れ部11には、側面に中央側に向け突出した被係合部11bが設けられている。本実施形態の場合、この被係合部11bは、後述する現像剤補給容器1に設けられた係合部30(図7(a)参照)と直接係合し、ガイドされることで、現像剤受入れ部11が現像剤補給容器1へ向けて上方向Uへ持ち上げられる。
【0029】
[現像剤補給容器]
次に、現像剤補給システム200を構成する現像剤補給容器1について、図5(a)~図15(b)を用いて説明する。まず、図5(a)及び図5(b)を用いて現像剤補給容器1の全体構成について説明する。現像剤補給容器1は、主に容器本体2、フランジ部3、シャッタ4、ポンプ部5、往復部材6、カバー7を有する。容器本体2は、現像剤受入れ装置8内で図5(a)に示す回転軸線Pを中心に矢印R方向へ回転することにより、現像剤を現像剤受入れ装置8へ補給する。以下に、現像剤補給容器1を構成する各要素について、詳細に説明する。
【0030】
[容器本体]
容器本体2は、主に、図6に示すように内部に現像剤を収容する現像剤収容部2cを有する。また、容器本体2には、容器本体2が回転軸線Pに対して矢印R方向へ回転することによって現像剤収容部2c内の現像剤を搬送する螺旋状に形成された搬送溝2a(搬送部)が形成されている。また、容器本体2の一端面側の外周面の全周に渡って、カム溝2bと、本体側から駆動を受ける駆動受け部(ギヤ)2dとが、一体的に形成されている。尚、本実施形態では、カム溝2bと駆動受け部2dが容器本体2に対して一体的に形成されているが、カム溝2bあるいは駆動受け部2dを別体として形成し、容器本体2に一体的に取り付けた構成であってもよい。また、本実施形態では現像剤として、例えば体積平均粒径が5μm~6μmのトナーが現像剤収容部2c内に収容されている。また、本実施形態では、現像剤収容部2cは容器本体2だけでなく、容器本体2と後述するフランジ部3及びポンプ部5の内部スペースを合わせたものである。
【0031】
[フランジ部]
続いて、フランジ部3について図5(a)、図5(b)、図7(a)、図7(b)を用いて説明する。フランジ部3は、容器本体2と回転軸線Pに関して相対回転可能に取り付けられる。そして、現像剤補給容器1が現像剤受入れ装置8に装着されると、フランジ部3は装着部8f(図3(a)参照)に対し矢印R方向の回転が不可となるように保持される。また、フランジ部3の一部には、図7(b)に示すように、容器排出口3a4が設けられており、その周囲には開口シール3a5が貼着されている。フランジ部3には、図5(b)に示すように、ポンプ部5、往復部材6、シャッタ4、カバー7が組み付けられている。
【0032】
まず、フランジ部3の一端側(装着方向A)にはポンプ部5がネジ接合され、他端側(離脱方向B側)には容器本体2が不図示のシール部材を介して接合される。また、ポンプ部5を挟み込むようにして、往復部材6が配置され、往復部材6に設けられた係合突起6b(図14(a)、(b)参照)が容器本体2のカム溝2b(図6参照)に嵌め込まれる。さらに、フランジ部3にはシャッタ4が組み込まれる。本実施形態では、フランジ部3とシャッタ4とで、現像剤収容部2cに収容された現像剤を排出する排出部300を構成している。また、シャッタ4が設けられている面は、フランジ部3の底面、即ち底部3dの上面である。また、外観上の見た目を向上させるためと、往復部材6及びポンプ部5の保護のために、上記したフランジ部3、シャッタ4、ポンプ部5、往復部材6の全体を覆うようにカバー7が一体的に組み付けられ、図5(a)、(b)のように構成される。
【0033】
また、図7(a)、(b)に示すように、フランジ部3は、下部に水平に設けられた平板状の底部3dと、底部3dの略中央部に形成され、上下方向に貫通した開口部3eとを有している。図5(b)に示すように、底部3dは、シャッタ4を下方から摺動可能に支持している。開口部3eには、現像剤受入れ部11の本体シール13や受入れ口11aが、上方向Uに変位した際に貫通する。
【0034】
図7(a)に示すように、フランジ部3の挿抜方向及び上下方向に直交する幅方向に関して、フランジ部3の両壁部には、それぞれ幅方向外側に突出する回転軸41が設けられている。また、フランジ部3の両壁部において、回転軸41の装着方向A側には第1の位置決め部42、回転軸41の離脱方向B側には第2の位置決め部43が設けられている。回転軸41には、係合部30が回転可能に軸支されており、係合部30は抜け止めのためにスナップフィット(不図示)によって固定されている。
【0035】
[係合部]
フランジ部3は、図7(a)に示すように、現像剤受入れ部11の被係合部11b(図3(a)参照)に係合可能な係合部30を有している。係合部30は、現像剤補給容器1の装着動作に伴って被係合部11bと係合して、受入れ口11aがシャッタ開口4jと連通するように現像剤受入れ部11を上方向Uに変位させる。この時、現像剤補給容器1及び現像剤受入れ部11は、現像剤補給容器1から現像剤受入れ部11への現像剤補給が可能な互いが接続した状態となる。また、係合部30は、現像剤補給容器1の取り出し動作に伴い、現像剤補給容器1と現像剤受入れ部11との接続状態が断たれるように、現像剤受入れ部11が現像剤補給容器1から離間する下方向Dへ変位するようにガイドする。尚、本実施形態では、図7(a)、(b)に示すように、係合部30は、フランジ部3の挿抜方向及び上下方向に直交する幅方向の両側に設けられている。
【0036】
