(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】エアロゾル発生物品およびこれと共に使用されるエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20240604BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240604BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20240604BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240604BHJP
A24D 1/04 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A24D1/20
A24F40/465
A24F40/46
A24F40/20
A24D1/04
(21)【出願番号】P 2022569533
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 KR2022004833
(87)【国際公開番号】W WO2022270723
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0079982
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クォン、チャン ミン
(72)【発明者】
【氏名】パク、イン ス
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0049135(KR,A)
【文献】特表2018-537953(JP,A)
【文献】特開2020-000204(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0141814(KR,A)
【文献】国際公開第2021/215490(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/20
A24D 1/04
A24D 3/17
A24F 40/00-40/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置とともに使用されるエアロゾル発生物品であって、
タバコ顆粒が充填されたキャビティセグメントを含むタバコロッド;および
フィルターロッドを含み、
前記キャビティセグメントに対する前記タバコ顆粒の充填率が80体積%以下であり、
前記タバコロッドは、第1フィルターセグメントと第2フィルターセグメントをさらに含み、
前記キャビティセグメントは、前記第1フィルターセグメントと前記第2フィルターセグメントによって形成され、
前記エアロゾル発生装置は、前記タバコロッドを加熱するためのヒーター部を含み、
前記ヒーター部は、前記キャビティセグメントを外部から加熱する第1加熱要素を含み、
前記第1加熱要素の全体が前記キャビティセグメントの外周に配置され、
前記第1加熱要素は、前記キャビティセグメントの下流末端付近に未加熱部位を形成する、
エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記タバコ顆粒の密度は、0.5g/cm3~1.2g/cm3である、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記タバコ顆粒の直径は、0.3mm~1.2mmである、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記タバコ顆粒の充填率は、35体積%~70体積%である、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記第1フィルターセグメントは、前記キャビティセグメントの下流に位置し、
前記第1フィルターセグメントの吸引抵抗は、50mmH2O/60mm~150mmH2O/60mmである、請求項
1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記フィルターロッドは、冷却セグメントおよびマウスピースセグメントを含む、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記ヒーター部は、
前記タバコロッドを内部で加熱する第2加熱要
素を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記ヒーター部は
、前記第1加熱要素で発生した熱を前記タバコロッドの内部に伝達する熱伝導要
素を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記タバコ顆粒または前記タバコロッドは、粒子形態のサセプタ物質を含み、
前記ヒーター部は、前記サセプタ物質を誘導加熱するためのインダクターを含む、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生物品およびこれと共に使用されるエアロゾル発生装置に関する。より詳細には、タバコ顆粒ベースのエアロゾル発生物品およびこの物品と共に使用されるエアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、伝統シガレットの短所を克服する代替物品に関する需要が増加している。例えば、シガレットスティックを電気的に加熱することによってエアロゾルを発生させる装置(e.g.シガレットタイプ電子タバコ)に関する需要が増加している。これによって、電気加熱式エアロゾル発生装置とそれに適用されるシガレットスティック(またはエアロゾル発生物品)に関する研究が活発に行われている。
【0003】
一方、上述したシガレットスティックのタバコ物質としては、板状葉が主に用いられており、葉タバコ刻みもたびたび用いられている。最近では、顆粒形態のタバコ物質を用いる方式が提案されている。例えば、タバコ顆粒が収容されたカートリッジをエアロゾル発生装置に装着して喫煙する方式が提案されている。
【0004】
しかしながら、カートリッジ形態の製品は、シガレットスティックよりも消費者の親密度が落ち、シガレットスティックと同じ喫煙感を提供することができないだけでなく、製造費用も上昇するという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示のいくつかの実施形態を通じて解決しようとする技術的課題は、タバコ顆粒に基づいて喫煙機能を提供できるエアロゾル発生物品を提供することにある。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態を通じて解決しようとする他の技術的課題は、多数のタバコ顆粒が均一に加熱されることができるように設計されたエアロゾル発生物品を提供することにある。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態を通じて解決しようとするさらに他の技術的課題は、タバコ顆粒ベースのエアロゾル発生物品と共に使用されるエアロゾル発生装置を提供することにある。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態を通じて解決しようとするさらに他の技術的課題は、タバコ顆粒ベースのエアロゾル発生物品を効果的に加熱できるエアロゾル発生装置を提供することにある。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態を通じて解決しようとするさらに他の技術的課題は、無煙モードと有煙モードのうち設定されたモードで動作できるエアロゾル発生装置およびこれと共に使用されるエアロゾル発生物品を提供することにある。
【0010】
本開示の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、下記の記載から本開示の技術分野における通常の技術者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記技術的課題を解決するための、本開示のいくつかの実施形態によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置とともに使用されるエアロゾル発生物品であって、タバコ顆粒が充填されたキャビティセグメントを含むタバコロッドおよびフィルターロッドを含み、前記キャビティセグメントに対する前記タバコ顆粒の充填率が80体積%以下でありうる。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記タバコ顆粒の密度は、0.5g/cm3~1.2g/cm3でありうる。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記タバコ顆粒の直径は、0.3mm~1.2mmでありうる。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記タバコ顆粒の充填率は、35体積%~70体積%でありうる。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記タバコロッドは、第1フィルターセグメントと第2フィルターセグメントをさらに含み、前記キャビティセグメントは、前記第1フィルターセグメントと前記第2フィルターセグメントによって形成されることができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記第1フィルターセグメントは、前記キャビティセグメントの下流に位置し、前記第1フィルターセグメントの吸引抵抗は、50mmH2O/60mm~150mmH2O/60mmでありうる。
【発明の効果】
