(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】書見台
(51)【国際特許分類】
A47B 23/00 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
A47B23/00 A
(21)【出願番号】P 2024026121
(22)【出願日】2024-02-26
【審査請求日】2024-02-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522068371
【氏名又は名称】鎌田 妃陽里
(73)【特許権者】
【識別番号】522068382
【氏名又は名称】阿部 成翔
(74)【代理人】
【識別番号】100155882
【氏名又は名称】齋藤 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100154678
【氏名又は名称】齋藤 博子
(73)【特許権者】
【識別番号】524072787
【氏名又は名称】高橋 真穂
(74)【代理人】
【識別番号】100155882
【氏名又は名称】齋藤 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100154678
【氏名又は名称】齋藤 博子
(73)【特許権者】
【識別番号】524072798
【氏名又は名称】田中 夢
(74)【代理人】
【識別番号】100155882
【氏名又は名称】齋藤 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100154678
【氏名又は名称】齋藤 博子
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 妃陽里
(72)【発明者】
【氏名】阿部 成翔
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真穂
(72)【発明者】
【氏名】田中 夢
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】実開平4-136140(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0134625(US,A1)
【文献】米国特許第6152417(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00-41/06
B43L 1/04- 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視認対象物を載置可能な支持盤と、前記支持盤が固定される台座と、前記台座と前記支持盤との角度を調整可能な角度調整機構とを備える書見台であって、
支持盤表面の基端及び先端に設置される基端レール及び先端レールと、
前記基端レール及び前記先端レールによって前記支持盤表面にスライド可能に保持される複数のスライド板と、
前記基端に設置され前記視認対象物の落下を防止する書類ストッパーと、を備え、
複数の前記スライド板は、それぞれ異なる色相を有し、縦方向に延びる分割線によって左右に分割可能であることを特徴とする書見台。
【請求項2】
前記角度調整機構は、
支持盤裏面に設けられた長さの異なる複数の角度調整アームと、
前記台座に設けられた前記角度調整アームを保持するアームストッパーと、を備えることを特徴とする請求項1記載の書見台。
【請求項3】
前記支持盤と前記角度調整アームとは蝶番によって連結されるとともに、互いの対向面を接触させて折畳可能であり、
前記支持盤と前記台座とは蝶番によって連結されるとともに、互いの対向面を接触させて折畳可能であることを特徴とする請求項2記載の書見台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、視覚障害者等が書籍等を読む際に使用する書見台に関し、特に書籍等を載せる支持盤の角度を調整可能な書見台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、書類を載せる支持盤の角度を調整可能な書見台が知られている。例えば特許文献1には様々な姿勢での読書に適用される両面兼用型読書書見台が開示される。この両面兼用型書見台は、正面視略長形状の台座と、この台座の上面に穿設される傾斜状の係止溝にその下端縁を着脱可能に装着されて、その前面側に向かって略傾斜状に立設される支持盤とにより構成される。本の下端縁を保持する押え部とその上端側を保持する把持部を形成して、本を支持盤の前後面で支持して読書に供されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、支持盤表面の色が一色に定まっている。例えば、支持盤表面が白色であって視認対象物である書籍の地色も白色の場合、特に視覚障害者は視認対象物を認識しにくい。視認対象物と背景となる支持盤表面とのコントラストが大きいほど視認しやすい傾向にある。しかし、特許文献1では種々の色調の視認対象物を好適に視認することが困難である。また、同じ色調の視認対象物であっても、どの背景の色が見やすいかは障害の程度やユーザーの特性によって異なる。
【0005】
この発明は、色調の異なる種々の視認対象物を好適に視認することができる書見台を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、視認対象物を載置可能な支持盤と、前記支持盤が固定される台座と、前記台座と前記支持盤との角度を調整可能な角度調整機構とを備える書見台であって、支持盤表面の基端及び先端に設置される基端レール及び先端レールと、前記基端レール及び前記先端レールによって前記支持盤表面にスライド可能に保持される複数のスライド板と、前記基端に設置され前記視認対象物の落下を防止する書類ストッパーと、を備え、複数の前記スライド板は、それぞれ異なる色相を有し、縦方向に延びる分割線によって左右に分割可能であることを特徴とする。