図7(a)、図8(a)~図9(b)に示すように、係合部30は、回転軸41を中心に回転可能に設けられると共に、保持部31を有している。図5(c)は、現像剤補給容器1を正面から見た図である。図5(c)に示すように、係合部30は、回転軸線Pを含む平面Hよりも下方に配置される。更には、回転軸線Pを含む平面Hは水平面であり、係合部30は、この水平面よりも下方に配置される。係合部30は、基端部30aに回転軸41による回転の回転中心を有すると共に、先端部30bに保持部31を1つのみ有するアーム形状である。基端部30aには貫通孔が設けられ、回転軸41に嵌合されて回転可能に軸支されている。保持部31は、回転軸41と反対側に開放された半円弧形状の曲面を有しており、被係合部11bを保持可能である。保持部31は、被係合部11bと嵌合して、被係合部11bを保持する。本実施の形態では、保持部31は、回転軸41を中心とする回転方向及び回転軸41に向かう径方向に保持可能になっている。
【0037】
係合部30は、図8(a)、(b)に示す第1の位置と、図9(a)、(b)に示す第2の位置との間で回転可能に設けられている。第1の位置は、図8(a)、(b)に示すように、現像剤補給容器1の装置本体100aへの装着動作に伴って保持部31による被係合部11bの保持が開始する位置である。尚、第1の位置では、保持部31の位置は、回転軸41の中心より上方向Uにあるように設定されている。第2の位置は、図9(a)、(b)に示すように、受入れ口11aが容器排出口3a4と連通する位置に現像剤受入れ部11が変位した位置である。そして、係合部30は、現像剤補給容器1の装置本体100aへの装着動作に伴って回転して、保持部31に保持した被係合部11bを、上方向Uに向かうように回転軸41を中心として回転移動させる(図8(a)~図9(b)参照)。
【0038】
また、係合部30は、図9(b)に示すように、保持部31の装着方向Aの上流側に設けられ、保持部31から上流側に離脱した被係合部11bを係合可能な延長部32を備えている。本実施形態では、延長部32は、係合部30と同じ部材により形成されており、係合部30が第2の位置に位置する際に装着方向Aと平行になるように形成されている。
【0039】
また、フランジ部3に形成された第1の位置決め部42は、図8(a)、(b)に示すように、係合部30の装着方向A側の側面に当接することで、係合部30を第1の位置に位置決めする。第2の位置決め部43は、図9(a)、(b)に示すように、係合部30の離脱方向B側の側面に当接することで、係合部30を第2の位置に位置決めする。係合部30は、例えば、捩りコイルばね44により、第1の位置決め部42に当接するように付勢されている。そのため、現像剤補給容器1の画像形成装置100への挿入時には、係合部30は第1の位置決め部42に突き当たっている。これにより、現像剤補給容器1の輸送時に振動や衝撃等を受けても、係合部30は第1の位置に保持される。尚、係合部30は、回転軸41から離脱することのないように、回転軸41に対してスナップフィットによって幅方向に位置決めされている。
【0040】
[シャッタ]
次に、シャッタ4について、図12(a)、(b)を用いて説明する。シャッタ4はフランジ部3の底部3d(図7(a)参照)の上面を摺動するようにして、現像剤補給容器1の一部(フランジ部3)に対して移動可能に設けられている。シャッタ4は、排出口としてのシャッタ開口4jを有し、現像剤補給容器1の着脱動作に伴い、現像剤補給容器1の容器排出口3a4(図7(b)参照)を開閉する。即ち、現像剤補給容器1の装着動作に伴ってシャッタ4が現像剤補給容器1に対して移動することで、現像剤受入れ部11の受入れ口11aとシャッタ開口4jとが連通し、さらに容器排出口3a4が連通する。これにより、現像剤補給容器1内部の現像剤を受入れ口11aへ排出可能となる。即ち、フランジ部3とシャッタ4とで、現像剤を排出する排出部300(図5(b)参照)を構成し、排出部300のシャッタ4には、現像剤を排出する排出口としてのシャッタ開口4jが形成されている。
【0041】
また、シャッタ4は、底部3dに対向する摺動面4iにおいて、シャッタ開口4jを囲むように、現像剤受入れ部11と連結する連結面4kを有している。連結面4kは、シャッタ開口4jよりも大径で、摺動面4iと平行に形成されている。連結面4kには、現像剤補給容器1を装着した後に、本体シール13の上端面が密着するようになっている。
【0042】
一方、図12(a)、(b)に示すように、シャッタ4のシャッタ開口4jから外れた位置には現像剤封止部4aが設けられている。現像剤封止部4aは、現像剤補給容器1を抜き出す動作に伴ってシャッタ4が現像剤補給容器1に対して移動することで、容器排出口3a4を塞ぐ。また、現像剤封止部4aは、現像剤補給容器1が現像剤受入れ装置8の装着部8f(図3(a)参照)に装着されていない時に、容器排出口3a4からの現像剤の漏れを防ぐ。現像剤封止部4aの背面側(現像剤受入れ部11側)には、フランジ部3の底部3dの上面を摺動する摺動面4iが設けられている。尚、シャッタ4は、現像剤封止部4aを上向きにした姿勢で、フランジ部3に係合している。
【0043】
シャッタ4は、現像剤補給容器1がシャッタ4に対して相対移動することが可能となるように、現像剤受入れ装置8の第1、第2シャッタストッパ部8a、8b(図4(a)参照)に保持される第1ストッパ部4b及び第2ストッパ部4cを有している。また、シャッタ4は、第1、第2ストッパ部4b、4cを変位可能に支持する支持部4dを有している。支持部4dは、弾性変形可能で、現像剤封止部4aの両側面の一端側から他端側に向けてそれぞれ延設されている。そして、支持部4dの先端部に、それぞれ第1ストッパ部4bと第2ストッパ部4cを設けている。これにより、第1、第2ストッパ部4b、4cは、支持部4dの弾性により変位可能となる。