【0017】
上述した本開示のいくつかの実施形態によれば、タバコ顆粒が充填されたタバコロッドを含むエアロゾル発生物品とこれと共に使用されるエアロゾル発生装置を提供することができる。提供されたエアロゾル発生物品は、タバコ顆粒を用いて他の加熱式シガレットと類似した喫煙感を提供することができる。
【0018】
また、タバコロッドの上流と下流に位置するフィルターセグメントによってキャビティセグメントが形成されることができ、キャビティセグメント内にタバコ顆粒が充填されることができる。これによって、タバコ顆粒の脱落現象が最小化できるタバコロッドを容易に製造することができる。
【0019】
また、パフ時にキャビティセグメント内部で渦流が発生するようにタバコロッドを設計することができる。この場合、発生した渦流によりタバコ顆粒がよく混ざり合って加熱されるので、多数のタバコ顆粒が均一に加熱されることができ、その結果、焦げ味が減少し、喫味が向上することができる。
【0020】
また、エアロゾル発生装置のヒーター部がキャビティセグメントのみを加熱したり、内外部を同時加熱する構造を有していてもよい。これによって、キャビティセグメントに充填されたタバコ顆粒が効果的に加熱されることができる。
【0021】
また、タバコロッドのキャビティセグメントを形成するフィルターセグメントが紙フィルターからなってもよい。このような場合、ヒーター部の加熱によってフィルターセグメントの物性が変化する問題を防止することができる。
【0022】
本開示の技術的思想による効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は、下記の記載から通常の技術者が明確に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態によるエアロゾル発生装置を概略的に示す例示図である。
【
図2】本開示の他のいくつかの実施形態によるエアロゾル発生装置を概略的に示す例示図である。
【
図3】本開示の他のいくつかの実施形態によるエアロゾル発生装置を概略的に示す例示図である。
【
図4】は、本開示の他のいくつかの実施形態によるエアロゾル発生装置が無煙モードで動作することを示す例示図である。
【
図5】は、本開示の他のいくつかの実施形態によるエアロゾル発生装置が有煙モードで動作することを示す例示図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態によるエアロゾル発生物品を概略的に示す例示図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態によるエアロゾル発生物品を概略的に示す例示図である。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態によるエアロゾル発生物品において渦流が発生する原理と条件を説明するための例示図である。
【
図9】本開示の第1実施形態によるヒーター部の加熱構造を説明するための例示図である。
【
図10】本開示の第2実施形態によるヒーター部の加熱構造を説明するための例示図である。
【
図11】本開示の第3実施形態によるヒーター部の加熱構造を説明するための例示図である。
【
図12】本開示の第4実施形態によるヒーター部の加熱構造を説明するための例示図である。
【
図13】タバコ顆粒のサイズが渦流の発生に及ぼす影響に対する実験結果を示す図である。
【
図14】タバコ顆粒のサイズが渦流の発生に及ぼす影響に対する実験結果を示す図である。
【
図15】~タバコ顆粒の充填率が渦流の発生に及ぼす影響に対する実験結果を示す図である。
【
図16】タバコ顆粒の充填率が渦流の発生に及ぼす影響に対する実験結果を示す図である。
【
図17】タバコ顆粒の充填率が渦流の発生に及ぼす影響に対する実験結果を示す図である。
【
図18】は、内部加熱要素の厚さおよび形状がフィルターセグメントの損傷度に及ぼす影響に対する実験結果を示す図である。
【
図19】内部加熱要素の厚さおよび形状がフィルターセグメントの損傷度に及ぼす影響に対する実験結果を示す図である。
【
図20】内部加熱要素の厚さおよび形状がフィルターセグメントの損傷度に及ぼす影響に対する実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して本開示の好ましい実施形態を詳細に説明する。本開示のメリットおよび特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すれば明確になるだろう。しかしながら、本開示の技術的思想は、以下の実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現することができ、単に以下の実施形態は、本開示の技術的思想が完全になるようにし、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者に本開示の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示の技術的思想は、請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0025】
各図面の構成要素に参照符号を付加するに際して、同じ構成要素に対しては、たとえ異なる図面上に表示されても、できるだけ同じ符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本開示を説明するに際して、関連した公知構成または機能に関する具体的な説明が本開示の要旨を不明にすることができると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0026】
別途の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味で使用され得る。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。 本明細書において使用される用語は、実施形態を説明するためのものであり、本開示を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は、文章において特に言及しない限り、複数型も含む。
【0027】
また、本開示の構成要素を説明するに際して、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用できる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語により当該構成要素の本質や手順または順序などが限定されない。任意の構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、当該他の構成要素に直接的に連結されるか、または接続され得るが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」され得ると理解しなければならない。
【0028】
本開示において使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子は、一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0029】
本開示の多様な実施形態に関する説明に先立って、以下の実施形態において使用される幾つかの用語について明確にする。
【0030】
以下の実施形態において、「エアロゾル形成剤」は、可視煙(smoke)および/またはエアロゾル(aerosol)の形成を容易にすることができる物質を意味し得る。エアロゾル形成剤の例としては、グリセリン(GLY)、プロピレングリコール(PG)、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールが挙げられるが、これに限定されるものではない。当該技術分野において、エアロゾル形成剤は、保湿剤、湿潤剤などのような用語と混用して使用することができる。
【0031】
以下の実施形態において、「エアロゾル形成基材」は、エアロゾル(aerosol)を形成できる物質を意味し得る。エアロゾルは、揮発性化合物を含んでもよい。エアロゾル形成基材は、固体または液状であってもよい。
【0032】
例えば、固体のエアロゾル形成基材は、板状葉タバコ、刻み、再構成タバコなどタバコ原料を基礎にする固体物質を含んでもよいし、液状のエアロゾル形成基材は、ニコチン、タバコ抽出物および/または多様な香味剤を基礎にする液状組成物を含んでもよい。しかしながら、本開示の範囲がこのような例示に限定されるものではない。エアロゾル形成基材は、可視煙および/またはエアロゾルを安定的に形成するためにエアロゾル形成剤をさらに含んでもよい。
【0033】
以下の実施形態において、「エアロゾル発生装置」は、ユーザの口を通じてユーザの肺に直接的に吸入可能なエアロゾルを発生させるためにエアロゾル形成基材を用いてエアロゾルを発生させる装置を意味し得る。エアロゾル発生装置の幾つかの例示については、
図1~
図3を参照する。
【0034】
以下の実施形態において、「エアロゾル発生物品」は、エアロゾルを発生させることができる物品を意味し得る。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基材を含んでもよい。エアロゾル発生物品の代表的な例としては、シガレットが挙げられるが、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。
【0035】
以下の実施形態において、「上流」(upstream)または「上流方向」は、ユーザ(喫煙者)の口部から遠ざかる方向を意味し、「下流」(downstream)または「下流方向」は、ユーザの口部から近づく方向を意味し得る。上流および下流という用語は、エアロゾル発生物品を構成する要素の相対的位置を説明するために用いられ得る。例えば、