この発明によれば、複数のスライド板がそれぞれ異なる色相を有するので、見る書類の色によって、スライド板を変えることで最も見やすい色相の背景を選択することができる。また、スライド板は左右に分割することができるので、支持盤の上に左右異なる色相のスライド板を配置することができ、異なる色の書類を同時に見やすくすることができる。
【0007】
前記角度調整機構は、支持盤裏面に設けられた長さの異なる複数の角度調整アームと、前記台座に設けられた前記角度調整アームを保持するアームストッパーと、を備えることを特徴とする。
長さの異なる複数の角度調整アームを設けることによって、台座の角度を細かく設定することができ、使用者の利便性を向上させることができる。
【0008】
前記支持盤と前記角度調整アームとは蝶番によって連結されるとともに、互いの対向面を接触させて折畳可能であり、前記支持盤と前記台座とは蝶番によって連結されるとともに、互いの対向面を接触させて折畳可能であることを特徴とする。
書見台全体がコンパクトに折り畳むことができ、収納にかさばらず、持ち運びも容易である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、複数のスライド板がそれぞれ異なる色相を有するので、視認対象物の色によって、スライド板を変えることで最も見やすい色相の背景を選択することができる。また、スライド板は左右に分割することができるので、支持盤の上に左右異なる色相のスライド板を配置することができ、異なる色の視認対象物を同時に見やすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】書見台全体の斜視図であって引き出し9を開いた状態の図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1~
図6はこの発明の書見台を示したものである。
<書見台1>
特に
図1を参照すれば、書見台1は、書類等の視認対象物を載置可能な支持盤2と、支持盤2が固定される台座3と、台座3と支持盤2との角度を調整可能な角度調整機構とを備える。
【0012】
<支持盤2>
支持盤2は、支持盤表面21と、その反対に位置する支持盤裏面22とを有する。支持盤2は、その基端23が蝶番51を介して台座3に連結される。したがって、支持盤2は基端23を中心に台座3に対して回動可能である。支持盤表面21には視認対象物を載せる複数のスライド板7が配置される。
【0013】
<基端レール61及び先端レール62>
支持盤表面21には基端23及び先端24に沿って基端レール61及び先端レール62がそれぞれ設置され、基端レール61及び先端レール62によって複数のスライド板7を横方向にスライド可能に保持している。
【0014】
<スライド板7>
複数のスライド板7は、例えば白、黒、赤、黄、青などの色相を有する。例えば、赤、黄、青のスライド板7として、カラーアクリル板を用いることができる。白色のスライド板7はホワイトボードとして使用するために、ホーロー塗装やアクリル塗装、メラミン塗装などをした金属板を用いることができる。黒色のスライド板7は磁石がつくように、例えば鋼板などの強磁性体の金属板を用いることができる。また、この実施形態では、スライド板7のひとつとして鏡を用いることができる。鏡としてガラスを使用する場合には、ガラスの落下による破損を予防するためこのスライド板7を支持盤2に固定し、スライドできないようにすることが望ましい。
スライド板7は、縦方向に延びる分割線71によって左右に分割可能にしている。分割可能にすることによって、左右で別々の色のスライド板7を配置することもできる。
【0015】
<書類ストッパー8>
支持盤表面21の基端23には、スライド板7の上に載せた書類等が落下しないように押さえるための書類ストッパー8を備える。書類ストッパー8は棒状であり、その一端が基端23に回動可能に連結され、使用時には書類ストッパー8を起立させることによって、書類の落下を防止することができる。不使用時には書類ストッパー8を倒して基端23と重なるように収納し邪魔にならないようにすることができる。
【0016】
<引き出し9>
台座3には、引き出し9が取り付けられ、引き出し9内にペンやプリント等を収納することができるようにしている。引き出し9には取手91を設け、台座3内から引き出し9を引き出しやすくしている。
【0017】
<角度調整機構>
図2を併せて参照すれば、角度調整機構は、支持盤裏面22に設けられた長さの異なる複数の角度調整アーム4と、台座に設けられたアームストッパー10とを備える。角度調整アーム4は、支持盤裏面22の先端24に蝶番52を介して連結される一対の脚部aと、脚部aの間に延びる係止部bとを備え、全体としてコの字状になっている。この実施形態の角度調整アーム4は、第1アーム41、第2アーム42、第3アーム43、第4アーム44及び第5アーム45を備え、それぞれ脚部41a、42a、43a、44a、45aと係止部41b、42b、43b、44b、45bを備える。第5アーム45は、脚部と係止部とが一体となり略矩形となっている。脚部41a~45aはそれぞれ長さが異なる。第1アーム41の内側に第2アーム42が収まり、第2アーム42の内側に第3アーム43が収まり、同様に第3アーム43の内側に第4アーム44が収まり、第4アーム44の内側に第5アーム45が収まる。したがって複数の角度調整アーム4を備えていてもかさばることがない。