【0044】
尚、第1ストッパ部4bと支持部4dが形成する角度αは鋭角となるよう、第1ストッパ部4bは傾斜している。これに対して、第2ストッパ部4cと支持部4dが形成する角度βは鈍角となるように、第2ストッパ部4cは傾斜している。
【0045】
第1ストッパ部4bは、現像剤補給容器1の装着動作時に、現像剤受入れ装置8の案内部8gと係合して変位し、第2シャッタストッパ部8bを通過して、第1シャッタストッパ部8aと係合する。第1ストッパ部4bと第1シャッタストッパ部8aとが係合することで、シャッタ4の現像剤受入れ装置8に対する位置が固定される。第2ストッパ部4cは、現像剤補給容器1の離脱動作時に、現像剤受入れ装置8の第2シャッタストッパ部8bに係合して、第1ストッパ部4bが第1シャッタストッパ部8aから外れるように変位させる。これにより、シャッタ4が現像剤受入れ装置8から外れる。
【0046】
[ポンプ部]
ポンプ部5について、図13(a)、(b)を用いて説明する。ポンプ部5は、容器本体2(図6参照)の駆動受け部2dが受けた駆動力により、現像剤収容部2cの内圧が大気圧よりも低い状態と高い状態とに交互に繰り返し切り替わるように動作する。本実施形態では、前述したように小さな容器排出口3a4から現像剤を安定的に排出させるために、現像剤補給容器1の一部にポンプ部5を設けている。ポンプ部5はその容積を変更可能な容積可変型ポンプである。具体的には、ポンプ部5として、伸縮可能な蛇腹状の伸縮部材で構成されているものを採用している。
【0047】
このポンプ部5の伸縮動作により現像剤補給容器1内の圧力を変化させ、その圧力を利用して現像剤の排出を行っている。具体的には、ポンプ部5を縮める際には現像剤補給容器1内が加圧状態となり、その圧力に押し出される形で現像剤が現像剤補給容器1の容器排出口3a4から排出される。またポンプ部5を伸ばす際には現像剤補給容器1内が減圧状態になり、外部から容器排出口3a4を介してエアが取り込まれる。この取り込まれたエアにより容器排出口3a4や、フランジ部3の容器本体2から搬送された現像剤を貯留する貯留部3a3付近(図7(a)参照)の現像剤がほぐれ、次の排出がスムーズに行われるようになっている。
【0048】
即ち、このように現像剤補給容器1の容器排出口3a4や貯留部3a3付近は、現像剤補給容器1の運搬時などの振動で現像剤補給容器1内の現像剤が集まり、この部分で現像剤が固まってしまう場合がある。従って、上述のように容器排出口3a4を介してエアが取り込まれることで、このように固まってしまった現像剤をほぐすことができる。また、通常の現像剤の排出動作においては、このようにエアが取り込まれることで、エアと粉体である現像剤とが混成されて、現像剤の流動性が良くなり、現像剤の詰まりが生じにくくなるという効果もある。以上のような伸縮動作を繰り返し行うことで、現像剤の排出が行われる。
【0049】
図13(a)に示すように、ポンプ部5は、開口端側(離脱方向B側)に、フランジ部3と接合可能なように接合部5bを有している。ここでは、接合部5bとしてネジが形成された構成を例示している。また、図13(b)に示すように、ポンプ部5は開口端とは反対側の他端側(装着方向A側)に、後述する往復部材6(図14(a)、(b)参照)と同期して変位させるために、往復部材6と係合する往復部材係合部5cを有する。
【0050】
また、ポンプ部5は、山折り部と谷折り部とが交互に周期的に形成された蛇腹状の伸縮部(蛇腹部、伸縮部材)5aを有する。伸縮部5aは、その折り目に沿って(その折り目を基点として)、接合部5bに対して往復部材係合部5cを離脱方向Bに移動させることで折り畳まれたり、装着方向Aに移動させることで伸びたりし得る。従って、本実施形態のような蛇腹状のポンプ部5を採用した場合には、伸縮量に対する容積変化量のばらつきを少なくすることができるので、安定した容積変更を行うことが可能となる。
【0051】
尚、本実施形態では、ポンプ部5の材料としてポリプロピレン樹脂を用いたが、これに限らない。ポンプ部5の材料(材質)に関しては、伸縮機能を発揮し容積変化によって現像剤収容部の内圧を変化させることができる材料であれば何でもよい。例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン等を用いてもよい。あるいは、ゴム、その他の伸縮性材料などを用いることも可能である。
【0052】
[往復部材]
往復部材6について、図14(a)、(b)を用いて説明する。往復部材6は上述したポンプ部5の容積を変更するために、ポンプ部5に設けられた往復部材係合部5c(図13(b)参照)に係合するポンプ係合部6aを有する。また、往復部材6は、組み立ての際に上述したカム溝2b(図6参照)に嵌め込まれる係合突起6bを有する。係合突起6bは、ポンプ係合部6aの近傍より着脱方向に延在するアーム6cの先端部に設けられている。また、往復部材6は、後述するカバー7の往復部材保持部7b(図15(b)参照)によってアーム6cの回転軸線P(図5(a)参照)中心の回転変位が規制されている。したがって、容器本体2が駆動ギヤ9によって駆動受け部2dより駆動を受け、カム溝2bが一体となって回転する際に、カム溝2bに嵌め込まれた係合突起6bとカバー7の往復部材保持部7bとの作用により、往復部材6は方向A,Bへ往復運動する。それに伴い、往復部材6のポンプ係合部6aと往復部材係合部5cを介して係合したポンプ部5が装着方向A及び離脱方向Bへ伸縮運動する。