図7に例示されたエアロゾル発生物品2において、タバコロッド21は、フィルターロッド22の上流または上流方向に位置し、フィルターロッド22は、タバコロッド21の下流または下流方向に位置する。
【0036】
以下の実施形態において、「パフ」(puff)は、ユーザの吸入(inhalation)を意味し、吸入とは、ユーザの口や鼻を通じてユーザの口腔内、鼻腔内または肺に引き寄せる状況を意味し得る。
【0037】
以下の実施形態において、「長さ方向」(longitudinal direction)は、エアロゾル発生物品の長さ方向軸に相当する方向を意味し得る。
【0038】
以下では、添付の図面に基づいて本開示の多様な実施形態について説明する。
【0039】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるエアロゾル発生装置1を説明するための例示図である。特に、
図1以降の図面は、エアロゾル発生物品2が挿入された(収容された)状態を例示している。
【0040】
図1に示されたように、本実施形態によるエアロゾル発生装置1は、ハウジング、ヒーター部13、バッテリー11および制御部12を含んでもよい。ただし、
図1には、本開示の実施形態に関連した構成要素のみが示されている。したがって、本開示の属する技術分野における通常の技術者なら、
図1に示された構成要素以外に他の汎用的な構成要素をさらに含んでもよいことが分かる。例えば、エアロゾル発生装置1は、ユーザから命令などの入力を受けるための入力モジュール(e.g.ボタン、タッチ可能なディスプレイなど)と装置の状態、喫煙情報などのような情報を出力するための出力モジュール(e.g.LED、ディスプレイ、振動モーターなど)をさらに含んでもよい。以下、エアロゾル発生装置1の各構成要素について説明する。
【0041】
ハウジングは、エアロゾル発生装置1の外観を形成することができる。また、ハウジングは、エアロゾル発生物品2を収容するための収容空間を形成することができる。ハウジングは、内部の構成要素を保護できる素材で具現されることが好ましい。
【0042】
次に、ヒーター部13は、収容空間に収容されたエアロゾル発生物品2を加熱することができる。具体的に、エアロゾル発生物品2がエアロゾル発生装置1の収容空間内に収容されると、ヒーター部13は、バッテリー11から供給された電力によりエアロゾル発生物品2を加熱することができる。
【0043】
ヒーター部13は、多様な形態および/または方式で構成されてもよい。
【0044】
例えば、ヒーター部13は、電気抵抗性加熱要素を含むように構成されてもよい。例えば、ヒーター部13は、電気絶縁性基質(例えば、ポリイミド(polyimide)で形成された基質)および電気伝導性トラック(track)を含み、電気伝導性トラックに電流が流れるにつれて発熱する加熱要素を含んでもよい。しかしながら、本開示の範囲が上述した例示に限定されるものではなく、加熱要素は、希望温度まで加熱されることができるものであれば、制限なしで該当することができる。ここで、希望温度は、エアロゾル発生装置1に既設定(e.g.温度プロファイルがあらかじめ保存されている場合)されていてもよく、ユーザにより所望の温度に設定されてもよい。
【0045】
他の例として、ヒーター部13は、誘導加熱方式で動作する加熱要素を含むように構成されてもよい。具体的に、ヒーター部13は、エアロゾル発生物品2を誘導加熱方式で加熱するためのインダクター(inductor;e.g.誘導コイル)と、インダクターにより誘導加熱されるサセプタ(susceptor)を含んでもよい。サセプタは、エアロゾル発生物品2の内部または外部に位置してもよい。
【0046】
また、例えば、ヒーター部13は、エアロゾル発生物品2を内部で加熱する加熱要素(以下、「内部加熱要素」という)、外部で加熱する加熱要素(以下、「外部加熱要素」という)またはこれらの組み合わせを含むように構成されてもよい。内部加熱要素は、例えば管状、針状または棒状などの形状からなり、エアロゾル発生物品2の少なくとも一部を貫通するように配置されてもよく、外部加熱要素は、板状、円筒状などの形状からなり、エアロゾル発生物品2の少なくとも一部を取り囲む形態で配置されてもよい。ただし、本開示の範囲がこれに限定されるものではなく、加熱要素の形状、個数、配置形態などは多様に設計可能である。重複説明を排除するために、ヒーター部13の加熱構造に関するより詳しい説明は、
図9~
図12を参照して後述する。
【0047】
次に、バッテリー11は、エアロゾル発生装置1が動作するのに用いられる電力を供給することができる。例えば、バッテリー11は、ヒーター部13がエアロゾル発生物品2を加熱できるように電力を供給することができ、制御部12が動作するのに必要な電力を供給することができる。
【0048】
また、バッテリー11は、エアロゾル発生装置1に設置されたディスプレイ(不図示)、センサー(不図示)、モーター(不図示)などの電気的構成要素が動作するのに必要な電力を供給することができる。
【0049】
次に、制御部12は、エアロゾル発生装置1の動作を全般的に制御することができる。例えば、制御部12は、ヒーター部13およびバッテリー11の動作を制御することができ、エアロゾル発生装置1に含まれた他の構成要素の動作をも制御することができる。制御部12は、バッテリー11が供給する電力、ヒーター部13の加熱温度などを制御することができる。また、制御部12は、エアロゾル発生装置1の構成それぞれの状態を確認して、エアロゾル発生装置1が動作可能な状態であるか否かを判断することもできる。
【0050】
制御部12は、少なくとも1つの制御部(processor)により具現されてもよい。前記制御部は、多数の論理ゲートのアレイで具現されてもよく、汎用的なマイクロ制御部とこのマイクロ制御部で実行され得るプログラムが保存されたメモリーの組み合わせで具現されてもよい。また、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者なら、制御部12が他の形態のハードウェアで具現されてもよいことを自明に理解することができる。
【0051】
エアロゾル発生物品2は、一般的な燃焼型シガレットと類似した構造を有していてもよい。例えば、エアロゾル発生物品2は、タバコ物質(またはエアロゾル形成基材)を含む第1部分(e.g.タバコロッド)と、フィルターなどを含む第2部分(e.g.フィルターロッド)とに区分される。エアロゾル発生装置1の内部には、第1部分の全体が挿入され、第2部分が外部に露出してもよい。またはエアロゾル発生装置1の内部に第1部分の一部のみが挿入されてもよく、第1部分の全体および第2部分の一部が挿入されてもよい。ユーザは、第2部分を口で噛んだ状態で喫煙を行うことができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、エアロゾル発生物品2は、タバコ顆粒が充填された物品であってもよいが、本実施形態に関しては、
図6以降の図面を参照して詳細に後述する。
【0053】
一方、いくつかの実施形態において、エアロゾル発生装置1は、無煙機能(すなわち、使用中に可視煙が発生しない機能または可視煙の発生が最小化される機能)を具備するものであってもよい。また、エアロゾル発生物品2は、無煙機能を具現するために考案されたものであってもよい。具体的に、エアロゾル発生物品2は、タバコ顆粒が充填されている物品であり、エアロゾル発生装置1は、約270℃以下の加熱温度でエアロゾル発生物品2を加熱するように動作することができる。この場合、喫煙中に可視煙が発生しないか、可視煙の発生が最小化できるが、これは、タバコ顆粒が刻み(e.g.葉タバコ刻み、板状葉刻み)、板状葉などのタバコ物質よりも水分および/またはエアロゾル形成剤の含有量が顕著に少ないため、可視煙の発生を減少させることができるためである。また、タバコ顆粒は、刻み、板状葉などのタバコ物質より低い加熱温度(e.g.刻みの加熱温度は、通常、270℃以上)でも十分な喫味が発現することができ(すなわち、ニコチンが十分に移行することができ)、ヒーター部13の加熱温度を低くすることができ、加熱温度が低くなるにつれて可視煙の発生がさらに減少することができるためである。本実施形態によれば、無煙機能が提供されることによって、ユーザが場所や環境に制約を受けずにエアロゾル発生装置を使用することができるところ、ユーザの便宜性が大きく向上することができる。本実施形態に関しては、
図6以降の図面を参照してエアロゾル発生物品2の構造と共により詳細に後述する。
【0054】
以下では、
図2~
図5を参照して他の類型のエアロゾル発生装置1について説明する。ただし、本開示の明瞭さのために、前述した実施形態と重複する内容に関する説明は省略する。
【0055】
図2および
図3は、本開示の他のいくつかの実施形態によるエアロゾル発生装置1を説明するための図である。
【0056】
図2および
図3に示されたように、本実施形態によるエアロゾル発生装置1は、カートリッジ15とカートリッジヒーター部14をさらに含んでもよい。
図2は、ヒーター部13(またはエアロゾル発生物品2)とカートリッジヒーター部14が一列に配置されたことを例示し、
図3は、ヒーター部13(またはエアロゾル発生物品2)とカートリッジヒーター部14が並列に配置されたことを例示している。しかしながら、エアロゾル発生装置1の内部構造が
図2および
図3の例示に限定されるものではなく、構成要素の配置は、いくらでも変更可能である。
【0057】
カートリッジ15は、液状貯蔵槽および液状伝達手段を含んでもよい。しかしながら、これに限定されるのではなく、カートリッジ15は、他の構成要素をさらに含んでもよい。また、カートリッジ15は、カートリッジヒーター部14から脱装着可能に製作されてもよく、カートリッジヒーター部14と一体に製作されてもよい。