【0018】
<アームストッパー10>
アームストッパー10は、台座3に設けられた段部によって形成され、この実施形態では凸条によって構成されるが、凹条によって段部を構成するようにしても良い。この実施形態では、台座の一方の側縁から他方の側縁へと延びる複数のアームストッパー10を備える。具体的には第1アームストッパー11、第2アームストッパー12及び第3アームストッパー13を備え、台座3の遠位端31から近位端32に向かって互いに平行に並ぶ。
この実施形態において第1アームストッパー11は、書見台1を折り畳んだ際に支持盤2の先端24と台座3との間にスペースを作るためのスペーサーとして機能する。また、台座3の近位端32には支持盤の基端23との間にスペースを作るためのスペーサー34が設けられる。
【0019】
<使用例1>
例えば白地の書籍を読みたいときには左右いずれも黒色のスライド板7を一番上に積層する。
図3に示したように、第1アーム41を第1アームストッパー11に引っ掛けて固定し、支持盤2の角度を急勾配にする。書類ストッパー8を起立させ、スライド板7の上に書籍を載置することで、書籍が落ちないようにすることができる。書籍を読むときには急勾配にすることによって、書籍に目を近づけた場合でも背中を伸ばした姿勢を維持することができる。また、黒色のスライド板7を用いることで書籍とのコントラストが明確になり、文字を見やすくすることができる。
【0020】
<使用例2>
例えば片方にプリントを貼り付けて、片方で漢字の書き取り練習をするときには、鋼板になっている黒色のスライド板7を使用し、プリントを磁石で固定しながら、ノートを広げて書き取りの練習をすることができる。
図4に示したように、第5アーム45を第1アームストッパー11に引っ掛けて固定し、支持盤2の角度を緩勾配にする。ある程度の角度があることで文字が読みやすくかつ書きやすくすることができる。また、書類ストッパー8を起立させることでスライド板7に載せたノートが落ちるのを予防することができる。
さらに、一方のスライド板7を外側にスライドさせることによって支持盤2の左右方向の範囲を広げて使用することができ、他の参考書を載せたり、大きなノートを使用したりすることができる。また、一方を黒色のスライド板7、他方を白色のスライド板7とし、白色のスライド板7をホワイトボードとして使用することによって、より大きく文字を書くこともできる。
【0021】
<使用例3>
例えばお化粧をする時には、鏡のスライド板7を用いることができる。
図5に示したように、第3アーム43を第1アームストッパー11に引っ掛けて固定する。全てのスライド板を左右にスライドさせて鏡のスライド板7を露出する。支持盤2には適度な角度がついているため支持盤2に体重をかけて楽な姿勢を保ってお化粧することができる。また、一方に鏡のスライド板7を使用し、他方に赤や青等の他の色のスライド板7を使用しその上に化粧用品を載せることによって化粧用品の色相がはっきりし、より正確に色を見極めながら化粧をすることができる。
【0022】
<使用例4>
例えばこの書見台1を用いて料理をすることもできる。
図6に示したように、全ての角度調整アーム4と支持盤裏面22とが互いの対向面を接触させるように折り畳まれ、かつ、全てのアーム4と台座3とが互いの対向面を接触させるように折り畳まれることによって、支持盤2を台座3とほぼ平行なフラットな状態にすることができる。フラットな状態にすることで支持盤2をまな板として使用することができる。調理したい食材の色が赤のときはスライド板7を黄色にしたり、食材の色が白のときはスライド板7を青にしたりなど、調理する食材の色とスライド板7の色をコントラストがはっきりする組み合わせにすることで安全に調理をすることができる。
【0023】
<使用例5>
例えば書見台1の収納時には、
図6の折り畳んだ状態にすることでコンパクトにすることができる。コンパクトに収納することができるので持ち運びも容易である。支持盤2と台座3との間には、第1アームストッパー11とスペーサー34とによって確保されたスペースに角度調整アーム4を収めることができる。また、この書見台1を持ち運ぶときには引き出し9に書類や書籍、筆記用具などを収納することで、持ち運びの際の荷物を少なくすることができる。さらに、引き出し9に複数の仕切りを付けることによって、収納したものは一定の場所に保持される。
【符号の説明】
【0024】
1 :書見台
2 :支持盤
3 :台座
4 :角度調整アーム
4 :アーム
7 :スライド板
8 :書類ストッパー
10 :アームストッパー
21 :支持盤表面
22 :支持盤裏面
23 :基端
24 :先端
51 :蝶番
52 :蝶番
61 :基端レール
62 :先端レール
71 :分割線
【要約】
【課題】色調の異なる種々の視認対象物を好適に視認することができる書見台を提供する。
【解決手段】
書見台1は、書類等の視認対象物を載置可能な支持盤2と、支持盤2が固定される台座3と、台座3と支持盤2との角度を調整可能な角度調整機構とを備える。支持盤2は、支持盤表面21と、その反対に位置する支持盤裏面22とを有する。支持盤2は、その基端23が蝶番51を介して台座3に連結される。支持盤表面21には視認対象物を載せる複数のスライド板7が配置される。支持盤表面21には基端23及び先端24に沿って基端レール61及び先端レール62がそれぞれ設置され、基端レール61及び先端レール62によって複数のスライド板7を横方向にスライド可能に保持している。複数のスライド板7は、例えば白、黒、赤、黄、青などの色相を有する。スライド板7は、縦方向に延びる分割線71によって左右に分割可能にしている。
【選択図】
図1