【0053】
[カバー]
カバー7について、図15(a)、(b)を用いて説明する。上述したように、カバー7は、現像剤補給容器1の外観の見た目の向上と、往復部材6やポンプ部5の保護とを目的として、図5(b)に示すように設けられている。詳しくは、カバー7は、フランジ部3、ポンプ部5、往復部材6の全体を覆うように設けられている。図15(a)に示すように、カバー7には、現像剤受入れ装置8の挿入ガイド8e(図3(a)参照)にガイドされるガイド溝7aが設けられている。また、図15(b)に示すように、カバー7には、上述した往復部材6の回転軸線P(図5(a)参照)を中心とする回転変位を規制する往復部材保持部7bが設けられている。
【0054】
[現像剤補給容器の装着動作]
現像剤補給容器1の現像剤受入れ装置8への装着動作について、図8(a)~図9(b)を用いて説明する。ここで、図8(a)は、現像剤補給容器1の挿入時に、被係合部11bが保持部31に保持される前、図8(b)は、現像剤補給容器1の挿入に伴い、被係合部11bが保持部31に保持された時を示し、係合部30はいずれも第1の位置に位置する。また、図9(a)は、現像剤補給容器1の挿入に伴い、係合部30が第2の位置まで移動した時を示し、図9(b)は、現像剤補給容器1の装着完了に伴い、被係合部11bが延長部32に位置した時を示す。
【0055】
現像剤補給容器1を画像形成装置100へ挿入し、図8(a)に示すように、現像剤補給容器1を装着方向Aに移動させていく。この時は、保持部31と被係合部11bとは、まだ係合していない。この時点までは、フランジ部3とシャッタ4の位置は相対変位しておらず、容器排出口3a4はシャッタ4の現像剤封止部4aによって封止されている。この時、図12(a)に示すように、シャッタ4は、ストッパ部4b,4cが、現像剤受入れ装置8のシャッタストッパ部8a,8bと係合し、シャッタ4は現像剤受入れ装置8に対して装着方向Aの位置が固定される。従って、この後は現像剤補給容器1を装着方向Aに移動させても、シャッタ4は、装着方向Aにおいて、シャッタ4を除く現像剤補給容器1とは相対移動するが、現像剤受入れ部11とは挿抜方向には相対移動しなくなる。
【0056】
現像剤補給容器1を装着方向Aに更に移動させると、図8(b)に示すように、被係合部11bが保持部31に当接して保持される。ここで、第1の位置に位置する係合部30では、保持部31の位置は、回転軸41の中心より上方向Uに位置するように設定されている。また、被係合部11bは、第1の位置に位置する係合部30の保持部31の位置(高さ)に一致するように設定されている。これにより、被係合部11bは、現像剤補給容器1の装着動作に伴って保持部31に保持されて、上方向Uに移動されるようになる。尚、仮に保持部31及び被係合部11bの位置が回転軸41の中心より下方向Dに位置したとすると、係合部30が後述する回転方向とは逆方向への力を受けることになり適切に動作しない。また、この時点では、シャッタ4とフランジ部3の位置は相対変位しているが、受入れ口11aの位置は初期位置のままであり、シャッタ4と接していない。
【0057】
現像剤補給容器1を装着方向Aに更に移動させると、係合部30は保持部31において被係合部11bによって押されるようになる。それにより、図8(b)に示すR1方向に回転モーメントが発生し、係合部30は回転する。その結果、現像剤受入れ部11は、現像剤受入れ装置8の壁面8hに沿って上方向Uに変位する。その後、図9(a)に示すように、係合部30は第2の位置決め部43に当接して回転が止まる。これで係合部30は、第2の位置へ移動を完了する。現像剤受入れ部11が初期位置よりも上方向Uへ持ち上げられ、受入れ口11aがシャッタ4のシャッタ開口4jと接した状態になる。この状態では、シャッタ開口4jと容器排出口3a4とが連通していないため、現像剤補給容器1に収容された現像剤は現像剤受入れ装置8へ排出されない。
【0058】
現像剤補給容器1を装着方向Aに更に移動させ、現像剤補給容器1を装着完了位置まで押し込むと、図9(b)に示すように、係合部30の回転は停止した状態で、被係合部11bは保持部31から延長部32に乗り上げる。これにより、現像剤受入れ部11は上下方向の位置を保持される。現像剤受入れ部11は、付勢部材12により下方向Dに付勢されているため、回動途中に保持部31が被係合部11bと離間することはない。また、受入れ口11aとシャッタ開口4jが接した状態のままでフランジ部3に対して相対移動し、容器排出口3a4と連通する。この状態では、容器排出口3a4とシャッタ開口4j、受入れ口11aとが連通した状態となっているため、現像剤補給容器1から現像剤受入れ装置8への現像剤の補給動作が可能になっている。この工程で、容器排出口3a4とシャッタ開口4jが連通状態となり容器排出口3a4、シャッタ開口4j、現像剤受け入れ口11aがそれぞれ連通する。この時、延長部32が現像剤補給容器1の装着方向Aに対し平行になっている。このため、被係合部11bを有する現像剤受入れ部11は、シャッタ4に接した状態以上に持ち上げられることはなく、被係合部11b等に過剰な力が作用してしまうことはない。ここで、図9(b)に示すように、容器排出口3a4と延長部32との位置関係は、容器排出口3a4を通ると共に回転軸線Pに直交する平面Lが延長部32を通るような関係にある。また、延長部32を含む平面は、回転軸線Pと容器排出口3a4との間に配置される位置関係にある。
【0059】