【0058】
液状貯蔵槽は、液状組成物を貯蔵することができる。例えば、液状組成物は、タバコ含有物質(またはニコチン含有物質)を含む液体であってもよく、非タバコ物質を含む液体であってもよい。例えば、液状組成物は、水、ソルベント、エタノール、植物抽出物(e.g.タバコ抽出物)、ニコチン、香料、エアロゾル形成剤、香味剤またはビタミン混合物を含んでもよい。香料は、メントール、ペパーミント、スペアミントオイル、各種フルーツの香り成分などを含んでもよいが、これに限定されるものではない。香味剤は、ユーザに多様な香味または風味を提供できる成分を含んでもよい。ビタミン混合物は、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンCおよびビタミンEのうち少なくとも一つが混ざり合ったものであってもよいが、これに限定されない。また、エアロゾル形成剤の例としては、グリセリンまたはプロピレングリコールを挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0059】
次に、液状伝達手段は、液状貯蔵槽に貯蔵された液状組成物をカートリッジヒーター部14に伝達することができる。例えば、液状伝達手段は、コットン繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、多孔性セラミックのようなウィク(wick)要素が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0060】
次に、カートリッジヒーター部14は、カートリッジ15に貯蔵された液状のエアロゾル形成基材(e.g.液状組成物)を加熱してエアロゾルを形成させることができる。例えば、カートリッジヒーター部14は、液状伝達手段により伝達された液状組成物を加熱してエアロゾルを形成させることができる。形成されたエアロゾルは、エアロゾル発生物品2を通過してユーザに伝達されうる。言い換えれば、カートリッジヒーター部14の加熱によって形成されたエアロゾルは、エアロゾル発生装置1の気流パスに沿って移動することができ、気流パスは、形成されたエアロゾルがエアロゾル発生物品2を通過してユーザに伝達されうるように構成されてもよい。カートリッジヒーター部14の動作、加熱温度などは、制御部12により制御することができる。
【0061】
カートリッジヒーター部14は、例えば、金属熱線、金属熱板、セラミックヒーター部などが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、カートリッジヒーター部14は、例えばニクロム線のような導電性フィラメントで構成されてもよく、液状伝達手段に取り巻かれる構造で配置されてもよい。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0062】
参考として、当該技術分野においてカートリッジヒーター部14とカートリッジ15は、カトマイザー(cartomizer)、アトマイザー(atomizer)、気化器(vaporizer)などのような用語と称されることがある。
【0063】
一方、本開示のいくつかの実施形態によれば、
図2または
図3に例示されたエアロゾル発生装置1は、無煙モードまたは有煙モードで動作することができる。具体的に、エアロゾル発生装置1は、無煙モードおよび有煙モードのうち設定されたモードで動作することができ、動作モードは、ユーザにより設定することができる。以下、各動作モードとエアロゾル発生装置1の動作について
図4および
図5をさらに参照して付加説明する。
【0064】
図4に示されたように、無煙モードは、エアロゾル発生装置1によりエアロゾルが発生し、かつ、可視煙が発生しないモード(または可視煙の発生が最小化されるモード)を意味し得る。無煙モードを具現するために、制御部12は、カートリッジヒーター部14とヒーター部13のうちヒーター部13のみを動作させることができる。言い換えれば、設定されたモードが無煙モードという判断に応答して、制御部12は、ヒーター部13のみを動作させることができる。この場合、カートリッジ15は、加熱されずに、エアロゾル発生物品2のみが加熱されることによって、可視煙が発生することを防止することができる。具体的に、カートリッジ15に貯蔵された液状は、加熱されるにつれて可視煙を含むエアロゾルを発生させるが、液状の加熱が防止されるので、可視煙の発生も防止することができる。
【0065】
次に、
図5に示されたように、有煙モードは、エアロゾル発生装置1によりエアロゾルが発生し、かつ、可視煙も発生するモードを意味し得る。有煙モードを具現する方式は多様であり、具体的な具現方式は、実施形態によって変わることができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、制御部12は、カートリッジヒーター部14とヒーター部13を全部動作させることができる。この場合、カートリッジ15に貯蔵された液状が加熱されるにつれて可視煙を含むエアロゾルが形成され、形成されたエアロゾルがエアロゾル発生物品2を通じて放出されることによって、有煙モードを具現することができる。この際、ヒーター部13の加熱温度は、無煙モードの加熱温度より低く設定されることもできる。有煙モードでは、カートリッジ15で形成された高温のエアロゾルがエアロゾル発生物品2を通過するので、エアロゾル発生物品2が相対的に低い温度で加熱されても、十分な喫味を保障することができるためである。例えば、ヒーター部13の加熱温度は、無煙モードでは、約230℃以上(e.g.約230℃~270℃)であってもよく、有煙モードでは、約230℃以下(e.g.約220℃)であってもよい。
【0067】
他のいくつかの実施形態において、制御部12は、カートリッジヒーター部14のみを動作させることもできる。カートリッジ15のみが加熱されても、可視煙を含むエアロゾルが形成されるためである。より高温のエアロゾルを形成するために、本実施形態によるカートリッジヒーター部14の加熱温度は、前述した実施形態の加熱温度より高くてもよい。
【0068】
以上、
図1~
図5を参照して本開示のいくつかの実施形態によるエアロゾル発生装置1について説明した。以下では、
図6以降の図面を参照して本開示のいくつかの実施形態によるエアロゾル発生物品2について説明する。
【0069】
図6は、本開示のいくつかの実施形態によるエアロゾル発生物品2を概略的に示す例示図である。
【0070】
図6に示されたように、エアロゾル発生物品2は、フィルターロッド22およびキャビティ(cavity)が形成されたタバコロッド21を含んでもよい。ただし、
図6には、本開示の実施形態に関連した構成要素のみが示されている。したがって、本開示の属する技術分野における通常の技術者なら、
図6に示された構成要素以外に他の汎用的な構成要素をさらに含んでもよいことが分かる。以下、エアロゾル発生物品2の各構成要素について説明する。
【0071】
フィルターロッド22は、タバコロッド21の下流に位置し、エアロゾルに対する濾過機能を行うことができる。このために、フィルターロッド22は、紙、セルロースアセテート繊維などのようなフィルター物質を含んでもよい。フィルターロッド22は、フィルター物質をラッピング(wrapping)しているラッパーをさらに含むものであってもよい。
【0072】
フィルターロッド22は、多様な形状で製作することができる。例えば、フィルターロッド22は、円柱型(type)ロッドであってもよく、内部に中空を含むチューブ型ロッドであってもよい。また、フィルターロッド22は、リセス型ロッドであってもよい。もし、フィルターロッド22が複数のセグメントで構成された場合、複数のセグメントのうち少なくとも一つが異なる形状で製作することもできる。
【0073】
フィルターロッド22は、香味が発生するように製作することもできる。一例として、フィルターロッド22に加香液を噴射することもでき、加香液が塗布された別途の繊維をフィルターロッド22の内部に挿入することもできる。他の例として、フィルターロッド22には、香液を含有する少なくとも一つのカプセル(不図示)を含んでもよい。
【0074】
図6は、フィルターロッド22が単一セグメントで構成されたことを例示しているが、本開示の範囲がこれに限定されるものではなく、フィルターロッド(22)は、複数のセグメントで構成されてもよい。例えば、
図7に示されたように、フィルターロッド22は、エアロゾルに対する冷却機能を行う冷却セグメント222と、エアロゾルに対する濾過機能を行うマウスピースセグメント221とで構成されてもよい。または、場合によって、フィルターロッド22は、他の機能を行う少なくとも一つのセグメントをさらに含んでもよい。
【0075】
参考として、冷却セグメント222は、多様な形態で製造することができる。例えば、冷却セグメント222は、紙管、中空が形成されたセルロースアセテートフィルター、複数の穴が開けられたセルロースアセテートフィルター、高分子物質または生分解性高分子物質が充填されたフィルターなどの形態で製造することができる。しかしながら、これに限定されるのではなく、エアロゾルが冷却される機能を行うことができると、冷却セグメント222は、いかなる形態で製造しても関係ない。高分子物質または生分解性高分子物質は、ポリ乳酸(PLA)素材の織物であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0076】
また、マウスピースセグメント221は、例えばセルロースアセテートフィルター(すなわち、セルロースアセテート繊維からなるフィルター)であってもよいが、これに限定されるものではない。上述したフィルターロッド22に関する説明は、マウスピースセグメント221にも適用することができる。
【0077】