一方、装置本体100aに装着した現像剤補給容器1を取り出す場合は、図9(b)に示す状態から現像剤補給容器1を離脱方向Bに変位させる。延長部32上の被係合部11bが相対移動することで保持部31と係合し、図9(a)に示す状態となる。その後、係合部30が回転しながら現像剤受け入れ部11が下方向Dへ移動し、係合部30が第1の位置決め部42に当接して回転が止まり、図8(b)で示す状態となる。この時、現像剤受け入れ部11は付勢部材12により下方向Dに付勢されているので、装着時と同様に保持部31と被係合部11bとは離間することなく係合部30が回動し、図8(a)に示す状態へと遷移する。また、現像剤補給容器1を取り外す際には、現像剤受入れ部11が付勢部材12により下方向Dに付勢されているので、係合部30を介して現像剤補給容器1を離脱方向Bに付勢するようになり、操作力を軽くすることができる。これにより、ユーザは古い現像剤補給容器1を離脱方向Bに取り出して、新しい現像剤補給容器1を装着方向Aに挿入するだけで係合部30が自動的に変位して現像剤補給容器1を交換することができるので、交換作業の容易化を図ることができる。
【0060】
次に、図8(a)~図11(c)を用いて、係合部30を利用した構成の効果について詳細に説明する。図10(a)は、比較例の構成における現像剤受入れ部11の力関係の説明図である。現像剤受入れ部11は、一定角度θの傾斜部3fに被係合部11bが当接し、壁面8hに沿って移動する。現像剤補給容器1(フランジ部3)を挿入する力(操作力)をF、被係合部11bが傾斜部3fから受ける垂直抗力をN1、壁面8hから受ける垂直抗力をN2、現像剤受入れ部11を上方向Uに持ち上げるのに必要な力(抗力)をTとする。このとき、力関係は図10(a)の左図に示す通りとなる。被係合部11bに各力が加わるとした場合、力関係は図10(a)の右図に示す通りとなる。また、被係合部11bは円形とし半径をrとする。このとき、次の釣り合い式が成り立つ。
F=N1・sinθ
T=N1・cosθ
F=N2
【0061】
上記の3つの式から、操作力Fについて整理すると、以下の式が成り立つ。
F=tanθ・T=A・T
【0062】
また、図10(b)は、第1の実施形態における現像剤受入れ部11の力関係の説明図である。現像剤受入れ部11は被係合部11bが保持部31に保持され、係合部30が回動することで現像剤受入れ部11が壁面8hに沿って移動する。このとき、現像剤補給容器1(フランジ部3)を挿入する力(操作力)をF、係合部30が回転軸41から受ける垂直抗力をN1、現像剤受入れ部11が壁面8hから受ける垂直抗力をN2とする。また、現像剤受入れ部11を上方向Uに持ち上げるのに必要な力(抗力)をT、係合部30の回転軸41と被係合部11bとを結んだ直線が水平方向に対して成す角度をθとすると、力関係は図10(b)の左図に示す通りとなる。被係合部11bに各力が加わるとした場合、力関係は図10(b)の右図に示す通りとなる。また、回転軸41と被係合部11bとの中心点同士の距離をLとする。このとき、次の釣り合い式が成り立つ。
F=N2
N1=T
L×(F・sinθ-N1・cosθ)=0
【0063】
上記の3つの式から、操作力Fについて整理すると、以下の式が成り立つ。
F=T/tanθ=A・T
【0064】
以上の関係より、比較例及び第1の実施形態のそれぞれについて、θとAの関係を求めた。また、比較例及び第1の実施形態のそれぞれについて、現像剤受け入れ部11を上方向Uへ持ち上げる際の現像剤補給容器1の水平方向への移動距離と操作力Fの関係を求めた。
【0065】
図11(a)に、比較例の構成における傾斜部3fの傾斜角θと係数Aとの関係を示し、図11(b)に、被係合部11bが傾斜部3fに接触してから傾斜部3fを移動する際の水平方向の移動距離と操作力Fとの関係を示す。図11(a)に示すように、比較例では、傾斜角θを小さくすればするほど、係数Aの値は小さくなる。しかしながら、傾斜角θを小さくすると現像剤補給容器1の挿入距離に対する現像剤受入れ部11の上方向Uへの移動距離が小さくなるため、設計上はスペース等を鑑み、ある所定の傾斜角を設定する必要がある。仮に、比較例の傾斜角を45度と設定すると、係数A=1となる。また、T=1N(一定値)が掛かると仮定し、挿入距離に対する操作力Fをプロットすると、図11(b)に示すように、被係合部11bが傾斜部3fを移動する際には操作力Fは1Nの一定力となる。
【0066】
次に、図11(c)に、第1の実施形態の構成における係合部30の回転角θと係数Aとの関係を示し、図11(b)に、被係合部11bが保持部31に接触してから現像剤受け入れ部11が持ち上がる際の水平方向の移動距離と操作力Fとの関係を示す。図11(c)に示す通り、係合部30の回転角θが大きくなれば係数Aは小さくなっていく関係にある。また、第1の実施形態の構成では、現像剤補給容器1の水平方向への移動距離に応じて係合部30の回転角度θは大きくなっていくため、図11(b)に示すように、現像剤受入れ部11が持ち上がる際の水平方向の移動距離に対して操作力Fは低下していく。
【0067】
以上より、比較例では、ある所定の傾斜角で設定された場合、現像剤受入れ部11が持ち上がる際の水平方向の移動距離に関わらず、操作力Fは一定の力が掛かる。これに対し、第1の実施形態の構成であれば、現像剤受入れ部11の水平移動距離に対して操作力は低下していく。第1の位置(図8(a))での角度θを比較例の構成で設定する係数Aよりも図11(c)で示される関係を用いて係数Aが小さくなる角度に設定することで、比較例の構成に比して水平方向の移動距離に対する操作力Fを小さくすることができる。例えば、前述の比較例の1Nの結果に対して、第1の位置での角度θ=50°の設定にした際の操作力Fの推移を図11(b)に示す。この結果から分かるように、第1の実施形態の構成であれば、比較例にあるような固定式のガイドに比して現像剤受け入れ部11の持ち上げに対する操作力Fを低下させることができる。
【0068】
上述したように、本実施形態の現像剤補給容器1によれば、現像剤補給容器1を画像形成装置100に着脱する際の操作力を軽減して操作性が円滑になり、操作性の向上を図ることができる。
【0069】
尚、上述の実施形態では、現像剤補給容器1の挿脱着時の汚れを可及的に少なくするため、シャッタ開口4jを直径2mmという小さな排出口にしている。また、その小さなシャッタ開口4jから現像剤を確実に排出させるためにポンプ部5を設けて、現像剤収容部2cの容積を変化させることで発生する圧力により排出させる構成とした。しかし、これには限られず、シャッタ開口4jが更に大きく、ポンプ部5を設けない構成であっても構わない。本発明は係合部30に特徴的構成があり、この係合部30があることで前述した挿脱着時の操作性の向上という効果を得ることができる。
【0070】
また、上述の実施形態では、図9(a)、(b)に示すように、係合部30が第2の位置に位置する際には、延長部32が装着方向Aに平行になるようにしているが、これには限られない。例えば、延長部32が装着方向Aに対して傾斜するように設けてもよい。この場合、現像剤受入れ装置8の引き込み装置を設ける。これにより、現像剤補給容器1は、引き込み装置により装着方向に引き込まれた状態で所定の装着位置に固定されるので、現像剤補給容器1は、操作者などが力を加えて取り出そうとしなければ、取り出し方向に移動することはない。したがって、延長部32が平行でなくても、被係合部11bが不用意に離脱方向Bに移動してしまうことはない。
【0071】
また、上述の実施形態では、現像剤受入れ部11の受入れ口11aが連通する排出口をシャッタ4のシャッタ開口4jとしたが、これには限られない。例えば、シャッタを設けずに、現像剤補給容器1の容器排出口に現像剤受入れ部の受入れ口を直接、当接させて連通させるようにしてもよい。この場合、容器排出口が受入れ口と連通する排出口に相当する。
【0072】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を、図16(a)~図20を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、係合部130が複数の保持部131を有する点、及び係合部130と延長部142とが別部材である点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0073】
[フランジ部]
本実施形態のフランジ部3について、図16(a)、(b)を用いて説明する。図16(a)に示すように、フランジ部3の挿抜方向及び上下方向に直交する幅方向に関して、フランジ部3の両壁部には、それぞれ幅方向外側に突出する回転軸141が設けられている。また、フランジ部3の両壁部において、回転軸141の離脱方向B側には延長部142が設けられている。回転軸141には、係合部130が回転可能に軸支されており、係合部130は抜け止めのためにスナップフィット(不図示)によって固定されている。尚、フランジ部3のその他の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0074】
[係合部]
フランジ部3は、図16(a)に示すように、現像剤受入れ部11の被係合部11b(図3(a)参照)に係合可能な係合部130を有している。係合部130は、現像剤補給容器1の装着動作に伴って被係合部11bと係合して、受入れ口11aがシャッタ開口4jと連通するように現像剤受入れ部11を上方向Uに変位させる。この時、現像剤補給容器1及び現像剤受入れ部11は、現像剤補給容器1から現像剤受入れ部11への現像剤補給が可能な互いが接続した状態となる。また、係合部130は、現像剤補給容器1の取り出し動作に伴い、現像剤補給容器1と現像剤受入れ部11との接続状態が断たれるように、現像剤受入れ部11が現像剤補給容器1から離間する下方向Dへ変位するようにガイドする。尚、本実施形態では、図16(a)、(b)に示すように、係合部130は、フランジ部3の挿抜方向及び上下方向に直交する幅方向の両側に設けられている。
【0075】
図16(a)、図17(a)~図18(b)に示すように、係合部130は、回転軸141を中心に回転可能に設けられると共に、保持部131を有している。係合部130は、回転軸141を中心とする1つの仮想円上(図17(a)中、一点鎖線で示す)に配置された複数の保持部131を有している。これらの保持部131は、係合部130の全周に亘って配置されており、係合部130は、複数の歯132の間の歯底に保持部131が配置されたギヤ形状になっている。本実施形態では、保持部131は等間隔に配置されている。係合部130の中心部には貫通孔が設けられ、回転軸141に嵌合されて回転可能に軸支されている。保持部131は、被係合部11bと嵌合して、被係合部11bを保持する。本実施の形態では、保持部131は、凹形状に形成されており、被係合部11bを、回転軸141を中心とする回転方向及び回転軸141に向かう径方向に保持可能になっている。係合部130は、現像剤補給容器1の装置本体100aへの装着動作に伴って回転して、保持部131に保持した被係合部11bを、上方向Uに向かうように回転軸141を中心として回転移動させる(図17(a)~図18(b)参照)。尚、歯132の歯先面の周方向の長さは、被係合部11bの直径よりも十分に短く設定されている。このため、後述するように、現像剤補給容器1の装着に伴い、被係合部11bが保持部131に保持される直前に歯132の歯先面に当接して保持部131に一瞬噛合しなくても、係合部130は容易に回転して被係合部11bは保持部131に保持される。