【0078】
タバコロッド21は、タバコロッド21は、キャビティまたはキャビティセグメント212を含むタバコロッドであって、加熱されるにつれてニコチンのようなタバコ成分(または喫味成分)を供給することができる。
【0079】
図示のように、タバコロッド21は、第1フィルターセグメント211と、第2フィルターセグメント213と、第1フィルターセグメント211および第2フィルターセグメント213により形成されたキャビティセグメント212と、を含んでもよい。そして、キャビティセグメント212には、タバコ顆粒214(すなわち顆粒形態のタバコ物質)が充填されてもよい。タバコロッド21は、ロッドをラッピングしているラッパーをさらに含むものであってもよい。
【0080】
第1フィルターセグメント211は、キャビティセグメント212を形成するフィルターセグメントであり、キャビティセグメント212の下流に位置していてもよい。第1フィルターセグメント211は、キャビティ形成機能の他にも、エアロゾルに対する濾過、冷却機能などをさらに行うこともできる。
【0081】
いくつかの実施形態において、第1フィルターセグメント211は、紙物質を含んでもよい。言い換えれば、第1フィルターセグメント211は、紙フィルターからなる。円滑な気流パス確保のために、紙物質は、長さ方向に配列されることが好ましい。しかしながら、これに限定されるものではない。本実施形態によれば、加熱式エアロゾル発生装置1に適したタバコロッド21を製造することができる。具体的に、セルロースアセテート繊維は、一定温度以上で加熱されると、溶融または収縮する現象が起こるため、ヒーター部13により加熱されるタバコロッド部位に適用され難い。それに対して、紙物質は、熱により変性がほとんど起こらないため、タバコロッド部位に容易に適用でき、これを通じて、加熱式エアロゾル発生装置1に適したタバコロッド21を製造することができる。ただし、他のいくつかの実施形態では、第1フィルターセグメント211がセルロースアセテートフィルターからなる。この場合には、第1フィルターセグメント211の除去能が向上する効果を達成することができる。
【0082】
また、いくつかの実施形態において、第1フィルターセグメント211は、耐水性または耐油性の紙物質を含んでもよい。この場合、エアロゾル内に含有された煙成分(e.g.水分、エアロゾル形成剤成分)が第1フィルターセグメント211を通過する間に吸収されて、可視的霧化量が減少する問題を大きく軽減することができる。例えば、第1フィルターセグメント211が一般的な紙物質を含む場合、紙物質の吸湿性に起因して上述した煙成分が吸収されて可視的霧化量が減少することができる。しかしながら、耐水性または耐油性の紙物質が適用されると、上述した煙成分の吸収がほとんど起こらないため、このような霧化量の減少問題を解決することができる。
【0083】
また、いくつかの実施形態において、第1フィルターセグメント211または第2フィルターセグメント213の吸引抵抗は、約50mmH
2O/60mm~150mmH
2O/60mmであってもよく、好ましくは、約50mmH
2O/60mm~130mmH
2O/60mm、約50mmH
2O/60mm~120mmH
2O/60mm、約50mmH
2O/60mm~110mmH
2O/60mm、約50mmH
2O/60mm~100mmH
2O/60mm、約50mmH
2O/60mm~90mmH
2O/60mm、約50mmH
2O/60mm~100mmH
2O/80mmまたは約50mmH
2O/60mm~70mmH
2O/60mmであってもよい。このような数値範囲内で、適切な吸い込み性を保障することができる。また、適切な吸い込み性によってキャビティセグメント212内における渦流の発生確率が増加し、そのため、多数のタバコ顆粒214が均一に加熱される効果を達成でき、これに関しては、
図8を参照して後ほど付加説明する。また、フィルターセグメント211、213が紙フィルターである場合、例示された数値範囲内で適切な霧化量が保障されることが確認された。
【0084】
次に、第2フィルターセグメント213は、キャビティセグメント212を形成するフィルターセグメントであり、キャビティセグメント212の上流に位置していてもよい。第2フィルターセグメント213は、タバコ顆粒214に対する脱落防止機能をさらに行うことができる。それだけでなく、第2フィルターセグメント213は、エアロゾル発生物品2がエアロゾル発生装置1に挿入される場合、キャビティセグメント212がエアロゾル発生装置1内の適切な位置に配置されるようにすることができる。また、第2フィルターセグメント213は、タバコロッド21が外部に離脱することを防止することができ、喫煙中にタバコロッド21から液状化したエアロゾルがエアロゾル発生装置1に流れて行くことを防止することもできる。
【0085】
いくつかの実施形態において、第2フィルターセグメント213は、紙物質を含んでもよい。言い換えれば、第2フィルターセグメント213は、紙フィルターからなる。円滑な気流パス確保のために、紙物質は、長さ方向に配列されることが好ましい。しかしながら、これに限定されるものではない。本実施形態によれば、加熱式エアロゾル発生装置1に適したタバコロッド21を製造することができる。具体的に、セルロースアセテート繊維は、内部加熱要素と接触時に溶融または収縮する現象が起こるため、タバコ顆粒214の脱落現象を加速化することができる。しかしながら、熱に強い紙物質は、このような現象を大きく緩和させることができる。
【0086】
また、いくつかの実施形態において、第2フィルターセグメント213は、耐水性または耐油性の紙物質を含んでもよい。この場合、上記で言及したように、可視的霧化量が減少する問題を大きく軽減することができる。
【0087】
一方、フィルターセグメント211、213に含まれる紙物質の物性は多様である。
【0088】
いくつかの実施形態において、紙物質の耐油度は、3M Kit Testによって測定時、約4以上(すなわち、1から12までの範囲で約4以上)であってもよく、好ましくは、約5、6、7または8以上であってもよい。このような数値範囲内で、紙物質の吸湿に起因して可視的霧化量(すなわち、可視煙の発生量)が減少する問題(e.g.有煙モードで可視的霧化量の減少)を解決することができる。
【0089】
また、いくつかの実施形態において、紙物質の厚さは、約30μm~50μmであってもよく、好ましくは、約33μm~47μm、約35μm~45μmまたは約37μm~42μmであってもよい。
【0090】
また、いくつかの実施形態において、紙物質の坪量は、約20g/m2~40g/m2であってもよく、好ましくは、約23g/m2~37g/m2、約25g/m2~35g/m2、約27g/m2~33g/m2であってもよい。
【0091】
また、いくつかの実施形態において、紙物質の引張強度は、約2.5kgf/15mm以上であってもよく、好ましくは、約2.8kgf/15mm、3.2kgf/15mmまたは3.5kgf/15mm以上であってもよい。
【0092】
また、いくつかの実施形態において、紙物質の伸び率は、約0.8%以上であってもよく、好ましくは、約1.0%、1.2%または約1.5%以上であってもよい。
【0093】
また、いくつかの実施形態において、紙物質の反り剛性(stiffness)は、約100cm3以上であってもよく、好ましくは、約120cm3、150cm3または180cm3以上であってもよい。
【0094】
また、いくつかの実施形態において、紙物質の灰分含有量は、約1.5%以下であってもよく、好ましくは、約1.2%、1.0%または0.8%以下であってもよい。
【0095】
また、いくつかの実施形態において、紙物質の紙幅は、約80mm~250mmであってもよく、好ましくは、約90mm~230mm、約100mm~200mm、約120mm~180mmまたは約120mm~150mmであってもよい。このような数値範囲内でフィルターセグメント211、213が適切な吸引抵抗を有し、適切な霧化量が保障されることが確認された。
【0096】
次に、キャビティセグメント212は、キャビティを具備するセグメントであり、第1フィルターセグメント211と第2フィルターセグメント213との間に位置していてもよい。すなわち、キャビティセグメント212は、フィルターセグメント211と第2フィルターセグメント213により形成される。
【0097】
キャビティセグメント212は、多様な方式で製造することができる。一例として、キャビティセグメント212は、紙管などのようなチューブ型構造物を含む形態で製造することができる。他の例として、キャビティセグメント212は、二つのフィルターセグメント211、213により形成されたキャビティを適切な素材のラッパーでラッピングすることによって製造することもできる。ただし、本開示の範囲がこれに限定されるものではなく、タバコ顆粒214が充填されることができると、キャビティセグメント212は、いかなる方式で製造されても構わない。
【0098】
キャビティセグメント212の長さは、約8mm~12mm内で自由に選択できるが、本開示の範囲がこのような数値範囲に限定されるものではない。
【0099】
図示のように、キャビティセグメント212には、タバコ顆粒214が充填されていてもよい。タバコ顆粒214は、他の類型のタバコ物質(e.g.葉タバコ刻み、板状葉など)に比べて低い加熱温度でも十分な喫味が発現できるので、ヒーター部13の消費電力を減らすことができる。それだけでなく、タバコ顆粒214は、他の類型のタバコ物質(e.g.葉タバコ刻み、板状葉など)よりも水分および/またはエアロゾル形成剤の含有量を減らすことが容易で(すなわち、水分含有量が少ないか、エアロゾル形成剤含有量が少ないタバコ顆粒を製造することが容易である)、エアロゾル発生装置1の無煙機能の具現に適したタバコ物質でありうる。
【0100】