【0076】
また、図17(a)等に示すように、延長部142は、保持部131の装着方向Aの上流側に設けられ、保持部31から上流側に離脱した被係合部11bを係合可能に設けられている。本実施形態では、延長部142は、係合部130とは別部材で相対移動可能であり、装着方向Aと平行になるように形成されている。本実施の形態では、延長部142は、装着方向Aと略平行である構成としたが、これには限られず、傾斜している構成でも良い。
【0077】
[現像剤補給容器の装着動作]
現像剤補給容器1の現像剤受入れ装置8への装着動作について、図17(a)~図18(b)を用いて説明する。ここで、図17(a)は、現像剤補給容器1の挿入時に、被係合部11bが保持部131に保持される前、図17(b)は、現像剤補給容器1の挿入に伴い、被係合部11bが保持部131に保持された時を示す。また、図18(a)は、現像剤補給容器1の挿入に伴い、被係合部11bが係合部130の上部に位置した時を示し、図18(b)は、現像剤補給容器1の装着完了に伴い、被係合部11bが延長部142に位置した時を示す。
【0078】
現像剤補給容器1を画像形成装置100へ挿入し、図17(a)に示すように、現像剤補給容器1を装着方向Aに移動させていく。この時は、保持部131と被係合部11bとは、まだ係合していない。この時点までは、フランジ部3とシャッタ4の位置は相対変位しておらず、容器排出口3a4はシャッタ4の現像剤封止部4aによって封止されている。この時、図12(a)に示すように、シャッタ4は、ストッパ部4b,4cが、現像剤受入れ装置8のシャッタストッパ部8a,8bと係合し、シャッタ4は現像剤受入れ装置8に対して装着方向Aの位置が固定される。従って、この後は現像剤補給容器1を装着方向Aに移動させても、シャッタ4は、装着方向Aにおいて、シャッタ4を除く現像剤補給容器1とは相対移動するが、現像剤受入れ部11とは挿抜方向には相対移動しなくなる。
【0079】
現像剤補給容器1を装着方向Aに更に移動させると、図17(b)に示すように、被係合部11bが保持部131に当接して保持される。ここで、被係合部11bの位置は、回転軸141の中心より上方向Uに位置するように設定されている。これにより、被係合部11bは、現像剤補給容器1の装着動作に伴って保持部131に保持されて上方向Uに変位するようになる。この時点では、シャッタ4とフランジ部3の位置は相対変位しているが、受入れ口11aの位置は初期位置のままであり、シャッタ4と接していない。
【0080】
ここで、歯132の歯先面の周方向の長さは、被係合部11bの直径よりも十分に短く設定されている。このため、現像剤補給容器1の装着に伴い、被係合部11bが保持部131に保持される直前に歯132の歯先面に当接して保持部131に一瞬噛合しなかったとしても、係合部130は容易に回転して被係合部11bは保持部131に保持される。また、歯132は係合部130の周囲に一定間隔で設けられている。このため、係合部130がどの位相にあっても、保持部131と被係合部11bとは係合するので、係合部130の位置を規制する構成は不要である。
【0081】
現像剤補給容器1を装着方向Aに更に移動させると、係合部130は保持部131において被係合部11bによって押されるようになる。それにより、図17(b)に示すR方向に回転モーメントが発生し、係合部130は回転する。その結果、現像剤受入れ部11は、現像剤受入れ装置8の壁面8hに沿って上方向Uに変位する。その後、図18(a)に示すように、被係合部11bが係合部130の上部にまで持ち上げられる。この時、現像剤受入れ部11が初期位置よりも上方向Uへ持ち上げられ、受入れ口11aがシャッタ4のシャッタ開口4jと接した状態になる。この状態では、シャッタ開口4jと容器排出口3a4とが連通していないため、現像剤補給容器1に収容された現像剤は現像剤受入れ装置8へ排出されない。
【0082】
現像剤補給容器1を装着方向Aに更に移動させ、現像剤補給容器1を装着完了位置まで押し込むと、図18(b)に示すように、係合部130が回転して、被係合部11bは保持部131から延長部142に乗り上げる。これにより、現像剤受入れ部11は上下方向の位置を保持される。現像剤受入れ部11は、付勢部材12により下方向Dに付勢されているため、回動途中に保持部131が被係合部11bと離間することはない。また、受入れ口11aとシャッタ開口4jが接した状態のままでフランジ部3に対して相対移動し、容器排出口3a4と連通する。この状態では、容器排出口3a4とシャッタ開口4j、受入れ口11aとが連通した状態となっているため、現像剤補給容器1から現像剤受入れ装置8への現像剤の補給動作が可能になっている。この工程で、容器排出口3a4とシャッタ開口4jが連通状態となり容器排出口3a4、シャッタ開口4j、現像剤受け入れ口11aがそれぞれ連通する。この時、延長部142が現像剤補給容器1の装着方向Aに対し平行になっている。このため、被係合部11bを有する現像剤受入れ部11は、シャッタ4に接した状態以上に持ち上げられることはなく、被係合部11b等に過剰な力が作用してしまうことはない。ここで、図18(b)に示すように、容器排出口3a4と延長部142との位置関係は、容器排出口3a4を通ると共に回転軸線Pに直交する平面Lが延長部142を通るような関係にある。また、延長部142を含む平面は、回転軸線Pと容器排出口3a4との間に配置される位置関係にある。
【0083】
一方、装置本体100aに装着した現像剤補給容器1を取り出す場合は、図18(b)に示す状態から現像剤補給容器1を離脱方向Bに変位させる。延長部142上の被係合部11bが相対移動することで保持部131と係合し、図18(a)に示す状態となる。その後、図17(b)に示すように、係合部130が回転しながら現像剤受け入れ部11が下方向Dへ移動し、移動可能な位置まで係合部130の回転に伴って降下する。この時、現像剤受け入れ部11は付勢部材12により下方向Dに付勢されているので、装着時と同様に保持部131と被係合部11bとは離間することなく係合部130が回動し、図17(a)に示す状態へと遷移する。また、現像剤補給容器1を取り外す際には、現像剤受入れ部11が付勢部材12により下方向Dに付勢されているので、係合部130を介して現像剤補給容器1を離脱方向Bに付勢するようになり、操作力を軽くすることができる。これにより、ユーザは古い現像剤補給容器1を離脱方向Bに取り出して、新しい現像剤補給容器1を装着方向Aに挿入するだけで係合部130が自動的に変位して現像剤補給容器1を交換することができるので、交換作業の容易化を図ることができる。
【0084】
次に、図17(a)~図19(b)を用いて、係合部130を利用した構成の効果について詳細に説明する。図19(a)は、比較例の構成における現像剤受入れ部11の力関係の説明図である。現像剤受入れ部11は、一定角度θの傾斜部3fに被係合部11bが当接し、壁面8hに沿って移動する。現像剤補給容器1(フランジ部3)を挿入する力(操作力)をF、被係合部11bが傾斜部3fから受ける垂直抗力をN1、壁面8hから受ける垂直抗力をN2、現像剤受入れ部11を上方向Uに持ち上げるのに必要な力(抗力)をTとする。この場合、既に説明したように(図10(a)参照)、操作力Fについて整理すると、以下の式が成り立つ。
F=tanθ・T=A・T
【0085】
また、図19(b)は、第2の実施形態における現像剤受入れ部11の力関係の説明図である。現像剤受入れ部11は被係合部11bが保持部131に当接し、係合部130が回動することで、現像剤受入れ部11が壁面8hに沿って移動する。このとき現像剤補給容器1(フランジ部3)を挿入する力(操作力)をF、係合部130が回転軸141から受ける垂直抗力をN1、現像剤受入れ部11が壁面8hから受ける垂直抗力をN2とする。また、現像剤受入れ部11を上方向Uに持ち上げるのに必要な力(抗力)をT、係合部130と被係合部11bとが成す位相をαとすると、力関係は図19(b)の左図に示すようになる。現像剤受入れ部11と被係合部11bは一体の剛体であるため、抗力Tは被係合部11bに加わるとみなす。更に、フランジ部3と回転軸141とは一体の剛体であるため、操作力Fは回転軸141に加わるとみなす。また、被係合部11bは保持部131と一体で動くため、被係合部11bと保持部131とを一体とみなした係合部130Aを定義すると、係合部130Aにおける力関係は図19(b)の右図に示すようになる。このとき、回転軸141と被係合部11bとの直線距離をLと定義すると、Lは回転軸141と被係合部11bのそれぞれの径よりも極大であるため、以下の式が成り立つ。
F=N2
N1=T
T・cosα=N2・sinα
【0086】
上記の3つの式から、操作力Fについて整理すると、以下の式が成り立つ。
F=T/tanα=B・T
【0087】
以上の関係より、比較例についてはθと係数A、第2の実施形態についてはθと係数Bとの関係を求め、その結果を図20に示す。図20に示すように、比較例の構成では傾斜角度θが大きくなると操作力Fも大きくなる。これに対し、第2の実施形態の構成では、回動させていくと一度Fが大きくなり(変曲点を迎える)、その後回動が進むにつれて操作力Fは小さくなる。従って、比較例における傾斜部3fの角度θ1に対し、第2の実施形態の初期位相をα1以上に設定することで、操作力Fを低減させることが可能になる。
【0088】
上述したように、本実施形態の現像剤補給容器1によっても、現像剤補給容器1を画像形成装置100に着脱する際の操作力を軽減して操作性が円滑になり、操作性の向上を図ることができる。
【0089】
尚、上述した第1の実施形態では係合部30は1つの保持部31を有するアーム形状であり、第2の実施形態では係合部130は複数の保持部131を有するギヤ形状であるようにしたが、保持部の数と形状との関係についてはこれらに限られない。例えば、複数の保持部を有するアーム形状としてもよく、あるいは円周上に1つの保持部を有する円板形状としてもよい。形状については、楕円形状や多角形状など、適宜な形状を適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
1…現像剤補給容器、2c…現像剤収容部、4j…シャッタ開口(排出口)、8…現像剤受入れ装置、11…現像剤受入れ部、11a…受入れ口、11b…被係合部、30…係合部、30a…基端部、30b…先端部、31…保持部、32…延長部、41…回転軸、130…係合部、131…保持部、141…回転軸、142…延長部、200…現像剤補給システム、300…排出部、A…装着方向、U…上方向(変位方向)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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