タバコ顆粒214の直径、密度、充填率、構成物質の組成比、加熱温度などは多様であり、これは、実施形態によって変わることができる。
【0101】
いくつかの実施形態において、タバコ顆粒214の直径は、約0.3mm~1.2mmであってもよい。このような数値範囲内で、タバコ顆粒214の適切な硬度と製造容易性が保障され、キャビティセグメント212内での渦流の発生確率が増加することができる。渦流の発生と関連しては、
図8を参照して後ほど付加説明する。
【0102】
また、いくつかの実施形態において、タバコ顆粒214のサイズは、約15メッシュ(mesh)~50メッシュであってもよく、好ましくは、約15メッシュ~45メッシュ、約20メッシュ~45メッシュ、約25メッシュ~45メッシュまたは約25メッシュ~40メッシュであってもよい。このような数値範囲内で、タバコ顆粒214の適切な硬度と製造容易性が保障され、脱落現象が最小化され、キャビティセグメント212内での渦流の発生確率が増加することができる。
【0103】
また、いくつかの実施形態において、タバコ顆粒214の密度は、0.5g/cm
3~1.2g/cm
3であってもよく、好ましくは、約0.6g/cm
3~1.0g/cm3、0.7g/cm
3~0.9g/cm
3または0.6g/cm
3~0.8g/cm
3であってもよい。このような数値範囲内で、タバコ顆粒214の適切な硬度が保障され、キャビティセグメント212内での渦流の発生確率が増加することができる。渦流の発生と関連しては、
図8を参照して後ほど付加説明する。
【0104】
また、いくつかの実施形態において、タバコ顆粒214の硬度は、約80%以上であってもよく、好ましくは、85%または90%以上、より好ましくは、91%、93%、95%または97%以上であってもよい。このような数値範囲内で、タバコ顆粒214の製造容易性が向上し、砕け散る現象が最小化されて、エアロゾル発生物品2の製造容易性も向上することができる。本実施形態において、タバコ顆粒214の硬度は、国家標準試験方法であるKSM-1802(「活性炭試験方法」)に基づいて測定された数値である。硬度測定方法の詳しい内容と測定値の意味については、国家標準KSM-1802を参照する。
【0105】
また、いくつかの実施形態において、キャビティセグメント212に対するタバコ顆粒214の充填率は、約80体積%以下であってもよく、好ましくは、約70体積%、60体積%または50体積%以下であってもよい。このような数値範囲内で、キャビティセグメント212内での渦流の発生確率が増加することができる。渦流の発生と関連しては、
図8を参照して後ほど付加説明する。また、タバコ顆粒214の充填率は、適切な喫味を保障するために、約20体積%、30体積%または約40体積%以上であることが好ましい。
【0106】
また、いくつかの実施形態において、タバコ顆粒214は、約20重量%以下の水分を含んでもよく、好ましくは、約15重量%、12重量%、10重量%、7重量%または5重量%以下の水分を含んでもよい。このような数値範囲内で、可視煙の発生が大きく減少でき、エアロゾル発生装置1の無煙機能を容易に具現することができる。ただし、他のいくつかの実施形態において、タバコ顆粒214は、約20重量%以上の水分を含んでもよい。
【0107】
また、いくつかの実施形態において、タバコ顆粒214は、約10重量%以下のエアロゾル形成剤を含んでもよく、好ましくは、約7重量%、5重量%、3重量%または1重量%のエアロゾル形成剤を含んでもよい。または、タバコ顆粒214は、エアロゾル形成剤を含まなくてもよい。このような数値範囲内で、可視煙の発生が大きく減少することができ、エアロゾル発生装置1の無煙機能を容易に具現することができる。ただし、他のいくつかの実施形態において、タバコ顆粒214は、約10重量%以上のエアロゾル形成剤を含んでもよい。
【0108】
また、いくつかの実施形態において、タバコ顆粒214の加熱温度は、約270℃、260℃、250℃、240℃または230℃以下であってもよい。言い換えれば、ヒーター部13が例示された範囲の加熱温度でタバコロッド21を加熱することができる。このような数値範囲内で、タバコ顆粒214が過加熱されて、焦げ味が発現する問題を解決することができる。それだけでなく、適切な喫味が保障されると同時に、可視煙の発生が最小化されて、エアロゾル発生装置1の無煙機能を容易に具現することができる。付加説明すると、刻み、板状葉などのようなタバコ物質は、約270℃以上で加熱される場合、十分な喫味が発現するのに対し、タバコ顆粒214は、それより低い温度でも十分な喫味が発現することができるので、ヒーター部13の消費電力が減少することができ、可視煙の発生も容易に抑制することができる。また、このような特性に起因して、タバコ顆粒214が他の類型のタバコ物質に比べてエアロゾル発生装置1の無煙機能を具現するのに適している。
【0109】
また、いくつかの実施形態において、タバコ顆粒214の湿量基準(wet basis)ニコチン含有量は、約1.0%~4.0%であり、好ましくは、約1.5%~3.5%、1.8%~3.0%または2.0%~2.5%であってもよい。このような数値範囲内で、適切なレベルの喫味感を保障することができる。
【0110】
また、いくつかの実施形態において、タバコ顆粒214の乾量基準(dry basis)ニコチン含有量は、約1.2%~4.2%で、好ましくは、約1.7%~3.7%、2.0%~3.2%または2.2%~2.7%であってもよい。このような数値範囲内で、適切なレベルの喫味感を保障することができる。
【0111】
一方、明確に示していないが、エアロゾル発生物品2は、少なくとも一つのラッパーにより包装することができる。一例として、エアロゾル発生物品2は、一つのラッパーにより包装することができる。他の例として、エアロゾル発生物品2は、2以上のラッパーにより重複して包装することもできる。例えば、第1ラッパーによりタバコロッド21を包装し、第2ラッパーによりフィルターロッド22を包装することができる。そして、個別ラッパーにより包装したタバコロッド21およびフィルターロッド22が結合し、第3ラッパーによりエアロゾル発生物品2全体を再包装することができる。もし、タバコロッド21またはフィルターロッド22それぞれが複数のセグメントで構成されていると、それぞれのセグメントを個別ラッパーにより包装することができる。そして、個別ラッパーにより包装されたセグメントが結合したエアロゾル発生物品2全体を異なるラッパーにより再包装することができる。ラッパーには、外部空気が流入したり内部気体が流出する少なくとも一つの穴(hole)が形成されてもよい。
【0112】
以上では、
図6および
図7を参照して本開示のいくつかの実施形態によるエアロゾル発生物品2について説明した。上述したことによれば、タバコ顆粒214が充填されたエアロゾル発生物品2を提供することができる。このようなエアロゾル発生物品2は、カートリッジ形態の製品(すなわち、タバコ顆粒が充填されたカートリッジ製品)よりも優れた喫煙感と親密度をユーザに与えることができ、製造費用も減少させることができる。
【0113】
また、エアロゾル発生装置1の無煙機能を具現するのに適したエアロゾル発生物品2を提供することができる。具体的に、エアロゾル発生物品2は、タバコ顆粒214が充填されているタバコロッド21を含み、タバコ顆粒214は、刻み(e.g.葉タバコ刻み、板状葉刻み)、板状葉などのようなタバコ物質に比べて水分および/またはエアロゾル形成剤の含有量が顕著に少ないため、可視煙の発生を大きく減少させることができる。それだけでなく、タバコ顆粒214は、他の類型のタバコ物質に比べて相対的に低い温度でも十分な喫味が発現するので、エアロゾル発生装置1の加熱温度を相対的に低く設定することができ、加熱温度が低くなるにつれて可視煙の発生がさらに減少することができる。
【0114】
また、タバコロッド21の上流と下流に位置するフィルターセグメント211、213によってキャビティセグメント212が形成されることができ、キャビティセグメント212内にタバコ顆粒214が充填されることができる。これによって、タバコ顆粒214の脱落現象を最小化できるタバコロッド21を容易に製造することができる。
【0115】
また、フィルターセグメント211、213が紙フィルターからなってもよい。この場合、ヒーター部13の加熱によってフィルターセグメント211、213の物性が変化する問題を防止することができる。
【0116】
一方、本開示の発明者らは、特定の条件が満足される場合、パフ時にキャビティセグメント212内で渦流が発生し、発生した渦流に起因して多数のタバコ顆粒214が混ざり合って均一に加熱される現象が現れることを確認した。以下では、このような渦流の発生原理と条件について
図8を参照して説明する。
【0117】
図8は、本開示のいくつかの実施形態によるエアロゾル発生物品2において渦流が発生する原理と条件を説明するための例示図である。理解の便宜を提供するために、
図8以降の図面は、フィルターロッド22を除いてタバコロッド21のみを示している。
【0118】
図8に示されたように、特定の条件が満足される場合、パフによって第2フィルターセグメント213を通じて流入した気流(点線矢印を参照)がキャビティセグメント212内で渦流する現象が発生することができる。例えば、パフによって流入した気流がパフによって下流方向に移動する多数のタバコ顆粒214と会って不規則な気流の流れが形成され、このような過程中に渦流が発生する。また、発生した渦流により多数のタバコ顆粒214がよく混ざり合って均一に加熱されることができる。例えば、さらに加熱されたタバコ顆粒214と少なく加熱されたタバコ顆粒214が混ざり合ってタバコ顆粒214の位置が変更されるにつれて多数のタバコ顆粒214が均一に加熱される効果を達成することができる。これによって、喫煙時に焦げ味が減少し、喫味が向上することができる。
【0119】
本発明者らは、持続的な研究過程中に上記のような渦流の発生現象が現れることを確認し、実験を通じて次のような条件下で渦流の発生確率が大きく増加することを確認した。以下、渦流の発生条件について説明する。
【0120】
まず、第1条件は、キャビティセグメント212の充填率に関するものである。キャビティセグメント212内に空いた空間が十分に存在する場合、多数のタバコ顆粒214が容易に移動および混ざり合うことができるためである。実験結果によれば、キャビティセグメント212に対するタバコ顆粒214の充填率が約80体積%以下である場合、渦流がよく発生することが確認され、約70体積%以下である場合、渦流の発生確率がさらに増加することが確認された。
【0121】
次に、第2条件は、タバコ顆粒214の密度に関するものである。タバコ顆粒214の重さが非常に重ければ、パフまたは気流によって移動することが難しく、流入する気流に対して強い抵抗として作用することができるためである。実験結果によれば、タバコ顆粒214の密度が約1.2g/cm3以下である場合、渦流がよく発生することが確認され、約1.0g/cm3以下である場合、渦流の発生確率がさらに増加することが確認された。
【0122】
次に、第3条件は、タバコ顆粒214の直径に関するものである。タバコ顆粒214の直径が非常に大きくても、流入する気流に対して強い抵抗として作用することができるためである。実験結果によれば、タバコ顆粒214の直径が約1.2mm以下である場合、渦流がよく発生することが確認され、約1.0mm以下である場合、渦流の発生確率がさらに増加することが確認された。
【0123】
次に、第4条件は、第1フィルターセグメント211の吸引抵抗に関するものである。吸引抵抗が非常に低ければ、吸い込み誤りが発生して、パフによる吸入力がキャビティセグメント212まで伝達されないことがあるためである。実験結果によれば、第1フィルターセグメント211の吸引抵抗が約50mmH2O/60mm以上である場合、渦流がよく発生することが確認され、約70mmH2O/60mm以上である場合、渦流の発生確率がさらに増加することが確認された。
【0124】
以上では、
図8を参照して渦流の発生原理に関連した条件について説明した。以下では、
図9~
図12を参照して本開示のいくつかの実施形態によるヒーター部13の加熱構造について説明する。
【0125】
まず、
図9を参照して本開示の第1実施形態によるヒーター部13の加熱構造について説明する。
【0126】
図9に示されたように、本実施形態によるヒーター部13は、外部加熱要素131を含むように構成されてもよく、外部加熱要素131は、キャビティセグメント212のみを加熱するように配置されてもよい。例えば、外部加熱要素131は、キャビティセグメント212の少なくとも一部を取り囲む形態で配置されてもよい。
【0127】
この場合、ヒーター部13の熱によりフィルターセグメント211、213の物性が変化する問題とフィルターセグメント211、213の吸湿に起因して可視的霧化量(すなわち、可視煙の発生量)が減少する問題を解決することができる。例えば、フィルターセグメント211、213がセルロースアセテートフィルターである場合、ヒーター部13の熱によりセルロースアセテート繊維が溶融または収縮する問題が発生しうるが、このような問題を解決することができる。他の例として、フィルターセグメント211、213が紙フィルターである場合、ヒーター部13の熱により紙物質の吸湿性が増加するにつれて有煙モードで霧化量が減少する問題が発生しうるが、このような問題も解決することができる。
【0128】
以下では、
図10を参照して本開示の第2実施形態によるヒーター部13の加熱構造について説明する。本開示の明瞭さのために、前述した実施形態と重複する内容に関する説明は省略する。
【0129】
図10に示されたように、本実施形態によるヒーター部13は、外部加熱要素131を含むように構成されてもよい。また、外部加熱要素131は、キャビティセグメント212のみを加熱するように配置され、かつ、キャビティセグメント212の下流末端付近に未加熱部位215が形成されるように配置されてもよい。例えば、外部加熱要素131は、キャビティセグメント212の未加熱部位215を除いた残りの部位を取り囲む形態で配置されてもよい。
【0130】
この場合、ヒーター部13の加熱効率が向上することができ、渦流の発生確率も、さらに向上することができる。具体的に、外部加熱要素131の加熱面積減少によって消費電力が減少するのに対し、タバコ顆粒214に対する加熱性能はそのまま維持されて加熱効率が向上することができる。言い換えれば、喫煙時には、重力によって多くのタバコ顆粒214がキャビティセグメント212の上流に位置するが、外部加熱要素131が多くのタバコ顆粒214が位置する上流の部分を加熱するところ、加熱面積が減少しても、実質的にタバコ顆粒214に伝達される熱量は、ほとんど低下しない。それだけでなく、キャビティセグメント212内に温度差が発生して、渦流の発生確率が向上することができる。例えば、キャビティセグメント212内の温度差(e.g.上流が相対的に高温で加熱される)に起因して下流方向への気流の流れが促進されて、渦流の発生確率がさらに増加することができる。
【0131】
一方、いくつかの実施形態では、ヒーター部13がキャビティセグメント212の上流を加熱する第1外部加熱要素と下流を加熱する第2外部加熱要素を含むように構成されてもよく、制御部12は、第1外部加熱要素の加熱温度が第2外部加熱要素より高いように制御することができる。この場合にも、上述したことと類似した効果を達成することができる。
【0132】
また、いくつかの実施形態では、ヒーター部13がキャビティセグメント212の多様な部位を互いに異なる温度で加熱する複数の外部加熱要素を含むように構成されてもよい。例えば、ヒーター部13は、キャビティセグメント212の第1部位を加熱する第1外部加熱要素と、第2部位を加熱する第2外部加熱要素と、第3部位を加熱する第3外部加熱要素とを含むように構成されてもよく、制御部12は、各外部加熱要素を互いに異なる温度で動作させることができる。この場合、キャビティセグメント212の各部位が異なる温度で加熱されるにつれて内部の気流の流れが複雑になり得、そのため、渦流の発生確率がさらに増加することができる。
【0133】
以下では、
図11を参照して本開示の第3実施形態によるヒーター部13の加熱構造について説明する。
【0134】
図11に示されたように、本実施形態によるヒーター部13は、内部加熱要素132と外部加熱要素131を含むように構成されてもよい。ヒーター部13は、二つの加熱要素131、132を通じて内外部でキャビティセグメント212を同時に加熱することによって、多数のタバコ顆粒214を均一に加熱することができる。ただし、ヒーター部13の具体的な具現方式は変わることができる。
【0135】
一例として、内部加熱要素132と外部加熱要素131は、制御部12により同時に制御される形態で具現することができる。この際、二つの加熱要素131、132は、図示のように、物理的に一体型で製造することもでき、互いに分離した形態で製造することもできる。いかなる場合でも、制御部12とヒーター部13間の回路構成の複雑度が減少することができる。
【0136】
他の例として、内部加熱要素132と外部加熱要素131は、制御部12により独立して制御されるように具現することができる。例えば、二つの加熱要素131、132は、互いに分離した形態で製造されて、制御部12により互いに異なる温度で制御することができる。本例示において、制御部12は、内部加熱要素132を外部加熱要素131より低い加熱温度で動作させたり、内部加熱要素132を一定条件下においてだけ動作させることもできる(e.g.パフ時ごとに動作、予熱時間の間にのみ動作など)。この場合、内部加熱要素132に起因してタバコ顆粒214が過加熱して、焦げ味が発現する問題を大きく軽減することができる。例えば、一部タバコ顆粒214が内部加熱要素132と持続的に接触して加熱されるにつれて焦げ味が発現する問題を大きく軽減することができる。
【0137】
一方、いくつかの実施形態において、内部加熱要素132の厚さは、約4.0mm以下であり、好ましくは、約3.0mm、2.5mmまたは2.0mm以下であってもよい。
このような数値範囲内で、挿入時にタバコロッド21が押されたり内部加熱要素132によりフィルターセグメント(e.g.213)が損傷する問題を容易に解決することができ、フィルターセグメント(e.g.213)の損傷部位を通したタバコ顆粒214の脱落現象も最小化することができる。例えば、第2フィルターセグメント213が紙フィルターであり、内部加熱要素132の厚さが厚い場合、挿入時に内部加熱要素132が紙物質に詰まってタバコロッド21が押される問題が発生しうる。または、内部加熱要素132の貫通によって第2フィルターセグメント213が大きく損傷し、損傷部位を通じてタバコ顆粒214が外部に脱落する問題が発生しうる。しかしながら、内部加熱要素132の厚さが例示された数値範囲を有する場合、例示された問題を解決することができる。
【0138】
また、いくつかの実施形態において、内部加熱要素132は、半円錐型などのようなとがっていた形状を有していてもよい。この場合、内部加熱要素132による第2フィルターセグメント213の損傷とタバコ顆粒214の脱落現象を最小化することができる。
【0139】
以下では、
図12を参照して本開示の第4実施形態によるヒーター部13の加熱構造について説明する。
【0140】
図12に示されたように、本実施形態によるヒーター部13は、外部加熱要素131と、タバコロッド21の内部を加熱する熱伝導要素133を含むように構成されてもよい。ここで、熱伝導要素133は、熱伝導性物質で構成され、外部加熱要素131と熱的に接触するように配置されて、外部加熱要素131から発生した熱をタバコロッド21の内部に伝達する役割を行うことができる。
【0141】
この場合、キャビティセグメント212の内部でタバコ顆粒214が伝導熱により加熱されるところ、タバコ顆粒214が過加熱される問題を大きく軽減することができる。それだけでなく、制御部12と外部加熱要素131のみが回路的に連結されるところ、回路構成の複雑度が減少することができる。
【0142】
以下では、本開示の第5実施形態によるヒーター部13の加熱構造について説明する。
【0143】
本実施形態によるヒーター部13は、粒子形態のサセプタ物質(以下、「サセプタ粒子」という)を通じて誘導加熱方式でキャビティセグメント212を加熱することができる。具体的に、ヒーター部13は、サセプタ物質を誘導加熱するためのインダクター(e.g.誘導コイル)を含むように構成されてもよく、キャビティセグメント212の内部に多数のサセプタ粒子が配置されてもよい。この場合、キャビティセグメント212の内部で多数のサセプタ粒子がタバコ顆粒214と混ざり合ってタバコ顆粒214を加熱するところ、タバコ顆粒214が均一に加熱されることができる。
【0144】
サセプタ粒子を配置する方式は多様である。例えば、サセプタ粒子は、タバコ顆粒214と共にキャビティセグメント212の内部に充填されていてもよい。他の例として、サセプタ粒子は、タバコ顆粒214の一部を構成することもできる。例えば、タバコ顆粒214の製造時にサセプタ粒子を投入することによって、サセプタ粒子を含むタバコ顆粒214を製造することができる。
【0145】
以上では、
図9~
図12を参照して本開示の第1実施形態~第5実施形態によるヒーター部13の加熱構造について説明した。理解の便宜を提供するために、実施形態を区分して説明したが、上述した第1実施形態~第5実施形態は、多様な形態で組合わせることができる。例えば、いくつかの実施形態によるヒーター部13は、内部加熱要素とキャビティセグメント212のみを加熱する外部加熱要素を含むように構成されてもよい。
【0146】
以下では、実施例および比較例を通じてタバコ顆粒214および/またはエアロゾル発生物品2の構成および効果についてより詳細に説明する。ただし、以下の実施例は、本開示の一部の例示に過ぎないので、本開示の範囲が以下の実施例によって限定されるものではない。
【0147】
実施例1
サイズが約30メッシュ~45メッシュであるタバコ顆粒を製造し、充填率が約75体積%になるように製造されたタバコ顆粒を投入して、
図7に例示された物品2と同じ構造を有するシガレットを製造した。タバコロッド(e.g.21)を構成する二つのフィルターセグメント(e.g.211、213)としては、耐油度(3M Kit Testによって測定された耐油度)が約2である紙物質で製造されたフィルターが用いられた。
【0148】
実施例2
耐油度が約6である紙物質で製造されたフィルターが用いられた点を除いて、実施例1と同じシガレットを製造した。
【0149】
実施例3
タバコ顆粒のサイズが約20メッシュ~30メッシュである点を除いて、実施例1と同じシガレットを製造した。
【0150】
実施例4
充填率が約50体積%になるようにタバコ顆粒を投入した点を除いて、実施例1と同じシガレットを製造した。
【0151】
実施例5
充填率が約100体積%になるようにタバコ顆粒を投入した点を除いて、実施例1と同じシガレットを製造した。
【0152】
実験例1:紙物質の耐油度が霧化量に及ぼす影響の評価
フィルターセグメント(e.g.211、213)に投入された紙物質の耐油度が霧化量に及ぼす影響を評価するために、有煙モードで実施例1および2によるシガレットの煙成分を分析して、TPM(Total Particulate Matter)含有量を測定する実験を行った。具体的に、温度が略20℃であり、湿度が略62.5%である喫煙室で
図2などに例示されたようなハイブリッド型エアロゾル発生装置を用いて喫煙実験を行い、成分分析のための煙の捕集は、試料別に3回ずつ、1回当たり8パフを基準として反復実施され、3回ずつの捕集結果に対する平均値としてTPM含有量を測定した。実験結果は、下記の表1に記載されている。
【0153】
【0154】
表1を参照すると、実施例2によるシガレット(すなわち、耐油度の高い紙物質が投入されたシガレット)のTPM含有量が実施例1よりも顕著に多いことが示された。これは、耐油度の高い紙物質がフィルターセグメントを通過するエアロゾルで吸湿を少なくすることによって、エアロゾル形成剤と水分の移行量が増加したため現れた結果と判断される。このような実験結果を通じて、耐油度の高い紙物質を投入する場合、霧化量を向上させることができることが分かる。
【0155】
実験例2:タバコ顆粒のサイズが渦流の発生に及ぼす影響の評価
タバコ顆粒のサイズがキャビティセグメント(e.g.212)内部の渦流の発生に及ぼす影響を評価するために、実施例1および3によるシガレットに対する喫煙実験を行い、喫煙後にタバコ顆粒が凝集している程度を確認する実験を行った。キャビティセグメント(e.g.212)内部で渦流がよく発生しうるほどタバコ顆粒が均一に混ざって凝集現象が減少するので、喫煙後にタバコ顆粒の凝集程度が渦流の発生程度を示す尺度になり得るためである。実験結果は、
図13および
図14に示されており、
図13および
図14は、喫煙後にタバコ顆粒が凝集している程度を撮影したものであり、それぞれ実施例1(約30メッシュ~45メッシュ)と実施例3(約20メッシュ~30メッシュ)に対する実験結果を示す。
【0156】
図13および
図14を参照すると、実施例3によるタバコ顆粒(すなわち、サイズの大きいタバコ顆粒)の凝集程度が実施例1よりひどいことが示された。すなわち、実施例1によるタバコ顆粒は、相対的に均一に広がっているのに対し、実施例3によるタバコ顆粒では、強く凝集している部分が現れることが確認された。これは、サイズの大きいタバコ顆粒が気流にさらに大きい抵抗として作用(e.g.重さ、サイズ増加などに起因して気流をさらによく防げる)して渦流の発生確率を減少させるためであると判断される。
【0157】
実験例3:タバコ顆粒の充填率が渦流の発生に及ぼす影響の評価
タバコ顆粒の充填率がキャビティセグメント(e.g.212)内部の渦流の発生に及ぼす影響を評価するために、実施例1、4および5によるシガレットに対する喫煙実験を行い、喫煙後にタバコ顆粒が凝集している程度を確認する実験を行った。実験結果は、
図15~
図17に示されている。
図15、
図16および
図17は、喫煙後にタバコ顆粒が凝集している程度を撮影したものであり、それぞれ実施例4(充填率約50体積%)、実施例1(充填率約75体積%)および実施例5(充填率約100体積%)に対する実験結果を示す。
【0158】
図15~
図17を参照すると、タバコ顆粒の充填率が増加するほどタバコ顆粒の凝集程度がひどく現れることが確認された。例えば、充填率が約50体積%の実施例4によるタバコ顆粒の凝集程度は、充填率が約100体積%の実施例5に比べて顕著に低いことが確認された。これは、充填率が低いほどキャビティセグメント(e.g.212)の空いた空間が増加して気流の流れが促進され、気流の流れが促進されるにつれて渦流の発生確率が増加するためであると判断される。このような実験結果を通じて、タバコ顆粒の充填率は、約75体積%または約80体積%以下になることが好ましいことが分かる。
【0159】
実験例4:加熱要素の厚さおよび形状がフィルターセグメントの損傷度に及ぼす影響の評価
フィルターセグメントの損傷度が大きいほどタバコ顆粒の脱落現象が加速化できるので、内部加熱要素(e.g.132)の厚さおよび形状がフィルターセグメント(e.g.
213)の損傷度に及ぼす影響を評価する実験を行った。具体的には、内部加熱要素の厚さおよび形状を変更しながら、実施例1によるシガレットのフィルターセグメント損傷度を確認する実験を行った。実験結果は、
図18~
図20に示されている。
図18~
図20は、内部加熱要素により貫通したフィルターセグメント(e.g.213)の断面を撮影したものであり、それぞれ厚さ約2mmの半円錐型加熱要素、厚さ約2mmの円柱型(棒状)加熱要素および約3mm厚さの円柱型加熱要素に対する実験結果を示す。
【0160】
図18~
図20を参照すると、加熱要素の厚さが厚いほどフィルターセグメントの損傷度が増加することを確認することができる。これを通じて、フィルターセグメントの損傷とタバコ顆粒の脱落現象を最小化するには、加熱要素の厚さが約3mm以下になることが好ましいことが分かる。
【0161】
また、フィルターセグメントの損傷を最小化するには、円柱型よりも半円錐型のようにとがっていた形態の加熱要素を使用することが好ましいことが分かる。
【0162】
参考として、加熱要素の厚さが約4mm以上である場合には、挿入時にフィルターセグメントが押されて挿入が円滑でなく、フィルターセグメントの損傷度がさらに増加することが確認された。
【0163】
以上では、実施例および比較例を通じてタバコ顆粒214および/またはエアロゾル発生物品2の構成および効果についてより詳細に説明した。
【0164】
以上、添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者は、その技術的思想や必須の特徴を変更することなく、本開示が他の具体的な形態で実施可能であることが理解できる。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面において例示的なものであり、限定的なものでないことを理解しなければならない。本開示の保護範囲は、下記の請求範囲により解されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本開示により定義される技術的思想の権利範囲に含まれるものと解されるべきである。